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Title:
COMPOSITE GRAPHITE PARTICLES FOR NON-AQUEOUS SECONDARY BATTERIES, NEGATIVE ELECTRODE MATERIAL CONTAINING THE SAME, NEGATIVE ELECTRODES, AND NON-AQUEOUS SECONDARY BATTERIES
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/084675
Kind Code:
A1
Abstract:
The invention aims at providing a non-aqueous secondary battery which exhibits a satisfactorily small irreversible capacity in the initial charge and discharge cycle even when the density of a negative electrode active material layer on a current collector is enhanced in order to obtain a higher capacity and the aim can be attained by composite graphite particles for non-aqueous secondary batteries which are obtained by incorporating spherical graphite particles with a binder graphite and satisfy at least any of the following requirements (a) to (g): (a) the composite graphite particles contain those wherein the spherical graphite particles are at least partially exposed on the surfaces; (b) the composite graphite particles contain those which have incomplete laminate structures of spherical graphite particles in the neighborhood of the surfaces; (c) when a is median diameter of the spherical graphite particles and b is median diameter of the composite graphite particles, the ratio (c) of a/b is 0.93 or above; (d) the composite graphite particles have a Raman R value of 0.15 to 0.25, an average circularity of 0.85 or above, a tap density of 0.87 to 1.25g/cm3, and a BET specific surface area of 2.5 to 8m2/g; (e) the volume of pores of 0.01 to 2μm as determined with a mercury porosimeter is 0.05 to 1mL/g; (f) the quantity of CO groups present on the surface standardized by BET specific surface area is 1.15 to 5μmol/m2; and (g) when a specific electrolytic solution is dropped on an electrode made by using the composite graphite particles, the average time elapsed until the complete disappearance of the electrolytic solution from the electrode is 180 sec or below.

Inventors:
MATSUMOTO HITOSHI (JP)
SATOH HIDEHARU (JP)
UONO HIROYUKI (JP)
YAMAGUCHI KEITA (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074855
Publication Date:
July 17, 2008
Filing Date:
December 25, 2007
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI CHEM CORP (JP)
MATSUMOTO HITOSHI (JP)
SATOH HIDEHARU (JP)
UONO HIROYUKI (JP)
YAMAGUCHI KEITA (JP)
International Classes:
H01M4/36; H01M4/133; H01M4/1393; H01M4/587; H01M4/62
Domestic Patent References:
WO1997018160A11997-05-22
Foreign References:
JPH1111918A1999-01-19
JPH10334915A1998-12-18
JP2005123179A2005-05-12
JP2005149792A2005-06-09
JP2005019397A2005-01-20
JP2000086343A2000-03-28
JP2006348703A2006-12-28
Other References:
See also references of EP 2128916A4
Attorney, Agent or Firm:
TAKAHASHI, Noriaki (Suginami-ku Tokyo, 33, JP)
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Claims:
 球状黒鉛粒子と黒鉛化可能なバインダーの黒鉛化物とが複合化した非水系二次電池用の複合黒鉛粒子であって、該複合黒鉛粒子が次の要件(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)
(a)表面に、該球状黒鉛粒子の少なくとも一部が露出している複合黒鉛粒子を含有する。
(b)表面近傍に、該球状黒鉛粒子の不完全な積層構造を有する複合黒鉛粒子を含有する。
(c)該球状黒鉛粒子のメジアン径をaとし、該複合黒鉛粒子のメジアン径をbとした時、その比c=a/bが0.93以上である。
(d)ラマンR値が0.10以上0.30以下、平均円形度が0.85以上、タップ密度が0.87g/cm 3 以上1.25g/cm 3 以下、かつ、BET比表面積が2.5m 2 /g以上8.0m 2 /g以下である。
(e)水銀ポロシメーターで測定された0.01μm以上2μm以下の細孔容積が0.05mL/g以上1mL/g以下である。
(f)BET比表面積で規格化した表面に存在するCO基の量が、1.15μmol/m 2 以上5μmol/m 2 以下である。
(g)該複合黒鉛粒子を用いて下記(i)の条件でスラリーを調製後、圧延銅箔上にドクターブレード法で塗布して乾燥後、活物質層密度1.70g/cm 3 にプレスした電極の中央部長手方向に、下記(ii)の組成を有する電解液を高さ5cmから5μL滴下させた時に、該電解液が電極上にて完全に消失するまでの時間の平均値が180秒以下である。
 (i)スラリーの調製条件
 該複合黒鉛粒子を20.00±0.02g、1質量%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液を20.00±0.02g、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)水性ディスパーションを0.25±0.02g秤り取り、手で攪拌し、その後遊星回転式のミキサー(ハイブリッドミキサー)にて5分間攪拌、30秒脱泡して調製。
 (ii)電解液組成
 エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒(容量比=2:2:3)に、1.0MのLiPF 6 を含有させ、更にビニレンカーボネート2容量%を添加。
よりなる群から選ばれる何れかを満たすことを特徴とする非水系二次電池用複合黒鉛粒子。
 球状黒鉛粒子に、黒鉛化可能なバインダーを捏合し、次いで黒鉛化処理をして得られた非水系二次電池用の複合黒鉛粒子であって、該複合黒鉛粒子が次の要件(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)
(a)表面に、該球状黒鉛粒子の少なくとも一部が露出している複合黒鉛粒子を含有する。
(b)表面近傍に、該球状黒鉛粒子の不完全な積層構造を有する複合黒鉛粒子を含有する。
(c)該球状黒鉛粒子のメジアン径をaとし、該複合黒鉛粒子のメジアン径をbとした時、その比c=a/bが0.93以上である。
(d)ラマンR値が0.10以上0.30以下、平均円形度が0.85以上、タップ密度が0.87g/cm 3 以上1.25g/cm 3 以下、かつ、BET比表面積が2.5m 2 /g以上8.0m 2 /g以下である。
(e)水銀ポロシメーターで測定された0.01μm以上2μm以下の細孔容積が0.05mL/g以上1mL/g以下である。
(f)BET比表面積で規格化した表面に存在するCO基の量が、1.15μmol/m 2 以上5μmol/m 2 以下である。
(g)該複合黒鉛粒子を用いて下記(i)の条件でスラリーを調製後、圧延銅箔上にドクターブレード法で塗布して乾燥後、活物質層密度1.70g/cm 3 にプレスした電極の中央部長手方向に、下記(ii)の組成を有する電解液を高さ5cmから5μL滴下させた時に、該電解液が電極上にて完全に消失するまでの時間の平均値が180秒以下である。
 (i)スラリーの調製条件
 該複合黒鉛粒子を20.00±0.02g、1質量%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液を20.00±0.02g、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)水性ディスパーションを0.25±0.02g秤り取り、手で攪拌し、その後遊星回転式のミキサー(ハイブリッドミキサー)にて5分間攪拌、30秒脱泡して調製。
 (ii)電解液組成
 エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒(容量比=2:2:3)に、1.0MのLiPF 6 を含有させ、更にビニレンカーボネート2容量%を添加。
よりなる群から選ばれる何れかを満たすことを特徴とする非水系二次電池用複合黒鉛粒子。
 該球状黒鉛粒子が、湾曲又は屈曲した複数の鱗片状又は鱗状黒鉛からなるものである請求項1又は請求項2に記載の非水系二次電池用複合黒鉛粒子。
 該複合黒鉛粒子が、黒鉛化処理物を粉砕又は磨砕して得られたものである請求項1ないし請求項3の何れかの請求項記載の非水系二次電池用複合黒鉛粒子。
 請求項1ないし請求項4の何れかの請求項記載の非水系二次電池用複合黒鉛粒子を含有することを特徴とする非水系二次電池用負極材料。
 更に、該複合黒鉛粒子とは形状又は物性の異なる炭素質粒子を含有してなる請求項5記載の非水系二次電池用負極材料。
 該炭素質粒子の平均円形度が0.88以上である請求項6記載の負極材料。
 集電体及びその上に形成された活物質層を有する負極であって、該活物質層が、請求項5ないし請求項7の何れかに記載の非水系二次電池用負極材料を用いて形成されていることを特徴とする非水系二次電池用負極。
 リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を有する非水系二次電池であって、該負極が、請求項8記載の非水系二次電池用負極であることを特徴とする非水系二次電池。
Description:
非水系二次電池用複合黒鉛粒子 それを含有する負極材料、負極及び非水系 次電池

 本発明は、非水系二次電池に用いる複合 鉛粒子と、その複合黒鉛粒子を含有する負 材料と、その負極材料を用いて形成された 極と、その負極を有する非水系二次電池に するものであり、更に詳しくは、高容量で り、小さい充放電不可逆容量を達成できる 合黒鉛粒子、負極材料、負極及び非水系二 電池に関するものである。また本発明に係 る炭素質負極材料を用いて作成された負極 、電解液の浸液性に優れているため、非水 二次電池の生産性を向上させる事ができ、 つ、充放電高負荷特性に優れた非水系二次 池を与える。

 近年、電子機器の小型化に伴い、高容量 二次電池に対する需要が高まってきている 特に、ニッケル・カドミウム電池や、ニッ ル・水素電池に比べ、よりエネルギー密度 高く、大電流充放電特性に優れた非水系二 電池が注目されてきている。

 非水系二次電池の負極材料としては、コ ト、耐久性、容量の点で、黒鉛が使用され ことが多い。しかしながら、高容量化のた に極板上の負極材料を含む活物質層を高密 化すると、初期サイクル時の充放電不可逆 量が増えるといった問題点があった。 

 特許文献1においては、天然黒鉛及びバイン ダーを捏合して捏合物を得、700~1500℃で一次 熱して該バインダーを炭素化し、次いで、2 400~3000℃で二次加熱することにより、天然黒 の純化及び炭素化されたバインダーの黒鉛 を同時に行う炭素複合材料の製造方法が記 されている。しかしながら、特許文献1にお いては、出発原料として鱗状又は鱗片状天然 黒鉛を想定しているものであり、活物質層の 高密度化、充放電不可逆容量低減は不十分で あった。

特開2000-086343号公報

 また、負極材料を含む活物質層を高密度 する事で、電極内部において空隙が殆ど無 なり、電解液の浸液性が悪くなる事が予想 れる。この事により、電極内部におけるリ ウムイオンの泳動が円滑ではなくなり、電 液枯れ、不均一な電位分布から充放電高負 特性の低下を招くものと考えられる。

 本発明は、かかる背景技術に鑑みてなさ たものであり、その課題は、高容量化のた に集電体上の負極材料を有する活物質層を 密度化しても、初期サイクル時の充放電不 逆容量が十分小さく、かつ、優れた充放電 負荷特性を有する非水系二次電池を提供す ことにある。

 発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検 を行った結果、特定の構造と物性を有する 球状黒鉛粒子とバインダー黒鉛とが複合化 た複合黒鉛粒子を負極活物質として用いる とによって、上記課題を解決した非水系二 電池が得られることを見出し、本発明に到 した。

