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Patent Searching and Data


Title:
CELL ADHESION COMPOSITION AND CELL ADHESION SUBSTRATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/174932
Kind Code:
A1
Abstract:
A cell adhesion composition according to an embodiment of the present invention comprises an amphipathic compound and a conjugate of DNA and a hydrophilic molecule, wherein the amphipathic compound has a hydrophilic group and a hydrophobic group that is able to non-covalently bond with a cell membrane, and the weight average molecular weight of the hydrophilic molecule in the conjugate is greater than the weight average molecular weight of the hydrophilic molecule from which the hydrophilic group of the amphipathic compound is derived. This cell adhesion composition makes it possible to use light having an arbitrarily defined wavelength to impart a cell adhesion capacity to a substrate at an arbitrarily defined time.

Inventors:
KIMURA YUJI (JP)
KAZAMI SAYAKA (JP)
ITOH HIROYASU (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/001755
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
January 20, 2020
Export Citation:
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Assignee:
HAMAMATSU PHOTONICS KK (JP)
International Classes:
C12M1/42; C12N5/00; C12N11/00; C12N11/08; C12N11/089
Domestic Patent References:
WO2017169259A12017-10-05
Foreign References:
JP2004524038A2004-08-12
JP2008136475A2008-06-19
JP2012235764A2012-12-06
JP2010011747A2010-01-21
JP2004519516A2004-07-02
US20140275509A12014-09-18
Other References:
MATSUURA, TERUO ET AL.: "Activation of Molecular Oxygen and Organic Peroxides by Cobalt Complexes", JOURNAL OF THE JAPAN PETROLEUM INSTITUTE, vol. 32, no. 3, 1989, pages 111 - 121, XP055734198
HOFFECKER, I. T. ET AL.: "Sequence-specific nuclease-mediated release of cells tethered by oligonucleotide phospholipids", BIOMATERIALS, vol. 53, 17 March 2015 (2015-03-17), pages 318 - 329, XP055608310, DOI: 10.1016/j.biomaterials.2015.02.059
LI, W. ET AL.: "Near-Infrared- and pH-Responsive System for Reversible Cell Adhesion using Graphene/Gold Nanorods Functionalized with i-Motif DNA", ANGEW. CHEM. INT. ED., vol. 52, 2013, pages 6726 - 6730, XP055256330, DOI: 10.1002/anie.201302048
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA Yoshiki et al. (JP)
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Claims:
\¥02020/174932 19 卩(:17 2020/001755

請求の範囲

[請求項 1 ] 両親媒性化合物と、 口 及び親水性分子のコンジュゲートと、 を 含み、

両親媒性化合物は、 細胞膜に非共有結合可能な疏水性基と、 親水性 基と、 を有し、

コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子量は、 両親媒性化合物 の親水性基が由来する親水性分子の重量平均分子量よりも大きい、 細 胞接着用組成物。

[請求項 2] 親水性基が、 ポリアルキレングリコール、 ポリグリセリン、 多糖、 ポリ乳酸、 ポリビニルアルコール、 ポリアクリル酸、 及びポリアクリ ルアミ ドからなる群より選択される親水性分子の残基であり、 疎水性基が、 炭素数 7〜 2 2の脂肪族炭化水素基、 又は、 炭素数 7 〜 2 2の脂肪族炭化水素基を有するリン脂質の残基である、 請求項 1 に記載の組成物。

[請求項 3] コンジュゲートの親水性分子が、 ポリアルキレングリコール、 ポリ グリセリン、 多糖、 ポリ乳酸、 ポリビニルアルコール、 ポリアクリル 酸、 及びポリアクリルアミ ドからなる群より選択される親水性分子で ある、 請求項 1又は 2に記載の組成物。

[請求項 4] 親水性基がポリエチレングリコールの残基であり、 疎水性基が炭素 数 1 0〜 2 0の脂肪族炭化水素基又は炭素数 1 0〜 2 0の脂肪族炭化 水素基を有するリン脂質の残基である、 請求項 1〜 3のいずれか一項 に記載の組成物。

[請求項 5] 1分子の両親媒性化合物あたりコンジュゲートを 1以上含む、 請求 項 1〜 4のいずれか一項に記載の組成物。

[請求項 6] コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子量が、 両親媒性化合物 の親水性基が由来する親水性分子の重量平均分子量の 1倍超である、 請求項 1〜 5のいずれか一項に記載の組成物。

[請求項 7] 基材と、 1以上の両親媒性化合物と、 1以上の、 口 及び親水性 \¥02020/174932 20 卩(:171?2020/001755

分子のコンジュゲートと、 を備え、

各両親媒性化合物は、 細胞膜に非共有結合可能な疎水性基と、 親水 性基と、 を有し、

各両親媒性化合物の親水性基と各コンジュゲートの口 は、 基材 と結合しており、

コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子量は、 両親媒性化合物 の親水性基が由来する親水性分子の重量平均分子量よりも大きい、 細 胞接着用基材。

[請求項 8] 1分子の両親媒性化合物あたりコンジュゲートを 1以上備える、 請 求項 7に記載の細胞接着用基材。

[請求項 9] 基材と、 1以上の、 両親媒性化合物及び口 のコンジュゲートと 、 を備え、

各両親媒性化合物は、 細胞膜に非共有結合可能な疎水性基と、 前記 口 と結合した親水性基と、 を有し、

0 は基材と結合している、 細胞接着用基材。

[請求項 10] 光反応性物質であって、 光照射により活性酸素を生成する光反応性 物質をさらに備える、 請求項 7〜 9のいずれか一項に記載の細胞接着 用基材。

[請求項 1 1 ] 内部の少なくとも一部が請求項 1〜 6のいずれか一項に記載の細胞 接着用組成物でコーティングされた流路を備える、 マイクロ流路デバ イス。

[請求項 12] 第 _の流路と、

前記第一の流路に隣接する第二の流路と、

前記第一の流路と前記第二の流路とをつなぐ連絡部であって、 前記 第一の流路側に細胞を捕捉可能な開口部を有する連絡部と、 を備え、 前記第一の流路の内部が請求項 1〜 6のいずれか一項に記載の細胞 接着用組成物でコーティングされている、 請求項 1 1 に記載のマイク 口流路デバイス。 \¥02020/174932 21 卩(:171?2020/001755

