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Title:
DIELECTRIC BARRIER DISCHARGE LAMP, ILLUMINATING DEVICE AND LIQUID CRYSTAL DISPLAY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/117525
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a dielectric barrier discharge lamp (100) comprising a bulb (10), a discharge medium (12) sealed within the bulb (10) and containing a rare gas, an internal electrode (13) arranged within the bulb (10), and an external electrode (15) arranged outside the bulb (10). The discharge medium (12) is a mixed gas of xenon and argon, and the partial pressure ratio of xenon is not less than 95% but not more than 99.5%. This dielectric barrier discharge lamp (100) realizes a high lamp efficiency.

Inventors:
HATAOKA SHINICHIRO
HASHIMOTODANI KIYOSHI
Application Number:
PCT/JP2008/000665
Publication Date:
October 02, 2008
Filing Date:
March 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MATSUSHITA ELECTRIC IND CO LTD (JP)
HATAOKA SHINICHIRO
HASHIMOTODANI KIYOSHI
International Classes:
H01J65/00
Foreign References:
JP2006313734A2006-11-16
JP2005158701A2005-06-16
JP2005222714A2005-08-18
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (IMP Building 3-7, Shiromi 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 01, JP)
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Claims:
 バルブと、
 前記バルブの内部に封入された希ガスを含む放電媒体と、
 前記バルブの内部に配置された内部電極と、
 前記バルブの外部に配置された外部電極と、
 前記外部電極を前記バルブに対して隙間を隔てて保持した保持体と
 を有し、
 前記放電媒体は、キセノンとアルゴンの混合ガスであって、キセノンの分圧比が95%以上99.5%以下であることを特徴とする、誘電体バリア放電ランプ。
 前記バルブと前記外部電極との間の距離は、以下の式で定義される最短距離よりも大きい、請求項1に記載の誘電体バリア放電ランプ
 請求項1又は請求項2に記載の誘電体バリア放電ランプと、
 光入射面と光出射面とを備え、前記誘電体バリア放電ランプから発せられる光を前記光入射面から前記光出射面に導いて出射させる拡散板と
 を備える、照明装置。
 請求項3に記載の照明装置と、
 前記拡散板の前記光出射面に対向して配置された液晶パネルと
 を備える、液晶表示装置。
Description:
誘電体バリア放電ランプ、照明 置、及び液晶表示装置

 本発明は、内部電極と外部電極とを備え 誘電体バリア放電ランプに関する。また、 発明は当該誘電体バリア放電ランプを備え バックライト装置のような照明装置、及び 該バックライト装置を備える液晶表示装置 関する。

 近年デジタルテレビの大画面化、薄型化 進展に伴い、液晶バックライトの大型化の 請が強くなってきている。液晶バックライ 用光源としては、従来から重用されてきた 陰極蛍光ランプに変わるものとして、発光 イオードや有機EL素子を使用した固体発光 バイスの研究も進み、一部は商品化されて る。しかしながら、発光効率や寿命特性な とコストの観点から、まだ当面の間は冷陰 蛍光ランプを完全に代替するには至らない のとみられる。

 蛍光ランプは、蛍光体を励起するための 外線源として、環境負荷物質である水銀を いた低圧グロー放電を使用している。この め環境保護の観点からは、水銀を使用せず 現行の蛍光ランプと同等の効率を有する光 の開発が求められている。

 上記目的を達成するためには、蛍光体を 効に励起、発光できる波長(およそ100nmから3 00nm程度)の紫外線を効率よく放射する放射源 必要である。水銀以外で注目されているの 、希ガスを主体とした低圧ないし中圧(概ね 大気圧以下)での放電プラズマである。紫外 は、蛍光体によって可視光に変換されるた 、紫外線のエネルギーと可視光のエネルギ の差に相当するエネルギーは損失となる。 のため放電によって得られる紫外線の波長 可視光に近い方が望ましい。このことから 希ガス放電の中でもキセノンを主体とした 電プラズマが、放射される紫外線の波長が 較的長いため有望とされる。

 キセノン放電では特に、励起状態のキセ ン原子と基底状態のキセノン原子とが不安 に結合したエキシマ(excimer;励起二量体)が解 離する際に放出される、172nm付近のブロード 放射の効率が高いことが知られている。一 にエキシマの生成、放射解離はパルスアフ ーグロー中で特に効率が高い。このため通 のグロー放電よりも、電極と放電空間との に、電流を遮断する電荷障壁となる誘電体 を設けた、いわゆる誘電体バリア放電の方 高い効率を期待できる。

