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Patent Searching and Data


Title:
DEGRADATION INHIBITOR FOR FLAVOR OR AROMA
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/011271
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a degradation inhibitor with a higher effect than the prior art against the degradation of a flavor or an aroma of a food and drink, a cosmetic or the like caused by heat, light or the like, particularly against the generation of a degradation odor derived from citral. It is a degradation inhibiting material for a flavor of a food containing a product obtained by treating a tea extract liquid component with an oxidase as an active ingredient. The degradation inhibiting material of the invention inhibits the degradation of a flavor or an aroma with a smaller addition amount than a conventional degradation inhibitor by adding the material to a food and drink, a cosmetic or the like. Particularly, the material exhibits a remarkable inhibitory effect on production of p-cresol and p-methylacetophenone which are degradation odor components derived from citral, and is preferably used for a food and drink, a cosmetic or the like having a citrus blend flavor or aroma containing citral.

Inventors:
ARIMA TSUYOSHI (JP)
MASUDA HIDEKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062449
Publication Date:
January 22, 2009
Filing Date:
July 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
OGAWA & CO LTD (JP)
ARIMA TSUYOSHI (JP)
MASUDA HIDEKI (JP)
International Classes:
C11B9/00; A23L3/3472; A23L27/00; A23L27/10; A23L27/20; A23L27/60; A61K8/97; A61Q11/00; A61Q13/00; C11B5/00
Foreign References:
JP2002338990A2002-11-27
JP2003096486A2003-04-03
JP2004018613A2004-01-22
JP2005171116A2005-06-30
JP2002507887A2002-03-12
JPH11137224A1999-05-25
JPH11169148A1999-06-29
JP2001346558A2001-12-18
JP2002000244A2002-01-08
JP2002180081A2002-06-26
JP2002255778A2002-09-11
JP2002330741A2002-11-19
JP2002338990A2002-11-27
JP2003082384A2003-03-19
JP2003079335A2003-03-18
JP2003096486A2003-04-03
JPH09227456A1997-09-02
JP2005171116A2005-06-30
Other References:
HO, CHI-TANG: "Oxidative transformation of tea catechins", ACS SYMP SER, 2001, pages 102 - 112, XP055354434
PETER SCHIEBERLE; WERNER GROSCH, J. AGRIC. FOOD CHEM., vol. 36, 1988, pages 797 - 800
PATENT OFFICE REPORT: COLLECTION OF WELL-KNOWN PRIOR ARTS (FLAVORING AGENTS), SECTION 1, 29 January 1999 (1999-01-29), pages 141 - 147
See also references of EP 2172537A4
Attorney, Agent or Firm:
YUITA, Junji et al. (Kojimachi Koyo Bldg.10, Kojimachi 1-chom, Chiyoda-ku Tokyo 83, JP)
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Claims:
 茶類抽出液成分を酸化酵素で処理することによって得られる生成物を有効成分とする香味又は香気の劣化抑制剤。
 茶類抽出液成分が茶(カメリア シネンシス)の葉、茎、芽から水、極性有機溶媒又はこれらの混合物で抽出された各種溶解成分である請求項1記載の香味又は香気の劣化抑制剤。
 茶類が不発酵茶、発酵茶、半発酵茶及び後発酵茶の茶葉、茎及び芽である請求項1又は2記載の香味又は香気の劣化抑制剤。
 酸化酵素がポリフェノールオキシダーゼである請求項1~3のいずれかの項に記載の香味又は香気の劣化抑制剤。
 香味又は香気がシトラス調である請求項1~4のいずれかの項に記載の香味又は香気の劣化抑制剤。
 香味又は香気がシトラールに基づくものである請求項1~5のいずれかの項に記載の香味又は香気の劣化抑制剤。
 請求項1~6のいずれかの項に記載の香味又は香気の劣化抑制剤を含有することを特徴とする香料。
 請求項1~6のいずれかの項に記載の香味又は香気の劣化抑制剤を含有することを特徴とする経口組成物。
 請求項7記載の香料を含有することを特徴とする経口組成物。
 請求項1~6のいずれかの項に記載の香味又は香気の劣化抑制剤を含有することを特徴とする香粧品。
 請求項7記載の香料を含有することを特徴とする香粧品。
 請求項1~6のいずれかの項に記載の香味又は香気の劣化抑制剤を添加することによる香料、経口組成物又は香粧品の香味又は香気の劣化抑制方法。
 香味又は香気がシトラス調である請求項12記載の香味又は香気の劣化抑制方法。
 香味又は香気がシトラールに基づくものである請求項12又は13記載の香味又は香気の劣化抑制方法。
 熱又は光による劣化臭の生成を抑制することを特徴とする請求項14記載の香味又は香気の劣化抑制方法。
 劣化臭がp-クレゾール又はp-メチルアセトフェノンによる劣化臭である請求項15記載の香味又は香気の劣化抑制方法。
Description:
香味又は香気の劣化抑制剤

 本発明は、日常生活において人が口に入 るもの、例えば飲料や食品あるいは歯磨き 、口臭防止剤のような口腔衛生剤あるいは 口的に服用する医薬品(以下併せて「経口組 成物」と称する)、香料、香粧品等に広く適 することができる香味又は香気の劣化抑制 および香味又は香気劣化抑制方法に関する のである。

