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Patent Searching and Data


Title:
FLUORESCENT DISCHARGE LAMP TUBE, AND LIQUID CRYSTAL DISPLAY DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/050930
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a fluorescent discharge lamp tube comprising a glass tube (9) filled therein with a discharge substance, a pair of metal electrodes (2 and 3) sealed at the two ends of the glass tube, and a fluorescent film (10) applied to the inner face of the glass tube. The metal electrodes are coated with insulator particles (4). The fluorescent film is formed of a mixture of particles of a fluorescent material for emitting a light when irradiated with an electron beam, and particles of a fluorescent material for emitting a light when irradiated with an ultraviolet ray. This fluorescent discharge lamp tube has a long lifetime because the metal electrodes are not exposed to a discharge space. Moreover, the fluorescent discharge lamp tube is lit within 10 milliseconds when fed with a high frequency.

Inventors:
OZAWA LYUJI (JP)
KATO MASATOSHI (JP)
HARADA MASAHIRO (JP)
MIYOSHI TOSHIMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063265
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
July 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DAIKEN CHEMICAL CO LTD (JP)
OZAWA LYUJI (JP)
KATO MASATOSHI (JP)
HARADA MASAHIRO (JP)
MIYOSHI TOSHIMI (JP)
International Classes:
H01J65/00; F21S2/00; H01J61/44; F21Y103/00
Foreign References:
JP2004207183A2004-07-22
JPH04284348A1992-10-08
JP2001303042A2001-10-31
JP2004087489A2004-03-18
JP2004514748A2004-05-20
JPS5925875A1984-02-09
JPH0582103A1993-04-02
JPH0371551A1991-03-27
JPH06100858A1994-04-12
JPH0668852A1994-03-11
Attorney, Agent or Firm:
MIKI, Hisami (3-8 Kyutaromachi 2-chome, Chuo-k, Osaka-shi Osaka 56, JP)
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Claims:
蛍光放電灯のガラス管内壁面に蛍光膜を塗布した蛍光放電灯管において、前記ガラス管内の放電ガスの点灯が、電子の流れで独立している内部回路と、電源に接続された外部回路により生起されることを特徴とする蛍光放電灯管。
前記内部回路が、前記蛍光放電灯管内部の両端にそれぞれ個別に形成された電子源とイオン源から成り、前記蛍光放電灯管内のガス放電は、前記電子源から取り出された電子が前記イオン源に向かってガス空間を移動する過程で起こり、移動する前記電子がイオン源に到達したとき、前記電子がイオンと再結合して前記内部回路が閉じる請求項1に記載の蛍光放電灯管。
前記蛍光放電灯管内の一端に電気絶縁体粒子を層状に被覆した金属電極を配置して前記電子源形成用電極とし、前記蛍光放電灯管内の他端に電気絶縁体粒子を層状に被覆した金属電極を配置して前記イオン源形成用電極とした請求項2に記載の蛍光放電灯管。
前記電子源形成用電極の前記金属電極に正極性の電位を印加して、前記金属電極の電気絶縁体粒子を誘電分極し、電極周辺のガスのイオン化により発生した自由電子が誘電分極した前記電気絶縁体粒子の正電荷に引き寄せられ、前記自由電子が前記電気絶縁体粒子直前のガス空間で前記電気絶縁体粒子内の正電荷と結合してできた空間電子雲を前記電子源とし、前記イオン源形成用電極の前記金属電極に負極性の電位を印加して、前記金属電極の電気絶縁体粒子を誘電分極し、電極周辺のガスのイオン化により発生したイオンが誘電分極した前記電気絶縁体粒子の負電荷に引き寄せられ、前記イオンが前記電気絶縁体粒子の分極負電荷と結合してできたイオン集団を前記イオン源とする請求項3に記載の蛍光放電灯管。
前記電子源から電子を蛍光膜表面に取り出し、蛍光膜の表面伝導により電子を加速し、加速電子をガス放電の点火の引き金とし、前記加速電子の軌道を負電荷を持った蛍光体粒子によりガス空間に曲げ、蛍光放電灯管のガスを瞬時に点灯放電させることにより、陰極電圧降下の無いガス放電を生起させる請求項4に記載の蛍光放電灯管。
前記蛍光膜の表面に負電荷を持たない蛍光体粒子と負電荷を持った蛍光体粒子を交互に配置させて、前記蛍光膜表面の複数箇所で前記加速電子を前記負電荷を有した蛍光体粒子によりガス空間側に曲げる請求項5に記載の蛍光放電灯管。
前記蛍光放電灯管のガラス管内壁面に塗布される前記蛍光膜が、電子線発光蛍光体粉と光発光蛍光体粉の混合粉体からなる請求項1~6のいずれかに記載の蛍光放電灯管。
前記光発光蛍光体粉が個別に三色に発光する三種類の希土類光発光蛍光体粉からなり、前記電子線発光蛍光体粉が低電圧電子線発光蛍光体粉からなる請求項7に記載の蛍光放電灯管。
前記希土類光発光蛍光体粉の内、緑色に発光する光発光蛍光体粉がCL発光珪酸亜鉛蛍光体粉で置換される請求項8に記載の蛍光放電灯管。
前記希土類光発光蛍光体粉の内、緑色に発光する光発光蛍光体粉がCL発光珪酸亜鉛蛍光体粉とPL発光珪酸亜鉛蛍光体粉の混合粉体で置換される請求項8に記載の蛍光放電灯管。
前記蛍光膜で、前記低電圧電子線発光蛍光体の粒子を、前記蛍光膜の表面に不連続に散布するように配置した請求項8~10のいずれかに記載の蛍光放電灯管。
前記蛍光膜が、単独で白色に発光する光発光蛍光体粉と低電圧電子線発光蛍光体粉の混合粉体からなる請求項7に記載の蛍光放電灯管。
前記蛍光膜が、白色に光発光する前記光発光蛍光体がハロ燐酸カルシウム蛍光体からなる請求項12に記載の蛍光放電灯管。
前記蛍光膜に、赤色発光を補強する電子線発光酸化イットリウム蛍光体が追加的に添加された請求項13に記載の蛍光放電灯管。
請求項1~14のいずれかに記載の蛍光放電灯管の単独又は複数個を平面に配列し、LCD表示装置のバックライトに使用することを特徴とするLCD表示装置。
前記蛍光放電灯管の複数個を垂直方向又は水平方向に配置し、それぞれの蛍光放電灯管を単独で、又は複数個の蛍光放電灯管を集団で、線順次に走査する方式で順次に点灯し、線順次の映像をLCD表示装置のスクリーン全体に映すことを特徴とする請求項15に記載したLCD表示装置。
Description:
[規則37.2に基づく発明の名称]  光放電灯管及び液晶表示装置

 本発明は、電子の非弾性衝突によりアル ン (Ar) と水銀 (Hg) 蒸気の混合ガスを発光 させ、その内のHgが発光する強い254 nm不可視 紫外線を蛍光放電灯管内壁面に塗布した蛍光 膜により可視光に変換する蛍光放電灯管に関 係し、更に詳細には、蛍光放電灯管の基本構 造を変えることにより、放電灯管の点灯に必 要な電力が、従来の蛍光放電灯管に比し低消 費電力の点灯であるにも関わらず、従来の蛍 光放電灯管の輝度の倍以上の高輝度で発光す る新規蛍光放電灯管及びそれを利用したLCD表 示装置に関係する。

[従来放電灯と本発明の概説]
 従来の蛍光放電灯管の放電は、放電に必要 電子を冷陰極電極 (CCFL)か、熱陰極電極 (HC FL) から取り出していた。これ等の電極に共 する事項は、電極から取り出した電子が高 ネルギーを持ち、ガス空間に強引に突入さ る方式であるから、電子がガス放電に必要 エネルギー値に減少するまでの間に複雑な 象が介入し、大きな陰極電圧降下を引き起 していたことである。この陰極電圧降下は 光に全く関与しないので完全なエネルギー 失となる。前記ガス放電に必要なエネルギ 値は管全体の点灯に要するエネルギーの約4 0%である。本発明では、ガス放電に必要な電 を金属電極から取り出すのでなく、ガス放 管の両端に電子雲とイオン雲をそれぞれ形 し、ガス放電は電子雲から取り出された電 が放電管中を移動する過程で起こり、イオ 雲に至った電子がイオンと再結合してガス 戻る。このガス帰還により、放電管内で電 雲とイオン雲を駆動源とした回路は閉じる 電子雲から取り出された電子のエネルギー ゼロに近く、前記陰極電圧降下はなくなる その結果、同じ管径の放電灯と比較した時 本発明になる蛍光放電灯管は40%以下の電力 点灯する。

 電極構造を変えたことにより、本発明で 、蛍光放電灯の管端で陰極電圧降下による い蛍光膜の発光は消える。その結果、本発 になる蛍光放電灯管は、放電灯の管端から 面に亘って均一強度で発光する。従来の蛍 放電灯管では陰極電圧降下の範囲で発光に り無駄な熱を発生していたが、本発明にな 蛍光放電灯管では熱発生が無くなり、管端 辺の温度上昇はない。また、ガスに露出し 金属電極が無くなるので、本発明になる蛍 放電灯管の寿命は非常に長くなる。

 従来の蛍光放電灯管のガス放電には、長 間未解決な一大問題があった。即ち、ガス 電の点灯に関与する機構が不明であったた 、種々の細工が経験則だけに頼り蛍光放電 管の点灯に適用されてきたに過ぎない。本 明者は、ガス放電の点灯に関与する機構を めて解明した。ガス放電の点灯に関与する 要因子は、蛍光膜上を移動する表面電導電 の制御である。ガス放電の点灯の問題は、 光放電灯管内に塗布する蛍光体の選択と、 択した蛍光体粒子の配列で解決する。その 果、本発明になる蛍光放電灯管は1ミリ秒前 後で瞬時に点灯する特徴を有する。

 蛍光放電灯管には、入力電力を増加させ も蛍光膜の輝度が飽和する現象があり、こ 飽和現象の問題は未解決のまま50年余放置 れていた。この飽和現象が蛍光放電灯管の 度を制限し、必要な部屋の照度を得るのに 数の蛍光放電灯を配列する必要があった。 発明はこの問題も解決する。蛍光膜の最上 に配列する蛍光体粒子の持つ負電荷のクー ン反発力により、陽光柱の電子は蛍光膜に 近できず、陽光柱は蛍光膜の負電荷(SBE)の鞘 に収まる。蛍光膜からSBE鞘を取り去れば、陽 光柱は蛍光膜まで広がり、蛍光膜からの光出 力は入力電力に比例するようになる。輝度の 増加により、部屋の照明に使用する蛍光放電 灯数を減少でき、省電効果は大きく、二酸化 炭素ガスの節減で大いに環境保護に貢献する 。

[発明の背景]
 人類の生活は暗闇を照らす光源の開発によ 急激に進歩してきた。光源の歴史は焚き火 燃え差しから始まった松明、植物油、石油 蝋燭、石炭ガス等の燃焼と進み照度の向上 果たしてきた。光源の照度変革の歴史を大 く変えたのは、近代科学の基礎となる電子 発見であった。電子の発見後は、電子の動 を利用したタングステン電球と蛍光放電灯 開発され世界中で広く実用に供されている 最近では同じく電子の挙動を利用する発光 イオード(LED)、無機電界発光(EL)、有機電界 光(OLED)が提案され、その実用評価が進めら ている。電子の挙動を利用した各種光源は 学的に以下のように評価できる。

 タングステン電球は、電子の動きの抵抗か 発生するジュール熱によりタングステン金 を高温度(3,000  o C 付近まで)に加熱して得られる光を利用す 。入力電力に対する可視光へのエネルギー 換効率は0.8%と低いが、変換効率を金属の軟 点である高温度まで保持できるので入力電 の増減により広範囲の光度が得られる。こ 理由で現在でも屋内外の照明光源として広 囲で利用されている。最も大きな使用者は 般家庭である。タングステン電球は最も安 に製造できる光源で、世界の多くの家庭で 軽な照明光源として使用されている。短所 短寿命 (500時間)である。加熱した金属は蒸 発するので、点灯時間が経過するとタングス テンフィラメント線が細くなり、電気抵抗の 増加により断線する。

 蛍光放電灯は、Hgガスの不可視紫外線発 を、ガラス管内壁面に塗布した蛍光膜によ 可視光に変換した光源で、エネルギー変換 率は約20%である。問題はタングステン電球 は異なり、蛍光膜の発光強度が入力に対し 和し、1蛍光放電灯当たりから取り出す光量 限界がある。飽和輝度の水準が低いので、 輝度の照明を必要とする部屋では、多数の 光放電灯を配列する。タングステン電球よ も高価であるが、エネルギー変換効率が高 、熱の発生が少ないので、工業化社会の大 なビル内の事務室の主照明に使われる。工 化が進んでいる国では、省電照明光源とし 一般家庭の部屋に普及している。蛍光放電 の寿命は主に電子を放射する電極の陽イオ によるスッパターに原因する。その他に蛍 膜表面が蛍光放電管内の有機残留ガスを吸 し、紫外線が蛍光膜に届く前に吸着ガス層 紫外線を吸収する。有機残留ガスは蛍光放 灯管の製造工程の脱ガス工程の程度と、Hg マルガムとBaゲッターの活性化初期に大量の 有機ガスが発生すので、活性化時の排気条件 で大きく変わり、無視出来る水準まで減少で きる。現在の蛍光放電灯の寿命はタングステ ン電球よりも長く約2,000時間前後である。

 LEDは近代電子産業技術の1応用例として開発 された。LEDは無機元素の薄膜を多層に重ね合 わせた素子で作られる。LEDを発光させるには LEDの薄膜層に電子を注入し、発光中心(不純 )で注入電子と正孔が再結合したときに発光 る。LEDの問題は注入電子の約半数が発光に 与するが、残り半数の電子は発光中心で発 できず、熱に変換する。発光強度は注入す 電子数に比例するが、LEDの温度も比例して 温度になる。LEDを70  o C前後に加熱しても発光強度の経時変化は無 できる。LEDを100  o C以上に加熱すると薄膜中の発光中心(不純物) が熱により薄膜内から薄膜外に拡散するので 発光中心数が時間の経過と共に減少する。発 光強度は温度と時間の経過により急激に減少 する。実用LED輝度の操作条件では、LEDは200  o C前後になる。眼が輝度を視認する時に現れ 残像効果を利用し、パルス発光で温度上昇 防ぐが、本質的な解決策でない。発熱の問 を基本から変えることはできない。明るいLE Dは寿命に問題が残る。

 ELも無機材料素子の薄膜の積層で作られ 動作原理はLEDと同じで注入電子と正孔が発 中心で再結合して発光する。各薄膜層の厚 はLEDよりも遥かに厚いので、ELを発光させる には高電圧の印加が必要である。発光強度は 入力電圧に比例して増減する。ELの主課題は 高輝度を得ようとすると薄膜層が放電破壊 る。放電破壊がELの最大輝度を規制する。 命の問題は発光中心の拡散による輝度劣化 ある。ELの研究開発は50年余も続けられ、そ 間、実用化製品が何回も新聞発表されたが 上記した問題は本質的に改善されず、製品 市場に出ること無く消えた。この繰り返し アジアの国々の大企業から発生しているが 欧米の大企業からは無い。OLEDはELと同種の 題を持ち、明るいOLEDの連続点灯では寿命が 問題となる。OLEDを低照度で使用するとき問 が低減されるので、使用範囲が限定される

 上記したように開発提案されている照明 源のどれもが実用化には主要な問題が解決 れていない。現実に残る照明光源は、蛍光 電灯である。蛍光放電灯の開発研究は50年 と長く、更に蛍光放電灯の基本となる放電 科学的研究は100年以上と長い。この事実か 蛍光放電灯の技術は開発済みと一般投資家 企業経営者は考える。本発明者は、現在ま に確立した放電理論を最も基礎から再検討 、検証を試みた。その結果、蛍光放電灯の 術は開発済みとするコメントは誤りであり 蛍光放電灯の基本構造から改良が出来るこ が分かった。

 放電現象を述べる前に、私たちが必要とす 光源照度について考える。闇を明るく照明 ても、夜行性でない人類の主活動は500万年 間、昼間の活動であり、現在の私達の眼も 間の明るさに順応している。だが、眼は晴 の昼間の風景には順応せず、昼間の薄曇り 明るさに順応している。光は波動を持った 子であり、光子のエネルギーは波長により なる。平均値は、2.3 eVのエネルギーを持っ た緑色の光である。昼間の風景は薄曇りの日 中の照度で決められ、その照度は単位面積当 たり単位時間に10 20 個前後の光子の照射に相当する。1eVのエネル ギーは 3.7 x 10 -19  Wであるので、80 W/cm 2  秒のエネルギーとなる。照明光源は上記し 光子数を放射する光源が最も眼に順応する 開発された光源の必要入力は、エネルギー 換効率を80 W/cm 2  秒に積算すれば計算できる。そのような光 として,種々の光源が開発されて来た。それ らの中で蛍光放電灯は最も適合した光源とし て選択され、過去60年余の間大衆に受け入れ れてきた。しかし蛍光放電灯管一本当たり 照度は要求照度より低く、実用では複数の 光放電管を配列し、最適照度の照明を作っ いる。蛍光放電灯管一本当たりの照度を向 できれば、照明に使用する蛍光放電灯管数 減少し、それに従って消費電力も減少する また消費電力の節減を目的に、不要時の蛍 放電灯管を頻繁に点滅するようになったの 、電極の損傷が速い。これ等の問題解決に し多くの努力が払われて来たが、満足度か はかなり遠く、蛍光放電灯管の画期的な改 が待たれている。

 現在使用されている蛍光放電灯管の構造 非常に簡単である。真空封止したガラス管 には適量のArガスとHgが含まれ、金属電極が ガラス管の両端に内蔵され、ガラス管の内壁 には紫外線を可視光に変換する蛍光膜が塗布 されている。金属電極は金属棒の電導体を介 して外部電源と接続する。放電は金属電極に サイン波の交流高電位を印加し、金属電極か ら電子を真空中に取り出し、取り出した電子 を加速し、放電管の両端にある電極間の空間 に介在するArとHgガスに衝突させ、放電を引 起こす。放電では励起Hgガスが放射する不可 視の254 nm紫外線(UV)の発生が大切な働きを持 。放射した不可視UV 光は放電灯管の内壁面 に塗布した蛍光膜上に照射する。蛍光膜が不 可視UV 光を可視光に変換し、蛍光放電灯管 作られる。構造が簡単なことから各部品の 適化が蛍光放電灯管の技術者により進めら た。蛍光放電灯管の市販から60年余が経過し 、年間の生産量も膨大であるので、蛍光放電 灯管に関与する技術は開発済みと一般に考え るのも無理がない。だが前記最適化は確立さ れた構造を前提とする範囲内の最適化であり 、蛍光放電灯管の基本構造の検討はされてい ない。

