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Patent Searching and Data


Title:
ELECTROWETTING DEVICE AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/099702
Kind Code:
A1
Abstract:
An electrowetting device (10) ensures a highly reliable insulating structure by preventing deterioration of withstand voltage characteristics due to use of a film having a high dielectric constant. The electrowetting device is provided with a conductive first liquid (11); an insulating second liquid (12); a transparent substrate (14) and a cover (15) which form a liquid chamber (18) for storing the first and second liquids; an electrode layer (16) formed on a surface of the transparent substrate (14) on the side of the liquid chamber (18); and an insulating layer (17) formed on the surface of the electrode layer. The insulating layer (17) has a laminated structure composed of a first insulating film (17a) made of an insulating inorganic crystal material, and a second insulating film (17b) made of an insulating inorganic amorphous material. Surface unevenness of the first insulating film (17a) is modified by the second insulating film (17b), and the highly reliable insulating layer which can be driven by a low voltage and has excellent withstand voltage strength is provided.

Inventors:
KIRITA SHINA (JP)
KAWASHIMA TOSHITAKA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051774
Publication Date:
August 21, 2008
Filing Date:
February 04, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SONY CORP (JP)
KIRITA SHINA (JP)
KAWASHIMA TOSHITAKA (JP)
International Classes:
G02B1/06; G02B3/14; G02B26/08
Domestic Patent References:
WO1999018456A11999-04-15
Foreign References:
JP2003302502A2003-10-24
JPH11330391A1999-11-30
JPS61198592A1986-09-02
JPH05114482A1993-05-07
JP2006194598A2006-07-27
JPH11185969A1999-07-09
JP2005109702A2005-04-21
JP2005244184A2005-09-08
JP2007017668A2007-01-25
JP2005150457A2005-06-09
JP2000347005A2000-12-15
JP2001519539A2001-10-23
JP2007031442A2007-02-08
JP2003302502A2003-10-24
Other References:
See also references of EP 2112532A4
Attorney, Agent or Firm:
IWASAKI, Sachikuni et al. (Toranomon Kotohira Tower 2-8, Toranomon 1-chome, Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 導電性の第1の液体と、
 絶縁性の第2の液体と、
 前記第1,第2の液体を収容する液室を形成する一対の基材と、
 前記一対の基材のうち一方の基材の前記液室側の表面に形成された電極層と、
 前記電極層の表面に形成された絶縁層と、を備えたエレクトロウェッティングデバイスであって、
 前記絶縁層は、絶縁性無機結晶材料からなる第1の絶縁膜と、絶縁性無機非晶質材料からなる第2の絶縁膜の積層構造を有する
 ことを特徴とするエレクトロウェッティングデバイス。
 前記第1,第2の絶縁膜は、互いに同一の金属元素を含む酸化物からなる
 ことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティングデバイス。
 前記電極層、前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜は、互いに同一の金属元素を含む透明酸化物からなる
 ことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティングデバイス。
 導電性の第1の液体と絶縁性の第2の液体とが互いに混和することなく密閉性の液室内に収容され、前記液室の内面の一部に絶縁層を介して電極層が配置されたエレクトロウェッティングデバイスの製造方法であって、
 前記絶縁層は、
 前記電極層の上に絶縁性無機結晶材料からなる第1の絶縁膜を成膜する工程と、
 前記第1の絶縁膜の上に絶縁性無機非晶質材料からなる第2の絶縁膜を成膜する工程を経て形成される
 ことを特徴とするエレクトロウェッティングデバイスの製造方法。
 前記第1,第2の絶縁膜の成膜を、酸素ガス雰囲気中でのスパッタ法によって行う
 ことを特徴とする請求項4に記載のエレクトロウェッティングデバイスの製造方法。
 前記第1の絶縁膜の成膜にはZn金属ターゲットを用い、前記第2の絶縁膜の成膜にはZn-Al合金ターゲットを用いる
 ことを特徴とする請求項5に記載のエレクトロウェッティングデバイスの製造方法。
Description:
エレクトロウェッティングデバ ス及びその製造方法

