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Patent Searching and Data


Title:
FLAME-RETARDANT FIBER, FLAME-RETARDANT FIBER SHEET, METHOD FOR PRODUCTION OF THE FIBER, AND METHOD FOR PRODUCTION OF THE FIBER SHEET
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/093562
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are a flame-retardant fiber and a flame-retardant fiber sheet, each of which comprises a halogen-containing fiber having an antimony compound added thereto. The halogen-containing fiber is treated by contacting the fiber with a treatment solution containing at least one compound selected from a tannin, a carboxylic acid having a mercapto group, a polycarboxylic acid and a polyhydroxycarboxylic acid as an agent for preventing the desorption of the antimony compound. The method for producing the flame-retardant fiber and the method for producing the flame-retardant fiber sheet involve the step of contacting the halogen-containing fiber having an antimony compound added thereto with a treatment solution containing at least one compound selected from a tannin, a carboxylic acid having a mercapto group, a polycarboxylic acid, a polyhydroxycarboxylic acid and a reside of any one of these compounds as an agent for preventing the desorption of the antimony compound. The methods enable the production of a flame-retardant fiber and a flame-retardant fiber sheet in which the desorption of an antimony compound can be prevented efficiently.

Inventors:
HASHIMOTO TOMOMICHI
KUBO YUJI
YOSHIDA AKIO
Application Number:
PCT/JP2009/050733
Publication Date:
July 30, 2009
Filing Date:
January 20, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KANEKA CORP (JP)
HASHIMOTO TOMOMICHI
KUBO YUJI
YOSHIDA AKIO
International Classes:
D06M13/188; D01F6/48; D01F6/54; D03D15/00; D03D15/12; D04B1/16; D06M13/207; D06M13/238
Domestic Patent References:
WO2006040873A12006-04-20
Foreign References:
JP2005133279A2005-05-26
JP2007231482A2007-09-13
JP2003201642A2003-07-18
Attorney, Agent or Firm:
IKEUCHI SATO & PARTNER PATENT ATTORNEYS (OAP TOWER8-30, Tenmabashi,1-chome, Kita-ku, Osaka-shi, Osaka 26, JP)
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Claims:
 アンチモン化合物添加ハロゲン含有繊維を含む難燃性繊維であって、
 前記ハロゲン含有繊維は、前記アンチモン化合物の脱離防止剤としてタンニン類、メルカプト基含有カルボン酸、多価カルボン酸、多価ヒドロキシカルボン酸から選ばれる少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする難燃性繊維。
 前記ハロゲン含有繊維に添加されているアンチモン化合物の添加量は、ハロゲン含有繊維100質量%に対して1~50質量%の範囲である請求項1に記載の難燃性繊維。
 前記脱離防止剤が、アンチモン化合物添加ハロゲン含有繊維に対して0.001~500質量%の範囲で存在している請求項1に記載の難燃性繊維。
 前記脱離防止剤がタンニン類の場合、アンチモン化合物添加ハロゲン含有繊維に対して前記タンニン類及び/又はその残基の形で、かつ0.001~500質量%の範囲存在している請求項1に記載の難燃性繊維。
 前記タンニン類は、タンニン酸及びエラグ酸から選ばれる少なくとも一つである請求項1又は4に記載の難燃性繊維。
 前記メルカプト基含有カルボン酸がメルカプト酢酸であり、多価カルボン酸がシュウ酸であり、多価ヒドロキシカルボン酸がクエン酸及び酒石酸から選ばれる少なくとも一つの酸である請求項1に記載の難燃性繊維。
 前記難燃性繊維は、さらにその他の繊維を、0~90質量%以下の範囲含む請求項1~6のいずれかに記載の難燃性繊維。
 前記その他の繊維が、セルロース繊維、ポリビニルアルコール繊維、タンパク繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、メラミン繊維、フェノール繊維、ポリ乳酸繊維及びポリエステル繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維である請求項7に記載の難燃性繊維。
 前記脱離防止剤は、紡糸した繊維に含まれるアンチモン化合物を脱離させないか、若しくは脱離し易いアンチモン化合物を製品前の段階で予め脱離させて除去しておき、製品からは脱離が認められないか、又は脱離が少ない状態にしている請求項1に記載の難燃性繊維。
 前記ハロゲン含有繊維のハロゲン量は、17~70質量%の範囲である請求項1に記載の難燃性繊維。
 前記アンチモン化合物が、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン酸化物、硫化アンチモン、アンチモン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の難燃性繊維。
 請求項1~11のいずれかに記載の難燃性繊維を含む難燃性繊維シート。
 請求項1~11のいずれかに記載の難燃性繊維の製造方法であって、
 アンチモン化合物添加ハロゲン含有繊維を、前記アンチモン化合物の脱離防止剤としてタンニン類、メルカプト基含有カルボン酸、多価カルボン酸、多価ヒドロキシカルボン酸及びこれらの残基から選ばれる少なくとも一つの化合物を含む処理溶液と接触させることを特徴とする難燃性繊維の製造方法。
 前記処理溶液のpHが1~7の範囲である請求項13に記載の難燃性繊維の製造方法。
 前記タンニン類水溶液を調整する前に、予め水にシュウ酸又はクエン酸を添加しておく請求項13又は14に記載の難燃性繊維の製造方法。
 前記アンチモン化合物は、ハロゲン含有繊維を紡糸する前に紡糸液に添加しておく請求項13に記載の難燃性繊維の製造方法。
 請求項1~11のいずれかに記載の難燃性繊維を含む難燃性繊維シートの製造方法であって、
 アンチモン化合物添加ハロゲン含有繊維シートを、前記アンチモン化合物の脱離防止剤としてタンニン類、メルカプト基含有カルボン酸、多価カルボン酸、多価ヒドロキシカルボン酸及びこれらの残基から選ばれる少なくとも一つの化合物を含む処理溶液と接触させることを特徴とする難燃性繊維シートの製造方法。
 前記処理溶液のpHが1~7の範囲である請求項13に記載の難燃性繊維シートの製造方法。
 前記タンニン類水溶液を調整する前に、予め水にシュウ酸又はクエン酸を添加しておく請求項17又は18に記載の難燃性繊維シートの製造方法。
 前記アンチモン化合物は、ハロゲン含有繊維を紡糸する前に紡糸液に添加しておく請求項17に記載の難燃性繊維シートの製造方法。
Description:
難燃性繊維、難燃性繊維シート びそれらの製造方法

