Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
COMPOSITION FOR FEED
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175568
Kind Code:
A1
Abstract:
The present invention provides: a composition for a feed, said composition being obtained using a unicellular microorganism as a starting material and appropriately usable as an early stage feed for fishes and crustaceans; a method for raising fishes or crustaceans with the use of the composition for a feed, etc. The present invention pertains to a composition for a feed, said composition containing aggregates of a unicellular microorganism selected from among a yeast, a lactic acid bacterium and a microalga and the unicellular microorganism in a non-aggregated state, characterized in that, in an optical microscopic image of the composition, the ratio of the total area of aggregates having a diameter within a range of 20-1200 μm to the total area of the unicellular microorganism is 25% or greater.

Inventors:
HARA FUTOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/007801
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 26, 2020
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
AGC INC (JP)
International Classes:
A23K10/16; A23K50/80; C12N1/13; C12N1/15; C12N1/19; C12N1/21; C12N15/09; C12N15/31; C12N15/90
Domestic Patent References:
WO2014030644A12014-02-27
WO2007063919A12007-06-07
Foreign References:
JP2000106867A2000-04-18
JP2001512029A2001-08-21
Other References:
BAUER W. ET AL.: "Substitution of fishmeal with microbial floc meal and soy protein concentrate in diets for the pacific white shrimp Litopenaeus vannamei", AQUACULTURE, vol. 342, no. 343, 2012, pages 112 - 116, XP055735136
GIGA-HAMA Y. ET AL.: "Schizosaccharomyces pombe minimum genome factory, Biotechnol", APPL. BIOCHEM, vol. 46, 2007, pages 147 - 155, XP027490309
Attorney, Agent or Firm:
T.S. PARTNERS et al. (JP)
Download PDF:
Claims:
\¥0 2020/175568 22 卩(:17 2020 /007801

請求の範囲

[請求項 1 ] 酵母、 乳酸菌、 及び微細藻類から選ばれる単細胞微生物の凝集塊と

、 凝集していない前記単細胞微生物と、 を含む組成物であって、 前記組成物の光学顕微鏡画像における前記単細胞微生物の総面積に 対する、 直径が 2 0〜 1 2 0 0 の範囲内にある凝集塊の総面積の 割合が、 2 5 %以上であることを特徴とする、 飼料用組成物。

[請求項 2] 前記直径が 2 0〜 1 0 0 の範囲内にある凝集塊の総面積の割合 が、 3 0 %以上である、 請求項 1 に記載の飼料用組成物。

[請求項 3] 前記単細胞微生物が酵母である、 請求項 1又は 2に記載の飼料用組 成物。

[請求項 4] 前記単細胞微生物が、 凝集に関与する遺伝子が改変された形質転換 体である、 請求項 1〜 3のいずれか一項に記載の飼料用組成物。

[請求項 5] 前記凝集に関与する遺伝子が凝集促進に関与する遺伝子であり、 当 該遺伝子の改変が、 内在性の当該遺伝子が有するプロモーターよりも 転写強度が強いプロモーターへの置換である、 請求項 4に記載の飼料 用組成物。

[請求項 6] 前記形質転換体が酵母の形質転換体である、 請求項 4又は 5に記載 の飼料用組成物。

[請求項 7] 前記形質転換体がシゾサツカロミセス ·ボンベの形質転換体であり

、 前記内在性の凝集促進に関与する遺伝子が 9 3 チ 2遺伝子である、 請求項 5に記載の飼料用組成物。

[請求項 8] 前記形質転換体がサツカロミセス ·セレビジェの形質転換体であり

、 前記内在性の凝集促進に関与する遺伝子が !_ 0遺伝子である、 請 求項 5に記載の飼料用組成物。

[請求項 9] 前記凝集に関与する遺伝子が凝集抑制に関与する遺伝子であり、 当 該遺伝子の改変が、 内在性の当該遺伝子の欠失である、 又は、 内在性 の当該遺伝子が有するプロモーターよりも転写強度が弱いプロモータ 一への置換である、 請求項 4に記載の飼料用組成物。 〇 2020/175568 23 卩(:171? 2020 /007801

[請求項 10] 前記形質転換体がシゾサッカロミセス ·ボンベの形質転換体であり 、 前記内在性の凝集抑制に関与する遺伝子が V 9 1遺伝子である、 請求項 9に記載の飼料用組成物。

[請求項 1 1 ] ドコサへキサエン酸又はエイコサペンタエン酸を、 組成物の乾燥重 量当たり〇. 1質量%以上含む、 請求項 1〜 1 0のいずれか一項に記 載の飼料用組成物。

[請求項 12] 魚類の仔稚魚又は甲殻類の幼体に、 請求項 1〜 1 1のいずれか一項 に記載の飼料用組成物を餌として与えて飼育する、 魚類又は甲殻類の 飼育方法。

[請求項 13] 酵母、 乳酸菌及び微細藻類から選ばれる単細胞微生物の凝集塊と凝 集していない前記単細胞微生物とを含む微生物集合体であって、 前記微生物集合体の光学顕微鏡画像における単細胞微生物の総面積 に対する、 直径が 2 0〜 1 2 0 0 の範囲内にある凝集塊の総面積 の割合が、 2 5 %以上である、 前記微生物集合体の、 飼料への使用。

[請求項 14] 単細胞微生物の凝集に関与する遺伝子を、 内在性の前記遺伝子が有 するプロモーターとは転写強度が異なるプロモーターへ置換する、 前 記遺伝子を欠失させる、 又は外来の前記遺伝子をゲノムに組込むこと により、 単細胞微生物の凝集塊の大きさを所望の範囲内に調整する、 単細胞微生物の凝集塊の調製方法。

[請求項 15] 魚類の仔稚魚又は甲殻類の幼体に、 請求項 1 4に記載の単細胞微生 物の凝集塊の調製方法により調製された凝集塊を餌として与えて飼育 する、 魚類又は甲殻類の飼育方法。