 すなわち本発明は、球状黒鉛粒子と黒鉛化 能なバインダーの黒鉛化物とが複合化した 水系二次電池用の複合黒鉛粒子であって、 複合黒鉛粒子が、次の要件(a)、(b)、(c)、(d) (e)、(f)及び(g)よりなる群から選ばれる何れ を満たすことを特徴とする非水系二次電池 複合黒鉛粒子を提供するものである。
(a)表面に、該球状黒鉛粒子の少なくとも一部 が露出している複合黒鉛粒子を含有する。
(b)表面近傍に、該球状黒鉛粒子の不完全な積 層構造を有する複合黒鉛粒子を含有する。
(c)該球状黒鉛粒子のメジアン径をaとし、該 合黒鉛粒子のメジアン径をbとした時、その c=a/bが0.93以上である。
(d)ラマンR値が0.10以上0.30以下、平均円形度が 0.85以上、タップ密度が0.87g/cm 3 以上1.25g/cm 3 以下、かつ、BET比表面積が2.5m 2 /g以上8.0m 2 /g以下である。
(e)水銀ポロシメーターで測定された0.01μm以 2μm以下の細孔容積が0.05mL/g以上1mL/g以下であ る。
(f)BET比表面積で規格化した表面に存在するCO の量が、1.15μmol/m 2 以上5μmol/m 2 以下である。
(g)該複合黒鉛粒子を用いて下記(i)の条件でス ラリーを調製後、圧延銅箔上にドクターブレ ード法で塗布して乾燥後、活物質層密度1.70g/ cm 3 にプレスした電極の中央部長手方向に、下記 (ii)の組成を有する電解液を高さ5cmから5μL滴 させた時に、該電解液が電極上にて完全に 失するまでの時間の平均値が180秒以下であ 。
 (i)スラリーの調製条件
 該複合黒鉛粒子を20.00±0.02g、1質量%カルボ シメチルセルロース(CMC)水溶液を20.00±0.02g、 スチレン・ブタジエンゴム(SBR)水性ディスパ ションを0.25±0.02g秤り取り、手で攪拌し、 の後遊星回転式のミキサー(ハイブリッドミ サー)にて5分間攪拌、30秒脱泡して調製。
 (ii)電解液組成
 エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカ ーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC) 混合溶媒(容量比=2:2:3)に、1.0MのLiPF 6 を含有させ、更にビニレンカーボネート2容 %を添加。

 また本発明は、上記「球状黒鉛粒子と黒 化可能なバインダーの黒鉛化物との複合化 を、「球状黒鉛粒子に、黒鉛化可能なバイ ダーを捏合し、次いで黒鉛化処理をする」 とによってする、上記要件(a)、(b)、(c)、(d) (e)、(f)及び(g)よりなる群から選ばれる何れ を満たすことを特徴とする非水系二次電池 複合黒鉛粒子を提供するものである。

 また本発明は、上記非水系二次電池用複 黒鉛粒子を含有することを特徴とする非水 二次電池用負極材料を提供するものであり また、上記非水系二次電池用複合黒鉛粒子 は形状又は物性の異なる炭素質粒子、好ま くは、天然黒鉛、人造黒鉛、非晶質被覆黒 、樹脂被覆黒鉛及び非晶質炭素よりなる群 ら選ばれる1種以上の炭素質粒子を更に含有 することを特徴とする非水系二次電池用負極 材料を提供するものである。

 また本発明は、集電体及びその上に形成さ た活物質層を有する負極であって、該活物 層が、上記の非水系二次電池用負極材料を いて形成されていることを特徴とする非水 二次電池用負極を提供するものである。
 また本発明は、リチウムイオンを吸蔵・放 可能な正極及び負極、並びに電解質を有す 非水系二次電池であって、該負極が、上記 水系二次電池用負極であることを特徴とす 非水系二次電池を提供するものである。

 本発明の非水系二次電池用複合黒鉛粒子 用いると、負極の集電体上の活物質層を高 度化した場合においても、初期サイクル時 充放電負荷逆容量が小さく、高容量で、か 、優れた充放電高負荷特性を有する非水系 次電池を提供する事ができる。

本発明の非水系二次電池用の複合黒鉛 子のSEM写真(何れも1000倍)の一例であり、要 (a)又は要件(b)を満たす部分を円又は楕円で したものである。 本発明の非水系二次電池用の複合黒鉛 子のSEM写真(何れも1000倍)の一例であり、要 (a)又は要件(b)を満たす部分を円又は楕円で したものである。 本発明の非水系二次電池用の複合黒鉛 子のSEM写真(1000倍)の一例であり、要件(a)又 要件(b)を満たす部分を円又は楕円で示した のである。

 以下に本発明を実施するための最良の形 を詳細に説明するが、以下に記載する発明 成要件の説明は、本発明の実施態様の一例( 代表例)であり、本発明はその要旨を超えな 限り、これらの形態に特定されるものでは い。

 本発明において、用語は以下のように定 、使用する。すなわち、本発明の複合黒鉛 子において、炭素質粒子が焼成された部分 黒鉛質粒子ということがある。本発明の炭 質複合粒子、それに要すれば炭素質粒子が 合されてなるものをも含めて負極材料と定 する。少なくとも負極材料と結着剤を用い 活物質層を得、負極用の集電体上に少なく も活物質層を有しているものを極板又は負 と定義し、少なくとも負極と正極と電解質 有して非水系二次電池が構成される。

[1]非水系二次電池用複合黒鉛粒子
(A)複合黒鉛粒子の構成
 本発明の負極材料は、本発明の複合黒鉛粒 を主な成分とする。そして本発明の複合黒 粒子は、例えば、球状黒鉛粒子と黒鉛化可 なバインダー(以下単に、「バインダー」と いうことがある)とを捏合し、捏合物の成形 を、粉砕後に黒鉛化又は黒鉛化後に粉砕又 磨砕することにより得られる。すなわち、 の場合、形成された複合黒鉛粒子の構成は 炭素質粒子が焼成された黒鉛質粒子の少な とも一部(一部又は全て)複合黒鉛粒子と、バ インダーが焼成されたもの(これも黒鉛質で る)が複合化した構造を有するものである。

 本発明の複合黒鉛粒子の原料である炭素 粒子としては、焼成によって黒鉛化が可能 炭素の粒子であれば特に限定はないが、天 黒鉛、人造黒鉛、球形化黒鉛、コークス粉 ニードルコークス粉、樹脂の炭化物粉等が げられる。これらのうち、活物質層作成時 活物質層の密度を上げ易いという点から、 然黒鉛を用いることが好ましい。中でも黒 を球形化処理した球形化黒鉛が特に好まし 。本発明の球状黒鉛粒子は、湾曲又は屈曲 た複数の鱗片状又は鱗状黒鉛からなるもの あることが好ましい。

 黒鉛化可能なバインダーとしては、焼成 よって黒鉛化が可能な炭素質であれば特に 定はなく、タール、軟ピッチから硬ピッチ での石油系及び石炭系の縮合多環芳香族類 好ましく用いられる。具体的には、含浸ピ チ、コールタールピッチ、石炭液化油等の 炭系重質油、アスファルテン等の直留系重 油、エチレンヘビーエンドタール等の分解 重質油等の石油系重質油等が挙げられる。

(B)複合黒鉛粒子の物性
 本発明の複合黒鉛粒子は、少なくとも、以 の要件(a)~要件(g)よりなる群から選ばれる何 れかを満たすものである。
(a)表面に、該球状黒鉛粒子の少なくとも一部 が露出している複合黒鉛粒子を含有する。
(b)表面近傍に、該球状黒鉛粒子の不完全な積 層構造を有する複合黒鉛粒子を含有する。
(c)該球状黒鉛粒子のメジアン径をaとし、該 合黒鉛粒子のメジアン径をbとした時、その c=a/bが0.93以上である。
(d)ラマンR値が0.10以上0.30以下、平均円形度が 0.85以上、タップ密度が0.87g/cm 3 以上1.25g/cm 3 以下、かつ、BET比表面積が2.5m 2 /g以上8.0m 2 /g以下である。
(e)水銀ポロシメーターで測定された0.01μm以 2μm以下の細孔容積が0.05mL/g以上1mL/g以下であ る。
(f)BET比表面積で規格化した表面に存在するCO の量が、1.15μmol/m 2 以上5μmol/m 2 以下である。
(g)該複合黒鉛粒子を用いて下記(i)の条件でス ラリーを調製後、圧延銅箔上にドクターブレ ード法で塗布して乾燥後、活物質層密度1.70g/ cm 3 にプレスした電極の中央部長手方向に、下記 (ii)の組成を有する電解液を高さ5cmから5μL滴 させた時に、該電解液が電極上にて完全に 失するまでの時間の平均値が180秒以下であ 。

 (i)スラリーの調製条件
 該複合黒鉛粒子を20.00±0.02g、1質量%カルボ シメチルセルロース(CMC)水溶液を20.00±0.02g、 スチレン・ブタジエンゴム(SBR)水性ディスパ ションを0.25±0.02g秤り取り、手で攪拌し、 の後遊星回転式のミキサー(ハイブリッドミ サー)にて5分間攪拌、30秒脱泡して調製。

 (ii)電解液組成
 エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカ ーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC) 混合溶媒(容量比=2:2:3)に、1.0MのLiPF 6 を含有させ、更にビニレンカーボネート2容 %を添加。

 本発明の複合黒鉛粒子は、これらの要件 内、何れか2つ以上の要件を同時に満たして も良い。これらの中で好ましくは要件(a)と(b) 、(a)と(c)、(a)と(d)、(b)と(c)(b)と(d)、より好ま しくは(a)と(e)、(a)と(f)、(a)と(g)、(d)と(e)、特 に好ましくは要件(e)と(g)、(d)と(g)、(c)と(d)を 同時に満たすものである。

 以下これらの要件について更に詳細に説明 る。
(1)要件(a)
 複合黒鉛粒子の表面に、球状黒鉛粒子の少 くとも一部が露出している複合黒鉛粒子を 有する。
 本発明の非水系二次電池用複合黒鉛粒子は 黒鉛粒子を一次粒子として形成した球状又 楕円状の球状黒鉛粒子を用いて複合化した のであり、複合黒鉛粒子製造時の粉砕・磨 により球状黒鉛粒子の表面が粗く削られた 態になっている。図1に該複合黒鉛粒子の走 査型電子顕微鏡写真(以下、「SEM」と略記す )を示す。要件(a)の状態は、図1中の円又は楕 円内に示す様に、該複合黒鉛粒子が製造時に 粉砕・磨砕される事で、少なくとも球状黒鉛 粒子の一部が露出している面を有する状態; 複合黒鉛粒子の製造時の粉砕・磨砕によっ 生じた破断面が捲れ上がり、複合黒鉛粒子 表面に、球状黒鉛粒子中の黒鉛粒子が浮き がっている状態;又は、該複合黒鉛粒子の製 時の粉砕・磨砕によって剥離した複合黒鉛 子中の球状黒鉛粒子の一部が表面に付着し いる状態等を意味する。

 この様に、複合黒鉛粒子の表面にある球 黒鉛粒子中の黒鉛粒子を、該複合黒鉛粒子 製造時の粉砕・磨砕によって、捏合前の原 の状態である球状黒鉛粒子中の黒鉛粒子に べて、少なくともその一部を立てる事で、 合黒鉛粒子内への電解液の浸透性が向上し リチウムイオンの泳動が円滑になり、良好 る充電受入性が発現する。また、この様な 合黒鉛粒子の形状を有する事で、塗布・プ ス後に極板内部に適度な空隙が確保され、 板への電解液の浸液性が向上する。