 本発明は、アンチモン化合物を含む難燃 繊維、難燃性繊維シート及びそれらの製造 法に関する。

 従来から、アンチモン化合物添加ハロゲ 含有繊維を含む難燃性繊維シートはいくつ の提案されている。例えば特許文献1には、 アンチモン化合物添加ハロゲン含有繊維を15~ 85質量%と、ウール及びセルロースから選ばれ る少なくとも一つの繊維を85~15質量%とからな るクッションなどのカバー材料が提案されて いる。また、特許文献2には難燃剤であるア チモン化合物を添加したハロゲン含有繊維 、ポリエステル系繊維とからなる頭髪用繊 が提案されている。

 ところが、特許文献1~2のように、単にア チモン化合物をハロゲン含有繊維の中に添 しただけでは、溶出などの脱離問題が生じ おそれがあり、これを解決する方法として 特許文献3~4が提案されている。特許文献3で は、ハロゲン含有繊維の中に水酸化マグネシ ウムを添加することで、アンチモンの添加量 を下げるか又は無添加とすることを提案して いる。特許文献4では、ハロゲン含有繊維の にガラス成分を添加することで、アンチモ の添加量を下げるか又は無添加とすること 提案している。

 非特許文献1には、セルロース繊維を塩基 性染料で染色するためにタンニン酸で予め媒 染し、アンチモン化合物である吐酒石(酒石 アンチモニルカリウム)で固着処理する染色 術が開示されている。

