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Patent Searching and Data


Title:
CELL CULTURE INSTRUMENT AND CELL CULTURE METHOD USING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/034927
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a cell culture instrument which has a plural number of wells capable of holding cells therein and yet is excellent in handling properties. A cell culture instrument (1) comprising a base section (10), in which wells (22) including a plural number of first wells (21) capable of holding cells therein, and a frame section (3) which is provided around the above-described wells (20) in the above-described base section (10) and constitutes a second well (50) capable of holding a solution therein.

Inventors:
NAKAZAWA KOHJI (JP)
SAKAI YUSUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/066084
Publication Date:
March 19, 2009
Filing Date:
September 05, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KITAKYUSHU FOUNDATION (JP)
NAKAZAWA KOHJI (JP)
SAKAI YUSUKE (JP)
International Classes:
C12M3/00; C12N5/071; C12N5/0735
Foreign References:
JP2005027598A2005-02-03
JP2006122012A2006-05-18
JP2006121991A2006-05-18
JP2007020486A2007-02-01
Other References:
See also references of EP 2189519A4
HIROSHI KUROSAWA, JOURNAL OF BIOSCIENCE AND BIOENGINEERING, vol. 103, no. 5, 2007, pages 389 - 398
CELESTE H. CAMPBELL ET AL., THE FASEB JOURNAL, vol. 16, 2002, pages 1917 - 1927
SCOTT W. ALLEN ET AL., DRUG METABOLISM AND DISPOSITION, vol. 29, no. 8, 2001, pages 1074 - 1079
Attorney, Agent or Firm:
HARUKA PATENT & TRADEMARK ATTORNEYS (28-4 Yotsuya 4-chome, Shinjuku-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 細胞を保持可能な複数の第一のウェルを含むウェル群が形成された基部と、
 前記基部の前記ウェル群の周囲に立設されて、溶液を保持可能な第二のウェルを形成する枠部と、
 を備えた
 ことを特徴とする細胞培養器具。
 前記第一のウェルの開口部の面積は、100~1×10 6 μm 2 の範囲である
 ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の細胞培養器具。
 前記基部及び前記枠部は、互いに別体に形成された基部材及び枠部材からそれぞれ構成され、
 前記枠部材は、前記ウェル群に対応する貫通穴が形成されるとともに、前記基部材に着脱可能に構成され、
 前記枠部材が前記基部材に取り付けられた状態において、前記貫通穴の内壁が前記ウェル群の周囲に立設されて前記第二のウェルが形成される
 ことを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の細胞培養器具。
 前記基部材には、複数の前記ウェル群が互いに離間して形成され、
 前記枠部材には、その各々が前記複数のウェル群のうち一つに対応する前記貫通穴が少なくとも一つ形成されている
 ことを特徴とする請求の範囲第3項に記載の細胞培養器具。
 前記枠部材には、その各々が前記複数のウェル群のうち一つに対応する前記貫通穴が複数形成され、
 前記枠部材が前記基部材に取り付けられた状態において、前記複数の貫通穴の各々の内壁が対応する一つの前記ウェル群の周囲に立設されて複数の前記第二のウェルが形成される
 ことを特徴とする請求の範囲第4項に記載の細胞培養器具。
 前記基部材と前記枠部材とには、対応する位置に互いに結合可能な第一結合部と第二結合部とがそれぞれ形成されている
 ことを特徴とする請求の範囲第3項乃至第5項のいずれかに記載の細胞培養器具。
 前記基部材には、複数の前記ウェル群が互いに離間して形成され、
 前記第一結合部は、前記複数のウェル群の各々の周囲に形成されている
 ことを特徴とする請求の範囲第6項に記載の細胞培養器具。
 前記第一結合部及び前記第二結合部は、一方が凸形状に形成され、他方が凹形状に形成されて、互いに嵌合可能となっている
 ことを特徴とする請求の範囲第6項又は第7項に記載の細胞培養器具。
 前記基部材と、前記基部材に取り付けられた前記枠部材と、を一体的に保持し、前記基部材及び前記枠部材のそれぞれの外周の少なくとも一部に当接して前記基部材及び前記枠部材の相対的な位置を固定する当接部を有する保持部材をさらに備えた
 ことを特徴とする請求の範囲第3項乃至第8項のいずれかに記載の細胞培養器具。
 細胞を保持可能な複数の第一のウェルを含むウェル群が形成された基部材に着脱可能に構成され、
 前記ウェル群に対応する貫通穴が形成され、
 前記基部材に取り付けられることによって、前記貫通穴の内壁が前記ウェル群の周囲に立設されて、溶液を保持可能な第二のウェルを形成する
 ことを特徴とする細胞培養器具用枠部材。
 請求の範囲第1項乃至第9項のいずれかに記載の細胞培養器具を用いる
 ことを特徴とする細胞培養方法。
 請求の範囲第3項乃至第9項のいずれかに記載の細胞培養器具を用い、
 前記枠部材を前記基部材に取り付けた状態で、前記細胞培養器具のうち前記第二のウェルに細胞を含む溶液を注入することによって、前記第二のウェルに対応する一つの前記ウェル群に前記細胞を播種する工程と、
 前記基部材から前記枠部材を取り外して、前記ウェル群で前記細胞を培養する工程と、
 を含む
 ことを特徴とする請求の範囲第11項に記載の細胞培養方法。
 請求の範囲第3項乃至第9項のいずれかに記載の細胞培養器具を用い、
 前記ウェル群で細胞を培養する工程と、
 前記基部材に前記枠部材を取り付けた状態で、前記細胞培養器具のうち前記第二のウェルに所定の溶液を注入することによって、前記第二のウェルに対応する一つの前記ウェル群の細胞に前記所定の溶液を接触させる工程と、
 を含む
 ことを特徴とする請求の範囲第11項又は第12項に記載の細胞培養方法。
 請求の範囲第5項に記載の細胞培養器具を用い、
 前記複数のウェル群で細胞を培養する工程と、
 前記基部材に前記枠部材を取り付けた状態で、前記細胞培養器具のうち前記複数の第二のウェルに互いに異なる溶液を注入することによって、前記複数の第二のウェルに対応する前記複数のウェル群の細胞に、互いに異なる前記溶液を接触させる工程と、
 を含む
 ことを特徴とする請求の範囲第11項乃至第13項のいずれか細胞培養方法。
Description:
細胞培養器具及びこれを用いた 胞培養方法

 本発明は、細胞培養器具及びこれを用い 細胞培養方法に関し、特に、細胞を保持可 な複数のウェルが形成された細胞培養器具 びこれを用いた細胞培養方法に関する。

 従来、細胞を保持可能な多数のウェルが形 された汎用的な細胞培養器具としては、例 ば、直径3mm程度のウェルが96個形成された96 ウェルプレートがあった(例えば、非特許文 1、非特許文献2、非特許文献3)。また、より さなウェルが384個形成された384ウェルプレ トや、さらに小さなウェルが1536個形成され た1536ウェルプレートもあった。
Hiroshi Kurosawa, Journal of Bioscience and Bioe ngineering, Vol.103,No.5, 389-398,2007 Celeste H. Campbell et al., The FASEBJournal Vo l. 16 1917-1927,2002. Scott W. Allen et al., DRUG METABOLISM AND DIS POSITION Vol.29,No.8,1074-1079, 2001.

 しかしながら、上記ウェルプレートはい れも、ウェルごとに操作を行うことが前提 あった。すなわち、96ウェルプレートにつ ては、操作者は、ピペット等の器具を用い 手作業で、ウェルごとに細胞の播種や培養 の交換等の操作を行っていた。また、384ウ ルプレートや1536ウェルプレートについては 専用のロボットを使用して、ウェルごとに 液の注入や回収等の操作を行う必要があっ 。

 一方、例えば、細胞を保持可能な多数の 小なウェルを基板の表面に形成し、当該ウ ル内で細胞を培養する場合には、当該基板 全体を培養液中に浸漬し、当該多数のウェ について、まとめて一度に細胞の播種や培 液の交換等の細胞培養操作を行うことも考 られる。しかしながら、この場合、例えば 複数の条件で培養するためには、複数の基 を使用する必要があり、さらに、各基板の 体を浸漬するために十分な量の培養液を使 する必要がある。このため、例えば、稀少 細胞や試薬を使用する場合には、可能な培 条件の数が制限されてしまう。

 本発明は、上記課題に鑑みて為されたも であり、細胞を保持可能な複数のウェルを えながら操作性に優れた細胞培養器具及び れを用いた細胞培養方法を提供することを の目的の一つとする。

 上記課題を解決するための本発明の一実 形態に係る細胞培養器具は、細胞を保持可 な複数の第一のウェルを含むウェル群が形 された基部と、前記基部の前記ウェル群の 囲に立設されて、溶液を保持可能な第二の ェルを形成する枠部と、を備えたことを特 とする。本発明によれば、細胞を保持可能 複数のウェルを備えながら操作性に優れた 胞培養器具を提供することができる。

 また、前記第一のウェルの開口部の面積は 100~1×10 6 μm 2 の範囲であることとしてもよい。こうすれば 、多数の微小なウェルを備えながら操作性に 優れた細胞培養器具を提供することができる 。

 また、前記基部及び前記枠部は、互いに 体に形成された基部材及び枠部材からそれ れ構成され、前記枠部材は、前記ウェル群 対応する貫通穴が形成されるとともに、前 基部材に着脱可能に構成され、前記枠部材 前記基部材に取り付けられた状態において 前記貫通穴の内壁が前記ウェル群の周囲に 設されて前記第二のウェルが形成されるこ としてもよい。こうすれば、細胞を培養す 上での操作性をさらに向上させることがで る。

 また、この場合、前記基部材には、複数 前記ウェル群が互いに離間して形成され、 記枠部材には、その各々が前記複数のウェ 群のうち一つに対応する前記貫通穴が少な とも一つ形成されていることとしてもよい さらに、前記枠部材には、その各々が前記 数のウェル群のうち一つに対応する前記貫 穴が複数形成され、前記枠部材が前記基部 に取り付けられた状態において、前記複数 貫通穴の各々の内壁が対応する一つの前記 ェル群の周囲に立設されて複数の前記第二 ウェルが形成されることとしてもよい。こ すれば、複数のウェル群の全部又は一部に いて独立した操作を行うことができる。

 また、前記基部材と前記枠部材とには、 応する位置に互いに結合可能な第一結合部 第二結合部とがそれぞれ形成されているこ としてもよい。こうすれば、基部材への枠 材の取り付けを簡便且つ確実に行うことが きる。また、この場合、前記基部材には、 数の前記ウェル群が互いに離間して形成さ 、前記第一結合部は、前記複数のウェル群 各々の周囲に形成されていることとしても い。こうすれば、基部材への枠部材の取り けを簡便且つより確実に行うことができる また、複数のウェル群の全部又は一部につ て独立した操作を行うことができる。また 前記第一結合部及び前記第二結合部は、一 が凸形状に形成され、他方が凹形状に形成 れて、互いに嵌合可能となっていることと てもよい。こうすれば、基部材と枠部材と 位置決めを簡便且つ確実に行うことができ 。また、前記基部材と、前記基部材に取り けられた前記枠部材と、を一体的に保持し 前記基部材及び前記枠部材のそれぞれの外 の少なくとも一部に当接して前記基部材及 前記枠部材の相対的な位置を固定する当接 を有する保持部材をさらに備えたこととし もよい。こうすれば、基部材と枠部材との 置決めを簡便且つ確実に行うことができる

