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Patent Searching and Data


Title:
ELECTRON EMITTING ELEMENT, ELECTRON EMITTING DEVICE, LIGHT EMITTING DEVICE, IMAGE DISPLAY, BLOWER, COOLING DEVICE, ELECTRIFYING DEVICE, IMAGE FORMING DEVICE, ELECTRON BEAM CURING DEVICE, AND ELECTRON EMITTING ELEMENT MANUFACTURING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/066723
Kind Code:
A1
Abstract:
An electron emitting element (1) comprises a substrate (2), an upper electrode (3) and a particle layer (4) formed between the substrate (2) and the upper electrode (3). The particle layer (4) contains metal particles (6) having a high oxidation resistance and insulating particles (5) having sizes larger than those of the metal particles (6). The electron emitting element (1) emits electrons stably in vacuum and even in the atmosphere, hardly produces harmful substances such as ozone and NOx because the electron emitting element (1) involves no electric discharge, and is not oxidized and deteriorated. Hence, the electron emitting element (1) can continuously operate stably for a long period of time even in the atmosphere and has a long service life.

Inventors:
KANDA HIROFUMI
IWAMATSU TADASHI
TAMURA TOSHIHIRO
HIRAKAWA HIROYUKI
ICHII YOSHIO
Application Number:
PCT/JP2008/071102
Publication Date:
May 28, 2009
Filing Date:
November 20, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHARP KK (JP)
KANDA HIROFUMI
IWAMATSU TADASHI
TAMURA TOSHIHIRO
HIRAKAWA HIROYUKI
ICHII YOSHIO
International Classes:
H01J1/312; G03G15/02; H01J9/02; H01J31/12; H01J63/06; H01L21/027
Foreign References:
JPH01298623A1989-12-01
JPH097499A1997-01-10
JP2002279892A2002-09-27
JP2006190545A2006-07-20
JP2005326080A2005-11-24
JP2004327084A2004-11-18
JP2000076986A2000-03-14
JP2003173744A2003-06-20
JP2004253201A2004-09-09
JP2002093310A2002-03-29
JP2005190878A2005-07-14
JP2005209396A2005-08-04
JP2001068012A2001-03-16
Attorney, Agent or Firm:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK (2-6 Tenjinbashi 2-chome Kita,Kita-ku, Osaka-sh, Osaka 41, JP)
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Claims:
 電極基板と薄膜電極とを有し、当該電極基板と薄膜電極との間に電圧を印加することで、当該電極基板と薄膜電極との間で電子を加速させて、当該薄膜電極から当該電子を放出させる電子放出素子であって、
 上記電極基板と上記薄膜電極との間には、
 導電体からなり抗酸化力が高い導電微粒子と、
 上記導電微粒子の大きさより大きい絶縁体物質と、
が含まれる電子加速層が設けられていることを特徴とする電子放出素子。
 上記導電微粒子は、貴金属であることを特徴とする、請求項1に記載の電子放出素子。
 上記導電微粒子を成す導電体は、金、銀、白金、パラジウム、及びニッケルの少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の電子放出素子。
 上記導電微粒子の平均径は、3~10nmであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子放出素子。
 上記絶縁体物質は、SiO 2 、Al 2 O 3 、及びTiO 2 の少なくとも1つを含んでいる、または有機ポリマーを含んでいることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の電子放出素子。
 上記絶縁体物質が微粒子であり、その平均径は、10~1000nmであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の電子放出素子。
 上記微粒子である絶縁体物質の平均径は、12~110nmであることを特徴とする、請求項6に記載の電子放出素子。
 上記電子加速層における上記絶縁体物質の割合が、重量比で80~95%であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の電子放出素子。
 上記電子加速層の層厚は、12~6000nmであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の電子放出素子。
 上記電子加速層の層厚は、300~6000nmであることを特徴とする、請求項9に記載の電子放出素子。
 上記薄膜電極は、金、銀、炭素、タングステン、チタン、アルミ、及びパラジウムの少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の電子放出素子。
 上記導電微粒子の周囲に、当該導電微粒子の大きさより小さい絶縁体物質が存在することを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の電子放出素子。
 上記導電微粒子の周囲に存在する上記導電微粒子の大きさより小さい絶縁体物質は、アルコラート、脂肪酸、及びアルカンチオールの少なくとも1つを含んでいること特徴とする、請求項12に記載の電子放出素子。
 上記導電微粒子の大きさより大きい絶縁体物質は、上記電極基板に層形成されており、かつ、層の厚み方向に貫通する複数の開口部を有しており、
 上記開口部には、上記導電微粒子が収容されていることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の電子放出素子。
 請求項1~14のいずれか1項に記載の電子放出素子と、上記電極基板と上記薄膜電極との間に電圧を印加する電源部と、を備えたことを特徴とする電子放出装置。
 請求項15に記載の電子放出装置と発光体とを備えたことを特徴とする自発光デバイス。
 請求項16に記載の自発光デバイスを備えたことを特徴とする画像表示装置。
 請求項15に記載の電子放出装置を備え、雰囲気下に電子を送風することを特徴とする送風装置。
 請求項15に記載の電子放出装置を備え、雰囲気下に電子を送風して被冷却体を冷却することを特徴とする冷却装置。
 請求項15に記載の電子放出装置を備え、感光体を帯電することを特徴とする帯電装置。
 請求項20に記載の帯電装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
 請求項15に記載の電子放出装置を備えることを特徴とする電子線硬化装置。
 電極基板と薄膜電極とを有し、当該電極基板と薄膜電極との間に電圧を印加することで、当該電極基板と薄膜電極との間で電子を加速させて、当該薄膜電極から放出させる電子放出素子の製造方法であって、
 上記電極基板上に、導電体からなり抗酸化力が高い導電微粒子と、上記導電微粒子の大きさより大きい絶縁体物質とを含む電子加速層を形成する電子加速層形成工程と、
 上記電子加速層上に上記薄膜電極を形成する薄膜電極形成工程と、を含むことを特徴とする電子放出素子の製造方法。
 上記電子加速層形成工程は、
 上記導電微粒子と、上記絶縁体物質とを溶媒にて混合して混合物質を生成する混合工程と、
 上記電極基板上に上記混合物質を塗布する塗布工程と、
 上記塗布した混合物質を乾燥させる乾燥工程と、
を含むことを特徴とする請求項23に記載の電子放出素子の製造方法。
 上記電子加速層形成工程は、
 シート状で、かつ、積層方向に貫通する複数の開口部を有している上記絶縁体物質を、上記電極基板上に積層する積層工程と、
 上記開口部に上記導電微粒子を充填する充填工程と、
を含むことを特徴とする請求項23に記載の電子放出素子の製造方法。
 上記電子加速層形成工程は、
 上記電極基板に上記絶縁体物質を層形成する層形成工程と、
 上記絶縁体物質に、層の厚み方向に貫通する複数の開口部を形成する開口工程と、
 上記開口部に上記導電微粒子を充填する充填工程と、
を含むことを特徴とする請求項23に記載の電子放出素子の製造方法。
Description:
電子放出素子、電子放出装置、 発光デバイス、画像表示装置、送風装置、 却装置、帯電装置、画像形成装置、電子線 化装置、および電子放出素子の製造方法

 本発明は、電圧を印加することにより電 を放出させることができる電子放出素子に するものである。

 従来の電子放出素子として、スピント(Spi ndt)型電極、カーボンナノチューブ(CNT)型電極 などが知られている。このような電子放出素 子は、例えば、FED(Field Emision Display)の分野 応用検討されている。このような電子放出 子は、尖鋭形状部に電圧を印加して約1GV/mの 強電界を形成し、トンネル効果により電子放 出させる。

 また、かねてから、このような電子放出 子を大気中で動作させたいという要求が存 しており、例えば、帯電装置や静電潜像形 装置に応用しようという発想が存在する。 ピント型電極の電子放出素子の例では、こ を大気中で動作させ、大気中に電子を放出 、気体分子を電離して荷電粒子としてのイ ンを発生させ、静電潜像を形成するものが 案されている(例えば、特許文献1参照)。あ いは、カーボンナノチューブ型電極の電子 出素子を大気中で動作させた研究成果が報 されている(例えば、非特許文献1参照)。

