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Title:
CELLULOSE DERIVATIVE FINE PARTICLES, FLUID DISPERSIONS OF THE SAME, SOLID DISPERSIONS THEREOF, AND DIAGNOSTIC DRUGS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/123148
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are hydrophilic cellulose derivative fine particles having small particle diameters; fluid dispersions of the particles and solid dispersions thereof; and diagnostic drugs which comprise hydrophilic particles and which are excellent in storage stability and can dispense with extra components such as emulsifying agents or surfactants. Cellulose derivative fine particles comprising a cellulose derivative which is prepared by partially replacing the hydroxyl groups of cellulose by other substituents, characterized in that the mean particle diameter is 9 to 1000nm; and diagnostic drugs characterized by comprising a substance capable of bonding specifically to an analyte and the cellulose derivative fine particles supporting the substance thereon.

Inventors:
SHIOMI YOSHIYUKI (JP)
MATSUI TOSHIHIKO (JP)
DOI MASANORI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/056559
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
March 30, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI KASEI FIBERS CORP (JP)
SHIOMI YOSHIYUKI (JP)
MATSUI TOSHIHIKO (JP)
DOI MASANORI (JP)
International Classes:
C08B11/02; C08B3/06; C08B5/14; C08B11/04; C08B11/08; C08B11/12; C08B11/145; C08L1/08
Domestic Patent References:
WO2006095029A22006-09-14
WO2008084854A12008-07-17
WO2008084854A12008-07-17
Foreign References:
JP2005511797A2005-04-28
JPH0466532A1992-03-02
JPH07324017A1995-12-12
JPS61211342A1986-09-19
JP2007528436A2007-10-11
JPS5777625A1982-05-15
JPS63500893A1988-03-31
JP2008507554A2008-03-13
JP2001503101A2001-03-06
JP2007528436A2007-10-11
JPH1068730A1998-03-10
JP2000355553A2000-12-26
Other References:
YAMAMOTO HIROMITSU ET AL.: "The Development of an Aqueous Polymeric Enteric Coating System with Hydroxypropylmethylcellulose Phthalate Nanoparticles.", J. SOC. POWDER TECHNOL., JAPAN, vol. 35, no. 6, 1998, pages 439 - 442, XP008141216
ZHANG,C. ET AL.: "Synthesis and characterization of a trifunctional aminoamide cellulose derivative", BIOMACROMOLECULES, vol. 7, no. 1, 2006, pages 139 - 145, XP008141218
DONG, W. ET AL.: "Preparation of HPMC-EA-DMAEMA nanosized latex", CELLULOSE, vol. 14, no. 4, 2007, pages 331 - 336, XP019524862
"Cellulose no Jiten", 10 November 2000, ASAKURA PUBLISHING CO., LTD., pages: 131 - 147
HORNIG, S. ET AL.: "Efficient Approach To Design Stable Water-Dispersible Nanoparticles of Hydrophobic Cellulose Esters", BIOMACROMOLECULES, vol. 9, no. 5, May 2008 (2008-05-01), pages 1487 - 1492, XP008141219, Retrieved from the Internet [retrieved on 20090511]
See also references of EP 2261261A4
KOBUNSHI RONBUN SHU, vol. 50, no. 5, May 1993 (1993-05-01), pages 431 - 435
Attorney, Agent or Firm:
AOKI, Atsushi et al. (JP)
Aoki 篤 (JP)
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Claims:
 セルロースの水酸基の一部が置換基で置換されたセルロース誘導体からなり、平均粒径が9~1000nmであることを特徴とするセルロース誘導体微粒子。
 前記置換の置換度が2.5以下であることを特徴とする請求項1に記載のセルロース誘導体微粒子。
 前記置換の置換度が1.0以下であることを特徴とする請求項2に記載のセルロース誘導体微粒子。
 前記置換基が、カルボキシル基、アミノ基、4級アンモニウム基、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アセチル基、シアノエチル基、硫酸基、および少なくとも2つ以上の水酸基同士を結合する架橋基のいずれか1種類以上を含んでいることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のセルロース誘導体微粒子。
 セルロース以外の成分が化学結合または物理吸着を介して担持されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のセルロース誘導体微粒子。
 担持される前記セルロース以外の成分が他の成分と特異的に相互作用する物質を含むことを特徴とする請求項5に記載のセルロース誘導体微粒子。
 担持される前記セルロース以外の成分が生体材料を含むことを特徴とする請求項5または6に記載のセルロース誘導体微粒子。
 生体材料が抗原または抗体を含むことを特徴とする請求項7に記載のセルロース誘導体微粒子。
 請求項1~8のいずれかに記載のセルロース誘導体微粒子を含むことを特徴とする診断薬。
 セルロース誘導体微粒子が請求項5~8のいずれかに記載のセルロース誘導体微粒子であって、担持されるセルロース以外の成分が検査対象物質と特異的に相互作用する物質を含むことを特徴とする請求項9に記載の診断薬。
 セルロース誘導体微粒子のCV値が30%以下であることを特徴とする請求項9または10に記載の診断薬。
 診断が免疫血清診断であることを特徴とする請求項9~11のいずれかに記載の診断薬。
 請求項9~12のいずれかに記載の診断薬と検体とを混合し、検体中の検査対象物質を検出することを特徴とする検体検出方法。
 診断薬が請求項10~12のいずれかに記載の診断薬であり、セルロース誘導体微粒子の凝集度合いから検体中の検査対象物質を検出することを特徴とする請求項13に記載の検体検出方法。
 請求項1~8のいずれかに記載のセルロース誘導体微粒子が液体に分散していることを特徴とする分散液。
 請求項1~8のいずれかに記載のセルロース誘導体微粒子が固体表面に固定または固体中に分散されていることを特徴とする成型体。
Description:
セルロース誘導体微粒子、その 散液、その分散体及び診断薬

 本発明は水酸基の一部が誘導体化された ルロース微粒子とその分散体、及びそれを いた診断薬に関する。

 現在、ナイロン、ポリエチレン、ポリア リロニトリル、ポリスチレン、セルロース ど数多くの高分子微粒子が様々な用途に用 られている。その具体的な用途を挙げよう すれば数限りないが、例えば滑り性付与剤 トナー、塗料用艶消し剤、光拡散用の添加 、包装材のブロッキング防止材、絶縁フィ ー、結晶核剤、クロマトグラフィー用充填 、研磨剤及びその他の各種添加剤等である さらに近年では液晶ディスプレーのスペー ー、分析機器の校正用標準粒子及び多孔膜 検定用標準粒子、診断薬用担体等の用途も 大している。

 これら高分子微粒子の中でもセルロース 、その他の合成高分子にはない様々な特徴 有している。その特徴の具体例としては(1) 学的に比較的安定であり溶解しにくいこと (2)耐熱性を有し高温でも溶解しないこと、( 3)吸水性、吸油性の両方を有する両親媒性ポ マーであること、(4)天然物由来であり、人 に対し無害であるとみなされていること、( 5)賦型性、成形性を有していること、(6)蛋白 などの物質との相互作用を起こしにくく吸 を起こさないこと、(7)水酸基を多く有し化 修飾が容易であること、(8)容易に燃焼し有 物の発生がないこと、(9)生分解性のポリマ であり環境に対し無害であると見なされて ること、等が挙げられる。