[請求項 13] 基材を請求項 1〜 6のいずれか一項に記載の細胞接着用組成物でコ —ティングする工程と、

基材に、 光反応性物質であって、 光照射により活性酸素を生成する 光反応性物質を接触させる工程と、

基材に光を照射して光反応性物質を励起させる工程と、

基材に細胞を接触させる工程と、 を備える、 細胞を基材上に接着す る方法。

Description:
\¥02020/174932 1 卩(:17 2020/001755

明 細 書

発明の名称 : 細胞接着用組成物及び細胞接着用基材

技術分野

[0001 ] 本発明は、 細胞接着用組成物及び細胞接着用基材に関す る。

背景技術

[0002] 光により基材の細胞接着性をコントロールす る手法としては、 特許文献 1 〜 3に記載されるような種々の技術が知られて る。 これらの技術によれば 、 基材に光を照射することで基材に細胞接着能 を付与することができる。 先行技術文献

特許文献

[0003] 特許文献 1 :特開 2 0 1 5 - 7 3 4 6 0

特許文献 2 :特開 2 0 0 9 - 6 5 9 4 5

特許文献 3 :特開 2 0 0 6 - 8 9 7 5

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004] 特許文献 1〜 3に記載される技術では、 基材に細胞接着能を付与するため に用いられる光が、 紫外線 (1) ) 等、 特定の波長を有する光に限定されて いた。 II Vは細胞にダメージを与えるため好ましくな 。 また、 基材に接着 された細胞はしばしば蛍光色素を用いて観察 されるため、 細胞接着能を基材 に付与するために用いる光が特定の波長に限 定されていると、 細胞の観察に 用いることのできる蛍光色素の選択肢が狭ま る。

[0005] そこで、 本発明は、 任意の波長を有する光を用いて、 任意のタイミングで 基材に細胞接着能を付与することを目的とす る。

課題を解決するための手段

[0006] 本発明の一形態に係る細胞接着用組成物は、 両親媒性化合物と、 口 八及 び親水性分子のコンジュゲートと、 を含む。 両親媒性化合物は、 細胞膜に非 共有結合可能な疎水性基と、 親水性基と、 を有する。 コンジュゲートの親水 \¥02020/174932 2 卩(:171?2020/001755

性分子の重量平均分子量は、 両親媒性化合物の親水性基が由来する親水性 分 子の重量平均分子量よりも大きい。

[0007] 親水性基は、 ポリアルキレングリコール、 ポリグリセリン、 多糖、 ポリ乳 酸、 ポリビニルアルコール、 ポリアクリル酸、 及びポリアクリルアミ ドから なる群より選択される親水性分子の残基であ ってよい。 疎水性基は、 炭素数 7〜 2 2の脂肪族炭化水素基、 又は、 炭素数 7〜 2 2の脂肪族炭化水素基を 有するリン脂質の残基であってよい。 好ましくは、 親水性基はポリエチレン グリコールの残基である。 好ましくは、 疎水性基は、 炭素数 1 〇〜 2 0の脂 肪族炭化水素基又は炭素数 1 0〜 2 0の脂肪族炭化水素基を有するリン脂質 の残基である。 コンジュゲートの親水性分子は、 ポリアルキレングリコール 、 ポリグリセリン、 多糖、 ポリ乳酸、 ポリビニルアルコール、 ポリアクリル 酸、 及びポリアクリルアミ ドからなる群より選択される親水性分子であ って よい。 細胞接着用組成物は、 1分子の両親媒性化合物あたりコンジュゲー を 1以上含んでよい。 コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子 量は、 両 親媒性化合物の親水性基が由来する親水性分 子の重量平均分子量の 1倍超で あってよい。

[0008] 本発明の一形態に係る細胞接着用基材は、 基材と、 1以上の両親媒性化合 物と、 1以上の、 口 及び親水性分子のコンジュゲートと、 を備える。 各 両親媒性化合物は、 細胞膜に非共有結合可能な疏水性基と、 親水性基と、 を 有する。 各両親媒性化合物の親水性基と各コンジュゲ ートの〇 は、 基材 と結合している。 コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子 量は、 両親媒 性化合物の親水性基が由来する親水性分子の 重量平均分子量よりも大きい。

[0009] 細胞接着用基材は、 1分子の両親媒性化合物あたりコンジュゲー を 1以 上備えてよい。

[0010] 本発明の他の形態に係る細胞接着用基材は、 基材と、 1以上の、 両親媒性 化合物及び口 のコンジュゲートと、 を備える。 各両親媒性化合物は、 細 胞膜に非共有結合可能な疎水性基と、 上記〇 と結合した親水性基と、 を 有する。 〇 は基材と結合している。 \¥02020/174932 3 卩(:171?2020/001755

[001 1] 細胞接着用基材は、 光反応性物質であって、 光照射により活性酸素を生成 する光反応性物質をさらに備えてよい。

[0012] 本発明の一形態に係るマイクロ流路デバイス は、 内部の少なくとも一部が 上記細胞接着用組成物でコーティングされた 流路を備える。

[0013] マイクロ流路デバイスは、 第一の流路と、 上記第一の流路に隣接する第二 の流路と、 上記第一の流路と上記第二の流路とをつなぐ 連絡部であって、 上 記第一の流路側に細胞を捕捉可能な開口部を 有する連絡部と、 を備えてよく 、 上記第一の流路の内部が上記細胞接着用組成 物でコーティングされていて よい。

[0014] 本発明の一形態に係る細胞を基材上に接着す る方法は、 基材を上記細胞接 着用組成物でコーティングする工程と、 基材に、 光反応性物質であって、 光 照射により活性酸素を生成する光反応性物質 を接触させる工程と、 基材に光 を照射して光反応性物質を励起させる工程と 、 基材に細胞を接触させる工程 と、 を備える。

発明の効果

[0015] 本発明によれば、 任意の波長を有する光を用いて、 任意のタイミングで基 材に細胞接着能を付与することができ、 また、 基材に細胞接着能を付与する ために必要な光の照射時間が短い。 より具体的には、 本発明によれば、 任意 の波長を有する光を用いて、 任意のタイミングで、 任意の細胞を接着するこ とができる基材及び該基材を備えるマイクロ 流路デバイス、 並びにこれらを 製造するために使用することのできる組成物 が提供される。 また、 本発明に よれば、 任意の波長を有する光を用いて、 任意のタイミングで基材に任意の 細胞を接着することが可能な方法が提供され る。 さらに、 本発明によれば、 任意の形状の細胞パターンを簡便に得ること ができる。