 一般に飲料や食品等の味と香気は食欲の増 や減退に大きく影響するため、その香味は 種栄養成分と同様に食生活において重要な 素と考えられる。また、化粧品や石けん、 ャンプー等のトイレタリー製品に付された 気はその基材臭をマスクすると共に、使用 や周囲の人に快い感覚を与え、化粧品等に ける重要な要素となっている。
 しかしながら、飲食品、化粧品等の香味、 気成分は不安定なものが多く、酸素、光、 等により徐々に劣化し、製造、流通、保存 の各段階で本来の香味、香気の消失、もし は異味異臭(劣化臭)が発生することもよく られている。

 シトラールは、レモン様香気、香味を有し 飲食品や化粧品等の製品にシトラス感、フ ッシュ感を付与する重要な成分である。酸 条件下ではシトラールは環化、酸化、水和 異性化等の反応を起こし、種々のオフフレ バー成分を生成することが知られている〔P eter Schieberle and Werner Grosch; J. Agric. Food Ch em., Vol.36, 797-800(1988)〕。
 オフフレーバー成分の中でもp-メチルアセ フェノン及びp-クレゾールは特に強い劣化臭 を有しており、製品の著しい品質低下を招く 。

 従来、こうした香味、香気の劣化を抑制す ために、アスコルビン酸等各種の酸化防止 や光劣化防止剤の添加が提唱されている(非 特許文献1参照)。
 シトラールの劣化抑制に関してはロズマリ 酸、シソ、ペパーミントといった植物抽出 等を添加する方法が開示されている(特許文 献1~11参照)。
 また、カテキン類やテアフラビン類等茶起 の成分を添加することによるシトラールの 化抑制方法についても報告されている(特許 文献12~14参照)。

 しかしながら、飲食品や化粧品等の香味、 気の劣化は、香味、香気成分自身が酸素、 、熱等により変化することに加え、飲食品 化粧品等に含まれる油脂、たんぱく質、糖 、アミノ酸類、有機酸類等の各成分の酸化 分解、異性化、重合等の数多くの反応も関 する複合的な要因により引き起こされるも である。このため上記従来技術を用いても なお劣化の抑制効果が不十分な場合があり さらに効果の高い劣化抑制技術が求められ いた。
「特許庁公報 周知・慣用技術集(香料) 1部」1999年1月29日 p141~147

特表2002-507887号公報

特開平11-137224号公報

特開平11-169148号公報

特開2001-346558号公報

特開2002-244号公報

特開2002-180081号公報

特開2002-255778号公報

特開2002-330741号公報

特開2002-338990号公報

特開2003-82384号公報

特開2003-79335号公報

特開2003-96486号公報

特開平9-227456号公報

特開2005-171116号公報

 本発明が解決しようとする課題は、複雑 要因により引き起こされる飲食品や化粧品 の香味、香気の劣化に対し、従来技術より さらに効果の高い劣化抑制剤を提供するこ である。

 本発明者らは、加熱によるシトラールの 化とその抑制方法について詳細に検討した 果、茶類抽出液成分を酸化酵素で処理する とによって得られる生成物がシトラール由 の非常に強い劣化臭原因物質であるp-クレ ール及びp-メチルアセトフェノンの生成抑制 に顕著な効果を示すことを見出した。

 すなわち、本発明は、茶類抽出液成分を酸 酵素で処理することによって得られる生成 を有効成分とする香味又は香気の劣化抑制 である。そして、茶類抽出液成分が茶(カメ リア シネンシス)の葉、茎、芽から水、極性 有機溶媒又はこれらの混合物で抽出された各 種溶解成分であること、茶類が不発酵茶、発 酵茶、半発酵茶及び後発酵茶の茶葉、茎及び 芽であること、酸化酵素がポリフェノールオ キシダーゼであること、香味又は香気がシト ラス調であること、そして香味又は香気がシ トラールに基づくものであることを特徴とす る香味又は香気の劣化抑制剤である。
 また、本発明は、上記香味又は香気の劣化 制剤を含有する香料、経口組成物、香粧品 ある。
 さらに、本発明は、上記香味又は香気の劣 抑制剤を添加することによる香料、経口組 物又は香粧品の香味又は香気の劣化抑制方 である。

 本発明の劣化抑制剤を香料や飲食品等に添 することにより、熱や光による香味、香気 劣化を抑制することができる。特にシトラ ルの劣化に対しては顕著な効果を有し、シ ラールに由来する劣化臭原因物質であるp- レゾール及びp-メチルアセトフェノンの生成 を抑制し、シトラス調のフレッシュな香味、 香気を維持できる。
 また、天然物由来の食品用途向け香味・香 劣化抑制剤として現在使用されているポリ ェノール主体の抗酸化物質と比べてポリフ ノール含有量が低量なので、最終製品の風 に及ぼす影響が少なく、苦渋味を軽減でき 。さらに、沈殿や着色の軽減もできる。

抽出例1における茶抽出液酸化酵素処理 物の紫外線吸収スペクトル。 抽出例2における紅茶抽出物の紫外線吸 収スペクトル。 抽出例1における茶抽出液酸化酵素処理 物のサイズ排除クロマトグラム。横軸は保持 時間。縦軸は分子量。 抽出例2における紅茶抽出物のサイズ排 除クロマトグラム。横軸は保持時間。縦軸は 分子量。 標準液の軟性曲線データ。横軸は保持 間。縦軸は分子量の対数値。

