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Patent Searching and Data


Title:
FILM OF FLUORESCENT-SUBSTANCE FINE PARTICLES, PROCESS FOR PRODUCING THE SAME, AND DISPLAY, PHOTOSENSITIVE MATERIAL, AND SENSOR EACH EMPLOYING FILM OF FLUORESCENT-SUBSTANCE FINE PARTICLES
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/149934
Kind Code:
A9
Abstract:
A film of fluorescent-substance fine particles which can be formed in any desired thickness on any desired base without impairing functions inherent in the fluorescent-substance fine particles; a process for producing the film; and a display, photosensitive material, and sensor each employing the film of fluorescent-substance fine particles. The film (1) of fluorescent-substance fine particles comprises: a base (14) coated with a coating film formed from a first film-forming compound having a first functional group; and one fluorescent-substance fine-particle layer constituted of reactive fluorescent-substance fine particles (42) arranged in order each coated with a coating film formed from a first coupling agent having a first coupling reaction group which forms a bond by coupling reaction with the first functional group, the fluorescent-substance fine-particle layer being bonded and fixed to the coating surface of the base (14) through bonds formed by the coupling reaction of the first functional group with the first coupling reaction group. Alternatively, the film (1) further includes a layer of fluorescent-substance fine particles (24) each coated with a coating film of a film-forming compound which reacts with the first coupling reaction group and a layer of reactive fluorescent-substance fine particles (42), the layer of the particles (24) and the layer of the particles (42) being alternately bonded and fixed over that fluorescent-substance fine-particle layer.

Inventors:
OGAWA KAZUFUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/060368
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
June 05, 2008
Export Citation:
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Assignee:
OGAWA KAZUFUMI (JP)
International Classes:
C09K11/02; C09K11/00; C09K11/08; C09K11/56; H01J9/22; H01J9/227; H01J11/02; H01J29/20; H01J61/44
Attorney, Agent or Firm:
INABA, Yoshiyuki et al. (Roppongi Hills Mori Tower 6-10-1, Roppongi, Minato-k, Tokyo 23, JP)
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Claims:
 第1の官能基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された基材の表面に、第2の官能基を有する第2の膜化合物の形成する被膜で被覆された蛍光体微粒子が配列した蛍光体微粒子層が1層結合固定された蛍光体微粒子膜であって、
 前記被覆された蛍光体微粒子は、前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤と、前記第1及び前記第2の官能基とのカップリング反応により形成された結合を介して前記被覆された基材上に固定されていることを特徴とする蛍光体微粒子膜。
 請求の範囲第1項記載の蛍光体微粒子膜において、前記基材の表面に前記第1の膜化合物の形成する被膜の表面は、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応により結合した前記第1のカップリング剤の形成する被膜でさらに被覆されていることを特徴とする蛍光体微粒子膜。
 請求の範囲第1項記載の蛍光体微粒子膜において、前記蛍光体微粒子の表面に前記第2の膜化合物の形成する被膜の表面は、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合した前記第1のカップリング剤の形成する被膜でさらに被覆されていることを特徴とする蛍光体微粒子膜。
 請求の範囲第1項に記載の蛍光体微粒子膜において、前記第1の膜化合物と前記第2の膜化合物とが同一の化合物であることを特徴とする蛍光体微粒子膜。
 請求の範囲第1項に記載の蛍光体微粒子膜において、前記第1及び第2の膜化合物の形成する被膜の一方又は双方が単分子膜であることを特徴とする蛍光体微粒子膜。
 請求の範囲第2項記載の蛍光体微粒子膜において、前記被覆された基材上には、前記蛍光体微粒子層が前記被覆された基材側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順次積層しており、
 奇数番目の前記蛍光体微粒子層を形成している蛍光体微粒子の表面は、前記第2の膜化合物の形成する被膜で被覆されており、
 偶数番目の前記蛍光体微粒子層を形成している蛍光体微粒子の表面は、第3の官能基を有する第3の膜化合物の形成する被膜で被覆され、少なくとも1の前記第2のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する少なくとも1の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤の形成する被膜によりさらにその表面が被覆されており、
 前記各蛍光体微粒子層は、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合、及び前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに固定されていることを特徴とする蛍光体微粒子膜。
 請求の範囲第6項記載の蛍光体微粒子膜において、前記第1~第3の膜化合物、並びに前記第1及び第2のカップリング剤がそれぞれ同一の化合物であることを特徴とする蛍光体微粒子膜。
 請求の範囲第6項に記載の蛍光体微粒子膜において、前記第1~第3の膜化合物が形成する被膜が全て単分子膜であることを特徴とする蛍光体微粒子膜。
 請求の範囲第3項記載の蛍光体微粒子膜において、前記被覆された基材上には、前記蛍光体微粒子層が前記被覆された基材側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順次積層しており、
 奇数番目の前記蛍光体微粒子層を形成している蛍光体微粒子の表面は、前記第2の膜化合物の形成する被膜で被覆され、前記第1のカップリング剤の形成する被膜によりさらにその表面が被覆されており、
 偶数番目の前記蛍光体微粒子層を形成している蛍光体微粒子の表面は、第3の官能基を有する第3の膜化合物の形成する被膜で被覆されており、
 前記各蛍光体微粒子層は、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合、及び前記第3の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応により形成された結合を介して互いに固定されていることを特徴とする蛍光体微粒子膜。
 請求の範囲第9項記載の蛍光体微粒子膜において、前記第1~第3の膜化合物が同一の化合物であることを特徴とする蛍光体微粒子膜。
 請求の範囲第9項に記載の蛍光体微粒子膜において、前記第1~第3の膜化合物が形成する被膜がいずれも単分子膜であることを特徴とする蛍光体微粒子膜。
 請求の範囲第1項に記載の蛍光体微粒子膜において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基又はイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN-CH 2 CH(OH)結合であることを特徴とする蛍光体微粒子膜。
 請求の範囲第1項に記載の蛍光体微粒子膜において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基又はイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH-CONH結合であることを特徴とする蛍光体微粒子膜。
 分子の両端にそれぞれ第1の官能基及び第1の結合基を有する第1の膜化合物の形成する被膜で被覆された基材の表面に、分子の両端にそれぞれ第2の官能基及び第2の結合基を有する第2の膜化合物の形成する被膜で被覆された蛍光体微粒子が配列した蛍光体微粒子層が1層結合固定された蛍光体微粒子膜の製造方法であって、
 前記第1の膜化合物を含む溶液を前記基材の表面に接触させ、前記第1の結合基と前記基材の表面との間で結合を形成させ、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記基材の表面が被覆された被覆基材を調製する工程Aと、
 前記第2の膜化合物を含む溶液を前記蛍光体微粒子の表面に接触させ、前記第2の結合基と前記蛍光体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する被膜で前記蛍光体微粒子の表面が被覆された第1の被覆蛍光体微粒子を調製する工程Bと、
 前記第1の官能基とカップリング反応して結合を形成する1又は2以上の第1のカップリング反応基と、前記第2の官能基とカップリング反応して結合を形成する1又は2以上の第2のカップリング反応基とを有する第1のカップリング剤を、前記被覆基材及び前記第1の被覆蛍光体微粒子の表面にそれぞれ接触させ、前記第1の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応、及び前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の被覆蛍光体微粒子が配列した1層の前記蛍光体微粒子層を、前記被覆基材の表面に結合固定し、次いで、前記被覆基材の表面に固定されなかった前記第1の被覆蛍光体微粒子を除去する工程Cとを有することを特徴とする蛍光体微粒子膜の製造方法。
 請求の範囲第14項記載の蛍光体微粒子膜の製造方法において、前記工程Cでは、前記第1のカップリング剤を、まず、前記被覆基材の表面に接触させ、該第1のカップリング剤の被膜を有する反応性基材を調製し、次いで、該反応性基材の表面に前記第1の被覆蛍光体微粒子を接触させ、該反応性基材の表面に前記第1の被覆蛍光体微粒子を固定することを特徴とする蛍光体微粒子膜の製造方法。
 請求の範囲第14項記載の蛍光体微粒子膜の製造方法において、前記工程Cでは、まず、前記第1の被覆蛍光体微粒子の表面に前記第1のカップリング剤を接触させ、前記第1のカップリング剤の被膜を有する第1の反応性蛍光体微粒子を調製し、次いで、該第1の反応性蛍光体微粒子の表面を前記被覆基材と接触させ、該被覆基材の表面に前記第1の反応性蛍光体微粒子を固定することを特徴とする蛍光体微粒子膜の製造方法。
 請求の範囲第14項に記載の蛍光体微粒子膜の製造方法において、前記第1の膜化合物と前記第2の膜化合物とが同一の化合物であることを特徴とする蛍光体微粒子膜の製造方法。
 請求の範囲第14項に記載の蛍光体微粒子膜の製造方法において、前記工程A及び前記工程Bにおいて、未反応の前記第1及び第2の膜化合物は洗浄除去され、前記被覆基材及び前記第1の被覆蛍光体微粒子の表面で前記第1及び第2の膜化合物がそれぞれ形成する被膜は、単分子膜であることを特徴とする蛍光体微粒子膜の製造方法。
 請求の範囲第15項記載の蛍光体微粒子膜の製造方法において、前記基材上には、前記蛍光体微粒子層が前記基材側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順次積層した蛍光体微粒子膜の製造方法であって、
 分子の両端にそれぞれ第3の官能基及び第3の結合基を有する第3の膜化合物を含む溶液を前記蛍光体微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記蛍光体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第3の膜化合物の形成する被膜で表面が被覆された第2の被覆蛍光体微粒子を被覆し、次いで、前記第2の被覆蛍光体微粒子の表面に、前記第2のカップリング反応基と、前記第3の官能基とカップリング反応して結合を形成する1又は2以上の第3のカップリング反応基とを有する第2のカップリング剤を接触させ、前記第3の官能基と前記第3のカップリング反応基とのカップリング反応により形成させた結合を介して固定された前記第2のカップリング剤の形成する被膜を表面に有する第2の反応性蛍光体微粒子を調製する工程Dと、
 前記蛍光体微粒子層の表層に位置する前記第1の被覆蛍光体微粒子の蛍光体微粒子層の表面に前記第2の反応性蛍光体微粒子を接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第2の反応性蛍光体微粒子を前記第1の被覆蛍光体微粒子の蛍光体微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第2の反応性蛍光体微粒子を除去する工程Eと、
 前記蛍光体微粒子層の表層に位置する前記第2の反応性蛍光体微粒子の蛍光体微粒子層の表面に前記第1の被覆蛍光体微粒子を接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の被覆蛍光体微粒子を前記第2の反応性蛍光体微粒子の蛍光体微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第1の被覆蛍光体微粒子を除去する工程Fと、
 前記工程E及びFをこの順序で繰返し行い、n層の前記蛍光体微粒子層からなる蛍光体微粒子膜を形成する工程Gとをさらに有することを特徴とする蛍光体微粒子膜の製造方法。
 請求の範囲第16項記載の蛍光体微粒子膜の製造方法において、前記基材上には、前記蛍光体微粒子層が前記基材側から空気との界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順次積層した蛍光体微粒子膜の製造方法であって、
 分子の両端にそれぞれ第3の官能基及び第3の結合基を有する第3の膜化合物を含む溶液を前記蛍光体微粒子の表面に接触させ、前記第3の結合基と前記蛍光体微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記第3の膜化合物の形成する被膜で前記蛍光体微粒子の表面が被覆された第2の被膜蛍光体微粒子を調製する工程Dと、
 前記第1の反応性蛍光体微粒子の蛍光体微粒子層の表面に前記第2の被覆蛍光体微粒子を接触させ、前記第3の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第2の被覆蛍光体微粒子を前記第1の反応性蛍光体微粒子の蛍光体微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第2の被覆蛍光体微粒子を除去する工程Eと、
 前記第2の被覆蛍光体微粒子の蛍光体微粒子層の表面に前記第1の反応性蛍光体微粒子を接触させ、前記第3の官能基と前記第1のカップリング反応基とのカップリング反応により結合を形成させ、前記第1の反応性蛍光体微粒子を前記第2の被覆蛍光体微粒子の蛍光体微粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定されなかった前記第1の反応性蛍光体微粒子を除去する工程Fと、
 前記工程E及びFをこの順序で繰返し行い、n層の前記蛍光体微粒子層からなる蛍光体微粒子膜を形成する工程Gとをさらに有することを特徴とする蛍光体微粒子膜の製造方法。
 請求の範囲第19項に記載の蛍光体微粒子膜の製造方法において、前記第1~第3の膜化合物が同一の化合物であることを特徴とする蛍光体微粒子膜の製造方法。
 請求の範囲第19項に記載の蛍光体微粒子膜の製造方法において、前記工程Dにおいて、未反応の前記第3の膜化合物は洗浄除去され、前記第2の被覆蛍光体微粒子の表面上で前記第3の膜化合物が形成する被膜は、単分子膜であることを特徴とする蛍光体微粒子膜の製造方法。
 請求の範囲第14項に記載の蛍光体微粒子膜の製造方法において、前記第1及び第2の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1及び第2の膜化合物を含む溶液は、さらに縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、及びチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1又は2以上の化合物を含むことを特徴とする蛍光体微粒子膜の製造方法。
 請求の範囲第14項に記載の蛍光体微粒子膜の製造方法において、前記第1及び第2の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1及び第2の膜化合物を含む溶液は、さらに縮合触媒として、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、及びアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1又は2以上の化合物をさらに含むことを特徴とする蛍光体微粒子膜の製造方法。
 請求の範囲第19項に記載の蛍光体微粒子膜の製造方法において、前記第1~第3の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1~第3の膜化合物を含む溶液は、さらに縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、及びチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1又は2以上の化合物を含むことを特徴とする蛍光体微粒子膜の製造方法。
 請求の範囲第19項に記載の蛍光体微粒子膜の製造方法において、前記第1~第3の膜化合物は全てアルコキシシラン化合物であり、前記第1~第3の膜化合物を含む溶液は、さらに縮合触媒として、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、及びアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1又は2以上の化合物をさらに含むことを特徴とする蛍光体微粒子膜の製造方法。
 請求の範囲第23項に記載の蛍光体微粒子膜の製造方法において、さらに助触媒として、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、及びアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1又は2以上の化合物をさらに含むことを特徴とする蛍光体微粒子膜の製造方法。
 請求の範囲第14項に記載の蛍光体微粒子膜の製造方法において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基又はイミノ基とエポキシ基との反応により形成されたN-CH 2 CH(OH)結合であることを特徴とする蛍光体微粒子膜の製造方法。
 請求の範囲第14項に記載の蛍光体微粒子膜の製造方法において、前記カップリング反応により形成された結合が、アミノ基又はイミノ基とイソシアネート基との反応により形成されたNH-CONH結合であることを特徴とする蛍光体微粒子膜の製造方法。
 請求の範囲第1項に記載の蛍光体微粒子膜を使用したことを特徴とする表示装置。
 請求の範囲第1項に記載の蛍光体微粒子膜を使用したことを特徴とする感光体。
 請求の範囲第1項に記載の蛍光体微粒子膜を使用したことを特徴とするセンサー。
Description:
蛍光体微粒子膜及びその製造方 並びに蛍光体微粒子膜を用いた表示装置、 光体、及びセンサー

