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Patent Searching and Data


Title:
ELECTROLYTIC METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/087931
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an electrolytic method that can minimize the wear of an electrode and can efficiently electrolyze a sulfuric acid solution or the like. The electrolytic method comprises feeding an electrolysis solution into an electrolysis cell comprising an anode and a cathode as at least one pair of electrodes and energizing the electrodes to electrolyze the electrolysis solution. In the electrolytic method, the electrolysis is carried out in such a state that the viscosity of the electrolysis solution is brought to a range depending upon current density when the energization is performed. When the current density is not more than 50 A/dm2, the viscosity of a sulfuric acid solution as an electrolysis solution is brought to not more than 10 cP; when the current density is more than 50 A/dm2 and not more than 75 A/dm2, the viscosity of a sulfuric acid solution is brought to not more than 8 cP; and when the current density is more than 75 A/dm2 and not more than 100 A/dm2, the viscosity of a sulfuric acid solution is brought to not more than 6 cP. In particular, when a highly concentrated sulfuric acid solution is electrolyzed using diamond electrodes at a high current density, the wear of the electrodes can be reduced and electrolysis can be performed with a high efficiency.

Inventors:
UCHIDA MINORU (JP)
NAGAI TATSUO (JP)
KANAMORI SHUNICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073760
Publication Date:
July 16, 2009
Filing Date:
December 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KURITA WATER IND LTD (JP)
UCHIDA MINORU (JP)
NAGAI TATSUO (JP)
KANAMORI SHUNICHI (JP)
International Classes:
C25B1/30; C25B11/12; H01L21/304
Foreign References:
JPH11224831A1999-08-17
JP2006114880A2006-04-27
JP2006114880A2006-04-27
Other References:
See also references of EP 2233612A4
Attorney, Agent or Firm:
YOKOI, Koki (4-11 Mita 3-chome, Minato-k, Tokyo 73, JP)
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Claims:
 陽極と陰極とを少なくとも1対の電極として備える電解セルに電解液を通液し、該電極に通電することによって電解液を電解する電解方法において、前記電解液の粘度を、前記通電の際の電流密度に応じた範囲にして、前記電解を行うことを特徴とする電解方法。
 前記電解液は硫酸溶液であることを特徴とする請求項1記載の電解方法。
 前記電流密度を50A/dm 2 以下とする場合、前記硫酸溶液の粘度を10cP以下とすることを特徴とする請求項2記載の電解方法。
 前記電流密度を50超~75A/dm 2 とする場合、前記硫酸溶液の粘度を8cP以下とすることを特徴とする請求項2記載の電解方法。
 前記電流密度を75超~100A/dm 2 とする場合、前記硫酸溶液の粘度を6cP以下とすることを特徴とする請求項2記載の電解方法。
 前記電解液の粘度を、該電解液の電解質濃度及び液温の調整によって制御することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の電解方法。
 前記電解液の電解質が解離して生成するイオンの濃度と電解液の粘度とより下記式(1)に基づいて計算される係数P f が1.2mol/(L・cP)以上となるように、電解質濃度と温度を調整することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の電解方法。
 前記陽極及び陰極がダイヤモンド電極であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の電解方法。
Description:
電解方法

 本発明は、各種水溶液、溶媒などを電解液 して電解する場合において、特に高電流密 で電解するときや、電解液の粘度が高いと に好適な電解方法に関する。
 例えば、硫酸溶液を電解することによって 造した過硫酸溶液によって半導体製造工程 おけるウェハ表面からのレジスト剥離を行 (以下「過硫酸法」と称す場合がある)とき 電解方法が挙げられる。

 半導体製造工程でウェハ表面からレジス を剥離する方法として、従来はSPM法(Sulfuric acid and hydrogen Peroxide Mixtureの略。濃硫酸と 過酸化水素水との混合液による洗浄方法)が く用いられている。しかし、SPM法では洗浄 (濃硫酸溶液)に過酸化水素水を使用の度に混 合して用いるので、過酸化水素の混合に伴っ て硫酸濃度が低下し、混合回数が一定以上に なると混合液の酸化力が低下する。そのとき は洗浄液を廃棄することになり、薬剤費や環 境負荷の増大が問題となっている。