 上記(1)~(9)の特徴を生かしセルロース微粒 子は様々な用途に適応されている。具体的な 用途を記載しようとすれば数限りないが、例 えば、各種分画用カラム充填剤、酵素支持体 、微生物培養担体、細胞培養担体、濾材、吸 着剤、医薬物賦型材、医薬物崩壊材、医薬物 増量剤、増粒基材、食品用増粘調整剤、チキ ソ性付与材、分散安定剤、プラスチック増量 剤、フィラー、化粧用ファウンデーション基 材、外装塗料用改質材、コート剤、焼成法触 媒製造用成型剤、繊維壁用素材、感圧複写紙 用配合剤、等の多方面に及んでいる。

 セルロースはβ-グルコース分子からなる 合体であり、β-グルコース分子が持つ3つの 水酸基がその特徴に大きく影響している。そ してその水酸基の一部を他の構造に変換した ものはセルロース誘導体と呼ばれる。このセ ルロース誘導体は置換する構造の種類、置換 の程度を表す置換度、などに応じて様々な特 徴を持つ。このセルロース誘導体もセルロー ス同様にその特徴を生かした様々な用途に用 いられている。

 本願発明者らは過去に、微粒子の粒径が さく、かつ微粒子を構成するセルロースの 均重合度が充分に高いという特徴を併せ持 たセルロース微粒子を見出している。そし 驚くべきことに、粒径の小さなセルロース 粒子は界面活性剤を加えることなく水や様 な媒体中で凝集を起こしにくく、長期の分 安定性に優れることも見出している。それ は上記セルロースの特徴と小さな粒径を併 持つ有用な微粒子であり、様々な用途への 用が期待できる。しかしながら、粒径が小 いセルロース誘導体の微粒子となると、非 に限られた種類のものしか明らかになって ない。

 現在明らかになっている粒径が小さいセル ース誘導体微粒子としては、特許文献1およ び特許文献2に記載のものが挙げられる。こ らはいずれもセルロースを予め誘導体化し おき、それをナノサイズの小さな粒子状に 形したものである。セルロースは水や有機 媒またはその混合物に対して基本的に溶解 ないのに対し、誘導体化により可溶性にす ことが可能で、溶解した溶液を利用して粒 状に成形することができる。しかしながら れらの文献に記載された方法で得られたセ ロース誘導体微粒子は、基本的に水溶性で り水の中では溶解してしまうため、利用す ことができる用途が非常に限られたものに ってしまう。また水酸基のほとんどを置換 てしまえば非水溶性となりうることも考え れるが、そのようなセルロース誘導体微粒 はセルロースの特徴である親水性を生かす とができない。この場合も用途が非常に限 され、更には微粒子自体が水の中で凝集し しまうことが予想される。
 すなわち、粒径が小さく、水の中でも溶解 ず、かつ安定的に分散して存在できるセル ース誘導体微粒子は未だ明らかになってい い。このようなセルロース誘導体微粒子は ルロース微粒子同様に様々な用途への展開 期待される。そのうちの一つの例として診 薬用担体が挙げられる。

 診断薬とは、生物の体内にある分子を分 して体内の異常や変化を検出するための試 を指す。代表的なものとしては免疫血清検 、血液検査、細胞検査および遺伝子検査な が挙げられる。また生物の体内にある分子 分析するわけではないが、ペプチドアレイ 蛋白質アレイなど、アミノ酸の配列を調べ 検査も広義では診断薬に含まれると言える いずれにせよこれらの検査は検査対象物質 特異的に相互作用する物質を利用するもの ある。診断薬の中でも最も代表的なものが 疫血清検査であり、イムノアッセイとも呼 れる。イムノアッセイは抗原と抗体の特異 反応を利用した検査法であり、癌マーカー ホルモン、感染症、自己免疫、血漿蛋白、T DMおよび凝固・線溶等の検査対象物質を検出 ることを目的とするものである。このよう 診断薬はその簡便性と迅速性から臨床検査 分野において実際に広く用いられている。 してより微量の検査対象物質を測定できる 感度化が求められているのが現状である。

 微粒子を用いた診断薬は、検査対象物質 特異的に相互作用する物質を微粒子に担持 せ、検査対象物質が存在した場合に生じる 化を検出することで診断を行う。診断薬用 体としては金コロイドと呼ばれる金のナノ 粒子やポリスチレン製のナノ微粒子が一般 に用いられている。例えば特許文献3に記載 の金のナノ微粒子を用いるイムノクロマト法 、特許文献4に記載のポリスチレンのナノ微 子を用いるラテックス法などである。

 しかしながらこれらのナノ微粒子は一般 に疎水性であるため、保存安定性が低く微 子同士が凝集・沈降してしまう、検査対象 質以外の物質とも相互作用を起こしてしま 非特異吸着が発生する、などの問題が存在 ている。また保存安定性を改良するために 面活性剤などの安定剤を用いる場合もある 、この安定剤自体が非特異吸着の原因にな てしまう。また金やポリスチレン製のナノ 粒子の多くは製造段階で還元剤や乳化剤を いて製造されるが、これら成分が残留し非 異吸着の原因になってしまう。それら様々 問題を解決するため、一般的にはアルブミ などのブロッキング剤によって微粒子表面 親水性物質で覆うなどの対策が取られてい 。しかしながらその効果も決して充分なも であるとは言えないのが現状である。非特 文献1には、微粒子の表面を徹底的に親水化 することによって、非特異吸着を抑える手法 が記載されている。しかしこの手法も微粒子 の製造に手間がかかり合理的とは言えない。

 このように免疫血清検査に用いる微粒子 は親水性の微粒子が求められる場合がある そして免疫血清検査に限らず、診断薬分野 般においても親水性の微粒子が求められる 合もある。また生体に占める水の割合が非 に高く、生体内における分子の反応の多く 水が関係する環境下で行われることを考え も、バイオメディカル向けの用途において 親水性の微粒子が有用であると予測される しかしながら現在の一般的なナノ微粒子は 属、無機物および重合性ポリマーなど疎水 であることが多い。このような状況から親 性のナノ微粒子は診断薬用途だけでなく様 な用途においても求められていると言える

特表2001-503101号公報

特開2007-528436号公報

特開平10-68730号公報

特開2000-355553号公報 高分子論文集, Vol.50, No.5, P431-435(5月, 1 993)

 本発明は、上記現状に鑑み、非水溶性か 親水性の粒径の小さいセルロース誘導体微 子、その分散液およびその分散体の提供を 的とするものである。また、検査対象物質 特異的に相互作用する物質を当該セルロー 誘導体微粒子に担持させることで、親水性 高く、保存安定性に優れ、かつ乳化剤や界 活性剤などの余分な成分を必要としないと う優れた特長を持つ診断薬を提供すること 目的とする。

 本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、 発明者らが既に報告している国際公開第2008 /084854号パンフレットに記載のセルロース微 子の水酸基の一部を誘導体化し、その置換 を調整することで、水に溶解せず、しかも 水性も高いという特徴を併せ持ったセルロ ス誘導体微粒子を得ることに成功した。さ に、誘導体化された置換基を利用して、検 対象物質と特異的に相互作用する物質をこ セルロース誘導体微粒子に担持させること 、診断薬用担体として用いることもできる とを見出し、本発明に至った。すなわち本 明は以下のとおりである。