(2)要件(b)
 複合黒鉛粒子の表面近傍に、球状黒鉛粒子 不完全な積層構造を有する複合黒鉛粒子を 有する。
 ここで、「不完全な積層構造」とは、該複 黒鉛粒子表面に、球状黒鉛粒子の一部が種 の方向に折り重なっている状態を意味する 本発明における非水系二次電池用複合黒鉛 子は、粉砕・磨砕により、出発原料である 状黒鉛粒子の一次粒子である黒鉛粒子の切 が、該複合黒鉛粒子表面にて種々の方向に かっている状態等を有するものである。こ 様な表面状態によって、前述の要件(a)に記 通り、粒子内部へのリチウムイオンの泳動 円滑にして充電受入性が向上すると共に、 板への電解液浸液性が向上する。

(3)要件(c)
 球状黒鉛粒子のメジアン径をaとし、複合黒 鉛粒子のメジアン径をbとしたとき、その比c= a/bが0.93以上である。

 (イ)「メジアン径」の定義
 「メジアン径」は、レーザー散乱式粒度分 測定により求めた体積基準の直径であり、 の測定方法は以下の通りである。
 界面活性剤であるポリオキシエチレンソル タンモノラウレート(例として、ツィーン20( 登録商標))の0.2質量%水溶液10mLに、黒鉛質複 粒子0.01gを懸濁させ、市販のレーザー回折/ 乱式粒度分布測定装置「HORIBA製LA-920」に導 し、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した 、測定装置における体積基準メジアン径と て測定したものを、本発明における体積基 メジアン径(以下、「メジアン径」と略記す )D L μmと定義する。

 (ロ)球状黒鉛粒子と複合黒鉛粒子のメジア 径の比の定義
 本発明において、球状黒鉛粒子のメジアン をa、複合黒鉛粒子のメジアン径をbとした にその比であるメジアン径比cは下記式にて 義される。
  c=a/b

 (ハ)範囲
 本発明においては、上記メジアン径の比cは 0.93以上が好ましく、更には1.00以上がより好 しい。球状黒鉛粒子を原料に粉砕・磨砕さ る事で複合黒鉛粒子を得るが、粉砕・磨砕 強度を高くする事で、球状黒鉛粒子のメジ ン径に対して複合黒鉛粒子のそれは小さく る傾向がある。この様な条件の場合、複合 鉛粒子表面の黒鉛粒子の少なくとも一部が 原料状態の球状黒鉛粒子のそれに比べてよ 起き上がった(捲れ上がった)状態になり、 うした表面構造は、粒子内への電解液の浸 性が向上しリチウムイオンの泳動を円滑に 、良好なる充電受入性の発現をもたらす。

(4)要件(d)
 複合黒鉛粒子のラマンR値が0.10以上0.30以下 平均円形度が0.85以上、タップ密度が0.87g/cm 3 以上、1.25g/cm 3 以下、かつ、BET比表面積が2.5m 2 /g以上8.0m 2 /g以下である。

 本発明における非水系二次電池用複合黒 粒子のラマンR値(定義、詳細については後 )は、該複合黒鉛粒子表面の結晶性を示す重 なパラメーターであり、この値が低くなる 粒子表面の結晶性が低下し、極板作製後電 の評価を行なった時に、充放電の初期に発 する初期不可逆容量が増加する傾向がある またラマンR値が低いものを得ようとすると 歩留まりが低下し、生産効率を犠牲にしなく てはならない。故に、適度な範囲のラマンR を有する事が必要である。また、平均円形 、タップ密度、BET比表面積は該複合黒鉛粒 の形状を示す重要なパラメーターである。 般的には、平均円形度が小さいものはタッ 密度も低く、また、タップ密度が低いもの 比表面積が大きい傾向がある。平均円形度 小さくタップ密度が低くなると、極板内で 保される空隙が減少すると同時に、負極の 造に際し銅箔上に塗布する負極材料のスラ ー濃度の低下を招く。この事により負極性 が悪化し、電池性能の悪化を招く可能性が い。但し、平均円形度やタップ密度が高す ても、粒子表面に微粉が増えて生産性の低 やスラリーの塗工性の悪化を招く可能性が いため、適度な範囲の平均円形度、タップ 度を有する事が必要である。また、比表面 が大きくなると充放電時における初期不可 容量の増加を招くため、低い方が好ましい

(i)ラマンR値
 (イ)ラマンR値の定義
 後述するようなラマン測定において得られ ラマンスペクトルにおいて、1580cm -1 付近の最大ピークの強度I A と、1360cm -1 付近の最大ピークの強度I B の強度比I B /I A をラマンR値と定義する。

 ラマン測定は、ラマン分光器「日本分光社 ラマン分光器」を用い、測定対象粒子を測 セル内へ自然落下させることで試料充填し 測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を 射しながら、測定セルをこのレーザー光と 直な面内で回転させながら測定を行なう。 定条件は以下の通りである。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー     :15~25mW
分解能             :4cm -1
測定範囲            :1100cm -1 ~1730cm -1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バック ラウンド処理、スムージング処理
                 (単純平均、コンボ ューション5ポイント)

 1580cm -1 付近の最大ピークは、黒鉛結晶質構造に由来 するピークであり、1360cm -1 付近の最大ピークは、構造欠陥により対称性 の低下した炭素原子に由来するピークである 。

 (ロ)範囲
 本発明の要件(d)においては、ラマンR値は0.3 0以下が必須である。好ましくは0.29以下、特 好ましくは0.28以下である。ラマンR値がこ 上限を上回ると、初期サイクルにおける充 電不可逆容量が大きくなる場合がある。ま 、要件(d)においては、ラマンR値は0.10以上が 必須である。性能上は、ラマンR値は低い方 好ましいが、ラマンR値0.10未満のものを得よ うとすると歩留まりが悪化し、著しく生産性 が悪くなる場合がある。

 また、本発明の複合黒鉛粒子における1580cm -1 付近の最大ピークのラマン半値幅は特に制限 されないが、通常18cm -1 以上、好ましくは19cm -1 以上、また、通常23cm -1 以下、好ましくは21cm -1 以下の範囲である。ラマン半値幅がこの範囲 を下回ると、粒子表面の結晶性が高くなり過 ぎて、高密度化した場合に集電体の面と平行 方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低 下を招く場合がある。一方、この範囲を上回 ると、粒子表面の結晶が乱れ、電解液との反 応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を 招く場合がある。

(ii)平均円形度
 (イ)平均円形度の定義
 平均円形度は、測定対象(複合黒鉛粒子)0.2g 界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソ ルビタンモノラウレートの0.2体積%水溶液50mL 混合し、フロー式粒子像分析装置「シスメ クスインダストリアル社製FPIA-2000」を用い 28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、 出範囲を0.6μm~400μmに指定し、粒径10μm~40μm 範囲の粒子について測定した下記式で与え れる円形度の値の平均値として定義される
円形度=粒子投影面積と同じ面積の円の周長/ 子投影像の周長

 (ロ)範囲
 本発明の要件(d)においては、平均円形度は0 .85以上、より好ましくは0.90以上である。ま 上限は、好ましくは0.98以下、特に好ましく 0.95以下である。平均円形度がこの範囲を下 回ると、粒子間の空隙が小さくなり、負荷特 性が低下する場合がある。一方、平均円形度 がこの範囲を上回る値とするためには、衝撃 力を主体に粒子の相互作用も含めた圧縮、摩 擦、剪断力等の機械的作用を繰り返し粒子に 与える球形化処理を強く又は長時間行なう必 要性があり、球形化時に副生する微粉を多く 取り除かなければならず、製造コストが高く なる場合がある。

(iii)タップ密度
 (イ)タップ密度の定義
 本発明において、タップ密度は、粉体密度 定器である(株)セイシン企業社製「タップ ンサーKYT-4000」を用い、直径1.6cm、体積容量2 0cm 3 の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通 して、複合黒鉛粒子を落下させて、セルに満 杯に充填した後、ストローク長10mmのタップ 1000回行なって、その時の体積と試料の重量 ら求めた密度をタップ密度として定義する

 (ロ)範囲
 本発明の複合黒鉛粒子のタップ密度は特に 定はないが、0.87g/cm 3 以上が好ましく、0.90g/cm 3 以上がより好ましく、0.95g/cm 3 以上が特に好ましい。また、1.25g/cm 3 以下が好ましく、1.20g/cm 3 以下がより好ましい。タップ密度が低すぎる と、負極の製造に際して集電体に塗布する負 極材料のスラリー濃度を低下させる必要があ り、塗膜の密度が小さくなり、プレスしたと き複合黒鉛粒子が破壊されやすく、電池性能 が低下する場合がある。逆に、タップ密度が 高すぎると、塗工性が悪化するため複合黒鉛 粒子の形状と粒径分布の調整に更なる工程が 必要で、収率が低下し、かつコストが上昇す る場合がある。

(iv)BET比表面積
 本発明の複合黒鉛粒子のBET法で測定したBET 表面積については特に限定はないが、通常2 .5m 2 /g以上、好ましくは3.0m 2 /g以上である。また、通常8.0m 2 /g以下、好ましくは6.0m 2 /g以下、より好ましくは5.5m 2 /g以下、特に好ましくは5m 2 /g以下である。比表面積がこの範囲を下回る 、出力特性が低下する場合がある。一方、 表面積がこの範囲を上回ると、初期不可逆 量が大きくなり、サイクル特性が悪化する 合がある。

 なお、本発明において、比表面積は次の 法で測定され定義される。すなわち、大倉 研社製比表面積測定装置「AMS8000」を用いて 、窒素ガス吸着流通法によりBET1点法にて測 する。具体的には、試料(複合黒鉛粒子)0.4g セルに充填し、350℃に加熱して前処理を行 た後、液体窒素温度まで冷却して、窒素30% He70%のガスを飽和吸着させ、その後室温まで 加熱して脱着したガス量を計測し、得られた 結果から、通常のBET法により比表面積を算出 する。

(5)要件(e)
 水銀ポロシメーターで測定された0.01μm以上 2μm以下の細孔容積が0.05mL/g以上1mL/g以下であ 。
 (イ)水銀ポロシメーターによる複合黒鉛粒 の細孔容積の測定方法と定義
 本発明における複合黒鉛化粒子の水銀ポロ メーターによる細孔容積は、細孔容積測定 置「マイクロメリティックス社製オートポ IV9520」を用い、付属のセルに試料を封入し 減圧下(50μmHg)室温にて10分間の前処理を行 った後、水銀を4.0psia(ポンド平方インチ絶対 圧力)~40000psiaまで多段階に昇圧後、3.0psiaまで 多段階に降圧させて測定される水銀圧入量よ り定義される。更に詳しくはこの時水銀に加 えた圧力PからWashburn式(D=-(1/P)4γcosψ)を用いて 細孔直径Dを計算して得られた水銀圧入退出 線より定義される。この時、γは水銀の表面 張力、ψは接触角を示す。

 (ロ)範囲
 上記測定方法による、本発明における複合 鉛粒子の0.01μm以上2μm以下の細孔容積は、0. 05mL/g以上が好ましく、0.1mL/g以上がより好ま く、0.2mL/g以上が特に好ましい。また、1mL/g 下が好ましく、0.5mL/g以下がより好ましく、0 .4mL/g以下が特に好ましい。該複合黒鉛粒子は その製造過程において、より粉砕・磨砕され る事で、0.01μm以上、2μm以下の細孔容積が増 る傾向が見られる。この領域の細孔容積が える事で、粒子内部への電解液の浸透性向 が期待でき、極板内部でのリチウムイオン 移動が円滑になり、結果として電池のサイ ル特性向上、充放電時の負荷特性の向上に 献する。