 以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(1)原材料
 本発明に使用する茶抽出液成分は、ツバキ の常緑樹である茶(カメリア シメンシス;Cam ellia sinensis)の葉、茎、芽に対して、水又は 性有機溶媒を用いて抽出することによって ることが出来る。
 茶は品種、産地を問わず使用することがで 、生茶葉又は飲料用として前処理を施した 葉(不発酵茶、半発酵茶、発酵茶、後発酵茶 )のいずれも利用してもよい。
 また、抽出に用いる有機溶媒は含水物であ ても良く、極性有機溶媒としては、アルコ ル、アセトン、酢酸エチル等が挙げられる 中でも人体への安全性と取扱易さの点から またはエタノール、プロパノール、ブタノ ルのような炭素数2~4の脂肪族アルコールが ましく、特に水又はエタノール又はこれら 混合物(1~95%のエタノール水溶液)が望ましい 。抽出に用いる溶媒の量は任意に選択できる が、一般には上記原材料1重量部に対し溶媒 2~200重量部を使用する。

(2)抽出方法
 抽出方法としては、溶媒の種類、量等によ 種々の方法を採用することができる。例え 前記原材料を溶媒中に入れ、浸漬法又は加 還流法で抽出することができる。なお浸漬 による場合は加熱条件下、室温又は冷却条 下のいずれであってもよい。
 また抽出成分の収率の向上や抽出後の分離 製工程を効率よく行うために、抽出中、も くは抽出後の溶液に対してペクチナーゼ、 ルラーゼ、タンナーゼなどの加水分解酵素 用いてもよい。
 次いで、溶媒に不溶な残渣を除去して抽出 を得るが、残渣除去方法としては遠心分離 濾過、圧搾等の各種固液分離手段を用いる とができる。

(3)酸化酵素処理
 本発明に適用する酸化酵素としてポリフェ ールオキシダーゼやペルオキシダーゼなど 挙げることができ、ポリフェノールオキシ ーゼの利用が好適である。
 具体的には、ラッカーゼ(EC 1.10.3.2)、カテ ラーゼ(EC 1.10.3.1)、チロシナーゼ(EC1.14.18.1) どが挙げられ、これらをそれぞれ単独で又 2種以上を併用することができる。これらの 素の由来については特に制限は無く、例え 茶類をはじめとする各種植物由来、動物由 、細菌由来のものが挙げることができる。
 これらの中で、特にラッカーゼは産業用酵 としての汎用性、実績もあり、その酸化能 高いため好ましく使用できる。例えば市販 れている「ラッカーゼ ダイワ Y120(商品名) 」(大和化成株式会社製)や「Denilite II S(商品 名)」(ノボザイムズ ジャパン株式会社製)な 使用することができる。また、酵素は必ず も精製する必要はなく、粗酵素の状態でも 用できる。
 酵素の使用量に関しては、使用する酵素量 、有効な酵素タンパク質の量で換算した場 、茶抽出液中の固形分100gに対して0.001~5gで り、好ましくは0.01~0.5gである。
 酵素処理における反応温度は約0~90℃、好ま しくは約25~75℃の範囲で、反応時間は約5分~48 時間、好ましくは約10分~6時間作用させる方 を例示することができる。
 また、酵素処理後は、50%以上エタノール水 液中で30分間以上、加熱還流して酵素を失 処理することが好ましい。

(4)精製処理
 上記酸化酵素処理液は、さらに脱色、脱臭 の精製処理を施すなどして利用することも 能である。精製処理には活性炭、アルミナ シリカゲルや多孔性のスチレン-ジビニルベ ンゼン共重合体からなる合成樹脂吸着剤、メ タクリル酸エステル系多孔性重合樹脂、ゲル 型合成吸着剤などが使用できる。
 精製用の合成樹脂吸着剤としては、例えば 菱化学株式会社製「ダイヤイオンHP-20(商品 )」、「ダイヤイオンSP-70(商品名)」やオル ノ株式会社製「アンバーライトXAD-2(商品名) 、アマシャム ファルマシア バイオテク株 式会社製「セファデックスLH-20(商品名)」な が使用できる。また、以上の群から選ばれ 1種または2種以上の処理を組み合わせてもよ い。

(5)製剤化
 上記酸化酵素処理液もしくはその精製物は そのまま劣化抑制剤として飲食品等に配合 きるが、以下のように調製して使用するこ もできる。
 例えば、水、アルコール、グリセリン、プ ピレングリコール等の(混合)溶剤に適当な 度で溶解させて(具体的には、水/エタノール 、水/エタノール/グリセリン、水/グリセリン 等の混合溶剤)液剤とする。またはデキスト ン、シュークロース、ペクチン、キチン等 加えることもでき、これらをさらに濃縮し ペースト状とすることもできる。
 また、各溶液に賦形剤(デキストリン等)を 加し噴霧乾燥によりパウダー状にすること 可能である。さらに上記液剤を乳化剤とと に油脂等に添加して分散させることにより 油溶性の液剤とすることもでき、用途に応 て種々の剤形を採用することができる。

 本発明の劣化抑制剤は香料、経口組成物、 粧品等の製造過程で適宜添加することがで る。
 添加量については、添加対象の種類により なるが、香料、経口組成物、香粧品等に対 、固形分換算で0.001~100ppmの添加量が適当で る。対象製品が経口組成物の場合には、本 の香味にほとんど影響を及ぼさせないとい 観点からは0.01~30ppm、特に0.1~10ppmが好ましい 。