 このため、キセノンを主体とした希ガス放 を応用した希ガス蛍光ランプとしては、発 管のガラス管壁を電荷障壁となる誘電体層 して利用した構成のものが、従来から精力 に研究されてきた。そのような構成の例と て、特許文献1に開示されたランプの構造を 図13に示す。図13において、1はガラス製のバ ブ、2は放電空間、3は蛍光体被膜、4は冷陰 からなる内部電極、5はバルブ1の外面に設 られた外部電極である。また、バルブ1内に キセノン100%が40Torr(5.3×10 3 kPa)封入されている。10は高周波点灯回路であ り、周波数30kHzの正弦波電圧をランプに供給 るようになっている。

 しかしながら、このようなキセノンを含 希ガスを放電媒体とする誘電体バリア放電 ンプには、ランプ効率が低いという問題が った。

 当業者の技術常識によれば、放電媒体が セノンとアルゴン等の他の希ガスとの混合 スである場合、キセノンの分圧比が高い程 ランプ効率が高い(例えば、非特許文献1参 )。言い換えれば、キセノンの分圧比が100%で ある場合にランプ効率が最も高くなるという のが、当業者の技術常識であった。

特開平5-29085号公報 志賀智一、外3名、「Xe分圧増加による水 銀レスXe平面放電型蛍光ランプの発光効率向 」、照明学会誌、社団法人照明学会、平成1 6年、第88巻、第8A号、p.517-521

 本発明は、キセノンを含む希ガスを放電 体とする誘電体バリア放電ランプのランプ 率を大幅に向上することを目的とする。

 本発明者は、鋭意研究の結果、放電媒体 含まれる希ガス種であるキセノンの比率が 定の場合に、誘電体バリア放電ランプのラ プ効率が急激に上昇することを発見した。 発明は、かかる発見に基づくものである。

 具体的には、本発明の第1の態様は、バル ブと、前記バルブの内部に封入された希ガス を含む放電媒体と、前記バルブの内部に配置 された内部電極と、前記バルブの外部に配置 された外部電極と、前記外部電極を前記バル ブに対して隙間を隔てて保持した保持体とを 有し、前記放電媒体は、キセノンとアルゴン の混合ガスであって、キセノンの分圧比が95% 以上99.5%以下であることを特徴とする、誘電 バリア放電ランプを提供する。

 前記バルブと前記外部電極との間の距離 、以下の式で定義される最短距離よりも大 いことが好ましい。

 本発明の第2の態様は、前記誘電体バリア 放電ランプと、光入射面と光出射面とを備え 、前記誘電体バリア放電ランプから発せられ る光を前記光入射面から前記光出射面に導い て出射させる拡散板とを備える、照明装置を 提供する。

 本発明の第3の態様は、前記照明装置と、 前記拡散板の前記光出射面に対向して配置さ れた液晶パネルとを備える、液晶表示装置を 提供する。

 本発明に係る誘電体バリア放電ランプは 放電媒体として、キセノンにアルゴンを微 に混合し、キセノン分圧比を95%以上99.5%以 とすることで、高いランプ効率を実現でき 。

本発明の第1実施形態に係る誘電体バリ ア放電ランプを示す側面断面図。 本発明の第1実施形態に係る誘電体バリ ア放電ランプのランプ効率の電圧依存性を示 す線図。 本発明の第1実施形態に係る誘電体バリ ア放電ランプのランプ効率のキセノン分圧依 存性を示す線図。 本発明の第1実施形態に係る誘電体バリ ア放電ランプの駆動電圧のキセノン分圧依存 性を示す線図。 本発明の第1実施形態に係る誘電体バリ ア放電ランプの効率測定時の配置を示す模式 図。 本発明の第1実施形態に係る誘電体バリ ア放電ランプの効率測定時の配置を示す模式 回路図。 本発明の第1実施形態に係る誘電体バリ ア放電ランプのV-Qリサージュ線図。 輝度測定装置の模式的な平面図。 図8AのVIII-VIII線での断面図。 放電空間から外部電極までの模式的な 価回路図。 本発明の誘電体バリア放電ランプを用 いた液晶表示装置を示す概略図。 キセノンの反応過程とエネルギー順位 を示す模式図。 キセノンの反応過程とエネルギー順位 を示す模式図。 従来の希ガス放電ランプを示す模式図 。