 本発明は、エレクトロウェッティング効果( 電気毛管現象)を利用したエレクトロウェッ ィングデバイス及びその製造方法に関する
 本出願は、日本国において2007年2月13日に出 願された日本特許出願番号2007-031442号を基礎 して優先権を主張するものであり、この出 は参照することにより、本出願に援用され 。

 近年、エレクトロウェッティング効果を 用したエレクトロウェッティングデバイス 開発が進められている(例えば国際公開第99/ 18456号パンフレット参照)。エレクトロウェッ ティング効果とは、導電性を有する液体と電 極との間に電圧を印加したときに電極表面と 液体との固液界面のエネルギーが変化し、液 体表面の形状が変化する現象をいう。

 一般に、エレクトロウェッティングデバ スは、導電性の第1の液体と、絶縁性の第2 液体と、上記第1,第2の液体を収容する液室 形成する一対の基材(下部基板、上部基板)と 、下部基板の表面に形成された電極層と、こ の電極層の表面に形成された絶縁層を備えて いる(例えば特開2003-302502号公報参照)。絶縁 を挟んで導電性の第1の液体と電極層との間 電圧を印加することで、エレクトロウェッ ィング効果により第1,第2の液体間の界面形 が変化する。そこで、第1,第2の液体の屈折 を相互に異ならせることによって、印加電 の大きさで2液界面の形状が可逆的に変化す る可変焦点レンズを構成することが可能とな る。

 近年、低駆動電圧で信頼性の高いエレク ロウェッティングデバイスの開発が求めら ている。上述のように、エレクトロウェッ ィングデバイスは、導電性液体と電極層と 間に印加する電圧の大きさで駆動される。 の駆動電圧は、導電性液体と電極層との間 介在する絶縁層の誘電率に比例し、絶縁層 厚さに逆比例する。したがって、絶縁層と て高誘電率材料を小さい膜厚で形成するこ で、エレクトロウェッティングデバイスの 動電圧の低減を図ることが可能となる。こ で、誘電率の高い絶縁材料として、金属酸 物等の絶縁性無機結晶材料のスパッタ膜等 知られている。

 しかしながら、この種の無機材料は成膜 の膜表面の凹凸が比較的大きいため、膜厚 均質性が乏しく、安定した耐圧特性が得ら にくいという問題がある。すなわち、形成 た高誘電率膜の局所的な凹凸ピーク領域で 電性液体との間において電流リークが生じ 絶縁層の絶縁破壊が生じるおそれが高くな 。

 そこで本発明は上述の問題に鑑みてなさ 、高誘電率膜を用いることによる耐圧特性 劣化を防止して信頼性の高い絶縁構造を確 できるエレクトロウェッティングデバイス びその製造方法を提供することを課題とす 。

 以上の課題を解決するに当たり、本発明 エレクトロウェッティングデバイスは、導 性の第1の液体と、絶縁性の第2の液体と、 記第1,第2の液体を収容する液室を形成する 対の基材と、これら一対の基材のうち一方 基材の上記液室側の表面に形成された電極 と、この電極層の表面に形成された絶縁層 、を備えたエレクトロウェッティングデバ スであって、上記絶縁層は、絶縁性無機結 材料からなる第1の絶縁膜と、絶縁性無機非 質材料からなる第2の絶縁膜の積層構造を有 することを特徴とする。

 また、本発明に係るエレクトロウェッテ ングデバイスの製造方法は、導電性の第1の 液体と絶縁性の第2の液体とが互いに混和す ことなく密閉性の液室内に収容され、上記 室の内面の一部に絶縁層を介して電極層が 置されたエレクトロウェッティングデバイ の製造方法であって、上記絶縁層は、上記 極層の上に絶縁性無機結晶材料からなる第1 絶縁膜を成膜する工程と、上記第1の絶縁膜 の上に絶縁性無機非晶質材料からなる第2の 縁膜を成膜する工程を経て形成されること 特徴とする。

