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Title:
FRICTION ROLLER TYPE POWER TRANSMISSION DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/093570
Kind Code:
A1
Abstract:
A friction roller (32) is radially pressed, under control by rotation of a crankshaft (41), toward a friction roller (31), and this enables torque to be transmitted between the rollers (31, 32). A radial pressing reaction force between the rollers disappears in the form of an internal force in bearing supports (23, 25) and is not inputted into a housing (11). At the center between opposite-end bearing fitting sections of the bearing supports (23, 25), there is provided a constricted section for reducing the supporting rigidity against a radial pressing reaction force between the rollers.

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Inventors:
MORI ATSUHIRO
SAKAGAMI EIGO
Application Number:
PCT/JP2009/050749
Publication Date:
July 30, 2009
Filing Date:
January 20, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NISSAN MOTOR (JP)
MORI ATSUHIRO
SAKAGAMI EIGO
International Classes:
F16H13/04; F16H13/10
Foreign References:
JP2003247617A2003-09-05
JP2005188701A2005-07-14
JP2002349653A2002-12-04
JP2003028251A2003-01-29
Other References:
See also references of EP 2246593A4
None
Attorney, Agent or Firm:
HASHIMOTO, Takeshi et al. (Ekisaikai Bldg. 1-29,Akashi-cho,Chuo-k, Tokyo 44, JP)
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Claims:
 一対の摩擦ローラを互いに、直接的または間接的に径方向に押し付けて摩擦接触させ、これにより該摩擦ローラ間で動力の受け渡しが可能となるようにした摩擦ローラ式伝動装置において、
 前記摩擦ローラの一方をクランクシャフトに対して偏心軸線を中心に回転自在に支持して、該クランクシャフトの回転位置制御により前記摩擦ローラ間の径方向押し付け力を加減し得るようになし、
 前記摩擦ローラ対を挟んでその軸線方向両側に配置したベアリングサポートにそれぞれ、前記一方の摩擦ローラに係わるクランクシャフト、および、他方の摩擦ローラに係わる摩擦ローラ軸を軸受嵌合することにより、前記摩擦ローラ間の径方向押し付け反力を前記両ベアリングサポートで受け止めるようになし、
 前記各ベアリングサポートの両端軸受嵌合部間における中央部に、前記摩擦ローラ間径方向押し付け反力に対する支持剛性を低下させるための括れ部を設けた摩擦ローラ式伝動装置。
 請求項1に記載の摩擦ローラ式伝動装置において、
 前記括れ部は、前記ベアリングサポートの中央部に、前記軸受嵌合部の中心軸線方向へ延在する厚さ方向溝を設けて設定した摩擦ローラ式伝動装置。
 請求項1または2に記載の摩擦ローラ式伝動装置において、
 前記括れ部は、前記ベアリングサポートの中央部に、前記両端軸受嵌合部の中心軸線を含む面を横切る方向へ延在する幅方向溝を設けて設定した摩擦ローラ式伝動装置。
 前記一対の摩擦ローラを互いに直接径方向に押し付けて摩擦接触させた、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の摩擦ローラ式伝動装置において、
 前記一対の摩擦ローラの半径の合計を、前記一方の摩擦ローラに係わるクランクシャフト、および、他方の摩擦ローラに係わる摩擦ローラ軸間の軸間距離よりも大きくした摩擦ローラ式伝動装置。
 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の摩擦ローラ式伝動装置において、
 前記摩擦ローラ間径方向押し付け力の制御に用いる前記クランクシャフトの摩擦ローラ間径方向押し付け力増大方向における回転角最大値を、クランクシャフトの回転に必要なクランクシャフト回転駆動トルクの変化割合が逆転する変極点のクランクシャフト回転角よりも大きくした摩擦ローラ式伝動装置。
 第1の方向の回転軸を有する第1の摩擦ローラと、
 前記第1の摩擦ローラと摩擦によるトルク伝達可能に配置された第2の摩擦ローラであって、前記第1の摩擦ローラの前記回転軸から第2の方向上に位置し、前記第1の方向に略平行の回転軸を有する該第2の摩擦ローラと、
 前記第2の摩擦ローラを偏心軸線を中心に回転自在に支持するクランクシャフトであって、回転によって前記第1及び第2の摩擦ローラ間の径方向押し付け力を変化させる該クランクシャフトと、
 前記第1の摩擦ローラ軸支する第1の軸受支持部、及び前記クランクシャフトを軸支する第2の軸受支持部を有するベアリングサポートであって、該軸受支持部間に、前記第1及び第2の方向に共に垂直な方向の寸法が該軸受支持部と比較して小さい中央部を有する該ベアリングサポート、
 を有する摩擦ローラ式伝動装置。
 第1の方向の回転軸を有する第1の摩擦ローラと、
 前記第1の摩擦ローラと摩擦によるトルク伝達可能に配置された第2の摩擦ローラであって、前記第1の方向に略平行の回転軸を有する該第2の摩擦ローラと、
 前記第2の摩擦ローラを偏心軸線を中心に回転自在に支持するクランクシャフトであって、回転によって前記第1及び第2の摩擦ローラ間の径方向押し付け力を変化させる該クランクシャフトと、
 前記第1の摩擦ローラ軸支する第1の軸受支持部、及び前記クランクシャフトを軸支する第2の軸受支持部を有するベアリングサポートであって、該軸受支持部間に、前記第1の方向の寸法が該軸受支持部と比較して小さい中央部を有する該ベアリングサポート、
 を有する摩擦ローラ式伝動装置。
 請求項6又は7のいずれか1項に記載の摩擦ローラ式伝動装置において、
 前記第1及び第2の摩擦ローラは互いに直接接触してトルク伝達を行い、
 前記第1及び第2の摩擦ローラの半径の合計が、前記クランクシャフトの回転軸及び前記第1の摩擦ローラの前記回転軸間の距離よりも大きい、
 摩擦ローラ式伝動装置。
 請求項6乃至8のいずれか1項に記載の摩擦ローラ式伝動装置において、
 前記クランクシャフトの回転に必要なトルクが、前記クランクシャフトの制御回転範囲の両端以外で変化割合が逆転する変極点をもつ、
 摩擦ローラ式伝動装置。
Description:
摩擦ローラ式伝動装置