 (1)セルロースの水酸基の一部が置換基で置 されたセルロース誘導体からなり、平均粒 が9~1000nmであることを特徴とするセルロー 誘導体微粒子。
 (2)前記置換の置換度が2.5以下であることを 徴とする上記(1)に記載のセルロース誘導体 粒子。
 (3)前記置換の置換度が1.0以下であることを 徴とする上記(2)に記載のセルロース誘導体 粒子。
 (4)前記置換基が、カルボキシル基、アミノ 、4級アンモニウム基、ヒドロキシアルキル 基、アルキル基、アセチル基、シアノエチル 基、硫酸基、および少なくとも2つ以上の水 基同士を結合する架橋基のいずれか1種類以 を含んでいることを特徴とする上記(1)~(3)の いずれかに記載のセルロース誘導体微粒子。
 (5)セルロース以外の成分が化学結合または 理吸着を介して担持されていることを特徴 する上記(1)~(4)のいずれかに記載のセルロー ス誘導体微粒子。
 (6)担持される前記セルロース以外の成分が の成分と特異的に相互作用する物質を含む とを特徴とする上記(5)に記載のセルロース 導体微粒子。
 (7)担持される前記セルロース以外の成分が 体材料を含むことを特徴とする上記(5)また (6)に記載のセルロース誘導体微粒子。
 (8)生体材料が抗原または抗体を含むことを 徴とする上記(7)に記載のセルロース誘導体 粒子。
 (9)上記(1)~(8)のいずれかに記載のセルロース 誘導体微粒子を含むことを特徴とする診断薬 。
 (10)セルロース誘導体微粒子が上記(5)~(8)の ずれかに記載のセルロース誘導体微粒子で って、担持されるセルロース以外の成分が 査対象物質と特異的に相互作用する物質を むことを特徴とする上記(9)に記載の診断薬
 (11)セルロース誘導体微粒子のCV値が30%以下 あることを特徴とする上記(9)または(10)に記 載の診断薬。
 (12)診断が免疫血清診断であることを特徴と する上記(9)~(11)のいずれかに記載の診断薬。
 (13)上記(9)~(12)のいずれかに記載の診断薬と 体とを混合し、検体中の検査対象物質を検 することを特徴とする検体検出方法。
 (14)診断薬が上記(10)~(12)のいずれかに記載の 診断薬であり、セルロース誘導体微粒子の凝 集度合いから検体中の検査対象物質を検出す ることを特徴とする上記(13)に記載の検体検 方法。
 (15)上記(1)~(8)のいずれかに記載のセルロー 誘導体微粒子が液体に分散していることを 徴とする分散液。
 (16)上記(1)~(8)のいずれかに記載のセルロー 誘導体微粒子が固体表面に固定または固体 に分散されていることを特徴とする成型体

 本発明のセルロース誘導体微粒子は従来 ない小さな粒径を有するセルロース誘導体 粒子であり、更に、親水性が高く、保存安 性が高く、乳化剤や界面活性剤などの余分 成分を必要としない、などの特徴を併せ持 ている。また、セルロース誘導体の置換基 利用し、検査対象物質と特異的に相互作用 る物質をセルロース誘導体微粒子に担持さ ることで、優れた特長を持つ診断薬を提供 ることができる。

実施例1で得られたカルボキシル化セル ロース微粒子の電子顕微鏡写真であり、撮影 倍率は2万倍でスケールバーは1μmである。 実施例16における診断薬評価結果を示 た図である(横軸:抗原濃度、縦軸:吸光度変 )。

 以下、本願発明について具体的に説明する
 本発明におけるセルロース誘導体微粒子と セルロース誘導体からなる微粒子であり、 の製造方法は特に限定されない。例えば、 ルロースを微粒子状に成型した後に誘導体 を行う、予め誘導体化されたセルロース誘 体を微粒子状に成形する、など任意の方法 作製することができる。当然、原料となる ルロースも特に限定されるものではなく、 生セルロース、精製セルロース及び天然セ ロース等のセルロースを用いることができ 。本発明では、天然セルロースを銅アンモ ア溶液に溶解し、凝固液と混合することで クロ相分離を生起させ、粒子濃厚相を微粒 として取り出す方法によりセルロースを微 子状に成形し、その後微粒子の誘導体化を った。

 本発明におけるセルロース誘導体とは、 ルロースの持つ水酸基の一部が別の異なっ 置換基に置換されたものを指す。その置換 の種類は特に限定されるものではない。具 的には、カルボキシル基、1級、2級または3 のアミノ基、4級アンモニウム基、ヒドロキ シアルキル基、アルキル基、アセチル基、シ アノエチル基、硫酸基、アミド基、アルデヒ ド基、ニトロ基、硝酸基、トシル基、フェニ ルカルバニレート基、トリチル基、および少 なくとも2つ以上の水酸基同士を結合する架 基などの置換基を含む基が挙げられる。な 、本発明における架橋とは、セルロースの 酸基同士を何らかの化合物で連結させるこ を指す。その架橋の方法および種類は特に 定されるものではないが、例えばエピクロ ヒドリン、ホルマリン、シランカップリン 剤、エポキシ変性シリコーン系架橋剤、グ オキザール系レジン、等の水酸基と反応す 部分を2つ以上持つ化合物を用いる事で架橋 行う事ができる。後述の実施例ではグリオ ザール系レジンやエピクロルヒドリンを用 て架橋を行った。また、セルロースの染色 行う反応性染料も水酸基との反応を利用し おり、染料も置換基の一つと言える。診断 として用いる場合は抗体等の生体材用との 合のしやすさを考えてカルボキシル基やア ノ基を有することが特に好ましい。これは 抗体に限らず生体材料は様々なアミノ酸か 構成されており、アミノ酸が持つカルボキ ル基やアミノ基とアミド結合を形成させる とができるためである。また置換基の種類 異なるものを併用してもよく、様々な組み わせで置換することも可能である。例えば ルロース誘導体微粒子を診断薬として用い 際には、微粒子表面の改質や膨潤度合いの 質などの目的で、その他の置換基の導入や 橋などの化学修飾を行ってもかまわない。 発明では、セルロース微粒子を苛性ソーダ 混合することでアルカリセルロースを調整 、さらに反応剤を加えることで誘導体化を った。例えば反応剤としてクロロ酢酸ナト ウムを加え、さらに反応終了後に塩酸で処 することによりカルボキシル化が可能であ 、反応剤として2-クロロエチルアミンを用 ることにより1級アミノ化が可能であり、さ に反応剤としてエピクロルヒドリンを加え エポキシ活性化を行い、その後アンモニア を加えエポキシ基を開裂させることにより ミノ化と架橋を同時に行うことが可能であ 。またグリオキザール系レジンとそれに適 た触媒を用いることで架橋を行うことが可 である。反応剤の種類を変えれば様々な誘 体化が調整でき、様々なセルロース誘導体 粒子を得ることが可能である。

 本発明におけるセルロース誘導体の置換の 度は置換度で表され、置換度が高いほどよ 多くの水酸基が置換されたことを示す。置 度はセルロースのグルコース単位当りどれ け水酸基が置換されたかを指し、三つの水 基が全て置換された場合は置換度3、一つ置 換された場合は置換度1、まったく置換され いない場合は置換度0で表す。なお、あくま 置換度はセルロースを構成する全てのグル ースの置換度を平均した値である。
 本発明におけるセルロース誘導体の置換度 特に限定されるものではない。しかしなが 親水性であるためには置換度が2.5以下であ ことが好ましい。これ以上置換度が高いと 発明の目的である親水性が達成できなくな 場合がある。また置換度が2.5以下でも置換 の種類によっては水溶性であり、水の中で 使用が困難になる場合もある。そのような 合には目的の置換基に加え架橋構造を導入 てやる事ができる。これによりセルロース 水に不溶化させることができる。置換基の 類、置換する水酸基の位置などにより親水 の度合いが変化するため、親水性であるた の置換度を一概に規定することは難しいが より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1 .5以下、特に好ましくは1.0以下、最も好まし は0.5以下である。

