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Title:
ELECTRON BEAM SOURCE, ELECTRON BEAM IRRADIATOR AND X-RAY TUBE EMPLOYING THE ELECTRON BEAM SOURCE, X-RAY IRRADIATOR IN WHICH THE X-RAY TUBE IS ARRANGED, AND METHOD FOR MANUFACTURING ELECTRON BEAM SOURCE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/060762
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are an electron beam irradiator, an X-ray irradiator, an electron beam source used as a beam source of an electron microscope, or the like, and a method for manufacturing such an electron beam source. A cathode (153) has a power supply member (158) formed of tungsten, and an electron emission member (159) which is a wire formed of tantalum. The electron emission member (159) is wound around the power supply member (158) such that the outer circumferential surfaces of adjoining electron emission members (159) are in contact with each other. A wire composed of an alloy containing tantalum is wound around a base material composed of an alloy containing tungsten so as to cover the base material, thereby forming a composite structure. Finally, carbonization is performed on the wire of the composite structure, thereby forming the base material into a power supply member and forming the wire into an electron emission member.

Inventors:
KAWAI KOJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/069553
Publication Date:
May 14, 2009
Filing Date:
October 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HAMAMATSU PHOTONICS KK (JP)
KAWAI KOJI (JP)
International Classes:
H01J37/06; G21K1/00; G21K5/04; H01J1/15; H01J1/16; H01J9/04; H01J35/06
Domestic Patent References:
WO2006009053A12006-01-26
Foreign References:
JP2005183382A2005-07-07
JPH0864110A1996-03-08
JPH01151143A1989-06-13
JPS62206737A1987-09-11
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg. 10-6Ginza 1-chome, Chuo-k, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 電位が供給される給電部材と、
 前記給電部材の少なくとも一部を覆うように前記給電部材に設けられ、電子を放出する電子放出部材と、を備え、
 前記給電部材は、タングステンを含む材料で形成され、
 前記電子放出部材は、タンタルを含む材料で形成された線材であり、隣接する前記電子放出部材の外面が互いに接触するように前記給電部材に巻き回されていることを特徴とする電子線源。
 前記給電部材は、所定の方向に沿って延在する延在部を有し、
 前記電子放出部材は、前記延在部に巻き回されていることを特徴とする請求項1記載の電子線源。
 前記給電部材は、前記電子放出部材の巻き進む方向に沿う方向に前記電子放出部材が移動することを規制する規制部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の電子線源。
 前記規制部は、前記給電部材が曲げられて形成された曲部であることを特徴とする請求項3記載の電子線源。
 前記給電部材及び前記電子放出部材は、断面が円形の線材であり、
 前記給電部材の径が前記電子放出部材の径よりも大きいことを特徴とする請求項1~4の何れか一項記載の電子線源。
 前記電子放出部材には、炭化処理が施されていることを特徴とする請求項1~5の何れか一項記載の電子線源。
 請求項1~6の何れか一項記載の電子線源を用いた電子線照射装置。
 請求項1~6の何れか一項記載の電子線源を用いたX線管。
 請求項1~6の何れか一項記載の電子線源を用いたX線管が配置されたX線照射装置。
 電位が供給される給電部材と、前記給電部材の少なくとも一部を覆うように設けられ電子を放出する電子放出部材と、を備えた電子線源を製造する製造方法であって、
 タングステンを含む基材に、タンタルを含む線材を巻き回す工程と、
 前記線材を巻き回した後、前記線材に炭化処理を施すことで、前記基材を前記給電部材として形成すると共に前記線材を前記電子放出部材として形成する工程と、を含むことを特徴とする電子線源の製造方法。
 前記線材を巻き回した後であって前記炭化処理を施す前に、前記線材を巻き回した前記基材を所定の形状に成型する工程をさらに含むことを特徴とする請求項10記載の電子線源の製造方法。
 前記電子放出部材は、隣接する前記電子放出部材の外面が互いに接触するように前記給電部材に巻き回されていることを特徴とする請求項10又は11記載の電子線源の製造方法。
 前記電子放出部材は、隣接する前記電子放出部材の外面の間に隙間が形成されるように前記給電部材に巻き回されていることを特徴とする請求項10又は11記載の電子線源の製造方法。
Description:
電子線源、該電子線源を用いた 子線照射装置及びX線管、該X線管が配置さ たX線照射装置、並びに電子線源の製造方法

 本発明は、例えば電子線照射装置、X線照 射装置、電子顕微鏡等の線源として用いられ る電子線源及びその製造方法に関する。

 従来の電子線源としては、電位が供給さ る給電部材と、給電部材の少なくとも一部 覆うように給電部材に設けられ電子を放出 る電子放出部材と、を備えたものが知られ いる(例えば、特許文献1~3参照)。特許文献1 記載された電子線源では、タングステンか なる給電部材(カソード本体)の凹部にタン ルからなる板状の電子放出部材(電子放出材 )が嵌合されている。また、特許文献2に記 された電子線源では、給電部材(タングステ フィラメント)に電子放出部材(タンタルカ バイド)が被覆されている。また、特許文献3 に記載された電子線源では、電子放出部材( 材)が給電部材(心材)にコイル状に巻き回さ ている。

 また、電子線源の製造方法としては、例え 特許文献4に記載されているように、電位が 供給される給電部材と、給電部材に設けられ 電子を放出する電子放出部材と、を備えた電 子線源を製造するものが知られている。この ような電子線源の製造方法では、高温耐性の 優れたタングステンからなる基材に、仕事関 数の小さい炭化タンタルの皮膜を形成するこ とで、基材を給電部材として形成すると共に 皮膜を電子放出部材として形成する。これに より、電子線源の電子放射効率の向上及び長 寿命化が図られている。

特開平5-174699号公報

特開昭50-87774号公報

特開平1-151143号公報

特開平8-64110号公報

 近年、電子線照射装置やX線照射装置等の さらなる高出力化が望まれている。そして、 これらの出力を高出力化するにあたっては、 電子源からのエミッション量(放出される電 量)を増加させることが重要な要素の一つと る。よって、上述したような電子源よりも ミッション量を増加させるため、電子放出 材における電子放出面の面積を増やし、且 電子放出部材における通電性を向上させる とが望まれている。また、上述したような 子線の製造方法では、炭化タンタルが高融 化合物であることから、炭化タンタルの付 強度が不足し易いため、皮膜が基材から剥 するおそれがある。ここで、炭化タンタル 付着強度不足による悪影響を抑制するため 炭化タンタルを含む線材を基材に巻き回す とが考えられる。しかし、この場合、炭化 ンタルの硬度が高いことから、基材に線材 巻き回すのが困難である。従って、上述し ような電子線の製造方法では、電子線源の 子放射効率及び長寿命化を実現できないお れがある。

 そこで、本発明は、高い出力を実現する とが可能な電子線源及びその製造方法を提 することを課題とする。より具体的には、 子放出部材の通電性を向上すると共に、電 放出部材における電子放出面の面積を増加 ることができる電子線源を提供すること、 び電子放射効率を向上すると共に長寿命化 実現することができる電子線源の製造方法 提供することを課題とする。

 上記課題を解決するために、本発明に係 電子源は、電位が供給される給電部材と、 電部材の少なくとも一部を覆うように給電 材に設けられ、電子を放出する電子放出部 と、を備え、給電部材は、タングステンを む材料で形成され、電子放出部材は、タン ルを含む材料で形成された線材であり、隣 する電子放出部材の外面が互いに接触する うに給電部材に巻き回されていることを特 とする。

