Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
DIELECTRIC MATERIAL FOR PLASMA DISPLAY PANEL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/054198
Kind Code:
A1
Abstract:
A dielectric material for plasma display panels which can be burned at a temperature not higher than 600°C without causing a cost increase and which can be inhibited from being yellowed by silver in burning. Also provided are: a method of forming a dielectric layer; a dielectric layer formed from the dielectric material; and a glass plate for plasma display panels which has the dielectric layer. The dielectric material for plasma display panels comprises a glass powder based on ZnO-B2O3-SiO2-Bi2O3-R2O (wherein R2O represents alkali metal oxides comprising Li2O, Na2O, and K2O). It is characterized in that the glass powder contains substantially no PbO and is made of a glass which comprises, in terms of percentage by mass, 45-85% ZnO+B2O3+SiO2, 2.5-14.5%, excluding 14.5%, Bi2O3, 1-12% R2O, and 0.01-1.5% CuO, the R2O/Bi2O3 ratio being 0.35-5.0 by mass.

Inventors:
KONDO KUMIKO (JP)
OSHIMA HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/066297
Publication Date:
April 30, 2009
Filing Date:
September 10, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
NIPPON ELECTRIC GLASS CO (JP)
KONDO KUMIKO (JP)
OSHIMA HIROSHI (JP)
International Classes:
C03C8/04; H01J9/02; H01J11/12; H01J11/22; H01J11/26; H01J11/34; H01J11/36; H01J11/38; H01J11/42; H01J11/50
Domestic Patent References:
WO2006013680A12006-02-09
Foreign References:
JP2001172046A2001-06-26
JP2007182365A2007-07-19
JP2007008764A2007-01-18
JP2007070196A2007-03-22
Attorney, Agent or Firm:
METSUGI, Makoto et al. (5-4 Tanimachi 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 12, JP)
Download PDF:
Claims:
 ZnO-B 2 O 3 -SiO 2 -Bi 2 O 3 -R 2 O(R 2 OはLi 2 O、Na 2 O、K 2 Oのアルカリ金属酸化物を表す)系ガラス粉末からなるプラズマディスプレイパネル用誘電体材料において、該ガラス粉末が、実質的にPbOを含まず、質量百分率で、ZnO+B 2 O 3 +SiO 2  45~85%、Bi 2 O 3  2.5~14.5%未満、R 2 O 1~12%、CuO 0.01~1.5%含有し、質量比でR 2 O/Bi 2 O 3 が0.35~5.0となるガラスからなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用誘電体材料。
 ガラス粉末が、質量百分率で、ZnO 26~55%、B 2 O 3  10~40%、SiO 2  3~20%含有するガラスからなることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料。
 ガラス粉末が、質量百分率で、Li 2 O 0~2%、Na 2 O 0~6%、K 2 O 0~12%含有するガラスからなることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料。
 ガラス粉末が、実質的にPbOを含まず、質量百分率で、ZnO 26~55%、B 2 O 3  10~40%、SiO 2  3~20%、ZnO+B 2 O 3 +SiO 2  45~85%、Bi 2 O 3  2.5~14.5%未満、Li 2 O 0~2%、Na 2 O 0~6%、K 2 O 0~12%、R 2 O 1~12%、MgO 0~15%、CaO 0~15%、SrO 0~15%、BaO 0~15%、RO(ROはMgO、CaO、SrO、BaOのアルカリ土類金属酸化物を表す) 0~18%、CuO 0.01~1.5%含有し、質量比でR 2 O/Bi 2 O 3 が0.35~5.0となるガラスからなることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料。
 ガラス基板上に形成されたAg電極と接する誘電体層の形成に用いられることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料。
 前面ガラス基板用の透明誘電体材料として使用されることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載のプラズマディスプレイパネル用誘電体材料。
 請求項1~6の何れかに記載の誘電体材料を電極が形成されたガラス基板上に形成し、500~600℃で焼成することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用誘電体層の形成方法。
 請求項1~6の何れかに記載の誘電体材料を用いて形成されてなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用誘電体層。
 請求項8に記載の誘電体層を備えてなることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用ガラス板。
Description:
プラズマディスプレイパネル用 電体材料

 本発明は、プラズマディスプレイパネル 誘電体材料、誘電体層の形成方法、その誘 体材料を用いて形成されてなる誘電体層及 その誘電体層を備えてなるプラズマディス レイパネル用ガラス板に関するものである

 プラズマディスプレイは、自己発光型の ラットパネルディスプレイであり、軽量薄 、高視野角等の優れた特性を備えており、 た大画面化が可能であることから、急速に 場が拡大している。

 プラズマディスプレイパネルは、前面ガ ス基板と背面ガラス基板とが一定の間隔で 向しており、その周囲が封着ガラスで気密 止された構造を有している。また、パネル 部にはNe、Xe等の希ガスが充填されている。

 上記用途に供される前面ガラス基板には プラズマ放電用の走査電極が形成され、そ 上には走査電極を保護するために、30~40μm 度の前面ガラス基板用の誘電体層(透明誘電 層)が形成されている。

 また、背面ガラス基板には、プラズマ放 の位置を定めるためのアドレス電極が形成 れ、その上にはアドレス電極を保護するた に、10~20μm程度の背面ガラス基板用の誘電 層(アドレス保護誘電体層)が形成されている 。更に、アドレス保護誘電体層上には、放電 のセルを仕切るために隔壁が形成され、また 、セル内には、赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体が 塗布されており、プラズマ放電を起こして紫 外線を発生させることにより、蛍光体が刺激 されて発光する仕組みになっている。

