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Patent Searching and Data


Title:
ELECTRIC MOTOR, AND ELECTRIC DEVICE HAVING THE MOTOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/001546
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is an electric motor comprising a stator (10) including a stator iron core (11) having a stator winding (12), a rotor (14) including a rotary member (30) and a shaft (16), a bearing (15) for supporting the shaft (16), and a bracket (17) for fixing the bearing (15). Further comprised is an impedance adjusting member for adjusting at least one impedance of the impedance between the stator winding (12) and the inner ring of the bearing (15) and the impedance between the stator winding (12) and the outer ring of the bearing (15). The impedance adjusting member is a matching member for matching the individual impedances. The matching member is a capacitor (40) interposed between the stator iron core (11) and the bracket (17).

Inventors:
MIZUKAMI HIROFUMI
WATANABE AKIHIKO
Application Number:
PCT/JP2008/001626
Publication Date:
December 31, 2008
Filing Date:
June 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
MIZUKAMI HIROFUMI
WATANABE AKIHIKO
International Classes:
H02K5/16; H02K1/18; H02K5/08; H02K5/173; H02K29/00
Domestic Patent References:
WO2006090489A12006-08-31
Foreign References:
JP2007159302A2007-06-21
JP2000152564A2000-05-30
JP2007159302A2007-06-21
JP2000152564A2000-05-30
Other References:
See also references of EP 2161816A4
Attorney, Agent or Firm:
IWAHASHI, Fumio et al. (1006 Oaza Kadoma, Kadoma-sh, Osaka 01, JP)
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Claims:
巻線を巻装した固定子鉄心を含む固定子と、
前記固定子に対向して周方向に複数の永久磁石を保持した回転体と、前記回転体の中央を貫通するように前記回転体を締結したシャフトとを含む回転子と、
前記シャフトを支持する軸受と、
前記軸受を固定するブラケットとを備え、
前記巻線と前記軸受の内輪との間のインピーダンス、および前記巻線と前記軸受の外輪との間のインピーダンスの少なくともいずれかのインピーダンスを調整するインピーダンス調整部材を含むことを特徴とする電動機。
前記インピーダンス調整部材は、前記固定子鉄心と前記軸受の内輪との間のインピーダンスと、前記固定子鉄心と前記軸受の外輪との間のインピーダンスとを整合させる整合部材であることを特徴とする請求項1に記載の電動機。
前記整合部材は、前記固定子鉄心と前記ブラケットとの間に設けたインピーダンス成分を有する部材であることを特徴とする請求項2に記載の電動機。
前記固定子鉄心と前記ブラケットとの間が、前記インピーダンス成分を有する部材によって電気的に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の電動機。
前記インピーダンス成分を有する部材は、誘電素子と抵抗素子との少なくともいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の電動機。
前記固定子鉄心と前記軸受の内輪との間のインピーダンスを基準としたとき、前記固定子鉄心と前記軸受の外輪との間のインピーダンスは、前記基準に対して+10%から-75%までの範囲内としたことを特徴とする請求項2に記載の電動機。
前記固定子鉄心を巻装する前記巻線を絶縁樹脂にてモールド一体成形したハウジング部を設け、
前記軸受は一対の軸受で構成され、
一方の前記軸受を前記ハウジング部の内部に設け、他方の前記軸受を前記ブラケットに固定したことを特徴とする請求項2に記載の電動機。
前記整合部材は、前記固定子鉄心と前記ブラケットとの間に設けたインピーダンス成分を有する素子であることを特徴とする請求項7に記載の電動機。
前記固定子鉄心と前記ブラケットとの間が、前記インピーダンス成分を有する部材によって電気的に接続されていることを特徴とする請求項8に記載の電動機。
前記インピーダンス成分を有した素子は、誘電素子と抵抗素子との少なくともいずれかであることを特徴とする請求項8に記載の電動機。
前記固定子鉄心と前記軸受の内輪との間のインピーダンスを基準としたとき、前記固定子鉄心と前記軸受の外輪との間のインピーダンスは、前記基準に対して+10%から-75%の範囲内としたことを特徴とする請求項7に記載の電動機。
前記固定子は、樹脂にて絶縁された前記固定子鉄心に前記巻線を巻装し、
前記樹脂を前記インピーダンス調整部材として、前記樹脂の誘電率を3.0以下としたことを特徴とする請求項1に記載の電動機。
前記固定子鉄心を巻装する前記巻線を絶縁樹脂にてモールド一体成形したハウジング部を設け、
前記軸受は一対の軸受で構成され、
一方の前記軸受を前記ハウジング部の内部に設け、他方の前記軸受を前記ブラケットに固定したことを特徴とする請求項12に記載の電動機。
前記固定子は、樹脂にて絶縁された前記固定子鉄心に前記巻線を巻装し、
前記固定子鉄心を巻装する前記巻線を絶縁樹脂にてモールド一体成形したハウジング部を設け、
前記軸受は一対の軸受で構成され、
一方の前記軸受を前記ハウジング部の内部に設け、他方の前記軸受を前記ブラケットに固定し、
前記絶縁樹脂を前記インピーダンス調整部材として、前記絶縁樹脂の誘電率を3.0以下としたことを特徴とする請求項1に記載の電動機。
前記整合部材は、前記回転体の外周と前記シャフトとの間に設けたインピーダンス成分を有する部材であることを特徴とする請求項2に記載の電動機。
前記インピーダンス成分を有する部材は、前記回転体の外周と前記シャフトとを絶縁分離することを特徴とする請求項15に記載の電動機。
前記インピーダンス成分を有する部材は、前記回転体の外周と前記シャフトとを絶縁分離する絶縁樹脂であることを特徴とする請求項16に記載の電動機。
前記固定子鉄心に巻装した前記巻線を駆動するパルス幅変調方式のインバータを備えたことを特徴とする請求項1から請求項17までのいずれか一項に記載の電動機。
請求項1から請求項17までのいずれか一項に記載の電動機を搭載したことを特徴とする電気機器。
Description:
電動機およびそれを備えた電気 器

