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Title:
FASTENING BODY FOR DETECTING AXIAL FORCE, FASTENING BODY UNIT, AND AXIAL FORCE MONITORING SYSTEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/008133
Kind Code:
A1
Abstract:
A fastening body for detecting axial force and an axial force monitoring system capable of simply monitoring at relatively low cost a reduction in axial fastening force of a fastening body such as a bolt. A fastening body unit (1) is constructed by installing a pin type load cell (20), a transmitter substrate (30), and an IC tag (50) on an axial force detection bolt (10). A receiving unit sends electric power to the axial force detection bolt (10) by using a wireless electric power supply technique. The transmitter substrate (30) measures a strain signal by using the received electric power and sends the measured result to the receiving unit.

Inventors:
TERASAWA YOSHIKAZU
Application Number:
PCT/JP2008/001726
Publication Date:
January 15, 2009
Filing Date:
July 01, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UCHIMURA CO LTD (JP)
TERASAWA YOSHIKAZU
International Classes:
G01L5/00
Foreign References:
JP2005091086A2005-04-07
JP2005114441A2005-04-28
JPH028188Y21990-02-27
Attorney, Agent or Firm:
NAKAJIMA, Shiro et al. (2-1 Toyosaki 3-chome,Kita-ku, Osaka-shi, Osaka 72, JP)
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Claims:
 被締結体を締結して保持するための長尺状の締結体に、その長手方向に挿入孔を開設し、
 当該挿入孔にピン型のロードセルを埋め込んで当該締結体の軸力を検出することを特徴とする軸力検出用締結体。
 前記ロードセルは、
 ピン型の起歪体に歪ゲージが固着されて構成されていることを特徴とする請求項1記載の軸力検出用締結体。
 前記歪ゲージは、
 シリコン半導体からなる抵抗体、または金属薄膜抵抗体を用いていることを特徴とする請求項2記載の軸力検出用締結体。
 前記ロードセルは、前記締結体に締付け軸力が加えられていない無負荷時に張力が加わった状態で、その両端部が前記締結体に固定されていることを特徴とする請求項1記載の軸力検出用締結体。
 前記ロードセルには、その一端側に、前記挿入孔の径よりも径の大きいフランジが形成されると共に、他端側には雄ネジが形成され、
 前記雄ネジが、前記挿入孔の内壁に螺合され、前記フランジが前記挿入孔の周縁に当接していることを特徴とする請求項4記載の軸力検出用締結体。
 前記ロードセルは、
 その一端側に、前記挿入孔の径よりも径の大きいフランジが形成されていると共に、他端側は、前記挿入孔を貫通して前記挿入孔から突出し、前記ロードセルに張力が加えられた状態で、当該突出部分が前記締結体に固定されていることを特徴とする請求項4記載の軸力検出用締結体。
 前記歪ゲージを組み込んだブリッジ回路、当該ブリッジ回路からのアナログ出力をディジタル変換するA/D変換部、及び前記デジタル変換した歪信号を無線で送信する歪信号送信部を備えることを特徴とする請求項1記載の軸力検出用締結体。
 前記軸力検出用締結体は、
 電磁波を介して無線で供給される電力を受信する電力受信部を備え、
 当該電力受信部で受け取った電力で、
 前記ブリッジ回路、A/D変換器、歪信号送信部を駆動させることを特徴とする請求項7記載の軸力検出用締結体。
 請求項7記載の軸力検出用締結体と、
 当該軸力検出用締結体に関する管理情報を記録するICタグとで構成される締結体ユニット。
 前記ICタグは、前記軸力検出用締結体に固着されていることを特徴とする請求項9記載の締結体ユニット。
 請求項7記載の軸力検出用締結体と、
 当該軸力検出用締結体から離れた位置で、前記歪信号送信部から送信される歪信号を受信する歪信号受信器を備えることを特徴とする軸力監視システム。
 前記歪信号受信部には、
 前記電力受信部に供給する電磁波を発信する発信部が設置されていることを特徴とする請求項11記載の軸力監視システム。
 前記歪信号送信部は、
 前記電力受信部に供給される電磁波を負荷変調することによって歪信号を送信し、
 前記信号受信部は、変調された電磁波から歪信号を復調することを特徴とする請求項12記載の軸力監視システム。
 請求項9記載の締結体ユニットと、
 前記歪信号送信部から送信される歪信号を受信する歪信号受信器、及び、前記ICタグに対して管理情報を送受信するICタグリーダ/ライタを有する受信ユニットとを備えることを特徴とする軸力監視システム。
Description:
軸力検出用締結体、締結体ユニ ト、軸力監視システム

 本発明は、ボルトをはじめとする締結体 軸力を検出したり管理する軸力検出用締結 、締結体ユニット、軸力監視システムに関 る。

 各種車両、航空機、産業・工作機器など おいて、ボルト、リベットをはじめとする 結体が広く使用されている。

 この締結体を用いれば、対象物を締め付 した状態で保持することができる。例えば ルトとナットで部品をネジ締めすると、被 結体はボルトとナットで締め付け圧縮力を けると共に、ボルトには引張り方向に軸力 生じた状態で保持される。

 ところが、締結体で被締結体をしっかり 締結しても、例えば締結体を取り付けた機 が稼動するといった日常的な稼動によって 経時的に締結体が弛んでその軸力が低下す 。

 締結体の弛みは、締結機能の低下につな り、疲れ破壊や部品脱落などの原因にもな 。

 そこで、締結体の経時的な弛みを監視し 、必要に応じてトルクレンチやスパナで増 締めするといった管理が行われている。

 締結体の弛みを監視する方法として、従 から、ボルトにマークをつけておいて目視 マークの位置を検査目視でトルクチェック る方法や、ハンマでボルトあるいはボルト 付近を叩き、その打音を耳で聞いて、経験 勘で弛みをチェックする方法が一般的であ 。

 一方、機械的方法、電気的方法または光 的方法を用いて、軸力を機器計測する技術 知られている。

 電気的方法としては、(1)特許文献1に示さ れるように、電気抵抗線歪(ひずみ)ゲージを いる方法があり、現場で手軽に計測できる いった理由で発展している。また(2)特許文 2に開示されているように超音波で測定する 方法もある。

 (1)歪ゲージを用いる方法では、まず、ボ トの胴部分に歪ゲージを直接接着剤で貼る 、もしくはボルトの中心部に開けた細い穴 歪ゲージを挿入して接着剤で固め、その歪 ージで計測用ブリッジを形成する。そして このボルトを引張試験機にかけて引張荷重 与え、このときの歪出力を静歪計又は動歪 を使って読み取り、引張荷重(軸力)-歪出力 校正を行なう。