 一般に、プラズマディスプレイパネルの 面ガラス基板や背面ガラス基板には、ソー ライムガラスや高歪点ガラスが使用されて り、走査電極やアドレス電極には、スクリ ン印刷法で成膜できるAgが広く用いられて る。電極を形成したガラス基板への誘電体 の形成にあたっては、ガラス基板の変形を 止し、電極との反応による特性の劣化を抑 るために、500~600℃程度の温度域で焼成する 法が採られている。それ故、誘電体材料に 、ガラス基板の熱膨張係数に適合し、500~600 ℃で焼成でき、高い耐電圧を有することが求 められている。

 また、透明誘電体層においては、上記特 に加え、高い透明性を有することも求めら るため、透明誘電体層を形成するための誘 体材料には、焼成時に泡が抜けやすいこと 求められている。

 上記の要求特性を満たすものとして、特許 献1に示すようなPbO-B 2 O 3 -SiO 2 系の鉛ガラス粉末を含む誘電体材料が使用さ れてきたが、近年、環境保護の高まりや環境 負荷物質の使用削減の動きから、誘電体材料 においても非鉛ガラス粉末を使用することが 望まれている。そのため、特許文献2及び3に すように、比較的容易に低融点化が可能なZ nO-B 2 O 3 -SiO 2 -Bi 2 O 3 -R 2 O(R 2 OはLi 2 O、Na 2 O、K 2 Oのアルカリ金属酸化物を表す)系非鉛ガラス 末を用いた誘電体材料が使用されるように ってきている。

特開平11-60272号公報

特開2001-139345号公報

特開2003-128430号公報

 しかしながら、特許文献2及び3に示すよう ZnO-B 2 O 3 -SiO 2 -Bi 2 O 3 -R 2 O系非鉛ガラス粉末を用いた誘電体材料の場 、Bi 2 O 3 が高価な原料であるため、コストが著しく上 昇すると言う問題が生じる。

 著しいコストの上昇を抑えるために、Bi 2 O 3 の含有量を少なくすると共に、Bi 2 O 3 の含有量の減少による軟化点の上昇を防ぐた めにR 2 Oの含有量を増やすことが考えられる。

 しかしながら、Ag電極が形成されたガラス 板上に、Bi 2 O 3 の含有量を少なくし、R 2 Oを多く含有させたZnO-B 2 O 3 -SiO 2 -Bi 2 O 3 -R 2 O系非鉛ガラス粉末からなる誘電体材料を用 て誘電体層を形成すると、焼成中に誘電体 Ag電極が反応して、電極であるAg 0 がガラス中に溶けてAg + となり再びAg 0 に価数変化してコロイドとなることでAg電極 辺の誘電体層が黄色に着色(黄変)し、画像 見難くなるという問題が生じる。

 特に、近年、プラズマディスプレイパネ は、高精細化が進み、従来のパネルに比べ 電極の間隔が短くなってきており、Ag電極 高密度化しているため、より黄変が起こり すくなってきている。

 本発明の目的は、コストを上昇させるこ なく、600℃以下の温度で焼成することがで 、しかも、焼成時に、Agによる黄変を抑制 きるプラズマディスプレイパネル用誘電体 料、誘電体層の形成方法、その誘電体材料 用いて形成されてなる誘電体層及びその誘 体層を備えてなるプラズマディスプレイパ ル用ガラス板を提供することである。

 本発明者等は種々の実験を行った結果、Ag 極が形成されたガラス基板上に、ZnO-B 2 O 3 -SiO 2 -Bi 2 O 3 -R 2 O系非鉛ガラス粉末からなる誘電体材料を用 て誘電体層を形成しても、ガラス中のR 2 Oの含有量、Bi 2 O 3 の含有量及びR 2 O/Bi 2 O 3 の値を適正化すると共に、CuOを必須成分とし て含有させることで、コストを上昇させるこ となく、600℃以下の温度で焼成することがで き、しかも、焼成時に、Agによる黄変を抑制 きることを見いだし提案するものである。

 即ち、本発明のプラズマディスプレイパネ 用誘電体材料は、ZnO-B 2 O 3 -SiO 2 -Bi 2 O 3 -R 2 O系ガラス粉末からなるプラズマディスプレ パネル用誘電体材料において、該ガラス粉 が、実質的にPbOを含まず、質量百分率で、Zn O+B 2 O 3 +SiO 2  45~85%、Bi 2 O 3  2.5~14.5%未満、R 2 O 1~12%、CuO 0.01~1.5%含有し、質量比でR 2 O/Bi 2 O 3 が0.35~5.0となるガラスからなることを特徴と る。

 また、本発明のプラズマディスプレイパ ル用誘電体層の形成方法は、上記の誘電体 料を電極が形成されたガラス基板上に形成 、500~600℃で焼成することを特徴とする。

 また、本発明のプラズマディスプレイパ ル用誘電体層は、上記の誘電体材料を用い 形成されてなることを特徴とする。

 また、本発明のプラズマディスプレイパネ 用ガラス板は、上記の誘電体層を備えてな ことを特徴とする。
(発明の効果)