 これに対してSPM法の欠点を補う過硫酸法が 案されている(特許文献1参照)。過硫酸法は 硫酸水溶液を電気分解して過硫酸(ペルオキ ソ二硫酸、Peroxodisulfuric acid)を生成し、過硫 の持つ強い酸化力を利用するものである。 硫酸はレジストを酸化分解してCO 2 とH 2 Oに変えた後は硫酸に戻るので、この液を電 分解セルに戻すことにより循環使用が可能 ある。このため、薬剤費や環境負荷低減の 点から、SPM法よりも高いメリットが期待さ ている。

 硫酸の電気分解に用いる電極は『ダイヤモ ド電極』と呼ばれ、通常は、シリコン基板 上にダイヤモンド結晶を析出させて数μmか 数10μmオーダーのダイヤモンド層を形成し これに導電性を持たせるためにホウ素を打 込んだ(ドープさせた)ものが用いられる。こ れを電解セルの陽極および陰極として用いる 。ダイヤモンド電極を用いることによって高 い電流密度においても電極が劣化することな く安定した電解処理することが可能になると 考えられている。

特開2006-114880号公報

 ところが、本発明者らの研究によれば、 イヤモンド電極を用いた過硫酸法では、連 運転に伴い、ダイヤモンド電極表面のダイ モンド層が徐々に損耗していくという現象 明らかになった。例えば陽極表面に50μmの イヤモンド層があるとき、100時間の運転後 は半減または数分の一の厚さになってしま ことがある。この現象は陽極表面でのみ起 り、陰極表面では起こらない。電極損耗は 極寿命に大きく影響するが、ダイヤモンド 極は高価なので、短時間の運転で損耗して まうことが過硫酸法の実用化に向けての大 な問題点になっている。

 本発明は、上記事情を背景としてなされ ものであり、電解処理において電極損耗を 減しながら高効率で電解することができる 解方法を提供することを目的とする。

 発明者が上記問題の原因について鋭意検証 行った結果、高濃度硫酸という高粘度かつ オン解離度の低い電解液を扱い、また通電 る電流密度が非常に高いことがダイヤモン 電極損耗の原因となったものと考えた。具 的には以下の通りである。
 所定の電流密度で電気分解を行うには、そ に応じた数のイオンが単位時間内に陽極あ いは陰極に向かって移動しなければならな 。硫酸溶液を電気分解すると、SO 4 2- やHSO 4 - が陽極に向かって移動し、陽極表面で反応し てS 2 O 8 2- が生成する。しかし、電流密度が高い場合に は十分な数のSO 4 2- やHSO 4 - の供給が追いつかず、ダイヤモンド電極表面 の炭素原子が引き抜かれて酸化し、CO 3 2- が生成してしまう。これが電極の損耗に繋が ると考えられる。イオンの移動速度は液の粘 度に大きく依存する。粘度が低いと、イオン は液中を容易に移動することができる。粘度 は濃度と温度の関数である。また、粘度が同 一の場合、イオン濃度が高い方がより多くの 電荷を運ぶことができる。イオン濃度は電解 質濃度とイオン解離度に依存するものであり 、イオン解離度は電解質濃度と温度に依存す るので、即ち、イオン濃度は電解質濃度と温 度との関数であると言える。従って、硫酸溶 液の濃度と温度を適切に管理すれば、電極の 損耗を避けることができる。

 硫酸濃度が低いと、粘度が小さくなるの 損耗が避けられる他、電流効率(単位電流量 当りの過硫酸生成量)が高くなるなどの利点 ある。ただし硫酸濃度が低いと水分の蒸気 が高くなるので、レジスト剥離処理槽で水 蒸発量が増え、運転に支障を与える恐れが るなどの欠点が生じる。よって、濃度と温 との組み合せを適切に選ぶことが重要にな 。また硫酸溶液の温度についても高温にな と粘性が下がるが、高すぎると電解効率の 下や過硫酸の自己分解の促進が懸念される で、溶液温度についても適切に設定する必 がある。イオン濃度は、電解質濃度が高い ど高いとは限らず、中間濃度で極大値が存 する。そこで、濃度についても適切に設定 る必要がある。