 本発明における平均粒径とは、電子顕微 にてセルロース誘導体微粒子を撮影し、得 れた画像を画像解析することによって得ら る体積換算メジアン径を指す。その測定個 は100個以上とする。電子顕微鏡で撮影した 像は平面画像であり、必ずしも微粒子の立 的形状を表すものではないが、微粒子の観 個数を100個以上とすることで、立体的な形 を平均値として判断できる。ただし微粒子 電子顕微鏡で観察するには液体に分散した 態の粒子を乾燥させる必要がある。この乾 時に微粒子が凝集してしまっては、見かけ の平均粒径が変わってしまうため注意が必 である。乾燥条件の確認のためには、動的 散乱式の粒度分布装置を用いてネバードラ の状態での粒径と比較しながら乾燥条件を 定する事が望ましい。なお本発明において 粒子の乾燥は、メタルコンタクト法による 結乾燥を用いた。また得られた体積換算粒 分布の標準偏差を平均粒径で割った値がCV (Coefficient of Variationの略)であり、微粒子の 一性を表す指標として用いられる。

 本発明における微粒子とは、上記電子顕 鏡による微粒子の画像解析において、微粒 の短径と長径の比(長径/短径)が充分に小さ ものを指す。この比が大きすぎる棒状、繊 状または網目状のものは微粒子には含まれ い。微粒子としての機能を発揮するために 微粒子100個の平均値の長径/短径=10.0以下、 ましくは5.0以下、特に好ましくは3.0以下、 に好ましくは2.0以下である。この値が小さ ほど微粒子の形状は真球状に近くなる。ま 誘導体化の置換度が高すぎる場合、得られ 微粒子は粒子形状が維持できない場合があ 、IPAなどの有機溶媒に微粒子を分散させた 態から粒子を乾燥させた場合は長径/短径が 充分小さいのに対し、水に分散させた状態か ら乾燥させた微粒子は長径/短径が大きくな 場合がある。このような場合、得られてい ものは微粒子とは言えず、水中で用いる際 問題が生じてしまう。

 平均粒径の測定に動的光散乱方式による 度分布測定ではなく電子顕微鏡画像を用い 理由は、セルロース誘導体は水中で膨潤が こりやすいためである。これは誘導体化に りセルロースの水素結合が弱まることに起 し、その程度は誘導体化の置換度、種類に って大きく異なるため、それぞれを相対評 することは困難である。

 本発明におけるセルロース誘導体微粒子 平均粒径は9~1000nm、好ましくは9~700nmである 平均粒径がこの範囲であれば長期保存によ 沈降が生じにくく、診断薬にも適する。診 薬として用いる場合は20~700nmであることが ましい。平均粒径が20nm以下になると検査対 物質との結合による凝集を検出しにくくな てしまう。逆に、平均粒径が700nmより大き なると、液体中で保存する際に粒子の沈降 起こりやすくなってしまう。より好ましく 50~500nmである。ただし診断薬としての感度を 向上させるために、分球による均一化を行っ てもかまわない、また2種類以上の平均粒径 セルロース誘導体微粒子を混合して用いて かまわない。

 セルロース誘導体微粒子が水に溶けるか うかは、その置換基の種類、置換度、置換 る水酸基の位置、さらには担持させる物質 種類などが影響し、その置換度を一概に定 することは不可能である。例えば、ナトリ ム塩型のカルボキシメチル化セルロースの 合は、一般的に置換度0.4までは水不溶、置 度0.6以上で水可溶と言われる。また、2位と 3位の水酸基が優先的にカルボキシルメチル されたものは置換度0.3でも水可溶と言われ 。さらにメチル化セルロースの場合は、一 的に1.6~2.0で水可溶と言われる。このように 不溶なセルロース誘導体の置換度は様々な 件によって大きく異なるため、一概に規定 ることはできない。

 本発明におけるCV値とは、Coefficient of Variat ionの略で、微粒子の均一性を表す指標として 一般的に用いられる。これはセルロース微粒 子分散液の粒度分布における分散度を体積基 準で表したもので下記式によって定義される 。この値が小さいほど粒度分布がシャープで あることを示し、それだけセルロース微粒子 の大きさが揃っていることを意味する。また その単位は(%)で表される。
   CV値=(電子顕微鏡画像より求めた体積粒 分布における標準偏差)/(電子顕         鏡画像より求めた体積平均メジアン径)×100
 本発明におけるセルロース誘導体微粒子のC V値は特に規定されるものではない。ただし 断薬として用いる場合は30%以下が好ましい CV値が30%を超えると、診断薬としての診断の 正確性に悪影響が出る。より好ましくは25%以 下であり、更に好ましくは20%以下である。一 般的にCV値が小さければ診断の正確性は向上 るが、CV値が小さくなりすぎると製造の手 やコストが大きくなってしまう。コストと 確性のバランスを考えると1%以上が好ましい 。

 本発明におけるセルロース誘導体微粒子 、化学結合または物理吸着を介してセルロ ス以外の成分を担持させて利用することも きる。化学結合または物理吸着の一例とし は、共有結合、イオン結合、配位結合、金 結合、水素結合、親水吸着、疎水吸着、フ ンデルワールス結合などが挙げられるがそ らに限定されるものではない。上記のよう 様々な力によってセルロース誘導体微粒子 セルロース以外の成分を担持させることに り、セルロース誘導体にはない機能を持っ 微粒子を調整することが可能である。セル ースを誘導体化させていないセルロース微 子でも、セルロース以外の成分を担持させ ことは可能だが、置換基の種類を任意に変 ることで、より様々な種類の成分を担持さ ることができる。

 本発明におけるセルロース誘導体微粒子に 持させる成分とは、セルロース誘導体以外 様々な物質を指し、その種類は特に限定さ ない。それらの一例としては、界面活性剤 無機微粒子、有機微粒子、生体材料、染料 イオン性物質、水溶性低分子、ブロッキン 剤、等が挙げられるがそれらに限定される のではない。
 本発明におけるセルロース誘導体に担持さ る生体材料とは生体から得られる様々な材 を指し、その種類は特に限定されない。そ らの一例としては、コラーゲン、ゼラチン フィブロイン、へパリン、ヒアルロン酸、 ンプン、キチン、キトサン、アミノ酸、ペ チド、タンパク質、核酸、炭水化物、脂肪 、テルペノイド、カロテノイド、テトラピ ール、補因子、ステロイド、フラボノイド アルカノイド、ポリケチド、配糖体、酵素 抗体、抗原、などが挙げられる。それらを ルロース誘導体微粒子に担持させることで セルロース誘導体微粒子の生体適合性の向 や診断薬としての利用等が可能となる。

