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Title:
FILM FORMATION METHOD AND FILM FORMATION APPARATUS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/050835
Kind Code:
A1
Abstract:
A film formation method includes steps of producing first aerosol by intermittently introducing carrier gas (5) into a first chamber (8) holding raw material powder (7) and mixing the raw material powder (7) with the carrier gas (5), producing second aerosol by introducing the first aerosol into a second chamber (9), and spraying the second aerosol into a third chamber (13), thereby forming a film of the raw material powder (7).

Inventors:
TAKAHASHI KEIICHI
MINO SHINJI
YOSHIDA TSUNENORI
Application Number:
PCT/JP2008/001954
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
July 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
TAKAHASHI KEIICHI
MINO SHINJI
YOSHIDA TSUNENORI
International Classes:
C23C24/04
Foreign References:
JP2007246943A2007-09-27
JP2007146268A2007-06-14
JP2006249461A2006-09-21
JP2005305427A2005-11-04
JP2001348659A2001-12-18
JP2005078985A2005-03-24
Attorney, Agent or Firm:
OKUDA, Seiji (10th Floor Osaka Securities Exchange Bldg., 8-16, Kitahama 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 41, JP)
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Claims:
 微粒子を保持した第1のチャンバーに搬送気体を間欠的に導入して前記微粒子と前記搬送気体とを混合することにより第1のエアロゾルを生成すること、
 前記第1のエアロゾルを第2のチャンバーに導入することによって第2のエアロゾルを生成すること、および、
 前記第2のエアロゾルを第3のチャンバーに噴射することにより、前記微粒子の膜を形成する工程を包含する、成膜方法。
 前記微粒子の膜を形成する工程は、
  前記生成された第2のエアロゾルの少なくとも濃度を計測し、前記計測の結果に基づいて、前記濃度が所定の範囲内の値となるように、前記第1のチャンバーに導入する前記搬送気体の量および圧力の少なくとも一方を調整する工程(a)と、
  前記調整された少なくとも一方の量および圧力で前記搬送気体を前記第1のチャンバーに間欠的に導入し、前記第2のチャンバーから前記第3のチャンバーに前記第2のエアロゾルを供給することにより、前記第3のチャンバー内に設置された支持体に向けて前記第2のエアロゾルを噴射させ、前記支持体上に前記微粒子の膜を形成する工程(b)とを含む、請求項1に記載の成膜方法。
 前記工程(a)において前記計測と前記調整とを複数回繰り返す、請求項2に記載の成膜方法。
 前記工程(a)において、前記第2のエアロゾルの前記濃度および粒度分布を測定する、請求項2に記載の成膜方法。
 前記第2のチャンバーには粒子計測部が接続され、
 前記第2のエアロゾルの濃度は、前記第2のチャンバーから前記粒子計測部に導入された前記第2のエアロゾルの濃度を測定することによって得られる、請求項2に記載の成膜方法。
 前記第2のチャンバーと前記粒子計測部との間に設けられた切り替え弁と、前記第2のチャンバーと前記第3のチャンバーとの間の切り替え弁とを交互に開くことにより、前記工程(a)と前記工程(b)とを交互に行う、請求項5に記載の成膜方法。
 前記工程(a)において、前記第1のチャンバーに供給する前記搬送気体の量または圧力を時間の経過に伴って変化させる、請求項2に記載の成膜方法。
 前記工程(a)において、前記微粒子の膜の緻密度が所望の値となるように、前記濃度の前記所定の範囲内の値を決定する、請求項2に記載の成膜方法。
 活物質を保持したチャンバーに搬送気体を間欠的に導入して前記活物質と前記搬送気体とを混合することによりエアロゾルを生成し、前記エアロゾルを集電体に向けて噴射することにより前記集電体上に活物質層を形成する、非水電解質二次電池用電極の製造方法。
 前記チャンバーに前記搬送気体を間欠的に導入することにより、前記集電体に向けて前記エアロゾルを間欠的に噴射する、請求項9に記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法。
 外部から搬送気体が間欠的に導入され、内部に保持した原料粉体を前記搬送気体と混合することにより第1のエアロゾルを生成する第1のチャンバーと、
 前記第1のチャンバーから前記第1のエアロゾルが導入され、第2のエアロゾルを生成する第2のチャンバーと、
 前記第2のチャンバーから前記第2のエアロゾルが導入され、内部に保持した支持体上に、前記第2のエアロゾルを噴射することにより、前記支持体上に前記原料粉体の膜を形成する第3のチャンバーとを備える、成膜装置。
 前記第2のチャンバーから前記第2のエアロゾルが導入され、前記第2のエアロゾルの少なくとも濃度を計測する粒子計測部と、
 前記粒子計測部において計測された結果が出力され、前記濃度が所定の範囲内の値となるように、前記第1のチャンバーに導入される前記搬送気体の量および圧力の少なくとも一方を制御する制御部とをさらに備える、請求項11に記載の成膜装置。
 前記第2のチャンバーと前記粒子計測部との間を接続する第1の経路と、
 前記第2のチャンバーと前記第3のチャンバーとの間を接続する第2の経路と、
 前記第1の経路に設けられ、前記第2のチャンバーから前記粒子計測部への前記第2のエアロゾルの供給を制御する第1の弁と、
 前記第2の経路に設けられ、前記第2のチャンバーから前記第3のチャンバーへの前記第2のエアロゾルの供給を制御する第2の弁とをさらに備える、請求項12に記載の成膜装置。
 前記制御部は、前記第1の弁と前記第2の弁とを交互に切り替え可能である、請求項13に記載の成膜装置。
 前記制御部は、前記微粒子の膜の緻密度が所望の値となるような前記濃度の範囲を設定および調整可能である、請求項12に記載の成膜装置。
Description:
成膜方法および成膜装置

 本発明は、エアロゾルデポジッション法 より基板等に膜を形成する成膜方法および 膜装置に関する。

 従来、リチウムイオン二次電池用の電極 、活物質をバインダおよび導電剤とともに 剤に分散させて得られた合剤を集電体上に 布した後、乾燥させることにより作製され いた。しかし、電極中におけるバインダお び導電剤の割合が少ないほど単位体積あた の電池容量が増大し、高容量の電池が得ら るため、バインダを用いずに電極を作製す ことが検討されている。

 たとえば、バインダを用いずに電極を作 する方法として、エアロゾルデポジッショ 法(以下、「AD法」と略す)を用いてリチウム イオン二次電池用の電極を作製する方法が提 案されている。ここで、「エアロゾル」とは 、気体中に浮遊している固体や液体の微粒子 のことをいい、「AD法」とは、原料の粒子を むエアロゾルを生成し、それをノズルから 板に向けて噴射することにより粒子を堆積 せる成膜方法である。AD法では、高速で噴 された原料粒子が、基板や、既に堆積され 原料粒子に衝突して新生面を生じさせると もに、衝突の際に原料粒子自体が破砕して 原料粒子自体にも新生面が生成される。こ 新生面同士が付着するメカノケミカル反応 よって粒子同士や粒子と基板が結合し、基 上に膜が形成される。AD法は、電極の他にも 様々な膜を形成する技術として有用である。

 AD法では、エアロゾルの濃度や噴射速度 ノズルの走査速度などの様々な要因により 成膜速度が変化する。成膜速度が変化しや いため膜質を一定に保つのは困難であり、 た、成膜を行う時間を調整することのみで 所望の厚さの膜を形成できない。また、AD法 は比較的新しく開発された技術であるため、 膜質や膜厚を調整するための検討は十分にな されていない。

