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Patent Searching and Data


Title:
FLUORESCENT LAMP
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/145200
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a fluorescent lamp, which comprises a discharge space enclosed by glass containing discharge gas, a discharge electrode and a fluorescent element and which contains a mayenite compound in at least a portion of the inner face contacting with the discharge gas.  The fluorescent lamp is excellent in the efficiency of an ultraviolet ray emission from the discharge gas and in discharge characteristics such as a discharge starting voltage or a discharge keeping voltage, chemically stable and excellent in resistances to oxidation and sputtering, and can spare the electric power consumption.

Inventors:
WATANABE SATORU (JP)
ITOH KAZUHIRO (JP)
MIYAKAWA NAOMICHI (JP)
WATANABE KAZUNARI (JP)
ITO SETSURO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059626
Publication Date:
December 03, 2009
Filing Date:
May 26, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
WATANABE SATORU (JP)
ITOH KAZUHIRO (JP)
MIYAKAWA NAOMICHI (JP)
WATANABE KAZUNARI (JP)
ITO SETSURO (JP)
International Classes:
H01J61/35; H01J61/30; H01J65/00
Domestic Patent References:
WO2006112455A12006-10-26
Foreign References:
JP2009059643A2009-03-19
JPH05275065A1993-10-22
JP2007077283A2007-03-29
JP2008047434A2008-02-28
JP2001332212A2001-11-30
JP2008142911A2008-06-26
JP2008300978A2008-12-11
JP2009092082A2009-04-30
Other References:
See also references of EP 2302662A4
Attorney, Agent or Firm:
OGURI Shohei et al. (JP)
Shohei Oguri (JP)
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Claims:
 放電ガスを含むガラスで囲まれた放電空間と、放電電極と、蛍光体とを備え、さらに前記放電ガスと接する内面の少なくとも一部にマイエナイト型化合物を備える蛍光ランプ。
 前記放電空間を介して対向する前面ガラス基板および背面ガラス基板と、前記前面ガラス基板または前記背面ガラス基板の少なくとも一方の表面に形成された放電電極と、前記放電電極を被覆する誘電体層とを備え、前記誘電体層が前記マイエナイト型化合物を含む、請求項1に記載の蛍光ランプ。
 前記放電ガスと接する内面の少なくとも一部に蛍光体が配置され、前記放電空間内に一対の前記放電電極が対向配置され、前記マイエナイト型化合物が前記誘電体層に含有されている、もしくは前記誘電体層の表面上に配置されている、請求項1に記載の蛍光ランプ。
 前記放電空間を囲む前記ガラスがガラス管であり、前記ガラス管の外面に一対の前記放電電極が配置され、前記放電ガスと接する内面の少なくとも一部に蛍光体および前記マイエナイト型化合物が配置されている請求項1に記載の蛍光ランプ。
 前記マイエナイト型化合物が、12CaO・7Al 2 O 3 化合物、12SrO・7Al 2 O 3 化合物、これらの混晶化合物またはこれらの同型化合物である、請求項1~4のいずれかに記載の蛍光ランプ。
 前記マイエナイト型化合物が含有するAlの一部が、Si、Ge、BまたはGaで置換されている、請求項1~5のいずれかに記載の蛍光ランプ。
 前記マイエナイト型化合物が、それを構成するフリー酸素の少なくとも一部が電子で置換され、1×10 15 cm -3 以上の電子密度を有している、請求項1~6のいずれかに記載の蛍光ランプ。
 前記マイエナイト型化合物が、それを構成するフリー酸素の少なくとも一部が前記フリー酸素よりも電子親和力が小さい原子の陰イオンで置換されている、請求項1~7のいずれかに記載の蛍光ランプ。
 前記放電ガスが、He、Ne、Ar、KrおよびXeからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む、請求項1~8のいずれかに記載の蛍光ランプ。
Description:
蛍光ランプ

 本発明は蛍光ランプに関する。

 現在、蛍光ランプは照明、表示装置のバ クライト、各種生産工程での光照射などの 途に用いられている。このような蛍光ラン は、通常、放電ガスを含む電子管を有して り、キセノンランプ、水銀ランプ、メタル ライドランプ、冷陰極蛍光ランプ、熱陰極 光ランプ、セミホット蛍光ランプ、平面蛍 ランプ、外部電極式希ガス蛍光ランプ、誘 体バリア放電エキシマランプなどが知られ いる。

 このような蛍光ランプの中で、主としてア ク放電を行う蛍光ランプでは、陽イオン衝 によって陰極が熱せられて熱電子アーク放 に至るが、点灯開始のための電圧を低減し 始動性を向上させるために、陰極材料とし 、水銀などの発光用ガスの他に始動用ガス して封入された希ガス(主にアルゴンガス) 励起による二次電子放出係数が大きいもの 求められていた。
 また、主としてグロー放電を行う蛍光ラン では、陰極付近に生ずる陰極降下(電位差) 大きく、発光効率が低下するという問題が った。これに対して、前記電子管において 陰極の二次電子放出特性を向上させると上 の陰極降下を低減できるので、二次電子放 係数が大きく、電子管の製造に適した化学 に安定な陰極材料が求められていた。
 また、キセノン(Xe)ガスを封入した蛍光ラン プでは、Xe濃度を上げることによって紫外線 発光効率を向上させることができるが、放 電圧が高くなるという問題があり、電子放 特性に優れた電極または誘電体材料が求め れていた。従来、電極としてNiやMoが放電電 極の材料として用いられてきたが、電子放出 特性が不十分であった。これに対して、電極 表面に電子放出特性に優れた物質であるセシ ウム(Cs)を配置することが提案されたが(特許 献1参照)、充分な電子放出特性が得ること 困難であった。

日本国特開2001-332212号公報

 本発明は、放電ガスからの紫外線発光の 率が良好で、かつ蛍光ランプにおける放電 始電圧や放電維持電圧などの放電特性が良 で、化学的に安定で、耐酸化性にも優れ、 スパッタ性にも優れ、省電力が可能な蛍光 ンプを提供することを目的とする。

 本発明は、放電ガスを含むガラスで囲ま た放電空間と、放電電極と蛍光体とを備え さらに前記放電ガスと接する内面の少なく も一部にマイエナイト型化合物を備える蛍 ランプを提供する。

 本発明の蛍光ランプは、マイエナイト型 合物の電子放出特性が優れているため、紫 線発光の効率が高く、放電効率が高く、放 電圧が低く放電特性が良好で、化学的に安 で、耐酸化性にも優れ、耐スパッタ性にも れている。

図1は、本発明の一態様である冷陰極蛍 光管の概略断面図である。 図2Aは、本発明の別の一態様である液 用バックライト用外部電極式蛍光ランプの 略外観図である。 図2Bは、その軸方向における概略断面 である。 図3は、本発明の別の一態様であるコピ ー機用外部電極式蛍光ランプの概略断面図( 視図)である。 図4は、本発明の別の一態様である平面 蛍光ランプの概略断面図である。 図5は、実施例において測定した、導電 性マイエナイトのコレクタ電圧と二次電子放 出係数(γ)との関係図である。 図6は、オープンセル放電測定装置を説 明するための図である。 図7は、実施例における放電開始電圧お よび二次電子放出係数測定結果を示す図であ る。 図8は、実施例における試料Aの陰極降 電圧測定結果を示す図である。 図9は、実施例における試料Eの陰極降 電圧測定結果を示す図である。 図10は、実施例における試料Fの陰極降 下電圧測定結果を示す図である。 図11は、実施例における試料Gの陰極降 下電圧測定結果を示す図である。 図12は、実施例における試料Hの陰極降 下電圧測定結果を示す図である。 図13は、実施例における冷陰極蛍光ラ プの発光効率を示す図である。

 本発明の蛍光ランプについて説明する。
 本発明の蛍光ランプは、放電ガスを含むガ スで囲まれた放電空間と、放電電極と蛍光 とを備え、さらに前記放電ガスと接する内 の少なくとも一部にマイエナイト型化合物 備える蛍光ランプである。
 すなわち、本発明の蛍光ランプは、内部に 間を有する管状または容器状のガラス、放 電極、蛍光体およびマイエナイト型化合物 有しており、前記ガラスの内部の空間には 電ガスが満たされ、前記放電ガスと接する 面の少なくとも一部に前記マイエナイト型 合物を備える蛍光ランプである。

