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Patent Searching and Data


Title:
ELECTROPHOTOGRAPHIC PHOTORECEPTOR, IMAGE-FORMING DEVICE PROVIDED WITH THE SAME, AND METHOD FOR MANUFACTURING AN ELECTROPHOTOGRAPHIC PHOTORECEPTOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/096552
Kind Code:
A1
Abstract:
An electrophotographic photoreceptor (2) is provided with a conductive substrate (20) and a coating layer (21) which coats the conductive substrate (20). The coating layer (21) includes a photosensitive layer (22), a pressure-resistant layer (23) provided between the cylindrical substrate (20) and the photosensitive layer (22), and an a-SiONB containing layer (24) provided between the cylindrical substrate (20) and the pressure-resistant layer (23). The thickness of the a-SiONB containing layer is, for example, 0.15 μm - 1.05 μm.

Inventors:
NAKASHIMA HIROYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/051637
Publication Date:
August 06, 2009
Filing Date:
January 30, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KYOCERA CORP (JP)
NAKASHIMA HIROYUKI (JP)
International Classes:
G03G5/08
Foreign References:
JPH0283549A1990-03-23
JPS59119358A1984-07-10
JPS62269147A1987-11-21
JPS62276559A1987-12-01
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Claims:
 導電性基体と、該導電性基体を被覆する被覆層とを備える電子写真感光体であって、
 前記被覆層は、感光層と、前記導電性基体と前記感光層との間に位置する耐圧層と、前記導電性基体と前記耐圧層との間に位置するa-SiONB含有層と、を含んでなる、電子写真感光体。
 前記a-SiONB含有層におけるN元素の含有量は、原子数を基準として、Si元素の含有量を100としたときに0.630%以上である、請求項1に記載の電子写真感光体。
 前記a-SiONB含有層におけるO元素の含有量は、原子数を基準として、Si元素の含有量を100としたときに1.05%以上である、請求項1に記載の電子写真感光体。
 前記a-SiONB含有層におけるB元素の含有量は、Si元素の含有量を100としたときに、200ppm以上1000ppm以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
 前記a-SiONB含有層の厚みは、0.15μm以上1.05μm以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
 前記耐圧層は、a-SiNを含んでいる、請求項1に記載の電子写真感光体。
 前記耐圧層における窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率は、0.01以上0.55以下である、請求項6に記載の電子写真感光体。
 前記耐圧層の厚みは、0.5μm以上1.2μm以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
 前記感光層の厚みは、15μm以上90μm以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
 請求項1に記載の電子写真感光体を備えることを特徴とする、画像形成装置。
 導電性基体上にa-SiONB含有層を形成する第1工程と、前記a-SiONB含有層上に耐圧層を形成する第2工程と、前記耐圧層上に感光層を形成する第3工程と、を含む電子写真感光体の製造方法であって、
 前記第1工程は、導電性基体を収容した反応室に原料ガスを供給するとともに、前記導電性基体に高周波電力を供給することにより行なわれ、かつ、
 前記高周波電力は、50W以上400W以下に設定される、電子写真感光体の製造方法。
 前記第1工程において、前記原料ガスとしてSi化合物を含有するものが使用され、かつ、前記高周波電力1W当たりの前記Si化合物の流量が2.5sccm以上13.3sccm以下に設定される、請求項11に記載の電子写真感光体の製造方法。
 前記第1工程において、前記反応室における圧力が40.0Pa以上146.7Pa以下に設定される、請求項11に記載の電子写真感光体の製造方法。
Description:
電子写真感光体、これを備えた 像形成装置および電子写真感光体の製造方

 本発明は、感光層を含む被覆層により導 性基体を被覆してなる電子写真感光体に関 るものである。本発明はさらに、前記電子 真感光体を備えた画像形成装置に関するも である。

 電子写真感光体を備える画像形成装置で 、駆動伝達機構により電子写真感光体を回 させるとともに、その回転周期に同期させ 、帯電、露光、現像、転写、およびクリー ング等の動作を繰り返し行なうことにより 録媒体に画像が形成される。

 このような画像形成装置に搭載される電 写真感光体としては、導電性基体上に電荷 入阻止層および光導電層を含んでなる被覆 を形成したものが知られている。電荷注入 止層は、電子あるいは正孔が導電性基体か 光導電層に注入されるのを抑制するための のである。このような電荷注入阻止層は、 とえばアモルファスシリコン(a-Si)のようなS i系無機物材料を含んで構成されており、そ 導電型の調整は周期律表第13族元素あるいは 周期律表第15族元素を含有させることにより われる。電荷注入阻止層としてはさらに、 期律表第13族元素あるいは周期律表第15族元 素を含む障壁層と、この障壁層と導電性基体 との間に位置する電子ブロッキング層との多 層構造のものも提案されている。

 近年において、電子写真感光体は、高画 化の要求に応えるべく、電荷注入阻止層を む被覆層全体の厚みを小さくする傾向にあ 。しかしながら、電荷注入阻止層の厚みを さくすると、耐電圧が低下し、画像品質が 化する傾向にある。その一方で、電荷注入 止層の耐電圧を向上させるために、電荷注 阻止層と導電性基体との間にアモルファス 素シリコン層を形成することも考えられる

 しかしながら、アモルファス窒素シリコ は、導電性基体の材料として一般的に用い れているアルミニウムあるいはアルミニウ 合金との密着性が悪い傾向にあるために、 剥がれなどの欠陥を生じる原因ともなりか ない。また、アモルファス窒素シリコンは 絶縁性が高い傾向にあるため、電子写真感 体として十分な電気特性(たとえば露光後ま たは除電後の電位特性、あるいは暗部電位特 性)を得ることができない場合もある。