 本発明は、四輪駆動車両のトランスファ (駆動力配分装置)等に用いるのに有利な摩 ローラ式伝動装置に関するものである。

発明の背景

 四輪駆動車両のトランスファー(駆動力配分 装置)としては通常、例えば特許文献1に記載 ようなものが用いられる。
 この文献に記載の駆動力配分装置は、遊星 車組を用いた四輪駆動車両のトランスファ で、
 遊星歯車組のキャリアに変速機からのトル を入力し、このトルクをキャリアから、サ ギヤおよびリングギヤを経て主駆動輪およ 従駆動輪に分配出力することにより、主従 動輪間の駆動力配分を決定するものである

特開2005-337442号公報

発明の概要

 しかし、上記のものに代表されるように従 の駆動力配分装置は、遊星歯車組などの歯 組を用いて主従駆動輪間での駆動力配分を うものであるため、
 主駆動輪へのトルク(主駆動輪トルク)と、 駆動輪へのトルク(従駆動輪トルク)の配分比 が、歯車諸元(特許文献1の構成では、サンギ 歯数およびリングギヤ歯数)で一義的に決ま ってしまう。

 従って、主駆動輪トルクと従駆動輪トル の配分比が、全トルク域に亘って同じにな 、駆動力配分装置への入力トルクが大きく ると、主駆動輪トルクが大きくなるのは勿 であるが、それに応じて従駆動輪トルクも きくなる。

 ところで昨今は、地球温暖化や燃料費の高 から車両の燃費向上が社会的な重要課題と っており、燃費向上の対策としては車両の 量化が有効な手だてとして知られている。
 そして、かかる車両の軽量化を実現しよう すると、車両のコンパクト化を避けて通れ 、そのため、四輪駆動車両における従駆動 の駆動系も、その強度を必要最小限のもの して小型化する必要がある。

 しかし従来の駆動力配分装置のように、主 駆動輪トルク配分比が全トルク域に亘って じで、駆動力配分装置への入力トルクが大 くなると、主駆動輪トルクと同様の傾向を って従駆動輪トルクも大きくなるのでは、
 大トルク入力時に従駆動輪トルクが、上記 理由から小型化せざるを得ない従駆動輪駆 系の強度を越えてしまうことになる。

 従って従来の歯車式駆動力配分装置は、 両のコンパクト化などの要求から従駆動輪 動系を小型化せざるを得なくなった四輪駆 車両のトランスファーとして用いることが きないという問題を有する。