 本発明の蛍光ランプの形態や各々の構成 素の位置関係は、マイエナイト型化合物の 置以外については特に限定されず、放電電 間に電圧を印加することで管状または容器 のガラスの内部に電界を発生させ、正イオ 化した原子を陰極に衝突させて二次電子を 出させ、二次電子を放電ガスに衝突させる とで紫外線を発生させ、紫外線を蛍光体に って可視光に変換することで発光させるこ ができるものであればよい。例えば従来公 の蛍光ランプと同様であってよい。例えば 端が密閉されたガラス管であって、その両 の内部または外部に放電電極を有し、内部 放電ガスで充たされており、ガラス管の内 に蛍光体が塗布されており、所定の部位に イエナイト型化合物を有するものが挙げら る。

 マイエナイト型化合物は、オージェ過程を たイオン励起の二次電子放出特性、すなわ ポテンシャル放出において優れた特性をも ので、低電圧放電中の二次電子放出係数が い。すなわち、マイエナイト型化合物は電 放出特性、特には低電圧放電中のイオン励 の二次電子放出特性に優れているので、放 開始のための電圧を低減することによって 点灯回路を簡便で安価なものとして、始動 に優れた蛍光ランプを作製できる。
 また、熱電子放出においても、通常の金属 極と同程度に良好な熱電子放出特性を示す で、熱陰極型電子管の電極材料としても用 ることができる。
 特に、マイエナイト型化合物として後述す 導電性マイエナイトを放電空間の内部に配 すると、二次電子放出係数が高いので放電 ス(ペニング混合ガス等)の紫外線発光効率 向上し、あわせて放電電圧、陰極降下電圧 低下するという効果も奏する。そして、蛍 ランプが省電力化され、放電用の回路を安 にできる。なお、導電性マイエナイトの仕 関数は概略2eVであるので、ポテンシャル放 による二次電子放出係数が大きい。

 本発明の蛍光ランプにおいて放電ガスは特 限定されず、例えば従来公知の放電ガスを いることができ、不活性ガス等を用いるこ ができる。また、He、Ne、Ar、Kr、XeおよびRn らなる群から選ばれた少なくとも1種の希ガ スを含有することが好ましく、さらに水銀を 含有していても良い。
 本発明の蛍光ランプにおいて放電電極は、 電空間に放電を生じさせるためのものであ て導電材料を含むものである。また、ガラ 管の内部に存する場合は二次電子放出係数 大きいことが好ましい。また、スパッタリ グに対する耐久性が高いものであることが ましい。
 本発明の蛍光ランプにおいて蛍光体は特に 定されず、例えば従来公知のものを用いる とができる。例えば希土類蛍光体やハロリ 酸系蛍光体が挙げられる。具体的にはY 2 O 3 :Eu、(Y,Gd)BO 3 :Eu、LaPO 4 :Ce,Tb、Zn 2 SiO 4 :Mn、Y 2 SiO 4 :Tb、(Sr,Ca,Ba,Mg) 5 (PO 4 ) 3 Cl:Eu、BaMgAl 10 O 17 :Eu,Mnなどが挙げられる。

 本発明の蛍光ランプは内部にマイエナイ 型化合物を備える。具体的には前記放電ガ と接する内面の少なくとも一部にマイエナ ト型化合物を備える。ここで内面とは、放 ガスと接している面を意味するものとし、 体的にはガラス管およびガラス管内部に存 る放電電極、蛍光体、その他の物(例えば誘 電体層)における前記放電ガスと接している 面を意味するものとする。マイエナイト型 合物はこのような内面の上に(例えば層状で) 存在していてもよいし、このような内面を形 成していてもよい。すなわちガラス管、ガラ ス管内部に存する放電電極、蛍光体、誘電体 層に(例えば粒子状で)含まれており、内面に 出しているものであってもよい。マイエナ ト型化合物はこのような内面の少なくとも 部に存在するので、マイエナイト型化合物 放電ガスに接することとなる。そして、放 ガス中で発生したイオンまたは電子が前記 イエナイト型化合物に衝突するので、前記 イエナイト型化合物から二次電子が放出さ る。

 マイエナイト型化合物について説明する。
 本発明においてマイエナイト型化合物とは ケージ(籠)構造を有する12CaO・7Al 2 O 3 (以下「C12A7」ともいう。)およびC12A7と同等の 結晶構造を有する化合物(同型化合物)である とが好ましい。
 そして、そのケージの中に酸素イオンを包 しており、C12A7結晶格子の骨格と骨格によ 形成されるケージ構造が保持される範囲で 骨格またはケージ中の陽イオンまたは陰イ ンの一部が置換された化合物であってもよ 。このケージ中に包接されている酸素イオ を、通例に従い、以下ではフリー酸素イオ ともいう。
 また、本発明においてマイエナイト型化合 は、フリー酸素イオンの一部または全てが 子で置換され、または置換された電子の一 がさらに陰イオンで置換されたものであっ もよい。また、このようにフリー酸素イオ の一部または全てが電子で置換されて、電 密度が1.0×10 15 cm -3 以上となったものであることが好ましい。こ のような電子密度となったマイエナイト型化 合物を、本発明では「導電性マイエナイト」 ともいう。
 また、本発明においてマイエナイト型化合 は、Ca、AlおよびO(酸素)からなるC12A7結晶の 晶構造を有している限り、Ca、AlおよびOか 選ばれる少なくとも1種の原子の一部ないし 部が他の原子や原子団に置換されていても い。例えばCaの一部はMg、Sr、Baなどの原子 置換されていてもよく、Alの一部はSi、Ge、B たはGaなどで置換されていてもよい。前記 イエナイト型化合物が、12CaO・7Al 2 O 3 化合物、12SrO・7Al 2 O 3 化合物、これらの混晶化合物またはこれらの 同型化合物であることが好ましい。また、フ リー酸素の少なくとも一部が、前記フリー酸 素よりも電子親和力が小さい原子の陰イオン で置換されていてもよい。
陰イオンとしてはハロゲンイオン、水素陰イ オン、酸素イオン、水酸イオンなどが挙げら れる。

 前記マイエナイト型化合物として、具体的 は下記の(1)~(4)などの化合物が例示されるが 、これらに限定されない。
(1)C12A7化合物の骨格のCaの一部がマグネシウ やストロンチウムに置換された混晶である カルシウムマグネシウムアルミネート(Ca 1-y Mg y ) 12 Al 14 O 33 やカルシウムストロンチウムアルミネートCa 12-z Sr z Al 14 O 33 。なお、yやzは0.1以下が好ましい。
(2)シリコン置換型マイエナイトであるCa 12 Al 10 Si 4 O 35 
(3)ケージ中のフリー酸素イオンがH - 、H 2 - 、H 2- 、O - 、O 2 - 、OH - 、F - 、Cl - 、Br - 、S 2- またはAu - などの陰イオンによって置換された、例えば 、Ca 12 Al 14 O 32 :2OH - またはCa 12 Al 14 O 32 :2F - 。このようなマイエナイト型化合物は、耐熱 性が高いため、400℃を超えるような封着など を必要とする蛍光ランプの製造に適している 。
(4)陽イオンと陰イオンがともに置換された、 例えばワダライトCa 12 Al 10 Si 4 O 32 :6Cl -

 前記導電性マイエナイトの電子密度は1.0×10 15 cm -3 以上であることが好ましく、1.0×10 19 cm -3 以上であることがより好ましく、1.0×10 21 cm -3 以上であることがさらに好ましい。二次電子 放出能がより高くなり、紫外線発光効率がよ り向上し、放電電圧がより低下するからであ る。また、電子密度が高すぎると、前記導電 性マイエナイトの製造が煩雑となるので、7.0 ×10 21 cm -3 以下であることが好ましく、4.6×10 21 cm -3 以下であることがより好ましく、2.3×10 21 cm -3 以下であることがさらに好ましい。

 前記導電性マイエナイトの電子密度は、電 スピン共鳴装置を用いて測定したスピン密 の測定値を意味する。ただし、ここでのス ン密度の測定値が10 19 cm -3 を超えた場合は、導電性マイエナイトのケー ジ中の電子による光吸収の強度を分光光度計 を用いて測定し、2.8eVでの吸収係数を求めた 、この吸収係数が電子密度に比例すること 利用して、導電性マイエナイトの電子密度 定量することができる。また、導電性マイ ナイトが粉末等であり、光度計によって透 スペクトルを測定し難い場合、積分球を使 して光拡散スペクトルを測定し、クベルカ ンク法によって求めた値から導電性マイエ イトの電子密度を定量できる。