符号の説明

 100 ランプ
 1000 バックライト装置
 10 バルブ
 11 蛍光体層
 12 放電媒体
 13 内部電極
 14 外部電極
 15 空気層
 16 駆動回路
 17,45,46 コンデンサ
 18 スペーサ(保持体)
 20 拡散板
 20a 光入射面
 20b 光出射面
 21 拡散シート
 22 プリズムシート
 23 偏光シート
 24 筐体
 25 蓋体
 26 液晶表示パネル

 本発明の実施形態を詳細に説明する。

 (第1実施形態)
 図1は、本発明の第1実施形態に係る誘電体 リア放電ランプを示す。

 本実施形態の誘電体バリア放電ランプ(以 下、単に「ランプ」と呼ぶ。)100は、細長い 密容器であるバルブ10を備える。バルブ10の 面には蛍光体層11が形成されている。また 放電空間であるバルブ10の内部には、希ガス を主体とする放電媒体12が封入されている。 らに、バルブ10の一方の端部には内部電極13 が封着されている。バルブ10の外部には外部 極14が配置されている。外部電極14は、保持 体としてのスペーサ18によってバルブ10の外 表面に対して空隙を隔てた状態で保持され おり、ランプ100と外部電極14の間に空気層15 設けられている。ランプ100の内部電極13と 部電極14との間に、駆動回路16によって高電 を印加することで、誘電体バリア放電を起 し発光させる。

 本実施形態では、バルブ10として、ホウケ 酸ガラスで形成された断面構造が概ね円形 状の直管を用いた。直管の内径は2.0mm、外径 は3.0mm、長さは350mmであった。蛍光体層11は、 青色蛍光体BaMgAl 10 O 17 :Eu、緑色蛍光体LaPO4:Ce,Tb、及び、赤色蛍光体( Y,Gd)BO 3 :Euを混合したものをバルブ10の内表面に形成 た。

 放電媒体12としては、キセノンとアルゴ を所定の分圧比で配合した混合ガスを用い 。キセノンとアルゴンの分圧比については 後に詳述する。

 内部電極13はニッケルで形成し、外部電 14はアルミニウムで形成した。外部電極14は 21mmの平板状であり、バルブ10と外部電極14 の間に設けられた空気層15の寸法、すなわち バルブ10と外部電極14との間の空隙の距離Dは 5mmでランプ長手方向(管軸方向)に一定にし ある。また、外部電極14の表面には、鏡面反 射処理が施されている。そのため、外部電極 14の表面に高反射シートを設置しなくても、 源装置から高い出射光量を望むことができ 。ランプ点灯用の駆動回路16を、内部電極13 と外部電極14との間に接続し、周波数15~30kHz 矩形交番電圧を印加した。

 以下、具体的な実験結果を挙げて説明す 。

 上記ランプ100を、放電媒体12のキセノン アルゴンの分圧比が異なる7つの条件につい 、ランプからの出力光束をランプへの投入 力で除した値であるランプ効率の評価を行 た。以下、この7つのガス条件を列挙する。 なお、全圧力は、すべて16kPaである。ランプ 率の算出方法については、後に詳述する。

 条件(1)キセノン40%:アルゴン60%
 条件(2)キセノン60%:アルゴン40%
 条件(3)キセノン80%:アルゴン20%
 条件(4)キセノン95%:アルゴン5%
 条件(5)キセノン98%:アルゴン2%
 条件(6)キセノン99.5%:アルゴン0.5%
 条件(7)キセノン100%