 本発明は、蛍光体微粒子膜及びその製造 法、並びに蛍光体微粒子膜を用いた表示装 、感光体、及びセンサーに関する。

 CRT(陰極線管)、PDP(プラズマディスプレイパ ル)等の表示装置、蛍光灯等の照明機器、X 増感紙、蓄光蛍光体等に用いられる蛍光体 粒子膜の製造には、蛍光体ペーストが広く いられている。
 蛍光体ペーストは、蛍光体微粒子と、溶媒 、バインダー樹脂とを含む混合物であり、 の蛍光体ペーストを基材に塗布して塗膜を 成し、溶媒を除去した後に、焼結(例えば、 特許文献1参照)、或いはバインダー樹脂の硬 (例えば、特許文献2参照)により蛍光体微粒 膜を形成する。

特開2001-226669号公報

米国出願公開第2003/0099859号明細書

 しかしながら、例えば、特許文献2記載の発 光ダイオードのように、形成された蛍光体微 粒子膜中にバインダー樹脂が残留する場合に は、蛍光体の存在比が低いため発光効率が低 くなる。また、例えば、特許文献1に記載の 光体微粒子膜のように焼結により製造され 場合には、蛍光体膜中の蛍光体密度を高く ることができるが、製造効率が悪い、基材 耐熱性のものに限定される。
 更に、蛍光体ペーストを用いる従来の方法 は、蛍光体微粒子サイズのレベルで蛍光体 粒子膜の膜厚を制御することが困難である

 本発明は、蛍光体微粒子本来の機能を損 うことなく任意の基材上に任意の膜厚で形 可能な蛍光体微粒子膜及びその製造方法、 びに蛍光体微粒子膜を用いた表示装置、感 体、及びセンサーを提供することを目的と る。

 前記目的に沿う第1の発明に係る蛍光体微粒 子膜は、第1の官能基を有する第1の膜化合物 形成する被膜で被覆された基材の表面に、 2の官能基を有する第2の膜化合物の形成す 被膜で被覆された蛍光体微粒子が配列した 光体微粒子層が1層結合固定された蛍光体微 子膜であって、前記被覆された蛍光体微粒 は、前記第1の官能基とカップリング反応し て結合を形成する少なくとも1の第1のカップ ング反応基と、前記第2の官能基とカップリ ング反応して結合を形成する少なくとも1の 2のカップリング反応基とを有する第1のカッ プリング剤と、前記第1及び前記第2の官能基 のカップリング反応により形成された結合 介して前記被覆された基材上に固定されて る。
 なお、「カップリング反応」とは、官能基 の付加反応、又は縮合反応により生成する 意の反応をいい、熱反応、及び光反応のい れであってもよい。

 第1の発明に係る蛍光体微粒子膜において 、前記基材の表面に前記第1の膜化合物の形 する被膜の表面は、前記第1の官能基と前記 1のカップリング反応基とのカップリング反 応により結合した前記第1のカップリング剤 形成する被膜でさらに被覆されていてもよ 。

 第1の発明に係る蛍光体微粒子膜において 、前記蛍光体微粒子の表面に前記第2の膜化 物の形成する被膜の表面は、前記第2の官能 と前記第2のカップリング反応基とのカップ リング反応により結合した前記第1のカップ ング剤の形成する被膜でさらに被覆されて てもよい。

 第1の発明に係る蛍光体微粒子膜において 、前記第1の膜化合物と前記第2の膜化合物と 同一の化合物であることが好ましい。

 第1の発明に係る蛍光体微粒子膜において 、前記第1及び第2の膜化合物の形成する被膜 一方又は双方が単分子膜であることが好ま い。

 第1の発明に係る蛍光体微粒子膜において、 前記被覆された基材上には、前記蛍光体微粒 子層が前記被覆された基材側から空気との界 面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整 )まで順次積層しており、奇数番目の前記蛍 光体微粒子層を形成している蛍光体微粒子の 表面は、前記第2の膜化合物の形成する被膜 被覆されており、偶数番目の前記蛍光体微 子層を形成している蛍光体微粒子の表面は 第3の官能基を有する第3の膜化合物の形成す る被膜で被覆され、少なくとも1の前記第2の ップリング反応基と、前記第3の官能基とカ ップリング反応して結合を形成する少なくと も1の第3のカップリング反応基とを有する第2 のカップリング剤の形成する被膜によりさら にその表面が被覆されており、前記各蛍光体 微粒子層は、前記第2の官能基と前記第2のカ プリング反応基とのカップリング反応によ 形成された結合、及び前記第3の官能基と前 記第3のカップリング反応基とのカップリン 反応により形成された結合を介して互いに 定されていてもよい。
 この場合において、前記第1~第3の膜化合物 並びに前記第1及び第2のカップリング剤が れぞれ同一の化合物であることが好ましい また、前記第1~第3の膜化合物が形成する被 が全て単分子膜であることが好ましい。

 第1の発明に係る蛍光体微粒子膜において、 前記被覆された基材上には、前記蛍光体微粒 子層が前記被覆された基材側から空気との界 面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の整 )まで順次積層しており、奇数番目の前記蛍 光体微粒子層を形成している蛍光体微粒子の 表面は、前記第2の膜化合物の形成する被膜 被覆され、前記第1のカップリング剤の形成 る被膜によりさらにその表面が被覆されて り、偶数番目の前記蛍光体微粒子層を形成 ている蛍光体微粒子の表面は、第3の官能基 を有する第3の膜化合物の形成する被膜で被 されており、前記各蛍光体微粒子層は、前 第2の官能基と前記第2のカップリング反応基 とのカップリング反応により形成された結合 、及び前記第3の官能基と前記第1のカップリ グ反応基とのカップリング反応により形成 れた結合を介して互いに固定されていても い。
 この場合において、第1~第3の膜化合物が同 の化合物であることが好ましい。また、前 第1~第3の膜化合物が形成する被膜がいずれ 単分子膜であることが好ましい。

 第1の発明に係る蛍光体微粒子膜において、 前記カップリング反応により形成された結合 が、アミノ基又はイミノ基とエポキシ基との 反応により形成されたN-CH 2 CH(OH)結合であってもよい。

