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Patent Searching and Data


Title:
CELL CULTURE CONTAINER AND CELL CULTURE METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/156041
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a cell culture container and a cell culture method whereby an intercellular network can be effectively constructed in the culture space. The cell culture container (10) is a cell culture container (10) having a plural number of microcontainers (11) on the surface, characterized in that convexes (side walls (12)) are formed to divide adjacent microcontainers (11) and the cells are prevented from adhesion to the upper face of the convexes. Owing to this structure, the cells are cultured exclusively within the microcontainers (11) and an intercellular network can be effectively constructed.

Inventors:
TAZAKI GO (JP)
KOSAKA TOMOKO (JP)
FUKUDA MOTOHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/060943
Publication Date:
December 24, 2008
Filing Date:
June 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KURARAY CO (JP)
TAZAKI GO (JP)
KOSAKA TOMOKO (JP)
FUKUDA MOTOHIRO (JP)
International Classes:
C12M3/00; C12N5/071; C12N5/074; C12N5/077; C12N5/0793
Domestic Patent References:
WO2007049576A12007-05-03
WO2006075597A12006-07-20
Foreign References:
JP2006325532A2006-12-07
JP2004154027A2004-06-03
JP2006191809A2006-07-27
Other References:
See also references of EP 2169049A4
Attorney, Agent or Firm:
IEIRI, Takeshi (Asahi Bldg. 10th Floor3-33-8, Tsuruya-cho,Kanagawa-ku, Yokohama-sh, Kanagawa 35, JP)
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Claims:
 表面に複数のマイクロ容器を有する細胞培養容器であって、
 隣接する前記マイクロ容器同士を区画する凸部が形成されており、
 前記凸部の上面に細胞が接着しないようにしたことを特徴とする細胞培養容器。
 前記凸部は多段階構造であり、各段階の上面に細胞が接着しないようにしたことを特徴とする請求項1に記載の細胞培養容器。
 前記凸部の上面の短辺幅が0.5~15μmであって、前記凸部の高さが前記短辺幅の3倍以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞培養容器。
 前記凸部の高さが30~300μmであることを特徴とする請求項3に記載の細胞培養容器。
 前記マイクロ容器の底面を基準面とした前記凸部の高さ方向の上部50%以上において、前記底面と前記凸部各側面のなす角度が80°~90°であることを特徴とする請求項1~4いずれか一項に記載の細胞培養容器。
 前記マイクロ容器の底面面積が6.25×10 -4 mm 2 ~0.563mm 2 であることを特徴とする請求項1~5いずれか一項に記載の細胞培養容器。
 前記マイクロ容器の底面の長径が短径の1~1.5倍であることを特徴とする請求項1~6いずれか一項に記載の細胞培養容器。
 前記マイクロ容器の底面の長径が短径の1.5~50倍であり、細胞の遊走性を評価することを特徴とする請求項1~6いずれか一項に記載の細胞培養容器。
 前記マイクロ容器が隣接するマイクロ容器の少なくとも1つと連通していることを特徴とする請求項1~8いずれか一項に記載の細胞培養容器。
 前記マイクロ容器が隣接するマイクロ容器の少なくとも1つと連通するための開口部の幅が1~25μmであることを特徴とする請求項9に記載の細胞培養容器。
 前記マイクロパターンが設けられた領域に表面処理が行われていることを特徴とする請求項1~10いずれか一項に記載の細胞培養容器。
 前記表面処理により形成される積層膜が2層以上であり、すくなくとも1層が無機膜であり、少なくとも1層が有機膜であることを特徴とする請求項11に記載の細胞培養容器。
 前記マイクロパターンが設けられた領域が透明であることを特徴とする請求項1~12いずれか一項に記載の細胞培養容器。
 請求項1~13のいずれか一項に記載の細胞培養容器に設けられた前記マイクロ容器に細胞を注入して、前記細胞を培養する細胞培養方法。
 前記細胞が肝細胞、脂肪細胞、骨芽細胞、歯髄細胞、軟骨細胞、幹細胞、神経細胞、心筋細胞のいずれかであることを特徴とする請求項14に記載の細胞培養方法。
Description:
細胞培養容器及び細胞培養方法