 そして、校正済みのボルトを使って実際 締付けした後、その歪出力を動歪計で測定 ることで、校正時に得た引張荷重(軸力)歪 力との対応データに基づいて軸力を算出す 。

 (2)超音波で軸力を機器計測する方法では、 ルトの一端に超音波発射端子を当てて、そ 端子からボルトの長さ方向へ超音波ビーム 発射する。発射された超音波ビームはボル の他端で反射されて、元の発射端子に戻っ くるので、この所要時間を、締め付け前(t1) と締め付け後(t2)に測定し、その差異(△t)の 分(往復があるので)に音速を乗ずることによ り、ボルトの伸びが正確に測定される。そし て、測定したボルトの伸び量を軸力に換算す る。

特開2005-140653号公報

特開2006-308342号公報

 このように機器を用いて締結体のひずみ 計測することによって、締結体が日常の稼 で経時的に弛むのを、経験や勘に頼ること く監視することができる。そして、締結体 弛みを日常的に監視することによって、締 体の緩みに起因する事故を予防することが きる。

 しかしながら、(1)の歪ゲージを用いる測 方法の場合、各締結体に歪ゲージを貼り付 た後に校正を行うことが必要となるので、 のための手間がかかる。

 (2)の超音波で測定する場合は、超音波探 子を測定しようとする締結体ごとに接触さ る必要があり、装置コストもかかる。

 本発明は、このような背景のもとに、比 的安価な装置で、ボルト等の締結体の締付 軸力の弛みを簡単に監視することができ、 正の手間も簡単な軸力検出用締結体並びに 力監視システムを提供することを目的とす 。

 上記目的を達成するため、本発明では、 ルトなど長尺状の締結体に、当該締結体の 力を検出するピン型のロードセルを埋め込 で軸力検出用締結体を構成した。ロードセ を埋め込む時の方向は締結体の軸方向と一 させることが好ましい。

 上記ピン型のロードセルは、ピン型の起 体に歪ゲージを固着させることによって構 することができ、これを締結体に開設した の中に接合することが好ましい。

 歪ゲージの抵抗体としては、シリコン半 体あるいは金属薄膜を用いることが好まし 。

 ロードセルは、前記締結体に締付け軸力 加えられていない無負荷時に張力が加わっ 状態で、その両端部を締結体に固定するこ が好ましい。

 ロードセルを、無負荷時に張力が加わっ 状態でその両端部を締結体に固定する方法 して、ロードセルの一端側に、挿入孔の径 りも径の大きいフランジを形成すると共に 他端側には雄ネジを形成し、雄ネジを、挿 孔の内壁に螺合することで張力を加えるこ が好ましい。

 あるいは、ロードセルの一端側に、挿入 の径よりも径の大きいフランジを形成する 共に、他端側は、挿入孔を貫通して挿入孔 ら突出させて、ロードセルに張力が加えら た状態で突出部分を締結体に固定してもよ 。

 上記の軸力検出用締結体において、歪ゲ ジを組み込んだブリッジ回路、当該ブリッ 回路からのアナログ出力をディジタル変換 るA/D変換器、及びデジタル変換した歪信号 無線で送信する歪信号送信部を設けること 好ましい。

 軸力検出用締結体には、電磁波を介して 線で供給される電力を受信する電力受信部 設け、当該電力受信部で受け取った電力で ブリッジ回路、A/D変換器、歪信号送信部を 動させることが好ましい。

 上記の軸力検出用締結体と、当該軸力検 用締結体から離れた位置で、歪信号送信部 ら送信される歪信号を受信する歪信号受信 とで、軸力監視システムを構成することが きる。

 このとき、歪信号受信部に、電力受信部 供給する電磁波を発信する発信部を設置す ことが好ましい。

 上記軸力監視システムにおいて、歪信号 信部では、電力受信部に供給される電磁波 負荷変調することによって歪信号を送信し 信号受信部では、変調された電磁波から歪 号を復調することが好ましい。

 上記の軸力検出用締結体と、当該軸力検 用締結体に関する管理情報を記録するICタ とで、締結体ユニットを構成してもよい。 の管理情報は、個体識別コード,締付け日時, 締付け軸力などである。

 このとき、ICタグは軸力検出用締結体に 着することが好ましい。

 上記締結体ユニットと、歪信号送信部か 送信される歪信号を受信する歪信号受信器 及び、ICタグに対して管理情報を送受信す ICタグリーダ/ライタを有する受信ユニット で、軸力監視システムを構成することもで る。

 本発明の軸力検出用締結体によれば、締 体に埋め込まれているピン型のロードセル 締結体の軸力を電圧などに変換し出力する とができるので、そのロードセルからの出 にもとづいて締結体の軸力を測定すること できる。特に、ロードセルを埋め込む方向 締結体の軸方向と一致させれば、ロードセ で正確に軸力を検出できる。

 従って、締結体の軸力を経時的に測定す ことによって、締結体の弛みを監視するこ ができる。また、ハンマリング方法と比べ と、経験と勘に頼ることがなく、簡単に短 間で測定が行なえ、また、信頼性も格段に 上する。

 また、従来技術(1)のように軸力検出用締 体に歪ゲージを直接貼り付けるのではなく ピン型のロードセルを締結体に埋め込んだ 成としているので、ロードセル単体でロー セルの校正を行って、歪出力-伸びの関係を 求めておけば、変換倍率を乗ずることによっ て締結体の軸力-歪出力との関係を算出する とができる。すなわち、ロードセルを締結 に埋め込んだ後に校正を行わなくても、締 体の軸力-歪出力を算出することができる。

 ロードセルの断面積は締結体の断面積と べて格段に小さいため、校正時の引張力は さくて済む。従ってロードセルで校正する 、用いる引張試験機も比較的小型のもので む。

 また、1種類のロードセルを、さまざまな 種類、サイズの締結体に用いることができる ので、この点でも、校正作業に要する手間を 簡略化でき、校正に要するコストも軽減でき る。

 さらに、締結体の孔の中にロードセルを め込む工程は、締結体の孔の中に歪ゲージ 直接埋め込む工程と比べると作業が容易で る。従って、埋め込み工程での不良品の発 が抑えられ、埋め込んだボルトの軸力測定 質が安定する。

 本発明に用いるピン型のロードセルは、 歪体に歪ゲージを固着することによって容 に形成できる。このロードセルを締結体に 設された孔内に接合すると、締結体に軸力 かかって伸張するのに伴って、起歪体も軸 向に引っ張られて伸張し、起歪体に固着さ ている歪ゲージも起歪体と共に変形して抵 値が変化する。従って、歪ゲージの抵抗値 化を電気信号として取り出すことで、締結 の軸力を測定することができる。

