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Title:
ELECTROLUMINESCENCE ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/041594
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is an EL element which does not permit performance to be deteriorated due to manufacturing process at a high temperature, with suppressed quantum dot aggregation in a light emitting layer even under a high temperature condition of 90°C, and maintains light emitting characteristics for a long period of time with high durability. The electroluminescence element is provided with a pair of electrodes, and an electroluminescence layer, which is arranged between the pair of electrodes by containing at least the light emitting layer. The light emitting layer contains a quantum dot whose surface is protected by at least one kind of protecting material. Such protecting material has a glass transition temperature and a melting point of 90°C or higher.

Inventors:
AKAI TOMONORI (JP)
IIZUMI YASUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067456
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
September 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DAINIPPON PRINTING CO LTD (JP)
AKAI TOMONORI (JP)
IIZUMI YASUHIRO (JP)
International Classes:
H05B33/14; C09K11/06; H05B33/20
Domestic Patent References:
WO2005004548A12005-01-13
Foreign References:
JP2007513478A2007-05-24
JP2005038634A2005-02-10
JP2006528421A2006-12-14
Attorney, Agent or Firm:
YOSHITAKE, Kenji et al. (Room 323 Fuji Bldg., 2-3, Marunouchi 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo 05, JP)
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Claims:
 一対の電極と、
 一対の電極間に配置され、少なくとも発光層を含むエレクトロルミネッセンス層と、を備え、
 前記発光層は、少なくとも1種の保護材料によりその表面が保護された量子ドットを含有しており、該保護材料の少なくとも1種が、90℃以上のガラス転位温度及び融点を有することを特徴とする、エレクトロルミネッセンス素子。
 前記保護材料のガラス転位温度及び融点が130℃以上である、請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
 前記保護材料は、一分子中に親水基を1残基以上及び疎水基を有し、該疎水基として、トリフェニルアミン誘導体、アリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ジナフチルアントラセン誘導体、ジスチルアリーレン誘導体、カルバゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体及びアルミニウムキノリノール錯体誘導体から選ばれる少なくとも1種の残基を含有する、請求項1又は2に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
 前記保護材料が、前記疎水基として、4,4’,4’’-トリス[2-ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4’’-トリ[N-カルバゾールイル]トリフェニルアミン、ビス(N-(1-ナフチル-N-フェニル)ベンジジン)、1,3-ビス[2-(2,2’‐ビピリジン‐6‐イル)‐1,3,4‐オキサジアゾ‐5‐イル]ベンゼン、3‐tert‐ブチル‐9,10‐ジ(ナフト‐2-イル)アントラセン、2,2’,7,7’-テトラキス(2,2’-ジフェニルビニル)スピロ-9,9’‐ビフルオレン、1,3‐ビス(カルバゾール‐9‐イル)ベンゼン、4,4’-ビス(9-カルバゾールイル)-2,2’-ジメチル-ビフェニル、4,4’‐ビス(カルバゾール‐9‐イル)‐9,9‐ジメチル‐フルオレン、4,4’‐ビス(カルバゾール‐9‐イル)‐9,9‐ジ‐トルイル‐フルオレン、2,7‐ビス(9‐カルバゾールイル)‐9,9‐スピロビフルオレン、2,2’,2’’‐(1,3,5‐ベンゼントリイル)-トリス(1‐フェニル‐1‐H‐ベンズイミダゾール)、トリス(8-キノリノール)アルミニウム錯体、及び、ビス(2-メチル-8-キノリラト)(p-フェニルフェノラート)アルミニウム錯体から選ばれる少なくとも1種の残基を有する、請求項3に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
 前記発光層は、さらに、ガラス転位温度及び融点が90℃以上の少なくとも1種のバインダー成分を含有する、請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
 前記発光層を構成する全成分のガラス転位温度及び融点が90℃以上である、請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
Description:
エレクトロルミネッセンス素子

 本発明は、エレクトロルミネッセンス素 (EL素子)に関する。

 電界発光を利用したエレクトロルミネッ ンス素子(EL素子)は、各種表示装置等の発光 素子への利用が注目されている。EL素子は、 光層に到達した電子と正孔とが再結合する に生じる発光を利用した電荷注入型の自発 素子である。EL素子の基本構成は、陰極と 極の間に、発光材料を含有する発光層が配 された構成である。EL素子には、発光材料と して、無機化合物を用いる無機EL素子と、有 化合物を用いる有機EL素子とがある。

 最近では、発光材料として量子ドットを いるエレクトロルミネッセンス素子も提案 れている(例えば、特許文献1~3、非特許文献 1など)。量子ドットは、半導体のナノメート サイズの微粒子(半導体ナノ結晶)であり、 子や励起子がナノメートルサイズの小さな 晶内に閉じ込められる量子閉じ込め効果(量 サイズ効果)により、特異的な光学的、電気 的性質を示し、幅広い分野でその利用が期待 されている。量子ドットより放出される光は 、その波長が量子ドットの粒径に依存してお り、粒径の制御により種々の波長の光を得る ことができる。また、量子ドットの発光は、 スペクトル幅が狭いため、色純度に優れる。

 量子ドットを含有する層は、該量子ドット 分散させた分散液を塗布する湿式法、或い 、量子ドット原料を蒸着法やスパッタリン 等により膜化する乾式法により、形成する とができるが、装置や工程の簡便性や、得 れる層の平滑性等の観点から、湿式法が採 される傾向がある。
 しかしながら、湿式法で量子ドット含有層 形成する場合、分散液中において、量子ド トが凝集しやすいという問題がある。そこ 、溶液中における量子ドットの分散性、さ には、製造時における量子ドットの粒径の 御等を目的として、量子ドットの表面を保 材料で保護することが行われる。製造時の 径の制御や溶液中の分散性向上に対して効 を有する代表的な保護材料としては、トリ クチルフォスフィン酸化物(TOPO:[CH 3 (CH 2 ) 7 ] 3 PO)が挙げられる。

 有機EL素子は、発光材料として低分子有機 合物を用いた場合でも、高分子有機化合物 用いた場合でも、その寿命が短いという問 がある。製造プロセスにおける加熱処理や 動時の発熱、また、電荷輸送や励起子の生 、発光に伴う化学変化により、発光材料で る有機化合物が劣化、分解し、色度の他、 子、正孔の移動性、励起子生成効率等、発 特性が変化するためである。このような有 化合物の劣化分解に伴う不可逆的な発光特 の変化を抑制すべく、従来から数多くの研 が行われている。
 例えば、特許文献4には、全ての有機化合物 層のガラス転位温度が75℃以上で、且つ有機 色発光層に接する有機化合物層のガラス転 温度が105℃以上である有機エレクトロルミ ッセンス素子が記載されている。特許文献4 に記載の技術は、青色発光可能な有機化合物 のガラス転位温度が低いために、有機EL素子 熱安定性が低く、発光色が変化し、発光効 が低下するという問題を解決することを目 とするものであり、特許文献4には、75℃以 のガラス転位温度を有する有機化合物層に り有機EL素子を構成することで上記問題を 決しうることが記載されている。

特開2005-38634号公報

特表2005-502176号公報

特表2006-520077号公報

特開平10-110163号公報 Seth Coe et al. Nature 420, 800-803(2002)

 一方、無機化合物である量子ドットは、7 5℃等の高温条件下においても、量子ドット のものの劣化等は生じにくく、その発光色 発光効率等の発光特性が維持される。しか ながら、製造プロセスや高温での保存、駆 時の高温条件下においては、量子ドットの 護材料や量子ドットを含有する発光層中の インダー成分等の有機化合物が軟化するこ によって、発光層における量子ドットの移 性が高まり、量子ドットの凝集が促進され ことが本発明者によって見出された。

 具体的には、量子ドットを含有する発光層 量子ドットの分散液を用いて形成(湿式法) る場合、該分散液により形成された膜にお て、残存する溶媒は発光層における不純物 なるため、充分に塗膜の乾燥を行い、溶媒 除去することが望ましい。発光層内に溶媒 残存すると、素子の駆動安定性(輝度半減寿 )が低下する等のおそれがあるからである。
 一方、量子ドットの分散液に用いる溶媒は 量子ドットを含む発光層を構成する材料の 解性や、該分散液の塗布方法等により適宜 択されるが、例えば、シクロヘキサン、ト エン、キシレン、アニソール、メシチレン テトラリン、シクロヘキシルベンゼン等を いることができる。これらの溶媒の沸点は それぞれ81℃、111℃、139℃、155℃、165℃、20 8℃、240℃であり、発光層からこれら溶媒を 分に乾燥除去するためには、量子ドット分 液の塗膜をこれら溶媒の沸点以上に加熱す ことが好ましい。そのため、上記のような 媒を用いる場合、最も沸点の低いシクロヘ サンを用いても、塗膜乾燥温度は81℃以上と なる。

 このとき、量子ドットの保護材料のガラス 位温度や融点が81℃未満であると、塗膜乾 時に、保護材料が軟化することによって、 子ドットの移動性が高まり、量子ドットの 集が生じやすい。
 尚、量子ドットを分散させる溶媒として、 クロヘキサンよりも沸点が低い(81℃未満)溶 媒を用いることもできるが、このように沸点 の低い溶媒を用いた場合、該分散液の塗布工 程(例えば、インクジェット等)において、そ 塗布安定性を確保することが難しく、発光 の膜厚、パターン等の制御が困難である。

 TOPOに代表される一般的な従来の量子ドッ ト保護材料は、ガラス転位温度(Tg)や融点が いため、上記のような製造プロセスにおけ 加熱や保存時、また、EL素子駆動時における 温度上昇の際に、これら保護材料が軟化する ことによって、発光層における量子ドットの 移動性が高まり、量子ドットの凝集が生じや すかった。

 上述したように、量子ドットの発光色は のサイズに依存していることから、量子ド トを含有する発光層において量子ドットが 集し、その結晶構造が変化すると、発光色 変化、さらには、消光を引き起こし、EL素 の発光特性を低下させる大きな原因のひと となる。また、量子ドットの凝集は、発光 における相分離等を引き起こし、発光ムラ 生じさせる他、発光層における電子、正孔 移動性の変化と、励起子の生成効率の低下 よって、発光効率が低下するという問題も る。すなわち、製造プロセスや保存時、ま 、駆動時の発光層における量子ドットの凝 は、発光層の発光特性の安定という点にお て、EL素子の長寿命化を妨げる原因となって いる。

