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Patent Searching and Data


Title:
ELECTRON SOURCE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/140080
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is an electron source which provides a stable electron beam even when vibration is applied from external to a device which uses the electron source. The electron source is provided with a needlelike chip (1) having an electron discharging section at one end; a cup-like component (6) bonded to the other end of the needlelike chip (1); and a filament (3) for heating the cup-like component (6). The filament (3) is arranged in a gap inside the cup-like component (6), in a noncontact state to the cup-like component (6).

Inventors:
TERUI YOSHINORI (JP)
NONOGAKI RYOZO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058766
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
May 13, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DENKI KAGAKU KOGYO KK (JP)
TERUI YOSHINORI (JP)
NONOGAKI RYOZO (JP)
International Classes:
H01J1/26; H01J1/20; H01J37/063
Foreign References:
JPH11224629A1999-08-17
JPH076718A1995-01-10
JPH02288044A1990-11-28
JPH05128963A1993-05-25
JPS58189939A1983-11-05
JPS57196445A1982-12-02
JPS5830035A1983-02-22
JP2001517857A2001-10-09
JPS5011576A1975-02-06
JP2006134638A2006-05-25
Other References:
See also references of EP 2148354A4
D. TUGGLE, J. VAC. SCI. TECHNOL., vol. 16, 1979, pages 1699
Attorney, Agent or Firm:
SONODA, Yoshitaka et al. (53 rd Floor Shinjuku Mitsui Building, 1-1, Nishi-Shinjuku 2-chom, Shinjuku-kuTokyo 53, JP)
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Claims:
 一端部に電子放出部を有するロッドと、前記ロッドの前記一端部と異なる他端部に接合されている伝熱部と、前記伝熱部を加熱するための電熱変換部と、を備える電子源であって、前記電熱変換部は、前記伝熱部の内部に設けられている空隙中に、前記伝熱部に対して非接触状態になるように配置されている、電子源。
 前記電熱変換部の両端部に電気的に接続されている一対の導電端子と、前記一対の導電端子および前記伝熱部を直接的または間接的に担持する絶縁碍子と、をさらに備える、請求項1記載の電子源。
 前記伝熱部がカップ状構造を有しており、前記ロッドの前記他端部が前記カップ状構造の外底部に接合されている、請求項1記載の電子源。
 前記電熱変換部が、前記カップ状構造の内部に、前記カップ状構造に対して非接触状態になるように配置されている加熱用フィラメントである、請求項3記載の電子源。
 前記ロッドが、前記一端部である先端部に前記電子放出部を有し、前記他端部である基部において前記カップ状構造の外底部に接合されている針状チップであり、該針状チップの前記基部から前記先端部へのベクトルが、前記カップ状構造の外底部平面に略垂直になるように設けられている、請求項3記載の電子源。
 前記ロッドが、タングステン、モリブデン、イリジウム、ニオブ、タンタルまたはレニウムの単結晶と、前記単結晶に設けられている金属元素の酸化物を拡散させるための供給源とを有する、請求項1記載の電子源。
 前記金属酸化物が、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド系列元素、バリウム、ストロンチウムおよびカルシウムからなる群から選ばれる1種以上の元素を含有する金属酸化物である、請求項6に記載の電子源。
 前記伝熱部が、タングステン、モリブデン、イリジウム、ニオブ、タンタルおよびレニウムからなる群から選ばれる1種以上の金属を含む材料からなる、請求項6記載の電子源。
 前記伝熱部および前記ロッドが、タングステン、モリブデン、イリジウム、ニオブ、タンタルまたはレニウムの単結晶からなる一体成形構造を有する、請求項6記載の電子源。
 前記ロッドの動作温度が1500K以下である、請求項6記載の電子源。
Description:
電子源

 本発明は、走査型電子顕微鏡、オージェ 子分光装置、電子線露光機、ウェハ検査装 などに適用される電子源に関する。

 近年、熱陰極よりも長寿命でより高輝度 電子ビームを得るために、タングステン単 晶の針状電極にジルコニウムと酸素の被覆 を設けた陰極を用いた電子源が用いられて る(以下、ZrO/W電子源と記す)(非特許文献1参 )。