 本発明においては、絶縁性無機結晶材料 、この絶縁性無機結晶材料よりも表面平坦 の高い絶縁性無機非晶質材料との積層構造 上記絶縁層を構成している。これにより、 面平坦性に優れた無機絶縁層を構成でき、 圧強度の高い信頼性に優れた絶縁構造を得 ことができる。また、誘電率の高い絶縁層 小さい膜厚で形成できるので、エレクトロ ェッティングデバイスの駆動電圧の低減を ることができる。

 本発明において、第1,第2の絶縁膜は、互 に同一の金属元素を含む酸化物で構成され 。これにより、密着性に優れた絶縁層を構 することができる。好適には、電極層の構 材料を同種金属の酸化物を含む構成とする とで、電極層と絶縁層の間の密着性向上を ることができる。具体的に、例えば、電極 はAZO、第1の絶縁膜はZnO、第2の絶縁膜はZnAlO で構成される。

 これら第1,第2の絶縁膜は、真空を用いた 膜形成手段、例えばスパッタ法によって形 することができる。この場合、濃度管理さ た酸素雰囲気中でのスパッタ法によって金 酸化物からなる絶縁膜を形成することがで る。

 以上述べたように、本発明によれば、表 平坦性に優れた高誘電率の絶縁層を構成で るので、エレクトロウェッティングデバイ の駆動電圧の低減と信頼性の向上を図るこ ができる。

本発明の実施形態によるエレクトロウ ッティングデバイスの概略構成を示す側断 図である。 図1のエレクトロウェッティングデバイ スの絶縁層の構造を模式的に示す断面図であ る。 エレクトロウェッティング効果の原理 明図である。 本発明の一実施例による電極層、絶縁 の表面観察結果を示す図である。 本発明の一実施例による絶縁層の耐圧 度を示す図である。 本発明のエレクトロウェッティングデ イスの製造に用いられるスパッタ装置の一 成例を示す概略図である。

 以下、本発明の実施形態について図面を 照して説明する。

 図1は本発明の実施形態によるエレクトロ ウェッティングデバイス10の概略構成を示す 断面図である。本実施形態のエレクトロウ ッティングデバイス10は、密閉性の液室18の 内部に導電性の第1の液体11と絶縁性の第2の 体12が収容されてなり、これら第1の液体11と 第2の液体12の界面13Aでレンズ面を形成するレ ンズ素子13を備えている。このエレクトロウ ッティングデバイス10は、例えば照明光学 やカメラのストロボ装置などに用いられ、 該エレクトロウェッティングデバイス10を透 過する光Lの焦点距離を任意に変化させる可 焦点レンズ素子として構成されている。

 第1の液体11としては、導電性を有する透 な液体が用いられ、例えば、水、電解液(塩 化カリウムや塩化ナトリウム、塩化リチウム 等の電解質の水溶液)、分子量の小さなメチ アルコール、エチルアルコール等のアルコ ル類、常温溶融塩(イオン性液体)などの有極 性液体を用いることができる。

 第2の液体12としては、絶縁性を有する透 な液体が用いられ、例えば、デカン、ドデ ン、ヘキサデカンもしくはウンデカン等の 化水素系の材料、シリコーンオイル、フッ 系の材料などの無極性溶媒を用いることが きる。本実施形態において、第2の液体12の 面張力は、第1の液体11の表面張力よりも小 いものが用いられているが、勿論これに限 れない。

 第1,第2の液体11,12は、互いに異なる屈折 を有するとともに、互いに混和することな 存在できる材料が選ばれる。具体的に、本 施形態では、第1の液体11として塩化リチウ 水溶液(濃度3.66wt%、屈折率1.34)が用いられ、 2の液体12としてシリコーンオイル(GE東芝シ コーン社製TSF437、屈折率1.49)が用いられる また、第1,第2の液体11,12は互いに同等の比重 をもつことが好ましい。なお必要に応じて、 第1,第2の液体11,12は着色されていてもよい。