 第1の発明に係る蛍光体微粒子膜において 、前記カップリング反応により形成された結 合が、アミノ基又はイミノ基とイソシアネー ト基との反応により形成されたNH-CONH結合で ってもよい。

 第2の発明に係る蛍光体微粒子膜の製造方 法は、分子の両端にそれぞれ第1の官能基及 第1の結合基を有する第1の膜化合物の形成す る被膜で被覆された基材の表面に、分子の両 端にそれぞれ第2の官能基及び第2の結合基を する第2の膜化合物の形成する被膜で被覆さ れた蛍光体微粒子が配列した蛍光体微粒子層 が1層結合固定された蛍光体微粒子膜の製造 法であって、前記第1の膜化合物を含む溶液 前記基材の表面に接触させ、前記第1の結合 基と前記基材の表面との間で結合を形成させ 、前記第1の膜化合物の形成する被膜で前記 材の表面が被覆された被覆基材を調製する 程Aと、前記第2の膜化合物を含む溶液を前記 蛍光体微粒子の表面に接触させ、前記第2の 合基と前記蛍光体微粒子の表面との間で結 を形成させ、前記第2の膜化合物の形成する 膜で前記蛍光体微粒子の表面が被覆された 1の被覆蛍光体微粒子を調製する工程Bと、 記第1の官能基とカップリング反応して結合 形成する1又は2以上の第1のカップリング反 基と、前記第2の官能基とカップリング反応 して結合を形成する1又は2以上の第2のカップ リング反応基とを有する第1のカップリング を、前記被覆基材及び前記第1の被覆蛍光体 粒子の表面にそれぞれ接触させ、前記第1の 官能基と前記第1のカップリング反応基との ップリング反応、及び前記第2の官能基と前 第2のカップリング反応基とのカップリング 反応により結合を形成させ、前記第1の被覆 光体微粒子が配列した1層の前記蛍光体微粒 層を、前記被覆基材の表面に結合固定し、 いで、前記被覆基材の表面に固定されなか た前記第1の被覆蛍光体微粒子を除去する工 程Cとを有する。

 第2の発明に係る蛍光体微粒子膜の製造方 法において、前記工程Cでは、前記第1のカッ リング剤を、まず、前記被覆基材の表面に 触させ、該第1のカップリング剤の被膜を有 する反応性基材を調製し、次いで、該反応性 基材の表面に前記第1の被覆蛍光体微粒子を 触させ、該反応性基材の表面に前記第1の被 蛍光体微粒子を固定してもよい。

 第2の発明に係る蛍光体微粒子膜の製造方 法において、前記工程Cでは、まず、前記第1 被覆蛍光体微粒子の表面に前記第1のカップ リング剤を接触させ、前記第1のカップリン 剤の被膜を有する第1の反応性蛍光体微粒子 調製し、次いで、該第1の反応性蛍光体微粒 子の表面を前記被覆基材と接触させ、該被覆 基材の表面に前記第1の反応性蛍光体微粒子 固定してもよい。

 第2の発明に係る蛍光体微粒子膜の製造方 法において、前記第1の膜化合物と前記第2の 化合物とが同一の化合物であることが好ま い。

 第2の発明に係る蛍光体微粒子膜の製造方 法において、前記工程A及び前記工程Bにおい 、未反応の前記第1及び第2の膜化合物は洗 除去され、前記被覆基材及び前記第1の被覆 光体微粒子の表面で前記第1及び第2の膜化 物がそれぞれ形成する被膜は、単分子膜で ることが好ましい。

 第2の発明に係る蛍光体微粒子膜の製造方 法において、前記基材上には、前記蛍光体微 粒子層が前記基材側から空気との界面側に向 かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順 次積層した蛍光体微粒子膜の製造方法であっ て、分子の両端にそれぞれ第3の官能基及び 3の結合基を有する第3の膜化合物を含む溶液 を前記蛍光体微粒子の表面に接触させ、前記 第3の結合基と前記蛍光体微粒子の表面との で結合を形成させ、前記第3の膜化合物の形 する被膜で表面が被覆された第2の被覆蛍光 体微粒子を被覆し、次いで、前記第2の被覆 光体微粒子の表面に、前記第2のカップリン 反応基と、前記第3の官能基とカップリング 反応して結合を形成する1又は2以上の第3のカ ップリング反応基とを有する第2のカップリ グ剤を接触させ、前記第3の官能基と前記第3 のカップリング反応基とのカップリング反応 により形成させた結合を介して固定された前 記第2のカップリング剤の形成する被膜を表 に有する第2の反応性蛍光体微粒子を調製す 工程Dと、前記蛍光体微粒子層の表層に位置 する前記第1の被覆蛍光体微粒子の蛍光体微 子層の表面に前記第2の反応性蛍光体微粒子 接触させ、前記第2の官能基と前記第2のカ プリング反応基とのカップリング反応によ 結合を形成させ、前記第2の反応性蛍光体微 子を前記第1の被覆蛍光体微粒子の蛍光体微 粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固定 されなかった前記第2の反応性蛍光体微粒子 除去する工程Eと、前記蛍光体微粒子層の表 に位置する前記第2の反応性蛍光体微粒子の 蛍光体微粒子層の表面に前記第1の被覆蛍光 微粒子を接触させ、前記第2の官能基と前記 2のカップリング反応基とのカップリング反 応により結合を形成させ、前記第1の被覆蛍 体微粒子を前記第2の反応性蛍光体微粒子の 光体微粒子層の上に結合固定し、次いで、 合固定されなかった前記第1の被覆蛍光体微 粒子を除去する工程Fと、前記工程E及びFをこ の順序で繰返し行い、n層の前記蛍光体微粒 層からなる蛍光体微粒子膜を形成する工程G をさらに有していてもよい。なお、工程Gは 、nの値に応じて、工程E及び工程Fのいずれで 終えてもよい。

 第2の発明に係る蛍光体微粒子膜の製造方 法において、前記基材上には、前記蛍光体微 粒子層が前記基材側から空気との界面側に向 かって第1層から第n層(nは2以上の整数)まで順 次積層した蛍光体微粒子膜の製造方法であっ て、分子の両端にそれぞれ第3の官能基及び 3の結合基を有する第3の膜化合物を含む溶液 を前記蛍光体微粒子の表面に接触させ、前記 第3の結合基と前記蛍光体微粒子の表面との で結合を形成させ、前記第3の膜化合物の形 する被膜で前記蛍光体微粒子の表面が被覆 れた第2の被膜蛍光体微粒子を調製する工程 Dと、前記第1の反応性蛍光体微粒子の蛍光体 粒子層の表面に前記第2の被覆蛍光体微粒子 を接触させ、前記第3の官能基と前記第1のカ プリング反応基とのカップリング反応によ 結合を形成させ、前記第2の被覆蛍光体微粒 子を前記第1の反応性蛍光体微粒子の蛍光体 粒子層の上に結合固定し、次いで、結合固 されなかった前記第2の被覆蛍光体微粒子を 去する工程Eと、前記第2の被覆蛍光体微粒 の蛍光体微粒子層の表面に前記第1の反応性 光体微粒子を接触させ、前記第3の官能基と 前記第1のカップリング反応基とのカップリ グ反応により結合を形成させ、前記第1の反 性蛍光体微粒子を前記第2の被覆蛍光体微粒 子の蛍光体微粒子層の上に結合固定し、次い で、結合固定されなかった前記第1の反応性 光体微粒子を除去する工程Fと、前記工程E及 びFをこの順序で繰返し行い、n層の前記蛍光 微粒子層からなる蛍光体微粒子膜を形成す 工程Gとをさらに有していてもよい。なお、 工程Gは、nの値に応じて、工程E及び工程Fの ずれで終えてもよい。

 第2の発明に係る蛍光体微粒子膜の製造方法 において、前記第1及び第2の膜化合物が同一 化合物であることが好ましい。
 また、前記工程Dにおいて、未反応の前記第 1の膜化合物は洗浄除去され、前記第2の蛍光 微粒子の表面上で前記第1の膜化合物が形成 する被膜は、単分子膜であることが好ましい 。

 第2の発明に係る蛍光体微粒子膜の製造方 法において、前記第1及び第2の膜化合物、あ いは前記第1~第3の膜化合物は全てアルコキ シラン化合物であり、前記膜化合物を含む 液は、さらに縮合触媒として、カルボン酸 属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボ 酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレ ト、チタン酸エステル、及びチタン酸エス ルキレートからなる群から選択される1又は 2以上の化合物を含んでいてもよい。

 第2の発明に係る蛍光体微粒子膜の製造方 法において、前記第1及び第2の膜化合物、あ いは前記第1~第3の膜化合物は全てアルコキ シラン化合物であり、前記膜化合物を含む 液は、さらに縮合触媒として、ケチミン化 物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン 合物、オキサゾリジン化合物、及びアミノ ルキルアルコキシシラン化合物からなる群 り選択される1又は2以上の化合物をさらに んでいてもよい。

 第2の発明に係る蛍光体微粒子膜の製造方 法において、さらに助触媒として、ケチミン 化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミ ン化合物、オキサゾリジン化合物、及びアミ ノアルキルアルコキシシラン化合物からなる 群より選択される1又は2以上の化合物をさら 含んでいてもよい。

 第2の発明に係る蛍光体微粒子膜の製造方法 において、前記カップリング反応により形成 された結合が、アミノ基又はイミノ基とエポ キシ基との反応により形成されたN-CH 2 CH(OH)結合であってもよい。

 第2の発明に係る蛍光体微粒子膜の製造方 法において、前記カップリング反応により形 成された結合が、アミノ基又はイミノ基とイ ソシアネート基との反応により形成されたNH- CONH結合であってもよい。

 第3の発明に係る表示装置は、第1の発明 係る蛍光体微粒子膜を使用している。

 第4の発明に係る感光体は、第1の発明に る蛍光体微粒子膜を使用している。

 第5の発明に係るセンサーは、第1の発明 係る蛍光体微粒子膜を使用している。

 請求の範囲第1項~第13項記載の蛍光体微粒子 膜及び請求の範囲第14項~第29項記載の蛍光体 粒子膜の製造方法においては、蛍光体微粒 本来の機能を損なうことなく任意の基材上 任意の膜厚で形成可能であり、膜厚が均一 かつ品質にばらつきの少ない大面積の絶縁 蛍光体微粒子膜を低コストで製造できる方 を提供できる。
 また、基材の表面に蛍光体微粒子が配列し 蛍光体微粒子層が1層結合固定されているの で、蛍光体微粒子膜の剥離強度を高めること ができる。
 さらに、カップリング反応により形成され 結合を介して蛍光体微粒子膜を1層ずつ積層 固定するので、蛍光体微粒子膜の膜厚を蛍光 体微粒子のサイズのレベルで容易に制御でき る。