 ZrO/W電子源は、軸方位が<100>方位から なるタングステン単結晶の針状の陰極に、ジ ルコニウムと酸素からなる供給源を設け、ジ ルコニウム及び酸素を拡散することにより被 覆層(以下、ZrO被覆層という)を形成し、該ZrO 覆層によってタングステン単結晶の(100)面 仕事関数を4.5eVから約2.8eVに低下させたもの 、この陰極の先端部に形成された(100)面に 当する微小な結晶面のみが電子放出領域と るので、従来の熱陰極よりも高輝度の電子 ームが得られ、しかも長寿命であるという 徴を有する。

 ZrO/W電子源は、図1に示すように、絶縁碍 5に固定された導電端子4に設けられたタン ステン製のフィラメント3の所定の位置に電 ビームを放射するタングステンの<100> 位の針状チップ1が溶接等により固着されて る。針状チップ1の一部には、ジルコニウム と酸素の供給源2が設けられている。

 このような電子源使用装置において、低 速電子ビームを用いる場合、レンズにより った電子ビームの径は色収差により支配さ 、この色収差を低減するには電子源から放 される電子のエネルギー幅を小さくする必 がある。

 色収差の低減には電子源の動作温度を下 ることが有効であるが、動作温度を下げる 放射電流が激減するため、電子源の動作温 を下げるには仕事関数の低い電子源を用い ければならない。以上の観点から、ZrO吸着 に代わる低仕事関数を有するタングステン 結晶上への吸着種とその供給源の探索が近 精力的に行なわれている。

 一方、冷電界放射電子源は、タングステ 単結晶の<111>、<310>または<100> 位の針状の陰極を、タングステン製のフィ メントに溶接したものであり、放射電流はZ rO/W電子源と比較して非常に小さいが、室温 動作させるために色収差が小さく、高分解 SEM用の電子源として用いられている(例えば 特許文献1参照)。

 冷電界放射電子源は室温で動作させてい ため、電子放射面にガス吸着しやすく、し いにビーム電流が不安定になることから、 真空度の装置が必要であるとともに、定期 にフラッシングと呼ばれるフィラメント加 によるクリーニングを行なう必要がある。

 さらに最近では、原子スケールの微小先 をもつナノ電子源が実験レベルで作製され おり、極めて小さな点光源として超高分解 SEMなどへの適用が検討されている。ナノ電 源の作製においても、作製工程において通 加熱処理が必要なことから、通常は図1と同 様な針状チップを加熱フィラメントに溶接し た構造を持っている(特許文献2参照)。

特開昭50-11576号公報

特開2006-134638号公報 D.Tuggle,J.Vac.Sci.Technol.16,p1699(1979)

 しかしながら、再びZrO/W電子源に話を戻 とZrO/W電子源を用いて比較的高倍率でSEM像を 見る際、装置周辺からの振動によりノイズが 発生し、分解能が得られず、測長などを行う ことができない場合がある。

 本発明は上記事情に鑑みてなされたもの あり、電子源を用いる装置が外部より振動 受けても、安定した電子線を与える電子源 提供することを目的とする。

 本発明によれば、一端部に電子放出部を するロッドと、ロッドの一端部と異なる他 部に接合されている伝熱部と、伝熱部を加 するための電熱変換部と、を備える電子源 あって、電熱変換部は、伝熱部の内部に設 られている空隙中に、伝熱部に対して非接 状態になるように配置されている、電子源 提供される。

 この構成によれば、電熱変換部が、伝熱 の内部に設けられている空隙中に、伝熱部 対して非接触状態になるように配置されて るため、電熱変換部と、伝熱部に接合され いるロッドが有する電子放出部とが互いに 接触状態に設けられていることになる。そ て、電熱変換部と、電子放出部とが互いに 接触状態に設けられているため、装置外部 発生した振動に対して電熱変換部が共振し としても、電熱変換部の共振が電子放出部 伝わって電子放出部そのものも振動するこ をほぼ完全に抑制することができる。