 また、香味劣化抑制効果を高めるのを目的 して、本発明の劣化抑制剤と遷移金属イオ を併用して用いることもでき、特に人体へ 安全性の観点から鉄イオンが好ましい。鉄 オンの供給源としては特に制限はなく、金 鉄、鉄塩類、ヘム鉄等を使用することがで る。具体的には塩化鉄、クエン酸鉄、グル ン酸鉄、乳酸鉄、ピロリン酸鉄、硫酸鉄、 ム鉄等を挙げることができる。
 また、劣化抑制力を高めるため本発明の劣 抑制剤と一般に使用されているL-アスコル ン酸、酵素処理ルチン、エンジュ抽出物、 どう種子抽出物、ローズマリー抽出物、緑 抽出物等の酸化防止剤を適宜配合し、さら 金属と基質との反応により生じる着色など 防止するためクエン酸、グルコン酸、酒石 、フィチン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等 金属封鎖剤と混合することも可能である。

 本発明において香味とは、飲食品等の経 組成物の嗅覚で感じる香りと、口腔から鼻 に抜けた部分で感じる風味を合わせたもの いう。香味には飲食品等の経口組成物が本 有している香味と、香料を添加することに り経口組成物に付与された香味の両方を含 。香気とは香粧品等に香料を添加すること より付された、主に嗅覚で感じる香りをい 。

 本発明の劣化抑制剤は種々の香味・香気の 化に有効であるが、好ましくはシトラス調 香味・香気の劣化に対して有効である。
 特にシトラールに基づく香味・香気の劣化 対しては有効で、シトラール由来の非常に い劣化臭原因物質であるp-メチルアセトフ ノン(桂皮臭)及びp-クレゾール(薬品臭)の生 抑制に顕著な効果を有する。

 本発明の劣化抑制剤は経口組成物、香料、 粧品等に特に制限なく使用できるが、具体 としては下記のものが挙げられる。
 経口組成物の例としては、飲料、菓子類、 脂及び油脂加工食品、乳、乳製品、口腔衛 剤などが挙げられるが、より具体的には下 のものを挙げることができる。
 飲料の例としては、コーヒー、紅茶、清涼 料、乳酸菌飲料、無果汁飲料、果汁入り飲 、栄養ドリンクなどが挙げられ、特にシト ス系の炭酸飲料、果汁、果汁飲料、乳性飲 、茶飲料等に好適である。
 菓子類の例としては、ゼリー、プリン、バ ロア、キャンディー、ビスケット、クッキ 、チョコレート、ケーキ類などが挙げられ 特にシトラール含有のヨーグルト、ゼリー アイスクリーム等の冷菓、キャンディー、 飴、ガム等に好適である。

 油脂及び油脂加工食品の例としては、食用 脂(動物性油脂、植物性油脂)、マーガリン ショートニング、マヨネーズ、ドレッシン 、ハードバターなど、さらに、即席(フライ) 麺類、とうふの油揚(油揚、生揚、がんもど )、揚かまぼこ、てんぷら、フライ、スナッ 類(ポテトチップス、揚あられ類、かりんと う、ドーナッツ)、調理冷凍食品(冷凍コロッ 、エビフライ等)などが挙げられる。
 乳、乳製品等の例としては、乳として生乳 牛乳、加工乳等、乳製品としてクリーム、 ター、バターオイル、濃縮ホエー、チーズ アイスクリーム類、ヨーグルト、練乳、粉 、濃縮乳等などが挙げられる。

 口腔衛生剤の例としては、歯磨、うがい薬 口中清涼剤、口臭防止剤などが挙げられる
 香料の例としては、香料原料(精油、エッセ ンス、コンクリート、アブソリュート、エキ ストラクト、オレオレジン、レジノイド、回 収フレーバー、炭酸ガス抽出物、合成香料) よびそれらを含有する香料組成物などが挙 られ、特にシトラールを含有するシトラス 香料に好適である。
 香粧品の例としては、香水、化粧品、洗剤 石鹸、シャンプー、リンス、入浴剤、芳香 等が挙げられ、特にシトラールを含有する トラス調の香りを有する香粧品に好適であ 。(「特許庁公報 周知慣用技術集(香料)」 照)

 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に 明するが、本発明は実施例の記載に限定さ るものではない。

〔抽出例1〕
 乾燥した緑茶葉100gに、水を2000g加え1時間加 熱還流した。不溶物を濾過により除去した後 、濾液(固形分量は1.5~2.5%)に対してラッカー (大和化成株式会社製「ラッカーゼ ダイワ  Y120(商品名)」)を0.04g添加し、55℃で4時間反応 させた。
 この酵素処理溶液を濃縮した後、95%エタノ ル溶液を300g添加し30分間、加熱還流し、酵 失活処理を行った。
 溶液を-15℃で冷却後、不溶物を濾過により 去した後、減圧濃縮、凍結乾燥を行い、濃 褐色の粉末16.9g(以下「茶抽出液酸化酵素処 物」と呼ぶ)を得た。

 この抽出物の物性は以下のとおりである。
 a)紫外線吸収スペクトルを図1に示す(測定濃 度:10ppm、希釈溶剤:70%エタノール溶液)。
  λmax:203nm、267nm
 b)溶解性:水に可溶、50~70%エタノールに易溶 エタノールに不溶

〔抽出例2〕
 紅茶葉50gに50%エタノール水溶液500gを加え、 1時間加熱還流した。不溶物を濾過により除 した後、濾液を減圧濃縮、凍結乾燥し褐色 粉末(以下「紅茶抽出物」という)15.1gを得た

 この抽出物の物性は以下のとおりである。
 a)紫外線吸収スペクトルを図2に示す(測定濃 度:10ppm、希釈溶剤:70%エタノール溶液)。
  λmax:205nm、273nm
 b)溶解性:水に可溶、50~70%エタノールに易溶 エタノールに不溶