Description:
\¥0 2020/175568 1 卩(:17 2020 /007801 明 細 書

発明の名称 : 飼料用組成物

技術分野

[0001 ] 本発明は、 単細胞微生物を原料とし、 魚類の仔稚魚又は甲殻類の幼体のた めの飼料となる飼料用組成物に関する。

背景技術

[0002] 魚類や甲殻類の養殖において最も困難なのは 、 飼育初期の仔稚魚の飼育で ある。 仔稚魚は、 成魚用の配合飼料の摂取は困難であり、 しばしば摂餌不良 による生残率の低下が問題となる。 魚類の仔稚魚又は甲殻類の幼体のための 飼料、 いわゆる初期飼料は、 サイズが適切であることが重要である。 サイズ が小さ過ぎる初期飼料は、 餌として認識されず、 摂餌されない。 逆にサイズ が大きすぎる初期飼料は、 速く沈降して摂餌されにくく、 また、 仔稚魚の口 に入らず、 摂餌されない。 このように、 サイズが大きすぎる飼料と小さすぎ る飼料はいずれも、 初期飼料として不適である。

[0003] 一般に初期飼料としては、 主にシオミズツボワムシ (以下、 ワムシと記す ) とアルテミアが使用されている。 ワムシは、 一般的に背甲長 1 0 0〜 3 4 0 〇1の大きさのものが、 アルテミアは 4 0 0〜 1 0 0 0 〇1の大きさのも のが、 それぞれ初期飼料として汎用されている。 摂餌を開始する仔魚のサイ ズが小さいため、 ワムシが初期飼料に適さない魚種は、 養殖すること自体が 困難である。 また、 ワムシは用時調製する必要があるうえに大量 生産が比較 的困難であり、 アルテミアも用時調製する必要があるうえに 製造コストが比 較的高いという問題もある。 このため、 従来のワムシやアルテミアが適さな い魚種のための初期飼料の開発が求められて いる。 また、 従来の初期飼料よ りも製造しやすくかつ用時調製する必要がな い初期飼料の開発が求められて いる。

[0004] 酵母等の単細胞微生物は様々な凝集体を形成 することが知られており、 凝 集のメカニズムも徐々に解明されてきている 。 例えば、 出芽酵母サツカロミ セス ·セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) やカンジダ属菌において凝 集に関与する遺伝子として、 Flocculation Protein Family (F LO) 、 Epi t he U a l Adhesin Family ( E P A ) 、 Agg lut i n i n- 1 i ke Sequence Protein Fam ily (ALS) が知られている (非特許文献 1〜 3) 。 また、 分裂酵母シゾサ ツカロミセス ·ボンべ (Sch i zosaccharomyces pombe) (以下、 S . ボンベと いう) では、 外来の g s f 2 (Galactose-specific ceU agglutination pro tein) 遺伝子を組み込むことや、 内在性のピルビン酸転移酵素 p v g 1 (Pyr uvy I transferase 1) 遺伝子を欠失させたり、 P v g 1の酵素活性が低下又 は失活させる変異を導入したりして、 非性的凝集が促進されることが知られ ている (非特許文献 4〜 5、 特許文献 1 ) 。

先行技術文献

特許文献

[0005] 特許文献 1 :特許第 59543 1 5号公報

特許文献 2 :国際公開第 201 4/030644号

非特許文献

[0006] 非特許文献 1 : Wi Uaert, Journal of Fungi, 2018, vo L.4(4), 119, doi : 10.

3390/ j of 4040119

非特許文献 2 : Verstrepen et al. , Applied Microbiology and Biotechnolog y, 2003, vol.61, p.197-205.

非特許文献 3 : Hoyer and Cota, Frontiers in Microbiology, 2016, vo L.7, Art i c Le 280.

非特許文献 4 : Matsuzawa et al. , FEMS Yeast Research, 2013, vo L.13(2013 ), p.259-266.

非特許文献 5 : Yor i tsune et al. , FEBS Letters, 2013, vo L.587, p.917-921 非特許文献 6 : MuLvihi L L et al. , Molecular Biology of the CeU, 1999, v 〇U0, p. 2771-2785.

非特許文献 7 : Partow et al. , Yeast, 2010, vo L.27, p.955-964. \¥0 2020/175568 3 卩(:17 2020 /007801 発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007] 酵母等の単細胞微生物は、 大量培養が比較的容易であり、 生物飼料として 好ましい。 しかし、 個々の細胞は小さすぎて、 魚類又は甲殻類の初期飼料と しては不適である。 また大量培養が比較的容易な単細胞微生物で あったとし ても、 インドールやケトンなどのいわゆる腐敗アミ ンを生じさせる腐敗微生 物や、 感染症を引き起こす病原性微生物、 有害な化合物である毒素を生産し 食中毒の原因となる微生物なども、 初期飼料として不適である。

[0008] 本発明に係る目的は、 単細胞微生物を原料とした、 魚類や甲殻類の初期飼 料として好適な飼料用組成物、 及び前記飼料用組成物を用いた魚類又は甲殻 類の飼育方法等の提供である。

課題を解決するための手段

[0009] 本発明者は、 単細胞微生物の凝集に関連する遺伝子のプロ モーターを置換 したり、 前記遺伝子に変異を導入したりして、 前記単細胞微生物の凝集能を 調節し、 魚類の仔稚魚又は甲殻類の幼体が摂取可能な 大きさの凝集塊に調節 できること、 及び、 得られた凝集塊は魚類又は甲殻類の初期飼料 として好適 であることを見出し、 本発明を完成するに至った。

[0010] すなわち、 本発明は、 以下 [1] 〜 [1 5] を提供する。

[1] 酵母、 乳酸菌、 及び微細藻類から選ばれる単細胞微生物の凝 集塊と 、 凝集していない前記単細胞微生物と、 を含む組成物であって、

前記組成物の光学顕微鏡画像における前記単 細胞微生物の総面積に対する 、 直径が 2〇〜 1 2 0 0 の範囲内にある凝集塊の総面積の割合が、 2 5 %以上であることを特徴とする、 飼料用組成物。

[2] 前記直径が 2 0〜 1 0〇 の範囲内にある凝集塊の総面積の割合 が、 3 0 %以上である、 [1] の飼料用組成物。

[3] 前記単細胞微生物が酵母である、 [1] 又は [2] の飼料用組成物

[4] 前記単細胞微生物が、 凝集に関与する遺伝子が改変された形質転換 20/175568 4 卩(:171? 2020 /007801

体である、 [1] 〜 [3] のいずれかの飼料用組成物。

[5] 前記凝集に関与する遺伝子が凝集促進に関与 する遺伝子であり、 当 該遺伝子の改変が、 内在性の当該遺伝子が有するプロモーターよ りも転写強 度が強いプロモーターへの置換である、 [4] の飼料用組成物。