特公平03-068379号公報

特開平05-232729号公報

 本発明は、高画質化を図るべく被覆層の みを小さくする場合でも、電子写真感光体 おける耐電圧特性を良好に維持しつつ、膜 がれの発生および電気特性の悪化を抑制す ことが可能な電子写真感光体および画像形 装置を提供することを課題としている。

 本発明の一形態に係る電子写真感光体は 導電性基体と、該導電性基体を被覆する被 層とを備える。前記被覆層は、感光層と、 圧層と、a-SiONB含有層と、を含んでなる。前 記耐圧層は、前記導電性基体と前記感光層と の間に位置する。前記a-SiONB含有層は、前記 電性基体と前記耐圧層との間に位置する。

 本発明の一形態に係る画像形成装置は、 記電子写真感光体を備える。

 本発明の一形態に係る電子写真感光体の 造方法は、導電性基体上にa-SiONB含有層を形 成する第1工程と、前記a-SiONB含有層上に耐圧 を形成する第2工程と、前記耐圧層上に感光 層を形成する第3工程と、を含む。前記第1工 は、導電性基体を収容した反応室に原料ガ を供給するとともに、前記導電性基体に高 波電力を供給することにより行なわれる。 記高周波電力は、50W以上400W以下に設定され る。

 本発明の一形態に係る電子写真感光体で 、導電性基体と感光層との間に耐圧層を備 ているため、被覆層における耐電圧特性を 切に維持することができる。また、この電 写真感光体では、導電性基体と耐圧層との にa-SiONB含有層を備えているため、膜剥がれ の発生を抑制することができる。

 本発明の一形態に係る画像形成装置では 電子写真感光体として、耐電圧特性を適切 維持しつつ、膜剥がれの発生を抑制したも が使用されているため、画像欠陥の発生を 制し、高品質な画像を形成することが可能 なる。

 本発明の一形態に係る電子写真感光体の 造方法では、導電性基体上にa-SiONB含有層を 形成する際、該導電性基体に高周波電力(50W 上400W以下に設定)が供給される。このように して製造された電子写真感光体は、電気的特 性に優れるとともに、被覆層の膜剥がれの発 生も抑制される。

本発明の一実施形態に係る画像形成装 を示す概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る電子写真感 体の断面図、および、その要部拡大図であ 。 実施例2における暗部電位および除電後 電位の測定結果を示すグラフである。 実施例3における除電後電位の測定結果 を示すグラフである。

符号の説明

 1 画像形成装置
 2 電子写真感光体
 20 円筒状基体(導電性基体)
 21 被覆層
 22 (被覆層の)感光層
 23 (被覆層の)耐圧層
 24 (被覆層の)a-SiONB含有層
 25 (感光層の)電荷注入阻止層
 26 (感光層の)光導電層

 以下、本発明に係る画像形成装置および 子写真感光体について、添付図面を参照し つ具体的に説明する。

 図1に示した画像形成装置1は、画像形成 式としてカールソン法を採用したものであ 。画像形成装置1は、電子写真感光体2、帯電 器10、露光器11、現像器12、転写器13、定着器1 4、クリーニング器15、および除電器16を備え いる。

 電子写真感光体2は、画像信号に基づいた 静電潜像が形成されるものであり、図外の回 転機構によって図1の矢印A方向に回転可能と れている。この電子写真感光体2の詳細につ いては後述する。

 帯電器10は、後述する電子写真感光体2の 導電層26(図2参照)の種類に応じて、電子写 感光体2の表面を一様に、正極性または負極 に帯電させるためのものである。この帯電 10は、電子写真感光体2を押圧するように密 して配置されており、たとえば金属ローラ 表面を導電性ゴムおよびPVDF(ポリフッ化ビ リデン)によって被覆した構成とされる。帯 器10による電子写真感光体2の帯電圧は、た えば絶対値において200V以上1000V以下とされ 。

 帯電器10としては、コロナ放電を発生さ るためのコロントロンを用いることもでき 。この場合の帯電器10は、たとえば電子写真 感光体2の軸方向の延びるように張設された 電ワイヤを備えたものとされる。

 露光器11は、電子写真感光体2に静電潜像 形成するためのものであり、特定波長(たと えば650nm以上780nm以下)の光を出射可能とされ いる。この露光器11によると、画像信号に じて電子写真感光体2の表面に光を照射して 照射部分の電位を減衰させることにより、 位コントラストとしての静電潜像が形成さ る。露光器11としては、たとえば約680nmの波 長の光を出射可能なLED素子を600dpiの密度で配 列させたLEDヘッドを採用することができる。 もちろん、露光器11としては、レーザ光を出 可能なものを使用することもできる。

 また、LEDヘッド等の露光器11に代えて、 ーザービームおよびポリゴンミラー等から る光学系、あるいは、原稿からの反射光を すレンズおよびミラー等からなる光学系を いることにより、複写機の構成の画像形成 置とすることもできる。

 現像器12は、電子写真感光体2の静電潜像 現像してトナー像を形成するためのもので る。この現像器12は、現像剤(トナー)を磁気 的に保持する磁気ローラ12A、電子写真感光体 2との隙間を制御するためのコロと呼ばれる 輪(図示せず)などを備えている。