(6)要件(f)
 BET比表面積で規格化した表面に存在するCO の量が、1.15μmol/m 2 以上5μmol/m 2 以下である。
 (イ)複合黒鉛粒子表面のCO基の量の測定方法
 本発明において、複合黒鉛粒子表面のCO基 量は、TPD-MS(Temperature Prpgrammed Desorption & Decomposition Mass-Spectroscopy;昇温脱離法)にて測 した。昇温脱離法とは、試料を加熱した時 発生・脱離する微量ガス成分、発生量、発 温度を測定し、試料の化学的性質を解析す 手法である。質量分析計(MS)としてはm/z=2~200 の低い質量領域において、充分な検出感度を 有する、無機ガス分析用のものを用いる必要 がある。また、加熱された試料から発生する 熱による酸化の影響を避けて分析時のブラン クレベルを下げるためにキャリアガスとして 用いるHeガス中のO 2 、H 2 O、N 2 、CO 2 が充分に除去され、分析系内への漏れこみを 最小限に抑えることが可能な分析装置を用い る必要がある。その目安としては、ブランク 測定時において、キャリアガスのHeより僅か 生成するm/z=8のピークと比較して、O 2 (m/z=32)のピークが同等以下でなくてはならな 。

 本発明における複合黒鉛粒子表面のCO基の は、TPD-MS分析装置「アネルバ株式会社製 AGS -7000」を用いて、室温~1000℃まで昇温した時 発生するCO(m/z=28)、CO 2 (m/z=44)、H 2 O(m/z=18)及びその他のガス成分を質量分析装置 で分析し、そこで得られた面積値より、各ガ スの標準ガス検量線を用いて定量することで 得られる。そして、発生したCOの量で、複合 鉛粒子表面のCO基の量を定義する。

 (ロ)範囲
 本発明における複合黒鉛粒子の「BET比表面 で規格化した表面に存在するCO基の量」は 1.15μmol/m 2 以上が好ましく、1.20μmol/m 2 以上がより好ましく、1.35μmol/m 2 以上が特に好ましい。また、5μmol/m 2 以下が好ましく、4μmol/m 2 以下がより好ましく、3μmol/m 2 以下が特に好ましい。該複合黒鉛粒子表面に CO基の量が多い場合、CMCとの親和性が向上し その上に添着されるSBRの分散性が向上する この事により、極板特性が良好に保たれ、 池のサイクル特性が向上する。

(7)要件(g)
 該複合黒鉛粒子を用いて下記(i)の条件でス リーを調製後、圧延銅箔上にドクターブレ ド法で塗布して乾燥後、活物質層密度1.70g/c m 3 にプレスした電極の中央部長手方向に、下記 (ii)の組成を有する電解液を、高さ5cmから5μL 下させた時に、該電解液が電極上にて完全 消失するまでの時間の平均値が180秒以下で る。

(i)スラリーの調製条件
 該複合黒鉛粒子を20.00±0.02g、1質量%カルボ シメチルセルロース(CMC)水溶液を20.00±0.02g、 スチレン・ブタジエンゴム(SBR)ディスパージ ンを0.25±0.02g秤り取り、手で攪拌し、その 遊星回転式のミキサー(ハイブリッドミキサ )にて5分間攪拌、30秒脱泡して調製。

 ここで用いるカルボキシメチルセルロース( CMC)の重量平均分子量は25~30万であり、エーテ ル化度は0.55~0.65である。また、スチレン・ブ タジエンゴム(SBR)の重量平均分子量は27万で る。また、(i)で得られたスラリーは、ドク ーブレード法にて、乾燥膜厚11.0±0.1mg/cm 2 となるように塗布し、塗布溶媒は十分に乾燥 する。

(ii)電解液組成
 エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカ ーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC) 混合溶媒(容量比=2:2:3)に、1.0MのLiPF 6 を含有させ、更にビニレンカーボネート2容 %を添加。

 上記(ii)の組成を有する電解液を、マイク ロシリンジにて高さ5cmから、1滴が5μLとなる うに、電極の中央部長手方向に5箇所に滴下 させ、電解液が電極上にて完全に消失するま での時間の平均値を求める。

(iii)範囲
 本発明において、極板上の電解液の消失時 は特に限定はないが、180秒以下が好ましく 140秒以下がより好ましく、120秒以下が特に ましく、110秒以下が更に好ましい。電解液 失時間が長いと、電池作製時に電解液を注 する過程で時間が掛かり、生産性の低下を く場合がある。また、電解液の消失時間が いことは、極板内部での電解液の浸透性が い事を意味し、電池特性、ことに充放電時 負荷特性並びにサイクル特性の低下につな る場合がある。そのため、良好な浸液性を 現する極板、更にはその極板を構成する材 が必要である。本発明における非水系二次 池用複合黒鉛粒子は、その特徴ある粒子構 により良好な電解液浸液性を発現可能な粒 である。

(8)他の要件
(i)極板上黒鉛結晶配向比 
 本発明における非水系二次電池用複合黒鉛 子を用いて、下記の極板作製方法Aにより作 製された所定極板について、下記の方法で測 定した極板上黒鉛結晶配向比I 110 /I 004 については、特に限定はないが、通常0.08以 、好ましくは0.09以上、特に好ましくは0.10以 上、また、通常0.20以下、好ましくは0.18以下 特に好ましくは0.16以下である。配向比I 110 /I 004 が上記範囲を下回ると、電池を作製したとき の電池充電時の電極膨張が大きくなり、電極 の単位体積当たりの電池容量を大きくし難く 、更にはサイクル試験中に膨張収縮により活 物質の脱落等によりサイクル特性が低下しや すい。一方、配向比I 110 /I 004 が上記範囲を上回ると、プレス後の電極の充 填密度を上げ難くなる場合もある。

 ここで、極板上黒鉛結晶配向比I 110 /I 004 とは、電極の厚み方向に対する、黒鉛結晶六 角網面の配向の程度を表す指標である。配向 比I 110 /I 004 が大きいほど、粒子の黒鉛結晶六角網面の方 向が揃っていない状態を表す。

 (イ)極板作製方法A
 複合黒鉛粒子100重量部に、スチレン・ブタ エンゴムの水性ディスパージョンを固形分 して2重量部、カルボキシメチルセルロース (重量平均分子量25万~30万)水溶液を固形分と て1重量部加えてスラリーとし、このスラリ を厚さ18μmの銅箔よりなる集電体上に乾燥 重量として10±0.1mg/cm 2 付着するようにドクターブレードを用いて塗 布して乾燥させた後に、ロールプレス(カレ ダー)を用いて、活物質層が1.73±0.03g/cm 3 になるようにプレス荷重を調整し、1回のプ スで圧密する。

 (ロ)極板上黒鉛結晶配向比の測定方法
上記極板作製方法Aで調製した極板について X線回折により極板上の黒鉛の(110)面と(004)面 とのチャートを測定し、測定したチャートに ついて、プロファイル関数として非対称ピア ソンVIIを用いて、フィッティングすることに よりピーク分離を行ない、(110)面と(004)面の ークの積分強度を算出する。得られた積分 度から、「(110)面積分強度/(004)面積分強度」 で表わされる比率を算出し、極板上黒鉛結晶 配向比と定義する。

 ここでのX線回折測定条件は次の通りである 。なお、「2θ」は回折角を示す。
 ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロ ーター
 スリット :発散スリット=1度、受光スリッ =0.1mm、散乱スリット=1度
 測定範囲及びステップ角度/計測時間:
  (110)面:76.5度≦2θ≦78.5度  0.01度/3秒
  (004)面:53.5度≦2θ≦56.0度  0.01度/3秒
 試料調製 :ガラス板に0.1mm厚さの両面テー で所定極板を固定

(ii)プレス荷重
 前記の極板作製方法Aにより、活物質層の密 度が1.73±0.03g/cm 3 である極板を作製する際に必要とされるプレ ス荷重の範囲については特に限定はないが、 長さ5cmあたりに換算して、好ましくは200kgf/5c m以上、特に好ましくは250kgf/5cm以上、更に好 しくは300kgf/5cm以上であり、また、通常1200kg f/5cm以下、好ましくは1000kgf/5cm以下、特に好 しくは850kgf/5cm以下であるような複合黒鉛粒 が望ましい。すなわち、上記範囲のプレス 重に調整することにより、活物質層の密度 1.73±0.03g/cm 3 の極板を作製できるような複合黒鉛粒子が、 本発明の複合黒鉛粒子として好ましい。

 プレス荷重がこの下限を下回るような複 黒鉛粒子では、その複合黒鉛粒子はつぶれ すく、極板の活物質層の密度を制御しにく 、電極にした際に浸液性が悪く、浸液速度 小さくなる場合がある。更に、負極材料が ぶれてリチウムイオンのパスを塞ぐ場合が り、レート特性が低下する場合がある。一 、プレス荷重がこの上限を上回るような複 黒鉛粒子では、活物質層の極板からの剥離 大きくなる傾向がある。

 上記範囲のプレス荷重を有する複合黒鉛 子の製造方法は特に限定はないが、球状黒 質、バインダー量、黒鉛化度等を工夫する とによって得ることができる。

[2]非水系二次電池用負極材料
 本発明の非水系二次電池用複合黒鉛粒子(以 下、「複合黒鉛粒子(A)」と略記する場合があ る)は、単独で非水系二次電池用負極材料と ることもできるが、天然黒鉛、人造黒鉛、 相成長性炭素繊維、導電性カーボンブラッ 、非晶質被覆黒鉛、樹脂被覆黒鉛及び非晶 炭素よりなる群から選ばれる1種以上の、上 複合黒鉛粒子とは形状又は物性の異なる炭 質粒子(以下、「炭素質粒子(B)」と略記する )を更に含有させて非水系二次電池用負極材 とすることも好ましい。

 炭素質粒子(B)を適宜選択して混合するこ によって、導電性の向上によるサイクル特 の向上や充電受入性の向上、不可逆容量の 減、また、プレス性の向上が可能となる。 素質粒子(B)を混合する場合の量の下限は、 極材料全体に対して、通常0.1質量%以上、好 ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.6質 %以上であり、上限は、通常80質量%以下、好 しくは50質量%以下、より好ましくは40質量% 下である。この範囲を下回ると、導電性向 の効果が得にくい場合がある。また上回る 、初期不可逆容量の増大を招く場合がある

 炭素質粒子(B)のうちで、天然黒鉛としては 例えば、高純度化した鱗片状黒鉛や球形化 た黒鉛を用いることができる。天然黒鉛の 積基準平均粒径は、通常8μm以上、好ましく は10μm以上、また、通常60μm以下、好ましく 40μm以下の範囲である。天然黒鉛のBET比表面 積は、通常4m 2 /g以上、好ましくは4.5m 2 /g以上、通常9m 2 /g以下、好ましくは5.5m 2 /g以下の範囲である。

