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Patent Searching and Data


Title:
FILM-ELECTRODE ASSEMBLY, FILM-ELECTRODE GAS DIFFUSION LAYER ASSEMBLY HAVING THE SAME, SOLID STATE POLYMER FUEL CELL, AND FILM-ELECTRODE ASSEMBLY MANUFACTURING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/153145
Kind Code:
A1
Abstract:
A film-electrode assembly (1) includes: an anode catalyst layer (20) and a cathode catalyst layer (30) which are arranged to oppose to each other; and a polymer electrolyte film (10) arranged between the anode catalyst layer (20) and the cathode catalyst layer (30). The anode catalyst layer (20) is formed by a plurality of ion exchange layers (20a, 20b) having different layer ion exchange capacities. Among the ion exchange layers (20a, 20b), the ion exchange layer A (20a) having the smallest layer ion exchange capacity is arranged nearer to the side of the polymer electrolyte film (10) than the ion exchange layer B (20b) having the largest layer ion exchange capacity. The ratio of the layer ion exchange capacity of the ion exchange layer A (20a) against that of the ion exchange layer B (20b) is 1.7 or above.

Inventors:
KURODA RYUMA (JP)
KURITA HIROYUKI (JP)
SHINODA HIROSHI (JP)
SAITO SHIN (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/060894
Publication Date:
December 18, 2008
Filing Date:
June 13, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO CHEMICAL CO (JP)
KURODA RYUMA (JP)
KURITA HIROYUKI (JP)
SHINODA HIROSHI (JP)
SAITO SHIN (JP)
International Classes:
H01M8/02; H01M4/86; H01M4/88; H01M8/10
Foreign References:
JPH09180730A1997-07-11
JP2001319663A2001-11-16
JP2002164057A2002-06-07
JP2005259525A2005-09-22
JP2005174764A2005-06-30
JP2008176990A2008-07-31
JP2008192330A2008-08-21
JP2008192328A2008-08-21
JPH09180730A1997-07-11
JP2002151090A2002-05-24
JP2001319663A2001-11-16
JP2005259525A2005-09-22
JPH09102322A1997-04-15
US4012303A1977-03-15
US4605685A1986-08-12
JPH09110982A1997-04-28
JPH11116679A1999-04-27
JP2001250567A2001-09-14
JPH11503262A1999-03-23
JP2003031232A2003-01-31
JP2004359925A2004-12-24
JP2005232439A2005-09-02
JP2003113136A2003-04-18
JP2004089976A2004-03-25
JP2003282096A2003-10-03
Other References:
J. APPL. POLYM. SCI., vol. 18, 1974, pages 1969
"Research Group on Materials for Fuel Cells", 10 November 2005, THE SOCIETY OF POLYMER SCIENCE, article "Fuel Cells and Polymer", pages: 103 - 112
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg.10-6, Ginza 1-chome,Chuo-k, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 対向配置されたアノード触媒層及びカソード触媒層と、前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層の間に設けられた高分子電解質膜と、を備える膜電極接合体であって、
 前記アノード触媒層は、層イオン交換容量が互いに異なる複数のイオン交換層からなり、
 前記複数のイオン交換層のうち、層イオン交換容量が最小であるイオン交換層Aが、層イオン交換容量が最大であるイオン交換層Bよりも、前記高分子電解質膜側に配置されており、
 前記イオン交換層Aの層イオン交換容量に対する前記イオン交換層Bの層イオン交換容量の比が1.7以上であることを特徴とする膜電極接合体。
 前記イオン交換層A及びBの少なくとも一方が、前記アノード触媒層の最外層であることを特徴とする請求項1に記載の膜電極接合体。
 前記高分子電解質膜に近接するにつれて、
 層イオン交換容量がより小さい前記イオン交換層が配置されていることを特徴とする請求項1記載の膜電極接合体。
 前記複数のイオン交換層の数が2であることを特徴とする、請求項1記載の膜電極接合体。
 対向配置されたアノード触媒層及びカソード触媒層と、前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層の間に設けられた高分子電解質膜と、を備える膜電極接合体であって、
 前記アノード触媒層は、前記高分子電解質膜に近接するにつれて、層イオン交換容量が連続的に減少しており、
 前記アノード触媒層の前記高分子電解質膜側の面の層イオン交換容量に対する前記アノード触媒層の前記高分子電解質膜側とは反対側の面の層イオン交換容量の比が1.7以上であることを特徴とする膜電極接合体。
 前記アノード触媒層及び前記カソード触媒層の少なくとも一方が、炭化水素系イオン交換体を含有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
 前記高分子電解質膜が、炭化水素系イオン交換体からなる高分子電解質膜であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
 請求項1~5のいずれか1項に記載の膜電極接合体と、前記アノード触媒層の前記高分子電解質膜側とは反対の面側に設けられたアノード側ガス拡散層と、前記カソード触媒層の前記高分子電解質膜側とは反対の面側に設けられたカソード側ガス拡散層と、を備えることを特徴とする膜電極ガス拡散層接合体。
 請求項8に記載の膜電極ガス拡散層接合体と、前記アノード側ガス拡散層の前記アノード触媒層側とは反対の面側に設けられたアノード側セパレータと、前記カソード側ガス拡散層の前記カソード触媒層側とは反対の面側に設けられたカソード側セパレータと、を備えることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
 イオン交換層としての層イオン交換容量が、高分子電解質膜に近接するにつれて小さくなるように、イオン交換体と触媒物質とを含有する触媒インクから形成されるイオン交換層を前記高分子電解質膜上に順次積層させることにより、前記高分子電解質膜上にアノード触媒層を形成させる触媒層形成工程を有することを特徴とする、膜電極接合体の製造方法。
 前記触媒層形成工程において、前記高分子電解質膜に前記触媒インクをスプレー法によって直接塗布して、アノード触媒層を形成させることを特徴とする請求項10記載の膜電極接合体の製造方法。
Description:
膜電極接合体、及びこれを備え 膜電極ガス拡散層接合体、固体高分子形燃 電池、並びに膜電極接合体の製造方法

 本発明は、膜電極接合体、及びこれを備 る膜電極ガス拡散層接合体、固体高分子形 料電池、並びに膜電極接合体の製造方法に する。

 現在、石油資源の枯渇が重大な問題とな ており、さらに、化石燃料の消費による大 汚染や地球温暖化等の環境問題が深刻化し いる。このような状況にあって、二酸化炭 の発生を伴わないクリーンな電力源として 料電池が注目されており、一部では実用化 れ始めている。

 自動車等に搭載される燃料電池としては 高電圧と大電流とが得やすいことから、高 子電解質膜を用いる固体高分子形燃料電池 注目されている。この固体高分子形燃料電 に用いられる電極構造体としては、膜電極 合体(以下、場合により「MEA」という。)が られている。

 MEAは、プロトン伝導性を有する高分子電 質膜と、この高分子電解質膜を挟むように 高分子電解質膜の主面上に設けられる一対 触媒層とを備える。触媒層は、白金等の触 と、この触媒を担持するカーボンブラック の触媒担体と、この触媒担体を保持するプ トン伝導性ポリマーとを含有する。

 膜電極ガス拡散層接合体は、上述のMEAを むようにして、各触媒層に接するように一 のガス拡散層を積層することによって構成 れる。また、固体高分子形燃料電池は、上 の膜電極ガス拡散層接合体を挟むようにし 、各ガス拡散層に接するように、ガス通路 なる一対のセパレータを積層することによ て構成される。

 固体高分子形燃料電池では、一方の触媒 がアノード触媒層(燃料極)、他方の触媒層 カソード触媒層(酸素極)として機能する。水 素、メタノール等の燃料ガスは、アノード側 セパレータからアノード側ガス拡散層を介し て、アノード触媒層に導入される。また、空 気、酸素等の酸化剤ガスは、カソード側セパ レータから、カソード側ガス拡散層を介して カソード触媒層に導入される。

 アノード触媒層では、アノード触媒層に含 される触媒物質の作用により、燃料ガス(水 素)からプロトン(H + )及び電子が生成する。このプロトンは高分 電解質膜を通って、カソード触媒層に移動 る。そして、カソード触媒層の触媒物質の 用により、プロトンは、カソード触媒層に 入される酸化剤ガス(酸素)及び電子と反応し て水を生成する。したがって、アノード触媒 層とカソード触媒層とを電気的に接続すれば 、アノード触媒層で生成した電子をカソード 触媒層に送る回路が形成され、電流を取り出 すことができる。

 MEAの作製方法としては、支持体上に形成 れた触媒層を高分子電解質膜上に熱圧着し 後、該支持体を剥離する方法、高分子電解 膜上に触媒と高分子電解質を含む触媒イン をキャスト形成する方法、スプレー塗布法 で高分子電解質膜上に同様の触媒インクを 布して触媒層を形成する方法等、様々な方 が提案されている。このような方法で形成 れるMEAの各触媒層は、通常、単一組成によ 1層構造となっている。

 現在、固体高分子形燃料電池の性能向上 ため、触媒層の構成に関する様々な技術が 案されている。例えば、触媒層において、 ス拡散層側での反応点を増加させるために 触媒層のガス拡散層側における電解質の含 量を減らし、厚さ方向に電解質含有量を変 させること(例えば特許文献1参照)、触媒層 の水分分布のバラツキを抑制するために、 応ガス出入口方向、すなわち、触媒層の面 向に高分子電解質の濃度を変化させること( 例えば特許文献2参照)が提案されている。

 また、反応ガスの拡散性を改善するために 触媒層のガス拡散層側の電解質量を少なく て、高分子電解質側を多くするとともに、 方向でも高分子電解質量を変化させること( 例えば特許文献3参照)、電極層の厚み方向に 子伝導性およびプロトン伝導性の傾斜を付 するため、触媒層の高分子電解質膜側に、 分子電解質を多く含有させること(例えば特 許文献4参照)等が提案されている。