 例えば、特許文献1には、AD法と類似の成 法として、ガスデポジッション法という方 が開示されている。AD法が、サブミクロン ら数ミクロンの粒径を持つ粉体をエアロゾ 化し、キャリアガスで搬送し、メカノケミ ル反応を利用して成膜を行う方法であるの 対し、ガスデポジッション法は、微粒子を 相中で合成し、キャリアガスを用いて基材 で搬送して堆積させる成膜法であり、その 料として用いる微粒子は一般に金属粒子を 発後固化させることにより生成させ、成膜 るものである。

 AD法により形成した膜の厚さを調整する めに、例えば、特許文献2には、セラミック 子を含んだエアロゾルを発生させ、エアロ ル中のセラミック微粒子の量をセンサによ 感知して発生器の制御部へフィードバック る方法が開示されている。

 また、特許文献3には、ガスデポジッショ ン法において、エアロゾル化した超微粒子の 一部を粒子計測装置へ導入し、粒子計測装置 で超微粒子の粒径分布、粒子濃度のいずれか 又は両方を計測し、搬送気体の流量、加熱エ ネルギーのいずれかまたは両方を制御する方 法が開示されている。

 また、特許文献4には、ガスデポジッション 法において、粒子供給手段を用いて第2のチ ンバー内空間に粒子を定量供給することに り一定粒子濃度のエアロゾルを形成する方 が開示されている。

特開平6-128728号公報

特開2001-348659号公報

特開2003-313656号公報

特開2006-200013号公報

 従来から、原料粉体の平均粒径について 検討されているが、エアロゾル粒子の凝集 態(原料粉体が集まって一体として存在して いる状態)は注目されていない。従来の方法 平均粒径を規定して膜を形成しても、依然 して膜質にバラツキが生じており、緻密で 品質な膜を安定して得ることは容易ではな った。

 また、成膜速度を大きくする場合、エア ゾル粒子の濃度が変動しやすい。成膜室内 エアロゾル濃度などの粒子計測を行うと、 膜に寄与しなかった粉体が成膜室内のセン 部へ付着したりして検出結果に影響を与え しまうため、膜厚の正確な制御が困難であ た。

 本発明は上記課題を解決するためになさ たものであり、その目的は、成膜速度が大 く、高品質な膜を所望の厚さで形成するこ ができる成膜方法および成膜装置を提供す ことにある。

 本発明の成膜方法は、微粒子を保持した 1のチャンバーに搬送気体を間欠的に導入し て前記微粒子と前記搬送気体とを混合するこ とにより第1のエアロゾルを生成すること、 記第1のエアロゾルを第2のチャンバーに導入 することによって第2のエアロゾルを生成す こと、および、前記第2のエアロゾルを第3の チャンバーに噴射することにより、前記微粒 子の膜を形成する工程を包含する。

 ある実施形態において、前記微粒子の膜 形成する工程は、前記生成された第2のエア ロゾルの少なくとも濃度を計測し、前記計測 の結果に基づいて、前記濃度が所定の範囲内 の値となるように、前記第1のチャンバーに 入する前記搬送気体の量および圧力の少な とも一方を調整する工程(a)と、前記調整さ た少なくとも一方の量および圧力で前記搬 気体を前記第1のチャンバーに間欠的に導入 、前記第2のチャンバーから前記第3のチャ バーに前記第2のエアロゾルを供給すること より、前記第3のチャンバー内に設置された 支持体に向けて前記第2のエアロゾルを噴射 せ、前記支持体上に前記微粒子の膜を形成 る工程(b)とを含む。

 ある実施形態では、前記工程(a)において 記計測と前記調整とを複数回繰り返す。

 ある実施形態では、前記工程(a)において 前記第2のエアロゾルの前記濃度および粒度 分布を測定する。

 ある実施形態において、前記第2のチャン バーには粒子計測部が接続され、前記第2の アロゾルの濃度は、前記第2のチャンバーか 前記粒子計測部に導入された前記第2のエア ロゾルの濃度を測定することによって得られ る。

 ある実施形態において、前記第2のチャン バーと前記粒子計測部との間に設けられた切 り替え弁と、前記第2のチャンバーと前記第3 チャンバーとの間の切り替え弁とを交互に くことにより、前記工程(a)と前記工程(b)と 交互に行う。

 ある実施形態では、前記工程(a)において 前記第1のチャンバーに供給する前記搬送気 体の量または圧力を時間の経過に伴って変化 させる。

 ある実施形態では、前記工程(a)において 前記微粒子の膜の緻密度が所望の値となる うに、前記濃度の前記所定の範囲内の値を 定する。

 本発明の非水電解質二次電池用電極の製 方法は、活物質を保持したチャンバーに搬 気体を間欠的に導入して前記活物質と前記 送気体とを混合することによりエアロゾル 生成し、前記エアロゾルを集電体に向けて 射することにより前記集電体上に活物質層 形成する。

 ある実施形態において、前記チャンバー 前記搬送気体を間欠的に導入することによ 、前記集電体に向けて前記エアロゾルを間 的に噴射する。

 本発明の成膜装置は、外部から搬送気体 間欠的に導入され、内部に保持した原料粉 を前記搬送気体と混合することにより第1の エアロゾルを生成する第1のチャンバーと、 記第1のチャンバーから前記第1のエアロゾル が導入され、第2のエアロゾルを生成する第2 チャンバーと、前記第2のチャンバーから前 記第2のエアロゾルが導入され、内部に保持 た支持体上に、前記第2のエアロゾルを噴射 ることにより、前記支持体上に前記原料粉 の膜を形成する第3のチャンバーとを備える 。

 ある実施形態において、前記第2のチャン バーから前記第2のエアロゾルが導入され、 記第2のエアロゾルの少なくとも濃度を計測 る粒子計測部と、前記粒子計測部において 測された結果が出力され、前記濃度が所定 範囲内の値となるように、前記第1のチャン バーに導入される前記搬送気体の量および圧 力の少なくとも一方を制御する制御部とをさ らに備える。

 ある実施形態において、前記第2のチャン バーと前記粒子計測部との間を接続する第1 経路と、前記第2のチャンバーと前記第3のチ ャンバーとの間を接続する第2の経路と、前 第1の経路に設けられ、前記第2のチャンバー から前記粒子計測部への前記第2のエアロゾ の供給を制御する第1の弁と、前記第2の経路 に設けられ、前記第2のチャンバーから前記 3のチャンバーへの前記第2のエアロゾルの供 給を制御する第2の弁とをさらに備える。

 ある実施形態において、前記制御部は、 記第1の弁と前記第2の弁とを交互に切り替 可能である。

 ある実施形態において、前記制御部は、 記微粒子の膜の緻密度が所望の値となるよ な前記濃度の範囲を設定および調整可能で る。

 本発明では、搬送気体を間欠的に第1のチ ャンバーに供給することにより、気体中に微 粒子を効果的に分散させることができるため 、エアロゾル中の微粒子濃度を高く、かつ安 定させることができる。これにより、膜質の バラツキの少ない高品質な膜を、高い成膜速 度で形成することができる。

 さらに、第2のチャンバーを設けることに より、第1のエアロゾルよりも安定した第2の アロゾルによる成膜を行うことができる。 れによっても、膜の品質や均一性を高める とができる。