 しかし、特許文献3~4の提案は、難燃性が ましくなく、加えてハロゲン含有繊維を紡 する際の紡糸浴の中に水酸化マグネシウム ガラス成分を添加するので、紡糸が困難に り、いまだ充分に改善されていない。

 また、非特許文献1におけるタンニン酸とア ンチモン化合物の併用は、あくまでもセルロ ース繊維を塩基性染料で染色することが目的 とされている。

特開平11-001842号公報

特開2002-227019号公報

特開2005-314817号公報

特開2005-314816号公報 安部田貞治ら;解説染料化学,P14,色染社(19 89年)

 本発明は、前記従来の問題を解決するた 、最終製品におけるアンチモン化合物の脱 を効率よく抑えることができる難燃性繊維 難燃性繊維シート及びそれらの製造方法を 供する。

 本発明の難燃性繊維は、アンチモン化合 添加ハロゲン含有繊維を含み、前記ハロゲ 含有繊維は、前記アンチモン化合物の脱離 止剤としてタンニン類、メルカプト基含有 ルボン酸、多価カルボン酸、多価ヒドロキ カルボン酸から選ばれる少なくとも一つの 合物を含むことを特徴とする。

 本発明の難燃性繊維シートは、アンチモ 化合物添加ハロゲン含有繊維を含み、前記 燃性繊維シートは、前記アンチモン化合物 脱離防止剤としてタンニン類、メルカプト 含有カルボン酸、多価カルボン酸、多価ヒ ロキシカルボン酸から選ばれる少なくとも つの化合物を含むことを特徴とする。

 本発明の難燃性繊維の製造方法は、アン モン化合物添加ハロゲン含有繊維を、前記 ンチモン化合物の脱離防止剤としてタンニ 類、メルカプト基含有カルボン酸、多価カ ボン酸、多価ヒドロキシカルボン酸及びこ らの残基から選ばれる少なくとも一つの化 物を含む処理溶液と接触させることを特徴 する。

 本発明の難燃性繊維シートの製造方法は アンチモン化合物添加ハロゲン含有繊維シ トを、前記アンチモン化合物の脱離防止剤 してタンニン類、メルカプト基含有カルボ 酸、多価カルボン酸、多価ヒドロキシカル ン酸及びこれらの残基から選ばれる少なく も一つの化合物を含む処理溶液と接触させ ことを特徴とする。

 本発明は、難燃性繊維又は難燃性繊維シ トを形成した後にアンチモン化合物の脱離 止剤としてタンニン類、多価カルボン酸、 価ヒドロキシカルボン酸及びこれらの残基 ら選ばれる少なくとも一つの化合物を含む 理溶液で接触処理する。これにより、アン モン化合物の脱離を効率よく抑えることが きる難燃性繊維、及び難燃性繊維シートを 供できる。

 本発明において、使用するハロゲン含有 維は、例えばハロゲンを17~70質量%含む繊維 好ましく、さらに好ましくは23~44質量%含む のである。このハロゲンを17~70質量%含む繊 としては、例えばハロゲンを含有する単量 の重合体よりなる繊維、前記ハロゲンを含 する単量体とハロゲンを含有しない単量体 の共重合体よりなる繊維、ハロゲンを含有 る重合体とハロゲンを含有しない重合体と ポリマーブレンド物、または後加工により ロゲンを導入したハロゲン含有重合体より る繊維などが挙げられるが、これらに限定 れるものではない。

 前記ハロゲンを含有する重合体の具体例 しては、たとえば塩化ビニル、塩化ビニリ ン、臭化ビニル、臭化ビニリデンなどのハ ゲン含有単量体の単独重合体または二種以 の共重合体、アクリロニトリル-塩化ビニル 、アクリロニトリル-塩化ビニリデン、アク ロニトリル-臭化ビニル、アクリロニトリル- 塩化ビニル-塩化ビニリデン、アクリロニト ル-塩化ビニル-臭化ビニル、アクリロニトリ ル-塩化ビニリデン-臭化ビニルなどのハロゲ 含有単量体の一種以上とアクリロニトリル よびこれらと共重合可能なビニル系単量体 の共重合体、あるいはアクリロニトリル単 重合体にハロゲン含有化合物を反応させた 合体、ハロゲン含有ポリエステルなどが挙 られるが、これらに限定されるものではな 。