 しかしながら、これら2つのタイプの電子 放出素子は、上記のように電子放出部表面近 傍が強電界であるため、放出された電子は電 界により大きなエネルギーを得て気体分子を 電離しやすくなる。気体分子の電離により生 じた陽イオンは強電界により素子の表面方向 に加速衝突し、スパッタリングによる素子破 壊が生じるという問題がある。また、大気中 の酸素は電離エネルギーより解離エネルギー が低いため、イオンの発生より先にオゾンを 発生する。オゾンは人体に有害である上、そ の強い酸化力により様々なものを酸化するこ とから、素子の周囲の部材にダメージを与え るという問題が存在し、これを避けるために 周辺部材には耐オゾン性の高い材料を用いな ければならないという制限が生じている。

 一方、上記とは別のタイプの電子放出素 として、MIM(Metal Insulator Metal)型やMIS(Metal I nsulator Semiconductor)型の電子放出素子が知られ ている。これらは素子内部の量子サイズ効果 及び強電界を利用して電子を加速し、平面状 の素子表面から電子を放出させる面放出型の 電子放出素子である。これらは素子内部で加 速した電子を放出するため、素子外部に強電 界を必要としない。従って、MIM型及びMIS型の 電子放出素子においては、上記スピント型や CNT型、BN型の電子放出素子のように気体分子 電離によるスパッタリングで破壊されると う問題やオゾンが発生するという問題を克 できる。

 例えば、半導体の陽極酸化処理によって 成される多孔質半導体(例えば多孔質シリコ ン)の量子サイズ効果を利用した上記MIS型に する電子放出素子として、多孔質半導体中 注入された電子を電界で加速し、表面金属 膜をトンネル効果によって通過させ真空中 放出させるものが提案されている(例えば、 許文献2参照)。さらに、かかる多孔質半導 による電子放出素子は、陽極酸化という極 て簡便・安価な製造方法にて素子を作製で るという大きなメリットがある。

 さらに、半導体微粒子もしくは金属微粒子 外側を絶縁層で覆ったものが繰り返し積層 れた、電子放出素子が知られている(例えば 、特許文献3参照)。

日本国公開特許公報「特開平6-255168号公 」(1994年年9月13日公開)」

日本国公開特許公報「特開平8-250766号公 (1996年9月27日公開)」

日本国公開特許公報「特開平9-7499号公報 (1997年1月10日公開)」 山口、他3名「カーボンナノチューブに る画像記録用高効率電子線源の開発」、Japan  Hardcopy97論文集、日本画像学会、1997年7月、p 221-224

 しかし、MIM型やMIS型の上記従来の電子放 素子を、大気中で動作させた場合、様々な 体分子が素子表面に吸着し、半導体の電気 特性などを変質させ、電子放出電流が減少 るという問題が新たに発生している。特に 気中の酸素による半導体の酸化劣化は避け れず、大きな問題となっている。

 これら素子内部で電子を加速するMIM型やM IS型の従来の電子放出素子の表面は、素子内 に電界を印加する上部電極の役割を担って り、一般的に金属薄膜で構成されている。 た、MIM型やMIS型の従来の電子放出素子の表 は、素子内部で加速された電子を、金属薄 をトンネルして真空中に放出させる役割を 担っており、金属薄膜の膜厚が薄いほど素 内部で加速された電子のトンネル確率が高 なり、電子放出量が多くなる。そのため、 属薄膜の膜厚は薄い方が好ましいと言える 、金属薄膜の膜厚が薄すぎると、緻密な膜 形成することが困難であるため、気体分子 バリア効果がほとんどない。従って、大気 で電子放出素子を動作させた場合、気体分 が内部の半導体層に侵入し、半導体の電気 特性を変質させ、電子放出電流が減少する いう課題が発生する。

 この結果、半導体微粒子もしくは金属微 子を核とし、その外側を絶縁層で覆った微 子が繰り返し積層された、電子放出素子で 、大気中において安定して電子を発生させ ことはできず、特に絶縁層が半導体微粒子 しくは金属微粒子の酸化膜により構成され いる場合では、大気中の酸素により微粒子 酸化が進み、酸化膜の膜厚が増加する。こ 酸化膜の膜厚増加は電子のトンネル確率を 下させ、最終的には電子放出が止まってし う。

 また一方で、電子がトンネルできる程度 膜厚の絶縁膜は抵抗値がとても低く、素子 を電流が多く流れすぎることにより絶縁破 を起こしたり、発熱が生じたりすることに って微粒子や絶縁層にダメージを与え、素 が破壊されてしまうという課題がある。

 本発明は上記課題に鑑みなされたもので り、真空中だけでなく大気圧中でも安定し 電子放出を可能とし、かつ電子放出に伴う ゾンやNOx等の有害物質の発生を抑制できる 電子放出素子等の提供を目的とする。

 本発明の電子放出素子は、上記課題を解 するために、電極基板と薄膜電極とを有し 当該電極基板と薄膜電極との間に電圧を印 することで、当該電極基板と薄膜電極との で電子を加速させて、当該薄膜電極から当 電子を放出させる電子放出素子であって、 記電極基板と上記薄膜電極との間には、導 体からなり抗酸化力が高い導電微粒子と、 記導電微粒子の大きさより大きい絶縁体物 と、が含まれる電子加速層が設けられてい ことを特徴としている。

 上記構成によると、電極基板と薄膜電極 の間には、導電体からなり抗酸化力が高い 電微粒子と、上記導電微粒子の大きさより きい絶縁体物質と、が含まれる電子加速層 設けられている。ここで言う抗酸化力が高 とは、酸化物形成反応の低いことを指す。 般的に熱力学計算より求めた、酸化物生成 由エネルギーの変化量δG[kJ/mol]値が負で大 い程、酸化物の生成反応が起こり易いこと 表す。本発明ではδG>-450[kJ/mol]以上に該当 る金属元素が、抗酸化力の高い導電微粒子 して該当する。また、該当する導電微粒子 周囲に、その導電微粒子の大きさよりも小 い絶縁体物質を付着、または被覆すること 、酸化物の生成反応をより起こし難くした 態の導電微粒子も、抗酸化力が高い導電微 子に含まれる。

 この電子加速層は、絶縁体物質と抗酸化 が高い導電微粒子とが緻密に集合した薄膜 層であり、半導電性を有する。この半導電 の電子加速層に電圧を印加すると、電子加 層内に電流が流れ、その一部は印加電圧の 成する強電界により弾道電子となって放出 れる。

 また、導電微粒子として抗酸化力が高い 電体を用いることから、大気中の酸素によ 酸化に伴う素子劣化を発生し難いため、大 圧中でも安定して動作させることができる

 また、上記絶縁体物質および導電性微粒 は、電子加速層における抵抗値および弾道 子の生成量を調整することができるため、 子加速層を流れる電流値と電子放出量の制 を可能とする。さらに、上記絶縁体物質は 電子加速層を流れる電流により生じるジュ ル熱を効率良く逃がす役割も有することが きるため、電子放出素子が熱で破壊される を防ぐことができる。

 本発明の電子放出素子は、上記構成を有 るため、真空中だけでなく大気圧中で動作 せても放電を伴わないためオゾンやNOx等の 害物質をほぼ生成せず、電子放出素子が酸 劣化しない。そのため、本発明の電子放出 子は、寿命が長く大気中でも長時間連続動 をさせることができる。よって、本発明に り、真空中だけでなく大気圧中でも安定し 電子を放出でき、オゾンやNOx等の有害物質 発生を抑制した電子放出素子を提供するこ ができる。