 前記蛍光放電灯管の駆動は、固体素子や液 中の電導からの類推により蛍光放電灯管内 の電子の注入が本質的に必要と考えられた 真空中に電子を放射する材料は近代科学が まる1800年代から見出され、仕事関数が小さ い金属が探索された。1884年にはT. A. Edison  より金属を加熱すると熱電子が真空中に放 されることが発見された。熱電子放射を改 する大発見は、800  o C に加熱したタングステンフィラメントを超 酸化物 (Ca-, Sr-, Ba- or Cs-酸化物)で覆うと 電子が容易に放射される発見である。特にBa -酸化物が最も良く熱電子を放射する。蛍光 電灯管の陰極にBa-酸化物で覆われたタング テンフィラメントが採用された。フィラメ トの大きさから管径が25 mm以上の蛍光放電 管が開発され、熱陰極放電管(HCFL)として普 した。1928年には、金属と真空の間にFlower-Nor dheimトンネル効果が発見され、金属電極の形 として金属板、金属棒、釣鐘型、表面の凹 等で検討された。その結果、釣鐘型の金属 極が採用された。金属電極は小さく加工で るので、金属電極の管径が15 mm以下にまで さくなり、特に液晶ディスプレイ(LCD)のバ クライト用として内径が2mm以下の冷陰極蛍 放電灯管(CCFL)が普及している。

 上記した金属陰極を使用した蛍光放電灯 の電極では、HCFLとCCFLに関係なく、金属陰 素材が蒸発する問題が存在する。陰極電極 蒸発は次のように説明される。ガス中から 量の大きな陽イオンが陰極に衝突する。陽 オンの衝突により、金属電極の極小部分で 金属が蒸発する高温度にまで瞬時に加熱さ る。蒸発した金属元素は温度が低い電極周 のガラス管内壁に塗布した蛍光膜上に堆積 る。この現象をスパッタリングと呼ぶ。金 元素のスパッタリングで出来た薄膜内には 放電管内にあるArガスとHg蒸気が吸着され、 光放電灯管内のガス量の減少が点灯時間の 過により進み、蛍光放電灯管の寿命を短く る。スパッタリング現象により蛍光放電灯 の寿命は平均2,000時間である。金属陰極電 のスパッタリング現象を低減する方法とし 、電極金属材料と封入ガス圧が経験的に検 されて来たが、それでは問題を基本から解 するに至らない。

 HCFLとCCFLは共通した多くの未解決問題を えている。大きな問題の1つは、金属電極を 用した蛍光放電灯管の陰極と陽極の直前の い距離で印加電圧が大きく変化する現象で る。印加電圧が急激に変化する範囲では、 光と無発光の縞が8個観測される。発光縞は 最初の観測者の名前が付けられている。それ らは、Aston dark, Cathode glow, Crooke’s dark, Ne gative Glow, Faraday dark, Positive Column, Anode Glo w, Anode Darkである。これ等の縞の説明は一応 与えられているが、それは観測現象の説明の 域を出ず、発光縞が発生する科学的根拠は解 明されていない。これ等の不規則発光が発生 するのは陰極側で顕著である。この陰極周辺 の印加電圧の急激な変化を総称して陰極電圧 降下と呼ぶ。陰極電圧降下で失われるエネル ギーは、蛍光放電灯管の全点灯エネルギーの 40 %前後になり、陰極電圧降下の解消が省電 光放電灯管の開発の点で重要課題となって るが、原因が未解明であるので解決の目途 たっていない。上記したスパッタリング現 と陰極電圧降下の解消が蛍光放電灯管の改 の重要研究課題であるが、出版専門書を読 でもこれらの現象が発生する科学根拠は明 でなく、観測した現象の説明で終わる。発 原因が理解できないので未解決課題である 蛍光放電灯管の技術は、基本の所で開発が 来ていない。本発明者はガス放電に現れる 極電圧降下とスパッタリングの課題を科学 に追及した。

[本発明者による解明と思想]
 図8に、従来放電灯管においてSBEが金属陰極 表面に形成される理由が図解されている。今 までのガス放電に関する出版物書籍で欠落し ていたのは、金属陰極から放射された電子e 、電子を放射した後に金属中に残る正孔(電 の抜け穴)hの働きがガス放電に果たす作用 ある。現在の固体物理が教える事実は、金 陰極30から電子eを真空中に取り出すと、金 には正孔hが必ず残る。金属は電気導体であ ので、正孔は電源から供給される電子で直 に満たされると仮定している。此処に従来 思考の誤りがあった。電源から金属電極30 供給される電子は、金属の電気抵抗により げられ(オームの法則)、瞬時に金属電極の正 孔に到達しない。電源からの電子供給と金属 陰極30から真空中への電子放射の間に時間差 ある。統計的に処理すると電子eを放出する 陰極金属表面には、正孔存在量が陰極金属材 料の電気抵抗値により変わるが、無視できな い量の正孔hが定常的に存在する。その結果 金属表面層にある正孔hと真空中に放射され 電子eが静電気力で強く引き合い、真空中の 電子が再結合する。

 金属表面層にある正孔hの正電界は真空中 に及ぶ。放射された真空中の電子eは金属表 層の正孔hの正電界に引き寄せられるが、金 中に再突入するエネルギーを持たず、金属 面から僅かに離れた位置(約5μm)の真空中で 属電極中の正孔hと結合する。これが表面結 合電子 (SBE, surface-bound-electrons)である。蛍光 放電灯管中の金属陰極表面はSBEで覆わる。SBE を真空側から見ると、SBEは陰極表面に存在す る空間電子雲として、真空管研究の初期 (190 0s) に検出されていた。

 最近出版されたCathodoluminescence and Photolumine scence; Theories and Practical Applications, CRC Press , Taylor and Francis Group, Boca Raton, London, New York, pp30-37と69-76, 2007(非特許文献 1)によれ 、陰極表面に形成されるSBEの負電位は、陰 線発光の蛍光膜で蛍光膜に照射される電子 エネルギーと発光強度の関係の測定から推 できる。SBEの大きさは 10 6  eV/cmである。陰極表面から電子を取り出す はSBEの負電位よりも大きな正電位を電子に 加しなければ取り出せない。高エネルギー 取り出された電子は、高速に加速されてい 。教科書に書かれている放電現象の研究は, エネルギーを持った電子をガス空間に突入 せた時の現象であり、観測結果の全てが必 以上の高速電子の挙動で隠蔽されている。

 ガス空間には、中性原子のガスが相互作用 持たない距離(原子の波動関数の重なりが無 視できる距離)で充填されている。個々のガ 原子は、原子核を取り巻く多数の電子殻を 填した電子の総負電荷と核の陽電荷が均衡 、個々のガス原子は電気的に中性である。 かし、ガス空間は原子の最外殻電子の負電  ( 5 x 10 5  eV ) が広がっており、ガス空間は強い負電 界で充満している。ガス空間の負電界(5 x 10 5 eV)以上の高エネルギー(10 6 eV)を持ってガス空間に突入した電子は、電子 殻を満たした電子で遮蔽されたガス原子の中 に突入できず、ガス原子と多数回の非弾性衝 突を繰り返し、最外殻にある電子を真空中に 弾き出す。ガス原子のイオン化には熱を伴う ので、多数のガス原子を熱の発散を伴いなが らイオン化する。蛍光放電灯の陰極周辺の温 度が高くなる理由である。イオン化して出来 た電子とイオンの電荷量(1.6 x 10 -19  クーロン)は同じであるが、質量に大きな差 がある。電子の質量は 9.1 x 10 -29 グラム、イオンの質量は原子の種類により多 少変わるが、1.7 x 10 -24 グラム前後で電子の約1,000倍である。電子は スに印加された電場で容易に移動するが、 オンの移動は遅く少ない。電子とイオンの 動距離の差が、ここでは詳細な理由に触れ いが、前記した陰極前面の発光縞を作る。

 ここで指摘しておかなければならないの 、ガス放電の研究初期にガス放電は不可視 ガスからの光の放出(discharge)と定義された とである。この理由により、ガス放電の研 は放電管からの光の強弱を測定し、その結 で放電が論じられて来た。光の測定だけで 放電の科学的解明は困難である。上記して たようにガスの放電は、ガス媒体中に入っ 電子とガス原子の相乗作用で決まる電子の 動で解析されなければならない。この新し 視点で蛍光放電灯管の特性を解析すると、 まで解決不能とされてきた問題が解決でき ことが分かった。現在の蛍光放電灯管の製 技術は未完成である。

 蛍光放電灯管の特性はガス中の電子の挙 で決まると述べた。電子の挙動を決めるも 1つの大切な因子が、蛍光放電灯管の従来の 特性検討で脱落していた。蛍光放電管中の内 壁面に塗布される蛍光膜中の個々の蛍光体粒 子の物性である。従来蛍光膜はガスが発光し た不可視のUV光を可視光に変化する働きだけ 考慮されてきた。本発明者の研究によれば 個々の蛍光体粒子の物性は、発光現象だけ 関係するものではない。個々の蛍光体粒子 、結晶化した粒子であり、それも非対称な 晶構造を持った結晶であり、放電管内に置 れると、結晶としての物性が現れ、ガス放 中の電子の挙動に顕著な影響を与える。実 されている蛍光体粒子が非対称な結晶構造 持つ理由としては、非対称な結晶格子点を 有した発光中心は、対称場に置かれた発光 心で許容されない電子遷移が許容になり、 容になった電子遷移確率が異常に高いこと ある。これが市販されている蛍光体の発光 性が異常に高い理由である。だが、固体物 を研究している研究者の多くは、蛍光体粒 は単結晶でなく、結晶軸を多数含んだ多結 体であり、結晶欠陥が多数含まれた結晶粒 であると考えている。即ち、結晶欠陥が多 含まれた結晶には固体物理の知識は適用さ ないと判断する。この判断は誤りである。C hemical Review, Volume 103, No. 10, pp 3835-3855, 20 03に発表された論文(非特許文献 2)によれば 発光中心の電子遷移を決める結晶場の大き は、非常に狭い範囲(半径500 Å)の結晶場の 成度であり、粒子全体の結晶性とは無関係 ある。市販されている蛍光体粒子形状が不 則であっても、蛍光体粒子が同じ効率で発 する理由である。蛍光体粒子は多結晶体で り、多結晶体で粒子径の最適化が塗布条件 ら決められている。

 外部紫外線光源を使用し、実在する蛍光 を実験室で調べると、市販蛍光体で最も効 よく発光する蛍光体は、市販電子線発光(CL) 蛍光体である。しかし、蛍光放電灯管の管壁 に市販CL蛍光体を塗布しても、明るい蛍光放 灯管は得られない。従って、明るく発光す 蛍光放電灯管の蛍光膜用蛍光体は、経験的 見つけ出された蛍光体である。経験則で得 結果の理論的解析が欠如している。それ故 選択した多くの蛍光体はUV光で発光中心を 接励起する蛍光体(PL蛍光体)である。何故PL 光体を使用するかの理論回答は、例えばオ ム社発行の蛍光体ハンドブックを調べても つからない。

 市販PL蛍光体を蛍光放電灯管の内壁に塗布 た蛍光放電灯には、次の問題が未解決であ 。金属陰極から取り出した高エネルギーの 子を使用しても、蛍光放電灯管内のガスは 易に放電をしない。ガス放電を容易にする 夫が蛍光放電灯管の点灯器具に加えられて たが、瞬時放電する蛍光放電灯は開発され いない。ガス中を一方向に進む電子の速度 2 x 10 5  cm/secと計算され、非常に速い。何故、陰極 陽極の一方向を高速で進む電子で蛍光放電 が瞬時に放電しないのかの科学解析が完全 欠如し、理論回答が得られていない。経験 だけが先行する技術者と技能者の段階に留 っている。

 未解決の問題は更にある。放電した蛍光 電灯管の入力を増加させた時、光出力は容 に飽和する。蛍光膜粒子層に入射するUV光 、蛍光体粒子の高い光屈折率(n ? 2)により 蛍光膜の最上位に配列した蛍光体粒子表面 先ず反射し、反射UV光が蛍光膜の下部に配列 した蛍光体粒子にも到達する。蛍光膜で発光 に関与する実効蛍光体粒子数は実験的に求め られる。実効蛍光体粒子数に含まれる発光中 心数を計算することができる。計算された発 光中心数は、蛍光膜上に照射されるUV光の光 数の約10倍である。蛍光放電灯管内で蛍光 の発光中心の励起数は飽和していない。輝 が飽和するのは、蛍光膜上に到達するUVの光 強度である。それなのに蛍光放電灯管の技術 者達は蛍光膜の輝度上昇を蛍光体の発光効率 の向上(2から3 %)に期待する。この思考は誤 である。蛍光膜に照射されるUV光が飽和しな い対策が必要であるが、UV光の飽和現象を定 的に論じた論文は見当たらない。

 本発明者の研究によれば、放電管中の電 挙動は蛍光膜の最上層に配列した蛍光体粒 の電気特性に大いに影響を受ける。放電管 の電子挙動を制御するもう1つの重要因子は 、適切な蛍光体の選択と、蛍光体粒子を適切 に配列した蛍光膜である。これ等の解決には 前出の参考文献 1に記されている蛍光体の物 性知識が必要である。

 上記したように、蛍光放電灯管は基本構造 ら改良できる。本発明になる蛍光放電灯管 、従来解決不能とされた蛍光放電灯管の全 題を科学的に解決するものである。その結 、蛍光放電灯管の輝度が著しく向上し、部 の適切照明に必要な蛍光放電灯管数を減少 きる。その上で蛍光放電灯管の点灯時間は の桁数を増加できる水準で長く出来るので 蛍光放電灯管の生産単価は他のどの照明光 よりも安価になる。蛍光放電灯管の構造を 単化できるので製造工程は短縮する。これ を総合すると、本発明になる蛍光放電灯は 電に大いに寄与でき、社会要求の高いCO 2 ガス放出を低減でき、環境保護に貢献する影 響は大きい。非特許文献3~非特許文献6につい ては後述する。

Cathodoluminescence and Photoluminescence; Theories  and Practical Applications, CRC Press, Taylor and F rancis Group, Boca Raton, London, NewYork, pp30-37 an d 69-76, 2007 Chemical Review, Volume 103, No. 10, pp 3835-38 55, 2003 Cathodoluminescence, Kodansha, 1990, p104-120 Applied Physics Letters, 43, pp1073-4, 1983 Physical Review Letters, Vol. 27, 1971, P1345 Journal Physics D Applied Physics, 32, (1999),  pp 513-517

 以上詳述したように、従来の蛍光放電灯 には次のような課題が山積している。第1に 、陰極周辺における急激な陰極電圧効果であ り、このエネルギー損失は蛍光放電灯管の全 点灯エネルギーの40%前後にも達する。第2に 前記陰極電圧降下により、電極近傍におけ 発光と無発光の縞状模様が生じて暗くなり 全体的に照度が低下していた。第3に、放電 スの陽イオンが陰極に衝突して金属陰極が 発し、蒸発膜が蛍光膜上に形成されて放電 スを吸着し、放電寿命及び蛍光放電灯管の 命を低減させる原因となっている。第4に、 蛍光放電灯管一本当たりの照度は要求照度よ りかなり低く、実用では多数の蛍光放電管を 配列する必要が生じ、省エネルギー化が困難 になり、コスト低減の限界となっている。第 5に、電源をオンした後、放電が開始して点 するまでにかなりの時間を要し、急速点灯 障害となっている。

 従って、本発明の目的は、蛍光放電灯管 作動原理を根底から再検討して、陰極電圧 下を無くして省エネルギーに貢献でき、同 に電極近傍の明暗の縞状模様を無くして照 の向上を図ることである。また、本発明の なる目的は、金属陰極の損耗が無く、蛍光 電灯管一本当たりの照度を格段に向上させ 急速点灯を可能とする蛍光放電灯管を提供 、またこの蛍光放電灯管を利用したバック イト装置を有するLCD表示装置(液晶表示装置 )を提供することである。

 本発明は上記課題を解決するためになさ たものであり、本発明の第1の形態は、蛍光 放電灯のガラス管内壁面に蛍光膜を塗布した 蛍光放電灯管において、前記ガラス管内の放 電ガスの点灯が、電子の流れで独立している 内部回路と、電源に接続された外部回路によ り生起される蛍光放電灯管である。

 本発明の第2の形態は、前記内部回路が、 前記蛍光放電灯管内部の両端にそれぞれ個別 に形成された電子源とイオン源から成り、前 記蛍光放電灯管内のガス放電は、前記電子源 から取り出された電子が前記イオン源に向か ってガス空間を移動する過程で起こり、移動 する前記電子がイオン源に到達したとき、前 記電子がイオンと再結合して前記内部回路が 閉じる蛍光放電灯管である。

 本発明の第3の形態は、前記蛍光放電灯管 内の一端に電気絶縁体粒子を層状に被覆した 金属電極を配置して前記電子源形成用電極と し、前記蛍光放電灯管内の他端に電気絶縁体 粒子を層状に被覆した金属電極を配置して前 記イオン源形成用電極とした蛍光放電灯管で ある。

 本発明の第4の形態は、前記電子源形成用 電極の前記金属電極に正極性の電位を印加し て、前記金属電極の電気絶縁体粒子を誘電分 極し、電極周辺のガスのイオン化により発生 した自由電子が誘電分極した前記電気絶縁体 粒子の正電荷に引き寄せられ、前記自由電子 が前記電気絶縁体粒子直前のガス空間で前記 電気絶縁体粒子内の正電荷と結合してできた 空間電子雲を前記電子源とし、前記イオン源 形成用電極の前記金属電極に負極性の電位を 印加して、前記金属電極の電気絶縁体粒子を 誘電分極し、電極周辺のガスのイオン化によ り発生したイオンが誘電分極した前記電気絶 縁体粒子の負電荷に引き寄せられ、前記イオ ンが前記電気絶縁体粒子の分極負電荷と結合 してできたイオン集団を前記イオン源とする 蛍光放電灯管である。

 本発明の第5の形態は、前記電子源から電 子を蛍光膜表面に取り出し、蛍光膜の表面伝 導により電子を加速し、加速電子をガス放電 の点火の引き金とし、前記加速電子の軌道を 負電荷を持った蛍光体粒子によりガス空間に 曲げ、蛍光放電灯管のガスを瞬時に点灯放電 させることにより、陰極電圧降下の無いガス 放電を生起させる蛍光放電灯管である。

 本発明の第6の形態は、前記蛍光膜の表面 に負電荷を持たない蛍光体粒子と負電荷を持 った蛍光体粒子を交互に配置させて、前記蛍 光膜表面の複数箇所で前記加速電子を前記負 電荷を有した蛍光体粒子によりガス空間側に 曲げる蛍光放電灯管である。

 本発明の第7の形態は、前記蛍光放電灯管 のガラス管内壁面に塗布される前記蛍光膜が 、電子線発光蛍光体粉と光発光蛍光体粉の混 合粉体からなる蛍光放電灯管である。

 本発明の第8の形態は、前記光発光蛍光体 粉が個別に三色に発光する三種類の希土類光 発光蛍光体粉からなり、前記電子線発光蛍光 体粉が低電圧電子線発光蛍光体粉からなる蛍 光放電灯管である。