 さらに、第1のチャンバーに導入される搬 送気体の量および圧力の少なくとも一方を制 御することにより、第2のエアロゾルにおけ エアロゾル濃度を所望の値に近づけること できる。そして、所望の値の緻密度を得る めに必要なエアロゾル濃度を予め求めてお て制御部を制御することにより、所望の緻 度の膜を形成することができる。また、第2 エアロゾルにおけるエアロゾル濃度は成膜 ートにも関係するため、制御部の制御によ 成膜レートも調整することができる。

本発明による成膜装置の一実施形態を 式的に示す図である。 (a)、(b)は、AD法によって膜を作製する 法を示す模式図である。 本発明による成膜方法の実施形態を示 フローチャートである。 本発明による成膜装置の一実施形態を 式的に示す図である。 実施形態3の製造方法に用いる成膜装置 の構造を模式的に示す図である。 実施形態3の電極を用いたリチウムイオ ン二次電池を示す断面図である。 実施例1における制御弁6a、6bおよび6cの 開閉のタイミングを示すタイミングチャート である。 実施例1の成膜装置で作製したAD膜のSEM 像を示す図である。 比較例における制御弁6a、6bおよび6cの 閉のタイミングを示すタイミングチャート ある。

符号の説明

1     ガスボンベ
2a~2d 配管
3     粒子計測部
4     制御部
5     搬送気体
6a~6c 制御弁
7     原料粉体
8     第1のチャンバー
9     第2のチャンバー
10    演算部
11    基材
12    ノズル
13    第3のチャンバー
15    基板ホルダー
15a   基板ホルダー駆動部
16    排気ポンプ
17    エアロゾル
18    AD膜
19    新生面
20    空孔
30    制御機構
31    ガスボンベ
32a~32c 配管
33    エアロゾル発生器
34    成膜チャンバー
35    ノズル
36    集電体
37    基板ホルダー
38    排気ポンプ
39    制御弁
40    活物質粉体
41    正極
41a   集電体
41b   活物質層
42    負極
42a   集電体
42b   活物質層
43    セパレータ
44    外装ケース
45    正極リード
46    負極リード
47    樹脂材料
48    電解質溶液

 以下、図面を参照しながら本発明の好ま い実施形態を詳しく説明する。

  (実施形態1)
 図1は、本発明による成膜装置の実施形態を 模式的に示す図である。図1に示すように、 実施形態の成膜装置は、第1のチャンバー8と 、第1のチャンバー8に接続される第2のチャン バー9と、第2のチャンバー9に接続される第3 チャンバー13と、第2のチャンバー9に接続さ る粒子計測部3と、粒子計測部3に接続され 制御機構30とを備えている。

 第1のチャンバー8は、配管2aによってガス ボンベ1に接続されている。ガスボンベ1には 搬送気体5として使用されるヘリウムが充填 されている。また、ガスボンベ1と配管2aとが 接続される部分には、搬送気体5の圧力を調 する圧力調整部1aが設けられている。配管2a は、ガスボンベ1からの搬送気体5の供給を 御する制御弁6aが設けられている。

 第1のチャンバー8は原料粉体7を保持して り、第1のチャンバー8内において、配管2aの 先端は原料粉体7に差し込まれている。第1の ャンバー8内に配管2aを通じて搬送気体5が導 入されると、原料粉体7が巻き上げられて搬 気体5と混合されることにより、第1のエアロ ゾルが生成する。第1のチャンバー8には、内 に供給された原料粉体7が運動するように、 振動機構、揺動機構または回転機構が設けら れていてもよい。これは、原料粉体7の凝集 容器底部での偏在を防止することにより、 料粉体7が搬送気体5と混合された状態を保持 するためのものである。例えば、振動機構と して超音波振動子を、回転機構として攪拌モ ーターを用いることができる。また、撹拌モ ーターの他に、容器内壁面への付着を掻き落 とす回転機構を設けてもよい。

 第1のチャンバー8と第2のチャンバー9との 間は、配管2dによって接続されている。第1の エアロゾルは、第2のチャンバー9に導入され と第2のエアロゾルとなる。このとき、エア ロゾル粒子のうち重いエアエゾル粒子が堆積 し、軽いエアロゾル粒子が浮遊することによ り分離されてもよい。第2のチャンバー9の内 は、大気圧付近に保たれている。

 第2のチャンバー9と第3のチャンバー13と 間は、配管2cによって接続されている。配管 2cの先端にはノズル12が設けられている。配 2cには制御弁6cが設けられ、制御弁6cが開く 、第2のエアロゾルが、ノズル12から基材11に 向けて高速で噴射する。これにより、基材11 に原料粉体7の膜が形成される。ノズル12は 所定の形状及び大きさ(例えば、φ1.0mmの円 状、または長さ15mm、幅0.2mmのスリット状等) 開口を有している。第3のチャンバー13は、 板ホルダー15により基材11を保持する。また 、基板ホルダー15には、基板ホルダー駆動部1 5aが設けられており、基板ホルダー駆動部15a 、ノズル12と基材11との相対位置および相対 速度を3次元的に制御する。

 第2のチャンバー9と粒子計測部3との間は 配管2bにより接続されている。配管2bには制 御弁6bが設けられ、制御弁6bを開くと、第2の ャンバー9から粒子計測部3に第2のエアロゾ が導入される。粒子計測部3は、第2のエア ゾルの粒度分布および濃度を計測する。濃 計測は、レーザー散乱法などの方式による 測器を用いて行うことができ、粒度分布の 測は、レーザーを利用して濃度計測と同時 行うこともできるが、それぞれ別に行って よく、電気移動度分級法や超音波インパク ーなどにより計測すればよい。

 粒子計測部3は、計測した粒度分布および 濃度を、制御機構30に出力する。制御機構30 、演算部10および制御部4を有している。演 部10は、第2のエアロゾルの粒度分布および 度に基づいて、第2のエアロゾルの濃度が所 の範囲内の値であるかどうかを判定する。 御部4は、演算部10からの演算結果に基づい 制御弁6aや圧力調整部1aにセンサ信号を出力 する。制御部4は、粒子計測部3において測定 れる第2のエアロゾルの濃度が所定の範囲内 になるように、第1のチャンバー8に導入され 搬送気体の量および圧力の少なくとも一方 制御する。例えば、第1のチャンバー8に搬 気体5を間欠的に供給する場合には、制御部4 は、制御弁6aを10ミリ秒から数分程度の間隔 開閉する。

 搬送気体5としては、ヘリウムなどの軽い 気体を用いた方が、原料粉体7が第3のチャン ー13内に供給される速度を大きくすること でき、基材11への衝突エネルギーを大きくす ることができる。衝突エネルギーが大きくな ると、接合力の大きい膜が得られる。この接 合をさらに強化するためには、不活性な表面 を破壊して、新生面の生成領域をできるだけ 大きくすることが必要である。「新生面」と は、瞬間的に原子の結合手(ダングリングボ ド)が露出した、高い活性状態にある面のこ をいう。新生面は、衝突速度がある閾値を えるときに生成するものと考えられる。な 、搬送気体5としてはヘリウムの他に、アル ゴン、窒素、酸素、または乾燥空気等を用い てもよい。