[6] 前記形質転換体が酵母の形質転換体である、 [4] 又は [5] の飼 料用組成物。

[7] 前記形質転換体がシゾサツカロミセス ·ボンベの形質転換体であり 、 前記内在性の凝集促進に関与する遺伝子が 9 3 チ 2遺伝子である、 [5] の飼料用組成物。

[8] 前記形質転換体がサツカロミセス ·セレビジェの形質転換体であり 、 前記内在性の凝集促進に関与する遺伝子が !_ 0遺伝子である、 [5] の 飼料用組成物。

[9] 前記凝集に関与する遺伝子が凝集抑制に関与 する遺伝子であり、 当 該遺伝子の改変が、 内在性の当該遺伝子の欠失である、 又は、 内在性の当該 遺伝子が有するプロモ _ _ よりも転写強度が弱いプロモ _ _ への置換で ある、 [4] の飼料用組成物。

[1 0] 前記形質転換体がシゾサツカロミセス ·ボンベの形質転換体であ り、 前記内在性の凝集抑制に関与する遺伝子が V 9 1遺伝子である、 [9 ] の飼料用組成物。

[1 1] ドコサへキサェン酸又はェイコサペンタェン 酸を、 組成物の乾燥 重量当たり 0 . 1質量%以上含む、 [ 1] 〜 [ 1 0] のいずれかの飼料用組 成物。

[1 2] 魚類の仔稚魚又は甲殻類の幼体に、 [ 1] 〜 [ 1 1] のいずれか の飼料用組成物を餌として与えて飼育する、 魚類又は甲殻類の飼育方法。

[1 3] 酵母、 乳酸菌及び微細藻類から選ばれる単細胞微生 物の凝集塊と 凝集していない前記単細胞微生物とを含む微 生物集合体であって、

前記微生物集合体の光学顕微鏡画像における 単細胞微生物の総面積に対す る、 直径が 2〇〜 1 2 0 0 の範囲内にある凝集塊の総面積の割合が、 2 〇 2020/175568 5 卩(:171? 2020 /007801

5 %以上である、 前記微生物集合体の、 飼料への使用。

[1 4] 単細胞微生物の凝集に関与する遺伝子を、 内在性の前記遺伝子が 有するプロモーターとは転写強度が異なるプ ロモーターへ置換する、 前記遺 伝子を欠失させる、 又は外来の前記遺伝子をゲノムに組込むこと により、 単 細胞微生物の凝集塊の大きさを所望の範囲内 に調整する、 単細胞微生物の凝 集塊の調製方法。

[1 5] 魚類の仔稚魚又は甲殻類の幼体に、 [1 4] の単細胞微生物の凝 集塊の調製方法により調製された凝集塊を餌 として与えて飼育する、 魚類又 は甲殻類の飼育方法。

発明の効果

[001 1] 本発明に係る飼料用組成物は、 直径が 2 0〜 1 2 0 0 の範囲内にある 大きさの単細胞微生物の凝集塊を比較的多く 含む。 このため、 前記飼料用組 成物は、 魚類の仔稚魚又は甲殻類の幼体 (仔稚魚等) のための飼料として好 適である。

発明を実施するための形態

[0012] 本発明に係る飼料用組成物は、 酵母、 乳酸菌、 及び微細藻類から選ばれる 単細胞微生物の凝集塊と、 凝集していない前記単細胞微生物と、 を含む組成 物であって、 直径が 2 0〜 1 2 0〇 の範囲内にある凝集塊を、 組成物中 の単細胞微生物全量に対して充分な割合で含 む。 魚類の仔稚魚及び甲殻類の 幼体は、 凝集していない単細胞微生物は小さすぎて仔 魚に餌として認識され ないなどの理由で摂取できない。 また、 直径が大きすぎる凝集塊は、 仔魚の 口の大きさを超えていたり、 沈降速度が速かったりするために、 仔稚魚等は 摂取し難い。 本発明に係る飼料用組成物は、 単細胞微生物を、 魚類の仔稚魚 及び甲殻類の幼体が効率よく摂取可能な大き さの凝集塊として含んでおり、 このため、 魚類又は甲殻類の初期飼料として好適である 。

[0013] 本発明及び本願明細書において、 単細胞微生物の直径は、 光学顕微鏡画像 から画像解析により得られた各凝集塊の円面 積相当径、 すなわち、 凝集塊の 面積から同等の面積の円の直径に換算した値 を意味する。 光学顕微鏡画像か 〇 2020/175568 6 卩(:171? 2020 /007801

らの各凝集塊の面積及び円面積相当径の計 測は、 丨 〇! 396」などの画像解 析ソフトウェアを用いた一般的な画像解析に より行うことができる。

[0014] 本発明及び本願明細書において、 「飼料用組成物中の単細胞微生物全量に 対する、 直径が乂 1 〜乂 2 の範囲内 (X ! 及び は、 乂 1 <乂 2 を満たす自 然数) にある凝集塊の割合 (%) 」 とは、 凝集塊の直径を計測した光学顕微 鏡画像中に含まれている単細胞微生物の総面 積 (凝集塊と凝集していない単 細胞微生物の総面積) に対する、 直径が目的の数値範囲内にある凝集塊の総 面積の割合 (%) を意味する。 以下、 「飼料用組成物中の単細胞微生物全量 に対する、 直径が乂 1 〜乂 2 の範囲内にある凝集塊の割合」 は、 「[¾ ( 乂 1 _乂 2 ) 」 と表すことがある。 また、 「単細胞微生物の粒子数」 とは、 凝 集塊の個数と凝集していない単細胞微生物の 個数の総数を意味する。 より信 頼性の高い結果を得るために、 前記割合の計測は、 単細胞微生物の粒子数が 1 000個以上に対して行うことが好ましく、 2000個以上に対して行う ことがより好ましい。 また、 2以上の異なる視野に対して撮像された光学 微鏡画像から計測することも好ましい。