 本発明の第9の形態は、前記希土類光発光 蛍光体粉の内、緑色に発光する蛍光体粉がCL 光珪酸亜鉛蛍光体粉で置換される蛍光放電 管である。

 本発明の第10の形態は、前記希土類光発 蛍光体粉の内、緑色に発光する蛍光体粉がCL 発光珪酸亜鉛蛍光体粉とPL発光珪酸亜鉛蛍光 粉の混合粉体で置換される蛍光放電灯管で る。

 本発明の第11の形態は、前記蛍光膜で、 記低電圧電子線発光蛍光体の粒子を、前記 光膜の表面に不連続に散布するように配置 た蛍光放電灯管である。

 本発明の第12の形態は、前記蛍光膜が、 独で白色に発光する光発光蛍光体粉と低電 電子線発光蛍光体粉の混合粉体からなる蛍 放電灯管である。

 本発明の第13の形態は、前記蛍光膜が、 色に光発光する前記光発光蛍光体がハロ燐 カルシウム蛍光体からなる蛍光放電灯管で る。

 本発明の第14の形態は、前記蛍光膜に、 色発光を補強する電子線発光酸化イットリ ム蛍光体が追加的に添加された蛍光放電灯 である。

 本発明の第15の形態は、第1形態~第14形態 いずれかの蛍光放電灯管の単独又は複数個 平面に配列し、LCD表示装置のバックライト 使用するLCD表示装置である。

 本発明の第16の形態は、前記蛍光放電灯 の複数個を垂直方向又は水平方向に配置し それぞれの蛍光放電灯管を単独で、又は複 個の蛍光放電灯管を集団で、線順次に走査 る方式で順次に点灯し、線順次の映像をLCD 示装置のスクリーン全体に映すLCD表示装置 ある。

 本発明の第1の形態によれば、ガラス管内 の放電ガスの点灯が、電子の流れで独立して いる内部回路と、電源に接続された外部回路 により生起され、放電を生起させる電子の供 給源は放電ガス自体のイオン化であり、外部 回路からの放電用の電子供給がない蛍光放電 灯管を提供できる。従って、放電過程を通し て、放電灯管内部の放電ガスは外部回路と遮 断され、放電ガス自体がイオン化と再結合を 連続的に反復するため、放電ガスの消耗が無 く、放電灯管の長寿命化を実現できる。しか も、外部電源からの電子供給が無いから陰極 電圧降下が無く、外部電源の消費電力は小さ くでき、商用電源は言うに及ばず、バッテリ ー電源であってもバッテリーの消耗が小さく 、放電灯管及びその周辺回路の長寿命化を達 成できる。換言すれば、商用電源が無いため にバッテリー電源を必要とする過疎部・山間 部などでもバッテリー駆動による放電灯管の 使用が可能になる画期的な放電灯管を提供で きる。しかも、前記陰極電圧降下がないから 、電極近傍の明暗の縞状模様が無くなり、電 極近傍も全体的に明るく発光して照度の向上 を図ることができる。

 本発明の第2の形態によれば、前記内部回 路が放電ガスのイオン化により生成された電 子源とイオン源から成り、この内部回路は前 記外部回路から電子的に完全に遮断され、前 記電子源から前記イオン源への電子の移動過 程で放電現象が生起する。この放電現象は、 同じ移動電子が繰り返しガス原子と非弾性衝 突し、発生した紫外線による蛍光膜の発光が 持続し、前記電子がイオンと再結合して前記 内部回路が閉じる。前記放電現象の繰り返し により定常的に蛍光膜の発光が持続する蛍光 放電灯管が提供される。前述したように、持 続する電子のガス原子との非弾性衝突と再結 合が放電ガス内だけで生起し、外部回路は全 く遮断されているため、外部回路のエネルギ ー損耗が殆んど無い。しかも、外部回路によ る内部回路への電子供給が無いから、陰極電 圧降下が無く、外部電源の駆動電流を極力低 減でき、低電流駆動が可能な蛍光放電灯管が 提供される。

 本発明の第3の形態によれば、電気絶縁体粒 子を層状に被覆した金属電極により前記電子 源形成用電極及び前記イオン源形成用電極を 構成するから、電気絶縁体粒子層により金属 電極からの電子放出や金属蒸発が遮断され、 前記内部回路と前記外部回路が完全に分離す る。前記金属電極からの電子放出や金属蒸発 が遮断されるから、金属電極の消耗が無く、 電極消耗によるスパッタリング現象が消失し 、蛍光放電灯管の長寿命化を達成できる。し かも、金属電極からの電子放出が無いが、外 部回路を流れる外部電流は金属電極の上に塗 布された絶縁体粒子の誘電分極の誘導電流だ けであるので、蛍光放電灯管の低電流駆動が 実現でき、その結果、省エネルギー効果を達 成できる。
 前記電気絶縁体粒子が層状に被覆されるべ 金属電極としては任意形状の金属電極が利 でき、冷陰極蛍光放電灯管(CCFL)や熱陰極蛍 放電灯管(HCFL)に使用されていた金属電極も 用できる。具体的形状としては、カップ状 属電極、平板状金属電極、棒状金属電極、 ィラメント状金属電極などがある。これら 金属電極に前記電気絶縁体粒子を層状に被 して電位を印加するだけで、前記電気絶縁 粒子を誘電分極できる。従来、HCFLではフィ ラメント電極に電流を通電して加熱し、熱電 子放出させていたが、前記フィラメント電極 に通電しない状態で、フィラメント電極に電 位を印加するだけで本発明の金属電極に転換 できる。前記フィラメント電極の両端を結線 して通電不能にして電位印加端子としてもよ いし、前記フィラメント電極の一端を電位印 加端子とし他端を浮かせた状態でも構わない 。どちらの形態でも通電しない状態でフィラ メント電極全体を同電位に電位印加すること ができる。また、前記フィラメント電極が断 線して通電不能になった状態でも、フィラメ ント電極の両端を結線すれば、フィラメント 電極全体を同電位に保持できる。また、断線 したフィラメント電極の一端に電位印加して 他端を浮かせておけば、前記一端に導通した フィラメント電極部分には電位印加すること でき、前記他端に導通したフィラメント電極 部分は電気的に浮いた状態に保持される。こ のように、断線したフィラメント電極に電位 を印加すれば本発明の金属電極として再生で きる。
 前記金属電極が電気絶縁体粒子により被覆 れておれば、本発明の電極作用を奏するこ ができる。即ち、前記金属電極に電位を印 して、電気絶縁体粒子を誘電分極し、その 果、放電ガスの電離により生成された電子 と陽イオン源を電気絶縁体粒子近傍に形成 ることができる。電気絶縁体粒子としては 一般の電気絶縁物質でもよいし、蛍光放電 管のガラス管内面に塗着される蛍光体物質 もよい。誘電分極する物質であれば、本発 の電気絶縁体粒子として使用することがで る。

 本発明の第4の形態によれば、外部電源によ り前記電子源形成用電極の前記金属電極に正 電位を印加し、その正電位により電気絶縁体 層を誘電分極させ、分極電荷の分極電界によ り、放電ガスのイオン化により生成された電 子を吸引して、前記金属電極周辺に集合した 空間電子雲が電子源として形成される。この 電子源を構成する電子は全て放電ガスのイオ ン化による電子であり、外部回路からの電子 供給は全く無いから、内部回路の電圧降下は 全く無く、外部回路の消費電力は著しく低減 できる。同様に、放電灯管内部の他端に位置 する前記イオン源形成用電極の金属電極には 負電位が印加され、その負電位により電気絶 縁体層を誘電分極させ、分極電荷の分極電界 により、放電ガスのイオン化により生成され た陽イオンを吸引して、前記金属電極周辺に 集合した陽イオン群がイオン源として形成さ れる。このイオン源は電気絶縁体層により負 金属電極とは完全に絶縁されている。前記電 子源の電子はこのイオン源に向かってガス放 電を生起しながら移動し、電子とイオンの再 結合により中性ガスに帰還する。このミクロ 過程の連続動作により、放電により発生する 紫外線により蛍光体が可視光発光し、低電流 駆動の省エネルギー型の放電灯管を実現する ことができる。内部回路への外部回路からの 電子供給が無いから、陰極電圧降下が無く、 電極損耗の無い放電灯管が実現でき、放電灯 管のランニングコストの超低減化と超長寿命 化を達成することができる。
 前記絶縁体粒子層は少なくとも電極間に形 される放電空間に接する対向面(表面)に形 されれば、金属蒸発が阻止でき外部回路か の電子供給を遮断できる。この遮断性を増 させるために、金属電極の全面(対向面と裏 と側面)に形成してもよいが、対向面と側面 、対向面と裏面に形成してもよい。ここで、 裏面とは外部回路との接合面を意味する。

 本発明の第5の形態によれば、前記電子源 から取り出された電子を蛍光膜表面の表面伝 導により加速してガス放電を点火し、前記加 速電子の軌道を蛍光膜上の負電荷を持った蛍 光体粒子によりガス空間に曲げ、蛍光放電灯 管のガスを瞬時に点灯放電させる蛍光放電灯 管が実現できる。これにより、陰極電圧降下 が無く、発光強度(照度)の向上を実現し、低 流駆動により省エネルギー設計された蛍光 電灯管を提供することができる。一般に、 電荷を持った蛍光体粒子には、光発光蛍光 (PL蛍光体)が含まれる。光発光蛍光体の粒子 内部に存在する不純物には電子がトラップさ れており、このトラップされた電子に起因し て内部持続分極 (PIP)が形成され、内部持続 極の電子が蛍光膜表面に出現して前記負電 を構成し、前記加速電子を放電空間に曲げ 作用をする。従って、加速電子を曲げたい 置に光発光蛍光体を配置しておけば、その 置の光発光蛍光体の負電荷が、前記加速電 に対し曲げ作用を行う。蛍光体の選択によ 、前記負電荷の大小を可変調整でき、これ より蛍光膜上の表面伝導電子と放電ガスと 衝突を加速して、放電空間内の急速点灯を 現でき、蛍光放電灯管に従来から存在した 延点灯を無くすことができる。

 本発明の第6の形態によれば、前記蛍光膜 の表面に負電荷を持たない蛍光体粒子と負電 荷を持った蛍光体粒子を交互に配置させて、 前記蛍光膜表面の複数箇所で前記加速電子を 前記負電荷を有した蛍光体粒子により、電子 をガス空間側に曲げる急速点灯と全面発光す る高効率な蛍光放電灯管が提供される。前記 負電荷を持たない蛍光体粒子には、一般的に 電子線発光蛍光体(CL蛍光体)が含まれる。特 、低電圧電子線発光蛍光体は表面汚染が少 く、負電荷に帯電しない性質を有し、チャ ジアップしない特性を有する。高電圧電子 発光蛍光体になると表面汚染を有するもの 出現し、負電荷にチャージアップする場合 ある。本形態では、負電荷を持たない蛍光 領域ではクーロン反発力が発生しないから 蛍光膜を表面伝導する電子は加速される。 方、負電荷を持つ蛍光体領域では、加速電 はクーロン反発力により放電空間に曲げら 、放電ガスを強制的に放電させ、放電灯管 急速点灯する。しかも、本形態では、多数 負電荷領域が電子の表面伝導方向に点在す から、放電灯管の多数領域で放電が生起し 放電灯管の全体が明るく発光することがで る。換言すると、前記負電荷性蛍光体粒子 蛍光膜上に加速電子の進行方向に沿って多 点在させると、加速電子と負電荷とのクー ン反発力により、多数の負電荷位置にて加 電子が放電空間中に強制的に曲げられ、加 電子と放電ガスとの多領域における全空間 突により放電空間全領域での放電が生起し 急速点灯と全空間点灯が同時達成できる放 灯管を実現できる。

 本発明の第7の形態によれば、前記蛍光放 電灯管のガラス管内壁面に塗布される前記蛍 光膜が、電子線発光蛍光体粉と光発光蛍光体 粉の混合粉体からなる蛍光放電灯管が提供で きる。前述したように、電子線発光蛍光体粉 は負電荷を持たず、光発光蛍光体粉は負電荷 を有するから、両蛍光体粉を混合して放電灯 管内に塗布しておけば、負電荷領域と中性領 域が粉体の直径サイズで交互に配置され、表 面伝導電子の加速領域と曲げ領域が交互に無 数に配置されることになる。従って、放電灯 管の全領域における放電発光が生起し、急速 点灯と全面点灯が瞬時に実現され、低電力で 高照度の放電灯管を提供できる。

 本発明の第8の形態によれば、前記光発光 蛍光体粉が個別に三色に発光する三種類の希 土類光発光蛍光体粉からなり、前記電子線発 光蛍光体粉が低電圧電子線発光蛍光体粉から なる蛍光放電灯管が提供される。三色として 、赤光、緑光、青光を選択すれば、合成色は 白色になり、白色蛍光放電灯管を提供できる 。しかも、三種類の希土類光発光蛍光体粉が 負電荷蛍光体になり、低電圧電子線発光蛍光 体粉が負電荷を持たない蛍光体になり、急速 点灯と全面点灯を実現する。

 本発明の第9の形態によれば、前記希土類 光発光蛍光体粉の内、緑色に発光する光発光 蛍光体粉をCL発光珪酸亜鉛蛍光体粉で置換し 蛍光放電灯管が提供される。第8形態におけ る緑光の光発光蛍光体粉を電子線発光(CL発光 )の珪酸亜鉛蛍光体粉で置換すると、希少元 である希土類が含まれないために材料的に 価になり、しかも発光が明るく綺麗になる 性を有する。

 本発明の第10の形態によれば、前記希土 光発光蛍光体粉の内、緑色に発光する光発 蛍光体粉をCL発光珪酸亜鉛蛍光体粉とPL発光 酸亜鉛蛍光体粉の混合粉体で置換した蛍光 電灯管が提供される。希少元素である希土 が含まれないために材料的に安価になり、C L発光珪酸亜鉛蛍光体粉とPL発光珪酸亜鉛蛍光 体粉の混合比を調整することにより、発光の 明るさとNTSC(米国TVシステム委員会)で決めら た緑色で鮮明さと綺麗さを最適調整するこ ができる。

 本発明の第11の形態によれば、前記蛍光 で、前記低電圧電子線発光蛍光体の粒子を 前記蛍光膜の表面に不連続に散布するよう 配置した蛍光放電灯管が提供される。前述 た様に、低電圧電子線発光蛍光体は負電荷 持たない蛍光体であり、この蛍光体を不連 に散布配置する事は、負電荷を有さない領 (無電荷領域ともいう)が不連続に存在するこ とを意味し、換言すれば負電荷領域と無電荷 領域を交互に配置したパターンになる。従っ て、負電荷領域で曲げ点灯が生じ、無電荷領 域で表面伝導電子の加速が行われ、急速点灯 と全面点灯を確実に実現することができる。

 本発明の第12の形態によれば、前記蛍光 が、単独で白色に発光する光発光蛍光体粉 低電圧電子線発光蛍光体粉の混合粉体から る蛍光放電灯管が提供できる。単独で白色 発光する光発光蛍光体粉が負電荷蛍光体で り、低電圧電子線発光蛍光体粉が無電荷蛍 体になり、両粉体の混合により急速点灯と 面点灯を実現できる。光の三原色に対応し 三種類の光発光蛍光体を使用せず、単独で 色に発光する光発光蛍光体粉を使用すると 蛍光体コストの低減を実現できる。この発 になる蛍光放電灯管は輝度飽和現象が消え 蛍光膜の輝度が管径に依存しない。家庭の 明に使われる管径25 mm以上の蛍光放電灯管 約30 % の輝度上昇が起こり、LCDのバックラ トに使用する管径が5 mm以下の蛍光放電灯 は、希土類蛍光体を使用したと同等又はそ 以上の発光が得られる。蛍光放電灯を数回 曲折した電球状の省電型蛍光ランプにも使 でき、省電型蛍光ランプの製造コストの大 な低減と、1万時間以上の長寿命となり、需 者の利益に大いに貢献する。

 本発明の第13の形態によれば、前記蛍光 が、単独で白色に光発光する前記光発光蛍 体がハロ燐酸カルシウム蛍光体からなる蛍 放電灯管が提供できる。ハロ燐酸カルシウ 蛍光体はクラーク数が低い希少な希土類元 を用いないから、蛍光体コスト低減できる 果を有する。

 本発明の第14の形態によれば、第13形態の 蛍光膜に、赤色発光を補強する電子線発光酸 化イットリウム蛍光体が追加的に添加された 蛍光放電灯管が提供できる。ハロ燐酸カルシ ウム蛍光体は単独で白色光を発光するが、色 分解すると赤色光が含まれていないから、電 子線発光酸化イットリウム蛍光体を添加する ことにより、色分解により三原色光から構成 されることになる。特に、後述するLCD表示装 置のバックライト光源に使用する場合には、 三原色光が必要になり、本第14形態の赤色電 線発光酸化イットリウム蛍光体を添加する とにより、それを可能にする。

 本発明の第15の形態によれば、第1形態~第 14形態のいずれかの蛍光放電灯管の単独又は 数個を平面に配列し、LCD表示装置のバック イトに使用するLCD表示装置が提供できる。 般に、LCD表示装置のバックライト光源には 陰極管 (CCFL) が使用されているが、輝度が 低く、寿命に限界があった。本発明の蛍光放 電灯管は高輝度、長寿命であり、バックライ ト光源として最適である。即ち、本発明の蛍 光放電灯管は液晶表示装置(LCD表示装置)のバ クライト光源に利用でき、低消費電力・高 度・安価・長寿命であるから、良質且つ安 なバックライト光源になる。

 本発明の第16の形態によれば、前記第15形 態の蛍光放電灯管の複数個を垂直方向又は水 平方向に配置し、それぞれの蛍光放電灯管を 単独で、又は複数個の蛍光放電灯管を集団で 、線順次に走査する方式で順次に点灯し、線 順次の映像をLCD表示装置のスクリーン全体に 映すLCD表示装置が実現できる。本発明の蛍光 放電灯管は急速点灯と全面点灯が可能である から、多数本の蛍光放電灯管を配列して線順 次走査しても走査速度より高速に急速瞬時点 灯するから、走査点灯方式に好適な蛍光放電 灯管を提供でき、高性能の走査型LCD表示装置 を実現できる。従来のLCD表示装置に使用する  CCFLの点灯速度は最速で秒単位であり、線順 次走査は不可能であった。

[本発明の更なる詳細説明]
 本発明者は蛍光放電管の最適動作条件を探 すべく、放電現象の最も基礎から応用まで 検討した。ガス放電の基本は、ガスを放電 せる電子の放電管内への供給である。現在 用している金属電極を使用した場合、陰極 面に不可避に形成されるSBE(10 6 eV/cm)の影響を受けるので、電子は10 6 eV/cm以上の高エネルギーを持って陰極表面か 取り出される。観察された放電現象には、 の高エネルギー電子の影響が介入しており その影響を解析から取り去ることはできな 。ガス放電の基本を調べるに、SBEが形成さ ない電極を必要とする。本発明者は絶縁体 子表面に形成されるSBEを利用し、初速ゼロ 近い電子をガス空間(放電空間)に供給する しい電子供給源を開発した。この電子供給 からの電子を使用すると、今まで解明でき かった蛍光放電管中のガス放電の詳細が調 られ、未解決な全事項を解明することがで た。新しく解明された事項を最適化すると 放電特性を驚異的に改良した蛍光放電灯管 開発できる。