 本発明は上記実情を鑑みて成し遂げられ ものであり、90℃以上のような高温条件下 おいても、発光層における量子ドットの凝 が抑制されており、長期間にわたる発光特 の維持が可能な、高い耐久性を有するEL素子 を提供することを目的とする。

 本発明のEL素子は、一対の電極と、一対 電極間に配置され、少なくとも発光層を含 エレクトロルミネッセンス層と、を備え、 記発光層は、少なくとも1種の保護材料によ その表面が保護された量子ドットを含有し おり、該保護材料の少なくとも1種が、90℃ 上のガラス転位温度及び融点を有すること 特徴とするものである。

 本発明のEL素子においては、量子ドット 保護材料として、ガラス転位温度及び融点 90℃以上の化合物が用いられているため、90 以上のような高温条件下でも、該保護材料 軟化が生じず、量子ドットの凝集が抑制さ る。従って、本発明によれば、製造プロセ 、保存時、さらには駆動時における量子ド トの凝集を抑えることが可能であり、EL素 の長期間にわたる発光特性を維持すること でき、EL素子の長寿命化が達成可能である。

 発光層における量子ドットの凝集をより 実に抑制するためには、前記保護材料のガ ス転位温度及び融点は、130℃以上であるこ が好ましい。

 前記保護材料としては、例えば、一分子 に親水基を1残基以上及び疎水基を有し、該 疎水基として、トリフェニルアミン誘導体、 アリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘 導体、ジナフチルアントラセン誘導体、ジス チルアリーレン誘導体、カルバゾール誘導体 、ベンズイミダゾール誘導体及びアルミニウ ムキノリノール錯体誘導体から選ばれる少な くとも1種の残基を含有するものが挙げられ 。

 前記保護材料の具体例としては、前記疎 基として、4,4’,4’’-トリス[2-ナフチル(フ ェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4 ’-トリ[N-カルバゾールイル]トリフェニルア ミン、ビス(N-(1-ナフチル-N-フェニル)ベンジ ン)、1,3-ビス[2-(2,2’‐ビピリジン‐6‐イル) ‐1,3,4‐オキサジアゾ‐5‐イル]ベンゼン、3 tert‐ブチル‐9,10‐ジ(ナフト‐2-イル)アン ラセン、2,2’,7,7’-テトラキス(2,2’-ジフェ ニルビニル)スピロ-9,9’‐ビフルオレン、1,3 ビス(カルバゾール‐9‐イル)ベンゼン、4,4 -ビス(9-カルバゾールイル)-2,2’-ジメチル- フェニル、4,4’‐ビス(カルバゾール‐9‐イ ル)‐9,9‐ジメチル‐フルオレン、4,4’‐ビ (カルバゾール‐9‐イル)‐9,9‐ジ‐トルイ ‐フルオレン、2,7‐ビス(9‐カルバゾールイ ル)‐9,9‐スピロビフルオレン、2,2’,2’’‐ (1,3,5‐ベンゼントリイル)-トリス(1‐フェニ ‐1‐H‐ベンズイミダゾール)、トリス(8-キ リノール)アルミニウム錯体、及び、ビス(2- チル-8-キノリラト)(p-フェニルフェノラート )アルミニウム錯体から選ばれる少なくとも1 の残基を有するものを挙げることができる

 前記発光層は、さらに、ガラス転位温度 び融点が90℃以上の少なくとも1種のバイン ー成分を含有することが好ましい。前記発 層のバインダー成分として、ガラス転位温 及び融点が90℃以上の化合物を用いること よって、高温条件下におけるバインダー成 の軟化が抑制され、さらに量子ドットの凝 を抑えることができるからである。

 さらに、前記発光層を構成する全成分の ラス転位温度及び融点が90℃以上である場 、駆動時の該発光層における量子ドットの 動性の高まりが抑えられ、より量子ドット 凝集を抑制することが可能である。

 本発明によれば、90℃のような高温条件 においても、発光材料である量子ドットの 集が抑制されており、長期間にわたる発光 性の維持が可能な高い耐久性を有するEL素子 を提供することが可能である。

図1(a)は本発明のEL素子の一形態例を示 断面概略図、図1(b)は発光層を示す図である 。 図2は本発明のEL素子の他の一形態例を す断面概略図である。

 本発明のEL素子は、一対の電極と、一対 電極間に配置され、少なくとも発光層を含 エレクトロルミネッセンス層(EL層)と、を備 るエレクトロルミネッセンス素子(EL素子)で あって、前記発光層は、少なくとも1種の保 材料によりその表面が保護された量子ドッ を含有しており、該保護材料の少なくとも1 が、90℃以上のガラス転位温度及び融点を することを特徴とする。

 本発明のEL素子は、発光材料として、量 ドットを用いる。量子ドットの発光により られる光の波長は、量子サイズ効果により その結晶の微粒子のサイズに依存すること ら、微粒子のサイズの制御により種々の波 の光を得ることできる。一方で、量子ドッ が凝集することによって、結晶構造が変化 、発光色の変化或いは消光が生じるおそれ ある。また、量子ドットを含有する発光層 おける量子ドットの凝集は、発光層の相分 等を引き起こし、発光ムラを生じさせる他 発光層における電子、正孔の移動性の変化 励起子の生成効率の低下によって、発光効 の低下を招く。

 そこで、本発明では、発光材料として含 される量子ドットの表面を、ガラス転位温 及び融点が90℃以上の保護材料(以下、耐熱 保護材料ということがある。)により保護す ることによって、90℃以上のような高温条件 における該保護材料の軟化を抑制し、保護 料の軟化に起因する量子ドットの凝集の防 を可能とした。つまり、従来のガラス転位 度や融点が低い保護材料で保護された量子 ットを用いたEL素子においては、保護材料 軟化し、量子ドットの移動性が高まる結果 量子ドットの凝集が生じていたような高温 件でも、本発明のEL素子では、量子ドットの 凝集が生じにくく、その分散状態を保持する ことができる。

 従って、本発明のEL素子によれば、量子 ットの凝集に起因する量子ドットの発光色 変化、消光を防止することが可能である。 らには、量子ドットの凝集による発光層の 分離に起因する発光ムラ、発光層における 子、正孔の移動性の変化、及び、励起子の 成効率の低下による発光効率低下などを防 することが可能である。すなわち、本発明 EL素子は、長期間にわたってその発光特性を 維持することが可能であり、耐久性に優れて いる。

 量子ドットとしては、半導体のナノメート サイズの微粒子(半導体ナノ結晶)であり、 子閉じ込め効果(量子サイズ効果)を生じる発 光材料であれば特に限定されない。具体的に は、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、S rTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、C dTe、HgS、HgSe及びHgTeのようなII-VI族半導体化 物、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、I nN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs及びTiSbのよう なIII-V族半導体化合物、Si、Ge及びPbのようなI V族半導体等を含有する半導体結晶の他、InGaP のような3元素以上を含んだ半導体化合物が げられる。或いは、上記半導体化合物に、Eu 3+ 、Tb 3+ 、Ag + 、Cu + のような希土類金属のカチオン又は遷移金属 のカチオンをドープしてなる半導体結晶を用 いることができる。
 中でも、作製の容易性、可視域での発光を られる粒径の制御性、蛍光量子収率の観点 ら、CdS,CdSe,CdTe、InGaP等の半導体結晶が好適 ある。

 量子ドットは、1種の半導体化合物からな るものであっても、2種以上の半導体化合物 らなるものであってもよく、例えば、半導 化合物からなるコアと、該コアと異なる半 体化合物からなるシェルとを有するコアシ ル型構造を有していてもよい。コアシェル の量子ドットとしては、励起子が、コアに じ込められるように、シェルを構成する半 体化合物として、コアを形成する半導体化 物よりもバンドギャップの高い材料を用い ことで、量子ドットの発光効率を高めるこ ができる。このようなバンドギャップの大 関係を有するコアシェル構造(コア/シェル) しては、例えば、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、C dTe/CdS等が挙げられる。

 量子ドットのサイズは、所望の波長の光 得られるように、量子ドットを構成する材 によって、適宜調節すればよい。量子ドッ は粒径が小さくなるに従い、エネルギーバ ドギャップが大きくなる。すなわち、結晶 イズが小さくなるにつれて、量子ドットの 光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へ シフトする。そのため、量子ドットのサイ を変化させることにより、紫外領域、可視 域、赤外領域のスペクトルの波長領域にわ って、その発光波長を調節することができ 。

 一般的には、量子ドットの粒径(直径)は0.5~2 0nmの範囲であることが好ましく、特に1~10nmの 範囲であることが好ましい。尚、量子ドット のサイズ分布が狭いほど、より鮮明な発光色 を得ることができる。
 また、量子ドットの形状は特に限定されず 球状、棒状、円盤状、その他の形状であっ もよい。量子ドットの粒径は、量子ドット 球状でない場合、同体積を有する真球状で ると仮定したときの値とすることができる

 量子ドットの粒径、形状、分散状態等の 報については、透過型電子顕微鏡(TEM)によ 得ることができる。また、量子ドットの結 構造、また粒径については、X線結晶回折(XRD )により知ることができる。さらには、UV-Vis 収スペクトルによって、量子ドットの粒径 表面に関する情報を得ることもできる。

 本発明において、量子ドットは、その表面 保護材料が付着し、保護材料により保護さ た状態で発光層に含有される。この保護材 としてガラス転位温度及び融点が90℃以上 ある化合物を用いる点が本発明の大きな特 である。
 ここで、量子ドット表面が保護材料で保護 れているとは、量子ドットの表面に保護材 が付着した状態である。そして、量子ドッ 表面に保護材料が付着しているとは、保護 料が量子ドットの表面に配位結合している 、量子ドット表面と保護材料間に相互作用( 引力)が生じ、量子ドットの表面に保護材料 存在している状態を含む。尚、量子ドット 表面は、保護材料によって完全に被覆され いなくてもよく、量子ドットの表面の一部 露出していてもよい。
 量子ドットの表面に保護材料が付着してい ことは、表面分析方法のひとつであるX線光 電子分析(XPS)を用いて、保護材料に含有され 元素が含まれていることを調べることによ 確認することができる。

 量子ドットは、ガラス転位温度及び融点 90℃以上の保護材料(以下、単に耐熱性保護 料ということがある)が少なくとも1種、そ 表面に付着していれば、ガラス転位温度及 融点が90℃以上の耐熱性保護材料が2種以上 着していてもよいし、耐熱性保護材料以外 保護材料が付着していてもよい。