 本発明は、電動機およびそれを備えた電 機器に関し、特に軸受の電食の発生を防止 るように改良された電動機およびそれを備 た電気機器に関する。

 近年、電動機はパルス幅変調(Pulse Width M odulation)方式(以下、PWM方式という)のインバー タにより駆動する方式を採用するケースが多 くなってきている。こうしたPWM方式のインバ ータ駆動の場合、巻線の中性点電位が零とな らずコモンモード電圧が発生する。そして、 このコモンモード電圧によって、軸受の外輪 と内輪との間に電位差(以下、軸電圧という) 発生する。軸電圧は、スイッチングによる 周波成分を含んでおり、軸電圧が軸受内部 油膜の絶縁破壊電圧に達すると、軸受の内 に高周波電流が流れ、軸受内部に電食が発 する。電食が進行した場合、軸受内輪また 外輪の内部に波状摩耗現象が発生して異常 に至ることがあり、電動機における不具合 主要因の1つとなっている(例えば、特許文 1参照)。

 特に電食が発生しやすい条件として、モ タ印加電圧が高い地域(例えば商用電源240V 域など)で、比較的低温時、かつモータとし 回転数変動が少ない状態で長時間運転した 合に起こりやすいことが知られている。

 ところで、従来、電食を防止するためには 以下のような対策が考えられている。
(1)軸受内輪と外輪を導通状態にする。
(2)軸受内輪と外輪を絶縁状態にする。
(3)軸電圧を低減する。

 上記(1)の具体的方法としては、軸受の潤 剤を導電性にすることが挙げられる。但し 導電性潤滑剤は、時間経過とともに導電性 悪化することや摺動信頼性に欠けるなどの 題がある。また、回転軸にブラシを設置し 導通状態にする方法も考えられるが、この 法もブラシ摩耗粉やスペースが必要となる どの課題がある。

 上記(2)の具体的方法としては、軸受内部 鉄ボールをセラミックボールに変更するこ が挙げられる。この方法は、電食の防止に 非常に効果はあるが、コストが高い課題が り、汎用的な電動機には採用できない。

 上記(3)の具体的方法としては、軸電圧部 と並列に軸電圧低減用の分圧回路を設ける 法が挙げられる。より具体的には電動機の ャフトに金属製の円盤(導電体)を設け、こ 円盤をブラケットに近接させて静電容量を 成する。このような構成により、軸電圧を 減する方法が公知である(例えば、特許文献2 参照)。

 しかしながら、特許文献2に記載されたよう な構成では、シャフトに円盤を設ける必要が あるため、部品点数や製造工数が増加すると いう課題があった。さらに、静電容量を増加 させるには、例えば円盤の面積を大きくする 必要があり、大掛かりな構成となり、電動機 の小型化には不向きであるという課題もあっ た。したがって、小型化を求められる電動機 への適用や量産性を考慮した場合、特許文献 2のような手法を採用することは非常に困難 あった。

特開2007-159302号公報

特開2000-152564号公報

 本発明の電動機は、巻線を巻装した固定 鉄心を含む固定子と、固定子に対向して周 向に複数の永久磁石を保持した回転体と回 体の中央を貫通するように回転体を締結し シャフトとを含む回転子と、シャフトを支 する軸受と、軸受を固定するブラケットと 備え、巻線と軸受の内輪との間のインピー ンス、および巻線と軸受の外輪との間のイ ピーダンスの少なくともいずれかのインピ ダンスを調整するインピーダンス調整部材 含む。

 また、このインピーダンス調整部材は、 定子鉄心と軸受の内輪との間のインピーダ スと、固定子鉄心と軸受の外輪との間のイ ピーダンスとを整合させる整合部材である

 このような構成により、インピーダンス 整部材を適切に調整することによって、固 子鉄心と軸受の内輪との間のインピーダン と、固定子鉄心と軸受の外輪との間のイン ーダンスとを整合させることができる。そ ぞれのインピーダンスをこのように整合さ ることにより、本電動機を駆動したとき、 周波電流によって軸受の内輪と外輪とに生 る電位を近似あるいは一致させることがで る。すなわち、これによって、軸受の内輪 外輪との電位差である軸電圧を低減できる このため、このような簡易な構成によって 受内部に発生する電食を防止することがで る。

 また、整合部材は、固定子鉄心とブラケ トとの間に設けたインピーダンス成分を有 る部材である。

 また、固定子鉄心とブラケットとの間が インピーダンス成分を有する部材によって 気的に接続されている。

 また、インピーダンス成分を有する部材 、誘電素子と抵抗素子との少なくともいず かである。

 また、固定子鉄心と軸受の内輪との間の ンピーダンスを基準としたとき、固定子鉄 と軸受の外輪との間のインピーダンスは、 準の+10%増から-75%減までの範囲内としてい 。

 このような構成により、大掛かりな構成 することは必要なく、簡易な構成で軸受内 に発生する電食を防止することができ、小 化にも適した電動機を実現できる。

 また、固定子は樹脂にて絶縁された固定 鉄心に巻線を巻装し、この樹脂をインピー ンス調整部材として、樹脂の誘電率を3.0以 としてもよい。

 また、固定子鉄心を巻装する巻線を絶縁 脂にてモールド一体成形したハウジング部 設け、軸受は一対の軸受で構成され、一方 軸受をハウジング部の内部に設け、他方の 受をブラケットに固定し、絶縁樹脂をイン ーダンス調整部材として、絶縁樹脂の誘電 を3.0以下としてもよい。

 また、整合部材として、回転体の外周と ャフトとの間に設けたインピーダンス成分 有する部材としてもよい。

 このような構成によっても、大掛かりな 成とすることは必要なく、簡易な構成で軸 内部に発生する電食を防止することができ 小型化にも適した電動機を実現できる。

 また、本発明の電気機器は、上述したよ な電動機を搭載した構成である。

図1は、本発明の実施の形態1における 動機の構造を示す断面図である。 図2は、ブラシレスモータの静電容量の 概略分布モデル図である。 図3は、電食が発生するメカニズムを説 明するための、各構成部材間を等価的な静電 容量および抵抗成分で表した等価回路図であ る。 図4は、電食が発生するメカニズムを説 明するための、固定子側の静電容量も考慮し た等価回路図である。 図5は、本発明の実施の形態1における 動機を駆動させた際の各構成部材間を等価 な静電容量および抵抗成分で表した等価回 図である。 図6は、本発明の実施の形態1において 固定子鉄心とブラケットとの間に抵抗素子 接続したときの等価回路図である。 図7は、本発明の実施の形態1における 動機の軸電圧の測定方法を示す図である。 図8は、本発明の実施の形態1における 動機の軸電圧の電圧波形を示す図である。 図9は、本発明の実施の形態1における 動機の軸電流の測定方法を示す図である。 図10は、本発明の実施の形態2における 電動機の構造を示す断面図である。 図11は、本発明の実施の形態3における 電動機の構造を示す断面図である。 図12は、本発明の実施の形態3における 電動機を駆動させた際の各構成部材間を等価 的な静電容量および抵抗成分で表した等価回 路図である。