 本発明においては、セルロース誘導体微粒 に、検査対象物質と特異的に結合する物質 担持させることにより、セルロース誘導体 粒子を診断薬として用いることが可能とな 。
 本発明における検査対象物質とは、免疫血 検査、血液検査、細胞検査、遺伝子検査、 どの検査などにおける測定対象を指しその 類は特に限定されない。例えば、癌マーカ 、ホルモン、感染症、自己免疫、血漿蛋白 TDM、凝固・線溶、アミノ酸、ペプチド、蛋 、遺伝子、細胞、などが挙げられる。より 体的には、CEA、AFP、フェリチリン、β2マイ ロ、PSA、CA19-9、CA125、BFP、エラスターゼ1、 プシノーゲン1・2、便潜血、尿中β2マイク 、PIVKA-2、尿中BTA、インスリン、E3、HCG、HPL LH、HCV抗原、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HBe抗 原、HBe抗体、HTLV-1抗体、HIV抗体、トキソプラ ズマ抗体、梅毒、ASO、A型インフルエンザ抗 、A型インフルエンザ抗体、B型インフルエン ザ抗原、B型インフルエンザ抗体、ロタ抗原 アデノウィルス抗原、ロタ・アデノウィル 抗原、A群レンサ球菌、B群レンサ球菌、カン ジダ抗原、CD菌、クリプトロッカス抗原、コ ラ菌、髄膜炎菌抗原、顆粒菌エラスターゼ ヘリコバクターピロリ抗体、O157抗体、O157 原、レプトスピラ抗体、アスペルギルス抗 、MRSA、RF、総IgE、LEテスト、CRP、IgG,A,M、IgD トランスフェリン、尿中アルブミン、尿中 ランスフェリン、ミオグロビン、C3・C4、SAA LP(a)、α1-AC、α1-M、ハプトグロビン、マイク ロトランスフェリン、APRスコア、FDP、Dダイ ー、プラスミノーゲン、AT3、α2PI、PIC、PAI-1 プロテインC、凝固第X3因子、IV型コラーゲ 、ヒアルロン酸、GHbA1c、各種抗原、各種抗 、各種ウィルス、各種菌、各種アミノ酸、 種ペプチド、各種蛋白質、各種DNA、各種細 、等が挙げられる。

 本発明における検査対象物質と特異的に 互作用する物質とは、上記検査対象物質に し、選択的に吸着や結合を行う物質を指し その種類は特に限定されない。例えば、抗 、抗体、アミノ酸、ペプチド、蛋白質、塩 配列、などが挙げられる。特に抗体を用い 場合は免疫血清検査における各種抗原の存 を検出することが可能になる。例えば抗体 用いる場合であれば、その由来も特に限定 れず、またポリクローナル抗体、モノクロ ナル抗体のどちらを用いてもかまわない。 らにそれら担持物質の結合方式も特に限定 れるものではなく、物理吸着および化学結 のいずれであってもよい。担持させる際の 間を考えると物理吸着のほうが好ましく、 持後の安定性から考えると化学結合のほう 好ましい。

 本発明において、セルロース誘導体微粒子 診断薬として用いる際に、担持させる物質 担持量は一概に規定できるものではない。 査対象物質の種類、サイズおよび検体中へ 存在量、担持物質の種類およびサイズ、並 に担持するセルロース誘導体微粒子のサイ 、置換度および置換基の種類など様々な条 に応じて適宜調整して使用することが可能 ある。
 本発明においてセルロース誘導体微粒子を 断薬として用いると、検査対象物質が存在 た場合に生じる変化を検出することで診断 行うことが可能になる。その変化は測定原 に応じて様々なものがあり、濁度、色調、 径、電位、吸光度、光透過度、他物質との 互作用、など様々な変化を測定に用いる事 できる。またその変化の検出方法もそれぞ に応じたものを選択する事ができ、機器を いた読み取りや目視判断などが利用できる 本発明では後述するように紫外可視分光光 計を用いて特定波長の吸光度変化を測定し 。

 紫外可視分光光度計を用いて特定波長の 光度変化を測定するにあたり、診断薬とな セルロース誘導体微粒子と検体とを混合し セルロース誘導体微粒子の凝集度合いから 検体中の検査対象物質を定量することがで る。この検出方法において、セルロース誘 体微粒子がナノサイズの特定粒子径を有す 微粒子であり、親水性であり、凝集するこ が少なく、安定に分散し、かつ、微粒子の 子サイズが揃っていることが好ましい要件 ある。この要件を満足すると、高精度かつ ラツキの無い検査対象物質の検出が可能と る。特にCV値が小さいセルロース誘導体微 子を用いると、検査対象物質の量と粒径変 がより均一化されるため、診断薬としてよ 正確な測定が可能となる。CV値の値としては 30%以下が好ましく、より好ましくは25%以下で あり、更に好ましくは20%以下である。

 本発明においてセルロース誘導体微粒子 診断薬として用いる際に、様々な溶液中に ルロース微粒子誘導体を分散させて用いる とができるが、好ましくはPH=5.0~9.0の緩衝液 中が好ましい。例えばリン酸緩衝液、グリシ ン緩衝液、トリス緩衝液、ホウ酸緩衝液、ク エン酸緩衝液、MES緩衝液、等が挙げられる。 またその緩衝液の濃度も特に限定されるもの ではなく、一般的に緩衝液として用いられる 様々な濃度のものを用いることができる。ま たその溶液中におけるセルロース誘導体微粒 子濃度も特に限定されるものではなく、検査 対象物質の種類、性質、濃度、などに応じて 適宜調整して使用することが可能である。一 般的には0.01~10wt%程度が好ましく、より好ま くは0.1~1.0wt%である。

 本発明においてセルロース誘導体微粒子を 断薬として用いる際に、測定感度の向上や 原抗体反応の促進のために様々な増感剤を いてもかまわない。また検体中に存在する の物質によって引き起こされる非特異吸着 抑制するためにブロッキング剤などを用い もかまわない。
 本発明におけるセルロース誘導体微粒子は 診断薬のように任意の液体中に分散させて いることもできる。また、任意の固体中に 散させて用いることや、固体表面に微粒子 固定化させて用いること等も可能である。 たセルロース誘導体微粒子を着色すること より、微粒子の視認性を向上させたり、検 感度を向上させたりすることも可能である

 さらに、本発明のセルロース誘導体微粒子 単独で従来の診断薬中に添加することによ て、セルロースの親水性および安定性を生 し、試薬の安定性向上、測定感度の向上、 応時間の短縮、などの効果も期待できる。
 また、例えばその他成分と特異的に相互作 する物質を担持させる例として診断薬につ て詳細に述べたが、診断薬以外に吸着剤、 放剤およびカラム担体などにも応用できる

 以下、本発明を実施例によりさらに詳しく 明するが、本発明はこれらの実施例のみに 定されるものではない。特に記載のない限 全ての操作は25℃の環境下で行った。
 <高圧ホモジナイザーによる分散処理>
 マイクロフルイディックス社製油圧式超高 ホモジナイザーM-110-E/Hを用いた。その際の 理圧力は50MPaであり、高圧部であるチャン ーを10回通す操作を行った。

 <平均粒径の測定>
 必要な倍率に応じて次の2種類の電子顕微鏡 を用い、セルロース微粒子の観察を行った。 日本電子株式社製透過型電子顕微鏡JEM2000EX(10 0kVの加速電圧および5万倍または10万倍の倍率 で観察)、日本電子株式会社製走査型電子顕 鏡JSM-6380(10kVの加速電圧および2万倍の倍率で 観察)を用いた。セルロース誘導体微粒子分 液から粉末状セルロース誘導体微粒子への 燥は、特に記載のない限り、セルロース誘 体微粒子分散液を液体窒素で急速凍結し減 させることで凍結減圧乾燥を行った。
 上記のようにして得られた画像を、マウン ック社製画像解析式粒度分布測定ソフトウ アMac-View,Ver.3を用いて解析した。その測定 数は正確性を確保するために100個以上とし 一枚の画像に映る粒子が100個に満たない場 は2枚以上の画像を解析した。