 耐熱性保護材料は、ガラス転位温度及び融 が90℃以上であり、量子ドットの表面に付 してその凝集を抑制することができれば、 に限定されないが、量子ドットの凝集をよ 確実に抑制可能であることから、ガラス転 温度及び融点が110℃以上、さらに、130℃以 であることが好ましい。一方、溶媒への溶 性の観点から、耐熱性保護材料のガラス転 温度及び融点は、一般には200℃以下である とが好ましい。
 保護材料のガラス転位温度及び融点は、例 ば、以下のような方法によりにより知るこ ができる。すなわち、試料の温度をゆっく と上昇又は下降させながら、熱分析装置に 厚さ方向の熱膨張量を測定するTMA法や、試 の温度をゆっくりと上昇又は下降させなが 、示差走査熱量計にて発熱量や吸熱量を測 するDSC法、試料の温度をゆっくりと上昇又 下降させながら、粘弾性測定装置にて試験 の動的粘弾性及び損失正接を測定するDMA法( 引張り法)等が挙げられる。

 耐熱性保護材料としては、例えば、1分子 中に親水基を1残基以上、及び、疎水基を有 る有機化合物が挙げられる。このように1分 中に親水基と疎水基が共存する有機化合物( 以下、親水基含有保護材料ということがある )は、親水基が量子ドットを構成する金属と 親和性を有しており、親水基によって、量 ドットの表面に付着することができる。該 水基含有保護材料としては、疎水基の片末 又は両末端に親水基が結合している有機化 物が好ましい。

 親水基含有保護材料において、親水基と ては、量子ドット表面に付着可能な官能基 あれば特に限定されず、例えば、カルボキ ル基、アミノ基、水酸基、チオール基、ア デヒド基、スルホン酸基、アミド基、スル ンアミド基、リン酸基、ホスフィン基、ホ フィンオキシド基などを挙げることができ 。中でも、量子ドットとの親和性が高いこ から、親水基は、カルボキシル基、アミノ 、水酸基又はホスフィンオキシド基から選 れる1種であることが好ましい。

 親水基含有保護材料のガラス転移温度及び 点は、主に、分子量が大きく、主たる成分 ある疎水基により左右されると考えられる 従って、親水基含有保護材料の疎水基とし 、該親水基含有保護材料のガラス転移温度 び融点を90℃以上とするような構造を選択 ることによって、ガラス転移温度及び融点 90℃以上の耐熱性保護材料を得ることが可能 であると考えられる。
 このような耐熱性を有する疎水基としては 例えば、剛直な分子構造を有するもの、立 障害を有するもの、多量体等の分子数の大 なもの等が挙げられ、具体的には、芳香族 を含有する基及びその多量体等が挙げられ 。より具体的には、置換基を有していても いフェニル基、ナフチル基、ピリジル基、 ロール基等の芳香族基を含有(これら芳香環 が連結、縮合等する構造も含む)する基等が げられる。
 発光層における導電性の確保という観点か は、保護材料は、電荷輸送性を有するもの 好ましい。以下、電荷輸送性を有する疎水 について、例示する。電荷輸送性を有する 水基としては、有機EL素子の発光層におい 、いわゆるホスト材料として使用可能な化 物及びその誘導体の残基を挙げることがで る。

 具体的には、例えば、テトラフェニルブ ジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体 アリールアミン誘導体、オキサジアゾール 導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリ ベンゼン誘導体、ジスチリルピラジン誘導 、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール 導体、カルバゾール誘導体、アントラセン 導体、ジナフチルアントラセン誘導体、フ ニルアントラセン誘導体、チオフェン環化 物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、 リレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、 リフマニルアミン誘導体、クマリン誘導体 オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダ マー、フェナントロリン類、ベンズイミダ ール誘導体等の残基を挙げることができる また、これらにフルオレン基やスピロ基を 入した化合物の残基も用いることができる

 より具体的には、例えば、トリフェニルア ン誘導体としては、4,4’,4’’-トリス[2-ナ チル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン( 2-TNATA:Tg=110℃、融点110℃以上)、4,4’,4’’-ト リ(N-カルバゾールイル)トリフェニルアミン(T CTA:Tg=151℃、融点151℃以上)等が挙げられる。 リールアミン誘導体としては、ビス(N-(1-ナ チル-N-フェニル)ベンジジン)(α-NPD:Tg=95℃、 点95℃以上)等が挙げられる。
 オキサジアゾール誘導体としては、1,3-ビス [2-(2,2’‐ビピリジン‐6‐イル)‐1,3,4‐オキ ジアゾ‐5‐イル]ベンゼン(Bpy-OXD:Tg=102℃、 点102℃以上)等が挙げられる。ジナフチルア トラセン誘導体としては、3‐tert‐ブチル 9,10‐ジ(ナフト‐2-イル)アントラセン(TBADN:Tg =130℃、融点130℃以上)等が挙げられる。

 ジスチリルアリーレン誘導体としては、2,2 ,7,7’-テトラキス(2,2’-ジフェニルビニル) ピロ-9,9’‐ビフルオレン(spiro‐DPVBi:Tg=130℃ 融点130℃以上)等が挙げられる。
 カルバゾール誘導体としては、4,4’-ビス(9- カルバゾールイル)-2,2’-ジメチル-ビフェニ (CDBP:Tg=111℃、融点111℃以上)、1,3‐ビス(カル バゾール‐9‐イル)ベンゼン(MCP:Tg=90℃以上、 融点90℃以上)、4,4’‐ビス(カルバゾール‐9 イル)‐9,9‐ジメチル‐フルオレン(DMFL-CBP:Tg =131℃、融点131℃以上)、4,4’‐ビス(カルバゾ ール‐9‐イル)‐9,9‐ジ‐トルイル‐フルオ ン(DPFL-CBP:Tg=158℃、融点158℃以上)、2,7‐ビ (9‐カルバゾールイル)‐9,9‐スピロビフル レン(Spiro-2CBP:Tg=174℃、融点174℃以上)等が挙 られる。

 ベンズイミダゾール誘導体としては、2,2 ,2’’‐(1,3,5‐ベンゼントリイル)-トリス(1 フェニル‐1‐H‐ベンズイミダゾール)(TPBi:T g=122℃以上、融点122℃以上)が挙げられる。

 また、以下のような金属錯体の残基も上記 水基とすることができる。例えば、アルミ ウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノー ベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛 体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチ 亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロ ウム錯体、イリジウム金属錯体、プラチナ 属錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be、Ir、Pt等 、またはTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配 位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、 フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾ ール、キノリン構造等を有する金属錯体等を 挙げることができる。
 具体的には、アルミニウムキノリノール錯 として、トリス(8-キノリノール)アルミニウ ム錯体(Alq 3 :Tg=約183℃、融点183℃以上)、ビス(2-メチル-8- ノリラト)(p-フェニルフェノラート)アルミ ウム錯体(BAlq:Tg=90℃以上、融点90℃以上)等を 挙げることができる。

 さらには、以下のような高分子化合物の 基もまた、上記疎水基とすることができる 例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導 、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニ ン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチ ン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリ ルオレノン誘導体、ポリフルオレン誘導体 ポリキノキサリン誘導体、ポリジアルキル ルオレン誘導体、およびそれらの共重合体 を挙げることができる。また、疎水基とし 上記列挙した各化合物を高分子化したもの 挙げられる。

 中でも、上記疎水基として、4,4’,4’’- リス[2-ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェ ルアミン、4,4’,4’’-トリ[N-カルバゾール ル]トリフェニルアミン、ビス(N-(1-ナフチル -N-フェニル)ベンジジン)、1,3-ビス[2-(2,2’‐ ピリジン‐6‐イル)‐1,3,4‐オキサジアゾ‐5 ‐イル]ベンゼン、3‐tert‐ブチル‐9,10‐ジ( フト‐2-イル)アントラセン、2,2’,7,7’-テ ラキス(2,2’-ジフェニルビニル)スピロ-9,9’ ビフルオレン、1,3‐ビス(カルバゾール‐9 イル)ベンゼン、4,4’-ビス(9-カルバゾールイ ル)-2,2’-ジメチル-ビフェニル、4,4’‐ビス( ルバゾール‐9‐イル)‐9,9‐ジメチル‐フ オレン、4,4’‐ビス(カルバゾール‐9‐イル )‐9,9‐ジ‐トルイル‐フルオレン、2,7‐ビ (9‐カルバゾールイル)‐9,9‐スピロビフル レン、2,2’,2’’‐(1,3,5‐ベンゼントリイル )-トリス(1‐フェニル‐1‐H‐ベンズイミダゾ ール)、トリス(8-キノリノール)アルミニウム 体、ビス(2-メチル-8-キノリラト)(p-フェニル フェノラート)アルミニウム錯体及びこれら 誘導体から選ばれる少なくとも1種の残基を する親水基含有保護材料が好ましい。

 また、本発明においては、1分子中に親水基 を1残基以上及び疎水基を有し、該疎水基と て以下のような有機化合物の残基を有する 護材料が、量子ドット表面に付着していて よい。
 すなわち、下記に挙げるような蛍光発光又 燐光発光する、いわゆるドーパントの残基 疎水基として有する有機化合物が量子ドッ の表面に付着していてもよい。例えば、蛍 発光を示すものとして、ペリレン誘導体、 マリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリ ン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィ ン誘導体、スチリル色素、テトラセン誘導 、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェ キサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾ ル誘導体、フルオレン誘導体等の残基を挙 ることができる。具体的には、2,5,8,11‐テ ラ‐tert‐ブチルペリレン(TBPe)、クマリン6、 ナイルレッド、1,1,4,4-テトラフェニル-1,3-ブ ジエン(TPB)等の残基を挙げることができる。

 さらに、燐光系のドーパントである、白金 イリジウムなどの重金属イオンを中心に有 、燐光を示す有機金属錯体の残基を疎水基 して有する有機化合物も保護材料として使 することができる。具体的には、Ir(ppy) 3 、(ppy) 2 Ir(acac)、Ir(BQ) 3 、(BQ) 2 Ir(acac)、Ir(THP) 3 、(THP) 2 Ir(acac)、Ir(BO) 3 、(BO) 2 (acac)、Ir(BT) 3 、(BT) 2 Ir(acac)、Ir(BTP) 3 、(BTP) 2 Ir(acac)、FIr 6 、PtOEP等の残基を挙げることができる。
 上記ドーパントの残基のうち、90℃以上のTg 及び融点を有するものは、上記耐熱性保護材 料の疎水基としても利用可能である。