 歪ゲージの抵抗体として、シリコン半導 を用いれば、高いゲージ率が得られるので 出力を増幅しなくても高感度で測定するこ ができる。一方、歪ゲージの抵抗体として 金属薄膜を用いれば、ゲージ率は低いが安 した出力が得られる。

 ロードセルを締結体に固定する際に、無 荷(締結体の軸力ゼロ)時に当該ロードセル 張力を加えた状態で固定すれば、ロードセ と締結体との間に遊びがなく、締結体の軸 が確実に歪ゲージに伝達される。

 ロードセルを、無負荷時に張力が加わっ 状態で締結体に固定する方法として、ロー セルの一端側に、挿入孔の径よりも径の大 いフランジを形成すると共に、他端側には ネジを形成し、雄ネジを、挿入孔の内壁に 合する方法、あるいは、ロードセルの一端 に、挿入孔の径よりも径の大きいフランジ 形成すると共に、他端側は、挿入孔を貫通 て挿入孔から突出させて、ロードセルに張 が加えられた状態で突出部分に挿入孔の径 りも径の大きいフランジを取り付ける方法 用いれば、締結体の軸力が歪ゲージに長期 わたって確実に伝達される。

 上記の軸力検出用締結体において、歪ゲ ジからのアナログ出力をデジタル変換するA /D変換器、及びデジタル変換した歪信号を無 で送信する歪信号送信手段を設けておけば 歪信号送信手段から送信される歪信号を受 することによって、軸力検出用締結体の軸 を検出することができる。

 すなわち、上記軸力検出用締結体と、当 軸力検出用締結体から離れた位置で、歪信 送信部から送信される歪信号を受信する歪 号受信器とで、軸力監視システムを構成す ことができる。

 従って、軸力検出用締結体から配線を引 出さなくても、離れた場所に無線で歪信号 取り出すことができる。それによって、締 体の整備点検作業の負担を軽減できる。

 軸力検出用締結体に、電磁波を介して無 で供給される電力を受信する電力受信部を けておいて、当該電力受信部で受け取った 力で、ブリッジ回路、A/D変換器、歪信号送 部を駆動させれば、軸力検出用締結体に電 バッテリを搭載しなくても歪信号を送信す ことができる。従って、軸力検出用締結体 小型で実現することができる。

 上記軸力監視システムにおいて、電力受 部に供給する電磁波を発信する発信部を、 信号受信部に設置しておけば、電力受信部 発信部とが同じ場所にあるため、発信部か 軸力検出用締結体に無線で電力を供給しな ら電力受信部で歪信号を受信するのに適し いる。

 上記軸力監視システムにおいて、歪信号 信部では、電力受信部に供給される電磁波 負荷変調することによって歪信号を送信し 信号受信部では、変調された電磁波から歪 号を復調すれば、歪信号送信部から信号受 部に歪信号を容易に安定して送ることがで る。

 上記の軸力検出用締結体と、当該軸力検 用締結体に関する管理情報を記録するICタ とで、締結体ユニットを構成すれば、ICタグ リーダ/ライタで、ICタグに記録された管理情 報を読み出したり、ICタグに管理情報を書き んだりできる。

 従って、軸力検出用締結体の個体識別情 などを容易に得ることができ、検査記録を すことも可能になる。

 このICタグは軸力検出用締結体に固着し おけば、軸力検出用締結体から歪信号を受 するときに、合わせてICタグから管理情報を 読み出すことも容易にできる。

 上記締結体ユニットと、歪信号送信部か 送信される歪信号を受信する歪信号受信器 及び、ICタグに対して管理情報を送受信す ICタグリーダ/ライタを有する受信ユニット で、軸力監視システムを構成すれば、ユニ ト間で歪信号の送受信と管理情報の送受信 容易に行うことができる。

実施の形態1にかかる締結体ユニットの 構成を示す分解図である。 実施の形態1にかかる締結体ユニットの 構成を示す図である。 実施の形態1にかかる軸力監視システム の構成を示すブロック図である。 実施の形態1にかかる軸力監視システム において、ブリッジ回路の端子に一定電圧を 供給するしくみ、歪データを送信するしくみ を説明する図である。 4アクチブゲージ法で歪みを測定する方 法を説明する図である。 アンテナコイルの結合係数Kとブリッジ 回路に入力される電圧との関係を示す図であ る。 歪データδeと軸力値Pとの対応関係の一 例を示す図表である。 実施の形態2にかかる締結体ユニットの 構成ならびにその組立方法を示す図である。 実施の形態2にかかる締結体ユニットの 組立方法を示す図である。 実施の形態2にかかる締結体ユニット 組立方法を示す図である。

符号の説明

    1  締結体ユニット
   10  軸力検出用ボルト
   11  軸部
   12  頭部
   14  挿入孔
   15  凹部
   20  ピン型ロードセル
   21  起歪体
   22  歪ゲージ
   24  抵抗体
   30  送信器基板
   31  受信回路
   32  定電圧回路
   33  A/D変換器
   34  送信回路
   35  アンテナコイル
   36  ブリッジ回路
   50  ICタグ
   51  電源回路
   52  アンテナコイル
   53  メモリ回路
  100  受信ユニット
  101  電源発信回路
  102  歪信号受信回路
  106  アンテナコイル
  110  ICタグリーダ/ライタ

[実施の形態1]
 図1,図2は、本発明の一実施形態にかかる締 体ユニットの構成を示す図である。

 この締結体ユニット1は、軸力検出用ボル ト10に、ピン型ロードセル20,送信器基板30,IC グ50が装着されて構成されている。

 図3は、締結体ユニット1を用いた軸力監 システムの構成を示すブロック図である。

 当該締結体ユニット1とデータを送受信す る受信ユニット100とで、軸力監視システムが 構成されている。すなわち、受信ユニット100 は、軸力検出用ボルト10に対して、ワイヤレ 電力供給技術を用いて電力を送り、送信器 板30では、受け取った電力を用いて歪信号 測定し、受信ユニット100に送る。

 ワイヤレス電力供給方式として、以下で 、コイルアンテナ間を貫く磁束の変化で電 を送る誘導結合方式で行うこととするが、 磁後方拡散結合方式、密着型などの方式も 用できる。