 本発明のさらに他の目的、特徴、および れた点は、以下に示す記載によって十分わ るであろう。また、本発明の利益は、添付 面を参照した次の説明で明白になるであろ 。

本発明の一実施形態の電子放出素子の 成を示す模式図である。 図1の電子放出素子における微粒子層付 近の断面の拡大図である。 電子放出実験の測定系を示す図である 真空中における電子放出電流を示すグ フを表す図である。 真空中における電子放出時の素子内電 を示すグラフを表す図である。 大気中における電子放出電流及び素子 電流を示すグラフを表す図である。 大気中における電子放出電流及び素子 電流の経時変化を示す図である。 本発明の電子放出素子の別の構成によ 、電子加速層付近の断面の拡大図である。 本発明の電子放出素子を用いた帯電装 の一例を示す図である。 本発明の電子放出素子を用いた電子線 硬化装置の一例を示す図である。 本発明の電子放出素子を用いた自発光 デバイスの一例を示す図である。 本発明の電子放出素子を用いた自発光 デバイスの他の一例を示す図である。 本発明の電子放出素子を用いた自発光 デバイスの更に別の一例を示す図である。 本発明の電子放出素子を用いた自発光 デバイスを具備する画像形成装置の他の一例 を示す図である。 本発明に係る電子放出素子を用いた送 風装置及びそれを具備した冷却装置の一例を 示す図である。 本発明の電子放出素子を用いた送風装 置及びそれを具備した冷却装置の別の一例を 示す図である。 被冷却体に、空気を送風した場合のと 、電子およびイオンを含む空気を送風した場 合とにおける、比較したグラフを表す図であ る。

符号の説明

 1,1’ 電子放出素子
 2   基板(電極基板)
 3   上部電極(薄膜電極)
 4   微粒子層(電子加速層)
 4’  電子加速層
 5   絶縁体の微粒子(絶縁体物質)
 5’  絶縁体物質
 6   金属微粒子(導電微粒子)
 7   電源(電源部)
 8   対向電極
 9   絶縁体スペーサ
 11  感光体
 21  加速電極
 22  レジスト
 31,31’,31” 自発光デバイス
 32,32’ 蛍光体
 33  ITO膜
 34  ガラス基板
 35  電源
 36  発光部
 41  被冷却体
 42  送風ファン
 51  開口部
 90  帯電装置
 100 電子線硬化装置
 140 画像表示装置
 150 送風装置
 160 送風装置
 330  液晶パネル

 以下、本発明の電子放出素子の実施形態 ついて、図1~17を参照しながら具体的に説明 する。なお、以下に記述する実施の形態およ び実施例は本発明の具体的な一例に過ぎず、 本発明はこれらよって限定されるものではな い。

 〔実施の形態1〕
 図1は、本発明の電子放出素子の一実施形態 の構成を示す模式図である。図1に示すよう 、本実施形態の電子放出素子1は、下部電極 なる基板(電極基板)2と、上部電極(薄膜電極 )3と、その間に挟まれて存在する電子加速層4 とからなる。また、基板2と上部電極3とは電 7に繋がっており、互いに対向して配置され た基板2と上部電極3との間に電圧を印加でき ようになっている。電子放出素子1は、基板 2と上部電極3との間に電圧を印加することで 基板2と上部電極3との間、つまり、電子加 層4に電流を流し、その一部を印加電圧の形 する強電界により弾道電子として、上部電 3を透過あるいは上部電極3の隙間から放出 せる。なお、電子放出素子1と電源7とから電 子放出装置が成る。

 下部電極となる基板2は、電子放出素子の 支持体の役割を担う。そのため、ある程度の 強度を有し、直に接する物質との接着性が良 好で、適度な導電性を有するものであれば、 特に制限なく用いることができる。例えばSUS やTi、Cu等の金属基板、SiやGe、GaAs等の半導体 基板、ガラス基板のような絶縁体基板、プラ スティック基板等が挙げられる。例えばガラ ス基板のような絶縁体基板を用いるのであれ ば、その電子加速層4との界面に金属などの 電性物質を電極として付着さることによっ 、下部電極となる基板2として用いることが きる。上記導電性物質としては、導電性に れた貴金属系材料を、マグネトロンスパッ 等を用いて薄膜形成できれば、その構成材 は特に問わない。また、酸化物導電材料と て、透明電極に広く利用されているITO薄膜 有用である。また、強靭な薄膜を形成でき という点で、例えば、ガラス基板表面にTi 200nm成膜し、さらに重ねてCuを1000nm成膜した 属薄膜を用いてもよいが、これら材料およ 数値に限定されることはない。

 上部電極3は、電子加速層4内に電圧を印 させるものである。そのため、電圧の印加 可能となるような材料であれば特に制限な 用いることができる。ただし、電子加速層4 で加速され高エネルギーとなった電子をな べくエネルギーロス無く透過させて放出さ るという観点から、仕事関数が低くかつ薄 を形成することが可能な材料であれば、よ 高い効果が期待できる。このような材料と て、例えば、仕事関数が4~5eVに該当する金 銀、炭素、タングステン、チタン、アルミ パラジウムなどが挙げられる。中でも大気 中での動作を想定した場合、酸化物および 化物形成反応のない金が、最良な材料とな 。また、酸化物形成反応の比較的小さい銀 パラジウム、タングステンなども問題なく 使用に耐える材料である。また上部電極3の 厚は、電子放出素子1から外部へ電子を効率 良く放出させる条件として重要であり、10~55n mの範囲とすることが好ましい。上部電極3を 面電極として機能させるための最低膜厚は1 0nmであり、これ未満の膜厚では、電気的導通 を確保できない。一方、電子放出素子1から 部へ電子を放出させるための最大膜厚は55nm あり、これを超える膜厚では弾道電子の透 が起こらず、上部電極3で弾道電子の吸収あ るいは反射による電子加速層4への再捕獲が じてしまう。

 電子加速層4は、導電体からなり抗酸化力 が高い導電微粒子と、上記導電微粒子の大き さより大きい絶縁体物質とを含んでいればよ い。本実施形態では、上記導電微粒子は、金 属微粒子6として説明する。また、本実施形 では、上記絶縁体物質は、金属微粒子6の平 径より大きい平均径の微粒子である、絶縁 の微粒子5として説明する。しかし電子加速 層4の構成は、上記したものに限定されず、 えば、上記絶縁体物質が、基板2に層形成さ ており、かつ、層の厚み方向に貫通する複 の開口部を有しており、そして、この開口 には、導電微粒子が収容されていている、 いうような形態であってもよい。

 本実施形態では、電子加速層4には、絶縁 体の微粒子5と、金属微粒子6とを含んでいる よって、以下では、電子加速層4を微粒子層 4と記載する。

 ここで、金属微粒子6の金属種としては、 弾道電子を生成するという動作原理の上では どのような金属種でも用いることができる。 ただし、大気圧動作させた時の酸化劣化を避 ける目的から、抗酸化力が高い金属である必 要があり、貴金属が好ましく、例えば、金、 銀、白金、パラジウム、ニッケルといった材 料が挙げられる。このような金属微粒子6は 公知の微粒子製造技術であるスパッタ法や 霧加熱法を用いて作成可能であり、応用ナ 研究所が製造販売する銀ナノ粒子等の市販 金属微粒子粉体も利用可能である。弾道電 の生成の原理については後段で記載する。

 ここで、金属微粒子6の平均径は、導電性 を制御する必要から、以下で説明する絶縁体 の微粒子5の大きさよりも小さくなければな ず、3~10nmであるのがより好ましい。このよ に、金属微粒子6の平均径を、絶縁体の微粒 5の粒子径よりも小さく、好ましくは3~10nmと することにより、微粒子層4内で、金属微粒 6による導電パスが形成されず、微粒子層4内 での絶縁破壊が起こり難くなる。また原理的 には不明確な点が多いが、粒子径が上記範囲 内の金属微粒子6を用いることで、弾道電子 効率よく生成される。

 なお、金属微粒子6の周囲には、金属微粒 子6の大きさより小さい絶縁体物質が存在し いてもよく、金属微粒子6の大きさより小さ 絶縁体物質は、金属微粒子6の表面に付着す る付着物質であってもよく、付着物質は、金 属微粒子6の平均径より小さい形状の集合体 して、金属微粒子6の表面を被膜する絶縁被 であってもよい。金属微粒子6の大きさより 小さい絶縁体物質としては、弾道電子を生成 するという動作原理の上ではどのような絶縁 体物質でも用いることができる。ただし、金 属微粒子6の大きさより小さい絶縁体物質が 属微粒子6を被膜する絶縁被膜であり、絶縁 膜を金属微粒子6の酸化被膜によって賄った 場合、大気中での酸化劣化により酸化皮膜の 厚さが所望の膜厚以上に厚くなってしまう恐 れがあるため、大気圧動作させた時の酸化劣 化を避ける目的から、有機材料による絶縁被 膜が好ましく、例えば、アルコラート、脂肪 酸、アルカンチオールといった材料が挙げら れる。この絶縁被膜の厚さは薄い方が有利で あることが言える。