図面の簡単な説明

[0016] [図 1]マイクロ流路デバイスの一例を示す模式 である。

[図 2]細胞を基材上に接着する方法の概略を示 模式図である。 発明を実施するための形態 \¥02020/174932 4 卩(:171?2020/001755

[0017] 本発明の一実施形態に係る細胞接着用組成物 は、 両親媒性化合物と、 口 八及び親水性分子のコンジュゲートと、 を含む。 両親媒性化合物は、 細胞膜 に非共有結合可能な疏水性基と、 親水性基と、 を有する。 基材に細胞接著用 組成物を接触させると、 両親媒性化合物の親水性基及びコンジュゲー トの口 八が基材と結合し、 基材を両親媒性化合物と口 及び親水性分子のコン ジュゲートとでコーティングすることができ る。 基材との結合性を上げる観 点から、 両親媒性化合物の親水性基とコンジュゲート の口 には、 結合性 物質が結合されていてもよい。 両親媒性化合物が細胞接着能を有するのに対 し、 口 と親水性分子とのコンジュゲートは、 両親媒性化合物の細胞接着 能をマスキングする作用を有する。 したがって、 細胞接着用組成物でコーテ ィングされた基材は、 潜在的な細胞接着能を有する。 後述するように、 基材 に光を照射してコンジュゲートを分解するこ とで、 両親媒性化合物による細 胞接着能が発現し、 基材は細胞を接着することが可能となる。

[0018] 親水性基は、 ポリアルキレングリコール、 ポリグリセリン、 多糖、 ポリ乳 酸、 ポリビニルアルコール、 ポリアクリル酸、 及びポリアクリルアミ ドから なる群より選択される 1種以上の親水性分子の残基であってよい。 より具体 的には、 親水性基は、 ポリエチレングリコール、 ポリプロピレングリコール 、 ペンタエリスリ トール、 グリセリン、 ジグリセリン、 トリグリセリン、 テ トラグリセリン、 ペンタグリセリン、 へキサグリセリン、 ヘプタグリセリン 、 及びオクタグリセリンからなる群より選択さ れる 1種以上の親水性分子の 残基であってよい。 好ましくは、 親水性基はポリエチレングリコールの残基 である。 本明細書において、 親水性分子の残基とは、 親水性分子から、 他の 分子と共有結合を形成する際に除去される 1以上の原子 (例えば、 水素) 又 は基を除いて得られる基を意味する。

[0019] 基材又は結合性物質との結合性を上げる観点 から、 親水性基は、 反応性官 能基を有していてもよい。 反応性官能基は、 公知の反応性官能基であれば特 に限定されず、 例えば、 1\] -ヒドロキシスクシンイミ ド 基又はマ レイミ ド基であってよい。 \¥02020/174932 5 卩(:171?2020/001755

[0020] 親水性基は、 2 0 0以上、 4 0 0以上、 6 0 0以上、 1 0 0 0以上、 2 0

0 0以上、 3 0 0 0以上、 5 0 0 0以上、 又は 8 0 0 0以上の重量平均分子 量を有する親水性分子の残基であってよい。 親水性基は、 2 0 0 0 0以下、 1 0 0 0 0以下、 8 0 0 0以下、 5 0 0 0以下、 3 0 0 0以下、 2 0 0 0以 下、 1 0 0 0以下又は 6 0 0以下の重量平均分子量を有する親水性分子 残 基であってよい。 重量平均分子量は、 例えば、 ゲルパーミエーションクロマ トグラフィー (〇 〇) を用いて求めることができる。

[0021 ] 疎水性基は、 細胞膜に非共有結合することが可能であれば 特に限定されず 、 例えば、 炭素数 7〜 2 2の脂肪族炭化水素基、 又は、 炭素数 7〜 2 2の脂 肪族炭化水素基を有するリン脂質の残基であ ってよい。 脂肪族炭化水素基は 、 飽和又は不飽和であってよく、 直鎖又は分岐鎖であってよい。 脂肪族炭化 水素基の炭素数は、 1 0〜 2 0又は 1 1〜 1 8であってもよい。 脂肪族炭化 水素基は、 例えば、 ォクチル基 (0 8) 、 デシル基 ((3 1 0) 、 ドデシル基 (〇 1 2) 、 テトラデシル基 (<3 1 4) 、 へキサデシル基 (〇 1 6) 、 オク タデシル基 (〇 1 8) 、 イソステアリル基 (〇 1 8) 、 エイコシル基 (〇 2 0) 、 ドコシル基 (0 2 2) 等の飽和脂肪族炭化水素基であってよく、 ミリ ストレイル基 (〇 1 4) 、 パルミ トレイル基 (〇 1 6) 、 オレイル基 (〇 1 8) 、 リノレイル基 (〇 1 8) 、 アラキドニル基 (〇 2 0) 、 エルカイル基 (0 2 2) 等の不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい 。 リン脂質中の脂肪 族炭化水素基の数は、 1以上又は 2以上であってよく、 好ましくは 1又は 2 である。 リン脂質としては、 例えば、 ホスファチジルエタノールアミン、 ホ スファチジルグリセロール、 及びホスファチジルセリンが挙げられる。 リン 脂質は例えば、 1 , 2 -ジステアロイルー 3 n -グリセロー 3 -ホスホエタ ノールアミン であってよい。 非共有結合は、 疎水性相互作用で あってよい。 本明細書において、 リン脂質の残基とは、 リン脂質から、 他の 分子と共有結合を形成する際に除去される 1以上の原子 (例えば、 水素) 又 は基を除いて得られる基を意味する。