 なお、電極損耗の問題は電解処理一般に いて問題となっているが、通常の電解処理 おいては高温で処理するほど電極寿命が短 なるから低温で処理する方が良いとするケ スが多い。しかし、本発明者らは、過硫酸 における電極損耗の問題については、硫酸 液の液温が低すぎると硫酸溶液の粘度が高 なり、電極損耗が進行するという新たな問 を発見し、本発明を完成するに至ったもの ある。

 すなわち、本発明の電解方法のうち、第1 の本発明は、陽極と陰極とを少なくとも1対 電極として備える電解セルに電解液を通液 、該電極に通電することによって電解液を 解する電解方法において、前記電解液の粘 を、前記通電の際の電流密度に応じた範囲 して、前記電解を行うことを特徴とする。

 第2の本発明の電解方法は、前記第1の本 明において、前記電解液は硫酸溶液である とを特徴とする。

 第3の本発明の電解方法は、前記第2の本発 において、前記電流密度を50A/dm 2 以下とする場合、前記硫酸溶液の粘度を10cP 下とすることを特徴とする。

 第4の本発明の電解方法は、前記第2の本発 において、前記電流密度を50超~75A/dm 2 とする場合、前記硫酸溶液の粘度を8cP以下と することを特徴とする。

 第5の本発明の電解方法は、前記第2の本発 において、前記電流密度を75超~100A/dm 2 とする場合、前記硫酸溶液の粘度を6cP以下と することを特徴とする。

 第6の本発明の電解方法は、前記第1~第5の 本発明のいずれかにおいて、前記電解液の粘 度を、該電解液の電解質濃度及び液温の調整 によって制御することを特徴とする。

 第7の本発明の電解方法は、前記第1~第6の本 発明のいずれかにおいて、前記電解液の電解 質が解離して生成するイオンの濃度と電解液 の粘度とより下記式(1)に基づいて計算される 係数P f が1.2mol/(L・cP)以上となるように、電解質濃度 と温度を調整することを特徴とする。

 第8の本発明の電解方法は、前記第1~第7の 本発明のいずれかにおいて、前記陽極及び陰 極がダイヤモンド電極であることを特徴とす る。

 本発明の電解方法によれば、陽極と陰極 を少なくとも1対の電極として備える電解セ ルに電解液を通液し、該電極に通電すること によって電解液を電解する電解方法において 、前記電解液の粘度を、前記通電の際の電流 密度に応じた範囲にして、前記電解を行うの で、電解処理において電極損耗を低減しなが ら高効率で電解することができる。特にダイ ヤモンド電極によって高濃度硫酸溶液を高電 流密度で電解する場合においても電極損耗を 低減しつつ高効率で電解処理することができ る。

所定温度の硫酸溶液における硫酸濃度 粘度との関係を示す図である。 50℃における硫酸溶液の濃度と解離平 との関係を示す図である。 本発明の一実施形態の方法に用いられ 洗浄システムを示す図である。

符号の説明

 10  レジスト剥離装置
 11  処理槽
 12  循環ライン
 14  加熱ヒータ
 20  電解硫酸ユニット
 21  電解セル
 21a 陽極
 21b 陰極
 21c バイポーラ電極
 22a 送液ライン
 22b 戻り液ライン

 ダイヤモンド電極を用いて硫酸溶液を電解 て生成した過硫酸溶液によって半導体ウェ のレジストを剥離洗浄する洗浄システムの ローを図3に示す。
 該洗浄システムは、レジスト剥離装置10と 電解硫酸ユニット20との組み合わせによって 構成されている。以下に、詳細に説明する。

 レジスト剥離装置10は、過硫酸溶液を洗浄 として収容し半導体ウェハを挿入してレジ ト剥離を行う処理槽11を有しており、該処理 槽11には、ポンプ13を介設した循環ライン12が 接続されている。該循環ライン12には、ポン 13の下流側に加熱ヒータ14、フィルタ15が順 設けられている。
 前記循環ラインはポンプ13と加熱ヒータ14と の間において分岐し、洗浄排液を電解硫酸ユ ニット20に送液する送液ライン22aが接続され いる。電解硫酸ユニット20から過硫酸溶液 送出する戻り液ライン22bが前記循環ライン12 とフィルタ15の下流側において接続され、合 するように構成されている。