符号の説明

 10  固定子
 11  固定子鉄心
 12  固定子巻線
 13  絶縁樹脂(モールド材)
 14  回転子
 15  軸受
 16  シャフト
 17  ブラケット
 18  プリント基板
 20  グランド線
 21,211  樹脂(インシュレータ)
 30  回転体
 31  回転子鉄心
 32  フェライト樹脂磁石
 40  キャパシタ
 41  貫通孔
 42  接続ピン
 110,111  リード線
 112  導電性テープ
 120  プローブ
 121  プローブの先端
 122  プローブのグランド
 130  デジタルオシロスコープ
 140  絶縁トランス
 150  リークカレントハイテスタ
 311  絶縁樹脂

 以下本発明を実施するための最良の形態 、図面を参照しながら説明する。

 (実施の形態1)
 図1は、本発明の実施の形態1における電動 の構造を示す断面図である。本実施の形態 は、電気機器としてのエアコン用に搭載さ 、送風ファンを駆動するためのブラシレス ータである電動機の一例を挙げて説明する また、本実施の形態では、回転子が固定子 内周側に回転自在に配置されたインナロー 型の電動機の例を挙げて説明する。

 図1において、巻線である固定子巻線12が 装された固定子鉄心11は、モールド一体成 するためのモールド材である絶縁樹脂(以下 モールド材という)13にてモールド成形され いる。これによって、固定子10を含むハウ ング部が構成されている。また、固定子鉄 11と固定子巻線12との間には、固定子鉄心11 絶縁するインシュレータとしての樹脂(以下 インシュレータという)21が介在している。

 固定子10の内側には、空隙を介して回転 14が挿入されている。回転子14は、回転子鉄 31を含む円板状の回転体30と、回転体30の中 を貫通するようにして回転体30を締結した ャフト16とを有している。回転子鉄心31は、 定子10の内周側に対向して周方向に複数の 久磁石を保持している。図1では、回転子鉄 31と永久磁石であるフェライト樹脂磁石32と が一体成形された構成例を示している。この ように、固定子10の内周側と回転体30の外周 とが対向するように配置されている。

 回転子14のシャフト16には、シャフト16を 持する2つの軸受15が取り付けられている。 受15は、複数の鉄ボールを有したベアリン である。2つの軸受15の一方はモールド一体 形するモールド材13に固定され、他方は金属 製のブラケット17に固定されている。すなわ 、軸受15の外輪側がモールド材13およびブラ ケット17に固定され、軸受15の鉄ボールや潤 剤を介し、軸受15の内輪側において、その内 輪にシャフト16が固着されている。以上のよ な構成により、シャフト16が2つの軸受15に 承され、回転子14が回転自在に回転する。な お、このような構造により、固定子鉄心11と ラケット17とはモールド材13により絶縁され ている。また、他方の軸受15の外輪側はブラ ット17と直流電気的に接続され、両軸受15の 内輪側はシャフト16および回転子鉄心31と直 電気的に接続されている。そして、本電動 が駆動されたとき、軸受15の内輪と外輪との 間において潤滑剤やその油膜などを介した絶 縁状態が生じる。

 さらに、このブラシレスモータには駆動 路を実装したプリント基板18が内蔵されて る。このプリント基板18にはPWM方式のインバ ータ駆動回路が搭載されている。このインバ ータ駆動回路により固定子巻線12が駆動され 。このようなプリント基板18を内蔵したの 、ブラケット17を固定子10に圧入することに り、ブラシレスモータが形成される。また プリント基板18には、巻線の電源電圧、制 回路の電源電圧および制御電圧を印加する ード線と制御回路のグランド線20とが接続さ れている。

 そして、本実施の形態では、さらに、固 子鉄心11とブラケット17との間に誘電素子で あるキャパシタ40を電気的に接続している。 のような接続を行うため、具体的には、ま 、固定子鉄心11の側面に位置するモールド 13の一部を切削して貫通孔41を設け、固定子 心11の一部を露出させている。そして、貫 孔41を通して、露出させた固定子鉄心11の一 に接続ピン42の一端を接続する。さらに、 続ピン42の他端にキャパシタ40の一端を接続 、キャパシタ40の他端をブラケット17に接続 している。

 本実施の形態では、固定子巻線12と軸受15 の外輪との間のインピーダンスを調整するた め、インピーダンス調整部材としてこのよう なインピーダンス成分を有した素子であるキ ャパシタ40を配置している。より具体的には 固定子鉄心11と軸受15の外輪との間のインピ ーダンスが、固定子鉄心11と軸受15の内輪と 間のインピーダンスに近似あるいは一致す ように、それぞれのインピーダンスを整合 せるため、固定子鉄心11とブラケット17との にキャパシタ40を設けている。すなわち、 定子鉄心11とブラケット17との間に、それぞ のインピーダンスを整合させるための整合 材としてキャパシタ40を設けることにより 固定子鉄心11と軸受15の外輪との間のインピ ダンスが調整される。そして、このような 整により、それぞれのインピーダンスが近 あるいは一致する。

 本実施の形態では、それぞれのインピー ンスをこのように整合させることにより、 電動機を駆動したとき、高周波電流によっ 軸受15の内輪と外輪とに生じる電位を近似 るいは一致させ、これによって軸受内部に 生する電食を防止している。

 ここで、電食が発生するメカニズムの一 について説明する。

 図2は、図1に示すブラシレスモータの静 容量の概略分布モデル図である。なお、図2 は電食が発生するメカニズムを判りやすく 明するため、固定子鉄心11とブラケット17と の間のキャパシタ40を省略している。

 図2において、静電容量C1は、固定子巻線1 2とプリント基板18との間の静電容量である。 静電容量C1の値は、モールド一体成形する絶 樹脂13の誘電率および絶縁距離に主に依存 る。

 静電容量C2は、プリント基板18とブラケッ ト17との間の静電容量である。静電容量C2の は、空間絶縁距離に主に依存する。

 静電容量C3は、シャフト16とブラケット17 の静電容量である。静電容量C3の値は、軸 15内部の潤滑剤の誘電率および油膜厚に主に 依存する。

 静電容量C4は、固定子鉄心11と回転子14間 静電容量である。静電容量C4の値は、空隙 離に主に依存する。

 静電容量C5は、固定子鉄心11と固定子巻線 12間の静電容量である。静電容量C5の値は、 定子鉄心を絶縁する樹脂21の誘電率と厚さに 主に依存する。

 静電容量C6は、固定子の絶縁樹脂13とシャ フト16間の静電容量である。静電容量C6の値 、静電容量C3と同様に、軸受15内部の潤滑剤 誘電率および油膜厚に主に依存する。