 本発明は、上記の実情に鑑み、従駆動輪 のトルクを上限設定可能な駆動力配分装置 として有用な摩擦ローラ式伝動装置を提供 、もって、上述した問題を解消することを 1の目的とする。

 そこで本発明は、一対の摩擦ローラを互い 径方向に押し付けて摩擦接触させ、これに り該摩擦ローラ間で動力の受け渡しが可能 なるような摩擦ローラ式伝動装置を前提と るが、
 本発明は更に、かかる摩擦ローラ式伝動装 を、摩擦ローラ間径方向押し付け力制御に り伝達トルク容量を制御可能にして一層有 なものにすると共に、摩擦ローラ間径方向 し付け反力がハウジングに入力されること ないようにしてハウジングの軽量化を実現 、併せて、上記摩擦ローラ間径方向押し付 力制御(伝達トルク容量制御)の制御精度を 上させることを目的とする。

 この目的のため、本発明による摩擦ローラ 伝動装置は、
 一対の摩擦ローラを互いに、直接的または 接的に径方向に押し付けて摩擦接触させ、 れにより該摩擦ローラ間で動力の受け渡し 可能となるようにしたものであって、
 前記摩擦ローラの一方をクランクシャフト 対して偏心軸線を中心に回転自在に支持し 、該クランクシャフトの回転位置制御によ 前記摩擦ローラ間の径方向押し付け力を加 し得るようになし、
 前記摩擦ローラ対を挟んでその軸線方向両 に配置したベアリングサポートにそれぞれ 前記一方の摩擦ローラに係わるクランクシ フト、および、他方の摩擦ローラに係わる 擦ローラ軸を軸受嵌合することにより、前 摩擦ローラ間の径方向押し付け反力を前記 ベアリングサポートで受け止めるようにな 、
 前記各ベアリングサポートの両端軸受嵌合 間における中央部に、前記摩擦ローラ間径 向押し付け反力に対する支持剛性を低下さ るための括れ部を設けたことを特徴とする のである。

 また、本発明による摩擦ローラ式伝動装置 、
 第1の方向の回転軸を有する第1の摩擦ロー と、
 前記第1の摩擦ローラと摩擦によるトルク伝 達可能に配置された第2の摩擦ローラであっ 、前記第1の摩擦ローラの前記回転軸から第2 の方向上に位置し、前記第1の方向に略平行 回転軸を有する該第2の摩擦ローラと、
 前記第2の摩擦ローラを偏心軸線を中心に回 転自在に支持するクランクシャフトであって 、回転によって前記第1及び第2の摩擦ローラ の径方向押し付け力を変化させる該クラン シャフトと、
 前記第1の摩擦ローラ軸支する第1の軸受支 部、及び前記クランクシャフトを軸支する 2の軸受支持部を有するベアリングサポート あって、該軸受支持部間に、前記第1及び第 2の方向に共に垂直な方向の寸法が該軸受支 部と比較して小さい中央部を有する該ベア ングサポート、
 を有するものである。

 また、本発明による摩擦ローラ式伝動装置 、
 第1の方向の回転軸を有する第1の摩擦ロー と、
 前記第1の摩擦ローラと摩擦によるトルク伝 達可能に配置された第2の摩擦ローラであっ 、前記第1の方向に略平行の回転軸を有する 第2の摩擦ローラと、
 前記第2の摩擦ローラを偏心軸線を中心に回 転自在に支持するクランクシャフトであって 、回転によって前記第1及び第2の摩擦ローラ の径方向押し付け力を変化させる該クラン シャフトと、
 前記第1の摩擦ローラ軸支する第1の軸受支 部、及び前記クランクシャフトを軸支する 2の軸受支持部を有するベアリングサポート あって、該軸受支持部間に、前記第1の方向 の寸法が該軸受支持部と比較して小さい中央 部を有する該ベアリングサポート、
 を有するものである。