 本発明のプラズマディスプレイパネル用 電体材料は、600℃以下の温度で焼成するこ ができ、焼成時に、黄変し難く、透明性に れた誘電体層及びガラス板を得ることがで る。また、コストパフォーマンスにも優れ いる。それ故、プラズマディスプレイパネ 用誘電体材料及びそれを用いて形成されて る誘電体層及びその誘電体層を備えてなる ラズマディスプレイパネル用ガラス板とし 好適である。

 本発明のプラズマディスプレイパネル用誘 体材料は、PbOを含有しなくても、比較的容 にガラスの低融点化を行うことができ、し も、ガラス基板に適合する熱膨張係数を得 すいZnO-B 2 O 3 -SiO 2 -Bi 2 O 3 -R 2 O系非鉛ガラスを基本組成とする。この系の ラスにおいては、特に、コストの上昇を抑 るために、Bi 2 O 3 の含有量を少なくし、R 2 Oを多く含有させた場合、Ag電極が形成された ガラス基板上に誘電体層を形成すると、焼成 時に、誘電体層とAgが反応して、Ag電極周辺 誘電体層が黄変しやすくなる。

 しかし、本発明では、この系のガラスに いて、黄変を抑制する成分であるCuOを必須 分として0.01~1.5質量%含有させている。その め、誘電体層の黄変を抑えることができ、 明性に優れた誘電体層を得ることができる

 尚、CuOの含有量が0.01%より少なくなると 誘電体層の黄変を抑制する効果が得難くな 。一方、1.5%より多くなると、ガラスが不安 となりやすく、ガラスを溶融する際にガラ が失透したり、誘電体材料を焼成する際に ラス中に結晶が析出しやすくなる傾向にあ 、透明性に優れた誘電体層が得難くなる。C uOの好ましい範囲は0.02~1.2%である。

 また、本発明の誘電体材料において、コス の上昇を抑えながら、600℃以下の温度で焼 することができ、しかも、ガラス基板に適 する熱膨張係数を有する誘電体層を得るに 、誘電体材料を構成するガラス中のBi 2 O 3 を2.5~14.5質量%未満、R 2 Oを1~12質量%含有させ、R 2 O/Bi 2 O 3 の値を0.35~5.0(質量比)に制限する必要がある

 Bi 2 O 3 の含有量が2.5%より少なくなると、ガラスの 化点が上昇する傾向にあり、600℃以下の温 で焼成し難くなる。また、ガラスの軟化点 上昇を抑えるために、Ag電極との反応を起こ しやすくする成分であるR 2 Oを多く含有させなければならなくなり、CuO 含有させることによる黄変を抑制する効果 得難くなる。一方、Bi 2 O 3 の含有量が14.5%以上になると、コストが上昇 る。また、熱膨張係数がガラス基板より大 くなる傾向にあり、誘電体層をガラス基板 に形成した際にガラス基板に許容量以上の が残留しやすくなり、パネルの強度が低下 易くなる。Bi 2 O 3 の好ましい範囲は3~10%未満である。

 R 2 Oの含有量が1%より少なくなると、ガラスの軟 化点が上昇する傾向にあり、600℃以下の温度 で焼成し難くなる。また、ガラスの軟化点の 上昇を抑えるために、高価な原料であるBi 2 O 3 を多く含有させなければならなくなり、コス トが著しく上昇する。一方、12%より多くなる と、CuOを含有させることによる黄変を抑制す る効果が得難くなる。また、熱膨張係数がガ ラス基板より大きくなる傾向にあり、誘電体 層をガラス基板上に形成した際にガラス基板 に許容量以上の歪が残留しやすくなり、パネ ルの強度が低下し易くなる。R 2 Oの好ましい範囲は1~11%である。尚、R 2 Oの各成分の好ましい範囲は、質量百分率で Li 2 O 0~2%、Na 2 O 0~6%、K 2 O 0~12%である。

 R 2 O/Bi 2 O 3 の値が、質量比で、0.35より小さくなると、 ストが著しく上昇する。一方、5.0より大き なると、Ag電極との反応が起こりやすくなり 、CuOを含有させることによる黄変を抑制する 効果が得難くなる。また、ガラスの軟化点が 上昇する傾向にあり、600℃以下の温度で焼成 し難くなる。R 2 O/Bi 2 O 3 の好ましい範囲は0.75~4.7である。

 また、本発明において、ZnO-B 2 O 3 -SiO 2 -Bi 2 O 3 -R 2 O系ガラスを用いるにあたり、十分なガラス 範囲を有し、ガラス溶融時におけるガラス 失透や誘電体材料の焼成時におけるガラス への結晶の析出を抑えて透明性に優れた誘 体層を得るには、ZnO、B 2 O 3 及びSiO 2 を合量で45~85質量%にすることが重要である。 ZnO、B 2 O 3 及びSiO 2 の合量が少なくなると、ガラス化し難くなる 。一方、ZnO、B 2 O 3 及びSiO 2 の合量が多くなると、ガラスを溶融する際に ガラスが失透したり、誘電体材料を焼成する 際にガラス中に結晶が析出しやすくなる傾向 にあり、透明性に優れた誘電体層が得難くな る。ZnO、B 2 O 3 及びSiO 2 の合量の好ましい範囲は55~83%である。尚、各 成分の好ましい範囲は、質量百分率で、ZnO 2 6~55%、B 2 O 3  10~40%、SiO 2  3~20%である。