 本発明は、細胞培養容器及び細胞培養方 に関する。

 組織から単離した細胞を試験、検査に用 る手法は、バイオテクノロジー関連分野で 欠かせない方法となっている。疾病、病態 診断、新薬の探索及び薬効の判定、あるい 動物検査、植物検査、環境汚染物質の試験 どに幅広く用いられている。そのため、バ オテクノロジー分野で使用される細胞類は 極めて多様化してきている。

 単離した細胞は、直ちに試験に用いられ 場合もあるが、多くの場合、培養皿や試験 のなかで細胞培養が行われる。この培養細 を用いて、種々の検査が行われる。細胞培 試験に用いられる細胞培養株には、生体内 の試験いわゆるin vivo試験と同様の薬剤感 性、毒性反応を示すことが要求される。す わち、細胞培養容器の表面で規則性を有し 配列された細胞間のネットワークを構築で ることが必要とされる。ここで、細胞間の ットワークとは、細胞同士が結合し相互作 を行える状態を指し、細胞が集積し細胞塊 形成した形態や網目状に細胞が結合した形 のことをいう。また、細胞培養試験に用い れる細胞培養株は極めて高額であるため、 胞の生存率及び増殖速度の向上が望まれて る。

 上記細胞培養試験は、同一条件下、評価 る薬物等の量、濃度などを変量し、その効 を測定するものである。そのため、細胞培 容器の材質、形状等も同一にする必要があ 。この細胞培養容器としては、プラスチッ 製シャーレ、ガラス製シャーレ、容器内に 定されたガラスプレート、ウェルプレート が一般的に用いられる。ウェルプレートに 、6ウェル、12ウェル、48ウェル、96ウェルの 各プレート又はシャーレがある。これらは、 一般に、プレート全体の大きさはほぼ同じで あり、ウェル数が大きくなるほど、1ウェル サイズが小さくなる。この1ウェルが1培養皿 に相当する。また、最近の微量化への流れか ら、さらに小口径で多数の培養皿からなる384 ウェルプレートも使用され始めている。これ らの培養皿の底面は平坦な平板状であり、こ の底面を培養面として用いている。

 しかしながら、組織細胞の培養に、従来 細胞培養容器を用いると、細胞が薄く伸び 方向性のない形態となる。また、細胞培養 器の表面にランダムに配置されるため、細 間のネットワークは、複雑に交錯して形成 れる。そのため、生体内での細胞機能を再 できないという問題があった。

 上記問題を解決し、立体的に細胞を培養す 方法として、数100μmオーダーの大きさの細 培養チャンバーを利用し細胞を培養する方 (特許文献1参照)、細胞配置部と流路を備え マイクロパターンを利用し細胞を培養する 法(特許文献2参照)などが開示されている。

特開2004-154027号公報

特開2006-191809号公報

 特許文献1及び2ともに細胞を培養するた の空間を区画化するための凸部が設けられ いるが、特許文献1では、凸部上面の幅が細 の2~3倍程度あるため、その上面へ細胞が接 してしまい、上記培養空間内において細胞 のネットワークが効率的に構築されない問 があった。他方、特許文献2では、凸部の幅 は細胞よりも小さいものの、凸部の高さが低 いために、細胞が乗り上げてしまい、上記培 養空間内において細胞間のネットワークが効 率的に構築されない問題があった。

 本発明は、このような問題を解決するた になされたものであり、培養空間内におい 細胞間のネットワークを効率的に構築させ ことができる細胞培養容器及び細胞培養方 を提供することを目的とする。

 本発明に係る細胞培養容器は、表面に複 のマイクロ容器を有する細胞培養容器であ て、隣接する前記マイクロ容器同士を区画 る凸部が形成されており、前記凸部の上面 細胞が接着しないようにしたことを特徴と るものである。凸部が多段階構造であって 各段階の上面に細胞が接着しないようにし もよい。また、凸部の上面の短辺幅が0.5~15 mであって、前記凸部の高さが前記短辺幅の3 倍以上であるものであることが好ましく、前 記凸部の高さが30~300μmであることが好ましい 。

 また、前記マイクロ容器水平面を基準面 した前記側壁の高さ方向の上部50%以上にお て、水平面と該側壁の各側面がなす角度が8 0°~90°であることが好ましい。

 また、マイクロ容器の底面面積が6.25×10 -4 mm 2 ~0.563mm 2 であることが好ましい。そして、培養細胞が 肝細胞である場合、底面の長径が短径の1~1.5 であることが好ましい。一方、細胞の遊走 を評価する場合、底面の長径が短径の1.5~50 であることが好ましい。