[0015] 本発明に係る飼料用組成物の直径が 20〜 1 200 の範囲内にある凝 集塊の割合 [8 (20— 1 200) ] は、 25 %以上が好ましく、 30 % 以上がより好ましく、 35 %以上がさらに好ましく、 45 %以上がよりさら に好ましく、 50 %以上が特に好ましい。 魚類の仔稚魚及び甲殻類の幼体の 口の大きさに合っており、 かつ沈降速度が適切である試料を得る観点か ら、 凝集塊の割合は適宜調整することが好ましい 。 具体的には、 [8 (20- 1 00) ] と [[¾ (20- 1 200) ] の比を調整することが好ましい。 例えば、 飼料用組成物が与えられる対象の魚類の仔稚 魚及び甲殻類の幼体の 口の大きさが小さい場合などのように仔稚魚 等が比較的大きな凝集塊を摂取 し難い場合、 (20- 1 200) ] に対 して高めに調整することが考えられる。 一方で、 魚類の仔稚魚及び甲殻類の 幼体の口の大きさが比較的大きく、 仔稚魚等に餌としてより小さな凝集塊が 認識され難い場合、 (20- 1 200) ] に対して低めに調整することが考えられる。 魚類の仔稚魚又は甲殻類の幼 体による摂取効率が良好であることと沈降速 度とを考慮した一例として、 例 えば、 本発明に係る飼料用組成物の直径が 20〜 1 O Ogmの範囲内にある 凝集塊の割合 [R d (20— 1 00) ] は、 30%以上が好ましく、 40% 以上がより好ましく、 50 %以上がさらに好ましい。

[0016] 本発明に係る飼料用組成物に含まれる単細胞 微生物は、 酵母、 乳酸菌、 及 び微細藻類のいずれであつてもよく、 2種類以上の単細胞微生物を含んでい てもよい。 前記酵母としては、 例えば、 S. ボンべ、 シゾサツカロミセス · オクトスポラス (Sch i zosaccharomyces octosporus) 、 シゾサツカロミセス ジャポニクス (Sch i zosaccharomyces japonicns) のシゾサツカロミセス属 酵母 (分裂酵母) :サツカロミセス ·セレビシエ、 サツカロミセス ·エリポ イデス (Saccharomyces eUipoides) 、 サツカロミセス ルーキシ (Sacchar omyces rouxii) 、 サツカロミセス ·サケ (Saccharomyces sake) 、 サツカロ ミセス · ウバラム (Saccharomyces uvarum) のサツカロミセス属酵母 (出芽 酵母) :カンジダ · アルビカンス (Candida albicans) 、 カンジダ · グラブ ラタ (Candida glabrata) 、 カンジダ ·ユテイリス (Candida utilis) 、 力 ンジダ ·シュードトロピカリス (Candida pseudotropical is) のカンジダ属 酵母: ピキア ·パストリス (Pi chi a pastor is) % ピキア · クルイベリ (Pich ia kluyveri) のピキア属酵母: ブレタノミセス · ブルクセレンシス (Bretta nomyces bruxeUensis) 、 ブレタノミセス ·ナーデネンシス (Brettanomvces naardenensis) のブレタノミセス属酵母: トルロプシス · ウテイリス (Toru lops i s utilis) 、 トルロプシス ·カンジダ (Toru lops i s Candida) のトルロ プシス属酵母: ミコトルラ ·ジャポニカ (Mycotoru la japonica) 、 ミコトル ラ · リポリチカ (Mycotoru la lipolytica) のミコトルラ属: トルラスポラ - デルブルツキ (Toru laspora de Ibruecki i ) のトルラスポラ属: 口ードトルラ ルブラ (Rhodotoru la rubra) の口ードトルラ属が挙げられる。 前記乳酸菌 としては、 例えば、 ビフイ ドバクテリウム · ロンガム (Bifidobacterium Lon gum) 、 ビフイ ドバクテリウム · アニマリス (Bifidobacterium animal is) % ビフイ ドバクテリウ厶 · ビフイ ドム (Bifidobacterium bifidum) 、 ビフイ ド バクテリウ厶 ラクテイス (Bif idobacter i um Lact is) のビフイ ドバクテリ ウ厶属菌: ラクトバチルス · アシドフイリス (Lactobaci L Lus ac idophi Lus)

、 ラクトバチルス · アミロヴォラス (Lactobaci L Lus amylovorus) N ラクト バチルス · ブレビス (Lactobaci L Lus brevis) 、 ラクトバチルス ·カゼイ (L actobaci L Lus casei) 、 ラクトバチルス ·デルブルツキ (Lactobaci L Lus del brueckii) 、 ラクトバチルス ·ガセリ (Lactobaci L Lus gasseri) 、 ラクトバ チルス ·ヘルべチカス (Lactobacillus helveticus) N ラクトバチルス ·パ ラカゼイ (Lactobaci L Lus paracasei) 、 ラクトバチルス ·ペントーサス (La ctobaci L Lus pentosus) 、 ラクトバチルス ルーモサス (Lactobacillus rhn mosus) のラクトバチルス属菌:エンテロコツカス · フェカリス (Enterococc us faecalis) のエンテロコツカス属菌: ラクトコツカス · ラクティス (Lact ococcus Lact is) N ラクトコツカス · ラフイノラクテイス (Lactococcus raf fi no Lact is) N ラクトコツカス · プランタラム (Lactococcus plantarum) の ラクトコッカス属菌が挙げられる。 前記微細藻類としては、 例えば、 ミ ドリ ムシ (Eug Lena graci Lis) N クロレラ (ChLoreLLa) 、 スピルリナ (Arthrosp ira属) 、 イカダモ (Acutodesmus dimorphus) 、 クラミ ドモナス (Ch Lamydom onas re i nhardt i i ; 、 シアノバクテ· Jア (Synechococcus e Longatus) が挙げ られる。 なかでも、 遺伝子改変技術及び大量培養技術が確立され ており、 所 望の大きさの凝集塊の調製が比較的容易であ ることから、 酵母が好ましい。 さらに発酵食品としての歴史的な背景があり 飼料としての安全性が担保され ている事から、 分裂酵母及び出芽酵母がより好ましい。

[0017] 本発明に係る飼料用組成物に含まれる単細胞 微生物の種類は、 前記飼料用 組成物が与えられる対象の魚類又は甲殻類の 生物種及びそれらの成長の度合 いに応じて選択できる。 例えば、 仔稚魚又は幼体の成長の度合いに合わせて 、 幅広く適切なサイズの飼料用組成物を調整す るには、 凝集促進に関与する 遺伝子の知見がある酵母が好ましく、 特に知見が多い S. セレビジェが好ま しい。 さらに、 前記に加えて、 凝集抑制に関与する遺伝子の知見がある S. 〇 2020/175568 9 卩(:171? 2020 /007801