特開平9-180730号公報

特開2002-151090号公報

特開2001-319663号公報

特開2005-259525号公報

 しかしながら、特許文献2及び3のように 媒層の面方向(ガス流路方向)で高分子電解質 の濃度を変化させることは、膜電極接合体の 製造工程が複雑化するため、実用上好ましく ない。また、固体高分子形燃料電池の発電性 能は、特許文献1~4の触媒層を用いても未だ十 分ではなく、更なる改善が求められている。 固体高分子形燃料電池の発電性能は、通常、 触媒層の過電圧を低減させること、及びオー ム抵抗であるセル抵抗を低減することによっ て、向上させることができる。

 そこで、本発明は、発電性能が十分に優 、容易に製造可能な膜電極接合体及び、こ ような膜電極接合体を備える膜電極ガス拡 層接合体、さらには固体高分子形燃料電池 並びに膜電極接合体の製造方法を提供する とを目的とする。

 本発明者らは、固体高分子形燃料電池の 電性能を向上させるために膜電極接合体の 成を種々検討した。そして、アノード触媒 の組成に着目して鋭意検討を重ねた結果、 ノード触媒層において、触媒層の厚み方向 層イオン交換容量を変化させることが有効 あることを見出し、本発明を完成するに至 た。

 すなわち、本発明は、対向配置されたア ード触媒層及びカソード触媒層と、アノー 触媒層及びカソード触媒層の間に設けられ 高分子電解質膜と、を備える膜電極接合体 あって、アノード触媒層は、層イオン交換 量が互いに異なる複数のイオン交換層から り、複数のイオン交換層のうち、層イオン 換容量が最小であるイオン交換層Aが、層イ オン交換容量が最大であるイオン交換層Bよ も、高分子電解質膜側に配置されており、 オン交換層Aの層イオン交換容量に対するイ ン交換層Bの層イオン交換容量の比が1.7以上 である膜電極接合体を提供する。

 なお、「層イオン交換容量」とは、イオ 交換層全体に対するイオン交換体の質量割 と、該イオン交換体のイオン交換容量の積 ら求められ、該イオン交換層の総質量に対 る、該イオン交換層に存在するイオン交換 の総当量数を表すものである。

 なお、上述の通り、触媒層に組成の異な 複数のイオン交換層を積層することは特許 献1,3,4で既に提案されている。しかし、特 文献1,3,4は、いずれも触媒層において、高分 子電解質膜側の方の高分子電解質の含有量を 多くしていることから、高分子電解質膜側の 方が層イオン交換容量が大きくなっている。 すなわち、本発明はこれらの従来技術とは逆 の構成を有するものである。かかる構成は、 高分子電解質膜の水分バランスに着目してア ノード触媒層の構成を特定するという、本発 明者らの独自の知見に基づくものである。

 また、本発明の膜電極接合体は、イオン 換層A及びBの少なくとも一方が、アノード 媒層の最外層であることが好ましい。なお イオン交換層Aがアノード触媒層の最外層で るとは、膜電極接合体において該イオン交 層Aが高分子電解質膜に接するように配され ていることを意味し、イオン交換層Bがアノ ド触媒層の最外層であるとは、膜電極接合 において該イオン交換層Bがアノード側ガス 散層に接するように配されていることを意 する。

 このようなアノード触媒層を用いれば、 ノード触媒層からの燃料ガス相への水分の 出を一層抑制することができる。これによ て、一層良好な水分バランスを有する膜電 接合体が形成され、一層発電性能に優れる 電極接合体を得ることができる。

 また、本発明の膜電極接合体は、高分子 解質膜に近接するにつれて、層イオン交換 量がより小さいイオン交換層が配置されて ることが好ましい。

 このようなアノード触媒層を用いれば、 ノード触媒層からの燃料ガス相への水分の 出をより一層抑制することができる。これ よって、より一層良好な水分バランスを有 る膜電極接合体が形成され、より一層発電 能に優れる膜電極接合体を得ることができ 。

 また、本発明の膜電極接合体は、複数の オン交換層の数が2であることが好ましい。

 これにより、発電性能に十分優れる膜電 接合体を容易に製造することができる。

 本発明ではまた、対向配置されたアノー 触媒層及びカソード触媒層と、アノード触 層及びカソード触媒層の間に設けられた高 子電解質膜と、を備える膜電極接合体であ て、アノード触媒層は、高分子電解質膜に 接するにつれて、層イオン交換容量が連続 に減少しており、アノード触媒層の高分子 解質膜側の面の層イオン交換容量に対する ノード触媒層の高分子電解質膜側とは反対 の面の層イオン交換容量の比が1.7以上であ 膜電極接合体を提供する。

 このようなアノード触媒層においては、 料ガスとの接触側は層イオン交換容量が大 いことから親水性が高く、高分子電解質膜 の接触側は層イオン交換容量が小さいこと ら親水性が低くなっている。このため、燃 ガスとの接触側において水分を容易にアノ ド側ガス拡散層の燃料ガス相に放出せず、 ノード触媒層の水分含有量の低下を抑制す ことができる。また、高分子電解質膜側か アノード触媒層側への水分の拡散移動を抑 することができる。以上の作用により、高 子電解質膜の水分含有量が低下せず、膜電 接合体全体において良好な水分バランスが 成される。これによって、固体高分子形燃 電池の内部抵抗が減少し、発電性能に優れ 膜電極接合体を得ることができる。

 また、本発明の膜電極接合体は、アノー 触媒層及びカソード触媒層の少なくとも一 が、炭化水素系イオン交換体を含有するこ が好ましい。

 このような触媒層を備える膜電極接合体 、触媒層自体の保水性がより良好となるの 、触媒層のイオン伝導性が高くなる傾向が り、より発電性能に優れる膜電極接合体を ることができる。

 本発明の膜電極接合体を構成する高分子 解質膜は、炭化水素系イオン交換体からな 高分子電解質膜であると好ましい。かかる 分子電解質膜を用いることにより、より一 発電性能に優れる膜電極接合体を得ること できる。また、炭化水素系イオン交換体か なる高分子電解質膜は、従来、主として使 されてきたフッ素系炭化水素系イオン交換 からなる高分子電解質膜に比べて、耐熱性 リサイクル性や機械的強度にも優れるとい 利点もある。

 本発明ではまた、上述の膜電極接合体と アノード触媒層の高分子電解質膜側とは反 の面側に設けられたアノード側ガス拡散層 、カソード触媒層の高分子電解質膜側とは 対の面側に設けられたカソード側ガス拡散 と、を備えることを特徴とする膜電極ガス 散層接合体を提供する。

 このような膜電極ガス拡散層接合体は、 記特性を有する膜電極接合体を備えている め、セル抵抗が低く、発電性能に十分優れ 。

 本発明ではまた、上述の膜電極ガス拡散 接合体と、アノード側ガス拡散層のアノー 触媒層側とは反対の面側に設けられたアノ ド側セパレータと、カソード側ガス拡散層 カソード触媒層側とは反対の面側に設けら たカソード側セパレータと、を備えること 特徴とする固体高分子形燃料電池を提供す 。

 このような固体高分子形燃料電池は、上 特性を有する膜電極接合体を備えているた 、セル抵抗が低く、発電性能に十分優れる

 本発明ではまた、イオン交換層としての イオン交換容量が、高分子電解質膜に近接 るにつれて小さくなるように、イオン交換 と触媒物質とを含有する触媒インクから形 されるイオン交換層を高分子電解質膜上に 次積層させることにより、高分子電解質膜 にアノード触媒層を形成させる触媒層形成 程を有する膜電極接合体の製造方法を提供 る。なお、「触媒インク」という用語は、 分野で広範に用いられているものであり、 媒層形成に用いられる液状組成物を意味す 。

 これによって、アノード触媒層からアノ ド側ガス拡散層の燃料ガス相へ放出される 分量を低減するとともに、高分子電解質膜 からアノード触媒層への水分の拡散移動を 制して、発電性能に優れる膜電極接合体を 易に製造することができる。

 また、本発明では、触媒層形成工程にお て、前記高分子電解質膜に前記触媒インク スプレー法によって直接塗布して、アノー 触媒層を形成させることが好ましい。

 スプレー法によりアノード触媒層を形成 れば、アノード触媒層の高分子電解質膜と 接触面に平行な面において、面内均一性に れた層及び触媒層を形成することができる これによって、一層発電性能に優れる膜電 接合体を容易に製造することができる。

 本発明によれば、発電性能に十分優れる 電極接合体、かかる膜電極接合体を備える 電極ガス拡散層接合体、及び固体高分子形 料電池を提供することができる。また、発 性能に十分優れる膜電極接合体を容易に製 する方法を提供することができる。

本発明の第1の実施形態に係る膜電極接 合体、膜電極ガス拡散層接合体及び固体高分 子形燃料電池の模式断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る膜電極接 合体、膜電極ガス拡散層接合体及び固体高分 子形燃料電池の模式断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る膜電極接 合体、膜電極ガス拡散層接合体及び固体高分 子形燃料電池の模式断面図である。 I max /I min -電流密度の関係を示すグラフである。

符号の説明

 1,2,3…MEA、10…高分子電解質膜、20,22,24… ノード触媒層、30…カソード触媒層、40…ア ノード側ガス拡散層、50…カソード側ガス拡 層、60…アノード側セパレータ、70…カソー ド側セパレータ、62…燃料ガス流路、72…酸 剤ガス流路、80,82,84…膜電極ガス拡散層接合 体、20a,20b,22a,22b,22c,22d…イオン交換層、24A,24B …接触面、100,200,300…固体高分子形燃料電池

 以下、場合により図面を参照して、本発 の好適な実施形態について説明する。なお 図面の説明において、同一又は同等の要素 は同一符号を用い、重複する説明を省略す 。

 図1は、本発明の第一の実施形態に係る膜 電極接合体、膜電極ガス拡散層接合体及び固 体高分子形燃料電池の模式断面図である。固 体高分子形燃料電池100には、アノード側セパ レータ60、アノード側ガス拡散層40、MEA1、カ ード側ガス拡散層50及びカソード側セパレ タ70とが順次積層されている。また、MEA1は 高分子電解質膜10、高分子電解質膜10とアノ ド側ガス拡散層40とに挟まれるようにアノ ド触媒層20、及び高分子電解質膜10とカソー 側ガス拡散層50とに挟まれるようにカソー 触媒層30を備えている。また、膜電極ガス拡 散層接合体80は、MEA1、MEA1とアノード側セパ ータ60とに挟まれるようにアノード側ガス拡 散層40、MEA1とカソード側セパレータ70とに挟 れるようにカソード側ガス拡散層50を備え いる。