 この電子線源では、隣接する電子放出部 の外面が互いに接触するように電子放出部 が給電部材に巻き回されている。よって、 子放出部材においては、その巻き回される 回方向に沿って電流が流れるだけでなく、 き進む方向に沿っても電流が流れることに る。その結果、電子放出部材の通電性を向 することができる。加えて、巻き回された 子放出部材の露出する表面が電子放出面と て機能することから、電子放出部材が線材 あるため、電子放出面が凹凸の連続するよ な波状曲面となる。よって、電子放出面の 積を増加することが可能となり、エミッシ ン量を向上することができる。

 また、給電部材は、所定の方向に沿って 在する延在部を有し、電子放出部材は、延 部に巻き回されていることが好ましい。こ 場合、給電部材の延在部に巻き回された電 放出部材にあっては、隣接する電子放出部 の外面が互いに確実に接触することになる

 また、給電部材は、電子放出部材の巻き む方向に沿う方向に電子放出部材が移動す ことを規制する規制部を有することが好ま い。給電部材及び電子放出部材が高温にさ たとき、タンタルの熱膨張率がタングステ の熱膨張率よりも大きいため、巻き回され 電子放出部材が、その巻き進む方向に沿う 向に熱膨張で移動する(ズレる)ことで隣接 る電子放出部材の外面同士が接触しなくな おそれがある。この点、本発明では、上記 ように規制部を有するため、熱膨張した電 放出部材の移動を規制部で規制することが きる。従って、隣接する電子放出部材の外 が互いに確実に接触する状態を好適に維持 ることが可能となる。

 このとき、規制部は、給電部材が曲げら て形成された曲部であることが好ましい。 の場合、給電部材そのものが規制部となっ 電子放出部材を係止するため、高温下でも 膨張した電子放出部材の移動を曲部で安定 て規制することができる。

 また、給電部材及び電子放出部材は、断 が円形の線材であり、給電部材の径が電子 出部材の径よりも大きいことが好ましい。 の場合、電子放出部材を給電部材に容易に き回すことができる。

 また、電子放出部材には、炭化処理が施 れていることが好ましい。この場合、炭化 理により、電子放出部材に炭化タンタルが まれることになる。ここで、炭化タンタル 、通常のタンタルよりも仕事関数が小さく つ融点が高いという特性を有する。よって 電子放出部材の仕事関数が低下されてエミ ション量が増加され、且つ、電子放出部材 融点が向上されてその消耗が低減される。 の結果、電子線源の長寿命化が可能となる

 また、上記課題を解決するために、本発 に係る電子線源の製造方法は、電位が供給 れる給電部材と、給電部材の少なくとも一 を覆うように設けられ電子を放出する電子 出部材と、を備えた電子線源を製造する製 方法であって、タングステンを含む基材に タンタルを含む線材を巻き回す工程と、線 を巻き回した後、線材に炭化処理を施すこ で、基材を給電部材として形成すると共に 材を電子放出部材として形成する工程と、 含むことを特徴とする。

 この電子線源の製造方法では、タンタル 含む線材を基材に巻き回した後、この線材 炭化処理を施している。よって、炭化タン ルが含まれた線材を、基材に巻き回すよう 設けることが可能となる。すなわち、高温 性に優れたタングステンを含む基材に、仕 関数の小さい炭化タンタルを含む線材を安 して固定することが可能となる。従って、 子放射効率が高く且つ長寿命な電子線源を ることができる。

 ここで、線材を巻き回した後であって炭 処理を施す前に、線材が巻き回された基材 所定の形状に成型する工程をさらに含むこ が好ましい。この場合、線材が巻き回され 基材を成型する際、硬度が高く加工が困難 炭化タンタルが線材に含まれていないため かかる成型を容易に行なうことができる。

 また、電子放出部材は、隣接する電子放 部材の外面が互いに接触するように給電部 に巻き回されていることが好ましい。この 合、電子放出部材においては、巻き回され 巻回方向に沿って電流が流れるだけでなく 巻き進む方向に沿っても電流が流れること なる。よって、電子放出部材の通電性を向 することができる。

 また、電子放出部材は、隣接する電子放 部材の外面の間に隙間が形成されるように 電部材に巻き回されていることが好ましい この場合、電子放出部材を給電部材に容易 巻き回すことができる。

 本発明によれば、高い出力を実現するこ が可能な電子線源及びその製造方法を提供 ることができる。より具体的には、電子放 部材の通電性を向上すると共に、電子放出 材における電子放出面の面積を増加するこ ができるため、エミッション量を増加させ ことが可能となる。また、電子放射効率が く且つ長寿命な電子線源を得ることが可能 なる。

本発明の第1実施形態に係る電子線源を 含む電子線照射装置の断面図である。 電子線放出ユニットを示す断面図であ 。 カソードを示す一部断面拡大図である カソードの接続部分を示す拡大図であ 。 カソードにおける電流の流れを説明す 図である。 本発明の第1実施形態に係る電子線源を 含むX線管の断面図である。 カソードの接続部分の他の例を示す拡 図である。 図7のVIII-VIII線に沿う一部断面図である 。 本発明の第2実施形態に係る電子線照射 装置の断面図である。 図9の電子線照射装置における電子線 出ユニットを示す断面図である。 図9の電子線照射装置におけるカソー を示す一部断面拡大図である。 図9の電子線照射装置におけるカソー の接続部分を示す拡大図である。 図9の電子線照射装置におけるカソー の製造方法を説明する図である。 本発明の第3実施形態に係る電子線照 装置におけるカソードを示す一部断面拡大 である。 図14の電子線照射装置におけるカソー の製造方法を説明する図である。 図14の電子線照射装置におけるカソー の電流の流れを説明する図である。 本発明の第4実施形態に係る電子線照 装置におけるカソードを示す一部断面拡大 である。 本発明の他の実施形態に係るX線管の 面図である。 カソードの接続部分の他の例を示す拡 大図である。 図19のXX-XX線に沿う一部断面図である 本発明の電子線源を用いたX線管が配 されたX線発生装置の分解斜視図である。 図21に示したX線発生装置のXXII-XXII線に 沿った断面図である。

符号の説明

 153,253,273,293…カソード(電子線源)、158,258, 278…給電部材、158b…延在部、158c…曲部(規制 部)、S11…外周面(外面)、159,259,279…電子放出 材、258P…基材、S21…外周面(外面)、259P…線 材、B2…隙間。

 以下、本発明の好適な実施形態について 図面を参照して詳細に説明する。なお、各 において同一又は相当要素には同一符号を し、重複する説明を省略する。

(第1実施形態)
 図1は、本発明の第1実施形態に係る電子線 を含む電子線照射装置の断面図である。図1 示すように、電子線照射装置11は、いわゆ バッチ式のものであり、例えば被照射物M1の 乾燥、殺菌又は表面改質等を行なうものであ る。この電子線照射装置11は、チャンバ110、 容容器120、電子銃130及び制御部140を備えて る。

 チャンバ110は、電子銃130が取り付けられ 第1チャンバ部111と、収容容器120が取り付け られる第2チャンバ部112と、を有している。 1チャンバ部111は、金属により円柱状に形成 れている。この第1チャンバ部111には、その 軸線方向(図示上下方法;以下「Z方向」という )に沿って延在する断面円形状の電子線通過 113が設けられている。この電子線通過孔113 、小径部113aと大径部113bとが連続された形状 とされている。

 第2チャンバ部112は、金属により台形板状 に形成され、第1チャンバ部111の小径部113a側 ボルトで固定されている。この第2チャンバ 部112には、電子線通過孔113に連通すると共に 、Z方向視において断面矩形状の電子線通過 114が設けられている。また、この電子線通 孔114は、外側(図示下側)に向かって末広がり の形状とされている。また、チャンバ110の電 子線通過孔113,114には、当該電子線通過孔113,1 14内を真空引きするための真空ポンプ(不図示 )が連結されている。