本発明の一実施例になる摩擦ローラ式 動装置を駆動力配分装置として用いた四輪 動車両のパワートレーンを、車両上方から て示す概略平面図である。 図1における駆動力配分装置(摩擦ロー 式伝動装置)の縦断側面図である。 図2のIII-III線上で断面とし、矢の方向 見て示す、第2摩擦ローラから出力軸への駆 力伝達部の縦断正面図である。 図1における駆動力配分装置の別の構成 を示す縦断側面図である。 図4に示す駆動力配分装置で用いたクラ ンクシャフトを示す縦断正面図である。 図2に示す駆動力配分装置(摩擦ローラ 伝動装置)の摩擦ローラ間径方向押し付け力 対する摩擦ローラ間伝達トルク容量の変化 性を示す特性線図である。 図2に示す駆動力配分装置(摩擦ローラ 伝動装置)のクランクシャフト回転角に対す 摩擦ローラ間径方向押し付け力の変化特性 、図2の対策が行われていない場合における 変化特性と比較して示す特性線図である。 図2に示す駆動力配分装置(摩擦ローラ 伝動装置)のベアリングサポートを示し、(a) 、これに設けた軸受嵌合部の軸線方向に見 示す正面図、(b)は、その側面図である。 本発明の他の実施例を示す、図8と同様 なベアリングサポートの図面で、(a)は、該ベ アリングサポートの正面図、(b)は、該ベアリ ングサポートの側面図である。 本発明の更に他の実施例を示す、図8 同様なベアリングサポートの図面で、(a)は 該ベアリングサポートの正面図、(b)は、該 アリングサポートの側面図である。 本発明の更に別の実施例を示す、図8(a )と同様なベアリングサポートの正面図であ 。 本発明の更に別の実施例を示す、図9(b )と同様なベアリングサポートの側面図であ 。 図2に示す駆動力配分装置(摩擦ローラ 伝動装置)における第1,2摩擦ローラ間の径方 向押し付け力制御要領を示す説明図で、(a)は 、第1,2摩擦ローラの半径の和値を入出力軸間 距離と同じにした場合の摩擦ローラ間径方向 押し付け力制御要領を示す説明図、(b)は、第 1,2摩擦ローラの半径の和値を入出力軸間距離 よりも大きくした場合の摩擦ローラ間径方向 押し付け力制御要領を示す説明図である。 図2に示す駆動力配分装置(摩擦ローラ 伝動装置)のクランクシャフト回転角と、ク ランクシャフト回転駆動トルクおよび摩擦ロ ーラ間伝達トルク容量との相関関係を示す特 性線図である。

詳細な説明

 本発明の摩擦ローラ式伝動装置によれば、
 一対の摩擦ローラ間で摩擦接触により動力 受け渡しを行うことから、摩擦ローラ間径 向押し付け力で決まる伝達トルク容量の範 を越えた大きなトルクがローラ間で受け渡 れることがなく、
 四輪駆動車両の駆動力配分装置として用い 場合において、従駆動輪へのトルクを上限 定し得ることとなる。

 よって、摩擦ローラ式伝動装置への入力ト クが大きくなっても、従駆動輪トルクが上 の上限を越えて大きくなることはなく、
 本発明の摩擦ローラ式伝動装置は、車両コ パクト化などの要求から従駆動輪駆動系を 型化せざるを得なくなった四輪駆動車両に いても、その駆動力配分装置として用いる とができる。

 また本発明の摩擦ローラ式伝動装置によれ 、
 前記摩擦ローラの一方をクランクシャフト 対して偏心軸線を中心に回転自在に支持し 、該クランクシャフトの回転位置制御によ 前記摩擦ローラ間の径方向押し付け力を加 し得るようになしたから、
 摩擦ローラ間径方向押し付け力で決まる伝 トルク容量を自由に制御することができ、 の伝達トルク容量に関する広範な要求に自 に応え得て大いに有用である。

 更に本発明の摩擦ローラ式伝動装置によれ 、
 摩擦ローラ対の軸線方向両側に配置したベ リングサポートが、摩擦ローラ間径方向押 付け反力を受け止めてハウジングに伝達し いため、ハウジングの軽量化を実現するこ ができる。

 ところで、上記の目的のため摩擦ローラ の軸線方向両側に設けたベアリングサポー は、摩擦ローラ間径方向押し付け反力に対 る大きな支持剛性故に、前記したクランク ャフトの回転位置制御による摩擦ローラ間 方向押し付け力制御(伝達トルク容量制御) 際し、クランクシャフトの回転角に対する 擦ローラ間径方向押し付け力変化割合(伝達 ルク容量変化割合)を急なものとなし、摩擦 ローラ間径方向押し付け力制御(伝達トルク 量制御)に用い得るクランクシャフトの回転 範囲が狭くなり、当該制御の精度が悪くな 傾向にある。