 原料粉体7としては、AD法による成膜が可能 ものであれば、金属の酸化物、非金属の酸 物、炭化物または窒化物など、様々な材料 用いることができる。例えば、アルミナな の酸化物、PZT、PZTと固溶体を形成する複合 化物、Si 3 N 4 などの窒化物またはSiO x (x=0.1~2)などの非晶質粉体などが挙げられる。 また、機能性材料としては、Pb(Mg 1/3 Nb 2/3 )O 3 、Pb(Zn 1/3 Nb 2/3 )O 3 、Pb(Ni 1/3 Nb 2/3 )O 3 、Pb(Mg 1/3 Nb 2/3 )O 3 、(Mn,Zn)Fe 2 O 3 、BaTiO 3 、(Li,Na)(Nb,Ta)O 3 、LiCoO 3 、Li(Ni,Co,Al)O 3 、LaNiO 3 、Y 3 Al 5 O 12 などのセラミックス材料が挙げられる。さら に、CoPtCrなどの合金材料も挙げられる。

 図2(a)、(b)は、AD法により膜(AD膜)を作製す る方法を示す模式図である。図2(a)に示すよ に、原料粉体7と搬送気体5からなるエアロゾ ル17を、真空雰囲気、常温の条件下で、基材1 1の表面に向け噴射させると、図2(b)に示すよ に、基材11の表面に、原料粉体7と同一組成 AD膜18が形成される。

 エアロゾル17が基材11に衝突すると、セラ ミック粒子である原料粉体7は破壊変形し、 たな結合に関与する新生面19(図2(b)に破線で す面)が生じる。同時に、基材11の表面にお ても不活性面が除去されて新生面19が生じ 。これら2つの新生面19が接触することによ 、粒子と基材11とは直接的に接合する。この 接合は常温でAD法を実施した場合であっても 固である。なお、ここでいう「直接的な接 」とは、不活性な表面層が除去された新生 で生じる化学結合のことであり、原料粉体7 同士、または原料粉体7と基材11の表面におけ る原子との間で生じる。なお、衝突する運動 エネルギーが小さい場合には、新生面の生成 が十分ではなく、結合が生じない領域もある 。このような場合には、粒子において、新生 面が生じている領域と、生じていない領域と が存在してもよい。また、粒子同士が結合す る際、粒子の変形破壊が生じるが、これらは 満遍なく充填されるわけではなく、表面にお いて、他の粒子と結合せずに結合手が終端し ていることもある。このように終端された表 面に包囲された領域は空孔20となる。

 なお、凝集粒子(一次粒子または二次粒子 同士のゆるい結合体で、解砕されても同時に 新生面19を生じにくい)を解砕したのみでは新 生面19の生成は不十分である。これに対し、 集粒子ではなく焼結された二次粒子を破壊 ると、より新生面19が生成しやすくなるた 、これを原料粉体7に用いた方が、十分な厚 のAD膜18を容易に形成できる。また、粒径0.5 μm以下の一次粒子を含む0.5μm以上5μm以下の 次粒子を原料粉体7として用いることが好ま く、一次粒子の平均粒径が0.05μm以上0.2μm以 下であり、1μm以上3μm以下の二次粒子であれ より好ましい。

 原料粉体7における二次粒子の平均粒径は 0.2μm以上5μm以下であることが好ましい。こ 範囲内にあれば、エアロゾル17が容易に得ら れ、原料粉体7同士が結合しやすくなり、か 空孔20の割合である空隙率が制御された(多 質な)AD膜18が得られる。特に、二次粒子の最 大粒径が15μm以下である場合には、基材11に えられるダメージがより小さくなる。原料 体7がリチウム含有複合酸化物である場合、 次粒子の粒径分布は、0.5~15μmであることが ましい。

 原料粒子7の粒径分布および平均粒径は、例 えば、(株)マイクロトラック製の湿式レーザ 粒度分布測定装置により測定することがで る。この場合、粉体の粒径分布における積 頻度の割合が50%である時の粒径(メディアン 値:D 50 )を平均粒径とする。

 次に、本実施形態の成膜方法について図 を参照しながら説明する。図3は、本実施形 態の成膜方法を示すフローチャート図である 。この成膜方法では、図1に示すような成膜 置を用いるため、図1も再度参照しながら説 を行う。

 本実施形態の成膜方法では、まず、ガス ンベ1と第1のチャンバー8との間の配管2aに 成された制御弁6aを開くことにより、ガスボ ンベ1から第1のチャンバー8に搬送気体5を導 する。搬送気体5が第1のチャンバー8内に導 されると、第1のチャンバー8内に保持された 原料粒子7が搬送気体5と混合され、第1のエア ロゾルが生成する。第1のエアロゾルは、配 2dを通じて第2のチャンバー9に導入されて、 2のチャンバー9では第2のエアロゾルが生成 る。この時点において、配管2cに設けられ 制御弁6cは閉じられており、配管2bに設けら た制御弁6bは開かれている。したがって、 2のエアロゾルは、第2のチャンバー9から粒 計測部3の方に導入される。

 第2のエアロゾルが導入されると、まず、 図3のステップST1に示すように、粒子計測部3 、第2のエアロゾルの濃度および粒度分布を 計測し、この計測結果を演算部10に出力する

 演算部10は、計測された濃度および粒度 布を元に以下の演算を行う。第2のエアロゾ の粒度分布および濃度と、その濃度で形成 る膜の緻密度との間には相関関係があり、 度分布および濃度が分かれば、形成する膜 緻密度を推定することができる。言い換え ば、測定された粒度分布のエアロゾルを用 て所望の緻密度を有する膜を形成するため は、どの程度の濃度が必要なのかを推定す ことができる。演算部10は、粒度分布ごと 濃度の許容範囲を記憶しており、これを基 として、測定された濃度が許容範囲内であ か否かの判定を行う(ステップST2)。

 測定された濃度が許容範囲外のものであ ば、ステップST3に進み、濃度を許容範囲内 収めるために、第1のチャンバー8に導入さ る搬送気体5の量または圧力を決定する。搬 気体5の量を調整する場合には、例えば、搬 送気体5を間欠的に供給する。具体的には、 算部10において、制御弁6aを開く時間(搬送気 体5が第1のチャンバー8に供給される時間)と 制御弁6aを閉じる時間(搬送気体5が第1のチャ ンバー8に供給されない時間)とを算出する。 こでは、どの程度の時間間隔で制御弁6aを 閉すれば、粒子計測部3で計測される濃度が 容範囲内になるかの経験的な値をもとに、 御弁6aの開閉時間を算出する。この経験的 値は、演算部10が予め記憶している値であっ てもよいし、成膜装置の動作開始から現在ま での値であってもよい。制御弁6aの開閉時間 、制御部4に出力される。ステップST4では、 この結果に基づいて、制御部4が制御弁6aの開 閉を制御する。

 一方、ステップST3において搬送気体5の圧 力を調整する場合には、例えば、演算部10に いて必要な圧力を算出し、その結果を制御 4に出力する。この結果に基づいて、制御部 4は、圧力調整部1aを制御する。

 第1のチャンバー8に導入される搬送気体5 量または圧力が変更されると、第1のチャン バー8において発生する第1のエアロゾルの濃 も変化する。この第1のエアロゾルが第2の ャンバーに導入されて、第2のエアロゾルが 成する。第2のエアロゾルは粒子計測部3に 入されると、ステップST1において、粒子計 部3は再び濃度を計測する。この濃度が所定 範囲内の値となるまで、ステップST1からス ップST4を繰り返す。

 一方、ステップST2において、上記濃度が 定の範囲内になれば、搬送気体5の量または 圧力を変更することなく、ステップST5に進む 。そして、搬送気体5をガスボンベ1から第1の チャンバー8に導入する。同時に、制御弁6bを 閉じると共に、制御弁6cを開放する。第1のチ ャンバー8において生成された第1のエアロゾ は、第2のチャンバー9に導入されて、第2の アロゾルとなる。制御弁6bが閉じて制御弁6c が開いた状態にあるので、第2のエアロゾル 第3のチャンバー13に供給される。第2のエア ゾルは、第3のチャンバー13内に設置された 材11に向けて噴射され、基材11上に原料粉体 7の膜が形成される。

