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Patent Searching and Data


Title:
COVERED CARBIDE PLUG AND COLD DRAWING METHOD USING THE COVERED CARBIDE PLUG
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/081670
Kind Code:
A1
Abstract:
In cold drawing an original pipe of a Cr-base alloy steel containing not less than 5% by mass of Cr, when an original pipe with an oxalate film formed as a substrate for a lubricating film formed by conversion treatment is used while a covered carbide plug having a surface coated with titanium aluminum nitride (TiAlN) film is used as a drawing plug, the separation of the TiAlN film coated on the plug surface can be suppressed. Thus, the occurrence of seizure marks can be prevented, and the service life of the plug can be prolonged.

Inventors:
UCHIDA KAZUHIRO (JP)
KANDA OSAMU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/070911
Publication Date:
July 02, 2009
Filing Date:
November 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO METAL IND (JP)
UCHIDA KAZUHIRO (JP)
KANDA OSAMU (JP)
International Classes:
B21C3/16; C23C22/46; C23C28/00
Foreign References:
JP2005342744A2005-12-15
JPS58168420A1983-10-04
Attorney, Agent or Firm:
MORI, Michio (17-23 Higashinaniwa-cho,5-chome, Amagasaki-sh, Hyogo 92, JP)
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Claims:
 化成処理による潤滑皮膜の下地に蓚酸塩皮膜が形成されたCr系合金鋼の冷間引抜に用いられ、
 表面が窒化チタンアルミニウム(TiAlN)膜でコーティングされていることを特徴とする被覆超硬プラグ。
 前記窒化チタンアルミニウム(TiAlN)膜の厚さが3~10μmであることを特徴とする請求項1に記載の被覆超硬プラグ。
 Cr系合金鋼からなる被加工管に施す化成処理として、管表面の酸化スケールおよび錆びを取り除く酸洗工程、中和された管表面に蓚酸塩皮膜を形成する工程、および前記蓚酸塩皮膜の上に潤滑層を形成する工程を経たのち、
 窒化チタンアルミニウム(TiAlN)膜を3~10μmの厚さでコーティングした被覆超硬プラグを前記被加工管の内面に挿入し、縮径および減肉加工することを特徴とする冷間引抜方法。
 
Description:
被覆超硬プラグおよびそれを用 た冷間引抜方法

 本発明は、Cr系合金鋼の加工に好適な被 超硬プラグおよび冷間引抜方法に関し、さ に詳しくは、窒化チタンアルミニウム(TiAlN) でコーティングすることにより、耐焼き付 性および耐摩耗性に優れる被覆超硬プラグ よびそれを用いた冷間引抜方法に関するも である。

 原子力用配管や高温高圧ボイラーなどの 途に用いられ、高い寸法精度の要求される 管の仕上げ加工には冷間引抜加工が適用さ る。この冷間引抜加工を適用する場合には 素管の一端を細く絞った口絞り部を形成し ついで素管を酸洗したのち潤滑処理し、口 り部を冷間引抜機のチャックで掴み、キャ ッジの移動にともなって素管を引き抜き、 標寸法に引抜加工を行う。

 図1は、冷間引抜によって素管を縮径およ び減肉加工する方法を概略的に説明する図で ある。素管3を引抜加工する際には、プラグ1 ダイス2および素管3に対して同心状に素管3 内部に挿入し、プラグ1の片端をマンドレル 4で保持して素管3を白抜き矢印の方向に引き く。

 このとき、引き抜かれる素管3の外面は、 ダイス2によって絞られて縮径し、一方、素 3の内面は、プラグの平行部1aに沿って拘束 れ、減肉加工が行われる。したがって、引 加工後の目標寸法のうち、外径寸法はダイ 孔径によって定められ、内径寸法はプラグ 行部1aの直径によって定められる。

 図1に示す冷間引抜加工では、素管の全長 に亘り加工長さが長くなるとともに(例えば 20m/引抜パス)、高面圧が維持されることから 素管との摩擦が大きくなるため、素管とダイ スまたはプラグとの間の摩擦を減少させるこ とができない場合には、摩擦熱の局部的集中 による焼付きを発生させることになる。

 このため、炭素鋼や合金鋼の冷間引抜加 において、ダイスまたはプラグと被加工管 の摩擦を軽減し、引抜工具の磨耗を低減し 焼付き疵の発生を防止することが重要にな 。このような観点から、引抜工具(ダイスま たはプラグ)の材質や形状、潤滑剤の選択、 抜速度や引抜スケジュールの最適化などに いて種々の提案がなされている。