 特に、請求の範囲第2項記載の蛍光体微粒 子膜においては、基材を被覆する第1の膜化 物の形成する被膜の表面は、第1のカップリ グ剤の形成する被膜でさらに被覆されてい ので、第2の膜化合物の形成する被膜で覆わ れた蛍光体微粒子に対して前処理を行うこと なく、第2の官能基と第2のカップリング反応 とのカップリング反応により、第2の膜化合 物の形成する被膜で覆われた蛍光体微粒子を 表面に結合固定することができる。

 請求の範囲第3項記載の蛍光体微粒子膜に おいては、蛍光体微粒子を被覆する第2の膜 合物の形成する被膜の表面は、第2のカップ ング剤の形成する被膜でさらに被覆されて るので、第1の膜化合物の形成する被膜で覆 われた基材に対して前処理を行うことなく、 第1の官能基と第1のカップリング反応基との ップリング反応により、第1の膜化合物の形 成する被膜で覆われた基材の表面に第2の膜 合物の形成する被膜で覆われた蛍光体微粒 を表面に結合固定することができる。

 請求の範囲第4項記載の蛍光体微粒子膜に おいては、第1の膜化合物と第2の膜化合物と 同一の化合物であるので、製造コストを低 できる。

 請求の範囲第5項記載の蛍光体微粒子膜に おいては、第1及び第2の膜化合物の形成する 膜の一方又は双方が単分子膜であるので、 材及び蛍光体微粒子のいずれか一方又は双 の本来の物性や機能を損なわない。

 請求の範囲第6項記載の蛍光体微粒子膜にお いては、3種類の膜化合物、及び2種類のカッ リング剤を用いて任意の膜厚の蛍光体微粒 膜を製造できる。
 請求の範囲第7項記載の蛍光体微粒子膜にお いては、第1~第3の膜化合物並びに第1及び第2 カップリング剤がそれぞれ同一の化合物で るので、製造コストをさらに低減できる。
 請求の範囲第8項記載の蛍光体微粒子膜にお いては、第1~第3の膜化合物の形成する被膜が 全て単分子膜であるので、基材及び蛍光体微 粒子の本来の物性や機能を損なわない。

 請求の範囲第9項記載の蛍光体微粒子膜にお いては、3種類の膜化合物、及び1種類のカッ リング剤を用いて任意の膜厚の蛍光体微粒 膜を製造できる。
 請求の範囲第10項記載の蛍光体微粒子膜に いては、第1~第3の膜化合物が同一の化合物 あるので、製造コストをさらに低減できる
 請求の範囲第11項記載の蛍光体微粒子膜に いては、第1~第3の膜化合物の形成する被膜 全て単分子膜であるので、基材及び蛍光体 粒子の本来の物性や機能を損なわない。

 請求の範囲第12項記載の蛍光体微粒子膜に いては、カップリング反応により形成され 結合が、アミノ基又はイミノ基とエポキシ との反応により形成されたN-CH 2 CH(OH)結合であるので、加熱により強固な結合 を形成できる。

 請求の範囲第13項記載の蛍光体微粒子膜 おいては、カップリング反応により形成さ た結合が、アミノ基又はイミノ基とイソシ ネート基との反応により形成されたNH-CONH結 であるので、加熱により強固な結合を形成 きる。

 請求の範囲第15項に記載の蛍光体微粒子 の製造方法においては、工程Cにおいて、ま 、被覆基材の表面に、第1のカップリング剤 を接触させ、第1のカップリング剤の被膜を する反応性基材を調製するので、第2の膜化 物の形成する被膜で覆われた蛍光体微粒子 対して前処理を行うことなく、第2の官能基 と第2のカップリング反応基とのカップリン 反応により、第2の膜化合物の形成する被膜 覆われた蛍光体微粒子を表面に結合固定す ことができる。

 請求の範囲第16項記載の蛍光体微粒子膜 製造方法においては、工程Cにおいて、まず 第1の被覆蛍光体微粒子の表面に第1のカッ リング剤を接触させ、第1のカップリング剤 被膜を有する第1の反応性蛍光体微粒子を調 製するので、第1の膜化合物の形成する被膜 覆われた基材に対して前処理を行うことな 、第1の官能基と第1のカップリング反応基と のカップリング反応により、第1の膜化合物 形成する被膜で覆われた基材の表面に第2の 化合物の形成する被膜で覆われた蛍光体微 子を表面に結合固定することができる。

 請求の範囲第17項記載の蛍光体微粒子膜 製造方法においては、第1及び第2の膜化合物 とが同一の化合物であるので、製造コストを 低減できる。

 請求の範囲第18項記載の蛍光体微粒子膜 製造方法においては、第1及び第2の膜化合物 がそれぞれ形成する被膜が単分子膜であるの で、基材及び蛍光体微粒子の本来の物性や機 能を損なわない。

 請求の範囲第19項記載の蛍光体微粒子膜 製造方法においては、3種類の膜化合物、及 2種類のカップリング剤を用いて任意の膜厚 の蛍光体微粒子膜を製造できるので、製造コ ストを低減できる。

 請求の範囲第20項記載の蛍光体微粒子膜 製造方法においては、3種類の膜化合物、及 1種類のカップリング剤を用いて任意の膜厚 の蛍光体微粒子膜を製造できる。

 請求の範囲第21項に記載の蛍光体微粒子膜 製造方法においては、第1~第3の膜化合物と て同一の化合物を用いるので、製造コスト 大幅に低減できる。
 請求の範囲第22項に記載の蛍光体微粒子膜 製造方法においては、第3の膜化合物の形成 る被膜が単分子膜であるので、基材及び蛍 体微粒子の本来の物性や機能を損なわない

 請求の範囲第23項及び第25項記載の蛍光体 微粒子膜の製造方法においては、膜化合物を 含む溶液が、さらに縮合触媒として、カルボ ン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カ ルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩 キレート、チタン酸エステル、及びチタン酸 エステルキレートからなる群から選択される 1又は2以上の化合物を含むので、反応性蛍光 微粒子の調製時間を短縮し、蛍光体微粒子 の製造をより高効率に行うことができる。

 請求の範囲第24項、第26項及び第27項記載 蛍光体微粒子膜の製造方法においては、膜 合物を含む溶液が、ケチミン化合物、有機 、アルジミン化合物、エナミン化合物、オ サゾリジン化合物、アミノアルキルアルコ シシラン化合物からからなる群より選択さ る1又は2以上の化合物をさらに含むので、 応性蛍光体微粒子の調製時間を短縮し、蛍 体微粒子膜の製造をより高効率に行うこと できる。特に、これらの化合物と上述の縮 触媒の両者を共に含む場合には、調製時間 さらに短縮できる。

 請求の範囲第28項記載の蛍光体微粒子膜の 造方法においては、カップリング反応によ 形成された結合が、アミノ基又はイミノ基 エポキシ基との反応により形成されたN-CH 2 CH(OH)結合であるので、加熱により強固な結合 を形成できる。

 請求の範囲第29項記載の蛍光体微粒子膜 製造方法においては、カップリング反応に り形成された結合が、アミノ基又はイミノ とイソシアネート基との反応により形成さ たNH-CONH結合であるので、加熱により強固な 合を形成できる。

 請求の範囲第30項記載の表示装置は、請 の範囲第1項~第13項記載の蛍光体微粒子膜を 用しているので、表示面の全体にわたって 一な明るさを有している。また、請求の範 第31項記載の感光体、及び請求の範囲第32項 記載のセンサーは、請求の範囲第1項~第13項 載の蛍光体微粒子膜を使用しているので、 度が高く、かつ感光面又は検出面の全面に たって均一な感度を有している。

(A)は本発明の第1の実施の形態に係る蛍 光体微粒子膜の断面構造を模式的に表した説 明図、(B)は本発明の第2の実施の形態に係る 光体微粒子膜の断面構造を模式的に表した 明図である。 本発明の第1及び第2の実施の形態に係 蛍光体微粒子膜の製造方法において、エポ シ化ガラス基材を製造する工程を説明する めに分子レベルまで拡大した概念図であり (A)は反応前のガラス基材の断面構造、(B)は ポキシ基を有する膜化合物の単分子膜が形 されたガラス基材の断面構造をそれぞれ表 。 同蛍光体微粒子膜の製造方法において エポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子を製造す 工程を説明するために分子レベルまで拡大 た概念図であり、(A)は反応前の硫化亜鉛蛍 体微粒子の断面構造、(B)はエポキシ基を有 る膜化合物の単分子膜が形成された硫化亜 蛍光体微粒子の断面構造をそれぞれ表す。 エポキシ化ガラス基材の表面に、エポ シ基と2-メチルイミダゾールのアミノ基と カップリング反応により形成された結合を して固定された2-メチルイミダゾールの被膜 を有する反応性ガラス基材の断面構造を模式 的に表した説明図である。 エポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子の表 に、エポキシ基と2-メチルイミダゾールの ミノ基とのカップリング反応により形成さ た結合を介して固定された2-メチルイミダゾ ールの被膜を有する反応性硫化亜鉛蛍光体微 粒子の断面構造を模式的に表した説明図であ る。

 続いて、添付した図面を参照しつつ、本発 を具体化した実施の形態につき説明し、本 明の理解に供する。
 ここで、図1(A)は本発明の第1の実施の形態 係る蛍光体微粒子膜の断面構造を模式的に した説明図、図1(B)は本発明の第2の実施の形 態に係る蛍光体微粒子膜の断面構造を模式的 に表した説明図、図2は、本発明の第1及び第2 の実施の形態に係る蛍光体微粒子膜の製造方 法において、エポキシ化ガラス基材を製造す る工程を説明するために分子レベルまで拡大 した概念図であり、図2(A)は反応前のガラス 材の断面構造、図2(B)はエポキシ基を有する 化合物の単分子膜が形成されたガラス基材 断面構造をそれぞれ表し、図3は同蛍光体微 粒子膜の製造方法において、エポキシ化硫化 亜鉛蛍光体微粒子を製造する工程を説明する ために分子レベルまで拡大した概念図であり 、図3(A)は反応前の硫化亜鉛蛍光体微粒子の 面構造、図3(B)はエポキシ基を有する膜化合 の単分子膜が形成された硫化亜鉛蛍光体微 子の断面構造をそれぞれ表し、図4はエポキ シ化ガラス基材の表面に、エポキシ基と2-メ ルイミダゾールのアミノ基とのカップリン 反応により形成された結合を介して固定さ た2-メチルイミダゾールの被膜を有する反 性ガラス基材の断面構造を模式的に表した 明図、図5はエポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒 の表面に、エポキシ基と2-メチルイミダゾ ルのアミノ基とのカップリング反応により 成された結合を介して固定された2-メチルイ ミダゾールの被膜を有する反応性硫化亜鉛蛍 光体微粒子の断面構造を模式的に表した説明 図である。