 しかして本発明によれば、各ベアリングサ ートの両端軸受嵌合部間における中央部に 摩擦ローラ間径方向押し付け反力に対する 持剛性を低下させるための括れ部を設けた め、
 摩擦ローラ間径方向押し付け反力によるベ リングサポートの撓み量が大きくなり、そ 分だけ、クランクシャフトの回転角に対す 摩擦ローラ間径方向押し付け力変化割合(伝 達トルク容量変化割合)が緩やかで、摩擦ロ ラ間径方向押し付け力制御(伝達トルク容量 御)に用い得るクランクシャフトの回転角範 囲が広くなり、当該制御の精度を向上させる ことができる。

 以下、本発明の実施の形態を、図面に示す 施例に基づき詳細に説明する。
 図1は、本発明の一実施例になる摩擦ローラ 式伝動装置を駆動力配分装置(トランスファ )1として具えた四輪駆動車両のパワートレー ンを、車両上方から見て示す概略平面図であ る。

 図1の四輪駆動車両は、エンジン2からの回 を変速機3による変速後、リヤプロペラシャ ト4およびリヤファイナルドライブユニット 5を経て左右後輪6L,6Rに伝達される後輪駆動車 をベース車両とし、
 左右後輪(主駆動輪)6L,6Rへのトルクの一部を 、駆動力配分装置1の摩擦伝動より、フロン プロペラシャフト7およびフロントファイナ ドライブユニット8を経て左右前輪(従駆動 )7L,7Rへ伝達することにより、四輪駆動走行 可能となるようにした車両である。

 駆動力配分装置(摩擦ローラ式伝動装置)1 、上記のごとく左右後輪(主駆動輪)6L,6Rへの トルクの一部を左右前輪(従駆動輪)7L,7Rへ分 して出力することにより、左右後輪(主駆動 )6L,6Rおよび左右前輪(従駆動輪)9L,9R間の駆動 力配分を決定するもので、本実施例において は、この駆動力配分装置(摩擦ローラ式伝動 置)1を図2に示すように構成する。

 図2において、ハウジング11内に長い入力軸1 2、および、短い出力軸13と、この出力軸13に ードルベアリング42を介し同軸突き合わせ 態で相対回転可能に軸受嵌合したクランク ャフト41とよりなる軸ユニットを、相互に平 行に配して横架する。
 入力軸12は、その両端をハウジング11の軸貫 通孔11a,11bに挿通し、該入力軸12の両端と、ハ ウジング11の軸貫通孔11a,11bとの間にボールベ アリング14,15を介在させ、これらボールベア ング14,15を介し入力軸12の両端をハウジング 11に回転自在に支持する。

 出力軸13およびクランクシャフト41とより なる軸ユニットは、該軸ユニットの両端をハ ウジング11の軸貫通孔11c,11dに挿通し、該軸ユ ニットの両端と、ハウジング11の軸貫通孔11c, 11dとの間にボールベアリング16,17を介在させ これらボールベアリング16,17を介し上記軸 ニットの両端をハウジング11に回転自在に支 持する。

 上記のごとくハウジング11内に回転自在に 架して支承した入力軸12および軸ユニット( 力軸13およびクランクシャフト41)のうち、入 力軸12には、ハウジング11内に配したローラ アリング18,19を嵌合し、軸ユニット13,41には 同じくハウジング11内に配したローラベア ング21,22を嵌合する。
 ローラベアリング18,21はそれぞれ、出力軸13 およびクランクシャフト41の同軸突き合わせ 受嵌合部に介在させたニードルベアリング4 2とほぼ同じ軸直角面内に位置させ、ローラ アリング19,22は、ローラベアリング18,21から 線方向に離間した別の軸直角面内に位置さ る。

 ニードルベアリング42とほぼ同じ軸直角面 に位置させた、入出力軸12,13用のローラベア リング18,21をそれぞれ、共通な第1のベアリン グサポート23の軸受嵌合部23a,23b内に抱持し、 このベアリングサポート23をハウジング11の 応する内側面に沿うよう配置し、
 また、別の軸直角面内に位置させた、入力 12およびクランクシャフト41用のローラベア リング19,22をそれぞれ、共通な第2のベアリン グサポート25の軸受嵌合部25a,25b内に抱持し、 このベアリングサポート25をハウジング11の 応する内側面に沿うよう配置する。

