Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
COATING COMPOSITION FOR FORMING HIGH DIELECTRIC FILM AND HIGH DIELECTRIC FILM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/116527
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a nonporous high dielectric film which can be formed thin, while having improved withstand voltage, insulating properties and dielectric constant. The nonporous high dielectric film is particularly reduced in dielectric loss at high temperatures. Also disclosed is a coating composition for forming the high dielectric film, which contains (A) a vinylidene fluoride resin, (B) a cellulose resin and (C) a solvent.

Inventors:
KOH MEITEN (JP)
TATEMICHI MAYUKO (JP)
MUKAI ERI (JP)
OTA MIHARU (JP)
YOKOTANI KOUJI (JP)
KOMATSU NOBUYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055162
Publication Date:
September 24, 2009
Filing Date:
March 17, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
DAIKIN IND LTD (JP)
KOH MEITEN (JP)
TATEMICHI MAYUKO (JP)
MUKAI ERI (JP)
OTA MIHARU (JP)
YOKOTANI KOUJI (JP)
KOMATSU NOBUYUKI (JP)
International Classes:
H01G4/18; H01B3/30; H01B3/44; H01B3/52; H01G4/30; H01G13/02
Domestic Patent References:
WO2001078171A12001-10-18
Foreign References:
JP2008034189A2008-02-14
JPH01204959A1989-08-17
JP2001261959A2001-09-26
JPS60199046A1985-10-08
JPH0278425A1990-03-19
JPS6318141A1988-01-26
JPH0318113A1991-01-25
JPS60262414A1985-12-25
JPH03286514A1991-12-17
JPH02250306A1990-10-08
JP3664342B22005-06-22
Other References:
See also references of EP 2256760A4
Attorney, Agent or Firm:
ASAHINA, Sohta (JP)
Asahi 奈 Muneta (JP)
Download PDF:
Claims:
 (A)フッ化ビニリデン系樹脂、
(B)セルロース系樹脂、および
(C)溶剤
を含む高誘電性フィルム形成用コーティング組成物。
 前記フッ化ビニリデン系樹脂(A)/セルロース系樹脂(B)が、質量比で0.1/99.9~99.9/0.1である請求項1記載のコーティング組成物。
 前記セルロース系樹脂(B)が、酢酸セルロースまたはエーテル置換セルロースである請求項1または2記載のコーティング組成物。
 フッ化ビニリデン系樹脂(A)が、フッ化ビニリデン単位60~100モル%、テトラフルオロエチレン単位0~40モル%およびヘキサフルオロプロピレン0~40モル%を含む重合体である請求項1~3のいずれかに記載のコーティング組成物。
 さらにゴム粒子(D)を含む請求項1~4のいずれかに記載のコーティング組成物。
 請求項1~5のコーティング組成物を非多孔質基材表面にキャストし、乾燥した後、該基材から剥離することを特徴とする非多孔質高誘電性フィルムの製造方法。
 フッ化ビニリデン系樹脂(A)とセルロース系樹脂(B)を含み、(A)+(B)を100質量部としたとき、(A)が2~98質量部である非多孔質高誘電性フィルム。
 フッ化ビニリデン系樹脂(A)100質量部に対してゴム粒子(D)が1~30質量部含まれている請求項7記載の非多孔質高誘電性フィルム。
 請求項6記載の製造方法で得られた非多孔質高誘電性フィルム。
 フィルムコンデンサ用である請求項7~9のいずれかに記載の非多孔質高誘電性フィルム。
 請求項7~10のいずれかに記載の高誘電性フィルムの少なくとも片面に電極層が積層されているフィルムコンデンサ。
Description:
高誘電性フィルム形成用のコー ィング組成物および高誘電性フィルム

 本発明は、フィルムコンデンサ用に適し 高誘電性フィルム形成用のコーティング組 物および高誘電性フィルムに関する。

 従来、フィルムコンデンサ用フィルムに 、その誘電率の高さから、ビニリデンフル ライド(PVdF)を用いることが提案されている 、PVdFは誘電正接(tanδ)の温度依存性が高く 高温(80℃以上)では急激に上昇してしまうこ が知られている(特許文献1など)。誘電正接 大きくなる、すなわち誘電損失が大きくな とコンデンサが不安定になり、回路の信頼 が損なわれることになる。