 次に、液室18は、一対の基材としての透 基板14と蓋体15とを互いに貼り合わせて構成 れた容器の内部に形成されている。

 透明基板14及び蓋体15は、光学的に透明な 絶縁性基材からなり、例えば、プラスチック 材料の射出成形体、ガラス材料、各種セラミ ック材料等で構成される。プラスチック材料 としては、ポリカーボネート(PC)、ポリエチ ンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタ レート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、 リオレフィン(PO)等の透明高分子材料を好適 用いることができる。

 本実施形態では、透明基板14の液室18側表 面部にレンズ素子13を収容する凹所14Aが形成 れている。なお、透明基板14の表面形状は 意に形成でき、上記の例に限られず平坦面 してもよい。

 透明基板14の液室18側の表面には、電極層16 形成されている。電極層16は透明電極材料 構成され、本実施形態ではZnからなる群より 選ばれる少なくとも2種類以上の金属酸化物 スパッタ膜で構成されている。具体的に、 極層16は、AZO(ZnO-Al 2 O 3 )のスパッタ膜で構成されるが、これに限ら ず、例えば、ITO(インジウム-スズ酸化物)、GZ O(ZnO-Ga 2 O 3 )、SZO(ZnO-SiO 2 )等が挙げられる。

 また、電極層16の上には、本発明に係る 縁層17が形成されている。図2は絶縁層17の構 造を示す電極層16周辺の断面図である。絶縁 17は、電極層16の上に形成された絶縁性無機 結晶材料からなる第1の絶縁膜17aと、この第1 絶縁膜17aの上に形成された絶縁性無機非晶 材料からなる第2の絶縁膜17bの積層構造を有 している。

 第1,第2の絶縁膜17a,17bはいずれもスパッタ 法、真空蒸着法等の真空薄膜形成技術によっ て形成された透明酸化物からなる。第1の絶 膜17aはそれ自体で結晶性の絶縁膜であり、 2の絶縁膜17bはそれ自体で非晶質の絶縁膜か なる。第2の絶縁膜17bは、結晶性の第1の絶 膜17aの表面の凹凸を吸収するために設けら ている。

 第1の絶縁膜17aとしては、例えば、ZnO、Al 2 O 3 、MgO、HfO 2 、ZrO 2 、Fe 2 O 3 、TiO 2 等の高誘電率膜が好適に用いられる。一方、 第2の絶縁膜17bとしては、例えば、ZnAlO、SiO 2 、SiNx等が好適に用いられる。

 本実施形態では、第1の絶縁膜17aはZnO、第 2の絶縁膜17bはZnAlOからなる。第1の絶縁膜17a 第2の絶縁膜17bが互いに同一の金属元素を含 酸化物で構成することにより、両者間の親 性を高めて密着性の向上を図ることができ 。また、電極層16の構成材料(AZO)がこれら絶 縁膜17a,17bと同一の金属元素を含むことから 電極層16と第1の絶縁膜17a間の相互の密着性 向上させるとともに、第1の絶縁膜17aの結晶 向性を高めて高誘電率化を図ることができ 。なお、電極層16、絶縁層17の形成方法の詳 細については後述する。

 第1,第2の絶縁膜17a,17bの膜厚は特に制限さ れないが、本実施形態では、第2の絶縁膜17b 膜厚は第1の絶縁膜17aの膜厚と同等又はそれ 下の厚さで形成されている。第1の絶縁膜17a は、結晶性に起因して第2の絶縁膜17bよりも 電率が高く、絶縁層17の誘電率を支配的に決 定するからである。また、第2の絶縁膜17bは 1の絶縁膜17aの表面平坦性を緩和できる程度 厚さで十分だからである。なお、絶縁層17 表面は撥水性を有することが好ましく、こ ような観点から第2の絶縁膜17bの構成材料が 定され、あるいは、第2の絶縁膜17bの表面に 撥水処理が施される。

 絶縁層17は、電極層16の形成領域の全域に わたって形成されることにより、電極層16と 電性の第1の液体11との間の電気的短絡を防 している。絶縁層17は、電極部材19を介して 蓋体15と対向している。電極部材19は、液室18 の外部から第1の液体11へ電圧を印加するため のものであるとともに、透明基材14と蓋体15 の間を封止する機能を有している。