 収容容器120は、その内部に被照射物M1を 容する。この収容容器120は、その外壁120aに けられた連結口121に第2チャンバ部112が気密 に連結されている。これにより、収容容器120 の内部と電子線通過孔114とが互いに連通する ようになっている。また、収容容器120には、 収容容器120内を真空引きするため真空ポンプ (不図示)が連結されている。

 電子銃130は、電子線EB1をZ方向に出射する ものであり、ケース131、基部132及びコネクタ 133を有している。ケース131は、金属により直 方体状に形成され、第1チャンバ部111に気密 連結されている。基部132は、ケース131内に 容され、電子線通過孔113の大径部113b内に突 している。また、この基部132は、その先端 が電子線通過孔113の小径部113aに対向するよ うに配設されている。

 コネクタ133は、外部の電源装置(不図示) らカソード153(後述)に高電圧を供給するため のものである。このコネクタ133は、ケース131 の外壁131aにおいてZ方向に交差する方向(図示 左右方法;以下「X方向」という)側から差し込 まれ、基部132中に埋没されて固定されている 。コネクタ133の先端には、一対の内部配線134 ,134が接続されている。

 内部配線134,134は、コネクタ133の先端から 基部132の中心に向かってX方向に延在すると に、基部132の中心で折り曲げられて先端部 で延在している。この内部配線134,134には、 部132の先端部に埋設されたソケット135,135を 介して、電子線放出ユニット150に連結されて いる。

 図2は、電子線放出ユニットを示す断面図 である。図2に示すように、電子線放出ユニ ト150は基部132の先端部に対して着脱自在に けられたものであり、各部材の消耗等に伴 て交換が可能となっている。この電子線放 ユニット150は、絶縁基体151と、給電導体152,1 52と、カソード(電子線源)153と、包囲部材156 、蓋部材157と、を備えている。

 絶縁基体151は、例えばセラミック等の絶 性材料で形成されており、給電導体152,152と 、カソード153と、包囲部材156と、蓋部材157と を支持している。給電導体152,152は、例えば バール金属からなる略円柱状の給電用ピン あり、電子放出方向であるZ方向に突出する うに絶縁基体151に貫通保持されている。こ らの給電導体152,152の一端部は、ソケット135 ,135を介して内部配線134,134に電気的に連結さ ている。給電導体152の他端部(先端部)は、 の一部が切り欠かれたような半円柱状を呈 ている。さらに、給電導体152の他端部には カソード153を連結するためのものとして、 ソード153の支持部158a(後述)の軸線に沿った である平坦面152aが形成されている(図4参照) 換言すると、支持部158aと線接触又は面接触 するように、平坦面152aが給電導体152の他端 に形成されている。

 カソード153は、電子線EB1となる電子を発 させて放出するものである。カソード153は 給電導体152,152の先端部に掛け渡されるよう に形成されている。このカソード153の周囲に は、いわゆるグリッドである中間電極154が設 けられている。中間電極154は、カソード153の 一端と電気的に接続されてカソード153の一端 と同電位になっている。この中間電極154は、 その中心側の開口に向かって傾斜した凹構造 によって、電子が集束するような電界を発生 させると共に、電子線放出ユニット150を基部 132に押さえ付けるように固定する。また、必 要に応じて、バイアス抵抗で誘起される所定 バイアス電圧を中間電極154に印加することで 、所望の電界を形成することができる。この カソード153の絶縁基体151側には、一方の給電 導体152に支持された反射板155が配設されてい てもよい。反射板155は、カソード153から放出 された電子をZ方向側に反射することで、電 線EB1の線量を増加させることができる。

 また、絶縁基体151上には、給電導体152,152 の前端部を包囲する導電体からなる包囲部材 156が固定されている。包囲部材156の前端面に は、包囲部材156の開口を覆い塞ぐ導電体から なる薄板状の蓋部材157が配置されている。蓋 部材157には、長方形状のアパーチャ157a(図3参 照)が設けられている。このアパーチャ157aは Z軸方向から見て、カソード153を含むように 構成されている。包囲部材156及び蓋部材157は 、中間電極154と接触され、中間電極154と同電 位とされている。

 図1に戻り、制御部140は、電子線照射装置 11の全体を制御するためのものであり、例え CPU、ROM、及びRAM等で構成されている。

 次に、上述したカソード153について詳細 説明する。図3はカソードを示す一部断面拡 大図、図4はカソードの接続部分を示す拡大 である。図3に示すように、カソード153は、 の字状のピン形状を呈しており、電位が供 される給電部材158と、この給電部材158に隙 なく巻き回され(密巻きされ)電子を放出す 電子放出部材159と、を備えている。

 給電部材158は、タングステンで形成され 円形断面の線状を呈している。ここでは、 電部材158の径は、150μmとしている。この給 部材158は、コの字状に屈曲されて(曲げられ て)形成されている。具体的には、給電部材15 8は、Z方向に延在し且つ給電導体152に接続さ る支持部158a,158aと、Z方向に直交する方向( まり、電子線放出ユニット150では蓋部材157 前面に沿う方向(所定の方向))に延在する延 部158bと、を有している。そして、給電部材1 58の略直角な角部である曲部(規制部)158c,158c 介して、支持部158a,158a及び延在部158bが連続 ている。

 電子放出部材159は、タンタルで形成され 円形断面の線状を呈している。ここでは、 子放出部材159の径は、100μmとしている。つ り、この電子放出部材159としては、その径 給電部材158の径よりも小さい(給電部材158の 径が電子放出部材159の径よりも大きい)もの 用いられている。

 また、電子放出部材159は、給電部材158(支 持部158a,158a及び延在部158b)を覆うように当該 電部材158に設けられている。具体的には、 5(a)に示すように、電子放出部材159は、その 外周面S1のうち隣接する電子放出部材159の外 面(外面)S11が互いに接触するように、給電 材158の一端から他端に向かって順次に巻き されている。そして、延在部158bを覆う電子 出部材159が、電子放出源の主要部として機 する。

 また、この電子放出部材159には、例えば 化水素系のガスによる炭化処理が施されて てもよい。ここでは、電子放出部材159にお て外周面S1のうち露出する外周面S12を含む 定領域が、炭化タンタルとなっている。な 、炭化処理として、炭素を付着(浸炭)させた 後に真空中にて通電させてもよい。

 また、図4に示すように、カソード153の端 部は、平坦面152aと対向する部分の全体が接 部G1となるように給電導体152に連結されてい る。具体的には、例えば抵抗溶接やレーザ溶 接等によって平坦面152aにおける接合部G1領域 が溶融され、カソード153が埋入するように溶 接されて接合されている。つまり、給電導体 152が平坦面152aを有することで、カソード153 、給電導体152に面状の接合部G1を介して接合 されている。これにより、カソード153にあっ ては、給電導体152に電気的にも強度的にも安 定して接続され、給電導体152に保持される。 さらに、接合部G1が小さい場合、通電時に接 部G1の抵抗(接触抵抗)が大きくなることによ り熱を発生し、接合部G1が溶融して給電導体1 52とカソード153とが互いに離れてしまうおそ があるが、本実施形態においては接合部G1 十分に大きく取れるため、安定な保持が可 となる。

 次に、上述した電子線照射装置11の動作 ついて説明する。

 まず、収容容器120の内部に被照射物M1を 置し、この収容容器120の内部及び電子線通 孔113,114内を真空ポンプで真空引きする。続 て、内部配線134,134、ソケット135,135及び給 導体152,152を介してカソード153に電圧を印加 る。

 カソード153に電圧を印加することで、給 部材158が通電加熱され、この熱が電子放出 材159に伝わり、電子を放出可能な所定温度 で電子放出部材159が加熱される。そして、 部配線134の一方に高電圧を印加することで 電子放出部材159に電流が流れ、電子放出部 159から電子が放出される。具体的には、電 放出部材159には、給電導体152,152を介して電 流が流れると共に、給電部材158と電子放出部 材159との接触面を介して電流が流れる。これ により、電子放出部材159の露出する外周面S12 から電子を放出される。