 そこで、特許文献1には、PVdFに一定の割 でポリオキシメチレンなどのポリエーテル 配合することにより、PVdFの誘電損失を小さ し、しかもPVdF自体よりも誘電損失を低くで きることが記載されている。

 しかし、ポリエーテルを配合する場合は 誘電損失の温度依存性が高い点などに改善 余地がある。

 ところで、PVdFに種々の他の樹脂を混合し て得られる多種多様な特性を利用することは 一般的に行われている。たとえば成形用や塗 料用の熱可塑性樹脂組成物としてPVdFにポリ 酸ビニル、アクリル樹脂などを混合するこ などは特許文献1にも記載されている。

 そうしたPVdF混合組成物として、ポリ酢酸 セルロースなどの親水性重合体を混合するこ とも知られているが(特許文献2)、このものは 限外濾過用の半透膜や微小濾過用の半透膜に 用いる多孔質膜である。

特開昭60-199046号公報

特開平02-078425号公報

 本発明は、耐電圧、絶縁性、誘電率の向 、特に高温での誘電損失の低減化を可能に 、かつ薄膜化が可能である非多孔質高誘電 フィルム、および該高誘電性フィルム形成 のコーティング組成物を提供することを目 とする。

 本発明は、
(A)フッ化ビニリデン系樹脂、
(B)セルロース系樹脂、および
(C)溶剤
を含む高誘電性フィルム形成用コーティング 組成物に関する。

 本発明の組成物において、前記フッ化ビ リデン系樹脂(A)/セルロース系樹脂(B)が、質 量比で0.1/99.9~99.9/0.1であることが、フッ化ビ リデンの誘電損失の低減を図るうえで、ま 、セルロースの誘電率を向上させるうえで ましい。

 前記セルロース系樹脂(B)としては、酢酸 ルロースまたはエーテル置換セルロースで ることが、フィルムの機械特性が良好な点 ら好ましい。

 フッ化ビニリデン系樹脂(A)としては、フ 化ビニリデン単位60~100モル%、テトラフルオ ロエチレン単位0~40モル%およびヘキサフルオ プロピレン0~40モル%を含む重合体であるこ が、誘電率が高い点から好ましい。

 また、本発明の組成物はゴム粒子(D)を含 でいてもよい。ゴム粒子(D)が含まれること より、得られるフィルムの機械的強度、特 伸びが改善され、また、ゴム弾性などの性 を付与することができる。

 本発明はまた、本発明のコーティング組 物を非多孔質基材表面にキャストし、乾燥 た後、該基材から剥離することを特徴とす 非多孔質高誘電性フィルムの製造方法にも する。

 本発明はさらに、フッ化ビニリデン系樹脂( A)とセルロース系樹脂(B)を含み、(A)+(B)を100質 量部としたとき、(A)が2~98質量部である非多 質高誘電性フィルムにも関する。
 ゴム粒子(D)を配合する場合は、フッ化ビニ デン系樹脂(A)100質量部に対して1~30質量部含 まれていることが好ましい。

 本発明はさらにまた、本発明の製造方法 得られた非多孔質高誘電性フィルムにも関 る。

 これらの非多孔質高誘電性フィルムはフ ルムコンデンサ用のフィルムとして好適で る。

 さらに本発明は、本発明の高誘電性フィ ムの少なくとも片面に電極層が積層されて るフィルムコンデンサにも関する。

 本発明によれば、耐電圧、絶縁性、誘電 の向上、特に高温での誘電損失の低減化を 能にし、かつ薄膜化が可能であるフィルム ンデンサ用として好適な非多孔質高誘電性 ィルム、および該高誘電性フィルム形成用 コーティング組成物を提供することができ 。

 まず、本発明の高誘電性フィルム形成用 ーティング組成物について説明する。

 本発明のコーティング組成物は、(A)フッ ビニリデン(VdF)系樹脂、(B)セルロース系樹 、および(C)溶剤を含む。

 以下、各成分について説明する。

(A)VdF系樹脂
 VdFの単独重合体(PVdF)のほか、VdFと共重合可 な他の単量体の1種または2種以上との共重 体が例示でき、これらのうち、誘電率が4以 、さらには6以上、なかでも7以上、特に7.5 上のものが、耐電圧、絶縁性、誘電率の向 の点から好ましい。