 例えば、本出願人は、引抜加工に際しR型 ダイスおよびプラグの材質をWC-Co系超硬合金 し、さらに素管との摩擦を低減させるため 、プラグの表面に二層コーティングを施し 引抜工具を使用することを提案している(特 開平07-60335号公報参照)。

 具体的には、R型ダイスと素管の接触角が 40°を超えると、素管外面での焼付き発生率 急増し、40°以下であると、素管外面に焼付 が発生しないことから、二層コーティング 施した超硬プラグと、被加工管とダイスの 触角が40°以下となるような形状のR型ダイ を使用することを提案している。

 前述の通り、冷間加工における引抜工具 して、超硬合金が多用されている。この超 合金は、硬質の金属炭化物の粉末を焼結し 作られる合金であり、一般的にはWC(タング テン・カーバイド)と結合剤(バインダ)であ Co(コバルト)を混合して焼結したものを言う が、用途に応じて、材料特性を向上させるた めにTiCN(チタンカーボンナイトライド)やTaC( 化タンタル)などが加えられる。

 引抜加工において、超硬合金は高温時の 度低下が少なく、非常に摩耗しにくいこと ら引抜工具の材料として広く使われている 、さらに素管内面との摩擦が著しいプラグ は、TiCN(チタンカーボンナイトライド)の硬 物質を工具表面にコーティングした超硬プ グが主流になっている。通常、TiCNのコーテ ィングは、CVD(化学気相成長)やPVD(物理気相成 長)により形成される。

 炭素鋼および低合金鋼を鋼種とする素管 引抜加工する場合、素管のデスケーリング は硫酸洗が用いられ、潤滑処理には燐酸塩 膜処理による化成処理が行われる。具体的 酸洗・潤滑処理の手順としては、デスケー ング後、素管の内外表面をアルカリ脱脂剤 用いて洗浄し、すすぎ水洗した素管を燐酸 処理浴に浸漬し、内外表面に燐酸塩皮膜の 地を形成する。次いで、中和処理を行い、 テアリン酸ナトリウムを主成分とする金属 鹸層を形成する。

 一方、Cr含有量が5質量%以上と高いCr系合 鋼を鋼種とする素管を引抜加工する場合に 、燐酸塩処理では反応しにくくなることか 、後述する化成処理で説明するように、素 に燐酸塩皮膜の下地を形成するのに替えて 素管を蓚酸塩処理浴に浸漬し内外表面に蓚 塩被膜の下地を形成したのち、ステアリン ナトリウムを主成分とする金属石鹸層を形 する。

 ところが、潤滑皮膜の下地に蓚酸塩皮膜 形成されたCr系合金鋼を引抜加工する場合 、表面にTiCNをコーティングした超硬プラグ 使用すると、TiCN膜の剥離が発生し、著しく プラグ寿命が低下することが明らかになる。 これにともなって、引抜加工された鋼管に焼 付き疵が多発し、製品歩留りの低下や引抜加 工の能率低下を余儀なくされることになる。

 本発明は、上述した引抜加工での問題点 鑑みてなされたものであり、Cr系合金鋼を 種とし、潤滑皮膜の下地に蓚酸塩皮膜が形 された素管を引抜加工する際に、表面がTiAlN 膜でコーティングされた超硬プラグを用いる ことにより、引抜加工で発生する焼付き疵を 防止し、プラグ寿命の延長を図るとともに、 高品質の冷間加工製品を高能率で製造できる 被覆超硬プラグとそれを用いた冷間引抜方法 を提供することを目的としている。

 本発明者らは、上記の課題を解決するた 、種々の被覆超硬プラグを用いて、潤滑皮 の下地に燐酸塩皮膜が形成された素管と、 滑皮膜の下地に蓚酸塩皮膜が形成された素 とに区分して、引抜加工にともなう超硬プ グ表面におけるコーティング膜の挙動を観 した。

 潤滑皮膜の下地に蓚酸塩皮膜が形成され 素管を、TiCNをコーティングした超硬プラグ を用いて引抜加工を行うと、蓚酸塩皮膜によ ってTiCN膜にエッチングが起こり、TiCN膜の剥 が発生し易くなる。