 耐熱性保護材料の量子ドット表面への付 量は、保護材料による所望の効果が得られ ば特に限定されるものでなく、量子ドット 保護材料の種類によって異なるが、通常、 子ドットの保護材料として上記耐熱性保護 料のみを用いる場合には、耐熱性保護材料 量子ドットの表面を最密充填している状態 好ましい。耐熱性保護材料と共にその他の 護材料を用いる場合には、これら保護材料 体で量子ドットの表面を最密充填すること 好ましい。

 上記保護材料で保護された量子ドットの製 方法は、特に限定されないが、保護材料の 子ドット表面への導入容易性、量子ドット 粒径の制御性、製造工程の簡便性等の観点 ら、液相にて量子ドットの結晶を成長させ 液相法が好適である。液相法としては、例 ば、共沈法、逆ミセル法、ホットソープ法 を挙げることができ、特にホットソープ法 好適である。
 ホットソープ法とは、目的とする量子ドッ の前駆体の少なくとも1種を高温に加熱した 分散剤中で熱分解させる結果、開始する反応 により結晶の核生成と結晶成長とを進行させ る方法である。この結晶の核生成及び結晶成 長の過程の反応速度を制御する目的で、目的 とする量子ドットの構成元素に配位力のある 分散剤が液相媒体を構成する必須成分として 使用される。ホットソープ法は、粒径分布の 狭く、且つ、溶液中における分散性に優れた 量子ドットを得ることができる。

 以下、ホットソープ法による量子ドットの 造方法について詳しく説明する。
 量子ドット前駆体としては、上述したよう 半導体化合物を含む量子ドットを形成する とが可能なものであれば特に限定されない 例えば、上記したようなII-VI族半導体化合 、III-V族半導体化合物を含有する量子ドット を得るためには、該半導体化合物を構成する 原子の供給源となる化合物、例えば、(1)II族 び/又はIII族を含有する無機化合物、有機金 属化合物或いは元素金属と、(2)VI族及び/又は V族を含有し、上記II族及び/又はIII族を含有 る化合物或いは金属元素(1)と反応して上記 導体化合物を形成できる化合物とを組み合 せて用いたり、或いは、II族及び/又はIII族 VI族及び/又はV族とを共に含有する化合物を いることができる。

 具体的には、化合物(2)として、ビス(トリメ チルシリル)セレニド[(TMS) 2 Se];(トリ-n-オクチルホスフィン)セレニド[TOPSe ]やトリ-n-ブチルホスフィン)セレニド[TBPSe]等 のトリアルキルホスフィンセレニド;(トリ-n- クチルホスフィン)テルリド[TOPTe]やヘキサ ロピルホスホラストリアミドテルリド[HPPTTe] 等のトリアルキルホスフィンテルリド;ビス( リメチルシリル)テルリド[(TMS) 2 Te];ビス(トリメチルシリル)スルフィド[(TMS 2 S);(トリ-n-オクチルホスフィン)スルフィド[TOP S]等のトリアルキルホスフィンスルフィド;ハ ロゲン化アンモニウム(例えば、NH 4 Clなど)等のアンモニウム塩;トリス(トリメチ シリル)ホスフィド[(TMS) 3 P];トリス(トリメチルシリル)アルセニド[(TMS) 3 As];トリス(トリメチルシリル)アンチモニド[(T MS) 3 Sb)等が挙げられる。

 上記のような量子ドット前駆体は、上記 散剤を含有する液相に溶解可能であること 好ましい。このような液相を構成する溶媒 しては、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタ 、イソオクタン、ノナン、デカン等のアル ン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナ タレン等の芳香族炭化水素、ジフェニルエ テル、ジ(n-オクチル)エーテル等のエーテル 、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロ エタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベン ゼン等のハロゲン系炭化水素、n-ヘキシルア ン、n-オクチルアミン、トリ(n-ヘキシル)ア ン、トリ(n-オクチル)アミン等のアミン類、 あるいは後述する分散剤に用いられる化合物 等が挙げられる。これらの中でも、n-ヘキサ 、n-ヘプタン、n-オクタン、イソオクタン等 のアルカン類、あるいはトリブチルホスフィ ン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチル ホスフィン等のトリアルキルホスフィン類、 エーテル類が好ましく用いられる。

 分散剤としては、高温液相において量子 ットの微結晶に配位して安定化する物質で れば特に限定されるものではないが、例え トリブチルホスフィン、トリヘキシルホス ィン、トリオクチルホスフィン等のトリア キルホスフィン類、トリブチルホスフィン キシド、トリヘキシルホスフィンオキシド トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、ト デシルホスフィンオキシド等の有機リン化 物、オクチルアミン、デシルアミン、ドデ ルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデ ルアミン、オクタデシルアミン等のω-アミ アルカン類、トリ(n-ヘキシル)アミン、トリ (n-オクチル)アミン等の第3級アミン類、ピリ ン、ルチジン、コリジン、キノリン類の含 素芳香族化合物等の有機窒素化合物、ジブ ルスルフィド等のジアルキルスルフィド類 ジメチルスルホキシドやジブチルスルホキ ド等のジアルキルスルホキシド類、チオフ ン等の含硫黄芳香族化合物等の有機硫黄化 物、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイ 酸等の高級脂肪酸、1-アダマンタンカルボ 酸等が挙げられる。

 これらの中でも、トリブチルホスフィン、 リオクチルホスフィン等のトリアルキルホ フィン類、トリブチルホスフィンオキシド トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)等の リアルキルホスフィンオキシド類、ドデシ アミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシ アミン等の炭素数12以上のω-アミノアルカ 類等の分子構造中に窒素原子又はリン原子 含む化合物が好ましく用いられる。
 より好ましいものとしては、トリブチルホ フィン、トリオクチルホスフィン等のトリ ルキルホスフィン類、トリブチルホスフィ オキシドやトリオクチルホスフィンオキシ 等のトリアルキルホスフィンオキシド類等 炭素-リン単結合を有する化合物が挙げられ る。特に、トリオクチルホスフィンオキシド 等のトリアルキルホスフィンオキシド類は好 適に用いられる。
 これらの分散剤は、単独で用いても、必要 応じ複数種を混合して使用してもよい。

 さらに、上記分散剤は、適当な有機溶剤( 例えばトルエン、キシレン、ナフタレン等の 芳香族炭化水素、オクタン、デカン、ドデカ ン、オクタデカン等の長鎖アルカン類、ジフ ェニルエーテル、ジ(n-オクチル)エーテル、 トラヒドロフラン等のエーテル類、ハロゲ 系炭化水素等)で希釈して使用してもよい。

 分散剤を含有する液相の加熱温度としては 上記分散剤および量子ドット前駆体が溶解 る温度であれば特に限定されるものではな 、圧力条件等によっても異なるものである 、通常は150℃以上とする。また、この加熱 度は比較的高い方が好ましい。高温に設定 ることにより分散剤に注入された量子ドッ 前駆体が一斉に分解することで、多数の核 一気に生成するために、比較的粒径の小さ 量子ドットが得られやすくなり、量子ドッ の粒径制御が容易になるからである。
 また、この加熱した分散剤への量子ドット 駆体の注入方法としては、特に限定されな 。

 上記量子ドット前駆体を加熱した分散剤 注入した後、量子ドットを形成する際の反 温度としては、上記分散剤および量子ドッ 前駆体が溶融または有機溶媒に溶解する温 であり、かつ、結晶成長が起こる温度であ ば特に限定されるものではなく、圧力条件 によっても異なるものであるが、通常は150 以上とする。

 尚、コアシェル型の量子ドットを得る方法 しては、上記ホットソープ法により、まず コアとなる半導体化合物微粒子を調製し、 半導体化合物微粒子からなるコアの表面に ホットソープ法によりシェルを形成する方 が挙げられる。
 具体的には、分散剤を加熱し、この加熱し 分散剤にコア部を形成する半導体化合物微 子、及びシェル部の半導体化合物の前駆体 注入することによって、コア部がシェル部 被覆されたコアシェル型量子ドットを得る とができる。ホットソープ法において使用 きる分散剤、溶媒は、上記と同様にするこ ができる。

 コア部を形成する半導体微粒子及びシェル の前駆体の分散剤への注入は、同時に注入 ても、コア部微粒子を先に注入してもよい 、コア部微粒子を注入した後に、シェル部 駆体を徐々に注入することが好ましい。シ ル部前駆体を先に注入したり、一度に大量 注入したりすると、シェル部前駆体による 生成が起こり、シェル部のみから構成され 微粒子が形成される可能性があるからであ 。
 上記コア部微粒子及びシェル部前駆体を加 した分散剤に注入した後の、コア部をシェ 部で被覆する際の反応温度としては、上記 散剤及びシェル部前駆体が溶融又は有機溶 に溶解する温度であり、且つ、シェル部の 成材料の結晶成長が起こる温度であれば特 限定されるものではなく、圧力条件等によ ても異なるものであるが、通常は100℃以上 する。
 尚、ホットソープ工程は、通常、アルゴン ス、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で われる。

 ホットソープ法により得られた量子ドッ は、通常、上記分散剤と分離する。分離方 としては、例えば遠心分離、浮上分離、泡 分離等の沈降分離法、ケークろ過、清澄ろ 等のろ過法、圧搾法が挙げられる。

 以上のようにして、得られた量子ドット 、その表面に上記ホットソープ法において 用した上記分散剤の一部が付着した状態で る。該分散剤として、90℃以上のガラス転 温度及び融点を有するものを用いた場合、 分散剤が耐熱性保護材料として機能するた 、該分散剤が付着した量子ドットはそのま 使用することができる。

 しかしながら、該分散剤のガラス転位温度 び/又は融点が90℃未満である場合には、該 散剤を、ガラス転位温度及び融点が90℃以 の耐熱性保護材料で置換することによって 本発明のEL素子において使用可能な耐熱性保 護材料で保護された量子ドットを得ることが できる。
 耐熱性保護材料による置換方法としては、 に限定されず、例えば、多量の耐熱性保護 料と、量子ドットを、不活性ガス雰囲気下 、溶媒中、混合しながら加熱することで、 子ドットの表面に付着していた分散剤を、 量に存在する耐熱性保護材料に置換するこ ができる。置換したい耐熱性保護材料の添 量は、特に限定されないが、通常は量子ド トに対して重量比で5倍以上であればよい。 また、加熱時間は通常1~48時間である。