 その結果、この構成によれば、電子放出 がほとんど振動しないことによって、電子 から放出される電子線において非常に微小 ノイズの発生すら抑制することができる。 なわち、この構成によれば、電子源を用い 装置が外部より振動を受けても、安定した 子線を与えることができる。

 本発明によれば、電熱変換部が、伝熱部 内部に設けられている空隙中に、伝熱部に して非接触状態になるように配置されてい ため、電子源を用いる装置が外部より振動 受けても、安定した電子線を与えることが きる。

比較例に係る、従来公知の電子源の構 図である。 本発明に係る電子源の一例についての 造図である。 本発明に係る電子源(図2)を針状チップ 方向から見た図である。 電子放射特性の評価装置の構成図であ 。

符号の説明

  1:  針状チップ
  2:  供給源
  3:  フィラメント
  4:  導電端子
  5:  絶縁碍子
  6:  カップ状部品
  7:  金属部品
  8:  サプレッサー電極
  9:  引き出し電極
 10:  蛍光板
 11:  アパーチャー
 12:  カップ状電極
 13:  プローブ電流測定用微小電流計
 14:  バイアス電源
 15:  高圧電源
 16:  フィラメント加熱電源
 17:  全放射電流測定用電流計
 18:  放射電子線
 20:  金属片

<用語の説明>
 本明細書および請求の範囲では、下記の通 用語の意味を定義する。

 下限数値~上限数値:下限数値以上かつ上 数値以下を意味する。

 ロッド(rod):棒、竿状のものを意味する。 お、ロッドには、円柱、四角柱、三角柱、 錐、四角錐、三角錐、線状、針状のものが まれるものとする。また、ロッドには、後 する針状チップが含まれるものとする。

 カップ(cup)状構造:食器の一種である、杯 コップ、コーヒーカップ、ティーカップ、 グカップ、カップ麺などの容器状の構造を 味する。なお、1以上の開口部のある凹部を 有する立体構造であればカップ状の構造であ るものとする。

 <発明の経緯>
 本発明者等は、ZrO/W電子源を用いて比較的 倍率でSEM像を見る際、装置周辺からの振動 よりノイズが発生し、分解能が得られず、 長などを行うことができない場合があるこ に気づき、このノイズの除去のために鋭意 究開発に励んだ。その結果、本発明者等は このノイズは、ZrO/W電子源のタングステンフ ィラメントが共振周波数により振動している ことが原因であるのではないかと考えた。

 さらに、本発明者等は、上述の従来技術 は、陰極を加熱フィラメントに溶接した構 を持つため、例えば比較的高倍率でSEM像を る際、加熱用フィラメントが固有の共振周 数を有していることと相俟って、装置外部 発生した振動と加熱用フィラメントが共振 ると考えらた。そして、本発明者等は、こ 共振を抑制するために、何らかの形で加熱 フィラメントそのものを陰極から外してし えばよいのではないかと考えた。

 一方、本発明者等は、このチップの振動 抑制するため、装置の外側に防振構造を設 ることによる対処法が試みられているが、 のような対処法では、完全に共振しないよ にするためには、装置として大がかりなも になってしまうという問題があることも見 した。

 そこで、本発明者等は、加熱用フィラメ トそのものを陰極から外してしまい、全く の方法によって陰極を加熱する方法に思い り、一端部に電子放出部を有するロッドと ロッドの一端部と異なる他端部に接合され いる伝熱部と、伝熱部を加熱するための電 変換部と、を備える電子源であって、電熱 換部は、伝熱部の内部に設けられている空 中に、伝熱部に対して非接触状態になるよ に配置されている、電子源を作製したとこ 、実際にノイズの抑制が可能であることを 認し、本発明を完成した。

 <実施形態>
 以下、本発明の実施の形態について、電子 微鏡、電子線露光機、測長SEM等に用いられ 、動作温度が1500K以下の電子放射陰極を例 説明するが、本発明はこれに制限されるも ではない。尚、すべての図面において、同 な構成要素には同様の符号を付し、適宜説 を省略する。