 現像剤は、電子写真感光体2の表面に形成 されるトナー像を構成するものであり、現像 器12において摩擦帯電させられるものである 現像剤としては、磁性キャリアと絶縁性ト ーとから成る二成分系現像剤、あるいは磁 トナーから成る一成分系現像剤を使用する とができる。

 磁気ローラ12Aは、電子写真感光体2の表面 に現像剤を搬送する役割を果すものである。

 現像器12においては、摩擦帯電したトナ が磁気ローラ12Aによって一定の穂長に調整 れた磁気ブラシの形で電子写真感光体2の現 領域に搬送され、静電潜像との静電引力に りトナーが感光体表面に付着して可視化さ る。トナー像の帯電極性は、正規現像によ 画像形成が行われる場合には、電子写真感 体2の表面の帯電極性と逆極性とされ、反転 現像により画像形成が行われる場合には、電 子写真感光体2の表面の帯電極性と同極性と れる。

 なお、現像器12は、乾式現像方式を採用 ているが、液体現像剤を用いた湿式現像方 を採用してもよい。

 転写器13は、電子写真感光体2と転写器13 の間の転写領域に供給された記録媒体Pに、 子写真感光体2のトナー像を転写するための ものである。この転写器13は、転写用チャー ャ13Aおよび分離用チャージヤ13Bを備えてい 。転写器13では、転写用チャージャ13Aにお て記録媒体Pの背面(非記録面)がトナー像と 逆極性に帯電され、この帯電電荷とトナー との静電引力によって、記録媒体P上にトナ 像が転写される。転写器13ではさらに、ト ー像の転写と同時的に、分離用チャージャ13 Bにおいて記録媒体Pの背面が交流帯電させら 、記録媒体Pが電子写真感光体2の表面から やかに分離させられる。

 なお、転写器13としては、電子写真感光 2の回転に従動し、かつ電子写真感光体2とは 微小間隙(通常、0.5mm以下)を介して配置され 転写ローラを用いることも可能である。こ 場合の転写ローラは、たとえば直流電源に り、電子写真感光体2上のトナー像を記録媒 P上に引きつけるような転写電圧を印加する ように構成される。転写ローラを用いる場合 には、分離用チャージャ13Bのような転写分離 装置は省略してもよい。

 定着器14は、記録媒体Pに転写されたトナ 像を記録媒体Pに定着させるためのものであ り、一対の定着ローラ14A,14Bを備えている。 着ローラ14A,14Bは、たとえば金属ローラ上に ッ素樹脂等で表面被覆したものとされてい 。この定着器14では、一対の定着ローラ14A,1 4Bの間に記録媒体Pを通過させることにより、 熱あるいは圧力等によって記録媒体Pにトナ 像を定着させることができる。

 クリーニング器15は、電子写真感光体2の 面に残存するトナーを除去するためのもの あり、クリーニングブレード15Aを備えてい 。

 クリーニングブレード15Aは、電子写真感 体2の表面層27(図2参照)から、残留トナーを きとる役割を果たすものである。クリーニ グブレード15Aは、たとえばポリウレタン樹 を主成分としたゴム材料からなる。本実施 態に係るクリーニングブレード15Aは、表面 27(図2参照)に接する先端部の厚みが1.0mm以上 1.2mm以下とされている。本実施形態に係るク ーニングブレード15Aは、ブレード線圧が14gf /cm(一般的には5gf/cm以上30gf/cm以下)とされてい る。本実施形態に係るクリーニングブレード 15Aは、硬度がJIS硬度で74度(好適範囲67度以上8 4度以下)とされている。

 除電器16は、電子写真感光体2の表面電荷 除去するためのものである。この除電器16 、たとえばLED等の光源によって電子写真感 体2の表面全体を一様に光照射することによ 、電子写真感光体2の表面電荷(残余の静電 像)を除去するように構成されている。

 図2に示したように、電子写真感光体2は 円筒状基体20および被覆層21を有している。

 円筒状基体20は、電子写真感光体2の骨格を すものであり、少なくとも表面に導電性を するものとされている。円筒状基体20は、 体を導電性材料により形成してもよいし、 縁性材料により形成した円筒体の表面に導 性膜を形成したものであってもよい。円筒 基体20のための導電性材料としては、たとえ ばAlあるいはSUS(ステンレス)、Zn、Cu、Fe、Ti、 Ni、Cr、Ta、Sn、Au、およびAgなどの金属材料、 それらの金属の合金材料を使用することがで きる。円筒状基体20のための絶縁材料として 、樹脂、ガラス、あるいはセラミックスな を挙げることができる。導電性膜のための 料としては、先に例示した金属の他、ITO(Ind ium Tin Oxide)、SnO 2 などの透明導電性材料を挙げることができる 。これらの透明導電性材料は、たとえば蒸着 などの公知の手法により、絶縁性を有する円 筒体の表面に被着させることができる。

 ただし、円筒状基体20は、全体をAl合金材 料(たとえばAl-Mn系合金、Al-Mg系合金、Al-Mg-Si 合金)により形成するのが好ましい。そうす ば、電子写真感光体2が軽量かつ低コストに 製造可能となる。

 このようなAl合金材料の円筒状基体20は、 たとえば鋳造、均質化処理、熱間押出加工、 および冷間抽伸加工し、必要に応じて軟化処 理を行なうことにより形成することができる 。