 アノード側セパレータ60は燃料ガス流路62 を備えており、カソード側セパレータ70は酸 剤ガス流路72を備えている。

 アノード触媒層20は、固体高分子形燃料 池100の積層方向に積層されたイオン交換層20 aとイオン交換層20bとを備えている。そして イオン交換層20aは高分子電解質膜10と接する ように設けられており、イオン交換層20bはア ノード側ガス拡散層40と接するように設けら ている。

 高分子電解質膜10は、高分子電解質を含 する。また、アノード触媒層20及びカソード 触媒層30は、触媒とイオン交換体とを含有す 。ここで、「イオン交換体」とは、イオン 換反応を示す有機化合物又は無機化合物を い、スルホン酸基、ホスホン酸基などの酸 基(カチオン交換基)、又はアミノ基、イミ ゾイル基などの塩基性基(アニオン交換基)を 有する高分子化合物、すなわち高分子電解質 膜10を構成する高分子電解質と同様のものが ましい。

 高分子電解質膜10の厚みは10~50μm、アノー ド触媒層20の厚みは6~40μm及びカソード触媒層 30の厚みは3~40μmであることが好ましい。また 、アノード側ガス拡散層40及びカソード側ガ 拡散層50の厚みは30~500μmであることが好ま い。アノート側セパレータ60及びカソード側 セパレータ70の厚みは1000~10000μmであることが 好ましい。また、イオン交換層20a及びイオン 交換層20bの厚みは、それぞれ3~37μmであるこ が好ましい。イオン交換層20a及びイオン交 層20bのどちらか一方の厚みが3μm以下である 、燃料ガス相へ放出される水分量が十分に 制されない傾向があり、37μmを越えると、 媒層中のガス拡散距離が長くなりすぎて、 極反応が効率よく進行しにくい傾向がある

 イオン交換層20aの層イオン交換容量(I 20a )は、イオン交換層20bの層イオン交換容量(I 20b )より小さく、I 20b /I 20a が1.7以上となっている。なお、一層優れた発 電性能を得る観点から、I 20b /I 20a が2.0以上であることが好ましく、2.4以上であ ることがより好ましい。

 なお、イオン交換層20bの層イオン交換容量( I 20b )が高すぎると、イオン交換層20b中に含有さ るイオン交換体が吸水したとき、著しく膨 して、ガス透過経路を閉塞することもある で、I 20b /I 20a は4.5未満であることが好ましい。

 層イオン交換容量が大きいイオン交換層2 0bは、親水性が高く保水性に優れている。こ ため、燃料ガスとともに供給される水分を 分滞留させるとともに、燃料ガス相への水 の放出を抑制することができる。一方、層 オン交換容量が小さいイオン交換層20aは、 イオン交換容量が小さく親水性が低いため 保水性が低下する傾向にある。したがって 高分子電解質膜10からアノード触媒層20を通 過してアノードガス拡散層40の燃料ガス相へ 出される水分量を低減することができる。 れによって、高分子電解質膜10全体の水分 ランスを好適に維持することができる。

 なお、本発明における「層イオン交換容 」は、イオン交換層を構成するイオン交換 のイオン交換容量と含有質量比とによって 御される。より具体的には、後述する触媒 ンクを用いてイオン交換層を形成する際、 用する触媒インク中のイオン交換体におい 、全固形分(該触媒インクから揮発性物質を 取り除いた成分)に対するイオン交換体の質 比と、該イオン交換体のイオン交換容量と 乗ずることにより算出される。複数のイオ 交換体を用いた触媒インクを用いる場合、 オン交換体各々について、質量比とイオン 換容量の積を算出し、その合計で算出する とができる。なお、イオン交換体のイオン 換容量は、中和滴定を用いて実験的に求め ことができる。

 固体高分子形燃料電池100は、燃料ガス及 酸化剤ガスの外部への漏出を防止するため 、ガスケットをさらに備えていてもよい。

 本実施形態に係る固体高分子形燃料電池1 00は、アノード触媒層20が、イオン交換層20a イオン交換層20bとの2層から構成されている め、容易に製造することができる。なお、 造方法については後述する。

 図2は、本発明の第二の実施形態に係る膜 電極接合体、膜電極ガス拡散層接合体及び固 体高分子形燃料電池の模式断面図である。固 体高分子形燃料電池200は、アノード側セパレ ータ60、アノード側ガス拡散層40、MEA2、カソ ド側ガス拡散層50及びカソード側セパレー 70が順次積層されて構成されている。また、 MEA2は、高分子電解質膜10と、高分子電解質膜 10とアノード側ガス拡散層40とに挟まれるよ にアノード触媒層22と、高分子電解質膜10と ソード側ガス拡散層50とに挟まれるように ソード触媒層30とを備えている。また、膜電 極ガス拡散層接合体82は、MEA2、MEA2とアノー 側セパレータ60とに挟まれるようにアノード 側ガス拡散層40、及びMEA2とカソード側セパレ ータ70とに挟まれるようにカソード側ガス拡 層50を備えている。

 アノード触媒層22は、固体高分子形燃料 池200の積層方向に積層されたイオン交換層22 a、イオン交換層22b、イオン交換層22c及びイ ン交換層22d(イオン交換層22a~22d)を備えてい 。そして、イオン交換層22a~22dは高分子電解 膜10側からアノード側ガス拡散層40側に向け て、イオン交換層22a,22b,22c,22dの順で積層され ている。すなわち、イオン交換層22aは高分子 電解質膜10と接しており、イオン交換層22dは ノード側ガス拡散層40と接している。

 また、本実施形態に係る膜電極接合体(MEA 2)は、アノード側触媒層22が、イオン交換層22 a~22dの4層で構成されている点で、第一の実施 形態に係る膜電極接合体(MEA1)と異なっている 。

 イオン交換層22a~22dの層イオン交換容量を、 それぞれI 22a 、I 22b 、I 22c 及びI 22d (I 22a ~I 22d )とした場合に、これらの層イオン交換容量 は、以下に示す一般式(1)の関係が成立する とが好ましい。
 I 22a <I 22b <I 22c <I 22d     (1)

 これによって、アノード触媒層22からア ード側ガス拡散層40の燃料ガス相への水分の 放出を一層抑制し、高分子電解質膜10の水分 有量の低下を一層抑制することができる。 たがって、MEA2全体の水分バランスを一層好 適に維持することができる。

 なお、上記一般式(1)の関係が成立する場合 I 22d /I 22a は1.7以上である。また、この場合、I 22d /I 22a が2.0以上であることが好ましく、2.4以上であ ることが好ましい。これによって、アノード 触媒層22からアノード側ガス拡散層40の燃料 ス相への水分の放出をより一層抑制し、高 子電解質膜10の水分含有量の低下を抑制する ことができる。したがって、MEA2全体の水分 ランスをより一層好適に維持することがで る。

 なお、上記一般式(1)の関係が成立しない場 でも、I 22a ~I 22d の最小値に対する最大値の比が1.7以上であり 、かつ層イオン交換容量が最大である層が、 最小である層よりもアノード側ガス拡散層40 に配置されていれば、本発明の効果を得る とができる。例えば、I 22c >I 22d であっても、I 22c /I 22a 及びI 22c /I 22b の少なくとも一方が1.7以上であれば、十分優 れた発電性能を有する固体高分子形燃料電池 を得ることができる。

 イオン交換層22a~22dのそれぞれの厚みは、 触媒層を透過する反応ガスの拡散のし易さを 勘案して選択され、3~37μmであることが好ま い。イオン交換層22a~22dのいずれかの厚みが3 μm以下であると、アノード側ガス拡散相40か 燃料ガス相へ放出される水分量が十分に抑 されない傾向がある。

 本実施形態においては、アノード触媒層2 2は4つのイオン交換層で構成されているが、 オン交換層の数を増やして5つ以上としても よい。イオン交換層の数の上限は、特に限定 されるものではないが、実用的な範囲から5 以下とすることが好ましく、3つ以下とする とがより好ましい。ただし、上述したよう 、アノード触媒層の製造上の容易さを勘案 れば、上記第1の実施形態のように、アノー ド触媒層22を構成するイオン交換層の数は2つ であることがさらに好ましい。

 図3は、本発明の第3の実施形態に係る膜 極接合体、膜電極ガス拡散層接合体及び固 高分子形燃料電池の模式断面図である。固 高分子形燃料電池300は、アノード側セパレ タ60、アノード側ガス拡散層40、MEA3、カソー ド側ガス拡散層50及びカソード側セパレータ7 0が順次積層されて構成されている。また、ME A3は、高分子電解質膜10と、高分子電解質膜10 とアノード側ガス拡散層40とに挟まれるよう アノード触媒層24と、高分子電解質膜10とカ ソード側ガス拡散層50とに挟まれるようにカ ード触媒層30とを備えている。また、膜電 ガス拡散層接合体84は、MEA3、MEA3とアノード セパレータ60とに挟まれるようにアノード ガス拡散層40、及びMEA3とカソード側セパレ タ70とに挟まれるようにカソード側ガス拡散 層50を備えている。

 本実施形態に係るMEA3は、アノード触媒層 24の層イオン交換容量が厚さ方向(MEA3の積層 向)に連続的に変化している点で、第二の実 形態に係る固体高分子形燃料電池200と異な ている。アノード触媒層24の層イオン交換 量は、図3のグラデーションで示されるよう 高分子電解質膜10との接触面24Aからアノー 側ガス拡散層40との接触面24Bに向けて、連続 的に増加している。なお、本実施形態におい て、層イオン交換容量が厚さ方向に連続的に 変化するとは、例えば、アノード触媒層24が 層の厚み3μm程度のイオン交換層が10層以上 ら構成されているような形態であることを 味する。