 本発明の蛍光ランプにおけるマイエナイト 化合物を備える部分、例えば誘電体層や放 電極におけるマイエナイト型化合物を含む 分やマイエナイト型化合物自体は、二次電 放出係数γが0.05以上であることが好ましく 0.1以上であることがより好ましく、0.2以上 あることがさらに好ましい。二次電子が多 と放電ガス中で、放電ガス分子または原子 電離が容易となり、放電開始電圧が低下し り、陰極効果電圧が低減されるからである 例えば放電ガスがXeを含む場合であると、 次電子によって、より低い印加電圧で、Xe原 子が電離して、放電プラズマが生成する結果 、Xeからの紫外線放出が行われることにより 紫外線発光の効率が向上する。そして、蛍 ランプの発光効率が高いなど、良好な放電 性の蛍光ランプを得ることができる。
 ここで、二次電子放出係数γは導電性マイ ナイトの電子密度を調整することで調整す ことができる。例えば電子密度を1.0×10 19 /cm 3 とすると、イオンのエネルギーを600eVとした きに、Xeイオンの二次電子放出係数γを0.15 することができる。また、例えば電子密度 1.0×10 21 /cm 3 とすると、二次電子放出係数γを0.18とするこ とができる。

 前記マイエナイト型化合物は、例えば、以 のように製造することができる。
 初めに炭酸カルシウムと酸化アルミニウム を、CaOおよびAl 2 O 3 の酸化物換算のモル比で12:7程度(例えば11.8:7. 2~12.2:6.8)となるように調合し、常温、常圧の 気中で1200~1350℃程度の温度で6時間程度保持 し、固相反応させた後室温まで冷却する。こ のようにしてマイエナイト型化合物を製造す ることができる。

 また、さらに、以下のような処理を行うこ で導電性マイエナイトを製造することがで る。
 上記のようにして得られたマイエナイト型 合物の焼結物をタングステンカーバイド製 星ミルなどを用いて粉砕した後、加圧成形 てペレット状にし、再び1200~1350℃に加熱し 焼結体を得る。次に得られた焼結体をカー ン、金属チタン、金属カルシウム、金属ア ミニウム等の粉末または破片状の還元剤と に蓋付き容器に入れ、容器内を低酸素分圧 保った状態で、600~1415℃に保持し、その後 却すると導電性マイエナイト粒子を得るこ ができる。この温度が1415℃以下であるとマ エナイト型化合物が溶融し難く、安価な装 で処理できるので好ましい。600℃以上であ と、マイエナイト型化合物のケージ中から リー酸素イオンを引き抜く反応の速度が比 的速く、導電性マイエナイトを比較的早く られるので好ましい。カーボン、金属チタ 、金属カルシウム、金属アルミニウム等の 元剤からなる蓋付き容器(例えばカーボン製 の蓋付き容器)に前記焼結体を入れて処理し も、同様に導電性マイエナイトを得ること できる。また、ここで容器内の酸素分圧を 整することで、得られる導電性マイエナイ の電子密度を調整することができる。

 次に、本発明の蛍光ランプの好ましい実 態様について図を用いて説明する。

<冷陰極蛍光管(CCFL)>
 図1は本発明の蛍光ランプの実施態様の1つ ある冷陰極蛍光管を示す概略断面図である 図1に示す態様を、以下では態様1ともいう。
 図1に示す冷陰極蛍光管11は、管状のガラス 12の両端に放電電極13が封着され、ガラス管 12内の放電空間15には水銀を含む希ガスであ 放電ガス16が封入されて構成され、ガラス管 12の内面には蛍光体14が塗布されている。ま 、放電電極13はカップ131とリード線132とから なるものであり、カップ131は円筒状であって 末端部が円錐状で、当該末端部においてリー ド線132と溶接等され電気的に繋がっている。 リード線132は、図1に示すようにガラス管12の 内部から外部まで出ている。
 そして、放電ガス16と接する内面、具体的 は蛍光体14の表面およびカップ131の表面に層 状のマイエナイト型化合物17が配置されてい 。

 本発明の蛍光ランプの一態様である冷陰 蛍光管は、図1に示した態様1と異なるもの あってもよい。例えばマイエナイト型化合 は図1に示した部分の一部だけ存在していて よい。例えば蛍光体14の表面には存在せず カップ131の内壁のみにマイエナイト型化合 が存在していてもよい。また、例えばカッ 131は末端部が半球状のものであってもよく また筒状、棒状、線状、コイル状、中空状 ものであってもよい。また、マイエナイト 化合物17は放電ガス16に接する内面であれば 蛍光体14およびカップ131以外の部分(ガラス 12、リード線132)に配置されていてもよい。 た、マイエナイト型化合物17はカップ131や ード線132に含まれており、それらを構成す 材料の一部になっていることが好ましい。 なわち、放電ガスと接する内面の少なくと 一部に蛍光体が配置され、前記放電空間内 一対の前記放電電極が対向配置され、前記 電電極が前記マイエナイト型化合物を含む 光ランプであることが好ましい。また、マ エナイト型化合物17は蛍光体14やガラス管12 含まれており、それらを構成する材料の一 になっていてもよい。

 また、冷陰極蛍光管の大きさは特に限定 れない。例えば外径が2.0~5.0mm程度で、軸方 の全長が300~2000mm程度のものが挙げられる。

 また、放電電極13は中空の金属製円筒で るカップ131を有し、さらにカップ131がマイ ナイト型化合物17で被覆されていることが好 ましい。このように円筒形状とすることで、 マイエナイト型化合物17の保持面積を大きく ることができるためである。さらにカップ1 31の内壁のみがマイエナイト型化合物17で被 されていると好ましい。中空状のカップ131 おいては、主としてカップ131の内側で放電 起こるためである。このように円筒状のカ プ131の内側のみを被覆すると、放電時にス ッタリングが生じた場合に、放電ガス16やガ ラス管12を汚染することがない。

 また、放電電極(態様1の場合であればカッ 131およびリード線132)は、焼結して作製した イエナイト型化合物を含有する金属であっ よく、放電電極がバルク体のマイエナイト 化合物であってもよい。このような構造と るとスパッタ耐性に優れた放電電極となる このとき十分な放電効率を得るためには、 イエナイト型化合物の導電率は10 -3 S/cm以上とすることが好ましい。マイエナイ 型化合物は、セラミック材料であるので、 ラスとの封着特性に優れており、このよう 構造も作製が可能である。

 このような冷陰極蛍光管の製造方法は特 限定されない。例えば通常用いられるウェ トプロセスによって、粉末状のマイエナイ 型化合物を溶媒等と混合した後、スプレー ートやディップコートを用いて所望の箇所 塗布する方法を用いたり、真空蒸着、電子 ーム蒸着、スパッタリング、溶射などの物 蒸着法を用いてマイエナイト型化合物を放 ガスと接する内部の少なくとも一部に付け 。具体的には、例えば蛍光体、溶媒および インダーからなるスラリーを調製し、ディ プコートなどによりガラス管の内壁に塗布 た後、200~800℃で20~30分間保持する熱処理を ってバインダーを除去することで、ガラス 内壁に蛍光体を配置する。蛍光体にマイエ イト型化合物を含有させる場合には、上記 ラリーにマイエナイト型化合物粉末を混合 ればよい。

 ここで粉末状のマイエナイト型化合物を るためには、例えばマイエナイト型化合物 金属やセラミックスなどのハンマ、ローラ たはボールなどを用いて材料に機械的に圧 およびせん断および摩擦力を加えて粉砕す 。この際、タングステンカーバイドのボー を使った遊星ミルを用いると、マイエナイ 型化合物の粗粒に異物が混入せず、50μm以 の粒径を持つ粗粒にすることが可能である このようにして得られたマイエナイト型化 物は、ボールミルやジェットミルを用いて 均粒径20μm以下のさらに細かい粒子に粉砕す ることが可能である。これらの20μm以下の粒 を有機溶媒またはビヒクルと混合してスラ ーまたはペーストを作製することも可能で るが、50μm以下に粗粉砕したマイエナイト 化合物を有機溶媒と混合してビーズ粉砕を うと、より細かい、円換算径が5μm以下のマ エナイト型化合物粉末の分散した分散溶液 作製できる。ビーズ粉砕には、例えば酸化 ルコニウムビーズを用いることができる。 た、上記粉砕時に溶媒として、炭素原子数 1もしくは2の水酸基を有する化合物である 例えばアルコール類、エーテルを使用した 合、マイエナイト型化合物がこれらと反応 、分解してしまうおそれがある。このため ルコール系またはエーテル系の溶媒として 、炭素原子数3以上のものが好ましい。これ を用いると粉砕が容易に行えるのでこれら 溶媒を単独または混合して用いられる。