 この成膜は、ノズル12から第2のエアロゾ を供給しながら、基材11を動かすことによ 行われる。基材11を動かすことにより、ノズ ル12を基材11の表面のX-Y方向にスキャンさせ がら、最終的には、所望の面積の膜を形成 る。具体的には、まず、X方向を固定して、Y 方向に向けてノズルを一定速度でスキャンす る。一列のスキャンが終了すると、それ以前 の成膜エリアとの重なりを考慮してX方向に 動し、同様にY方向にスキャンする。このよ にして所望のX位置に達するまでY方向のス ャンを繰り返すことにより、所望の面積の 膜を行う。

 ステップST5では、あるエリアの成膜が終 すると、ステップST6に進む。なお、ステッ ST5を一度行うごとに成膜するエリアは、ス ップST4で設定した条件の変動が小さく、所 の緻密度の膜が得られる範囲内であること 好ましい。例えば、ノズルをY方向に一列ス キャンしてステップST6に進めばよい。ステッ プST6では、さらなる成膜が必要かどうかを判 定する。さらなる成膜が必要であれば、ステ ップST1に戻り、ステップST1からステップST4を 繰り返す。一方、さらなる成膜が不要であれ ば、工程を終了する。

 なお、上述の説明では、演算部10に、許 範囲内の濃度が記憶されていると説明した しかしながら、濃度ではなく、粒度分布ご の第2のエアロゾルの濃度と、その濃度で形 する膜の緻密度との対応関係が記憶されて てもよい。この場合には、この対応関係を に、ステップST2で計測された粒度分布およ 濃度のときの緻密度を推定する。この緻密 が所定の範囲外であれば、所定の範囲内の 密度が得られると推定される濃度を上記対 関係から算出する。この場合には、演算部1 0は、緻密度が所定の範囲内であるかどうか 判定しているが、緻密度は濃度と相関関係 有しているため、実質的には、濃度が所定 範囲内にあるかどうかを判定しているとい る。

 また、上述の説明では、演算部10におい 、所望の緻密度を実現するために、粒度分 および濃度を設定した。粒度分布および濃 は成膜レートにも影響を与えるため、粒度 布および濃度を調整することにより成膜レ トも所望の値に近づけることができる。

 また、上述の説明では、粒子計測部3にお いて粒度分布および濃度を測定した後、制御 機構30において自動的に搬送気体5の量または 圧力を調整した。しかしながら、本実施形態 の成膜方法では、粒子計測部3において粒度 布および濃度を測定した後、その結果をも に、手動で搬送気体5の量または圧力を調整 てもよい。

 以上に説明したように、本実施形態では 第2のエアロゾルにおけるエアロゾル濃度を 所望の値に近づけることができる。第2のエ ロゾルにおけるエアロゾル濃度は、第3のチ ンバー13で形成される原料粉体7の膜の緻密 および成膜レートと相関関係を有する。し がって、所望の値の緻密度および成膜レー を得るために必要なエアロゾル濃度を予め めておけば、制御機構30の制御により、所 の緻密度の膜を形成することができる。

 さらに、第1のチャンバー8において発生 る第1のエアロゾルの量にばらつきがあって 、第1のエアロゾルを第2のチャンバー9に供 して所定の時間保持することにより、第3の チャンバー13に供給する第2のエアロゾルの量 を安定させることができる。また、第2のチ ンバー9において、例えば重い原料粒子を沈 させることができるため、原料粒子の重さ ばらつきを少なくすることができる(分級効 果)。したがって、より安定した条件で第2の アロゾルによる成膜を行うことができる。 れによっても、膜の品質や均一性を高める とができる。

 また、第2のチャンバー9に粒度計測部3を 続し、粒度計測部3においてエアロゾルの濃 度などを測定している。粒度計測部3では、 2のチャンバー9や第3のチャンバーほど多く エアロゾル粒子が堆積しないため、濃度な の測定を開始して時間が経過しても、測定 度を高く保つことができる。

  (実施形態2)
 図4は、本発明による成膜装置の実施形態を 模式的に示す図である。図4のうち図1の成膜 置と同一の構成部材には、同一の符号を付 ている。図4に示す成膜装置のうち図1の成 装置と異なるのは、粒子計測部3、制御機構3 0、配管2b、ノズル6bおよびノズル6cが設けら ていない点である。

 以下、本実施形態の成膜方法について図4 を参照しながら説明する。

 本実施形態の成膜方法では、まず、制御 6aの開閉を一定の期間ごとに繰り返すこと より、ガスボンベ1から第1のチャンバー8に 搬送気体5を間欠的に導入する。搬送気体5が 第1のチャンバー8に導入されると、第1のチャ ンバー8内に含まれる原料粒子7と搬送気体5が 混合され、第1のエアロゾルが生成される。 1のエアロゾルは、配管2dを通じて第2のチャ バー9に導入され、第2のチャンバー9では第2 のエアロゾルが生成される。本実施形態では 、制御弁6aの開閉の間隔は予め設定されてい 。この開閉の間隔は、一定であってもよい 、変化してもよい。

 第2のチャンバー9で生成された第2のエア ゾルは、配管2cを通じて第3のチャンバー13 の基材11に向けて噴射される。第2のエアロ ルは、搬送気体5が第1のチャンバー8に供給 れるタイミングに合わせて、間欠的に第3の ャンバー13内に供給される。これにより、 材11の表面に、原料粉体7の膜が形成される

 なお、本実施形態の成膜方法では、搬送 体5の供給を開始した後に、濃度や粒度分布 などを計測するステップを経た後、成膜を開 始してもよい。その場合には、第2のチャン ー9に、図1と同様の粒度計測部3を接続し、 度計測部3に第2のエアロゾルを導入すること により、濃度や粒度分布を計測すればよい。

 従来のように搬送気体を連続的にエアロ ル発生器内に供給する方法では、時が経過 ると、原料粉体の大部分がエアロゾル発生 に舞い上がりにくい状態に偏在してしまい 新たに発生するエアロゾル中に原料粒子が 散しにくくなっていた。これにより、高い 度の安定したエアロゾルが得られにくく、 膜レートが低下すると共に、膜質の安定し 膜が得られにくいといった問題が生じてい 。それに対して、本実施形態では、搬送気 5を間欠的にエアロゾル発生器13内に供給す ことにより、気体中に原料粒子7を効果的に 分散させることができるため、エアロゾル中 の原料粒子7の濃度を高く、かつ安定させる とができる。これにより、本実施形態では 膜質のバラツキの少ない高品質な膜を、高 成膜レートで得ることができる。

 それに加えて、本実施形態では、基材11 向けて、エアロゾルの噴射が間欠的に行な れるため、連続的に噴射される場合に比べ 、緻密度を適度に低下させることができる そのため、基材11が変形したり、基材11にし や貫通孔が形成されるのを回避することが きる。本実施形態では、基材11に加わるダ ージが小さくなるため、基材11として厚さの 小さな金属箔を用いたり、粒径の大きな原料 粉体7を用いることができる。そのため、従 のように、基材11への衝撃を緩和するために 原料粉体7を粉砕する必要がなく、体積あた のエネルギー密度の高い膜を製造すること できる。