 アノード触媒層24は、例えば、その組成 厚さ方向(MEA3の積層方向)に連続的に変化さ ることにより、層イオン交換容量を厚さ方 に連続的に変化させることができる。また アノード触媒層24の高分子電解質膜10との接 面24Aに平行なそれぞれの面内の組成は同一 することができる。

 アノード触媒層24の高分子電解質膜10との接 触面24Aにおける組成を有するイオン交換層の 層イオン交換容量(I 24A )は、アノード触媒層24のアノード側ガス拡散 層40との接触面24Bにおける組成の層イオン交 容量(I 24B )よりも小さく、I 24B /I 24A は1.7以上である。また、I 24B /I 24A は、2.0以上であることが好ましく、2.4以上で あることがより好ましい。これによって、ア ノード触媒層24からアノード側ガス拡散層40 燃料ガス相への水分の放出をより一層抑制 、高分子電解質膜10の水分含有量の低下を抑 制することができる。したがって、MEA3全体 水分バランスをより一層好適に維持するこ ができる。

 なお、前記I 20b /I 20a で説明したように、I 24B が高すぎると、イオン交換層20b中に含有され るイオン交換体が吸水したとき、著しく膨潤 して、ガス透過経路を閉塞することもあるの で、I 24B /I 24A は4.5未満であることが好ましい。

 本実施形態のアノード触媒層24のアノー 側ガス拡散層40側の部分は、親水性が高く保 水性に優れている。このため、燃料ガスとと もに供給される水分を十分滞留させるととも に、アノード側ガス拡散層40の燃料ガス相へ 水分の放出を抑制することができる。一方 アノード触媒層24の高分子電解質膜10側の部 分は、イオン交換容量が小さく保水性が低い ため、水分の拡散移動が良好となる。したが って、アノード触媒層20から高分子電解質膜1 0へ供給される水分量を増加することができ 。これによって、高分子電解質膜10の水分含 有量が低下せず、MEA3全体の水分バランスを 適に維持することができる。

 上記各実施形態におけるアノード触媒層 各イオン交換層の層イオン交換容量は、例 ば、次の方法で確認することができる。

(1)走査型電子顕微鏡を用いてMEAの断面を観察 し、アノード触媒層を構成するイオン交換層 の数及びそれぞれのイオン交換層の厚みを測 定する。
(2)SAICAS(Surface andInterfacial Cutting AnalysisSystem 例えばダイプラ・ウィンテス株式会社が販 )を用い、(1)で得られた測定値に基いて、ア ード触媒層を各イオン交換層の境界面で切 し、各イオン交換層を分離する。
(3)分離されたイオン交換層を所定質量採取し 、採取したイオン交換層のイオン交換容量を 測定する。

 次に、上記第1~第3の実施形態に係るアノ ド触媒層20~24の好適な組成について以下に 細に説明する。アノード触媒層20~24は、イオ ン交換体と触媒物質とを含有する。

(イオン交換体)
 イオン交換体としては、酸性基を有するイ ン交換体、及び塩基性基を有するイオン交 体が挙げられる。このうち、発電性能に優 た固体高分子形燃料電池を得る観点から、 性基を有するイオン交換体が好ましく、酸 基を有する高分子電解質を用いることがよ 好ましい。このような酸性基としては、ス ホン酸基(-SO 3 H)、カルボキシル基(-COOH)、ホスホン酸基(-PO(O H) 2 )、スルホニルイミド基(-SO 2 NHSO 2 -)、フェノール性水酸基(-Ph(OH)(Phはフェニル を表す))等が挙げられる。このうち、スルホ ン酸基及びホスホン酸基がより好ましく、ス ルホン酸基が特に好ましい。

 酸性基を有する高分子電解質としては、 えば(A)主鎖が脂肪族炭化水素からなる炭化 素系高分子にスルホン酸基および/またはホ スホン酸基を導入した高分子電解質、(B)脂肪 族炭化水素の水素原子の全て又は一部がフッ 素原子に置換された高分子にスルホン酸基お よび/またはホスホン酸基を導入した高分子 解質、(C)主鎖に芳香環を有する高分子にス ホン酸基および/またはホスホン酸基を導入 た高分子電解質、(D)実質的に炭素原子を含 ないポリシロキサン、ポリフォスファゼン どの高分子の主鎖にスルホン酸基および/ま たはホスホン酸基を導入した高分子電解質、 (E)(A)~(D)のスルホン酸基および/またはホスホ 酸基導入前の高分子を構成する繰り返し単 から選ばれるいずれか2種以上の繰り返し単 位からなる共重合体にスルホン酸基および/ たはホスホン酸基を導入した高分子電解質 (F)主鎖又は側鎖に、塩基性を有する窒素原 を含み、硫酸やリン酸等の酸性化合物をイ ン結合により導入した高分子電解質等が挙 られる。

 上記(A)の高分子電解質としては、例えば エチレン-ビニルスルホン酸共重合体、ポリ スチレンまたはポリ(α-メチルスチレン)にス ホン化剤にてスルホン酸基を導入した樹脂 が挙げられる。ここで、エチレン-ビニルス ルホン酸共重合体の場合は、モノマーとして 用いるエチレンとビニルスルホン酸の共重合 の比率を変えることでイオン交換容量を調整 できる。また、ポリスチレンまたはポリ(α- チルスチレン)にスルホン化剤にてスルホン 基を導入した樹脂は、スルホン化剤の使用 によってイオン交換容量を調整することが きる。なお、スルホン化剤とは、有機化合 における水素をスルホン酸基に置換する化 物である。スルホン化剤としては、例えば 煙硫酸、三酸化硫黄、クロロスルホン酸等 好適にもちいることができる。

 上記(B)の高分子電解質としては、Dupont社 のNafion(登録商標)、旭化成株式会社のAciplex( 登録商標)、旭硝子株式会社製のFlemion(登録商 標)などが挙げられる。また、特開平9-102322号 公報に記載されている炭化フッ素系ビニルモ ノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合に よって作られた主鎖とスルホン酸基を有する 炭化水素系側鎖とから構成されるスルホン酸 型ポリスチレン-グラフト-エチレン-テトラフ ルオロエチレン共重合体(ETFE)、米国特許第4,0 12,303号公報及び米国特許第4,605,685号公報に記 載されている、炭化フッ素系ビニルモノマと 炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって 作られたものにα,β,β-トリフルオロスチレン をグラフト重合させ、これにスルホン酸基を 導入してイオン交換体としたスルホン酸型ポ リ(トリフルオロスチレン)-グラフト-ETFE等も げられる。なお、上述のスルホン化剤の使 量によって、(B)のイオン交換容量を調整す ことができる。

 上記(C)の高分子電解質としては、主鎖が 素原子等のヘテロ原子で中断されているも であってもよく、例えば、ポリエーテルエ テルケトン、ポリスルホン、ポリエーテル ルホン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリ ミド、ポリ((4-フェノキシベンゾイル)-1,4-フ ニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリ フェニルキノキサレン等のそれぞれの単独重 合体に、スルホン化剤を用いてスルホン酸基 を導入したもの、スルホアリール化ポリベン ズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベン ズイミダゾール、ホスホアルキル化ポリベン ズイミダゾール(特開平9-110982号公報参照)、 スホン化ポリ(フェニレンエーテル)(J.Appl.Poly m.Sci.,18,p.1969(1974)参照)等が挙げられる。なお 上述のスルホン化剤の使用量によって、(C) イオン交換容量を調整することができる。

 上記(D)の高分子電解質としては、例えば ポリフォスファゼンにスルホン酸基を導入 たもの等が挙げられる。なお、スルホン化 の使用量によって、(D)のイオン交換容量を 整することができる。

 上記(E)の高分子電解質としては、ランダ 共重合体にスルホン酸基および/またはホス ホン酸基を導入したもの、交互共重合体にス ルホン酸基および/またはホスホン酸基を導 したもの、ブロック共重合体にスルホン酸 および/またはホスホン酸基を導入したもの 用いることができる。

 ランダム共重合体にスルホン酸基が導入 れたものとしては、例えば、特開平11-116679 公報に記載されているスルホン化ポリエー ルスルホン-ジヒドロキシビフェニル共重合 体が挙げられる。これらの共重合体において も、スルホン化剤の使用量によってイオン交 換容量を調整することができる。

 ブロック共重合体にスルホン酸基が導入 れたものとしては、例えば、特開2001-250567 公報に記載されているような、スルホン酸 を有するセグメント(親水性セグメント)とイ オン交換基を実質的に有さないセグメント( 水性セグメント)とからなるブロック共重合 が挙げられる。このようなブロック共重合 の場合、親水性セグメントと疎水性セグメ トとの組成比によってイオン交換容量を調 することができる。

 上記(F)のイオン交換体としては、例えば 特表平11-503262号公報に記載されているよう リン酸を含有するポリベンズイミダゾール が挙げられる。このようなイオン交換体に いては、含有されるリン酸の量によってイ ン交換容量を調整することができる。

 上記の高分子電解質のうち、上記(B)の高 子電解質は、低いイオン交換容量を示すも の高いプロトン伝導性を示す傾向がある。 のため、アノード触媒層20~24のイオン交換 膜10側に設けられるイオン交換層を形成する イオン交換体として好適に用いられる。

 アノード触媒層20~24のうちアノード側ガ 拡散層40側に設けられるイオン交換層又は領 域に含有されるイオン交換体として、分子設 計の自由度が高い観点から(C)及び(E)が好まし い。また、(C)及び(E)の高分子電解質のうち、 高分子主鎖に芳香環が連結されているものは 耐熱性に優れる傾向にあることからより好ま しい。さらに、このなかでも、炭化水素系高 分子電解質がさらに好ましい。ここで、「炭 化水素系高分子電解質」とは、フッ素原子の 含有量が低い、または全く含まないイオン交 換体をいう。具体的には、高分子電解質全体 に対するフッ素原子の含有量が15質量%以下の ものをいう。