 被覆層21は、感光層22、耐圧層23およびa-Si ONB含有層24を含んでいる。

 感光層22は、電荷注入阻止層25、光導電層 26および表面層27を備えたものである。感光 22の厚みは、15μm以上90μm以下に設定される が好ましい。感光層22の厚みを15μm以上90μm 下の範囲に設定すると、例えば長波長光吸 層を設けなくても記録画像に干渉縞が発生 るのを適切に抑制できるのに加え、応力に 因する膜剥がれが発生するのを適切に抑制 きる。

 電荷注入阻止層25は、電子あるいは正孔 円筒状基体20から光導電層26に注入されるの 抑制するためのものであり、たとえば厚み 1μm以上10μm以下に形成されている。電荷注 阻止層25は、光導電層26の材料に応じて種々 のものを用いることができるが、たとえば光 導電層26をa-Si系材料を用いて形成する場合で あれば、電荷注入阻止層25にもa-Si系材料など の無機物材料を使用するのが好ましい。そう することにより、後述する耐圧層23と光導電 26との密着性に優れた電子写真特性を得る とができる。

 a-Si系の電荷注入阻止層25を設ける場合は a-Si系光導電層26と比べて、より多くの周期 表第13族元素(以下、「第13族元素」と略す) るいは周期律表第15族元素(以下、「第15族 素」と略す)を含有させて導電型を調整し、 た多くの炭素(C)、窒素(N)、あるいは酸素(O) 含有させて高抵抗化するとよい。

 電荷注入阻止層25は、全体を無機物とし 形成する場合には、たとえばグロー放電分 法、各種スパッタリング法、各種蒸着法、EC R法、光CVD法、触媒CVD法、あるいは反応性蒸 法など公知の成膜手法により形成すること できる。

 なお、電荷注入阻止層25は、選択的なも であり、必ずしも必要なものではない。ま 、電荷注入阻止層25に代えて、長波長光吸収 層を設けてもよい。この長波長光吸収層を設 けると、露光時に入射した長波長光(波長が0. 8μm以上の光をいう。)が円筒状基体20の外周 で反射し、記録画像に干渉縞が発生するこ を抑制することが可能となる。

 光導電層26は、露光器11によるレーザ光など の光の照射によって電子が励起され、自由電 子あるいは正孔などのキャリアを発生させる ためのものであり、たとえば厚みが10μm以上8 0μm以下に形成されている。光導電層26は、た とえばa-Si系材料、a-Se、Se-Te、およびAs 2 Se 3 などのアモルファスセレン系(a-Se系)材料、あ るいはZnO、CdS、CdSeなどの周期律表第12族元素 と周期律表第16族元素との化合物などにより 成されている。a-Si系材料としては、a-Si、a- SiC、a-SiN、a-SiO、a-SiGe、a-SiCN、a-SiNO、a-SiCOお びa-SiCNOなどを使用することができる。特に 光導電層26をa-Siあるいはa-SiにC、N、Oなどの 元素を加えたa-Si系の合金材料により形成し 場合には、優れた電子写真特性が安定して られるのに加え、表面層27をa-SiC(特にa-SiC:H) より形成する場合における表面層27との整 性が優れたものとなる。ここで、電子写真 性とは、高い光感度特性、高速応答性、繰 返し安定性、耐熱性、および耐久性などが げられる。

 光導電層26は、全体を無機物として形成 る場合には、たとえばグロー放電分解法、 種スパッタリング法、各種蒸着法、ECR法、 CVD法、触媒CVD法、あるいは反応性蒸着法な 公知の成膜手法により形成することができ 。光導電層26の形成に当たっては、ダングリ ングボンド終端用に水素(H)あるいはハロゲン 元素(F、Cl)を、膜中に1原子%以上40原子%以下 有させてもよい。また、光導電層26の形成に 当たっては、各層の電気的特性(暗導電率あ いは光導電率など)および光学的バンドギャ プなどについて所望の特性を得るために、 13族元素あるいは第15族元素を0.1ppm以上20000p pm以下含有させ、あるいはC、N、O等の元素の 有量を0.01ppm以上100ppm以下の範囲で調整すれ ばよい。C、N、O等の元素については、層の厚 み方向に濃度勾配が生じるように含有させて もよく、その場合には、層全体の平均含有量 が上記範囲内にあればよい。

 また、第13族元素および第15族元素として は、共有結合性に優れて半導体特性を敏感に 変え得る点および優れた光感度が得られる点 で、ホウ素(B)およびリン(P)を用いるのが望ま しい。第13属元素および第15属元素をC、N、O の元素とともに含有させる場合には、第13族 元素は0.1ppm以上20000ppm以下であるのが好まし 、第15族元素は0.1ppm以上10000ppm以下であるの が好ましい。

 光導電層26にC、N、O等の元素を含有させ いか、あるいは微量(0.01ppm以上100ppm以下)含 させる場合は、第13族元素の含有量は0.01ppm 上200ppm以下、第15族元素の含有量は0.01ppm以 100ppm以下であるのが好ましい。これらの元 の含有率は層厚方向にわたって濃度勾配が ってもよく、その場合には層全体の平均含 量が上記範囲内であればよい。

 光導電層26をa-Si系材料により形成する場 には、μc-Si(微結晶シリコン)を含有させて よく、その場合には、暗導電率および光導 率を高めることができるので、光導電層26の 設計自由度が増すという利点がある。このよ うなμc-Siは、先に説明したのと同様の形成法 を採用し、その成膜条件を変えることによっ て形成することができる。たとえばグロー放 電分解法では、円筒状基体20の温度および高 波電力をa-Siの場合よりも高めに設定し、希 釈ガスとしての水素流量を増すことによって 形成できる。また、μc-Siを含む場合にも上記 と同様の不純物元素を添加させてもよい。