[0022] 両親媒性化合物は、 具体的には例えば、 ポリアルキレングリコール、 ポリ \¥02020/174932 6 卩(:171?2020/001755

グリセリン、 多糖、 ポリ乳酸、 ポリビニルアルコール、 ポリアクリル酸、 及 びポリアクリルアミ ドからなる群より選択される親水性分子と、 炭素数 7〜 2 2の脂肪族炭化水素及び炭素数 7〜 2 2の脂肪族炭化水素基を有するリン 脂質からなる群より選択される疎水性分子と が互いに共有結合した化合物で あってよい。 親水性分子及び疎水性分子の詳細は上述した とおりである。 親 水性分子は、 上述の反応性官能基を有していてよい。 両親媒性化合物の具体 例としては、 ポリエチレングリコールと炭素数 7〜 2 2の脂肪族炭化水素と が共有結合した化合物 ( 巳〇脂質) 、 及び、 ポリエチレングリコールと炭 素数 7〜 2 2の脂肪族炭化水素基を有するリン脂質とが 有結合した化合物 ( 巳〇リン脂質) が挙げられる。 巳〇脂質は、 例えばオレイルー〇ーポ リエチレングリコールースクシニルー 1\1 _ヒドロキシースクシンイミジルエ ステルであってよい。 巳◦ -リン脂質は、 例えば 1\1 - [ 1\1, 一 (3, ーマ レイミ ドー 1’ ーオキソプロピル) アミノプロピルポリオキシエチレンオキ ソカルボニル] — 1 , 2—ジステアロイルー 3门ーグリセロー 3—ホスホエ タノールアミンであってよい。

[0023] 〇 八は、 活性酸素によって分解され得る口 八であれば特に限定されず 、 いかなる長さ及び配列の口 八も用いることができる。 例えば、 1 7量体 〜 3 0量体、 1 8量体〜 2 5量体、 又は 2 0〜 2 2量体の口 八であれば入 手しやすい。 口 八は一本鎖であっても二本鎖であってもよい 。 〇 八は、 親水性分子及び基材若しくは結合性分子との 結合性を上げる観点から、 反応 性官能基を有していてもよい。 反応性官能基は、 特に限定されず、 例えば、 カルボキシ基、 チオール基、 アミノ基等公知の反応性官能基から、 親水性分 子及び基材若しくは結合性分子の種類に応じ て適宜選択できる。 例えば、 結 合性分子がウシ血清アルブミン (巳 3八) であり、 親水性分子がマレイミ ド 基を有する 巳◦である場合、 〇 八は、 巳 3八のアミノ基と架橋剤により 反応するカルボキシ基と、 巳◦のマレイミ ド基と反応するチオール基と、 を有することができる。

[0024] コンジュゲートの親水性分子は、 ポリアルキレングリコール、 ポリグリセ \¥02020/174932 7 卩(:171?2020/001755

リン、 多糖、 ポリ乳酸、 ポリビニルアルコール、 ポリアクリル酸、 及びポリ アクリルアミ ドからなる群より選択される 1種以上の親水性分子であってよ い。 より具体的には、 コンジュゲートの親水性分子は、 ポリエチレングリコ —ル、 ポリプロピレングリコール、 ペンタエリスリ トール、 グリセリン、 ジ グリセリン、 トリグリセリン、 テトラグリセリン、 ペンタグリセリン、 ヘキ サグリセリン、 ヘプタグリセリン、 及びオクタグリセリンからなる群より選 択される 1種以上の親水性分子であってよい。 好ましくは、 コンジュゲート の親水性分子はポリエチレングリコールであ る。

[0025] 口 八との結合性を上げる観点から、 コンジュゲートの親水性分子は、 反 応性官能基を有していてもよい。 反応性官能基は、 特に限定されず、 例えば 、 基、 マレイミ ド基等公知の反応性官能基であってよい。

[0026] 両親媒性化合物の細胞接着能をマスキングす る観点から、 親水性分子の重 量平均分子量は、 例えば、 2 0 0 0以上、 5 0 0 0以上、 又は 1 0 0 0 0以 上であってよく、 8 0 0 0 0以下、 6 0 0 0 0以下、 4 0 0 0 0以下、 3 0 0 0 0以下、 2 0 0 0 0以下、 1 0 0 0 0以下、 又は 5 0 0 0以下であって よい。

[0027] 基材との結合性を上げる観点から、 両親媒性化合物の親水性基とコンジュ ゲートの〇 八には、 結合性物質がコンジュゲートされていてもよ い。 結合 性物質は、 基材、 両親媒性化合物の親水性基、 及びコンジュゲートの口 八 と結合することができる官能基を有する物質 であれば特に限定されず、 例え ば、 巳 3八、 卵白アルブミン、 コラーゲン等のタンパク質又はポリリジン等 のポリペプチドであってよい。

[0028] 細胞接着用組成物は、 光反応性物質であって、 光照射により活性酸素を生 成する光反応性物質を 1種以上、 さらに含むことができる。 光反応性物質は 、 光照射により活性酸素を生成する物質であれ ば特に限定されず、 所望の波 長を有する光で励起可能な任意の光反応性物 質を選択することができる。 光 反応性物質は、 例えば、 蛍光色素、 光増感剤、 及び光触媒からなる群より選 択される 1種以上の光反応性物質であってよい。 光反応性物質は、 好ましく \¥02020/174932 8 卩(:171?2020/001755

は、 口 八に結合することができる 0 八結合性光反応性物質であり、 より 好ましくは口 結合性蛍光色素である。 蛍光色素は、 例えば、 丫〇丫〇 ( 登録商標) _ 1、 丫〇 _ 〇 (登録商標) _ 1、 丁〇丁〇 (登録商標) 一 1、 (登録商標) _ 1、 6060 (登録商標) _ 1、 及び巳〇 _ [¾〇 (登録商標) _ 1からなる群より選択される口 結合性の蛍光色 素であってよい。 光増感剤としては、 例えば、 ポルフイマーナトリウム、 夕 ラボルフイリンナトリウム等のボルフイリン 誘導体が挙げられる。 光触媒と しては、 例えば、 酸化チタン (丨 V) が挙げられる。 細胞へのダメージを防 ぐ観点から、 光反応性物質は、 380 超の光で励起される物質であるこ とが好ましい。 例えば、 光反応性物質は、 430 n 以上、 450 n 以 上、 又は 480 以上の光で励起される物質であってもよい。

[0029] 細胞接着用組成物は、 1分子の両親媒性化合物あたりコンジュゲー を 1 以上、 5以上、 1 0以上、 1 5以上、 又は 20以上含んでよい。 コンジュゲ -卜の親水性分子の重量平均分子量は、 両親媒性化合物の親水性基が由来す る親水性分子の重量平均分子量の 1倍超、 5倍以上、 1 0倍以上、 又は 20 倍以上であってよい。 両親媒性化合物の親水性基が由来する親水性 分子の重 量平均分子量と、 コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子 量との組み合 わせは、 例えば、 200〜 600と 2000〜 5000、 1 000〜 500 0と 1 0000〜 60000、 又は 8000〜 20000と 1 0000〜 8 0000であってよい。