 また、上記に例示した(C)及び(E)の高分子 解質のうち、ブロック共重合体にスルホン 基が導入されているものが特に好ましい。

 なお、上記のブロック共重合体は、イオ 交換基(スルホン酸基等)を有するブロック 、イオン交換基を実質的に有しないブロッ とを有する。これらのブロックを一つずつ するブロック共重合体、及びいずれか一方 ブロックを2つ以上有するブロック共重合体 いずれも用いることができる。また、両方 ブロックを2つ以上有するマルチブロック共 重合体も用いることができる。ここで前記イ オン交換基を有するブロックは、当該ブロッ クを構成する繰返し単位1個あたり好ましく 平均0.5個以上のイオン交換基を含むブロッ を意味し、繰返し単位1個あたり平均1.0個以 のイオン交換基を含むと、より好ましい。 方、前記イオン交換基を実質的に有しない ロックとは、当該ブロックを構成する繰返 単位1個あたり平均0.5個未満のイオン交換基 を有するブロックを意味し、繰返し単位1個 たり平均0.1個以下であるとより好ましく、 均0.05個以下であるとさらに好ましい。

(触媒物質)
 アノード触媒層20~24及びカソード触媒層30に 含まれる触媒物質としては、従来の固体高分 子形燃料電池において用いられている触媒物 質を用いることができる。具体的には、白金 、白金-ルテニウム合金のような貴金属類や 錯体系電極触媒(例えば、高分子学会燃料電 材料研究会編、「燃料電池と高分子」、103~ 112頁、共立出版、2005年11月10日発行、参照)を 例示することができる。

 アノード触媒層20~24及びカソード触媒層30 は、水素イオン及び電子の輸送を容易にする 観点から、担体として上述の触媒物質を表面 に担持させた導電性材料を含有することが好 ましい。導電性材料としては、カーボンブラ ックやカーボンナノチューブなどの導電性カ ーボン材料、酸化チタンなどのセラミック材 料などが挙げられる。なかでも、比表面積が 大であることから触媒物質を担持しやすい導 電性カーボン材料を担体として用いると、特 に好ましい。

 アノード触媒層20~24及びカソード触媒層30 は、上記の担体としての導電性カーボン材料 のほかに、層イオン交換容量を調整するため に、別途導電性カーボン材料を含むことがで きる。例えば、アノード触媒層20を構成する オン交換層20a、20bにおいて、イオン交換層2 0aの導電性カーボン材料含有量をイオン交換 20bよりも多くすることによって、イオン交 層20aの層イオン交換容量をイオン交換層20b りも低くすることができる。層イオン交換 量を調整するための導電性カーボン材料と ては、活性炭、カーボンブラック、グラフ イトなどのカーボン粒子をカルボキシル化 物で処理してカルボキシル化したカーボン 料又はスルホン化物で処理してスルホン化 たカーボン材料(以下、併せて「イオン交換 性カーボン材料」という。)が挙げられる。

 アノード触媒層20~24及びカソード触媒層30 は、その他に、活性炭、ゼオライト、シリカ ゲル、活性白土、層状リン酸塩等の多孔質粒 子にアルカリ性物質や酸性物質を含ませたイ オン交換性フィラーを含むことができる。

(高分子電解質膜)
 高分子電解質膜10は高分子電解質を含有す 。この高分子電解質として、上述の触媒層 適用されるイオン交換体として例示した高 子電解質を用いることができる。実用的に れた膜電極接合体であるためには、高分子 解質膜10は機械的強度や耐熱性に優れている ことが好ましい。かかる観点から、高分子電 解質膜10は炭化水素系高分子電解質からなる 分子電解質膜であることが好ましい。また 高分子電解質としては、高い発電性能と膜 耐久性とを両立させる観点から、上述のイ ン交換体の中でも、上記(C)及び(E)のイオン 換体が好ましい。また、上記(E)のブロック 重合体にスルホン酸基を導入した構造を有 、高分子主鎖が芳香環を有するものがより ましく、スルホン酸基を有するブロックと オン交換基を実質的に有さないブロックと らなるブロック共重合体がさらに好ましい

 高分子電解質として用いられる上記(E)の ロック共重合体としては、特開2001-250567号 報に記載されているスルホン化された芳香 ポリマーブロックを有するブロック共重合 、並びに特開2003-31232号公報、特開2004-359925 公報、特開2005-232439号公報、及び特開2003-1131 36号公報等に記載されている、ポリエーテル トン及び/又はポリエーテルスルホンを主鎖 構造とするブロック共重合体を挙げることが できる。

 なお、高分子電解質膜10は、上述の高分 電解質の他に、イオン伝導性を著しく低下 せない範囲で他の成分を含んでいてもよい このような他の成分としては、通常の高分 に使用される可塑剤、安定剤、離型剤、保 剤等の添加剤が挙げられる。特に、ラジカ 耐性を付与し得る安定剤は、固体高分子形 料電池の高分子電解質膜の劣化をも抑制し ることから、好ましく用いられる。このよ な安定剤としては、酸化セリウム、タング テンルテニウムなどの金属酸化物が挙げら る。

 また、高分子電解質膜の機械的強度を向 させるため、イオン交換体と所定の支持体 を複合化した複合膜を用いることもできる 支持体としては、フィブリル形状や多孔膜 状等の基材が挙げられる。

(ガス拡散層)
 アノード側ガス拡散層40及びカソード側ガ 拡散層50としては公知のものを用いることが できる。具体的には、カーボンなどの導電性 材料からなる多孔質材料で形成されたものを 用いることができる。例えば、多孔質性のカ ーボン織布又はカーボンペーパーが燃料ガス や酸化剤ガスを触媒層へと効率的に輸送でき るため好ましく用いられる。

(セパレータ)
 アノード側セパレータ60及びカソード側セ レータ70としては公知のものを用いることが できる。具体的には、具体的にはカーボン、 樹脂モールドカーボン、チタン、ステンレス 等で形成されたものを用いることができる。

 次に、本発明の好適な実施形態にかかる 電極接合体、膜電極ガス拡散層接合体及び 体高分子形燃料電池の製造方法について説 する。なお、ここでは、図2に示す第二の実 施形態の上記一般式(1)を満たす膜電極接合体 2、膜電極ガス拡散層接合体82及び固体高分子 形燃料電池200の製造方法を説明する。

 本実施形態に係る膜電極接合体2を製造す る方法は、イオン交換層としての層イオン交 換容量が、高分子電解質膜に近接するにつれ て小さくなるように、イオン交換体と触媒と を含有する触媒インクから形成されるイオン 交換層22a~22dを高分子電解質膜10の主面上に順 次積層させることにより、高分子電解質膜10 主面上にアノード触媒層22を形成させる触 層形成工程を有する。以下、工程について 詳細に説明する。

(触媒インクの調製)
 まず、触媒物質及びイオン交換体を溶媒中 混合して、触媒インクを調製する。混合方 は、超音波分散装置、ホモジナイザー、ボ ルミル、遊星ボールミル、サンドミル等の 知の方法を用いることができる。

 触媒インクは層イオン交換容量の異なる4 種類のイオン交換層22a,22b,22c,22dを形成するた め、少なくとも4種類の触媒インク1,2,3,4を調 する必要がある。

 イオン交換層22a~22dの層イオン交換容量に は、上記一般式(1)の関係が成立する。形成さ れるイオン交換層22a~22dの層イオン交換容量 調整は、触媒インク1~4の調製において、共 のイオン交換体を用い、触媒インク中の全 形分に対するイオン交換体の比率を変更す こと(A法)、又は触媒インク中の全固形分に するイオン交換体の比率を変更せずに、各 媒インクに異なるイオン交換容量を示すイ ン交換体を含有させること(B法)により行う とができる。

 A法では、上述のとおり、それぞれ同じイ オン交換体を用いて触媒インク1~4を調製する 。具体的には、触媒インク中の全固形分に対 するイオン交換体の割合が、触媒インク1,2,3, 4の順に高くなるように調整する。これによ て、イオン交換層22a形成用の触媒インク1、 オン交換層22b形成用の触媒インク2、イオン 交換層22c形成用の触媒インク3、イオン交換 22d形成用の触媒インク4を調製することがで る。

 B法では、異なるイオン交換容量を示すイ オン交換体を用いて触媒インク1~4を調製する 。異なるイオン交換容量を示すイオン交換体 を製造する容易さからも、上述の高分子電解 質をイオン交換体として使用するのが有利で あり、(a)予め、イオン交換基を導入できる部 位を有する高分子を製造し、この高分子に反 応剤との反応によってイオン交換基を導入す るか、又は(b)イオン交換基を有する化合物を モノマーとして使用し、該モノマーを重合す ることによって製造することができる。

 ここで、上述の(a)の方法で高分子電解質 製造する場合、高分子に対する反応剤(スル ホン化剤など)の使用量の比率を調整するこ によって、形成するイオン交換層の層イオ 交換容量を調整することができる。また、 述の(b)の方法で高分子電解質を製造する場 、イオン交換基を有するモノマーが誘導す イオン交換体の繰返し単位のモル質量とイ ン交換基数とから、形成するイオン交換層 層イオン交換容量を容易に調整することが きる。また、イオン交換基を有さないコモ マーを併用して共重合する際には、イオン 換基を有さない繰返し単位と、イオン交換 を有する繰返し単位との共重合比率により オン交換容量を調整することができる。

 このようにして調製した高分子電解質の ち、最も低いイオン交換容量を示すものを いて触媒インク1を、次に低いイオン交換容 量を示すものを用いて触媒インク2を、その に低いイオン交換容量を示すものを用いて 媒インク3を、最も高いイオン交換容量を示 ものを用いて触媒インク4を調製することが できる。これによって、イオン交換層22a~22d 形成できる触媒インク1~4を調製することが きる。

 上述のA法、B法のどちらかを単独で又は れらを組み合わせて、所望のイオン交換容 を示す触媒インク1~4を調製することができ 。これらのうち、本実施形態においては、B 、すなわち異なるイオン交換容量を示すイ ン交換体を用いて触媒インク1~4を調製する とが好ましい。これは、触媒インクに含ま るイオン交換体の含有量を変更すると、形 されるイオン交換層におけるガス拡散性が 動する傾向があるためである。