 絶縁体の微粒子5に関しては、その材料は絶 縁性を持つものであれば特に制限なく用いる ことができる。ただし、後述の実験結果の通 り微粒子層4を構成する微粒子全体における 縁体の微粒子5の重量割合は80~95%、またその きさは、金属微粒子6に対して優位な放熱効 果を得るため、金属微粒子6の直径よりも大 いことが好ましく、絶縁体の微粒子5の直径( 平均径)は10~1000nmであることが好ましく、12~11 0nmがより好ましい。従って、絶縁体の微粒子 5の材料はSiO 2 、Al 2 O 3 、TiO 2 といったものが実用的となる。ただし、表面 処理が施された小粒径シリカ粒子を用いると 、それよりも粒子径の大きな球状シリカ粒子 を用いるときと比べて、溶媒中に占めるシリ カ粒子の表面積が増加し、溶液粘度が上昇す るため、微粒子層4の膜厚が若干増加する傾 にある。また、絶縁体の微粒子5の材料には 有機ポリマーから成る微粒子を用いてもよ 、例えば、JSR株式会社の製造販売するスチ ン/ジビニルベンゼンから成る高架橋微粒子 (SX8743)、または日本ペイント株式会社の製造 売するスチレン・アクリル微粒子のファイ スフェアシリーズが利用可能である。ここ 、絶縁体の微粒子5は、2種類以上の異なる 子を用いてもよく、また、粒径のピークが なる粒子を用いてもよく、あるいは、単一 子で粒径がブロードな分布のものを用いて よい。

 また絶縁体の成す役割は微粒子形状に依 しないため、上記絶縁体物質に有機ポリマ から成るシート基板や、何らかの方法で絶 体物質を塗布して形成した絶縁体層を用い もよい。但しこのシート状基板や絶縁体層 は厚さ方向を貫通する複数の微細孔を有す 必要がある。このような用件を満たすシー 状基板材料として、例えば、ワットマンジ パン株式会社の製造販売するメンブレンフ ルターニュークリポア(ポリカーボネート製 )が有用である。

 微粒子層4は薄いほど強電界がかかるため 低電圧印加で電子を加速させることができる が、電子加速層の層厚を均一化できること、 また層厚方向における電子加速層の抵抗調整 が可能となることなどから、微粒子層4の層 は、12~6000nm、より好ましくは300~6000nmである よい。

 次に、電子放出の原理について説明する 図2は、電子放出素子1の微粒子層4付近の断 を拡大した模式図である。図2に示すように 、微粒子層4は、その大部分を絶縁体微の粒 5で構成され、その隙間に金属微粒子6が点在 している。図2における絶縁体の微粒子5およ 金属微粒子6の比率は、絶縁体の微粒子5お び金属微粒子6の総重量に対する絶縁体の微 子5の重量比率が80%に相当する状態であり、 絶縁体の微粒子5一粒子当たりに付着する金 微粒子6は六粒子程度となる。

 微粒子層4は絶縁体の微粒子5と少数の金 微粒子6とで構成されるため、半導電性を有 る。よって微粒子層4へ電圧を印加すると、 極弱い電流が流れる。微粒子層4の電圧電流 性は所謂バリスタ特性を示し、印加電圧の 昇に伴い急激に電流値を増加させる。この 流の一部は、印加電圧が形成する微粒子層4 の強電界により弾道電子となり、上部電極3 を透過あるいはその隙間を通過して電子放出 素子1の外部へ放出される。弾道電子の形成 程は、電子が電界方向に加速されつつトン ルすることによるものと考えられるが、断 できていない。

 次に、電子放出素子1の、生成方法の一実 施形態について説明する。まず、基板2上に 絶縁体の微粒子5と、金属微粒子6とを分散さ せた分散溶液をスピンコート法を用いて塗布 することで、微粒子層4を形成する。ここで 分散溶液に用いる溶媒としては、絶縁体の 粒子5と、金属微粒子6とを分散でき、かつ塗 布後に乾燥できれば、特に制限なく用いるこ とができ、例えば、トルエン、ベンゼン、キ シレン、ヘキサン、テトラデカン等を用いる ことができる。また、金属微粒子6の分散性 向上させる目的で、事前処理としてアルコ ート処理を施すとよい。スピンコート法に る成膜、乾燥、を複数回繰り返すことで所 の膜厚にすることができる。微粒子層4は、 ピンコート法以外に、例えば、滴下法、ス レーコート法等の方法でも成膜することが きる。そして、電子加速層4上に上部電極3 成膜する。上部電極3の成膜には、例えば、 グネトロンスパッタ法を用いればよい。

 また、電子放出素子1において、電子加速層 における絶縁体物質(微粒子層4における絶縁 の微粒子5に対応)が層形成されたものであ 場合、次のように生成することができる。 ず、基板2上に、シート状で、かつ、層の厚 方向に貫通する複数の開口部を有している 縁体物質(以降ではシート状絶縁体物質)を 層する、もしくは、基板2上に絶縁体物質を 解/分散したコート液を塗布して絶縁体層を 形成する。シート状絶縁体物質には、例えば 、有機ポリマー、SiO 2 、Al 2 O 3 から成るシート状基板を用いることができ、 絶縁体層を形成する物質には、SiO 2 、Al 2 O 3 、及びTiO 2 、または有機ポリマーを用いることができる 。

 ここで、複数の開口部は、有機ポリマーで れば刃物を用いたうち抜き法や、高エネル ーレーザ照射によるレーザ穴あけ加工法等 用いて形成可能であり、またSiO 2 、Al 2 O 3 から成る物質には、陽極酸化法、特にSiO 2 のナノポーラス構造形成には、界面活性剤を 鋳型とする水熱反応法等を用いて、所望の開 口部を形成可能である。なお、開口部の大き さは、使用する金属微粒子以上の直径が必要 となり、50~50nmが好ましい。このような開口 が設けられたシート状絶縁体物質を基板2積 する、もしくは絶縁体物質を溶解/分散した コート液を塗布して形成した絶縁体層に、複 数の開口部を形成する。

 ここで、上記では、基板2に、開口部が設 けられたシート状絶縁体物質を積層している が、基板2にシート状絶縁体物質を積層した に、シート状絶縁体物質に開口部を形成し もよい。

 その後、シート状絶縁体物質の開口部に 縁被膜された金属微粒子6を充填する。この とき、例えば、絶縁被膜された金属微粒子6 分散させた溶液を、開口部に浸透させ自然 燥させることで、電子加速層4が形成される なお、絶縁被膜された金属微粒子6を、溶媒 に分散させることなく、送風や吸引または擦 り込みなどの方法により開口部に直接浸透さ せてもよい。そして、このように形成された 電子加速層4上に、上部電極3を成膜する。上 電極3の成膜には、例えば、マグネトロンス パッタ法を用いればよい。

 (実施例1)
 実施例として、本発明に係る電子放出素子 用いた電子放出実験について図3~7を用いて 明する。なお、この実験は実施の一例であ て、本発明の内容を制限するものではない

 本実施例では、微粒子層4における絶縁体 の微粒子5と絶縁体物質(付着物質)を表面に付 着させた金属微粒子6との配合を変えた5種類 電子放出素子1を作製した。

 基板2には30mm角のSUSの基板を使用し、こ 基板2上にスピンコート法を用いて微粒子層4 を堆積させた。スピンコート法に用いた絶縁 体の微粒子5及び絶縁体物質を表面に付着さ た金属微粒子6を含んだ溶液は、トルエンを 媒として各粒子を分散したものである。ト エン溶媒中に分散させた絶縁体の微粒子5と 絶縁体物質を表面に付着させた金属微粒子6 配合割合は、絶縁体の微粒子5および金属微 子6の投入総量に対する絶縁体の微粒子5の 量比率を70、80、90、95%と、それぞれ成るよ にした。