 また、本発明に使用するZnO-B 2 O 3 -SiO 2 -Bi 2 O 3 -R 2 O系ガラス粉末は、黄変を起こし難く、透明 に優れ、600℃以下の焼成で良好な流動性を し、ガラス基板に適合する熱膨張係数を有 るガラスであれば制限はないが、特に、実 的にPbOを含まず、質量百分率で、ZnO 26~55%、 B 2 O 3  10~40%、SiO 2  3~20%、ZnO+B 2 O 3 +SiO 2  45~85%、Bi 2 O 3  2.5~14.5%未満、Li 2 O 0~2%、Na 2 O 0~6%、K 2 O 0~12%、R 2 O 1~12%、MgO 0~15%、CaO 0~15%、SrO 0~15%、BaO 0~15% 、RO(ROはMgO、CaO、SrO、BaOのアルカリ土類金属 化物を表す) 0~18%、CuO 0.01~1.5%含有し、質量 比でR 2 O/Bi 2 O 3 が0.35~5.0となるガラスを使用することが望ま い。

 本発明においてガラスの組成を上記のよ に限定した理由は、次のとおりである。

 ZnOはガラスを構成する主成分であると共 、ガラスの軟化点を下げる成分であり、そ 含有量は26~55%である。ZnOの含有量が少なく ると、ガラスの軟化点が上昇して、600℃以 の温度で焼成し難くなる。また、ガラスの 膨張係数がガラス基板より大きくなる傾向 あり、誘電体層をガラス基板上に形成した にガラス基板に許容量以上の歪が残留しや くなり、パネルの強度が低下し易くなる。 方、含有量が多くなると、ガラスが不安定 なりやすく、ガラスを溶融する際にガラス 失透したり、誘電体材料を焼成する際にガ ス中に結晶が析出しやすくなる傾向にあり 透明性に優れた誘電体層が得難くなる。ZnO より好ましい範囲は28~50%である。

 B 2 O 3 はガラスの骨格を形成すると共に、ガラス化 範囲を広げ、ガラスを安定化させる成分であ り、その含有量は10~40%である。B 2 O 3 の含有量が少なくなると、ガラスが不安定と なりやすく、ガラスを溶融する際にガラスが 失透したり、誘電体材料を焼成する際にガラ ス中に結晶が析出しやすくなる傾向にあり、 透明性に優れた誘電体層が得難くなる。一方 、含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高 くなる傾向にあり、600℃以下の温度で焼成し 難くなる。また、ガラスの熱膨張係数がガラ ス基板より大きくなる傾向にあり、誘電体層 をガラス基板上に形成した際にガラス基板に 許容量以上の歪が残留しやすくなり、パネル の強度が低下し易くなる。B 2 O 3 のより好ましい範囲は13~38%である。

 SiO 2 はガラスの骨格を形成する成分であり、その 含有量は3~20%である。SiO 2 の含有量が少なくなると、ガラス化し難くな る。一方、含有量が多くなるとガラスの軟化 点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で 焼成し難くなる。SiO 2 のより好ましい範囲は5~19%である。

 尚、十分なガラス化範囲を有し、ガラス溶 時におけるガラスの失透や誘電体材料の焼 時におけるガラス中への結晶の析出を抑え 透明性に優れた誘電体層を得るには、SiO 2 、B 2 O 3 及びZnOを合量で45~85%にする必要がある。SiO 2 、B 2 O 3 及びZnOの合量が少なくなると、ガラス化し難 くなる。一方、SiO 2 、B 2 O 3 及びZnOの合量が多くなると、ガラスが不安定 となりやすく、ガラスを溶融する際にガラス が失透したり、誘電体材料を焼成する際にガ ラス中に結晶が析出しやすくなる傾向にあり 、透明性に優れた誘電体層が得難くなる。SiO 2 、B 2 O 3 及びZnOの合量の好ましい範囲は55~80%である。

 Bi 2 O 3 は熱膨張係数を調整する成分である。また、 ガラスの軟化点を低下させる成分であるため 、Agによる誘電体層の黄変を生じやすくする 分であるR 2 Oの含有量を減らすことができる効果も有す 成分である。その含有量は2.5~14.5%未満であ 。Bi 2 O 3 の含有量が少なくなると、ガラスの軟化点を 低下させるためにR 2 Oを多く含有させなければならなくなり、CuO 含有させることによる黄変を抑制する効果 得難くなる。一方、Bi 2 O 3 の含有量が多くなると、ガラスの熱膨張係数 がガラス基板より大きくなる傾向にあり、誘 電体層をガラス基板上に形成した際にガラス 基板に許容量以上の歪が残留しやすくなり、 パネルの強度が低下し易くなる。また、Bi 2 O 3 は高価な原料であるため、コストの上昇を招 く。Bi 2 O 3 の好ましい範囲は3~10%未満である。

 Li 2 Oはガラスの軟化点を著しく低下させたり、 膨張係数を調整する成分であり、その含有 は0~2%である。Li 2 Oの含有量が多くなると、CuOを含有させるこ による誘電体層の黄変を抑制する効果が著 く低下しやすくなる。また、熱膨張係数が ラス基板より大きくなる傾向にあり、誘電 層をガラス基板上に形成した際にガラス基 に許容量以上の歪が残留しやすくなり、パ ルの強度が低下し易くなる。Li 2 Oのより好ましい範囲は0~0.5%であり、さらに ましくは実質的に含有しないことである。