 触媒インクに含有される触媒物質として 、上述のとおり、白金、白金-ルテニウム合 金のような貴金属類や、錯体系電極触媒を用 いるが、これらは、そのまま触媒インク1~4に 混合することができる。なお、触媒物質を触 媒層に均一に分散させる観点から、触媒を表 面に担持させた導電性カーボン材料を、触媒 インク1~4に混合することが好ましい。

 それぞれの触媒インクにおいて、触媒物 を前記担体に担持させた触媒担持体を用い 場合、触媒インク中の担体とイオン交換体 が適切な割合で存在することが、電極反応 効率よく生起させる上で重要である。すな ち、イオン交換体に対して担体の質量比が すぎると、イオン伝導性が低下する傾向が り、逆に高すぎると、触媒活性が低下した 、電子の伝導性が低下したりする。具体的 は、担体の質量に対するイオン交換体の質 の比は、0.05~1.0であることが好ましい。

 また、それぞれの触媒インク全体に対す 触媒物質の含有量は、コストの観点から、0 .1~40質量%であることが好ましい。

 触媒インク1~4に用いる溶媒としては水、 水性有機溶媒(例えば、アルコールなど)又 これらの混合溶媒を用いることができる。 れらを溶媒とする触媒インクは、高分子電 質膜10に直接塗布する際に、該高分子電解質 膜を著しく損なわないという利点がある。こ のうち、揮発性の高さの観点から、水、エタ ノール、及び水とエタノールの混合溶媒が好 ましい。

 触媒インク1~4は、上記の成分に加えて、 の他の成分を含有することができる。例え 、触媒層の撥水性を高めるために、ポリテ ラフルオロエチレン等の撥水材を含有する とができる。また、触媒層中のガス拡散性 高めるために、炭酸カルシウム等の造孔材 含有することができる。さらに、得られるM EA2の耐久性を高めるために、金属酸化物等の 安定剤などを含有することができる。なお、 これらの成分は、触媒物質、イオン交換体及 び溶媒と共に上述の公知の方法によって混合 することができる。

 なお、カソード触媒層30形成用の触媒イ クとしては、上述の触媒インク1~4のいずれ 、上述と同様の方法によって調製した触媒 ンク、又は公知の触媒インクを挙げること できる。

 また、上述の通り調製されるイオン交換 は、高分子電解質膜10形成用の高分子電解 としても用いることが好ましい。これによ て、触媒インク1~4のイオン交換体と高分子 解質膜10の高分子電解質とを併せて調製する ことができる。なお、高分子電解質膜10を形 する高分子電解質のイオン交換容量は、高 子電解質膜のイオン伝導性、耐水性及び機 的・熱的安定性等の耐久性を考慮して決定 ることが好ましい。

(触媒層の形成)
 触媒インクを調製した後、高分子電解質膜1 0の主面上にイオン交換層22a~22dからなるアノ ド触媒層22を形成する。アノード触媒層22の 形成は、上述の通り調製した触媒インク1~4を 用いた溶液キャスト法により行うことができ る。

 まず、高分子電解質膜10の主面上に触媒 ンク1を塗布し、熱処理によって触媒インク1 に含まれる溶媒及び揮発成分を除去してイオ ン交換層22aを形成する。熱処理条件は、50~100 ℃、0.1~1時間とすることができる。なお、熱 理条件は、触媒インク1に含まれる溶媒及び 揮発物質の種類及び量、高分子電解質膜10の 質等に応じて、適宜調整することができる また、熱処理と併せて、又は熱処理に代え 通風処理を行ってもよい。

 触媒インク1を塗布する方法としては、触 媒インクを噴霧する方法(例えばスプレー法) ローラーコート法、グラビアコート法、ナ フコート法、ブレードコート法又はスクリ ン印刷法のような公知の方法を用いること できる。このうち、面内均一性に優れる触 層を形成する観点から、触媒インクを噴霧 るスプレー法が好ましい。

 スプレー法とは、液体状の触媒インクを 縮気体の噴出力によって噴射することによ 、微粒子状の触媒インクを生成して高分子 解質膜10の主面上等に付着させる方法をい 。スプレー法としては、特開2004-089976号公報 に記載の方法が好適に用いられる。

 次に、イオン交換層22aの高分子電解質膜1 0との接触面とは反対側の主面上に、触媒イ ク2を塗布し、熱処理によって触媒インク2に 含まれる溶媒及び揮発成分を除去してイオン 交換層22bを形成する。熱処理及び塗布方法は 、触媒インク1と同様とすることができる。

 同様にして、イオン交換層22bのイオン交 層22aとの接触面とは反対側の主面上に、触 インク3を塗布し、熱処理によって触媒イン ク3に含まれる溶媒及び揮発成分を除去して オン交換層22cを形成する。

 同様にして、イオン交換層22cのイオン交 層22bとの接触面とは反対側の主面上に、触 インク4を塗布し、熱処理によって触媒イン ク4に含まれる溶媒及び揮発成分を除去して オン交換層22dを形成する。

 このようにして、溶液キャスト法を用い ことで高分子電解質膜10の主面上に4つのイ ン交換層22a~22dが積層されたアノード触媒層 22を形成することができる。また、高分子電 質膜10のアノード触媒層22が形成された主面 とは反対側の主面にカソード触媒層30を形成 ることができる。

 カソード触媒層30は、従来から本分野で 範に使用されている通常の触媒層、すなわ 単一組成による一層構造の触媒層を形成す ことができる。このような触媒層は、上述 触媒インク1~4のいずれか、又は他の触媒イ クを用いればよい。

 カソード触媒層30は、アノード触媒層22の 形成の前後、又は同時に形成することができ 、各触媒層の形成順序は特に限定されない。 これによって、MEA2を作製することができる

 なお、本実施形態では、スプレー法を用 て説明したが、支持体上に触媒インクを塗 して支持体上に層を形成し、この層を高分 電解質膜上に熱圧着した後、支持体を除去 る方法(以下、「支持体法」と呼ぶ)を用い もよい。

 支持体法では、4つの支持体(例えば、PTFE( ポリテトラフルオロエチレン)シートなど)を 備し、各支持体に、触媒インク1~4を塗布し 熱処理を行って、イオン交換層22a~22dを形成 する。塗布方法、及び熱処理条件は、前記ス プレー法で説明した方法と同様とすることが できる。次に、イオン交換層22aを高分子電解 質膜10の主面上に熱圧着し、支持体を除去す ことができる。次に、イオン交換層22a上に オン交換層22bを積層し、イオン交換層22bか 支持体を除去することができる。同様にし 、イオン交換層22c,22dを順次積層し、アノー ド触媒層22を形成することができる。なお、 圧着は、プレス機により、100℃~200℃、5~10MP a,0.25~1.0時間の条件で行うことが好ましい。

 なお、イオン交換層22dを形成する支持体 して、例えばアノード側ガス拡散層40を形 する基材を用いれば、アノード触媒層22とア ノード側ガス拡散層40とを同時に形成するこ ができる。また、カソード触媒層50も、イ ン交換層22aと同様にして、支持体上に形成 れた層を、高分子電解質膜10の主面上(アノ ド触媒層が形成された面とは反対側の面)に 圧着し、支持体を除去することで、形成す ことができる。これによって、MEA2を作製す ることができる。

 なお、支持体法は、支持体の除去時に触 層に損傷が生じる可能性がある。一方、ス レー法は、支持体法よりもイオン交換層22a 高分子電解質膜10との接合性が優れる傾向 ある。かかる観点から、本実施形態に係る ノード触媒層22の形成には、支持体法よりも 溶液キャスト法が好ましい。

 また、第3の実施形態に係るアノード触媒 層24は、異なる層イオン交換容量を示す二種 以上の触媒インクの混合比を連続的に変更 ながら、スプレー塗布法によって高分子電 質膜10の主面上に触媒インクを連続的に塗 し、溶媒を除去することで形成することが きる。

(膜電極ガス拡散層接合体及び固体高分子形 料電池の作製)
 上述の通り作製したMEA2を用いて、膜電極ガ ス拡散層接合体82及び固体高分子形燃料電池2 00を製造することができる。MEA2のアノード触 媒層22の高分子電解質膜10と接していない主 上に、アノード側ガス拡散層40を積層するこ とができる。また、MEA2のカソード触媒層30の 高分子電解質膜10と接していない主面上にカ ード側ガス拡散層50を積層することができ 。これによって、膜電極ガス拡散層接合体82 が得られる。

 また、燃料ガスを供給するため、アノー 側ガス拡散層40のアノード触媒層22との接触 面とは反対側の主面上に燃料ガス流路62を備 たアノード側セパレータ60を積層すること できる。また、酸化剤ガスを供給するため カソード側ガス拡散層50のカソード触媒層30 の接触面とは反対側の主面上に酸化剤ガス 路72を備えたカソード側セパレータ72を積層 することができる。これによって、本実施形 態に係る固体高分子形燃料電池200を得ること ができる。

 アノード側ガス拡散層40及びカソード側 ス拡散層50のMEA2への積層方法、並びに、ア ード側セパレータ60及びカソード側セパレー タ70の膜電極ガス拡散層接合体82への積層方 としては、公知の方法を用いることができ 。

 以上、本発明の好適な実施形態について 明したが、本発明は上記実施形態に何ら限 されるものではない。

 以下、実施例及び比較例に基づき本発明 さらに具体的に説明するが、本発明は以下 実施例に何ら限定されるものではない。

(実施例1)
<イオン交換体Aの調製>
 アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えた ラスコに、DMSO(ジメチルスルホキシド)600ml トルエン200mL、2,5-ジクロロベンゼンスルホ 酸ナトリウム26.5g(106.3mmol)、末端クロロ型で るポリエーテルスルホン(住友化学株式会社 製、商品名:スミカエクセルPES5200P、数平均分 子量=5.4×10 4 、重量平均分子量=1.2×10 5 )10.0g、及び2,2’-ビピリジル43.8g(280.2mmol)を入 て攪拌した。その後、オイルバスの温度を1 50℃に昇温して、トルエンを留去しながら系 の水分を共沸脱水した後、60℃に冷却し、 ス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)73.4g(26 6.9mmol)を加えてオイルバスの温度を80℃に昇 し、同温度で5時間攪拌して反応液を得た。