 入力軸12の両端をそれぞれ、該入力軸12の両 端とハウジング11の軸貫通孔11a,11bとの間に介 在させたシールリング27,28による液密封止下 ハウジング11から突出させ、該入力軸12の図 中左端を変速機3(図1参照)の出力軸に結合し 図中右端はリヤプロペラシャフト4(図1参照) 介してリヤファイナルドライブユニット5に 結合する。
 出力軸13の図中左端を、該出力軸13とハウジ ング11の軸貫通孔11cとの間に介在させたシー リング29による液密封止下でハウジング11か ら突出させ、該出力軸13の突出左端はフロン プロペラシャフト7(図1参照)を介してフロン トファイナルドライブユニット8に結合する

 入力軸12の軸線方向中程には、第1摩擦ロー 31を同心に一体成形して設ける。
 従って入力軸12は、第1摩擦ローラ31の軸(摩 ローラ軸)をも構成する。
 クランクシャフト41は、両端回転支承部17,42 間に半径がRの偏心軸部41aを有し、この偏心 部41aは、その軸心O 3 をクランクシャフト41(出力軸13)の回転軸線O 2 からεだけオフセットさせると共に、入力軸1 2上の第1摩擦ローラ31と同じ軸直角面内に位 させる。
 そして、クランクシャフト41の偏心軸部41a にローラベアリング44を介し、第2摩擦ロー 32を回転自在に、しかし軸線方向位置決め状 態で取り付け、クランクシャフト41と出力軸1 3とよりなる軸ユニットは、第2摩擦ローラ32 軸(摩擦ローラ軸)をも構成する。

 上記の構成によって、第2摩擦ローラ32の回 軸線は偏心軸部41aの軸心O 3 と同じになり、クランクシャフト41の回転位 制御により第2摩擦ローラ回転軸線O 3 (偏心軸部41aの軸心)を、クランクシャフト回 軸線(出力軸回転軸線)O 2 の周りに回転させることで、第1摩擦ローラ31 および第2摩擦ローラ32の軸間距離L1(第1摩擦 ーラ31の回転軸線O 1 および第2摩擦ローラ32の回転軸線O 3 間の距離)を加減すれば、
 第1摩擦ローラ31に対する第2摩擦ローラ32の 方向押し付け力(第1,2摩擦ローラ31,32間の伝 トルク容量)を自在に制御することができる 。

 この摩擦ローラ間伝達トルク容量制御を可 にするため、出力軸13から遠いクランクシ フト41の図中右端は、該クランクシャフト41 右端とハウジング11の軸貫通孔11dとの間に 在させたシールリング43による液密封止下で ハウジング11から外部に露出させる。
 そして、クランクシャフト41の露出端面に ローラ間押し付け力制御モータ45の出力軸45a をセレーション嵌合などにより駆動結合し、 このローラ間押し付け力制御モータ45をハウ ング11に取着する。

 上記のモータ45による制御下で第2摩擦ロー 32を第1摩擦ローラ31に向け径方向へ押し付 ることにより、これらローラ31,32の外周面同 士が符号31a,32aで示す箇所において摩擦接触 、この摩擦接触部31a,32aを経て第1摩擦ローラ 31から第2摩擦ローラ32へトルクを伝達するこ ができる。
 これにより回転される第2摩擦ローラ32の回 を、第2摩擦ローラ32の摩擦ローラ軸である 力軸13へ伝達し得るようにするため、出力 13の内端にフランジ部13aを一体成形して設け 、該フランジ部13aの直径を第2摩擦ローラ32と 軸線方向に対面する大きさにする。

 第2摩擦ローラ32と対面する出力軸フランジ 13aに、第2摩擦ローラ32へ向けて突出する複 個の駆動ピン46を固設し、これら駆動ピン46 を図3に示すごとく同一円周上に等間隔に配 する。
 出力軸フランジ部13aと対面する第2摩擦ロー ラ32の端面には、駆動ピン46が個々に貫入し 第2摩擦ローラ32から出力軸13(フランジ部13a) のトルク伝達を可能にするための複数個の 47を穿設する。
 そして、これら駆動ピン貫入孔47を図3に明 するごとく、駆動ピン46の直径よりも大径 円孔とし、その直径は、出力軸13の回転軸線 O 2 および第2摩擦ローラ32の回転軸線O 3 間の偏心量εを吸収しつつ上記した第2摩擦ロ ーラ32から出力軸13(フランジ部13a)へのトルク 伝達を可能にするのに必要な直径とする。