 さらに、第1のチャンバー8において発生 る第1のエアロゾルの量にばらつきがあって 、第1のエアロゾルを第2のチャンバー9に供 して所定の時間保持することにより、第3の チャンバー13に供給する第2のエアロゾルの量 を安定させることができる。また、第2のチ ンバー9において、重い原料粒子を沈降させ ことができるため、原料粒子の重さのばら きを少なくすることができる(分級効果)。 たがって、より安定した条件で第2のエアロ ルによる成膜を行うことができる。これに っても、膜の品質や均一性を高めることが きる。

  (実施形態3)
 以下では、本発明による非水電解質二次電 用電極の製造方法の実施形態を説明する。 実施形態は、リチウムイオン二次電池用電 の活物質層を製造する方法である。本実施 態は、図5に示すような成膜装置を用いて行 なわれる。

 図5に示す成膜装置において、ガスボンベ 31には、エアロゾルを発生させるための搬送 体が貯蔵されている。ガスボンベ31は、配 32aを介してエアロゾル発生器33に連結され、 配管32aは、エアロゾル発生器33の内部に引き されている。エアロゾル発生器33の内部に 、あらかじめ一定量の活物質粉体40が投入さ れている。エアロゾル発生器33に連結される う1つの配管32bは、成膜チャンバー34に連結 れ、成膜チャンバー34の内部において、配 32bの端部は、ノズル35に接続されている。

 成膜チャンバー34の内部において、基板 ルダー37には基板として集電体36が保持され 集電体36は、ノズル35に対向して配置されて いる。成膜チャンバー34には、成膜チャンバ 34内の真空度を調整するための排気ポンプ38 が、配管32cを介して接続されている。

 図示は省略するが、本実施形態で用いら る成膜装置は、基板ホルダー37を横方向ま は縦方向(基板ホルダー37においてノズル35に 対向する平面内の横方向または縦方向)に一 速度で移動させる機構を備える。基板ホル ー37を縦方向および横方向に移動させながら 成膜を行うことにより、集電体36の上に、所 の面積の活物質層を形成することができる

 ガスボンベ31とエアロゾル発生器33とを連 結する配管32aの途中には、制御弁39が設けら ている。例えば、この制御弁39の開閉を交 に繰り返すことにより、ガスボンベ31からの 搬送気体を、エアロゾル発生器33に間欠的に 給することができる。制御弁39の開閉は、 えば、コンピュータなどの制御装置(図示せ )により制御することができる。

 本実施形態の製造方法では、まず、制御 39を開くことにより、ガスボンベ31における 搬送気体を、配管32aを通じてエアロゾル発生 器33に導入する。エアロゾル発生器33内に搬 気体が導入されると、活物質粉体40が撒き上 げられ、搬送気体中に活物質粒子が分散した 状態のエアロゾルが発生する。このとき、成 膜チャンバー34内は減圧されているため、エ ロゾル発生器33内で発生したエアロゾルは 配管32bを通じてノズル35より高速で噴射され る。ノズル35は基板ホルダー37に対向してい ため、エアロゾルは、基板ホルダー37に保持 された集電体36に向けて噴射される。

 エアロゾルの噴射速度は、ノズル35の形 、配管32bの長さや内径、ガスボンベ31のガス 内圧、排気ポンプ38の排気量(成膜チャンバー 34の内圧)などにより制御される。例えば、エ アロゾル発生器33の内圧を数万Paとし、成膜 ャンバー34の内圧を数百Paとし、ノズル35の 口部の形状を内径1mmの円形状とした場合、 アロゾル発生器33と成膜チャンバー34との内 差により、エアロゾルの噴射速度を数百m/se cとすることができる。

 加速されて運動エネルギーを得たエアロ ル中の活物質粒子が集電体36に衝突して、 突エネルギーで細かく破砕される。そして これらの破砕粒子が集電体36に接合すること 、および破砕粒子同士が接合することにより 、緻密な活物質層が形成される。

 その後、制御弁39を閉じて、ガスボンベ31 からエアロゾル発生器33への搬送気体の供給 停止し、一定時間経過した後に、再びバル 39を開く。以上のように、バルブ39の開閉を 繰り返すことにより、エアロゾル発生器33内 、搬送気体を間欠的に供給することができ 。

 集電体36として厚み20μm程度の金属箔を用 い、活物質粉体40として平均粒径が10μm程度 リチウム含有複合酸化物の粒子を用いて正 を作製する場合の成膜条件としては、例え 、成膜チャンバー34の内圧を5~5000Pa、制御弁3 9が開状態の時間を0.5~5秒、および制御弁39が 状態の時間を0.5~60秒とすればよい。

 従来のように搬送気体を連続的にエアロ ル発生器内に供給する方法では、時が経過 ると、原料粉体の大部分がエアロゾル発生 に舞い上がりにくい状態に偏在してしまい 新たに発生するエアロゾル中に原料粒子が 散しにくくなっていた。これにより、高い 度の安定したエアロゾルが得られにくく、 膜レートが低下すると共に、膜質の安定し 膜が得られにくいといった問題が生じてい 。それに対して、本実施形態では、搬送気 を間欠的にエアロゾル発生器33内に供給す ことにより、気体中に活物質粉体40を効果的 に分散させることができるため、エアロゾル 中の活物質粉体40の濃度を高く、かつ安定さ ることができる。これにより、本実施形態 は、膜質のバラツキの少ない高品質な膜を 高い成膜レートで得ることができる。

 それに加えて、本実施形態では、集電体3 6に向けて、エアロゾルの噴射が間欠的に行 われるため、連続的に噴射される場合に比 て、緻密度を適度に低下させることができ 。そのため、集電体36が変形したり、集電体 36にしわや貫通孔が形成されるのを回避する とができる。本実施形態では、集電体36に わるダメージが小さくなるため、集電体36と して厚さの小さな金属箔を用いたり、粒径の 大きな活物質粉体40を用いることができる。 のため、従来のように、集電体への衝撃を 和するために活物質粉体40を粉砕する必要 なく、体積あたりのエネルギー密度の高い 極を製造することができる。

 例えば、正極活物質として平均粒径が10μ mのリチウム含有複合酸化物の粉体を用いる 合には、集電体36として厚さ5μmまでの薄い ルミニウム箔を用いることができる。

 次に、図6を参照して、上述の方法で形成 された電極を有するリチウムイオン二次電池 の構造について説明する。図6に示すリチウ イオン二次電池は、正極41と、正極41と対向 、リチウムイオンを吸蔵・放出する負極42 、正極41と負極42との間に配置されたセパレ タ43とを備える。正極41は、集電体41a(図5に す集電体36)と、上述した方法により形成さ た活物質層41bとから構成されている。一方 負極42は、集電体42aおよび活物質層42bから 成されている。負極42の活物質層42bとしては 、カーボンや合金系の活物質が用いられる。 なお、正極41ではなく負極42を上述の方法に って形成してもよい。

 集電体41aとして用いられる基板としては アルミニウムを主成分とする物質を用いる とが好ましく、例えば、アルミニウム箔を いる。リチウムイオン二次電池の体積容量 度や得られる活物質層の厚みに応じて基板 厚みを適宜変えればよいが、概ね市販で入 可能な5~20μmの範囲のアルミニウム箔を用い ればよい。アルミニウム箔の厚みが5μm未満 あると、箔の強度が弱いため成膜時に破損 の問題が生じ、作業効率が低下する。また アルミニウム箔の厚みが20μmを超えると、リ チウムイオン二次電池の体積容量密度が低下 する。