 VdF系樹脂(A)としては、フッ化ビニリデン( VdF)の単独重合体(PVdF)でも、VdFと共重合可能 他の単量体との共重合体であってもよい。 た、VdFの単独重合体とVdF共重合体とのブレ ド、またはVdF共重合体同士のブレンドであ てもよい。

 VdFと共重合可能な他の単量体としては、 とえば、テトラフルオロエチレン(TFE)、ク ロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオ エチレン(TrFE)、モノフルオロエチレン、ヘ サフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ( ルキルビニルエーテル)(PAVE)などの含フッ素 レフィン類;含フッ素アクリレート、官能基 含有含フッ素単量体などがあげられる。これ らのうち、溶剤溶解性が良好な点から、TFE、 CTFE、HFPが好ましい。共重合割合は、VdFが50モ ル%以上、好ましくは60モル%以上であること 、誘電率が高い点、溶剤溶解性が高い点か 好ましい。

 なかでも、VdF単位60~100モル%、TFE単位0~40 ル%およびHFP0~40モル%を含む重合体であるこ が、誘電率が6以上であり好ましい。

 具体的には、VdFの単独重合体(PVdF)、VdF/TFE 系共重合体、VdF/TFE/HFP系共重合体、VdF/HFP系共 重合体、VdF/CTFE系共重合体などが例示でき、 に誘電率が高い点、溶剤溶解性が良好な点 ら、PVdF、VdF/TFE系共重合体、VdF/HFP系共重合 が好ましい。

 VdF/TFE系共重合体の場合、その組成比は、VdF 単位が60~95モル%でTFE単位が5~40モル%であるこ が、特にVdF単位が70~90モル%でTFE単位が10~30 ル%であることが、耐電圧が高くなる点から ましい。また、VdF系樹脂自体の誘電損失を げるために、エチレン、プロピレン、アル ルビニルエーテル、酢酸ビニル、塩化ビニ 、塩化ビニリデン、CH 2 =CHCF 3 、CH 2 =CFCF 3 などと共重合することも好ましい。この場合 、VdFとは直接反応しにくいので、TFEのような 上記の共重合可能な他の単量体とともに共重 合することもできる。また、VdF系樹脂自体の 比誘電率(1kHz、25℃)は5以上、好ましくは6以 、さらには7.5以上であることが、フィルム 誘電率をさらに高める点から好ましい。な 、上限値はとくに制限はないが、通常15、好 ましくは13である。

(B)セルロース系樹脂
 VdF系樹脂(A)の誘電損失の温度依存性、特に 温での温度依存性を低減化するために配合 る。

 セルロース系樹脂としては、たとえばモ 酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース、トリ 酸セルロース、酢酸セルロースプロピオネ トなどのエステル置換セルロース;メチルセ ルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプ ロピルメチルセルロースなどのエーテルで置 換されたセルロースなどが例示できる。これ らの中でも、誘電損失の温度係数が低い点か ら、(モノ、ジ、トリ)酢酸セルロース、メチ セルロースが好ましい。

 VdF系樹脂(A)とセルロース系樹脂(B)の比率( 質量比)は、誘電率が高く、誘電損失が低い から0.1/99.9以上、さらに機械特性が良好な点 から20/80以上が好ましい。また、(A)/(B)は、誘 電損失が低く機械特性が良好で誘電率が高い 点から99.9/0.1以下、さらに誘電損失の温度依 性が低い点から98/2以下が好ましい。

(C)溶剤
 溶剤としては、VdF系樹脂(A)およびセルロー 系樹脂(B)を溶解する任意の溶媒を使用でき が、特に、極性有機溶媒が好ましい。なか も極性有機溶媒としては、たとえばケトン 溶剤、エステル系溶媒、カーボネート系溶 、環状エーテル系溶媒、アミド系溶剤が好 しい。具体的には、メチルエチルケトン、 チルイソブチルケトン、アセトン、ジエチ ケトン、ジプロピルケトン、酢酸エチル、 酸メチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳 エチル、ジメチルカーボネート、ジエチル ーボネート、ジプロピルカーボネート、メ ルエチルカーボネート、テトラヒドロフラ 、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア ドなどが好ましくあげられる。