 光導電層26は、前述の無機物系材料を粒 化し、それを樹脂に分散させた形態であっ もよい。また、光導電層26は、必ずしも無機 物材料を含んでいる必要はなく、たとえば有 機光導電物質を用いた光導電層として形成し てもよい。有機光導電物質としては、たとえ ばポリ-N-ビニルカルバゾールに代表される光 導電性ポリマー、2,5-ビス(p-ジエチルアミノ ェニル)-1,3,4-オキサジアゾールのような低分 子有機光導電性物質を用いることができる。 有機光導電性物質は、各種染料あるいは顔料 を組み合わせて使用することもできる。

 表面層27は、光導電層26の摩擦や磨耗を防 ぐためのものである。この表面層27は、たと ばa-SiCなどのa-Si系材料に代表される無機物 料により、厚みが0.2μm以上1.5μm以下に形成 れている。表面層27の厚みを0.2μm以上にす ことで耐刷による画像キズおよび画像濃度 ラの発生を抑制することが可能となる。表 層27の厚みを1.5μm以下にすることで初期特性 (残留電位による画像不良等)を良好にするこ が可能となる。表面層27の厚みは、好適に 0.5μm以上1.0μm以下とされる。

 このような表面層27は、a-SiCに水素を含有さ せたa-SiC:Hにより形成するのが好ましい。a-SiC :Hは、元素比率を組成式a-Si 1-X C X :Hと表した場合、たとえばX値が0.55以上0.93未 とされる。X値を0.55以上0.93未満の範囲内に ることにより、表面層27として適切な硬度 得ることが可能となり、表面層27ひいては電 子写真感光体2の耐久性を充分に確保するこ ができるようになる。好適には、X値は0.6以 0.7以下とされる。表面層27をa-SiC:Hにより形 する場合におけるH含有量は、1原子%以上70 子%以下程度に設定するとよい。この範囲内 は、Si-H結合がSi-C結合に比して少なくなり 表面層27の表面に光が照射されたときに生じ た電荷のトラップを抑えることができ、残留 電位を防止することができる点で好ましい。 本発明者らの知見によれば、このH含有量を 45原子%以下とすると、より良好な結果が得 れる。

 このようなa-SiC:Hの表面層27は、光導電層2 6をa-Si系材料により形成する場合と同様に、 とえばグロー放電分解法、各種スパッタリ グ法、各種蒸着法、ECR法、光CVD法、触媒CVD 、あるいは反応性蒸着法など公知の成膜手 により形成することができる。

 表面層27はまた、有機光導電物質を用い 光導電層26を形成する場合には、通常、有機 材料により形成される。この場合の有機材料 としては、硬化性樹脂を挙げることができる 。硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、フェ ノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂 、あるいはウレタン樹脂を使用することがで きる。

 耐圧層23は、被覆層21における耐電圧特性 を向上させるためのものであり、感光層22(本 実施形態では電荷注入阻止層25)とa-SiONB含有 24との間に形成されている。この耐圧層23は たとえばアモルファス窒化シリコン(以下、 単に「a-SiN」という)を含んでいる。耐圧層23 おける窒素原子数とシリコン原子数との合 に対する窒素原子数の比率(N/(Si+N))は、たと えば0.01以上0.55以下とされる。このような範 に前記比率を設定することにより、被覆層2 1における耐電圧特性を適切に確保すること できるとともに残留電位の発生を適切に抑 することができる。好適には、耐圧層23にお ける前記比率(N/(Si+N))は、0.01以上0.35以下とさ れる。

 耐圧層23の厚みは、耐圧層23に求められる 耐電圧特性を適切に維持しつつ残留電位の発 生を抑制し、被覆層21の全体の厚みを低減す 観点から、たとえば0.5μm以上1.2μm以下とさ る。

 耐圧層23はまた、第13族元素および窒素以 外の第15族元素を極力含んでいないのが好ま く、実質的にa-SiNからなるのが好ましい。 れは、良好な耐電圧特性を確実に確保する めである。もちろん、耐圧層23は、目的とす る耐電圧機能を確保できる限りにおいては、 a-SiN以外の材料により形成してもよい。このa -SiN以外の材料としては、a-SiC、a-SiO、a-SiCO、 よびa-SiONなどが挙げられる。

 このような耐圧層23は、光導電層26をa-Si 材料により形成する場合と同様に、公知の 膜手法により形成することができる。この 知の成膜手法としては、たとえばグロー放 分解法、各種スパッタリング法、各種蒸着 、ECR法、光CVD法、触媒CVD法、および反応性 着法などが挙げられる。

 また、耐圧層23における窒素原子とシリ ン原子との比率は、たとえば耐圧層23を形成 するときの窒素含有ガスとシリコン含有ガス との比率を適宜調整することにより選択する ことができる。耐圧層23の厚みは、たとえば 圧層23を形成するときの成膜時間、あるい 円筒状基体20の温度を適宜調整することによ り選択することができる。

 a-SiONB含有層24は、導電性基体20と耐圧層23 との間の密着性を向上させるためのものであ り、導電性基体20と耐圧層23との間に形成さ ている。このa-SiONB含有層24は、a-SiONBを含ん ものとして形成されている。a-SiONB含有層24 厚みは、1.05μm以下、好ましくは0.15μm以上1. 05μm以下とされている。a-SiONB含有層24の厚み 1.05μm以下とすれば、露光後における電子写 真感光体2の表面電位が必要以上に高くなる とを抑制することができるため、画像形成 度の低下にともなう画像の劣化を抑制する とができる。一方、a-SiONB含有層24の厚みを0. 15μm以上とすれば、被覆層21が円筒状基体20か ら剥がれてしまうことを抑制することができ る。