 この放出された電子は、中間電極154で発 させられた電界により加速及び集束され、 子線EB1として電子銃130から出射される。そ て、電子線EB1は、電子線通過孔113,114を順次 通過して被照射物M1に照射されることになる

 ところで、図5(b)に示すように、電子放出 部材159がコイル状である従来のカソード153a は、電子放出部材159を流れる電流は、その き回される巻回方向(電子放出部材159の軸線 向、図示B1方向)に沿って電流が流れる。

 これに対し、本実施形態にあっては、図5 (a)に示すように、隣接する電子放出部材159の 外周面S11が互いに接触するように、電子放出 部材159が給電部材158に巻き回されている。よ って、電子放出部材159においては、巻回方向 に沿って電流が流れるだけでなく、巻き進む 方向(図示A1方向)に沿っても電流が流れるこ になる。その結果、電子放出部材159の通電 を向上することが可能となる。なお、電子 出部材159を構成するタンタルは、柔軟性が るため、隙間無く巻き回すことが比較的容 であるのに加え、給電部材158を構成するタ グステンは、その融点温度が非常に高く、 変形を起こし難いため、隣接する電子放出 材159の外周面S11が互いに接触する状態を安 に保持することができる。

 さらに、電子放出部材159の露出する外周 S2が電子放出面として機能することから、 子放出部材159が線状であるため、電子放出 S12が凹凸の連続するような波状曲面を呈す ことになる。よって、従来のカソード153aや 子放出面が平面で構成された電子源に比べ 、一定の平面面積に占める電子放出面S12の 積を増加することが可能となる。従って、 実施形態によれば、エミッション量ひいて エミッション特性(電子放出能)を向上する とができる。

 また、本実施形態では、上述したように 給電部材158が延在部158bを有し、電子放出部 材159が延在部158bに巻き回されている。この 合、電子放出源の主要部として機能する延 部158bに巻き回された電子放出部材159にあっ は、隣接する電子放出部材159の外周面S11が いに確実に接触することになる。

 また、カソード153に電圧が印加され、給 部材158及び電子放出部材159が高温化された き、タンタルの熱膨張率がタングステンの 膨張率よりも大きいことから、電子放出部 159がその巻き進む方向に移動してしまう(ズ レてしまう)おそれがある。これに対し、本 施形態では、上述したように、曲部158cが延 部158bの両端に形成されている。よって、熱 膨張した電子放出部材159は、両端の曲部158c その巻き進む方向に沿う方向に挟み込まれ ように係止されることになる。そのため、 膨張した電子放出部材159の移動を曲部158cで 制することができ、隣接する電子放出部材1 59の外周面S11が互いに確実に接触する状態を 適に維持することができる。

 なお、電子放出部材159の巻き回し程度が 年変化や使用頻度等により緩く(甘く)なる 合があるため、隣接する電子放出部材159の 周面S11が互いに確実に接触するように巻き された状態を維持するという上記効果は特 有効である。さらに、曲部158cの形成に際し は、給電部材158を曲げることで足り、別部 によって規制部を設ける必要がない。よっ 、かかる効果を、高温環境下でも規制部の 損や脱落のおそれなく安定に実現すること できると共に、低廉且つ簡易に実現するこ が可能である。

 また、本実施形態では、上述したように 給電部材158及び電子放出部材159が円形断面 線材であって、給電部材158の径が電子放出 材159の径よりも大きくなっている。そのた 、電子放出部材159を給電部材158に容易に巻 回すことができると共に、電子放出面S12の 積を一層増加することができる。

 ここで、従来のカソードでは、タングス ンからなる合金で給電部材158と電子放出部 159とが区別無く一体に形成される場合があ 。この場合、エミッション量を増やすため 動作温度を高温(例えば、約2,300℃)にせざる を得ない。よって、カソードに局部的な消耗 が生じた場合、消耗部の抵抗値が大きくなる ことで消耗部が高温化し、高温化した消耗部 に電子放出が集中することでさらに局所的な 消耗が進展してしまう。そして、この場合、 最終的にはカソード本体が破断に到ることで 、カソードの寿命が短寿命となってしまうお それがあった。

 この点、本実施形態では、タングステン らなる給電部材158にタンタルからなる電子 出部材159を巻き回してカソード153が形成さ ることから、次の効果を奏する。すなわち 下表1に示すように、従来のカソードの電子 放出部として使用されていたタングステンに 比較して電子放出部材159の仕事関数が低下さ れるため、動作温度を約2,050℃に低下させる とが可能となる。その結果、同じ動作温度 もエミッション量を増加することでき、エ ッション特性を向上することが可能となる また、同じエミッション量を得るための動 温度が低下されることから、給電部材158及 電子放出部材159の再結晶化を抑制できると に、給電部材158からの電子放出が抑制され ことで電子放出による給電部材158の消耗が 制されるため、カソード153自体の破断を抑 でき、カソード153の長寿命化が可能となる 動作温度が高い程、電子放出部材159の硬度 低下し脆くなる点からも、動作温度が低下 れる上記効果は特に有効である。

 また、本実施形態において、電子放出部 159に炭化処理が施されている場合、電子放 部材159に炭化タンタルが含まれることにな 。炭化タンタルは、仕事関数が一層小さく つ融点が一層高いという特性(下表1参照)を している。よって、カソード153の一層の長 命化が可能となる。さらに、炭化タンタル 、ガス被毒特性が高いため、真空度の低い 境下においてもカソード153を好適に使用す ことができる。よって、被照射物の交換の に真空排気を行うような場合に特に好まし といえる。

[表1]
物性値   W(タングステン) Ta(タンタル) TaC( 炭化タンタル)
仕事関数(eV)  4.55     4.10        3.61
融点(℃)     3420     3020        3980

 また、本実施形態では、上述したように 電子放出部材159が給電部材158に密巻きされ いることから、以下の効果をさらに奏する すなわち、電子放出部材159の一部が破断し 場合でも、隣接する電子放出部材159の外周 S11を介しても通電しているため、電子放出 材159における電流の流れが遮断されること なく、電子の放出を持続させることができ 。さらに、電子放出部材159の一部が破断し としても、電子放出部材159が給電部材158に き回された状態で保持されているため、電 放出部材159が脱落するのを防止することが きる。給電部材158の露出面積を抑制でき、 電部材158の酸化反応を抑制できる。給電部 158に電子放出部材159が巻き回されているだ なので、低コスト化が実現できる。

 また、上述したように、電子放出部材159 給電部材158に対して隙間無く密着するよう 巻き回されているため、電気抵抗が均一化 れ発生するジュール熱が均一になる結果、 子放出部材159の全体を均一に加熱すること でき、電子放出部材159の各部から均一に電 を放出することができる。

 ここで、説明したカソード153と、カソー 153と同一構造ながら電子放出部材をタング テンで形成した従来のカソードと、に関し エミッション量と動作温度との関係を実測 て比較した。その結果、同じエミッション が、カソード153では2,050℃のとき、従来の ソードでは2,300℃のときに得られることが確 認できた。これにより、動作温度の低減等の 上記効果を確認することができた。

 以上、本発明の好適な実施形態について 明したが、本発明は、上記実施形態に限定 れるものではない。例えば、上記実施形態 は、カソード153を電子線照射装置11に用い が、X線管(X線照射装置)に用いてもよい。