 新規電子供給源は次のようにして得られた 金属電極の上に電気絶縁体粒子層を置く。 属電極に電位を印加すると絶縁体粒子は誘 分極する。絶縁体粒子に誘電分極した電荷 極性は、金属電極の極性と反対になるが、 荷量Qは、電極に印加される電位V g の一次関数で増減し、比例常数は絶縁体粒子 の誘電率εを用いてQ=εV g で表される。絶縁体粒子に誘起された分極の 電位V c は、絶縁体粒子の電気容量(誘電容量)をCとす るとV c = Q/C =εV /Cで表され、Cは常数であるので、εV g 倍になる。多くの絶縁体粒子のε値は3~50であ るので、分極電荷の電位V c は金属電極電位V よりもε倍高くなる。この高い分極電荷に現 る電位を利用する。

 絶縁体粒子で覆われた金属電極をガス空間 置き、金属電極に波高値が1~5kVで周波数が1~ 70 kHzにある高周波電界を印加すると、電極 辺のガス原子は高周波電界でイオン化し、 由電子と自由イオンが電極周辺にできる。 の自由電子と自由イオンは、金属電極電位V g の電場に引き寄せられるよりも、電位の高い 絶縁体粒子の高電位V c の電場に引き寄せられる。自由電子と自由イ オンは極性を異にする誘電分極に引き寄せら れるが、絶縁体結晶内部に突入するエネルギ ーを持たないので、分極した絶縁体粒子表面 上の真空中にそれぞれ累積する。分極した絶 縁体粒子表面上に個別に累積した電子とイオ ンを使い、蛍光放電管内のガスを放電させる 。この放電方式の原理を模式化し、図1に示 。電極2と3の上に置かれた絶縁体粒子4は、 極2と3に電源電圧を印加すると図に示したよ うに誘電分極する。ガス空間側の誘電分極の 極性は電極の極性とは一致する。電極2、3の 性は高周波電圧により変化するが、図1では その一瞬状態を表示している。イオン化によ り生成された自由電子は絶縁体粒子に誘起し た分極の正極性に引き寄せられ、絶縁体粒子 4の直前の真空中に留まり、絶縁体粒子4の正 性と結合する。この絶縁体粒子4に表面結合 した電子をガス放電の新しい電子源7とする イオン化したAr + は絶縁体粒子の誘電分極に誘起した分極の負 極性に引き寄せられ、絶縁体粒子4の直前の 空中に留まり、絶縁体粒子4の負極性と結合 、イオン源(累積イオン)8となる。放電5は電 子源7から取り出された電子が累積イオン8ま の移動で起こる。放電に関与する電子は、 電管中のガスから供給され、絶縁体粒子か の電子の供給はない。放電に関与した電子 、放電管中でイオンと結合してガス原子に る。放電に関与する電子とイオンは、放電 の外部から供給されない。

 ここで疑問になるのは、絶縁体粒子表面 累積した電子は、粒子内の対の誘電電荷と く結合し、SBEを形成しているので、容易に り出せないのではないかの疑問である。電 周辺の電界は高周波で変化しており、絶縁 粒子の誘起電荷の極性は急速に変わる。そ 結果、電子供給源7の電子は短時間の間真空 中に浮遊する。絶縁体粒子に誘電分極した電 荷の真空中に浮遊する電子に対する拘束力は 弱く、電子は弱い高周波電界で容易に移動す る。絶縁体粒子表面近傍の真空中に浮遊する 電子を取り出すので、電子の初速度はゼロに 近い。本発明に係る電子源は高周波電界の存 在下だけで得られ、高周波の波数が小さいと き、および直流電圧の印加では発生しない。

 絶縁体粒子に誘起する分極電荷量Qは絶縁 体の誘電率εの値で変わる。一般の絶縁体粒 を使用できるが、同じ大きさの絶縁体粒子 使用した場合、より大きな誘起電圧を絶縁 粒子に誘起した方がガス放電に有利である とを見出した。大きな誘起電圧を得るには きな誘電率εを持った絶縁体の方が有利で る。そのような絶縁体粒子として、実用化 れている電子線発光蛍光体(CL蛍光体)粒子が 適であった。効率よく発光するCL蛍光体の 晶は格子点に非対称を持った結晶であり、 光中心は非対称な格子点を占める。非対称 格子点を占有した発光中心は、対称性結晶 格子点を占有した発光中心で許容されない 子遷移が可能となり、その電子遷移確率が 常に大きい。実用蛍光体粒子の全ては非対 性を持った結晶である理由である。非対称 を持った結晶は圧電特性を持ち、大きな誘 率εを持つ。この理由で、蛍光体粒子は金属 電極を覆う絶縁体粒子に適す。

 絶縁体に誘起する電荷量Qは絶縁体の表面積 に比例して変わる。絶縁体は薄膜であるより も、粒子の表面積の方が大きい。平面に一層 に緻密に配列した粒子の表面積はπφ 2 で与えられる。ここにφは粒子直径である。C athodo luminescence, Kodansha, 1990, p104-120(非特許 献 3)の記述によれば、決められた面上に配 列する粒子の総表面積は、粒子径に無関係に 配列した粒子層数で与えられる。付着する最 適な粒子総数は3層前後である。この理由に り、現実に金属電極表面に付着させる絶縁 粒子は一個ではなく、3層前後の粒子を均一 金属電極の表面に付着させる。金属電極表 に付ける絶縁体粒子の大きさは、粒子の金 表面への付着力で規制される。多数の粒子 使用する。多数の粒子の粒子径は均一径で く、対数正規分布で分散する。分布してい 粒子は、平均値または分布の中央値で代表 て取り扱う。絶縁体粒子は金属電極表面に ァンデルワールス力で付着する。粒子と金 表面の付着に接着剤を採用することも出来 が、接着剤を使用しない方が良い結果が得 れる。付着力の強い粒子の平均値は、光学 微鏡の測定で1 μm~7 μmの間にある。より好 ましくは 2 μm~5 μmの間にある。7 μmより大 きな粒子は付着力が弱く、機械的な振動で容 易に金属電極面から脱落する。1 μmより小さ い粒子は、粉末の保存中に空気中から毛管凝 縮により水分を吸着し、凝集する。凝集粒子 塊は大粒子と等価であるので使えない。

 上記した条件を具備した新しい電子源を 光放電灯管に使用した時、放電灯のガス放 に以下に述べる特徴がある。第一の特徴は 金属電極から絶縁体粒子に電流は流れない ガス放電に必要な電子は、ガスのイオン化 よりガス空間内から調達し、累積イオンに 会して消滅する。即ち、放電管内の電子の れは、放電管内で発生し、閉じる内部回路 ある。この内部回路が放電管内に形成され 。内部回路には放電管外の電気回路(外部回 路)から電子は流れ込まない。蛍光放電灯管 駆動回路は外部回路を形成し、誘導電流を つが、内部回路に電子を直接供給しない。 子の流れに限定すれば、内部回路は外部電 回路と独立して存在する。内部回路を形成 る電子源の大きさは、外部回路の金属電極 印加する電位により制御される。図2に上記 た内部回路15と外部回路12を模式化して示す 。

 今までの蛍光放電灯管の放電現象の調査 は、駆動回路の電気特性を測定していた。 じように本発明になる蛍光放電灯管の外部 路に探針を接続すると、電気信号が検出で きる。ここに誤解が発生する。誤解は解か ければならない。図2の外部回路 12に流れ 電流は、金属電極を覆う絶縁体粒子の誘電 極と脱分極時に流れる誘導電流であり、内 回路15に流れる電流とは関係ない。現在の所 、内部回路の電流を検出する方法がない。

 外部回路からの電子の流れ無しにガス放 が可能とすると、ガス放電に必要な内部電 の大きさが推定できる。一個の電子が一個 ガス原子を励起し、一個の光子の発光が発 すると仮定する。この仮定下でガス原子を 起する最大電子流を計算できる。要求され 最大電流を、通常の蛍光放電灯管内を満た ガス原子の数から求める。その数は蛍光放 灯の内容積が決まると、Boyle-Charles の法則 ガスのモル数が計算できる。Avogadoro数を使 、計算したモル数内に含まれる原子の数が 算する。計算したガス原子の数量を電流に 算すると、多くの蛍光放電灯では約0.1ミリ ンペアーである。現実には、一個の電子は り返し使用するので、本発明になる内部回 を構成する電子源を使用し、蛍光放電灯管 理想条件で放電すれば、蛍光放電灯管の消 電力は更に小さく、著しい省電型蛍光放電 管が開発できるが、放電灯内の電流を直接 定できない。外部回路に流れる電流と電圧 ら放電灯の電力を決めるが、それでも通常 蛍光放電灯の消費電力より極度に減少する ガス放電に必要な内部回路の電子の挙動は 純でなく、同じ電子数を使用しても結果は いに異なる。省電型蛍光放電灯管を求める は単純でない電子の挙動を解明し、電子挙 の最適化が必要である。

 分極絶縁体粒子表面上の累積電子から取 出した電子は、初速度がゼロに近いので、 販放電灯用蛍光体で作られた蛍光膜では問 が発生する。Applied Physics Letters, 43,pp1073-4,  1983 (非特許文献 4)の論文によれば市販蛍 体粒子には電子と正孔のトラップが不可欠 存在し、蛍光体粒子は永続性内部分極(PIP)を 持つ。PIP電荷の電界が蛍光体粒子外に広がる 。多くの場合、蛍光体粒子外に広がる電界は 負電界である。蛍光膜に光を照射すると、捕 獲電子がトラップから伝導帯に上がる結果、 PIPの電界は消える。蛍光体材料は電子写真や 乾式コピー機の感光材料として広く使われて いる。市販放電灯用蛍光体のPIPは光感光材料 としての特性が弱いので、感光材料として実 用されていないが、市販放電灯用蛍光体のPIP は、低いエネルギーを持って蛍光膜に接近し てくる電子に対し十分に作用する。これは放 電灯を使用した実験では観測が困難である。 参考文献 3, pp141-149の記載によると、電子線 照射下の蛍光膜の特性調査でPIPの存在を定量 的に明らかに出来る。市販放電灯用蛍光体の PIPの負電界の大きさは、加速電圧を変化させ た電子線を蛍光体膜に照射した実験で決定で きる。測定から決定した蛍光膜上の負電位は 約 110 V~150 Vの間にある。蛍光膜に200 V以上 の正電界を蛍光膜が塗布されたガラス基板の 裏側から印加するとPIPの負電荷は蛍光膜から 消え、正電荷が現れる。照射電子は蛍光膜に 達し発光するようになる。外部電界印加によ るPIPの出現と消滅する現象は電子写真や乾式 コピー機の感光材料と同じで何回でも反復す る。

 市販蛍光体粒子の持つPIPの存在を理解し いなかった蛍光放電灯管の開発者達は、蛍 膜のPIP 負電荷の消却に苦労していた。蛍 膜の下側や表面に導電膜を付け、又は放電 の外壁面に導電膜を付けたり、放電管外壁 近い所に金属板を配置し、放電の初期にだ それらの導体に正電位を印加する外部回路 採用し、点灯時間が秒単から分単位で変わ 瞬時点灯の蛍光放電灯を開発していた。そ より速い時間で点灯する方法として、電極 辺の蛍光膜の上にセシウムCs原子の薄膜を付 着するか、光を蛍光膜に照射する工夫を重ね て来たが、放電開始時間の短縮は秒単位の短 縮に留まっていた。既述したように放電開始 時間の困難は、蛍光膜を構成する蛍光体粒子 が持つPIPによる作用と関係する。蛍光膜のPIP を消去できれば、蛍光放電灯管は10ミリ秒以 の瞬時に本当に発光する。蛍光放電灯の瞬 点灯は解決が難しい課題であったので、更 詳細に述べよう。

 初速度がゼロに近い電子を蛍光放電管中に 入すると、蛍光体粒子のPIPによる負電荷に り、電子は蛍光膜に近づけない。更にガス 子が充填したガス空間にも入れない。ガス 間はガスの最外殻電子軌道を充填している 子の負電界 (5 x 10 5  eV)がガス空間に広がり、その負電界に阻ま 、電子はガス空間中にも入れず、蛍光放電 管は放電しない。ガスを放電させるには蛍 膜のPIPを変更し、各蛍光体粒子の表面に負 位が存在しないようにする必要がある。最 良い方法は、150 eV以下の低電圧電子線で発 光するCL蛍光体で蛍光膜を作ると良い。この の蛍光体は蛍光体粒子中にトラップを持た いので、PIPを持たない。低電圧CL蛍光体で 光膜を作ると、累積電子源から取り出した 子は、蛍光膜面上に容易に入りこみ、蛍光 上を一方向に進み、表面伝導をする。蛍光 上を一方向に表面伝導する電子の存在は、 光膜の僅かな凹凸の凸の部分に電子が当た 蛍光体粒子がCL発光するので確認できるが、 その発光強度は極度に低い。蛍光体技術者と 蛍光放電灯管の技術者は、発光強度が低いと してこの低電圧CL蛍光体を無視した。本発明 は、発光強度に注目を払うよりも、何故、 子線照射下では明るいCL蛍光体の発光が蛍 放電灯管の蛍光膜では低いのかを疑問とし 。低電圧CL蛍光体膜の実験は、蛍光放電灯管 の放電機構の基本に関わる非常に大切な情報 を提供する。本発明になる電子供給源を使い 、低電圧発光CL蛍光膜を使う時、蛍光放電灯 のガス放電は、10ミリ秒以下の瞬時に起こ 事実である。この事実は蛍光放電灯管の瞬 放電に対して種々の工夫が過去に試みられ 来たが、それらの工夫を無意味とし、電子 給源と蛍光膜を選択してだけで、従来考え れなかった速度で蛍光放電灯管を瞬時点灯 せる方法を発見した。この発見を基に、蛍 放電灯管で明るく発光する放電機構の解明 科学的に進めた。

 陰極と陽極電極間にある電界は1方向である 。こう考えると電子の動きは1方向となる。1 向に動く電子がガス原子と会合できる確率 計算できる。電子の直径は 5.6 x 10 -13  cmである。電子が原子と遭遇する断面積を 子の直径とすると、1方向に動く電子の体積 6 x 10 -27 cm 3 /cmとなる。常温にある1モルのガスは1気圧下 22.4 x 10 3 cm 3 である。計算にLCDのバックライト用CCFL(内径0 .25 mm, 管長 73 cm)を例に取ると、管の体積 23 cm 3 となる。封入アルゴンガスの圧力は0.1気圧(70  Torr/760 Torr)であるので、管中のArガスのモ 数は 1 x 10 -3 モル(= 23/22.4 x 10 -3 )と計算できる。1モルガスのAvogadro数 は6 x  10 23 個であるので、CCFL管中には6x 10 20  個のArガス原子が無作為に分布(ボルツマン 布)している。1方向に動く電子の体積は6 x 10 -27 cm 3 /cmであるので、1方向に動いている電子経路 含まれるArガス原子の数は 10 -8 となり、極度に少なく、電子はガス原子と衝 突しないと考えた方が良い。電子の速度は2  x 10 5  cm/secである。上記計算は決定的に次の事実 示す。放電現象の解析でガス空間を1方向に 進む電子を考えることはできない。結論はガ ス放電を解析する時に重要な結論である。

 蛍光膜上を一方向に表面伝導している電子 ガス原子と遭遇する確率は極度に低く(10 -8  /73 cm)、放電管からのガス放電は観察できな 。ガスを放電させるには、1方向に伝導する 表面電導電子の軌道を強制的に撹乱し、適し た運動エネルギーを持った電子の軌道をガス 空間の方向に曲げると良い。軌道を曲げられ た加速電子はガス原子と非弾性衝突する確率 が大きい。電子軌道を曲げるには、市販蛍光 放電灯用蛍光体粒子のPIP電荷が適している。 蛍光膜を低電圧CL蛍光体と蛍光放電灯用蛍光 粒子を適度の割合で混合し、蛍光膜を作る 上記した蛍光膜の表面伝導と軌道を曲げる 機能を兼ねた蛍光膜が出来る。

 蛍光膜を構成する蛍光体粒子の表面状態で 面伝導電子の軌道が変わる事実を立証する 法がある。それは緑色に発光するMn付活珪 亜鉛蛍光体 (Zn 2 SiO 4 :Mn)を使用して実証できる。Zn 2 SiO 4 :Mn蛍光体は2の方法で製造できる。第一の方 は、化学量論よりも 20 %過剰なSiO 2 を原料に添加し、蛍光体を製造する。製造し たZn 2 SiO 4 :Mn蛍光体粒子表面には、過剰な添加で反応し なかったSiO 2 の微粒子が付着している。付着したSiO 2 の微粒子は化学的にも物理的にも取り去る方 法は無い。この蛍光体を蛍光放電管の内壁面 に塗布し、5 kVの高電圧を電極に印加すると 光放電灯は明るく緑色に発光する。SiO 2 の微粒子は紫外線を吸収せず、帯電したSiO 2 微粒子の負電荷が電子をガス空間に弾く働き をする。だが、放電している電子は蛍光膜に 近づけないので、陽光柱はSiO 2 微粒子上にできたSBE鞘の中に収められ、取り 出せる蛍光膜の発光に飽和現象が現れる。同 じ蛍光体をCRTの蛍光膜にし、150 eVの電子線 蛍光膜に照射しても蛍光膜は発光しない。 光体粒子表面に付着しているSiO 2 微粒子が負に帯電し、蛍光膜に近づく電子を 弾くからである。今度は原料の混合時に酸化 亜鉛ZnOを20 %過剰に添加し、この混合原料を 用して蛍光体を製造する。製造した蛍光体 子の表面には未反応のZnO微粒子が沢山付着 ている。ZnO微粒子を化学的に取り去る目的 、製造した蛍光体粉をアンモニア水溶液(NH 4 OH液)でエッチングすると、ZnO微粒子が取り払 われたZn 2 SiO 4 :Mn蛍光体が得られる。この蛍光体でCRT蛍光膜 を作り、150 eVの電子線を蛍光膜に照射する 、蛍光膜は明るい緑色のCLで発光する。同じ 蛍光体を蛍光放電灯管の内壁面に塗布し、高 電圧を電極に印加する。蛍光放電灯は非常に 暗い緑色に発光する。次にSiO 2 を過剰に添加して作った蛍光体粉と、ZnO過剰 で作りNH 4 OH液でエッチングした蛍光体粉を重量比で7対 3の割合で機械的に混合する。この混合蛍光 粉を蛍光放電管の内壁面に塗布する。蛍光 電灯管はSiO 2 過剰で作った単独蛍光膜よりも明るく(30% 増 加)発光する蛍光放電灯管が得られる。上記 た実験はCL発光で明るいが、蛍光放電灯管の 蛍光膜では暗く発光する蛍光体の使用で追試 できる。例えば、表面が化学的にも物理的に も清浄なY 2 O 2 S:Tb 緑色発光蛍光体の場合がある。この実験 事実は、明るく発光する蛍光放電灯管を製造 する上で考慮しなければならない重要項目を 明確に示す。