 放冷後、この反応液を大量の6mol/Lの塩酸 に注ぐことによってポリマーを析出させて 該ポリマーを濾別した。その後、6mol/L塩酸 濾別したポリマーの洗浄・ろ過操作を数回 り返した後、濾液が中性になるまでポリマ の水洗を行い、さらに90℃以上の熱水で洗 してから、濾別し減圧乾燥することにより ポリアリーレン系ブロック共重合体(イオン 換体A)16.3gを得た。イオン交換体Aの数平均 子量は100000、重量平均分子量は260000であっ 。なお、本明細書中における重量平均分子 は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ (GPC)により測定し、標準ポリスチレン検量線 を用いて求められたものである。GPC分析は、 以下の条件で実施することができる。

 GPC測定装置: TOSOH社製  HLC-8220
 カラム:     Shodex社製 AT-80Mを2本直列に 続
 カラム温度:   40℃ 
 移動相溶媒:   ジメチルアセトアミド (LiB rを10mmol/dm 3 になるように添加)
 溶媒流量:    0.5mL/min

 溶液キャスト法によって、イオン交換体A から膜を形成し、加熱温度105℃に設定された ハロゲン水分率計(メトラートレド製、商品 :HR-73)を用いて、該膜の乾燥質量を求めた。 に、この膜を0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶 5mLに浸漬した後、更に50mLのイオン交換水を え、2時間放置した。その後、この膜が浸漬 された溶液を、0.1mol/Lの塩酸で中和滴定して 中和点を求めた。そして、膜の乾燥質量と 記の中和に要した塩酸の量から、膜の層イ ン交換容量(IEC,単位:meq/g)を算出した。

 上記測定の結果、イオン交換体Aから得ら れる膜の層イオン交換容量は2.3meq/gであった

<安定剤ポリマーの合成>
 溶媒としてジフェニルスルホンを用い、炭 カリウムの存在下、4,4’-ジヒドロキシジフ ェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシビフェ ル及び4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを4 :6:10のモル比にて反応させることにより、下 式(I)で表されるランダム共重合体を調製し 。なお、下記式(I)中、各繰り返し単位に付 れた「0.70」及び「0.30」は各繰り返し単位 モル比を示す。

 次いで、特開2003-282096号公報に記載の方法 準じて、前記式(I)で表されるランダム共重 体のブロモ化及びホスホン酸エステル化処 を行った後、更に加水分解することにより 前記式(I)のオキシビフェニレン構造を含む ニット1個に対してブロモ基を約0.2個、ホス ン酸基(-P(O)(OH) 2 で表される基)を約1.7個含む構造を有する添 剤(安定剤ポリマー)を得た。

<炭化水素系高分子電解質膜の作製>
 上記で得られたイオン交換体Aと添加剤との 混合物(イオン交換体A:添加剤=9:1(質量比))の 度が約15質量%となるように、シメチルスル キシド(DMSO)に溶解して、高分子電解質溶液 調製した。次いで、この高分子電解質溶液 ガラス板上に滴下した。それから、ワイヤ コーターを用いて高分子電解質溶液をガラ 板上に均一に塗り広げた。この際、ワイヤ コーターのクリアランスを変えることで、 工厚みをコントロールした。塗布後、高分 電解質溶液を80℃で常圧乾燥した。得られた 膜を1mol/Lの塩酸に浸漬した後、イオン交換水 で洗浄し、さらに常温乾燥することによって 厚さ30μmの炭化水素系高分子電解質膜を得た

<触媒インク1の調製>
 市販の5質量%ナフィオン(登録商標)溶液(ア ドリッチ社製、商品名:Nafion perfluorinated ion- exchange resin,5wt% soln in lower aliphatic alcohols/H 2 O mix、EW=1100、IEC=0.91meq/g、溶媒:水とアルコー ルとの混合溶液)6mLに白金担持カーボン(白金 持量50質量%)を0.84g混合し、さらにエタノー を13.20mL加えた。得られた混合物を1時間超 波処理した後、スターラーで5時間攪拌して 媒インク1を得た。

 なお、上記の「EW」とは、プロトン伝導 を有する交換基の当量質量(Equivalent Weight)を 表し、イオン交換基1当量あたりのイオン交 体の乾燥質量「g/ew」で表される。このEWが さいイオン交換樹脂ほど、相対的に高い親 性を有する。

 溶液キャスト法によって、触媒インク1か ら膜を形成し、加熱温度105℃に設定されたハ ロゲン水分率計(メトラートレド製、商品名:H R-73)を用いて、該膜の乾燥質量を求めた。次 、この膜を0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液5m Lに浸漬した後、更に50mLのイオン交換水を加 、2時間放置した。その後、この膜が浸漬さ れた溶液を、0.1mol/Lの塩酸で中和滴定して、 和点を求めた。そして、膜の乾燥質量と上 の中和に要した塩酸の量から、膜の層イオ 交換容量(IEC,単位:meq/g)を算出した。

 上記測定の結果、触媒インク1から得られ る膜(電極組成物)の層イオン交換容量は0.22meq /gであった。

<触媒インク2の調製>
 市販の5質量%ナフィオン(登録商標)溶液(ア ドリッチ社製、商品名:Nafion perfluorinated ion- exchange resin,5wt% soln in lower aliphatic alcohols/H 2 O mix、EW:1100、イオン交換容量:0.91meq/g、溶媒: 水とアルコールとの混合溶液)6.30gに白金担持 カーボン(白金担持量50質量%)を1.00g混合し、 らに水を6.36g、エタノールを43.66g加えて混合 物を得た。得られた混合物の超音波処理を1 間行った後、スターラーで5時間攪拌して触 インク2を得た。

 触媒インク1と同様にして、膜を作製して 層イオン交換容量(IEC,単位:meq/g)を算出した。 その結果、触媒インク2から得られる膜(電極 成物)の層イオン交換容量は0.22meq/gであった 。

<触媒インク3の調製>
 1.0gの前記炭化水素系高分子電解質膜を、N- チルピロリドン(NMP)99gに溶解させて溶液100g 作製した。次に、900gの水を攪拌しながら、 該溶液を徐々に滴下して高分子電解質とNMPと 水との混合物を得た。この混合物を浸透膜( 光純薬(株)製、商品名:UC36-32-100:分画分子量14 ,000)に封入し、72時間流水で洗浄した。その 、この混合物を浸透膜から取り出し、エバ レータを用いて温度60℃、圧力50mTorrの条件 、50gになるまで濃縮して高分子電解質エマ ション1を得た。この高分子電解質エマルシ ン1の平均粒径を濃厚系粒径アナライザー( 塚電子社製、商品名:FPAR-1000)で測定したとこ ろ、101μmであった。また、得られた高分子電 解質エマルションの溶媒組成を分析したとこ ろ、99.9質量%以上が水であった。

 5質量%ナフィオン(登録商標)溶液6.30gに代 て、上記の高分子電解質エマルション1を10g 用いたこと以外は、触媒インク2と同様にし 、触媒インク3を作製した。

 触媒インク1と同様にして、膜を作製して 層イオン交換容量(IEC,単位:meq/g)を算出した。 その結果、触媒インク3から得られる膜(電極 成物)の層イオン交換容量は0.38meq/gであった 。

<MEAの作製>
 次に、MEAを以下の通り作製した。まず、上 の通り作製した炭化水素系高分子電解質膜 一方の主面(触媒層が形成される面)におい 、主面中央部の5.2cm角の領域に、大型パルス スプレイ触媒形成装置(ノードソン社製、ス レイガン型式:NCG-FC(CT))を用いて、上記の触 インク1を塗布した。

 スプレー法の塗布条件は、吐出口から膜ま の距離は6cm、ステージ温度は75℃に設定し 。この塗布した触媒インク1上に、同様の塗 条件で触媒インク1の重ね塗りを行い(塗布 数:合計8回)、ステージ上に静置することで 媒を除去してカソード触媒層を形成した。 媒インク1の組成と塗布した触媒インク1の質 量とカソード触媒層のサイズとからカソード 触媒層の白金量を計算した。その結果、カソ ード触媒層の白金量は0.60mg/cm 2 であった。

 続いて、炭化水素系高分子電解質膜のもう 方の主面にも同様に触媒インク2を塗布して 、イオン交換層Aを形成し、さらにイオン交 層Aの上に触媒インク3を塗布してイオン交換 層Bを形成することにより、炭化水素系高分 電解質膜の主面上に、イオン交換層A及びイ ン交換層Bがこの順で積層されたアノード触 媒層を作製した。各触媒インクの組成と塗布 した触媒インクの質量と層のサイズとから、 イオン交換層A及びイオン交換層Bの白金量を れぞれ計算した。その結果、イオン交換層A 及びイオン交換層Bの白金量は、ともに0.08mg/c m 2 であった。

 なお、アノード触媒層を構成するイオン交 層A及びイオン交換層Bの層イオン交換容量 、それぞれ0.22meq/g、0.38meq/gであることから 層イオン交換容量が最小である層(イオン交 層A、I min )に対する層イオン交換容量が最大である層( オン交換層B、I max )の、両者の層イオン交換容量の比(I max /I min )は1.73である。

<固体高分子形燃料電池評価セルの組立て&g t;
 次に、市販のJARI標準セルを用いて、以下の 通り固体高分子形燃料電池セルを組み立てた 。まず、上記の通り作製したMEAの両触媒層の 炭化水素系高分子電解質膜と接触している面 とは反対側の面上に、MEAを挟むようにして、 ガス拡散層であるカーボンクロスと、ガス通 路用の溝を切削加工したカーボン製セパレー タと、集電体と、エンドプレートとを内側か らこの順に各一対ずつ積層し、これらをボル トで締め付けることによって、有効膜面積25c m 2 の固体高分子形燃料電池セルを組み立てた。