 図2は、本実施形態に係る電子源の一例に ついて横方向から見た図であり、図3は本実 形態の電子源の一例について針状チップの 向から見た図である。本実施形態に係る電 源は、図2~図3に示すように、一端部に電子 出部を有する針状チップ1(ロッド)と、針状 ップ1(ロッド)の一端部と異なる他端部に接 されているカップ状部品6(伝熱部)と、カッ 状部品6(伝熱部)を加熱するためのフィラメ ト3(電熱変換部)と、を備える。

 また、本実施形態に係る電子源では、フ ラメント3(電熱変換部)は、カップ状部品6( 熱部)の内部に設けられている空隙中に、カ プ状部品6(伝熱部)に対して非接触状態にな ように配置されている。そして、本実施形 に係る電子源は、フィラメント3(電熱変換 )の両端部に電気的に接続されている一対の 電端子4と、この一対の導電端子4およびカ プ状部品6(伝熱部)を直接的または間接的に 持する絶縁碍子5と、をさらに備える。

 また、本実施形態に係る電子源は、絶縁 子5に、必要ならば金属部品7を介して、カ プ状部品6をカップ部分が絶縁碍子5に面する ように固定されている。また、針状チップ1( ッド)の電子放出部と異なる他端部がカップ 状部品6(カップ状構造)の外底部に接合されて いる。すなわち、針状チップ1(ロッド)は、一 端部である先端部に電子放出部を有し、他端 部である基部においてカップ状部品6(カップ 構造)の外底部に接合されており、その針状 チップ1(ロッド)の基部から先端部へのベクト ルが、カップ状部品6(カップ状構造)の外底部 平面に略垂直になるように設けられている。

 さらに詳細に説明すれば、カップ状部品6 の外底部の所定の位置に、電子ビームを放射 する高融点金属単結晶からなる針状チップ1 溶接等により固定されている。そして、こ カップ状部品6のカップ内部に加熱用ヒータ としての加熱用フィラメント3が機械的、電 気的に非接触となるように配置され、この加 熱用フィラメント3は、絶縁碍子5に固定され 導電端子4に電気的に接続されている。

 ここで、カップ状部品6のカップ内部に加 熱用ヒーターとしての加熱用フィラメント3 材質は、特に限定しないが、例えば加熱効 の面からタングステン製の加熱用フィラメ ト3を用いることが好ましい。また、加熱用 ィラメント3を配置する際には、配置形状を 特に限定するものではなく、加熱用フィラメ ント3がカップ状部品6に接触することがなく さらに加熱用フィラメント3からの輻射熱に より電子源の安定動作温度領域までカップ状 部品6および針状チップ1を加熱することが可 であればよい。具体例としては、図2に示す ように、加熱用フィラメント3をカップ状部 6のカップ内部で、カップ状部品6と所定の間 隔(例えば、0.2mm以上の間隔)を空けた上で螺 状に巻いて配置しても良い。

 このように螺旋状に巻いて配置すれば、 熱用フィラメント3の構造が力学的に安定す るので、多少の振動によっても加熱用フィラ メント3がカップ状部品6に接触することがな 、加熱用フィラメント3の表面積を多くカッ プ内に確保できるので、加熱用フィラメント 3からの輻射熱により電子源の安定動作温度 域までカップ状部品6および針状チップ1を効 率よく加熱できる。そして、この加熱用フィ ラメント3の螺旋状の部分は、絶縁碍子5にロ 付けされた一対の導電端子4に、加熱用フィ ラメント3の非螺旋状の部分を介して溶接に り固定され、通電加熱できるようにする。

 本実施形態に係る電子源は、当該構造を 用しているので、加熱用フィラメント3から の輻射熱により電子源の安定動作温度領域ま でカップ状部品6および針状チップ1を加熱す ことが可能であると同時に、加熱用フィラ ント3の振動がカップ状部品6に伝わらない 、外界からの振動によるカソード(陰極、す わち針状チップ1)の共振によるノイズの発 が極めて小さく押さえることができる。す わち、本実施形態に係る電子源によれば、 熱用フィラメント3(電熱変換部)が、カップ 部品6(伝熱部)の内部に設けられている空隙 に、カップ状部品6(伝熱部)に対して非接触 態になるように配置されているため、電子 を用いる装置が外部より振動を受けても、 定した電子線を与えることができる。その 果、当該電子源を用いた装置では、その外 に防振構造などを設けることなく高分解能 得られ、低いコストで高信頼性を達成する とができるという格別の効果が得られる。

