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Patent Searching and Data


Title:
FERMENTED WHEY PREPARATION AND METHOD FOR PRODUCING SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2010/047230
Kind Code:
A1
Abstract:
A fermented whey preparation is a fermented whey preparation obtained by subjecting an aqueous whey protein solution which has a solid concentration of 11 to 35% by weight and is adjusted to pH 6.5 to 8.0 to high-temperature sterilization, followed by lactic acid fermentation and then homogenization of the thus obtained fermented broth, wherein lactose contained in the aqueous whey protein solution after high-temperature sterilization is enzymatically degraded by lactase before, during, and/or after lactic acid fermentation, thereby enhancing sweet taste.  The fermented whey preparation according to the invention has a favorable flavor with distinct sour taste due to fermentation and natural sweet taste and also has a brisk and refreshing flavor, and further has a velvety and smooth texture.  Further, the fermented whey preparation is excellent in heat resistance and safety.

Inventors:
NAKATANI SANAE (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/067559
Publication Date:
April 29, 2010
Filing Date:
October 08, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MEIJI DAIRIES CORP (JP)
NAKATANI SANAE (JP)
International Classes:
A23C21/02; A23C9/123
Domestic Patent References:
WO2007032459A12007-03-22
WO2008136309A12008-11-13
Foreign References:
JPS6240248A1987-02-21
JP2000032911A2000-02-02
JPH0856568A1996-03-05
JP2008272978A2008-11-13
JPS61170341A1986-08-01
JPS6240248A1987-02-21
JPH0751046A1995-02-28
JPH09238614A1997-09-16
JP3417513B22003-06-16
JP3389377B22003-03-24
Other References:
YASUKAZU KUSAYAMA: "Yogurt Seizo ni Okeru Lactase no Koyo", NEW FOOD INDUSTRY, vol. 28, no. 2, 1986, pages 11 - 15, XP008140469
K.KAILASAPATHY ET AL.: "Effect of partially replacing skim milk powder with whey protein concentrate on the sensory qualities of lactose hydrolysed acidophilus yogurt", MILCHWISSENSCHAFT, vol. 53, no. 7, 1998, pages 385 - 389, XP000785246
W.KRASAEKOOPT ET AL.: "Comparison of texture of yogurt made from conventionally treated milk and UHT milk fortified with lo", JOURNAL OF FOOD SCIENCE, vol. 69, no. 6, 2004, pages E276 - E280, XP008139641
See also references of EP 2351489A4
Attorney, Agent or Firm:
YOSHITAKE Kenji et al. (JP)
Kenji Yoshitake (JP)
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Claims:
 固形分濃度が11~35重量%で、かつ、pHが6.5~8.0に調整された、ホエイタンパク質水溶液を、高温殺菌した後、乳酸発酵させ、得られた発酵液を均質化することによって得られる、発酵ホエイ調製物であって、
 高温殺菌した後のホエイタンパク質水溶液に含まれる乳糖を、乳酸発酵前、乳酸発酵中、および/または乳酸発酵後に、ラクターゼにより酵素分解することによって、甘味が増強されてなる、発酵ホエイ調製物。
 ラクターゼによる乳糖の酵素分解を、乳酸発酵前と乳酸発酵中に行うか、または、乳酸発酵中に行うことによって得られたものである、請求項1に記載の発酵ホエイ調製物。
 乳酸発酵が、乳酸菌または酵母を用いた発酵によって乳酸を生成するものである、請求項1または2に記載のホエイ調製物。
 高温殺菌が、91℃~99℃、5~15分間の条件で行われるか、または、100℃~150℃、1~30秒間の条件で行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の発酵ホエイ調製物。
 ホエイタンパク質水溶液のpHが6.6~7.6に調整されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の発酵ホエイ調製物。
 高温殺菌後の水溶液が凝集物を含む場合、その粒径が2~100μmの大きさであり、かつ、この水溶液をそのまま乳酸発酵工程に付すことを含んでなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の発酵ホエイ調製物。
 請求項1~6のいずれか一項に記載の発酵ホエイ調製物を含んでなる、飲料。
 請求項1~6のいずれか一項に記載の発酵ホエイ調製物へ、飲料用添加成分を加え、これを100℃~150℃、1~30秒間の高温殺菌処理を行うことによって得られる、飲料。
 固形分濃度が11~35重量%で、かつ、pHが6.5~8.0に調整された、ホエイタンパク質水溶液を、高温殺菌した後、乳酸発酵させ、得られた発酵液を均質化することによって発酵ホエイ調製物を得ることを含んでなる、発酵ホエイ調製物の製造方法であって、
 高温殺菌した後のホエイタンパク質水溶液に含まれる乳糖を、乳酸発酵前、乳酸発酵中、および/または乳酸発酵後に、ラクターゼにより酵素分解することによって、甘味を増強することを特徴とする、発酵ホエイ調製物の製造方法。
 ラクターゼによる乳糖の酵素分解を、乳酸発酵前と乳酸発酵中に行うか、または、乳酸発酵中に行う、請求項9に記載の方法。
 発酵時間を調節することによって、乳酸発酵により生ずる酸味と、ラクターゼによる酵素分解により生ずる甘味とをそれぞれ調整し、ホエイ調製物全体の風味を調整することを含んでなる、請求項10に記載の方法。
 乳酸発酵が、乳酸菌または酵母を用いた発酵によって乳酸を生成するものである、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
 高温殺菌を、91℃~99℃、5~15分間の条件で行うか、または、100℃~150℃、1~30秒間の条件で行う、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
 ホエイタンパク質水溶液のpHが6.6~7.6に調整されている請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
 高温殺菌後の水溶液が凝集物を含む場合、その粒径が2~100μmの大きさであり、かつ、この水溶液をそのまま乳酸発酵工程に付すことを含んでなる、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
 請求項9~15のいずれか一項に記載の方法により得られた発酵ホエイ調製物へ、飲料用添加成分を加えて、これを100℃~150℃、1~30秒間で高温殺菌処理を行い、飲料を得ることを含んでなる、飲料の製造方法。
Description:
発酵ホエイ調製物およびその製 法 関連出願の参照