 本発明のコーティング組成物では、溶剤( C)により、VdF系樹脂(A)およびセルロース系樹 (B)、その他の任意成分のうちの固形分の合 の固形分濃度を5~30質量%とすることが、コ ティング作業が容易で、組成物の安定性が いことから好ましい。

(D)ゴム粒子
 本発明において、ゴム粒子(D)はフィルムに 械的強度、特に伸びを与え、さらにゴム弾 などの性質を付与する役割をもっている。

 そうした役割を果たすのに好適なゴム粒 のゴムとしては、限定的ではないが、アク ルゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム シリコンアクリル複合ゴム、天然ゴム、ニ リルゴム、ウレタンゴム、スチレン-ブタジ エンゴム、イソプレンゴムなどのジエン系ゴ ム;VdF-テトラフルオロエチレン(TFE)系ゴムな のフッ素系ゴムなどが例示できる。

 これらのうち比誘電率が高く、分散性が 好な点から、アクリルゴム、ブタジエンゴ およびシリコーンゴムが好ましい。

 また、これらのゴム粒子の表面をポリメ クリル酸メチル、およびアクリロニトリル/ スチレン共重合体よりなる群から選ばれる少 なくとも1種で被覆した、いわゆるコア-シェ ゴム粒子であってもよい。このコア-シェル ゴム粒子を用いるときは、フッ化ビニリデン 系樹脂との相溶性の点で優れている。

 また、ゴム粒子は未架橋ゴム(生ゴム)粒 でもよいし、架橋されたゴム粒子でもよい 、耐溶剤性が良好な点から、架橋ゴム粒子 好ましい。ゴムの架橋は公知の定法に従っ 行えばよい。

 ゴム粒子(D)の粒子径は、平均一次粒子径 0.1~2.0μm、さらには0.15~1.5μm、特に0.2~1.0μm程 度であることが、樹脂への分散性とフィルム の強度向上を両立させることができる点から 好ましい。

 ゴム粒子(D)の配合量は、フッ化ビニリデ 系樹脂(A)100質量部に対して、1質量部以上、 好ましくは5質量部以上、特に好ましくは10質 量部以上である。少なすぎるとフィルムの機 械的強度、特に伸びの向上効果が小さくなる 傾向にある。上限は30質量部である。多くな すぎると樹脂への分散性が不良となる傾向 ある。好ましい上限は20質量部である。

(E)他の任意成分
 本発明のコーティング組成物には、任意成 として、他の補強用フィラーや親和性向上 などの添加剤を、本発明の効果を損なわな 範囲内で含ませてもよい。

 補強用フィラーとしては、たとえばシリ 、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化マグネシ ム、チタン酸カリウム、ガラス、アルミナ 硼素化合物の粒子または繊維があげられ、 和性向上剤としては、たとえば官能基変性 リオレフィン、スチレン改質ポリオレフィ 、官能基変性ポリスチレン、ポリアクリル イミド、クミルフェノールなどがあげられ 本発明の効果を損なわない範囲内で含んで よい。なお、耐電圧の点からはこれらの成 は含まないことがより好ましい。

 しかし、高誘電性フィルムコンデンサに く配合される高誘電性無機粒子は、本発明 おいては配合しなくても、誘電損失の温度 存性、特に高温での温度依存性を低減化す ことができる。

 そうした高誘電性無機粒子としては、チ ン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、 タン酸ジルコン酸鉛系酸化物(PZT)、チタン ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム ジルコン酸ストロンチウム、チタン酸カル ウム、ジルコン酸カルシウムなどが例示で る。

 本発明のコーティング組成物は、これら 各成分を溶剤に溶解または分散させること より調製できる。

 本発明のコーティング組成物のコーティ グ方法としては、ナイフコーティング法、 ャストコーティング法、ロールコーティン 法、グラビアコーティング法、ブレードコ ティング法、ロッドコーティング法、エア クタコーティング法、カーテンコーティン 法、ファクンランコーティング法、キスコ ティング法、スクリーンコーティング法、 ピンコーティング法、スプレーコーティン 法、押出コーティング法、電着コーティン 法などが使用できるが、これらのうち操作 が容易な点、膜厚のバラツキが少ない点、 産性に優れる点からロールコーティング法 グラビアコーティング法、キャストコーテ ング法、特にキャストコーティング法が好 しく、優れたフィルムコンデンサ用フィル を製造することができる。