 1.締結体ユニットの構成
 1-1 軸力検出用ボルト10
 軸力検出用ボルト10は、軸部11と頭部12とか なり、軸部11の外周面にネジ山13が形成され ている。ボルト10の材質としては、ステンレ ,鉄などの金属、ポリカーボネイドやフェノ ール樹脂などのプラスチック、合金、セラミ ックが挙げられる。軸部11と頭部12とを同じ 質で形成してもよいし、別々の材質で形成 てもよい(例えば、軸部11は鉄、頭部12はプラ スチックで形成)。

 ボルト10はナット2と対で、被締結体3を締 結して保持する。締結した状態で、被締結体 3には圧縮力が加わり、軸部11にはこの圧縮力 に相当する大きさの引っ張り軸力Pが加わる

 ボルト10には、中心軸に沿って、頭部12か ら挿入孔14が開設され、この挿入孔14に、ボ ト10の軸力を検出するためのピン型ロードセ ル20が埋め込まれている。

 このようにしてロードセル20を埋め込む 、その方向が軸部11の軸方向と一致するので 、ロードセル20で正確に軸力が検出できる。

 また、ボルト10の挿入孔14中にロードセル 20を埋め込む工程は、ボルト10の孔の中に歪 ージを直接埋め込む工程と比べると作業が 易である。従って、この埋め込み工程で不 品が発生するのも抑えられ、軸力測定の品 も安定する。

 ピン型ロードセル20には、歪信号を送信 る送信器基板30が取り付けられている。

 ボルト10の頭部12には、凹部15が形成され 送信器基板30はこの凹部15にはまり込んでい る。

 また、凹部15の開口部はキャップ40で蓋わ れ、このキャップ40に、ボルト10の管理情報 記録するICタグ50が埋め込まれている。

 1-2 ピン型ロードセル20と送信器基板30の設
 ピン型ロードセル20は歪ゲージ式のロード ルであって、加えられる荷重の大きさを測 して電気信号として出力することができる

 ロードセル20は、ピン型(柱状又は板状)の 起歪体21に、歪ゲージ22が接着されて構成さ ている。起歪体21の両端には挿入孔14の内壁 接合される円柱状の接合端部21a,21bが形成さ れ、この接合端部21a,21bは、挿入孔14の内径と ほぼ同等の径を有し、接着材などで挿入孔14 内壁に強固に接合されている。

 起歪体21は、アルミ合金や鋼材で作られ 弾性体であって、歪ゲージ22が貼り付けられ るゲージ貼付部21cと、その両端に形成された 接合端部21a,21bとからなる。接合端部21a,21bと ゲージ形成部分とは、同一材料で一体形成 ることが望ましいが、別体で作製して接着 などで接合してもよい。

 接合端部21a,21bは、挿入孔14の径とほぼ同 の径に設定されて挿入孔の内壁に強固に接 されている。

 例えば挿入孔14の径は直径3mmであり、接 端部21a,21bの直径は2.9mmである。

 組み立て時には、送信器基板30を装着し ロードセル20を、挿入孔14に挿入し、接合端 21a,21bの外周部を、挿入孔14の内壁に接着剤 強固に接合する。そして、凹部15を蓋する うに、キャップ40を頭部12に取り付ける。

 ボルト10とナット2で被締結体3を締め付け ると、締め付け軸力Pに応じて軸部11が伸張し 、起歪体21と、歪ゲージ22も変形してその抵 値が変化する。従って、この歪ゲージ22の抵 抗値変化を電気信号として取り出すことで、 軸力を測定できる。

 抵抗値変化は、ブリッジ回路で電圧信号 変換し、A/D変換器でデジタル信号として取 出す。

 この内容は、「3.ロードセル20によるボル ト10の軸力検出」のところで詳しく説明する

 なお、ここでは図2に示すように送信器基 板30を頭部12の凹部15に埋め込むこととしたが 、送信器基板30を頭部12の外表面上に貼り付 てもよい。

 また、頭部12が金属で形成されている場 は、送信器基板30のアンテナ部分(アンテナ イル35)を、頭部12の外側に配置したり、頭部 12を取り巻くように配置することが好ましい

 ボルト10にICタグ50を装着する形態につい も、図2に示す例ではキャップ40内にICタグ50 を埋め込んだが、ボルト近傍の適当な部位に 取り付けたり埋め込んだりしてもよい。例え ば、ボルト10とセットで使う座金に取り付け もよい。

 1-3 送信器基板30
 送信器基板30は、起歪体21の接合端部21aに接 合され、歪ゲージ22と配線でつながっている

 送信器基板30には、受信回路31,定電圧回 32,A/D変換器33,送信回路34,アンテナコイル35, リッジ回路36などが設けられている。

 受信回路31は、交流電磁界中でアンテナ イル35が誘導発生する交流電圧を直流に整流 して、定電圧回路32に供給するとともに、A/D 換器33,送信回路34に対しても駆動用電圧と て電力を供給する。

 定電圧回路32は、ブリッジ回路36の入力端 子A-C間に、一定のブリッジ電圧Eを供給する

 歪ゲージ22の抵抗変化をブリッジ回路36か ら電圧として安定に出力する上で、ブリッジ 電圧Eを一定に保つことが重要である。定電 回路32として、結合係数Kが変化するのに応 て抵抗値が変化する分路抵抗を備える分路 整器を用いることが好ましい。

 詳しくは、3-3「ブリッジ回路36への電圧 給」で説明する。

 A/D変換器33は、ブリッジ回路36の出力端子 (B-D間)の出力電圧を、デジタル信号に変換す 。この信号は、ボルトにかかる歪(軸力)と 応関係があるので「歪データ(歪信号)」とす る。

 送信回路34は、A/D変換器33で生成された歪 データ(デジタル信号)を、受信ユニット100の 信号受信回路102に送る。

 このデータ送信については、「4.送信器 板30と受信ユニット100との間のデータ転送」 のところで詳しく説明する。

 1-4 ICタグ50
 電源回路51は、交流電磁界中でアンテナコ ル52が発生する交流電圧を直流に整流してメ モリ回路53に供給するとともに、ICタグリー /ライタ110とのデータ送受信を行う。

 電源回路51からICタグリーダ/ライタ110へ データ送信は、搬送波を負荷変調する負荷 調方式を用いて行い、ICタグリーダ/ライタ11 0から電源回路51へのデータ送信も搬送波を変 調する方式で行う。これによって無線で安定 してデータを送ることができる。

 メモリ回路53は、電源回路51から供給され る直流電圧で駆動されて、メモりから管理デ ータ(主としてボルト10に固有のデータであっ て管理に用いる。例えば、ボルト10の個体識 コード、使用部位、初期の軸力値や組み立 日時、過去に測定したボルト10の軸力)を読 出して、ICタグリーダ/ライタ110に送信した 、ICタグリーダ/ライタ110から送信される管 データを受信してメモリに書き込む。