[0030] 本発明の一実施形態に係る細胞接着用基材は 、 基材と、 1以上、 好ましく は複数の両親媒性化合物と、 1以上、 好ましくは複数の、 口 及び親水性 分子のコンジュゲートと、 を備える。 基材表面の少なくとも一部は、 両親媒 性化合物及びコンジュゲートに覆われており 、 各両親媒性化合物の親水性基 と各コンジュゲートの 0 八は、 基材と結合している。 すなわち、 基材と両 親媒性化合物とは、 基材一親水性基一疎水性基の順番で各要素が 並ぶように 結合しており、 基材とコンジュゲートとは、 基材一口 一親水性分子の順 番で各要素が並ぶように結合している。 本実施形態に係る細胞接着用基材は \¥02020/174932 9 卩(:171?2020/001755

、 基材を上述の細胞接着用組成物でコーティン グすることにより得ることが できる。 両親媒性化合物の詳細、 並びに、 口 及び親水性分子のコンジュ ゲートの詳細は、 上述のとおりである。

[0031 ] 基材の素材及び形状は、 細胞を接着するのに適していることが好まし いが 、 特に限定されない。 基材の素材は、 例えば、 ガラス、 セラミック、 金属、 又は合成樹脂であってよい。 合成樹脂は、 例えば、 ポリスチレン樹脂、 シリ コーン樹脂、 アクリル樹脂、 ポリエチレン樹脂、 ポリプロピレン樹脂、 ポリ 力ーボネート樹脂、 又はエポキシ樹脂であってよい。 基材は、 例えば、 平板 、 フィルム、 粒子、 棒又は多孔質体の形状を有していてもよく、 基材の表面 は平面であっても曲面であってもよい。

[0032] 両親媒性化合物の親水性基及びコンジュゲー トの 0 との結合性を上げ る観点から、 基材は、 表面が結合性物質でコーティングされた基材 であって もよい。 結合性物質の詳細は、 上述のとおりである。

[0033] 細胞接着用基材は、 光反応性物質であって、 光照射により活性酸素を生成 する光反応性物質をさらに備えていてよい。 具体的には、 コンジュゲートの 〇 には光反応性物質が結合していてもよい。 光反応性物質の詳細は上述 のとおりである。

[0034] 細胞接着用基材は、 1分子の両親媒性化合物あたりコンジュゲー を 1以 上、 5以上、 1 0以上、 1 5以上、 又は 2 0以上備えていてよい。

[0035] 基材表面において、 両親媒性化合物は、 親水性基が基材表面から近い側に 位置し、 かつ疎水性基が基材表面から遠い側に位置す るように配向しており 、 コンジュゲートは、 0 が基材表面から近い側に位置し、 かつ親水性分 子が基材表面から遠い側に位置するように、 配向している。 上述のとおり、 コンジュゲートの親水性分子の重量平均分子 量は、 両親媒性化合物の親水性 基が由来する親水性分子の重量平均分子量よ りも大きい。 したがって、 本実 施形態に係る細胞接着用基材の最外部には、 コンジュゲートの親水性分子が 露出しており、 両親媒性化合物の細胞接着能を有する疎水性 基は、 コンジュ ゲートの親水性分子の下に隠れている。 後述するように、 基材に光反応性物 \¥02020/174932 10 卩(:171?2020/001755

質を付与し、 次いでこれを光により励起させることにより 、 コンジュゲート の 0 が切断されて親水性分子が解離し、 よって、 両親媒性化合物の疎水 性基が最外部に露出する。 したがって、 本実施形態に係る細胞接着用基材に よれば、 任意の波長を有する光を用いて、 任意のタイミングで、 任意の細胞 を接着することができる。 さらに、 本実施形態に係る細胞接着用基材によれ ば、 任意の細胞/《ターンを簡便に得ることがで る。

[0036] 本発明の他の実施形態に係る細胞接着用基材 は、 基材と、 1以上、 好まし くは複数の両親媒性化合物及び口 のコンジュゲートと、 を備える。 各両 親媒性化合物は、 細胞膜に非共有結合可能な疎水性基と、 と結合 した親水性基と、 を有し、 0 は基材と結合している。 すなわち、 基材と コンジュゲートとは、 基材一 0 一親水性基一疎水性基の順番で各要素が 並ぶように結合している。

[0037] 両親媒性化合物、 〇 、 及び基材の詳細は上述のとおりである。 ただし 、 本実施形態においては、 両親媒性化合物は基材又は結合性物質とは結 合し ておらず、 口 八と結合している。 また、 本実施形態においては、 口 八は 上記親水性分子とは結合しておらず、 親水性基と結合している。

[0038] 口 と両親媒性化合物とは、 反応性官能基を介して結合していてもよい

。 反応性官能基は、 特に限定されず、 例えば、 カルボキシ基、 チオール基、 アミノ基、 基、 マレイミ ド基等公知の反応性官能基であってよい。

[0039] 細胞接着用基材は、 光反応性物質であって、 光照射により活性酸素を生成 する光反応性物質をさらに備えていてよい。 具体的には、 コンジュゲートの 〇 には光反応性物質が結合していてもよい。 光反応性物質の詳細は上述 のとおりである。

[0040] 基材表面において、 両親媒性化合物と口 とのコンジュゲートは、 0 八が基材表面から近い側に位置し、 かつ疎水性基が基材表面から遠い側に位 置するように配向している。 したがって、 本実施形態に係る細胞接着用基材 の最外部には、 細胞接着能を有する疎水性基が露出しており 、 これにより細 胞が接着される。 基材に上述の光反応性物質を付与し、 次いでこれを光によ \¥02020/174932 11 卩(:171?2020/001755

り励起させることにより、 〇 が切断されて、 接着された細胞がコンジュ ゲートとともに基材から解放される。 したがって、 本実施形態に係る細胞接 着用基材によれば、 任意の波長を有する光を用いて、 任意のタイミングで基 材に接着された任意の細胞を解放及び回収す ることができる。 さらに、 本実 施形態に係る細胞接着用基材によれば、 任意の細胞パターンを簡便に得るこ とができる。