 次に、本発明の第1の実施の形態に係る蛍光 体微粒子膜1について説明する。
 図1(A)、図2、及び図3に示すように、蛍光体 粒子膜1は、エポキシ基(第1の官能基の一例) を有する第1の膜化合物の形成する被膜の一 であるエポキシ基を有する膜化合物の単分 膜13で被覆されたガラス基材(基材の一例)11 あるエポキシ化ガラス基材14の表面に、エポ キシ基(第2の官能基の一例)を有する第2の膜 合物の形成する被膜の一例であるエポキシ を有する膜化合物の単分子膜23で被覆された 硫化亜鉛蛍光体微粒子(蛍光体微粒子の一例) あるエポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24が 列した蛍光体微粒子層が1層結合固定された 光体微粒子膜であって、エポキシ化硫化亜 蛍光体微粒子24は、エポキシ基とカップリ グ反応して結合を形成するアミノ基及びイ ノ基(第1及び第2のカップリング反応基の一 )を1つずつ有する2-メチルイミダゾール(第1 カップリング剤の一例)と、エポキシ基を有 る膜化合物の単分子膜13及び23の上にそれぞ れ存在するエポキシ基とのカップリング反応 により形成された結合を介してエポキシ化ガ ラス基材14上に固定されている。エポキシ基 有する膜化合物の単分子膜13の表面は、エ キシ基と2-メチルイミダゾール基のアミノ基 とのカップリング反応により結合した2-メチ イミダゾールの形成する被膜でさらに被覆 れ、反応性ガラス基材(反応性基材の一例)32 を形成している。図1(A)に示すように、反応 ガラス基材(反応性基材の一例)32の表面に、 ポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子(第1の被覆 光体微粒子の一例)24が配列した蛍光体微粒 層が1層結合固定されている。蛍光体微粒子 は、エポキシ化ガラス基材14側から空気と 界面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の 整数で、本実施の形態においてはn=2)まで順 積層している。

 反応性ガラス基材32の表面は、エポキシ基 有する膜化合物(第1の膜化合物の一例)の単 子膜13で被覆され、さらにその表面は、2-メ ルイミダゾール(第1のカップリング剤の一 )のアミノ基(第1のカップリング反応基の一 )とエポキシ基とのカップリング反応により 成された結合を介して固定された2-メチル ミダゾールの被膜で被覆されている。
 2層目の蛍光体微粒子層を形成しているエポ キシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24の表面は、2- チルイミダゾール(第3のカップリング剤の一 例)のアミノ基(第3のカップリング反応基の一 例)とエポキシ基とのカップリング反応によ 形成された結合を介して固定された2-メチル イミダゾールの被膜でさらに被覆されている 。
 反応性ガラス基材32と第1層目の蛍光体微粒 層を形成するエポキシ化硫化亜鉛蛍光体微 子24、及び奇数層目の蛍光体微粒子層を形 するエポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24と偶 数層目の蛍光体微粒子層を形成する反応性硫 化亜鉛蛍光体微粒子42との間は、エポキシ基 2-メチルイミダゾールのアミノ基又はイミ 基とのカップリング反応により形成された 合を介して互いに結合固定されている。

 蛍光体微粒子膜1の製造方法は、図2(A)、(B )、図3(A)、(B)、図4、及び図5に示すように、 ポキシ基を有するアルコキシシラン化合物( 1の膜化合物の一例)を含む溶液をガラス基 (基材の一例)11の表面に接触させ、アルコキ シリル基(第1の結合基の一例)とガラス基材1 1の表面との間で結合を形成させ、エポキシ ガラス基材14(被覆基材の一例)を調製する工 A(図2参照)と、エポキシ基を有するアルコキ シシラン化合物(第2の膜化合物の一例)を硫化 亜鉛蛍光体微粒子(蛍光体微粒子の一例)21の 面に接触させ、アルコキシシリル基(第2の結 合基の一例)と硫化亜鉛蛍光体微粒子21の表面 との間で結合を形成させ、エポキシ化硫化亜 鉛蛍光体微粒子24を調製する工程B(図3参照)と 、まず、エポキシ化ガラス基材14の表面に、2 -メチルイミダゾールを接触させ、エポキシ とアミノ基とをカップリング反応させて反 性ガラス基材32を調製し(図4参照)、次いで、 反応性ガラス基材32の表面にエポキシ化硫化 鉛蛍光体微粒子24を接触させ、エポキシ基 イミノ基(第2のカップリング反応基の一例) のカップリング反応により結合を形成させ エポキシ化ガラス基材14の表面にエポキシ化 硫化亜鉛蛍光体微粒子24を固定し、次いで、 定されなかったエポキシ化硫化亜鉛蛍光体 粒子24を除去する工程Cと、エポキシ化アル キシシラン化合物(第3の膜化合物の一例)を む溶液を硫化亜鉛蛍光体微粒子21の表面に 触させ、アルコキシシリル基(第3の結合基の 一例)と硫化亜鉛蛍光体微粒子21の表面との間 で結合を形成させ、エポキシ化硫化亜鉛蛍光 体微粒子(第2の被覆蛍光体微粒子の一例)24を 製し(図3参照)、次いで、エポキシ化硫化亜 蛍光体微粒子24の表面に、2-メチルイミダゾ ール(第2のカップリング剤の一例)を接触させ 、エポキシ基(第3の官能基の一例)とアミノ基 とのカップリング反応により形成させた結合 を介して固定された2-メチルイミダゾールの 成する被膜を表面に有する反応性硫化亜鉛 光体微粒子(第2の反応性蛍光体微粒子の一 )42を調製する工程D(図5参照)と、エポキシ化 化亜鉛蛍光体微粒子24の蛍光体微粒子層を する蛍光体微粒子膜1の表面に反応性硫化亜 蛍光体微粒子42を接触させ、エポキシ基と ミノ基とのカップリング反応により結合を 成させ、反応性硫化亜鉛蛍光体微粒子42をエ ポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24の蛍光体微 子層の上に結合固定し、次いで、結合固定 れなかった反応性硫化亜鉛蛍光体微粒子42 除去する工程Eと、反応性硫化亜鉛蛍光体微 子42の蛍光体微粒子層を有する蛍光体微粒 膜1の表面にエポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒 24を接触させ、エポキシ基とイミノ基との ップリング反応により結合を形成させ、エ キシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24を反応性硫化 亜鉛蛍光体微粒子42の蛍光体微粒子層の上に 合固定し、次いで、結合固定されなかった ポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24を除去す 工程Fとを有する。

 以下、工程A~Fについてより詳細に説明する
 工程Aでは、エポキシ基を有する膜化合物を ガラス基材11に接触させ、エポキシ基を有す 膜化合物の単分子膜13で表面が覆われたエ キシ化ガラス基材14を製造する(図2)。
 なお、ガラス基材11の大きさには特に制限 ない。

 エポキシ基を有する膜化合物としては、 ラス基材11の表面に吸着又は結合し、自己 織化により単分子膜を形成することのでき 任意の化合物を用いることができるが、直 状アルキレン基の一方の末端にエポキシ基( キシラン環)を含む官能基を、他方の末端に アルコキシシリル基(第1の結合基の一例)をそ れぞれ有し、下記の一般式(化1)で表されるア ルコキシシラン化合物が好ましい。

 上式において、官能基Eはエポキシ基を有す る官能基を、mは3~20の整数を、Rは炭素数1~4の アルキル基をそれぞれ表す。
 用いることのできるエポキシ基を有する膜 合物の具体例としては、下記(1)~(12)に示し アルコキシシラン化合物が挙げられる。

(1) (CH 2 OCH)CH 2 O(CH 2 ) 3 Si(OCH 3 ) 3
(2) (CH 2 OCH)CH 2 O(CH 2 ) 7 Si(OCH 3 ) 3
(3) (CH 2 OCH)CH 2 O(CH 2 ) 11 Si(OCH 3 ) 3
(4) (CH 2 CHOCH(CH 2 ) 2 )CH(CH 2 ) 2 Si(OCH 3 ) 3
(5) (CH 2 CHOCH(CH 2 ) 2 )CH(CH 2 ) 4 Si(OCH 3 ) 3
(6) (CH 2 CHOCH(CH 2 ) 2 )CH(CH 2 ) 6 Si(OCH 3 ) 3
(7) (CH 2 OCH)CH 2 O(CH 2 ) 3 Si(OC 2 H 5 ) 3
(8) (CH 2 OCH)CH 2 O(CH 2 ) 7 Si(OC 2 H 5 ) 3
(9) (CH 2 OCH)CH 2 O(CH 2 ) 11 Si(OC 2 H 5 ) 3
(10) (CH 2 CHOCH(CH 2 ) 2 )CH(CH 2 ) 2 Si(OC 2 H 5 ) 3
(11) (CH 2 CHOCH(CH 2 ) 2 )CH(CH 2 ) 4 Si(OC 2 H 5 ) 3
(12) (CH 2 CHOCH(CH 2 ) 2 )CH(CH 2 ) 6 Si(OC 2 H 5 ) 3

 ここで、(CH 2 OCH)CH 2 O-基は、化2で表される官能基(グリシジル基) 表し、(CH 2 CHOCH(CH 2 ) 2 )CH-基は、化3で表される官能基(3,4-エポキシ クロヘキシル基)を表す。

 エポキシ化ガラス基材14の製造は、エポ シ基及びアルコキシシリル基(第2の結合基の 一例)を含むアルコキシシラン化合物と、ア コキシシリル基とガラス基材11の表面のヒド ロキシル基12との縮合反応を促進するための 合触媒と、非水系の有機溶媒とを混合した 応液をガラス基材11の表面に塗布し、室温 空気中で反応させることにより行われる。 布は、ドクターブレード法、ディップコー 法、スピンコート法、スプレー法、スクリ ン印刷法等の任意の方法により行うことが きる。

 縮合触媒としては、カルボン酸金属塩、カ ボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩 リマー、カルボン酸金属塩キレート、チタ 酸エステル及びチタン酸エステルキレート の金属塩が利用可能である。
 縮合触媒の添加量は、好ましくはアルコキ シラン化合物の0.2~5質量%であり、より好ま くは0.5~1質量%である。