 さらに、前記マイクロ容器が隣接するマ クロ容器の少なくとも1つと連通しており、 そのための開口部の底面幅が1μm~25μmである とが好ましい。

 また、前記マイクロ容器が設けられた領 に表面処理が行われており、前記表面処理 より形成される積層膜が2層以上であり、少 なくとも1層が無機膜、少なくとも1層が有機 であることが好ましい。さらに、その領域 透明であることが好ましい。

 本発明に係る細胞培養方法は、上記の細 培養容器において、細胞培養容器に設けら た前記マイクロ容に細胞を注入して、前記 胞を培養するものである。前記細胞が、肝 胞、脂肪細胞、骨芽細胞、歯髄細胞、軟骨 胞、幹細胞、神経細胞、心筋細胞のいずれ であることが好ましい。

 本発明によれば、培養空間内において細 間のネットワークを効率的に構築させるこ ができる細胞培養容器及び細胞培養方法を 供することができる。

実施の形態に係る細胞培養容器の構成 示す平面図である。 実施の形態に係る細胞培養容器の構成 示す断面図である。 実施の形態に係る細胞培養容器の構成 示す平面図である。 実施の形態に係る細胞培養容器の構成 示す断面図である。 実施の形態に係る細胞培養容器の構成 示す平面図である。 実施の形態に係る細胞培養容器の構成 示す断面図である。 実施例1に係る細胞培養容器での培養細 胞の光学顕微鏡像である。 実施例1に係る細胞培養容器での培養細 胞の光学顕微鏡像である。 比較例1に係る細胞培養容器での培養細 胞の光学顕微鏡像である。 比較例1に係る細胞培養容器での培養 胞の光学顕微鏡像である。 実施の形態に係る細胞培養容器の構成 を示す平面図である。 実施の形態に係る細胞培養容器の構成 を示す断面図である。 実施例2に係る細胞培養容器での培養 胞の光学顕微鏡像である。

符号の説明

10 細胞培養容器
11 マイクロ容器
12 側壁
121 第1の側壁
122 第2の側壁
13 開口部

 本発明に係る細胞培養容器には凹凸パタ ンすなわち複数のマイクロ容器すなわち培 空間が形成されている。このマイクロ容器 仕切る側壁(凸部)の幅及び高さを最適化す ことで、マイクロ容器内のみで細胞を培養 、細胞間のネットワークを効率的に構築さ ることができる。

 側壁により囲まれたマイクロ容器の寸法 、細胞を培養するために最適な範囲とする 要がある。マイクロ容器の底面面積が大き ぎると、平板上での培養と同様、細胞は薄 伸び、立体構造とならない。一方、マイク 容器の底面面積が小さすぎると、細胞を収 できなくなる。従って、空間の寸法は、培 する細胞種に応じて、一又は複数個が収容 きる範囲とすることが好ましい。細胞が複 個集積した細胞塊を形成させる場合、その 胞塊が収納できる範囲とすることが好まし 。

 また、マイクロ容器の側壁も細胞を培養 るために最適な範囲とする必要がある。側 の幅が広すぎると、側壁の上面へ細胞が接 してしまい、培養に適さない。側壁の幅が すぎると、作製が困難となる。側壁の高さ 低すぎると、細胞が側壁を乗り越えてしま 、培養に適さない。側壁の高さが高すぎる 、作製が困難な上、物質拡散がしにくくな 培養環境が悪化してしまう。

 さらに、側壁に開口部を設け、複数のマ クロ容器を連通した構造とするにより、細 への酸素や栄養分の供給及び細胞からの老 物の除去を効率良く行うことができる。な 、培養する細胞種に応じ、側壁の高さ、マ クロ容器寸法、開口部の幅を適宜設定する とにより、多様な培養系に適用することも きる。

 以下に、本発明の実施の形態について説 する。ただし、本発明が以下の実施の形態 限定される訳ではない。また、説明を明確 するため、以下の記載及び図面は、適宜、 略化されている。