 前記共重合可能なビニル系単量体として 、たとえばアクリル酸、そのエステル、メ クリル酸、そのエステル、アクリルアミド メタクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルス ホン酸、その塩、メタクリルスルホン酸、 の塩、スチレンスルホン酸、その塩などが げられ、それらの一種または二種以上を用 ることができる。

 前記ハロゲンを含有する重合体としては たとえばアクリロニトリル30~70質量部、ハ ゲン含有ビニル単量体および/またはハロゲ 含有ビニリデン単量体70~30質量部、および れらと共重合可能なビニル系単量体0~10質量 よりなる共重合体が好ましく、さらには、 クリロニトリル40~70質量部、ハロゲン含有 量体60~30質量部、および共重合可能なビニル 系単量体0~3質量部よりなる共重合体がより好 ましい。

 前記アクリロニトリルが30質量部以上で れば耐熱性が好ましく、またアクリロニト ルが70質量部以下であれば難燃性は好ましい 。ハロゲン含有単量体が30質量部以上であれ 難燃性は好ましく、70質量部以下であれば 熱性は好ましい。

 また、前記ハロゲン含有繊維中のハロゲ 含有量が前記の範囲であれば、繊維の難燃 、強度、耐熱性などの物性が十分なものと り、好ましい。

 本発明においては、ハロゲン含有繊維を 糸する前に、紡糸液にアンチモン化合物を 加しておく。本発明において用いるアンチ ン化合物の例としては、三酸化アンチモン 四酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の ンチモン酸化物、硫化アンチモン、アンチ ン酸及びその塩などが上げられる。中でも ンチモン酸化物が好ましく、三酸化アンチ ンがさらに好ましい。化学的に安定であり 難燃効果も高いからである。三酸化アンチ ンは粉体でハロゲン含有樹脂を含む紡糸液 添加するのが好ましい。前記ハロゲン含有 維に添加するアンチモン化合物の添加量は ハロゲン含有繊維100質量%に対して1~50質量% 範囲が好ましい。さらに好ましいアンチモ 化合物の添加量は5~40質量%の範囲である。 下においては、アンチモン化合物を単に「Sb 」と省略することがある。

 アンチモン化合物を添加した紡糸液から 紡糸、延伸、熱処理、繊維シートの形成は 公知の方法を採用できる。例えば紡糸は湿 紡糸が好ましく、延伸倍率は1.0~5.0倍が好ま しく、熱処理温度は140~180℃が好ましい。得 れた繊維はフィラメント(長繊維)のままでも よいし、長繊維をカットして紡績糸としても よい。このとき、他の繊維と混紡、混繊、複 合糸、又は撚り合わせ糸としてもよい。

 本発明は、前記繊維、前記繊維を含む糸 前記繊維を含む繊維シートのいずれかをア チモン化合物の脱離防止剤としてタンニン 、メルカプト基含有カルボン酸、多価カル ン酸、多価ヒドロキシカルボン酸から選ば る少なくとも一つの化合物を含む処理溶液 接触処理する。ここでアンチモンの脱離防 とは、紡糸した繊維に含まれるアンチモン 合物を脱離させない概念も含むが、脱離し いアンチモン化合物を製品前の段階で予め 離させて除去しておき、製品からは脱離が められないか、又は脱離が少ない状態にな ている概念も含む。前者の紡糸した繊維に まれるアンチモン化合物を脱離させない作 効果を奏するのは、タンニン類である。後 の脱離し易いアンチモン化合物を製品前の 階で予め脱離させて除去する作用効果を奏 るのは、メルカプト基含有カルボン酸、多 カルボン酸、多価ヒドロキシカルボン酸か 選ばれる少なくとも一つの化合物である。 た、脱離には溶出や脱落など、アンチモン 難燃繊維中(その他繊維を含む)から減少す 意味を含む。