 カルボン酸金属塩の具体例としては、酢 第1スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブ チルスズジオクテート、ジブチルスズジアセ テート、ジオクチルスズジラウレート、ジオ クチルスズジオクテート、ジオクチルスズジ アセテート、ジオクタン酸第1スズ、ナフテ 酸鉛、ナフテン酸コバルト、2-エチルヘキセ ン酸鉄が挙げられる。

 カルボン酸エステル金属塩の具体例として 、ジオクチルスズビスオクチルチオグリコ ル酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン エステル塩が挙げられる。
 カルボン酸金属塩ポリマーの具体例として 、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジ チルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマ が挙げられる。
 カルボン酸金属塩キレートの具体例として 、ジブチルスズビスアセチルアセテート、 オクチルスズビスアセチルラウレートが挙 られる。

 チタン酸エステルの具体例としては、テト ブチルチタネート、テトラノニルチタネー が挙げられる。
 チタン酸エステルキレート類の具体例とし は、ビス(アセチルアセトニル)ジ-プロピル タネートが挙げられる。

 アルコキシシリル基とガラス基材11の表 のヒドロキシル基12とが縮合反応を起こし、 下記の化4で示されるような構造を有するエ キシ基を有する膜化合物の単分子膜13を生成 する。なお、酸素原子から延びた3本の単結 はガラス基材11の表面又は隣接するシラン化 合物のケイ素(Si)原子と結合しており、その ち少なくとも1本はガラス基材11の表面のケ 素原子と結合している。

 アルコキシシリル基は、水分の存在下で分 するので、反応は相対湿度45%以下の空気中 行うことが好ましい。なお、縮合反応は、 ラス基材11の表面に付着した油脂分や水分 より阻害されるので、ガラス基材11をよく洗 浄して乾燥することにより、これらの不純物 を予め除去しておくことが好ましい。
 縮合触媒として上述の金属塩のいずれかを いた場合、縮合反応の完了までに要する時 は2時間程度である。

 上述の金属塩の代わりに、ケチミン化合 、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化 物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキ アルコキシシラン化合物からなる群より選 される1又は2以上の化合物を縮合触媒とし 用いた場合、反応時間を1/2~2/3程度まで短縮 きる。

 あるいは、これらの化合物を助触媒とし 、上述の金属塩と混合(質量比1:9~9:1の範囲 使用可能だが、1:1前後が好ましい)して用い と、反応時間をさらに短縮できる。

 例えば、縮合触媒として、カルボン酸金 塩キレートであるジブチルスズビスアセチ アセテートの代わりにケチミン化合物であ ジャパンエポキシレジン社のH3を用い、そ 他の条件は同一にしてエポキシ化硫化亜鉛 光体微粒子21の製造を行うと、エポキシ化硫 化亜鉛蛍光体微粒子21の品質を損なうことな 反応時間を1時間程度にまで短縮できる。

 さらに、縮合触媒として、ジャパンエポ シレジン社のH3とジブチルスズビスアセチ アセトネートとの混合物(混合比は1:1)を用い 、その他の条件は同一にしてエポキシ化硫化 亜鉛蛍光体微粒子21の製造を行うと、反応時 を20分程度に短縮できる。

 なお、ここで用いることができるケチミ 化合物は特に限定されるものではないが、 えば、2,5,8-トリアザ-1,8-ノナジエン、3,11-ジ メチル-4,7,10-トリアザ-3,10-トリデカジエン、2 ,10-ジメチル-3,6,9-トリアザ-2,9-ウンデカジエ 、2,4,12,14-テトラメチル-5,8,11-トリアザ-4,11- ンタデカジエン、2,4,15,17-テトラメチル-5,8,11 ,14-テトラアザ-4,14-オクタデカジエン、2,4,20,2 2-テトラメチル-5,12,19-トリアザ-4,19-トリエイ サジエン等が挙げられる。

 また、用いることができる有機酸として 特に限定されるものではないが、例えば、 酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、マロン酸 が挙げられる。

 反応液の製造には、有機塩素系溶媒、炭 水素系溶媒、フッ化炭素系溶媒、シリコー 系溶媒、及びこれらの混合溶媒を用いるこ ができる。アルコキシシラン化合物の加水 解を防止するために、乾燥剤又は蒸留によ 使用する溶媒から水分を除去しておくこと 好ましい。また、溶媒の沸点は50~250℃であ ことが好ましい。

 具体的に使用可能な溶媒としては、非水系 石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エー ル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノル ルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、 ナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン フェニルシリコーン、アルキル変性シリコ ン、ポリエーテルシリコーン、ジメチルホ ムアミド等を挙げることができる。
 さらに、メタノール、エタノール、プロパ ール等のアルコール系溶媒、あるいはそれ の混合物を用いることもできる。

 また、用いることができるフッ化炭素系 媒としては、フロン系溶媒、フロリナート( 米国3M社製)、アフルード(旭硝子株式会社製) がある。なお、これらは1種単独で用いても 良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み わせてもよい。さらに、ジクロロメタン、 ロロホルム等の有機塩素系溶媒を添加して よい。

 反応液におけるアルコキシシラン化合物 好ましい濃度は、0.5~3質量%である。

 反応後、溶媒で洗浄し、未反応物として 面に残った余分なアルコキシシラン化合物 び縮合触媒を除去すると、エポキシ基を有 る膜化合物の単分子膜13で表面が覆われた ポキシ化ガラス基材14が得られる。このよう にして製造されるエポキシ化ガラス基材14の 面構造の模式図を図2(B)に示す。

 洗浄溶媒としては、アルコキシシラン化 物を溶解できる任意の溶媒を用いることが きるが、安価であり、溶解性が高く、風乾 より容易に除去することのできるジクロロ タン、クロロホルム、N-メチルピロリドン が好ましい。

 反応後、生成したエポキシ化ガラス基材1 4を溶媒で洗浄せずに空気中に放置すると、 面に残ったアルコキシシラン化合物の一部 空気中の水分により加水分解を受け、生成 たシラノール基がアルコキシシリル基と縮 反応を起こす。その結果、エポキシ化ガラ 基材14の表面にポリシロキサンよりなる極薄 のポリマー膜が形成される。このポリマー膜 は、エポキシ化ガラス基材14の表面に必ずし 全てが共有結合により固定されているわけ はないが、エポキシ基を含んでいるため、 ポキシ化ガラス基材14に対してエポキシ基 有する膜化合物の単分子膜13と同様の反応性 を有している。そのため、洗浄を行わなくて も、工程C以降の製造工程に特に支障をきた ことはない。

 なお、本実施の形態においては、エポキシ を有するアルコキシシラン化合物を用いた 、直鎖状アルキレン基の一方の末端にアミ 基を、他方の末端にアルコキシシリル基を れぞれ有し、下記の一般式(化5)で表される ルコキシシラン化合物を用いてもよい。
 なお、アミノ基と反応するカップリング剤 しては、両端にグリシジル基を有するもの 使用できる。

 上式において、mは3~20の整数を、Rは炭素数1 ~4のアルキル基をそれぞれ表す。
 用いることのできるアミノ基を有する膜化 物の具体例としては、下記(21)~(28)に示した ルコキシシラン化合物が挙げられる。

(21) H 2 N(CH 2 ) 3 Si(OCH 3 ) 3
(22) H 2 N(CH 2 ) 5 Si(OCH 3 ) 3
(23) H 2 N(CH 2 ) 7 Si(OCH 3 ) 3
(24) H 2 N(CH 2 ) 9 Si(OCH 3 ) 3
(25) H 2 N(CH 2 ) 5 Si(OC 2 H 5 ) 3
(26) H 2 N(CH 2 ) 5 Si(OC 2 H 5 ) 3
(27) H 2 N(CH 2 ) 7 Si(OC 2 H 5 ) 3
(28) H 2 N(CH 2 ) 9 Si(OC 2 H 5 ) 3

 ただし、この場合に反応液において用いる とのできる縮合触媒のうち、スズ(Sn)塩を含 む化合物は、アミノ基と反応して沈殿を生成 するため、アミノ基を有するアルコキシシラ ン化合物に対しては縮合触媒として用いるこ とができない。
 したがって、アミノ基を有するアルコキシ ラン化合物を用いる場合には、カルボン酸 ズ塩、カルボン酸エステルスズ塩、カルボ 酸スズ塩ポリマー、カルボン酸スズ塩キレ トを除き、エポキシ基を有するアルコキシ ラン化合物の場合と同様の化合物を単独で は2種類以上を混合して縮合触媒として用い ることができる。
 用いることのできる助触媒の種類及びそれ の組み合わせ、溶媒の種類、アルコキシシ ン化合物、縮合触媒、及び助触媒の濃度、 応条件並びに反応時間についてはエポキシ を有するアルコキシシラン化合物の場合と 様であるので、説明を省略する。

 本実施の形態においては、ガラス基材を基 として用いたが、その表面にヒドロキシル 、アミノ基等の活性水素基を有する場合に 、膜化合物としてアルコキシシラン化合物 用いることができる。この様な基材の具体 としては、セラミックス、ほうろう、ITO(イ ンジウムスズオキシド)等の透明電極、アル ニウム板、銅板、アルミニウム板、シリコ ウェーハ等の金属板等が挙げられる。
 また、基材材料として合成樹脂を用いる場 には、プラズマ処理等により活性水素基を する化合物をグラフトする等の処理を行う とにより、膜化合物としてアルコキシシラ 化合物を用いることができる。

 本実施の形態においては、膜化合物として 材の表面の活性水素基と縮合反応するシラ 化合物を用いたが、例えば、金メッキ層を する基材の場合には、膜化合物として金原 と強い結合を形成するチオール誘導体又は リアジンチオール誘導体を用いることがで る。
(以上工程A)

 工程Bでは、工程Aにおいて用いたものと 様のエポキシ基を有する膜化合物を硫化亜 蛍光体微粒子21と接触させ、エポキシ基を有 する膜化合物の単分子膜23で表面が覆われた ポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24を製造す (図3参照)。

 用いることのできる硫化亜鉛蛍光体微粒 21の粒径に特に制限はないが、10nm~0.1mmの範 内であることが好ましい。硫化亜鉛蛍光体 粒子21の粒径が10nm未満である場合には、膜 合物の分子サイズの影響が無視できなくな 、粒径が0.1mmを上回る場合には、硫化亜鉛 光体微粒子21の表面積に対する質量の割合が 大きくなるため、架橋反応によりその質量を 支持できなくなる。

 エポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24の製 は、エポキシ基を含むアルコキシシラン化 物と、アルコキシシリル基と硫化亜鉛蛍光 微粒子21の表面のヒドロキシル基22との縮合 応を促進するための縮合触媒と、非水系の 機溶媒とを混合した反応液中に硫化亜鉛蛍 体微粒子21を分散させ、室温の空気中で反 させることにより行われる。