 図6は、本発明の一実施形態に係る電子線 源を含むX線管の断面図である。図6に示すよ に、X線管160は、印加電圧が10keV程度の低電 用のものであり、円筒状のバルブ161を有し いる。このバルブ161の基端には、ステム162 形成されている一方、バルブ161の開放端に 、出力窓163が形成されている。出力窓163に 、X線を発生させるためのターゲット164が蒸 着されている。ステム162には2本の給電導体15 2,152が固定され、これらの給電導体152,152の先 端部にはカソード153が掛け渡されている。カ ソード153は、給電導体152に抵抗溶接されてい る。また、カソード153を構成する給電部材は 、径が50μmの円形断面の線状のタングステン コの字状のピン形状としたものであり、カ ード153を構成する電子放出部材は、径が25μ mの円形断面の線状のタンタルを給電部材に き回したものであり、必要に応じて炭化処 が施されている。

 このX線管160においても、上記効果と同様 な効果、すなわち、電子放出部材159の通電性 を向上させると共に電子放出面S12の面積を増 加させるという効果を奏する。また、このX 管160では、電子放射の影響でカソード153の が細くなりカソード153が破断してしまうと うことを防止できる。

 また、上記実施形態では、給電部材158の 端から他端に亘る領域に、隣接する電子放 部材159の外周面S11が互いに確実に接触する うに電子放出部材159を巻き回したが、これ 限定されるものではない。少なくとも電子 出源の主要部として機能する延在部158b(給 部材158の少なくとも一部)に、隣接する電子 出部材159の外周面S11が互いに確実に接触す ように巻き回しておけば、支持部158aが露出 するように電子放出部材を巻き回してもよい し、支持部158aに電子放出部材を巻き回さな てもよい。また、上記実施形態では、電子 出部材159に炭化処理を施したが、この炭化 理を施さない場合がある。

 また、上記実施形態では、給電部材158及 電子放出部材159の断面を円形としたが、こ らの断面は、楕円形であってもよく、多角 であってもよい。また、給電部材158を線状 したが、薄板状であってもよい。

 また、上記実施形態では、給電部材158を ングステンで、電子放出部材159をタンタル 形成したが、給電部材158をタングステンを む合金(材料)で形成してもよく、また、電 放出部材159をタンタルを含む合金で形成し もよい。

 また、上記実施形態では、カソード153の 部において平坦面152aと対向する部分が接合 部G1となるように、カソード153と給電導体152 を溶接によって直接接合したが(図4参照)、 7及び図8に示すように、パイプ181を用いて ソード153と給電導体152と接合してもよい。 体的には、パイプ181は、円筒状の導電材料 らなり、カソード153の端部と電気的に接続 れるように当該カソード153の端部を覆って る。パイプ181を構成する導電材料は、ニッ ルやコバール等のカソード153を構成する材 よりも融点の低い金属としている。そして 接合の際、給電導体152と同様にパイプ181が 融されている。これにより、給電導体152と ソード153とを一層強く接合することができ 。

(第2実施形態)
 次に、本発明の第2実施形態に係る電子線照 射装置について説明する。図9は、本発明の 2実施形態に係る電子線照射装置の断面図で る。図9に示すように、電子線照射装置21は いわゆるバッチ式のものであり、例えば被 射物M2の乾燥、殺菌又は表面改質等を行な ものである。この電子線照射装置21は、チャ ンバ210、収容容器220、電子銃230及び制御部240 を備えている。

 チャンバ210は、電子銃230が取り付けられ 第1チャンバ部211と、収容容器220が取り付け られる第2チャンバ部212と、を有している。 1チャンバ部211は、金属により円柱状に形成 れている。この第1チャンバ部211には、その 軸線方向(図示上下方向;以下「Z方向」という )に沿って延在する断面円形状の電子線通過 213が設けられている。この電子線通過孔213 、小径部213aと大径部213bとが連続された形状 とされている。

 第2チャンバ部212は、金属により台形板状 に形成され、第1チャンバ部211の小径部213a側 ボルトで固定されている。この第2チャンバ 部212には、電子線通過孔213に連通すると共に 、Z方向視において断面矩形状の電子線通過 214が設けられている。また、この電子線通 孔214は、外側(図示下側)に向かって末広がり の形状とされている。このチャンバ210の電子 線通過孔213,214には、当該電子線通過孔213,214 を真空引きするための真空ポンプ(不図示) 連結されている。

 収容容器220は、その内部に被照射物M2を 容する。この収容容器220は、その外壁220aに けられた連結口221に第2チャンバ部212が気密 に連結されている。これにより、収容容器220 の内部は、電子線通過孔214に連通するように 構成されている。また、収容容器220には、当 該収容容器220内を真空引きするための真空ポ ンプ(不図示)が連結されている。

 電子銃230は、電子線EB2をZ方向に出射する ものであり、ケース231、基部232及びコネクタ 233を有している。ケース231は、金属により直 方体状に形成され、第1チャンバ部211に気密 連結されている。基部232は、ケース231内に 容され、電子線通過孔213の大径部213b内に突 している。また、この基部232は、その先端 が電子線通過孔213の小径部213aに対向するよ うに配設されている。

 コネクタ233は、外部の電源装置(不図示) らカソード253(後述)に高電圧を供給するため のものである。このコネクタ233は、ケース231 の外壁231aにおいてZ方向に交差する方向(図示 左右方向;以下「X方向」という)側から差し込 まれ、基部232中に埋没されて固定されている 。コネクタ233の先端には、一対の内部配線234 ,234が接続されている。

 内部配線234,234は、コネクタ233の先端から 基部232の中心に向かってX方向に延在すると に、基部232の中心で折り曲げられて先端部 で延在している。この内部配線234,234には、 部232の先端部に埋設されたソケット235,235を 介して、電子線放出ユニット250に連結されて いる。

 図10は、電子線放出ユニットを示す断面 である。図10に示すように、電子線放出ユニ ット250は基部232の先端部に対して着脱自在に 設けられたものであり、各部材の消耗等に伴 って交換が可能となっている。この電子線放 出ユニット250は、絶縁基体251と、給電導体252 ,252と、カソード(電子線源)253と、包囲部材256 と、蓋部材257と、を備えている。

 絶縁基体251は、例えばセラミック等の絶 性材料で形成されており、給電導体252,252と 、カソード253と、包囲部材256と、蓋部材257と を支持している。給電導体252,252は、例えば バール金属からなる略円柱状の給電用ピン あり、電子放出方向であるZ方向に突出する うに絶縁基体251に貫通されて保持されてい 。これらの給電導体252,252の一端部は、ソケ ット235,235を介して内部配線234,234に電気的に 結されている。給電導体252の他端部(先端部 )は、その一部が切り欠かれたような半円柱 を呈している。さらに、給電導体252の他端 には、カソード253を連結するためのものと て、カソード253の支持部258a(後述)の軸線に った面である平坦面252aが形成されている(図 12参照)。換言すると、支持部258aと線接触又 面接触するように、平坦面252aが給電導体252 他端部に形成されている。

 カソード253は、電子線EB2となる電子を発 させて放出するものである。カソード253は 給電導体252,252の先端部に掛け渡されるよう に形成されている。このカソード253の周囲に は、いわゆるグリッドである中間電極254が設 けられている。中間電極254は、その中心側の 開口に向かって傾斜した凹構造によって、電 子が集束するような電界を発生させ、さらに 、バイアス抵抗で誘起される所定バイアス電 圧を印加することで、所望の電界を形成する ことができると共に、電子線放出ユニット250 を基部232に押さえ付けるように固定する。ま た、必要に応じて、カソード253と電気的に接 続してカソード253と同電位にしてもよい。

 また、絶縁基体251上には、給電導体252,252 の前端部を包囲する導電体からなる包囲部材 256が固定されている。包囲部材256の前端面に は、包囲部材256の開口を覆い塞ぐ導電体から なる薄板状の蓋部材257が配置されている。蓋 部材257には、円形状のアパーチャ257a(図11参 )が設けられている。このアパーチャ257aは、 Z軸方向から見て、カソード253を含むように 成されている。包囲部材256及び蓋部材257は 中間電極254と接触され、中間電極254と同電 とされている。