 ここで、本実施形態で用いる針状チップ1 の材料としては、特に限定するものではなく 、任意の公知の材料を用いることができるが 、高融点金属の単結晶であることが好ましく 、特に、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、 リジウム(Ir)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、レ ウム(Re)の何れかから選ばれた元素の単結晶 あることが、蒸発消耗等により信頼性を損 ることが無く好ましい。

 さらに、針状チップ1の材料としては、例 えばタングステン(W)単結晶またはモリブデン (Mo)単結晶を用いることがより一層好ましい より具体的には、軸方位が<100>方位から なるタングステン単結晶の針状のチップ(ロ ド、陰極)を用いることが最も好ましい。針 チップ1の材料として、このような材料を用 いれば、長寿命でより高輝度の電子ビームを 放出可能な電子源を得ることができるためで ある。

 また、針状チップ1には、特に限定する趣 旨ではないが、電子放射面の仕事関数を低下 させる効果のある金属と酸素からなる供給源 が設けられることが好ましい。具体例として は、とりわけジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、 フニウム(Hf)、スカンジウム(Sc)、イットリ ム(Y)、ランタノイド系列元素、バリウム(Ba) ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)の群か 選ばれた元素を含有する金属酸化物からな 供給源を有する電子源が、高分解能SEM用の 子源として用いるための電界放射電子源と て好ましく適用できる。

 また、本実施形態で用いるカップ状部品6 についても、特に限定するものではなく、任 意の公知の材料を用いることができるが、同 様の理由から高融点金属の単結晶であること が好ましく、タングステン(W)、モリブデン(Mo )、イリジウム(Ir)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta) レニウム(Re)の何れかからなることが、蒸発 耗等により信頼性を損ねることが無く好ま い。

 カップ状部品6の絶縁碍子5への固定にお ては、直接絶縁碍子5にロウ付け等の方法で 定しても構わないが、図2に例示するように 、カップ状部品6を溶接等により固定できる 属部品7を予め絶縁碍子5にロウ付け等で固定 しておき、後からカップ状部品6を固定する とで、作製が容易になり、かつカップを強 に固定できるので好ましい。なお、金属部 7には剛性を維持しつつ熱の逃げを低減する め、図3に示すような穴を数ヶ所設けておく ことが好ましい。また、カップ状部品6を固 するための金属部品7は、電気的に制御でき よう、絶縁碍子5にロウ付けされた一対の導 電端子4とは電気的に接触しないように、間 を空けて設けることが好ましい。また、カ プ状部品6を固定するための金属部品7は、力 学的な構造安定性の実現のためには、さらに 別の金属片20を介して絶縁碍子5に接続してい ることが好ましい。

 また、針状チップ1とカップ状部品6との ずれもが、タングステン、モリブデン、イ ジウム、ニオブ、タンタル、レニウムの何 かから選ばれた元素の一つの単結晶からな 一体成形品である場合には、カップ状部品6 絶縁碍子5に溶接等で固定することのみで、 後から針状チップ1を接続する必要が無く、 造し易い利点が得られる。さらに、この場 には、予め位置精度よく針状チップ1をカッ 状部品6に形成することが可能であり針状チ ップ1の位置精度に優れる電子源が容易に得 ことができるので好ましい。

 本実施形態の電子源は、その使用温度に いてその上限を設けるべき理由はないもの 、加熱用ヒーターとして通常のタングステ 、タングステン-レニウム等からなる加熱用 フィラメント3を採用するとき、加熱フィラ ント3が許容される温度が2000K以下であり、 定動作を確保できる針状チップ1の温度は1500 K以下、さらに好ましくは1300K以下である。従 い、動作温度が1500K以下の電子源、更に好ま くは1300K以下の動作温度の電子源において 実施形態の効果が顕著に発揮できる。