 試験例および実施例において、香味・香気 化抑制剤として現在使用されている抗酸化 質である以下の試薬、天然抽出物を使用し 。
 1)L-アスコルビン酸:
  ナカライテスク(株)製のL(+)-アスコルビン を使用した。
 2)ルチン:
  ナカライテスク(株)製の「α-GルチンP(商品 名)」を使用した。
 3)クロロゲン酸:
  和光純薬(株)製のクロロゲン酸を使用した 。
 4)緑茶抽出物:
  三井農林(株)製の「ポリフェノンKN(商品名 )」を使用した。
 5)ローズマリー抽出物:
  三菱化学フーズ(株)製の「RMキーパーSF(商 名)」を使用した。
 6)ブドウ種子抽出物:
  キッコーマン(株)製の「グラヴィノール-F( 商品名)」を使用した。

〔試験例1〕
 上記の「茶抽出液酸化酵素処理物」をレモ 風味飲料に添加し、p-クレゾール、p-メチル アセトフェノンの生成抑制効果を検討した。
 砂糖100g、クエン酸1g、シトラールを含有す レモン香料1.5g、及び本発明品1gを50%エタノ ル水溶液100gに溶解したものを1g添加し、精 水で全量を1000gに調整した。
 同様に「L-アスコルビン酸」、「ルチン」 「クロロゲン酸」、「ローズマリー抽出物 、「ブドウ種子抽出物」、「緑茶抽出物」 及び抽出例2の「紅茶抽出物」の濃度をそれ れ2ppmとなるように添加し、試料を調製した 。この溶液を70℃にて10分間殺菌後、缶に充 しレモン風味飲料を作成した。
 50℃にて7日間、恒温槽中で保管した。各レ ン風味飲料中のp-クレゾール及びp-メチルア セトフェノンの生成量を高速液体クロマトグ ラフィーにて測定した。
 表1にそれぞれの試料のp-クレゾール、p-メ ルアセトフェノンの生成量を、無添加50℃、 7日間保管品でのp-クレゾール、p-メチルアセ フェノンの生成量を100として相対値で示し 。

〔試験例2〕
 試験例1のレモン風味飲料について、習熟し たパネル10名にて官能評価した。対照レモン 味飲料として本発明の茶抽出液酸化酵素処 物あるいは酸化防止剤無添加の冷蔵保管品( 評価点:1点に設定)と、本発明の茶抽出液酸化 酵素処理物あるいは酸化防止剤無添加の50℃ 7日間保管品(評価点:5点に設定)を使用し、 レモン風味飲料の香味の劣化度を評価した その結果を表1に示す。

 なお、表1の官能評価平均点は以下の基準で 採点した各パネルの平均値である。
 採点基準は、異味及び異臭(p-クレゾール様( 薬品臭)、p-メチルアセトフェノン様(桂皮様)) に関し以下の評価基準による。
  非常に強く感じる:5点
  強く感じる   :4点
  感じる     :3点
  若干感じる   :2点
  感じない    :1点

 表1により、本発明の茶抽出液酸化酵素処 理物をレモン風味飲料に添加することにより 、L-アスコルビン酸、ルチン、クロロゲン酸 ローズマリー抽出物、ブドウ種子抽出物、 茶抽出物、紅茶抽出物の添加品と比べ、p- レゾール及びp-メチルアセトフェノンの生成 量が顕著に低下することがわかった。

 表1から明らかなように、茶抽出液酸化酵 素処理物をレモン風味飲料に添加することに より、p-クレゾール様及びp-メチルアセトフ ノン様の劣化臭を抑制できた。抑制効果はL- アスコルビン酸、ルチン、クロロゲン酸、ブ ドウ種子抽出物、緑茶抽出物、紅茶抽出物よ りも顕著に高かった。

〔試験例3〕 分子量分布測定
 抽出例1の「茶抽出液酸化酵素処理物」およ び抽出例2の「紅茶抽出物」について、サイ 排除クロマトグラフィーにて分子量分布測 を行った。
 「茶抽出液酸化酵素処理物」および「紅茶 出物」のクロマトグラムをそれぞれ図3およ び図4に示す。また、分子量分布の測定結果 表2に示す。
測定機器と測定条件は以下のとおりである。
 機器:Waters 2690
 カラム:Asahipak GS-320+620+220 (7.6mm i.d. ×10mm) + (7.6mm i.d. × 500mm)× 2
 溶離液:蒸留水+0.05%アジ化ナトリウム
 流速:1mL/min
 検出器:RI (Refractive Index) 検出器、PDA (Photo  Diode Array) 検出器
 注入量:100μL
 カラム温度:40℃
 分子量分布は下記の標準溶液を用いて作成 た軟性曲線(図5)から求めた。
 標準液 1:プルラン水溶液(プルランMW 800000 100000、20000、6000、ブドウ糖の各0.01%混合溶 ) (Polymer Laboratories社製)
 標準液 2:ポリエチレングリコール水溶液(PE G MW 10000、4000、2000、600、ブドウ糖の各0.01% 合溶液) (Shodex社製)