 絶縁体物質を表面に付着させた金属微粒 6として、銀ナノ粒子(平均径10nm、うち絶縁 膜アルコラート1nm厚)を用い、絶縁体の微粒 子5として、球状シリカ粒子(平均径110nm)を用 た。

 各微粒子を分散させた溶液は、次のよう 作成する。10mLの試薬瓶にトルエン溶媒を3mL 入れ、その中に0.5gのシリカ粒子を投入する ここで試薬瓶を超音波分散器にかけ、シリ 粒子の分散を行う。この後0.055gの銀ナノ粒 を追加投入し、同様に超音波分散処理を行 。こうして絶縁体の微粒子(シリカ粒子)の配 合割合が90%となる分散溶液が得られる。

 スピンコート法による成膜条件は、分散 液の基板への滴下後に、500RPMにて5sec続いて 3000RPMにて10sec、基板の回転を行う事とした。 この成膜条件を3度繰り返し、基板上に3層堆 させた後、室温で自然乾燥させた。膜厚は 1500nmであった。

 基板2の表面に微粒子層4を形成後、マグネ ロンスパッタ装置を用いて上部電極3を成膜 る。成膜材料として金を使用し、上部電極3 の層厚は12nm、同面積は0.28cm 2 とした。

 上記のように作製した電子放出素子につい 、図3に示すような測定系を用いて電子放出 実験を行った。図3の実験系では、電子放出 子1の上部電極3側に、絶縁体スペーサ9を挟 で対向電極8を配置させる。そして、電子放 素子1および対向電極8は、それぞれ、電源7 接続されており、電子放出素子1にはV1の電 、対向電極8にはV2の電圧がかかるようにな ている。このような実験系を1×10 -8 ATMの真空中に配置して電子放出実験を行い、 さらに、このような実験系を大気中に配置し て電子放出実験を行った。これらの実験結果 を図4~7に示す。

 図4は、真空中にて電子放出実験した際の電 子放出電流を測定した結果を示すグラフであ る。ここで、V1=1~10V、V2=50Vとした。図4に示す ように、1×10 -8 ATMの真空中において、シリカ粒子の重量比率 が、70%では電子放出が見られないのに対し、 80、90、95%では電子放出による電流が観測さ た。その値は、10Vの電圧印加で10 -7 A程度であった。

 図5は、上記と同様、真空中において電子 放出実験した際の素子内電流を測定した結果 を示すグラフである。ここでも、上記と同様 、V1=1~10V、V2=50Vとした。図5から、シリカ粒子 の割合が70%では抵抗値が足りずに絶縁破壊を 起こしている(電流値が振り切れ、グラフ上 に張り付いている)ことがわかる。金属微粒 の配合比が多くなると、金属微粒子による 電パスが形成され易くなり、微粒子層4に低 電圧で大電流が流れてしまう。このため、弾 道電子発生の条件が成立しないと考えられる 。

 図6は、シリカ粒子の割合が90%の電子放出 素子を用いて、V1=1~15V,V2=200Vとして、大気中 電子放出実験した際の、電子放出電流およ 素子内電流を測定した結果を示すグラフで る。

 図6に示すように、大気中で、V1=15Vの電圧印 加で10 -10 A程度の電流が観測された。

 さらに、図7は、図6と同様シリカ粒子の 合が90%の電子放出素子を用いて、ここでは V1=15V,V2=200Vの電圧印加で大気中にて連続駆動 させた際の、電子放出電流および素子内電流 を測定した結果を示すグラフである。図7に す通り、6時間経っても安定的に電流を放出 続けた。

 (実施例2)
 本実施例では、微粒子層4における絶縁体の 微粒子5と絶縁体物質を表面に付着させた金 微粒子6の組成は上記実施例1と同様だが、微 粒子層4の成膜条件を変更し、その層厚を変 た4種類の電子放出素子1を作成した。

 スピンコートに用いる分散溶液に分散さ た絶縁体の微粒子5と絶縁体物質を表面に付 着させた金属微粒子6の配合割合は、絶縁体 微粒子5および金属微粒子6の投入総量に対す る絶縁体の微粒子5の重量比率を80%と成るよ に調整し、スピンコート法による上述の成 条件を1回、5回、で作成した。また、同スピ ンコート法による成膜条件において、コート 面へ供給する塗液量を減量し、同1回のスピ コート条件でも行った。さらに先の成膜方 は異なり、分散溶液を基板2表面に滴下する けの方法でも微粒子層4の成膜も行った。各 成膜条件と微粒子層4の層厚との関係は、表1 示す通りである。

 本実施例にて作成した電子放出素子1を、図 3に示す測定系を用いて測定した結果は以下 通りである。V1=1~20V、V2=50Vとして計測した結 果、1×10 -8 ATMの真空中において、微粒子層4の層厚が300nm から6000nmの範囲にある電子放出素子では電子 放出が得られたのに対し、19000nmの電子放出 子では、素子の抵抗が高いため十分な素子 電流を流すことができず、電子放出が得ら なかった。

 (実施例3)
 上記実施例1,2では、トルエン溶媒に、絶縁 の微粒子5として球状シリカ粒子、絶縁体物 質を表面に付着させた金属微粒子6としてア コラート被膜された銀ナノ粒子、を分散さ た系であった。本実施例では、金属微粒子 して、金、白金およびパラジウムを用いて 子放出素子の作成を行った。

 微粒子層4の成膜方法には前述のスピンコ ート法を用いるため、各微粒子を分散させた 溶液を次のように作成した。10mLの試薬瓶に タノール溶媒を3mL入れ、球状シリカ粒子(平 径110nm)を0.5g投入する。ここで試薬瓶を超音 波分散器にかけ、シリカ粒子の分散を行う。 次に金微粒子(平均粒径3nm)を0.055g追加投入し 同様に超音波分散処理を行う。この条件で 散溶液に占める微粒子の総質量に対するシ カ粒子の配合割合は90%となる。

 スピンコート法による成膜条件は前述の実 例と同様であるが、SUSの基板表面には、前 理としてシランカップリング剤を用いた親 化処理を行う必要がある。このようにして 成した微粒子層4の表面には、マグネトロン スパッタ装置を用いて上部電極3を成膜する 成膜材料として金を使用し、上部電極3の層 は12nm、同面積は0.28cm 2 とした。

 この電子放出素子は1×10 -8 ATMの真空中において、上部電極への印加電圧 10Vにて、6×10 -8 Aの電子放出電流が確認された。

 同様に、白金微粒子およびパラジウムパ ジウム微粒子においても、全く同様の製造 法により電子放出素子を作成し、電子放出 能であることを確認した。

 (実施例4)
 本実施例では、微粒子層4における絶縁体の 微粒子5として有機ポリマーから成る微粒子 用いて電子放出素子の作成を行った。

 先の実施例同様、微粒子層4の成膜方法に は前述のスピンコート法を用いるため、各微 粒子を分散させた溶液を次のように作成した 。10mLの試薬瓶にトルエン溶媒を3mL入れ、JSR 式会社製高架橋ポリマー微粒子(SX8743:平均径 50nm)を0.5g投入する。ここで試薬瓶を超音波分 散器にかけ、高架橋ポリマー微粒子の分散を 行う。次に応用ナノ研究所製、銀ナノ粒子を 0.055g追加投入し、同様に超音波分散処理を行 い、微粒子分散溶液が得られる。

 スピンコート法による成膜条件は前述の のと同様であり、SUSの基板2表面に3回の成 を繰り返すことで、膜厚が約1000nmの微粒子 4が得られた。この微粒子層4の表面に、金材 料を用いて厚さ40nmの上部電極3を成膜し、電 放出素子とした。本実施例における電子放 素子においても、電子放出が確認された。