 1500K以下の温度で安定動作する電子源と ては、針状チップ1がタングステン単結晶ま はモリブデン単結晶からなり、電子放射面 仕事関数を低下させる効果のある金属と酸 からなる供給源、とりわけチタン、ハフニ ム、スカンジウム、イットリウム、ランタ イド系列元素、バリウム、ストロンチウム カルシウムの群から選ばれた元素を含有す 金属酸化物からなる供給源を有する電子源 好ましく適用できる。

 図4は、電子放射特性の評価装置の構成図 である。図4に示すように、この針状チップ1 引き出し電極9とサプレッサー電極8の間に 置して、引き出し電極9に対して針状チップ1 に数キロボルトの負の高電圧を印加する。サ プレッサー電極8には針状チップ1に対して数 ボルトの負の電圧を印加すると共に針状チ プ1を1300K以下に加熱することにより電子放 が行なえる。

 <作用効果>
 以下、本実施形態の電子源の作用効果につ て説明する。
 本実施形態に係る電子源は、一端部に電子 出部を有する針状チップ1と、針状チップ1 一端部と異なる他端部に接合されているカ プ状部品6と、カップ状部品6を加熱するため の加熱用フィラメント3と、を備える電子源 ある。そして、加熱用フィラメント3は、カ プ状部品6の内部に設けられている空隙中に 、カップ状部品6に対して非接触状態になる うに配置されている。

 この構成によれば、加熱用フィラメント3 が、カップ状部品6の内部に設けられている 隙中に、カップ状部品6に対して非接触状態 なるように配置されているため、加熱用フ ラメント3と、カップ状部品6に接合されて る針状チップ1が有する電子放出部とが互い 非接触状態に設けられていることになる。 して、加熱用フィラメント3と、電子放出部 とが互いに非接触状態に設けられているため 、装置外部で発生した振動に対して加熱用フ ィラメント3が共振したとしても、加熱用フ ラメント3の共振が電子放出部に伝わって電 放出部そのものも振動することをほぼ完全 抑制することができる。

 その結果、この構成によれば、電子放出 がほとんど振動しないことによって、電子 から放出される電子線において非常に微小 ノイズの発生すら抑制することができる。 なわち、この構成によれば、電子源を用い 装置が外部より振動を受けても、安定した 子線を与えることができる。

 すなわち、この構成によれば、電子源が 用に供されたときに、装置周辺からの振動 より電子源が共振してノイズを発生するこ が防止されるので、例えば高倍率でSEM像を 察する場合においても、高分解能な電子線 提供できるという効果が得られる。特に、 源を等倍や拡大、あるいは低い縮小倍率で 束する光学系においては、この針状チップ1 のわずかな振動による非常に微小なノイズの 影響は深刻なものになりやすいが、そのよう な深刻な影響を防ぐことができる。

 また、本実施形態に係る電子源は、加熱 フィラメント3の両端部に電気的に接続され ている一対の導電端子4と、一対の導電端子4 よび加熱用フィラメント3を直接的または間 接的に担持する絶縁碍子5と、をさらに備え 。

 このため、本実施形態に係る電子源では 一対の導電端子4を介して加熱用フィラメン ト3に電流を流すことができ、加熱用フィラ ント3からの輻射熱により電子源の安定動作 度領域までカップ状部品6および針状チップ 1を加熱することが可能になる。また、絶縁 子5によって一対の導電端子4を介して加熱用 フィラメント3を担持することができるため 本実施形態に係る電子源の力学的な構造安 性を高めることができる。

 また、本実施形態に係る電子源では、カ プ状部品6が開口部を有する凹部を有してお り、針状チップ1の他端部がカップ状部品6の 底部に接合されている。そして、加熱用フ ラメント3が、カップ状部品6の内部に、カ プ状部品6に対して非接触状態になるように 置されている。

 このため、本実施形態に係る電子源では カップ状部品6が開口部を有する凹部を有す るため、加熱用フィラメント3を、カップ状 品6の内部に、カップ状部品6に対して非接触 状態になるように配置すいることが可能にな る。その結果、加熱用フィラメント3からの 射熱により電子源の安定動作温度領域まで ップ状部品6および針状チップ1を効率よく加 熱することが可能になる。また、針状チップ 1の他端部がカップ状部品6の外底部に接合さ ていることによって、電子源を組み立てる が容易になり針状チップ1の力学的な構造安 定性および位置精度を高めることができる。