 粉末状のマイエナイト型化合物を、上記 ようなウェットプロセスや物理蒸着法等の 法や、CVD等の化学蒸着法やゾルゲル法を適 して冷陰極蛍光管における所望の箇所に塗 した後、当該冷陰極蛍光管を低酸素分圧の 囲気中で500~1415℃に保持すると、粉末状の イエナイト型化合物の付着性が良好となり ましい。また、このような熱処理を行うと マイエナイト型化合物が導電性となり高い 子放出特性を発現するので好ましい。

 このような熱処理においては、酸素分圧を 下記式(a)で示されるP O2 よりも低くすることが好ましい。式(a)におい てTは雰囲気ガス温度であり、酸素分圧(P O2 )の単位はPaである。
 P O2 =10 5 ×exp[{-7.9×10 4 /(T+273)}+14.4] ・・・式(a)

 また、上記の粉末状のマイエナイト型化合 に代えて、マイエナイト型化合物と同等の 成を有する原料混合粉、仮焼粉、ガラス、 晶質物の粉末、すなわち粉末状のマイエナ ト型化合物の前駆体を用いて同様に処理す と、前記熱処理の過程でマイエナイト型化 物を得ることができ、作製工程を少なくす ことができるので好ましい。この場合、前 冷陰極蛍光管を低酸素分圧の雰囲気中で保 する温度は、上記と同様に500~1415℃であっ よいが、800~1415℃とすることが好ましく、950 ~1300℃とすることがより好ましい。
 なお、ここで用いる原料混合粉としては、C 12A7化合物を構成する単体元素の化合物、例 ば炭酸カルシウム、酸化アルミニウムを所 の組成比で混合して用いてもよく、また、Ca とAlとの比が例えば3:1や1:1のカルシウムアル ネート化合物を用いてもよい。また、2種以 上のCa/Al比のカルシウムアルミネート化合物 用いてもよい。

 なお、放電電極を作製するには、ニッケ 、モリブデン、タングステンなど金属部材 円筒状に形成されたカップにレーザー溶接 抵抗加熱などの方法でリード線を取り付け 後、カップにディップコート、スプレーコ トなどでマイエナイト型化合物を含有する ラリーを塗布した後、80~500℃に保持する。 のとき雰囲気を不活性ガスまたは真空とす ことでマイエナイト型化合物の特性劣化を ぐことができるが、空気中で保持すること 可能である。

 ここで放電電極が多孔質体であると、マ エナイト型化合物の付着性が高まり、耐久 が向上するので好ましい。

 このようにして得たマイエナイト型化合物 配置された放電電極等を、ガラス管に挿入 て、封着した後、Ti-Hg合金などからなるHgゲ ッターを挿入し、ガラス管内部を排気した後 、ArやNeなどの希ガスを封入する。その後、 処理によるゲッター活性化を行い、Hgガスを 放出させる。
 このようにして冷陰極蛍光管を得ることが きる。

 マイエナイト型化合物が配置された放電 極がプラズマに暴露されると、マイエナイ 型化合物は導電性マイエナイトに変化して 子放出特性が向上するため好ましい。プラ マがマイエナイト型化合物の結晶体の表面 接触することより(すなわち、プラズマ処理 により)、マイエナイト化合物の結晶体の主 表面部分が導電性マイエナイトに変化する プラズマ処理の条件により導電性マイエナ トに変化する部分の表面からの深さが変化 る。表面部分のみが導電性マイエナイトに 化したマイエナイト型化合物の結晶体とし 使用することができる。

 このようなプラズマとしては、希ガス中 生成した放電プラズマを用いることが簡便 ため好ましい。希ガスとしてはアルゴン、 セノン、ヘリウム、ネオンおよびクリプト から選ばれる少なくとも1種の希ガスを使用 できる。アルゴン、キセノンおよびそれらの 混合ガスがより好ましく、アルゴンがさらに 好ましい。希ガスは、他の不活性なガスと併 用することもできる。

 プラズマ処理としてはグロー放電により発 させたプラズマを用いた処理が好ましい。
この場合の雰囲気圧力としては、通常のグロ ー放電プラズマが発生する圧力、すなわち0.1 ~1000Pa程度の圧力が好ましい。このような圧 となるように、雰囲気中に導入されるガス 流量を調節することが好ましい。
 グロー放電を用いたプラズマ処理としては 例えばスパッタ装置を用いたプラズマ処理 挙げられる。スパッタ装置のターゲットに イエナイト型化合物の結晶体を使用してス ッタ処理を行うことにより、発生したプラ マがターゲットであるマイエナイト型化合 の結晶体に接触し、その表面が導電性マイ ナイトに変化する。このようなプラズマ処 法では、マイエナイト型化合物中のフリー 素イオンが、選択スパッタリングにより効 的に電子に置換される。

<外部電極式蛍光ランプ(EEFL)>
 次に図2Aおよび図2Bを用いて説明する。
 図2Aおよび図2Bは本発明の蛍光ランプの実施 態様の1つである外部電極式蛍光ランプを示 概略図である。図2Aは概略外観図であり、図 2Bは軸方向における概略断面図である。図2A よび図2Bに示す態様を、以下では態様2とも う。

 図2Aおよび図2Bに示す外部電極式蛍光ラン プ21は、放電ガス26を含むガラス管22で囲まれ た放電空間25と、放電電極23と、蛍光体24とを 備え、さらに放電ガス26と接する内面に層状 マイエナイト型化合物27を備える蛍光ラン であって、放電空間25を囲むガラス管22の外 の両端部に一対の放電電極23(23a、23b)が配置 され、放電ガス26と接する内面の少なくとも 部に蛍光体24およびマイエナイト型化合物27 が配置されたものである。

 ここで放電電極23はガラス管22の両端部の 外表面に設けられた導電性を有する膜状の外 部電極である。態様2では外部電極は、図2Aお よび図2Bに示すように、ガラス管22の端部外 面にその全周にわたって形成されている。 部電極は、ガラス管22の内部空間に放電を発 生させるための外部電源に、例えばリード線 とクリップ端子を介して接続される。そして 、外部電極に高周波電圧を印加することによ って、外部電極式蛍光ランプ21は点灯する。

 マイエナイト型化合物27は、ガラス管22の内 壁において、一方の放電電極(放電電極23a)が ラス管22を被覆する部分のガラス管22の内壁 部と、この内壁部から他方の放電電極(放電 極23b)の方向に30mmの領域に、配置されること が好ましい。また、放電電極23bとマイエナイ ト型化合物27の好ましい配置は放電電極23aと 様である。
 マイエナイト型化合物27をこのように配置 ると、イオンのフラックスが多い領域が、 パッタリング耐性に優れたマイエナイト型 合物により被覆されるので、ランプの寿命 長くなるほか、良好な二次電子放出効果が られ、発光効率が向上し、さらに放電開始 圧が低下する。

 本発明の蛍光ランプの実施態様の1つである 外部電極式蛍光ランプは、図2Aおよび図2Bに す態様2と異なるものであってもよい。
 例えば、図2Aおよび図2Bに示すような両端が 開放された円筒状の放電電極(外部電極)でな 、ガラス管22の封止部分にわたって電極を 成してもよい。また、図2Aおよび図2Bに示す うな直管型のガラス管22ではなく、種々の 状のものとすることができ、例えばL字形状 U字形状であってもよい。また、ガラス管22 全長、外径および内径は特に限定されるも ではなく、例えば外径4mm、内径3mmのものな を使用できる。また、ガラス管2を構成する ガラス材料は特に限定されるものではない。