 本発明において、「製品」とは繊維、糸 編み物、又は不織布等を含む繊維シート類 をいう。

 繊維シートとしては、織物、編み物、不 布などいかなるものであってもよい。繊維 ートを形成する際に他の繊維と混合するに 、織物の場合は交織、編み物の場合は交編 不織布の場合は混紡や異なる繊維シートを 層に積層する方法などが採用できる。

 難燃性繊維シートを形成した後、好まし は染色後の最終工程で、前記繊維シートを ンニン類、メルカプト基含有カルボン酸、 価カルボン酸、多価ヒドロキシカルボン酸 びこれらの残基から選ばれる少なくとも一 の化合物を含む水溶液と接触させることに り、前記難燃性繊維シートに前記アンチモ 化合物の脱離防止剤を反応させ、場合によ ては存在させる。これにより、アンチモン 合物の脱離を効率よく抑えることができ、 糸から布帛製造までの工程においては従来 方法が採用できる難燃性繊維シート及びそ 製造方法を提供できる。好ましい接触方法 、浸漬処理、パディング処理(液に漬けた後 に所定付着率となるように絞る)、スプレイ 理などがある。

 前記難燃性繊維シートにおける脱離防止 の存在量は、アンチモン化合物添加ハロゲ 含有繊維に対して0.001~500質量%の範囲が好ま しい。

 前記脱離防止剤としては、タンニン類、 ルカプト基含有カルボン酸、多価カルボン 、多価ヒドロキシカルボン酸及びこれらの 基から選ばれる少なくとも一つの化合物が る。これらの化合物は複数の水酸基、カル ン酸基、ヒドロキシル基、メルカプト基を み、これらの活性基の一方がアンチモン化 物と反応するか吸着し、他方が繊維と反応 て吸着するか、あるいはアンチモン化合物 水溶性を増す効果があるものと考えられる より具体的な化合物は、タンニン酸、エラ 酸、メルカプト酢酸、シュウ酸、クエン酸 酒石酸等である。タンニン類は繊維とアン モンを固着する効果があり、代表的なもの 、ガロタンニン、五倍子タンニン、没食子 ンニン、タンニン酸、アサタンニン、ハマ リタンニン、エラジタンニン、エラグ酸、 ラニイン、コリラジン、チュブラジックア ッド、アグリモニン、カフェ酸、クロロゲ 酸、ロズマリン酸、ラブドシイン、カテキ 、エピカテキン、リューコアントシアニジ 、プロアントシアニジン、プロシアニジン プロデルフィニジン、プロフィセチニジン エピガロカテキンガレート、エピカテキン レート、テアフラビン、テアルビジンエピ ロカテキン、エピカテキンが挙げられる。 の中でも特にタンニン酸、エラグ酸が好ま い。タンニン類を使用する際に用いる薬剤 量は、Sb含有ハロゲン含有繊維に対して0.02~ 500omf%(omfはon the mass of fiberの略。以下同じ )が好ましく、さらに好ましくは0.04~100omf%で あり、とくに好ましくは0.1~20omf%である。前 の範囲であれば、Sb溶出量が少なく、着色等 の問題もなく、コスト的にも優れる。

 薬剤使用量の計算式は次のとおりである。
薬剤使用量(omf%)=浴液の薬剤濃度(質量%)×{浴 質量(g)/生地質量(g)}/(生地中のアンチモン化 物添加ハロゲン含有繊維割合(質量%)/100)