 上記条件(1)~(7)のランプ100を、高圧パルス 電源(ハイデン研究所製:SBP-5K-HF-1)により点灯 せ、ランプ効率の測定を行った。測定時の 動波形は、駆動周波数が20kHzの正負交番の 形であり、電圧は0からピーク電圧値までの (0-p値)が2~2.6kVの範囲において変化させた。 2に、条件(7)、すなわち放電媒体がXe100%であ る場合のランプ効率の電圧依存性を示してい る。横軸が駆動円圧の0-p値、縦軸がランプ効 率(任意単位系:a.u.)である。図2からわかるよ に、ランプ効率が最大となる最適な電圧が 在する。すなわち、放電媒体がXe100%である 合、0-p値で2.2kV付近でランプ効率が最大と る。これは、次のような要因によると推察 れる。電圧が小さい場合、プラズマ中の電 エネルギー(電子温度)が低くなり、キセノン 原子の励起効率が低下してしまう。また、逆 に電圧を大きくすると、電流密度が増大し、 電子がすでに励起されたキセノン原子と衝突 しイオン化してしまうため、エキシマの生成 効率が低下する。以上のような理由から、効 率を最大にする最適な電圧が存在することに なる。

 条件(1)から(7)までの各ランプについて、 圧を0-p値が2~2.6kVの範囲で変化させ、ランプ 効率を測定した。データのばらつきを考慮す るため、条件(1)~(7)のそれぞれについて4本の ンプ100を用意してランプ効率を測定した。 た、条件(1)~(7)のそれぞれについて4本のラ プ100のランプ効率の平均値を求めた。表1に 件(1)~(2)毎に4本のランプ100のランプ効率の 定値を示す。また、表2、図3に条件(1)~(2)毎 ランプ効率の平均値を示す。

 図3の縦軸は最適電圧のランプ効率(n=4本 平均値)、横軸はキセノン分圧比(百分率)を す。キセノン分圧比とアルゴン分圧比はそ ぞれ以下のように定義される。

 この実験結果より、キセノン分圧比によ て極大値が存在することがわかる。また、 大値は、キセノン分圧比が100%に近い部分に 存在することがわかる。したがって、キセノ ンにアルゴンを微量混合することにより、ラ ンプ効率を向上できることが明らかとなった 。具体的には、図3から、キセノン分圧比を95 .0%以上99.5%以下とすることにより、キセノン 100%とした場合よりもランプ効率を向上する ことができる。すなわち、放電媒体がキセノ ンとアルゴンの混合ガスであり、キセノン分 圧比が95.0%以上99.5%以下の範囲であり、アル ン分圧比が0.5%以上5%以下の範囲である場合 、キセノンを100%とした場合よりもランプ効 を向上することができる。放電媒体中に含 れるキセノン及びアルゴン以外の窒素やク プトン等の不純物は、0.1%程度以下であれば 許容され得る。

 図4は、各キセノン分圧の駆動電圧を示し たグラフである。縦軸は、ランプ効率が最大 となる最適電圧(n=4本の平均値)、横軸はキセ ン分圧比(95~100%)を示している。アルゴンを 合することで、効率を向上するだけでなく キセノン100%とした場合よりも駆動電圧を低 減する効果も確認される。

 ここで、効率向上の効果を理解するため 、ランプ100中で起こる放電現象について説 する。一般的に、キセノン分圧を増加すれ 、励起状態のキセノン原子と基底状態のキ ノン原子2個との衝突によって起こる三体衝 突が増加し、エキシマの生成効率は上昇する 。しかしながら、キセノン分圧を増加すれば 、一方で、電子エネルギー(電子温度)が低下 るため、そもそも、励起状態のキセノン原 を減少させてしまうことになる。キセノン 圧を高く設定しつつキセノン原子の励起に 要な高い電子エネルギー(電子温度)を維持 るために、駆動電圧を高くすれば良い。し し、現実的には、駆動回路16が出力し得る駆 動電圧には制約があり、この制約によってガ ス圧の上限が決定されることになる。条件(1) ~(7)のランプ100の場合、駆動電圧を0-p値2.5kV以 下の範囲に抑えようとした場合、16kPa以下に る必要があった。そのため、本実施形態で 、前述のように全圧を16kPaにして実験を行 ている。なお、駆動電圧は、バルブの管径 長さ、バルブ10と外部電極14との距離にも依 するため、必ずしも、駆動回路16が出力し る駆動電圧の制約のみでガス圧が決定され わけではない。