実施の形態
 実施の形態に係る細胞培養容器の構成につ て図1、2を用いて説明する。図1は、本実施 形態に係る細胞培養容器の構成を示す平面 であり、図2は図1のII-II断面図である。図1 示すように、細胞培養容器10はマイクロ容器 11、側壁12、開口部13を備える。細胞培養容器 10の培養面には、複数の側壁12が網目状に形 されており、この側壁12に四方を囲われた空 間がマイクロ容器11となる。また、矩形状の マイクロ容器11の四辺に形成された側壁12の 各辺の中央部に、開口部13が形成されている

 図1において、マイクロ容器11の底面の幅a 、マイクロ容器11を区画するための側壁12の b、高さc、隣接するマイクロ容器11が互いに 通するための開口部13の幅dを示した。ここ 、0.5μm≦b≦15μm、かつ、c/b≧3とする必要が ある。側壁12の幅bが15μmを越えると、側壁の 面へ細胞が接着してしまい、培養に適さな 。一方、側壁12の幅bが0.5μm未満では、作製 困難となる。側壁の高さは低すぎると、細 が側壁を乗り越えてしまい、培養に適さな 。側壁12の高さcが側壁12の幅bの2倍未満であ ると、マイクロ容器11で培養する細胞が乗り げ隣接するマイクロ容器11へ移動してしま 。また、側壁12の高さcは、30μm~300μmの範囲 にあるのが好ましい。具体的には、相当直 100μmの細胞塊を形成させる場合、側壁12の高 さcは50μm~150μmが好ましい。ここで、側壁の さcが高すぎると、作製が困難な上、物質拡 がしにくくなり培養環境が悪化してしまう 側壁12は多段階形状であってもよい。

 マイクロ容器11の底面形状は特に制限され ものではなく、正方形、円、多角形以外に 種々の形状を採用することができる。この 面面積は、6.25×10 -4 mm 2 ~0.563mm 2 が好ましい。具体的には、生体内での肝機能 を再現する細胞培養には、この底面面積は0.0 1mm 2 ~0.1mm 2 が好ましい。この場合、底面の長径が短径の 1~1.5倍であることが好ましい。さらに、等方 形状が好ましく、正方形であれば、例えば 相当直径100μmの細胞塊を形成させる場合、 辺の長さが100μm~300μmが好ましい。

 また、生体内での神経ネットワークを再 するために神経細胞の配向を行う培養には 長方形や開口部を有するマイクロ容器を採 することができる。例えば、マイクロ容器 辺幅が20μmで、長辺の長さが100μm以上であ こと好ましい。すなわち,底面の長径が短径 5倍以上が好ましい。

 生体内での細胞の機能を調べるために細 の遊走性評価を行う場合には、長方形の形 を採用することができる。例えば、マイク 容器短辺幅が15μmで、長辺の長さ22.5~750μmが 好ましい。すなわち、底面の長径が短径の1.5 ~50倍が好ましい。

 マイクロ容器11の水平面と側壁12とがなす 角度は、細胞が乗り上げない角度でなければ ならないため、側面の上部から50%以上の部分 は80~90°が好ましく、特に、85°~90°であるこ が好ましい。

 隣接するマイクロ容器11を互いに連通す ための開口部13の幅dは、培養細胞が最初に 種されたマイクロ容器11から隣接するマイク ロ容器11に移動できない程度でが好ましい。 えば、培養細胞の相当直径が20μmであれば 5~15μmであることが好ましい。また、図11、12 に示す凹凸パターン形状のように、開口部13 、マイクロ容器11の中央ではなく、コーナ 部分(矩形の角の部分)であってもよい。ここ で、図11は、本実施の形態に係る他の細胞培 容器の構成を示す平面図であり、図12は図11 のXI-XI断面図である。なお、開口部13は必須 はなく、図3及び図4に示すように、マイクロ 容器11の四辺が側壁12により完全に囲まれて てもよい。ここで、図3は、本実施の形態に る他の細胞培養容器の構成を示す平面図で り、図4は図3のIV-IV断面図である。

 また、図5及び図6に示すように、円形状 マイクロ容器11が第1の側壁121により完全に まれ、さらに第1の側壁121上に第2の側壁122が 形成されていてもよい。すなわち、第1の側 121及び第2の側壁122から多段階の側壁(凸部)12 が形成されている。ここで、図5は、本実施 形態に係る他の細胞培養容器の構成を示す 面図であり、図6は図5のVI-VI断面図である。