 2.受信ユニット100の構成
 電源発信回路101は、アンテナコイル106から 周波の交流電磁波を発生する。その周波数 、例えば13.56MHzである。

 歪信号受信回路102は、この電磁波を搬送 として送られてくる歪信号を受信して復調 、歪データを生成する。ここで得られる歪 ータにばらつきが生じる可能性を考慮して 歪信号受信回路102で歪データを繰り返し生 して平均化処理をすることが好ましい。

 軸力換算回路103は、歪信号受信回路102で 調した歪データを、軸力データに変換する

 この変換は、あらかじめボルト10につい 、歪データ値と軸力値との対応表を作成し 憶しておき、当該対応表を参照することに って容易に行うことができる。

 比較部104は、軸力換算回路103で算出した 力データと、評価用データ(例えば、あらか じめ準備してある軸力の適正範囲を示すデー タ、あるいはICタグリーダ/ライタ110がICタグ5 0から読み取った個体データ)とを比較する。

 表示部105は、軸力換算回路103で算出した 力データや、比較部104で評価した評価結果 どを画面に表示する。

 ICタグリーダ/ライタ110は、上記電源発信 路101と同様に、アンテナコイルから高周波 交流電磁波を発生してICタグ50に電力を供給 するとともに、軸力換算回路103で算出した軸 力データを電源回路51に送信したり、必要に じて管理データを電源回路51に送信したり 電源回路51から送られる軸力データや管理デ ータを受信する。

 3.ロードセル20によるボルト10の軸力検出
 歪ゲージ22は、ベース23上に抵抗体24,保護被 膜25が積層されて構成され、起歪体21のゲー 貼付部21c周面上又は平面上に接着剤26で接着 されている。抵抗体としては、金属薄膜もし くはシリコンに不純物をドーピングしたシリ コン半導体を用いることが好ましい。

 3-1 抵抗体として金属薄膜を用いる場合
 ボルト10を締め付けると、締め付け軸力Pに じて軸部11が伸張する(L→L+δL)。ロードセル 20の接合端部21a,21bは軸部11に強固に接合され いるので、軸部11が伸張するのに伴って、 歪体21のゲージ貼付部21cも軸方向に引っ張ら れて伸張する(l→l+δl)。また、起歪体21に貼 付けられた歪ゲージ22も変形する。

 歪ゲージ22における抵抗体24の抵抗値Rは R=ρL/Aであらわされる。また、抵抗体に張力 加わってその長さlが伸びる(l→l+δl)と、断 積が減少するので、抵抗値Rは増加する(R→R +δR)。

 L:抵抗体の長さ
 A:抵抗体の断面積
 ρ:抵抗体の固有抵抗率
 機械的ひずみと歪ゲージ抵抗体の抵抗変化 の比率(ゲージ率G)は、金属薄膜ではG=(δR /R )/(δL/L)である。

 一般の金属はポアソン比σは0.3~0.6程度と さく、ゲージ率Gは1.6~2.2程度である。歪ゲ ジに使用されている金属薄膜のゲージ率Gも 室温で約2であり、使用温度 によって少し 化する。

 歪ゲージの抵抗変化は大変微小であるが 以下のように、ホイートストンブリッジ回 を用いることによって、当該抵抗変化を電 変化に換算(ひずみ-電圧換算)することがで る。

 図3に示すように、ブリッジ回路36は、4個 の抵抗が結線されてなり、4つの結線部分に 子A,B,C,Dを有しており、相対する2組の端子の 一方(端子A-C)にはブリッジ電圧Eが印加され、 他方(端子B-D)から出力電圧eが検出される。

 A-B間の抵抗値をR1,B-C間の抵抗値をR2,C-D間の 抗値をR3,D-A間の抵抗値をR4とすると、端子A- C間に印加されるブリッジ電圧Eと、端子B-C間 出力される出力電圧eとの関係は、
 e=E(R1R3-R2R4)/(R1+R2)(R3+R4)で表わされる。

 このようなホイートストンブリッジ回路 おいて、4個の抵抗の中、1つ以上にゲージ 抗体を用いる。

 例えば、1アクチブゲージ法では、図に示 す端子A-B間に、ゲージ抵抗体を挿入する。

 この場合、ブリッジ回路からの出力特性は
 δe=(1/4)GEδε…(式1)
 であらわされ、機械的ひずみ変化δεとブリ ッジ出力電圧変化δeとは比例する。例えば、 ゲージ率G=2.0,ブリッジ電圧E=4Vとするとδe=2δ となる。

 4アクチブゲージ法では、図5に示すよう 、4個の歪ゲージRg1,Rg2,Rg3,Rg4を柱状又は板状 起歪体21(ゲージ貼付部21c)に貼り付ける。す なわち、歪ゲージRg1と歪ゲージRg3とは、起歪 体21の中心軸に対して互いに対称な位置に、 心軸に沿った方向に貼り付ける。歪ゲージR g2と歪ゲージRg4とは、起歪体21の中心軸に対 て互いに対称な位置に、中心軸に対して垂 方向に貼り付ける。

 そして、この4個のRg1,Rg2,Rg3,Rg4を、ブリッ ジ回路36の抵抗R1,R2,R3,R4として組み込むよう 接続する。

 金属薄膜抵抗を用いる場合、ブリッジ回路3 6からの出力特性は、
 δe=E(1+σ)Gδε/2…(式2)
 (σ:金属薄膜のポアソン比)で表わされ、や り、機械的ひずみ変化δεとブリッジ出力電 変化δeとは比例する。

 この4アクチブゲージ法によれば、起歪体 21の曲げひずみによる電圧変化分は打ち消さ て、引張り圧縮ひずみによる電圧変化だけ 検出することができ、また、温度補償もな れる。

 なお、金属薄膜のゲージ率は小さいので ブリッジ回路からの出力変化δeも小さい。 って、出力電圧eを直流増幅器で増幅してか らA/D変換器33でA/D変換することが望ましい。

 なお、歪ゲージ22を起歪体21の表面に貼り付 ける以外に、起歪体21の表面に絶縁薄膜を形 し、その上に金属薄膜抵抗体を形成しても い。例えば、絶縁薄膜として、ピンの表面 絶縁膜としてSIO 2 膜をスパッタリングや蒸着などで形成し、そ の上に、クロム(Cr)、酸素と、アルミニウム(A l)を混合した薄膜を、スパッタリングや蒸着 どで形成する。それによって、接着工程が 要となり、生産性の向上を図ることが可能 なる。