 静電容量C7は、固定子巻線12と軸受15間の 電容量である。静電容量C7の値は、静電容 C1と同様に、固定子の絶縁樹脂13の誘電率お び絶縁距離に主に依存する。ここで、図中 Vdcは、プリント基板18に印加される電圧で る。

 このような構成のブラシレスモータをPWM 式のインバータにより駆動した場合、コモ モード電圧が発生し、静電容量C1からC7およ び抵抗成分によって軸電圧が発生する。この 軸電圧に対して特定の条件下では、軸受内部 の油膜の絶縁破壊電圧が発生し、電食に至る ケースがある。

 固定子巻線12をPWM方式のインバータによ 駆動すると、各構成部材間の静電容量C1から C7および抵抗成分を介して、ループ状の高周 の循環電流が発生する。循環電流のルート しては、例えば、固定子鉄心11から固定子 線12、プリント基板18、ブラケット17、軸受15 、シャフト16、回転子14、そして固定子鉄心11 に戻るというルートがある。そのときに、軸 受15内部で潤滑剤であるグリスの油膜が切れ り、または油膜厚が薄くなったりすると、 れに伴い局所的な絶縁破壊による放電現象 発生する。この放電現象により軸受15の転 面に微小の放電痕が形成され、それが長時 継続することで電食に至ることがある。こ 放電現象の発生は、コモンモード電圧が静 容量C1からC7および抵抗成分で分圧されるた 、軸受15にかかる軸電圧の大きさに密接に 係してくる。

 図3は、電食が発生するメカニズムを説明 するための、各構成部材間を等価的な静電容 量および抵抗成分で表した等価回路図である 。図3では、固定子鉄心11とブラケット17とを 絡部材90により短絡させた場合の一例を示 ている。

 また、図3では、固定子巻線12に発生した 位により、次のような2つのルートで高周波 の電流が流れるような等価回路を示している 。すなわち、一方のルートは、固定子巻線12 ら、固定子鉄心11を絶縁する樹脂21およびモ ールド一体成形する絶縁樹脂13、固定子鉄心1 1、ブラケット17、そして軸受15の外輪までへ ルートである。他方のルートは、固定子巻 12から、樹脂21および絶縁樹脂13、固定子鉄 11、回転子14の永久磁石、回転子鉄心、シャ フト16、そして軸受15の内輪までへのルート ある。

 このようなルートを図3に示すような等価 回路で表している。すなわち、図3において コモンモード電圧Eは、固定子巻線12に発生 た電位に対応する。また、図3に示す等価回 は、固定子巻線12と固定子鉄心11との間のイ ンピーダンスZcs、固定子側のインピーダンス Zst8、および回転子側のインピーダンスZrtを む。

 インピーダンスZcsは、固定子巻線12から 脂21および絶縁樹脂13を介して固定子鉄心11 での共通ルートでのインピーダンスを示す 図3では、固定子巻線12と固定子鉄心11との間 における静電容量Ccsと抵抗Rcsとを並列接続し た等価回路によるインピーダンスZcsとして示 している。

 固定子側のインピーダンスZst8は、固定子 鉄心11から短絡部材90およびブラケット17を介 して軸受15の外輪まで、前述の一方のルート 対応したインピーダンスを示す。図3では、 固定子鉄心11から軸受15の外輪までの抵抗Rsb よるインピーダンスZst8として示している。

 回転子側のインピーダンスZrtは、固定子 心11から回転子14の永久磁石、回転子鉄心お よびシャフト16を介して軸受15の内輪まで、 述の他方のルートに対応したインピーダン を示す。図3では、2つの並列回路のそれぞれ を直列接続した等価回路のインピーダンスZrt として示している。一方の並列回路は、固定 子鉄心11と回転子14との間の空隙における静 容量Cgapと抵抗Rgapとを並列接続した回路であ る。また、他方の並列回路は、回転子14の永 磁石から軸受15の内輪までにおける静電容 Cmgと抵抗Rmgとを並列接続した回路である。

 そして、図3に示すように、軸受15の内輪 外輪との間を、静電容量Cbbと抵抗Rbbとを並 接続した等価回路の構成としている。この 列回路両端において、電圧Vsが軸受15の外輪 の電圧を示し、電圧Vrが軸受15の内輪の電圧 示している。

 ここで、回転子側のインピーダンスZrtは

となる。インピーダンスZrtは、固定子鉄心 および回転子永久磁石の表面積、固定子鉄心 と回転子永久磁石との空隙距離や、回転子に 用いられる永久磁石材質、および回転子鉄心 までの永久磁石の厚さなどにより決まる。

 また、固定子側のインピーダンスZst8は、

となる。

 ここで、固定子側として固定子鉄心11と ラケット17とが短絡されているため、(式1)と (式2)とを比較すると、固定子側のインピーダ ンスZst8は、回転子側のインピーダンスZrtよ も低い。すなわち、Zrt>Zst8の状態となって いる。つまり、軸受15の内輪の電圧Vrは、Zrt インピーダンスが高いため低い電圧となり 軸受15の外輪の電圧VsはZst8のインピーダンス が低いため高い電圧となる。したがって、軸 受15の内輪と外輪との間には、電圧値(Vs-Vr)と なる軸電圧が発生する。

 そして、軸受15の内輪と外輪との間で生 るこのような軸電圧により放電現象が発生 、この放電現象によって電食現象が生じる この電食現象が繰り返されることにより、 受15の転送面が荒れ、波状摩耗現象に至ると 最終的にモータの異常音の発生につながる。 また、軸電圧が高いほどこのような放電現象 が発生しやすくなる。

 また、以上の説明では、固定子側のイン ーダンスZst8は抵抗成分である抵抗Rsbのみと して説明したが、実際には静電容量も含む。 すなわち、抵抗成分に加えて、固定子鉄心11 ブラケット17との間のモールド材13やプリン ト基板18、さらにはプリント基板18とブラケ ト17との間の空間などによる静電容量が存在 する。図4は、これら固定子側の静電容量も 慮した等価回路図である。図4での静電容量C sbおよび抵抗Rsbがこれらの静電容量や抵抗成 を示している。また、この場合の固定子側 インピーダンスZst9は、