 本発明の細胞培養容器上の凹凸パターン 作製する方法としては、特に限定されない 、例えば、モールドを用いた転写成形、3次 元光造形、精密機械切削、ウェットエッチン グ、ドライエッチング、レーザー加工、放電 加工等の方法が挙げられる。細胞培養容器の 用途、要求される加工精度、コスト等を考慮 してこれらの製造方法を適宜選択することが 好ましい。

 モールドを用いて転写成形方法の具体例 しては、金属構造体を型として樹脂成形で 凸パターンを形成する方法が挙げられる。 の方法は金属構造体の形状を高い転写率で 脂へ凹凸パターンに再現することが可能で り、また汎用の樹脂材料を使用することに り材料コストを低くできるので好ましい。 のような金属構造体の型を用いる方法は、 コストであり、高い寸法精度を満足できる で優れている。

 上記金属構造体の製造方法としては、例 ば、フォトリソグラフィによって作製され レジストパターンや3次元光造形によって作 製された樹脂パターンへのメッキ処理、精密 機械切削、ウェットエッチング、ドライエッ チング、レーザー加工、放電加工等が挙げら れる。用途、要求される加工精度、コスト等 を考慮して適宜選択すればよい。

 上記で得られた金属構造体を型として用 て樹脂へ凹凸パターンを成形する方法とし は、例えば、射出成形、プレス成形、モノ ーキャスト成形、溶剤キャスト成形、ホッ エンボス成形、押出成形によるロール転写 の方法を挙げることができる。生産性及び 転写性の観点から射出成形を採用すること 好ましい。

 本発明の細胞培養容器を構成する材料と ては、自己支持性を有するものであれば特 制限されず、例えば、合成樹脂、シリコン ガラス等が挙げられる。コスト面や顕微鏡 察による細胞視認性の観点から、透明な合 樹脂を材料とすることが好ましい。透明な 成樹脂としては、例えば、ポリメタクリル メチル、メタクリル酸メチル-スチレン共重 合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等の スチレン系樹脂、シクロオレフィン等のオレ フィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート 、ポリ乳酸等のエステル系樹脂、ポリジメチ ルシロキサン等のシリコーン系樹脂、ポリカ ーボネート樹脂等が挙げられる。このような 樹脂には、透明性を損なわない範囲で着色剤 、拡散剤、増粘剤等の各種添加剤を含んでい てもよい。

 本発明の細胞培養容器は、容器表面の親 性、生体適合性、細胞親和性等を向上させ ことを目的として、凹凸パターン表面側に 面処理を行い、改質層及び/又はコーティン グ層が配されていてもよい。上記改質層を設 ける方法としては、自己支持性を失う方法や 10μm以上の極端な表面荒れを起こす方法でな れば特に制限はないが、例えば、薬品処理 溶剤処理、表面グラフト重合によるグラフ ポリマーの導入等の化学的処理、コロナ放 、オゾン処理、プラズマ処理等の物理的処 等の方法が挙げられる。またコーティング を設ける方法としては、特に制限されるも ではないが、例えば、スパッタ、蒸着等の ライコーティング、無機材料コーティング ポリマーコーティング等のウェットコーテ ング等の方法が挙げられる。凹凸パターン には、気泡の混入することなく培養液を注 するために親水性を付与することが望まし 、均一な親水性膜を形成させる方法として 無機蒸着が好ましい。

 また、細胞親和性を考慮した場合には、 えば、コラーゲン、フィブロネクチン等の 胞親和性タンパク質をコーティングするこ がより好ましい。コラーゲン水溶液等を均 にコートするために、上述の親水性膜を形 させた後、コートすることが好ましい。通 、細胞培養においては、生体内環境を模倣 て細胞外マトリックス表面での培養が望ま いため、上記のように均一な親水性無機膜 配した後に、培養細胞に適した細胞外マト ックスからなる有機膜を配することが特に ましい。

 本発明の細胞培養方法は、細胞を培養する イクロ容器のみに細胞を配置させ、その空 内で生体内に類似した形態や機能を発現さ るため、適切な細胞数を播種する必要があ 、細胞播種密度1.0×10 4 ~1.0×10 6 細胞/cm 2 が好ましい。例えば、マイクロ容器が正方形 で、1辺が200μmの場合、5.0×10 4 ~5.0×10 5 細胞/cm 2 が好ましい。このような条件のもと、直径が 30~200μmに及ぶ細胞塊を得ることができる。