 以上のように構成される本実施形態のエ クトロウェッティングデバイス10において 、電極層16と電極部材19(第1の液体11)との間 駆動電圧を印加する電圧供給源Vが設けられ いる。第1の液体11と第2の液体12の界面13Aの 状は、球面あるいは非球面であり、その曲 は電圧供給源Vから供給される駆動電圧の大 きさに応じて変化する。そして、界面13Aは、 第1の液体11と第2の液体12の屈折率差に応じた レンズパワーをもつレンズ面を構成するので 、駆動電圧の大きさを調整することで、蓋体 15側から透明基板14側へ入射する光Lの焦点距 を変化させることが可能となる。

 図3A,Bにレンズ素子13の駆動原理を示す。 3Aは第1の液体11と電極層16の間に駆動電圧を 印加していない場合の絶縁層17/第1の液体11/ 2の液体12の各界面の張力の状態を示し、図3B は第1の液体11と電極層16の間に所定の駆動電 を印加した場合のそれを示している。

 レンズ素子13の内部では、絶縁層17/第1の 体11/第2の液体12において3つの界面張力が発 生している。すなわち、絶縁層17と第1の液体 11の間の張力(SW)、第2の液体12と第1の液体11の 間の張力(OW)、絶縁層17と第2の液体12の間の張 力(SO)であり、ここではそれぞれをγsw、γow、 γsoと表す。

 駆動電圧を印加していない場合には、3つの 界面張力と、絶縁層17と第2の液体12の接触角 (θ)の間には、いわゆるYoung-Laplaceの方程式 ら次式の関係が成り立ち、これに基づいて 面13Aの形状が決まる。
  cosθ=(γsw-γso)/γow

 駆動電圧を印加した場合には、エレクトロ ェッティング効果により界面13Aの形状が変 する。すなわち、電圧印加により絶縁層17 第1の液体11の界面には電荷が発生し、それ よって絶縁層17と第2の液体12の間の張力(SO) 向に次式に示す圧力Fが加わるようになる。
  F=1/2(ε・ε0/d)V 2
(ここで、εは絶縁層の誘電率、ε0は真空誘電 率、dは絶縁層の厚さ、Vは印加電圧を表す。)

 したがって、3つの界面張力と、絶縁層17と 2の液体12の接触角度(θ)の間には次式のよう な関係が成り立ち、電圧を印加しない場合に 比べて接触角度θは増加して界面13Aの形状が 化する。また、その変化の程度は電圧を変 させることによって制御可能である。
  cosθ=(γsw-γso)/γow-1/2(ε・ε0/d)V 2  ……(1)

 以上のように、レンズ素子13は、互いに 折率の異なる第1,第2の液体11,12の界面13Aの形 状が変化することによって、焦点距離を変化 させることが可能であるとともに、その焦点 距離は印加電圧により制御可能なものとなる 。

 一方、(1)式より、絶縁層17の誘電率(ε)が きいほど、あるいは絶縁層17の膜厚が小さ ほど、同じ駆動電圧(V)でもレンズ素子13の界 面13Aの形状を大きく変化させることが可能と なる。従って、レンズ素子13の駆動電圧の低 を図るためには、絶縁層17の誘電率を高く るか、その膜厚を小さくする必要がある。

 そこで本実施形態では、絶縁層17(第1,第2 絶縁膜17a,17b)を無機材料で形成しているの 、ポリパラキシリレンやPTFE(ポリテトラフル オロエチレン)などの有機系材料に比べて、 さい膜厚で大きな誘電率が得られる。これ より、低い駆動電圧でレンズ素子13の大きな 形状変化を生じさせることができるので、エ レクトロウェティングデバイス10の駆動電圧 低減を図ることが可能となる。

 また、本実施形態によれば、絶縁層17を 機結晶材料からなる第1の絶縁膜17aと無機非 質材料からなる第2の絶縁膜17bの積層構造で 構成しているので、第1の絶縁膜17aの表面粗 を第2の絶縁膜17bでカバーして、絶縁層17の 面平坦性を高めることができる。これによ 、絶縁層17の膜厚を均一化できるとともに、 絶縁層17の耐圧特性を向上させることが可能 なる。