 本願は、先行する日本国特許出願である 願2008-272978号(出願日:2008年10月23日)に基づく ものであって、その優先権の利益を主張する ものであり、その開示内容全体は参照するこ とにより、ここに組み込まれる。

発明の背景

発明の分野
 本発明は、発酵による独特の酸味と自然な 味とが付与された発酵ホエイ調製物であっ 、スッキリとした爽やかな風味と、良好な 感を有する発酵ホエイ調製物、およびその 造法に関する。本発明はまた、そのような エイ調製物を含む飲料およびその製造法に する。

背景技術
 チーズ等の製造時に副生するホエイは、各 の必須アミノ酸、タンパク質、ビタミン類 糖類を多量に含んでおり、栄養価の高いこ が知られている。一方で、ホエイは、単に 燥させただけでは風味が悪く、そのままで 食用としては不十分である。そこで、従来 ホエイの栄養価を利用する食品の製造が種 試みられてきた。

 例えば、ホエイタンパク質の水溶液を利 して、これを飲料とすることが試みられて る。ところが、ホエイタンパク質水溶液を 温殺菌すると、タンパク質が加熱凝集して 品質が著しく劣化してしまう。例えば、ホ イタンパク質水溶液を10重量%以上の高濃度 調製してから、pHを6.5以下の弱酸性にした 、90℃以上で高温殺菌すると、巨大な凝集物 が生じてしまう。このため、商業規模の大量 生産では、タンクや配管で凝集物を十分に分 散できず、タンク、配管、バルブへの付着や 沈着が著しくなるため、汚染の原因になり得 る。また、ホエイタンパク質水溶液のpHを6.0 下にしてから発酵させると、乳酸菌や酵母 どの機能が発揮されにくくなり、発酵によ 独特で良好な風味を得ることは難しかった

 例えば、特開昭61-170341号公報は、ホエイ発 飲料の製造方法に関する。特開昭62-040248号 報は、ホエイサワーベースの製造法に関す 。また、特公平07-051046号公報は発酵ホエイ 末の製造法に関する(これら公報は、いずれ も本出願人による出願である)。
 これら公報には、ホエイ水溶液の固形分濃 を2~20重量%程度(すなわち、ホエイタンパク の濃度を1~13重量%程度)に調整し、例えば90 、10分間の様な比較的低温条件で殺菌した後 に、乳酸菌で発酵させて、発酵ホエイ調製物 を製造することが開示されている。これらで は比較的低温条件での殺菌(低温殺菌)を必須 している。これは、この条件よりも高温条 であると、タンパク質の熱変性(熱凝固)に る凝集物が生じて、製品の品質上、望まし ないと考えられるからである。また、低温 菌は殺菌効率として、必ずしも満足のいく のとは言えなかった。

 特開平09-238614号公報(特許第3417513号公報)は ホエイの調製方法に関するものであり、こ には、ホエイ水溶液の固形分濃度を0.1~10重 %程度(すなわち、ホエイタンパク質の濃度 0.5~1.2重量%程度)、pHを5.5~6.5に調整した後に 例えば120℃、2秒間の様な90℃以上の高温条 で殺菌(高温殺菌)して、ホエイタンパク質を ミセル(粒径が20~600μmのコロイド状の粒子)化 せ、熱安定性の優れた白色ホエイ調製物を 造することが開示されている。ここでは、 にホエイ水溶液の固形分濃度を10重量%以下( すなわち、ホエイタンパク質の濃度を1.2重量 %以下)とし、かつ、pHを5.5~6.5の弱酸性とする とを必須としている。これら条件は、ホエ タンパク質のミセル化と、白色ホエイを得 上で必要であるとされている。
 したがって、ここでは、ホエイ水溶液の固 分濃度を10重量%より大きくしたり、pHを6.5 り大きくしたりする場合については想定さ ておらず、当然ながら、このような場合に 好な熱安定性を確保する方法は示唆されて ない。また、乳酸菌や酵母等で発酵させる とも、ここでは想定されていない。

 乳酸発酵を行う際に、乳糖の分解を行う とに関しては、例えば、特許第3389377号公報 に、乳糖を分解した発酵乳の製造方法が開示 されている。しかしながら、ここでは、原料 として乳自体を使用しており、本発明のよう にホエイタンパク質水溶液を使用するもので はなく、また、得られた発酵物の風味、物性 、食感などについては、それらの改善につい て全く考慮されておらず、本発明のものとは 異なるものである。

 本発明者らは今般、固形分濃度が11~35重量% 、かつ、pHが6.5~8.0に調整された、ホエイタ パク質水溶液を高温殺菌したところ、凝集 を含む水溶液が得られたが、これをそのま 乳酸発酵させて、得られた発酵液を均質化 ると、予想外にも、従来にない優れた風味 食感を併せもつ、良好な発酵ホエイ調製物 得ることができた。
このとき、乳酸菌を用いて乳酸発酵する場合 だけでなく、酵母を用いて乳酸発酵を行って も同様に良好はホエイ調製物を得ることがで きた。さらに、乳酸発酵を行う前、乳酸発酵 を行っている際中、または乳酸発酵を行った 後に、高温殺菌した後のホエイタンパク質水 溶液へラクターゼを加えることによって、乳 酸発酵中もしくはそれと前後して、該水溶液 中の乳糖(ラクトース)をグルコースとガラク ースとに酵素分解することを試みたところ 酵素反応が乳酸発酵を阻害するような傾向 見られず、得られた発酵ホエイ調製物は、 酵による独特の酸味と自然な甘味とが付与 れた、従来にない、発酵物には珍しい、ス キリとして爽やかな風味のものとすること でき、発酵ホエイ調製物の風味のさらなる 善に成功した。この風味は、酵素(ラクター ゼ)による乳糖分解を行わない場合に比べて 自然な甘味が強調されており、そのような 味と発酵による酸味との優れたバランスに って、発酵ホエイ調製物はさらに良好な風 を呈していた。また、得られた発酵ホエイ 製物は、舌触りが滑らかで好適な粘性もあ ながら、熱安定性にも優れるものであった また、この発酵ホエイ調製物は、高温殺菌 理を経るため、高温菌等の雑菌を含まずに 生面でも優れたものであった。さらに、こ 発酵ホエイ調製物を果汁系の飲料等の原料 して用いて、飲料を調製すると、風味と物 の優れた飲料を得ることができた。本発明 、このような知見に基づくものである。