 上記課題を解決するための本発明の一実 形態に係る細胞培養器具用枠部材は、細胞 保持可能な複数の第一のウェルを含むウェ 群が形成された基部材に着脱可能に構成さ 、前記ウェル群に対応する貫通穴が形成さ 、前記基部材に取り付けられることによっ 、前記貫通穴の内壁が前記ウェル群の周囲 立設されて、溶液を保持可能な第二のウェ を形成することを特徴とする。本発明によ ば、細胞を保持可能な複数のウェルを備え がら操作性に優れた細胞培養器具を構成す ための枠部材を提供することができる。

 上記課題を解決するための本発明の一実 形態に係る細胞培養方法は、上述したいず かの細胞培養器具を用いることを特徴とす 。本発明によれば、細胞を保持可能な複数 ウェルを備えながら操作性に優れた細胞培 器具を提供することができる。

 また、上述の細胞培養方法は、基部材と 当該基部材に着脱可能な枠部材と、を備え 上述の細胞培養器具を用い、前記枠部材を 記基部材に取り付けた状態で、前記細胞培 器具のうち前記第二のウェルに細胞を含む 液を注入することによって、前記第二のウ ルに対応する一つの前記ウェル群に前記細 を播種する工程と、前記基部材から前記枠 材を取り外して、前記ウェル群で前記細胞 培養する工程と、を含むこととしてもよい こうすれば、ウェル群への細胞の播種を効 よく確実に行うことができる。

 また、上述の細胞培養方法は、基部材と 当該基部材に着脱可能な枠部材と、を備え 上述の細胞培養器具を用い、前記ウェル群 細胞を培養する工程と、前記基部材に前記 部材を取り付けた状態で、前記細胞培養器 のうち前記第二のウェルに所定の溶液を注 することによって、前記第二のウェルに対 する一つの前記ウェル群の細胞に前記所定 溶液を接触させる工程と、を含むこととし もよい。こうすれば、ウェル群内の細胞に する処理を効率よく確実に行うことができ 。

 また、上述の細胞培養方法は、前記基部 に複数の前記ウェル群が互いに離間して形 され、前記枠部材には、その各々が前記複 のウェル群のうち一つに対応する前記貫通 が複数形成されている上述の細胞培養器具 用い、前記複数のウェル群で細胞を培養す 工程と、前記基部材に前記枠部材を取り付 た状態で、前記細胞培養器具のうち前記複 の第二のウェルに互いに異なる溶液を注入 ることによって、前記複数の第二のウェル 対応する前記複数のウェル群の細胞に、互 に異なる前記溶液を接触させる工程と、を むこととしてもよい。こうすれば、複数の ェル群の各々で培養されている細胞に対し 、互いに異なる溶液による処理を効率よく 実に行うことができる。

本発明の一実施形態に係る細胞培養器 の一例について分離状態を示す斜視図であ 。 図1に示すII-II線を通る面で切断した分 状態の器具1の断面図である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 の一例について装着状態を示す斜視図であ 。 図3に示すIV-IV線で切断した装着状態の 具1の断面図である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 の一例について他の側面を説明するための 面図である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 の他の例について分離状態を示す斜視図で る。 図6に示すVII-VII線を通る面で切断した 離状態の器具1の断面図である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 の他の例について装着状態を示す斜視図で る。 図8に示すIX-IX線で切断した装着状態の 具1の断面図である。 本発明の一実施形態に係る結合部を有 する細胞培養器具の一例について分離状態を 示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る結合部を有 する細胞培養器具の他の一例について分離状 態を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る結合部を有 する細胞培養器具の他の一例について装着状 態を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る結合部を有 する細胞培養器具のさらに他の一例について 分離状態を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る結合部を有 する細胞培養器具のさらに他の一例について 分離状態を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る保持部材を 有する細胞培養器具の一例について分離状態 を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る保持部材を 有する細胞培養器具の一例について装着状態 を示す斜視図である。 図16に示すXVII-XVII線で切断した装着状 の細胞培養器具の断面図である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養方 法に含まれる主な工程を示すフロー図である 。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具の培養状態の一例を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具の培養状態の他の一例を示す斜視図である 。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具の他の例についての斜視図である。 図21に示すXXII-XXII線で切断した器具1の 断面図である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具で形成された細胞組織体の一例を示す顕微 鏡写真である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具で形成された細胞組織体の他の例を示す顕 微鏡写真である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具で形成された胚様体の一例を示す顕微鏡写 真である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具で形成されたニューロスフェアの一例を示 す顕微鏡写真である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具で形成された胚様体の粒径分布の一例を示 す説明図である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具で形成されたニューロスフェアの粒径分布 の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具で形成された肝細胞スフェロイドの一例を 示す顕微鏡写真である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具で形成された胚様体の他の例を示す顕微鏡 写真である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具で形成された肝細胞スフェロイドの粒径分 布の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具で形成された胚様体の粒径分布の他の例を 示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具の分離状態の外観の一例を示す写真である 。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具の装着状態の外観の一例を示す写真である 。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具の装着状態の外観の他の例を示す写真であ る。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具で形成された細胞組織体のさらに他の例を 示す顕微鏡写真である。 本発明の一実施形態に係る細胞培養器 具で形成された細胞組織体の直径について評 価した結果の一例を示す説明図である。

 以下に、本発明の一実施形態に係る細胞 養器具及びこれを用いた細胞培養方法につ て図面を参照しながら説明する。まず、本 施形態に係る細胞培養器具(以下、「器具1 という)について説明する。

 図1~図4は、器具1の一例についての説明図 である。図1~図4に示すように、器具1は、基 材2と、当該基部材2とは別体に形成され当該 基部材2に着脱可能な枠部材3と、を備えてい 。図1は、基部材2から枠部材3が取り外され 状態(以下、「分離状態」という)の器具1の 視図である。図2は、図1に示すII-II線を通る 面で切断した分離状態の器具1の断面図であ 。図3は、基部材2に枠部材3が取り付けられ 状態(以下、「装着状態」という)の器具1の 視図である。図4は、図3に示すIV-IV線を通る で切断した装着状態の器具1の断面図である 。

 図1~図4に示すように、基部材2には、一つ のウェル群(以下、「マイクロウェル群20」と いう)が形成されている。すなわち、本実施 態において、基部材2は、厚さが一定の平板 状に形成された第一基板部10を有している そして、第一基板部10の上方側の平坦な表面 (以下、「上面11」という)の一部にマイクロ ェル群20が形成されている。

 マイクロウェル群20は、細胞を保持可能 複数の第一のウェル(以下、「マイクロウェ 21」という)を含んで構成されている。各マ クロウェル21は、基部材2の上面11に開口す 有底の穴として形成されている。すなわち 各マイクロウェル21は、円形の平坦な底面22 、当該底面22の周囲に立設する所定高さの 筒内壁として形成された内壁23と、を有して いる。複数のマイクロウェル21は、第一基板 10の上面11の所定範囲内に、所定の間隔で規 則的に配置されている。

 基部材2は、目的に応じて選択される任意 の材料を用いて形成することができる。すな わち、基部材2を構成する材料としては、例 ば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプ ピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、 リアセタール、ポリエステル(ポリエチレン レフタレート等)、ポリウレタン、ポリスル ホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレー ト(ポリメチルメタクリレート(PMMA)等)、ポリ ニル等の合成樹脂、PDMS(Poly-Dimethylsiloxane)等 シリコン系樹脂、EPDM(Ethylene Propylene Diene M onomer)等の合成ゴム、天然ゴム、ガラス、セ ミック、ステンレス鋼等の金属材料、から る群より選択される1つの材料を単独で用い 又は2以上の材料を組み合わせて用いること ができる。

 また、基部材2を構成する材料、特に、マ イクロウェル群20が形成されている部分を構 する材料としては、例えば、当該マイクロ ェル群20内で培養された細胞を顕微鏡等の 学的な手段により観察する場合の利便性の から、上述した材料のうち、透光性の材料 好ましく用いることができる。すなわち、 実施形態において、第一基板部10は、例えば 、透光性の合成樹脂やガラスを用いて形成す ることができる。

 具体的に、例えば、第一基板部10を透光 の合成樹脂から成形し、当該第一基板部10の 上面11の一部に、当該第一基板部10の厚さよ 小さい所定深さの複数の有底孔を複数のマ クロウェル21として形成することができる。 また、例えば、透光性の合成樹脂から成形さ れた第一の平板の一部に複数の貫通孔を形成 し、当該第一の平板の当該貫通孔が開口する 表面の一つに、ガラスから成形された第二の 平板を接着することにより、当該第一の平板 と当該第二の平板とから構成される第一基板 部10を形成することができる。この場合、第 の平板の各貫通孔の内壁が各マイクロウェ 21の内壁23となり、各貫通孔を塞ぐ第二の平 板の表面の一部が各マイクロウェル21の底面2 2となる。なお、この場合、第一の平板及び 二の平板としては、同一の材料から成形さ たものを用いることもできる。

 マイクロウェル21の形成には、目的に応 て選択される任意の加工方法を用いること できる。すなわち、例えば、マシニングセ タ等を用いた穿孔加工、レーザー等を用い 光微細加工、エッチング加工、エンボス加 等により、予め成形された第一基板部10の一 部にマイクロウェル21を形成することができ 。また、例えば、射出成形、プレス成形、 テレオリソグラフィー等により、第一基板 10の成形と同時に、当該第一基板部10の一部 にマイクロウェル21を形成することができる

 マイクロウェル21は、目的に応じた任意 サイズで形成することができる。マイクロ ェル21を比較的小さな所定範囲のサイズで形 成することにより、例えば、数cm角の基部材2 に微小なマイクロウェル21を多数形成するこ ができる。この場合、数の限られた希少な 胞を多数のマイクロウェル21で培養するこ ができる。また、適切なサイズの細胞組織 (細胞が三次元的に集合し互いに結合するこ で形成される細胞塊)を各マイクロウェル21 形成することが可能となる。

 すなわち、各マイクロウェル21のうち、基 材2の表面(本実施形態においては、第一基板 部10の上面11)に開口する部分(以下、「開口部 24」という)の面積は、例えば、100~1×10 6 μm 2 の範囲とすることができ、好ましくは7×10 3 ~5×10 5 μm 2 の範囲とすることができる。具体的に、例え ば、図1~図4に示すように、マイクロウェル21 開口部24が円形である場合には、その直径 10~1000μmの範囲とすることができ、好ましく 100~800μmの範囲とすることができる。

 また、各マイクロウェル21の底面22の面積は 、例えば、100~1×10 6 μm 2 の範囲とすることができ、好ましくは7×10 3 ~5×10 5 μm 2 の範囲とすることができる。具体的に、例え ば、図1~図4に示すように、マイクロウェル21 底面22が円形である場合には、その直径は10 ~1000μmの範囲とすることができ、好ましくは1 00~800μmの範囲とすることができる。

 開口部24又は底面22の面積が上記範囲内で ある場合には、1つの基部材2に多数のマイク ウェル21を形成することができる。このた 、稀少な細胞であっても互いに離隔された 数のマイクロウェル21の各々で培養すること ができる。また、この場合、多数のマイクロ ウェル21の各々で、所定範囲の均一なサイズ 細胞組織体(例えば、球状のスフェロイド) 1つずつ形成することができる。すなわち、 胞組織体が所定のサイズより大きくなると 当該細胞組織体の内部に含まれる細胞に対 て、周囲の培養液から酸素や栄養が十分に 給されなくなる。この点、各マイクロウェ の開口部24及び底面22の面積が上記範囲の上 限値又はそれより小さい場合には、内部の細 胞を良好な状態に維持できる適切なサイズの 細胞組織体を大量且つ確実に形成することが できる。これに対し、開口部24又は底面22の 積が上記範囲の上限値より大きい場合には 各マイクロウェル21で形成される細胞組織体 のサイズが大きくなりすぎることがある。ま た、この場合、1つのマイクロウェル21内に複 数個の細胞組織体が形成されてしまうことが ある。一方、開口部24又は底面22の面積が上 範囲の下限値より小さい場合には、各マイ ロウェル21内に細胞を確実に保持させること が容易でない。また、この場合、増殖した細 胞によりマイクロウェル21が塞がれることが る。また、隣接するマイクロウェル21間を ぐように細胞が増殖してしまうこともある