 図4は、走査型プローブ顕微鏡(セイコー ンスツルメンツ社製「SPA400」)を用いて行っ 電極層16、第1の絶縁膜17a、第2の絶縁膜17bの 各層における表面観察結果の一例を示してい る。ここで、図4Aは、シリコン基板上に電極 としてAZO膜を100nm成膜した場合を示してお 、表面粗さ(Ra)は1.7nmであった。図4Bは、AZO膜 の上に第1の絶縁膜17aとしてZnO膜を50nm形成し ときの状態を示しており、表面粗さ(Ra)は3.3 nmであった。図4Cは、ZnO膜に第2の絶縁膜17bと てZnAlO膜を50nm形成したときの状態を示して り、表面粗さ(Ra)は1.7nmであった。

 図4の結果から明らかなように、結晶性絶 縁膜(ZnO)の上に非晶質絶縁膜(ZnAlO)を形成した 積層構造で絶縁層を構成することによって、 絶縁層表面の平坦性を高められることがわか る。

 また、図5は、絶縁層を無機結晶材料のみ で形成した単層構造のサンプルと、無機結晶 材料層の上に無機非晶質材料層を形成した積 層構造のサンプルの各々の耐圧特性を比較し た一実験結果を示している。ここで、単層構 造のサンプルは、ガラス基板上に電極層とし てAZO膜を100nm、その上に無機結晶材料としてZ nO膜を114nm形成したものを用いた。一方、積 構造のサンプルは、ガラス基板上に電極層 してAZO膜を100nm、その上に無機結晶材料とし てZnO膜を50nm、無機非晶質材料としてZnAlO膜を 50nm形成したものを用いた。

 図5の結果より、単層構造のサンプルの場 合の耐圧強度は0.26MV/cmであったのに対し、本 発明の積層構造のサンプルの場合の耐圧強度 は3.05MV/cmであり、耐圧強度の著しい向上が認 められた。

 次に、本実施形態のエレクトロウェッテ ングデバイス10における透明基板14に対する 電極層16及び絶縁層17の形成方法について説 する。

 本実施形態におけるエレクトロウェッテ ングデバイス10を構成する電極層16及び絶縁 層17は、透明基板14の表面への連続成膜によ て形成される。これら電極層16及び絶縁層17 成膜方法としてはスパッタ法や真空蒸着法 の真空薄膜形成技術が用いられ、特に本実 形態ではスパッタ法が用いられている。図6 にスパッタ装置の構成の一例を示す。

 図6に示すスパッタ装置20は、直流方式の パッタ装置であり、チャンバー21内に基板( 明基板)14を保持する基板ホルダー22とター ット23を保持するターゲットホルダー24とが 向配置されており、基板14とターゲット23と の間に電圧が印加されるようになっている。 詳しくは、基板14は基板ホルダー22を経由し グランドに接地され、ターゲット23はターゲ ットホルダー24を経由して直流電源25につな っており、基板14のアース電位に対してター ゲット23には直流電源25から所定のマイナス 圧が印加される。

 また、スパッタ装置20は、チャンバー21内の 排気系として排気ポンプ26を有している。さ に、ガス供給系として、Arガスボンベ27、O 2 ガスボンベ28、及び、それぞれのガスボンベ2 7,28からガスを途中で混合しこの混合したガ をチャンバー21内へ導くガス配管29を有して る。混合ガスは、ガス配管29に設けられたAr ガス流量コントローラ27a、O 2 ガス流量コントローラ28aによってそれぞれの 流量比及び混合ガスとしての流量がコントロ ールされ、プロセスガス導入口29aからチャン バー21内へ導入されるようになっている。

 このスパッタ装置20により基板14上に電極層 16を成膜するに当たっては、まず、基板ホル ー22に基板14をセットするとともに、ターゲ ットホルダー24にターゲット23をセットする ここで、ターゲット23は、電極層16の構成材 によって選択され、本実施形態では、ZnOにA l 2 O 3 が含有されてなるターゲット(AZOターゲット) 用いられる。ターゲット23のAl 2 O 3 含有量は、10wt%以下が好ましい。