 メルカプト基含有カルボン酸に類する化 物として代表的なものは、メルカプトイソ 酸、メルカプト酢酸、ジメルカプト酢酸、2 -メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロ ピオン酸、メルカプトコハク酸、2,3-ジメル プトコハク酸などが挙げられる。この中で 特にメルカプト酢酸が好ましい。メルカプ 基含有カルボン酸を使用する際に用いる薬 の量は、Sb含有ハロゲン含有繊維に対して2~1 500omf%が好ましく、さらに好ましくは10~1200omf% であり、とくに好ましくは20~1000omf%である。 記の範囲であればSbの溶出量は低く抑える とができ、難燃性も高く維持できる。

 多価カルボン酸および多価ヒドロキシカ ボン酸に類する化合物として代表的なもの 、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタ 酸、アジピン酸、エチルコハク酸、ピメリ 酸、エチルグルタル酸、スペリン酸、アゼ イン酸、セバシン酸、ブラシル酸、マレイ 酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、 トラコン酸、コニット酸、リンゴ酸、酒石 、クエン酸、フタル酸、イソフタル酸、テ フタル酸、ニトロフタル酸、アミノフタル 、ヘミメリト酸、トリメリド酸、トリメシ 酸、ブレニド酸、メロファン酸、ピロメリ 酸、ベンゼンペンタカルボン酸、メリト酸 ナフタル酸などが挙げられる。この中でも にシュウ酸、クエン酸、酒石酸が好ましい 多価カルボン酸および多価ヒドロキシカル ン酸使用する際に用いる薬剤の量は、Sb含 ハロゲン含有繊維に対して15~2000omf%が好まし く、さらに好ましくは20~1500omf%であり、とく 好ましくは25~1000omf%である。前記の範囲で ればSbの溶出量は低く抑えることができ、pH もあまり下がらないために装置を腐食させ 危険性もない。

 前記難燃性繊維シートは、アンチモン化 物の脱離防止助剤として、さらにシュウ酸 はクエン酸を添加してもよい。シュウ酸又 クエン酸を助剤として使用すると、繊維シ トの染色汚染などを抑制でき、また、水中 金属イオンをトラップできる作用がある。

 前記難燃性繊維シートは、さらにその他 繊維を0~90質量%含んでいても良い。好まし は0を超え90質量%の範囲であり、さらに好ま くは0を超え70質量%以下の範囲である。その 他の繊維を使用することにより、風合いや吸 湿性など衣料やインテリヤ用途への適用性が 向上する。衣料やインテリヤ用途の場合の好 ましい範囲は5~80質量%、さらに好ましい範囲 20~70質量%である。その他の繊維としては、 ルロース繊維、ポリビニルアルコール繊維 タンパク繊維、ポリアミド繊維、アラミド 維、ポリイミド繊維、メラミン繊維、フェ ール繊維、ポリ乳酸繊維及びポリエステル 維から選ばれる少なくとも一つの繊維が好 しい。特に好ましくは、コットン又はレー ン等のセルロース繊維である。前記コット 又はレーヨン繊維は、脱離防止助剤と親和 があり、脱離防止助剤を吸着又は収着する 能がある。

 次に本発明の難燃性繊維シートの製造方 は、難燃性繊維シートをアンチモン化合物 脱離防止剤としてタンニン類、メルカプト 含有カルボン酸、多価カルボン酸、多価ヒ ロキシカルボン酸及びこれらの残基から選 れる少なくとも一つの化合物を含む液と接 させることにより、前記難燃性繊維シート に前記脱離防止剤を反応させる。前記アン モン化合物の脱離防止剤水溶液のpHは1~7の 囲であることが好ましい。酸性であると、 記アンチモン化合物の脱離防止剤を安定に 持できる。また、前記前記アンチモン化合 の脱離防止剤水溶液を調整する前に、予め にシュウ酸又はクエン酸を添加しておくの 好ましい。水中の金属イオンをトラップで るからである。

 前記アンチモン化合物の脱離防止剤水溶 の脱離防止剤と水溶液の浴比は、質量換算 、繊維シート1に対して、5~200が好ましい。 の範囲であれば脱離防止剤は効率よく繊維 ートに吸着される。