 表2から、茶抽出液酸化酵素処理物は紅茶 抽出物に比べ、分子量10000以上の成分がかな 多く含まれていることがわかった。

〔試験例4〕 総ポリフェノール含量の測定
 本発明の茶抽出液酸化酵素処理物と既存の 酸化素材の総ポリフェノール含量を、Folin-D enis法を用いて以下のとおり測定した。
 この方法は、タンニン様化合物のフェノー 性水酸基がアルカリ溶液中でモリブテン酸 還元することで生じる青色を比色定量する のである。
 各試料を純水で50ppm、25ppm、12.5ppm、6.25ppmに るように調整したものを100μl用意し、そこ 下記のFolin-Denis試薬を100μlずつ加えて2分間 拌した後3分間室温にて静置した。次いで、 10%(W/V)炭酸水素ナトリウム溶液を100μlずつ加 、2分間攪拌してから暗所で1時間反応させ 。さらに、マイクロプレートリーダーで655nm の吸光度を測定し、タンニン酸を用いた検量 線により各試料のポリフェノール濃度を算出 した。

 Folin-Denis試薬の調製: タングステン酸ナト ウム100g、リンモリブテン酸20g、リン酸50ml、 水750mlを混合し、2時間、加熱還流し、放冷後 、水を加え全量を1000mlとする。
結果を表3に示す。

 表1より、茶抽出液酸化酵素処理物はレモ ン風味飲料の劣化抑制に最も高い効果を示す ことが明らかになったが、表3より、茶抽出 酸化酵素処理物中のポリフェノール含量は 存の抗酸化剤中のそれと比較すると、低い とがわかった。つまり、本発明の茶抽出液 化酵素処理物は、既存の香味劣化抑制剤の うなポリフェノール主体の抗酸化作用とは なるメカニズムによって香味又は香気の劣 抑制作用を発揮するものと推測される。

〔試験例5〕 (100%オレンジ飲料)
 バレンシアオレンジ5倍濃縮果汁40gに蒸留水 160gを添加し混合した。これに抽出例1の茶抽 液酸化酵素処理物を2ppmとなるように添加し 、ガラス容器に充填後、殺菌(70℃、10分間)し 、100%オレンジ飲料を作製した。得られた100% レンジ飲料は、習熟したパネルによる評価 結果、異味異臭がなく良好な風味であった
 同様に「L-アスコルビン酸」、「ルチン」 「クロロゲン酸」、「ローズマリー抽出物 、「ブドウ種子抽出物」、「緑茶抽出物」 及び抽出例2の「紅茶抽出物」の濃度をそれ れ2ppmとなるように添加し、試料を調製した 。
これらの試料を熱虐待のため50℃にて7日間、 恒温槽中で保管した。
 熱虐待後、習熟したパネル10名にて官能評 した。対照100%オレンジ飲料として本発明の 抽出液酸化酵素処理物あるいは酸化防止剤 添加の冷蔵保管品(評価点:1点に設定)と、本 発明の茶抽出液酸化酵素処理物あるいは酸化 防止剤無添加の50℃、7日間保管品(評価点:5点 に設定)を使用し、各100%オレンジ飲料の香味 劣化度を評価した。その結果を表4に示す。

 なお、表4の官能評価平均点は以下の基準で 採点した各パネルの平均値である。
採点基準は、異味及び異臭(イモ臭、スパイ 臭)に関し以下の評価基準による。
   非常に強く感じる:5点
   強く感じる   :4点
   感じる     :3点
   若干感じる   :2点
   感じない    :1点

 表4から明らかなように、茶抽出液酸化酵 素処理物を100%オレンジ飲料に添加すること より、イモ臭及びスパイス臭の劣化臭を抑 できた。抑制効果はL-アスコルビン酸、ルチ ン、クロロゲン酸、ローズマリー抽出物、ブ ドウ種子抽出物、緑茶抽出物、紅茶抽出物よ りも顕著に高かった。

〔試験例6〕 (殺菌乳酸菌飲料)
 発酵乳原液(全固形分54%、無脂乳固形分4%)20g に蒸留水を加えて合計100gとなるように希釈 た。さらにレモン香料0.1g及び抽出例1の茶抽 出液酸化酵素処理物を2ppmとなるように添加 、ガラス容器に充填後、殺菌(70℃、10分間) 、殺菌乳酸菌飲料を作製した。こうして得 れた殺菌乳酸菌飲料は、習熟したパネルに る評価の結果、異味異臭がなく良好な風味 あった。
 同様に「L-アスコルビン酸」、「ルチン」 「クロロゲン酸」、「ローズマリー抽出物 、「ブドウ種子抽出物」、「緑茶抽出物」 及び抽出例2の「紅茶抽出物」の濃度をそれ れ2ppmとなるように添加し、試料を調製した 。
 これらの試料を光虐待のため15000ルクス、5 、12時間、光安定性試験器の中で光(蛍光灯) 照射を行った後、習熟したパネル10名にて官 評価した。対照試料として本発明の茶抽出 酸化酵素処理物あるいは酸化防止剤無添加 蛍光灯未照射品(評価点:1点に設定)と、本発 明の茶抽出液酸化酵素処理物あるいは酸化防 止剤無添加の15000ルクス、5℃、7日間蛍光灯 射品(評価点:5点に設定)を使用し、各殺菌乳 菌飲料の香味の劣化度を評価した。その結 を表5に示す。

 なお、表5の官能評価平均点は以下の基準で 採点した各パネルの平均値である。
 採点基準は、異味及び異臭(漬物臭、金属臭 )に関し以下の評価基準による。
    非常に強く感じる:5点
    強く感じる   :4点
    感じる     :3点
    若干感じる   :2点
    感じない    :1点