 3-2 抵抗体として半導体を用いる場合
 抵抗体として半導体を用いる場合、基本的 は上記金属薄膜と同様であるが、抵抗体の 抗変化は、主に半導体の圧抵抗効果による すなわち、半導体の中には、この圧抵抗効 によって、金属と比べてひずみによる抵抗 化率δρ/ρが極めて大きいものがあり、この 場合のゲージ率Gは、G=(δρ /ρ)/(δL/L)である なお、半導体において圧抵抗効果が生じる くみとして、マルチバレイ半導体のひずみ よる等エネルギー面の変化に基づく説明が されている。

 半導体歪ゲージに用いる半導体材料の具 例としては、Si,Ge,InSbなどが挙げられる。こ れらの材料は、伝導型(p型,n型)や結晶方向に って特異なゲージ率を示す。

 例えば、Si半導体は、以下のようなゲー 率を示し、そのゲージ率は大きい絶対値を っている(「電気電子材料(共立出版)」を参 した)。

 p型、結晶方向(100) ゲージ率G=10
 p型、結晶方向(111) ゲージ率G=177
 n型、結晶方向(100) ゲージ率G=-132
 n型、結晶方向(111) ゲージ率G=-13
 ゲージ率の絶対値が大きい半導体を用いれ 、金属薄膜抵抗体を用いた歪みゲージと比 て50~100倍程度の感度が得られ、歪ゲージの ずみに伴って生じるブリッジ回路の出力電 変化δeも数十mV程度となる。

 従って、ブリッジ回路からの出力電圧δe 増幅しなくても、A/D変換器33でA/D変換する とができる。

 半導体歪ゲージでロードセルを形成する 合、起歪体に歪ゲージを貼りつける形態以 に、起歪体自体をシリコンウェハで形成し このシリコンウェハに不純物ドーピングに るゲージ部を形成してもよい。

 その製法は、例えば、シリコンウェハ上 、マスキング法でパターニングしながら不 物をドーピングすることによって半導体抵 体層を形成し、更に配線パターンを描くこ によってブリッジ回路を形成することがで 、1アクチブゲージ法の場合はゲージを1つ 4アクチブゲージ法の場合は、ゲージを4つ形 成する。各ゲージの寸法は、例えば縦0.3mm、 0.1mmである。

 このシリコンウェハを切り出すことによ て起歪体のゲージ貼付部21cに相当する部分 形成することができる。切り出し寸法につ ては、接合端部21a、21bとのバランスや接合 度を確保することを考慮しつつ、挿入孔14 挿入できる範囲で適宜決めればよく、例え 横2.5mm程度、長さ15mm~30mmである。

 そして接合端部21a,21bに相当する部材を接 合すれば、歪ゲージとブリッジ回路を組み込 んだシリコンウェハからなるロードセルを形 成することができる。

 この製法によって、抵抗値120ω、ゲージ 100のロードセルを作製することができる。

 ボルト10の強度を維持する上で、挿入孔14 や凹部15の径は、できるだけ小さい方が好ま いが、上記のようにシリコンウェハ上に半 体抵抗層を形成し、更に配線パターンを描 てブリッジ回路を形成することによって超 型の金属シリコン製半導体歪ゲージデバイ を作製して起歪体に接合すれば、挿入孔14 埋め込むロードセル20の径を小さくでき送信 器基板30を小型化することもできる。従って ボルト10の強度を維持するのに有効である

 3-3 ブリッジ回路36の端子A-Cへの電圧供給
 送信器基板30において、ブリッジ回路36の電 源電圧として、小型バッテリを搭載してもよ いが、本実施形態では、受信ユニット100から 無線で供給される電力を送信器基板30が受け ってブリッジ回路36などに供給するパッシ 型を採用している。

 図4に基づいて、ブリッジ回路36の端子A-C 一定電圧を供給するしくみを説明する。な 、パッシブ型駆動法については「RFIDハンド ブック(日刊工業新聞)」に詳しく記載されて る。

 電源発信回路101を、送信器基板30に近い 置において、電源発信回路101のアンテナコ ル106と送信器基板30のアンテナコイル35とを 導結合させる。

 そして、電源発信回路101において、交流 源で高周波電圧(13.56MHz)を発生させると、誘 導結合しているアンテナコイル106及びアンテ ナコイル35を介して、当該高周波電圧が受信 路31で受信される。

 受信回路31と、ブリッジ回路36の端子A-Cと の間には、定電圧回路32が介挿されている。

 図4に示している定電圧回路32は、比較的 単な構成の分路調整器であって、整流器と ツェナダイオードZDが発生する電圧をエミ タ接地されたnpnトランジスタのベースに供 する回路とが設けられている。

 受信回路31で受信された高周波は、定電 回路32において整流器で整流されて、ツェナ ダイオードZDとトランジスタによって、端子A -C間に印加される電圧が安定化される。

 図6は、アンテナコイル106とアンテナコイ ル35との結合係数Kとブリッジ回路36の入力端 A-C間に入力される電圧との関係を示す図で る。当図に示されるように、アンテナコイ 同士が誘導結合されていてその結合係数Kが ある程度以上あれば、一定の電圧Vzが入力端 A-C間に印加される。

 なお、この電圧は、A/D変換器33、変調器34 aなどの駆動電源としても用いられる。

 このように送信器基板30では、バッテリ 搭載しなくても、ブリッジ電圧などが供給 れるようになっている。

 3-4 軸力換算回路103に記憶させる対応表の 成(校正)
 図7は、歪データδeと軸力値Pとの対応関係 一例を示す図表である。

 基本的に上記式1,2に示されるように、歪 ータδeとδεとは比例し、また、δεは起歪 21の伸びδlに相当し、このδlはボルト10の軸 Pにほぼ比例するので、歪データ(δe)とボル 10の軸力Pとは図7のようにほぼ比例する。

 ところで、実際には、ボルト10の軸力Pと データδeとの関係は、ロードセル20を装着 たボルト10ごとにばらつきがあるので、ボル ト10ごとに校正を行って、図7に示すような歪 データ値δeと軸力値Pとの対応表を、各ボル 10ごとに作成しておくことが好ましい。

 このような校正は、ロードセル20及び送 器基板30を装着した後に、引張試験機にかけ て引張荷重(ボルト10の軸力)をいろいろ変え がら、歪データ(δe)を測定することによって 行うことができるが、各ロードセル20をボル 10に装着する前に、引張試験による測定を って校正を行なうこともできる。

 ロードセル20の断面積は、ボルト10の断面 積と比べて格段に小さいため、ロードセル20 校正すれば校正時の引張力は小さくて済む 従って校正に用いる引張試験機も小型のも で行なえる。