 前記脱離防止剤を溶解又は分散させる水 、薬剤が水中の金属イオンと結合して、ア チモンの脱離を防ぐ機能が低下する恐れが り、着色が増す可能性もあるため、純水や オン交換水を用いることが望ましい。地下 、工業用水を使用する場合には、軟水化剤 用いることが望ましい。軟水化剤としては キレート機能を有する化合物であれば特に 定はされないが、酸性にする観点から、シ ウ酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸などが ましい。

 前記難燃性繊維シートをアンチモン化合 の脱離防止剤水溶液で接触処理する温度は 5~100℃の範囲が好ましい。前記の範囲内で れば、薬剤を溶解に要する時間が短く、生 性も高く、染料の溶出問題も生じない。接 処理時間は、2~360minが好ましい。この時間で あれば、生地内に充分に処理水溶液が浸漬し 、充分なSb溶出特性効果を得られ、生産性も い。

 前記難燃性繊維シートをアンチモン化合 の脱離防止剤水溶液で接触処理した後は、 浄し、乾燥する。洗浄方法は、流水でも良 、バッチ式でもよい。洗浄温度は、5~100℃ 範囲が好ましい。この範囲内であれば、薬 の溶解度が高く、充分な洗浄が行え、生地 傷みや汚れも生じず、染料の溶出による生 の汚染問題も生じない。洗浄後の繊維シー を漬けた水溶液のpHが4~10の範囲になるまで 浄するのが好ましい。次いで乾燥は、100~170 の範囲で行うのが好ましい。前記乾燥温度 範囲であれば、生地の水分を充分に乾燥で 、製品の含水率を低くでき、染料汚染の問 も生じない。なるべく短時間で乾燥するこ が望ましい。

 以下、実施例を用いて本発明をさらに具 的に説明する。なお、本発明は下記の実施 に限定されるものではない。

 (実施例1)
(1)使用する繊維シート
A生地 Sb化合物を添加したハロゲン含有繊維/ 木綿繊維質量比=45/55で混紡した繊維を編んで 作成した生地
B生地 Sb化合物を添加したハロゲン含有繊維/ 木綿繊維質量比=100/0で混紡した繊維を織って 作成した生地
C生地 Sb化合物を添加したハロゲン含有繊維/ 木綿繊維質量比=45/55で混紡した繊維を織って 作成した生地
D生地 Sb化合物を添加したハロゲン含有繊維/ 木綿繊維質量比=55/45で混紡した繊維を織って 作成した生地

(2)Sb化合物を添加したハロゲン含有繊維の製 例
 アクリロニトリル52質量部、塩化ビニリデ 46.8質量部、スチレンスルホン酸ナトリウム1 .2質量部を共重合させて得られた共重合体を アセトンに溶解させて30質量%溶液とした。 のとき共重合体100質量部に対して、三酸化 ンチモン26質量部を加えて紡糸原液を調整 た。得られた紡糸原液を孔径0.07mm、孔数33000 個のノズルを用いて、25℃の38質量%のアセト 水溶液中に押し出し、水洗後、120℃で8分間 乾燥させた。この後、150℃で3倍に延伸し、17 5℃で30秒間熱処理を行って、繊度2dtexとし、 らに紡績用仕上げ油剤(竹本油脂(株)製)を供 給し、クリンプを付け、長さ51mmにカットし 、Sb含有ハロゲン含有繊維を得た。

(3)編み(ニット)生地の製造例
 Sb含有ハロゲン含有繊維よりなるメートル 手34番手の紡績糸と木綿繊維よりなるメート ル番手34番手、混合質量比率45/55(or100/0)の紡 糸より、メリヤス丸編み機を用いて目付け25 0g/m 2 のニット生地を作成した。