 本発明のコーティング組成物を非多孔質 材表面にキャストし、乾燥した後、該基材 ら剥離するときは、得られる非多孔質高誘 性フィルムは、耐電圧が高く、電気絶縁性 高い点で優れ、また薄膜で可撓性を有する で優れ、誘電損失の温度依存性が小さいも である。

 キャストコーティングに使用する非多孔 基材としては、緻密なフィルム表面を形成 きる材料であれば特に限定されず、たとえ ポリエステルフィルム、ポリカーボネート ィルム、ポリイミドフィルムなどの樹脂フ ルム;アルミニウム箔、銅箔などの金属箔な どが例示できる。また、離型処理を施したも のが好ましい。

 かくして得られる本発明の非多孔質高誘 性フィルムは、フィルムコンデンサ用のフ ルムとする場合、膜厚を20μm以下、好まし は10μm以下、さらに好ましくは6μm以下、特 好ましくは5μm以下にすることができる。膜 の下限は機械的強度の維持の点から約2μmが 好ましい。

 本発明はまた、VdF系樹脂(A)とセルロース 樹脂(B)を含み、(A)+(B)を100質量部としたとき 、(A)が2~98質量部である非多孔質高誘電性フ ルムにも関する。

 本発明のコーティング組成物を使用して 造される非多孔質高誘電性フィルムには、( A)+(B)を100質量部としたとき、VdF系樹脂(A)が0.1 ~99.9質量部、好ましくは2~98質量部含まれ得る 。この非多孔質高誘電性フィルムも上記のと おり優れた特性を有しているが、なかでも、 (A)+(B)を100質量部としたとき、VdF系樹脂(A)が2~ 40質量部、さらに好ましくは5~30質量部である 非多孔質高誘電性フィルムは、誘電率はVdF系 樹脂単独に比べると低いがセルロース系樹脂 単独に比べて高くなるうえ、誘電損失の温度 依存性を大幅に小さくでき、また耐電圧も向 上している。また、(A)+(B)を100質量部とした き、VdF系樹脂(A)が60~98質量部、さらに好まし くは70~95質量部である非多孔質高誘電性フィ ムは、誘電率はVdF系樹脂由来の高い誘電率 もち、しかも誘電損失の温度依存性を小さ でき、また耐電圧も向上している。

 本発明はまた、本発明の非多孔質高誘電 フィルムの少なくとも片面に電極層が積層 れているフィルムコンデンサに関する。

 フィルムコンデンサの構造としては、た えば、電極層と高誘電体フィルムが交互に 層された積層型(特開昭63-181411号公報、特開 平3-18113号公報など)や、テープ状の高誘電体 ィルムと電極層を巻き込んだ巻回型(高誘電 体フィルム上に電極が連続して積層されてい ない特開昭60-262414号公報などに開示されたも のや、高誘電体フィルム上に電極が連続して 積層されている特開平3-286514号公報などに開 されたものなど)などが挙げられる。構造が 単純で、製造も比較的容易な、高誘電体フィ ルム上に電極層が連続して積層されている巻 回型フィルムコンデンサの場合は、一般的に は片面に電極を積層した高誘電体フィルムを 電極同士が接触しないように2枚重ねて巻き んで、必要に応じて、巻き込んだ後に、ほ れないように固定して製造される。

 電極層は、特に限定されないが、一般的 、アルミニウム、亜鉛、金、白金、銅など 導電性金属からなる層であって、金属箔と て、または蒸着金属被膜として用いる。本 明においては、金属箔と蒸着金属被膜のい れでも、また、両者を併用しても構わない 電極層を薄くでき、その結果、体積に対し 容量を大きくでき、誘電体との密着性に優 、また、厚さのバラつきが小さい点で、通 は、蒸着金属被膜が好ましい。蒸着金属被 は、一層のものに限らず、例えば、耐湿性 持たせるためにアルミニウム層にさらに半 体の酸化アルミニウム層を形成して電極層 する方法(例えば特開平2-250306号公報など)な ど、必要に応じて多層にしてもよい。蒸着金 属被膜の厚さも特に限定されないが、好まし くは100~2,000オングストローム、より好ましく は200~1,000オングストロームの範囲とする。蒸 着金属被膜の厚さがこの範囲である時に、コ ンデンサの容量や強度がバランスされ好適で ある。