 外部電極式蛍光ランプの製造方法は特に限 されず、例えば従来公知の方法で製造する とができる。例えば、ガラス管の内面に蛍 体およびマイエナイト型化合物を含むペー トを塗布、乾燥後、焼成した後、通常の方 で封止し、内部に水銀が析出されたガラス の端部の外表面に有機金属ペースト等を塗 、焼成して放電電極(外部電極)を形成する そして、通常の方法でガラス管の内部の放 空間に析出された水銀を拡散する。
 また、例えば、蛍光体、溶媒およびバイン ーからなるスラリーを調製し、ディップコ トなどによりガラス管の内壁に塗布した後 乾燥、焼成を行って、バインダーを除去し 、ガラス管内壁に蛍光体を配置する。この ラス管の一方の端部を封止した後、もう一 の端部側に水銀放出合金を挿入し、排気し 後、希ガスを導入して封止する。次に水銀 出合金を高周波加熱して水銀を放出させた と、水銀放出合金の挿入部よりも内側の位 で封止する。このガラス管の外表面に一対 放電電極を形成することにより、外部電極 蛍光ランプが完成する。放電電極は導電性 ープによってガラス管外表面を被覆するか 金属ペーストをスクリーン印刷や転写印刷 どにより塗布した後、焼成して形成する。

 また、蛍光体上にマイエナイト型化合物 配置するには、マイエナイト型化合物を含 するスラリーを蛍光体の内面上に塗布する とで可能となる。また、マイエナイト型化 物を含有するスラリーをガラス管に塗布し 後に、蛍光体、溶媒およびバインダーから るスラリーを塗布することにより、ガラス の内面上にマイエナイト型化合物が配置さ 、蛍光体がマイエナイト型化合物を被覆す 構造とすることもできる。蛍光体にマイエ イト型化合物を含有させる場合には、上記 ラリーにマイエナイト型化合物粉末を混合 ればよい。

 図3は上記で説明した外部電極式蛍光ランプ であって、別の態様を示す概略図である。
 図3に示す態様の外部電極式蛍光ランプは開 口部(アパーチャ:α)を有しており、主として ピー機等に用いられる。
 図3に示す態様を、以下では態様3ともいう

 図3に示す外部電極式蛍光ランプ31は、放 ガス36を含むガラス32で囲まれた放電空間35 、放電電極33と、蛍光体34とを備え、全体が チューブ39に囲われた蛍光ランプであって、 電空間35を囲む管状のガラス32の外面に一対 の放電電極33(33a、33b)が配置され、放電ガス36 と接する内面の少なくとも一部に、粒子状の マイエナイト型化合物を含む蛍光体34が配置 れたものである。

 本発明の外部電極式蛍光ランプにおいては マイエナイト型化合物が配置されたとき、 の投影面積がガラス管内壁の面積の30%以下 することが、光取り出しの効率が向上する め好ましい。この投影面積は、20%以下であ ことがより好ましく、10%以下であることが らに好ましい。
 このような領域にマイエナイト型化合物が えられると、マイエナイト型化合物からの 子放出効果によって、外部電極式蛍光ラン の放電開始電圧が低下し、発光効率が増大 る。特に好ましい実施形態の1つでは、前記 放電ガスはXeを含む混合ガスである。この場 、前記Xeの濃度は20%超であることが好まし 。マイエナイト型化合物は、Xe励起の二次電 子放出特性に優れるので、放電ガス中のXe濃 が大きいほど放電開始電圧低下の効果が顕 となる。

<平面蛍光ランプ(FFL)>
 図4は本発明の蛍光ランプの実施態様の1つ ある平面ランプを示す概略断面図である。 4に示す態様を、以下では態様4ともいう。

 図4に示す平面蛍光ランプ41は、放電ガス4 6を含むガラス容器42で囲まれた放電空間45と 放電電極43と、層状の蛍光体44とを備え、さ らに放電ガス46と接する内面に層状のマイエ イト型化合物47を備える蛍光ランプであっ 、ガラス容器42の2つの主面である前面ガラ 基板421および背面ガラス基板422が放電空間45 を介して対向しており、放電電極43aおよび放 電電極43bが背面ガラス基板422の表面に形成さ れており、放電電極43が誘電体層48に被覆さ ており、誘電体層48に層状のマイエナイト型 化合物47がついた蛍光ランプである。

 本発明の蛍光ランプの実施態様の1つである 平面蛍光ランプは、図4に示す態様4と異なる のであってもよい。
 例えば、放電電極43は前面ガラス基板421ま は背面ガラス基板422の少なくとも一方の表 に形成されていてよい。すなわち、放電電 43は前面ガラス基板421および/または背面ガ ス基板422の表面の少なくとも一部に形成さ ていてよい。また、マイエナイト型化合物47 はガラス容器42で囲まれた放電空間45の前面 ラス基板421の内面上に配置された蛍光体44に 含有されていてもよい。また、マイエナイト 型化合物47は誘電体層48に含有されていても く、誘電体層48の表面上に配置されていても よい。

 平面蛍光ランプの製造方法は特に限定さ ず、例えば従来公知の方法で製造すること できる。例えば、背面ガラス基板422の表面 に、導電材料からなる一組の放電電極43を 成した後、誘電体層48をガラスフリットなど を用いて形成する。また、マイエナイト型化 合物47、蛍光体44、溶媒およびバインダーか なるスラリーを調製し、スプレーコートま はスクリーン印刷などの方法より前面ガラ 基板421の内壁に塗布した後、乾燥、焼成を ってバインダーを除去して、ガラス容器の 面上にマイエナイト型化合物47が含有された 蛍光体44を形成する。そして、前面ガラス基 421と背面ガラス基板422を封着した後、NeとXe の混合ガスなどの希ガスを封入することによ り、平面蛍光ランプを得ることができる。

 またマイエナイト型化合物47が誘電体層48 上に配置された平面蛍光ランプ41を作製する は、背面ガラス基板422上に、導電材料から る一組の放電電極43を形成した後、誘電体 48をガラスフリットなどを用いて形成し、マ イエナイト型化合物47を含有するペーストま はスラリーをスクリーン印刷、スピンコー 、スプレーコートなどを用いて塗布し、そ 後80~500℃に保持する。このとき雰囲気を不 性ガスまたは真空とすることでマイエナイ 型化合物47の特性劣化を防ぐことができる 、空気中で保持することも可能である。そ 後、蛍光体、溶媒およびバインダーからな スラリーを調製し、スプレーコートまたは クリーン印刷などの方法により前面ガラス 板421の内壁に塗布した後、乾燥、焼成を行 てバインダーを除去して、ガラス容器42の内 側表面にマイエナイト型化合物47が含有され 蛍光体44を形成する。前面ガラス基板421と 面ガラス基板422を封着した後、放電ガス46と してNeとXeの混合ガスなどの希ガスを封入し 、平面蛍光ランプ41を得ることができる。

 また、膜状のマイエナイト型化合物を誘電 層の表面に形成するためには、マイエナイ 型化合物の粉末を溶媒と混合しスラリーま はペースト状にし、誘電体層上に塗布し、 成することによって得ることができる。塗 方法としては、スプレーコート、ダイコー 、ロールコート、ディップコート、カーテ コート、スピンコート、グラビアコートな が挙げられるが、スピンコート、スプレー ートが粉末密度をより簡便かつ的確に操作 きる点から特に好ましい。塗布膜の好まし 焼成条件は、スラリーの成分の有機物が分 し、マイエナイト型化合物が薄膜層と十分 固着される100~800℃が好ましい。
マイエナイト型化合物として導電性マイエナ イトを用いる場合には、導電性マイエナイト の酸化作用が促進されないような温度が好ま しい。その際には、100~600℃の温度範囲が好 しい。また、焼成時間は10分程度が好ましい 。

 本発明では、オープンセル放電測定を行い 電開始電圧、陰極降下電圧、二次電子放出 数γを測定できる。
 オープンセル放電測定装置は例えば図6に示 す態様である。オープンセル放電測定装置で は、真空チャンバ内で2つの試料(試料1、試料 2)を対向させ、ArまたはXeなどの希ガスを導入 したのち、両試料間に交流または直流電圧を 印加する。そして、試料間に放電を生じさせ 、放電開始電圧、陰極降下電圧、二次電子放 出係数γを測定することができる。