 Na 2 Oはガラスの軟化点を低下させたり、熱膨張 数を調整する成分であり、その含有量は0~6% ある。Na 2 Oの含有量が多くなると、CuOを含有させるこ による誘電体層の黄変を抑制する効果が得 くなる。また、熱膨張係数がガラス基板よ 大きくなる傾向にあり、誘電体層をガラス 板上に形成した際にガラス基板に許容量以 の歪が残留しやすくなり、パネルの強度が 下し易くなる。Na 2 Oのより好ましい範囲は0~5%である。

 K 2 Oはガラスの軟化点を低下させたり、熱膨張 数を調整する成分であり、その含有量は0~12% である。K 2 Oの含有量が多くなると、CuOを含有させるこ による誘電体層の黄変を抑制する効果が得 れない場合がある。また、熱膨張係数がガ ス基板より大きくなる傾向にあり、誘電体 をガラス基板上に形成した際にガラス基板 許容量以上の歪が残留しやすくなり、パネ の強度が低下し易くなる。K 2 Oのより好ましい範囲は0~11%である。

 尚、600℃以下の温度で焼成でき、Ag電極と 反応による誘電体層の黄変を抑え、ガラス 板に適合する熱膨張係数を有するようにす には、Li 2 O、Na 2 O及びK 2 Oの合量を示すR 2 Oとしては1~12%にする必要がある。R 2 Oの含有量が少なくなると、ガラスの軟化点 上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くな 。また、ガラスの軟化点の上昇を抑えるた に、高価な原料であるBi 2 O 3 を多く含有させなければならなくなり、コス トが著しく上昇する。一方、R 2 Oの含有量が多くなると、CuOを含有させるこ による黄変を抑制する効果が得難くなる。 た、熱膨張係数がガラス基板より大きくな 傾向にあり、誘電体層をガラス基板上に形 した際にガラス基板に許容量以上の歪が残 しやすくなり、パネルの強度が低下し易く る。R 2 Oの好ましい範囲は1~11%である。

 また、コストの上昇を抑えながら、ガラス 軟化点を低下させると共にAg電極との反応 よる誘電体層の黄変を抑制するには、R 2 O/Bi 2 O 3 の値を質量比で0.35~5.0の範囲にする必要があ 。R 2 O/Bi 2 O 3 の値が小さくなると、コストが著しく上昇す る。一方、R 2 O/Bi 2 O 3 の値が大きくなると、Ag電極との反応が起こ やすくなり、CuOを含有させることによる黄 を抑制する効果が得難くなる。また、ガラ の軟化点が上昇する傾向にあり、600℃以下 温度で焼成し難くなる。R 2 O/Bi 2 O 3 の好ましい範囲は0.75~4.7である。

 MgOはガラスの軟化点を低下させると共に 熱膨張係数を調整する成分であり、その含 量は0~15%である。MgOの含有量が多くなると ガラスが不安定となりやすく、ガラスを溶 する際にガラスが失透したり、誘電体材料 焼成する際にガラス中に結晶が析出しやす なる傾向にあり、透明性に優れた誘電体層 得難くなる。また、熱膨張係数がガラス基 より大きくなる傾向にあり、誘電体層をガ ス基板上に形成した際にガラス基板に許容 以上の歪が残留しやすくなり、パネルの強 が低下し易くなる。MgOのより好ましい範囲 0~10%である。

 CaOはガラスの軟化点を低下させると共に 熱膨張係数を調整する成分であり、その含 量は0~15%である。また、アルカリ土類金属 化物の中で最もAg電極との反応による誘電体 層の黄変が生じ難い成分でもある。CaOの含有 量が多くなると、ガラスが不安定となりやす く、ガラスを溶融する際にガラスが失透した り、誘電体材料を焼成する際にガラス中に結 晶が析出しやすくなる傾向にあり、透明性に 優れた誘電体層が得難くなる。また、熱膨張 係数がガラス基板より大きくなる傾向にあり 、誘電体層をガラス基板上に形成した際にガ ラス基板に許容量以上の歪が残留しやすくな り、パネルの強度が低下し易くなる。CaOのよ り好ましい範囲は0~13%である。

 SrOはガラスの軟化点を低下させると共に 熱膨張係数を調整する成分であり、その含 量は0~15%である。SrOの含有量が多くなると ガラスが不安定となりやすく、ガラスを溶 する際にガラスが失透したり、誘電体材料 焼成する際にガラス中に結晶が析出しやす なる傾向にあり、透明性に優れた誘電体層 得難くなる。また、熱膨張係数がガラス基 より大きくなる傾向にあり、誘電体層をガ ス基板上に形成した際にガラス基板に許容 以上の歪が残留しやすくなり、パネルの強 が低下し易くなる。SrOのより好ましい範囲 0~10%である。

 BaOはガラスの透過率を高める成分である また、ガラスの軟化点を低下させると共に 熱膨張係数を調整する成分でもある。その 有量は0~15%である。BaOの含有量が多くなる 、ガラスが不安定となりやすく、ガラスを 融する際にガラスが失透したり、誘電体材 を焼成する際にガラス中に結晶が析出しや くなる傾向にあり、透明性に優れた誘電体 が得難くなる。また、熱膨張係数がガラス 板より大きくなる傾向にあり、誘電体層を ラス基板上に形成した際にガラス基板に許 量以上の歪が残留しやすくなり、パネルの 度が低下し易くなる。BaOのより好ましい範 は0~13%である。尚、誘電体層の透過率を高め たい場合は、BaOを0.1%以上含有させることが ましい。