 人造黒鉛としては、例えば、コークス粉 天然黒鉛をバインダーで複合化した粒子、 一の黒鉛前駆体粒子を粉状のまま焼成、黒 化した粒子等を用いることができる。

 非晶質被覆黒鉛としては、例えば、天然 鉛や人造黒鉛に非晶質前駆体を被覆、焼成 た粒子や、天然黒鉛や人造黒鉛に非晶質を 面に被覆した粒子を用いることができる。

 樹脂被覆黒鉛としては、例えば、天然黒 や人造黒鉛に高分子材料を被覆、乾燥して た粒子等を用いることができ、非晶質炭素 しては、例えば、バルクメソフェーズを焼 した粒子や、炭素前駆体を不融化処理し焼 した粒子を用いることができる。

 このうち、本発明の複合黒鉛粒子に、炭 質粒子(B)として配合して用いる場合、特に 然黒鉛が、高容量が維持されるので好まし 。

 複合黒鉛粒子(A)に炭素質粒子(B)を混合し 負極材料とする場合、炭素質粒子(B)の混合 合は、負極材料全体に対して、5μm未満の炭 素質粒子を混合する場合は、通常0.1質量%以 、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0 .6質量%以上であり、5μm以上の炭素質粒子を 合する場合は、好ましくは5質量%以上、特に 好ましくは15%以上である。また、通常95質量% 以下、好ましくは80質量%以下の範囲である。 炭素質粒子(B)の混合割合が前記範囲を下回る と、炭素質粒子(B)を添加した上記の効果が現 れ難い場合もある。一方、前記範囲を上回る と、複合黒鉛粒子(A)の特性が得られ難い場合 もある。

 本発明の負極材料は、上記炭素質粒子の 性の項で記載したものと同様に測定したプ ス荷重が、5cmあたりに換算して、200kgf/5cm以 上が好ましく、250kgf/5cm以上が特に好ましく 300kgf/5cm以上が更に好ましい。また、通常1200 kgf/5cm以下、好ましくは1000kgf/5cm以下、特に好 ましくは850kgf/5cm以下である。

 すなわち、負極材料を100重量部、スチレン ブタジエンゴムの水分散液を固形分として 2重量部及び重量平均分子量25万~30万のカル キシメチルセルロースの水溶液を固形分と て1重量部を配合して水系スラリーとし、こ の水系スラリーを厚さ18μmの銅箔上に、乾燥 厚10±0.1mg/cm 2 となるようドクターブレードを用いて塗布し て乾燥させた後に、直径20cmのローラを有す ロールプレスを用いて、金属製のローラ2つ 間に挟んで1回のプレスで、密度1.73±0.03g/cm 3 となるようプレス荷重を調整して幅5cmの活物 質層を形成させるときの該プレス荷重が、上 記範囲となることが好ましい。

 プレス荷重がこの下限を下回るような負 材料では、粒子がつぶれやすく、極板の活 質層の密度を制御しにくく、電極にした際 浸液性が悪く、浸液速度が小さくなる場合 ある。更に、つぶれてリチウムイオンのパ を塞ぐ場合があり、レート特性が低下する 合がある。一方、プレス荷重がこの上限を 回るような負極材料では、活物質層の極板 らの剥離が大きくなる傾向があり、更に高 能力のプレス装置が必要となる場合がある

 上記範囲のプレス荷重を有する負極材料 調製方法は特に限定はないが、複合黒鉛粒 (A)については、炭素質粒子種、バインダー 、黒鉛化度等を工夫することによって、ま 、複合黒鉛粒子(A)と炭素質粒子(B)の混合比 、(A)(B)両粒子の柔らかさの違いに応じて最 化することによって得ることができる。

 以下に製造方法について説明する。本発 の複合黒鉛粒子は、原料である球状黒鉛粒 、バインダー等を混合し、必要に応じて成 、脱揮発成分焼成、黒鉛化、粉砕、分級を うことにより製造される。前述の物性を満 する本発明の複合黒鉛粒子を製造するため は、以下の工夫点を組み合わせることが重 である。

 原料についての工夫点として、例えば、 状黒鉛粒子の主成分として平均円形度の高 球形化黒鉛を選択することが挙げられる。

 また、球状黒鉛粒子とバインダーを捏合 るに際し、バインダーであるピッチ等の種 や量を最適化するといった工夫や粉砕時の 度を最適化する。

 以下、本発明の複合黒鉛粒子等の好適な 造方法について詳細に説明する。

 まず、球状黒鉛粒子及びバインダーを加 しながら捏合する。この際、所望により黒 化触媒を加えてもよい。好適な炭素質粒子 バインダー及び黒鉛化触媒は次の通りであ 。

(i)球状黒鉛粒子
 球状黒鉛粒子の主成分としては、塗工性を げるためタップ密度の高いものを得るとい 観点から、球形度の高いものが好ましく、 形化天然黒鉛が特に好ましい。通常、X線広 角回折法による(002)面の面間隔(d 002 )が0.340nm以下を示すような結晶性の高い天然 鉛を原料とするものが例に挙げられる。具 的には天然黒鉛若しくはこれらに機械的粉 品を加えて円形度を向上させたものが好ま い。

 球状黒鉛粒子のレーザー回折/散乱式粒径 分布測定による体積基準粒径分布のメジアン 径は、特に制限はないが、通常5μm以上、好 しくは6μm以上、特に好ましくは8μm以上、ま た、通常40μm以下、好ましくは35μm以下、特 好ましくは30μm以下の範囲である。炭素質粒 子のメジアン径がこの下限を下回ると、コス トアップとなりやすく、上限を上回ると塗工 時の不良発生の原因となりやすい。炭素質粒 子のメジアン径は、前述の負極材料のメジア ン径と同様にして測定することができる。

 球状黒鉛粒子の平均粒径は、目的とする 合黒鉛粒子の0.93倍以上が好ましく、目的と する複合黒鉛粒子の平均粒径と等倍若しくは それより大きいものを用いることが特に好ま しい。

 本発明の複合黒鉛粒子の原料としての球 黒鉛粒子は、球形化処理を経たものが特に ましい。球形化処理に用いる装置としては 例えば、衝撃力を主体に粒子の相互作用も めた圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用 繰り返し粒子に与える装置を用いることが きる。具体的には、ケーシング内部に多数 ブレードを設置したローターを有し、その ーターが高速回転することによって、内部 導入された炭素材料に対して衝撃圧縮、摩 、せん断力等の機械的作用を与え、表面処 を行なう装置が好ましい。また、炭素材料 循環させることによって機械的作用を繰り して与える機構を有するものであるのが好 しい。好ましい装置として、例えば、ハイ リダイゼーションシステム(奈良機械製作所 社製)、クリプトロン(アーステクニカ社製)、 CFミル(宇部興産社製)、メカノフュージョン ステム(ホソカワミクロン社製)、シータコン ポーザ(徳寿工作所社製)等が挙げられる。

これらの中で、奈良機械製作所社製のハイ ブリダイゼーションシステムが好ましい。こ の装置を用いて処理する場合は、回転するロ ーターの周速度を30~100m/秒にするのが好まし 、40~100m/秒にするのがより好ましく、50~100m/ 秒にするのが更に好ましい。また、処理は、 単に炭素質物を通過させるだけでも可能であ るが、30秒以上装置内を循環又は滞留させて 理するのが好ましく、1分以上装置内を循環 又は滞留させて処理するのがより好ましい。

 球状黒鉛粒子の平均円形度は、通常0.85以 上、好ましくは0.9以上、また、通常1.0以下、 好ましくは0.96以下の範囲である。炭素質粒 の平均円形度がこの下限を下回ると、配向 が下がりやすく、上限を上回るとコストア プとなりやすい。球状黒鉛粒子の平均円形 は、前述の負極材料の平均円形度と同様に て測定したものを用いる。

 球状黒鉛粒子のタップ密度は、通常0.8g/cm 3 以上、好ましくは0.9g/cm 3 以上、更に好ましくは0.95g/cm 3 以上、また、通常1.35g/cm 3 以下、好ましくは1.2g/cm 3 以下の範囲である。球状黒鉛粒子のタップ密 度がこの範囲を下回ると、活物質とした場合 の充填密度が上がり難く、高容量の電池が得 られない場合がある。一方、この範囲を上回 ると、球状黒鉛粒子を歩留まりよく得るのが 困難となり、コストアップにつながる場合が ある。なお、タップ密度の測定方法は二次電 池用複合黒鉛粒子の記載と同様である。ここ で、本明細書において、球状黒鉛粒子の「球 状」とは、楕円体等の、いわゆる球形に近い 形状も含む形状を意味する。

(ii)黒鉛化可能なバインダー
 「黒鉛化可能なバインダー」(以下、単に「 バインダー」と記載することがある)として 、具体的には、含浸ピッチ、バインダーピ チ、コールタールピッチ、石炭液化油等の 炭系重質油、アスファルテン等の直留系重 油、エチレンヘビーエンドタール等の分解 重質油等の石油系重質油等が挙げられる。

 バインダー中に含まれるキノリン不溶成 は通常0~10質量%であるが、少なければ少な ほど固さや電池にした時の容量の点で好ま い。バインダーのキノリン不溶成分の含有 が多すぎると、得られる複合黒鉛粒子の強 が高くなり、集電体に塗布された活物質層 プレスしても粒子が変形せず、高密度化す のが困難となる傾向があり、また、容量も 下する場合がある。

 バインダーは、炭化・黒鉛化により得ら る黒鉛化処理を経た複合黒鉛粒子に占めて るバインダー由来のものの比率が通常1質量 %以上、好ましくは5質量%以上、更に好ましく は10質量%以上となるように用いる。その上限 としては、この比率が通常60質量%以下、好ま しくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以 下となる量である。バインダー量が多すぎる と、バインダー由来の非晶質部分が最終生成 物中で多くなるため、電池にしたときの電池 容量が低下する場合がある。また、得られる 複合黒鉛粒子が堅くなるため、集電体に塗布 された活物質層をプレスした際、バインダー 由来部分ではなく、炭素質粒子由来の黒鉛質 粒子そのものの破壊が起きやすくなる。一方 、バインダー量が少なすぎると、得られる複 合黒鉛粒子が柔らかくなりすぎ、良好な充放 電特性が得られない場合がある。

 複合黒鉛粒子中のバインダー量は、捏合 前の段階で添加するバインダーの量によっ コントロールする。例えばJIS K2270記載の方 法で求めたバインダーの残炭率がp%である場 には所望の量の100/p倍のバインダーを添加 ることとなる。

 なお、ピッチ、タール等のバインダー添 の際の工夫としては、極力、低温、短時間 均一に分散させることが初期不可逆容量低 、プレス荷重低減のために好ましい。分散 低温、短時間で行うためには炭素質粒子が れない程度に攪拌を強めればよい。

(iii)黒鉛化触媒
 充放電容量の増加とプレス性の改良のため 、炭素質粒子とバインダーの混合に際し、 鉛化触媒を添加しても良い。黒鉛化触媒と ては、鉄、ニッケル、チタン、ケイ素、ホ 素等の金属及びこれらの炭化物、酸化物、 化物等の化合物が挙げられる。なかでも、 イ素、ケイ素化合物、鉄、鉄化合物が好ま く、ケイ素化合物のなかでは炭化珪素、鉄 合物のなかでは酸化鉄が特に好ましい。