 以下、実施例によって本発明を説明する。
(Al還元バルク電子密度10 21 /cm -3 のγ)
 炭酸カルシウムと酸化アルミニウムをモル で12:7となるように混合して、大気中で1300 で6時間保持し12CaO・7Al 2 O 3 化合物を作製した。この粉末を1軸プレス機 用いて成型体とし、該成型体を空気中で1350 で3時間保持して、焼結体を作製した。この 焼結体は白色であり、電流電圧計を用いて導 電性を測定したところ、導電性は示さない絶 縁体であった。この焼結体を金属アルミニウ ムと一緒に蓋付きアルミナ容器に入れ、真空 炉中で1300℃まで昇温して10時間保持した後、 室温まで徐冷した。得られた熱処理物は黒茶 色を呈し、X線回折測定によりマイエナイト 化合物であることが確認された。日立製U3500 を用いて測定した光吸収スペクトルから、電 子密度が1.4×10 21 /cm -3 であることがわかった。van der Pauwの方法に り120S/cmの電気伝導率を有することがわかっ た。また、得られた熱処理物の電子スピン共 鳴(以下ESR)シグナルをJEOL社 JES-TE300で測定し ところ、10 21 /cm 3 超の高い電子濃度の導電性マイエナイト型化 合物に特徴的なg値1.994を有する非対称形であ ることがわかった。ここで得られたものは導 電性マイエナイトであり、以下試料Aともい 。

 次に試料Aを、二次電子放出特性測定装置内 にターゲットとして設置した。装置内の真空 度を約10 -5 Paとして、Ne + またはXe + を、加速電圧600eVとして照射したところ、図5 に示すような二次電子放出特性が得られた。 コレクタ電圧が概略70V以上のときγ値が飽和 ることから、放出された二次電子のすべて 捕獲されたことを示している。図5に示すよ うに、このときの二次電子放出係数γの値は コレクタ電圧が70Vで、Ne + 励起による場合は0.31で、Xe + 励起による場合は0.22であった。

 次に、図6に示すオープンセル放電測定装 置を用いて、試料Aの放電開始電圧、二次電 放出係数および陰極降下電圧を測定した。

<放電開始電圧測定試験(その1)>
 初めに、陰極として試料Aおよび陽極として 金属Moを、約0.4mmの間隔で対向させた状態で 空チャンバ内に設置した。ここで陰極およ 陽極の設置には、シリカガラス製の試料用 具を用いた。次に、真空チャンバ内を約10 -4 Paまで排気した後、キセノンガスを導入した そして、1kHzの交流電圧を印加して放電開始 電圧を測定したところ、Pd積が約1.05torr・cmの とき308Vであった。ここで、Pは真空チャンバ のガス圧、dは陰極-陽極間の距離である。
 次に、陰極と陽極とを入れ換えて(すなわち 、陰極として金属Moを用い、陽極として試料A を用いて)、同様の測定を行った。その結果 同一のPd積のときの放電開始電圧は334Vであ た。これより、試料Aを陰極として用いるこ で26Vの電圧低減効果が得られることが分か た。

<二次電子放出係数測定試験(その1)>
 次に、上記のように陰極として試料Aまたは 金属Moを用いた場合の各々について、圧力を 々変化させて、図7に示すようなパッシェン カーブを得た。パッシェンの法則から、試料 Aの二次電子放出係数(γMo(Xe))と、金属Moの二 電子放出係数(γA(Xe))との比(γA(Xe)/γMo(Xe))を めたところ、2.0であった。

<陰極降下電圧(その1)>
 次に、上記のように陰極として試料Aまたは 金属Moを用いた場合の各々について、陰極-陽 極間電圧の時間変化を測定した。その結果、 試料Aを陰極として用いた場合の陰極降下電 は約308Vであった(図8参照)。また、ガス圧お び陰極-陽極間距離を全く同様として、金属 Moを陰極として用いた場合は、陰極降下電圧 約318Vであった。これより試料Aを陰極とし 用いると陰極降下電圧が低減されることが かった。

<放電開始電圧測定試験(その2)>
 次に、キセノンガスに代えてアルゴンガス 導入して、上記の放電開始電圧測定試験(そ の1)と同様に放電開始電圧を測定した。その 果、Pd積が約0.89torr・cm のとき、試料Aを陰 として用いた場合の放電開始電圧は238V、金 属Moを陰極として用いた場合の放電開始電圧 256Vであり、18Vの電圧低減効果が得られるこ とが分かった。

<二次電子放出係数測定試験(その2)>
 同様にキセノンガスに代えてアルゴンガス 導入して、上記の二次電子放出係数測定試 (その1)と同様の操作を行った。そして、試 Aおよび金属Moについてパッシェンカーブを た。その結果、γA(Ar) /γMo(Ar)の値は1.8であ た。

<陰極降下電圧(その2)>
 同様にキセノンガスに代えてアルゴンガス 導入して、上記の陰極降下電圧(その1)と同 の操作を行った。その結果、試料Aを陰極と して用いた場合の陰極降下電圧は約216Vであ 、金属Moを陰極として用いた場合の陰極降下 電圧は約224Vであった。
これより、試料Aを陰極として用いると陰極 下電圧が低減されることが分かった。

 試料A(導電性マイエナイト)を用いて、図1 ~図4を用いて説明した態様1~4に係る蛍光ラン を製造する。これらの態様の本発明の蛍光 ンプは、マイエナイト型化合物の電子放出 性が優れているため、紫外線発光の効率が く、放電効率が高く、放電電圧が低く放電 性が良好で、化学的に安定で、耐酸化性に 優れ、耐スパッタ性にも優れている。

 次に、粉末状のマイエナイト型化合物で る試料を作成し、上記と同様の試験を行っ 。

 初めに、炭酸カルシウムと酸化アルミニウ をモル比で12:7となるように混合して、大気 中で1300℃で6時間保持しC12A7化合物を作製し 。この粉末を1軸プレス機を用いて成型体と 、該成型体を、空気中で、1350℃で3時間保 して、焼結密度が99%超の焼結体を作製した この焼結体は、白色で、導電性を示さない 縁体であった。この焼結体を蓋付のカーボ 坩堝内に保持した後、窒素を通じた管状炉 入れ、1300℃で3時間保持した後、室温まで冷 却した。得られた化合物は、緑色を呈してい た。該化合物について、X線回折、光拡散反 スペクトル、ESRの測定を行って、該化合物 、約10 20 /cm 3 の電子濃度を有する導電性マイエナイトであ ることを確認した(以下、試料Bともいう)。

 次に、この導電性のマイエナイト型化合 を、2-プロパノールおよび直径0.1mmの酸化ジ ルコニアビーズとともに粉砕容器に入れた。 これら質量比は試料B:2-プロパノール:酸化ジ コニアビーズ=1:9:75とした。この粉砕容器を 600回転/時の回転速度で24時間保持した後、内 容物をろ過して試料Bを含むスラリーを作製 た。また、遠心沈降機を用いて当該スラリ 中における試料Bの濃度を調整し、スラリーA を得た。このスラリーAにおける導電性マイ ナイト(試料B)の平均粒径を粒径分布測定装 (Microtrac社製、UPA150)を用いて測定しところ、 800nmであった。

 次に、スピンコート法によって金属モリブ ン板上にスラリーAをコートし、試料Bの粒 が表面に付着した金属モリブデン板(以下、 料Cともいう)を得た。試料Cの表面を光学顕 鏡を用いて観察して、粒子の単位面積当り 存在個数(数密度)を計測したところ、粒子 数密度は約0.06個/μm 2 であった。

 このような試料Cを用いて、上記と同様な 放電開始電圧測定試験および陰極降下電圧測 定試験に供した。

<放電開始電圧測定試験(その3)>
 陰極として試料Cおよび陽極として金属Moを 約0.7mmの間隔で対向させた状態で真空チャ バ内に設置した。次に、真空チャンバ内を 10 -4 Paまで排気した後、アルゴンガスを導入した そして、1kHzの交流電圧を印加して放電開始 電圧を測定したところ、Pd積が約1.79torr・cmの とき200Vであった。
 次に、陰極と陽極とを入れ換えて同様の測 を行った。その結果、同一のPd積のときの 電開始電圧は214Vであった。これより、試料C を陰極として用いることで14Vの電圧低減効果 が得られたことが分かった。

<陰極降下電圧(その3)>
 次に、上記の陰極降下電圧(その1)と同様の 作を行った。その結果、試料Cを陰極として 用いた場合の陰極降下電圧は約192Vであり、 属Moを陰極として用いた場合の陰極降下電圧 は約200Vであった。これより、試料Cを陰極と て用いると陰極降下電圧が低減されること 分かった。