 (実施例5)
 本実施例では、電子加速層における絶縁体 質(上記実施例1~4の、微粒子層4における絶 体の微粒子5に対応)として有機ポリマーから 成るシート状基板を用いて電子放出素子の作 成を行った。図8に、本発明に係る電子放出 子の構成の、別の一例である電子放出素子1 の電子加速層4’付近の断面を拡大した模式 図を示す。本実施例では、絶縁体物質5’は シート状で基板2に積層されており、積層方 に貫通する複数の開口部51を有する形状と っている。

 基板2には30mm角のSUSの基板を用い、その上 絶縁体物質5’として厚さが6μmのポリカーボ ネートのシートを積層した。なお、このポリ カーボネートのシートには、φ50nmの開口部( )51が1μm 2 あたり6個の割合で開いており、その開口率 約1.2%である。開口部51は、シートの積層方 に貫通している。

 次に、絶縁体物質を表面に付着させた金属 粒子6として金ナノ粒子(平均粒径10nm、うち 縁皮膜水溶性高分子1nm)を2.5mmol/Lの濃度で溶 媒である水に分散させた。この溶液を上記ポ リカーボネートのシートの上に適量滴下し、 上記開口部51に浸透させた後、自然乾燥させ 。上部電極3には金を用い、マグネトロンス パッタにより層厚を12nmにして開口部51に金ナ ノ粒子が埋まっているポリカーボネートのシ ート(電子加速層4’)上に堆積させた。電極面 積は0.28cm 2 であった。

 上記のように作製した電子放出素子1’に ついて、図3に示すような測定系を用いて電 放出実験を行ったところ、電子放出による 流が確認された。

 なお、本実施例では溶液の滴下により開 部51に絶縁体物質を表面に付着させた金属 粒子6を浸透させているが、溶媒に分散させ ことなく送風や吸引または擦り込みなどの 法により直接浸透させてもよい。

 〔実施の形態2〕
 図9に、実施の形態1で説明した本発明に係 電子放出素子1を用いた本発明に係る帯電装 90の一例を示す。帯電装置90は、電子放出素 子1とこれに電圧を印加する電源7とからなり 感光体11を帯電させるものである。本発明 係る画像形成装置は、この帯電装置90を具備 している。本発明に係る画像形成装置におい て、帯電装置90を成す電子放出素子1は、被帯 電体である感光体11に対向して設置され、電 を印加することにより、電子を放出させ、 光体11を帯電させる。なお、本発明に係る 像形成装置では、帯電装置90以外の構成部材 は、従来公知のものを用いればよい。ここで 、帯電装置90として用いる電子放出素子1は、 感光体11から、例えば3~5mm隔てて配置するの 好ましい。また、電子放出素子1への印加電 は25V程度が好ましく、電子放出素子1の電子 加速層の構成は、例えば、25Vの電圧印加で、 単位時間当たり1μA/cm 2 の電子が放出されるようになっていればよい 。

 帯電装置90として用いられる電子放出素 1は、大気中で動作させても放電を伴わず、 って帯電装置90からのオゾンの発生は全く い。オゾンは人体に有害であり環境に対す 各種規格で規制されているほか、機外に放 されなくとも機内の有機材料、例えば感光 11やベルトなどを酸化し劣化させてしまう。 このような問題を、本発明に係る電子放出素 子1を帯電装置90に用い、また、このような帯 電装置90を画像形成装置が有することで、解 することができる。

 さらに帯電装置90として用いられる電子 出素子1は、面電子源として構成されるので 感光体11の回転方向へも幅を持って帯電を え、感光体11のある箇所への帯電機会を多く 稼ぐことができる。よって、帯電装置90は、 状で帯電するワイヤ帯電器などと比べ、均 な帯電が可能である。また、帯電装置90は 数kVの電圧印加が必要なコロナ放電器と比べ て、10V程度と印加電圧が格段に低くてすむと いうメリットもある。

 〔実施の形態3〕
 図10に、実施の形態1で説明した本発明に係 電子放出素子1を用いた本発明に係る電子線 硬化装置100の一例を示す。電子線硬化装置100 は、電子放出素子1とこれに電圧を印加する 源7、さらに電子を加速させる加速電極21を えている。電子線硬化装置100では、電子放 素子1を電子源とし、放出された電子を加速 極21で加速してレジスト22へと衝突させる。 一般的なレジスト22を硬化させるために必要 エネルギーは10eV以下であるため、エネルギ ーだけに注目すれば加速電極は必要ない。し かし、電子線の浸透深さは電子のエネルギー の関数となるため、例えば厚さ1μmのレジス 22を全て硬化させるには約5kVの加速電圧が必 要となる。

 従来からある一般的な電子線硬化装置は 電子源を真空封止し、高電圧印加(50~100kV)に より電子を放出させ、電子窓を通して電子を 取り出し、照射する。この電子放出の方法で あれば、電子窓を透過させる際に大きなエネ ルギーロスが生じる。また、レジストに到達 した電子も高エネルギーであるため、レジス トの厚さを透過してしまい、エネルギー利用 効率が低くなる。さらに、一度に照射できる 範囲が狭く、点状で描画することになるため 、スループットも低い。

 これに対し、本発明に係る電子放出素子1 を用いた本発明に係る電子線硬化装置は、大 気中動作可能であるため、真空封止の必要が ない。また、電子透過窓を通さないのでエネ ルギーのロスも無く、印加電圧を下げること ができる。さらに面電子源であるためスルー プットが格段に高くなる。また、パターンに 従って電子を放出させれば、マスクレス露光 も可能となる。

 〔実施の形態4〕
 図11~13に、実施の形態1で説明した本発明に る電子放出素子1を用いた本発明に係る自発 光デバイスの例をそれぞれ示す。

 図11に示す自発光デバイス31は、電子放出 素子1とこれに電圧を印加する電源7と、さら 、電子放出素子1と離れ、対向した位置に、 基材となるガラス基板34、ITO膜33、そして蛍 体32が積層構造を有する発光部36と、から成 。

 蛍光体32としては赤、緑、青色発光に対応 た電子励起タイプの材料が適しており、例 ば、赤色ではY 2 O 3 :Eu、(Y,Gd)BO 3 :Eu、緑色ではZn 2 SiO 4 :Mn、BaAl 12 O 19 :Mn、青色ではBaMgAl 10 O 17 :Eu 2+ 等が使用可能である。ITO膜33が成膜されたガ ス基板34表面に、蛍光体32を成膜する。蛍光 体32の厚さ1μm程度が好ましい。また、ITO膜33 膜厚は、導電性を確保できる膜厚であれば 題なく、本実施形態では150nmとした。

 蛍光体32を成膜するに当たっては、バイ ダーとなるエポキシ系樹脂と微粒子化した 光体粒子との混練物として準備し、バーコ ター法或いは滴下法等の公知な方法で成膜 るとよい。

 ここで、蛍光体32の発光輝度を上げるに 、電子放出素子1から放出された電子を蛍光 へ向けて加速する必要があり、その場合は 子放出素子1の基板2と発光部36のITO膜33の間 、電子を加速する電界を形成するための電 印加するために、電源35を設けるとよい。 のとき、蛍光体32と電子放出素子1との距離 、0.3~1mmで、電源7からの印加電圧は18V、電源 35からの印加電圧は500~2000Vにするのが好まし 。

 図12に示す自発光デバイス31’は、電子放 出素子1とこれに電圧を印加する電源7、さら 、蛍光体32を備えている。自発光デバイス31 ’では、蛍光体32は平面状であり、電子放出 子1の表面に蛍光体32が配置されている。こ で、電子放出素子1表面に成膜された蛍光体 32の層は、前述のように微粒子化した蛍光体 子との混練物から成る塗布液として準備し 電子放出素子1表面に成膜する。但し、電子 放出素子1そのものは外力に対して弱い構造 あるため、バーコーター法による成膜手段 利用すると素子が壊れる恐れがある。この め滴下法或いはスピンコート法等の方法を いるとよい。