[0041 ] —実施形態において、 本発明は、 内部の少なくとも一部が上述の細胞接着 用組成物でコーティングされた流路を備える 、 マイクロ流路デバイスを提供 する。 マイクロ流路デバイスは、 一般的に、 1以上のマイクロ流路を備える デバイスであり、 細胞を捕捉及び解析する手段として利用する ことができる

[0042] 図 1 に本実施形態に係るマイクロ流路デバイスの 一例を示す。 図 1の (八 ) に示すマイクロ流路デバイス 4 0は、 流路 2 3と、 流路 2 3に隣接する流 路 2 4と、 流路 2 3と流路 2 4とをつなぐ連絡部 3 0とを備える。 流路 2 3 、 流路 2 4、 及び連絡部 3 0は、 いずれも基板 2 2に設けられた溝であり、 基板 2 2の溝が形成された側の主面にはカバーガラ 2 1が積層されている 。 基板 2 2は、 特に限定されないが、 例えば、 シリコンゴム (例えば、 ジメ チルポリシロキサン) 等の樹脂製であってよい。 基板 2 2が樹脂製である場 合、 流路 2 3、 流路 2 4、 及び連絡部 3 0は、 フォトリソグラフィーにより 容易に形成することができる。

[0043] 流路 2 3には液体の注入口 2 5及び 2 6、 並びに注出口 2 8が設けられて おり、 流路 2 4には液体の注入口 2 7及び注出口 2 9が設けられている。 注 入口 2 5〜 2 7には、 例えば、 細胞懸濁液、 試料、 標準試料、 バッファー等 の液体が注入される。 注入口 2 5及び 2 6から流路 2 3に導入された液体は 、 注出口 2 8からマイクロ流路デバイス 4 0の外に排出され、 注入口 2 7か ら流路 2 4に導入された液体は、 注出口 2 9からマイクロ流路デバイス 4 0 の外に排出される。 液体は、 例えばシリンジを用いて注入口に注入するこ と ができる。 注入口は、 使用する液体の数だけあってもよいが、 一つの流路に \¥02020/174932 12 卩(:171?2020/001755

対して少なくとも 1つの注入口があれば足りる。 したがって、 注入口 2 6は なくてもよいし、 流路 2 3及び/又は流路 2 4に 1以上の注入口を追加して もよい。 同様に、 流路 2 3及び/又は流路 2 4に 1以上の注出口を追加して もよい。

[0044] 図 1の (巳) に連絡部 3 0の拡大図を示す。 この図では、 流路 2 3に細胞 懸濁液が導入されている。 連絡部 3 0は、 流路 2 3と流路 2 4とをつなぐ孔 3 2と、 細胞 <3を捕捉可能な開口部 (開口端) 3 1 と、 を有する。 ここで、 細胞 <3を捕捉可能とは、 流路 2 3内の圧力が流路 2 4内の圧力よりも高い条 件下において、 流路 2 3内に存在する細胞(3を流路 2 3側の開口部 3 1 に保 持することができることを意味する。 図 1では、 開口部 3 1が窪みを形成し ているが、 開口部 3 1の形状は、 細胞〇を捕捉可能であれば特に限定されず 、 平坦であってもよい。 連絡部 3 0は、 細胞(3が通り抜けることができない 形状である必要がある。 したがって、 孔 3 2の孔径は、 細胞(3の直径よりも 十分に小さいことが好ましい。 また、 図 1では、 連絡部 3 0は孔 3 2を介し て流路 2 3と流路 2 4とをつないでいるが、 孔 3 2をスリツ トに置き換えて もよい。 開口部 3 1は、 細胞 <3が存在する流路側に設けられてさえいれ よ い。 図 1では、 流路 2 3に細胞懸濁液が導入されているため、 開口部 3 1は 流路 2 3側に設けられてさえいればよい。 流路 2 4に細胞懸濁液を導入する 場合、 開口部 3 1は流路 2 4側に設けられてさえいればよい。

[0045] 図 2の (八) に連絡部 3 0をさらに拡大した模式図を示す。 この図では、 細胞 <3が、 流路 2 3から流路 2 4の方向 (図中、 矢印 によって示す方向) にはたらく力によって、 開口部 3 1 に捕捉されている。 矢印 の方向に働く 力は、 流路 2 3と流路 2 4との圧力差により生じている。 図 2の (八) では 、 細胞 <3は流路 2 3を構成する内壁に接着しておらず、 もし流路 2 3と流路 2 4との圧力差が解消されれば、 細胞 <3は開口部 3 1から解放される。

[0046] 流路 2 3の内部は、 上述の細胞接着用組成物でコーティングされ ている。

この図では、 両親媒性化合物 4は、 結合性物質 1 と、 親水性基 2と、 疎水性 基 3と、 を備え、 コンジュゲート 7は、 結合性物質 1 と、 0 八5 3 と、 親 \¥02020/174932 13 卩(:171?2020/001755

水性分子 6と、 を備える。 各両親媒性化合物 4の親水性基 2と各コンジュゲ —卜 7の 0 八5 3は、 流路 2 3を構成する内壁、 すなわち流路 2 3の内表 面と、 任意で結合性物質 1 を介して結合している。 なお、 上述のとおり、 結 合性物質 1は必須ではない。 また、 流路 2 3の内部はその全体に渡ってコー ティングされている必要はなく、 流路 2 3の内部の少なくとも一部、 具体的 には、 少なくとも開口部 3 1がコーティングさえていれば十分である。

[0047] 図 2の (巳) 及び (〇 は、 開口部 3 1 に細胞を接着するまでの過程を示 す。 図 2の (八) に示す状態にある細胞を開口部 3 1 に接着させるためには 、 まず、 開口部 3 1 に上述の光反応性物質 (図示せず) を付与する。 光反応 性物質は、 開口部 3 1 にあらかじめ付与されていてもよい。 あるいは、 流路 2 3に光反応性物質を導入することにより、 開口部 3 1 に光反応性物質を付 与してもよい。 光反応性物質は、 口 八5 3に結合させることが好ましい。 その後、 図 2の (巳) に示すように、 開口部 3 1 に光を照射して光反応性物 質を励起させる。 光反応性物質の励起により生じた活性酸素は 、 〇 5 3 を切断し、 疎水性基 3と細胞<3の細胞膜との非共有結合を妨げて た親水性 分子 6が流路 2 3の内壁から解離する。 残された口 八断片 5匕は、 疎水性 基 3と細胞<3との結合を妨げるには小さいため 疎水性基 3と細胞<3の細胞 膜とが非共有結合して、 細胞<3が開口部 3 1 に接着する。