 次に、別の態様のマイエナイト型化合物 試料を作成し、上記と同様の試験を行った

 初めに、炭酸カルシウムと酸化アルミニウ とを、CaOおよびAl 2 O 3 の酸化物換算のモル比で12:7となるように調 し、混合した。得られた混合物を空気中に いて1300℃で6時間程度保持し、固相反応させ た後室温まで冷却した。そして得られた焼結 物をボールミルを用いて粉砕した後、加圧成 形してペレット状にし、再び1350℃に加熱し 焼結体を得た。得られた焼結体を蓋付きカ ボン容器に入れ、容器内を低酸素分圧に保 た状態で、1200~1300℃に2時間保持した後、冷 して導電性マイエナイト型化合物を作製し (以下、試料Dともいう)。さらに、試料Dをボ ールミルを用いて粉砕して粉末とし、ニトロ セルロースおよびテルピネオールと混合して ペーストとした。そしてスクリーン印刷機を 用いて金属タングステン基板上の表面に塗布 した後、空気中において500℃で30分間焼成し その後、さらに真空中においてカーボン容 中で、1200~1300℃で30分間保持することによ 、導電性マイエナイト型化合物が膜状に表 に付着した、タングステン基板を得た(以下 試料Eともいう)。

<放電開始電圧測定試験(その4)>
 放電開始電圧測定試験(その1)と同様の方法 、陰極として試料Eおよび陽極として金属Mo 、約1.3mmの間隔で対向させた状態で真空チ ンバ内に設置した。次に、真空チャンバ内 約10 -4 Paまで排気した後、アルゴンガスを導入した そして、1kHzの交流電圧を印加して放電開始 電圧を測定したところ、Pd積が約1.66torr・cmの とき242Vであった。
 次に、陰極と陽極とを入れ換えて同様の測 を行った。その結果、同一のPd積のときの 電開始電圧は272Vであった。これより、試料E を陰極として用いることで30Vの電圧低減効果 が得られたことが分かった。

<陰極降下電圧(その4)>
 次に、上記の陰極降下電圧(その1)と同様の 作を行った。その結果、試料Eを陰極として 用いた場合の陰極降下電圧は約196Vであり、 属Moを陰極として用いた場合の陰極降下電圧 は約248Vであった。これより、試料Eを陰極と て用いると陰極降下電圧が低減されること 分かった(図9)。

 次に、試料Eに代えて、導電性マイエナイ ト型化合物を塗布する前の、金属タングステ ン基板を陰極として、上記の放電開始電圧測 定(その4)および陰極降下電圧(その4)と同様の 測定を行ったところ、放電開始電圧は260V、 極降下電圧は230Vであった。

<放電開始電圧測定試験(その5)>
 金属タングステン基板の代わりに金属モリ デン基板を用いたこと以外は、試料Eを得る 場合と同様の方法で、試料Fを得た。

 放電開始電圧測定試験(その1)と同様の方法 、陰極として試料Fおよび陽極として金属Mo 、約0.39mmの間隔で対向させた状態で真空チ ンバ内に設置した。次に、真空チャンバ内 約10 -4 Paまで排気した後、アルゴンガスを導入した そして、1kHzの交流電圧を印加して放電開始 電圧を測定したところ、Pd積が約1.48torr・cmの とき228Vであった。
 次に、陰極と陽極とを入れ換えて同様の測 を行った。その結果、同一のPd積のときの 電開始電圧は278Vであった。これより、試料F を陰極として用いることで50Vの電圧低減効果 が得られたことが分かった。

<陰極降下電圧(その5)>
 次に、上記の陰極降下電圧(その1)と同様の 作を行った。その結果、試料Fを陰極として 用いた場合の陰極降下電圧は約178Vであり、 属Moを陰極として用いた場合の陰極降下電圧 は約248Vであった。これより、試料Fを陰極と て用いると陰極降下電圧が低減されること 分かった(図10)。
<放電開始電圧測定試験(その6)>
 金属タングステン基板の代わりに金属ニッ ル基板を用いたこと以外は、試料Eを得る場 合と同様の方法で、試料Gを得た。
 放電開始電圧測定試験(その1)と同様の方法 、陰極として試料Gおよび陽極として金属Mo 、約0.16mmの間隔で対向させた状態で真空チ ンバ内に設置した。次に、真空チャンバ内 約10 -4 Paまで排気した後、アルゴンガスを導入した そして、10Hzの交流電圧を印加して放電開始 電圧を測定したところ、Pd積が約3.45torr・cmの とき212Vであった。
 次に、陰極と陽極とを入れ換えて同様の測 を行った。その結果、同一のPd積のときの 電開始電圧は248Vであった。これより、試料G を陰極として用いることで36Vの電圧低減効果 が得られたことが分かった。
<陰極降下電圧(その6)>
 次に、上記の陰極降下電圧(その1)と同様の 作を行った。その結果、試料Gを陰極として 用いた場合の陰極降下電圧は約164Vであり、 属Moを陰極として用いた場合の陰極降下電圧 は約208Vであった。これより、試料Gを陰極と て用いると陰極降下電圧が低減されること 分かった(図11)。
<放電開始電圧測定試験(その7)>
 金属タングステン基板の代わりに金属コバ ル基板を用いたこと以外は、試料Eを得る場 合と同様の方法で、試料Hを得た。
 放電開始電圧測定試験(その1)と同様の方法 、陰極として試料Hおよび陽極として金属Mo 、約1.3mmの間隔で対向させた状態で真空チ ンバ内に設置した。次に、真空チャンバ内 約10 -4 Paまで排気した後、アルゴンガスを導入した そして、10Hzの交流電圧を印加して放電開始 電圧を測定したところ、Pd積が約2.22torr・cmの とき248Vであった。
 次に、陰極と陽極とを入れ換えて同様の測 を行った。その結果、同一のPd積のときの 電開始電圧は268Vであった。これより、試料H を陰極として用いることで20Vの電圧低減効果 が得られたことが分かった。
<陰極降下電圧(その7)>
 次に、上記の陰極降下電圧(その1)と同様の 作を行った。その結果、試料Hを陰極として 用いた場合の陰極降下電圧は約178Vであり、 属Moを陰極として用いた場合の陰極降下電圧 は約240Vであった。これより、試料Hを陰極と て用いると陰極降下電圧が低減されること 分かった(図12)。

 次に、図1に示したものと同様の放電ラン プであって、導電性マイエナイト型化合物か らなる放電電極を用いたものと、その代わり に金属モリブデンからなる放電電極を用いた ものとを作製し、各々の陰極降下電圧および 放電開始電圧を測定して比較した。

<放電ランプ作製(その1)>
 初めに、導電性マイエナイト型化合物を放 電極として用いて、図1と同様の放電ランプ を作製した。この放電ランプは、ガラス管の 両端に放電電極が封着され、ガラス管内の放 電空間には放電ガスとしてArガスが封入され 構成されている。ただし、ガラス管の内面 は蛍光体14は塗布されていない。そして、 方の端の放電電極は、導電性マイエナイト 化合物からなるカップと、カップに固定さ たねじつきのニッケル製のピンと、このピ に溶接されたKovar製のリード線とからなるも のであり、カップは円筒状であって、外径8mm 、内径5mm、長さ16mm、深さ5mmであり、円筒状 窪みであるhollow部を有している。また、リ ド線はガラス管の内部から外部まで出てい 。また、他方の端の放電電極は、金属ニッ ルからなるカップが用いられている他は、 記の一方の端の放電電極と同様である。こ ら2つの放電電極は1cmの間隔でhollow部を対向 せて配置されている。この放電ランプは、 電ガスと接する内面に、マイエナイト型化 物が配置されている。

 このような放電ランプを以下の手順で作製 た。
 初めに、炭酸カルシウムと酸化アルミニウ とを、CaOおよびAl 2 O 3 の酸化物換算のモル比で12:7となるように調 し、混合した。得られた混合物を空気中に いて1300℃で6時間程度保持し、固相反応させ た後室温まで冷却した。そして得られた焼結 物をボールミルを用いて粉砕した後、加圧成 形してペレット状にし、再び1350℃に加熱し 焼結体を得た。
 次に、得られた焼結体を切削加工してカッ 状に成型した後、蓋つきのカーボン容器に れ、真空中において1200~1300℃で6時間保持し た。
 次に、得られた導電性マイエナイト型化合 からなるカップを、円盤状ガラス(以下、ス テムともいう)に封着されたリード線部と接 した。火炎旋盤を用いて、このステムとガ ス管の端部とを接合して、一体のガラス管 した。また、ガラス管のもう一方の端には ニッケルからなるカップを有する放電電極 リード線およびステムを、同様な操作で接 した。このガラス管を排気台に設置して、 テム部に設けられた排気管を用いて、油拡 ポンプにより、10 -6 Torr に排気した後、500℃で3時間保持して、 空加熱排気を行った。さらに、ガラス管内 Arガスを5Torrの圧力で導入した後、排気管を じて、放電ランプを作製した(以下、放電ラ ンプAともいう)。