 各マイクロウェル21の深さ(本実施形態に いては、図2及び図4に示す内壁23の高さ)は 例えば、2.5~2000μmの範囲とすることが好まし い。マイクロウェル21の深さが上記範囲の上 値より大きい場合には、当該マイクロウェ 21の底面22に保持された細胞や細胞組織体に 対して、当該マイクロウェル21外の培養液か 酸素や栄養素を十分に供給できないことが る。一方、マイクロウェル21の深さが上記 囲の下限値より小さい場合には、当該マイ ロウェル21内に保持された細胞又は細胞組織 体が、培養の操作中に当該マイクロウェル21 に脱離してしまうことがある。

 また、各マイクロウェル21の開口部24又は 底面22の代表長さ(開口部24及び底面22が円形 は多角形に形成されている場合には、それ れ当該円の直径又は当該多角形の対角線長 )に対する、当該マイクロウェル21の深さの 率(以下、「アスペクト比」という)は、0.5~2. 0の範囲とすることが好ましい。具体的に、 えば、開口部24及び底面22が直径5μmの円形で ある場合には、マイクロウェル21の深さを2.5 m~10μmとすることが好ましい。また、例えば 開口部24及び底面22が直径1000μmの円形であ 場合には、マイクロウェル21の深さを500μm~20 00μmとすることが好ましい。アスペクト比が 記範囲の上限値より大きい場合には、各マ クロウェル21の底面22に保持された細胞又は 形成された細胞組織体に対して、当該マイク ロウェル21外の培養液から酸素や栄養素を十 に供給できないことがある。一方、アスペ ト比が上記範囲の下限値より小さい場合に 、マイクロウェル21内に保持された細胞又 細胞組織体が、培養の操作中に当該マイク ウェル21外に脱離してしまうことがある。

 なお、各マイクロウェル21の開口部24の面 積、底面22の面積、深さがそれぞれの上記範 の上限値又はそれより小さい場合には、各 イクロウェル21に保持できる溶液が微量と る。このため、例えば、基部材2の全体を気 中に曝した状態で、各マイクロウェル21に して溶液の注入や回収等の操作を行うと、 作中に当該各マイクロウェル21内の溶液が蒸 発して、当該溶液の組成や当該溶液中の細胞 に不都合が生じる場合がある。したがって、 この場合、基部材2のうち、少なくともマイ ロウェル群20が形成されている表面部分(本 施形態においては、第一基板部10の上面11の ちマイクロウェル群20が形成されている部 )の全体を溶液中に浸漬した状態で操作を行 ことが好ましい。

 マイクロウェル21の底面22の全体又は一部 は、基板部10を構成する材料の選択や、当該 面22に対する表面修飾処理によって、細胞 着性又は細胞非接着性とすることができる また、マイクロウェル21の底面22で細胞を培 する場合には、内壁23は、細胞非接着性と ることが好ましい。ここで、細胞接着性の 面とは、例えば、培養に用いる溶液中にお て、細胞が当該表面上に沈降した場合に、 該細胞が、その形状を球形から変化させて 比較的扁平な形状で接着することができる 面である。一方、細胞非接着性の表面とは 例えば、培養に用いる溶液中において、細 が当該表面上に沈降した場合に、当該細胞 、その形状を球状からほとんど変化させず 極めて弱く接着する表面である。この場合 細胞非接着性表面上の細胞は、当該表面に く接着できず球形のまま溶液中で浮遊状態 維持し、又は培養液の流れ等によって当該 面から容易に脱離する。

 マイクロウェル21の底面22及び内壁23は、 えば、第一基板部10を構成する材料の表面 のものとすることができ、又は当該第一基 部10を構成する材料表面に細胞接着性物質又 は細胞非接着性物質が物理的又は化学的に固 定された表面として形成することができる。

 細胞接着性物質としては、用いる細胞の 胞膜に存在するたんぱく質等の細胞表面分 (例えば、インテグリンや糖鎖受容体等)の ち特定のものに対して結合し得る物質であ ば特に限られず用いることができる。すな ち、例えば、生体から取得されたタンパク (コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン )や、細胞接着性を示す特定のアミノ酸配列 (アルギニン・グリシン・アスパラギン酸(い ゆるRGD)配列等)や、特定の糖鎖配列(ガラク ース側鎖等)を有する合成された細胞接着性 物質を、細胞の種類に応じて適宜選択して用 いることができる。

 細胞非接着性物質としては、用いる細胞 細胞膜に存在するたんぱく質や糖鎖等の細 表面分子に対して結合しない物質であれば に限られず用いることができる。すなわち 例えば、生体から取得されたタンパク質(ア ルブミン等)や、溶液中で極めて高い親水性 示す高分子(ポリエチレングリコール及びそ 誘導体等)や、MPC(2-メタクリロイルオキシエ チルホスホリルコリン)、poly―HEMA(ポリヒド キシエチルメタクリレート)、SPC(セグメント 化ポリウレタン)等の化合物を、細胞の種類 応じて適宜選択して用いることができる。

 これら細胞接着性物質又は細胞非接着性 質は、例えば、これらを含む水溶液をマイ ロウェル21の底面22及び内壁23上で乾燥させ ことにより、又は当該水溶液中において、 該物質が有する官能基と当該底面22及び内 23に結合している官能基との間で化学反応( えば、カルボキシル基やアミノ基等の間の 合反応等)を起こさせて共有結合を形成させ ことにより、又は当該水溶液中において、 該物質が有するチオール基と当該底面22及 内壁23に予め形成された金属(プラチナ、金 )薄膜とを結合させることにより、当該底面2 2及び内壁23上に固定化することができる。

 マイクロウェル21の底面22の全体を細胞非 接着性とした場合には、当該マイクロウェル 21内で、当該底面22に接着していない細胞組 体を形成することができる。また、例えば マイクロウェル21の底面22の中央部分に細胞 着性の第一領域を形成し、当該第一領域を む周辺部分を細胞非接着性の第二領域とす ことにより、当該マイクロウェル21内で、 該底面22のうち第一領域に接着した細胞組織 体を形成することができる。このようなマイ クロウェル21内における細胞組織体の形成は マイクロウェル21の開口部24又は底面22の面 が上述した範囲内である場合に、特に簡便 つ確実に達成することができる。なお、こ ように各マイクロウェル21内で細胞組織体 形成する場合には、内壁23を細胞非接着性と することが好ましい。また、当然ながら、マ イクロウェル21の底面22の全体を細胞接着性 することにより、当該底面22の全体に細胞を 二次元的に接着させて培養することができる 。

 枠部材3には、図1~図4に示すように、基部 材2に形成された一つのマイクロウェル群20に 対応する貫通穴として一つの窓部40が形成さ ている。すなわち、本実施形態において、 部材3は、厚さが一定の平板形状に形成され た第二基板部30を有しており、当該第二基板 30を貫通する矩形の穴が窓部40として形成さ れている。この窓部40は、第二基板部30のう 、基部材2のマイクロウェル群20に対応する 置に、当該マイクロウェル群20の全体を収容 可能な開口面積で形成されている。

 また、枠部材3は、基部材2に着脱可能に 成されている。すなわち、この枠部材3は、 部材2のマイクロウェル群20が窓部40内に配 されるように、当該基部材2に取り付け可能 構成され、且つ、取り付け後に再び当該基 材2から取り外し可能に構成されている。さ らに、この枠部材3は、基部材2への取り付け び基部材2からの取り外しを複数回、繰り返 し行うことができるように構成されている。

 そして、図3及び図4に示すように、枠部 3が基部材2に取り付けられた装着状態の器具 1において、当該枠部材3は、当該基部材2のマ イクロウェル群20の周囲に立設される。より 体的には、装着状態において、窓部40の内 41は、対応する一つのマイクロウェル群20の 囲に立設される。この結果、器具1において は、窓部40に対応する、溶液を保持可能な第 のウェル(以下、「マクロウェル50」という) が形成される。

 すなわち、マクロウェル50は、一つのマ クロウェル群20が形成された底面51と、窓部4 0の内壁41と、を有する有底の穴として形成さ れる。このマクロウェル50の底面51は、基材 2のうち、一つのマイクロウェル群20が形成 れている表面部分(本実施形態においては、 一基板部10の上面11のうち、マイクロウェル 群20が形成されている部分)である。そして、 例えば、装着状態の器具1を気相中に載置し 状態でマクロウェル50内に溶液を注入した場 合には、当該マクロウェル50は、当該溶液を 該マクロウェル50外に漏洩させることなく 底面51と内壁41とに囲まれたその内部に保持 ることができる。

 マクロウェル50の底面51の面積は、例えば、 1~2500mm 2 の範囲とすることができ、好ましくは10~1000mm 2 の範囲とすることができる。また、マクロウ ェル50の深さ(すなわち、底面51を囲む窓部40 内壁41の高さ)は、例えば、50μm以上とするこ とができ、好ましくは500μm以上とすることが でき、より好ましくは1000μm以上とすること できる。底面51の面積及びマクロウェル50の さがそれぞれ上記範囲内である場合には、 クロウェル50内に溶液を安定して保持する とができる。

 枠部材3は、目的に応じて選択される任意 の材料を用いて形成することができる。すな わち、枠部材3を構成する材料としては、例 ば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプ ピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、 リアセタール、ポリエステル(ポリエチレン レフタレート等)、ポリウレタン、ポリスル ホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレー ト(PMMA等)、ポリビニル等の合成樹脂、PDMS等 シリコン系樹脂、EPDM等の合成ゴム、天然ゴ 、ガラス、セラミック、ステンレス鋼等の 属材料、からなる群より選択される1つの材 料を単独で用い、又は2以上の材料を組み合 せて用いることができる。

 また、枠部材3のうち、少なくとも窓部40 周囲の表面部分を、基部材2のうち、マイク ロウェル群20の周囲の表面部分と密着可能な 料で形成した場合には、当該枠部材3を当該 基部材2に取り付けるための特別な部分を器 1に形成することなく、当該枠部材3を当該基 部材2に取り付け可能に構成することができ 。また、この場合、さらに、器具1の装着状 において溶液を保持可能なマクロウェル50 簡単且つ確実に形成することもできる。こ ような密着性の高い材料は、基部材2を構成 る材料との組み合わせにより適宜選択する とができる。すなわち、例えば、上述の枠 材3の形成に用いられる材料のうち、PDMS等 シリコン系樹脂、合成ゴム、天然ゴム等の 縮性のある樹脂(エラストマー樹脂)を好まし く用いることができる。

 具体的に、例えば、第一基板部10を透光 の合成樹脂により形成する一方で、第二基 部30の全体、又は第二基板部30の下方側の平 な表面(以下、「下面31」という)のうち窓部 40を囲む部分をシリコン系樹脂で形成するこ ができる。この場合、枠部材3を基部材2に り付ける際に、窓部40内にマイクロウェル群 20が収容されるよう、当該枠部材3と基部材2 を位置合わせするとともに、当該枠部材3の 面31と当該基部材2の上面11とを圧接するこ により、当該窓部40の内壁41を、当該マイク ウェル群20の周囲の上面11に密着して立設さ せることができる。

 窓部40は、目的に応じて選択される任意 加工方法を用いて形成することができる。 なわち、例えば、マシニングセンタ等を用 た穿孔加工、レーザー等を用いた光微細加 、エッチング加工、エンボス加工等により 予め成形された第二基板部30の一部に窓部40 形成することができる。また、例えば、射 成形、プレス成形、ステレオリソグラフィ 等により、第二基板部30の成形と同時に、 該第二基板部30の一部に窓部40を形成するこ ができる。