 よって、本発明は、発酵による独特の酸 と自然な甘味とが付与された良好な風味で ると同時に、スッキリとした爽やかな風味 持ち、かつ、舌触りが滑らかな食感を持ち さらに、熱安定性と安全性にも優れる発酵 エイ調製物を提供することをその目的とす 。また本発明は、そのような発酵ホエイ調 物の製造法を提供することをその目的とす 。

 本発明による発酵ホエイ調製物は、固形 濃度が11~35重量%で、かつ、pHが6.5~8.0に調整 れた、ホエイタンパク質水溶液を、高温殺 した後、乳酸発酵させ、得られた発酵液を 質化することによって得られる、発酵ホエ 調製物であって、高温殺菌した後のホエイ ンパク質水溶液に含まれる乳糖を、乳酸発 前、乳酸発酵中、および/または乳酸発酵後 に、ラクターゼにより酵素分解することによ って、甘味が増強されてなるものである。

 本発明の好ましい態様によれば、発酵ホ イ調製物は、ラクターゼによる乳糖の酵素 解を、乳酸発酵前と乳酸発酵中に行うか、 たは、乳酸発酵中に行うことによって得ら たものである。

 また本発明において、典型的には、ホエ タンパク質水溶液を乳酸発酵させる際、乳 発酵は、乳酸菌または酵母を用いた発酵に って乳酸を生成するものである。

 本発明の好ましい態様によれば、高温殺 は、91℃~99℃、5~15分間の条件で行われるか または、100℃~150℃、1~30秒間の条件で行わ る。

 本発明のさらに別の好ましい態様によれ 、前記ホエイタンパク質水溶液のpHは6.6~7.6 調整されてなる。

 また前記工程において、高温殺菌後の水 液が凝集物を含む場合、その粒径は2~100μm 大きさであり、かつ、この水溶液をそのま 乳酸発酵工程に付すことを含んでなる。

 本発明による飲料は、本発明による発酵ホ イ調製物を含んでなる。
 好ましくは、本発明による飲料は、本発明 よる発酵ホエイ調製物へ、飲料用の添加成 を加え、これを100℃~150℃、1~30秒間の高温 菌処理を行うことによって得られる。

 本発明による発酵ホエイ調製物の製造方 は、固形分濃度が11~35重量%で、かつ、pHが6. 5~8.0に調整された、ホエイタンパク質水溶液 、高温殺菌した後、乳酸発酵させ、得られ 発酵液を均質化することによって発酵ホエ 調製物を得ることを含んでなる方法であっ 、高温殺菌した後のホエイタンパク質水溶 に含まれる乳糖を、乳酸発酵前、乳酸発酵 、および/または乳酸発酵後に、ラクターゼ により酵素分解することによって、甘味を増 強することを特徴とする。ここで好ましくは 、この製造方法は、ラクターゼによる乳糖の 酵素分解を、乳酸発酵前と乳酸発酵中に行う か、または、乳酸発酵中に行う。また、より 好ましくは、この製造方法は、発酵時間を調 節することによって、乳酸発酵により生ずる 酸味と、ラクターゼによる酵素分解により生 ずる甘味とをそれぞれ調整し、ホエイ調製物 全体の風味を調整することを含んでなる。

 本発明の一つの好ましい態様によれば、 記製造方法において、好ましくは、高温殺 を91℃~99℃、5~15分間で行うか、または、高 殺菌を100℃~150℃、1~30秒間で行う。また好 しくは、高温殺菌するホエイタンパク質水 液はpH6.6~7.6に調整されている。

 また該方法は、好ましくは、高温殺菌後 水溶液が凝集物を含む場合、その粒径が2~10 0μmの大きさであり、かつ、この水溶液をそ まま乳酸発酵工程に付すことを含んでなる

 本発明の好ましい態様によれば、本発明 よる飲料の製造方法は、前記で得られた発 ホエイ調製物へ、飲料用の添加成分を加え 、これを100℃~150℃、1~30秒間で高温殺菌処 を行い、飲料を得ることを含んでなる。

 本発明は、従来、タンパク質の熱変性に る凝集物が生じるとして避けられていた条 で殺菌した後、凝集物を含んだまま、乳酸 酵を行い、さらに均質化を行うことによっ 、従来にない風味と食感、熱安定性を持ち さらに安全性においても優れた発酵ホエイ 製物およびそれによる飲料を得ることがで る。本発明による発酵ホエイ調製物は、乳 の分解に伴う自然な甘味が強調され、前記 たように、発酵による独特の酸味と自然な 味とが付与された良好な風味であると同時 、スッキリとした爽やかな風味を持ち、か 、舌触りが滑らかな食感を持つものであり さらに熱安定性と安全性にも優れたもので る。これは、ホエイに由来する原料、調製 や飲料等としては、従来にない物性(食感) 風味(濃厚感)を持つものと言える。さらに本 発明では、乳酸発酵を、ラクターゼ酵素の至 適温度(例えば40℃)の近傍で実施できるため 乳酸発酵と酵素反応を同時に実施すること 可能であり、その結果、発酵ホエイ調製物 商業規模の生産に適した条件にて、より効 的な生産が可能である。また本発明におい は、酵素反応が乳酸発酵を阻害しないこと 確認しているため、乳酸菌の優位下で高温 などの雑菌の増殖を抑制しながら、酵素反 と乳酸発酵の双方を衛生的に実施すること できる。以上のような性質をもつ発酵ホエ 調製物およびそれを含む飲料は、従来の製 に対して有利に差別化可能であり、商品価 の高いものであると言える。