 活物質層41bの原料としては、リチウムイ ンの挿入脱離が可能な公知のリチウム含有 合酸化物の粒子が用いられる。リチウム含 複合酸化物としては、例えば、コバルト酸 チウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸 チウム、ニッケルマンガンコバルト酸リチ ム、ニッケルコバルト酸リチウム、ニッケ マンガン酸リチウム、ニッケルコバルトチ ン酸リチウムまたはこれらの化合物にアル ニウムを添加したものが用いられる。また これらを単独で用いても、2種以上を組み合 わせて用いてもよい。

 セパレータ43は、例えば微多孔性フィル からなり、電解質溶液を含んでいる。正極41 、負極42およびセパレータ43は、外装ケース44 の内部に収納されており、外装ケース44の中 電解質溶液48が充填されている。外装ケー 44の両端部は樹脂材料47により密閉されると に、樹脂材料47によって正極リード45および 負極リード46が固定されている。正極リード4 5および負極リード46は、外装ケース44と集電 41a、42aとの間にそれぞれ介在し、正極41お び負極42を固定している。

 負極42における活物質層42bの原料として 、リチウムと電気化学的に反応するものを いればよい。特に、負極42における活物質層 42bの原料として、ケイ素単体、ケイ素合金、 ケイ素と酸素とを含む化合物、ケイ素と窒素 とを含む化合物、スズ単体、スズ合金、スズ と酸素とを含む化合物、スズと窒素とを含む 化合物、および炭素材料よりなる群から選択 される少なくとも1種であるのが好ましい。 れらの原料は、リチウムとの反応性が比較 高く、高容量が得られるという性質を有す 。

 ケイ素合金としては、例えば、SiB 4 、SiB 6 、Mg 2 Si、Ni 2 Si、TiSi 2 、MoSi 2 、CoSi 2 、NiSi 2 、CaSi 2 、CrSi 2 、Cu 5 Si、FeSi 2 、MnSi 2 、NbSi 2 、TaSi 2 、VSi 2 、WSi 2 、ZnSi 2 、SiCなどが挙げられる。ケイ素と酸素とを含 む化合物としては、例えば、Si 2 N 2 O、SiO x (0<x≦2)、SnSiO 3 、LiSiOなどが挙げられる。ケイ素と窒素とを む化合物としては、例えば、Si 3 N 4 、Si 2 N 2 Oなどが挙げられる。スズ合金としては、例 ば、Mg 2 Snが挙げられる。スズと酸素とを含む化合物 しては、例えば、SnO x (0<x≦2)、SnSiO 3 などが挙げられる。スズと窒素とを含む化合 物としては、例えば、Sn 3 N4、Sn 2 N 2 Oなどが挙げられる。炭素材料としては、例 ば、黒鉛が挙げられる。

 負極42における集電体42aとしては、例え 、厚みが5~50μmの銅箔やニッケル箔を用いれ よい。

 電解質溶液(非水電解質)48は、一般的にリチ ウムイオン二次電池で使用可能なものであれ ばよく、特に限定されない。電解質溶液48は 例えば、非水溶媒および前記非水溶媒中に 解する支持塩からなる。非水溶媒には、例 ば、エチレンカーボネートやプロピレンカ ボネートのような環状カーボネートが用い れる。支持塩には、例えば、6フッ化リン酸 リチウム(LiPF 6 )が用いられる。

 本実施形態の電極を用いることにより、 積あたりの容量密度が高く、かつサイクル 性に優れたリチウムイオン二次電池を得る とができる。

  (実施例1)
 以下では、AD膜を実際に作製し、そのAD膜を 用いて、エアロゾルの粒径および濃度と、AD の成膜レートおよび緻密度との関係を測定 た結果について説明する。

 まず、AD膜の形成に用いる成膜装置の具 的な構成について、再度図1を参照しながら 明する。図1に示すように、成膜室である第 3のチャンバー13では、厚さ15μmのAlよりなる 材11が基板ホルダー15に固定されている。第3 のチャンバー13内は、排気ポンプ16によって 空状態に保たれている。そして、基材11の表 面に対向して、エアロゾルを供給するための ノズル12が配置されている。ノズル12は、直 1mmの大きさの円形状噴出口を備えている。 ズル12に接続される配管2cは成膜室13の外部 引き出され、第2のチャンバー9に接続されて いる。さらに、配管2cの途中には、第2のチャ ンバー9からのエアロゾルの供給を制御する めの制御弁6cが設けられている。

 第2のチャンバー9の形状は円筒状であり 気流が円筒の内壁に沿って上部の噴出口に かうように、円筒の内壁に螺旋状の凹凸が 成されている。第2のチャンバー9の内壁の一 部には障壁部が設けられており、エアロゾル が渦を巻きながら回転して流れるようになっ ている。一方、第1のチャンバー8内には、原 粉体7が投入されており、エアロゾル濃度は 、ガスボンベ1からの搬送気体5の量または圧 を変化させることにより調整されている。 実施例では、搬送気体5を間欠的に供給する ことにより搬送気体5の単位時間当たりの量 調整している。

 次に、AD法によるエアロゾルの発生から 膜までの手順を説明する。まず、制御弁6aの 開閉を開始することにより、ガスボンベ1か 第1のチャンバー8内への搬送気体5の間欠的 導入を開始する。第1のチャンバー8内には原 料粉体7が保持されており、搬送気体5が原料 体7に吹き付けられると、原料粉体7が舞い がって気流の攪拌状態が発生し、原料粉体7 搬送気体5が混合された第1のエアロゾルが じる。第1のエアロゾルは配管2dを通じて第2 チャンバー9に導入され、第2のエアロゾル なる。あらかじめ粒子計測部3への制御弁6b 開き、第3のチャンバーへの制御弁6cを閉じ おくことにより、第2のエアロゾルは、第2の チャンバー9から粒子計測部3に導入される。 子計測部3は、TSI社製のエアロゾル粒子径解 析装置Model3321を備えており、エアロゾルの粒 度分布および濃度を計測する。この計測にお いて、測定された濃度が許容範囲外であれば 、演算部10は制御弁6aの適切な開閉時間を算 する。つまり、エアロゾルの濃度が許容範 内となるように、搬送気体5を供給する時間 供給しない時間とを算出する。算出した開 時間をもとに、制御部4は、制御弁6aの開閉 制御する。エアロゾルの濃度が許容範囲内 なるまで、上記測定と、制御弁6aの制御と 繰り返す。

 エアロゾルの濃度が許容範囲内になれば 制御弁6bを閉じ、制御弁6cを開いて、エアロ ゾルを第3のチャンバー13に送り、ノズル12を して基材11に第2のエアロゾルを噴射させる このような工程を経て、図2(b)に示すような AD膜18を成膜する。

 図7は、制御弁6a、6bおよび6cの開閉のタイ ミングを示すタイミングチャートである。な お、図7に示す制御弁6a、6b、6cのタイミング ャートの時間軸は同じである。図7に示すよ に、まず制御弁6aを制御することにより、 送気体5の間欠的な供給を開始する。そして 制御弁6bを開いて制御弁6cを閉じた状態で、 粒子計測部3が、第2のエアロゾルの1度目の濃 度測定を行った後、制御弁6bを一旦閉じる。 のとき、演算部10は、測定結果の濃度が許 範囲外であると判定したとする。この場合 は、制御部4は、搬送気体5を供給する時間と 供給しない時間の周期(間欠時間の周期)を、 期aから周期bに変更する。また、制御弁6cを 閉じたままで、再度制御弁6bを開き、2度目の 濃度測定を行う。このとき、演算部10は、測 結果の濃度が許容範囲内であると判定した する。この場合には、制御部4は、搬送気体 5の間欠時間の周期を変更することなく、制 弁6cを開いて、成膜を開始する。