 工程Bにおいて用いることのできるエポキ シ基を有するアルコキシシラン化合物の種類 、縮合触媒、助触媒の種類及びそれらの組み 合わせ、溶媒の種類、アルコキシシラン化合 物、縮合触媒、及び助触媒の濃度、反応条件 並びに反応時間については工程Aと同様であ ので、説明を省略する。

 反応後、溶媒で洗浄し、未反応物として 面に残った余分なアルコキシシラン化合物 び縮合触媒を除去すると、エポキシ基を有 る膜化合物の単分子膜23で表面が覆われた ポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24が得られる 。このようにして製造されるエポキシ化硫化 亜鉛蛍光体微粒子24の断面構造の模式図を図3 (B)に示す。

 洗浄溶媒としては、工程Aと同様の洗浄溶媒 を用いることができる。
 反応後、生成したエポキシ化硫化亜鉛蛍光 微粒子24を溶媒で洗浄せずに空気中に放置 ると、表面に残ったアルコキシシラン化合 の一部が空気中の水分により加水分解を受 、生成したシラノール基がアルコキシシリ 基と縮合反応を起こす。その結果、エポキ 化硫化亜鉛蛍光体微粒子24の表面にポリシロ キサンよりなる極薄のポリマー膜が形成され る。このポリマー膜は、エポキシ化硫化亜鉛 蛍光体微粒子24の表面に共有結合により固定 れていないが、エポキシ基を含んでいるた 、エポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24に対 てエポキシ基を有する膜化合物の単分子膜23 と同様の反応性を有している。
 そのため、洗浄を行わなくても、工程C以降 の製造工程に特に支障をきたすことはない。

 なお、本実施の形態においてはエポキシ基 有するアルコキシシラン化合物を用いたが 工程Aと同様、直鎖状アルキレン基の一方の 末端にアミノ基を、他方の末端にアルコキシ シリル基をそれぞれ有するアルコキシシラン 化合物を用いてもよい。
 また、本実施の形態においては工程Aと同一 のアルコキシシラン化合物を用いているが、 異なるアルコキシシラン化合物を用いてもよ い。ただし、工程Cにおいて用いるカップリ グ剤のカップリング反応基と反応して結合 形成する官能基を有するものでなければな ない。

 なお、本実施の形態では、蛍光体微粒子と て硫化カドミウム蛍光体微粒子を用いたが 他の蛍光体微粒子を用いることもできる。 いることができる蛍光体微粒子としては、 化物、リン酸化物、ハロゲン化物等の母体 に希土類又はマンガン等の不純物を添加し プラズマディスプレイ用蛍光体、ZnS:Ag,Cl、Z nS:Cu,Au,Al、Y 2 O 2 S:Eu等のCRT用蛍光体、NaI、ZnS等の放射線ルミ ッセンス用蛍光体、ZnS、ZnCdS、CaS、ZnSe等の 体に活性成分として銅ハロゲン化物、Mn、希 土類等を添加したEL(エレクトロルミネッセン ス)用蛍光体等が挙げられる。

 硫化カドミウム蛍光体微粒子以外の蛍光体 粒子であっても、その表面に水酸基、アミ 基等の活性水素基を有する場合には、硫化 ドミウムの場合と同様に、膜化合物として ルコキシシラン化合物を用いることができ 。また、硫化物蛍光体の場合には、例えば P-S結合を介して硫黄原子に配位することが きるアルキルホスフィン化合物を用いる
ことができる。

 本実施の形態においては、第1及び第2の膜 合物として、共にエポキシ基を有する膜化 物を用いているが、両者は同一の化合物で ってもよく、また異なる化合物であっても い。さらに、第1及び第2の膜化合物が異なる 官能基(例えば、一方がエポキシ基で他方が ソシアネート基)を有していてもよい。
(以上工程B)

 工程Cでは、まず、エポキシ化ガラス基材 14の表面に、2-メチルイミダゾールを接触さ 、エポキシ基とアミノ基とをカップリング 応させて反応性ガラス基材32を調製し、次い で、反応性ガラス基材32の表面にエポキシ化 化亜鉛蛍光体微粒子24を接触させ、エポキ 基とイミノ基とのカップリング反応により 合を形成させ、エポキシ化ガラス基材14の表 面にエポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24を固 し、次いで、固定されなかったエポキシ化 化亜鉛蛍光体微粒子24を除去する

 2-メチルイミダゾールはエポキシ基と反 するアミノ基及びイミノ基をそれぞれ1-位及 び3-位に有しており、下記の化6に示すような 架橋反応により結合を形成する。

 反応性ガラス基材32の製造は、2-メチルイミ ダゾールと溶媒とを混合した反応液をエポキ シ化ガラス基材14の表面に塗布し、加熱して 応させることにより行われる。塗布は、ド ターブレード法、ディップコート法、スピ コート法、スプレー法、スクリーン印刷法 の任意の方法により行うことができる。
 膜前駆体の製造には、2-メチルイミダゾー が可溶な任意の溶媒を用いることができる 、価格、室温での揮発性、及び毒性等を考 すると、イソプロピルアルコール、エタノ ル等の低級アルコール系溶媒が好ましい。
 2-メチルイミダゾールの添加量、塗布する 液の濃度、反応温度及び反応時間は、用い 基材及び蛍光体微粒子の種類、形成する蛍 体微粒子膜の膜厚等に応じて適宜調節され 。

 反応後、溶媒で洗浄し、未反応物として 面に残った余分な2-メチルイミダゾールを 去すると、反応性単分子膜31で表面が覆われ た反応性ガラス基材32が得られる(図4参照)。

 このようにして得られた反応性ガラス基材3 2の表面にエポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24 の分散液を塗布後加熱し、エポキシ化硫化亜 鉛蛍光体微粒子21上のエポキシ基と、反応性 分子膜31上の2-メチルイミダゾールに由来す るイミノ基とのカップリング反応によりエポ キシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24を反応性ガラ 基材32の表面に結合固定し、単層の蛍光体 粒子層を有する蛍光体微粒子膜1を製造する
 加熱温度は、100~200℃が好ましい。加熱温度 が100℃未満だと、カップリング反応の進行に 長時間を要し、200℃を上回ると、エポキシ基 を有する単分子膜23や反応性単分子膜31の分 反応が起こり、均一な蛍光体微粒子膜1が得 れない。

 反応後、水やアルコール等の溶媒で洗浄 ることにより、余分のエポキシ化硫化亜鉛 光体微粒子24を除去する。

 本実施の形態においては、カップリング として2-メチルイミダゾールを用いたが、 記化7で表される任意のイミダゾール誘導体 用いることができる。

 化7で表されるイミダゾール誘導体の具体例 としては、下記(31)~(38)に示すものが挙げられ る。
(31) 2-メチルイミダゾール(R 2 =Me、R 4 =R 5 =H)
(32) 2-ウンデシルイミダゾール(R 2 =C 11 H 23 、R 4 =R 5 =H)
(33) 2-ペンタデシルイミダゾール(R 2 =C 15 H 31 、R 4 =R 5 =H)
(34) 2-メチル-4-エチルイミダゾール(R 2 =Me、R 4 =Et、R 5 =H)
(35) 2-フェニルイミダゾール(R 2 =Ph、R 4 =R 5 =H)
(36) 2-フェニル-4-エチルイミダゾール(R 2 =Ph、R 4 =Et、R 5 =H)
(37) 2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチル ミダゾール(R 2 =Ph、R 4 =Me、R 5 =CH 2 OH)
(38) 2-フェニル-4,5-ビス(ヒドロキシメチル)イ ミダゾール(R 2 =Ph、R 4 =R 5 =CH 2 OH)
 なお、Me、Et、及びPhは、それぞれメチル基 エチル基、及びフェニル基を表す。

 イミダゾール誘導体以外では、メラミン イソシアヌル酸、トリアジン、バルビツー 酸、パラバン酸、ウラシル、チミン等の2個 以上の窒素を含む複素環化合物を用いること ができる。更に、イミダゾール-金属錯体を いてもよい。

 また、エポキシ樹脂の硬化剤として用い れる無水フタル酸、無水マレイン酸等の酸 水物、ジシアンジアミド、ノボラック等の ェノール誘導体等の化合物をカップリング として用いてもよい。この場合、カップリ グ反応を促進するためにイミダゾール誘導 を触媒として用いてもよい。

 なお、本実施の形態においては官能基とし エポキシ基を有する膜化合物を用いた場合 ついて説明しているが、官能基としてアミ 基又はイミノ基を有する膜化合物を用いる 合には、カップリング反応基として2若しく は3以上のエポキシ基又は2若しくは3以上のイ ソシアネート基を有するカップリング剤を用 いる。イソシアネート基を有する化合物の具 体例としては、ヘキサメチレン-1,6-ジイソシ ネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、 ルエン-2,4-ジイソシアネート等が挙げられる 。
 これらのジイソシアネート化合物の添加量 、2-メチルイミダゾールの場合と同様、エ キシ化シリカ蛍光体微粒子の5~15重量%が好ま しい。この場合、膜前駆体の製造に用いるこ とのできる溶媒としては、キシレン等の芳香 族有機溶媒が挙げられる。
 また、アミノ基を有する膜化合物を用いる 合には、架橋剤としては、エチレングリコ ルジグリシジルエーテル等の2又は3以上の ポキシ基を有する化合物を用いることもで る。
(以上工程C)

 工程Dでは、エポキシ化アルコキシシラン化 合物を含む溶液を硫化亜鉛蛍光体微粒子21の 面に接触させ、アルコキシシリル基と硫化 鉛蛍光体微粒子21の表面との間で結合を形 させ、エポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24を 調製し、次いで、エポキシ化硫化亜鉛蛍光体 微粒子24の表面に、2-メチルイミダゾールを 触させ、エポキシ基と2-メチルイミダゾール に由来するアミノ基とのカップリング反応に より形成させた結合を介して固定された2-メ ルイミダゾールの形成する被膜を表面に有 る反応性硫化亜鉛蛍光体微粒子42を調製す (図5)。
 用いられる2-メチルイミダゾール溶液の濃 、反応条件等は、溶液を塗布するのではな 、エポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24を溶液 中に分散させて加熱することを除くと、工程 Cにおける反応性ガラス基材32の調製の場合と 同様であるので、詳しい説明を省略する。他 に用いることのできるカップリング剤につい ても、工程Cにおける反応性ガラス基材42の調 製の場合と同様である。