ボンベが特に好ましい。

[0018] 本発明に係る飼料用組成物に含まれる単細胞 微生物の凝集塊は、 性的凝集 により形成されたものであってもよく、 非性的凝集によって形成されたもの であってもよい。 また、 乳酸菌の場合、 細胞外高分子物質及び菌体などから 構成されるフロックも凝集塊に含まれる。

[0019] 単細胞微生物の凝集塊の大きさは、 例えば、 凝集に関与する遺伝子の発現 量や活性の強度を調節して、 好ましい大きさに調整できる。 凝集に関与する 遺伝子の発現量や活性強度の調節は、 前記遺伝子のプロモーターの改変、 前 記遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸 変異を導入する改変、 前記遺伝 子のコピー数を増大させる改変などにより行 うことができる。 具体的には、 凝集促進に関与する遺伝子のプロモーターを 、 内在性の前記遺伝子が有する プロモ _ _ よりも転写強度が強いプロモ _ _ に置換する、 又は外来の前 記遺伝子をゲノムへ組み込む。 こうして得られた形質転換体は、 凝集が促進 され、 好ましい大きさの凝集塊の割合が増大する。 また、 凝集抑制に関与す る遺伝子を欠失させる、 又は、 前記遺伝子のプロモーターを、 内在性の前記 遺伝子が有するプロモーターよりも転写強度 が弱いプロモ _ 夕 _に置換する ことでも、 凝集が促進し、 好ましい大きさの凝集塊の割合が増大した形 質転 換体が得られる。 また、 単細胞微生物の凝集塊の大きさは、 これらの組み合 わせで調整してもよい。

[0020] 凝集促進に関与する遺伝子としては、 例えば、 !_〇 1遺伝子、 !_〇 1 〇遺伝子、 1_〇 1 1遺伝子 (いずれもサッカロミセス ·セレビシエ由来) 、 八 !_ 3 1遺伝子 (カンジダ · アルビカンス由来) 、 巳 八 1遺伝子 (カン ジダ · グラブラタ由来) 、 9 3 干 2遺伝子 (3 . ボンべ由来) 、 及びこれら のホモログ遺伝子が挙げられる。 凝集抑制に関与する遺伝子としては、 例え ば、 9 1遺伝子 (3 . ボンべ由来) 、 及びこれらのホモログ遺伝子が挙 げられる。

[0021 ] 凝集に関与する遺伝子のプロモーターを改変 する場合、 内在性の前記遺伝 子が有するプロモーターを、 同種の生物種が本来有している他の遺伝子の プ 〇 2020/175568 10 卩(:171? 2020 /007801

ロモーターに置換してもよく、 他の生物種に由来するプロモーターに置換し てもよい。

[0022] 例えば、 単細胞微生物が 3 . ボンベの場合、 各プロモーターの転写強度の 強さは、 9 3 チ 2遺伝子等の凝集促進に関与する遺伝子の内 性のプロモー モーター<丨 II〇 1遺伝子のプロモーター< の順である (非特許文献 6、 特許文献 2)

。 このため、 凝集促進に関与する遺伝子の内在性のプロモ ーターを、 1^ 01 4 1遺伝子のプロモーター、 丨 II〇 1遺伝子のプロモーター、 丨 II〇 2遺伝 子のプロモーター、 又は II 3 9遺伝子のプロモーターに置換した形質転換 体では、 それぞれ増強の程度は異なるものの凝集促進 に関与する遺伝子の発 現効率が高められ、 3 . ボンベの凝集が促進され、 大きい凝集塊の割合が増 大する。 すなわち、 凝集促進に関与する遺伝子のプロモーターを 適当な転写 強度のプロモーターに置換して、 単細胞微生物の凝集能の強さを調節でき、 所望の大きさの凝集塊の割合を大きくできる 。

[0023] 単細胞微生物がサツカロミセス ·セレビシェの場合、 各プロモーターの転 写強度の強さは、 凝集促進に関与する遺伝子の内在性のプロモ ーター< 丫 < 1遺伝子のプロモーター< ◦< 1遺伝子のプロモーター又は丁巳 1遺 伝子のプロモーター、 の順である (非特許文献 7) 。 このため、 凝集促進に 関与する遺伝子の内在性のプロモーターを、 P Y K ^遺伝子のプロモーター 、 P G K ^遺伝子のプロモーター又は丁巳 1遺伝子のプロモーターに置換 した形質転換体では、 それぞれ増強の程度は異なるものの凝集促進 に関与す る遺伝子の発現効率が高められ、 サツカロミセス ·セレピシェの凝集が促進 され、 大きい凝集塊の割合が増大する。 すなわち、 サツカロミセス ·セレビ シェにおいても、 凝集促進に関与する遺伝子のプロモーターを 適当な転写強 度のプロモーターに置換して、 単細胞微生物の凝集能の強さを調節でき、 所 望の大きさの凝集塊の割合を大きくできる。

[0024] 単細胞微生物の凝集塊の割合を調整するには 、 凝集に関与する外来遺伝子 をゲノムに導入してもよい。 例えば 3 . セレビジェに由来する !_〇 1遺伝 〇 2020/175568 11 卩(:171? 2020 /007801

子を 3. ボンベに導入してもよく、 3. ボンベに由来する 93 干 2遺伝子を 3. セレビジェに導入してもよい。

[0025] 凝集に関与する遺伝子の改変は、 プロモーターの置換、 変異の導入、 前記 遺伝子の欠失、 及び外来遺伝子の揷入などである。 これらは、 単独で又は組 み合わせて行うことができ、 遺伝子工学的方法により行うことができる。 外 来遺伝子の揷入は、 染色体外遺伝子として導入してもよく、 染色体に導入し てもよい。 前記遺伝子工学的方法としては、 例えば、 特開平 5_ 1 5380 号公報、 国際公開第 95/099 1 4号、 特開平 1 0— 234375号公報 、 特開 2000 -262284号公報、 特開 2005 - 1 986 1 2号公報 、 国際公開第 201 0/087344号に記載の方法を使用できる。

[0026] 本発明に係る飼料用組成物に含まれる単細胞 微生物の凝集能を向上させる ために改変する遺伝子は、 1種類であってもよく、 2種類以上であってもよ い。 例えば、 2種類以上の凝集促進に関与する遺伝子に対 て改変してもよ く、 凝集促進に関与する遺伝子と凝集抑制に関与 する遺伝子の両方に対して 改変してもよい。