 図5には、器具1の他の側面を説明するた 、図4に示したものと同一の器具1の断面を示 す。図5に示すように、マイクロウェル群20は 、その辺縁を構成する、枠部材3に最も近い 置に形成されたマイクロウェル(以下、「辺 ウェル21i」という)と、その中央部分を構成 する、当該枠部材3から比較的遠い位置に形 されたマイクロウェル(以下、「中央ウェル2 1ii」という)と、を含んでいる。

 上述のように、マイクロウェル群20にお て、互いに結合を形成可能な細胞を培養す ことにより、これら辺縁ウェル21i及び中央 ェル21iiの各々に、当該細胞が三次元的に集 した細胞組織体を1つずつ形成することがで きる。

 この場合、辺縁ウェル21iと中央ウェル21ii とが同一の形状及びサイズで形成されている にもかかわらず、当該辺縁ウェル21iで形成さ れた細胞組織体(以下、「辺縁組織体」とい )のサイズと、当該中央ウェル21iiで形成され た細胞組織体(以下、「中央組織体」という) サイズと、が異なってしまうことがある。 なわち、例えば、辺縁組織体のサイズは、 央組織体に比べて大きくなる傾向がある。

 この点、本発明の発明者は、鋭意検討を ねた結果、辺縁ウェル21iと枠部3との距離D( 5に示す例においては、辺縁ウェル21iの枠部 材3側の端部と、当該枠部材3の内壁41と、の 離D)を所定の微小な閾値以下とすることによ り、辺縁組織体のサイズを中央組織体のサイ ズに限りなく近づけることができることを独 自に見出した。

 すなわち、この距離Dは、5.0mm以下とする とが好ましく、2.0mm以下とすることがより ましく、1.0mm以下とすることが特に好ましい 。距離Dを上記の範囲とすることにより、中 組織体のサイズに対する辺縁組織体のサイ の比を、例えば、1.25以下とすることができ さらに1.20以下とすることもできる。

 距離Dを低減すると、辺縁ウェル21iと枠部 材3とが近接するため、当該辺縁ウェル21iに ける細胞培養を行う上での操作や観察の難 度が高くなる。しかしながら、枠部材3は、 部材2に対して着脱可能となっている。この ため、例えば、必要に応じて、枠部材3を基 材2から取り外し、この分離状態で操作や観 を行うことができる。

 したがって、着脱可能な基部材2と枠部材 3とを備えた器具1を用い、当該器具1における 上記距離Dを微小な上記範囲内に低減するこ により、辺縁ウェル21i及び中央ウェル21iiの 々において、極めて均一なサイズの細胞組 体を1つずつ形成し、培養することが可能と なる。

 また、基部材2には複数のマイクロウェル 群20を互いに離間して形成することもできる この場合、枠部材3には、その各々が複数の マイクロウェル群20のうち一つに対応する窓 40を少なくとも一つの形成することができ 。図6~図9は、この場合の器具1の一例につい の説明図である。図6は、分離状態の器具1 斜視図である。図7は、図6に示すVII-VII線を る面で切断した分離状態の器具1の断面図で る。図8は、装着状態の器具1の斜視図であ 。図9は、図8に示すIX-IX線を通る面で切断し 装着状態の器具1の断面図である。なお、以 下の例に係る器具1については、上述の図1~図 4に示した例と同様の部分には同様の符号を し、重複する点については詳細な説明を省 する。

 図6~図9に示すように、基部材2には、4つ マイクロウェル群20a~20dが互いに離間して形 されている。各マイクロウェル群20a~20dは、 細胞を保持可能な複数のマイクロウェル21を んで構成されている。

 一方、枠部材3には、その各々が基部材2 4つのマイクロウェル群20a~20dのうち一つに対 応する4つの窓部40a~40dが形成されている。す わち、4つの窓部40a~40dの各々は、4つのマイ ロウェル群20a~20dのうち互いに異なる一つに 対応する位置に形成されている。この結果、 枠部材3は、4つの窓部40a~40dの間を仕切る十字 状に形成された仕切部32を有している。

 そして、図8及び図9に示すように、装着 態の器具1においては、各窓部40a~40d(図6及び 7参照)の内壁41a~41dが、4つのマイクロウェル 群20a~20dのうち対応する一つの周囲にそれぞ 立設される。この結果、器具1には、枠部材3 の仕切部32によって仕切られた4つのマクロウ ェル50a~50dが形成される。各マクロウェル50a~5 0dの底面51a~51dには、4つのマイクロウェル群20 a~20dのうち対応する一つがそれぞれ形成され 。

 そして、枠部材3の下面31のうち少なくと 4つの窓部40a~40dの各々の周辺部分と、基部 2の上面11のうち少なくとも4つのマイクロウ ル群20の各々の周辺部分と、は互いに密着 ている。この結果、4つのマクロウェル50a~50d は、互いに独立に溶液を保持できるように形 成されている。

 また、基部材2と枠部材3とには、対応す 位置に互いに結合可能な第一結合部と第二 合部とをそれぞれ形成することができる。 10は、図6~図9に示す例に係る器具1に第一結 部及び第二結合部を形成した場合の一例に いて、その分離状態を示す斜視図である。

 図10に示す器具1においては、第一基板部1 0の上面11のうち、4つのマイクロウェル群20a~2 0dの全体を囲む外周部分の一部に、当該上面1 1に所定高さで突出する凸形状の4つの第一結 部(以下、「嵌合突起60」という)が形成され ている。一方、第二基板部30の下面31のうち 4つの窓部40a~40dの全体を囲む外周部分の一部 であって、第一基板部10の4つの嵌合突起60に 応する位置には、所定深さの凹形状の4つの 有底穴(以下、「嵌合穴61」という)が形成さ ている。

 これら嵌合突起60と嵌合穴61とは、対応す る形状で形成され、嵌合可能となっている。 そして、対応する基部材2の嵌合突起60と枠部 材3の嵌合穴61とをそれぞれ嵌合させることに より、当該基部材2に当該枠部材3を取り付け 、図8及び図9に示すような装着状態の器具1 構成することができる。この場合、基部材2 と枠部材3とを、予め定められた位置関係で 簡便且つ確実に結合させることができる。

 また、基部材2に複数のマイクロウェル群 20が互いに離間して形成されている場合には 当該基部材2の当該複数のマイクロウェル群 20の各々の周囲に、枠部材3の一部と結合可能 な結合部を形成することもできる。図11及び 12は、この場合の器具1の一例について、そ 分離状態及び装着状態をそれぞれ示す斜視 である。

 図11及び図12に示す器具1においては、第 基板部10の上面11のうち、4つのマイクロウェ ル群20a~20dの各々の外周部分に嵌合突起60が4 ずつ形成されている。一方、枠部材3には、 部材2の4つのマイクロウェル群20a~20dのうち つに対応する一つの窓部40のみが形成され いる。そして、この枠部材3の下面31のうち 部40の周囲部分には、基部材2の各マイクロ ェル群20a~20dの周囲に形成された4つの嵌合突 起60に対応する位置に、当該4つの嵌合突起60 嵌合可能な形状で4つの嵌合穴61が形成され いる。

 そして、図12に示すように、装着状態の 具1においては、4つのマイクロウェル群20a~20 dのうち、一つのマイクロウェル群20bの周囲 のみ、一つの窓部40の内壁41が立設される。 の結果、基部材2上に一つのマクロウェル50 形成される。このマクロウェル50の底面51に は一つのマイクロウェル群20bが形成される。

 なお、4つのマイクロウェル群20a~20dの各 の外周には、同一の配置で4つの嵌合突起60 それぞれ形成されているため、枠部材3は、 該4つのマイクロウェル群20a~20dのいずれに 対応して構成されている。すなわち、枠部 3を、4つのマイクロウェル群20a~20dのうち、 意の一つの周囲に取り付けることにより、 該4つのマイクロウェル群20a~20dのうちいずれ か一つが底面51に形成された一つのマクロウ ル50を形成することができる。

 また、例えば、上述の図10に示すような 4つの窓部40が形成された枠部材3において、 該4つの窓部40の各々の周囲に、図11及び図12 に示す嵌合突起60に対応する嵌合穴61を4つず 形成することもできる。そして、対応する 部材2の嵌合突起60と枠部材3の嵌合穴61とを れぞれ嵌合させることにより、当該基部材2 に当該枠部材3を取り付けて、図8及び図9に示 すような装着状態の器具1を構成することが きる。この場合、基部材2と枠部材3とを、予 め定められた位置関係で、簡便且つより確実 に結合させることができる。

 また、図11及び図12には、枠部材3に、1つ 貫通穴40が形成されている例を示したが、 部材3には、複数のマイクロウェル群20のう 一部に対応する2以上の貫通穴40を形成する ともできる。すなわち、例えば、枠部材3に 、図11及び図12に示すような4つのマイクロ ェル群20a~20dのうち、2つのマイクロウェル群 20a,20bの各々に対応する2つの貫通穴40を形成 ることもできる。この場合、装着状態の器 1においては、4つのマイクロウェル群20a~20d 一部である、2つのマイクロウェル群20a,20bの 各々の周囲にのみ窓部40の内壁41を立設させ 、2つのマクロウェル50を形成することがで る。

 図13は、第一結合部及び第二結合部を備 た器具1の他の例について、その分離状態を す斜視図である。図13に示す器具1において 、第一基板部10の上面に、4つのマイクロウ ル群20a~20dの全体を囲む所定深さの堀状に第 一結合部(以下、「堀部62」という)が形成さ ている。一方、第二基板部30の下面31には、 一基板部10の堀部62に対応して、4つの窓部40 a~40dの全体を囲む所定高さの堤防状の第二結 部(以下、「堤防部63」という)が形成されて いる。これら堀部62と堤防部63とは、対応す 形状で形成され、嵌合可能となっている。

 そして、基部材2の堀部62と枠部材3の堤防 部63とを嵌合させることにより、当該基部材2 に当該枠部材3を取り付けて、図8及び図9に示 すような装着状態の器具1を構成することが きる。この場合、基部材2と枠部材3とを、予 め定められた位置関係で、簡便且つ確実に結 合させることができる。

 また、基部材2に複数のマイクロウェル群 20を互いに離間して形成している場合には、 該基部材2の当該複数のマイクロウェル群20 各々の周囲に、枠部材3の一部と結合可能な 結合部を形成することもできる。図14は、こ 場合の器具1の一例について、その分離状態 を示す斜視図である。

 図14に示す器具1においては、第一基板部1 0の上面11のうち、4つのマイクロウェル群20a~2 0dの各々の外周を囲む堀部62が形成されてい 。一方、枠部材3は、基部材2の4つのマイク ウェル群20a~20dのうち一つに対応する一つの 部40が形成されている。そして、この枠部 3は、基部材2の4つのマイクロウェル群20a~20d うち一つの周囲に形成された堀部62の一部 嵌合可能な形状で形成されている。そして 装着状態の器具1においては、図12に示した と同様に、4つのマイクロウェル群20a~20dのう ち一つの周囲にのみ、枠部材3の一つの窓部40 の内壁41が立設されて、一つのマクロウェル5 0が形成される。

 なお、4つのマイクロウェル群20a~20dの各 の外周には、同一の配置で堀部62がそれぞれ 形成されているため、枠部材3は、当該4つの イクロウェル群20a~20dのいずれにも対応して 構成されている。すなわち、枠部材3を、4つ マイクロウェル群20a~20dのうち、任意の一つ の周囲に取り付けることにより、当該4つの イクロウェル群20a~20dのうちいずれか一つが 面51に形成された一つのマクロウェル50を形 成することができる。