 図3において、キセノン分圧比を増加して いくと、効率が良くなっていく傾向がある。 これは、先に述べたように三体衝突の増加に よってエキシマの生成効率が向上するからで ある。ところが、前述のようにキセノン分圧 比を100%にするよりも、アルゴンを微量混合 キセノン分圧比を95%以上99.5%以下にした方が より高い効率を実現できることが明らかにな った。これは、アルゴンを微量に混合するこ とにより、電子エネルギー(電子温度)が高く り、キセノン原子の励起効率が向上したた と考えられる。すなわち、キセノン分圧比9 5%以上99.5%以下の範囲においては、エキシマ 成効率向上がランプ効率の向上に寄与する 果よりも、アルゴン混合によるキセノン原 の励起効率向上がランプ効率の向上に寄与 る効果の方が支配的になっていると推論で る。これは、本願発明者らの検討によって 初めて明らかになったことである。

 本願発明のようにキセノンに微量のアルゴ を添加した場合に、効率が上昇する機構の 細は以下のように推察される。キセノン放 ランプにおいては、電界によって加速され 電子がキセノン原子に衝突し、これを電離 ることによって放電プラズマを発生させる キセノン原子は電離されてキセノンイオン( Xe + )と電子とに解離するが、ここで生じた電子 さらに電界で加速されて別のキセノン原子 電離する。これが繰り返されることでプラ マが維持される。ところが電子が電界から るエネルギーによっては、キセノンは電離 は至らず、エネルギーが量子力学的に離散 布した励起準位(6s,6s’,7p,7f)まで励起される 合もある。励起準位にある原子はやがて、 のエネルギーに相当する波長の光子を放射 、あるいは電子や他の原子と衝突してエネ ギーを渡すことで、基底状態に脱励起する 放電ランプにおいては、このときに生じる 子を効率よく得ることで、照明の用に供す 。

 図11はキセノン原子のエネルギー準位を 式的に表した図である。キセノン原子は、 子との衝突によって電子から12.13eVのエネル ーを得ると電離され、キセノンイオンとな 。これは反応過程(1)で示す直接(衝突)電離 程であり、以下の式で表される反応である

 また、図11で6sと表される最もエネルギーの 低い励起準位群は、共鳴線といわれる147nmの 外光子を放射したり、エキシマ(Xe 2 * )となって172nmを中心とした高効率の発光をす るためとりわけ重要である。これは通常、反 応過程(2)で示す直接(衝突)励起過程によって 起される。反応過程(2)は、以下の式で表さ る。

 ところでキセノン原子は電離エネルギー 12.13eVで、6s励起準位の励起エネルギーが約8 .4eVであり、たとえば蛍光ランプでよく使用 れる水銀(電離エネルギー10.38eV)と比べて高 。したがって効率よくプラズマを維持する めにはエネルギーの高い電子群が必要であ 。そのため、プラズマは電子密度を低くし 平均的な電子エネルギー(電子温度)を高めよ うとする。その結果、反応過程(2)が生じる確 率も高くなり、高い紫外線発光効率が得られ る。

 しかしながら、放電ランプの輝度を高め ためにランプ電流を高くすると、励起準位 原子の密度が上昇する。キセノン原子のエ ルギー準位には、最も低いエネルギー準位 ある6sおよび6s’と、そのすぐ上の準位との エネルギー差が小さいという特徴がある。図 11から分かるように、たとえば6s’と6p準位の 差は1eV以下である。したがって、エネルギー の低い電子との衝突でも図11の反応過程(3)に す多段励起過程によってより高いエネルギ の励起準位へと励起される確率が高い。反 過程(3)は、以下の式で表される。

 原子の準位間のエネルギー間隔は、エネ ギーが高い励起準位間であるほど狭くなる め、反応過程(3)を繰り返すことによって、 次高いエネルギーに励起され、最終的には 応過程(4)で示した累積電離過程によって電 されることになる。反応過程(4)は、以下の で表される。

 こうした多段励起から累積電離への移行 、図11から分かるように電子のエネルギー 2eV以下で十分である。

 次に本願発明のようなタイプのキセノン放 ランプでは、エキシマからの紫外線放射の 率を高めるためにキセノンガス圧が高い。 のためキセノン原子、イオン同士の衝突が 繁に起こり、キセノンイオンは反応過程(5) 示すイオン変換過程によってキセノン分子 オンXe 2+ に変化する。反応過程(5)は、以下の式で表さ れる。