 図13に示す自発光デバイス31”は、電子放 出素子1とこれに電圧を印加する電源7を備え おり、さらに、電子放出素子1の微粒子層4 蛍光体32’として蛍光の微粒子が混入されて いる。この場合、蛍光体32’の微粒子を絶縁 の微粒子5と兼用させてもよい。但し前述し た蛍光体の微粒子は一般的に電気抵抗が低く 、絶縁体の微粒子5に比べると明らかに電気 抗は低い。よって蛍光体の微粒子を絶縁体 微粒子5に変えて混合する場合、その蛍光体 微粒子の混合量は少量に抑えなければ成ら い。例えば、絶縁体の微粒子5として球状シ リカ粒子(平均径110nm)、蛍光体微粒子としてZn S:Mg(平均径500nm)を用いた場合、その重量混合 は3:1程度が適切となる。

 上記自発光デバイス31,31’,31”では、電 放出素子1より放出させた電子を蛍光体32,32 衝突させて発光させる。なお、自発光デバ ス31,31’,31”は、電子放出素子1が大気中で 子を放出できるため、大気中動作可能であ が、真空封止すれば電子放出電流が上がり より効率よく発光することができる。

 さらに、図14に、本発明に係る自発光デバ スを備えた本発明に係る画像表示装置の一 を示す。図14に示す画像表示装置140は、図13 示した自発光デバイス31”と、液晶パネル33 0とを供えている。画像表示装置140では、自 光デバイス31”を液晶パネル330の後方に設置 し、バックライトとして用いている。画像表 示装置140に用いる場合、自発光デバイス31” の印加電圧は、20~35Vが好ましく、この電圧 て、例えば、単位時間当たり10μA/cm 2 の電子が放出されるようになっていればよい 。また、自発光デバイス31”と液晶パネル330 の距離は、0.1mm程度が好ましい。

 また、本発明に係る画像表示装置として、 11に示す自発光デバイス31を用いる場合、自 発光デバイス31をマトリックス状に配置して 自発光デバイス31そのものによるFEDとして 像を形成させて表示する形状とすることも きる。この場合、自発光デバイス31への印加 電圧は、20~35Vが好ましく、この電圧にて、例 えば、単位時間当たり10μA/cm 2 の電子が放出されるようになっていればよい 。

 〔実施の形態5〕
 図15及び図16に、実施の形態1で説明した本 明に係る電子放出素子1を用いた本発明に係 送風装置の例をそれぞれ示す。以下では、 願発明に係る送風装置を、冷却装置として いた場合について説明する。しかし、送風 置の利用は冷却装置に限定されることはな 。

 図15に示す送風装置150は、電子放出素子1と れに電圧を印加する電源7とからなる。送風 装置150において、電子放出素子1は、電気的 接地された被冷却体41に向かって電子を放出 することにより、イオン風を発生させて被冷 却体41を冷却する。冷却させる場合、電子放 素子1に印加する電圧は、18V程度が好ましく 、この電圧で、雰囲気下に、例えば、単位時 間当たり1μA/cm 2 の電子を放出することが好ましい。

 図16に示す送風装置160は、図15に示す送風装 置150に、さらに、送風ファン42が組み合わさ ている。図16に示す送風装置160は、電子放 素子1が電気的に接地された被冷却体41に向 って電子を放出し、さらに、送風ファン42が 被冷却体41に向かって送風することで電子放 素子から放出された電子を被冷却体41に向 って送り、イオン風を発生させて被冷却体41 を冷却する。この場合、送風ファン42による 量は、0.9~2L/分/cm 2 とするのが好ましい。

 ここで、送風によって被冷却体41を冷却 せようとするとき、従来の送風装置あるい 冷却装置のようにファン等による送風だけ は、被冷却体41の表面の流速が0となり、最 熱を逃がしたい部分の空気は置換されず、 却効率が悪い。しかし、送風される空気の に電子やイオンといった荷電粒子を含まれ いると、被冷却体41近傍に近づいたときに電 気的な力によって被冷却体41表面に引き寄せ れるため、表面近傍の雰囲気を入れ替える とができる。ここで、本発明に係る送風装 150,160では、送風する空気の中に電子やイオ ンといった荷電粒子を含んでいるので、冷却 効率が格段に上がる。

 図17は、被冷却体41に単に空気を送風した 場合の被冷却体41の表面温度と、被冷却体41 電子およびイオンを含む空気を送風した場 の被冷却体41の表面温度とを比較したグラフ である。図17から、送風される空気に電子お びイオンが含まれると、冷却効率が上がる とがわかる。

 以上のように、本発明の電子放出素子は 電極基板と薄膜電極とを有し、当該電極基 と薄膜電極との間に電圧を印加することで 当該電極基板と薄膜電極との間で電子を加 させて、当該薄膜電極から当該電子を放出 せる電子放出素子であって、上記電極基板 上記薄膜電極との間には、導電体からなり 酸化力が高い導電微粒子と、上記導電微粒 の大きさより大きい絶縁体物質と、が含ま る電子加速層が設けられていることを特徴 している。

 本発明の電子放出素子では、上記構成に え、上記導電微粒子は、貴金属であっても い。このように、上記導電微粒子が、貴金 であることで、導電微粒子の、大気中の酸 による酸化などをはじめとする素子劣化を ぐことができる。よって、電子放出素子の 寿命化を図ることができる。

 本発明の電子放出素子では、上記構成に え、上記導電微粒子を成す導電体は、金、 、白金、パラジウム、及びニッケルの少な とも1つを含んでいてもよい。このように、 上記導電微粒子を成す導電体が、金、銀、白 金、パラジウム、及びニッケルの少なくとも 1つを含んでいることで、導電微粒子の、大 中の酸素による酸化などをはじめとする素 劣化を、より効果的に防ぐことができる。 って、電子放出素子の長寿命化をより効果 に図ることができる。

 本発明の電子放出素子では、上記構成に え、上記導電微粒子の平均径は、導電性を 御する必要から、上記絶縁体物質の大きさ りも小さくなければならず、3~10nmであるの 好ましい。このように、上記導電微粒子の 均径を、上記絶縁体物質の微粒子径よりも さく、好ましくは3~10nmとすることにより、 子加速層内で、導電微粒子による導電パス 形成されず、電子加速層内での絶縁破壊が こり難くなる。また原理的には不明確な点 多いが、粒子径が上記範囲内の導電微粒子 用いることで、弾道電子が効率よく生成さ る。

 本発明の電子放出素子では、上記構成に加 、上記絶縁体物質は、SiO 2 、Al 2 O 3 、及びTiO 2 の少なくとも1つを含んでいてもよい。また 有機ポリマーを含んでいてもよい。上記絶 体物質が、SiO 2 、Al 2 O 3 、及びTiO 2 の少なくとも1つを含んでいる、あるいは、 機ポリマーを含んでいると、これら物質の 縁性が高いことにより、上記電子加速層の 抗値を任意の範囲に調整することが可能と る。特に、絶縁体物質として酸化物(SiO 2 、Al 2 O 3 、及びTiO 2 の)を用い、導電微粒子として抗酸化力が高 導電体を用いる場合には、大気中の酸素に る酸化に伴う素子劣化をより一層発生し難 なるため、大気圧中でも安定して動作させ 効果をより顕著に発現させることができる

 ここで、上記絶縁体物質は微粒子であっ もよく、その平均径が10~1000nmであるのが好 しく、12~110nmであるのがより好ましい。こ 場合、粒子径の分散状態は平均粒径に対し ブロードであっても良く、例えば平均粒径50 nmの微粒子は、20~100nmの領域にその粒子径分 を有していても問題ない。上記微粒子であ 絶縁体物質の平均径を好ましくは10~1000nm、 り好ましくは12~110nmとすることにより、上記 絶縁体物質の大きさよりも小さい上記導電微 粒子の内部から外部へと効率よく熱伝導させ て、素子内を電流が流れる際に発生するジュ ール熱を効率よく逃がすことができ、電子放 出素子が熱で破壊されることを防ぐことがで きる。さらに、上記電子加速層における抵抗 値の調整を行いやすくすることができる。

 本発明の電子放出素子では、上記構成に え、上記電子加速層における上記絶縁体物 の割合が、重量比で80~95%であるのが好まし 。上記電子加速層における上記絶縁体物質 割合が、重量比で80~95%であると、上記電子 速層内の抵抗値を適度に上げることができ 大量の電子が一度に流れることで電子放出 子が破壊されるのを防ぐことができる。