 また、本実施形態に係る電子源では、針 チップ1が、一端部である先端部に電子放出 部を有し、他端部である基部においてカップ 状部品6の外底部に接合されており、その針 チップ1の基部から先端部へのベクトルが、 ップ状部品6の外底部平面に略垂直になるよ うに設けられている。

 このため、電子源を組み立てる際に、針 チップ1のカップ状部品6の外底部平面での 置決めおよび溶接等による固定がさらに容 になり、針状チップ1の力学的な構造安定性 よび位置精度をさらに高めることができる

 また、本実施形態に係る電子源では、針 チップ1が、タングステン、モリブデン、イ リジウム、ニオブ、タンタルまたはレニウム の単結晶と、その単結晶に設けられている金 属元素の酸化物を拡散させるための供給源と を有することが好ましい。また、この金属酸 化物が、ジルコニウム、チタン、ハフニウム 、スカンジウム、イットリウム、ランタノイ ド系列元素、バリウム、ストロンチウムおよ びカルシウムからなる群から選ばれる1種以 の元素を含有することがより好ましい。

 このようにすれば、1300K等の運転条件で 長期の動作によっても針状チップ1の電子放 面の仕事関数が低く維持されるという特徴 有している。

 また、本実施形態に係る電子源では、カ プ状部品6が、タングステン、モリブデン、 イリジウム、ニオブ、タンタルおよびレニウ ムからなる群から選ばれる1種以上の金属を む材料からなることが好ましい。また、カ プ状部品6および針状チップ1が、タングステ ン、モリブデン、イリジウム、ニオブ、タン タルまたはレニウムの単結晶からなる一体成 形構造を有することがより好ましい。

 このようにすれば、カップ状部品6および 針状チップ1が同じ材料からなる一体成形構 であるため、カップ状部品6を絶縁碍子5に溶 接等で固定することのみで、後から針状チッ プ1を接続する必要が無く、製造し易い利点 得られる。さらに、この場合には、予め位 精度よく針状チップ1をカップ状部品6に形成 することが可能であり針状チップ1の位置精 に優れる電子源が容易に得ることができる で好ましい。

 また、本実施形態に係る電子源では、針 チップ1の動作温度が1500K以下であることが ましい。加熱フィラメント3による針状チッ プ1の加熱が確保できるのは1500K以下だからで あり、この温度範囲であれば、電子源を用い る装置が外部より振動を受けても、電子放出 部の振動を特に効果的に抑制することができ るので、より一層安定した電子線を与えるこ とができる。

 以上、図面を参照して本発明の実施形態 ついて述べたが、これらは本発明の例示で り、上記以外の様々な構成を採用すること できる。

 例えば、上記実施の形態では加熱用フィ メント3をカップ状部品6のカップ内部で螺 状に巻いて配置することとしたが、特に限 する趣旨ではない。例えば、加熱用フィラ ント3をカップ状部品6のカップ内部で、カッ プ状部品6と所定の間隔(例えば、0.2mm以上の 隔)を空けた上でジグザグに折り曲げてもよ 。このようにしても、同様に加熱用フィラ ント3の構造が力学的に安定するので、多少 の振動によっても加熱用フィラメント3がカ プ状部品6に接触することがなく、加熱用フ ラメント3の表面積を多くカップ内に確保で きるので、加熱用フィラメント3からの輻射 により電子源の安定動作温度領域までカッ 状部品6および針状チップ1を効率よく加熱で きるという利点が得られる。

 以下、本発明を実施例によりさらに説明 るが、本発明はこれらに限定されるもので ない。

 <実施例>
 図2および図3に例示した通りに、絶縁碍子5 固定されたタングステンからなるカップ状 品6の内部に非接触で内挿するように、タン グステン製のフィラメント3を一対の導電端 4にスポット溶接により固定した。<100> 位の単結晶タングステン針状チップ1をカッ 状部品6の外底部にスポット溶接により取り 付けた。