 電解硫酸ユニット20は、硫酸溶液を電解 て過硫酸イオンを生成する電解セル21を有し ており、該電解セル21は、ダイヤモンド電極 よって構成される陽極21a、陰極21bと、陽極2 1a、陰極21b間に配置されるバイポーラ電極21c を備えている。バイポーラ電極21cは、通電 よって分極し、対面する電極に応じて陽極 陰極が出現するものであり、本発明の陽極 よび陰極として作用する。

 電解セル21には、入液側に、前記送液ラ ン22aが接続され、出液側に、前記戻し液ラ ン22bが接続されている。送液ライン22aには ラインを流れる溶液を冷却する冷却器23が介 設され、戻り液ライン22bには、気液分離器24 貯留槽26、ポンプ27が順次介設されている。 また、気液分離器24には、分離ガス側に水素 理装置25が接続されている。

 次に上記洗浄システムのフローについて説 する。
 レジスト剥離装置10の処理槽11には、所定の 硫酸濃度(所定の電解質濃度)を有する溶液が 容され120℃~150℃で運転される。なお、溶液 は、洗浄に際しては過硫酸イオンを含むもの であるが、硫酸イオンの電解によって過硫酸 イオンが生成され、過硫酸イオンは自己分解 で硫酸イオンに戻るので、電解前後の全イオ ン量は概略等しいと見なして、硫酸濃度によ って溶液の電解質濃度を示すことができる。

 上記溶液の温度は、溶液を循環ライン12 通して循環させる際に循環ライン12に介設さ れた加熱ヒータ14で溶液を加熱することによ 保たれる。この循環ライン12中の溶液の一 を送液ライン22aを通して抜き取り、冷却器23 を経て電解セル21に送る。この際、溶液は、 却器23の出口で40℃~70℃の所望の温度になる ように冷却されて電解セル21へと至る。電解 ル21では、前記陽極21a、21b間に所定の電流 度で通電することで分岐液が電解される。 気分解反応は発熱反応であり、通常、電解 ル21の出口温度は入口温度より10℃~20℃程度 昇する。このため、冷却器23出口で、上記 流密度に応じて溶液を所定の粘度以下、即 所定の温度以上にしておけば、電解セル21で の溶液の粘度を所望の値以下に保つことがで きる。

 電解によって硫酸溶液からは過硫酸イオ が生成され、戻りライン22bを通して電解セ 21から排液される。該電解では、電解反応 よって電解ガスが発生し、溶液とともに戻 ライン22bに送られるため、気液分離器24で気 液分離し、分離したガス、特に水素を水素処 理装置25で処理する。気液分離器24でガスが 離された溶液は、貯留槽26に貯留され、必要 に応じてポンプ27によって循環ライン12に戻 れる。これにより処理槽11で消費される過硫 酸イオンを補給して洗浄液中の過硫酸濃度を 略一定に保つことができる。

 本発明は、電極損耗を防止するために硫酸 度が所定濃度を上回らないようにするとい ものであるが、一方、硫酸濃度が低ければ 硫酸溶液の粘度が小さくなるので電極損耗 避けられるだけでなく、電流効率が高くな 、過硫酸の生成効率が上がる。ただし硫酸 度が低すぎると水分の蒸気圧が高くなりす 、レジスト剥離処理槽で水分蒸発量が増え 運転に支障を与える恐れがあるなどの欠点 生じる。またウェハ洗浄のためには高い硫 濃度が求められる。よって洗浄液としては 好ましい硫酸濃度には下限値が存在する。
 また本発明は、電極損耗を防止するために 酸溶液の液温が所定温度以下にならないよ にするというものであるが、一方、硫酸溶 の温度が高温になると粘性が下がるが、高 ぎると電解効率の低下や過硫酸の自己分解 促進が懸念される。よって電解液または洗 液として、好ましい溶液温度には上限値が 在する。

 上記実施形態の記載では、硫酸溶液のダ ヤモンド電極による電解に特化して説明し が、別の電解液や別の電極を使用した場合 おいても、電解液の粘度やイオン濃度、そ て電流密度の影響により電極損耗の恐れが るので、本発明の実施は有効である。