<固体高分子形燃料電池評価>
 この固体高分子形燃料電池セルを80℃に保 ながら、アノード触媒層側に加湿水素、カ ード触媒層側に加湿空気をそれぞれ供給し 。この際、固体高分子形燃料電池セルのア ード触媒層側及びカソード触媒層側のセパ ータのガス出口における背圧が0.1MPaGとなる うにした。各原料ガス(水素及び空気)の加 は、水を封入したバブラーに各原料ガスを すことで行った。水素用バブラーの水温は45 ℃、空気用バブラーの水温は55℃、水素のガ 流量は529mL/min、空気のガス流量は1665mL/minと した。この条件の下、固体高分子形燃料電池 セルの電圧が0.4Vとなるときの電流密度の値 測定したところ、1.71A/cm 2 であった。また、電流密度が1.5A/cm 2 となるときの固体高分子形燃料電池セルの抵 抗値を測定したところ4.4mωであった。

(比較例1)
<イオン交換体Bの調製>
 アルゴン雰囲気下、還流用冷却管を備えた ラスコに、キシレン8.47gを入れ、オイルバ 中で90℃まで昇温した。次いで、スチレン4.4 7g、アクリロニトリル4.02g、及び過酸化ベン イル0.014gの混合物を、2時間かけてキシレン 入ったフラスコ中に滴下した。滴下終了後 90℃で2時間撹拌してフラスコを室温まで徐 に冷却して反応液を得た。この反応液をメ ノール200g中に注いで、ポリマーを析出させ た。析出したポリマーを濾過して回収し、メ タノールで洗浄して80℃で乾燥し、ポリ(アク リロニトリル-スチレン)共重合体を7.92g得た ポリ(アクリロニトリル-スチレン)共重合体 重量平均分子量は170000であった。

 アルゴン雰囲気下、還流用冷却管を備え フラスコに、1,2-ジクロロエタンを20mL、上 のポリ(アクリロニトリル-スチレン)共重合 を1.00g入れ、オイルバス中で60℃まで昇温し ポリ(アクリロニトリル-スチレン)共重合体 溶解した。次いで、クロロスルホン酸0.56g フラスコ中に5分間かけて滴下し、60℃で1時 撹拌した後、フラスコを室温まで徐々に冷 し、得られた反応液を氷水200g中に注いで、 ポリマーを析出させた。析出したポリマーを 濾過して回収し、水200g中に1時間浸漬させた 、大量の水で洗浄し、80℃で乾燥すること よりスルホン化ポリ(アクリロニトリル-スチ レン)共重合体(イオン交換体B)を1.25g得た。

 また、イオン交換体Aと同様にして、イオ ン交換体Bを用いて膜を形成して、層イオン 換容量を求めた。その結果、イオン交換体B ら形成される膜の層イオン交換容量は1.56meq /gであった。

<触媒インク4の調製>
 エタノールと水との混合溶媒(体積比 エタ ール:水=1:1)中にイオン交換体Bを1質量%の濃 で混合した。得られた混合液10.00g、白金担 カーボン(白金担持量50質量%)0.50g、水2.10g及 エタノール14.20gを混合した。得られた混合 を1時間超音波処理した後、スターラーで5 間攪拌して触媒インク4を得た。

 触媒インク1と同様にして、膜を作製して 層イオン交換容量(IEC,単位:meq/g)を算出した。 その結果、触媒インク4から得られる膜(電極 成物)の層イオン交換容量は0.26meq/gであった 。

<MEAの作製>
 触媒インク3を触媒インク4に替えたこと以 は、実施例1と同様にしてMEAを作製した。な 、アノード触媒層を構成するイオン交換層A 及びイオン交換層Bの層イオン交換容量は、 れぞれ0.22meq/g、0.26meq/gであることから、I max /I min は1.18である。

<固体高分子形燃料電池セルの組立て及び 体高分子形燃料電池評価>
 上述のMEAを用いて、実施例1と同様にして固 体高分子形燃料電池セルを組み立てて固体高 分子形燃料電池セルの評価を行った。固体高 分子形燃料電池セルの電圧が0.4Vとなるとき 電流密度の値を測定したところ、1.40A/cm 2 であった。また、電流密度が1.5A/cm 2 となるときの固体高分子形燃料電池セルの抵 抗値を測定したところ6.1mωであった。

(比較例2)
<触媒インク5の調製>
 触媒インク2の調製における5質量%ナフィオ (登録商標)溶液に代えて、5質量%ナフィオン (登録商標)溶液(アルドリッチ社製、商品名:Na fion perfluorinated ion-exchange resin,5wt% soln in lo wer aliphatic alcohols/H 2 O mix、EW:1000、イオン交換容量:1.0meq/g)を用い こと以外は、触媒インク2と同様にして触媒 インク5を作製した。

 触媒インク1と同様にして、膜を作製して 層イオン交換容量(IEC,単位:meq/g)を算出した。 その結果、触媒インク5から得られる膜(電極 成物)の層イオン交換容量は0.24meq/gであった 。

<MEAの作製>
 触媒インク2に代えて、上記の通り作製した 触媒インク5を用いたこと以外は、実施例1と 様にしてMEAを作製した。なお、このMEAにお て、アノード触媒層を構成するイオン交換 A及びイオン交換層Bの層イオン交換容量は それぞれ0.24meq/g、0.38meq/gであることから、I max /I min は1.58である。

<固体高分子形燃料電池セルの組立て及び 体高分子形燃料電池評価>
 上述のMEAを用いて、実施例1と同様にして固 体高分子形燃料電池セルを組み立てて固体高 分子形燃料電池セルの評価を行った。固体高 分子形燃料電池セルの電圧が0.4Vとなるとき 電流密度の値を測定したところ、1.58A/cm 2 であった。また、電流密度が1.5A/cm 2 となるときの固体高分子形燃料電池セルの抵 抗値を測定したところ5.1mωであった。

(比較例3)
<触媒インク6の調製>
 市販の5質量%ナフィオン(登録商標)溶液(ア ドリッチ社製、商品名:Nafion perfluorinated ion- exchange resin,5wt% soln in lower aliphatic alcohols/H 2 O mix、EW:1000、イオン交換容量:1.0meq/g)6.30gに 金担持カーボン(白金担持量50質量%)を1.00g投 し、さらに水を6.46g、エタノールを55.35g加 た。得られた混合物を1時間超音波処理した に、スターラーで5時間攪拌して触媒インク 6を得た。

 触媒インク1と同様にして、膜を作製して 層イオン交換容量(IEC,単位:meq/g)を算出した。 その結果、触媒インク6から得られる膜(電極 成物)の層イオン交換容量は0.24meq/gであった 。

<MEAの作製>
 触媒インク1に代えて触媒インク4を用いて 化水素系高分子電解質膜の主面上にカソー 触媒層を形成し、触媒インク2及び3に代えて 触媒インク6を用いて炭化水素系高分子電解 膜のもう一方の主面上にアノード触媒層を 成したこと以外は、実施例1と同様にしてMEA 作製した。触媒インク4の組成と塗布した触 媒インク4の質量とカソード触媒層のサイズ らの計算によれば、カソード触媒層の白金 は0.60mg/cm 2 であった。一方、触媒インク6の組成と塗布 た触媒インク6の質量とアノード触媒層のサ ズとからの計算によれば、カソード触媒層 白金量は0.16mg/cm 2 であった。

 なお、このMEAにおいて、アノード触媒層は 層であり、その層イオン交換容量は0.24meq/g ある。アノード触媒層全体において、層イ ン交換容量は同一であるため、I max /I min は1.0である。

<固体高分子形燃料電池セルの組立て及び 体高分子形燃料電池評価>
 上述のMEAを用いて、実施例1と同様にして固 体高分子形燃料電池セルを組み立てて固体高 分子形燃料電池セルの評価を行った。固体高 分子形燃料電池セルの電圧が0.4Vとなるとき 電流密度の値を測定したところ、1.52A/cm 2 であった。また、電流密度が1.5A/cm 2 となるときの固体高分子形燃料電池セルの抵 抗値を測定したところ6.0mωであった。

 複数のイオン交換層からなるアノード触媒 を備える固体高分子形燃料電池において、 化水素系高分子電解質膜側に備えられるイ ン交換層Aの層イオン交換容量(I min )に対するアノード拡散層側に備えられるイ ン交換層Bの層イオン交換容量(I max )の比(I max /I min )が1.7以上である実施例1は、電流密度が高く ル抵抗が低いことから発電性能に優れてい 。I max /I min が1.7より小さい比較例1及び比較例2では、実 例1より電流密度が低く、セル抵抗が高いこ とから、発電性能が低い。比較例1及び比較 2の電流密度はアノード触媒層が単層である 較例3とほぼ同等であった。

 また、アノード触媒層のイオン交換層Bに含 有されるイオン交換体のイオン交換容量(I b )とイオン交換層Aに含有されるイオン交換体 イオン交換容量(I a )との比[(I b )/(I a )]が2.4以上である実施例1はセル抵抗が低く、 電流密度が高い。(I b )/(I a )が2.4より小さい複数のアノード触媒層を備 る比較例1及び比較例2の電流密度は、アノー ド触媒層が単層である比較例3とほぼ同等で った。 

 図4は、アノード触媒層I max /I min -電流密度関係を示すグラフである。図4に示 とおり、アノード触媒層のI max /I min が1.73である実施例1は、比較例1~3よりも電流 度が高いことから、発電性能に優れている また、図4に示すように、I max /I min を2.0以上とすることによって、一層高い発電 性能が得られ、発電性能に一層優れる固体高 分子形燃料電池を得ることができる。また、 I max /I min を2.4以上とすることによって、より一層高い 発電性能が得られ、発電性能により一層優れ る固体高分子形燃料電池を得ることができる 。

 本発明によれば、発電性能が十分に優れ 容易に製造可能な膜電極接合体、並びにこ を備える膜-電極-ガス拡散層接合体及び固 高分子型燃料電池を提供することができる