 図9に戻り、制御部240は、電子線照射装置 21の全体を制御するためのものであり、例え CPU、ROM、及びRAM等で構成されている。

 次に、上述したカソード253について詳細 説明する。図11はカソードを示す一部断面 、図12はカソードの接続部分を示す拡大図で ある。図11に示すように、カソード253は、い ゆるヘアピン型のものであり、尖頭部253xを 有する略逆V字のピン形状を呈している。こ カソード253は、図12に示すように、給電導体 252の平坦面252aにカソード253の端部が接合部G2 を介して接合され保持されている。このカソ ード253は、電位が供給される給電部材258と、 この給電部材258に隙間なく巻き回され(密巻 され)電子を放出する電子放出部材259と、を えている。

 給電部材258は、タングステンで形成され 円形断面の線状を呈している。ここでは、 電部材258の径は、150μmとしている。この給 部材258は、略逆V字に屈曲されて(曲げられ )形成されている。具体的には、給電部材258 、二つ折りされるようにして尖った尖部258b と、この尖部258bの両端に連続され裾拡がり 裾部258aと、を含んで構成されている。

 電子放出部材259は、タンタルで形成され おり、円形断面の線状を呈している。ここ は、電子放出部材259の径は、100μmとしてお 、給電部材258の径よりも小さくなっている( 給電部材258の径が電子放出部材259の径よりも 大きくなっている)。この電子放出部材259は 給電部材258の少なくとも一部を覆うように 該給電部材258に巻き回されている。また、 子放出部材259は、炭化処理が施されており 炭化タンタルをさらに含んでいる(詳しくは 後述)。そして、尖部258bを覆う電子放出部 259が、電子放出源の主要部として機能する

 この電子線照射装置21を用いて電子線EB2 被照射物M2に照射する場合、被照射物M2が配 された収容容器220内及び電子線通過孔213,214 内を真空とした状態で、内部配線234,234、ソ ット235,235及び給電導体252,252を介してカソー ド253に電圧を印加する。これにより、給電部 材258が通電加熱され、この熱が電子放出部材 259に伝わり、電子を放出可能な所定温度まで 電子放出部材259が加熱される。

 続いて、内部配線234,234の何れか一方に高 電圧を印加することで、給電導体252,252を介 て電子放出部材259に電流が流れると共に、 電部材258と電子放出部材259との接触面を介 て電子放出部材259に電流が流れる。これに り、電子放出部材259の外周面S2のうち露出す る外周面S22から電子が放出されることになる 。そして、放出された電子が電子線EB2として 電子銃230から出射され、出射された電子線EB2 が電子線通過孔213,214を順次通過して被照射 M2に照射される。

 次に、上述したカソード253の製造方法に いて、図13に基づいて詳細に説明する。

 まず、図13(a)に示すように、タンタルか なり線状を呈する線材259Pを、タングステン らなり線状を呈する基材258Pに当該基材258P 覆われるように巻き回す。具体的には、隣 する線材259Pの外周面が互いに接触するよう 、基材258Pの一端から他端に向かって線材259 Pを隙間なく巻き回す。ここでは、基材258Pの を0.15mmとし、線材259Pの径を0.10mmとしている 。また、線材259Pを基材258Pに密着するように き回している。

 続いて、図13(b)に示すように、所定の長 (例えば18mm)に切断し、基材258Pに線材259Pが巻 きまわされてなる棹状の複合構造体253Pを形 する。

 続いて、図13(c)に示すように、複合構造 253Pを屈曲させ、当該複合構造体253Pを所定の 形状(ここでは略逆V字状)に成型する(成形工 )。このとき、その屈曲部において、主な電 放出部となる尖頭部253xの先端部分にまで確 実に通電可能にすべく、複合構造体253Pの対 する部分同士が互いに接触しないように成 する。

 その後、図13(d)に示すように、無酸素雰 気中(窒素雰囲気)にて、絶縁基体251に固定し た給電導体252の複合構造体253Pの端部を、平 面252aと対向する部分全体が接合部G2となる うに平坦面252aに当接し、この当接した部分 例えば抵抗溶接やレーザ等による電気溶接 施す。これにより、平坦面252aにおける接合 部G2領域が溶融され、カソード253が埋入する うに溶接されて接合される。その結果、面 の接合部G2を介して複合構造体253Pが給電導 252に電気的に接合される。このように複合 造体253Pと給電導体252とを接合することで、 複合構造体253Pを給電導体252に電気的にも強 的にも安定して接続でき、複合構造体253Pを 電導体252で好適に保持できる。さらに、接 部G2が小さい場合、通電時に接合部G2の抵抗 (接触抵抗)が大きくなることにより熱を発生 、接合部G2が溶融して給電導体252と複合構 体253P(カソード253)とが離れてしまうおそれ あるが、本実施形態においては接合部G2を十 分に大きく取れるため、安定な保持が可能と なる。

 続いて、複合構造体253Pの線材259Pに炭化 理を施す(炭化工程)。すなわち、まず、複合 構造体253Pを保持した絶縁基体251を真空装置23 内に収容する。具体的には、給電導体252にお いて複合構造体253Pが連結された側と反対側 先端252bが、真空装置23外の大気中に露出す ように、複合構造体253Pを保持した絶縁基体2 51を真空装置23内に収容する。そして、この 端252bに通電加熱用電源25を電気的に接続す 。

 その後、真空装置23内と大気系とをバル にて遮断し、真空装置23内を真空ポンプ24で 空にした後、この真空装置23内に炭化水素 のガス(例えば、エチレンガス等)を導入する 。なお、この炭化水素系ガスに加えて、複合 構造体253Pの表面を還元させる還元剤として 水素ガス、金属素材蒸発を抑制するための ガス(例えば、アルゴン等)を導入してもよい 。

 これと共に、通電加熱用電源25で複合構 体253Pを所定の時間だけ通電加熱し、複合構 体253Pの動作温度を例えば2,000℃以上とする その結果、線材259Pが炭化される(炭化反応 域が形成される)。ここでは、線材259Pにおい て露出する外周面を含む所定領域を、炭化タ ンタルに炭化させている。これにより、炭化 処理の施された線材259Pが電子放出部材259と て形成され、基材258Pを給電部材258とする複 構造体253Pがカソード253として形成されるこ ととなる。

 なお、通電加熱用電源25で通電加熱され 複合構造体253Pの温度は、2000℃から2500℃の が好ましく、2200℃程度がより好ましい。こ は、通常、2000℃から複合構造体253Pの炭化 応が生じ、温度を上げる程に炭化反応の生 速度が速まるということが一般的であるが 高温(2500℃以上)すぎると基材258Pのタングス ンの再結晶化が促進され、脆くなるためで る。また、本実施形態では、所望な炭化反 領域の深さを得るべく、通電加熱用電源25 おける通電時間の長さが適宜調整されてい 。

 以上、本実施形態では、タンタルの線材2 59Pを基材258Pに巻き回した後、この線材259Pに 化処理を施している。よって、炭化タンタ が含まれた線材259Pを、基材258Pに巻き回す うに設けることが可能となる。すなわち、 温耐性に優れたタングステンの基材258Pに、 事関数の小さい炭化タンタルを含む線材259P を安定して固定することが可能となる。従っ て、本実施形態によれば、電子放射効率が高 く且つ長寿命なカソード253を得ることができ る。

 また、本実施形態では、上述したように 線材259Pを巻き回した後であって炭化処理を 施す前に、線材259Pが巻き回された基材258P(複 合構造体53P)を所定の形状に成型している。 って、複合構造体253Pの成型の際に、硬度が く加工が困難な炭化タンタルが線材259Pに含 まれていないため、複合構造体253Pの成型を 易に行なうことができる。