 上記実施形態の記載では、電解する硫酸 液の液温、つまり電解セルに通液する電解 の電解セル入口における液温に基づいて電 液の液温を所定範囲に保持しているが、電 セルから排出された電解排液の液温に基づ て電解液の液温を保持することもできる。

 次に粘度と電解質濃度及び溶液温度の関係 硫酸を例に挙げて説明する。硫酸溶液を電 する場合、電流密度が50A/dm 2 以下のとき、電極を損耗せずに電気分解でき る溶液の条件を実験的に調べたところ(後述 実施例1参照)硫酸濃度70wt%でかつ液温30℃、 酸濃度86wt%でかつ液温50℃であった。そこで 献i記載の硫酸濃度、液温とそのときの粘度 の関係(図1)に基づいて上記条件における粘度 条件を求めると、それぞれ7.9cP、8.5cPであり 50A/dm 2 以下で電極損耗しない電解条件としては10cP 下程度であることが分かった。
 そこで、この範囲の粘度を得るために必要 硫酸濃度と溶液温度の関係を図1に基づいて 検討する。電解する硫酸溶液の液温が50℃で れば、図1によると硫酸濃度が80~95wt%になっ も粘度が10cPを超えないので、電極損耗の恐 れは小さい。
 しかし硫酸溶液の液温が40℃のときは、図1 よると濃度78wt%以下に保持しなければ硫酸 液の粘度が10cP以下にならないので電極損耗 恐れがある。
 従って電流密度が50A/dm 2 以下の場合は、例えば硫酸溶液の液温を50℃ 上に保持するか、硫酸溶液の液温を40~50℃ 保持すると共に硫酸濃度を78wt%以下に保持す れば、電極損耗のリスクを回避することがで きる。

 一方、電流密度を75A/dm 2 以上とした場合、電極を損耗せずに電気分解 できる硫酸溶液の粘度の範囲を実験的に調べ たところ6cP以下であった。
 電解する硫酸溶液の液温が50℃のときは、 1によると硫酸濃度が75wt%以下であれば粘度 6cPを超えないので、電極損耗の恐れは小さ 。
 図1において、硫酸濃度が約80wt%を超えると 度はほとんど変化しない。よって、粘度さ 前記条件を満たせば濃度を濃くしても損耗 避けられることになる。しかし、実際には8 5wt%を超えると損耗が見られる。これは図2に すように、80wt%を超えるとSO 4 2- やHSO 4 - の濃度が急激に低下するため、十分な電荷が 運ばれないためである。
 そこで、より適切には粘度に加えてイオン 度も考慮したパラメーターを指標とするこ が望ましい。発明者等は、このパラメータ として上記係数P f を定義し、電極耐久性試験の結果から、電流 密度50A/dm 2 の場合の損耗回避条件を以下の式(2)で示した 。

 また、電流密度75、100A/dm 2 の場合には、電流密度に比例させてそれぞれ 、P f ≧1.8、P f ≧2.4(mol/(L・cP))とする。

 上記では、電解液として硫酸を用いる場 について主として説明をしている。ただし 本発明は、硫酸の電解処理に限るものでは く、例えば水素製造用のアルカリ電解液の 解処理、塩素酸ソーダ製造用のNaCl電解液の 電解処理、廃液浄化のための廃液の電解処理 など他用途の電解処理においても同様に適用 が可能である。

[様々な電流密度における必要条件の算出方 ]
 電流密度を75A/dm 2 、100A/dm 2 というように増やした場合は、それに比例し てイオンフラックスが取れれば損耗を生じな いことになる。50A/dm 2 の場合の必要条件(限界粘度およびイオン濃 )が分かっているので、その他の電流密度に いては計算で求めることが可能である。
 電解溶液中のイオンの移動速度については 一般に、以下に示すNernst-Planckの式(3)が成り 立つ。(文献 ii )右辺第1項は濃度差によるイオンの拡散、第2 項は電気的引力によるイオンの移動、そして 第3項は対流によるイオンの移動を表す。

 この式を電極表面の境膜内でのイオンの 動に適用する。濃度勾配は境膜内で直線、 位差勾配は電極間で直線と見なし、また境 内では電極表面へ向かう液の流れは無いも とすると、式(3)は次式(4)のように表わされ 。

 式(4)のJを計算するためには拡散定数Dを知 必要がある。溶液中にある粒子の拡散定数 、次のStokes-Einsteinの式(5)で表される。(文献 iii )