 次に本発明に係る細胞培養容器の実施例 ついて説明するが、本発明はこれら実施例 限定されるものではない。

<肝細胞の調製>
 培養に用いる初代ラット肝細胞は以下のよ に調製した。6週齢のウィスター系ラットの 門脈にサーフロー留置針を挿入し、EDTA含有 液を流して脱血液を行った後、コラゲナー 溶液を灌流した。その後、コラゲナーゼ溶 で処理された肝臓を培養液へ入れ、メスピ ットによるピペッティングで細胞を分散さ た。細胞懸濁液を3回洗浄し、細胞以外の細 を除去し、単離した細胞を培養に用いた。

<培養方法>
 培養に用いる培養液は以下のように調製し 。
 DMEM/F12培地に10% ウシ胎児血清、1μg/ml イン シュリン、1×10 -7 M デキサメタゾン、10mM ニコチンアミド、2mM  L-グルタミン、50μm β-メルカプトエタノー 、5mM HEPES、59μg/ml ペニシリン、100μg/ml ス トレプトマイシン、25ng/ml HGF、20ng/ml EGFを添 加した。
 凹凸パターン基材上に、1.0×10 5 細胞/cm 2 の濃度で肝細胞を播種し、5%CO 2 、37℃で所定時間培養した。また、同組成の 鮮培地0.5mLを用い、1日から2日毎に培地交換 を行った。

[実施例1]
 図3に示す凹凸パターン形状であって、a=100u m、b=10um、c=50umのパターンをフォトリソグラ ィにより作製し、Ni電解メッキを行い、対応 する凹凸形状を有する金型を得た。その金型 を用い、ホットエンボス成形によりポリスチ レン上にパターン転写を行い、前記寸法の樹 脂基材を作製した。その樹脂基材表面へ真空 蒸着により二酸化ケイ素膜を100nm形成させ、 線滅菌を行い、凹凸パターン基材を得た。 の凹凸基材上で肝細胞を培養した。

[比較例1]
 図3に示す凹凸パターン形状であって、a=100u m、b=20um、c=50umのパターンをフォトリソグラ ィにより作製し、Ni電解メッキを行い、対応 する凹凸形状を有する金型を得た。その金型 を用い、ホットエンボス成形によりポリスチ レン上にパターン転写を行い、前記寸法の樹 脂基材を作製した。その樹脂基材表面へ真空 蒸着により二酸化ケイ素膜を100nm形成させ、 線滅菌を行い、凹凸パターン基材を得た。 の凹凸基材上で肝細胞を培養した。

 実施例1の条件で細胞播種し、4時間培養 の、光学顕微鏡写真を図7に、4日培養後の、 光学顕微鏡写真を図8に示す。培養空間を区 する凸部上面には細胞は付着せず、本来の 養空間である凹部のみで培養ができている このため、培養空間内において細胞間のネ トワークを構築させることができ、生体に い機能を発現することができた。

 比較例1の条件で細胞播種し、4時間培養 の、光学顕微鏡写真を図9に、4日培養後の、 光学顕微鏡写真を図10に示す。培養空間を区 する凸部上面にも細胞が付着し、培養され いる。また、隣接する培養空間との明確な 画もできず、培養空間内のみで細胞を培養 ることができなかった。このため、培養空 内において細胞間のネットワークを構築さ ることができず、生体に近い機能を発現す ことができなかった。

[実施例2]
 図11、12に示す凹凸パターン形状であって、 a=80um、b=15um、c=50umのパターンをフォトリソグ ラフィにより作製し、Ni電解メッキを行い、 応する凹凸形状を有する金型を得た。その 型を用い、ホットエンボス成形によりポリ チレン上にパターン転写を行い、前記寸法 樹脂基材を作製した。その樹脂基材表面へ 空蒸着により二酸化ケイ素膜を100nm形成さ 、γ線滅菌を行い、凹凸パターン基材を得た 。その凹凸基材上で肝細胞を培養した。

 実施例2の条件で細胞播種し、4時間培養 の、光学顕微鏡写真を図13に示す。培養空間 を区画する凸部上面には細胞は付着せず、本 来の培養空間である凹部のみで培養ができて いる。このため、培養空間内において細胞間 のネットワークを構築させることができ、生 体に近い機能を発現することができた。