となる。

 このような、静電容量Csbを考慮すると、 定子側のインピーダンスZst9はより低くなり 、軸受15の外輪の電圧Vsはやはり高い電圧と る。

 以上説明したように、固定子鉄心11から 受15の内輪までのインピーダンスと外輪まで のインピーダンスが異なることにより生じる 軸電圧が電食発生の一要因となる。

 次に、上述のように構成された本実施の 態の電動機によって電食が防止できる原理 ついて説明する。

 図5は、本実施の形態における電動機を駆 動させた際、各構成部材間を等価的な静電容 量および抵抗成分で表した等価回路図である 。

 図5では、固定子巻線12に発生した電位に り、次のような2つのルートで高周波の電流 が流れるような等価回路を示している。すな わち、一方のルートは、固定子巻線12から、 定子鉄心11を絶縁するインシュレータ21およ びモールド材13、固定子鉄心11、キャパシタ40 、ブラケット17、そして軸受15の外輪へのル トである。他方のルートは、固定子巻線12か ら、インシュレータ21およびモールド材13、 定子鉄心11、回転子14の永久磁石、回転子鉄 31、シャフト16、そして軸受15の内輪へのル トである。

 このようなルートを図5に示すような等価 回路で表している。図5において、コモンモ ド電圧Eは、固定子巻線12に発生した電位に 応する。また、図5に示す等価回路は、固定 巻線12と固定子鉄心11との間のインピーダン スZcs、固定子側のインピーダンスZst1、およ 回転子側のインピーダンスZrtを含む。

 インピーダンスZcsは、固定子巻線12から ンシュレータ21およびモールド材13を介して 定子鉄心11までの共通ルートでのインピー ンスを示す。図5では、固定子巻線12と固定 鉄心11との間における静電容量Ccsと抵抗Rcsと を並列接続した等価回路によるインピーダン スZcsとして示している。固定子巻線12と固定 鉄心11とはインシュレータ21やモールド材13 絶縁されているため、静電容量Ccsがインピ ダンスZcsの主成分となる。

 固定子側のインピーダンスZst1は、固定子 鉄心11からキャパシタ40およびブラケット17を 介して軸受15の外輪まで、前述の一方のルー に対応したインピーダンスを示す。図5では 、固定子鉄心11から軸受15の外輪までの抵抗Rs bと、固定子鉄心11とブラケット17との間に接 されたキャパシタ40の静電容量C40との直列 続によるインピーダンスZst1として示してい 。固定子側のインピーダンスZst1は、

となる。固定子鉄心11やブラケット17の抵 成分である抵抗Rsbは比較的低いため、静電 量C40がインピーダンスZst1の主成分となる。

 回転子側のインピーダンスZrtは、固定子 心11から回転子14の永久磁石、回転子鉄心31 よびシャフト16を介して軸受15の内輪まで、 前述の他方のルートに対応したインピーダン スを示す。図5では、2つの並列回路のそれぞ を直列接続した等価回路のインピーダンスZ rtとして示している。一方の並列回路は、固 子鉄心11と回転子14との間の空隙における静 電容量Cgapと抵抗Rgapとを並列接続した回路で る。また、他方の並列回路は、回転子14の 久磁石から軸受15の内輪までにおける静電容 量Cmgと抵抗Rmgとを並列接続した回路である。 インピーダンスZrtは式1となる。固定子鉄心11 と回転子14との間は空隙であり、永久磁石か 軸受15の内輪までは金属が接続された構成 あるため、静電容量Cgapおよび抵抗Rmgがイン ーダンスZrtの主成分となる。

 そして、図5に示すように、軸受15の内輪 外輪との間を、静電容量Cbbと抵抗Rbbとを並 接続した等価回路の構成としている。この 列回路両端において、電圧Vsが軸受15の外輪 の電圧を示し、電圧Vrが軸受15の内輪の電圧 示している。

 ここで、上述したように固定子鉄心11と ラケット17とを短絡した場合、固定子側のイ ンピーダンスは、回転子側のインピーダンス よりも低くなる。これに対して、本実施の形 態では、固定子鉄心11とブラケット17との間 キャパシタ40を接続している。このような構 成により、固定子側のインピーダンスZst1は 4で示すようになり、固定子鉄心11とブラケ ト17とを短絡した場合に比べて、インピーダ ンスが高くなる。すなわち、キャパシタ40の 電容量C40を調整してその容量値を適切に設 することで、固定子側のインピーダンスZst1 を回転子側のインピーダンスZrtに近似あるい は一致させ、それぞれのインピーダンスを整 合させることができる。さらに、固定子側の インピーダンスZst1と回転子側のインピーダ スZrtとを近似あるいは一致させることによ 、軸受15の外輪の電圧Vsと内輪の電圧Vrとが 似あるいは一致する。したがって、軸受15の 内輪と外輪との間に生じる電位差、すなわち 電圧値(Vs-Vr)の軸電圧を低く抑えることが可 となる。これによって、軸電圧が軸受内部 油膜の絶縁破壊電圧に達することを抑制で るため、軸受内部に発生する電食を防止で る。

 なお、以上、固定子側のインピーダンス 高くするために、固定子鉄心11とブラケッ 17との間に誘電素子としてのキャパシタ40を 続した構成例を挙げて説明したが、他の構 とすることも可能である。

 すなわち、本実施の形態の変形例として 固定子鉄心11とブラケット17との間に抵抗素 子を接続するような構成であってもよい。図 6は、固定子鉄心11とブラケット17との間に抵 素子を接続したときの等価回路図である。 6に示すように、図5での静電容量C40に代え 、抵抗R41が抵抗Rsbに直列に接続される。ま 、具体的な構成としては、図1でのキャパシ 40に代えて、抵抗器を接続することで実現 きる。また、このときの固定子側のインピ ダンスZst2は、

となる。すなわち、固定子鉄心11とブラケ ト17との間にキャパシタ40を接続した場合と 同様に、抵抗R41を調整してその抵抗値を適切 に設定することで、固定子側のインピーダン スZst2を回転子側のインピーダンスZrtに整合 せることができる。そして、これにより、 受15の外輪の電圧Vsと内輪の電圧Vrとを近似 るいは一致させ、軸受15の内輪と外輪との間 の軸電圧を低く抑えることができる。