 内径が25 mm以上の蛍光放電灯管は、資源が 富にある安価で1種類の蛍光体で白色に発光 するアンチモンとマンガン2重付活になるハ 燐酸カルシウム蛍光体 [3Ca 3 (PO 4 ) 2  CaFCl:Sb:Mn]が長い間使用されて来た。3Ca 3 (PO 4 ) 2 CaFCl:Sb:Mn蛍光体は内径が10 mm以下の蛍光放電 では輝度が非常に暗くて使えず、資源の枯 が心配される10倍以上も高価な三色希土類 光体を混合した白色発光蛍光膜が使われる 3Ca 3 (PO 4 ) 2 CaFCl:Sb:Mnが内径の小さい蛍光放電灯管に使用 きない理由を出版書籍で探しても見つから い。本発明者はその理由を調べた。3Ca 3 (PO 4 ) 2 CaFCl:Sb:Mn蛍光体の発光はSb 3+ 発光中心をUVで直接刺激し、Sb 3+ が発光した青色発光を同一粒子内のMn 2+ に吸収させ黄色のMn 2+ を発光させる。Sb 3+ とMn 2+ の二つの発光で白色を一個の蛍光体粒子中で 得ている。発光過程に基体結晶の吸収が関与 しないので、この蛍光体は電子の照射下で絶 縁体結晶の特性を持つ。絶縁体結晶粒子は放 電管内に置かれると粒子表面に強いSBEを容易 に形成する。その結果、ガス放電の陽光柱は BSE鞘に納まる。放電管径を狭くすると、蛍光 膜上のSBEの強度は変わらないので、陽光柱の 直径のみが狭くなり、ガス放電量が飽和する 。Zn 2 SiO 4 :Mn蛍光体の所で述べたと同じように、3Ca 3 (PO 4 ) 2 CaFCl:Sb:Mn蛍光体粉に重量比で30%の低電圧で白 発光するCLZnO蛍光体粉を機械混合する。混 蛍光体粉を内径が 10 mmのCCFL蛍光放電灯管 内壁面に塗布する。このCCFLは瞬時に放電し 内径25 mm以上の従来の蛍光放電灯管の蛍光 の輝度よりも明るく白色に発光する。上記 た実験は、蛍光放電灯管内の蛍光膜が明る 発光する具備条件を示す。

 ガス空間を移動する電子の挙動を更に詳し 調べる。一般的に言えば、加速電子の非弾 衝突により、ガス原子の励起とイオン化が こる。加速された電子がガス原子を励起す に適切な大きさのエネルギーを持った時、 ス原子の励起だけが起り、光を放出(放電) る。ガス原子と非弾性衝突した電子はエネ ギーを失い、軌道を変えるがガス空間中に まり、次の高周波の波により再加速され、 のガス原子と非弾性衝突をする。この繰り しで電子は放電管中の陽光柱の中を対極に かって進む。1電子が非弾性衝突間に進む距 (平均自由工程)はPaschen曲線の測定で決まり (pd)で求められる。求められた平均自由工程 HCFLでは10 μm, CCFLでは0.2 μm前後である。 極と陽極間に印加する電位から単位長さの 界強度を計算し、平均自由工程内の電界強 を計算する。代表的なCCFLの管長は73 cmで電 間に印加するピーク電位は1,200 Vであるの 、ピーク電圧下でも0.2 x 10 -3  V/0.2 μmと計算される。この値は電子の非弾 性衝突でHg蒸気を励起するに必要なエネルギ (10.4 eV)に程遠い。一般に考慮されている陽 光柱の電位勾配で電子が加速する思考では、 非弾性衝突してエネルギーを失った電子を加 速できない。従来の思考の誤りである。

 既に述べたように電子の質量は9 x 10 -28  グラム、イオンの質量は2 x 10 -24 グラムである。電荷量は共に1.6 x 10 -19  クーロンで変わらない。軽い電子は、高周 電界の波に乗り、容易に動くと仮定すると 経験的に求めた最適高周波の1波長と実験で 求めた平均自由工程は一致するはずである。 経験的に求めたCCFLに印加する最適高周波の1 長の長さ(λ cal )を計算すると印加周波数により、1波長の長 が下記のように変わる。
(1) λ cal  = 0.2 μm = 0.2 x 10 -4  cm (= 1cm/50 x 10 3 Hz) 50 kHz
(2) λ cal  = 0.3 μm = 0.3 x 10 -4  cm (= 1cm/30 x 10 3 Hz) 30 kHz
(3) λ cal  = 1.0 μm = 1.0 x 10 -4  cm (= 1cm/10 x 10 3 Hz) 10 kHz
(4) λ cal  = 10 μm = 1.0 x 10 -4  cm (= 1cm/1 x 10 3 Hz) 1 kHz
 上記波長は、実験で求めた平均自由工程と 定の誤差範囲で一致する。この一致は、非 性衝突をした最初の電子は、ガス空間から える事無く、再度高周波電界の波(ピーク電 圧が1,500 V)に乗りエネルギーを高周波電界か ら得ていることを示す。即ち、ガス空間に存 在する電子は、放電管内の途中で消滅する事 無く、高周波に共鳴し、放電管中を軸方向に 進み、ガス原子と非弾性衝突を繰り返す。蛍 光放電管中にできる陽光柱は、ガス原子の励 起エネルギーに相当する電子が高周波と共鳴 し、同じ電子が繰り返しガス原子を励起して 出来ている。電子が高周波と共鳴して放電管 中を軸方向に進むモデルを採用すると、陽光 柱中の電位勾配はゼロとなる。過去の多くの 測定データーを検証すると、そのようなデー ターが1900年代の報告で幾つか見つかる。陽 柱中に電位勾配があり、電子は電位勾配で 速されるとする最近の測定データーの信頼 は測定技術に問題があり、測定法の確認が たれる。また加速電子とガス原子の衝突で 子数が雪崩式に増加するとの説明は、陰極 陽極で検出される電子数が同じであるので け難い。蛍光膜を構成する個々の蛍光体粒 の帯電状況を最適化するとき、高周波電界 波のピーク電位は大幅に減少する。電子の 周波共鳴は電子の動きを巨視的に見た時で り、微視的に電子挙動を見ると、一波長内 電子の挙動は、蛍光膜を構成する蛍光体粒 の表面荷電状態に大きく影響を受ける。

 現在の高周波条件(50 kHz)では平均自由工 は0.2 μm である。一方、蛍光体粒子の平均 粒子径は4 μmであるので、高周波に共鳴した 電子は一個の蛍光体表面を通過する間に、20 も同一蛍光体表面に達していると計算され 。一部の電子は高速に加速され蛍光膜のCL 光体粒子に突入するが、参考文献1の記載に ればCL蛍光体表面にはSBEが形成できず、表 伝導電子に変わる。電子は上記した動きの り返しにより放電管中を管軸方向に進み、 電灯管の他端にある累積イオンに到達し、 オンと再結合しガス原子に戻る。効率の良 蛍光放電灯管の蛍光膜は、電子の表面伝導 許すと同時に、表面電導する電子軌道を曲 、ガス空間に向かわせる機能も持ち合わせ ければならない。上記した蛍光膜の大きな 徴は、蛍光膜は暗所でも瞬時に点灯する。 に、電子が蛍光体粒子に突入した時に発生 るSBEも発生しないので、SBE鞘も無くなり、 光膜の輝度が増加する。従来の蛍光膜の使 では解決不能とされた大きな垣根が本発明 取り去られた。以上の記載で電子供給源と 光膜、ガス放電に関する問題点の全ては解 できた。

 本発明は蛍光放電灯管のガス原子を最大 に放電させると同時に、FLの駆動電力を最 値に引き下げた高輝度で省電型蛍光放電灯 を提供する。本発明になる蛍光放電灯のも 1つの特徴は蛍光ランプの操作寿命を極度に き伸ばし、人は生涯に1つの蛍光放電灯管を 購入すれば良い様にする。そうすれば一個当 たりの蛍光放電灯管製造の生涯使用電力を極 度に引き下がる。近年問題と成っている環境 保護の課題に大きく貢献する蛍光放電灯を提 供する。

本発明に係る蛍光放電灯管内に形成し 内部回路の原理の説明図。 本発明に係る蛍光放電灯管の点灯に関 し、電流の流れが孤立している内部回路と 部駆動回路の説明図。 本発明に係る蛍光放電灯管の点灯に関 する外部駆動回路に流れる電子流と、蛍光 電灯管の放電に関与する内部回路を形成す 電子流の説明図。 本発明に係る蛍光放電灯管内に設置さ る絶縁体粒子で覆われた金属電極で、金属 極の形状がカップ状金属電極と平板状金属 を使用した例示図。 本発明に係る蛍光放電灯管内に設置す 絶縁体粒子で覆われた金属電極で、金属電 の形状として金属棒と金属フィラメントを いた例示図。 本発明において蛍光膜表面に導入する 子の挙動が、蛍光膜の荷電状態による変わ 様子を説明する模式図。 本発明において低電圧電子線発光蛍光 粉と光発光蛍光体粉の混合粉で作られる最 な蛍光膜の状態を示す模式図。 従来の蛍光放電灯管内部に設置した金 陰極の表面に表面結合電子 (SBE)が必然的に 形成される現象の説明図。

符号の説明

 1     蛍光放電灯管(又はガラス管)
 2     金属電極
 3     金属電極
 4     絶縁体粒子
 5     ガス放電
 6     外部電源(高周波電源)
 7     電子源(電子供給源)
 8     イオン源(正イオン源)
 9     蛍光放電灯管(又はガラス管)
 10    蛍光膜(又は蛍光体膜)
 11    陽光柱
 12    外部回路
 13    コンデンサー
 14    誘導電流
 15    内部回路
 16    電子源(電子供給源)
 17    イオン源(正イオン源又は累積正イ ン)
 18    リード電極
 19    釣鐘型電極
 20    小ガラス管
 21    平板状金属電極
 22    棒状金属電極
 23    ガラスフリット
 24    PIPを持つ蛍光膜(市販PL蛍光体膜)
 25    PIPを持たない蛍光膜(CL蛍光体膜)
 26    PIP(PIP負電荷又はPIP鞘)
 28    フィラメント電極
 28a   フィラメント電極断線部
 28c   フィラメント電極の一端
 28d   フィラメント電極の他端
 30    金属陰極
 CCFL  冷陰極蛍光放電灯管
 CL    電子線発光(Cathode Luminescence)
 e     電子(放出電子)
 EL    無機電界発光
 FL    蛍光放電灯
 h     正孔
 HCFL  熱陰極電極
 LED   発光ダイオード
 LCD   液晶ディスプレイ
 OLED  有機電界発光ディスプレイ
 PIP   永続性内部分極
 PL    光発光(Photo Luminescence)
 SBE   表面結合電子(surface-bound-electrons)
 UV    紫外線

 本発明の内容を添付した図面を使用して 細に説明する。説明に当たり蛍光放電灯(FL) の点灯は、駆動回路に接続した金属電極に電 圧を印加し、放電灯管内のガスを放電させ、 ガスの励起により発光した不可視の紫外線を 放電灯管ガラス内壁面に塗布した蛍光膜によ り可視光に変換するまでの工程をさす。本発 明になる蛍光放電灯管は、金属電極に電圧を 印加し、蛍光放電灯管を点灯するが、放電に 必要な電子は、従来の蛍光放電灯管のように 電源回路に接続した金属電極から直接に放電 管内に注入しない。高周波点灯している放電 灯管内部にイオン化により形成された電子を 絶縁体粒子表面に累積して出来た新規の電子 源から電子をガス空間に取り出し、この電子 をガス放電に関与させた後、放電管の他端に 集積するイオンと再結合させ、内部回路が閉 じる。即ち、蛍光放電灯管の点灯に、放電灯 外部から電子を放電灯管内に注入せず、放電 灯管内部で電子を調達し、放電灯管内で調達 した電子の全てが消費される。ガス空間に入 った電子は消える事無く、同じ電子がガス原 子と非弾性衝突を何度も繰り返し、放電灯管 内を軸方向に進む。ガス放電に必要な電子数 は、放電灯管が含有するガス原子の数よりも 少なくなる。内部電流量は放電灯管あたり0.1 ~1mAと計算されるが、内部電流を直接に測定 る方法が無いので確認できない。蛍光放電 管の消費電力は、外部回路に流れる電流と 圧の測定で決めている。本発明になる蛍光 電灯管の消費電力も外部回路の電流と電圧 測定で決めるが、放電灯内部の消費電力と1 1で対応していない。外部回路に流れる電流 は金属電極を覆う絶縁体粒子の分極と分極解 離に要する誘電電流であり、金属電極を覆う 絶縁体粒子数に比例して増減する。金属電極 の面積を最小化すると絶縁体粒子数も減少し 、外部回路の誘導電流も最小化し、見掛け上 蛍光放電灯の消費電力は減少する。本発明に なる蛍光放電灯管は、この見かけ上の消費電 力を従来の蛍光放電灯の消費電力の数分の一 に減少する。更に、本発明になる電子供給源 の使用では放電ガスに露出した金属は皆無で あるので、陽イオンによる金属スッパターは 起こらず、スッパターによる電子供給源の減 少は皆無である。蛍光放電灯管内に有機残留 ガスが存在しない場合、放電管内に輝度を減 少させる要因はなくなる。その結果、蛍光放 電灯管の点灯寿命が従来の蛍光放電灯管では 考えられない驚異的な長さに延長する。点灯 寿命は初期輝度を100,000時間以上も保持する

 本発明になる蛍光放電灯管内の電子の動 は、固体と液体中の電子の動きとは異なる 原子が規則正しく配列している固体中の電 電導は、格子振動(電気抵抗)に規制される 無秩序に原子が配列している液体中の電子 導は、イオンまたは電子濃度に比例する。 光放電灯内の放電は電子が担うがその電子 挙動は、固体や液体の場合と異なり、遙か 大きな影響を蛍光膜の荷電分布から受け、 の影響下で挙動が決まるので、放電灯管内 電子の挙動にはオームの法則は通用しない 蛍光放電灯管内の蛍光膜上には、(a)励起ガ 原子が発した紫外線光子、(b)ガスと非弾性 突して散乱した電子、(c)散乱電子が高周波 界と共鳴し、高周波電界場から得た高エネ ギー電子である。紫外線光子は無電荷であ ので蛍光膜上の電荷の作用は受けない。過 の放電で見過ごされていた点は、負電荷を って移動している電子は、蛍光膜中の各蛍 体粒子の電荷の影響を顕著に受け電子軌道 方向を変える。個々の蛍光体粒子が持つ負 荷には、蛍光体粒子が内部分極による固有 荷(PIP)と蛍光体粒子表面に出来る表面結合電 子(SBE)がある。SBEは蛍光体粒子表面に微少絶 体が付着していると微少絶縁体に不可避に れる。SBEの負電界により、蛍光体粒子は隠 される。蛍光膜上にあるこれ等の負電界は クーロン反発力により蛍光膜への電子接近 遠ざける結果、ガス放電路はSBE負電荷の鞘 収まり、蛍光膜からSBEの電荷量により決ま 距離を隔ててガス放電路(陽光柱)は存在す 。陽光柱と蛍光膜の間隙には非励起Hgガスが 存在し、ガス放電路から放射する254 nm 紫外 線を効率よく吸収する結果、蛍光膜に到達す る254 nm 紫外線量が飽和する。即ち、SBE鞘の 存在が、従来の蛍光放電灯管の輝度の飽和現 象になり、輝度の最大値を規制していた。本 発明はSBEを取り去った蛍光体粒子とSBEを保持 している蛍光体粒子とを適切な割合で混合し 、その混合体で蛍光膜を作り、蛍光膜から高 輝度が得られる事を発見し、高輝度、長寿命 で、消費電力を顕著に低減した新規構造から なる蛍光放電灯を提供する。

 図1は、本発明におけるFLの放電機構の原理 図解した説明図である。放電灯の駆動回路 直結した金属電極2と3をガス放電灯管1内に れ、放電灯外にある電源6より交流高周波電 界を金属電極に印加する。説明を容易にする 目的で、図1では各金属電極2と3上にそれぞれ 一個の絶縁体粒子4を置く。金属電極2と3に電 圧を印加すると、絶縁体粒子4は、図1に示し 分極方向で瞬時に分極する。一般に絶縁体 子の誘電率εは大きいので、絶縁体粒子4に 起した分極電荷の電位は、金属電極2と3の 位よりε倍高い。絶縁体粒子4に誘起した分 電荷の内、ガス空間側の電荷は電界をガス 間に広げる。絶縁体粒子4と金属電極2と3がac 高周波電界中に置かれた時、金属電極周辺の ガスは瞬時にac高周波電界によりイオン化し 電子e - とイオンAr + が相互作用を持たない距離に分離する。即ち 、自由電子と自由イオンとなる。自由電子と 自由イオンはそれぞれガス空間中を対極とな る誘電体分極に引き寄せられる。引き寄せら れた自由電子(と自由イオン)は絶縁体粒子内 突入するだけのエネルギーを持たず、自由 子は絶縁体内の正電荷と界面を介して結合 る。この繰り返しにより、時間の経過と共 結合電子が絶縁体粒子表面に累積し、電子 給源7が絶縁体粒子4の表面に形成される。 様にしてAr によるイオン源8が絶縁体粒子4の表面に形成 れる。蛍光放電灯管内のガス発光は電子源7 から取り出された電子が移動し、Ar + の正イオン8に届く間で起こる。上記したよ に放電に必要な全電子は放電灯管内で調達 、管内で消費され、ガス放電5に必要な電子 放電灯管外からは全然供給されない。これ 本発明になる電子源7の形成と放電5の特徴 ある。

 図2は本発明になる蛍光放電灯の点灯時に 存在する2つの等価回路を示し、放電灯を実 的に駆動する外部回路12と放電灯管内部で放 電を担当する内部回路15を図示する。図2(A)に 図示した外部回路12は2つのコンデンサー13と 源6から成る。コンデンサー13は、実質的に 属電極2と3を覆う絶縁体粒子4である。外部 路12には、ac高周波による駆動時、絶縁体粒 子4の分極と分極解離をする(コンデンサーと 価)誘導電流14が流れる。外部回路12には更 放電灯内部で電子が動くと、その放電管内 の電子流による誘導電流14が流れるが、その 大きさは小さい。外部回路12にdc電圧を印加 るとき、外部回路12に電流は流れず,放電灯 は放電しない。図2(B)に図示した内部回路15 、電子供給源16と累積した正イオン源17と、 電管内で放電している陽光柱11からなる。 電は、電子供給源16と累積正イオン源17間の 子移動で発生する。図から明らかなように 蛍光放電灯の内部回路15と外部回路12の間に は、直接な電子の流れが無い。