本発明による発酵ホエイ調製物の製造 程の例を示す。 本発明による飲料の製造工程の例を示 。

発明の具体的説明

発酵ホエイ調製物
 本発明による発酵ホエイ調製物は、前記し ように、固形分濃度が11~35重量%で、かつ、p Hが6.5~8.0に調整された、ホエイタンパク質水 液を、高温殺菌した後、乳酸発酵させ、得 れた発酵液を均質化することによって得ら る、発酵ホエイ調製物であって、高温殺菌 た後のホエイタンパク質水溶液中に含まれ 乳糖を、乳酸発酵前、乳酸発酵中、および/ または乳酸発酵後に、ラクターゼにより酵素 分解することによって、甘味が増強されてな るものである。

 本発明者らの知る限り、従来、ホエイタ パク質水溶液の固形分濃度を10重量%より高 してから、90℃よりも高温で殺菌した後に 乳酸菌もしくは酵母で発酵させて、発酵ホ イ調製物を製造した例は、ほとんど報告さ ていない。これは、ホエイタンパク質水溶 を、例えば超高温(UHT)殺菌すると、ホエイタ ンパク質が加熱凝集し、品質が著しく劣化す るからであると考えられる。例えばホエイタ ンパク質水溶液を高濃度に調製してから、pH 6.5以下の弱酸性にして、90℃よりも高温で 菌すると、巨大な凝集物が生成してしまう

 このため、商業規模の大量生産では、タ クや配管等で凝集物を分散させにくくなり また、タンク、配管、バルブへの付着や沈 が著しくなり、汚染の原因にもなる。従来 、凝集物の生成を回避する一方、もし凝集 が生じたとしても均質化等の処理を行った 、発酵工程に付すのが通常であった。また ホエイタンパク質水溶液のpHを6.5以下の弱 性にして発酵させると、乳酸菌の機能が発 されにくくなり、発酵が進行しにくくなる め、発酵による独特で良好な風味を得にく なる場合がある。一方で、ホエイタンパク 水溶液のpHが8.0より大きいと、アルカリ性に 由来する風味が強すぎるため、飲料の原料と して好ましくない風味となることがある。

 本発明による発酵ホエイ調製物の製造工 について説明する。なお、製造工程の工程 の例として、図1のものを挙げることができ る。

 本発明において、ホエイタンパク質とは ホエイの原液や濃縮液、ホエイ粉等の還元 液を含む意味である。使用可能なホエイタ パク質としては、ホエイタンパク濃縮物(WPC (Whey Protein Concentrate))、ホエイタンパク分離 (WPI(Whey Protein Isolate))、甘性ホエイ粉、脱 ホエイ粉、および、脱脂粉乳などが包含さ 、これらは組み合わせて使用しても良い。 た、これらは市販品を使用しても良い。ホ イの主要な成分組成は、典型例を挙げると WPCでは、例えば、固形分が95.5%であり、この とき、タンパク質が76.0%、乳糖が12.0%、灰分 2.5%である。WPIでは、例えば、固形分が94.1% あり、このとき、タンパク質が90.0%、乳糖が 1.7%、灰分が1.8%である。また、甘性ホエイ粉 は、例えば、固形分が97.0%であり、このと 、タンパク質が12.0%、乳糖75.5%、灰分8.5%であ る。脱塩ホエイ粉では、例えば、固形分が98. 1%であり、このとき、タンパク質が11.8%、乳 が79.7%、灰分が5.6%である。そして、脱脂粉 では、例えば、固形分が95.5%であり、このと き、タンパク質が34.0%、乳糖53.5%、灰分8.0%で る。

 なおタンパク質の量(濃度)は、必要であ ば、例えば、ケルダール法、ローリー法な のような慣用の方法・装置により容易に測 することができる。

 使用するホエイタンパク質は、好ましく 、WPC、甘性ホエイ粉、脱塩ホエイ粉、また 、これらの混合物であり、より好ましくは 甘性ホエイ粉とWPCとの混合物である。この うな混合物を使用する場合、好ましくはそ 混合比(重量基準)は、1:2~2:1であり、より好 しくは、1:1~2:1である。

 使用するホエイタンパク質水溶液におい 、固形分濃度は、好ましくは、11~35重量%、 り好ましくは、13~30重量%、さらに好ましく 、15~25重量%に調整する。このとき、ホエイ ンパク質の濃度は、好ましくは、1.3~4.5重量 %、より好ましくは、1.5~4重量%、さらに好ま くは、1.7~3重量%である。このような範囲で ることは、ホエイタンパク質を変性させて 適度な粒径の凝集物を形成させる観点から ましい。

 ホエイタンパク質を水へ溶解させる場合 必要により温度を40~60℃程度にし、さらに 解機として、パワーブレンダー、ホモミキ ー、高速攪拌機等を必要により使用しても い。

 通常の乳性飲料等において、固形分濃度 5~15重量%程度とすることが多い。これは、 造工程での付着等の問題の回避や、風味や 感等の観点を考慮したものである。本発明 おいては、ホエイタンパク質水溶液の固形 濃度を高め、乳成分を高濃度にして、乳酸 もしくは酵母で発酵させることにより、発 による独特で良好な風味を強くすることが きた。このとき、過大な凝集物の生成を防 することも、実際の製品での製造特性の観 から重要となるが、本発明では、凝集物の きさを適度な大きさに抑え、凝集物をその ま利用することによって、良好な風味のホ イ発酵調製物を得ることに成功したのであ 。