 また、以上の説明では、固定子鉄心11と ラケット17との間に誘電素子あるいは抵抗素 子を接続するような構成について説明したが 、誘電素子と抵抗素子とを並列接続や直列接 続し、それらを固定子鉄心11とブラケット17 の間に接続するような構成であってもよい また、誘電素子や抵抗素子のような部品を 固定子鉄心11とブラケット17との間に接続す ような構成に限定されず、例えば、所定の 電率を有した樹脂や所定の抵抗値を有した 抗体などの部材を固定子鉄心11とブラケッ 17との間に設けるような構成であってもよい 。

 以下、本実施の形態について実施例を用 てより具体的に説明する。

 (実施例1)
 図1に示したブラシレスモータを使用し、ブ ラケット17と接続ピン42との間に直列に、10pF 47pF、100pF、330pFおよび560pFの誘電素子をそれ ぞれキャパシタ40として接続し、軸電圧およ 軸電流の測定を実施した。なお、誘電素子 は、ラジアルリード形のプラスチックフィ ムコンデンサを使用した。

 各部位の静電容量およびインピーダンス 、アジレントテクノロジー製LCRメータ4263A 使用し、測定電圧1V、測定周波数10kHzにて測 を実施した。

 図7に、軸電圧の測定方法を示す。軸電圧 測定時には直流安定化電源を使用し、巻線の 電源電圧Vdcを391V、制御回路の電源電圧Vccを15 V、回転数を制御する制御電圧Vspを3Vとし、回 転数を1000r/minとした同一運転条件下で測定を 行った。なお、運転時のブラシレスモータ姿 勢はシャフト水平とした。

 軸受の外輪の電圧Vsと内輪の電圧Vrとは、 デジタルオシロスコープ130(テクトロニクス TDS640A)により、図8に示すような電圧波形を 測し、波高値を測定電圧とした。測定時の 軸時間は50μs/divの同一条件とした。なお、 ジタルオシロスコープ130は、絶縁トランス14 0にて絶縁している。

 軸受の外輪の電圧Vsの測定については、 輪近傍のブラケット17に導電性テープ112にて リード線111を接続し、そのリード線111にプロ ーブ120の先端121を接続し、測定している。こ のとき、プローブ120のグランド122は電源のグ ランドに接続している。内輪の電圧Vrの測定 ついては、リード線110の一端での導体を直 約8mmのループ状にし、そのループ状にした 周を内輪近傍のシャフト16の外周に導電接 させ、リード線110の他端にプローブ120の先 121を接続し、測定している。このとき、プ ーブ120のグランド122は電源のグランドに接 している。

 図9に軸電流の測定方法を示す。軸電流の 測定についても、軸電圧の測定と同様の運転 条件およびモータ姿勢にて実施した。電流値 の測定については、日置電機製の3156リーク レントハイテスタ150を使用して実施した。 お、電流値は外装-外装間漏れ電流測定モー でAC電流値を測定している。

 上記測定においては、軸受の外輪と内輪 が常に絶縁状態となるセラミックボール仕 の軸受を全て使用した。通常の鉄ボール仕 では、軸受の外輪と内輪とが導通したりし かったりするため正確な測定ができないた である。

 (比較例1)
 キャパシタ40を接続せず、かつブラケット17 と固定子鉄心11とを短絡しない状態で、実施 1と同様に軸電圧および軸電流を測定した。

 (比較例2)
 キャパシタ40を接続せず、かつブラケット17 と固定子鉄心11とを短絡した状態で、実施例1 と同様に軸電圧および軸電流を測定した。

 実施例1、比較例1、比較例2の測定結果を 1に示す。

 表1から明らかなように、固定子鉄心11と ラケット17との間にプラスチックフィルム ンデンサを直列に接続することによって、 定子鉄心11とブラケット17(軸受の外輪)との のインピーダンスを、固定子鉄心11とシャフ ト16(軸受の内輪)との間のインピーダンスに 似させることができる。また、表1に示され ように、軸電流についても同様に低減する とができる。特に、固定子鉄心11と軸受の 輪との間のインピーダンスを基準としたと 、この基準に対して、固定子鉄心11と軸受の 外輪との間のインピーダンスが、基準の+10% から-75%減までの範囲内であれば、軸電圧ま は軸電流を比較例1および比較例2よりも小 くすることが可能となる。

 (実施例2)
 実施例1と同一仕様のブラシレスモータを使 用し、ブラケット17と接続ピン42との間に直 に、470kω、220kω、170kω、100kω、56kωの抵抗素 子をそれぞれ接続して、実施例1と同様な方 で、軸電圧および軸電流の測定を実施した なお、抵抗素子には、リードタイプの炭素 膜固定抵抗器を使用した。

 実施例2、比較例1、比較例2の測定結果を 2に示す。

 表2から明らかなように、固定子鉄心11と ラケット17との間に炭素皮膜固定抵抗器を 列に接続することによって、固定子鉄心11と ブラケット17(軸受の外輪)との間のインピー ンスを、固定子鉄心11とシャフト16(軸受の内 輪)との間のインピーダンスに近似させるこ ができる。また、表2に示されるように、軸 流についても同様に低減することができる 特に、固定子鉄心11と軸受の内輪との間の ンピーダンスを基準としたとき、この基準 対して、固定子鉄心11と軸受の外輪との間の インピーダンスが、基準の+10%増から-65%減の 囲内であれば、軸電圧または軸電流を比較 1および比較例2よりも小さくすることが可 となる。

 (実施の形態2)
 図10は、本発明の実施の形態2における電動 の構造を示す断面図である。実施の形態1と の比較において、本実施の形態では、キャパ シタ40、貫通孔41および接続ピン42を設けてい ない。さらに、本実施の形態では、固定子鉄 心11を絶縁するための樹脂であるインシュレ タを、誘電率が3.0以下であるインシュレー 211としている。なお、図10において、図1と 一の構成要素については同一の符号を付し おり詳細な説明は省略する。

 本実施の形態では、固定子巻線12と軸受15 の外輪との間のインピーダンスを調整するた め、インピーダンス調整部材としてこのよう な誘電率が3.0以下のインシュレータ211を、固 定子鉄心11と固定子巻線12との間に配置して る。本実施の形態では、インシュレータの 電率を低くすることにより、本電動機を駆 したとき、高周波電流によって軸受15の内輪 と外輪とに生じる電位を低くし、これによっ て軸受内部に発生する電食を防止している。