 また、上述したように、給電部材258と電 放出部材259との接触面を介して電子放出部 259に電流が流れることから、この接触面に 化物が存在すると、電気抵抗値が増加して ミッション量が低下するという問題がある この点、本実施形態では、線材259Pを基材258 Pに巻き回した後に線材259Pに炭化処理を施す とで、給電部材258及び電子放出部材259を形 する。よって、給電部材258と電子放出部材2 59との接触面に炭化物が付着することを抑制 き、かかる問題を防止することができる。

 また、本実施形態では、上述したように 電子放出部材259が給電部材258に巻き回され いることから、以下の効果を奏する。すな ち、電子放出部材259の一部が破断したとし も、電子放出部材259が給電部材258に保持さ るため、電子放出部材259が脱落するのを防 することができる。給電部材258に電子放出 材259が巻き回されているだけなので、低コ ト化が実現できる。

 また、本実施形態では、上述したように 基材258P及び線材259Pが円形断面を呈し、基 258Pの径が線材259Pの径よりも大きくなってい るため、線材259Pを基材258Pに容易に巻き回す とができる。さらに、線材259Pを基材258Pに 着するように巻き回していることから、電 放出部材259の全体を給電部材258で均一に加 することができ、電子放出部材259から均一 電子を放出することができる。

 また、本実施形態では、線材259Pにタンタ ルひいては炭化タンタルを含むため、次の効 果を奏する。すなわち、下表2に示すように 従来のカソードの電子放出部材に使用され いたタングステンに比較して、電子放出部 259の仕事関数が低下されるため、動作温度 低下させることが可能となる。よって、同 動作温度でもエミッション量を増加するこ でき、エミッション特性を向上することが 能となる。また、同じエミッション量を得 ための動作温度が低下され、電子放出部材25 9の再結晶化が抑制され、カソード253の長寿 化が可能となる。動作温度が高い程、電子 出部材259の硬度が低下し脆くなる点からも 動作温度が低下される上記効果は特に有効 ある。さらに、電子放出部材259の融点が上 するため(下表2参照)、電子放出部材259の消 を抑制することができ、このことからも、 ソード253の長寿命化が可能となる。さらに 炭化タンタルは、ガス被毒特性が高いため 真空度の低い環境下においてもカソード253 好適に使用することができる。よって、被 射物の交換の度に真空排気を行なうような 合に特に好ましいといえる。

[表2]
物性値   W(タングステン) Ta(タンタル) TaC( 炭化タンタル)
 仕事関数(eV) 4.55     4.10         3.61
 融点(℃)    3420     3020         398 0

(第3実施形態)
 次に、本発明の第3実施形態に係る電子線照 射装置について説明する。

 図14は、本発明の第3実施形態に係る電子 照射装置のカソードを示す一部断面図であ 。図14に示すように、本実施形態の電子線 射装置270が上記第2実施形態の電子線照射装 21と異なる点は、カソード253を有する電子 放出ユニット250(図11参照)に代えて、コの字 のピン形状のカソード273を有する電子線放 ユニット271を備えている点である。

 カソード273は、給電部材278と、この給電 材278に隙間なく巻き回された電子放出部材2 79とを備えている。

 給電部材278は、電位が供給されるもので り、タングステンで形成されている。また 給電部材278は、円形断面の線状を呈してい 。この給電部材278は、コの字状に屈曲され (曲げられて)形成されている。具体的には 給電部材278は、Z方向に延在し且つ給電導体2 52に接続される支持部278a,278aと、Z方向に直交 する方向(つまり、電子線放出ユニット271で 蓋部材257の前面に沿う方向)に延在する延在 278bと、を有し、給電部材278の略直角な角部 である曲部278c,278cを介して、支持部278a,278a及 び延在部278bが連続している。

 電子放出部材279は、電子を放出するもの り、タンタルで形成されている。また、電 放出部材279は、円形断面の線状を呈してい 。この電子放出部材279は、給電部材278(支持 部278a,278a及び延在部278b)を覆うように当該給 部材278に巻き回されている。具体的には、 16に示すように、電子放出部材279は、その 周面S2のうち隣接する外周面(外面)S21が互い 接触するように、給電部材278の一端から他 に向かって順次に巻き回されている。そし 、延在部278bを覆う電子放出部材279が、電子 放出源の主要部として機能する。

 また、電子放出部材279は、炭化処理が施 れており、炭化タンタルをさらに含んでい 。ここでは、電子放出部材279において外周 S2のうち露出する外周面S22を含む所定領域 、炭化タンタルになっている(詳しくは、後 )。

 次に、上述したカソード273の製造方法に いて、図15に基づいて詳細に説明する。

 まず、上記第2実施形態と同様に、タング ステンからなる線状の基材に、タンタルから なる線状の線材を巻き回す。具体的には、隣 接する線材の外周面が互いに接触するように 、基材の一端から他端に向かって線材を隙間 なく巻き回す。これにより、所定の長さ(例 ば20mm)以上の長さを有する長尺棹状の複合構 造体を形成する。なお、タンタルは、柔軟性 があるため、隙間無く巻き回すことが比較的 容易であるのに加え、タングステンは、その 融点温度が非常に高く、熱変形を起こしにく いため、隙間無く巻き回した状態を安定に保 持することができる。

 続いて、図15(a)に示すように、複合構造 273Pにおける線材に対し炭化処理を施す(炭化 工程)。すなわち、複合構造体273Pを真空装置2 3内に収容し、この複合構造体273Pの両端部を リップ等の保持手段26で保持し、そして、 持手段26に通電加熱用電源25を電気的に接続 る。その後、真空装置23内と大気系とをバ ブにて遮断し、真空装置23内を真空ポンプ24 真空にした後、この真空装置23内に炭化水 系のガスを導入する。これと共に、通電加 用電源25により保持手段26を介して複合構造 273Pを通電加熱する。その結果、線材が炭化 される。

 続いて、図15(b)に示すように、複合構造 273Pを切断して屈曲し、複合構造体273Pを所定 の形状(ここでは略コの字状)に成型する(成型 工程)。そして、この成型した複合構造体273P 、接合部G2を介して電子線放出ユニット250 給電導体252に電気溶接する。これにより、 合構造体273Pがカソード273として形成される とになる。

 以上、本実施形態においても、上記効果 同様な効果、すなわち、電子放射効率が高 且つ長寿命なカソード273を得ることができ という効果を奏する。

 また、上述したように、電子放出部材279 、隣接する電子放出部材279の外周面S21が互 に接触するように給電部材278に巻き回され いる。そのため、以下の効果を奏する。す わち、電子放出部材279においては、電子放 部材279が巻き回される巻回方向(電子放出部 材279の軸線方向)に沿って電流が流れるだけ なく、図16に示すように、電子放出部材279が 巻き進む方向(図示A2方向)に沿っても電流が れることになる。よって、電子放出部材279 通電性を向上することができる。

 さらに、電子放出部材279の露出する外周 S22が電子放出面として機能することから、 子放出部材279が線材であるため、電子放出 S22が凹凸の連続するような波状曲面を呈す ことになる。よって、従来のカソードや電 放出面が平面で構成されたカソードに比べ 、一定の平面面積に占める電子放出面S22の 積を増加することが可能となる。これらに り、エミッション量ひいてはエミッション 性(電子放出能)を向上することができる。

 ここで、カソード273に電圧が印加され、 電部材278及び電子放出部材279が高温化され とき、タンタルの熱膨張率がタングステン 熱膨張率よりも大きいことから、電子放出 材279がその巻き進む方向に移動してしまう( ズレてしまう)おそれがある。これに対し、 実施形態では、上述したように、曲部278cが 在部278bの両端に形成されるように給電部材 278が屈曲されている。よって、熱膨張した電 子放出部材279は、その巻き進む方向に沿う方 向に、両端の曲部278cで挟み込まれるように 止されることになる。そのため、熱膨張し 電子放出部材279の移動を曲部278cで規制する とができ、隣接する電子放出部材279の外周 S21が互いに確実に接触する状態を好適に維 することができる。そのため、曲部278cは、 電子放出部材279の巻き進む方向に沿う方向に 当該電子放出部材279が移動するのを規制する 規制部として機能するといえる。