 尚、MgO、CaO、SrO及びBaOの合量を示すROと ては0~18%であることが好ましい。ROの含有量 多くなると、ガラスが不安定となりやすく ガラスを溶融する際にガラスが失透したり 誘電体材料を焼成する際にガラス中に結晶 析出しやすくなる傾向にあり、透明性に優 た誘電体層が得難くなる。また、熱膨張係 がガラス基板より大きくなる傾向にあり、 電体層をガラス基板上に形成した際にガラ 基板に許容量以上の歪が残留しやすくなり パネルの強度が低下し易くなる。ROのより ましい範囲は0~16%である。

 CuOは焼成時に誘電体層とAg電極との反応 起こし難くして、誘電体層の黄変を抑制す 成分であり、その含有量は0.01~1.5%である。Cu Oの含有量が少なくなると、Ag電極との反応を 抑え難くなり、誘電体層の黄変を抑制する効 果が得難くなる。一方、含有量が多くなると 、ガラスが不安定となりやすく、ガラスを溶 融する際にガラスが失透したり、誘電体材料 を焼成する際にガラス中に結晶が析出しやす くなる傾向にあり、透明性に優れた誘電体層 が得難くなる。CuOの好ましい範囲は0.02~1.2%で ある。

 また、本発明の誘電体材料は、上記成分以 にも、より黄変を抑制するためにMoO 3 を0~3%(望ましくは0~2.5%)、また、CoOを0~0.2%(望 しくは0.03~0.15%)添加してもよい。但し、これ らの成分の含有量が多くなると、これら成分 による誘電体層の着色が強くなり、透明性に 優れた誘電体層が得難くなる。

 さらに上記成分以外にも、要求される特性 損なわない範囲で種々の成分を添加するこ ができる。例えば、ガラスの軟化点を低下 せるために、Cs 2 O、Rb 2 O等を合量で5%まで、ガラスを安定化させたり 、耐水性や耐酸性を向上させるために、Y 2 O 3 、La 2 O 3 、Ta 2 O 5 、SnO 2 、Al 2 O 3 、TiO 2 、ZrO 2 、Nb 2 O 5 、P 2 O 5 等を合量で10%まで添加することができる。尚 、Al 2 O 3 、TiO 2 及びZrO 2 は、ガラスの軟化点を上昇させたり、ガラス を溶融する際にガラスを失透させたり、誘電 体材料を焼成する際にガラス中に結晶を析出 させ、透明な焼成膜を得難くする成分でもあ るため、これら成分の含有量は合量で3.5%以 とすることが望ましい。

 但し、PbOは、ガラスの融点を低下させる 分であるが、環境負荷物質でもあるため、 質的に含有しないことが好ましい。

 尚、本発明で言う「実質的に含有しない とは、積極的に原料として用いず不純物と て混入するレベルをいい、具体的には、含 量が0.1%以下であることを意味する。

 本発明のプラズマディスプレイパネル用誘 体材料におけるガラス粉末の粒度は、平均 径D 50 が3.0μm以下、最大粒径D max が20μm以下のものを使用することが望ましい いずれか一方でもその上限を超えると、焼 膜中に泡が残存しやすくなり、透明性に優 、安定した耐電圧を有する誘電体層が得難 なるためである。

 本発明のプラズマディスプレイパネル用 電体材料は、熱膨張係数や焼成後の強度及 外観の調節の為に、上記ガラス粉末に加え セラミック粉末を含有してもよい。セラミ ク粉末が多くなると、十分に焼結が行えず 緻密な膜を形成することが難しくなる。尚 セラミック粉末としては、例えばアルミナ ジルコニア、ジルコン、チタニア、コージ ライト、ムライト、シリカ、ウイレマイト 酸化錫、酸化亜鉛等を1種又は2種以上組み わせて使用することができる。

 上述のように、本発明のプラズマディス レイパネル用誘電体材料は、600℃以下の温 で焼成することができ、焼成時に、誘電体 が黄変し難く、透明性に優れた焼成膜が得 れるため、特に、Ag電極が形成された前面 ラス基板用の透明誘電体層の形成に用いら る誘電体材料として有用である。また、2層 上の誘電体構造を有する誘電体における電 と接する下層誘電体層としても使用するこ が可能である。もちろん、Ag以外の電極上 形成する誘電体材料や、下層誘電体層の上 形成され直接電極と接することない上層誘 体層の材料や、それ以外の用途、例えば、 面ガラス基板用のアドレス電極保護誘電体 料や隔壁形成材料として使用することもで る。

 前面ガラス基板用の透明誘電体材料とし 使用する場合は、上記セラミック粉末の含 量を0~10質量%にすることで使用できる。セ ミック粉末の含有量をこのようにすること 、セラミック粉末の添加による可視光の散 を抑えて透明度の高い焼成膜を得ることが きる。また、背面ガラス基板用のアドレス 極保護誘電体材料や隔壁材料として使用す 場合は、上記セラミック粉末を5~40質量%の範 囲で含有させることで使用できる。セラミッ ク粉末の含有量をこのようにすることで、高 い強度、或いは優れた耐酸性を有する焼成膜 を得ることができる。