 次に、このように構成された本実施の形 の電動機によって電食が防止できる原理に いて説明する。

 例えば図5の等価回路図に示すように、コ モンモード電圧Eは、インシュレータを介し いるため、インシュレータに対応した静電 量Ccsと抵抗Rcsは、軸受15の内輪の電圧Vrと外 の電圧Vsとのそれぞれに影響を与える。固 子巻線12と固定子鉄心11との間のインピーダ スZcsは、

となる。

 一般的に電動機に使用されるインシュレ タの誘電率は、1MHzの周波数測定条件下で3.2 ~4.0程度のものである。これに対して、本実 の形態ではインシュレータ211の誘電率が3.0 下の低誘電率である材料を選択している。 なわち、このような選択により、固定子鉄 11を絶縁するインシュレータの静電容量Ccsを 低減しており、これによって、インシュレー タのインピーダンスZcsを高くしている。また 、インシュレータのインピーダンスZcsは、固 定子側のインピーダンスおよび回転子側のイ ンピーダンスとそれぞれ直列接続となってい る。このため、インシュレータのインピーダ ンスZcsを高くすると、インシュレータでの分 担電圧が高くなる。その結果、軸受15の内輪 電圧Vrおよび外輪の電圧Vsは、それぞれ低く なる。すなわち、インピーダンスの高いイン シュレータ211を用いると、電圧Vrおよび電圧V sのそれぞれを低くすることができるため、 圧Vrと電圧Vsとの電位差である軸電圧も低く ることができる。これによって、軸電圧が 受内部の油膜の絶縁破壊電圧に達すること 抑制できるため、軸受内部に発生する電食 防止できる。

 なお、以上、インシュレータ211を低誘電 としたような一例を挙げて説明したが、固 子巻線12と固定子鉄心11との間のインピーダ ンスZcsは、実際には絶縁樹脂であるモールド 材13の影響も受ける。すなわち、コモンモー 電圧Eは、インシュレータ211およびモールド 材13を介しているため、モールド材13による 電容量や抵抗成分も、軸受15の内輪の電圧Vr 外輪の電圧Vsとに影響を与える。このため インピーダンス調整部材として、モールド 13の誘電率が3.0以下の低誘電率である材料を 選択してもよい。また、インピーダンス調整 部材として、誘電率が3.0以下のインシュレー タおよび誘電率が3.0以下のモールド材を選択 するような構成であってもよい。

 以下、本実施の形態について実施例を用 てより具体的に説明する。

 (実施例3)
 実施例1と同一仕様のブラシレスモータを使 用し、インシュレータ211の材料のみ誘電率2.8 に変更したものを使用し、ブラケット17と固 子鉄心11とを短絡した状態にして、実施例1 同様な方法で、軸電圧および軸電流を測定 た。インシュレータ211の材料には、出光石 化学製シンジオタクチックポリスチレン(SPS )樹脂(ザレックS120)を使用した。

 なお、比較例2のインシュレータ材料は、 従来から使用している一般的なポリエチレン テレフタレート(PET)樹脂の成形材料で誘電率 3.6である。

 (比較例3)
 実施例1と同一仕様のブラシレスモータを使 用し、インシュレータ211の材料のみ誘電率5.8 に変更したものを使用し、ブラケット17と固 子鉄心11とを短絡した状態にして、実施例1 同様な方法で、軸電圧および軸電流を測定 た。インシュレータ211の材料には、ウィン ックポリマー製ポリブチレンテレフタレー (PBT)樹脂(ジュラネックス6302T)を使用した。

 実施例3、比較例2、比較例3の測定結果を 3に示す。

 表3から明らかなように、インシュレータ 211の誘電率が3.0以下である低誘電率材料を使 用することによって、固定子巻線12と固定子 心11との間の静電容量が低くなり、固定子 線12と固定子鉄心11との間のインピーダンス 高くできる。さらに、これによって、軸受 外輪の電圧Vsおよび内輪の電圧Vrをともに低 くでき、結果的に軸電圧を低減することがで きる。また、軸電流についても、軸電圧の低 下に伴い低減することができる。

 (実施例4)
 実施例1と同一仕様のブラシレスモータを使 用し、モールド材13のみ誘電率2.1に変更した のを使用し、ブラケット17と固定子鉄心11と を短絡した状態にして、実施例1と同様な方 で、軸電圧および軸電流を測定した。モー ド材13は、不飽和ポリエステル(UP)樹脂に、 ラスバルーンを充填剤として添加し、低誘 率化している。

 なお、比較例2のモールド材13は、従来か 使用している一般的なガラス繊維や炭酸カ シウムなどの充填剤を添加した不飽和ポリ ステル(UP)樹脂の成形材料で誘電率は3.9であ る。

 (比較例4)
 実施例1と同一仕様のブラシレスモータを使 用し、モールド材13のみ誘電率5.7に変更した のを使用し、ブラケット17と固定子鉄心11と を短絡した状態にして、実施例1と同様な方 で、軸電圧および軸電流を測定した。モー ド材13は、不飽和ポリエステル(UP)樹脂に、 化チタンを充填剤として添加し、高誘電率 している。

 上記、樹脂材料の誘電率の確認は、JIS K 6911に準拠し、23℃、50%RH、1MHzの条件にて測 を行った。

 実施例4、比較例2、比較例4の測定結果を 4に示す。

 表4から明らかなように、モールド材13の 電率が3.0以下である低誘電率材料を使用す ことによって、固定子巻線12と固定子鉄心11 との間の静電容量が低くなり、固定子巻線12 固定子鉄心11との間のインピーダンスを高 できる。さらに、これによって、軸受の外 の電圧Vsおよび内輪の電圧Vrをともに低くで 、結果的に軸電圧を低減することができる また、軸電流についても、軸電圧の低下に い低減することができる。

 (実施の形態3)
 図11は、本発明の実施の形態3における電動 の構造を示す断面図である。実施の形態1と の比較において、本実施の形態では、キャパ シタ40、貫通孔41および接続ピン42を設けてい ない。さらに、本実施の形態では、回転子鉄 心31とシャフト16との間にインピーダンス成 を有した絶縁樹脂311を介在させている。実 の形態1では固定子巻線12と軸受15の外輪との 間のインピーダンスを調整したのに代えて、 本実施の形態では、絶縁樹脂311を介在させ、 固定子巻線12と軸受15の内輪との間のインピ ダンスを調整するような構成としている。 お、図11において、図1と同一の構成要素に いては同一の符号を付しており詳細な説明 省略する。