 式(5)において、イオン半径(粒子半径、r) 一定と見なすと、Dは濃度と温度の関数とな る。また、発明者等の実験で、電解セルを通 過する液の流速(流量)を増やしても損耗の状 が改善されなかったことから、境膜厚さδ 対流項の影響はあまり無く、式(4)の第2項、 気的引力による項のみが支配的と考えられ 。よって、同じ電場強度においてどれだけ イオンフラックスが取れるかの指標を次の (6)のように取ることができる。

これに式(5)を代入して、

ここで次の仮定を置いて、式(7)を簡略化する と、下記式(8)のようになる。
 1.複数種のイオンを代表するイオン半径は 度・温度が変わっても不変である。
 2.C b >>C s

従って、新たなパラメータP f を次の式(1)のように定義することができる。

式(1)を用いて硫酸濃度と温度を変えた時のSO 4 2- とHSO 4 - のイオン濃度と溶液粘度からP f を計算すると、表1のようになる。

 発明者等の実験から、50A/dm 2 の場合、85wt%、50℃では損耗がほぼ回避でき いるので、P f ≧1.2は安全圏内ということになる。電流密度 とイオンフラックスとは比例の関係にあるの で、電流密度75、100A/dm 2 の場合には、それぞれP f ≧1.8、P f ≧2.4(mol/(L・cP))は安全圏内、即ち、損耗回避 件になる。

 文献i)“硫酸工学”,堀省一朗/中川鹿蔵 共 ,紀元社出版(株)発行,PP.590(1959)
 文献ii)“Ion-Exchange Membrane Separation Processes ,Membrane Science and Technology Series,9,H.Strathmann ,Elsevier,pp.70(2004)
 文献iii)“Perry’s Chemical Engineer’s Handbook ,7 th  Edition,pp.5-50 McGraw-Hill(1997)

 実施形態1に示した洗浄システムを用いて以 下の実施例を行った。
[比較例1]
電解処理温度が低温である方が電流効率は良 いので、電解セル入口温度30℃で運転した。 の他の条件は以下の通りとした。
(電極形状寸法=150mmφ、電流密度=50A/dm 2 、溶液濃度=86wt%、流量=0.86L/min)
 この結果、運転開始後50時間で陽極表面に 耗が見られ、顕微鏡で観察したところ、結 粒子の変形とダイヤモンド層厚さの減少が られた。

[実施例1]
 比較例1に対して、温度と濃度を変えて実験 を行った。条件は以下の通りである。
(電極形状寸法=150mmφ、電流密度=50A/dm 2 、流量=0.86L/min)
 この結果、運転開始50時間後の損耗の有無 比較例1のデータを含めて比較したところ、 2のようになった。表2に示す実験結果より 電流密度=50A/dm 2 の場合には溶液粘度が概ね10cP以下になるよ に濃度および温度を選定すれば電極の損耗 避けられると判断される。

 長時間に亘って電極が健全であることを証 するには更に実験が必要であるが、上記の 験で損耗厚さを測定したところ、○(健全) 印した条件では実験前後で差異は見られな った。仮に損耗が1μmあったとしても、初期 ダイヤモンド厚さは50μmなので、2500時間以 の耐用期間を有することになる。実際には り長期の使用に耐えるものと考えられる。 た同一実験結果にパラメーターP f を当てはめた場合、表3のようになる。表2と 3から、50A/dm 2 の場合に損耗を避ける条件としては、P f ≧1.2(mol/(L・cP))が必要ということになる。

[実施例2]
 実施例1において電流密度を75A/dm 2 、100A/dm 2 とした場合、上記のNernst-Planckの式とStokes-Eins teinの式を用いて、イオンフラックスが75/50=1. 5倍、あるいは100/50=2.0倍になる条件を計算す と表4に示す結果になる。また、より好まし くは、パラメーターP f を用いて、電流密度75、100A/dm 2 の場合には、それぞれP f ≧1.8、P f ≧2.4(mol/(L・cP))を損耗回避条件とすることが きる。
 即ち、電流密度が高い場合には溶液粘度を り小さくするか、またはイオン濃度をより きくしなければならないことが明らかであ 。