 次に、放電ランプAに直流電圧を印加して 放電ランプAを放電させた。ここで、導電性 イエナイト型化合物からなる放電電極を陰 とした。さらに印加電圧を変化させて、最 放電維持電圧を測定したところ、110Vであっ 。この放電ランプは、電極間隔が1cmであり 陽光柱もほぼ生じていないことから、この きの陰極降下電圧は110Vである。また、印加 電圧を10Hzのパルス形状として、放電開始電 を測定したところ、310Vであった。

<放電ランプ作製(その2)>
 放電電極として、マイエナイト型化合物に えて、同形状に加工した金属モリブデンを い、かつ、金属モリブデンにあらかじめ1000 ℃での真空熱処理を行ったこと以外は、上記 の<放電ランプ作製(その1)>と同様の操作 行って、放電ランプを作製した(以下、放電 ランプBともいう)。この放電ランプの陰極降 電圧は170Vであった。また、放電開始電圧は 、336Vであった。

 上記の放電ランプAおよびBの陰極降下電 および放電開始電圧の比較から、マイエナ ト型化合物を放電ランプに用いると、陰極 下電圧および放電開始電圧が低下すること わかった。

<放電ランプ作製(その3)>
 放電ガスとして、Arに代えて、Xeを用いたこ と以外は、<放電ランプ作製(その1)>と同 の操作を行って放電ランプを作製した(以下 、放電ランプCともいう)。
 そして、<放電ランプ作製(その1)>と同 に、導電性マイエナイト型化合物からなる 電電極を陰極とし、直流電圧を印加して、 電ランプCを放電させた。さらに印加電圧を 化させて、最低放電維持電圧を測定したと ろ150Vであった。この放電ランプは電極間隔 が1cmであり、陽光柱もほぼ生じていないこと から、陰極降下電圧は150Vである。
 また、印加電圧を10Hzのパルス形状として、 放電開始電圧を測定したところ342Vであった

<放電ランプ作製(その4)>
 放電電極として、マイエナイト型化合物に えて、同形状に加工したモリブデン金属を いて、かつ、モリブデン金属にあらかじめ1 000℃での真空熱処理を行ったこと以外は、上 記の<放電ランプ作製(その3)>と同様の操 を行って、放電ランプを作製した(以下、放 電ランプDともいう)。この放電ランプの陰極 下電圧は198Vであった。また、放電開始電圧 は、440Vであった。

 上記の放電ランプCおよびDの陰極降下電圧 よび放電開始電圧の比較から、マイエナイ 型化合物を放電ランプに用いると、陰極降 電圧および放電開始電圧が低下することが かった。
次に、図1に示したものと同様の放電ランプ 一形態である冷陰極蛍光ランプであって、 電性マイエナイト型化合物からなる放電電 を用いたものと、その代わりに金属モリブ ンからなる放電電極を用いたものとを作製 、各々の最低放電維持電圧、管電流、発光 度および発光効率を測定して比較した。

<冷陰極蛍光ランプ作製(その1)>
 初めに、導電性マイエナイト型化合物を放 電極として用いて、図1と同様の放電ランプ である冷陰極蛍光ランプを作製した。この冷 陰極蛍光ランプは、ガラス管の両端に放電電 極が封着され、ガラス管内の放電空間には放 電ガスとしてArガスが封入されて構成されて る。ガラス管は外径3mm,内径2mmであり、ガラ ス管の内面には蛍光体が塗布されていて、蛍 光体が塗布された領域の長さは15cmであった そして、放電電極は、直径0.8mm、長さ6mmの円 筒状の導電性マイエナイト型化合物と、マイ エナイト型化合物を固定する、外径1mm,内径0. 8mmのニッケル製のスリーブと、このスリーブ に溶接されたKovar製のリード線とからなるも である。また、リード線はガラス管の内部 ら外部まで出ている。これら2つの放電電極 は約16cmの間隔で導電性マイエナイト型化合 を対向させて配置されている。この放電ラ プは、放電ガスと接する内面に、マイエナ ト型化合物が配置されている。

 このような冷陰極蛍光ランプを以下の手順 作製した。
 初めに、炭酸カルシウムと酸化アルミニウ とを、CaOおよびAl 2 O 3 の酸化物換算のモル比で12:7となるように調 し、混合した。得られた混合物を空気中に いて1300℃で6時間程度保持し、固相反応させ た後室温まで冷却した。そして得られた焼結 物をボールミルを用いて粉砕した後、加圧成 形してペレット状にし、再び1350℃に加熱し 焼結体を得た。
 次に、得られた焼結体を切削加工してカッ 状に成型した後、蓋つきのカーボン容器に れ、真空中において1200~1300℃で6時間保持し た。
 次に、得られた導電性マイエナイト型化合 からなる放電電極を、ガラス管の一方の端 封着した。このガラス管を排気台に設置し 、ガラス管の放電電極が封着されていない もう一方の端を用いて、油拡散ポンプによ 、10 -6 Torr に排気した後、500℃で3時間保持して、 空加熱排気を行った。さらに、ガラス管内 水銀およびArガスを30Torrの圧力で導入した後 、あらかじめガラス管の端部に設置した導電 性マイエナイト型化合物からなる放電電極を 封着して、冷陰極蛍光ランプを作製した(以 、冷陰極蛍光ランプAともいう)。

 次に、冷陰極蛍光ランプAと108kωの抵抗を 直列に接続したのち、方形波のパルス電圧( 期50μ秒、ディーティ比0.4)を、各放電電極が 交互に陰極となるように印加して、冷陰極蛍 光ランプAを放電させた。印加電圧を変化さ て、最低放電維持電圧を測定したところ、54 0Vであった。また、管電流および輝度を測定 、発光効率を求めたところ(図13)、印加電圧 が1kVのときの冷陰極蛍光ランプAの発光効率 、71lm/Wであることがわかった。

<冷陰極蛍光ランプ作製(その2)>
 放電電極として、マイエナイト型化合物に えて、同形状に加工した金属モリブデンを い、かつ、金属モリブデンにあらかじめ1000 ℃での真空熱処理を行ったこと以外は、上記 の<冷陰極蛍光ランプ作製(その1)>と同様 操作を行って、冷陰極蛍光ランプを作製し (以下、冷陰極蛍光ランプBともいう)。この 陰極蛍光ランプの最低放電維持電圧は、580V であった。また、管電流および輝度を測定し 、発光効率を求めたところ(図13)、印加電圧 1kVのときの冷陰極蛍光ランプBの発光効率は 65lm/Wであった。
 上記の冷陰極蛍光ランプAおよびBの最低放 維持電圧および発光効率の比較から、マイ ナイト型化合物を放電ランプに用いると、 低放電維持電圧が低下し、発光効率が高く ることがわかった。

 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照 て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱 ることなく様々な変更や修正を加えること できることは、当業者にとって明らかであ 。
 本出願は、2008年5月30日出願の日本特許出願 2008-142911、2008年11月26日出願の日本特許出願20 08-300978および2009年4月6日出願の日本特許出願 2009-092082に基づくものであり、その内容はこ に参照として取り込まれる。

 本発明により、放電ガスを含むガラスで まれた放電空間と、放電電極と、蛍光体と 備え、前記放電空間内部の少なくとも一部 マイエナイト型化合物が配置されている蛍 ランプの製作が簡便化され、二次電子放出 数が高いため放電特性の良好な蛍光ランプ 得られ、蛍光ランプの省電力化が実現され 。

 11、21、31、41  冷陰極蛍光管
 12、22、32、42  ガラス管
 421  前面ガラス基板
 422  背面ガラス基板
 13、23(a、b)、33(a、b)、43(a、b)  放電電極
 131 カップ
 132 リード線
 14、24、34、44  蛍光体
 15、25、35、45  放電空間
 16、26、36、46  放電ガス
 17、27、37  マイエナイト型化合物
 38  反射膜
 39  チューブ
 48  誘電体層