 電極層として蒸着金属被膜を用いる場合 被膜の形成方法は特に限定されず、例えば 真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプ ーティング法などを採用することができる 通常は、真空蒸着法が用いられる。

 真空蒸着法としては、例えば、成形品の ッチ方式と、長尺品で使用される半連続(セ ミコンテニアス)方式と連続(air to air)方式な どがあり、現在は、半連続方式が主力として 行われている。半連続方式の金属蒸着法は、 真空系の中で金属蒸着、巻き取りした後、真 空系を大気系に戻し、蒸着されたフィルムを 取り出す方法である。

 半連続方式については、具体的にはたと ば、特許第3664342号明細書に図1を参照して 載されている方法で行うことができる。

 高誘電体フィルム上に金属薄膜層を形成 る場合、あらかじめ高誘電体フィルム表面 、コロナ処理、プラズマ処理など、接着性 上のための処理を施しておくこともできる 電極層として金属箔を用いる場合も、金属 の厚さは特に限定されないが、通常は、0.1~ 100μm、好ましくは1~50μm、より好ましくは3~15 mの範囲である。

 固定方法は、特に限定されず、例えば、 脂で封止したり絶縁ケースなどに封入する とにより、固定と構造の保護とを同時に行 ばよい。リード線の接続方法も限定されず 溶接、超音波圧接、熱圧接、粘着テープに る固定などが例示される。巻き込む前から 極にリード線を接続しておいてもよい。絶 ケースに封入する場合など、必要に応じて ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化 樹脂で開口部などを封止して酸化劣化など 防止してもよい。

 このようにして得られた本発明のフィル コンデンサは、高誘電性、高耐電圧でかつ 電損失の温度依存性が小さい。

 つぎに本発明を実施例などをあげて具体 に説明するが、本発明はかかる例のみに限 されるものではない。

 なお、本明細書で使用している特性値は つぎの方法で測定したものである。

(膜厚)
 デジタル測長機((株)仙台ニコン製のMF-1001) 用いて、基板に載せたフィルムを室温下に 測定する。

(誘電損失および比誘電率)
 高誘電性フィルムを真空中で両面にアルミ ウムを蒸着しサンプルとする。このサンプ をインピーダンスアナライザ(ヒューレット パッカード(株)製のHP4194A)にて、室温(20℃)お び80℃下で、周波数100Hz、1kHz、10kHzおよび100 kHzでの静電容量と誘電正接を測定する。得ら れた各静電容量と誘電正接の測定値から比誘 電率および誘電損失(%)を算出する。

(耐電圧)
 耐電圧・絶縁抵抗試験器(菊水電子工業(株)T OS9201)を用いて、基板に載せたフィルムをド イエアー雰囲気下にて測定する。昇圧速度 100V/sで測定する。

(電気絶縁性)
 デジタル超絶縁計/微小電流計にて、20℃で 体積抵抗率(ω)をドライエアー雰囲気下、DC1 00Vで測定する。

(引張破断強度)
 引張試験機(ORIENTEC(株)製のRTC-1225A)を用いて 引張破断強度(MPa)を測定する。

(引張破断伸度)
 引張試験機(ORIENTEC(株)製のRTC-1225A)を用いて 引張破断伸度(%)を測定する。

実施例1
 1Lセパラブルフラスコ中にジメチルアセト ミド(DMAc)(キシダ化学(株)製)800質量部とポリ ッ化ビニリデン(PVdF)(ARKEMA社製KAYNAR761)を200 量部入れ、60℃にて3時間、メカニカルスタ ラーにて攪拌し、20質量%濃度のPVdF溶液を得 。

 別途、1Lセパラブルフラスコ中にジメチ アセトアミド(DMAc)(キシダ化学(株)製)800質量 と酢酸セルロース(AC)(ダイセル化学工業(株) 製のL-20)を200質量部入れ、60℃にて3時間、メ ニカルスターラーにて攪拌し、20質量%濃度 酢酸セルロース溶液を得た。