 量子ドットは、TOPO等の一般的な従来の保 護材料で保護されたものが市販品として入手 可能であり、このような市販品の保護材料を 、ガラス転移温度及び融点が90℃以上の耐熱 保護材料に置換することにより、耐熱性保 材料で保護された量子ドットを得ることも きる。保護材料の置換方法は、上記したよ な方法を採用することができる。

 ここまで、本発明のEL素子に使用される耐 性保護材料で保護された量子ドットについ 説明してきたが、以下、本発明のEL素子につ いて、図1~図2を用いて説明する。図1~図2は、 本発明のEL素子の一形態例を示す断面概略図 ある。
 図1及び図2において、EL素子1は、基板2上に 第一電極3と、発光層4を含むEL層6と、第一 極3の対極である第二電極7がこの順に積層さ れた積層構造を有するものである。

 ここで、後にも述べるように、EL層6は、少 くとも発光層4を含めば、発光層4のみの単 構造であっても、複数の層からなる積層構 を有する(図1及び図2参照)ものであってもよ 。また、本発明のEL素子は、電極及びEL層以 外の層を備えていてもよい。
 以下、EL素子の各構成について説明する。

 (基板)
 基板2は、第一電極3以降の各層、すなわち 図1及び図2においては、第一電極3、EL層6及 第二電極7を支持するものである。基板は、 板2側から発光によって生じた光を取り出す 場合には透明性を有することが好ましいが、 第二電極7側から光を取り出す場合には、必 しも透明性を有する必要はない。

 透明性を有する基板としては、例えば、 ーダ石灰ガラス、アルカリガラス、鉛アル リガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケ 酸ガラス、シリカガラス等のガラス基板;フ ィルム状に成形が可能な樹脂基板;などを用 ることができる。

 樹脂基板に用いられる樹脂としては、耐 剤性及び耐熱性の比較的高いものであるこ が好ましい。具体的には、フッ素系樹脂、 リエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビ ル、ポリフッ化ビニル、ポリスチレン、ABS 脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエ テル、ポリカーボネート、変性ポリフェニ ンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレー 、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサル ォン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポ フェニレンスルフィド、液晶性ポリエステ 、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレ ト、ポリミクロイキシレンジメチレンテレ タレート、ポリオキシメチレン、ポリエー ルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン ポリアクリレート、アクリロニトリル-スチ レン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラ ミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキ シ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、非 晶質ポリオレフィン等が挙げられる。また、 これらの共重合体を用いることもできる。さ らに必要に応じて、水分や酸素等のガスを遮 断するガスバリア性を有する基板を用いても よい。

 基板2の厚みとしては、基板2を構成する 料やEL素子の用途により、それぞれ適切に選 択されることが好ましいが、0.005mm~5mm程度で る。

 (電極)
 基板上に設けられる一対の電極(第一電極3 び第二電極7)は、基板2側に設けられる電極( 一電極)が陽極であっても陰極であってもよ いが、一般に、EL素子を作製する際には、陽 側から積層する方が安定してEL素子を作製 ることができるため、基板2側に形成される 一電極3が陽極であることが好ましい。
 第一電極及び第二電極のうち、光の取出し 側となる電極は透明である必要がある。一 、光の取出し面と反対側の電極は、透明で ってもなくてもよい。
 また、第一電極及び第二電極は抵抗が小さ ことが好ましく、一般には導電性材料であ 金属材料が用いられるが、有機化合物又は 機化合物を用いてもよい。

 陽極に用いられる材料としては、正孔が 入しやすいように仕事関数の大きい導電性 料を用いることが好ましい。例えば、Au、Ta 、W、Pt、Ni、Pd、Cr、Cu、Mo、アルカリ金属、 ルカリ土類金属等の金属;これらの金属の酸 物;AlLi、AlCa、AlMg等のAl合金、MgAg等のMg合金 Ni合金、Cr合金、アルカリ金属の合金、アル カリ土類金属の合金等の合金;酸化インジウ 錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛( ZnO)、酸化インジウム等の無機酸化物;金属ド プされたポリチオフェン、ポリアニリン、 リアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘 体、ポリシラン誘導体等の導電性高分子;α- Si、α-SiC;などが挙げられる。これらの導電性 材料は、単独で用いても、2種類以上を組み わせて用いてもよい。2種類以上を用いる場 には、各材料からなる層を積層してもよい

 陰極に用いられる材料としては、電子が 入しやすいように仕事関数の小さい導電性 料を用いることが好ましい。例えば、MgAg等 のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアル ミニウム合金、Li、Cs、Ba、Sr、Ca等のアルカ 金属類およびアルカリ土類金属類の合金な が挙げられる。

 第一電極及び第二電極の成膜方法として 、一般的な電極の形成方法を用いることが き、例えば真空蒸着法、スパッタリング法 EB蒸着法、イオンプレーティング法等の物 的蒸着(PVD)法、あるいは、化学的蒸着(CVD)法 どを挙げることができる。また、第一電極 び第二電極のパターニング方法としては、 望のパターンに精度よく形成することがで る方法であれば特に限定されるものではな が、具体的にはフォトリソグラフィー法等 挙げることができる。

 (EL層)
 EL層は、少なくとも発光層を含むものであ 。
 EL層6は、発光層4(量子ドット含有層)単独で 成され得るが、電子や正孔の注入性、輸送 を向上させる目的で、発光層に加えて、正 注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸 層等の種々の層を積層した積層構造とする ともできる。これらEL層を構成する各層は 一層で複数の機能を併せ持つ層とすること できる。例えば、正孔輸送層と正孔注入層 機能を併せ持つ正孔注入輸送層や、電子輸 層と電子注入層の機能を併せ持つ電子注入 送層とすることができる。或いは、発光層 電子輸送層の機能を付与したり、発光層に 孔輸送層の機能を付与することもできる。

 その他、EL層内に形成される層としては キャリアブロック層のような正孔又は電子 突き抜けを防止し、さらに励起子の拡散を 止して発光層内に励起子を閉じ込めること より、再結合効率を高めるための層等を挙 ることができる。

 EL層の具体的な積層構造としては、特に 定されず、発光層と上記したような各層と 適宜積層することができる。例えば、陽極 から順に、正孔輸送層5/発光層4(図1(a)参照) 正孔輸送層5/発光層4/電子注入層8(図2参照)、 正孔注入層/正孔輸送層/発光層、正孔注入層/ 正孔輸送層/発光層/電子輸送層、正孔注入層/ 正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送 層、が積層したような積層構造が挙げられる 。

 以下に、発光層、正孔注入層、正孔輸送層 電子輸送層、電子注入層の各層について説 する。
 (1)発光層
 発光層4は、特定の保護材料(耐熱性保護材 )4bで保護された量子ドット4aを含有し、電子 と正孔との再結合の場を提供して発光する機 能を有するものである(図1(b))。発光層におい て、電子と正孔が再結合する位置は特に限定 されず、量子ドットであってもよいし、量子 ドットの保護材料であってもよいし、量子ド ット及び保護材料以外の発光層構成材料(バ ンダー成分等)であってもよい。

 発光層としては、青色、緑色、黄色、橙 、赤色等の単色発光するものであってもよ 、複数色の混色により白色発光するもので ってもよく、三原色の発光パターンが配列 れたものであってもよい。白色発光は、複 の発光体からの発光の重ねあわせにより得 ことができる。白色発光する発光層は、例 ば、所定のピーク波長を有する2種類の発光 体の2色発光の重ねあわせにより白色発光を るものであってもよく、所定のピーク波長 有する3種類の発光体の3色発光の重ねあわせ により白色発光を得るものであってもよい。

 量子ドット及びその保護材料については既 したため、ここでは説明を省略する。
 本発明において、発光層に含有される発光 料としては、量子ドット以外の材料、例え 、有機EL素子において使用されているよう 発光材料を、量子ドットと併用してもよい 具体的には、以下のような、色素系発光材 、金属錯体系発光材料、高分子系発光材料 挙げることができる。

 色素系発光材料としては、シクロペンタ エン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘 体、トリフェニルアミン誘導体、アリール ミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピ ゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン 導体、ジスチリルピラジン誘導体、ジスチ ルアリーレン誘導体、シロール誘導体、カ バゾール誘導体、チオフェン環化合物、ピ ジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン 導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマ ルアミン誘導体、クマリン誘導体、オキサ アゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、 ェナントロリン類等を挙げることができる

 具体的に、トリフェニルアミン誘導体とし は、N,N’-ビス-(3-メチルフェニル)-N,N’-ビ -(フェニル)-ベンジジン(TPD)、4,4,4-トリス(3- チルフェニルフェニルアミノ)トリフェニル ミン(MTDATA)、4,4’,4’’-トリス[2-ナフチル( ェニル)アミノ]トリフェニルアミン(2-TNATA) 4,4’,4’’-トリ(N-カルバゾールイル)トリフ ニルアミン(TCTA)等が挙げられる。
 アリールアミン誘導体としては、ビス(N-(1- フチル-N-フェニル)ベンジジン)(α-NPD)等が挙 げられる。オキサジアゾール誘導体としては 、(2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル )-1,3,4-オキサジアゾール)(PBD)、1,3-ビス[2-(2,2 ‐ビピリジン‐6‐イル)‐1,3,4‐オキサジア ‐5‐イル]ベンゼン(Bpy-OXD)等が挙げられる
 ジナフチルアントラセン誘導体としては、3 ‐tert‐ブチル‐9,10‐ジ(ナフト‐2-イル)アン トラセン(TBADN)、9,10-ジ-2-ナフチルアントラセ ン(DNA)等が挙げられる。

 ジスチリルアリーレン誘導体としては、2,2 ,7,7’-テトラキス(2,2’-ジフェニルビニル) ピロ-9,9’‐ビフルオレン(spiro‐DPVBi)、1,4-ビ ス(2,2-ジフェニルビニル)ベンゼン(DPVBi)等が げられる。
 カルバゾール誘導体としては、4,4-N,N’-ジ ルバゾール-ビフェニル(CBP)、4,4’-ビス(9-カ バゾールイル)-2,2’-ジメチル-ビフェニル(CD BP)、1,3‐ビス(カルバゾール‐9‐イル)ベンゼ ン(MCP)、4,4’‐ビス(カルバゾール‐9‐イル) 9,9‐ジメチル‐フルオレン(DMFL-CBP)、4,4’‐ ビス(カルバゾール‐9‐イル)‐9,9‐ジ‐トル イル‐フルオレン(DPFL-CBP)、2,7‐ビス(9‐カル バゾールイル)‐9,9‐スピロビフルオレン(Spir o-2CBP)等が挙げられる。
 フェナントロリン類としては、バソキュプ イン(BCP)、バソフェナントロリン(BPhen)等が げられる。ベンズイミダゾール誘導体とし は、2,2’,2’’‐(1,3,5‐ベンゼントリイル)- トリス(1‐フェニル‐1‐H‐ベンズイミダゾ ル)(TPBi)が挙げられる。
 これらの材料は単独で用いてもよく2種以上 を併用してもよい。