 以下の式に示すように、キセノン分子イ ンはやがて電子と解離再結合(反応過程(6)) てキセノン原子に戻る。

 この解離再結合の際に選択的にキセノン 子イオンの最低エネルギーレベル付近(11~12e V程度)の励起準位原子になることが知られて る。この準位のエネルギーは電離エネルギ (12.13eV)に近いため、低いエネルギーの電子 よって容易に再電離され得る。またキセノ ガス圧が高いことによる、以下の式で示す 起準位原子同士の衝突による自動電離過程 よっても電離が起こる。この過程ではそも も電子が必要ない。

 その結果、図11の破線で示したようなサ クル(サイクルIIと呼ぶ)でプラズマを維持可 となる。上述のようにサイクルIIでは高い ネルギーの電子が必要ないため、プラズマ の電子温度は低下し電子密度が上昇する。 の結果、紫外線発光に重要な6s準位への直接 励起過程は起こりにくくなり、ランプの発光 効率が低下するのである。

 ところが本実施形態のようにキセノンに 小なアルゴンを添加した系では、別の現象 起こることが期待できる。図12に示すよう 、アルゴンの最も低い励起準位群は11.5eV付 にあり、ちょうど上述の反応過程(6)によっ 再結合したキセノン原子のエネルギー準位 近い。こうしたエネルギー的に近い準位間 は、図12の反応過程(7)に示すような共鳴励起 過程が起こり得る。反応過程(7)は、以下の式 で表される。

 キセノン分子イオンが再結合しても、そ から再度電離されるためには高いエネルギ の電子が必要となる。そのため、プラズマ 維持するためには電子密度を下げて電子温 を高くする必要が生じる。この結果、キセ ン6s準位への励起効率が(電子温度が上昇し 高いエネルギーの電子の数が相対的に増え ため)上昇し、効率が高くなったと考えるこ とができる。

 このことを確かめるために、発明者らは も低い励起エネルギーがアルゴンよりも低 クリプトン(約10eV)を用いて同様の実験を行 た。その結果からは、効率の上昇はみられ かった。

 なお、こうした共鳴励起過程は、たとえ 蛍光ランプにおけるアルゴン+水銀混合ガス のペニング効果のように、励起原子からエネ ルギーを得る原子(本願の場合はアルゴン)の 度が極端に低い混合比率のときのみ効果を すと予想できる。しかしながらその範囲を 論的に推定することは容易でなく、本願発 の如き効果を得ることの出来る範囲を決定 るには、多数の実験が不可欠であった。

 次に、本実施形態におけるランプ効率の 体的な算出方法を説明する。前述のように ランプ効率」はランプからの出力光束をラ プへの投入電力で除した値である。すなわ 、ランプ効率は以下の式で定義される。

 ランプ電力は、以下のように測定した。 5に測定配置図、図6にその模式図を簡単に している。外部電極14に直列にコンデンサ17 接続する。電圧プローブV1を内部電極13とコ ンデンサ17との間に接続し、電圧プローブV2 コンデンサ17の両端に接続する。ランプ100へ の影響を小さくするために、コンデンサ17の 量はランプ100の容量に比べ大きなものを使 する。本実施形態では、ランプの容量が数1 0pF程度に対し、コンデンサ17の容量は数10nF程 度であった。上記配置において、ランプ100と コンデンサ17との間に高電圧を印加してラン 100を点灯させた状態で、電圧V1及びV2を測定 する。測定した電圧V1及びV2より、ランプ100 かかる電圧(V=V1-V2)を算出する。また、コン ンサ17の容量C及び電圧V2より、測定部位であ るランプ100に蓄えられる電荷(Q=C×V2)を算出す る。

 上記のように求めた電圧V、電荷Qをそれ れ、縦軸、横軸にしたV-Qリサージュ図を図7 示す。ランプ電力は、図7の点A~Dで囲まれて いる面積(駆動回路16から印加される電圧の波 形の1周期の面積)に相当する。具体的には、 ンプ電力は以下の式で表される。

 図7において、点Aから点Bまで及び点Cから 点Dまでは、駆動回路17から印加される電圧が 急峻に変化した直後のコンデンサ17への電荷Q の蓄積とランプ100にかかる電圧Vとの変化を す。また、点Bから点Cまで及び点Dから点Aま は、放電空間で放電が開始して停止するま の電荷Qの蓄積と電圧Vとを示している。