 次に、本発明のプラズマディスプレイパ ル用誘電体材料の使用方法を説明する。本 明の材料は、例えばペーストやグリーンシ トなどの形態で使用することができる。

 ペーストの形態で使用する場合、上述し 誘電体材料と共に、熱可塑性樹脂、可塑剤 溶剤等を使用する。尚、ペースト全体に占 る誘電体材料の割合としては、30~90質量%程 が一般的である。

 熱可塑性樹脂は、乾燥後の膜強度を高め また柔軟性を付与する成分であり、その含 量は、0.1~20質量%程度が一般的である。熱可 塑性樹脂としてはポリブチルメタアクリレー ト、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタ アクリレート、ポリエチルメタアクリレート 、エチルセルロース等が使用可能であり、こ れらを単独あるいは混合して使用する。

 可塑剤は、乾燥速度をコントロールする 共に、乾燥膜に柔軟性を与える成分であり その含有量は0~10質量%程度が一般的である 可塑剤としてはブチルベンジルフタレート ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフ レート、ジカプリルフタレート、ジブチル タレート等が使用可能であり、これらを単 あるいは混合して使用する。

 溶剤は材料をペースト化するための材料 あり、その含有量は10~30質量%程度が一般的 ある。溶剤としては、例えばターピネオー 、ジエチレングリコールモノブチルエーテ アセテート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタジ ールモノイソブチレート等を単独または混 して使用することができる。

 ペーストの作製は、上記の誘電体材料、 可塑性樹脂、可塑剤、溶剤等を用意し、こ を所定の割合で混練することにより行うこ ができる。

 このようなペーストを用いて、透明誘電 層又はアドレス保護誘電体層を形成するに 、まず、走査電極が形成された前面ガラス 板やアドレス電極が形成された背面ガラス 板上に、これらのペーストをスクリーン印 法や一括コート法等を用いて塗布し、所定 膜厚の塗布層を形成した後、乾燥させる。 の後、500~600℃の温度で5~20分間保持し焼成 ることで所定の誘電体層を得ることができ 。尚、焼成温度が低すぎたり、保持時間が くなると、十分に焼結が行えず、緻密な膜 形成することが難しくなる。一方、焼成温 が高すぎたり、保持時間が長くなると、ガ ス基板が変形したり、Agによる誘電体層の黄 変が生じやすくなる。

 尚、2層以上の誘電体構造を有する誘電体 層を形成する場合、予め電極が形成されたガ ラス板上に、下層誘電体形成用ペーストをス クリーン印刷法や一括コート法等によって、 膜厚およそ20~80μmに塗布し、乾燥させた後、 記と同様に焼成する。続いて、その上に上 誘電体形成用ペーストをスクリーン印刷や 括コート法等によって膜厚およそ60~160μmに 布し、乾燥させる。その後、上記と同様に 成することで得ることができる。

 本発明の材料をグリーンシートの形態で 用する場合、上述した誘電体材料と共に、 可塑性樹脂、可塑剤等を使用する。尚、グ ーンシート中に占める誘電体材料の割合は 60~80質量%程度が一般的である。

 熱可塑性樹脂及び可塑剤としては、上記 ーストの調製の際に用いられるのと同様の 可塑性樹脂及び可塑剤を用いることができ 熱可塑性樹脂の混合割合としては、5~30質量 %程度が一般的であり、可塑剤の混合割合と ては、0~10質量%程度が一般的である。

 グリーンシートを作製する一般的な方法 しては、上記の誘電体材料、熱可塑性樹脂 可塑剤等を用意し、これらにトルエン等の 溶媒や、イソプロピルアルコール等の補助 媒を添加してスラリーとし、このスラリー ドクターブレード法によって、ポリエチレ テレフタレート(PET)等のフィルムの上にシ ト成形する。シート成形後、乾燥させるこ によって溶媒や溶剤を除去し、グリーンシ トとすることができる。

 以上のようにして得られたグリーンシー を用いて前面又は背面誘電体層を形成する は、走査電極が形成された前面ガラス基板 アドレス電極が形成された背面ガラス基板 に、グリーンシートを配置し、熱圧着して 布層を形成した後に、上述のペーストの場 と同様に焼成することで誘電体層を得るこ ができる。

 尚、2層以上の誘電体構造を有する誘電体 層を形成する場合、予め電極が形成されたガ ラス板上に、下層誘電体形成用グリーンシー トを熱圧着して下層誘電体膜を形成した後、 上述のペーストの場合と同様に焼成する。続 いてその上に上層誘電体形成用グリーンシー トを熱圧着して上層誘電体膜を形成し、その 後、上記と同様に焼成することで得ることが できる。

 2層以上の誘電体構造を有する誘電体層を 形成するにあたっては、上層誘電体形成材料 としてペーストやグリーンシートのどちらを 用いて形成した場合でも、下層誘電体層の焼 成温度±20℃の温度範囲で上層誘電体材料を 成すればよい。この条件で焼成すれば、Agに よる誘電体層の黄変を抑制でき、しかも、下 層誘電体層の形状を維持しながら、下層と上 層との界面での発泡を抑制することができる 。また、上層誘電体材料及び下層誘電体材料 の焼成温度が同じである場合は、上記形成方 法以外にも、下層誘電体膜を乾燥させた後、 上層誘電体膜を形成し乾燥後、所定の温度で 両層を同時焼成する方法を採用することもで きる。