[0048] 本実施形態に係るマイクロ流路デバイス 4 0において、 開口部 3 1の細胞 接着能は、 任意のタイミングで発現させることができる 。 したがって、 開口 部 3 1 に目的の細胞<3以外の細胞又は夾雑物が捕 された場合には、 流路 2 3と流路 2 4の圧力差を逆転させてそれらを開口部 3 1から解放することが できる。 一方、 開口部 3 1 に目的の細胞〇が捕捉された場合には、 開口部 3 1 に光を照射することで、 細胞〇を開口部 3 1 に接着することができる。 一 度細胞<3が開口部 3 1 に接着されれば、 流路 2 3と流路 2 4との圧力差を維 持しておく必要がない。 すなわち、 本実施形態に係るマイクロ流路デバイス 4 0によれば、 任意の波長を有する光を用いて、 任意のタイミングで、 細胞 を選択的にかつ簡便に捕捉及び解析すること ができる。 \¥02020/174932 14 卩(:171?2020/001755

[0049] 次に上述の細胞接着用組成物を用いて細胞を 基材上に接着する方法を説明 する。 本発明の一実施形態に係る細胞を基材上に接 着する方法は、 (3) 基 材を上述の細胞接着用組成物でコーティング する工程と、 (13) 基材に上述 の光反応性物質を接触させる工程と、 (〇) 基材に光を照射して光反応性物 質を励起させる工程と、 (〇1) 基材に細胞を接触させる工程と、 を備える。

[0050] 工程 3では、 基材を上述の細胞接着用組成物でコーティン グすることによ り、 上述の細胞接着用基材を得る。

[0051 ] 工程 3でコーティングされる基材は、 特に限定されず、 基材の素材及び形 状の例は上述のとおりである。 基材の具体的な例としては、 例えば、 スライ ドガラス、 培養皿、 マルチウエルプレート、 マイクロ流路デバイスのマイク 口流路の内壁等が挙げられる。

[0052] コーティングの仕方は特に限定されず、 例えば、 液体状の細胞接着用組成 物を基材上に接触させることで基材をコーテ ィングすることができる。 細胞 接着用組成物を基材上に接触させる方法は特 に限定されず、 例えば、 細胞接 着用組成物を基材に滴下してもよく、 基材を細胞接着用組成物に浸してもよ い。

[0053] 工程匕では、 基材に光反応性物質を接触させる。 この工程により、 基材に 光反応性物質が付与される。 好ましくは、 光反応性物質は、 基材に結合した コンジュゲートの 0 八に結合する。 光反応性物質の詳細は上述のとおりで ある。 工程 13は工程 3の後に行ってもよく、 工程 3と同時に行ってもよい。 いいかえれば、 細胞接着用組成物でコーティングされた基材 に光反応性物質 を接触させてもよく、 細胞接着用組成物と光反応性物質を基材に同 時に接触 させてもよい。 細胞接着用組成物と光反応性物質を基材に同 時に接触させる 場合、 細胞接着用組成物に光反応性物質が含まれて いてもよい。

[0054] 工程〇では、 基材に光を照射して光反応性物質を励起させ る。 励起された 光反応性物質は活性酸素を生じ、 活性酸素によってコンジュゲートの口 八 が切断される。 したがって、 この工程により、 細胞の接着を妨げていた親水 性分子がコンジュゲートから解離し、 親水性分子の下に隠れていた細胞接着 \¥02020/174932 15 卩(:171?2020/001755

能を有する両親媒性化合物の疎水性基が基 材表面の最外部に露出する。

[0055] 光の波長、 照射強度、 及び照射時間は、 光反応性物質を励起させることが できれば特に限定されない。 細胞へのダメージを防ぐ観点から、 光の波長は 、 3 8 0 门 超であることが好ましい。 例えば、 光の波長は、 4 3 0 n m 以上、 4 5 0 n 以上、 又は 4 8 0 n m以上であってもよい。 照射時間は 、 例えば、 1秒以上、 1 0秒以上、 又は 6 0秒以上であってよい。

[0056] 工程〇は工程匕の後に行うことができる。

[0057] 工程 では、 基材に細胞を接触させる。 この工程により、 両親媒性化合物 の疎水性基が細胞膜と非共有結合し、 細胞が基材に接着する。 基材に細胞を 接触させる方法は特に限定されず、 例えば、 細胞懸濁液を基材に滴下しても よく、 基材を細胞懸濁液に浸してもよい。 工程 は、 工程 3の後の任意の段 階で行うことができる。 工程 を工程 13の前に行う場合、 工程匕 (光反応性 物質の接触) 及び光の照射 (工程〇) は、 基材に細胞を接触させた状態を維 持したまま行うことが好ましい。 工程 を工程 13と同時に、 又は工程 の後 かつ工程〇の前に行う場合、 光の照射 (工程〇) は、 基材に細胞を接触させ た状態を維持したまま行うことが好ましい。

[0058] 本実施形態に係る細胞を基材上に接着する方 法によれば、 任意の波長を有 する光を用いて、 任意のタイミングかつ短い照射時間で、 基材に細胞を接着 することができる。

実施例

[0059] (準備)

1 . 巳◦ - 0 八一巳 3八の調製

5’ 末端にカルボキシ基を、 3’ 末端にチオール基を有する 2 0量体の 0 八 (配列: 丁〇丁八丁〇丁〇〇八〇〇〇〇〇丁〇丁〇〇 ) を合成した。 こ の 0 八と巳 3八を 1 ~ 1 7 . 0の 1 0〇1 1\/1 IV!〇 3 - <〇 1 ~ 1にそれぞれ溶 解し、 口 溶液と巳 3 溶液を得た。 溶液と〇 溶液を 1 : 5の モル比で混合した。 この混合液に 1 — (3—ジメチルアミノプロピル) 一 3 —エチルカルポジイミ ド (巳〇〇 を最終濃度が 1 0〇1 1\/1となるように混合 \¥02020/174932 16 卩(:171?2020/001755

し、 〇 八の 5’ 末端のカルボキシ基と巳 3八のアミノ基を結合させた。 ス ピンカラムを用いて余剰口 八を取り除いた後、 巳◦ -マレイミ ド ( 巳 ◦の重量平均分子量: 20000) を、 巳 3八と 巳◦のモル比が 1 : 1 0 となるように 1 ~ 17. 0の 1 0 1\/1 M〇 PS-K〇Hとともに加え、 混合 した。 混合液を 3〇分インキュベーシヨンすることで 0 八一巳 3八と 巳 ◦を結合させ、 口丁丁を最終濃度 1 IV!で混合することで反応を停止させた 〇