 図3は、本発明の電子源7を使用し、蛍光 電灯9の操作を示す略図である。蛍光放電灯 容器は真空封止したガラス管9で作られる。 ガラス管9内には、多数の絶縁体粒子4で覆わ た金属電極2と3が内蔵され、ガラス管9の内 面には蛍光膜10 が蛍光体粒子(大きさが4 μ m前後)の適度の厚さで塗布されている。ガス 電の陽光柱11は蛍光膜10に接近できず、蛍光 膜から僅かに距離を置きガラス管9の中央に 置される。陽光柱11で発光したUV光は電荷を たないので、蛍光膜内の蛍光体粒子の電荷 影響を受けずに蛍光膜10に到達し、蛍光膜10 で可視光に変換される。陽光柱11と蛍光膜10 間に非励起の水銀蒸気が存在する。この非 起の水銀蒸気が、陽光柱11で発光したUV光を 光膜に到達する前に吸収(自己吸収)するの 、発光に飽和現象が現れる。詳細は後述の 光膜のところで述べる。

 本発明は補完する二つの部分から成立し いる。第一は蛍光放電灯内で電子の供給源 なる金属電極上の絶縁体粒子表面に出来る 子源16と累積正イオン17である。第二は放電 灯管内を移動し、ガスの発光を生起する電子 の振る舞いが、蛍光膜を構成する各蛍光体粒 子の電荷による作用を受けるので、影響を与 える蛍光体粒子の電荷の最適条件を見いだす 作業である。

 本発明になる蛍光放電灯は、電子供給源 して熱陰極を使わない。本発明になる新規 電子源は,冷陰極(CCFL)の金属電極を絶縁体粒 子で蔽い、絶縁体粒子上に累積する電子を供 給源とする。基材はCCFLの金属電極である。 4はCCFLで考慮された冷陰極電極の中で、一般 的に使われる金属電極の表面を絶縁体粒子4 覆った電極構造を示す。最も一般的に使わ る金属電極は、図4(A)に示した釣鐘型電極19 ある。この釣鐘型電極19を使用することはで きるが、釣鐘型電極19は表面積が大きく、表 を覆う絶縁体粒子数が多くなり、絶縁体粒 の充放電で外部回路に大きな誘導電流が流 るので、実用で不利益になる。絶縁体粒子 充放電で流れる外部回路の誘導電流を最小 するには、金属電極の形状を平板状にする 良い。図4(B)は平板状金属電極21を使用し、 板状金属電極21の放電ガス面に絶縁体粒4を 着させてある。この電極構造では絶縁体表 に存在する電子の取り出しに顕著な異方性 現れる。前記釣鐘型電極19及び平板状金属 極21には外部電圧印加用のリード電極18が接 されている。Physical Review Letters,Vol. 27, 197 1, P1345の論文 (非特許文献5)に従えば、電子 絶縁体界面に沿う平行方向に移動すると移 性が高いが、表面に対し垂直方向に電子を り出すと移動性は悪い。従来の蛍光放電灯 は電子を陰極面に直角方向で取り出してい ので、取り出した電子による放電で問題が ていた。蛍光放電灯を瞬時に放電させるに 、電子をガス空間に直接入れるのでなく、 子供給源から先ず電子を蛍光膜上に取り出 、この電子を加速させた後にガス空間に向 って散乱させる順序を踏むと、10ミリ秒以 の速度で蛍光放電灯管が点灯する。金属電 21はこの順序になる電子の取り出しに非常に 適している。しかも、平板状金属電極21から り出す電子は、蛍光放電灯管の管端から1mm ら3mmの間の電子を取り出せるので、蛍光膜 管端から1mm付近まで塗布しておけば、蛍光 電灯管の全長が均一に発光する。従来のCCFL では金属電極の大きさにより、管端から10 mm 以上、HCFLでは熱陰極の大きさによりさらに く2から3 cmの間が暗くなる欠点があった。 の問題は、本発明になる図4(B)の平板状金属 極21を採用するとき解決する。

 眼は部屋の照明に使われる蛍光放電管の1秒 前後の点灯速度の差を感知できないので、発 明した蛍光放電灯管を部屋の照明に使用して も点灯速度の差は眼で感知できない。本発明 に係る蛍光放電灯管をLCD等の表示装置の光源 (バックライト)に使用するとき、10ミリ秒以 の速度の点灯が可能となり、バックライト 線走査点滅が可能となる。その結果、スク ーン上に写される画質はLCDの特性への依存 減少し、眼で明確に認識できる画質の向上 ある。それは、画像の小さな揺れや歪みが くなり、石炭の黒を基準とし、薄曇りの昼 の光照度である350 cd/m 2 の照度との間のコントラスト比による自然に 近い鮮明な映像となる。現在のLCDスクリーン 上の映像を長く見ていると、黒水準に明るさ があり、その水準から高コントラスト値を取 るので上限輝度が高く、昼間の太陽の直射日 光の映像と等価な映像となる。更にLCDの特性 により、明確に認知できない映像の不鮮明を 長時間見るので、眼を永久に損傷する。その 結果、人は眼鏡を毎年変えなければならない 。この問題は本発明になるCCFLを使用したLCD は解決される。個人的な眼の永久損傷ばか でない。LCDの消費電力も大幅に減少する。LC Dの光透過率は8%前後であり、CCFLの点灯速度 1秒前後であるので、線走査が不能となり全 を均一に光らしている。バックライトを線 査で光らせると、消費電力は走査線の数に 比例し、一次関数で減少する。走査線数が1 0本ならば、バックライトの消費電力は十分 一に減少する。走査線数を20本にすれば、二 十分の一の電力消費となる。バックライトの 消費電力の減少は、直ちにLCD表示装置の省電 となる。

 平板状金属電極21はCCFLの放電管ガラス径 細くする上で有利である。放電管ガラス内 1.5 mmよりも細くなると図4(B)に示したよう 、片面だけに絶縁体粒子を塗布しただけで 十分な電子が取り出せない。その場合には 図4(C)に図示したように、平板状金属電極21 両面に絶縁体粒子を塗布すればよい。図4(C) 電極を使用すると、内径1mm以上で高輝度なC CFLの製造が可能となる。なお、図4(A)~(C)にお て、小ガラス管20は、ガラス管9の内部を真 引きした後、ArガスやHgガスを注入する微小 ガラス管で、最後に前記小ガラス管20を溶着 てガラス管9を封止する。平板状金属電極21 材質は金属の電気抵抗が絶縁体粒子の分極 関係しないので、特別な要求はないが、硬 が高い材料を使用した方が作業性がよい。 板状金属電極21の電極厚さは、使用する金 材料により変わる。選択基準は絶縁体粒子 保持と、製造時の電極設定作業の容易さで どのような金属材料でも使える。考慮しな ればならない点は、金属表面の腐食による 機ガスと無機ガスの吸着である。ガス吸着 あると、蛍光放電灯の寿命、特に蛍光膜の 光がそれらのガスの吸着で弱められるので 意が必要である。使用するNi-Cr合金を使用し た場合、最適な厚みは0.2 mmから1 mmの間にあ る。平板状金属電極21の直径は、使用する蛍 放電管の管径により変わるが、内管径が15  mm以上の蛍光放電管には、直径10 mmの平板状 属電極21の使用が可能であるので最大直径 10 mmである。蛍光放電管の内管径が5 mm か 15 mmの間である場合、金属電極の直径は内 より2 mm小さくすると良い。蛍光放電管の 管径が5 mm から2 mmの場合、金属電極の大 さは内径より1 mm小さくすると良い。蛍光放 電管の内管径が2 mm以下の場合、金属電極の きさは内径より0.5 mm小さくすると良い。

 蛍光放電管の内管が2 mm 以下の場合、平 板状金属電極21の作業性を考え、棒状金属電 を採用することもできる。図5(A)に棒状金属 電極22の表面に絶縁体粒子を塗布した例が示 れている。棒状金属電極22は、ガラスに封 るディメット線の先端に固い金属棒をウエ ダーで融接着し、金属棒に絶縁体粒子を付 させるだけでできるので、細いCCFLの作業性 優れる。使用する金属棒の太さは0.5 mmから 1 mmであるが、太さに限定はない。長さは0.  5 mmから 5 mmの間であればよい。ここに示し た数字よりも長くても、また短くとも電極と して使えるのは勿論である。

 金属電極の表面に絶縁体粒子が付着し易 ように金属の表面を粗面にすると良いが,  面を化学エッチングで作らない方が良い。 学エッチングした面は絶縁体粒子には滑面 なり、絶縁体粒子の付着が難しい。金属表 を粗面にするには、粉末粒子径が絶縁体粒 径より僅かに小さく、平均値で1から3 μmの 粉末研磨剤を使用すると良い。

 図5(B)には、棒状金属電極22の表面にガラス リット23を被覆形成し、このガラスフリッ 23の表面に絶縁体粒子を塗布した例が示され ている。この例では、絶縁体粒子を更に強固 に金属表面に付着させる目的で、非晶質フリ ットガラス23を金属の表面に先ず付け、熔融 以上の温度に加熱した後に絶縁体粒子を塗 し、再度加熱し、フリットガラス23を熔融 た後に室温まで冷却すると、絶縁体粒子が 融フリットガラス23の助けにより強固に接着 する。しかし、フリットガラス無しで作った 方が性能は良い。
 図5(C)には、金属電極であるフィラメント電 極28の表面に絶縁体粒子4を塗着した例が示さ れている。従来、HCFLではフィラメント電極 電流を通電して加熱し、熱電子放出させて たが、このフィラメント電極28の両端28c、28d を結線してリード電極18に接続して通電不能 し、リード電極18に電位を印加するだけで 発明の金属電極に転換できる。HCFLに使用さ るフィラメント電極にはBaOのような絶縁体 子4が塗着されており、このフィラメント電 極28に電位を印加しても通電しないから熱電 放出はなく、HCFLとしては機能しない。しか し、リード電極18を介して結線されたフィラ ント電極28に電位を印加すると絶縁体粒子4 誘電分極を生起できる。この誘電分極によ 絶縁体粒子4の近傍に放電ガスに由来する電 子源や陽イオン源を形成できる。
 図5(D)には、断線したフィラメント電極28の 面に絶縁体粒子4を塗着した例が示されてい る。HCFLでは、断線部28aによりフィラメント 極28が断線すると、通電不能により熱電子放 出が消失し、発光しなくなった蛍光放電灯管 は不良品として廃棄されていた。しかし、こ の断線したフィラメント電極28の両端28c、28d 結線してリード電極18に接続すると、リー 電極18に電位を印加することによりフィラメ ント電極28の全体を同電位に電位印加するこ が可能になる。フィラメント電極に絶縁体 子4が塗着されていると、電位印加により絶 縁体粒子4に誘電分極を生起できる。この誘 分極により絶縁体粒子4の近傍に放電ガスに 来する電子源や陽イオン源を形成できる。 って、断線したフィラメント電極を結線す だけで本発明の金属電極として利用でき、 来廃棄されていた蛍光放電灯管を再生する とが可能になり、本発明により再生効果と エネルギー効果を発揮できる。
 図5(E)には、フィラメント電極28の一端28cに ード電極18を接続し、他端28dを浮かせた例 示されている。他端28dを電気的に浮かせて るから、前記フィラメント電極28は通電不能 になり、また一端28cをリード電極18に接続し いるから、リード電極18に電位を印加する けでフィラメント電極28の全体を本発明の金 属電極に転換できる。その作用効果は図5(C) 同様であるから、その詳細を省略する。
 図5(F)には、断線したフィラメント電極28の 端28cにリード電極18が接続され、他端28dを 気的に浮かせた例が示されている。前記リ ド電極18に電気的に導通したフィラメント電 極28の部分には電位が印加され、前記フィラ ント電極部分に塗着された絶縁体粒子4は誘 電分極して、絶縁体粒子4の近傍に電子源又 陽イオン源が形成される。他方、電気的に いたフィラメント電極部分には誘電分極が じず、電子源又は陽イオン源の形成には寄 しない。その作用効果は図5(D)とほぼ同様で るから、その詳細を省略する。

 金属電極上に塗布する絶縁体材料4は誘電 率εが3~50までの値を持つ絶縁体ならばいずれ も絶縁体粒子として使える。誘電率εが50以 の絶縁体を使用すると、外部回路のac電圧の 立ち上がりと立下りが遅くなり、放電灯の点 灯速度が遅くなる。同時に電力も増えるので 得策でない。無機絶縁材料の蒸発温度は一般 的に言えば非常に高温度まで安定であるので 、蛍光放電灯管の寿命に影響を与えない。更 に、蛍光放電管中の正イオンは絶縁体粒子を 直撃することもなく、図1で明らかなように 電位の金属陰極に衝突することもない。従 て、陰極に原因した蛍光放電灯管の寿命因 は本発明の蛍光放電灯管から消える。ここ 蛍光放電灯管の寿命についてもう少し述べ 整理する。蛍光放電灯管で寿命を決めるも 一つの因子は、蛍光膜輝度の経時劣化であ 。蛍光膜の輝度の経時劣化は、蛍光体の発 中心の破壊による劣化とする説明が出版書 の中で確立しているが、この説明は間違い ある。結晶の格子点を占有している発光中 は非常に安定である。だが蛍光体粒子の界 付近は不安定で、沢山の格子欠陥が製造時 出来る。特にイオン半径の大きな陰イオン 結晶界面で存在が不安定であり、結晶格子 ら抜け出し陰イオン欠陥を、原子層で表面 ら5層ぐらいの間に作る。蛍光体の製造にお て還元性雰囲気中で高温加熱すると、強制 に酸素欠陥数が増加する。これらの陰イオ 欠陥を持った蛍光体粒子は、製造した蛍光 電管中の残留ガスを吸着する。蛍光体粒子 面に吸着した有機ガスは、蛍光膜に照射す 254 nm紫外線を吸収するので、蛍光体粒子に 到達する紫外線強度はその分だけ減少する。 蛍光膜輝度は吸着ガスの量に従って減少する 理由である。化合物結晶の表面から陰イオン 欠陥を完全に取り除く方法はない。蛍光膜の 劣化の主因は有機残留ガスである。残留ガス は蛍光放電灯の製造時の脱ガス工程で無視で きる水準まで除ける。即ち、蛍光放電灯管の 製造工程を改良すれば残留ガスの影響は無視 できる。有機残留ガスを無視できる所まで取 り除いた本発明になる蛍光放電灯管の寿命は 、寿命に関与する全因子が無視できるので、 初期輝度を 100,000時間以上も保持する。

 絶縁材料の話に戻る。使用する絶縁体粒 は各粒子が個別化した粒子でなければなら い。凝集粒子を含まないことが大切である 0.5μm以下の粒子が粉体材料に含まれている 、粉体の保存中に小さい粒子の接触面に毛 凝縮で空気中の水が吸着し、吸着水と絶縁 粒子表面との間に電気化学反応が起こり、 子は凝集する。従って、使用する絶縁体粉 0.5μm以下の粒子が含まれないことが望まし 。絶縁体粒子の平均粒子径は、顕微鏡下で きさを決定する方法で1μm~10μmであれば使用 できる。特に、平均粒子径が1μm~7μmにある絶 縁体粒子を使用すると良い結果が得られる。

 絶縁体粒子材料は、化学ハンドブックに記 されている無機酸化物であればどれも使用 きる。それらの中で望ましい酸化物として MgO, SiO 2 , Al 2 O 3,  CaO, SrO, BaO, Y 2 O 3 , La 2 O 3 , CaAlO 3 , アルミ酸塩と珪酸塩、及びその複合化合物 などがある。これらの酸化物の他に、蛍光体 の基体結晶がある。蛍光体の基体結晶は非対 称の格子点を持っており、高い誘電率を持つ ので有利である。絶縁体素材として使える蛍 光体粒子は、Y 2 O 3 , Y 2 O 2 S, YVO 4 , YPO 4 , ZnS, ZnO, (Y,Gd) 2 O 3 , (Y,Gd)BO 3 , Y(P,V)O 4 , LaPO 4 , BaMgAl 10 O 17 等である。上記した蛍光体の基体結晶に蛍光 体の発光中心となる付活剤を導入した蛍光体 粒子も使用できる。但し、化学的に活性なS 含む化合物は、Hg蒸気と化学反応してHgS(黒 物質)を形成するので使用できない。粒子表 層にSを含まなければ使用可能である。利用 する粒子表面は化学的にも物理的にも清浄な 表面が要求される。上記した化合物以外に誘 電率の大きなペロブスカイト粒子が知られて いる。その代表として、PbZrO 3 , PbTiO 3 , CaTiO 3 , SrTiO 3 , BaTiO 3 , PbTiO 3 と PbZrO 3 の固溶体 (PZT)、PbTiO 3 とCaTiO 3 の固溶体などがある。ペロブスカイト粒子の 誘電率は非常に大きい。既に述べたように、 粒径が大き過ぎる誘電率材料の粒子は、例え 沢山の自由電子やイオンを累積しても、ペロ ブスカイト粒子の充放電で外部回路の誘起電 流の速度が遅くなるので使えない。

 発明した新電子源は、蛍光放電灯管製造の 品として扱われる。部品としての新電子源 作り方を実施例により、詳細に述べる。
[実施例1]
 本発明になる電子源の部品は、絶縁体粒子 金属電極上に適当な厚さに塗布することで る。絶縁体粒子は粉末であるので、絶縁体 子とビヒクルと呼ばれる結合剤溶液を調合 、塗布液(スラリー)を作る。一般に使用さ るビヒクルには表1に示す2種類がある。どち らのビヒクルを使用しても同じ結果が得られ る。

 Ni金属棒電極にY(V,P)O 4 :Eu赤色蛍光体粉末を絶縁体粒子に選び、ビヒ クルAでスラリーを作る。その調合割合を表2 示す。表2の材料を秤により正確に秤量し、 両者をよく混ぜ合わせるとスラリーが出来る 。Ni金属棒電極をスラリーに漬け、直ちに引 上げると、Ni金属棒電極表面にスラリーが 着する。付着した絶縁体粒子層数は、表2に した混合割合を変えて調節する。引き上げ れたNi金属棒電極上の絶縁体粒子層はスラ ーで濡れているので、50 ℃前後の温風を吹 つけ乾燥する。乾燥後、電極を蓋のない炉 いれ550℃で10分~30分加熱する。加熱により 機物が酸化され、水蒸気と炭酸ガスになり 気中に放散する。Ni金属棒電極を室温まで下 げると、Y(V,P)O 4 :Eu赤色蛍光体の白色粉末が塗布したNi金属棒 極が得られる。この白色粉末を塗布したNi 属棒電極はCCFL電極として使用できる。