[0027] 本発明に係る飼料用組成物に含まれる単細胞 微生物の凝集塊と凝集してい ない前記単細胞微生物とからなる微生物集合 体は、 前記単細胞微生物を培養 して得られる。 前記単細胞微生物は、 天然の同種の微生物と同様に培養でき る。 前記単細胞微生物を培養すると、 その一部が凝集し凝集塊を形成し、 残 りは凝集せずに単細胞のまま存在する。 培養により得られた凝集塊と単細胞 からなる微生物集合体は、 飼料の原料として用いられる。

[0028] 凝集能を改変した単細胞微生物の培養は、 培養する対象の単細胞微生物が 資化しうる炭素源、 窒素源、 無機塩類等を含む培養培地で行う。 前記培養培 地としては、 微生物の培養に使用される公知の培養培地及 びその改変培地を 適宜使用できる。 また、 前記培養培地としては、 天然培地を用いてもよく、 合成培地を用いてもよい。 オキアミ抽出液のようなェキスを培養培地に 添加 して用いてもよい。

[0029] 炭素源としては、 例えば、 グルコース、 フルクトース、 スクロースの糖が 挙げられる。

窒素源としては、 例えば、 アンモニア、 硫化アンモニウム、 酢酸アンモニ ウムの無機酸又は無機酸のアンモニウム塩、 ペプトン、 カザミノ酸が挙げら れる。

無機塩類としては、 例えば、 リン酸マグネシウム、 硫酸マグネシウム、 塩 化ナトリウムが挙げられる。

具体的には、 YPD培地等の栄養培地 (M.D.Rose et al., ” Methods In Ye ast Genetics”, Cold Spring Harbor Labo latoryPress (1990)) 又は MB培 地等の最少培地 (K. Okazaki et a 1. , Nucleic AcidsRes. , vo 1.18, p.6485-6 489 (1990)) を使用できる。

[0030] 培養には公知の酵母培養方法を用いることが でき、 例えば、 振とう培養、 攪拌培養ができる。

また、 培養温度は、 23〜 37 ° Cが好ましい。 また、 培養時間は適宜決定 できる。

また、 培養は、 回分培養であってもよく、 連続培養であってもよい。

[0031] 本発明に係る飼料用組成物は、 前記単細胞微生物の微生物集合体のみから なるものであってもよく、 その他の成分を含んでいてもよい。 前記その他の 成分としては、 アミノ酸、 ペプチド、 タンパク質、 核酸、 糖類、 脂質、 脂肪 酸、 ビタミン、 ミネラルが挙げられる。 DHA (ドコサへキサエン酸) 、 E P A (エイコサペンタエン酸) 等が成長に必要な生物用の飼料組成物の場合 、 本発明に係る飼料用組成物における D H A又は E P Aは、 組成物の乾燥重 量当たり、 好ましくは 0. 1質量%以上含む。

[0032] 本発明に係る飼料用組成物は、 他の飼料と同様にして、 魚類又は甲殻類の 養殖場の生け簀に投入する。 特に、 本発明に係る飼料用組成物は、 魚類の仔 稚魚又は甲殻類の幼体でも摂取しやすいため 、 これらを飼育する養殖場に、 餌として与えて飼育することが好ましい。

実施例

[0033] 以下、 実施例を示して本発明を詳細に説明する。 ただし、 本発明は以下の 〇 2020/175568 13 卩(:171? 2020 /007801

記載によっては限定されない。

[0034] [実施例 1 ]

3 . ボンベの凝集に関与する遺伝子を改変し、 凝集能の異なる菌株を作製 した。

[0035] < V 9 1遺伝子の削除>

3 . ボンベの染色体から V 9 1遺伝子を削除するために、 遺伝子削除用 のラトウールフラグメントを遺伝子合成にて 作製した。 ラトウールフラグメ ントは、 組換え対象のゲノムに相同な領域と、 〇 処理が可能な栄養要求 性マーカーの I·! 「 3 4遺伝子配列からなる断片とした。 なお、 前記断片を用 いて対象のゲノムから目的の遺伝子領域を削 除すると、 外来の口 八配列の 痕跡がゲノムに残らない。

[0036] 得られた V 9 1遺伝子削除用のラトウールフラグメントに って 3 . ポ ンベの八[¾(3 0 3 2株 (特許文献 1) を形質転換した後に、 〇八処理をし て V 9 1遺伝子を削除した。 得られた V 9 1削除株を 丨 ◦ 7 8 6株と 名付け、 の入った試験管へ植菌し、 3 0 °〇で 3日間、 振とう培養をした。 得られた培養液を 5 0 %グリセロール溶液と 1対 1の割 合で混ぜ、 グリセロールストックとして一 8 0 °〇で凍結保存した。

[0037] <9 3 † 2プロモーターの置換>

ガラクトース特異的細胞凝集タンパク質 9 3 干 2遺伝子のプロモーターを 置換するために、 置換用のラトウールフラグメントを遺伝子合 成にて作製し た。 置換用ラトウールフラグメントは、 組換え対象のゲノムに相同な領域と 置換して組込みたい配列と、 〇 処理が可能な栄養要求性マーカーのリ 「 3 4遺伝子配列からなる。 得られた 9 3 干 2遺伝子プロモーター置換用のラ トウールフラグメントで 3 . ボンべ八 株及び丨 ◦ 7 8 6株をそ れぞれ形質転換した後に 〇八処理をして、 9 3 チ 2プロモーターを置換し た。

[0038] 八 [¾〇 0 3 2株を宿主として 9 3 干 2プロモーターを|-|〇1 1 4 1 プロモー 夕一に置換した株を八 した。 丨 ◦ 7 8 6株を宿主として 9 3 干 2プロモーターを 01 4 1 プロモーターに置換した株を八 〇 1 39 株とした。 丨 ◦ 786株を宿主として同様にして、 1 〇 1 プロモーター に置換した株を I ◦ 799株とし、 I 〇 2プロモーターに置換した株を I ◦ 800株とし、 3 9プロモーターに置換した株を I ◦ 798株 と、 それぞれ名付けた。 各株の 93 干 2遺伝子のプロモーターと V 9 1遺 伝子の欠失の有無を表 1 に示す。

[0039] [表 1]