 これに対し、必ずしも論理付けられてい いが、引抜加工にTiAlNをコーティングした 硬プラグを用いると、潤滑皮膜の下地に蓚 塩皮膜が形成された素管を引抜加工する場 であっても、TiAlN膜にエッチングが起こるこ とがなく、引抜加工で発生する焼付き疵を抑 制することができ、プラグ寿命の延長を図る ことができる。

 本発明は、上記知見に基づいて完成され ものであり、下記(1)の被覆超硬プラグ、お び(2)の冷間引抜方法を要旨としている。

 (1)化成処理による潤滑皮膜の下地に蓚酸 皮膜が形成されたCr系合金鋼の冷間引抜に いられ、表面が窒化チタンアルミニウム(TiAl N)膜でコーティングされていることを特徴と る被覆超硬プラグである。

 この被覆超硬プラグでは、窒化チタンア ミニウム(TiAlN)膜の厚さを3~10μmにするのが ましい。

 (2)Cr系合金鋼からなる被加工管に施す化 処理として、管表面の酸化スケールおよび びを取り除く酸洗工程、中和された管表面 蓚酸塩皮膜を形成する工程、および前記蓚 塩皮膜の上に潤滑層を形成する工程を経た ち、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)膜を3~10μm の厚さでコーティングした被覆超硬プラグを 前記被加工管の内面に挿入し、縮径および減 肉加工することを特徴とする冷間引抜方法で ある。

 本発明で規定する「Cr系合金鋼」は、JIS  G 3462、STBA25~26の合金鋼鋼管が例示でき、代 的なCr含有量が5~9質量%となる鋼種を対象と きる。さらにCr含有量の高い鋼種、例えば代 表的なCr含有量が12~14質量%となるSUS420相当の1 3Cr鋼や、Cr含有量が18~20質量%となるSUS304相当 ステンレス鋼なども対象とできる。これら 鋼種で引抜加工された鋼管は、ボイラーの 熱器管、空気予熱器管など、または化学工 、石油工業の熱交換器、コンデンサ管、触 管などに適用できる。

 本発明の被覆超硬プラグによれば、Cr系 金鋼やステンレス鋼を鋼種とし、潤滑皮膜 下地に蓚酸塩皮膜が形成された素管を引抜 工する場合であっても、表面にコーティン されたTiAlN膜が剥離することがなく、引抜加 工で発生する焼付き疵を防止でき、プラグ寿 命の延長を図るとともに、寸法精度に優れた 高品質の冷間加工製品を高能率で製造するこ とができる。

 図1は、冷間引抜によって素管を縮径および 減肉加工する方法を概略的に説明する図であ る。
 図2は、本発明が対象とする素管に適用でき る化成処理の工程例を示す図である。
 図3は、実施例1でプラグ寿命を調査した結 を示す図である。
 図4は、実施例2でプラグ寿命を調査した結 を示す図である。

 本発明の被覆超硬プラグが対象とする鋼 は、代表的なCr含有量が5~20質量%となるCr系 金鋼やステンレス鋼(以下、これらを総称し て「Cr系合金鋼」という)であるが、素管の製 造方法を特に限定するものではない。通常、 継目無鋼管用の素管は、生産効率に優れるマ ンドレルミル製造法が適用され、熱間圧延に より製造される。

 受け入れられた「Cr系合金鋼」素管は、 管軟化を図るための熱処理が、例えば800℃ ニールの条件で行われる。引抜加工に供さ る素管は、素管軟化が行われた後、直ちに 洗によるデスケーリングが行われ、素管の 外表面のスケールが除去され、潤滑処理が される。

 図2は、本発明が対象とする素管に適用で きる化成処理の工程例を示す図である。まず 、第1の処理工程として酸洗を行って、素管 化にともなって表面に付着する酸化スケー を除去し、さらには表面に発生した錆びを り除く。通常、使用する酸としては硫酸(10~1 3%)が用いられ、管理項目として遊離酸度や鉄 分濃度が用いられる。酸洗条件は、処理温度 を室温として、浸漬時間30分が目安となる。 の酸洗の後は、水洗(例えば、数分間程度) 行って、表面に残っている酸を洗い流す。

 上記の酸洗工程に次いで、素管を苛性ソ ダ液に浸漬し中和を行う。この中和により 素管表面を安定化させることができる。そ 後、第2の処理工程として、蓚酸塩処理浴に 浸漬し、素管表面に蓚酸塩皮膜の下地を形成 する。使用する蓚酸塩処理浴は、蓚酸の全酸 度が9~12ポイント程度で管理され、処理条件 、処理温度を80℃として、浸漬時間5分が目 となる。この蓚酸塩皮膜処理の後は、湯洗( えば、処理温度50℃で数分間程度)を行う。