 次に、チャンバー21内を排気ポンプ26によっ て真空排気し、所定の真空度(例えば0.1~1Pa)に 維持しながら、反応性ガスであるO 2 ガス及びArガスを所定量混合した混合ガスを ロセスガス導入口29aからチャンバー21内に 入する。ここで、混合ガスの流量(sccm)の比( 応性ガス流量比(O 2 /Ar))は、成膜される透明膜が所定の抵抗値以 となり導電性をもつように調整される(例え ば、AZOターゲットの場合、0.2%)。あるいは、 ャンバー21内にO 2 ガスは導入せず、Arガスのみを導入するよう してもよい。

 次いで、直流電源25よりターゲット23と基板 14間に直流電圧を印加し、雰囲気ガス(O 2 +Ar、またはAr)についてグロー放電させプラズ マPを形成する。直流電源25から電力(例えば 0.1~7.8W/cm 2 )を投入してスパッタリングを開始し、基板14 上にターゲット組成に基づいた電極層16を形 する。

 以上のようにして、基板14上に透明な電 層16が形成される。続いて、電極層16の上に 縁層17が成膜される。絶縁層17の成膜は、第 1の絶縁膜17aの成膜工程と、第2の絶縁膜17bの 膜工程とを経て行われる。これら第1,第2の 縁膜17a,17bの成膜は、図6に示したスパッタ 置20と同様のスパッタ装置によって行われる 。

 この場合、第1の絶縁膜17aの成膜には、ター ゲット23としてZn金属ターゲットが用いられ プロセスガスの酸素ガス流量比(O 2 /(O 2 +Ar))を例えば40%以上に調整する。以上の反応 スパッタリングによって、電極層16上に結 性のZnO膜からなる第1の絶縁膜17aが成膜され 。

 一方、第2の絶縁膜17bの成膜には、ターゲッ ト23としてZnにAlをドープした合金ターゲット が用いられ、プロセスガスの酸素ガス流量比 (O 2 /(O 2 +Ar))を例えば40%以上に調整する。以上の反応 スパッタリングによって、第1の絶縁膜17aの 上に非晶質のAlZnO膜からなる第2の絶縁膜17bが 成膜される。

 なお、上述の例の場合、第1の絶縁膜17aの 成膜工程と、第2の絶縁膜17bの成膜工程とは それぞれ別々のチャンバー内で実施される とになるが、この場合、複数のスパッタ室 隣接配置されたインライン式連続スパッタ 置や複数の真空処理室がクラスター状に配 された枚葉式真空処理装置など、真空雰囲 を壊さずに基板を搬送することが可能な真 装置が好適に用いられる。また、同一チャ バー内に複数のターゲットを配置して、成 工程に応じてターゲットを使い分ける方法 採用することも可能である。

 以上のようにして、透明基板14上に電極 及び、第1,第2の絶縁膜17a,17bの積層構造から る絶縁層17が順に成膜される。本実施形態 エレクトロウェッティングデバイスの製造 法によれば、表面平坦性に優れた高誘電率 絶縁層を形成できるので、信頼性の高い低 圧駆動のエレクトロウェッティングデバイ を安定して製造することができる。

 以上、本発明の実施形態について説明し が、本発明はこれに限定されることはなく 本発明の技術的思想に基づいて種々の変形 可能である。

 例えば以上の実施形態では、単一のレン 素子を具備するエレクトロウェッティング バイスを例に挙げて説明したが、上記レン 素子がアレイ状に複数配置されたエレクト ウェッティングデバイスの絶縁層構造にも 本発明は適用可能である。

 また、可変焦点レンズ用途のエレクトロ ェッティングデバイスに限らず、配光制御 の他の光学用途や、液体の表面張力の変化 利用してワークを位置決め搬送するステー 装置等の各種アクチュエータ用途のエレク ロウェッティングデバイスに対しても、本 明は適用可能である。