 a-SiONB含有層24におけるN元素の含有量は、 たとえば原子数を基準として、Si元素の含有 を100としたときに0.630%以上とされ、好まし は0.720%以上10.500%以下とされる。このような 範囲にN元素の含有量を設定すれば、N元素に ってa-SiONB含有層24の絶縁性を適切に維持し つ、膜剥がれの発生を抑制することができ 。

 a-SiONB含有層24におけるO元素の含有量は、 たとえば原子数を基準として、Si元素の含有 を100としたときに1.05%以上とされ、好まし は1.20%以上15.00%以下とされる。このような範 囲にO元素の含有量を設定すれば、a-SiONB含有 24によって円筒状基体20と耐圧層23との間の 着性を向上させることができるため、膜剥 れの発生を抑制することができる。

 a-SiONB含有層24におけるB元素の含有量は、 たとえば原子数を基準として、Si元素の含有 を100としたときに200ppm以上1000ppm以下とされ 、好ましくは350ppm以上700ppm以下とされる。こ のような範囲にB元素の含有量を設定すれば a-SiONB含有層24における耐電圧特性を適切に 持しつつ、a-SiONB含有層24の電気的特性(たと ば露光後や除電後の電位特性、あるいは暗 電位特性)を向上させることができる。

 a-SiONB含有層24におけるN元素、O元素、お びB元素の含有率は層厚方向にわたって濃度 配があってもよく、その場合には層全体の 均含有量が上記範囲内であればよい。

 a-SiONB含有層24は、実質的にa-SiONBからなる 層として形成してもよいし、Si元素、O元素、 N元素およびB元素以外の元素を含む層として 成してもよい。Si元素、O元素、N元素および B元素以外の元素としては、B元素およびN元素 以外の微量の第13族元素、あるいは第15族元 などが挙げられる。ただし、Si元素、O元素 N元素およびB元素以外の元素の含有量は、100 ppm以下に設定するのが好ましい。

 このようなa-SiONB含有層24は、光導電層26 同様に、公知の成膜手法により形成するこ ができる。ここで、公知の成膜手法として 、グロー放電分解法、各種スパッタリング 、各種蒸着法、ECR法、光CVD法、触媒CVD法、 るいは反応性蒸着法などが挙げられる。

 a-SiONB含有層24におけるSi原子、O原子、N原 子、およびB原子の比率および含有量は、た えば耐圧層23を形成するときの窒素含有ガス 、ホウ素含有ガス、およびシリコン含有ガス の比率を適宜調整することにより選択するこ とができる。a-SiONB含有層24の厚みは、たとえ ばa-SiONB含有層24を形成するときの成膜時間、 あるいは円筒状基体20の温度を適宜調整する とにより選択することができる。

 a-SiONB含有層24は、たとえばグロー放電分 法により形成する場合には、反応室に円筒 基体20を収容した状態で原料ガスを供給す とともに、円筒状基体20に高周波電力を供給 することにより形成される。

 原料ガスとしては、たとえばSi元素を含むSi H 4 などの珪素化合物、N元素およびO元素を含む 化窒素化合物、B元素を含むB 2 H 6 などのホウ素化合物を含有するものが使用さ れ、必要に応じてH 2 またはHeなどの希釈ガスが含有されたものが 用される。原料ガスの組成は、形成すべきa -SiONB含有層24の組成に応じて適宜選択すれば く、CH 4 などのC元素を含むC化合物あるいはその他の 素が含有されたものであってもよい。

 円筒状基体20に供給する高周波電力は、 とえば周波数が13.56Hzの高周波の場合に、50W 上、好ましくは150W以上400W以下に設定され 。このような範囲の高周波電力を円筒状基 20に供給してa-SiONB含有層24を形成すれば、電 気的特性に優れた電子写真感光体2を提供で るとともに、円筒状基体20からの被覆層21の 剥がれの発生を抑制することができる。こ ような効果をより確実に得るためには、高 波電力1W当たりのSi化合物の流量を2.5sccm以 13.3sccm以下に設定するのが好ましい。

 a-SiONB含有層24を形成するときの反応室の 力は、たとえば40.0Pa以上146.7Pa以下、好まし くは53.3Pa以上133.3Pa以下に設定される。この うな範囲に反応室の圧力を設定してa-SiONB含 層24を形成すれば、電気的特性に優れた電 写真感光体2を提供できるとともに、膜剥が の発生を抑制することができる。

 a-SiONB含有層24の成膜時間は、たとえば3分 以上に設定される。このような範囲に反応室 の圧力を設定してa-SiONB含有層24を形成すれば 、被覆層21の膜剥がれの発生を抑制すること できる厚み、たとえば0.15μm以上の厚みにa-S iONB含有層24を形成することができる。ただし 、不要に成膜時間を長くすれば、a-SiONB含有 24が厚み大きくなり過ぎて、露光後における 電子写真感光体2の表面電位が必要以上に高 なり、画像濃度が低下してしまうおそれが る。したがって、a-SiONB含有層24の成膜時間 、露光後における電位を適切な範囲すべく 44分以下に設定するのが好ましい。