[実施例2]
 Ni-Cr円盤状金属電極にY 2 O 3 :Eu赤色蛍光体粉末を絶縁体粒子として選択し 、ビヒクルBを選択し、スラリーを調合する スラリーを作る時の調合割合を表3に示す。 3の材料を秤により正確に秤量し、両者をよ く混ぜ合わせるとスラリーが出来る。このス ラリーにNi-Cr円盤状金属電極を漬け、引き上 ると、Ni-Cr円盤状金属電極の両表面にスラ ーが付着する。付着した絶縁体粒子層数は 表3に示した混合割合を変えて調節する。引 上げられたNi-Cr円盤状金属電極上の絶縁体 子層はスラリーで濡れているので、弱い温 を吹きつけて乾燥する。乾燥後、電極を蓋 ない炉に入れ550℃で10分~30分加熱すると、有 機物が酸化により分解し、水蒸気と炭酸ガス となり空気中に放散する。Ni-Cr円盤状金属電 を室温まで下げると、Y 2 O 3 :Eu赤色蛍光体の白色粉末が塗布したNi-Cr円盤 金属電極が得られる。この白色粉末を塗布 たNi-Cr円盤状金属電極はCCFLの電極として使 できる。

[実施例3]
 Ni金属棒電極にBaO絶縁体粒子とビヒクルBを び、スラリーを作る。調合割合を表4に示す 。製造工程は実施例1と2に述べたと同じ工程 あるので略す。この白色粉末を塗布したNi 属棒電極がCCFLの電極として使用できる。

[実施例4]
 Niカップ電極にBaMgAl 10 O 17 絶縁体粒子とビヒクルAを選び、スラリーを る。調合割合を表5に示す。製造工程は実施 1と2に述べたと同じ工程であるので略す。 の白色粉末を塗布したNiカップ電極がCCFLの 極として使用できる。

 実施例に示さない酸化物、複合酸化物の 末粉を使用しても、実施例2~4に示したと同 結果が得られるので、これ等の実施例の既 を略すが、本発明から除外するものではな 。

[実施例5]
 実施例5では、HCFLに広く使われている熱陰 を本発明になる電子源で置換するとどの問 が解決するかが述べられる。世界で最も広 使用されている電極は熱陰極である。熱陰 は800℃前後に加熱したタングステンフィラ ントを酸化バリウム(BaO)等で被覆した陰極で ある。熱したBaO層の最上層に配置したBaから 子が真空中に放出する。HCFLを操作すると、 電極付近の管壁温度が他の部分の管壁温度よ りも高くなる。管内径が10 mmより細い省電型 HCFLでは手で触れない高温度 (50 ℃から60 ℃ )に加熱する。電極周辺の放電管の管壁温度 上昇する原因が明らかで無かったので、対 が採られていない。本発明者の研究によれ 、陰極表面は不可避的に形成される表面結 電子SBE (10 5  V/cm)で覆われており、SBEの負電界を越えて 極から電子を取り出すには、10 5  V/cm以上の陽極電圧の印加が陰極に必要であ る。陰極から取り出された電子は当然ながら 10 5 V/cm以上のエネルギーを持つ高速電子である ガス原子の満ちたガス空間に突入した高速 子は、陰極と陽極間の強い一方向の電場に り、電子は一方向に進む。一方向に進む高 電子はガス原子を励起するよりもガス空間 ある距離だけ通過すると、ガス原子と非弾 衝突し、ガス原子をイオン化して電子とイ ンに分離する。イオン化に当たりガス原子 エントロピーの変化で熱が出る。この熱に り陰極周辺の広い範囲で放電灯の管壁温度 高くなる。高速電子はガス原子と非弾性衝 を繰り返しながらエネルギーを僅かずつ失 、陰極からある距離を移動した所で、移動 子のエネルギーはガス原子を励起するエネ ギーまで減少する。電子によるガス原子の 起には熱の放出を伴わない。それ故、以後 管軸長では管壁温度は一定となる。陰極付 の管壁温度が上昇するのが第一のHCFLの問題 ある。この問題は、蛍光放電灯管の主放電 関与しないガス原子のイオン化が発生して る事実を示す。これは蛍光放電管の点灯に 無駄なエネルギーの消費である。本発明に る電子源を電子供給源に採用すると、HCFLは CCFLとなるが、電子源から取り出された電子 エネルギーはゼロ速度に近く、ガス原子の オン化は起こらない。従って、蛍光放電灯 の点灯で、蛍光放電管端周辺の温度上昇は い。それ故、本発明になる電子源を使用し CCFLの点灯電力は、従来のHCFLとCCFL蛍光放電 管の点灯電力より顕著に減少する。

 第二の問題は陰極前面で発生する大きな陰 電圧降下である。蛍光放電灯の全エネルギ の30%~40%のエネルギーが陰極電圧降下で失わ れる。陰極電圧降下はCCFLでも発生している ら、熱電子陰極に固有でないので一般論と て述べる。上述したように電子を真空中に 接取り出す陰極は、不可避にできる強い負 荷のSBE (10 5  V/cm)で覆われている。陰極から電子を取り すには、10 5  V/cm以上の陽極電圧の印加が陰極に必要にな る。取り出された電子は陰極と陽極間の強い 一方向の電場により、一方向に進む。一方向 に進む高速電子はガス原子を励起するよりも ガス空間を通過する中、ガス原子と非弾性衝 突し、ガス原子をイオン化して電子とイオン に分離する。高速電子はガス原子と非弾性衝 突を繰り返しながらエネルギーを僅かずつ失 い、陰極からある距離を移動した所で、移動 電子のエネルギーがガス原子を励起するエネ ルギーの水準まで減少する。電子によるガス 原子の励起には熱の放出が伴わないことは既 に述べた。以後の放電に関与する電子は、ガ ス原子を励起する水準のエネルギーを持った 電子の挙動で決まり、陰極に出来たSBEの影響 を受けない放電となる。この放電が陽光柱放 電である。陰極電圧降下が起こる範囲は、陰 極表面と陽光柱の始まるまでの間に一致する 。

 この範囲には、陰極から取り出された場 によりエネルギー値が異なる高速電子、ガ 原子のイオン化により発生した自由イオン 自由電子が混在するが、各荷電粒子の分布 均一でなく、陰極面からの距離により不規 に変わる。この変化の中でガス原子を励起 きるエネルギーを持った電子もあり、ガス 子を励起し発光させるが、その数は少ない その他のエネルギーを持った電子とイオン ガス原子を発光させない。電子のエネルギ を決める1因子に、電子とイオンの質量の差 がある。イオン化して出来たイオンと電子は 陰極と陽極の電界により、電界中を移動する が、移動速度、移動方向、移動距離が大きく 異なるのでガス空間中で偏って分布する。偏 積分布したイオンの電界(陽極電界と逆方向) 軽量で動く電子に作用する。エネルギー値 異なる高速電子、偏積したイオン、電界強 により容易に動く電子の複雑な分布が、こ 等の荷電粒子が均一に分布することを許さ 、それに基づいた線状発光縞が観察される 陰極電圧降下の起こる範囲は線状発光縞が 生する範囲に相当する。従来の陰極を使用 る限り、SBEは陰極面に不可避に出来るので 陰極電圧降下も不可避に発生する。従来の 極電極を本発明の電子源で置き換えるだけ 、陰極電圧降下は蛍光放電灯から完全に消 る。その結果、本発明の電子源を使用したC CFLの点灯消費電力は、従来品に比して約40 % 減少するので、環境汚染問題に大いに貢献 る。

 第三の問題は蛍光放電灯の点灯寿命であ 。HCFLを使用した蛍光放電灯の寿命は、電極 金属周辺に出来た陽イオンが陰極電位に引き 寄せられ、陰極に弾性衝突し、陰極金属の局 部を高温度に加熱し、そこから金属蒸気が蒸 発することに原因する。本発明になる電子源 を採用すると、放電ガス内に陽イオンにさら された金属は皆無である。従って、寿命の飛 躍的な延長が可能となる。

 以上までに記した詳細な発明の内容は、 光放電灯管の電子供給源の改良であった。 発明になる電子源を使用すると、初速ゼロ 近い電子が放電路に取り出せる。その結果 従来の蛍光放電灯管の研究では解明が困難 あった現象が解明できるようになった。そ らは蛍光放電灯管の放電点灯開始時間の遅 、陽光柱のSBE鞘への収納である。この問題 、蛍光膜を構成する各蛍光体粒子の荷電状 に原因する。今まで誰もが蛍光体粒子の物 が理解出来なかったので、この問題の解明 手を付なかった。以下に各蛍光体粒子の荷 状態が放電電子に関与する状態を詳述する

 FL管内のガス放電に影響を与える蛍光膜 4つの荷電状態と電子軌道の変化を図6に図解 する。図6(A)は、蛍光放電灯管ガラス9の内壁 に市販放電灯用 (PL) 蛍光体粉を塗布して 来た蛍光膜24の部分図である。市販PL用蛍光 の全粒子は持続性内部分極 (PIP)を製造時か ら保持して居り、粒子外にPIPの負電荷 (約 1 50 V )の電界を及ぼす。当然の理で市販PL蛍 体を使って作った蛍光膜24の上面はPIPの負電 荷で覆われる。そこに初速ゼロに近い電子源 からの電子eが近づくと、電子eはPIPの負電界 ら静電反発を受け、蛍光膜上に入れない。 れだけではない。ガス空間はガス原子の最 殻を充填している外殻電子による負電界で ち、電子eはガス空間にも入れない。ガス原 子は放電しない。即ちガス放電は点灯しない 。

 蛍光放電管中のガス空間に侵入できる電 は、高エネルギー電子だけである。従来の 電灯管は、高エネルギー電子を陰極から取 出したので、電子はガス空間に突入できた 、高エネルギー電子は蛍光膜上の表面伝導 出来ず、ガス放電を点火出来なかった。蛍 放電灯管のガス放電には、ガス放電に先立 、蛍光膜上に低速電子の導入が必要である 使用した高エネルギー電子は一方向に直進 、散乱電子は蛍光膜のPIP負電界に打ち勝つ とが出来なかった。蛍光膜周辺に電導体を 置し、300 V前後の正電圧を印加すると、放 灯のガスが点火する現象を経験的に見出し 。特殊CRT開発者も経験的に知っていた。蛍 膜のPIPは200 V以上の正電界を蛍光膜に印加 ると蛍光膜から消える。蛍光膜のPIPの存在 その消去の方法は、乾式複写機や電子写真 感光板に実用されている。蛍光体材料も感 板として使えるが性能が低いので実用化で ない。蛍光膜のPIPは特殊CRT (蓄積管)にも利 用されている。蛍光放電灯管の放電の点火法 として、蛍光放電灯管の技術者は蛍光膜のPIP の消去法を経験的に見つけたが、PIPそのもの の存在を理解できなかったので動作原理が不 明であった。PIPの消去により付随して発生す る諸問題の除去に苦労し、経験で見つけた方 法を社内機密とした。本発明者は、蛍光体の 選択により、PIPの問題を全面的に解決する。 蛍光体の種類と作り方を制御すると、蛍光膜 にPIPを作らない蛍光体を作ることが出来る。

 図6(B)に蛍光体粒子がPIPを持たない蛍光体を 使用して作られた蛍光膜25上に初速ゼロに近 電子を導入した時の、蛍光膜表面伝導電子 状態を示す。PIPを持たない蛍光体としては 15 V以下の低電子線の照射下で発光するCL蛍 光体である。代表的な蛍光体は、緑白色に発 光する又は390 nmにピークを持って鋭い線状 光する酸化亜鉛 (ZnO) 蛍光体、ナトリウム 化合物を融剤に使わずに作られた青色発光 化亜鉛 (ZnS:Ag:Cl) 蛍光体、緑色発光硫化亜  (ZnS:Cu:Al) 蛍光体,及び特殊条件下で作られ MgOがある。蛍光膜に照射する電子のエネル ーを120 Vまで上げると、酸化亜鉛過剰で製 された珪酸亜鉛 (Zn 2 SiO 4 :Mn) 蛍光体、表面を化学エッチングして作ら れた硫酸化イットリウム (Y 2 O 2 S:Eu or Tb)蛍光体、融剤を使用しないで作ら た酸化イットリウム (Y 2 O 3 :Eu or Dy) 蛍光体等が加わる。図6(B)の例はZnO 蛍光体で蛍光膜を作った場合を示す。蛍光膜 表面に入った低速電子は、PIP負電界が存在し ないため、容易に蛍光膜上に入り、放電管の 他端にある累積イオン8の電界により加速さ 、蛍光膜表面上を一方向に進み、累積イオ 8に到達し再結合によりガス原子に戻る。通 のFL管(管長50 cm)で一方向に進む電子軌道に ガス原子が存在する確率は計算できる。その 値は10 -6 であり、一方向に進む加速電子がガス原子と 衝突する確率はゼロと考えて良い。表面伝導 する電子によるガス原子の発光はない。更に 蛍光膜上を表面伝導する電子の直接計測法が ない。間接には放電管の外壁に設置した導体 に大きな誘導電流が検出できるので、大きな 表面伝導電流が流れていると理解できる。次 の事実を観測できた。ZnO蛍光膜は完全な平滑 面で無いので、蛍光膜表面上を一方向に進む 加速電子は蛍光膜の突起した部分に衝突し、 その部分の蛍光体はCL発光する。微弱なCL発 であるが一方向に進む加速電子の存在を確 できる。蛍光膜が完全な平滑面であると、 子の動きは検出出来ない。加速電子の検出 Y 2 O 3 :Eu 蛍光体 (110 Vの電子照射で発光する)の蛍 光膜を使用すると、次のことが観測できる。 Y 2 O 3 :Eu 蛍光体には数少ない蛍光体粒子に欠陥が り、その粒子の負電荷により、一方向に進 電子軌道が曲げられ、表面伝導で加速され 電子がガス原子の充満したガス空間に入る ガス空間に軌道を曲げられた加速電子はガ 空間のガス原子と非弾性衝突する。非弾性 突でエネルギーを受けたガス原子 (Hg) は 起され、紫外線を発光する。発光した紫外 は蛍光膜に照射され、蛍光膜はPLを発光する 。非弾性衝突で軌道を曲げられた電子はガス 空間に留まり、ガス空間に印加されている高 周波電界により加速され、ガス空間の他のガ ス原子を励起する。この繰り返しがガス空間 で起こりガス原子は放電を開始する。蛍光膜 中に含まれ、一方向に進む電子軌道を曲げる 粒子数は少ないので、PL発光強度は低いが、Z nO蛍光膜の場合より多くの蛍光体粒子がPL発 する。このように一方向に進む加速電子と 加速電子の軌道をガス空間に曲げ、ガス原 を励起する方法が、PL発光の観察により明確 に検出できる。同じ結果はZn 2 SiO 4 :Mn緑色発光蛍光体やY 2 O 2 S:Eu赤色蛍光体を使用しても検出できる。だ これ等の蛍光体から単独で作った蛍光膜の 光は、実用水準の発光強度に比較するとか り低い。上述した実験は実務を大切にする 電灯技術者には低輝度であるので無視され 。しかし、上述したように非常に重要な科 情報を提供しているのを見逃した。

 PIPを持たない蛍光膜は、低速電子の蛍光 上の電子電導を容易に許容し、電子を加速 る(引き金の役割)が、蛍光放電灯管中のガ の励起には直接貢献しない。蛍光膜中に負 電している蛍光体粒子が存在すると、加速 子の軌道はそこで曲げられガス空間に入り ガス原子を励起する。励起したガス原子は 外線を発光する。非弾性衝突した電子は、 ス空間に留まり、高周波電界により加速さ 、他のガス原子を励起する。この繰り返し ガス放電は点火する。これが実用蛍光放電 管のガス放電を瞬時に点灯する機構である この観察は蛍光放電灯管を科学解析する上 非常に重要な発見である。

 図6(C)は上記した発見を確認する目的で、 蛍光放電灯管の蛍光膜の終端の小面積にZnO蛍 光体粒子25(PIP無し)を塗布し、残りの大面積 市販PL蛍光体粒子を配列した蛍光膜24(PIP有り )で蛍光放電管内壁面を覆う。実験的には先 市販PL蛍光体粒子をガラス内壁面に塗布し、 乾燥してから結合剤を焼却する。ガラス端の 蛍光膜を柔らかい布でふき取った後、ZnO蛍光 体粒子25を拭き取ったガラス面に塗布する。 燥してから結合剤を焼却する。この方法に り、図6(C)の蛍光膜が出来る。

 この蛍光膜に本発明になる電子源を設置 、初速ゼロに近い電子を導入する。電子はZ nO蛍光体粒子25の配列した所で加速され、ガ 原子の励起可能なエネルギーを持つ。加速 子は、しかし市販蛍光膜24上に立ち入ること が出来ず、電子軌道を曲げてガス空間に入る 。ガス空間に入った電子はガス原子と非弾性 衝突し、ガス原子を励起し、ガス空間の放電 を点灯する。この現象が蛍光放電灯管のガス 放電の瞬時点灯となる。非弾性衝突した電子 は、ガス空間の高周波の波に乗り、高周波電 界から適切なエネルギーを獲得し、次のガス 原子を非弾性衝突で励起する。放電路を伝播 する高周波の波と共鳴した電子はこの繰り返 しによりガス原子を励起しながら放電管中を 管端まで移動し、最後にイオンと結合して消 える。蛍光放電管中を高周波の波と共鳴して 移動する電子は、我々の眼で観察したとき、 蛍光放電灯管は均一強度で発光する蛍光膜と して観察される。しかし、大切な事実が見過 ごされていた。

 放電路中を移動する電子は加速によりエネ ギーを持ち、ガス原子と非弾性衝突をする 非弾性衝突した電子の軌道方向は無作為で る。無作為方向に散乱された電子の中には 光膜に接近する機会を持つ電子があるが、 光膜にはPIP26の負電荷が存在するので、そ 電子は蛍光膜に接近できず、陽光柱内に戻 。高周波の波に共鳴しているガス原子を発 させる電子の活動範囲は、ガス放電管の全 間ではなく、蛍光膜から一定の距離を保持 た放電管の中央のガス空間内に限定される それがPIP鞘26に収められた陽光柱である。ガ ス原子は電気的に中性であり、電界や電荷の 影響を受けず、放電管内に均一濃度で分布す る。PIP鞘26に収められた陽光柱と蛍光膜の間 ガス原子(未励起ガス原子)が均一濃度で分 している。陽光柱で発光した光がガス原子 励起準位から基底準位への電子遷移で発生 ているならば、発光した光はガス原子によ 吸収が許容となる。その場合陽光柱内で発 した光は陽光柱と蛍光膜間に介在するガス 子により吸収され、蛍光膜に届くのは吸収 れた残量になる。蛍光放電灯の場合、低圧Hg 蒸気の発光を利用する。発光はHgの励起準位 6 pから基底準位 6 sへの電子遷移であるので、陽光柱と蛍光膜 に存在するHg蒸気により吸収を受ける。光は 電荷を持たない粒子であるのでPIPの影響を受 けず、陽光柱と蛍光膜間に存在するHg蒸気に り吸収を受けた残量だけが蛍光膜に到達す 。蛍光体粒子は大きな光屈折率を持った粒 であるので、紫外線の一部が蛍光膜の表層 配列した蛍光体粒子に突入し、発光中心に 接吸収されて可視光を発光する。表層粒子 反射した紫外線は散乱光となり蛍光膜の深 にある蛍光体粒子に突入し,発光する。与え られた蛍光放電灯管で蛍光膜に到達する紫外 線量を増加させるには、蛍光膜がPIP負電荷で 覆われないようにすると良い。即ち、PIP鞘を 作らないようにすると良い。