 なお、本発明において、水溶液中の固形 濃度は、例えば、簡易水分測定法、混砂法 どのような慣用の方法・装置により容易に めることができる。

 使用するホエイタンパク質水溶液は、また 高温殺菌処理前に、pHを6.5~8.0、好ましくは6 .6~7.8、より好ましくは6.6~7.6、さらに好まし は6.8~7.4、さらにより好ましくは6.8~7.2、最も 好ましくは約7.0に調整する。
 ここで、pH調整は好ましくは、pH調整剤を使 用して行う。ここで、使用可能なpH調整剤は 上記の領域にpHを調整でき、かつ、食品と て使用可能な安全性を有するものであれば に限定されないが、典型的には、水酸化ナ リウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリ ムおよび炭酸ナトリウムからなる群より選 される。そして、これらは組み合わせて使 しても良い。本発明の好ましい態様によれ 、pH調整剤は水酸化ナトリウムである。

 pH調整剤を使用する場合、その使用量は 使用するpH調整剤の種類、上昇させようとす る目標pH値、添加する水溶液の状態(例えば、 その温度、pH等)等に応じて適宜変更すること ができるが、例えばpH調整剤として水酸化ナ リウムを使用する場合、その使用量を濃度 して定義すると、典型的には0.01~0.5重量%、 ましくは0.01~0.3重量%である。

 本発明においては、まず、固形分濃度が1 1~35重量%で、かつ、pHが6.5~8.0に調整された、 エイタンパク質水溶液を、高温殺菌処理に す。ここで、高温殺菌処理における加熱条 は、通常の殺菌処理条件に相当するもので る。通常、乳やホエイを含む飲料は、製品 して出荷する前に、各種方法により殺菌処 が行われるが、ここでいう高温の加熱殺菌 件は、このような通常の殺菌処理の一態様 されている条件を意味する。したがって、 発明における高温殺菌処理の加熱条件は、 料や食品の分野において慣用の加熱殺菌処 条件であれば特に制限なく使用することが きるが、本発明においては、特に90℃を越 た加熱条件を使用する。この条件はタンパ 質の熱変性を生じうる条件である。高温殺 すると、高温菌等の雑菌を充分に死滅させ ことができるため、衛生面が改善され、後 程の発酵での汚染等を抑制しやすくなる。

 本発明の好ましい態様によれば、高温殺菌 理は、例えば91℃~99℃で、約5~15分間、好ま くは、92~98℃で、約7~13分間、より好ましく 、93~97℃で、約8~12分間、特に好ましくは約9 5℃で約10分間である。別の好ましい態様によ れば、高温殺菌処理は、例えば100℃~150℃で 約1~30秒間、好ましくは、110~140℃で、約1~20 間、より好ましくは、115~135℃で、約1~10秒間 、さらに好ましくは、120~130℃で、約1~5秒間 あり、特に好ましくは約120℃で約3秒間であ 。高温殺菌の後、必要により、処理した水 液を冷却する。
 冷却する温度は、次の発酵工程での発酵温 に基づいて設定することができ、例えば30~5 0℃程度である。

 また、この高温殺菌処理の際、水溶液に圧 をさらに負荷しても良い。通常、加熱殺菌 理を行う場合、水溶液の沸騰を防止するこ 等を目的として、例えば、殺菌圧力を1~10kg/ cm 2 程度とする。本発明における殺菌処理では、 加熱に加えて、このような圧力を加えても良 い。そして、高温殺菌処理する装置は、例え ばプレート式熱交換器、チューブ式熱交換器 、スチームインジェクション式殺菌機、スチ ームインフュージョン式殺菌機、通電加熱式 殺菌機などがある。

 本発明においては、このような高温殺菌処 を行うと、得られる水溶液は、凝集物を含 。この凝集物の粒径は巨大ではなく、直ぐ は沈殿しない適度な寸法である。典型的に 水溶液に粒径が1~100μmの範囲、好ましくは 2~80μm、より好ましくは、4~60μm、さらに好ま しくは、5~50μmの大きさの凝集物を含むこと できる。
 このように凝集物は、直ぐには沈殿しない うな寸法であるため、そのまま、ここに乳 菌もしくは酵母を加えて、次の乳酸発酵処 に付すことができる。
 なお、凝集物の粒径は、レーザー回折式粒 分布測定装置SALD-2100(株式会社島津製作所製 )などを利用することにより測定することが きる。

 本発明において、乳酸発酵とは、ホエイ ンパク質水溶液を、所定の微生物を用い、 述するような所定の発酵条件にて発酵させ 有機酸(乳酸、コハク酸、リンゴ酸など)、 に乳酸を生成するものをいう。乳酸発酵に 用できる微生物としては、乳酸菌または酵 のいずれかを使用することが好ましい。本 明の乳酸発酵において、有機酸、特に乳酸 発酵に生成しているかどうか、およびその 度については、対象とする溶液の酸度(%)を 定することにより確認することができる。

 ここで、「酸度」は、牛乳関係法令集(乳 業団体衛生連絡協議会(日本)、平成16年(2004年 )3月)第56頁の「5 乳及び乳製品の酸度の測定 」に従って求めることができる。具体的に 、試料10mlに、同量の炭酸ガスを含まない水 を加えて希釈し、指示薬としてフェノールフ タレイン液0.5mlを加えて、0.1mol/L水酸化ナト ウム溶液で30秒間、微紅色の消失しない点を 限度として滴定し、その滴定量から試料100g たりの乳酸のパーセント量を求め、これを 度(%)とする。乳酸の酸度を求める場合、特 これを「乳酸酸度」(%)という。なお、0.1mol/L 水酸化ナトリウム溶液1mlは、乳酸9mgに相当す る。指示薬は、フェノールフタレイン1gを50% タノールに溶かして100mlとする。