 また、例えば、基部材2において、図14に すような堀部62が形成される場合には、上 の図13に示すような、4つの窓部40が形成され た枠部材3を用いることもできる。この場合 枠部材3の堤防部63(図13参照)は、図14に示す 部材2の堀部62に対応して、当該枠部材3の4つ の窓部40の各々の周囲に突出して形成された 子状とすることもできる。そして、これら 部材2の堀部62と枠部材3の堤防部63とを嵌合 せることにより、当該基部材2に当該枠部材 3を取り付けて、図8及び図9に示すような装着 状態の器具1を構成することができる。この 合、基部材2と枠部材3とを、予め定められた 位置関係で、簡便且つより確実に結合させる ことができる。

 また、器具1は、基部材2と、当該基部材2 取り付けられた枠部材3と、を一体的に保持 する保持部材をさらに備えることもできる。 この場合、保持部材は、基部材2及び枠部材3 それぞれの外周の少なくとも一部に当接し 当該基部材2及び当該枠部材3の相対的な位 を固定する当接部を有する。図15~図17は、こ の場合の一例に係る器具1ついての説明図で る。図15及び図16は、この例に係る器具1につ いて、その分離状態及び装着状態をそれぞれ 示す斜視図である。図17は、図16に示すXVII-XVI I線を通る面で切断した装着状態の器具1の断 図である。

 図15~図17に示すように、この器具1は、基 材2と、枠部材3と、保持部材4と、を備えて る。保持部材4は、厚さが一定の平板形状に 形成された第三基板部70を有している。この 三基板部70の上方側の平坦な表面には、基 材2及び枠部材3を収容するための矩形の有底 穴(以下、「収容部71」という)が形成されて る。この収容部71は、矩形の平坦な底面72と 当該底面72の周囲に立設する所定高さの内 73と、を有している。

 そして、図16及び図17に示す装着状態の器 具1において、基部材2は、収容部71の底面72上 に載置される。さらに、枠部材3は、基部材2 取り付けられた状態で収容部71に収容され 。すなわち、基部材2と枠部材3とは積層され た状態で、保持部材4の収容部71に嵌め入れら れている。このため、基部材2の外周22と、当 該基部材2に取り付けられた枠部材3の外周33 、は収容部71の内壁73に当接している。この 果、器具1においては、基部材2と枠部材3と 、予め定められた位置関係で、簡便且つ確 に保持することができる。

 また、図15~図17に示すように、この例に る枠部材3の一部には、上方に突出した凸形 の取手部30aが形成されている。このため、 作者は、例えば、ピンセットにより取手部3 0aをつまむことによって、枠部材3の基部材2 の取り付けや取り外しを簡単に行うことが きる。この取手部30aは、枠部材3の成形時に 体的に形成することができ、また、予め形 された枠部材3に新たに形成することもでき る。また、このような凸形状の取手部30は、 述の又は後述の例に係る枠部材3も含め、本 発明に係る任意の枠部材3に任意の形状で形 することができる。

 次に、本実施形態に係る細胞培養方法(以 下、「本方法」という)について説明する。 方法においては、器具1のマイクロウェル群2 0で細胞を培養する。ここで、細胞としては 由来とする動物種や臓器・組織の種類等を わず、目的に応じた任意のものを用いるこ ができる。具体的に、この細胞としては、 えば、ヒト又はヒト以外の動物(サル、ブタ イヌ、ラット、マウス等)の任意の臓器又は 組織(肝臓、膵臓、腎臓、神経、皮膚等)に由 する初代細胞(幹細胞やES細胞(Embryonic Stem c ell)を含む)、樹立されている株化細胞、又は れらに遺伝子操作等を施した細胞を用いる とができる。また、細胞としては、一種類 細胞を単独で用いることもできるし、二種 以上の細胞を任意の比率で混在させて用い こともできる。また、細胞組織体を形成す 場合には、細胞同士の間で互いに結合を形 できる細胞を好ましく用いることができる

 また、細胞の培養に用いる溶液としては 用いる細胞の生存状態や機能等を維持する とができるよう、必要な塩類や栄養成分等 適切な濃度で含む任意の水溶液を用いるこ ができる。具体的に、この溶液としては、 えば、DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium) の基礎培地に抗生物質等を添加した培養液 、いわゆる生理食塩水等を用いることがで る。

 図18は、本方法に含まれる主な工程を示 フロー図である。図18に示すように、本方法 は、器具1のマイクロウェル群20に細胞を播種 する播種工程S100と、当該マイクロウェル群20 で細胞を培養する培養工程S200と、当該ウェ 群20で培養された細胞に対して所定の処理を 施す処理工程S300と、を含む。

 播種工程S100においては、例えば、図3及 図4に示すような枠部材3を基部材2に取り付 た装着状態で、器具1のうちマクロウェル50 細胞を含む溶液を注入することによって、 該マクロウェル50に対応する一つのマイクロ ウェル群20に細胞を播種することができる。 体的に、この場合、例えば、まず、装着状 の器具1を、クリーンベンチ等の無菌的な培 養操作空間内において気相(空気)中に載置す 。そして、操作者は、ピペットを用いて、 胞を分散した培養液を、器具1のマクロウェ ル50内に注ぎ入れる。この結果、マクロウェ 50の底面51に形成された複数のマイクロウェ ル21の各々に細胞を播種することができる。 のような播種工程S100においては、播種に必 要な細胞や溶液の量を、マクロウェル50の容 に対応する量に低減することができ、且つ マイクロウェル21に細胞を確実に播種する とができる。

 また、例えば、図8及び図9に示すように 器具1に複数のマクロウェル50a~50dが形成され る場合には、当該複数のマクロウェル50a~50d 各々に、互いに異なる条件で細胞を播種す こともできる。すなわち、例えば、マクロ ェル50a~50dごとに、互いに異なる種類の細胞 播種することができ、互いに異なる密度で 胞を播種することができ、又は互いに異な 培養液を用いて細胞を播種することができ 。

 培養工程S200においては、例えば、播種工 程S100で装着状態の器具1に細胞が播種された 合には、基部材2から枠部材3を取り外して 分離状態の器具1のマイクロウェル群20で当 細胞を培養することができる。すなわち、 えば、枠部材3が取り外された基部材2のみ( 離状態の器具1)を、所定の培養容器(例えば 細胞培養に汎用されている数cm径のプラスチ ックディッシュ)内に載置し、その全体を培 液中に浸漬した状態で細胞を培養する。

 また、培養工程S200においては、基部材2 ら枠部材3を取外すことなく、装着状態の器 1で細胞の培養を行うこともできる。この場 合もまた、器具1は、所定の培養容器内に載 される。そして、その全体が培養液中に浸 された器具1のマイクロウェル群20で細胞が 養される。

 図19は、分離状態の器具1(枠部材3が取り された基部材2)の全体を培養液M中に浸漬し 培養を行う場合の一例を示す説明図である また、図20は、装着状態の器具1の全体を培 液M中に浸漬して培養を行う場合の一例を示 説明図である。

 図19及び図20に示すように、器具1を用い 細胞の培養においては、当該器具1の全体を 容可能な培養容器5を用いることができる。 この培養容器5は、器具1を収容可能な培養部5 aを有している。そして、この培養部5a内の底 面5bに器具1を載置するとともに、当該培養部 5aに培養液Mを満たす。この結果、器具1は、 養液M中に沈降した状態で培養容器5の底面5b に保持される。この培養容器5に収容された 器具1の各マイクロウェル21内で細胞を培養す ることができる。なお、この培養容器5とし は、例えば、細胞培養に汎用されているプ スチックディッシュを用いることができる

 また、装着状態の器具1においては、例え ば、顕微鏡等の光学的な手段により各マイク ロウェル21に保持されている細胞を観察する 合に、枠部材3によって光が散乱して、観察 に不都合が生じることがある。このため、培 養工程S200においては、例えば、マイクロウ ル21内の細胞を顕微鏡で観察する場合に、枠 部材3を基部材2から取外して器具1を分離状態 とすることが好ましい。そして、観察後には 、再び枠部材3を基部材2に取り付けて、細胞 培養を継続することもできる。このように 器具1においては、枠部材3が基部材2に取り け可能であり、且つ当該基部材2から取り外 し可能に構成されているため、装着状態と分 離状態とを必要に応じて任意のタイミングで 任意の回数だけ切り替えることができる。

 処理工程S300においては、例えば、細胞が 培養された装着状態の器具1のうち、マクロ ェル50に所定の溶液を注入することによって 、当該マクロウェル50に対応する一つのマイ ロウェル群20の細胞に当該所定の溶液を接 させることができる。具体的に、この場合 例えば、まず、マイクロウェル群20で細胞が 培養された装着状態の器具1を、クリーンベ チ等の無菌的な培養操作空間内において気 (空気)中に載置する。そして、操作者は、ピ ペットを用いて、マイクロウェル50内の培養 を回収して除去した後、所定の溶液を、当 マクロウェル50内に新たに注ぎ入れる。こ 結果、マクロウェル50の底面51に形成された 数のマイクロウェル21の各々に保持された 胞に、当該溶液を接触させることができる このような処理工程S300においては、処理に 要な溶液の量を、マクロウェル50の容積に 応する量に低減することができ、且つ各マ クロウェル21の細胞に対する当該溶液の接触 を確実に行うことができる。

 また、例えば、図8及び図9に示すように 器具1に複数のマクロウェル50a~50dが形成され る場合には、装着状態の器具1のうち、当該 数のマクロウェル50a~50dの各々に、互いに異 る溶液を注入することができる。この場合 複数のマクロウェル50a~50dに対応する複数の マイクロウェル群20a~20dの細胞に、互いに異 る溶液を接触させることができる。すなわ 、マクロウェル50a~50dごとに、互いに異なる 液を細胞に接触させることができる。具体 に、例えば、4つのマクロウェル50a~50dの各 に、4種類の試薬のうち互いに異なる1種類の 試薬を含む溶液をそれぞれ注入することによ り、当該マクロウェル50a~50dごとに、互いに なる種類の試薬を細胞に接触させることが きる。

 このように、複数のマイクロウェル群20 形成された基部材2と複数の窓部40が形成さ た枠部材3とを備えた器具1を用いることによ って、例えば、培養可能な細胞の数が非常に 少ない場合や、細胞に対する処理に使用する 溶液の量又は当該溶液に溶解させる試薬の量 が非常に少ない場合であっても、当該細胞の 培養操作を、多様な条件で、簡便且つ確実に 行うことができる。

 また、例えば、培養工程S200において、各 マイクロウェル21内で細胞組織体を形成した 合には、処理工程S300において、当該細胞組 織体に対して所定の処理を施すことができる 。すなわち、各マイクロウェル21の底面22の 体を細胞非接着性に形成し、当該各マイク ウェル21内で細胞組織体を形成した場合には 、複数のマイクロウェル21内において当該細 組織体は浮遊状態で保持されている。この め、処理工程S300においては、複数のマイク ロウェル21から複数の細胞組織体をまとめて 単且つ確実に回収することができる。

 さらに、この場合、図8及び図9に示すよ に、器具1の複数のマクロウェル50a~50dの各々 で細胞組織体を形成した場合には、装着状態 の器具1において、当該複数のマクロウェル50 a~50dの一部、例えば、一つのマクロウェル50a みから選択的に、細胞組織体を回収するこ もできる。

 また、例えば、各マイクロウェル21の底 22の中央部分に細胞接着性の第一領域を形成 し、当該第一領域を囲む周辺部分を細胞非接 着性の第二領域として形成した場合には、当 該マイクロウェル21内で、当該底面22のうち 一領域に接着した細胞組織体を形成するこ ができる。この場合、処理工程S300において 、各底面22に接着した状態の各細胞組織体 、所定の溶液を接触させる等、所定の処理 施すことができる。