 電子写真感光体2では、円筒状基体20と感 層22との間に耐圧層23を備えているため、被 覆層21における耐電圧特性を適切に維持でき 。また、電子写真感光体2は、円筒状基体20 耐圧層23との間にa-SiONB含有層24を備えてい ため、円筒状基体20から被覆層21が剥がれる を抑制することができる。

 一方、画像形成装置1では、電子写真感光 体2として、耐電圧特性を適切に維持しつつ 膜剥がれの発生を抑制したものが使用され いるため、画像欠陥の発生を抑制し、高品 な画像を形成することが可能となる。

 本実施例では、a-SiONB含有層におけるO元 およびN元素の含有量が膜剥がれに与える影 を検討した。

[電子写真感光体の作成]
 電子写真感光体は、下記表1に示した寸法を 有するアルミニウム製の引き抜き管(円筒状 体)に対して、グロー放電分解装置を用いて 下記表2および表3に示す条件で被覆層を形 することにより作成した。円筒状基体とし は、外周面を鏡面加工して洗浄したものを 用した。また、被覆層としては、a-SiONB含有 、耐圧層、電荷注入阻止層、光導電層、お び表面層からなる構成とした。なお、a-SiONB 含有層におけるO元素およびN元素の含有量は a-SiONB含有層を形成するときのNOの流量によ 調整した。

[膜剥がれの発生の有無]
 膜剥がれは、目視および光学顕微鏡(「MMFP-T R」;OLYMPAS社製)により確認した。膜剥がれの 価結果については、膜剥がれがないものを ○」、実使用上は問題ない程度の微小な膜 がれがあるものを「△」、実使用上問題と る程度の膜剥がれが発生しているものを「× 」として表3に示した。

 表3から分かるように、a-SiONB含有層にお るO元素およびN元素の含有量は、原子数を基 準としてSi元素を100としたときに、それぞれ1 .05%以上および0.630%以上であれば、被覆層の 剥がれについて、実用上問題ないものであ た。とくに、a-SiONB含有層におけるO元素およ びN元素の含有量が、それぞれ1.20%以上および 0.720%以上のときに、被覆層の膜剥がれが全く 発生しないか、ほとんど発生しない結果とな った。

 したがって、a-SiONB含有層におけるO元素お びN元素の含有量は、被覆層の膜剥がれの発 を抑制する観点からは、原子数を基準とし Si元素を100としたときに、それぞれ1.05%以上 および0.630%以上とするのが好ましく、さらに 好ましくは、それぞれ1.20%以上および0.720%以 とすればよい。なお、NO/SiH 4 流量比が0.300を超えると、製造上の爆発発生 スクが高まるため、実質的に製造困難とな 。

 本実施例では、a-SiONB含有層におけるB元 の含有量が電気的特性に与える影響を検討 た。

[電子写真感光体の作成]
 電子写真感光体は、基本的に実施例1と同様 に表1および表2に示す条件にて作成した。た し、a-SiONB含有層を形成する場合において、 B元素の含有量はa-SiONB含有層を形成するとき B 2 H 6 の流量により調整し、NO流量は200sccmに固定し た。

[電気的特性の評価]
 電気的特性は、暗部電位および除電後電位 して評価した。暗部電位および除電後電位 、電子写真感光体を電位測定機(京セラ株式 会社製)に組み込んだ状態で測定した。暗部 位は、電子写真感光体の表面を500Vに帯電さ た後の電位として、非接触型表面電位計(「 MODEL344」:TREK社製)を用いて測定した。除電後 位は、帯電後の電子写真感光体の表面を除 した後の電位として、接触型表面電位計(「 MODEL344」:TREK社製)を用いて測定した。暗部電 および除電後電位の測定結果については、 3に示した。

 図3に示したように、a-SiONB含有層におけ B元素の含有量が大きくなるにつれて暗部電 および除電後電位が大きくなった。実用的 画像形成に問題がない閾値を、暗部電位に いて500V以上、除電後電位について80V以下と 設定すれば、a-SiONB含有層におけるB元素の含 量は、原子数を基準としてSiを元素の含有 を100としたときに200ppm以上1000ppm以下とすれ よく、さらに良好な画像を得るためには、S i元素に対するB元素の含有量を350ppm以上700ppm 下に設定すればよいことが分かる。

 本実施例では、a-SiONB含有層の厚みが画像 特性に与える影響を検討した。

[電子写真感光体の作成]
 電子写真感光体は、基本的に実施例1と同様 に表1および表2に示す条件にて作成した。た し、a-SiONB含有層を形成する場合において、 a-SiONB含有層の厚みは成膜時間により調整し NO流量は200sccmに固定した。

[画像特性の評価]
 画像特性は、除電後電位として評価した。 電後電位は、実施例2と同様に測定した。除 電後電位の測定結果については、図4に示し 。

 図4に示したように、a-SiONB含有層の厚み 大きくなるにつれて除電後電位が大きくな た。実用的に画像形成に問題がない除電後 位の閾値を80V以下に設定するとすれば、a-SiO NB含有層の厚みは、1μm以下に設定すればよい ことが分かる。さらに良好な画像を得るため には、a-SiONB含有層の厚みを0.5μm以下に設定 ればよい。

 本実施例では、グロー放電分解装置を用 てa-SiONB含有層を形成する場合に、高周波電 力の大きさが電子写真感光体における膜剥が れの発生および電気特性ムラに与える影響を 検討した。

[電子写真感光体の作成]
 電子写真感光体は、a-SiONB含有層を除いて、 実施例1と同様の条件にて作成した。a-SiONB含 層は、高周波電力の大きさ除いて、表4に示 した条件で形成した。高周波電力は、表5に した範囲に設定した。