 蛍光膜に接近して配置した導体に正電位 印加すると蛍光膜のPIP電荷は消える。その 果、PIP鞘26は消え、陽光柱は蛍光膜まで広 、輝度が増加すると期待すると、そうでは い。PIPが存在しない蛍光膜は図6(B)に示した 光膜25と等価になり、電子は負電界のガス 間に入れず、蛍光膜表面上を一方向に進む 面伝導になり、蛍光放電灯管の輝度は著し 減少する。高輝度に発光する蛍光膜には、 光膜を表面伝導により電子を加速する働き 、その電子軌道をガス空間に曲げるPIP蛍光 粒子の両者の蛍光体粒子の組み合わせが必 である。実務的にはPIP電荷の作用の及ばな 所に陽光柱を作れば良いことになり、Hg原子 による自己吸収を容認し、管径が25 mm以上と 大きな蛍光放電灯が実用され、最適条件を経 験的に求めた。これが従来の蛍光放電灯であ り、陽光柱内でHgが発光した254 nm紫外線の自 己吸収を許容し、発光の飽和現象のある蛍光 放電灯を実用化してきた。

 図5の結果より、図6(D)に図示したように PIPを持つ市販PL蛍光体24とPIPを持たない低電 CL蛍光体25をガラス管内面に交互に配列する 。PIP26の作用は大いに減殺され,ガス放電の点 火が早く、陽光柱の広がりによる輝度上昇が 見られた。ここで低電圧CL蛍光体25の選択が 要になった。低電圧CL蛍光体25の候補は前記 た。これ等の蛍光体のどれでもが使用でき とは限らない。市販されているこれ等の蛍 体の中には、表面処理と言って絶縁体の微 粒子が表面に付着している。他の場合、蛍 体製造時の処理が不十分で残留物が粒子表 に残っている。陽光柱から散乱により蛍光 粒子に照射した電子は、蛍光体粒子内に入 、蛍光体粒子から二次電子を真空中に放出 る。その時蛍光体粒子の中に正孔を残す。 の正孔と二次電子が真空中で結合し、金属 極の場合と同様な機構で粒子表面にSBEを形 する。不純物が付着していると、その不純 の表面にもSBEが形成する。CL蛍光体粒子の 光は、電子の入射で蛍光体粒子内に沢山で る正孔と電子が発光中心で再結合して発光 る。CL蛍光体粒子の表面が清浄であると、CL 光体粒子の表面にあるSBEは結合相手である 光体粒子内の正孔を失う。相手を失った真 中の電子は自由電子となり、加速され電子 道を陽光柱に曲げられ放電に寄与する。問 は粒子表面に付着している不純物上にでき SBEである。PIPと等価の作用をもつ。困った とに不純物上のSBEの消去はできない。この 由で、低電圧CL蛍光体の選別が大切となる 最も確かな低電圧CL蛍光体はZnO蛍光体である 。ここでCL蛍光体の方がPL蛍光体より明るい 由を説明する。蛍光体粒子内に突入した1個 入射電子により作られる電子と正孔対数は 射電子が結晶格子と非弾性散乱する数に相 する(約1,000個)。一方、PL蛍光体粒子では一 の光子は一個の発光中心しか励起できない CL蛍光体が明るい理由である。

 蛍光放電灯管の内壁面にPL蛍光体24と低電 圧CL蛍光体25を隣り合わせにして蛍光膜を製 するのは至難の業である。出版された論文 Journal Physics D Applied Physics,32, (1999), pp 513 -517(非特許文献6)によれば、FLの最適蛍光膜厚 は蛍光体粒子の3層で出来ている。この蛍光 に照射する電子の突入できる粒子は、最上 に配列した粒子だけであり、紫外線は粒子 荷電に影響を受けず、蛍光膜中に突入する 突入深度は粒子層数にして3層である。この 由で、市販蛍光体粒子24を3層になるように ラス管内壁面に塗布し、乾燥後低電圧CL蛍 体25を市販蛍光体層24の上に散布するように 布すると、本発明になる蛍光膜が製造でき 。このようにして作られた蛍光膜の模式図 図7(A)に示す。

 蛍光膜を2度に分けて塗布するのは、作業 工程が複雑になる。蛍光体スラリーの一回塗 布で蛍光膜を作る方法を考案した。市販PL蛍 体の平均粒子径を4 μmとする。低電圧CL蛍 体の粒子径を2 μmとする。粒子径が異なる2 類の蛍光体粉を、重量比でPL蛍光体:CL蛍光 =7:3の割合で秤量し、秤量粉体を混合瓶に入 、均一に混ざるまで混合し、蛍光体塗布液 作り放電管ガラス内壁面に塗布する。塗布 が乾燥しないとき、ガラス管壁に近い所に 大きなPL蛍光体粒子24が選択的に集まり、蛍 光膜の表面に小さなCL蛍光体粒子25が多く集 るので、図7(B)に示した蛍光膜が得られる。 7(B)の蛍光膜を使い蛍光放電灯管を作ると、 表面層にあるCL蛍光体粒子はSBEを形成しない で、陽光柱内で高エネルギーを持った電子 CL蛍光体粒子に達する。その結果、陽光柱 蛍光膜の所まで接近して紫外線を放射する この紫外線は未励起Hg原子が介在せず、より 多くの紫外線がPL蛍光体層に入射する。その 果、蛍光膜のPL強度が増加する。ここに使 するCL蛍光体粒子の大きさは、PL蛍光体の平 粒子径が4μmであるとき、平均値で1μm~3μmで あるとき、良好な結果が得られた。この粒子 径はPL蛍光体の粒子径により変わる。注意す ことは、CL蛍光体粒子が1μm以下と小さい時 粒子は蛍光膜の表面に配列せず、蛍光膜の 燥時に蛍光膜の底に集まり、CL蛍光体粒子 効果は減退する。以下に実施例を用いて更 詳細に蛍光膜に付いて述べる。

[実施例6]
 本発明になる低電圧発光CL蛍光体を混合し 蛍光膜の一例を述べる。蛍光膜は表6に示し 蛍光体粉を混合して作った。性能の良い低 圧CL蛍光体としてZnS系蛍光体があるが、基 結晶の硫黄Sが放電中にHg蒸気と化学反応しHg Sを形成するので避けた。

 表6の各蛍光体粉の重量を秤量し、混合瓶 に入れ秤量蛍光体粉が良く混ざるまで混合す る。この混合粉体に、ビヒクルAを150グラム 加し、蛍光体粒子がスラリー中に良く分散 るように攪拌する。蛍光体スラリーを外径5 mmのガラス管内に導入し、暫しの間放置した 後、スラリーをガラス管内から取り去ると、 ガラス内壁面に蛍光体粒子が付着し、蛍光膜 がガラス管内壁面に塗布される。蛍光膜を温 風乾燥した後、600 ℃で30分間蓋のない炉で 熱し、蛍光膜内の有機結合剤を熱分解によ 水蒸気と炭酸ガスとして管内から取り去る 、蛍光体粒子だけからなる蛍光膜がガラス 壁に残る。ガラス管壁端にある蛍光膜を柔 かな布で拭き取る。拭き取ったガラス管の 所に、実施例4と5のうちのどちらかの電極を 挿入する。一方の管端はガラス管を溶融して 電極を封着する。もう一方の管端のガラス管 を僅かに溶融し管径を細くする。細くなった 管径の先にHgアマルガムとBaゲッターを設置 た後、開口した小ガラス管20を排気装置に接 続し、ガラス管内の空気を真空ポンプを用い て取り去る。HgアマルガムとBaゲッターを設 したガラス管の箇所を除き、ガラス管全体 炉内にいれ、500 ℃前後に加熱してガラス管 内の材料から脱ガスをする。脱ガス工程が終 わったならば、温度を室温近くまで下げる。 その後にHgアマルガムとBaゲッターを僅かに 熱し、それらからのガス放出を行う。ガス ポンプで排気する。その後、70 Torr前後のAr スを導入し、HgアマルガムとBaゲッターが収 納された先のガラスを融解してガラス管を排 気装置から切り離す。切り離し後、Hgアマル ムとBaゲッターを加熱し活性化する。その 、電極部分の排気細管を融解して封じると 外径5mmのCCFL蛍光放電灯管が得られる。このC CFLは10ミリ秒前後の速度で放電が点灯する。 灯速度は暗所でも変わらないのは当然の理 ある。この放電灯には陰極電圧降下が無く 外部回路で測定した点灯電力は従来のCCFLよ りも30%減少する。更に陽光柱の径を規制した SBE鞘が無いので、蛍光放電灯管の蛍光膜から は13 % 以上の光が取り出せる。

[実施例7]
 表7は本発明になる低電圧発光CL蛍光体粉を 合した蛍光膜の他の例である。市販PL蛍光 は、青色に化学式 (Ca,Sr,Ba,Mg)(PO 4 ) 6 Cl:Eu 2+ 、緑色にBaMgAl 10 O 17 :Eu 2+ :Mn 2+ 、赤色にY(V,P)O 4 :Eu 3+ の蛍光体を混合して白色発光になるように調 製され、更に低電圧CL蛍光体にZnO蛍光体粉を 加する。蛍光膜の製造工程と蛍光放電灯管 製造工程は実施例6に述べたと同じであるの で略す。

[実施例8]
 表8は本発明になる低電圧発光CL蛍光体粉を 合した蛍光膜の更に他の例である。実施例6 と7に使用した蛍光体では、貴重な希土類元 を使うので、非常に高価である。特に、資 の枯渇が見込まれるテルビウムTb元素を多量 に使用する。これ等の貴重な元素を使用しな い明るい蛍光放電灯の開発が急がれる。NTSC x-y色度座標点で緑色に明るく発光する蛍光 はZn 2 SiO 4 : Mn 2+  蛍光体である。Zn 2 SiO 4 : Mn 2+  蛍光体粉にはPL 用とCL用により2種類の異な った製造法がある。従来の蛍光放電灯管に使 われていたのはPL用Zn 2 SiO 4 : Mn 2+  蛍光体粉で、粒子表面にSiO 2  絶縁体微粒子を多量に付着した蛍光体粒子 であった。この蛍光体粉末は、管径の大き 蛍光放電灯に使用できたが、蛍光膜に形成 る強いSBE鞘に陽光柱が収まるので、管径を くした蛍光放電灯管の蛍光膜には使用でき かった。蛍光放電灯管の内壁面でSBEを形成 ないZn 2 SiO 4 : Mn 2+  蛍光体粉は、120 eVの電子線照射下で明るく CL発光するZn 2 SiO 4 : Mn 2+ 蛍光体粉である。このCL発光Zn 2 SiO 4 : Mn 2+ 蛍光体粉を希土類付活した青色蛍光体粉と赤 色蛍光体粉と混合すると、白色に発光する蛍 光体粉が得られる。この蛍光体粉を管径15 mm 以下のCCFL管の内壁に塗布する蛍光膜に採用 ると、CL発光Zn 2 SiO 4 : Mn 2+  蛍光体粉の粒子上にはSBEが形成せず、陽光柱 は蛍光膜まで接近し明るく発光する。従って 、多色のPL蛍光体粉との混合粉で白色を出す 光膜にCL発光Zn 2 SiO 4 : Mn 2+  蛍光体粉を使用できる。管径が15 mm 以下の 管のCCFLが得られる。貴重なTbを多量に使用 なくとも、白色に発光するCCFLが得られる。 表8に緑色がNTSC色度座標点を持つ白色蛍光膜 得る蛍光体粉の混合割合を示す。調合粉は 8に示したPL蛍光体粉に限定されず、CCFLに使 用する他種類のPL青色発光蛍光体粉と他種類 PL赤色蛍光体粉の混合粉を使用しても同じ 果が得られる。蛍光膜の製造工程と蛍光放 灯管の製造工程は実施例6に述べたと同じで るので略す。

[実施例9]
 経験で得られた結果によると、実施例8の細 管CCFLの蛍光膜の構成は、約35重量%のCL緑色蛍 光体粉と23 重量%のPL緑色蛍光体粉が含まれ 時に最高の輝度が得られた。調合割合を表9 示す。表9の調合は実施例としての1例であ 、調合するPL蛍光体は表9に示したPL蛍光体に 限定されず、CCFLに使用する他種類のPL青色発 光蛍光体粉と他種類のPL赤色蛍光体粉の混合 を使用しても同じ結果が得られる。蛍光膜 製造工程と蛍光放電灯管の製造工程は実施 6に述べたと同じであるので略す。

[実施例10]
 実施例6~9に使用した蛍光体は、クラーク数 小さく資源の枯渇が心配される貴重な希土 元素を使うので、非常に高価である。特に 資源の枯渇が見込まれるテルビウムTbとEu元 素を多量に使用する。これ等の貴重な元素を 使用しない明るい蛍光放電灯の開発が急がれ る。本発明者は、旧来、蛍光放電灯管に使用 していたハロ燐酸カルシウム白色発光蛍光体 Ca 5 (PO 4 ) 3 (F,Cl):Sb 3+ :Mn 2+  に着目した。本発明者の研究によれば、ハロ 燐酸カルシウム蛍光体で作られた蛍光膜は、 蛍光放電管中でPIPに原因した放電発光の点灯 に問題があった。更に、点灯中に蛍光膜に強 いSBEが形成され、陽光柱は強いSBE鞘に収まり 、陽光柱と蛍光膜間に介在するHg蒸気による2 54 nm紫外線の吸収があり、蛍光放電灯管の光 出力を強く規制していた。このような現象が 発生する主因は、ハロ燐酸カルシウム蛍光体 の発光は、発光中心がSb 3+ とMn 2+ の増感作用を利用しており、1つの蛍光体粒 中で、Sb 3+ が直接254 nm 紫外線を吸収し、Sb 3+ の発光した青色光の一部をMn 2+ が吸収して黄色の幅広いバンドで発光し、2 の発光バンドで白色を出していた。付活剤 励起機構の分類に従えば、直接励起蛍光体 あり、基体結晶の電子と正孔は発光に関与 ない。この種の蛍光体は、電子線照射下で 暗いCLしか発光しない。これは公知の事実で ある。見過ごされた点は、直接励起蛍光体粒 子の物性は、基体結晶の電子と正孔が関与し ないので、電子線照射下で絶縁体の特性を持 つ事であった。既述したように、蛍光放電灯 管内の蛍光膜には、陽光柱内で非弾性衝突し た直後の電子の進行方向は無作為であり、蛍 光膜にも高エネルギーを持った電子が届く。 絶縁体に電子が照射すると、絶縁体粒子表面 にSBEが形成する。SBE量は時間と共に積算され 、結果として強いSBEができる。これがハロ燐 酸カルシウム蛍光体を使用すると陽光柱はSBE 鞘の中に入り、蛍光膜の輝度飽和現象となる 。SBE鞘の問題を解決すれば、ハロ燐酸カルシ ウム蛍光体を内径2mmのCCFLの蛍光膜に適用で る。CCFLにハロ燐酸カルシウム蛍光体が使用 きれば、資源の枯渇が心配されている希土 元素を使用しないで、安価な白色発光CCFLが 得られる。ハロ燐酸カルシウム蛍光体が抱え ていた放電発光の点灯遅れの問題は、蛍光放 電灯に使用しているPL蛍光体に共通した問題 あり、問題は解決できる。以下に実施例で 決法を述べる。

 表10に示したように白色発光ハロ燐酸カ シウム蛍光体粉70グラムと青白色に発光する 低電圧CL ZnO蛍光体粉30グラムを秤量し、粉体 混合する。この混合粉体を150グラムのビヒク ルAと混合してスラリーを作る。以後の蛍光 の製造工程は実施例6に述べたと同じである で略す。得られた内径2 mmのCCFLはミリ秒の 位で瞬時に点灯し、蛍光膜上にSBEは殆ど検 できず、従来の25 mm管による蛍光放電灯よ も遥かに明るく発光するCCFLが得られる。本 発明になるハロ燐酸カルシウム蛍光体粉の材 料コストは現在市販されているCCFLよりも非 に低く、約十分の一である。開発した内径5 mm以上のCCFL蛍光放電灯は室内照明用として 適である。特に外径15~20 mmのCCFLは部屋の照 に適する。開発した蛍光灯は安価であり、 命は100,000時間以上と長いので、使用者の利 益となる。

[実施例11]
 実施例10で示したCCFLをLCDのバックライトに 用した時、赤色の光が足りない。純赤色で 光する蛍光体はEu 3+ イオンを発光中心とする蛍光体である。Eu 3+ を付活剤とする蛍光体は数多く発表されてお り、実用Eu 3+ 蛍光体のいずれもが、電子線照射下で明るく 発光する蛍光体である。それらの中で、110 e Vの電子線で発光する蛍光体はY 2 O 3 :Eu 3+ 蛍光体である。実施例11はY 2 O 3 :Eu 3+ 蛍光体を赤色の補強とした例であるが、この 蛍光体に限定されず、他の赤色蛍光体も赤色 の補強に使用できることを限定するものでは ない。

 表11は白色発光Ca 5 (PO 4 ) 3 (F,Cl):Sb 3+ :Mn 2+ の赤色波長範囲の光を補強する目的で、表10 混合蛍光体粉に赤色発光Y 2 O 3 :Eu 3+ 蛍光体粉 (611 nmに線発光波長を持つ)を添加 た場合である。混合蛍光体粉はビヒクル A を使用してスラリーを調合した。以後の蛍 膜の製造工程は実施例6に述べたと同じであ ので略す。得られた外形2 mm のCCFLは1ミリ 前後の速度で瞬時に放電し、Y 2 O 3 :Eu 3+ 蛍光体 (611 nmに線発光)の発光で色補正がな れ、LCDのバックライトに使用できる。その で陰極電圧降下は観察できず、点灯してい CCFL管中の蛍光膜上にSBEは殆ど検出できない 特徴を示す。

 本発明によれば、陰極電圧降下が無くな から省エネルギーに貢献でき、外部電源の 流を低減でき、同時に電極近傍の明暗の縞 模様が無くなり、照度を格段に向上できる 光放電灯管を実現できる。また、本発明に れば、金属陰極の損耗が無いから蛍光放電 管を長寿命化でき、蛍光放電灯管一本当た の照度を格段に向上させ、急速点灯と全面 灯を可能にした蛍光放電灯管が実現できる この蛍光放電灯管には直線管、曲線管、サ クル管、蛍光電球及びその他の蛍光放電灯 含まれる。また、この蛍光放電灯管を利用 たバックライト装置を有するLCD表示装置(液 晶表示装置)も同時に提供することができる