 金属錯体系発光材料としては、アルミニ ムキノリノール錯体、ベンゾキノリノール リリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯 、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル 鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピ ム錯体、イリジウム金属錯体、プラチナ金 錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be、Ir、Pt等、 またはTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位 子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フ ェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾー ル、キノリン構造等を有する金属錯体等を挙 げることができる。

 具体的には、トリス(8-キノリノール)アルミ ニウム錯体(Alq 3 )、ビス(2-メチル-8-キノリラト)(p-フェニルフ ノラート)アルミニウム錯体(BAlq)、トリ(ジ ンゾイルメチル)フェナントロリンユーロピ ム錯体、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリ ム錯体(Bebq)等を挙げることができる。これ の材料は単独で用いてもよく2種以上を併用 てもよい。

 高分子系発光材料としては、ポリパラフ ニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘 体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラ 誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニ カルバゾール、ポリフルオレノン誘導体、 リフルオレン誘導体、ポリキノキサリン誘 体、ポリジアルキルフルオレン誘導体、お びそれらの共重合体等を挙げることができ 。また、上記色素系発光材料および金属錯 系発光材料を高分子化したものも挙げられ 。

 上記したような色素系発光材料、金属錯体 発光材料及び高分子系発光材料(ホスト材料 )は、量子ドットを含有する発光層4において バインダー成分4Cとして作用し、発光層と 接する層から電子、正孔を受け取り、再結 する場として機能する(図1(b))。
 本発明の主目的である、高温条件下におけ 量子ドットの凝集の抑制を、より確実に達 するためには、発光層を構成するバインダ 成分が、90℃以上、特に110℃以上、さらに 130℃以上のガラス転位温度及び融点を有す ことが好ましい。このような高温条件下に いても軟化しにくいバインダー成分を用い ことによって、高温条件下における量子ド トの移動が抑制され、その結果、発光層に ける量子ドットの凝集を防止することがで る。

 90℃以上のガラス転位温度及び90℃以上の融 点を有するバインダー成分(ホスト材料)とし は、例えば、4’,4’’-トリス[2-ナフチル( ェニル)アミノ]トリフェニルアミン(2-TNATA)、 4,4’,4’’-トリ[N-カルバゾールイル]トリフ ニルアミン(TCTA)、ビス(N-(1-ナフチル-N-フェ ル)ベンジジン)(α-NPD)、1,3-ビス[2-(2,2’‐ビ リジン‐6‐イル)‐1,3,4‐オキサジアゾ‐5‐ イル]ベンゼン(Bpy‐OXD)、3‐tert‐ブチル‐9,10 ‐ジ(ナフト‐2-イル)アントラセン(TBADN)、2,2 ,7,7’-テトラキス(2,2’-ジフェニルビニル) ピロ-9,9’‐ビフルオレン(spiro‐DPVBi)、1,3‐ ス(カルバゾール‐9‐イル)ベンゼン(MCP)、4, 4’-ビス(9-カルバゾールイル)-2,2’-ジメチル- ビフェニル(CDBP)、4,4’‐ビス(カルバゾール 9‐イル)‐9,9‐ジメチル‐フルオレン(DMFL-CBP )、4,4’‐ビス(カルバゾール‐9‐イル)‐9,9 ジ‐トルイル‐フルオレン(DPFL-CBP)、2,2’,2 ’‐(1,3,5‐ベンゼントリイル)-トリス(1‐フ ニル‐1‐H‐ベンズイミダゾール)(TPBi)、2,7 ビス(9‐カルバゾールイル)‐9,9‐スピロビ ルオレン(Spiro-2CBP)、トリス(8-キノリノール) アルミニウム錯体(Alq 3 )、及び、ビス(2-メチル-8-キノリラト)(p-フェ ルフェノラート)アルミニウム錯体(BAlq)及び これらの誘導体から選ばれる少なくとも1種 挙げられる。

 また、発光層は、上記のような発光材料 外にも、例えば、ポリカーボネート、ポリ チレン、ポリアリレート、ポリエステル等 バインダー樹脂や、エポキシ樹脂、フェノ ル樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂 ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂等の熱又 光により硬化する硬化性樹脂等を、バイン ー成分として含有していてもよい。これら 脂を発光層に含有させる場合、量子ドット 凝集抑制の観点から、90℃以上のガラス転 温度及び90℃以上の融点を有するものを選択 することが好ましい。

 同様の観点から、さらに、発光層を構成 る材料の全てが、ガラス転位温度及び融点 90℃以上、特に110℃以上、さらには130℃以 であることが好ましい。発光層全体を、90℃ 以上のような高温条件においても軟化しない 構成とすることによって、さらにより確実に 量子ドットの凝集を抑制することが可能であ るからである。

 発光層中には、発光効率の向上、発光波 を変化させる等の目的で、上記発光材料と に、蛍光発光又は燐光発光するドーパント 添加されていてもよい。このようなドーパ トとしては、例えば、ペリレン誘導体、ク リン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリド 誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリ 誘導体、スチリル色素、テトラセン誘導体 ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノ サゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾー 誘導体、フルオレン誘導体等を挙げること できる。具体的には、2,5,8,11‐テトラ‐tert ブチルペリレン(TBPe)、クマリン6、ナイルレ ッド、1,4-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ベンゼ (DPVBi)、1,1,4,4-テトラフェニル-1,3-ブタジエン (TPB)等を挙げることができる。

 さらに、燐光系のドーパントとして、白金 イリジウムなどの重金属イオンを中心に有 、燐光を示す有機金属錯体を使用すること できる。具体的には、Ir(ppy) 3 、(ppy) 2 Ir(acac)、Ir(BQ) 3 、(BQ) 2 Ir(acac)、Ir(THP) 3 、(THP) 2 Ir(acac)、Ir(BO) 3 、(BO) 2 (acac)、Ir(BT) 3 、(BT) 2 Ir(acac)、Ir(BTP) 3 、(BTP) 2 Ir(acac)、FIr 6 、PtOEP等を用いることができる。

 発光層の厚みとしては、電子と正孔との 結合の場を提供して発光する機能を発現す ことができる厚みであれば特に限定されな 、例えば1nm~200nm程度とすることができる。

 発光層を形成する方法としては、EL素子に 求される微細なパターンの形成が可能な方 であれば特に限定されるものではない。例 ば蒸着法、印刷法、インクジェット法、ス ンコート法、キャスティング法、ディッピ グ法、バーコート法、ブレードコート法、 ールコート法、グラビアコート法、フレキ 印刷法、スプレーコート法、もしくは自己 織化法(交互吸着法、自己組織化単分子膜法) 等を挙げることができる。中でも、蒸着法、 スピンコート法、インクジェット法を用いる ことが好ましい。
 蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、ス ッタリング法、イオンプレーティング法等 挙げられ、真空蒸着法の具体例としては、 抗加熱蒸着法、フラッシュ蒸着法、アーク 着法、レーザー蒸着法、高周波加熱蒸着法 電子ビーム蒸着法等が挙げられる。
 スピンコート法やインクジェット法等の塗 液の塗布により発光層を形成する場合、塗 液の溶媒としては、発光層の各構成材料を 解又は分散させることができれば特に限定 れず、例えば、トルエン、キシレン、シク ヘキサノン、シクロヘキサノール、テトラ ン、メシチレン、塩化メチレン、テトラヒ ロフラン、ジクロロエタン、クロロホルム を挙げることができる。

 EL素子を用いて、フルカラー表示若しくは ルチカラー表示のディスプレイを作製する には、異なる色を発光する発光層を微細な 状に形成した上、所定の配列で並べる必要 あることから、発光層のパターニングを要 ることがある。発光層のパターニングは、 なる発光色ごとに、マスキング法により塗 分けや蒸着を行なうか、印刷法若しくはイ クジェット法によって行えばよい。
 配列した発光層間には隔壁を有していても い。隔壁があると、インクジェット法等に って発光層を形成する際に、蛍光体が隣接 た区域に広がらない利点が生じる。隔壁自 は、感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹 等の光硬化型樹脂、または熱硬化型樹脂、 よび無機材料等で形成できる。また、隔壁 形成する材料の表面エネルギー(濡れ性)を 化させる処理が行なわれてもよい。

 (2)正孔注入層
 陽極と発光層の間、或いは、陽極と正孔輸 層の間には、正孔注入層が形成されていて よい。正孔注入層の構成材料としては、発 層内への電子の注入を安定化させることが きる正孔注入性材料であれば特に限定され ものではない。正孔注入性材料としては、 えば、アリールアミン誘導体、ポルフィリ 誘導体、フタロシアニン誘導体、カルバゾ ル誘導体、さらにはポリアニリン誘導体、 リチオフェン誘導体、ポリフェニレンビニ ン誘導体等の導電性高分子などを挙げるこ ができる。

 具体的には、アリールアミン誘導体とし は、ビス(N-(1-ナフチル-N-フェニル)ベンジジ ン(α-NPD)等が挙げられ、トリフェニルアミン 導体としては、N,N’-ビス-(3-メチルフェニ )-N,N´-ビス-(フェニル)-ベンジジン(TPD)、コポ リ[3,3’-ヒドロキシ-テトラフェニルベンジジ ン/ジエチレングリコール]カーボネート(PC-TPD -DEG)、4,4,4-トリス(3-メチルフェニルフェニル ミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げら る。カルバゾール誘導体としては、ポリビ ルカルバゾール(PVK)等が挙げられ、ポリチ フェン誘導体としてはポリ(3,4-エチレンジオ キシチオフェン)-ポリスチレンスルホン酸(PED OT-PSS)等が挙げられる。

 上記のポルフィリン誘導体およびアリール ミン誘導体等は、ルイス酸や四フッ化テト シアノキノジメタン(F4-TCNQ)、塩化鉄、バナ ウムやモリブデンなど無機の酸化物などが 合されていてもよい。
 さらに、正孔注入層には、金属酸化物、炭 物などの無機材料を用いることもできる。 えば、酸化バナジウム、酸化モリブデン、 化ルテニウム、酸化アルミニウムおよび酸 チタン等の金属酸化物;アモルファスカーボ ン、C60、カーボンナノチューブ等の炭化物が 挙げられる。