 なお、電子放出部材279の巻き回し程度が 年変化や使用頻度等により緩く(甘く)なる とがあるため、隣接する電子放出部材279の 周面S21が互いに確実に接触するように巻き された状態を維持するという上記効果は特 有効である。さらに、曲部278cの形成に際し は、給電部材278を曲げることで足り、別部 によって規制部を設ける必要がない。よっ 、かかる効果を、高温環境下でも規制部の 損や脱落のおそれなく安定に実現すること できると共に、低廉且つ簡易に実現するこ が可能である。

(第4実施形態)
 次に、本発明の第4実施形態に係る電子線照 射装置について説明する。

 図17は、本発明の第4実施形態に係る電子 照射装置のカソードを示す一部断面図であ 。図17に示すように、本実施形態の電子線 射装置290が上記第3実施形態の電子線照射装 270と異なる点は、電子放出部材279が給電部 278に隙間なく巻き回されたカソード273を有 る電子線放出ユニット271(図14参照)に代えて 、電子放出部材279が給電部材278に隙間B2を空 て巻き回された(疎巻きされた)カソード293 有する電子線放出ユニット291を備えている である。

 具体的には、図17に示すように、電子放 部材279は、その外周面S2のうち隣接する外周 面(外面)S21の間に隙間B2が形成されるように 給電部材278の一端から他端に向かって順次 巻き回されている。換言すると、電子放出 材279は、給電部材278の少なくとも一部を覆 ように当該給電部材278に設けられている。

 このカソード293においても、上記第3実施 形態のカソード273と同様な製造方法により製 造される。すなわち、カソード293を製造する 場合、タングステンからなる線状の基材に、 タンタルからなる線状の線材を巻き回すこと で長尺棹状の複合構造体を形成し、この複合 構造体に炭化処理を施し、その後、複合構造 体を所定の形状に成型する。

 以上、本実施形態では、上記効果と同様 効果、すなわち、電子放射効率が高く且つ 寿命なカソード293を得ることができるとい 効果を奏する。また、この場合、電子放出 材279を給電部材278に容易に巻き回すことが きる。

 また、本実施形態では、炭化処理により タンタルと共にタングステンも炭化される 、炭化タングステンの硬度が炭化タンタル 硬度に比べて低いことから、炭化タンタル 疎巻きされてなる本実施形態の複合構造体 あっては、炭化タンタルが密巻きされたも に比べ、屈曲等の加工部における炭化タン ルの占める割合が小さく、また、加工自由 が高いものとなる。そのため、本実施形態 よれば、成型時の加工性を向上することが きる。特に、小形のカソードを大量に作成 る場合には、複合構造体を一つ一つ成型し 後に炭化するよりも、長尺の複合構造体を 化した後に個別に成型するほうが好ましい よって、この場合には、加工性の高い本実 形態は、特に有効である。

 以上、本発明の好適な実施形態について 明したが、本発明は、上記実施形態に限定 れるものではない。例えば、上記実施形態 は、カソード(電子線源)253,273,293を電子線照 射装置21,270,290に用いたが、X線管(X線照射装 )に用いてもよい。

 図18は、本発明の他の実施形態に係るX線 の断面図である。図18に示すように、X線管2 60は、印加電圧が10keV程度の低電力用のもの あり、円筒状のバルブ261を有している。こ バルブ261の基端には、ステム262が形成され いる一方、バルブ261の開放端には、出力窓26 3が形成されている。出力窓263には、X線を発 させるためのターゲット264が蒸着されてい 。ステム262には2本の給電導体252,252が固定 れ、これらの給電導体252,252の先端部にはカ ード253が掛け渡されている。カソード253は 給電導体252に抵抗溶接されている。

 このX線管260によれば、電子放射の影響で カソード253の径が細くなりカソード253が破断 してしまうということを防止できる。

 また、上記第2実施形態では、成型工程の 後に炭化工程を実施したが、炭化工程の後に 成形工程を実施してもよく、上記第3,4実施形 態では、炭化工程の後に成型工程を実施した が、成形工程の後に炭化工程を実施してもよ い。なお、炭化処理としては、炭素を付着( 炭)させた後に真空中にて通電させる場合も る。

 また、上記実施形態では、基材及び線材 断面を円形としたが、これらの断面は、楕 形であってもよく、多角形であってもよい また、上記実施形態では、基材を線状とし が、薄板状であってもよい。

 また、上記実施形態では、給電部材258,278 をタングステンで、電子放出部材259,279をタ タルで形成したが、給電部材をタングステ を含む合金(材料)で形成してもよく、また、 電子放出部材をタンタルを含む合金で形成し てもよい。

 また、上記実施形態では、カソード253,273 ,293の端部において平坦面252aと対向する部分 接合部G2となるように、カソード253と給電 体252とを溶接によって直接接合したが、金 パイプを用いてカソード253,273,293と給電導体 252と接合してもよい。例えば、上記第3実施 態にて例示すると、図19及び図20に示すよう 、パイプ281を用いてカソード273と給電導体2 52と接合する場合がある。具体的には、パイ 281は、円筒状の導電材料からなり、カソー 273の端部と電気的に接続されるように当該 ソード273の端部を覆っている。パイプ281を 成する導電材料は、ニッケルやコバール等 カソード273を構成する材料よりも融点の低 金属としている。そして、接合の際、給電 体252と同様にパイプ281が溶融されている。 れにより、給電導体252とカソード273とを一 強く接合させることができる。

 また、上記第2実施形態におけるヘアピン 型のカソード253において、主な電子放出部と なる尖頭部253xの形状を鋭利にすれば、輝度( 定単位領域あたりの電子放出量)が更に上が るため、尖頭部253xに電界研磨等の研磨処理 施して当該尖頭部253xの形状を鋭利にした後 炭化処理を施してもよい。

(変形例)
 以上、各実施形態において、本発明の電子 源を電子線照射装置に適用する例を用いて 明したが、本発明の電子線源は、X線管を用 いたX線発生装置等の各種用途にも適用する とが可能である。

 図21は、本発明の電子線源を備えるX線管 配置されたX線発生装置の分解斜視図である 。また、図22は、図21に示したX線発生装置のX XII-XXII線に沿った断面図である。X線発生装置 301は、四角柱形状のケース本体部304と、平板 状の前面パネル305と、平板状の背面パネル306 とからなる保護ケース302を有する。保護ケー ス302には、取り付け用ベース307がネジ止めさ れている。保護ケース302内には、軟X線を発 させて静電気の除去等に利用されるX線管308 配置されている。このX線管308には、図6に したX線管160と同様な構成を適用することが 能である。

 保護ケース302内には、回路基板320上に搭 された電圧発生部321が収容されている。こ 電圧発生部321は、高電位をステムピン315に 給して、X線管308を駆動させるためのもので ある。電圧発生部321の高電圧発生部位から延 びた配線321aは、X線管308のステムピン315に結 され、X線管308には、ステムピン315を覆う円 筒状のキャップ319が固定されている。X線管30 8は、アルミからなる前面パネル305に固定さ て、保護ケース302に固定されている。X線管3 08は、出力窓を保持する出力窓保持部312を有 る。当該出力窓の内面側に蒸着されたター ットに電子ビームを衝突させることにより X線を発生することが可能となる。

 本発明は、電子放出部材の通電性を向上 ると共に、電子放出部材における電子放出 の面積を増加する電子線源を提供する。ま 、本発明は、電子放射効率が高く且つ長寿 な電子線源を得ることが可能な電子線源の 造方法を提供する。