 <セルロース微粒子のカルボキシル化の確 認>
 上記と同様の方法で粉末状カルボキシル化 ルロース微粒子を調整し、日本電子製核磁 共鳴測定装置JNM-ECA400を用いて1H-核磁気共鳴 スペクトルを測定した。スペクトルよりセル ロース骨格のC1に結合しているプロトンと、 ルボキシルメチル基のメチレンプロトンの 分値比を読み取り置換度を算出した。以下 条件にて測定を行った。
 測定溶媒:11wt%重苛性ソーダ溶液(重水および 重苛性ソーダより調整)
 C1プロトン出現位置:4.13ppm
 メチレンプロトン出現位置:3.37ppm、3.65ppm
 <セルロース微粒子のアミノ化の確認>
 従来公知の方法でケルダール法による分析 行い、アミノ化セルロース微粒子中に含ま る窒素量を定量しアミノ化セルロースの分 量から置換度を算出した。ただし架橋構造 含み分子量が定義できないものに関しては 換度の算出が不可能なので行わなかった。
<セルロース微粒子のその他誘導体化の確 >
 上記カルボキシル化の確認同様に、それぞ の置換基に応じた出現位置とC1プロトン出 位置の積分値を比較する事で置換度の算出 行った。
<セルロース微粒子の架橋化の確認>
 架橋前のセルロース微粒子重量と架橋後の ルロース微粒子重量を測定し、重量の増量 より架橋の置換度の算出を行った。

 <診断薬としての性能評価>
 紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、 V-630)を用いて測定を行った。以下の条件にて 測定を行った。
 検体:3.0μl
 希釈液:160μl
 診断薬量:40μl
 測定波長:600nm
 測定ポイント:検体と混合直後と5分後の吸 度変化値を測定
 反応温度:37℃

 <実施例中に用いた試薬等の説明>
 アセトン:和光純薬工業株式会社製、特級
 イソプロピルアルコール:キシダ化学株式会 社製、特級
 ジメチルスルホキシド:和光純薬工業株式会 社製、特級
 テトラヒドロフラン:和光純薬工業株式会社 製、特級
 クロロ酢酸ナトリウム:和光純薬工業株式会 社製
 2-クロロエチルアミン塩酸塩:和光純薬工業 式会社製
 エピクロルヒドリン:和光純薬工業株式会社 製
 2-モルホリノエタンスルホン酸(MES緩衝液用) :株式会社同仁化学研究所製
 リン酸二ナトリウム12水和物(リン酸緩衝液 ):和光純薬工業株式会社製
 リン酸二水素カリウム(リン酸緩衝液用):和 純薬工業株式会社製
 2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3- オール塩酸塩(Tris緩衝液用):Merck社製
 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カル ジイミド塩酸塩(EDC):株式会社同仁化学研究 製
 抗CRP抗体:和光純薬工業株式会社製、Anti Hum an CRP モノクローナル抗体
 CRP抗原:和光純薬工業株式会社製、LT・CRP-HS ャリブレーターセットT
    (抗原濃度5種類:0.4、1.2、3.5、16.0、35.0mg /dl)
 その他実施例中に特に記載のない限り、和 純薬工業株式会社製の試薬を用いた。

 [実施例1]
 従来公知の方法で、セルロース濃度0.37wt%、 銅濃度0.13wt%、アンモニア濃度1.00wt%の銅アン ニアセルロース溶液を調製した。さらにテ ラヒドロフラン濃度89.0wt%、水濃度11.0wt%の 固液を調製した。
 マグネティックスターラーを用い凝固液5000 gをゆっくり攪拌しながら、調製しておいた アンモニアセルロース溶液500gを添加した。5 秒程度攪拌を継続したのちに10wt%の硫酸1000g 加え中和、再生を行い、セルロース微粒子 含有したスラリー6500gを得た。
 得られたスラリーを10000rpmの速度で10分間遠 心分離した。沈殿物をデカンテーションによ り取り出し、脱イオン水を注入して攪拌し、 再び遠心分離した。PHが6.0~7.0になるまでこの 操作を数回繰り返し、その後高圧ホモジナイ ザーによる分散処理を行い、セルロース微粒 子分散液150gを得た。得られたセルロース微 子の平均粒径を測定した結果、261nmであった 。またそのCV値は18%であった。

 得られたセルロース微粒子分散液の一部 純水、イソプロピルアルコールを加え、分 媒体のイソプロピルアルコール:水の比が85: 15となり、かつ分散媒体中の粒子濃度が0.20wt% になるように調整し、100g(うちセルロース分 0.2g)のセルロース微粒子分散液を用意した セルロース微粒子分散液を回転子と共にナ 型ガラスフラスコに入れ、ガラス製還流管 取り付けた。約10℃の水道水を還流させ冷却 しながら、セルロース微粒子分散液が50℃と るようウォーターバスにて30分間加熱した なお加熱はマグネティックスターラーを用 て緩やかに攪拌させながら行った。さらに11 %の苛性ソーダ溶液を調整し、0.54g(セルロー :苛性ソーダのモル比が1.0:1.2)をセルロース 粒子分散液に攪拌しながら加えた。さらに30 分間攪拌を継続し、アルカリセルロースを調 整した。アルカリセルロースの調整後、さら に攪拌を継続しながらクロロ酢酸ナトリウム を70mg(セルロース:クロロ酢酸ナトリウムのモ ル比が1.0:0.5)を加えた。

 3時間の間、攪拌、および還流を継続し、 セルロースのカルボキシル化を行った。3時 経過後、ウォーターバスによる加熱を止め ナス型フラスコを氷水で冷やし、反応後ス リーの温度が20℃になるまで冷却した。冷却 後に攪拌を継続しながら、10%塩酸を5.0g加え 反応後スラリーのPHを酸性にした。前記と同 様に遠心分離機を用いて、デカンテーション -脱イオン水による希釈を数回繰り返し、PHを 6.0~7.0とし、さらに高圧ホモジナイザーによ 分散処理を行い、カルボキシル化セルロー 微粒子分散液100gを得た。得られたカルボキ ル化セルロース微粒子の平均粒径を測定し 結果、264nmだった。またそのCV値は19%であっ た。電子顕微鏡写真を図1に示す。さらに核 気共鳴測定装置を用いて置換度を算出した ころ、置換度は、0.078であった。

 [実施例2]
 実施例1で調整した平均粒径261nmのセルロー 微粒子分散液を用い、加えるクロロ酢酸ナ リウムの量が140mg(セルロース:クロロ酢酸ナ トリウムのモル比が1.0:1.0)であること以外は 施例1と同様の方法でセルロースのカルボキ シル化を行った。得られたカルボキシル化セ ルロース微粒子の平均粒径を測定した結果、 263nmだった。またそのCV値は21%であった。置 度は、0.157であった。

 [実施例3]
 実施例1で調整した平均粒径261nmのセルロー 微粒子分散液を用い、加えるクロロ酢酸ナ リウムの量が280mg(セルロース:クロロ酢酸ナ トリウムのモル比が1.0:2.0)であること以外は 施例1と同様の方法でセルロースのカルボキ シル化を行った。得られたカルボキシル化セ ルロース微粒子の平均粒径を測定した結果、 266nmだった。またそのCV値は22%であった。置 度は、0.312であった。

 [実施例4]
 実施例1で調整した平均粒径261nmのセルロー 微粒子分散液を用い、加えるクロロ酢酸ナ リウムの量が560mg(セルロース:クロロ酢酸ナ トリウムのモル比が1.0:4.0)であること以外は 施例1と同様の方法でセルロースのカルボキ シル化を行った。得られたカルボキシル化セ ルロース微粒子の平均粒径を測定した結果、 269nmだった。またそのCV値は22%であった。置 度は、0.486であった。