 これらの2つの溶液をPVdFとACの質量比が95/ 5となるように混合し、希釈溶液としてテト ヒドロフラン(THF)を任意の量添加し、本発明 のコーティング組成物を製造した。

 このコーティング組成物をマイクログラ アコーター((株)康井精機製のOS-750)を用いて 、離型処理を施した38μm厚の非多孔質ポリエ テル(PET)フィルム上にキャストし、150℃の6m の乾燥炉、続いて180℃の6mの乾燥炉に通すこ により、PETフィルム上に膜厚8μmのキャスト フィルムが形成された積層フィルムを得た。 ついで、PETフィルムから剥離することにより 、膜厚8.3μmの本発明の高誘電性フィルムを得 た。

 得られたフィルムについて、耐電圧、体 抵抗率、引張破断強度を測定し、また、20 および80℃における各周波数(100Hz、1kHz、10kHz および100kHz)での誘電損失および比誘電率を 出した。結果を表1に示す。

実施例2~4
 実施例1において、PVdFと酢酸セルロースと 質量比を表1に示す比率にしたほかは実施例1 と同様にして本発明のコーティング組成物お よび非多孔質高誘電性フィルムを作製した。

 これらの非多孔質高誘電性フィルムにつ て、実施例1と同様にして耐電圧、体積抵抗 率、引張破断強度を測定し、また、20℃およ 80℃における各周波数での誘電損失および 誘電率を算出した。結果を表1に示す。

比較例1
 実施例1において、酢酸セルロースを配合せ ずにPVdFのみを使用したほかは実施例1と同様 して比較用のコーティング組成物および非 孔質高誘電性フィルムを作製した。

 これらの非多孔質高誘電性フィルムにつ て、実施例1と同様にして耐電圧、体積抵抗 率、引張破断強度を測定し、また、20℃およ 80℃における各周波数での誘電損失および 誘電率を算出した。結果を表1に示す。

 表1の結果から、PVdFと酢酸セルロースと 併用することにより、高温での誘電損失の 減化、およびPVdF単独使用に比して耐電圧の 上が図れており、電気絶縁性も向上し、機 的強度も改善されていることが分かる。

実施例5~8
 実施例1において、PVdFと酢酸セルロースと 質量比を表2に示す比率にしたほかは実施例1 と同様にして本発明のコーティング組成物お よび非多孔質高誘電性フィルムを作製した。

 これらの非多孔質高誘電性フィルムにつ て、実施例1と同様にして耐電圧、体積抵抗 率、引張破断強度を測定し、また、20℃およ 80℃における各周波数での誘電損失および 誘電率を算出した。結果を表2に示す。

比較例2
 実施例1において、PVdFを配合せずに酢酸セ ロースのみを使用したほかは実施例1と同様 して比較用のコーティング組成物および非 孔質高誘電性フィルムを作製した。

 これらの非多孔質高誘電性フィルムにつ て、実施例1と同様にして耐電圧、体積抵抗 率、引張破断強度を測定し、また、20℃およ 80℃における各周波数での誘電損失および 誘電率を算出した。結果を表2に示す。

 表2の結果から、PVdFと酢酸セルロースと 併用することにより、高温での誘電損失の 減化、およびPVdF単独使用に比して耐電圧の 上が図れていることが分かる。

実施例9
 実施例2において、VdF系樹脂としてVdF/TFE(80/2 0モル%)を用いたほかは実施例2と同様にして 発明のコーティング組成物および非多孔質 誘電性フィルムを作製した。

 これらの非多孔質高誘電性フィルムにつ て、実施例2と同様にして耐電圧、20℃およ 80℃における各周波数での誘電損失および 誘電率を算出した。結果を表3に示す。

実施例10
 実施例2において、VdF系樹脂としてVdF/HFP(88/1 2モル%)を用いたほかは実施例2と同様にして 発明のコーティング組成物および非多孔質 誘電性フィルムを作製した。

 これらの非多孔質高誘電性フィルムにつ て、実施例2と同様にして耐電圧、20℃およ 80℃における各周波数での誘電損失および 誘電率を算出した。結果を表3に示す。

実施例11
 実施例2において、セルロース系樹脂として エーテル置換セルロースであるヒドロキシプ ロピルメチルセルロース(信越化学工業(株)製 の60SH03)を用いたほかは実施例2と同様にして 発明のコーティング組成物および非多孔質 誘電性フィルムを作製した。