[膜剥がれの発生の有無]
 膜剥がれの発生の有無は、実施例1と同様に して検討した。膜剥がれの発生の有無の評価 結果は、表5に示した。

[電気特性ムラ]
 電気特性ムラは、電位測定機(京セラ株式会 社製)により評価した。電子写真感光体の回 速度は1443.6mm/secとした。電子写真感光体の 電は、コロナ放電により行なった。このコ ナ放電は、グリッド電圧が800V±10Vで、グリ ド開効率が95%の帯電器を用いて行なった。 源としては、TREK社製高圧電源「MODEL610E」を いた。電子写真感光体の露光は、光源とし ハロゲンランプ(12V、100W)を連続点灯さると もに波長720nmの干渉フィルターを用いて行 った。露光エネルギーは1.04μJ/cm 2 に設定した。除電は、光源として透明フィル ター付きLEDユニット(波長660nm、光量600μW/cm 2 )を用いて行なった。測定時の感光体温度は 42±2℃に設定した。表面電位の値は、TREK社 プローブ「MODEL6000B-7C」を用いて、測定位置 露光後の58°の位置とした。電気特性ムラの 評価結果は、表5に示した。

 表5から分かるように、被覆層の膜剥がれ および電気特性ムラの発生を抑制するために は、高周波電力の大きさを50W以上400W以下に 定すればよく、高周波電力の大きさを150W以 400W以下に設定すれば、膜剥がれの発生をよ り良好に抑制することができる。

 本実施例では、グロー放電分解装置を用 てa-SiONB含有層を形成する場合に、高周波電 力1W当たりの原料ガス中のSi流量が電子写真 光体における膜剥がれの発生および解像度 与える影響を検討した。

[電子写真感光体の作成]
 電子写真感光体は、a-SiONB含有層を除いて、 実施例1と同様の条件にて作成した。a-SiONB含 層は、高周波電力の大きさを除いて、表6に 示した条件で形成した。高周波電力は、表7 示した範囲に設定した。

[膜剥がれの発生の有無]
 膜剥がれの発生の有無は、実施例1と同様に して検討した。膜剥がれの発生の有無の評価 結果は、表7に示した。

[解像度]
 解像度は、富士ゼロックス社製「PS5600A」を 用いて形成した画像について、qea社製「person al IAS(Image Analysis System)」を用いて、線幅あ いはドットの確認をすることにより評価し 。解像度の評価結果については、表7に示し た。表7においては、解像度が600dpi以上を「 」とし、解像度が600dpiよりも小さい場合を ×」として示した。

 表7から分かるように、被覆層の膜剥がれ およびその他の特性の発生を抑制するために は、高周波電力1W当たりの原料ガス中のSi流 を2.5sccm/W以上13.3sccm/W以下に設定すればよい いう結果が得られた。

 本実施例では、グロー放電分解装置を用 てa-SiONB含有層を形成する場合に、反応室の 圧力が電子写真感光体における膜剥がれの発 生および電気特性ムラに与える影響を検討し た。

[電子写真感光体の作成]
 電子写真感光体は、a-SiONB含有層を除いて、 実施例1と同様の条件にて作成した。a-SiONB含 層は、圧力を除いて、表8に示した条件で形 成した。圧力は、表9に示した範囲に設定し 。

[膜剥がれの発生の有無]
 膜剥がれの発生の有無は、実施例1と同様に して検討した。膜剥がれの発生の有無の評価 結果は、表9に示した。

[電気特性ムラ]
 電気特性ムラは、電位測定機(京セラ株式会 社製)を用いて実施例4と同様にして評価した 電気特性ムラの評価結果は、表9に示した。

 表9から分かるように、被覆層の膜剥がれ および電気特性ムラの発生を抑制するために は、圧力を40Pa以上146.7Pa以下に設定すればよ 、圧力を53.3Pa以上133.3Pa以下に設定すれば、 膜剥がれの発生をより良好に抑制することが できる。

 本実施例では、グロー放電分解装置を用 てa-SiONB含有層を形成する場合に、成膜時間 が電子写真感光体における膜剥がれの発生お よび電気特性ムラに与える影響を検討した。

[電子写真感光体の作成]
 電子写真感光体は、a-SiONB含有層を除いて、 実施例1と同様の条件にて作成した。a-SiONB含 層は、成膜時間を除いて、表10に示した条 で形成した。成膜時間は、表11に示した範囲 に設定した。

[膜剥がれの発生の有無]
 膜剥がれの発生の有無は、実施例1と同様に して検討した。膜剥がれの発生の有無の評価 結果は、表11に示した。

[電気特性ムラ]
 電気特性ムラは、電位測定機(京セラ株式会 社製)を用いて実施例4と同様にして評価した 電気特性ムラの評価結果は、表9に示した。

 

 表11から分かるように、被覆層の膜剥が および電気的特性ムラの発生を抑制するた には、成膜時間を3分以上44分以下に設定す ばよく、成膜時間を4分以上40分以下に設定 れば、膜剥がれの発生をより良好に抑制す ことができる。

 その一方、本実施例において膜剥がれが 切に抑制されているときのa-SiONB含有層の厚 みは、0.15μm以上であり、さらに好ましくは0. 20μm以上である。したがって、本実施例の結 から、膜剥がれを抑制するためには、a-SiONB 含有層の厚みを0.15μm以上、さらに好ましく 0.20μm以上に設定すればよいことが伺える。