 [比較例1]
 実施例1で調整した平均粒径261nmのセルロー 微粒子分散液を用い、加えるクロロ酢酸ナ リウムの量が700mg(セルロース:クロロ酢酸ナ トリウムのモル比が1.0:5.0)であること以外は 施例1と同様の方法でセルロースのカルボキ シル化を行った。得られたカルボキシル化セ ルロース微粒子の平均粒径を測定するために 電子顕微鏡画像を撮影したところ、網目状の 構造になっていることが確認された。なお置 換度は、0.540であった。
 セルロース誘導体がカルボキシル化セルロ スの場合、置換度が0.54になると水に溶解し やすくなり、粒子形状を保てなかった。

 [比較例2]
 実施例1で調整した平均粒径261nmのセルロー 微粒子分散液を用い、加える11%苛性ソーダ 量が4.50g(セルロース:苛性ソーダのモル比が 1.0:10.0)、クロロ酢酸ナトリウムの量が7.0g(セ ロース:クロロ酢酸ナトリウムのモル比が1.0 :50.0)であること以外は実施例1と同様の方法 セルロースのカルボキシル化を行った。反 終了後に遠心分離機を用いた水洗を試みた 、生成したカルボキシル化セルロースが反 溶媒である85%イソプロピルアルコール(15%は )に溶解してしまっており回収する事はでき なかった。

 [実施例5]
 銅アンモニアセルロース溶液のアンモニア 度が6.3wt%、凝固液がイソプロピルアルコー であること以外は実施例1と同様の方法で、 平均粒径が9.2nm、CV値が20%のセルロース微粒 を得た。さらに実施例3と同様の方法でセル ースのカルボキシル化を行い、平均粒径が9 .8nm、CV値が20%、置換度が0.320のカルボキシル セルロース微粒子を得た。

 [実施例6]
 銅アンモニアセルロース溶液のアンモニア 度が8.5%、凝固液がテトラヒドロフラン90.0wt %、水10.0wt%であること以外は実施例1と同様の 方法で、平均粒径が521nm、CV値が26%のセルロ ス微粒子を得た。さらに実施例1と同様の方 でセルロースのカルボキシル化を行い、平 粒径が524nm、CV値が28%、置換度が0.151のカル キシル化セルロース微粒子を得た。

 [比較例3]
 従来公知の方法でスプレードライ法により 均粒子径5121nm、CV値10%のセルロース微粒子 得た。さらに実施例3と同様の方法でセルロ スのカルボキシル化を行い、平均粒径が5020 nm、CV値が11%、置換度が0.325のカルボキシル化 セルロース微粒子を得た。

 実施例1~6及び比較例1~3から明らかなよう 、カルボキシル化の置換度は実施例1<実 例2<実施例3<実施例4<比較例1<比較例 2であり、用いる苛性ソーダの量と反応剤の に応じて置換度をコントロールすることが きた。また用いるセルロース微粒子の大き を変えても同様に誘導体化が可能であった

 [実施例7]
 実施例1で調整した平均粒径261nmのセルロー 微粒子分散液を純水に分散し、水中の粒子 度が1.0wt%になるように調整し、20g(内、セル ロース分は0.2g)のセルロース微粒子分散液を 意した。次いで、実施例1同様に温度を50℃ 調整し、攪拌しながら苛性ソーダを加え、 中の苛性ソーダ濃度が9.0wt%になるよう調整 、30分攪拌を継続した。更に2-クロロエチル アミン塩酸塩430mg(セルロース:2-クロロエチル アミン塩酸塩のモル比が1.0:3.0)を加えた。3時 間の間、攪拌および還流を継続し、セルロー スの1級アミノ化を行った。3時間経過後に、 施例1と同様にして、1級アミノ化セルロー 微粒子分散液100gを得た。得られた1級アミノ 化セルロース微粒子は平均粒径259nm、CV値19% 置換度0.099であった。

 [実施例8]
 用いる2-クロロエチルアミン塩酸塩の量を1. 43g(セルロース:2-クロロエチルアミン塩酸塩 モル比が1.0:10.0)としたこと以外は、実施例7 同様の方法で1級アミノ化セルロース微粒子 分散液100gを得た。得られた1級アミノ化セル ース微粒子は平均粒径270nm、CV値18%、置換度 0.209であった。

 [実施例9]
 用いる2-クロロエチルアミン塩酸塩の量を7. 16g(セルロース:2-クロロエチルアミン塩酸塩 モル比が1.0:30.0)としたこと以外は、実施例7 同様の方法で1級アミノ化セルロース微粒子 分散液100gを得た。得られた1級アミノ化セル ース微粒子は平均粒径268nm、CV値21%、置換度 0.323であった。

 [実施例10]
 用いる反応剤を2-クロロエチルトリメチル ンモニウムクロリド9.56g(セルロース:2-クロ エチルトリメチルアンモニウムクロリドの ル比が1.0:50.0)としたこと以外は実施例7と同 の方法で4級アミノ化セルロース微粒子を得 た。得られた4級アミノ化セルロース微粒子 平均粒径265nm、CV値22%であり、置換度0.178で った。また実施例7~9と同様に、用いる反応 の量を変えたところ、用いる反応剤の量に じて置換度をコントロール可能であること 確認した。

 [実施例11]
 用いる反応剤を2-クロロエタノール4.97g(セ ロース:2-クロロエタノールのモル比が1.0:50.0 )としたこと以外は実施例7と同様の方法でヒ ロキシエチル化セルロース微粒子を得た。 られたヒドロキシエチル化セルロース微粒 は平均粒径263nm、CV値24%であり、置換度0.257 あった。なお置換度の算出はNMRにより行っ 。また実施例7~9と同様に、用いる反応剤の を変えたところ、用いる反応剤の量に応じ 置換度をコントロール可能であることを確 した。

 [実施例12]
 実施例1で調整した261nmのセルロース微粒子 散液を用い、加える11%苛性ソーダ溶液の量 2.25g(セルロース:苛性ソーダのモル比が1.0:5. 0)にしたこと、反応剤としてクロロ酢酸ナト ウムの代わりに沃化メチル17.5g(セルロース: 沃化メチルのモル比が1.0:100.0)を用いたこと 外は実施例1と同様の方法でメチル化セルロ ス微粒子分散液100gを得た。得られたメチル 化セルロースは平均粒径264nm、CV値20%、置換 0.972であった。なお置換度の算出はNMRにより 行った。また、実施例7~9と同様に、用いる反 応剤の量を変えたところ、用いる反応剤の量 に応じて置換度をコントロール可能であるこ とを確認した。

 [実施例13]
 用いる反応剤をブロモエタン6.73g(セルロー :ブロモエタンのモル比が1.0:50.0)としたこと 以外は実施例12と同様の方法でエチル化セル ース微粒子分散液を得た。得られたエチル セルロース微粒子は平均粒径251nm、CV値20%で あり、置換度0.745であった。なお置換度の算 はNMRにより行った。また実施例7~9と同様に 用いる反応剤の量を変えたところ、用いる 応剤の量に応じて置換度をコントロール可 であることを確認した。
 実施例7~13で明らかなように、用いる反応剤 を変えることで置換基の種類を変えることが 出来た。