 本実施の形態では、固定子巻線12と軸受15 の内輪との間のインピーダンスを調整するた め、インピーダンス調整部材として、回転子 鉄心31とシャフト16との間にインピーダンス 分を有した絶縁樹脂311を介在させている。 り具体的には、固定子鉄心11と軸受15の内輪 の間のインピーダンスが、固定子鉄心11と 受15の外輪との間のインピーダンスに近似す るように、それぞれのインピーダンスを整合 させるため、回転子鉄心31とシャフト16との に、それぞれを絶縁分離する絶縁樹脂311を 在させている。このような絶縁樹脂311を整 部材として介在させることにより、固定子 心11と軸受15の内輪との間のインピーダンス 調整される。

 次に、このように構成された本実施の形 の電動機によって電食が防止できる原理に いて説明する。

 図12は、本電動機を駆動させた際、各構 部材間を等価的な静電容量および抵抗成分 表した等価回路図である。

 図12において、固定子側のインピーダン Zst3は、固定子鉄心11からブラケット17を介し て軸受15の外輪までのインピーダンスを示す 図12では、固定子鉄心11から軸受15の外輪ま の抵抗Rsbと、固定子鉄心11とブラケット17と の間の静電容量Csbとの直列接続によるインピ ーダンスZst3として示している。すなわち、 定子鉄心11とブラケット17との間は電気的な 続がないため、図3で示したインピーダンス Zst8に比べて、インピーダンスZst3のほうが高 。

 また、回転子側のインピーダンスZrt3は、 固定子鉄心11から回転子14の永久磁石、回転 鉄心31、インピーダンス調整部材としての絶 縁樹脂311、シャフト16を介して軸受15の内輪 でのインピーダンスを示す。図12に示すよう に、例えば図5の回転子側のインピーダンスZr tと比較して、インピーダンスZrt3は、絶縁樹 311に対応した静電容量Cplと抵抗Rplとをさら 含む。回転子側のインピーダンスZrt3は、

となる。すなわち、絶縁樹脂311がない場合 よりも回転子側のインピーダンスを高くする ことが可能となる。

 したがって、固定子鉄心11とブラケット17 との間を短絡しない場合には、固定子側のイ ンピーダンスZst3は高くなる。このため、本 施の形態では、絶縁樹脂311を回転子鉄心31と シャフト16との間に介在させて回転子側のイ ピーダンスZrt3も高くすることで、それぞれ のインピーダンスを近似あるいは一致させて いる。すなわち、回転子鉄心31とシャフト16 の間に介在させた絶縁樹脂311による静電容 を調整して、その容量値を適切に設定する とで、回転子側のインピーダンスZrt3を固定 側のインピーダンスZst3に近似あるいは一致 させ、それぞれのインピーダンスを整合させ ることができる。さらに、回転子側のインピ ーダンスZrt3と固定子側のインピーダンスZst3 を近似あるいは一致させることにより、軸 15の外輪の電圧Vsと内輪の電圧Vrとが近似あ いは一致する。このため、軸受15の内輪と 輪との間に生じる軸電圧を低く抑えること 可能となる。これによって、軸電圧が軸受 部の油膜の絶縁破壊電圧に達することを抑 できるため、軸受内部に発生する電食を防 できる。

 以下、本実施の形態について実施例を用 てより具体的に説明する。

 (実施例5)
 実施例1と同一の固定子仕様のブラシレスモ ータで、回転子をシャフト16とシャフト外径 りも2mm大きい内径の回転子鉄心31を一体成 し、シャフト16と回転子鉄心31との間に絶縁 脂を1mm介在させた仕様としている。このよ な回転子の仕様のブラシレスモータを、ブ ケット17と固定子鉄心11とを短絡しない状態 にして、実施例1と同様な方法で、軸電圧お び軸電流を測定した。一体成形に使用した 料には、誘電率が2.8の出光石油化学製シン オタクチックポリスチレン(SPS)樹脂(ザレッ S120)および誘電率が3.6のポリブチレンテレフ タレート(PBT)樹脂を使用した。また、回転子 心31の外周には、希土類磁石粉末に約3wt%の ポキシ樹脂を混合し、リング状に成形、加 硬化した希土類樹脂磁石を接着している。

 なお、比較例1の回転子は、回転子鉄心31 内径にシャフト16を圧入したもので、シャ ト16と回転子鉄心31との間に樹脂はない状態 ある。また、回転子鉄心31の外周には、実 例5と同一の希土類樹脂磁石を回転子鉄心31 外径に接着している。

 (比較例5)
 実施例1と同一の固定子仕様のブラシレスモ ータで、回転子は回転子鉄心31の内径にシャ ト16を圧入したもので、シャフト16と回転子 鉄心31との間に樹脂はない状態である。また 回転子鉄心31の外周には、フェライト樹脂 石を回転子鉄心31の外径に接着した仕様とし ている。このような回転子の仕様のブラシレ スモータを、ブラケット17と固定子鉄心11と 短絡しない状態にして、実施例1と同様な方 で、軸電圧および軸電流を測定した。フェ イト樹脂磁石は、フェライト磁石に約10wt% ポリアミド樹脂を混合し、リング状に成形 たもので、上述の希土類樹脂磁石よりも約4 の厚みを有している。

 実施例5、比較例1、比較例5の測定結果を 5に示す。

 表5から明らかなように、回転子鉄心31と ャフト16との間に絶縁樹脂311を介在させる とで、固定子鉄心11とシャフト16(軸受の内輪 )との間の静電容量が低くなり、回転子側の ンピーダンスZrt3が高くなる。このことで、 受15の内輪の電圧Vrが低くなり、結果的に軸 電圧を低減することができる。また、軸電流 についても、軸電圧の低下に伴い低減するこ とができる。また、回転子鉄心31とシャフト1 6との間の絶縁樹脂311に誘電率3.0以下の材料 選択することで、さらに軸電圧および軸電 を低減することができる。

 なお、以上の説明では電気機器としての アコン用に搭載されたブラシレスモータで る電動機の一例を挙げて説明したが、この うなエアコン室外機やエアコン室内機に加 て、給湯機、空気清浄機、食器洗い乾燥機 ど各種情報機器に搭載される電動機や、産 機器に使用される電動機にも適用できる。

 本発明の電動機は、軸電圧を減少させる とが可能であり、軸受の電食発生を防止す のに最適である。このため、主に電動機の 価格化および高寿命化が要望される電気機 で、例えばエアコン室内機、エアコン室外 、給湯機、空気清浄機、食器洗い乾燥機な に搭載される電動機に有効である。