[0040] これらのプロモーター置換株を、 それぞれ丫巳 3培地 (5 1_) の入った 試験管へ植菌し、 30 ° ◦で 3日間、 振とう培養をした。 得られた培養液をそ れぞれ 50 %グリセロール溶液と 1対 1 (容量比) の割合で混ぜ、 グリセロ —ルストックとして一 80 °〇で凍結保存した。

[0041] <菌体の培養>

各菌株のグリセロールストック (1 し) を、 それぞれ丫巳 3培地 (5 1_) の入った試験管へ植菌した。 振とう培養には高崎科学機械社製の振とう 培養器丁 XV— 1 6 [¾_3 を用いた。 試験管を 30°〇で 3日間振とう培養 し、 得られた培養液 3 !_を、 それぞれオキアミ抽出液を添加した丫 口培 地 1 50 1_の入った坂ロフラスコへ植継いだ。

[0042] 坂ロフラスコを 30°〇で 3日間振とう培養し、 得られた培養液 (各 1 50

!_) を、 遠心機 7780 1 1 (<11巳〇丁八社製) にて 4800 X 9、 1 0分間の条件で遠心分離した。 遠心分離後、 上清を捨てて菌体を回収した。

[0043] <乾燥体の作製>

遠心分離により回収した菌体を一 80 ° Cで凍結させ、 凍結乾燥機 L ABC ONCO (朝日ライフサイエンス社製) を用いて凍結乾燥させた。 装置の内 部圧力が 0. 1 33 m b a rを下回るように維持し、 一晚乾燥させた。 得ら れた乾燥体は、 乾燥重量当たり〇. 2〜 0. 5質量パーセントの DH Aを含 んでいた。

[0044] <顕微鏡観察>

得られた酵母乾燥体各 0. 1 gに R〇 (R e v e r s e O s mo s i s ) 水 (1 mL) を添加して懸濁したものを、 サンプルとした。 それらのサン プルを、 光学顕微鏡 CKC-T R 2 (オリンパス社製) を用いて 40倍で観 察し、 デジタルカメラ U-CMAD3 (オリンパス社製) を用いて撮影し、 画像ファイルを得た。

[0045] <画像解析>

得られた顕微鏡写真の画像ファイルを、 N a t i o n a l I n s t i t u t e s o f H e a I t h(N I H)が頒布する画像解析ソフトウェア I m a g e Jにて解析した。 具体的には、 まず、 画像ファイルを Ma k e b i n a r y処理で二値化した。 次に、 S e t— s c a I e処理によって目盛 りを設定し、 最後に A n a l y z e p a r t i c l e s処理によって個々 の粒子 (凝集塊と凝集していない単細胞微生物の両 方を含む。 ) それぞれの 面積値データを得た。 各株の画像解析結果を表 2に示す。 表中、 「粒子」 は 、 画像中で 1個の領域として識別された粒子であり、 凝集塊と凝集していな い単細胞微生物のどちらも含む。 すなわち、 「総粒子数」 は、 凝集塊の個数 と凝集していない単細胞微生物の個数の総和 である。 また、 「総面積値」 は 、 全粒子の面積値の総和であり、 「 1 200 ³ d ³ 20」 は、 [直径 (円面 積相当径) が 20 Mm以上 1 200 Mm以下である粒子の総面積値] / [全 粒子の総面積値] (%) 、 「 1 00 ³ d ³ 20」 は、 [直径 (円面積相当径

) が 20 Mm以上 1 00 Mm以下である粒子の総面積値] / [全粒子の総面 〇 2020/175568 16 卩(:171? 2020 /007801

積値] (%) 、 「20> は、 [直径 (円面積相当径) が 2〇 未満で ある粒子の総面積値] / [全粒子の総面積値] (%) を示す。 また、 独立し た 2回の試行を行い、 各株の上段が 1回目の試行の結果を、 下段が 2回目の 試行の結果を示す。

[0046] [表 2]

[0047] 表 2に示すように、 株と比較して、 9 1遺伝子を削除し た八[¾〇 1 38株と、 さらに 93 干 2遺伝子のプロモーターを転写強度が強 いプロモーターに置換した I ◦ 786株、 八[¾〇 1 39株、 1 〇 799 株、 丨 ◦ 800株、 及び丨 ◦ 798株では、 直径が 20 未満の小さ な粒子の割合が顕著に減少していた。 これは、 凝集能が向上して凝集が促進 され、 凝集していない酵母が減少したためと推察さ れる。 特に、 丨 ◦ 78 6株、 八[¾〇 1 39株、 1 〇 799株、 1 〇 800株、 及び I ◦ 79 8株を比較すると、 93 チ 2遺伝子のプロモーターの転写強度が強い株 ど 、 直径 1 0〇 超の粒子の割合が多くなっており、 凝集に関与する遺伝子 〇 2020/175568 17 卩(:171? 2020 /007801

のプロモーターの転写強度を調節して凝集 塊の大きさを調節できた。 なかで も、 丨 ◦ 7 8 6株、 及び八 魚類の仔稚 魚又は甲殻類の幼体が摂取しやすい大きさ (直径 2 0〜 1 〇〇 ) の凝集 塊の割合が多く、 初期飼料として特に好適であった。 一方で、 丨 ◦ 7 9 9 株、 丨 ◦ 8 0 0株、 及び丨 ◦ 7 9 8株は、 ワムシやアルテミアと同程度 の大きさである直径 1 0 0〜 1 2 0 0 〇1の凝集塊が多く、 ワムシやアルテ ミアの代替飼料として好適であった。

[0048] [実施例 2 ]

3 . セレビジェの凝集に関与する遺伝子を改変し 、 凝集能の異なる菌株を 作製した。

[0049] < !_〇 1 プロモーターの置換>

凝集タンパク質 !_〇 1遺伝子のプロモーターを置換するために、 置換用 のラトウールフラグメントを遺伝子合成にて 作製した。 置換用ラトウールフ ラグメントは、 組換え対象のゲノムに相同な領域と置換して 組込みたい配列 と、 〇 処理が可能な栄養要求性マーカーの! J 3遺伝子配列とからな る。 得られた !_〇 1遺伝子プロモーター置換用のラトウールフ グメント で 3 . セレビジェ八 1 9 2株を形質転換して、 1_〇 1 プロモーターを 置換した。