 [実施例14]
 実施例1で調整した平均粒径261nmのセルロー 微粒子分散液を純水に分散し、水中の粒子 度が10.0wt%になるように調整し、100gのセル ース微粒子分散液を調整した(セルロース分1 0g)。分散液をマグネティックスターラーで攪 拌させ、80℃の環境下で還流を行いながら、 リオキザール系レジン加工剤「ベッカミンL F-X」(大日本インキ化学工業社製)を50g、塩化 グネシウム系触媒「カタリストM」(大日本 ンキ化学工業社製)を15g加え、30分攪拌を継 しセルロース微粒子の架橋を行った。得ら た架橋セルロース微粒子分散液を実施例1と 様に遠心分離機を用いて、デカンテーショ -脱イオン水による希釈を3回繰り返し、架 セルロース微粒子分散液を得た。セルロー の重量変化より、架橋された置換基の割合 計算した。架橋された水酸基の割合を置換 で表すと0.32であった。得られた架橋セルロ ス微粒子を比較例2と同様の方法でカルボキ シル化を行ったところ、遠心分離機による処 理で微粒子の回収ができ、カルボキシル化及 び架橋化セルロース誘導体微粒子を得た。得 られたカルボキシル化及び架橋化セルロース 誘導体微粒子の平均粒径は275nm、CV値は23%で った。また得られたカルボキシル化及び架 化セルロース誘導体微粒子は11%重苛性ソー 溶液に溶解させることができなかったため 0.1%苛性ソーダ溶液にて中和滴定を行い、溶 のPHが7.0になった時の0.1%苛性ソーダ溶液の 用量よりカルボキシル化置換度を産出した ころ、カルボキシル化置換度は2.13であった 。
 比較例2と実施例の比較により、カルボキシ ル化に架橋構造を加えることで高いカルボキ シル化置換度を持ちながらも水に不要な微粒 子を得る事に成功した。

 [実施例15]
 実施例7と同様に、セルロースの粒子濃度が 1.0wt%、苛性ソーダ濃度が9.0wt%になるように調 整し、反応剤としてエピクロルヒドリン2.28g( セルロース:エピクロルヒドリンのモル比が1. 0:20.0)を加えた。
 3時間の間、攪拌および還流を継続し、セル ロースの水酸基のエポキシ活性化を行った。 3時間経過後、さらに23wt%アンモニア水を9.14g( セルロース:アンモニアのモル比が1.0:100.0)を えてエポキシ基をアンモニアで開裂させ1級 アミノ化と架橋を行った。反応終了後は実施 例7と同様にして水洗を行い、アミノ化セル ース微粒子分散液100gを得た。得られたアミ 化セルロース微粒子の平均粒径を測定した 果、270nmだった。またそのCV値は20%であった 。さらにケルダール法により、アミノ化セル ロース中に含まれる窒素分を定量したところ 、1.21%であった。また実施例7~9と同様に、用 る反応剤の量を変えたところ、用いる反応 の量に応じて窒素分のコントロールが可能 あることを確認した。このようにエピクロ ヒドリンを用いることで、架橋とアミノ化 同時に行う事ができることを確認した。

 以上の実施例1~15と比較例1~3で得られたセ ルロース誘導体微粒子の置換基の種類、置換 度、平均粒径、CV値、電子顕微鏡画像より分 る微粒子の形状をまとめて表1に示す。また 実施例1、5、6の途中で得られている誘導体化 を行う前のセルロース微粒子を、それぞれ比 較例4~6とし、平均粒径、CV値、微粒子の形状 表1に併せて示す。

 得られたセルロース誘導体微粒子およびセ ロース微粒子の分散安定性を評価したとこ 、比較例3を除きいずれも界面活性剤など添 加することなく、安定な分散状態を保ってい た。比較例3は粒径が大きいため、数時間の 置後に沈降が生じていた。

 [実施例16]
 <緩衝液の作製>
 以下3種類の緩衝液を作製した。作製方法は 従来公知の方法で行い、MESおよびTris緩衝液 PH調整は塩酸と苛性ソーダを用い、リン酸緩 衝液はリン酸二ナトリウム12水和物とリン酸 水素カリウムの量を調整しPH調整を行った また水は全て脱イオン水を用いた。
 (1)MES緩衝液:PH=5.0、MES濃度50mM
 (2)リン酸緩衝液:PH=7.2、リン酸濃度50mM
 (3)Tris緩衝液:PH=8.0、Tris濃度10mM

 <カルボキシル化セルロース微粒子のカル ボジイミド活性化>
 実施例1で得られたカルボキシル化セルロー ス微粒子分散液2.5gを15,000rpmの速度で30分間遠 心分離を行った。沈殿物をデカンテーション により取り出し、MES緩衝液を0.5g加えて攪拌 、カルボキシル化セルロース微粒子をMES緩 液に分散させた。
 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カル ジイミド塩酸塩(以下カルボジイミドと言う )をMES緩衝液に溶解させ、カルボジイミド濃 が20wt%となるよう調整し、そのうちの0.5gを ルボキシル化セルロース微粒子分散液に加 た。恒温振盪槽を用い25度の環境下で1時間 応させカルボジイミド活性化セルロース微 子を調整した。反応終了後に15,000rpmの速度 30分間遠心分離を行った。沈殿物をデカンテ ーションにより取り出し、リン酸緩衝液を0.6 7g加えて攪拌し、カルボジイミド活性化セル ース微粒子をリン酸緩衝液に分散させた。

 <カルボジイミド活性化セルロース微粒子 への抗CRP抗体結合>
 さらに抗CRP抗体水溶液75μlをカルボジイミ 活性化セルロース微粒子分散液に加え、恒 振盪槽を用い25℃の環境下で20時間反応させ 抗CRP抗体結合セルロース微粒子を調整した 反応終了後に15,000rpmの速度で30分間遠心分 を行った。沈殿物をデカンテーションによ 取り出し、Tris緩衝液を2g加えた。15,000rpmの 度で30分間遠心分離を行い、沈殿物をデカン テーションにより取り出す作業を2回行い、 終的に粒子濃度が0.40wt%になるようTris緩衝液 を加えた。得られた分散液を超音波分散機( 式会社エスエムテー社製、UH-50)によって処 し、抗CRP抗体担持セルロース微粒子分散液 調整した。

 <微粒子への抗体結合量算出>
 上記とは別に、抗CRP抗体をリン酸緩衝液に え数種類の濃度のものを作製し、分光光度 (日本分光社製、V-630)を用いて280nmの固定波 で吸光度を測定し、抗CRP抗体の検量線を作 した。上記抗CRP抗体との反応後にデカンテ ションした際の上澄み液を同じく分光光度 で測定し、微粒子に担持されなかった抗CRP 体量を計量し、そこから逆算して微粒子に 持された抗CRP抗体量を計算すると、粒子1mg りの抗CRP抗体担持量は180μgであった。

 <ラテックスイノムアッセイ>
 得られた抗CRP抗体担持セルロース微粒子分 液を用いて診断薬としての性能評価を行っ 。抗原濃度既知の5種類の検体に加え、Tris 衝液のみと混合した検体(抗原濃度0mg/dlに相 )の合計6種類の検体の測定を行った。その 果を図2に示す。
 図2から明らかなように、抗CRP抗体担持セル ロース微粒子はCRP抗原の量によって凝集度合 いが変化し、診断薬としての利用が可能であ った。

 [実施例17]
 抗CRP抗体担持後に微粒子濃度5.0wt%の水分散 とすること以外は実施例16と同様の方法で CRP抗体担持セルロース微粒子分散液を調整 た。得られた分散液をスライドグラス(松浪 子工業社製、MASコートスライドグラス)上に 滴下し、25℃の環境下で24時間静置乾燥させ 。滴下した部分を電子顕微鏡で観察したと ろ、CRP抗体担持セルロース微粒子が表面に 定されていることが確認できた。

 本発明のセルロース誘導体微粒子は粒径 小さく、親水性が高いため、界面活性剤な を必要とせず安定分散が可能である。また 多様な化合物を担持させることも可能であ 。例えば抗体を担持させることにより診断 としての利用が可能である。




 
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