 黒鉛化触媒としてケイ素やケイ素化合物 用いた場合、加熱により生成する炭化ケイ が2800℃以上の温度ですべて熱分解して結晶 性の極めて良好な黒鉛を成長させ、かつケイ 素が揮散する時に黒鉛結晶間に細孔が形成さ れるので、粒子内部のリチウムイオンの電荷 移動反応と拡散とを助長し電池性能を向上さ せることができる。また、黒鉛化触媒として 鉄又はその化合物を用いた場合、炭素の触媒 への溶解、析出の機構により結晶性の良好な 黒鉛を成長させ、ケイ素と同様な効果を発現 することができる。

 これらの黒鉛化触媒の添加量は、原料と ての炭素質一次粒子に対して通常30質量%以 、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは1 0質量%以下、特に好ましくは5質量%以下であ 。黒鉛化触媒が多すぎると、黒鉛化が進み ぎ、リチウムイオン二次電池製造時の特性 特に浸液性が充分でないといった問題が生 る場合がある。同時に、複合黒鉛粒子内に 孔を生成させるためか、粒子の強度が低下 、その結果極板作製時のプレス工程におい 表面が平滑化し、イオンの移動を阻害する 合もある。

 一方、黒鉛化触媒が少なすぎると、黒鉛 が不十分で非水系二次電池にした時の充放 容量の低下の問題があり、また、極板作製 のプレス工程において高圧力を必要とし高 度化するのが困難となる場合もある。更に 複合黒鉛粒子内に適量の細孔が存在しない めか、粒子の強度が高くなりすぎ、集電体 塗布された活物質層を所定の嵩密度にプレ 成形するときに高圧力を必要とし、負極活 質層を高密度化するのが困難となる場合が る。

(iv)捏合(混合)
 炭素質粒子、バインダー及び所望により添 された黒鉛化触媒等の原料は、まず、加熱 で捏合される。これにより、炭素質粒子及 捏合温度では溶融しない原料に液状のバイ ダーが添着された状態となる。この場合、 合機に全原料を仕込んで捏合と昇温を同時 行っても良いし、捏合機にバインダー以外 成分を仕込んで攪拌状態で加熱し、捏合温 まで温度が上がった後に常温又は加硫溶融 態のバインダーを仕込んでも良い。

 加熱温度は、バインダーの軟化点以上で り、加熱温度が低すぎると、バインダーの 度が高くなり、混合が困難となるので、通 軟化点より10℃以上高い温度、好ましくは 化点より20℃以上高い温度で行われる。加熱 温度が高すぎるとバインダーの揮発と重縮合 によって混合系の粘度が高くなりすぎるので 、通常300℃以下、好ましくは250℃以下である 。

 捏合機は撹拌翼をもつ機種が好ましく、 拌翼はZ型、マチスケータ型といった汎用的 なものを用いることができる。捏合機に投入 する原料の量は、通常混合機容積の10体積%以 上、好ましくは15体積%以上で、50体積%以下、 好ましくは30体積%以下である。捏合時間は5 以上必要であり、最長でも揮発分の揮散に る大きな粘性の変化を来たす時間までで、 常は30~120分である。捏合機は捏合に先立ち 合温度まで予熱しておくことが好ましい。

(v)成形
 得られた捏合物は、そのまま、揮発成分(以 下、「VM」と略記する)の除去と炭化を目的と する脱VM焼成工程に供してもよいが、ハンド ングしやすいように、成形してから脱VM焼 工程に供することが好ましい。

 成形方法は形状を保持することが可能で れば特に制限はなく、押し出し成形、金型 形、静水圧成形等を採用することができる このうち、成形体内で粒子が配向し易い押 出し成形や、粒子の配向はランダムに保た るが生産性に問題がある静水圧成形より、 較的操作が容易であり、また、捏合でラン ムな配向となった構造を破壊せずに成形体 得ることができる金型成形が好ましい。

 成形温度は、室温(冷間)、加熱下(熱間、 インダーの軟化点以上の温度)のどちらでも よい。冷間で成形する場合は、成形性の向上 と成形体の均一性を得るために、捏合後冷却 された混合物を予め最大寸法が1mm以下に粗砕 することが望ましい。成形体の形状、大きさ は特に制限は無いが、熱間成形では、成形体 が大きすぎると成形に先立つ均一な予熱を行 うのに時間がかかる問題があるので、通常最 大寸法で150cm程度以下の大きさとすることが ましい。

 成形圧力は、圧力が高すぎると成形体の細 を通しての脱揮発成分除去(脱VM)が困難とな り、かつ真円ではない炭素質粒子が配向し、 後工程における粉砕が難しくなる場合がある ので、成形圧力の上限は、通常3tf/cm 2 (294MPa)以下、好ましくは500kgf/cm 2 (49MPa)以下、更に好ましくは10kgf/cm 2 (0.98MPa)以下である。下限の圧力は特に制限は ないが、脱VMの工程で成形体の形状を保持で る程度に設定することが好ましい。

(vi)脱VM焼成
 得られた成形体は、炭素質粒子及びバイン ーの揮発成分(VM)を除去して、黒鉛化時の充 填物の汚染、充填物の成形体への固着を防ぐ ために、脱VM焼成を行う。脱VM焼成は、通常60 0℃以上、好ましくは650℃以上で、通常1300℃ 下、好ましくは1100℃以下の温度で、通常0.1 時間~10時間行う。加熱は、酸化を防止するた めに、通常、窒素、アルゴン等不活性ガスの 流通下又はブリーズ、パッキングコークス等 の粒状炭素材料を間隙に充填した非酸化性雰 囲気で行う。

 脱VM焼成に用いる設備は、電気炉やガス 、電極材用リードハンマー炉等、非酸化性 囲気で焼成可能であれば特に限定されない 加熱時の昇温速度は揮発分の除去のために 速であることが望ましく、通常、低沸分の 発が始まる200℃付近から水素の発生のみと る700℃近傍までを、3~100℃/hrで昇温する。

(vii)黒鉛化
 脱VM焼成により得られた炭化物成形体は、 いで、高温で加熱して黒鉛化する。黒鉛化 の加熱温度は、通常2600℃以上、好ましくは2 800℃以上で加熱する。また、加熱温度が高過 ぎると、黒鉛の昇華が顕著となるので、3300 以下が好ましい。加熱時間は、バインダー び炭素質粒子が黒鉛となるまで行えばよく 通常1~24時間である。

 黒鉛化時の雰囲気は、酸化を防止するた 、窒素、アルゴン等の不活性ガスの流通下 はブリーズ、パッキングコークス等の粒状 素材料を間隙に充填した非酸化性雰囲気下 行う。黒鉛化に用いる設備は、電気炉やガ 炉、電極材用アチソン炉等、上記の目的に うものであれば特に限定されず、昇温速度 冷却速度、熱処理時間等は使用する設備の 容範囲で任意に設定することができる。

(viii)粉砕
 このようにして得られた黒鉛化処理物は、 常はこのままでは本発明の要件を満たさな ので、粉砕もしくは磨砕を行う。その工程 粗粉砕、中粉砕、微粉砕の3工程に大別され る。

 黒鉛化処理物の粉砕・磨砕方法は特に制 はないが、粉砕・磨砕の手段としては、機 的に摩砕する手段、例えば、ボールミル、 ンマーミル、CFミル、アトマイザーミル、 ルペライザー等、風力を利用した粉砕手段 例えば、ジェットミル等が例示される。粗 砕、中粉砕については、ジョークラッシャ ハンマーミル、ローラミル等の衝撃力によ 粉砕方式を用いてもよい。ここで、粉砕の イミングは、黒鉛化前であっても黒鉛化後 あってもよい。後者の方がルツボ詰め等の 業が不要で安価に製造できるので、より好 しい。

(viii-1)粗粉砕、中粉砕
 本発明に記載の要件を満たすためには、該 鉛化処理物の粗粉砕・中粉砕においては、 えば「オリエント工業社製VM-32型粉砕機」 用いる場合には、黒鉛化処理物をベルト搬 式のフィーダーにて、300kg/分のスピードで 砕機に搬入し、粉砕羽根回転数を1000回転/分 以上にて粉砕・磨砕する。また本粉砕段階で 過度な粉砕・磨砕を行なうと、黒鉛化処理物 の粒子表面に多くの微粉が発生し、この微粉 により粉砕処理品を塗布した電極にて電池を 作製した場合に初回充放電時の不可逆容量が 増加する場合がある。

(viii-2)微粉砕
 また、微粉砕においては、例えば「ターボ 業社製TB-250型粉砕機」を用いる場合には、 鉛化処理物を定量式のスパイラルフィーダ にて、50kg/分、55kg/分又は60kg/分で搬入して 砕する。粉砕機への黒鉛化処理物の搬入速 を高めると、粉砕羽根回転数を一定にした 合、粉砕後の黒鉛化処理物の比表面積は低 する場合がある。

 本発明記載の要件を満たすために、微粉 時の粉砕羽根回転数は、例えば「ターボ工 社製TB-250型粉砕機」を用いる場合は、6450回 転/分、7800回転/分又は8000回転/分にて粉砕す 。微粉砕時に粉砕機の粉砕羽根回転数を高 ると、黒鉛化処理物の搬入速度を一定にし 場合、粉砕後の黒鉛化処理物の比表面積は 加する。

(ix)分級
 得られた粉砕又は磨砕物から必要に応じ大 粒状物・小径粒状物(微紛)除去を行っても い。

 大径粒状物を除去することにより短絡の 生や、塗布時のむらが減少することがある また小径粒状物(微紛)を除去することによ 、初期不可逆容量が減少することがある。 た、大径粒状物や微紛の除去により、レー ー回折/散乱式粒径測定による体積基準粒径 布において、粒径100μm以上のものが全体の3 体積%以下、かつ、粒径1μm以下のものが全体 1体積%以下となるように整粒することが望 しい。

 大径粒状物・小径粒状物を除去する方法 しては、種々あるが、篩分け及び分級によ 除去することが、機器の簡易性、操作性及 コスト面で好ましい。更に、篩分け又は分 は、複合黒鉛粒子の粒度分布及び平均粒径 、黒鉛化及び該粒状物の除去により変化す のを必要に応じ再調整できるという利点が る。

 大径粒状物除去のための篩分けには、網 固定式、面内運動式、回転ふるい式等があ が、処理能力の点から、網面固定式の中の ロースルー型の篩が特に好ましい。使用す 篩い目の目開きのサイズは、80μm以下、30μm 以上のものであれば使用可能であり、除去す る粒状物の生成状況(特に量及び粒径)と、複 黒鉛粒子の粒度分布及び平均粒径の調整要 に合わせ適宜選択し使用する。該サイズが8 0μmを越えると、該粒状物の除去が不充分と り、30μm未満の場合、複合黒鉛粒子を過剰に 除去することにつながり、製品ロスが多く生 じるとともに、粒度分布の調整も困難になる 場合がある。なお、汎用のサイズとして市販 されている目開きが45μm、38μmの篩い目が好 しく使用できる。

 分級は、風力分級、湿式分級、比重分級 の方法で行うことができ、100μm以上の粒状 を除去するには特に限定されないが、複合 鉛粒子の性状への影響及び複合黒鉛粒子の 度分布及び平均粒径も調整することを考慮 ると、旋回流分級機等の風力分級機の使用 好ましい。この場合、風量と風速を制御す ことで、上記篩い目の目開きのサイズを調 するのと同様に、該粒状物の除去と複合黒 粒子の粒度分布及び平均粒径を調整するこ ができる。