 さらに、この場合、図8及び図9に示すよ に、器具1の複数のマクロウェル50a~50dの各々 で細胞組織体を形成した場合には、装着状態 の器具1において、当該複数のマクロウェル50 a~50dごとに、底面22に接着した細胞組織体に して互いに異なる溶液を接触させることも きる。

 図21及び図22は、器具1の他の例について 説明図である。図21は、器具1の斜視図であ 、図22は、図21に示すXXII-XXII線を通る面で切 した器具1の断面図である。

 図21及び図22に示す例に係る器具1は、上 の例における基部材2に相当する基部80a~80dと 、上述の例における枠部材3に相当する枠部81 a~81dと、を備えている。これら基部80a~80dと枠 部81a~81dとは一体的に形成され、互いに着脱 可能となっている。そして、対応する基部80 a~80dと枠部81a~81dとによって、溶液を保持可能 なマクロウェル50a~50dが形成されている。

 より具体的に、基部80a~80dは、図6~図9に示 す例におけるマクロウェル50a~50dの底部51a~51d 相当し、枠部81a~81dは、当該図6~図9に示す例 における窓部40a~40dの内壁41a~41dに相当する。 基部80a~80dには、一つずつマイクロウェル群 20a~20dが形成され、各枠部81a~81dは、当該各マ クロウェル群20a~20dの周囲に立設されている 。また、この器具1は、4つのマクロウェル50a~ 50dの間を仕切る十字状に形成された仕切部82 有している。

 そして、一体的に形成された基部80及び 部81を有する器具1においても、マクロウェ 50が形成されていることによって、上述の例 と同様に、微小なマイクロウェル21を干上が せることなく、マイクロウェル群20ごとに 望の細胞培養操作を簡便且つ確実に行うこ ができる。また、複数のマイクロウェル群20 a~20dについて、互いに異なる処理を行うこと できる。

 基部80a~80dと枠部81a~81dとが一体的な器具1 構成する材料としては、上述の基部材2や枠 部材3に用いられるものと同様の材料を用い ことができる。すなわち、例えば、ポリス レン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ カーボネート、ポリアミド、ポリアセター 、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレー 等)、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリア クリレート、ポリメタクリレート(PMMA等)、ポ リビニル等の合成樹脂、PDMS等のシリコン系 脂、EPDM等の合成ゴム、天然ゴム、ガラス、 ラミック、ステンレス鋼等の金属材料、か なる群より選択される1つの材料を単独で用 い、又は2以上の材料を組み合わせて用いる とができる。

 また、器具1を構成する材料、特に、マイ クロウェル群20が形成されている部分を構成 る材料としては、例えば、当該マイクロウ ル群20内で培養された細胞を顕微鏡等の光 的な手段により観察する場合の利便性の点 ら、上述した材料のうち、透光性の材料を ましく用いることができる。すなわち、本 施形態において、器具1は、例えば、その全 又は一部が透光性の合成樹脂やガラスを用 て形成することができる。

 また、マイクロウェル21の形成には、目 に応じて選択される任意の加工方法を用い ことができる。すなわち、例えば、マシニ グセンタ等を用いた穿孔加工、レーザー等 用いた光微細加工、エッチング加工、エン ス加工等により、予め成形された器具1の基 80a~80dの一部にマイクロウェル21を形成する とができる。この場合、例えば、ポリスチ ン等の透光性の樹脂から成形された市販の ラスチックディッシュの底面に上記のよう 加工方法を用いてマイクロウェル21を形成 ることにより、器具1を製造することもでき 。また、例えば、射出成形、プレス成形、 テレオリソグラフィー等により、基部80a~80d と枠部81a~81dとが一体的な器具1の成形と同時 、当該基部80a~80dの一部にマイクロウェル21 形成することができる。

 以上説明したように、本発明に係る器具1 は、特に、稀少な細胞と稀少な試薬を用いた 簡便且つ確実な細胞培養操作を可能とする。 したがって、器具1は、培養細胞を利用した 薬、再生医療、基礎研究等の様々な産業利 において極めて有用なツールとして期待で る。

 次に、器具1を用いた本方法の具体的な実 施例について説明する。

[実施例1]
 図1~図4に示すような器具1を用い、播種工程 S100において、装着状態の器具1に細胞を播種 た場合と、分離状態の器具1に細胞を播種し た場合と、についてマイクロウェル群20に細 を保持できる効率を比較した。すなわち、P MMA製の平板(24mm×24mm、厚さ400μm)の表面のうち 、10mm×10mmの矩形範囲内に、マシニングセン (卓上型NC微細加工機、株式会社ピーエムテ ー製)を用いた穿孔加工処理により、直径300 m、深さ200μmの円形のマイクロウェル21を1020 形成した。この複数のマイクロ21ウェルは 互いにその開口部24及び底面22の円の中心間 離が330μmとなるように規則的に配置した。 に、スパッタリング装置(E―1030、日立株式 社製)を用いたスパッタリング処理を施すこ とにより、その表面にプラチナ(Pt)の薄膜(厚 6nm)を形成した。

 このようにして、図1~図4に示すような基 材2を作製した。すなわち、この基部材2の 面11のうち10mm×10mmの矩形範囲内には、開口 24及び底面22が直径300μmの円形であり、深さ 200μmであるマイクロウェル21を1020個含む一 のマイクロウェル群20が形成された。

 さらに、細胞非接着性物質である分子量3000 0のポリエチレングリコール(PEG)鎖を有する細 胞非接着性の合成高分子(化学式:CH 3 (CH 2 CH 2 ) n SH、日油株式会社製)を5mMの濃度で含むエタノ ール溶液を、各マイクロウェル21内に注入し 窒素雰囲気下において当該細胞非接着性高 子が有するチオール基と当該各マイクロウ ル21の底面22のプラチナ表面との間に化学結 合を形成させることにより、当該底面22に当 細胞非接着性高分子を固定化した。その後 第一基板部10の全体をエタノール溶液によ て十分に洗浄して余剰の細胞非接着性高分 を除去するとともに、当該第一基板部10をエ タノールに約10分間浸漬し、さらに当該第一 板10に紫外線照射を約30分間照射することに より滅菌処理を行った。このようにして形成 された各マイクロウェル21の底面22は、その 体が細胞非接着性となった。

 一方、PDMS製の平板(20mm×20mm、厚さ2.2mm)に 第一基板部10のマイクロウェル群20を収容可 能な矩形の貫通穴(10mm×10mm)として窓部40を形 することにより、図1~図4に示すような枠部 30を作製した。すなわち、まず、直径90mmの ラスチックディッシュ内に、PDMSのプレポリ マーと硬化剤とを10:1の体積比率で混ぜ合せ PDMS溶液(Sylgard184、Daw Corning社製)を13mL流し込 み、室温で2日間放置することにより硬化さ た。次に、硬化したPDMS円板をディッシュか 取り外し、メスを使って上記形状のPDMS製枠 部材3を切り出した。この枠部材3は、その全 がPDMSで形成されたため、当該枠部材3の下 31を基部材2の上面11に押し付けることによっ て構成した装着状態の器具1においては、当 下面31と当該上面11とを容易且つ確実に密着 せることができた。その結果、図3及び図4 示すような、溶液を保持可能な一つのマク ウェル50が形成された器具1を構成すること できた。

 そして、第一の条件においては、図20に示 ように、直径35mmのプラスチックディッシュ( 培養容器5)内に装着状態の器具1を載置し、当 該器具1のうち、マクロウェル50(10mm×10mm×2.2mm )内に、培養液(10%のウシ胎児血清を添加したW illiams medium E培地)にHepG2細胞(理化学研究所 バイオリソースセンター)を4×10 5 個/mLの密度で分散させた細胞分散液を0.25mL入 れた。すなわち、1×10 5 個のHepG2細胞を一つのマクロウェル50に播種 た。播種後、2時間が経過した後に、ピペッ 操作により、マクロウェル50内のマイクロ ェル群20に保持されている細胞を回収し、当 該回収した細胞に含まれるデオキシリボ核酸 (DNA)を定量した。このDNAの定量は、DAPI(4’6-di amidino-2-phenylindole)を用いた方法により行った このDNAの定量結果から、播種に用いた細胞 総数に対する、実際にマイクロウェル21内 保持された細胞の数の割合を細胞固定化率(% )として算出した。

 一方、第二の条件においては、図19に示す うに、直径35mmのプラスチックディッシュ(培 養容器5)内に分離状態の器具1(すなわち、基 材2のみ)を載置し、当該プラスチックディッ シュ内に、上述の培養液にHepG2細胞を4×10 5 個/mLの密度で分散させた細胞分散液を2mL入れ た。すなわち、8×10 5 個のHepG2細胞をプラスチックディッシュ内に 種した。なお、このとき、基部材2の全体は 培養容器5内において培養液に浸漬された。 して、上記の第一の条件と同様に、播種か 2時間後に、マイクロウェル群20に保持され 細胞を回収して、DNAの定量を行い、細胞固 化率(%)を算出した。

 その結果、上記第二の条件で得られた細 固定化率は約15%であったのに対して、上記 一の条件で得られた細胞固定化率は約100%で あった。すなわち、基部材2に枠部材3を取り けた装着状態で細胞の播種を行うことによ て、マイクロウェル群20への細胞の保持を 便且つ確実に行うことができることが確認 れた。

[実施例2]
 上述の実施例1と同様に作製された器具1を い、播種工程S100において、装着状態の器具1 に細胞を播種した場合と、分離状態の器具1 細胞を播種した場合と、について複数のマ クロウェル21の各々に保持される細胞の数の ばらつきを比較した。

 すなわち、第一の条件においては、図20に すように、直径35mmのプラスチックディッシ 内に装着状態の器具1を載置し、当該器具1 うち、マクロウェル50(10mm×10mm×2.2mm)内に、 養液(10%のウシ胎児血清を添加したWilliams med ium E培地)にHepG2細胞を4×10 5 個/mLの密度で分散させた細胞分散液を0.25mL入 れた。播種後、2時間が経過した後に、器具1 中央付近に形成された60個のマイクロウェ 21の各々の底面22に沈降した細胞の数を位相 顕微鏡下で計数した。

 一方、第二の条件においては、図19に示す うに、直径35mmのプラスチックディッシュ内 分離状態の器具1(すなわち、基部材2のみ)を 載置し、当該プラスチックディッシュ内に、 上述の培養液にHepG2細胞を4×10 5 個/mLの密度で分散させた細胞分散液を2mL入れ た。そして、播種から2時間後に、上記の第 の条件と同様の位置に形成された60個のマイ クロウェル21の各々の底面22に沈降した細胞 数を位相差顕微鏡下で計数した。

 その結果、1つのマイクロウェル21に保持 れた細胞の数は、第一の条件では68.2±13.4( 術平均±標準偏差)個であり、第二の条件で 66.9±16.9(算術平均±標準偏差)個であった。す なわち、基部材2に枠部材3を取り付けた装着 態で細胞の播種を行うことによって、各マ クロウェル21に保持される細胞の数のばら きを低減できる傾向が確認された。

[実施例3]
 上述の実施例1と同様に作製された器具1を いて、各マイクロウェル21内で細胞組織体を 形成した。そして、培養工程S200において、 着状態の器具1に保持された当該細胞組織体 顕微鏡観察した場合と、分離状態の器具1に 保持された細胞組織体を顕微鏡観察した場合 と、について観察の明瞭さを比較した。

 すなわち、器具1の各マイクロウェル21内に HepG2細胞を播種し、10日間培養することによ り、当該各マイクロウェル21内に当該HepG2細 が三次元的に集合した球状の細胞組織体(HepG 2スフェロイド)を1つずつ形成させた。なお、 培養液としては10%のウシ胎児血清を添加した Williams medium E培地を用い、HepG2細胞は、各マ クロウェル50に2×10 5 個のHepG2細胞を播種した。そして、装着状態 は分離状態の器具1の各マイクロウェル21内 おいて、培養10日目のHepG2スフェロイドを位 相差顕微鏡下で観察した。