 また、正孔注入層には、電極との結合基を つ材料を用いることもできる。電極との結 基をもつ材料としては、リン酸化合物、カ ボン酸化合物、スルホン酸化合物、シラン ップリング剤等を挙げることができる。具 的には、4-(トリフルオロメチル)ベンゼンス ルホニルクロリド、4‐クロロフェニルホス ロジクロリダート、9-フルオレニルメチルク ロロホーメート等が挙げられる。
 正孔注入層の厚みとしては、正孔注入機能 十分に発揮される厚みであれば特に限定さ るものではない。また、正孔注入層の形成 法としては、例えば蒸着法、印刷法、イン ジェット法、スピンコート法、キャスティ グ法、ディッピング法、バーコート法、ブ ードコート法、ロールコート法、グラビア ート法、フレキソ印刷法、スプレーコート 、もしくは自己組織化法(交互吸着法、自己 組織化単分子膜法)等を挙げることができる これに限定されない。中でも、蒸着法、ス ンコート法、もしくはインクジェット法を いることが好ましい。

 (3)正孔輸送層
 陽極と発光層の間、或いは、正孔輸送層と 光層の間には、正孔輸送層が形成されてい もよい。正孔輸送層の構成材料としては、 光層内への電子の輸送を安定化させること できる正孔輸送性材料であれば特に限定さ るものではない。
 中でも、正孔輸送性材料は、正孔移動度が いものであることが好ましい。さらに、正 輸送性材料は、陰極から移動してきた電子 突き抜けを防止することが可能なもの(電子 ブロック性材料)であることが好ましい。こ により、発光層内での正孔及び電子の再結 効率を高めることができるからである。

 このような正孔輸送性材料としては、例 ば、アリールアミン誘導体、アントラセン 導体、カルバゾール誘導体、チオフェン誘 体、フルオレン誘導体、ジスチリルベンゼ 誘導体、スピロ化合物等を挙げることがで る。

 アリールアミン誘導体の具体例としては、 ス(N-(1-ナフチル-N-フェニル)-ベンジジン(α-N PD)等が挙げられ、トリフェニルアミン誘導体 の具体例としては、コポリ[3,3’-ヒドロキシ- テトラフェニルベンジジン/ジエチレングリ ール]カーボネート(PC-TPD-DEG)、N,N’-ビス-(3- チルフェニル)-N,N’-ビス-(フェニル)-ベンジ ン(TPD)、4,4,4-トリス(3-メチルフェニルフェ ルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)等を挙 ることができる。
 アントラセン誘導体の具体例としては、ポ [(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co- (9,10-アントラセン)]、9,10-ジ-2-ナフチルアン ラセン(DNA)等を挙げることができる。

 カルバゾール誘導体の具体例としては、ポ ビニルカルバゾール(PVK)、4,4-N,N’-ジカルバ ゾール-ビフェニル(CBP)等を挙げることができ る。
 ジスチリルアリーレン誘導体の具体例とし は、1,4-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ベンゼン (DPVBi)等を挙げることができる。
 チオフェン誘導体の具体例としては、ポリ[ (9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-( チオフェン)]等を挙げることができる。

 フルオレン誘導体の具体例としては、ポリ[ (9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-(4, 4’-(N-(4-sec-ブチルフェニル))ジフェニルアミ )](TFB)等を挙げることができる。
 スピロ化合物の具体例としては、ポリ[(9,9- オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-alt-co-(9,9 -スピロ-ビフルオレン-2,7-ジイル)]等を挙げ ことができる。
 これらの材料は単独で用いてもよく2種以上 を併用してもよい。

 (4)電子輸送層
 発光層と陰極の間、或いは、発光層と電子 入層の間には、電子輸送層が形成されてい もよい。電子輸送層の構成材料としては、 極から注入された電子を発光層内へ輸送す ことが可能な電子輸送性材料であれば特に 定されるものではない。中でも、電子輸送 材料は、電子移動度が高いものであること 好ましい。さらに、電子輸送性材料は、正 から移動してきた正孔の突き抜けを防止す ことが可能なもの(正孔ブロック性材料)で ることが好ましい。これにより、発光層内 の正孔および電子の再結合効率を高めるこ ができるからである。

 電子輸送性材料としては、例えば、オキサ アゾール類、トリアゾール類、フェナント リン類、シロール誘導体、シクロペンタジ ン誘導体、アルミニウム錯体等を挙げるこ ができる。具体的には、オキサジアゾール 導体としては(2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブ ルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール)(PBD)等 挙げられ、フェナントロリン類としてはバ キュプロイン(BCP)、バソフェナントロリン(BP hen)等が挙げられ、アルミニウム錯体として トリス(8-キノリノール)アルミニウム錯体(Alq 3 )、ビス(2-メチル-8-キノリラト)(p-フェニルフ ノラート)アルミニウム錯体(BAlq)等が挙げら れる。

 電子輸送層の厚みとしては、電子輸送機 が十分に発揮される厚みであれば特に限定 れるものではない。また、電子輸送層の形 方法としては、蒸着法を用いることができ 。

 (5)電子注入層
 発光層と陰極の間、或いは、電子輸送層と 極の間には、電子注入層が形成されていて よい。電子注入層の構成材料は、発光層内 の電子の注入を安定化させることができる 子注入性材料であれば特に限定されるもの はない。

 例えば、アルミニウム、ストロンチウム カルシウム、リチウム、セシウム、酸化マ ネシウム、酸化アルミニウム、酸化ストロ チウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、 ッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ セシウム、ポリメチルメタクリレートポリ チレンスルホン酸ナトリウム等のようなア カリ金属又はアルカリ土類金属、アルカリ 属又はアルカリ土類金属の酸化物、アルカ 金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、ア カリ金属の有機錯体等を挙げることができ 。中でも、アルカリ土類金属のフッ化物を いることが好ましい。アルカリ土類金属の ッ化物は、有機EL層の安定性および寿命を 上させることができるからである。

 電子注入層の厚みとしては、電子注入機 が十分に発揮される厚みであれば特に限定 れるものではない。また、電子注入層の形 方法としては、蒸着法を用いることができ 。

 以上、EL層を構成する層として、発光層 正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層及び 子輸送層について説明したが、EL層はこれら 層以外の種々の機能を備えていてもよい。

 [耐熱性保護材料の合成]
 (合成例1)
 4,4’-ビス(9-カルバゾールイル)-2,2’-ジメチ ル-ビフェニル(CDBP:Tg111℃、融点は111℃以上) カルバゾール基へ、親水基としてホスフィ オキシドを有する基を付加したもの(下記式( 1))を合成した(CAP-Aとする)。
 尚、CAP-Aのガラス転位温度及び融点は、CDBP 同等と考えることができる。

 (合成例2)
 4,4’‐ビス(カルバゾール‐9‐イル)‐9,9‐ メチル‐フルオレン(DMFL-CBP:Tg131℃、融点は1 31℃以上)のカルバゾール基へ、親水基として ホスフィンオキシドを有する基を付加したも の(下記式(2))を合成した(CAP-Bとする)。
 尚、CAP-Bのガラス転位温度及び融点は、DMFL- CBPと同等と考えることができる。

 [耐熱性保護材料の合成]
 (合成例3)
 ビス(N-(1-ナフチル-N-フェニル)ベンジジン)( -NPD:Tg=95℃、融点は95℃以上)のフェニル基へ 親水基としてホスフィンオキシドを有する を付加したもの(下記式(3))を合成した(CAP-C する)。
 尚、CAP-Cのガラス転位温度及び融点は、α-NP Dと同等と考えることができる。

 [保護材料の合成]
 (合成例4)
 1,1-ビス-(4-ビス(4-メチルフェニル)-アミノフ ェニル)-シクロヘキサン(Tg=78℃)のシクロヘキ シル基へ、親水基としてホスフィンオキシド を有する基を付加したもの(下記式(4))を合成 た(CAP-Dとする)。
 尚、CAP-Dのガラス転位温度及び融点は、1,1- ス-(4-ビス(4-メチルフェニル)-アミノフェニ )-シクロヘキサンと同等と考えることがで る。

 [保護材料の合成]
 (合成例5)
 N,N’-ビス-(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス-(フ ェニル)-ベンジジン(TPD:Tg=60℃)のフェニル基 、親水基としてホスフィンオキシドを有す 基を付加したもの(下記式(5))を合成した(CAP-E とする)。
 尚、CAP-Eのガラス転位温度及び融点は、TPD 同等と考えることができる。

 [量子ドット表面への耐熱性保護材料の付着 ]
 (CAP-Aの付着)
 まず、上記にて合成したCAP-Aにトルエンを えて攪拌、溶解し、CAP-Aのトルエン溶液を得 た。
 続いて、表面にTOPO(融点50~54℃)が付着した アシェル型量子ドット(エヴィデントテクノ ジーズ社製、コア:CdSe、シェル:ZnS、発光波 :520nm)[QD-TOPOとする]のトルエン分散液へ、攪 拌しながら、アルゴンガス雰囲気下、室温(26 ℃)にて、CAP-Aのトルエン溶液を滴下した。こ の反応液を12時間攪拌した後、アルゴンガス 囲気から大気雰囲気へ変更し、蒸発飛散し 量のトルエンを添加した後、エタノールを 量、滴下した。

 次いで、遠心分離によって沈殿物を反応液 ら分離した。さらに、得られた沈殿物をト エンと混合して分散液とし、この分散液に タノールを滴下することにより再沈殿させ 精製された沈殿物を得た。
 得られた再沈殿液を遠心分離し、CAP-Aが付 したコアシェル型量子ドットの精製物[QD-Aと する]を得た。

 (CAP-B~CAP-Eの付着)
 上記CAP-Aの付着において、CAP-Aのトルエン溶 液の代わりに、それぞれ、CAP-Bのトルエン溶 、CAP-Cのトルエン溶液、CAP-Dのトルエン溶液 、CAP-Eのトルエン溶液を用いること以外は同 にして、CAP-Bが付着したコアシェル型量子 ットの精製物[QD-Bとする]、CAP-Cが付着したコ アシェル型量子ドットの精製物[QD-Cとする]、 CAP-Dが付着したコアシェル型量子ドットの精 物[QD-Dとする]、CAP-Eが付着したコアシェル 量子ドットの精製物[QD-Eとする]を得た。