 ここで使用可能な乳酸菌としては、ホエイ 酵に使用可能なものであれば特に制限はな 、例えば、ラクトバチルス( Lactobacillus )属、ストレプトコッカス( Streptococcus )属、ビフィドバクテリウム( Bifidobacterium )属等が使用でき、具体例としては、乳酸菌 ラクトバチルス・ブルガリカス( Lactobacillus   bulgaricus )、ストレプトコッカス・サーモフィルス( Streptococcus   thermophilus )等が挙げられる。

 また、ここで使用可能な酵母としては、ホ イ発酵に使用可能なものであれば特に制限 なく、例えば、カンジダ( Candida )属、クルベロミセス( Kluveromyces )属等が使用でき、具体例としては、酵母株 カンジダ・ケフィア( Candida   Kefyr )、クルベロミセス・マルキシアヌス( Kluyveromyces   Marxianus )等が挙げられる。

 このように、本発明においては、乳酸菌 用いて乳酸発酵を行う場合の他に、酵母を いて乳酸発酵を行うことができる。酵母を って乳酸発酵を行うことで、乳酸菌を使用 る場合と異なる風味を得ることができ、良 で多様なホエイ調製物を得ることが可能と る。本発明においては、必要に応じて、乳 菌を使用して乳酸発酵させて得られた発酵 (もしくはホエイ調製物)と、酵母を使用し 得られた発酵液(もしくはホエイ調製物)とを 混合して使用しても良い。

 添加する菌量(スターターとしての量)とし は、例えば、水溶液中の乳酸菌(もしくは酵 )の濃度が10 9 cfu/mL程度となるような量であり、好ましくは 、殺菌後のホエイタンパク質水溶液の重量に 対して0.1~3重量%程度の量であり、具体例を挙 げれば2重量%である。

 乳酸菌による発酵の条件としては、例え 、30~50℃、1~40時間であり、好ましくは、35~4 5℃、2~20時間であり、より好ましくは、37~43 、3~10時間である。

 酵母による発酵の条件としては、例えば 20~40℃、1~72時間であり、好ましくは、25~35 、12~60時間であり、より好ましくは、27~33℃ 24~48時間である。

 本発明においては、乳酸発酵の実施に加 て、高温殺菌した後のホエイタンパク質水 液に含まれる乳糖(ラクトース)を、乳酸発 前、乳酸発酵中、および/または乳酸発酵後 、酵素(ラクターゼ)により酵素分解して、 ルコースとガラクトースとにすることによ て、発酵ホエイ調製物に、乳糖分解に伴う 味を増強する。

 ここで使用するラクターゼは、ホエイタ パク質水溶液に含まれる乳糖をグルコース ガラクトースとに分解することができるも であれば特に制限はなく、例えば、細菌も くは酵母由来のものが使用可能である。本 明で使用可能なラクターゼの至適pHは、例 ば5.5~7.5の範囲とすることができ、また至適 度は、25~50℃とすることができる。

 本発明においては、酵素反応は、通常、 エイタンパク質水溶液の乳酸発酵の発酵処 に伴って進行させるのが望ましく、乳酸発 における発酵条件にて、酵素反応が進行し るように、ラクターゼを選択することが望 しい。必要であれば、乳酸発酵処理と別途 、酵素反応を進行させるための酵素処理工 を設けても良いが、工程の簡素化等の観点 ら、乳酸発酵と同じ条件またはその直前や 後の条件にて、ラクターゼによる酵素反応 進行することが望ましい。

 このため、本発明で実施する乳酸発酵を う発酵温度と同等の温度に至適温度を有し かつ高温殺菌後のホエイタンパク質水溶液 取り得るpHを包含する至適pHを有する、ラク ターゼを選択することが望ましい。したがっ て、ホエイタンパク質水溶液は高温殺菌した 後であって、乳酸発酵を行う最中、もしくは その前後である場合を考慮すると、使用する ラクターゼの至適pHおよび至適温度はそれぞ 6.0~7.0、35~45℃であることが好ましい。

 本発明で使用可能なラクターゼの由来とし は、例えば、 Kluyveromyces   Lacits Kluveromyces   Fragilis Aspergillus niger Aspergillus   oryzae 等が挙げられる。

 さらに本発明の別のより好ましい態様によ ば、乳糖分解に使用するラクターゼをpH5.0~5 .5付近かそれ以下にて失活する性質を有して るものとすることができる。
 このようなpHに応じて失活する性質を有す ラクターゼを使用すると、乳酸発酵の進行 伴い、ホエイタンパク質水溶液のpHは次第に 低下するため、ある程度まで乳酸発酵が進行 した段階で自動的に酵素が失活し、その結果 として酵素反応を停止させることが可能とな る。すなわち、酵素の使用量と、乳酸発酵の 発酵時間を調節するのみで、乳酸発酵と、酵 素反応の進行および停止を調節することが可 能となる。このようにpH値によって、失活し るラクターゼ(酵素)は、例えば市販のもの 入手して利用することができる。

 ラクターゼを、高温殺菌されたホエイタ パク質水溶液に加える時期は、高温殺菌し 後であって、発酵ホエイ調製物の製造を完 する前であれば、いずれであっても良い。 たがって、例えば、高温殺菌した後にホエ タンパク質水溶液が適度に冷却された段階 あって、乳酸発酵前の段階で、ラクターゼ ホエイタンパク質水溶液に加えても良い。 の場合、ラクターゼの投入直後から乳酸発 が開始される前までの間に、乳糖分解を伴 酵素反応を進行させることができ、さらに 酸発酵が開始された後にも、酵素反応を進 させることができる。