 図23には、装着状態の器具1において、枠 材3に近接した、マイクロウェル群20の端部 のマイクロウェル21内で形成されたHepG2スフ ェロイドT1の位相差顕微鏡写真を示す。一方 図24には、分離状態の器具1において、図23 同様にマイクロウェル群20の端部分のマイク ロウェル21内で形成されたHepG2スフェロイドT2 の位相差顕微鏡写真を示す。図23に示すよう 、装着状態の器具1においては、マイクロウ ェル群20のうち枠部材3に近接したマイクロウ ェル21内のHepG2スフェロイドT1の一部が明瞭に 観察されなかった。これに対し、図24に示す うに、分離状態の器具1においては、マイク ロウェル群20の全域にわたって各マイクロウ ル21内のHepG2スフェロイドT2は明瞭に観察す ことができた。すなわち、器具1の各マイク ロウェル21内の細胞又は細胞組織体を顕微鏡 で観察する場合には、枠部材3を基部材2か 取り外した分離状態とすることが好ましい とが確認された。

[実施例4]
 上述の実施例1と同様の方法により、各マイ クロウェル21の底面22が細胞非接着性である2 類の器具1(以下、「第一の器具1」、「第二 器具1」という)を作製した。第一の器具1に いては、上面11のうち10mm×10mmの矩形範囲内 、開口部24及び底面22が直径300μmの円形であ り、深さが200μmであり、中心間距離が440μmで 規則的に配置された572個のマイクロウェル21 含む一つのマイクロウェル群20を形成した また、第二の器具1においては、上面11のう 10mm×10mmの矩形範囲内に、開口部24及び底面22 が直径400μmの円形であり、深さが260μmであり 、中心間距離が440μmで規則的に配置された572 個のマイクロウェル21を含む一つのマイクロ ェル群20を形成した。そして、第一の器具1 各マイクロウェル21内及び第二の器具1の各 イクロウェル21内で細胞組織体を形成した

 すなわち、図20に示すように、直径35mmのプ スチックディッシュ(培養容器5)内に装着状 の第一の器具1を載置した。次いで、第一の 器具1のうち、マクロウェル50内にマウスES細 (大日本住友製薬)を分散した細胞分散液を 入することにより、当該マウスES細胞を各マ イクロウェル21内に播種した。そして、この 養容器5内に培養液をさらに2.0mL加えて、装 状態の第一の器具1の全体を当該培養液中に 浸漬させた状態で5日間培養を行った。その 果、各マイクロウェル21内にマウスES細胞が 次元的に集合した球状の細胞組織体(胚様体 )を1つずつ形成させることができた。培養液 しては、15%ウシ胎児血清、1%ヌクレオシド 1%非必須アミノ酸、1%2-メルカプトエタノー 、1%グルタミンを含むDMEM培地を用い、第一 器具1の一つのマクロウェル50に、1×10 5 個のマウスES細胞を播種した。一方、同様に 培養容器5内に載置した第二の器具1の各マ クロウェル21内に、マウス神経幹細胞(大阪 療センターより提供)を播種した。そして、5 日間培養することにより、各マイクロウェル 21内にマウス神経幹細胞が三次元的に集合し 球状の細胞組織体(ニューロスフェア)を1つ つ形成させた。培養液としては、1%N-2 supple ment、20ng/mLのHuman recombinant EGF、20ng/mLのHuman  recombinant bFGFを含むDMEM/F12培地を用い、第二 器具1の一つのマクロウェル50に、1×10 5 個のマウス神経幹細胞を播種した。

 また、対照群として、直径35mmのプラスチッ クディッシュ(組織培養ディッシュ、日本ベ トン・ディッキンソン株式会社製)の底面全 に、上記第一の器具1及び第二の器具2の各 イクロウェル21の底面22に固定化したものと 様の細胞非接着性高分子を固定化し、当該 養ディッシュ内でマウスES細胞又はマウス 経幹細胞を5日間培養した。なお、マウスES 胞については、培養液として15%ウシ胎児血 、1%ヌクレオシド、1%非必須アミノ酸、1%2-メ ルカプトエタノール、1%グルタミンを含むDMEM 培地を用い、培養ディッシュあたり4×10 5 個の細胞を播種し、マウス神経幹細胞につい ては、培養液として1%N-2 supplement、20ng/mLのHum an recombinant EGF、20ng/mLのHuman recombinant bFGFを 含むDMEM/F12培地を用い、培養ディッシュあた 1×10 5 個の細胞を播種した。

 そして、器具1の各マイクロウェル21内又 対照の培養ディッシュ内で培養5日目に形成 されていた細胞組織体を位相差顕微鏡下で観 察するとともに、100個の胚様体又はニューロ スフェアについて、そのサイズの分布を測定 した。

 その結果、図25に示すように、マウスES細 胞を播種した器具1の各マイクロウェル21内に おいては、球状の胚様体T3が1つずつ形成され た。また、図26に示すように、マウス神経幹 胞を播種した器具1の各マイクロウェル21内 おいては、球状のニューロスフェアT4が1つ つ形成された。これら胚様体及びニューロ フェアは、各マイクロウェル21内において 底面22に接着することなく、浮遊状態で保持 されていた。

 図27には、器具1の各マイクロウェル21内 は対照の培養ディッシュ内で培養5日目に形 されていた胚様体の直径の分布を示す。図2 8には、器具1の各マイクロウェル21内又は対 の培養ディッシュ内で培養5日目に形成され いたニューロスフェアの直径の分布を示す 図27及び図28において、横軸は細胞組織体の 直径(μm)を示し、縦軸は、各直径の細胞組織 の数(個)を示す。また、黒丸印は器具1のマ クロウェル群20で形成された細胞組織体に いての測定値を示し、白四角印は対照の培 ディッシュで形成された細胞組織体につい の測定値を示す。図27及び図28に示すように 対照の培養ディッシュでは様々な直径の細 組織体が形成されたのに対して、器具1のマ イクロウェル群20では、均一な直径の細胞組 体が形成されていた。すなわち、第一の器 1のマイクロウェル群20でマウスES細胞を培 することにより、各マイクロウェル21に、直 径が140μm~240μmの範囲内である胚様体を1個ず 、底面22に接着しない状態で形成すること できた。また、第二の器具1のマイクロウェ 群20でマウス神経幹細胞を培養することに り、各マイクロウェル21に、直径が120μm~200μ mの範囲内であるニューロスフェアを1個ずつ 底面22に接着しない状態で形成することが きた。

[実施例5]
 まず、PMMA製の平板(24mm×24mm、厚さ200μm)の表 面のうち、10mm×10mmの矩形範囲内に、マシニ グセンタ(卓上型NC微細加工機、株式会社ピ エムティー製)を用いた穿孔加工処理により 直径300μmの円形の貫通孔を672個形成した。 の円形貫通孔は、互いにその中心間距離が4 00μmとなるように規則的に配置した。次に、 の円形貫通孔が設けられたPMMA平板の一方側 の表面に、貫通孔を設けていない別体に形成 されたPMMA製の平板(24mm×24mm、厚さ200μm)を熱 着処理(106℃、2時間)によって貼り付けた。

 このようにして、図1~図4に示すような基 材2を作製した。すなわち、この基部材2の 面11のうち10mm×10mmの矩形範囲内に、開口部24 及び底面22が直径300μmの円形であり、深さが2 00μmであり、中心間距離が400μmで規則的に配 された672個のマイクロウェル21を含む一つ マイクロウェル群20が形成された。そして、 さらに、スパッタリング装置(E―1030、日立株 式会社製)を用いたスパッタリング処理を施 ことにより、各マイクロウェル21の底面22に ラチナ(Pt)の薄膜(厚さ6nm)を形成した。

 一方、直径200μm、長さ200μm、中心間距離 400μmの複数の円筒状突起の各々の先端にさ に直径100μm、長さ70μmの円筒状突起が形成 れたPDMS製のスタンプをモールド成形により 製した。そして、このスタンプを用いたマ クロコンタクトプリンティングにより、各 イクロウェル21の底面22に細胞接着性の第一 領域を形成した。すなわち、細胞接着性のタ ンパク質であるコラーゲン(CellmatrixType I-C、 田ゼラチン社製)を含む水溶液に、スタンプ の各円筒状突起の先端を浸した。そして、位 相差顕微鏡下において観察しながら、各円筒 状突起の位置を、上述のプラチナが蒸着され た各マイクロウェル21の底面22の中央付近の 置に押し当てることにより、当該各円筒状 起の先端に塗布されていたコラーゲンを、 該底面22の中央付近に塗布した。このように して、直径300μmの各マイクロウェル21の底面2 2の中央付近に、細胞接着性である直径約100μ mの第一領域を1つ形成した。

 さらに、底面22のうち、第一領域以外の部 を細胞非接着性とした。すなわち、細胞非 着性物質である分子量5000又は分子量10000のPE G鎖を有する細胞非接着性の合成高分子(化学 :CH 3 (CH 2 CH 2 ) n SH、日油株式会社製)を5mMの濃度で含むエタノ ール溶液を、第一領域を形成後の各マイクロ ウェル21内に注入した。そして、窒素雰囲気 で所定時間放置することにより、細胞非接 性高分子を、各マイクロウェル21の底面22の うち、第一領域の周辺部分に固定化した。

 このようにして形成した細胞接着性の第一 域と細胞非接着性の第二領域とからなる底 22を有する各マイクロウェル21内に、初代ラ ット肝細胞又はマウスES細胞(大日本住友製薬 )を播種した。そして、5日間培養することに り、各マイクロウェル21内に初代ラット肝 胞が三次元的に集合した球状の細胞組織体( 細胞スフェロイド)又は球状の胚様体を1つ つ形成させた。なお、初代ラット肝細胞は 各マイクロウェル21の第二領域に分子量5000 PEG鎖を有する細胞非接着性高分子が固定化 れた器具1を用いて培養した。また、マウスE S細胞は、各マイクロウェル21の第二領域に分 子量10000のPEG鎖を有する細胞非接着性高分子 固定化された器具1を用いて培養した。また 、初代ラット肝細胞については、培養液とし て60mg/Lのプロリン、50μg/LのEGF、10mg/Lのイン ュリン、7.5mg/Lのヒドロコルチゾン、0.1μMの 酸銅・5水和物、3μg/Lのセレン酸、50pMの硫 亜鉛・7水和物、50μg/Lのリノール酸、58.8mg/L ペニシリン、100mg/Lのストレプトマイシン、 1.05g/Lの炭酸水素ナトリウム、1.19g/LのHEPESを えたDMEM無血清培地を用い、器具1に一つ形成 されたマクロウェル50に1.7×10 5 個/cm 2 の密度で播種した。一方、マウスES細胞につ ては、培養液として15%ウシ胎児血清、1%ヌ レオシド、1%非必須アミノ酸、1%2-メルカプ エタノール、1%グルタミンを含むDMEM培地を い、器具1に一つ形成されたマクロウェル50 1×10 5 個/cm 2 の密度で播種した。

 また、初代ラット肝細胞についての対照 として、肝細胞のスフェロイド形成に適し いるとされる直径35mmのプラスチックディッ シュ(プライマリア、日本ベクトン・ディッ ンソン株式会社製)内で初代ラット肝細胞を5 日間培養した。また、マウスES細胞について 対照群として、直径35mmのプラスチックディ ッシュ(組織培養ディッシュ、日本ベクトン ディッキンソン株式会社製)の底面全体に、 イクロウェル21の底面22に固定化したものと 同様の細胞非接着性高分子を固定化し、当該 培養ディッシュ内でマウスES細胞を5日間培養 した。