 なお、各ボルト10ごとに歪み電圧特性に らつきが生じる要因は、各ボルト10に装着さ れる前のロードセル20の特性にばらつきがあ と考えられ、例えば、起歪体21に歪ゲージ22 を貼り付けるときに生じるばらつきによって 、ロードセル20の引張力と歪データの変化δe のばらつきが生じやすいが、ロードセル20 かかる引張力とボルト10の軸力Pとの関係は あまりばらつかない。

 従って、ロードセル20にかかる引張力と ルト10の軸力Pとの変換倍数は、あらかじめ 定して求めておき、各ロードセル20について 引張試験機を用いて校正すれば(引張力と歪 ータの変化δeとの対応表を作成すれば)、各 ルト10にロードセル20を装着した後に校正し なくても、個別に作成したロードセル20にか る引張力と歪データの変化δeとの対応表と ロードセル20にかかる引張力とボルト10の軸 力Pとの変換倍率を乗じることによって、各 ルト10ごとに歪データ値δeと軸力値Pとの対 表を作成することができる。

 以上のようにして各ボルト10ごとに、歪 ータ値δeと軸力値Pとの対応表を作成し、各 ルト10の個体識別コードを付けて軸力換算 路103に記憶させておけば、ボルト10の軸力を 測定しようとするときに、軸力換算回路103は 、記憶されている対応表の中から当該ボルト 10の個体識別コードが付いている対応表を参 することよって、歪信号受信回路102で復調 た歪データから軸力データを算出すること できる。

 4.送信器基板30と受信ユニット100との間のデ ータ転送
 受信ユニット100と送信器基板30との間のデ タ送受信、ならびにICタグリーダ/ライタ110 ICタグ50との間のデータ送信は、RFIDタグで一 般に使われているデジタル変調方式を用いて 行う。

 RFIDタグでは、ASK(Amplitude Shift Keying  振 シフトキーイング)あるいはFSK(周波数シフ キーイング)、PSK(位相シフトキーイング)と った方式が用いられている。この中で、ASK 式は、デジタル信号にもとづいて正弦波の 幅を変える方式であって、復調が容易であ 、RFIDタグなど、近距離の通信に多く用いら ている。本実施形態においてもこのデジタ 変調方式を適用する。

 なお、受信ユニット100-送信器基板30間の ータ送受信と、ICタグリーダ/ライタ110-ICタ 50間のデータ送受信との間で、衝突を防止 る(アンチコリジョン)ため、副搬送波の周波 数を別々に割り当てたり、時分割で動作する ことが好ましい。

 データ送受信の例として、図4を参照しな がら、送信回路34から歪信号受信回路102に歪 ータを送信するしくみを説明する。

 受信ユニット100の電源発信回路101は、上 したように周波数ft(13.56MHz)で交流電磁波を 信する。

 送信器基板30の送信回路34は、変調器34aを 備えている。

 この変調器34aは、受信回路31で受信した 波数ft(13.56MHz)のクロック信号を1/64に分周し 、周波数fs(212kHz)の副搬送波を生成する。さ らに、生成した副搬送波を、A/D変換器33で生 された歪データ(デジタル信号)に基づいてAS K変調する。

 受信回路31においては、このようにASK変 された副搬送波にもとづいて、FETをON-OFFす 。FETをON/OFFするのに伴って、受信回路31に負 荷が組み込まれた状態とそうでない状態とに 切り替わる(受信回路31の負荷が変動する)の 、もとの周波数ft(13.56MHz)の電磁波が負荷変 される。

 このように、稼働周波数ftの電磁波を、 波数fsの副搬送波で負荷変調すると、周波数 ftの波と周波数fsの波とが掛け合わせられる で、周波数(ft+fs)の波と周波数(ft-fs)の波が形 成される。すなわち、周波数ftを中心として 両サイドに対称的に側波帯(サイドバンド) 形成され、上部側波帯の周波数は(ft+fs),下部 側波帯の周波数は(ft-fs)となる。

 歪信号受信回路102では、この2つの側波帯 の中、一方から歪データ(デジタル信号)をと だす。図4に示す例では、歪信号受信回路102 では、受信した電磁波から、バンドパスフィ ルタ102aで稼働搬送波成分などを除去して上 側波帯だけを取り出し、最終的に復調器102b 歪データ(デジタル信号)に復調する。

 5.軸力監視システムの利用形態
 以上説明した軸力監視システムを用いて、 下のようにして、軸力測定用のボルト10を 両などに取り付けておけば、受信ユニット10 0をボルト10から近い位置において、非接触で ボルト10の軸力を測定し、表示部105に表示す ことができる。

 工場で車両を組立てる時に、車両の部分 締結するのに同種のボルトを多数使用する 合、そのすべてに対して軸力測定用のボル 10を用いてもよいが、一部だけに軸力測定 のボルト10を用いてサンプル的に軸力測定す るようにしてもよい。

 軸力測定用のボルト10を締結する現場に 、受信ユニット100を設置しておく。そして 車の組立時に、適正に締め付けられたボル 10の締付け軸力データを測定する。この軸力 データは軸力換算回路103で算出されるが、受 信ユニット100の軸力換算回路103からICタグリ ダ/ライタ110を経由してICタグ50に送られ、 モリ回路53に記録される。

 ICタグリーダ/ライタ110からICタグ50には、 この軸力データ以外に、ボルト10の個体識別 ードや使用部位、組立てした日時などの管 データも、ICタグリーダ/ライタ110から送ら てメモリ回路53に記録される。

 工場から車両が出荷された後には、使用 に渡った車両が一時的に駐停車することが かっている場所、例えば給油所などに、受 ユニット100を設置しておく。

 そうすれば、車両が一時的に駐停車する に、受信ユニット100を用いて、ボルト10に 接触で、その時点のボルト10の軸力を確認す ることができる。

 チェックした結果、ボルト10が弛んでい と判断された場合には、そこでボルト10の増 し締め、並びにボルト10と同種のボルトがあ ばその増し締めを行なう。そして、増し締 たボルト10の軸力値と増し締め日時などをIC タグ50に書き込んで記録内容を更新する。

 ボルト10が外れて紛失していたり折損し りしている場合には、新品のボルト10に交換 して、そのICタグ50に新たな軸力などのデー を記録する。

 7. 本実施形態の軸力監視システムによる効 果
 日常の運行に供されているボルトの軸力を ンマリングのように手作業でチェックする とはそれほど容易ではないため、従来は、 ほどの異常現象が発生していない限りボル の軸力をチェックすることもなく、日常の 行での軸力低下が十分に監視されなかった 、本実施形態にかかる軸力監視システムを いれば、日常の運行に供されているボルト 軸力を容易にチェックできるので、軸力低 を十分に監視することができる。