 素管の鋼種が炭素鋼または低合金鋼(例え ば、Cr含有量が2質量%以下)であると、一般的 は燐酸塩皮膜処理を行って、素管表面に燐 塩皮膜を形成するが、処理鋼のCr含有量が5 量%を超えるようになると、充分に燐酸塩皮 膜の下地を形成できなくなる。このため、本 発明が採用する化成処理では、第2の処理工 として蓚酸塩皮膜処理を行うことを前提と ている。

 その後、第3の処理工程として、形成され た蓚酸塩皮膜と石鹸系潤滑剤と反応させて、 表面に潤滑層を形成する。潤滑層を形成する 処理としては、ステアリン酸ソーダを蓚酸塩 皮膜と反応させて金属石鹸層を形成するのが 一般的であるが、本発明の製造方法ではこれ に限定されるものではない。潤滑層を形成す る処理の条件は、処理温度を約80℃として、 漬時間15分が目安となる。上記の第1~第3の 理工程により、化成処理が施された素管は 燥される。

 本発明の被覆超硬プラグは、本体をWC-Co 、またはWC-TiCN-TaC-Co系の合金基体で構成され 、その表面がTiAlN(窒化チタンアルミニウム) でコーティングされる。このコーティング れる膜は、CVD(化学気相成長)やPVD(物理気相 長)のいずれの方法によっても形成できるこ からいずれかに限定するものでなく、慣用 れる条件によって基体表面に被覆すること できる。

 管の冷間引抜加工では、加工範囲が素管 全長に亘ることから、加工長さが20m/引抜パ スを超えるように長くなり、他の冷間加工、 例えばプレス加工等に比べても過酷な条件下 での冷間加工となる。このため、従来から、 管の引抜加工に際して、耐摩耗性を確保する ために、TiCN(チタンカーボンナイトライド)膜 を表面にコーティングした超硬プラグが用い られてきた。

 ところが、「Cr系合金鋼」素管を引抜加 する場合には、前述の通り、化成処理によ 潤滑皮膜の下地として蓚酸塩皮膜が形成さ る。このような素管を、TiCN膜の被覆超硬プ グを用いて引抜加工を行うと、蓚酸塩皮膜 よってTiCN膜にエッチングが発生し、TiCN膜 剥離が生じ易くなり、引抜加工された鋼管 焼付き疵が多発することになる。

 これに対し、「Cr系合金鋼」素管を引抜 工する場合に、TiAlN膜の被覆超硬プラグを用 いると、蓚酸塩皮膜によってコーティング膜 にエッチングが発生することがなく、コーテ ィング膜の剥離を著しく低減することができ る。このような、蓚酸塩皮膜に対するTiAlN膜 耐食性を示す挙動は、技術的に論理付けで ないものの、本願発明者らの種々の検討に づいて新たに見出されたものである。

 本発明の被覆超硬プラグは、その基体表 にTiAlN膜の厚さを3~10μmに形成するのが望ま い。TiAlN膜の厚さが3μm未満では耐摩耗性が 十分であり、引抜加工された鋼管に焼付き を発生し易くなる。一方、その厚さが10μm 超えると、コーティングが厚くなり過ぎて くなるため、コーティング膜が欠損し易く る。

 本発明の冷間引抜方法は、「Cr系合金鋼 からなる被加工管に施す化成処理として、 表面の酸化スケールおよび錆びを取り除く 洗工程、中和された管表面に蓚酸塩皮膜を 成する工程、および前記蓚酸塩皮膜の上に 滑層を形成する工程を経たのち、TiAlN膜を3~1 0μmの厚さでコーティングした被覆超硬プラ を前記被加工管の内面に挿入し、縮径およ 減肉加工することを特徴としている。

 本発明の冷間引抜方法では、「Cr系合金 」素管を引抜加工する場合に、TiAlN膜の被覆 超硬プラグを用いることにより、従来から主 流となっていたTiCN膜の被覆超硬プラグに比 、耐焼き付き性および耐摩耗性に優れ、大 なプラグ寿命の延長を図ることができると もに、引抜加工で発生する焼付き疵を防止 きる。