[3]非水系二次電池用負極
 本発明の複合黒鉛粒子は、非水系二次電池 特にリチウムイオン二次電池の負極材料と て好適に用いることができる。また前記し ように、本発明の複合黒鉛粒子(A)と炭素質 子(B)とを配合したものも、負極材料として 適に用いることができる。

 複合黒鉛粒子(A)と炭素質粒子(B)との混合 用いる装置としては特に制限はないが、例 ば、回転型混合機としては、円筒型混合機 双子円筒型混合機、二重円錐型混合機、正 方型混合機、鍬型混合機等が挙げられ、固 型混合機としては、らせん型混合機、リボ 型混合機、Muller型混合機、Helical Flight型混 機、Pugmill型混合機、流動化型混合機等が挙 げられる。

 非水系二次電池を構成する負極は、負極 料、極板成形用結着剤、増粘剤、導電材を 有する活物質層を集電体上に形成してなる 活物質層は通常、負極材料、極板成形用結 剤、増粘剤、導電材及び溶媒を含有するス リーを調製し、これを集電体上に塗布、乾 、プレスすることにより得られる。

 極板成形用結着剤としては、電極製造時 使用する溶媒や電解液に対して安定な材料 あれば、任意のものを使用することができ 。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテ ラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリ ロピレン、スチレン・ブタジエンゴム、イ プレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン-ア クリル酸共重合体及びエチレン-メタクリル 共重合体等が挙げられる。極板成形用結着 は、負極材料/極板成形用結着剤の重量比で 通常90/10以上、好ましくは95/5以上、通常99.9 /0.1以下、好ましくは99.5/0.5以下の範囲で用い られる。

 増粘剤としては、カルボキシルメチルセ ロース、メチルセルロース、ヒドロキシメ ルセルロース、エチルセルロース、ポリビ ルアルコール、酸化スターチ、リン酸化ス ーチ及びガゼイン等が挙げられる。

 導電材としては、銅又はニッケル等の金 材料、グラファイト又はカーボンブラック の炭素材料等が挙げられる。 

 集電体の材質としては、銅、ニッケル又 ステンレス等が挙げられる。これらのうち 薄膜に加工しやすいという点及びコストの から銅箔が好ましい。

 活物質層の密度は、用途により異なるが、 量を重視する用途では、通常1.55g/cm 3 以上であるが、1.60g/cm 3 以上が好ましく、更に1.65g/cm 3 以上、特に1.70g/cm 3 以上が好ましい。密度が低すぎると、単位体 積あたりの電池の容量が必ずしも充分ではな い場合がある。また、密度が高すぎると充放 電高負荷特性が低下するので、1.90g/cm 3 以下が好ましい。なお、ここで活物質層とは 集電体上の活物質、極板成形用バインダー、 増粘剤、導電材等よりなる合剤層をいい、そ の密度とは電池に組立てる時点での活物質層 の嵩密度をいう。

[4]非水系二次電池
 本発明の複合黒鉛粒子、本発明の負極材料 用いて製造された本発明の非水系二次電池 負極は、特にリチウムイオン二次電池等の 水系二次電池の負極として極めて有用であ 。

 このような非水系二次電池を構成する正 、電解液等の電池構成上必要な部材の選択 ついては特に制限されない。以下において 非水系二次電池を構成する部材の材料等を 示するが、使用し得る材料はこれらの具体 に限定されるものではない。

 本発明の非水系二次電池は、通常少なく も、上記の本発明の負極、正極及び電解質 有する。

 正極は、正極集電体上に正極活物質、導電 及び極板成形用バインダーを含有する活物 層を形成してなる。活物質層は通常正極活 質、導電剤及び極板成形用バインダーを含
有するスラリーを調製し、これを集電体上に 塗布、乾燥することにより得られる。

 正極活物質としては、例えば、リチウムコ ルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リ ウムマンガン酸化物等のリチウム遷移金属 合酸化物材料;二酸化マンガン等の遷移金属 酸化物材料;フッ化黒鉛等の炭素質材料等の チウムを吸蔵・放出可能な材料を使用する とができる。具体的には、例えば、LiFePO 4 、LiFeO 2 、LiCoO 2 、LiNiO 2 、LiMn 2 O 4 及びこれらの非定比化合物、MnO 2 、TiS 2 、FeS 2 、Nb 3 S 4 、Mo 3 S 4 、CoS 2 、V 2 O 5 、P 2 O 5 、CrO 3 、V 3 O 3 、TeO 2 、GeO 2 等を用いることができる。

 正極集電体としては、電解液中での陽極 化によって表面に不動態皮膜を形成する金 又はその合金を用いるのが好ましく、IIIa、 IVa、Va族(3B、4B、5B族)に属する金属及びこれ の合金を例示することができる。具体的に 、例えば、Al、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta及びこれら 金属を含む合金等を例示することができ、Al 、Ti、Ta及びこれらの金属を含む合金を好ま く使用することができる。特にAl及びその合 金は軽量であるためエネルギー密度が高くて 望ましい。

 電解質としては、電解液、固体電解質、 ル状電解質等が挙げられるが、なかでも電 液、特に非水系電解液が好ましい。非水系 解液は、非水系溶媒に溶質を溶解したもの 用いることができる。

 溶質としては、アルカリ金属塩や4級アンモ ニウム塩等を用いることができる。具体的に は、例えば、LiClO 4 、LiPF 6 、LiBF 4 、LiCF 3 SO 3 、LiN(CF 3 SO 2 ) 2 、LiN(CF 3 CF 2 SO 2 ) 2 、LiN(CF 3 SO 2 )(C 4 F 9 SO 2 )、LiC(CF 3 SO 2 ) 3 からなる群から選択される1以上の化合物を いるのが好ましい。

 非水系溶媒としては、例えば、エチレン ーボネート、ブチレンカーボネート等の環 カーボネート、γ-ブチロラクトン等の環状 ステル化合物;1,2-ジメトキシエタン等の鎖 エーテル;クラウンエーテル、2-メチルテト ヒドロフラン、1,2-ジメチルテトラヒドロフ ン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン 等の環状エーテル;ジエチルカーボネート、 チルメチルカーボネート、ジメチルカーボ ート等の鎖状カーボネート等を用いること できる。溶質及び溶媒はそれぞれ1種類を選 して使用してもよいし、2種以上を混合して 使用してもよい。これらの中でも非水系溶媒 が、環状カーボネートと鎖状カーボネートを 含有するものが好ましい。またビニレンカー ボネート、ビニルエチレンカーボネート、無 水コハク酸、無水マレイン酸、プロパンスル トン、ジエチルスルホン等の化合物が添加さ れていても良い。

 電解液中のこれらの溶質の含有量は、0.2m ol/L以上が好ましく、特に0.5mol/L以上が好まし く、2mol/L以下が好ましく、特に1.5mol/L以下で ることが好ましい。

 これらのなかでも本発明の負極と、金属 ルコゲナイド系正極と、カーボネート系溶 を主体とする有機電解液とを組み合わせて 成した非水系二次電池は、容量が大きく、 期サイクルに認められる不可逆容量が小さ 、急速充放電容量が高く(レート特性が良好 )、またサイクル特性が優れ、高温下での放 における電池の保存性及び信頼性も高く、 効率放電特性及び低温における放電特性に めて優れたものである。

 正極と負極の間には、通常正極と負極が 理的に接触しないようにするためにセパレ タが設けられる。セパレータはイオン透過 が高く、電気抵抗が低いものであるのが好 しい。セパレータの材質及び形状は、特に 定されないが、電解液に対して安定で、保 性が優れたものが好ましい。具体的には、 リエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ ィンを原料とする多孔性シート又は不織布 挙げられる。

 本発明の非水系二次電池の形状は特に制 されず、シート電極及びセパレータをスパ ラル状にしたシリンダータイプ、ペレット 極及びセパレータを組み合わせたインサイ アウト構造のシリンダータイプ、ペレット 極及びセパレータを積層したコインタイプ が挙げられる。

 次に実施例により本発明の具体的態様を に詳細に説明するが、本発明はこれらの例 よって限定されるものではない。

実施例1
 平均粒径100μmの黒鉛粒子を奈良機械製作所 ハイブリダイゼーションシステムNHS-3型に 、ローター周速度70m/秒で9分間の球形化処理 を行い、平均粒径21.7μmの球状黒鉛粒子を得 。

 この球状黒鉛粒子と、黒鉛化可能なバイ ダーとして軟化点88℃のバインダーピッチ を、100:30の重量比で混合し、予め128℃に加 されたマチスケータ型撹拌翼を持つニーダ に投入して20分間捏合した。

 十分に捏合された混合物を、予め108℃に予 されたモールドプレス機の金型に充填し、5 分間放置し混合物の温度が安定したところで プランジャーを押し、2kgf/cm 3 (0.20MPa)の圧力を加えて成形した。1分間この 力を保持した後、駆動を止め、圧力低下が まった後、成形体を取り出した。

 得られた成形体を耐熱容器である金属製 ガーに収納し、間隙に黒鉛質ブリーズを充 した。電気炉で室温から1000℃まで48時間か て昇温し、1000℃で3時間保持し、脱VM焼成を 行った。次に、成形体を黒鉛ルツボに収納し 、間隙に黒鉛質ブリーズを充填した。アチソ ン炉で3000℃に4時間加熱して黒鉛化を行った

 得られた黒鉛質の成形体をジョークラッ ャで粗砕した後、粉砕羽根回転数を8000回転 /分に設定したミルにて微粉砕し、45μm篩いで 粗粒子を除き、複合黒鉛粒子を得た。これに ついて、表面性状、複合黒鉛粒子のメジアン 径(b)に対する原料の球状黒鉛粒子のメジアン 径(a)の比(c=a/b)、ラマンR値、メジアン径、タ プ密度、BET比表面積、平均円形度、粉体空 量、BET比表面積で規格化したCO基の量、及 85℃3日間高温耐久を行った際のラミネート ルの膨れ量(「高温耐久試験時のセル膨れ量 とする)を前記の測定法で測定した。結果を 表1に示す。

(i)極板(負極シート)の作製方法及びプレス荷 の測定
 この複合黒鉛粒子を負極材料として用い、 述の方法により、活物質層密度1.70±0.03g/cm 3 の活物質層を有する極板を作製した。すなわ ち具体的には、上記負極材料20.00±0.02g、1質 %カルボキシメチルセルロース水溶液を20.00± 0.02g(固形分換算で0.200g)、及び重量平均分子 27万のスチレン・ブタジエンゴム水性ディス パージョン0.25±0.02g(固形分換算で0.1g)を、キ エンス製ハイブリッドミキサーで5分間撹拌 し、30秒脱泡してスラリーを得た。

 このスラリーを集電体である厚さ18μmの銅 上に、負極材料が11.0±0.1mg/cm 2 付着するように、ドクターブレード法で、幅 5cmに塗布し、室温で風乾を行った。更に110℃ で30分乾燥後、直径20cmのローラを用いてロー ルプレスして、活物質層の密度を1.70g/cm 3 になるよう調整し負極シートを得た。この時 、ロールプレスをする際のプレス荷重を測定 した。