 次に針状チップ1の先端部を電解研磨により 尖鋭化した。次に供給源を構成する材料とし てバリウム・アルミネート(BaAl 2 O 4 )粉末を粉砕して酢酸イソアミルと混合しペ スト状にしたものを針状チップ1の一部に塗 し、約4×10 -8 Paの超高真空下でフィラメント3加熱により供 給源を1500Kで焼成し、図2に示す構造の電子源 を得た。

 前記の電子源をSEMの試料室に入れて、針 チップ1からなる陰極の軸方向が走査方向に なるようにして設置し、陰極先端近傍の側面 がモニター上にSEM像として得られるように位 置調整を行った。音源として、周波数を任意 の範囲、モード、スピードでスイープ可能な ソフトウエア(Test Tone Generator)を用い、PCに ピーカーをつないだ。所定音量で前記作製 たカソードが入った試料室の外側近傍の所 位置・方向にスピーカーを固定した。

 SEMの倍率を5万倍とし、モニター上の画像 操作時間を80秒とした。また、音響発生条件 、周波数範囲を1000から4000Hzとして、その範 囲をリニアに80秒でスイープする設定とした 共振による振動により、走査中該当する周 数で横方向に画像がずれ、このずれ幅の2倍 をこの条件における振幅とした。

 電子放射特性評価の為、前記の電子源を 4に示す電極構成を有する評価装置に導入し た。針状チップ1の先端はサプレッサー電極8 引き出し電極9との間に配置される。針状チ ップ1はフィラメント加熱電源16に接続され、 更に高圧電源15に接続され、引き出し電極9に 対して負の高電圧が印加される。また、サプ レッサー電極8はバイアス電源14に接続され、 針状チップ1に対して更に負の電圧が印加さ る。これによりカップ状部品6からの放射熱 子を遮る。電子源からの全放射電流は高圧 源15とアース間に置かれた電流計17により測 定される。針状チップ1の先端から放射した 子線18の一部は蛍光板10の中央に有るアパー ャー11を通過し、カップ状電極12に達したプ ローブ電流Ipが微小電流計13により測定され 。なお、アパーチャー11と針状チップ1の先 との距離とアパーチャー11の内径から算出さ れる立体角をωとする角電流密度はIp/ωとな 。

 そして、電子放射特性評価装置を真空引 し、フィラメント3に通電加熱して針状チッ プ1を1100Kに加熱されることを確認した。更に サプレッサー電極8に50Vの電圧を印加し、引 出し電極9に3kVの高電圧を印加し、4mA/srの角 流密度と120μAの全放射電流の安定な電子放 を確認することができた。

 <比較例>
 従来構造の図1に示す構造で、即ち、絶縁碍 子5に固定された導電端子4に設けられたタン ステン製のフィラメント3にタングステンの <100>方位の針状チップ1がスポット溶接に より固着したものに、実施例と同じ方法によ りバリウム・アルミネート供給源を形成した 。同様に共振試験及び陰極先端位置安定性評 価試験を実施した。

 <試験結果>
 実施例および比較例を各n=3で試験した共振 験結果を表1に示す。共振試験において、共 振周波数はほぼ同様であったが、振幅が実施 例については著しく抑制されていることが確 認された。

 以上、本発明を実施例に基づいて説明し 。この実施例はあくまで例示であり、種々 変形例が可能なこと、またそうした変形例 本発明の範囲にあることは当業者に理解さ るところである。

 たとえば、上記実施例では、カップ状部 6の材料としてタングステン(W)の単結晶を用 いたが、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、 リジウム(Ir)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、レ ウム(Re)のいずれの単結晶であってもよい。 ずれのの単結晶からなる材料であっても、 融点金属の単結晶であり、蒸発消耗等によ 信頼性を損ねることが無く好ましい。

 本発明の電子源は、特定な構造を有して て、外部からの振動の影響を受けにくいの 、安定した電子線を提供できる特徴があり 走査型電子顕微鏡、オージェ電子分光、電 線露光機、ウェハ検査装置などいろいろな 子線利用装置に適用することで、高輝度電 源の性能が十分に発揮でき、高分解能を達 できる。特に、光源を等倍や拡大、あるい 低い縮小倍率で集束する光学系において極 て有利であり、産業上非常に有用である。