 光出力は以下のように測定した。図8A及 図8Bは本実施例で使用した輝度測定装置を示 す。この輝度測定装置は、点灯状態のランプ 100をその上に保持する水平方向に延びる細長 い保持台240と、この保持台240と平行(ランプ10 0のバルブ10の管軸に平行)に延びる直動案内 ール241を備える。直動案内レール241上には モータ242で駆動されることで往復移動可能 スライダ243が配置されている。スライダ43に は、連結アーム244を介して半円環状のヘッド 保持部245が連結されている。ヘッド保持部245 の中心軸は保持台240上のランプ100の管軸と一 致している。ヘッド保持部245には、ランプ100 の気密容器10を周方向に取り囲むように複数 の受光ヘッド246が配置されている。自動光 切換器247は、複数個の受光ヘッド246のうち ファイバーを介して照度計249に光線を入射 せるものを順次切り換える。これにより管 上の一つの位置でのランプ100の輝度を測定 きる。また、スライダ243と共にヘッド保持 245を管軸上の任意の位置に移動できるので 管軸上の任意の位置でのランプ100の輝度を 定できる。さらに、管軸上の個々の位置で ランプ100の周方向の輝度を加算(積分)する とにより、相対的なランプ100の全光束値が られる。

 次に、外部電極14とバルブ10の空気層15の 離Dの量的設定について説明する。外部電極 14とバルブ10内の放電空間との間には、空気 15と、バルブ10の管壁を含む固体誘電体層と 存在する。また、図9を参照に模式的に示す ように、空気層15と固体誘電体層とは、直列 接続されたコンデンサ45,46と等価であると なすことができる。

 まず、コンデンサの定義から、各コンデ サ45,46の容量C1,C2は、以下の式(1)で表される 。

 ここでSは電極面積、ε1はバルブ10と外部 極14の間の空隙の比誘電率、ε2は固体誘電 層の比誘電率、X1は空隙の距離、X2は固体誘 体層の距離ないしは厚みである。

 また、コンデンサ45,46に蓄積される電荷Q ついて、以下の式(2)の関係がある。

 ここでC1,C2はコンデンサ45,46の容量、C0は ンデンサ45,46の合成容量、V1は空隙に印加さ れる電圧、V2は固体誘電体層に印加される電 、Vは放電空間と外部電極14間に印加される 圧である。

 また、空隙に印加される電圧V1、固体誘 体層に印加される電圧V2、放電空間と外部電 極14間に印加される電圧V、空隙の電界E、及 固体誘電体層の電界E’について以下の式(3)~ (5)の関係がある。

 式(2)~(5)より、以下の式(6)を得る。

 式(6)に前述の式(1)を代入すると、空隙の 界Eについて以下の式(7)を得る。

 特に、本実施形態では空隙は空気層15で っても、比誘電率が1である空気が充填され いるので、以下の式(7)’が成立する。

 空隙の絶縁破壊電界をE0とすると、絶縁 壊が起こらないためには、以下の式(8)が成 する必要がある。

 式(8)に式(7)を代入すると、以下の式(9)が られる。

 特に、本実施形態では空隙が空気層15(ε1= 1)であるので、以下の式(9)’が成立する。

 従って、バルブ10と外部電極15との間の空 隙における絶縁破壊を生じさせないためには 、空隙の距離を以下の式(10)で定義される最 距離X1Lよりも大きく設定しなければならな 。

 特に、本実施形態では空隙が空気層15(ε1= 1)であるので、最短距離X1Lは、以下の式(10)’ で定義される。

 空隙の距離X1を最短距離X1Lよりも大きく 定しておけば、空隙に充填された雰囲気気 の絶縁破壊を防止し、絶縁破壊によりイオ 化した気体分子が周囲の部材を破壊するの 防止することができる。本実施形態では、 囲気気体は空気であるので、絶縁破壊によ 発生したオゾンが周囲の部材を破壊するの 防止することができる。

 空隙の距離X1の最長距離は、合理的な入 電力で光源装置が点灯可能であるという条 に基づいて得られる。換言すれば、距離が 度に大きいと、光源装置を点灯するための 力電力も過度に大きく設定する必要が生じ 現実的でない。