[0050] < !_〇 1 0プロモーターの置換>

凝集タンパク質 1_〇 1 0遺伝子のプロモーターを置換するために、 置換 用のラトウールフラグメントを遺伝子合成に て作製した。 置換用ラトウール フラグメントは、 組換え対象のゲノムに相同な領域と置換して 組込みたい配 列と、 II [¾八3遺伝子配列とからなる。 得られた 1_〇 1 0遺伝子プロモー 夕一置換用のラトウールフラグメントで 3 . セレビジェ八[¾〇 1 9 2株を形 質転換して、 !_〇 1 0プロモーターを置換した。

[0051 ] < !_〇 1 1 プロモーターの置換>

凝集タンパク質 1_〇 1 1遺伝子のプロモーターを置換するために、 置換 用のラトウールフラグメントを遺伝子合成に て作製した。 置換用ラトウール 〇 2020/175568 18 卩(:171? 2020 /007801

フラグメントは、 組換え対象のゲノムに相同な領域と置換して 組込みたい配 列と、 II[¾八3遺伝子配列とからなる。 得られた 1_〇 1 1遺伝子プロモー 夕一置換用のラトウールフラグメントで 3 . セレビジェ八[¾〇 1 9 2株を形 質転換して、 1_〇 1 1 プロモーターを置換した。

[0052] 八 1 9 2株を宿主として !_〇 1 プロモーターをピルビン酸キナーゼ

P Y K ^遺伝子のプロモーターに置換した株を 丨 ◦ 8 8 7株とした。 〇 1 9 2株を宿主として !_〇 1 プロモーターをホスホグリセリン酸キナー ゼ ◦< 1遺伝子のプロモーターに置換した株を 丨 ◦ 8 9 0株とした。 八 株を宿主として !_〇 1 プロモーターを伸長因子丁巳 1遺伝子 のプロモーターに置換した株を 丨 ◦ 8 9 3株とした。

主として !_〇 1 0プロモーターを 丫< 1遺伝子のプロモーターに置換し た株を I 〇 8 9 1株とした。 八[¾〇 1 9 2株を宿主として !_〇 1 0プロ モーターを 1遺伝子のプロモーターに置換した株を 丨 ◦ 8 8 8株と した。 株を宿主として !_〇 1 0プロモーターを丁巳 1遺伝 子のプロモーターに置換した株を 丨 ◦ 8 9 4株とした。

宿主として !_〇 1 1 プロモーターを 丫< 1遺伝子のプロモーターに置換 した株を I ◦ 8 8 9株とした。 を宿主として !_〇 1 1 プ ロモーターを 1遺伝子のプロモーターに置換した株を 丨 ◦ 8 9 2株 とした。 株を宿主として !_〇 1 1 プロモーターを丁巳 1遺 伝子のプロモーターに置換した株を 丨 ◦ 8 9 5株とした。 各株の !_〇遺 伝子のプロモーターを表 3に示す。

[0053] [表 3]

[0054] これらのプロモーター置換株を、 それぞれ丫巳 3培地 (5 1_) の入った 試験管へ植菌し、 30 ° ◦で 3日間、 振とう培養をした。 得られた培養液をそ れぞれ 50 %グリセロール溶液と 1対 1 (容量比) の割合で混ぜ、 グリセロ —ルストックとして一 80 °〇で凍結保存した。

[0055] <菌体の培養>

各菌株のグリセロールストック (1 し) を、 それぞれ丫巳 3培地 (5 1_) の入った試験管へ植菌した。 実施例 1 と同様にして、 該試験管を 30 ° 〇 で 3日間振とう培養し、 得られた培養液 3 !_を、 それぞれオキアミ抽出液 を添加した丫 口培地 1 50 1_の入った坂ロフラスコへ植継いだ。 坂ロフ ラスコを 30°〇で 3日間振とう培養し、 得られた培養液 (各 1 50 !_) を 、 実施例 1 と同様にして遠心分離した後、 上清を捨てて菌体を回収した。

[0056] <乾燥体の作製>

遠心分離により回収した菌体を一 80°〇で凍結させ、 実施例 1 と同様にし て凍結乾燥させ、 乾燥体を得た。 得られた乾燥体は、 乾燥重量当たり〇. 2 〜 0. 5質量パーセントの口 ! ~ 1八を含んでいた。 〇 2020/175568 20 卩(:171? 2020 /007801

[0057] <顕微鏡観察>

得られた酵母乾燥体各 0. 1 9に 〇水 ( 1 !_) を添加して懸濁したも のを、 サンプルとした。 それらのサンプルを、 光学顕微鏡〇<〇一丁 [¾ 2 ( オリンパス社製) を用いて 40倍で観察し、 デジタルカメラ 11-〇1\/1八03 (オリンパス社製) を用いて撮影し、 画像ファイルを得た。

[0058] <画像解析>

得られた顕微鏡写真の画像ファイルを、 画像解析ソフトウェア 1 01396 」にて、 実施例 1 と同様にして解析し、 個々の粒子 (凝集塊と凝集していな い単細胞微生物の両方を含む。 ) それぞれの面積値データを得た。 各株の画 像解析結果を表 4に示す。 表中、 「粒子」 、 「総粒子数」 、 「総面積値」 、 「1 200 ³ ³20」 、 「1 00 ³ ³20」 、 及び 「20> 」 は、 表 2と同じものを意味する。 また、 独立した 2回の試行を行い、 各株の上段が 1回目の試行の結果を、 下段が 2回目の試行の結果を示す。

[0059] [表 4]

[0060] 表 4に示すように、 と比較して、 1_〇 1遺伝子、 !_〇

1 0遺伝子又は 1_〇 1 1遺伝子のプロモーターを転写強度が強いプ モー 20/175568 21 卩(:171? 2020 /007801

夕一に置換した丨 ◦ 888株、 丨 〇 889株、 丨 〇 893株、 及び 1 ◦ 89 1株では、 直径が 20 以上の大きな粒子の割合が顕著に増加し ていた。 これは、 凝集能が向上して凝集が促進され、 凝集していない酵母が 減少したためと推察される。 特に、 丨 〇 889株や丨 〇 89 1株では、 直径 1 00 超の粒子の割合が多くなっており、 凝集に関与する遺伝子の プロモーターの転写強度を調節して凝集塊の 大きさを調節できることが確認 された。

なお、 201 9年 02月 28日に出願された日本特許出願 201 9— 03 5860号の明細書、 特許請求の範囲及び要約書の全内容をここに 引用し、 本発明の明細書の開示として、 取り入れるものである。