 また、下層誘電体層は、ペーストを用い 形成し、上層誘電体層は、グリーンシート 用いて形成するハイブリッド形成法を用い ことも可能である。

 上記のように、電極が形成されたガラス 板上に本発明の誘電体材料を塗布または配 し、焼成することで、Agによる黄変が少な 、透明性に優れた本発明のプラズマディス レイパネル用誘電体層を備えたプラズマデ スプレイパネル用ガラス板を得ることがで る。

 上記の説明においては、誘電体形成方法 して、ペーストまたはグリーンシートを用 た方法を例にして説明しているが、本発明 プラズマディスプレイパネル用誘電体材料 、これらの方法に限定されるものではなく 感光性ペースト法、感光性グリーンシート などその他の形成方法にも適用され得る材 である。

 以下、本発明のプラズマディスプレイパ ル用誘電体材料を実施例に基づいて詳細に 明する。

 表1は本発明の実施例(試料No.1~6)を、表2は比 較例(試料No.7~9)をそれぞれ示している。尚、 料No.7は、従来から提案されているZnO-B 2 O 3 -SiO 2 -Bi 2 O 3 -R 2 O系からなる材料を示すものである。

 表の各試料は、次のようにして調製した

 まず、質量%で表に示すガラス組成となるよ うに原料を調合し、均一に混合した。次いで 、白金ルツボに入れて1300℃で2時間溶融した 、溶融ガラスを薄板状に成形し、一部を失 の有無の評価試料とし、残りを流体エネル ーミルにて粉砕し、気流分級して平均粒径D 50 が3.0μm以下、最大粒径D max が20μm以下のガラス粉末からなる試料を得た このようにして得られたガラス粉末につい 軟化点、熱膨張係数、ガラスの安定性、黄 の度合い及び透明性を評価した。

 表から明らかなように、実施例である試料N o.1~6は、溶融工程で原料がガラス化し、ガラ 中に失透が全く認められなかった。また、 ラスの軟化点は574~585℃であり、600℃以下の 温度で焼成できるものであり、熱膨張係数は 70.2~78.4×10 -7 /℃であり、ガラス基板の熱膨張係数と整合 るものであった。また、ガラス粉末を焼成 て得られるガラス焼成膜(誘電体層)中にも結 晶の析出は認められず、安定性にも優れてい た。さらに、黄変の度合いを示すb * 値が+13.1以下で、従来品を示す試料No.7よりも 小さく、実用上問題ないものであった。また 、波長550nmにおける透過率も60%以上であり、 明性にも優れていた。

 これに対し、比較例である試料No.8は、ガラ ス焼成膜中に結晶が析出し、透過率も56%と低 く、透明性に優れた誘電体層を得ることがで きなかった。また、試料No.9は、熱膨張係数 82.6×10 -7 /℃と高く、しかも、黄変の度合いについて b * 値が+27.2であり、従来品を示す試料No.7とほぼ 同等で、実用上問題が生じるものであった。

 尚、失透の有無の評価については、原料 溶融し、薄板状に成形したガラス試料を光 顕微鏡で観察し、溶融工程で原料がガラス し、ガラス中に失透が全く認められなかっ ものを「○」、溶融工程で原料がガラス化 るが一部失透したもの、または、溶融工程 原料がガラス化しなかったものを「×」と た。

 ガラスの軟化点については、マクロ型示 熱分析計を用いて測定し、第四の変曲点の を軟化点とした。

 ガラスの熱膨張係数については、各ガラス 末試料を粉末プレス成型し、焼成した後、 径4mm、長さ20mmの円柱状に研磨加工し、JIS R 3102に基づいて測定し、30~300℃の温度範囲に ける値を求めた。尚、プラズマディスプレ パネルに用いられているガラス基板の熱膨 係数は83×10×10 -7 /℃程度であり、誘電体材料の熱膨張係数が60 ~80×10×10 -7 /℃であれば、ガラス基板の熱膨張係数と整 するものとなる。

 ガラスの安定性については、次のように て評価した。まず、各試料を、エチルセル ースを5%含有するターピネオール溶液に混 し、3本ロールミルにて混練してペースト化 た。次いで、このペーストを、約30μmのガ ス焼成膜が得られるようにソーダライムガ ス基板上にスクリーン印刷法で塗布し、乾 後、電気炉で軟化点の温度で10分間保持し焼 成してガラス焼成膜を形成した試料を作製し た。続いて、ガラス焼成膜の部分を光学顕微 鏡で観察し、焼成膜中に結晶の析出が全く認 められなかったものを「○」、結晶が析出し たものを「×」とした。

 黄変の度合いについては、まず、ガラスの 定性の評価と同様にして、ペーストを作製 、このペーストを、約30μmの焼成膜が得ら るようにAg電極が形成されたソーダライムガ ラス基板上にスクリーン印刷法で塗布し、乾 燥後、電気炉で軟化点の温度で10分間保持し 成し試料を作製した。この試料の色調を色 色差計を用いて測定しb * 値で評価した。尚、b * 値が大きくなるほど、黄色に変色しているこ とを示している。

 透明性については、ガラスの安定性の評 で作製した試料及びソーダライムガラスの 長550nmにおける直線透過率を分光光度計に 測定し、ソーダライムガラスの直線透過率 キャンセルすることで評価した。尚、透過 の値が大きくなるほど、透明性に優れてい ことを示している。