 本実施形態では、バルブ10はホウケイ酸 ラスで形成された直管状のものを用いたが これに限定されることはない。例えば、バ ブ10の材質は、石英ガラス、ソーダガラス、 鉛ガラス等のガラスであっても良い。また、 形状も直管に限らず、例えば、L字状、U字状 T字状又は矩形状等であっても良い。また、 本実施形態では、内径2.0mm、外径3.0mm、長さ35 0mmの直管を用いたが、管径やランプ長はこれ に限定されるものではない。

 蛍光体11の種類は、限定されることはな 、いわゆる、一般照明用蛍光灯、プラズマ ィスプレイ等に用いられる他の材料であっ も良い。

 放電媒体12の全圧は、本実施形態では16kPa であったが、これに限定されることはない。

 内部電極13は、ニッケルだけでなく、例 ばタングステン、ニオブなどの金属で形成 きる。内部電極13の表面は、酸化セシウム、 酸化バリウム、酸化ストロンチウムといった 金属酸化物層で表面の一部又は全体が覆われ ていても良い。このような金属酸化物層を用 いることによって、点灯開始電圧を低減でき 、イオン衝撃による電極の劣化を防止できる 。本実施形態では、内部電極13がバルブ10の 端にのみ封着されていたが、これに限るも ではなく、内部電極が2個以上封着されてい も良い。

 外部電極14は、アルミニウムに限らず、 、ステンレス等の金属や、酸化スズ、酸化 ンジウム等を主成分とする透明導電性構造 等で形成できる。さらに、外部電極14は鏡面 反射処理の施されているものを使用すること により、外部電極14の表面に高反射シートを 置しなくても、光源装置から高い出射光量 望むことができる。外部電極14とバルブ10と の距離を隔てての保持・固定に関する手段( 持部材)は、絶縁性部材(例えば、シリコンゴ ム)を利用するなど様々な構成があり得る。 ずれの方法も容易に実現できるため、具体 を挙げての説明は省略する。上記実験は平 状の外部電極14で行ったが、外部電極14の形 には依存しない。また、本実施形態では、 ルブ10と外部電極14との距離は5mmであったが 、これに限るものではない。

 バルブ10の管径、長さ、放電媒体12の全圧 、及び、バルブ10と外部電極14との距離はい れも、その値が大きくなるほど高い電圧が 要となるため、任意に決定することはでき 、実使用上設けられる駆動電圧の上限で点 が実施できるように設定しなければならな 。例えば、バルブ10の長さを長くした場合、 放電媒体12の全圧を低くすることで、ランプ 全長に渡って点灯することが可能になる。

 本実施形態では、ランプ点灯用の駆動回 16を20kHzにして点灯を行ったがこれに限定さ れるものではない。

(第2実施形態)
 本発明の誘電体バリア放電ランプを用いた 光源型の照明装置の一例であるバックライ 装置を備える液晶表示装置について説明す 。

 図10を参照すると、バックライト装置1000 、平板状直方体型の拡散板20と、この拡散 20の背面である光入射面20aに対向して配置さ れた複数のランプ100とを備える。ランプ100は 第1実施形態で説明して構造を有する。また ランプ100の背面には、反射機能を有する平 状の外部電極14が設置されている。つまり、 本実施形態では、複数のランプ100は個々に外 部電極14を備えるのではなく、共通の外部電 14を有する。拡散板20の前面である光出射面 20bに対向して3枚の光学シート21~23が配置され ている。ランプ100、外部電極14、拡散板20、 び光学シート21~23は開口部を有する蓋体25を える筐体24内に組み込まれている。筐体24の 前面側には、光学シート21~23を介して拡散板2 0の光出射面20bと対向するように、液晶表示 ネル26が配置されている。ランプ100から発せ られる光は光入射面20aから拡散板20に入射し 光出射面20bから出射され、さらに光学シー 21~23を透過して前面に導出されて液晶表示 ネル26に入射する。本実施形態では、光学シ ートとして、光を散乱させる拡散シート21、 射される光の方位を限定するためのプリズ シート22、さらには放出される光の偏光を 限する偏光シート23を使用している。

 以上、本発明の実施の形態について例を げて説明したが、本発明は、上記実施の形 に限定されず本発明の技術的思想に基づき 光源として他の実施の形態に適応すること できる。

 本発明は、一般照明用光源、ファクシミ 、複写機等の原稿照明用光源、液晶パネル ックライト用光源に利用される光源装置等 有用である。




 
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