[0060] 2. 巳◦脂質一巳 3八の調製

巳 3八と 巳◦脂質一 1\11 ~ 13を 1 ~ 17. 0の 1 0〇11\/1 MO PS - KOH にそれぞれ溶解し、 巳 3 溶液と 巳◦脂質溶液を得た。 P EG脂質_N H 3としては、 オレイルー〇ーポリエチレングリコールース クシニルー 1\1 _ヒ ドロキシースクシンイミジルエステル ( 巳◦の重量平均分子量: 2000 、 日油株式会社製 「311 巳 [¾ 丨 〇1 ~ 1丁 〇巳一020〇3」 ) を使用した

。 巳 3 溶液と 巳◦脂質溶液を 1 : 1 0のモル比で混合し、 30分室温に てインキユベーシヨンした。 1 ~ 16. 8の丁 「 丨 3— 1-10 I を加え、 反応を 停止させた。

[0061] 3. 巳◦リン脂質一 0 八一巳 3八の調製

巳◦ -マレイミ ドのかわりに 巳〇リン脂質ーマレイミ ドを用いて、 巳〇-〇 八一巳 3八の調製と同様にして 巳◦リン脂質一 0 八一巳 3八 を調製した。 巳〇リン脂質ーマレイミ ドとしては、 1\1- [1\1, 一 (3, 一 マレイミ ドー 1’ ーオキソプロピル) アミノプロピルポリオキシエチレンオ キソカルボニル] — 1 , 2—ジステアロイルー 3门ーグリセロー 3—ホスホ エタノールアミン ( 巳◦の重量平均分子量: 2000、 日油株式会社製 「 311 巳 [¾ 1 〇1 ~ 1丁 ) を使用した。

[0062] (実施例 1)

巳 3八濃度が全体で 0. となるように 巳〇— 0 八_巳3 混合した。 この混合溶液を洗浄済 1 : 0. 1 7〇1〇1) に滴下し、 表 \¥02020/174932 17 卩(:171?2020/001755

面が 巳〇 -〇 八一巳3八と 巳◦脂質一巳 3八でコーティングされた基 板を得た。

[0063] 丫〇丫〇_ 1 (最大吸収波長 4 9 1 1^ 01、 最大蛍光波長 5 0 9 〇〇 を 最終濃度が 1 0 !\/1となるようにバッファーに加え、 基板上に滴下した。 そ の後、 絞りを用いて、 所定の円形領域に励起光を 1 〇秒間照射し、 円形領域 に細胞接着性を付与した。 励起後、 遊離した?日〇、 蛍光色素、 分解された 〇 八等をバッファーにより洗い流した。

[0064] 1 x 1 0 5 細胞/ 1_の濃度となるように、 血清を含まない培地に細胞を懸 濁した。 上記基板に細胞懸濁液を接触させ、 1 0分後に、 血清を含む培地で 余剰の細胞を洗い流した。 基板上の細胞を培養し、 _日後、 位相差顕微鏡を 用いて基板上の細胞を観察した。 細胞は上記円形領域内で接着及び伸展し、 円形バターンを形成していた。

[0065] (実施例 2)

となるように 巳〇— 0 八_巳3 で混合した。 この混合溶液を図 1 に 示すようなマイクロ流路デバイスの流路 2 3に導入し、 流路 2 3の内側を 巳〇-〇 八一巳3八と 巳◦脂質一巳 3八でコーティングした。

[0066] 1 x 1 0 5 細胞/ 1_の濃度となるように、 リン酸緩衝生理食塩水 ( 巳 3 ) に細胞を懸濁した。 流路 2 3に細胞懸濁液を導入し、 流路 2 4に 巳 3を 導入した。 流路 2 3内の圧力が流路 2 4内の圧力よりも高くなるように流速 を調整し、 所望の細胞を開口部 3 1 に保持した。 開口部 3 1 に所望の細胞以 外の細胞又は細胞の破砕物が捕捉された場合 は、 圧力差を逆転させて、 それ らを開口部 3 1から解放した。

[0067] 開口部 3 1 に所望の細胞が捕捉された後、 丫〇丫〇_ 1 を含む 巳 3を流 路 2 3に導入した。 開口部 3 1 に励起光を 1 0秒間照射した。 照射後、 流路 2 3内に 巳 3を導入し、 遊離した 巳〇、 蛍光色素、 分解された口 八等 を洗い流した。 開口部 3 1 には所望の細胞が接着していた。

[0068] (実施例 3) \¥02020/174932 18 卩(:171?2020/001755

巳3八濃度が 0. となるように 巳〇リン脂質一 0 八_巳

3八をバッファーに懸濁した。 この懸濁液を洗浄済みのカバーガラス (24 01111x36 111111, 11 〇. 1 7 01111) に滴下し、 表面が 巳◦リン脂質一口 八一巳 3八でコーティングされた基板を得た。

[0069] 1 x 1 0 5 細胞/ 1_の濃度となるように、 血清を含まない培地に細胞を懸 濁した。 上記基板に細胞懸濁液を接触させた。 細胞の基板への接着を確認後 、 血清入り培地で基板を洗浄し、 コンフルエントになるまで細胞を培養した 〇

[0070] 丫〇丫〇_ 1 を最終濃度が 1 0 !\/1となるように培地に加え、 基板上に滴 下した。 その後、 絞りを用いて、 所定の円形領域に励起光を 1 〇秒間照射し た。 円形領域の細胞は基板から剥離し、 培地中に浮遊した。 培地中に浮遊し た細胞は回収した。

符号の説明

[0071] 1 結合性物質、 2 親水性基、 3 疎水性基、 4 両 親媒性化合物、 53 · · . 〇 、 56 - 〇 断片、 6 親水性 分子、 7 コンジュゲート、 2 1 · · ·カバーガラス、 22 · · 基板 . 23, 24 · · ·流路、 25, 26, 27 · · 注入口、 28, 29 · · 注出口、 40 · · マイクロ流路デバイス、 30 · · 連絡部、 3 1 · · 開口部、 32 · · 孔、 〇 -細胞。