 本実施の形態においては、第3の膜化合物と して、共にエポキシ基を有する膜化合物を用 いているが、第1及び第2の膜化合物の一方又 双方と同一の化合物であってもよく、また なる化合物であってもよい。さらに、第1及 び第2の膜化合物と異なる官能基(例えば、ア ノ基)を有していてもよい。
(以上工程D)

 工程Eでは、エポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒 子24の蛍光体微粒子層を有する蛍光体微粒子 1の表面に反応性硫化亜鉛蛍光体微粒子42を 触させ、エポキシ基とイミノ基とのカップ ング反応により結合を形成させ、反応性硫 亜鉛蛍光体微粒子42をエポキシ化硫化亜鉛 光体微粒子24の蛍光体微粒子層の上に結合固 定し、次いで、結合固定されなかった反応性 硫化亜鉛蛍光体微粒子42を除去する。
 また、工程Fでは、反応性硫化亜鉛蛍光体微 粒子42の蛍光体微粒子層を有する蛍光体微粒 膜1の表面にエポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒 子24を接触させ、エポキシ基とイミノ基との ップリング反応により結合を形成させ、エ キシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24を反応性硫 亜鉛蛍光体微粒子42の蛍光体微粒子層の上に 結合固定し、次いで、結合固定されなかった エポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24を除去す 。
 工程E、Fにおける反応条件については、工 Dと同様であるので、詳しい説明を省略する
(以上工程E及びF)

 本実施の形態においては、蛍光体微粒子 を2層有する蛍光体微粒子膜の調製について 説明したが、工程E及びFを反復して、n(nは2以 上の整数)層の蛍光体微粒子層からなる蛍光 微粒子膜を形成する工程Gをさらに行っても い。なお、工程Gは、nの値に応じて、工程E び工程Fのいずれで終えてもよい。

 次に、本発明の第2の実施の形態に係る蛍光 体微粒子膜2について説明する。
 図1(B)に示すように、蛍光体微粒子膜2は、 ポキシ化ガラス基材14の表面に、反応性硫化 亜鉛蛍光体微粒子42が配列した蛍光体微粒子 が1層結合固定されている。蛍光体微粒子層 は、エポキシ化ガラス基材14側から空気との 面側に向かって第1層から第n層(nは2以上の 数で、本実施の形態においてはn=2)まで順次 層している。

 エポキシ化ガラス基材14の表面は、エポキ 基を有する膜化合物の単分子膜13で被覆され ている。
 1層目の蛍光体微粒子層を形成している反応 性硫化亜鉛蛍光体微粒子42の表面は、2-メチ イミダゾールのアミノ基とエポキシ基との ップリング反応により形成された結合を介 て固定された2-メチルイミダゾールの被膜で さらに被覆されている。
 エポキシ化ガラス基材14と第1層目の蛍光体 粒子層を形成する反応性硫化亜鉛蛍光体微 子42、及び奇数層目の蛍光体微粒子層を形 する反応性硫化亜鉛蛍光体微粒子42と偶数層 目の蛍光体微粒子層を形成するエポキシ化硫 化亜鉛蛍光体微粒子24との間は、エポキシ基 2-メチルイミダゾールのアミノ基又はイミ 基とのカップリング反応により形成された 合を介して互いに結合固定されている。

 蛍光体微粒子膜2の製造方法は、図2(A)、(B )、図3(A)、(B)、及び図5に示すように、エポキ シ基を有するアルコキシシラン化合物を含む 溶液をガラス基材11の表面に接触させ、アル キシシリル基とガラス基材11の表面との間 結合を形成させ、エポキシ化ガラス基材14を 調製する工程Aと、エポキシ基を有するアル キシシラン化合物を硫化亜鉛蛍光体微粒子21 の表面に接触させ、アルコキシシリル基と硫 化亜鉛蛍光体微粒子21の表面との間で結合を 成させ、エポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子2 4を調製する工程Bと、まず、エポキシ化硫化 鉛蛍光体微粒子24の表面に、2-メチルイミダ ゾールを接触させ、エポキシ基とアミノ基と をカップリング反応させて反応性ガラス基材 32を調製し、次いで、反応性ガラス基材32の 面に反応性硫化亜鉛蛍光体微粒子42を接触さ せ、エポキシ基とイミノ基(第2のカップリン 反応基の一例)とのカップリング反応により 結合を形成させ、エポキシ化ガラス基材14の 面に反応性硫化亜鉛蛍光体微粒子42を固定 、次いで、固定されなかった反応性硫化亜 蛍光体微粒子42を除去する工程Cと、エポキ 化アルコキシシラン化合物を含む溶液を硫 亜鉛蛍光体微粒子21の表面に接触させ、アル コキシシリル基と硫化亜鉛蛍光体微粒子21の 面との間で結合を形成させ、エポキシ化硫 亜鉛蛍光体微粒子24を調製する工程Dと、反 性硫化亜鉛蛍光体微粒子42の蛍光体微粒子 を有する蛍光体微粒子膜1の表面にエポキシ 硫化亜鉛蛍光体微粒子24を接触させ、エポ シ基とイミノ基とのカップリング反応によ 結合を形成させ、反応性エポキシ化硫化亜 蛍光体微粒子24を反応性硫化亜鉛蛍光体微粒 子42の蛍光体微粒子層の上に結合固定し、次 で、結合固定されなかったエポキシ化硫化 鉛蛍光体微粒子24を除去する工程Eと、エポ シ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24の蛍光体微粒 層を有する蛍光体微粒子膜1の表面に反応性 化亜鉛蛍光体微粒子42を接触させ、エポキ 基とイミノ基とのカップリング反応により 合を形成させ、反応性硫化亜鉛蛍光体微粒 42をエポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24の蛍 体微粒子層の上に結合固定し、次いで、結 固定されなかった反応性硫化亜鉛蛍光体微 子42を除去する工程Fとを有する。

 工程A~Fにおける、エポキシ化ガラス基材1 4、エポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子24、反応 性ガラス基材32、及び反応性硫化亜鉛蛍光体 粒子42の調製、並びにこれらの反応につい は、第1の実施の形態にかかる蛍光体微粒子 1の場合と同様であるので、詳しい説明は省 略する。

 このようにして得られた蛍光体微粒子膜 、ディスプレイ、表示板等の表示装置、蛍 灯などの照明機器、X線感光板、電子写真イ メージバー等の感光体、ガスセンサー等に用 いることができる。

 次に、本発明の作用効果を確認するため 行った実施例について説明する。

実施例1:エポキシ化ガラス基材の調製
 ガラス基材を用意し、洗浄後よく乾燥した
 3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシ ラン(化8、信越化学工業株式会社製)0.99重量 、及びジブチルスズビスアセチルアセトナ ト(縮合触媒)0.01重量部を秤量し、これを100 量部のヘキサメチルジシロキサン溶媒に溶 し、反応液を調製した。

 このようにして得られた反応液をガラス基 に塗布し、空気中(相対湿度45%)で2時間程度 応させた。
 その後、クロロホルムで洗浄し、余分なア コキシシラン化合物及びジブチルスズビス セチルアセトナートを除去した。

実施例2;エポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子の 製
 粒径が100nm程度(この粒子径で誘電体層とな 絶縁蛍光体微粒子膜1層の膜厚が決まるので 、できるだけ粒子径の分散が少ないも蛍光体 微粒子を用いた方がよかった。)の無水の硫 亜鉛蛍光体微粒子を用意し、よく乾燥した
 3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシ ラン(化8)0.99重量部、及びジブチルスズビス セチルアセトナート(縮合触媒)0.01重量部を 量し、これを100重量部のヘキサメチルジシ キサン溶媒に溶解し、反応液を調製した。

 このようにして得られた反応液中に硫化亜 蛍光体微粒子を混合し、撹拌しながら空気 (相対湿度45%)で2時間程度反応させた。
 その後、トリクレンで洗浄し、余分なアル キシシラン化合物及びジブチルスズビスア チルアセトナートを除去した。

実施例3:反応性ガラス基材の調製
 実施例1で調製したエポキシ化ガラス基材の 表面に、2-メチルイミダゾールのエタノール 液を塗布し、100℃で加熱すると、エポキシ と2-メチルイミダゾールのアミノ基とが反 して反応性ガラス基材が得られた。エタノ ルで洗浄することにより余分な2-メチルイミ ダゾールを除去した。

実施例4:反応性硫化亜鉛蛍光体微粒子の調製
 実施例2で調製したエポキシ化硫化亜鉛蛍光 体微粒子を、2-メチルイミダゾールのエタノ ル溶液中に分散して、100℃で加熱すると、 ポキシ基と2-メチルイミダゾールのアミノ とが反応して反応性ガラス基材が得られた エタノールで洗浄することにより余分な2-メ チルイミダゾールを除去した。

実施例5:蛍光体微粒子膜の調製(1)
 実施例3で調製した反応性ガラス基材の表面 に、実施例2で調製したエポキシ化硫化亜鉛 光体微粒子のエタノール分散液を塗布し、10 0℃で加熱した。反応後、エタノールで洗浄 、余分なエポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子 除去した。
 このようにして得られた、蛍光体微粒子層 1層積層した蛍光体微粒子膜の表面に、実施 例4で調製した反応性硫化亜鉛蛍光体微粒子 エタノール分散液をさらに塗布し、100℃で 熱した。反応後、エタノールで洗浄し、余 な反応性硫化亜鉛蛍光体微粒子を除去する 、2層の蛍光体微粒子層が積層した蛍光体微 子膜が得られた。

実施例6:蛍光体微粒子膜の調製(2)
 実施例1で調製したエポキシ化ガラス基材の 表面に、実施例4で調製した反応性硫化亜鉛 光体微粒子のエタノール分散液を塗布し、10 0℃で加熱した。反応後、エタノールで洗浄 、余分な反応性硫化亜鉛蛍光体微粒子を除 した。
 このようにして得られた、蛍光体微粒子層 1層積層した蛍光体微粒子膜の表面に、実施 例2で調製したエポキシ化硫化亜鉛蛍光体微 子のエタノール分散液をさらに塗布し、100 で加熱した。反応後、エタノールで洗浄し 余分なエポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子を 去すると、2層の蛍光体微粒子層が積層した 光体微粒子膜が得られた。

符号の説明

1、2:蛍光体微粒子膜、11:ガラス基材、12:ヒ ドロキシル基、13:エポキシ基を有する膜化合 物の単分子膜、14:エポキシ化ガラス基材、21: 硫化亜鉛蛍光体微粒子、22:ヒドロキシル基、 23:エポキシ基を有する膜化合物の単分子膜、 24:エポキシ化硫化亜鉛蛍光体微粒子、31:反応 性単分子膜、32:反応性ガラス基材、41:反応性 単分子膜、42:反応性硫化亜鉛蛍光体微粒子