 これらの非多孔質高誘電性フィルムにつ て、実施例2と同様にして耐電圧、、体積抵 抗率、引張破断強度を測定し、また、20℃お び80℃における各周波数での誘電損失およ 比誘電率を算出した。結果を表3に示す。

 表3の結果から、VdF系樹脂をVdF/TFEまたはVd F/HFPに変更しても、またセルロース系樹脂と てエーテル置換セルロースを使用しても、 温での誘電損失の低減化、および耐電圧の 上が図れていることが分かる。

実施例12~15
 実施例1~4のそれぞれにおいて、酢酸セルロ スとしてアセチル化度の異なる酢酸セルロ ス(ダイセル化学工業(株)製L-70)を用いたほ は同様にして本発明のコーティング組成物 よび非多孔質高誘電性フィルムを作製した

 これらの非多孔質高誘電性フィルムにつ て、実施例1と同様にして耐電圧、20℃およ 80℃における各周波数での誘電損失および 誘電率を算出した。結果を表4に示す。

比較例3
 実施例12において、PVdFを配合せずに酢酸セ ロース(ダイセル化学工業(株)製L―70)のみを 使用したほかは実施例12と同様にして比較用 コーティング組成物および非多孔質高誘電 フィルムを作製した。

 これらの非多孔質高誘電性フィルムにつ て、実施例12と同様にして耐電圧、20℃およ び80℃における各周波数での誘電損失および 誘電率を算出した。結果を表4に示す。

 表4の結果から、PVdFを併用することによ セルロース単独使用よりも誘電率が向上し PVdF単独使用に比して、PVdFと酢酸セルロース とを併用することにより、高温での誘電損失 の低減化、および耐電圧の向上が図れている ことが分かる。

実施例16
 実施例3において、PVdFと酢酸セルロースの 計量(100質量部)に対し、さらにゴム粒子No.1( アがアクリルゴムでシェルがポリメタクリ 酸メチルであるゴム粒子(ローム・アンド・ ハース・ジャパン(株)製のEXL2313。平均1次粒 径0.6μm)を20質量部配合したほかは実施例3と 様にして本発明のコーティング組成物およ 非多孔質高誘電性フィルムを作製した。

 この非多孔質高誘電性フィルムについて 実施例1と同様にして耐電圧、体積抵抗率、 引張破断強度、引張破断伸度を測定し、また 、20℃および80℃における各周波数での誘電 失および比誘電率を算出した。結果を表5に す。

実施例17~18
 実施例16において、ゴム粒子No.1に代えて表5 に示すゴム粒子No.2を用いた例(実施例17)およ ゴム粒子N0.1の配合量を10質量部に変更した (実施例18)について、実施例16と同様にして 発明のコーティング組成物および非多孔質 誘電性フィルムを作製した。

 この非多孔質高誘電性フィルムについて 実施例1と同様にして耐電圧、体積抵抗率、 引張破断強度、引張破断伸度を測定し、また 、20℃および80℃における各周波数での誘電 失および比誘電率を算出した。結果を表5に す。

 表5に示すゴム粒子はつぎのものである。
ゴム粒子No.1:
 コアがアクリルゴムでシェルがポリメタク ル酸メチルであるゴム粒子(ローム・アンド ・ハース・ジャパン(株)製のEXL2313。平均1次 子径0.6μm)
ゴム粒子No.2:
 コアがブタジエンゴムでシェルがポリメタ リル酸メチルであるゴム粒子(ローム・アン ド・ハース・ジャパン(株)製のKCA801N。平均1 粒子径0.2μm)

 表5の結果から、ゴム粒子を添加すること により、PVdF単独使用に比して耐電圧、体積 抗率、および伸びの向上が図れていること 分かる。

実施例19
 実施例1で製造した非多孔質高誘電性フィル ムの両面に、真空蒸着装置((株)真空デバイス 製のVE-2030)により3ω/□を目標にしてアルミニ ウムを蒸着して電極を形成した。これらのア ルミニウム電極に電圧印加用のリード線を取 り付け、スタンプ型(簡易評価用)のフィルム ンデンサを作製した。




 
Previous Patent: TRANSFORMABLE TOY

Next Patent: PRINTING MEDIUM