 本実施例では、AD膜18として、Al箔上にニ ケル酸リチウム膜を形成した。原料粉体7と しては、平均粒径0.55μm、1.3μm及び2.5μmのニ ケル酸リチウム(住友金属鉱山製)を用いた。 成膜真空度は200Pa、成膜温度は30℃、キャリ ガスはヘリウムとした。原料粉体7の粒径分 ごとに許容範囲のエアロゾル濃度を設定し このエアロゾル濃度を実現するために、搬 気体5を導入する間欠時間の周期を1秒から60 秒の間で調節した。ノズルに対して基板であ るAl箔を0.2mm/sのスキャン速度で動かし、6mm×6 mmの領域を成膜領域とした。

 また、成膜レートは、基板をノズルに対 て0.2mm/sの速度で1時間移動させ、6mm×6mmの領 域を成膜したときの膜厚である。膜厚は、東 京精密製サーフコム5000DXを用いて計測した。 膜の緻密度は、成膜重量を膜厚など形状測定 の値から得た体積で割った密度を、理論密度 で割った値から求めた。

 図8に、本実施例の成膜方法で作製したAD のSEM画像を示す。図8に示すAD膜は、原料粉 の平均粒径が1.3μmで、間欠時間の平均が1.2 の条件で形成されたニッケル酸リチウム膜 ある。

 表1に、間欠時間の変化に対するエアロゾ ル濃度(平均値)、成膜レートおよび膜の緻密 の変化を示す。表1に示すように、0.55μm、1. 3μmおよび2.5μmの3種の平均粒径を有する原料 体ごとに、間欠時間の周期、エアロゾル濃 、成膜レートおよび緻密度を測定した。な 、表1に示す測定では、粒度分布の1つの指 として、平均粒径を測定した。また、間欠 間の周期を変化させる場合でも、1周期あた に搬送気体5を供給する時間は一定(1秒間)に 保ち、搬送気体5を供給しない時間を変化さ た。また、本実施例の成膜装置では、制御 構30は、制御弁6aを閉じる時間を自動的に調 することにより、間欠時間の周期を微調整 ている。

 例えば、原料粉体の平均粒径が1.3μmの場 には、間欠時間の周期が1.2秒のときに、図8 に示すような十分に緻密で厚い膜が得られた 。なお、表1に示すように、平均粒径が異な と、間欠時間を変化させることによる影響 度合いは異なるが、いずれの平均粒径を有 る場合にも、間欠時間の増加はエアロゾル 度の低下につながり、緻密度の低下につな ることがわかる。これは原料粒子を巻き上 る際の搬送気体の量が大きい方が、凝集し 原料粉体の解砕に使われるエネルギーも大 くなるためであると考えられる。また、エ ロゾル濃度の低下は、成膜レートの減少に ながっていることもわかる。なお、間欠時 と成膜レートおよび緻密度との関係は原料 体によって異なり、原料粉体の種類によっ は、間欠時間を増加させたほうが、成膜レ トおよび緻密度が向上する場合もある。

 以上の測定結果から、AD法により形成し ニッケル酸リチウム膜の緻密度と成膜レー を制御するためには、粒度分布およびエア ゾル濃度を調整すればよいことがわかった

  (実施例2)
 以下では、実施例2のAD膜と比較例のAD膜と 作製し、これらのAD膜を比較した結果につい て説明する。

 実施例2のAD膜は、実施例1のAD膜の形成に いられた成膜装置と同様の成膜装置を用い 、搬送気体5を第1のチャンバー8に間欠的に 給することにより形成した。ただし、エア ゾルの粒度分布および濃度の測定結果を元 した開閉時間の調整は行なわず、あらかじ 設定された間隔で制御弁6aの開閉を行なっ 。

 一方、比較例のAD膜の形成には、図1に示 構成から制御弁6aが取り除かれた成膜装置 または制御弁6aが常にオープンの状態にある 成膜装置を用いた。このような成膜装置で、 搬送気体を連続的にエアロゾル発生室(第2の ャンバー9)に供給することにより、比較例 AD膜を作製した。

 以下、比較例のAD膜を作製する手順につ て具体的に説明する。図9は、比較例のAD膜 形成する場合の制御弁6a、6bおよび6cの開閉 タイミングを示すタイミングチャートであ 。なお、図9に示す制御弁6a、6b、6cのタイミ グチャートの時間軸は同じである。

 実施例1の場合と同様に、第1のチャンバ 8内には、原料粉体7が保持されている。第1 チャンバー8内において配管2aの先端は原料 体7内に埋没しており、搬送気体5が原料粉体 7に吹き付けられると、原料粉体7が舞い上が て、原料粉体7と搬送気体5が混合された第1 エアロゾルが生じる。第1のエアロゾルは配 管2dを通じて第2のチャンバー9に導入され、 2のエアロゾルとなる。この状態で、図9に示 すように粒子計測部3への制御弁6bを開くこと により、第2のエアロゾルは粒子計測部3へ導 され、その濃度が計測される。濃度の測定 終わると、制御弁6bを閉じて制御弁6cを開く ことにより、第2のチャンバー9における第2の エアロゾルを第3のチャンバー13に送り、ノズ ル12を通じて第2のエアロゾルを噴射させる。 これにより、基板11上にAD膜が形成される。

 実施例2のAD膜および比較例のAD膜として Al箔上にニッケル酸リチウム膜を形成した。 原料粉体7としては、平均粒径1.3μmのニッケ 酸リチウム(住友金属鉱山製)を用いた。成膜 真空度は200Pa、成膜温度は30℃、キャリアガ はヘリウムとした。ノズルに対して基板で るAl箔を0.2mm/sのスキャン速度で動かし、6mm× 6mmの領域を成膜領域とした。

 また、成膜レートは、基板をノズルに対 て0.2mm/sの速度で1時間移動させ、6mm×6mmの領 域を成膜したときの膜厚である。膜厚は、東 京精密製サーフコム5000DXを用いて計測した。 膜の緻密度は、成膜重量を膜厚など形状測定 の値から得た体積で割った密度を、理論密度 で割った値から求めた。

 表2に、搬送気体を間欠的に供給して成膜 を行った場合(実施例2)および搬送気体を連続 的に供給して成膜を行った場合(比較例)のエ ロゾル濃度、成膜レートおよび膜の緻密度 変化を示す。表2に示すように、実施例2と て、搬送気体の供給と停止を1.2秒の周期(搬 気体の供給を0.2秒、搬送気体の停止を1秒) 行なった1つのサンプルを作製し、比較例と て、搬送気体を、3l/min、6l/min、9l/minのそれ れの流量で供給した3つのサンプルを作製し て測定を行なった。

 表1に示すように、連続的に搬送気体の導 入を行って成膜を行った場合には、より緻密 な膜が得られるものの、エアロゾル濃度の低 下により成膜レートが減少してしまうことが わかる。以上の結果から、AD法により形成し ニッケル酸リチウム膜の成膜レートの高め ためには、搬送気体を間欠的に導入するこ により、エアロゾル濃度を高く維持すれば いことがわかった。

 本発明は、AD法により高品質な膜を所望 厚さで形成できる点で、産業上の利用可能 は高い。




 
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