 表5から明らかなように、茶抽出液酸化酵 素処理物を殺菌乳酸菌飲料に添加することに より、漬物臭及び金属臭の劣化臭を抑制でき た。抑制効果はL-アスコルビン酸、ルチン、 ロロゲン酸、ローズマリー抽出物、ブドウ 子抽出物、緑茶抽出物、紅茶抽出物よりも 著に高かった。

〔試験例7〕 (ガム)
 ガムベース50gにハーブ香料0.5gと抽出例1の 抽出液酸化酵素処理物を5ppmとなるように添 した後ニーダーを使用して練り、成型後完 させた。こうして得られたガムの風味は、 熟したパネルによる評価の結果、異味異臭 感じさせることのない良好なものであった
 同様に「L-アスコルビン酸」、「ルチン」 「クロロゲン酸」、「ローズマリー抽出物 、「ブドウ種子抽出物」、「緑茶抽出物」 及び抽出例2の「紅茶抽出物」の濃度をそれ れ5ppmとなるように添加し、試料を調製した 。
 これらの試料を光虐待のため15000ルクス、5 、7日間、光安定性試験器の中で光(蛍光灯) 射を行った後、習熟したパネル10名にて官 評価した。対照試料として本発明の茶抽出 酸化酵素処理物あるいは酸化防止剤無添加 蛍光灯未照射品(評価点:1点に設定)と、本発 の茶抽出液酸化酵素処理物あるいは酸化防 剤無添加の5℃、15000ルクス、7日間蛍光灯照 射品(評価点:5点に設定)を使用し、各試料の 味の劣化度を評価した。その結果を表6に示 。

 なお、表6の官能評価平均点は以下の基準で 採点した各パネルの平均値である。
 採点基準は、異味及び異臭(エグ味、ゴム臭 )に関し以下の評価基準による。
     非常に強く感じる:5点
     強く感じる   :4点
     感じる     :3点
     若干感じる   :2点
     感じない    :1点

 表6から明らかなように、茶抽出液酸化酵 素処理物をガムに添加することにより、エグ 味、ゴム臭の劣化臭を抑制できた。抑制効果 はL-アスコルビン酸、ルチン、クロロゲン酸 ローズマリー抽出物、ブドウ種子抽出物、 茶抽出物、紅茶抽出物よりも顕著に高かっ 。

〔試験例8〕 (和風ドレッシング)
 食酢150g、果糖ブドウ糖液糖50g、食塩30g、グ ルタミン酸ナトリウム2g、香辛料1g、増粘剤2g 、乳化剤2g、コーン油400g、水362g、ユズ香料1g を混合し、攪拌均一化した。さらに抽出例1 茶抽出液酸化酵素処理物を2ppmとなるように 加し、ガラス容器に充填後、殺菌(70℃、10 間)し、和風ドレッシングを作製した。こう て得られた和風ドレッシングは、習熟した ネルによる評価の結果、本来の風味を損な ことがなく良好なものであった。
 同様に「L-アスコルビン酸」、「ルチン」 「クロロゲン酸」、「ローズマリー抽出物 、「ブドウ種子抽出物」、「緑茶抽出物」 及び抽出例2の「紅茶抽出物」の濃度をそれ れ2ppmとなるように添加し、試料を調製した 。
 これらを熱虐待のため30℃にて10日間、恒温 槽中で保管した。
 習熟したパネル10名にて官能評価した。対 試料として本発明の茶抽出液酸化酵素処理 あるいは酸化防止剤無添加の冷蔵保管品(評 点:1点に設定)と、本発明の茶抽出液酸化酵 処理物あるいは酸化防止剤無添加の30℃、10 日間保管品(評価点:5点に設定)を使用し、各 風ドレッシングの香味の劣化度を評価した その結果を表7に示す。

 なお、表7の官能評価平均点は以下の基準で 採点した各パネルの平均値である。
 採点基準は、異味及び異臭(脂劣化臭(アル ヒド様)、金属臭)に関し以下の評価基準によ る。
     非常に強く感じる:5点
     強く感じる   :4点
     感じる     :3点
     若干感じる   :2点
     感じない    :1点

 表7から明らかなように、茶抽出液酸化酵 素処理物をドレッシングに添加することによ り、アルデヒド様の脂劣化臭、金属臭の劣化 臭を抑制できた。抑制効果はL-アスコルビン 、ルチン、クロロゲン酸、ローズマリー抽 物、ブドウ種子抽出物、緑茶抽出物、紅茶 出物よりも顕著に高かった。

〔試験例9〕 (化粧水)
以下の処方量で配合し、常法にて化粧水を作 製した。

1,3-ブチレングリコール                 60.0g
グリセリン                         40.0g
オレイルアルコール                      1.0g
POE(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル        5.0g
POE(15)ラウリルアルコールエーテル            5.0g
95%エタノール                      100.0g
香料                              2.0g
メチルパラペン                        1.0g
クチナシ黄色素                        0.1g
茶抽出液酸化酵素処理物の1重量%/70重量%エタ ノール水溶液 2.0g
精製水                          783.9g