 本発明の電子放出素子では、上記構成に え、上記電子加速層の層厚は、12~6000nmであ のが好ましく、300~6000nmであるのがより好ま しい。上記電子加速層の層厚を、好ましくは 12~6000nm、より好ましくは300~6000nmとすること より、電子加速層の層厚を均一化すること また層厚方向における電子加速層の抵抗調 が可能となる。この結果、電子放出素子表 の全面から一様に電子を放出させることが 能となり、かつ素子外へ効率よく電子を放 させることができる。

 本発明の電子放出素子では、上記構成に え、上記薄膜電極は、金、銀、炭素、タン ステン、チタン、アルミ、及びパラジウム 少なくとも1つを含んでいてもよい。上記薄 膜電極に、金、銀、炭素、タングステン、チ タン、アルミ、及びパラジウムの少なくとも 1つが含まれることによって、これら物質の 事関数の低さから、電子加速層で発生させ 電子を効率よくトンネルさせ、電子放出素 外に高エネルギーの電子をより多く放出さ ることができる。

 本発明の電子放出素子では、上記構成に え、上記導電微粒子の周囲に、当該導電微 子の大きさより小さい絶縁体物質が存在し もよい。このように、上記導電微粒子の周 に、当該導電微粒子の大きさより小さい絶 体物質が存在することは、素子作成時の導 微粒子の分散液中での分散性向上に貢献す 他、導電微粒子の、大気中の酸素による酸 などをはじめとする素子劣化を、より効果 に防ぐことができる。よって、電子放出素 の長寿命化をより効果的に図ることができ 。

 本発明の電子放出素子では、上記構成に え、上記導電微粒子の周囲に存在する上記 電微粒子の大きさより小さい絶縁体物質は アルコラート、脂肪酸、及びアルカンチオ ルの少なくとも1つを含んでいてもよい。こ のように、上記導電微粒子の周囲に存在する 上記導電微粒子の大きさより小さい絶縁体物 質が、アルコラート、脂肪酸、及びアルカン チオールの少なくとも1つを含んでいること 、素子作成時の導電微粒子の分散液中での 散性向上に貢献するため、導電微粒子の凝 体が元と成る電流の異常パス形成を生じ難 する他、絶縁体物質の周囲に存在する導電 粒子自身の酸化に伴う粒子の組成変化を生 ないため、電子放出特性に影響を与えるこ がない。よって、電子放出素子の長寿命化 より効果的に図ることができる。

 ここで、本発明の電子放出素子では、上 導電微粒子の周囲に存在する上記導電微粒 の大きさより小さい絶縁体物質は、上記導 微粒子表面に付着して付着物質として存在 るものであり、当該付着物質は、上記導電 粒子の平均径より小さい形状の集合体とし 、上記導電微粒子表面を被膜していてもよ 。このように、上記導電微粒子の周囲に存 する上記導電微粒子の大きさより小さい絶 体物質が、上記導電微粒子表面に付着ある は、上記導電微粒子の平均径より小さい形 の集合体として、上記導電微粒子表面を被 していることで、素子作成時の導電微粒子 分散液中での分散性向上に貢献するため、 電微粒子の凝集体が元と成る電流の異常パ 形成を生じ難くする他、絶縁体物質の周囲 存在する導電微粒子自身の酸化に伴う粒子 組成変化を生じないため、電子放出特性に 響を与えることがない。よって、電子放出 子の長寿命化をさらに効果的に図ることが きる。

 また、本発明の電子放出素子では、上記 電微粒子の大きさより大きい絶縁体物質は 上記電極基板に層形成されており、かつ、 の厚み方向に貫通する複数の開口部を有し おり、上記開口部には、上記導電微粒子が 容されていてもよい。シート状に構成され 絶縁体物質は微粒子の集合体ではなく固体 塊として存在するため、電流が流れない絶 体として機能する。一方、上記開口部に上 導電微粒子が収容された部分では、表面抵 が低下しその部分のみ電流が流れ易くなる この結果、上記開口部に上記導電微粒子が 容された部分でのみ、電子放出が生じる。 の方法では、微粒子の分散した分散液を均 に塗布する生産工程を必要としないため、 り大面積の電子放出素子を容易に形成可能 なる。

 本発明の電子放出装置は、上記いずれか1 つの電子放出素子と、上記電極基板と上記薄 膜電極との間に電圧を印加する電源部と、を 備えたことを特徴としている。

 上記構成によると、真空中だけでなく大 圧中でも安定して電子を放出できる。さら 、オゾンやNOx等の有害物質を生成せず、電 を放出することができる。

 さらに、本発明の電子放出素子を自発光 バイス、及びこの自発光デバイスを備えた 像表示装置に用いることにより、真空封止 不要で大気中でも長寿命な面発光を実現す 自発光デバイスを提供することができる。

 また、本発明の電子放出素子を、送風装 あるいは冷却装置に用いることにより、放 を伴わず、オゾンやNOxを始めとする有害な 質の発生がなく、被冷却体表面でのスリッ 効果を利用することにより高効率で冷却を うことができる。

 また、本発明の電子放出素子を、帯電装 、及びこの帯電装置を備えた画像形成装置 用いることにより、放電を伴わず、オゾン NOxを始めとする有害な物質を発生させるこ なく、被帯電体を帯電させることができる

 また、本発明の電子放出素子を、電子線 化装置に用いることにより、面積的に電子 硬化でき、マスクレス化が図れ、低価格化 高スループット化を実現することができる

 本発明の電子放出素子の製造方法は、上 課題を解決するために、電極基板と薄膜電 とを有し、当該電極基板と薄膜電極との間 電圧を印加することで、当該電極基板と薄 電極との間で電子を加速させて、当該薄膜 極から放出させる電子放出素子の製造方法 あって、上記電極基板上に、導電体からな 抗酸化力が高い導電微粒子と、上記導電微 子の大きさより大きい絶縁体物質とを含む 子加速層を形成する電子加速層形成工程と 上記電子加速層上に上記薄膜電極を形成す 薄膜電極形成工程と、を含むことを特徴と ている。

 上記方法によると、真空中だけでなく大 圧中でも安定して電子を放出でき、オゾン NOx等の有害物質をほぼ生成しない、電子放 素子を製造することができる。

 なお、上記電子加速層形成工程は、上記 電微粒子と、上記絶縁体物質とを溶媒にて 合して混合物質を生成する混合工程と、上 電極基板上に上記混合物質を塗布する塗布 程と、上記記塗布した混合物質を乾燥させ 乾燥工程とを含んでいてもよい。

 または、上記電子加速層形成工程は、シ ト状で、かつ、積層方向に貫通する複数の 口部を有している上記絶縁体物質を、上記 極基板上に積層する積層工程と、上記開口 に上記導電微粒子を充填する充填工程と、 含んでいてもよい。あるいは、上記電子加 層形成工程は、上記電極基板に上記絶縁体 質を層形成する層形成工程と、上記絶縁体 質に、層の厚み方向に貫通する複数の開口 を形成する開口工程と、上記開口部に上記 電微粒子を充填する充填工程とを含んでい もよい。

 以上の発明の詳細な説明の項においてな れた具体的な各実施形態及び各実施例は、 くまでも、本発明の技術内容を明らかにす ものであって、そのような具体例にのみ限 して狭義に解釈されるべきものではなく、 発明の精神と次に記載する特許請求事項の 囲内で、いろいろと変更して実施すること できるものである。また、本明細書で示し 数値範囲以外であっても、本発明の趣旨に しない合理的な範囲であれば、本発明に含 れることはいうまでもない。

 本発明に係る電子放出素子は、放電を伴 ないためオゾンの発生が無く、また、安定 大気圧動作が可能である。よって、例えば 電子写真方式の複写機、プリンタ、ファク ミリ等の画像形成装置の帯電装置や、電子 硬化装置、或いは発光体と組み合わせるこ により画像表示装置、または放出された電 が発生させるイオン風を利用することによ 送風装置等に、好適に適用することができ 。