 以下、本発明の効果を実施例に基づいて 具体的に説明する。

 (実施例1)
 実施例1の供試素管として、鋼種をJIS STBA26( 9Cr-1Mo鋼)とし、マンネスマン・マンドレルミ 法で仕上げ圧延された管を準備した。受け れた素管は、素管軟化のためローラーハー 炉で800℃×10分の熱処理を実施し、引き続い て、酸洗により素管の内外表面のスケールを 除去し、潤滑処理を施した。

 引抜加工前の具体的な化成処理として、 酸(10~13%)を用い処理温度が室温で処理時間 30分の酸洗を行い、水洗、中和後、処理温度 が75~85℃の状態で処理時間が5分の蓚酸塩皮膜 処理を行い、処理温度が75~85℃、処理時間が1 5分でステアリン酸ソーダを蓚酸塩皮膜と反 させて金属石鹸層を形成した。

 引抜加工スケジュールは、素管寸法を外 34.0mm×肉厚3.3mmとし、引抜寸法を外径25.80mm× 肉厚2.60mmとし、下記(1)式で示される断面減少 率Rdを40.5%とした。

 Rd={(D 0 -D 1 )/D 0 }×100(%) ・・・ (1)
 ただし、D 0 :加工前断面積(mm 2 ) D 1 :加工後断面積(mm 2 )

 前記図1に示す構成で引抜加工を行い、ダ イスは超硬ダイスを用い、引抜用プラグは、 TiAlN膜の被覆超硬プラグ(本発明例)とTiCN膜の 覆超硬プラグ(比較例)とに区分して、それ れのプラグ寿命を調査した。

 プラグ寿命は、それぞれの被覆超硬プラ 1個当たりの引抜延べ長さ(m)で判断したが、 その判断基準は焼付き発生またはコーティン グ剥離発生の有無とした。

 図3は、実施例1でプラグ寿命を調査した 果を示す図である。図3に示す結果から明ら なように、本発明例であるTiAlN膜の被覆超 プラグを用いた場合には、プラグ寿命は引 延べ長さで2900mになったのに対し、比較例で あるTiCN膜の被覆超硬プラグを用いた場合に 、プラグ寿命は引抜延べ長さで1000mに留まっ た。

 (実施例2)
 実施例2の供試素管として、鋼種をJIS SUS304 当のステンレス鋼とし、マンネスマン・マ ドレルミル法で仕上げ圧延された管を準備 た。受け入れた素管は、ローラーハース炉 1230℃×2分の熱処理を実施し、酸洗によるス ケール除去を行った後、化成処理による潤滑 処理を施した。

 引抜加工スケジュールは、素管寸法を外 54.0mm×肉厚7.9mmとし、引抜寸法を外径44.50mm× 肉厚6.30mmとし、上記(1)式で示される断面減少 率Rdを33.9%とした。

 実施例1と同様に、ダイスとして超硬ダイ スを用い、引抜用プラグとしてTiAlN膜の被覆 硬プラグ(本発明例)とTiCN膜の被覆超硬プラ (比較例)とを用いて引抜加工を行い、それ れのプラグ寿命を調査した。

 その結果、本発明例であるTiAlN膜の被覆 硬プラグを用いた場合には、プラグ寿命は 抜延べ長さで18000mであったのに対し、比較 であるTiCN膜の被覆超硬プラグを用いた場合 は、プラグ寿命は引抜延べ長さで7400mに留 った。

 実施例1、2の結果から、化成処理による 滑皮膜の下地に蓚酸塩皮膜が形成されたCr系 合金鋼を引抜加工する際には、TiAlN膜の被覆 硬プラグを用いることにより、優れた耐焼 付き性および耐摩耗性を発揮し、引抜加工 発生する焼付き疵を有効に防止でき、プラ 寿命を大幅に延長できることが分かる。

 本発明の被覆超硬プラグによれば、Cr系 金鋼を鋼種とし、潤滑皮膜の下地に蓚酸塩 膜が形成された素管を引抜加工する場合で っても、表面にコーティングされたTiAlN膜が 剥離することがなく、耐焼き付き性および耐 摩耗性に優れ、引抜加工で発生する焼付き疵 を防止し、プラグ寿命の延長を図ることがで きる。

 これを用いた冷間引抜方法で得られた鋼管 、優れた寸法精度であり高品質の冷間加工 品とでき、しかも高能率で製造できること ら、冷間仕上げ加工の継目無鋼管として広 適用できる。