(ii)非水系二次電池の作製方法
 上記方法で作製した負極シートを4cmx3cmの板 状に打ち抜き負極とし、LiCoO 2 からなる正極を同面積で打ち抜き組み合わせ た。負極と正極の間には、エチレンカーボネ ート、エチルメチルカーボネート、ジメチル カーボネートの混合溶媒(容量比=25:37.5:37.5)に 、LiPF 6 を1mol/Lになるように溶解させ、更に添加剤と してビニレンカーボネートを2容積%添加した 解液を含浸させたセパレータ(多孔性ポリエ チレンフィルム製)を置き、ラミネート型電 を作製した。

 上記非水系二次電池を用いて、下記の測 方法で、「高温耐久試験時のセル膨れ量」 測定した。結果を表1に示す。

(iii)高温耐久試験時のセル膨れ量の測定方法
 上記した方法で作製したラミネート型電池 、12時間放置した後、電流密度0.2CmA/cm 3 で、両電極間の電位差が4.1Vになるまで充電 行い、その後3Vになるまで0.2CmA/cm 3 で放電を行った。これを2回繰り返し、更に 電流値で、両電極間の電位差が4.2Vになるま 充電を実施した。ここまでに発生する膨れ a(mL)は、浸漬容積法(アルキメデスの原理に づく溶媒置換法)により計測した。その後、 85℃の恒温槽内に3日間放置して、更に膨れる 量b(mL)を求め、「a+b(mL)」を「高温耐久試験時 のセル膨れ量」とした。表1の結果は、ラミ ート型電池2個について、それぞれ測定し平 値を求めることで得た。

(iv)初期サイクル時の充放電不可逆容量と充 電高負荷特性の測定方法
 前記した方法で作製した負極シートを、12.5 mmφに打ち抜き負極とし、厚さ0.5mmの金属Li箔 同サイズに打ち抜きステンレス板に圧着し ものを正極とし、2極式セルを作製した。セ ルの作製は、水分値20ppm以下に調整したドラ ボックス内で行った。負極と正極との間に 、エチレンカーボネート、エチルメチルカ ボネート、ジメチルカーボネートの混合溶 (容量比、25:30:30)に、LiPF 6 を1mol/Lになるように溶解させた電解液を含浸 させたセパレータ(多孔性ポリエチレンフィ ム製)を置いた。

 充放電試験は、放電電流0.05C(0.2mA/cm 2 )、1.0C(4.0mA/cm 2 )、2.0C(8.0mA/cm 2 )の条件で行った。充放電高負荷特性は、
100×[2.0C(8.0mA/cm 2 )]/[0.05C(0.2mA/cm 2 )]である。この方法にて行った充放電試験の 果を表1に示す。

実施例2
 実施例1で粉砕羽根回転数を6000回転/分に設 した以外は実施例1と同様にして複合黒鉛粒 子を得、上記物性を測定し、次いで実施例1 同様にして、極板(負極シート)、非水系二次 電池を作製し、「高温耐久試験時のセル膨れ 量」、「初期サイクル時の充放電不可逆容量 」及び「充放電高負荷特性」を測定した。複 合黒鉛粒子の物性とこれらの測定結果を表1 示す。

実施例3
 平均粒径100μmの黒鉛を、奈良機械製作所製 イブリダイゼーションシステムNHS-3型にて ーター周速度65m/秒で12分間球形化処理を行 ,平均粒径13.7μmの球状黒鉛粒子を得た。この 球状黒鉛粒子と、黒鉛化可能なバインダーと して軟化点88℃のバインダーピッチとを、100: 30の重量比で用い、粉砕時の粉砕羽根回転数 6000回転/分とした以外は実施例1と同様にし 複合黒鉛粒子を得、上記物性を測定し、次 で実施例1と同様にして、極板(負極シート) 非水系二次電池を作製し、「高温耐久試験 のセル膨れ量」、「初期サイクル時の充放 不可逆容量」及び「充放電高負荷特性」を 定した。複合黒鉛粒子の物性とこれらの測 結果を表1に示す。

実施例4
 平均粒径100μmの黒鉛を、奈良機械製作所製 イブリダイゼーションシステムNHS-3型にて ーター周速度60m/秒で7分間球形化処理を行い 、平均粒径17.3μmの球状黒鉛粒子を得た。こ 球状黒鉛粒子と、黒鉛化可能なバインダー して軟化点88℃のバインダーピッチとを、100 :30の重量比で用い、粉砕時の粉砕羽根回転数 を6000回転/分とした以外は実施例1と同様にし て複合黒鉛粒子を得、上記物性を測定し、次 いで実施例1と同様にして、極板(負極シート) 、非水系二次電池を作製し、「高温耐久試験 時のセル膨れ量」、「初期サイクル時の充放 電不可逆容量」及び「充放電高負荷特性」を 測定した。複合黒鉛粒子の物性とこれらの測 定結果を表1に示す。

実施例5
 実施例4で粉砕時の粉砕羽根回転数を8000回 /分とした以外は実施例4と同様にして複合黒 鉛粒子を得、上記物性を測定し、次いで実施 例1と同様にして、極板(負極シート)、非水系 二次電池を作製し、「高温耐久試験時のセル 膨れ量」、「初期サイクル時の充放電不可逆 容量」及び「充放電高負荷特性」を測定した 。複合黒鉛粒子の物性とこれらの測定結果を 表1に示す。

実施例6
 平均粒径100μmの黒鉛を、奈良機械製作所製 イブリダイゼーションシステムNHS-3型にて ーター周速度60m/秒で9分間球形化処理を行い 、平均粒径21.5μmの球状黒鉛粒子を得た。こ を更にジェットミルで粉砕し、球状黒鉛粒 表面の一次粒子が切平面方向に異方化され 球状黒鉛粒子を得た。これを実施例1と同様 して複合黒鉛粒子を得、上記物性を測定し 次いで実施例1と同様にして、極板(負極シ ト)、非水系二次電池を作製し、「高温耐久 験時のセル膨れ量」、「初期サイクル時の 放電不可逆容量」及び「充放電高負荷特性 を測定した。複合黒鉛粒子の物性とこれら 測定結果を表1に示す。

実施例7
 実施例5で作製した複合黒鉛粒子に、実施例 1で作成した球状黒鉛粒子を5/5の比率で混合 、これを実施例1と同様にして物性を測定し 次いで実施例1と同様にして、極板(負極シ ト)、非水系二次電池を作製し、「高温耐久 験時のセル膨れ量」、「初期サイクル時の 放電不可逆容量」及び「充放電高負荷特性 を測定した。複合黒鉛粒子の物性とこれら 測定結果を表1に示す。

実施例8
 実施例1で得られた複合黒鉛粒子を用い、実 施例1と同様にして、極板(負極シート)を作製 し、実施例1に記載の電解液をマイクロシリ ジにて5μL吸引後、5cmの高さから極板上に長 方向に5μLで5点ずつ順次滴下させ、電解液 極板上で完全に消失するまでの時間を測定 、その平均値を求めた。この値を、以下、 電解液消失時間」と略記する。電解液消失 間の測定結果を表1に示す。

実施例9
 実施例2で得られた複合黒鉛粒子を用い、実 施例1と同様にして、極板(負極シート)を作製 し、実施例1に記載の電解液を用い、実施例8 記載の方法で電解液消失時間を測定した結 を表1に示す。

実施例10
 実施例3で得られた複合黒鉛粒子を用い、実 施例1と同様にして、極板(負極シート)を作製 し、実施例1に記載の電解液を用い、実施例8 記載の方法で電解液消失時間を測定した結 を表1に示す。

実施例11
 実施例4で得られた複合黒鉛粒子を用い、実 施例1と同様にして、極板(負極シート)を作製 し、実施例1に記載の電解液を用い、実施例8 記載の方法で電解液消失時間を測定した結 を表1に示す。

実施例12
 実施例5で得られた複合黒鉛粒子を用い、実 施例1と同様にして、極板(負極シート)を作製 し、実施例1に記載の電解液を用い、実施例8 記載の方法で電解液消失時間を測定した結 を表1に示す。

実施例13
 実施例6で得られた複合黒鉛粒子を用い、実 施例1と同様にして、極板(負極シート)を作製 し、実施例1に記載の電解液を用い、実施例8 記載の方法で電解液消失時間を測定した結 を表1に示す。

実施例14
 実施例1と同様に複合球状黒鉛粒子を得、粉 砕時の粉砕羽根回転数2000回転/分に変えた以 は実施例1と同様に行った。上記物性を測定 し、次いで、実施例1と同様にして、極板(負 シート)、非水系二次電池を作製し、「高温 耐久試験時のセル膨れ量」、「初期サイクル 時の充放電不可逆容量」及び「充放電高負荷 特性」を測定した。複合黒鉛粒子の物性とこ れらの測定結果を表1に示す。

実施例15
 実施例3と同様に複合球状黒鉛粒子を得、粉 砕時の粉砕羽根回転数2000回転/分に変えた以 は実施例1と同様に行った。上記物性を測定 し、次いで実施例1と同様にして、極板(負極 ート)、非水系二次電池を作製し、「高温耐 久試験時のセル膨れ量」、「初期サイクル時 の充放電不可逆容量」及び「充放電高負荷特 性」を測定した。複合黒鉛粒子の物性とこれ らの測定結果を表1に示す。

実施例16
 実施例4と同様に複合球状黒鉛粒子を得、粉 砕時の粉砕羽根回転数2500回転に変えた以外 実施例1と同様に行った。上記物性を測定し 次いで実施例1と同様にして、極板(負極シ ト)、非水系二次電池を作製し、「高温耐久 験時のセル膨れ量」、「初期サイクル時の 放電不可逆容量」及び「充放電高負荷特性 を測定した。複合黒鉛粒子の物性とこれら 測定結果を表1に示す。

実施例17
 実施例14で得られた複合黒鉛粒子を用い、 施例1と同様にして、極板(負極シート)を作 し、実施例1に記載の電解液を用い、実施例8 に記載の方法で、電解液消失時間を測定した 結果を表1に示す。

実施例18
 実施例15で得られた複合黒鉛粒子を用い、 施例1と同様にして、極板(負極シート)を作 し、実施例1に記載の電解液を用い、実施例8 に記載の方法で、電解液消失時間を測定した 結果を表1に示す。

実施例19
 実施例16で得られた複合黒鉛粒子を用い、 施例1と同様にして、極板(負極シート)を作 し、実施例1に記載の電解液を用い、実施例8 に記載の方法で、電解液消失時間を測定した 結果を表1に示す。

 表1の結果から明らかな通り、実施例1な し実施例7、実施例14ないし実施例16では、高 温耐久試験時のセル膨れ量、初期サイクル時 の充放電不可逆容量が小さく、充放電高負荷 特性が高いことが分かった。

 また、実施例8ないし実施例13、実施例17 いし実施例19では電解液の消失時間が非常に 短いことが分かった。

 本発明の複合黒鉛粒子をもちいることで 非水系二次電池にしたときの初期サイクル おける不可逆充放電容量が少ない優れた非 系二次電池用負極及び非水系二次電池を安 的に効率よく製造することができるため、 発明は各種非水系二次電池の分野において 工業上非常に有用である。

 本願は、2006年12月26日に出願した日本の 許出願である特願2006-348703に基づくものであ り、それらの出願の全ての内容はここに引用 し、本発明の明細書の開示として取り込まれ るものである。