 また、例えば、乳酸発酵の開始と同時、 たはその直前もしくは直後で、換言すると スターターである乳酸菌の投入と同時、ま はその投入の直前もしくは直後に、ラクタ ゼをホエイタンパク質水溶液に投入しても い。さらには、乳酸菌の投入後であって乳 発酵の終了前までに、ラクターゼをホエイ ンパク質水溶液に投入しても良い。これら 場合、乳酸発酵と平行して、ホエイタンパ 質水溶液に含まれる乳糖を酵素反応により 解することができる。

 このように、本発明においては、乳酸発 前の段階、スターターである乳酸菌の投入 同時、またはその投入の直前もしくは直後 さらには、乳酸菌の投入後であって乳酸発 の終了前までに、ラクターゼをホエイタン ク質水溶液に投入することができるが、こ らのいずれの時期にラクターゼを投入する については、所望する酵素分解の程度、酵 の投入量、希望する酵素反応時間等を考慮 て適宜、選択することができる。よって、 発明の一つの好ましい態様によれば、ラク ーゼによる乳糖の酵素分解を、乳酸発酵前 乳酸発酵中に行うか、または、乳酸発酵中 行うことができる。

 本発明においては、乳酸発酵後にラクタ ゼをホエイタンパク質水溶液に添加するこ も可能である。この場合、乳酸発酵工程の にラクターゼを加えて、乳酸発酵の発酵工 とは別に、酵素反応を進行させる酵素反応 程を設けることが望ましい。酵素反応工程 、乳酸発酵の工程の直後であっても良いが 例えば、ホエイタンパク質水溶液の均質化 理後に設けても良い。酵素反応工程は、必 に応じて、この工程の開始に際して、水溶 のpHおよび反応温度を、ラクターゼの至適pH および至適温度の条件を考慮して、さらに適 宜、調節しても良い。

 本発明において、ラクターゼの使用量は 例えば10,000~100,000IU/g、好ましくは30,000~70,000 IU/g、より好ましくは40,000~60,000IU/gである。

 本発明の一つの好ましい態様によれば、 クターゼによる乳糖の酵素分解を、乳酸発 前と乳酸発酵中に行うか、または、乳酸発 中に行う場合、発酵時間を調節することに って、乳酸発酵により生ずる酸味と、ラク ーゼによる酵素分解により生ずる甘味とを れぞれ調整し、ホエイ調製物全体の風味を 整することができる。すなわち、乳酸発酵 時間が短すぎると、発酵自体も十分でなく また酵素反応の進行も不十分となり、一方 乳酸発酵の時間が長すぎると、酵素反応に して乳酸発酵を進行しすぎることとなり、 酸による酸味が強くなりすぎてしまう。こ ため、乳酸発酵時間は、乳酸発酵により生 る酸味と、ラクターゼによる酵素分解によ 生ずる甘味とが適度なバランスに維持され よう設定することが望ましい。

 酵素反応に関しては、反応終了後、必要 応じて、酵素を失活させる失活処理(例えば 加熱処理)工程を、さらに設けて処理を行っ も良い。

 本発明においては、乳酸発酵した後、得 れた発酵液に対して均質化処理を行う。こ により、発酵液に含まれる凝集物を微粒化 ることができる。また、発酵液を均質化す 場合、そこに含まれる乳酸菌(もしくは酵母 )および代謝産物を含んだまま行う。すなわ 、発酵液をそのまま均質化する。そのまま 質化することは、発酵液に適度な粘度(粘性) と安定性、つまり、優れた食感や風味と安定 した保存性を付与する観点で重要である。

 発酵液の粘度としては、例えば、10~300cp あり、好ましくは、15~250cpであり、より好ま しくは、20~200cpである。本発明の発酵液を用 て飲料を調製すると、その発酵液の粘度の 響を受けて、その飲料へ適度な粘度を付与 きることになる。なお、発酵液や飲料の粘 が高すぎると、実際の製造において、その 扱いが困難となる場合があるので、必要で れば、製造工程等の取扱い性を考慮して発 液の製造条件を変更したり、得られた後に 酵液の粘度を調整したりしてもよい。

 均質化処理は、例えばホモジナイザーを 用する場合、例えば10~60℃程度にして約10~50 MPa、約100~1000L/h程度の条件、好ましくは、12~2 5MPaの条件にて行うことができる。また、必 であれば、条件を変えて複数回で行っても い。均質化処理の具体例として、20℃程度に して、第一段目を8MPaで行い、第二段目を4MPa 行う条件が挙げられる。

飲料
 本発明の別の態様によれば、本発明による 酵ホエイ調製物を含んでなる飲料が提供さ る。したがって、本発明による発酵ホエイ 製物へ、任意に添加成分を加えることによ て所望の飲料を製造しても良い。

 本発明による飲料の製造工程の工程図の として、図2のものを挙げることができる。

 具体的に説明すると、原料となる水(例え ば、脱イオン水)に、安定剤を含む飲料用の 加成分を溶解させ、これを前記発酵ホエイ 製物と混合する。混合した後、必要により さらに乳化処理を行い、高温殺菌処理に付 。このときの条件は、飲料等に慣用的に適 される高温殺菌条件であり、例えば100~150℃ 約1~30秒間の条件にて行われる。

 したがって、本発明の別の好ましい態様 よれば、この飲料は、本発明による発酵ホ イ調製物へ、さらに飲料用添加成分を加え 、これを100~150℃、約1~30秒間で高温殺菌す ことによって得られる。

 本発明の好ましい態様によれば、飲料製 工程での高温殺菌処理は、当業者に周知の 用の加熱条件であることができ、好ましく 、110~140℃、約1~20秒間の加熱により行われ 。このとき、より好ましくは、115~135℃、約1 ~10秒間であり、さらに好ましくは、120~130℃ 1~5秒間であり、特に好ましくは120℃、約3秒 である。