(4)織物生地の製造例
 Sb含有ハロゲン含有繊維よりなるメートル 手26番手の紡績糸と木綿繊維よりなるメート ル番手26番手、混合質量比率45/55(or100/0)の紡 糸を経糸としてインチ当たり78本、Sb含有ハ ゲン含有繊維よりなるメートル番手18番手 紡績糸と木綿繊維よりなるメートル番手18番 手、混合比率45/55(or100/0)の紡績糸を緯糸とし インチ当たり46本を、周知の織り機を用い 目付け250g/m 2 に平織りし、織物生地を作成した。

(5)ビーカーによる酸処理生地の製造例
 薬剤A(α%)、薬剤B(β%)を溶解した純水400gを、 ウォーターバスで加熱し、γ温度で安定させ 。その後δ生地20gを投入し、液面から出な ように注意しながらポリテトラフロオロエ レン製攪拌棒にてε分間、20回/分の速度で攪 拌を続ける。その後、ζ℃の流水にて、η分 洗浄を行い、小型遠心脱水機にて脱水を行 た後、熱風乾燥機にてθ℃で10分間乾燥を行 、酸処理生地を作成した。各々の記号の具 例は表1~4に示す。

(6)ウインスによる酸処理生地の製造例
 薬剤A(α%)、薬剤B(β%)を溶解した純水50Lを、4 0mmウインス染色機に投入し、蒸気でγ温度に 定させる。その後δ生地1.56kgをウインス染 機にセットし、ε分間、10秒/反物1回転の速 で攪拌を続ける。その後、ζ℃の流水にて、 η分間洗浄を行い、遠心脱水機にて脱水を行 た後、熱風乾燥機にてθ℃で10分間乾燥を行 い、酸処理生地を作成した。各々の記号の具 体例は表1~4に示す。

(7)CFR1615難燃試験方法
 布帛の難燃性は、米国難燃試験基準16CFR1615 準じた。即ち、支持枠で把持した試験布帛( 縦9cm、横25cm)の下端にメタンバーナー(炎高38m m)を3秒間接炎する。試験後、試験布帛下端部 の片側に226.8gの分銅を取り付け、もう片側を 把持し炭化部を引き裂く。引き裂かれた部分 の長さを炭化長とする。試験は5回実施し、 化長が平均で7インチ、最大で10インチを超 なければ合格(pass)とする。

(8)蛍光X線による分析方法
 生地から直径2cmの試料を作成し、SIIナノテ ノロジー製SEA2210Aを用い、大気雰囲気、測 時間100秒、励起電圧50kV、管電流290μA、Cdフ ルター使用の条件で分析を行い、Sb強度を分 析した。また未処理生地と酸処理生地のSb強 の差異から、酸処理によるSb減少率(%)を求 た。

(9)EN71試験Sb溶出量測定
 欧州規格のEN71-3(1994年版)「8.4布類」にした って、Sb溶出量測定を行った。すなわち、 器に3gの布サンプルを正確に測って入れ、温 度を37℃±2℃とし、前記布サンプルの質量の5 0倍量の0.07モル/L塩酸水溶液と1分間混合した 2モル/L塩酸水溶液を徐々に加えてpHを1.0~1.5 調整した。混合物は37℃±2℃で1時間振り混 た後、37℃±2℃で1時間放置した。次に、フ ルターで濾過し、溶液から固形分を分離し 。残ったろ液を高周波プラズマ発行分析装 (IPC)で元素及び定量分析をし、さらに所定 係数0.4を掛けて求めた。単位はSb(mg)/サンプ (kg)である。

(10)以上の条件と結果を表1~4にまとめる。

 表1~4におけるタンニン酸は、下記の化学 1に示すものを使用した。

 表1~4の結果から、本発明によってアンチ ン化合物の脱離を効率よく抑えられている とが判る。また例えば、実験番号(比較例)18 と実験番号(実施例)20、22、37の比較、あるい 実験番号(比較例)43と実験番号(実施例)44、45 の比較から、難燃性にも問題のないことが判 る。

 以上の結果から明らかなとおり、本発明 よって、アンチモンの脱離を効率よく抑え 難燃性繊維シートを得ることができた。