 得られた化粧水は、習熟したパネルによる 価の結果、異臭もなく化粧水本来の香りが 持されていた。
 同様に、上記処方中の本発明の茶抽出液酸 酵素処理物の代わりに「L-アスコルビン酸 、「ルチン」、「クロロゲン酸」、「ロー マリー抽出物」、「ブドウ種子抽出物」、 緑茶抽出物」、及び抽出例2の「紅茶抽出物 の濃度をそれぞれ2ppmとなるように添加し、 各試料を調製した。
 これらを熱虐待のため50℃にて7日間、恒温 中で保管した。
 習熟したパネル10名にて官能評価した。対 試料として本発明の茶抽出液酸化酵素処理 あるいは酸化防止剤無添加の冷蔵保管品(評 点:1点に設定)と、本発明の茶抽出液酸化酵 処理物あるいは酸化防止剤無添加の50℃、7 間保管品(評価点:5点に設定)を使用し、各化 粧水の香りの劣化度を評価した。その結果を 表8に示す。

 なお、表8の官能評価平均点は以下の基準で 採点した各パネルの平均値である。
採点基準は、異臭(薬品臭、金属臭)に関し以 の評価基準による。
        非常に強く感じる:5点
        強く感じる   :4点
        感じる     :3点
        若干感じる   :2点
        感じない    :1点

表8から明らかなように、茶抽出液酸化酵 処理物を化粧水に添加することにより、薬 臭、金属臭の劣化臭を抑制できた。抑制効 はL-アスコルビン酸、ルチン、クロロゲン酸 、ローズマリー抽出物、ブドウ種子抽出物、 緑茶抽出物、紅茶抽出物よりも顕著に高かっ た。

〔実施例1〕 (バニラエキストラクト)
 バニラビーンズ10gにエタノール35gと蒸留水6 5gを添加し、室温暗所で4週間静置抽出した。 この溶液をろ過することにより、90gのバニラ エキストラクトを得た。このエキストラクト 90gに茶抽出液酸化酵素処理物の1重量%/70重量% エタノール水溶液10gを添加し、本発明のバニ ラエキストラクトを完成させた。得られたバ ニラエキストラクトは、習熟したパネルによ る評価の結果、異味異臭がなくバニラ本来の 香味が保持されていた。

〔実施例2〕 (キャンディー)
 水飴141g、グラニュー糖180g、水60gを混合し 後、155℃まで加熱した。その後120℃まで冷 し、クエン酸6g、シトラス香料0.6g、茶抽出 酸化酵素処理物の1重量%/70重量%エタノール 溶液0.1gを添加して成型、冷却後完成させた 得られたキャンディーは、習熟したパネル よる評価の結果、異味異臭がなく良好な風 が保持されていた。

〔実施例3〕 (マーガリン)
 ショートニング55g、コーン油15g、30%ベータ ロチン液0.1g、レシチン0.2g、乳化剤0.3gを混 し、湯煎にて80℃、10分間殺菌した。一方、 水27.9g、食塩0.5g、脱脂粉乳1g、茶抽出液酸化 素処理物の1重量%/70重量%エタノール水溶液0 .1gを混ぜ湯煎で85℃まで加熱した。かくして られたコーン油混合物と脱脂粉乳混合物と それぞれ50~60℃まで冷却した後、混合し、 水にて冷却しながらディスパーを用いて1,500 rpmにて5分間攪拌した。その後水にて冷却し がらゴムベラで全体をよく練ってから(10℃ で冷却)、容器に移し一晩冷蔵庫で熟成させ ーガリンを完成させた。得られたマーガリ は、習熟したパネルによる評価の結果、異 異臭がなくマーガリン本来の香味が保持さ ていた。

〔実施例4〕 (口腔洗浄剤)
下記処方量で配合し、常法にて口腔洗浄剤を 作製した。

エタノール                       15.00g
グリセリン                       10.00g
ポリオキシエチレン                    2.00g
サッカリンナトリウム                    0.15g
安息香酸ナトリウム                    0.05g
香料                            0.30g
リン酸水素二ナトリウム                  0.10g
着色剤                          0.20g
茶抽出液酸化酵素処理物の1重量%/70重量%エタ ノール水溶液   0.10g
精製水                         7 2.10g

〔実施例5〕 (アップルフレーバー)
 以下に示す処方により常法にてアップルフ ーバーを作製した。
 
 ギ酸イソアミル       100g
 酢酸イソアミル       100g
 ヘキサン酸イソアミル     60g
 オクタン酸イソアミル     10g
 ゲラニオール         10g
 エタノール         430g
 蒸留水           290g

 上記アップルフレーバー100gに茶抽出液酸化 酵素処理物の1重量%/70重量%エタノール水溶液 2.0gを添加し、本発明のアップルフレーバー 完成した。得られたアップルフレーバーは 熟したパネルによる評価の結果、異味異臭 なく、アップルフレーバーの香味が保持さ ていた。

〔実施例6〕 (グレープフレーバー)
 以下に示す処方により常法にてグレープフ ーバーを作製した。
 
 イソ吉草酸イソアミル           10g
 シンナミルアルコール            5g
 酢酸エチル                60g
 酪酸エチル                15g
 3-メチル-3-フェニルグリシド酸エチル 10g
 ヘプタン酸エチル              8g
 アントラニル酸メチル          130g
 サリチル酸メチル             15g
 エタノール               373g
 蒸留水                 374g

 上記グレープフレーバー100gに茶抽出液酸化 酵素処理物の1重量%/70重量%エタノール水溶液 1.0gを添加し、本発明のグレープフレーバー 完成した。得られたグレープフレーバーは 熟したパネルによる評価の結果、異味異臭 なく、グレープフレーバーの香味が保持さ ていた。

 本発明の茶抽出液酸化酵素処理物は少な 添加量で熱や光による香味、香気の劣化を 制することができ、特にシトラールの劣化 対して顕著な抑制効果を有しているので、 食品や化粧品等に幅広く利用可能である。