 (実施例1)
 ガラス基板上に、まず、酸化インジウム錫( ITO)の薄膜(厚み:150nm)をスパッタリング法によ り成膜して、陽極を形成した。陽極が形成さ れた基板を洗浄し、UVオゾン処理を施した。
 その後、大気中にて、ITO薄膜上にポリエチ ンジオキシチオフェン-ポリスチレンスルホ ン酸(PEDOT-PSS)の溶液をスピンコート法により 布し、乾燥させて、正孔注入層(厚み:20nm)を 形成した。

 次に、低酸素(酸素濃度:0.1ppm以下)、低湿 (水蒸気濃度:0.1ppm以下)状態のグローブボッ ス中にて、上記正孔注入層上に4,4’‐ビス( カルバゾール‐9‐イル)‐9,9‐ジメチル‐フ オレン(DMFL-CBP)及びQD-Aをトルエンと混合し 混合溶液をスピンコートし、発光層(厚み:40n m)を形成した。上記混合溶液におけるDMFL-CBP QD-Aの重量比は、DMFL-CBP/QD-A=9/5となるように た。

 上記発光層まで形成された基板に対し、真 中(圧力:5×10 -5 Pa)にて、ビス(2-メチル-8-キノリラト)(p-フェ ルフェノラート)アルミニウム錯体(BAlq)を抵 加熱蒸着法により成膜し、正孔ブロック層( 厚み:60nm)を形成した。

 さらに、トリス(8-キノリノール)アルミニウ ム錯体(Alq 3 )(厚み:20nm)、LiF(厚み:0.5nm)、Al(厚み:150nm)をこ 順で抵抗加熱蒸着法により成膜し、電子輸 層、電子注入層、陰極を形成した。
 さらに、低酸素(酸素濃度:0.1ppm以下)、低湿 (水蒸気濃度:0.1ppm以下)状態のグローブボッ ス中にて、無アルカリガラスにより封止し EL素子を得た。

 得られたEL素子の陽極と陰極の間に電圧を 加し、基板平面に対して垂直な方向へ発光 れた光の輝度を測定したところ、量子ドッ に起因した発光が見られた。また、EL素子を 肉眼で観察した範囲では、ダークスポット等 の発光欠陥は生じていなかった。
 表1に、各実施例、比較例における発光層の 量子ドットの保護材料のTg及び融点、並びに 発光層成膜後の加熱処理の有無及び加熱処 条件について示す。

 (実施例2)
 量子ドットとしてQD-Aの代わりにQD-Bを用い ことを除いては、実施例1と同様にしてEL素 を作製した。
 得られたEL素子の陽極と陰極の間に電圧を 加し、基板平面に対して垂直な方向へ発光 れた光の輝度を測定したところ、量子ドッ に起因した発光が見られた。また、EL素子を 肉眼で観察した範囲では、ダークスポット等 の発光欠陥は生じていなかった。

 (実施例3)
 発光層の成膜後に、膜に残留した溶媒を除 するため、グローブボックス中にてホット レート上で30分間120℃に加熱したことを除 ては、実施例2と同様にしてEL素子を作製し 。
 得られたEL素子の陽極と陰極の間に電圧を 加し、基板平面に対して垂直な方向へ発光 れた光の輝度を測定したところ、量子ドッ に起因した発光が見られた。また、EL素子を 肉眼で観察した範囲では、ダークスポット等 の発光欠陥は生じていなかった。

 (実施例4)
 発光層の成膜後に、膜に残留した溶媒を除 するため、グローブボックス中にてホット レート上で30分間90℃に加熱したことを除い ては、実施例2と同様にしてEL素子を作製した 。
 得られたEL素子の陽極と陰極の間に電圧を 加し、基板平面に対して垂直な方向へ発光 れた光の輝度を測定したところ、量子ドッ に起因した発光が見られた。また、EL素子を 肉眼で観察した範囲では、ダークスポット等 の発光欠陥は生じていなかった。

 (実施例5、実施例6)
 発光層の成膜後に、膜に残留した溶媒を除 するため、グローブボックス中にてホット レート上で30分間120℃に加熱(実施例5)、或 は、30分間90℃に加熱(実施例6)したことを除 ては、実施例1と同様にしてEL素子を作製し 。
 得られたEL素子の陽極と陰極の間に電圧を 加し、基板平面に対して垂直な方向へ発光 れた光の輝度を測定したところ、量子ドッ に起因した発光が見られた。また、EL素子を 肉眼で観察した範囲では、ダークスポット等 の発光欠陥は生じていなかった。

 (実施例7~実施例9)
 量子ドットとしてQD-Aの代わりにQD-Cを用い ことを除いては、実施例2~実施例4と同様に てEL素子を作製した(実施例7:加熱処理なし、 実施例8:30分120℃の加熱処理、実施例9:30分90 の加熱処理)。
 得られたEL素子の陽極と陰極の間に電圧を 加し、基板平面に対して垂直な方向へ発光 れた光の輝度を測定したところ、量子ドッ に起因した発光が見られた。また、EL素子を 肉眼で観察した範囲では、ダークスポット等 の発光欠陥は生じていなかった。

 (比較例1)
 量子ドットとしてQD-Aの代わりにQD-TOPOを用 たことを除いては、実施例1と同様にしてEL 子を作製した。
 得られたEL素子の陽極と陰極の間に電圧を 加し、基板平面に対して垂直な方向へ発光 れた光の輝度を測定したところ、量子ドッ に起因した発光が見られた。また、EL素子を 肉眼で観察した範囲では、ダークスポット等 の発光欠陥は生じていなかった。

 (比較例2)
 発光層の成膜後に、膜に残留した溶媒を除 するため、グローブボックス中にてホット レート上で30分間120℃に加熱したことを除 ては、比較例1と同様にしてEL素子を作製し 。
 得られたEL素子の陽極と陰極の間に電圧を 加し、基板平面に対して垂直な方向へ発光 れた光の輝度を測定したところ、量子ドッ に起因した発光が見られたが、発光状態は 一ではなく、ムラが生じていた。

 (比較例3~比較例5)
 量子ドットとしてQD-Aの代わりにQD-Dを用い ことを除いては、実施例2~実施例4と同様に てEL素子を作製した(比較例3:加熱処理なし、 比較例4:30分120℃の加熱処理、比較例5:30分90 の加熱処理)。
 得られたEL素子の陽極と陰極の間に電圧を 加し、基板平面に対して垂直な方向へ発光 れた光の輝度を測定したところ、比較例3で 、量子ドットに起因した発光が見られ、ま 、EL素子を肉眼で観察した範囲ではダーク ポット等の発光欠陥は生じていなかった。 方、発光層の成膜後に加熱処理を行った比 例4(30分120℃)及び比較例5(30分90℃)では、量 ドットに起因した発光が見られたが、発光 態は均一ではなく、ムラが生じていた。

 (比較例6~比較例8)
 量子ドットとしてQD-Aの代わりにQD-Eを用い ことを除いては、実施例2~実施例4と同様に てEL素子を作製した(比較例6:加熱処理なし、 比較例7:30分120℃の加熱処理、比較例8:30分90 の加熱処理)。
 得られたEL素子の陽極と陰極の間に電圧を 加し、基板平面に対して垂直な方向へ発光 れた光の輝度を測定したところ、比較例6で 、量子ドットに起因した発光が見られ、ま 、EL素子を肉眼で観察した範囲ではダーク ポット等の発光欠陥は生じていなかった。 方、発光層の成膜後に加熱処理を行った比 例7(30分120℃)及び比較例8(30分90℃)では、量 ドットに起因した発光が見られたが、発光 態は均一ではなく、ムラが生じていた。

 [初期特性評価]
 上記にて得られた実施例1~実施例9、比較例1 ~8のEL素子について、定電流を流し、輝度100cd /m 2 時の電流効率を測定した。
 同じ保護材料を用いた実施例1、5~6、実施例 2~4、実施例7~9の初期特性を比較すると、加熱 プロセスの有無によらず、それぞれ同程度の 電流効率を示した。
 これに対して、同じ保護材料が用いられた 較例1と比較例2との対比では、発光層の成 後、加熱処理を施した比較例2の素子は発光 態が均一でなく、電流効率も比較例1の素子 より低かった。同様の結果が、比較例3~5、及 び比較例6~8においても得られた。すなわち、 比較例3と比較例4~5との対比、並びに、比較 6と比較例7~8との対比において、加熱処理を した比較例4~5、比較例7~8は、発光状態が不 一であると共に電流効率も低くなった。こ は、比較例2、比較例4~5、比較例7~比較例8の 素子において、加熱プロセスにより発光層に おける量子ドットの凝集が生じたためである と考えられる。

 [耐久性評価]
 上記にて得られた実施例1~9、比較例1~8のEL 子について、輝度100cd/m 2 となる電流密度で定電流駆動し、輝度50cd/m 2 となるまでの時間(寿命)を測定したところ、 較例1よりも実施例1~実施例9及び比較例3~8の 素子の方が寿命が長かった。
 また、用いた保護材料が同じ場合、加熱処 を行うことで素子の寿命が長くなった。具 的には、実施例1と実施例5~6、実施例2と実 例3~4、実施例7と実施例8~9、比較例3と比較例 4~5、比較例6と比較例7~8、それぞれの対比に いて、加熱処理を施した素子は加熱処理を わなかった素子よりも寿命が長かった。こ は、加熱処理によって、膜(発光層)に残留し ていた溶媒の除去率が高まったためである。 特に、Tgが120℃以上のCAP‐Bについては、120℃ の加熱処理による溶媒の除去効果が高く、120 ℃の加熱処理を行った実施例3は、90℃の加熱 処理を行った実施例4と比較して優れた寿命 性を示した。
 また、発光層の成膜後における加熱処理条 が同じであれば、素子の寿命の長さは、CAP- B(実施例2~4)>CAP-A(実施例1、5~6)>CAP-C(実施 7~9)>CAP-D(比較例3~5)>CAP-E(比較例6~8)、とい う順番となった。つまり、発光層に含まれる 量子ドットの保護材料のTg及び融点が高い程 素子の寿命は長かった。特に、Tg及び融点 90℃以上であるCAP-C(実施例7~9)と90℃未満であ るCAP-D(実施例3~5)との寿命の差は大きく、量 ドットの保護材料としてTg及び融点が90℃以 の材料を用いることで、素子の寿命特性を きく向上させることが可能であることがわ った。