 また、本発明による飲料製造において、 用可能な添加成分(飲料用添加成分)として 、飲料用の添加成分として慣用されている のであれば特に制限はない。このような成 としては、例えば、ペクチン、大豆多糖類 CMC(カルボキシメチルセルロース)などのよう な安定剤、砂糖、グラニュー糖、液糖(例え 、ブドウ糖果糖液糖)、カゼイン、結晶セル ース、プロテアーゼ類、香料(例えば、オレ ンジフレーバー、アップルフレーバー、ヨー グルトフレーバー)、果汁(例えば、リンゴ果 )、果物もしくはピューレ類(例えば、リン ピューレ)、酸味料(例えば、クエン酸)等が げられる。

 添加成分の使用量は、例えば、発酵ホエ 調製物に対して、砂糖や果汁等では、20~40 量%程度であり、香料や酸味料等では、数重 %程度である。この程度の量であると、発酵 ホエイ調製物の本来の風味や食感を維持した 飲料を調製する上で有利である。

 殺菌処理した後、得られた飲料に、必要 より、さらに均質化処理を施しても良い。 えば、80~85℃、25MPa(第一段目:20MPa、第二段 :5MPa)の条件にて、ホモゲナイザーを使用し 均質化処理を施しても良い。

 その後、必要により、冷却工程(例えば、 25℃程度に冷却)を経て、本発明による飲料を 得ることができる。

 本発明に従い得られた飲料は、風味等に れた飲料であり、粒度が例えば0.5~5μm程度 粒子を含んでいても良い。また、本発明に る飲料は、このように微小な粒子を含んで ても良いが、この場合、遠心分離しても沈 率は、好ましくは、2%以下である。これは、 実質的には、沈殿を生じない性状(物性)であ 。

 なお本明細書において、「約」や「程度 を用いた値の表現は、その値を設定するこ による目的を達成する上で、当業者であれ 許容することができる値の変動を含む意味 ある。

 本発明を以下の例によって詳細に説明す が、本発明はこれらに限定されるものでは い。

例1(本発明): 発酵ホエイ調製物の 調製(乳酸菌とラクターゼを使用した場合)
 ホエイタンパク質として、甘性ホエイ粉(明 治乳業株式会社製)を140g用意し、これを脱イ ン水に溶解して、固形分濃度14重量%のホエ タンパク質水溶液(ホエイ水溶液)を調製し さらにpH調整剤として水酸化ナトリウムを用 いて、pHを約7.0に調整した。次いで、湯煎を いて、該ホエイタンパク質水溶液を95℃、10 分間で加熱殺菌した。殺菌した後、水溶液を 観察したところ、100μm未満(平均粒径3μm)の凝 集物粒子が含まれていた。この得られた水溶 液を、43℃まで冷却した。

 次いで、これらのホエイタンパク質水溶 に、乳酸菌スターター(明治乳業株式会社製 「ブルガリアヨーグルト」(製品名)より分離 たもの)の凍結濃縮物を、水溶液の全量に対 して0.1重量%で加え、さらにラクターゼ(合同 精株式会社製、GODO-TNL)を0.04重量%(50,000IU/g) 加え、43℃に保持して乳酸発酵を行った。

 乳酸発酵開始から6時間後までの時間点毎 に、ホエイタンパク質水溶液(ホエイ水溶液) pHと、酸度(%)、ラクトース(乳糖)濃度(g/L)、 ルコース濃度(g/L)、ガラクトース濃度(g/L)を 測定した。また各点におけるホエイタンパク 質水溶液の風味を、専門パネラーの5名にて 能評価した。

 なお、ここで酸度は、前記したように、牛 関係法令集(乳業団体衛生連絡協議会(日本) 平成16年(2004年)3月)第56頁の「5 乳及び乳製 の酸度の測定法」に従って求めた。具体的 は、試料10mlに、同量の炭酸ガスを含まない 水を加えて希釈し、指示薬としてフェノール フタレイン液0.5mlを加えて、0.1mol/L水酸化ナ リウム溶液で30秒間、微紅色の消失しない点 を限度として滴定し、その滴定量から試料100 g当たりの乳酸のパーセント量を求め、これ 酸度(%)とした。
 またラクトース濃度、グルコース濃度およ ガラクトース濃度はそれぞれ、HPLC(カラム; 和電工株式会社製、Shodex 糖分析用順相カ ム Asahipak NH2P-50(4.6×250mm)、移動相;アセトニ トリル:超純水=3:1、検出器;Jaco 830-RI、測定温 度;40℃)により測定した。

 結果は表1に示されるとおりであった。
 官能評価の結果から、発酵時間(反応時間) 応じて、甘味と酸味を任意に調整できるこ が分かった。

 次いで、これらの乳酸菌とその代謝産物を んだ発酵液を、約10MPa、約100L/hに設定した モゲナイザーを用いて均質化した。
 これらの得られた発酵ホエイ調製物(実施例 )は、本発明での所望の風味と物性(食感)とを 有し、かつ衛生面でも優れた調製物であった 。

例2(比較例): 発酵ホエイ調製物の 調製(ラクターゼ不使用の場合)
 乳酸発酵の際に、ラクターゼ(乳糖分解酵素 )を加えない以外は、例1と同様にして試験お び評価を行った。
 結果は、表2に示される通りであった。

例3(比較例): 発酵ホエイ調製物の 調製(乳酸菌不使用の場合)
 乳酸発酵の際に、所定の乳酸菌を加えない 外(ラクターゼを加えた)は、例1と同様にし 試験および評価を行った。
 結果は、表3に示される通りであった。

飲料の製品例
 前記例1で得られた発酵ホエイ調製物(以下 おいてホエイ発酵乳という)を使用し、下記 ような配合を用いて本発明の方法に従って 造することによって、本発明に従う下記飲 製品を製造 することができる。
 なお、以下において比率もしくは%は、特に 断りの無い限り、重量基準での比率もしくは %を意味する。

  配合例1(飲料1):

  配合例2(飲料2):

  配合例3(飲料3):