 そして、器具1の各マイクロウェル21内又 対照の培養ディッシュ内で培養5日目に形成 されていた細胞組織体を位相差顕微鏡下で観 察するとともに、100個の肝細胞スフェロイド 又は胚様体について、そのサイズの分布を測 定した。

 その結果、図29に示すように、初代ラッ 肝細胞を播種した器具1の各マイクロウェル2 1内においては、球状の肝細胞スフェロイドT5 が1つずつ形成された。また、図30に示すよう に、マウスES細胞を播種した器具1の各マイク ロウェル21内においては、球状の胚様体T6が1 ずつ形成された。これら肝細胞スフェロイ 及び胚様体は、各マイクロウェル21内にお て、底面22のうち、第一領域に接着した状態 で保持されていた。

 図31には、器具1の各マイクロウェル21内 は対照の培養ディッシュ内で培養5日目に形 されていた肝細胞スフェロイドの直径の分 を示す。図32には、器具1の各マイクロウェ 21内又は対照の培養ディッシュ内で培養5日 に形成されていた胚様体の直径の分布を示 。図31及び図32において、横軸は細胞組織体 の直径(μm)を示し、縦軸は、各直径の細胞組 体の数(個)を示す。また、黒丸印は器具1の イクロウェル群20で形成された細胞組織体 ついての測定値を示し、白四角印は対照の 養ディッシュで形成された細胞組織体につ ての測定値を示す。図31及び図32に示すよう 、対照の培養ディッシュでは様々な直径の 胞組織体が形成されたのに対して、器具1の マイクロウェル群20では、均一な直径の細胞 織体が形成されていた。すなわち、器具1の マイクロウェル群20で初代ラット肝細胞を培 することにより、各マイクロウェル21に、 径が120μm~200μmの範囲内である肝細胞スフェ イドを1個ずつ、底面22の中央付近に接着し 状態で形成することができた。また、器具1 のマイクロウェル群20でマウスES細胞を培養 ることにより、各マイクロウェル21に、直径 が120μm~200μmの範囲内である胚様体を1個ずつ 底面22の中央付近に接着した状態で形成す ことができた。

[実施例6]
 図6~図9に示すような4つのマクロウェル50a~50 dが形成された器具1を作製し、当該4つのマク ロウェル50a~50dの各々に互いに独立に溶液を 持可能であることを確認した。すなわち、 述の実施例1の場合と同様の方法により、PMMA 製の平板(24mm×24mm、厚さ700μm)の表面のうち、 互いに離間した4つの矩形の範囲(6mm×6mm)の各 に、直径300μm、深さ200μmの円形のマイクロ ェル21を中心間距離330μmにて378個形成する とにより、図6~図9に示すような4つのマイク ウェル群20a~20dが形成された基部材2を作製 た。

 一方、PDMS製の平板(24mm×24mm、厚さ3mm)に、 第一基板部10の4つのマイクロウェル群20a~20d うち互いに異なる一つを収容可能な矩形の 通穴(7mm×7mm)を形成することにより、図6~図9 示すような4つの窓部40a~40dが形成された枠 材30を作製した。

 図33には、このようにして作製した4つの イクロウェル群20a~20dが形成された基部材2 、4つの窓部40a~40dが形成された枠部材3と、 分離された状態の器具1の写真を示す。また 図34には、この基部材2に枠部材3が取り付け られて、4つのマクロウェル50a~50dが形成され 装着状態の器具1の写真を示す。そして、図 35には、この装着状態の器具1において、4つ マクロウェル50a~50dの各々に、互いに異なる 液を保持させた場合の写真を示す。すなわ 、図35に示す器具1において、第一のマクロ ェル50aには、細胞が生存しているか死滅し いるかを判断するために使用される、紺色 トリパンブルー溶液S1が保持されており、 二のマクロウェル50bには、無色透明の緩衝 S2が保持されており、第三のマクロウェル50c 及び第四のマクロウェル50dには、pHを判断す ために赤色の色素であるフェノールレッド 添加されている赤色の培養培地S3が保持さ ている。図35に示すように、器具1の4つのマ ロウェル50a~50dの各々には、互いに独立に溶 液を保持することできることが確認された。

[実施例7]
 上述の実施例1と同様に作製された器具1を いて、図5に示す辺縁ウェル21iと枠部材3との 距離Dと、当該辺縁ウェル21i及び中央ウェル21 iiで形成される細胞組織体のサイズと、の関 を検討した。

 すなわち、PMMA製の平板(24mm×24mm、厚さ400 m)から成形された基部材2と、PDMS製の平板(20m m×20mm、厚さ1.1mm)から成形された枠部材3と、 備え、上記距離Dが互いに異なる5種類の器 1を製造した。

 具体的に、上面11のうち、10mm×10mmの矩形 囲内に、直径300μm、深さ300μmの円形のマイ ロウェル21が900個規則的に配置された基部 2を製造した。すなわち、この基部材2には、 一定の間隔で直列的に配置された30個のマイ ロウェル21からなる列が、当該一定の間隔 並列に30列配置された。各マイクロウェル21 底面22は細胞非接着性とした。

 一方、基部材2に取り付けられた場合に、 距離Dが0μm、300μm、600μm、1000μm又は2000μmの ずれかとなるように互いに異なるサイズの 形の窓部40が形成された5種類の枠部材3を製 した。これら5種類の枠部材3のいずれかと 基部材2と、を組み合わせることにより、1つ のマクロウェル50を有し、距離Dが互いに異な る5種類の器具1を製造した。

 次いで、各器具1を直径35mmのプラスチック ィッシュ(組織培養ディッシュ、日本ベクト ・ディッキンソン株式会社製)内に入れた。 そして、各器具1のマクロウェル50内に、培養 液に分散させたHepG2細胞を2×10 5 個ずつ播種した。この培養液をマクロウェル 50内に2時間放置して細胞を培養することによ り、当該細胞を当該マクロウェル50の底面51 に沈降させた。その後、プラスチックディ シュに2mLの培養液を入れて、器具1の全体を 養液内に浸漬した。そして、培養液中に浸 した器具1のマクロウェル50内において細胞 14日間培養した。また、枠部材3を取り付け い基部材2のみからなる、分離状態の器具1 準備した。そして、マイクロウェル群20の面 積あたりの細胞密度が上記装着状態の器具1 等しくなるようHepG2細胞を播種し、同様に培 養した。その結果、各器具1の各マイクロウ ル21内にHepG2細胞が三次元的に集合した球状 細胞組織体(HepG2スフェロイド)を1つずつ形 させることができた。

 そして、各器具1について、マイクロウェ ル群20の辺縁の列に含まれる辺縁ウェル21iの ち50個の各々に形成された辺縁組織体Tiの直 径と、辺縁から11番目~20番目の列に含まれる 央ウェル21iiのうち50個の各々に形成された 央組織体Tiiの直径と、を位相差顕微鏡を用 た観察によりそれぞれ測定した。さらに、 央組織体Tiiの直径の算術平均値に対する、 縁組織体Tiの直径の算術平均値の比率を「 径比」として算出した。

 図36は、6種類の器具1で形成された細胞組 織体の位相差顕微鏡写真である。図36(A)は距 Dが0μmである器具1、図36(B)は距離Dが300μmで る器具1、図36(C)は距離Dが600μmである器具1 図36(D)は距離Dが1000μmである器具1、図36(E)は 離Dが2000μmである器具1、図36(F)は枠部材3を しない器具1についての写真をそれぞれ示す 。図36(F)の下方に示すスケールバーの長さは5 00μmを示している。

 図36に示すように、各器具1のマクロウェ 50の底面51において、枠部材3に隣接する辺 ウェル21i内には球状の辺縁組織体Tiが1つず 形成され、より内側の中央ウェル21ii内には 状の中央組織体Tiiが1つずつ形成された。辺 縁組織体Ti及び中央組織体Tiiはいずれも、辺 ウェル21i及び中央ウェル21ii内において、底 面22及び内壁23に接着することなく培養液中 浮遊しつつ保持されていた。なお、この実 例7においては、器具1の全体が培養液中に十 分に浸漬させるとともに、顕微鏡観察時の光 の強さを適切に調整する等、操作条件を工夫 することにより、図36に示すように、鮮明な 微鏡写真を得た。

 図37は、各器具1について算出された細胞 織体の直径比を示す。図37において、横軸 各器具1の距離Dを示し、縦軸は各器具1にお る直径比を示す。なお、図37の横軸の右端に 示す「枠部材無」は、枠部材3が取り付けら ていない基部材2を用いた場合の結果を示し いる。

 図37に示すように、距離Dを低減すること よって、枠部材3が取り付けられていない場 合(「枠部材無」)に比べて、直径比を低減す ことができた。すなわち、距離Dを2000μm以 に低減することによって直径比を1.20以下に 減することができた。また、距離Dを1000μm 下に低減することによって直径比を1.16以下 低減することができた。特に、距離Dを600μm 以下に低減した場合には、直径比を1.15以下 低減することができた。

 このように、器具1を用いた細胞組織体の 形成においては、当該器具1の距離Dを特定の 小な範囲内にすることによって、辺縁組織 と中央組織体とのサイズのずれを効果的に 減して、極めて均一なサイズの多数の細胞 織体を簡便且つ確実に形成できることが確 された。

 なお、本発明に係る器具1及びこれを用い た細胞培養方法は上述の例に限られない。例 えば、基部材2のマイクロウェル21は、目的に 応じた任意の形状で形成することができる。 すなわち、マイクロウェル2の開口部24及び底 面22は、円形に限られず、例えば、多角形に 成することもできる。また、開口部24と底 22とは異なる形状に形成することもできる。 また、開口部24と底面22とは異なる面積で形 することもできる。すなわち、例えば、マ クロウェル21の内壁23を傾斜するように形成 て、開口部24より底面22の面積を小さく形成 することもできる。また、マイクロウェル21 、実質的に底面22を有しない、傾斜した内 23のみを有するテーパ形状に形成することも できる。また、枠部材3の窓部40もまた、円形 や多角形等、目的に応じた任意の形状に形成 することができる。

 また、基部材2に複数のマイクロウェル群 20が形成される場合、枠部材3には1又は複数 任意の数の窓部40を形成することができる。 また、器具1を用いた培養の過程において、1 の基部材2と、複数の種類の枠部材3と、を み合わせて使用することもできる。すなわ 、例えば、所定数のマイクロウェル群20が形 成された基部材2と、互いに異なる数の窓部40 が形成された複数の枠部材3の各々と、を必 に応じて組み合わせて使用することができ 。具体的に、例えば、図6~図9に示すように 基部材2に4つのマイクロウェル群20a~20dが形 されている場合、播種工程S100においては、 6~図9に示すような4つの窓部40a~40dが形成さ た枠部材3を取り付けて、当該4つのマイクロ ウェル群20a~20dの各々に細胞を播種する。そ て、培養工程S200においては、図19に示すよ に枠部材3を取り外した分離状態の器具1で培 養を継続する。さらに、処理工程S300におい は、図11及び図12に示すような、窓部40が一 だけ形成された枠部材3を当該基部材2に取り 付けて、当該4つのマイクロウェル群20a~20dの ち、一つのマクロウェル50に対応する一つ マクロウェル群20b内の細胞と、その他の3つ マクロウェル群20a、20c、20d内の細胞と、に いに異なる組成の溶液を接触させることも きる。

 また、保持部材4は、図15~図17に示すよう 、基部材2の外周22及び枠部材3の外周33の全 に当接する当接部を有するものに限られな 。すなわち、保持部材4は、基部材2と枠部 3とを所定の位置関係で一体的に保持できる のであれば、これらの外周22及び外周33のそ れぞれの一部に当接する当接部を有するもの とすることができる。