 また、本実施形態の軸力監視システムを いれば、ハンマリングのように経験や勘に ることがないので、信頼性も格段に向上す 。

 また、測定した結果を締結体に付けたIC グなどに記録しておくこともできる。

 さらに、その時点の軸力を測定するだけ はなく、ICタグに記録されているボルトの 置やボルトサイズ、適正に締め付けた年月 、その時の適正な軸力(締付け力)などの固体 認識情報も同時にICタグから読み込んで比較 ることによって、新たな情報を得ることが きる。たとえば、ボルトの位置と軸力低下 度合いとの関係を調べて、締結される場所 よって軸力低下の傾向があるかどうかなど 把握することもできる。

 このようにきめ細かい軸力管理ができる とによって、ボルトの弛みに起因する事故 未然に防止できる。

 本実施形態の軸力監視システムにおいて 受信ユニット100を軽量でポータブルに作製 れば、列車や航空機に受信ユニット100を搭 するのも容易である。従って、列車や航空 にボルト10を装着しておいて、その駐停車 際や点検整備の際に、搭載している受信ユ ット100でボルト10のチェックをし、各部位の ボルトの弛みを検査することができる。

 本実施形態の締結体ユニット1においては 、ロードセル20をボルト10の挿入孔14に埋め込 んでいるので、歪ゲージをボルト10の挿入孔 直接埋め込むのと比べて、埋め込み作業が 易である。

 また、同じ種類のロードセル20を、さま まな種類、サイズのボルト10に埋め込んで締 結体ユニット1を校正することもできる。そ することで、校正作業に要する手間を簡略 でき、校正に要するコストも軽減できる。

 [実施の形態2]
 図8は、本実施の形態にかかる締結体ユニッ トの構成ならびにその組立方法を示す図であ る。

 ロードセル20の起歪体21は柱状であって、 接合端部21bは円柱状であり、当該接合端部21b の周面に雄ネジ21dが形成されている。一方、 挿入孔14の内面には、この雄ネジ21dが螺合で るように雌ネジ14aが形成されている。

 また、接合端部21aには、挿入孔14よりも の大きい鍔27が固定されている。

 図8(a)に示すように、ロードセル20の上端 頭部28を設けておいて、頭部28の形状に合っ た凹部61を有するレンチ60で締め付ける。な 、頭部28に、十字形状あるいはマイナス形状 の溝を刻んでおいて、ドライバビットで締め 付けてもよいし、鍔部28をチャックで把持し 回転させてもよい。

 締め付けるにつれて、接合端部21bが起歪 21を引っ張る方向に移動して、鍔27が凹部15 底面15aに当接して底面15aから押圧力を受け ので、起歪体21に張力が加わるようになり さらに締め付けると、起歪体21にかかる張力 は増加する。

 従って、この締め付け度合を適度に調整 ることによって、図8(b)に示すようにロード セル20は、起歪体21に適度な張力が加わった 態で固定される。

 なお、あらかじめ、雄ネジ21dあるいは雌 ジ14aに、廻り止め用の接着剤を塗布してお ば、締め付け後にネジの弛みが発生しにく なる。

 本実施形態によれば、上記のように、ロ ドセル20は張力をかけた状態で挿入孔14内に 固定されるので、ボルト10が無負荷(軸力がゼ ロ)のときにもロードセル20には張力かかって いる。従って、ロードセル20とボルト10との に遊びがなく、ボルト10を締付けて軸力が高 くなると同時に歪ゲージ22に伸び歪が加わる すなわち、ボルト10の軸力が確実に歪ゲー 22に伝達される。

 また、ロードセル20をボルト10の挿入孔14 内面に接着剤で固定しただけでは、長期に たって温度変化の影響を受けたり、振動や 撃などの外力を受けると、接着剤の界面が 離してボルト10の軸力が歪ゲージ22に確実に 伝達されなくなる恐れもあるが、本実施形態 では、ロードセル20がボルト10にねじ締めで 定されているので、ボルト10の軸力が歪ゲー ジ22に長期にわたって確実に伝達される。

 <変形例>
 ロードセル20を、無負荷時に張力がかかっ 状態で挿入孔14内に固定する方法として、上 記のようにネジ締めする方法以外に、以下の ような変形例もある。

 図9,図10は、変形例にかかる締結体ユニッ トの組立方法を示す図である。

 図9に示す例では、その(a)に示すように、 ボルト10に形成する挿入孔14を、軸部11の先端 まで貫通させる。一方、ロードセル20の長さ 、貫通孔14に挿入したときに、接合端部21b 先端部が貫通孔14から突出するように長く設 定しておく。

 そして、図9(b)に示すように、挿入孔14を き抜けた接合端部21bの先端部を、チャック7 0で把持して引っ張ることによって、鍔27が凹 部15の底面15aに当接してロードセル20に張力 付与される。その状態で、図9(c)に示すよう 接合端部21bの先端部を軸部11の先端に溶接 れば、ロードセル20は、張力が付与された状 態でボルト10の挿入孔14内に固定され、ボル 10の軸力が歪ゲージ22に長期にわたって確実 伝達される。

 図10に示す例もほぼ同様であるが、接合 部21bの先端部を軸部11の先端に固定するのに 、溶接で固定する代わりに、スナップリング 29で固定する点が異なっている。

 そのために、図10(a)に示すように、あら じめ、接合端部21bの先端部に、スナップリ グ29を填め込むための溝21eを形成しておく。 そして、図10(b),(c)に示すようにロードセル20 挿入孔14に挿入し、貫通させた接合端部21b チャック70で引っ張り、その状態でスナップ リング29を溝21eに填め込んで接合端部21bに固 する。ロードセル20は付与されている張力 伴って収縮しようとするが、填め込まれた ナップリング29は、挿入孔14よりも径が大き ので軸部11の端面に当接し、張力が付与さ た状態が維持される。

 この方法によっても、ロードセル20は、 力が付与された状態でボルト10の挿入孔14内 固定され、ボルト10の軸力が歪ゲージ22に長 期にわたって確実に伝達される。

 なお、接合端部21bの先端部に形成した溝2 1eにスナップリング29を填め込む代わりに、 合端部21bの先端部に雄ネジを形成し、当該 ネジに挿入孔14よりも大径のナットを填め込 んで締め付けることによっても、同様に、ロ ードセル20を、張力が付与された状態でボル 10の挿入孔14内に固定することができる。

 本発明は、ボルトやリベットなど、被締 体を締結した状態で保持する締結体の軸力 監視するのに利用できる。