 上記した図1乃至3に示す摩擦ローラ式伝動 置(駆動力配分装置)1の作用を以下に説明す 。
 変速機3からの出力トルクは図2の左端から 12へ入力され、一方では、この入力軸12から のままリヤプロペラシャフト4およびリヤフ ァイナルドライブユニット5を経て左右後輪6L ,6R(主駆動輪)に伝達される。
 他方で駆動力配分装置(摩擦ローラ式伝動装 置)1は、左右後輪6L,6Rへのトルクの一部を、 1摩擦ローラ31から、第1摩擦ローラ31および 2摩擦ローラ32間の摩擦接触部31a,32a、第2摩擦 ローラ32、駆動ピン46、出力軸フランジ13aを 次経て出力軸13に向かわせ、
 その後このトルクを、出力軸13の図2中左端 ら、フロントプロペラシャフト7およびフロ ントファイナルドライブユニット8を経て左 前輪(従駆動輪)7L,7Rへ伝達する。
 かくして車両は、左右後輪6L,6R(主駆動輪)お よび左右前輪(従駆動輪)7L,7Rの全てを駆動し の四輪駆動走行が可能である。

 ところで駆動力配分装置(摩擦ローラ式伝動 装置)1は、上記のごとく左右後輪(主駆動輪)6L ,6Rへのトルクの一部を左右前輪(従駆動輪)7L,7 Rへ分配して出力することにより、左右後輪( 駆動輪)6L,6Rおよび左右前輪(従駆動輪)9L,9R間 の駆動力配分を決定するに際し、
 前記した第1摩擦ローラ31に対する第2摩擦ロ ーラ32の径方向押し付け力(摩擦ローラ間径方 向押し付け力)に応じた伝達トルク容量の範 を越えた大きなトルクを第1摩擦ローラ31か 第2摩擦ローラ32へ伝達させることがない。

 よって、左右前輪(従駆動輪)へのトルク 上限値を、第1摩擦ローラ31および第2摩擦ロ ラ32間の径方向押し付け力に応じた値に設 し、左右後輪(主駆動輪)6L,6Rおよび左右前輪( 従駆動輪)9L,9R間の駆動力配分特性を、入力ト ルクが或る値以上に大きくなると左右前輪( 駆動輪)へのトルクが上記の上限値に保たれ ような特性にすることができる。

 従って、駆動力配分装置1への入力トルクが 大きくなっても、左右前輪(従駆動輪)へのト クが上記の上限値を越えて大きくなること なく、
 駆動力配分装置1は、車両コンパクト化など の要求から左右前輪(従駆動輪)の駆動系を小 化せざるを得なくなった四輪駆動車両にお ても、左右前輪(従駆動輪)駆動系の強度不 を気にすることなく、当該四輪駆動車両の 動力配分装置として用いることができる。

 また本実施例においては、ローラ間押し付 力制御モータ45によりクランクシャフト41の 軸線O 2 周りにおける回転位置を制御することで、
 第2摩擦ローラ回転軸線O 3 (偏心軸部41aの軸心)が、クランクシャフト回 軸線(出力軸回転軸線)O 2 の周りに回転され、第1摩擦ローラ31および第 2摩擦ローラ32の軸間距離L1を加減することが きる。

 かように第1摩擦ローラ31および第2摩擦ロー ラ32の軸間距離L1を変更制御することで、第1 擦ローラ31に対する第2摩擦ローラ32の径方 押し付け力を変更制御することができ、結 として第1,2摩擦ローラ間の伝達トルク容量 自在に制御することができる。
 ちなみに、第1摩擦ローラ31および第2摩擦ロ ーラ32間の径方向押し付け力Frに対し摩擦ロ ラ間伝達トルク容量Trは、例えば図6に示す うな比例関係をもって変化する。
 従って、左右前輪(従駆動輪)へのトルクの 限値を、モータ45によるクランクシャフト41 回転位置制御(第1摩擦ローラ31に対する第2 擦ローラ32の径方向押し付け力制御)により 在に変更することができ、左右後輪(主駆動 )6L,6Rおよび左右前輪(従駆動輪)9L,9R間の駆動 力配分特性を、いつも運転状況に応じた最適 なものにすることができる。

 更に本実施例においては、第2摩擦ローラ32 駆動係合させた出力軸13と、クランクシャ ト41の対応軸端との同軸突き合わせ軸受嵌合 部(ローラベアリング42)を含む軸直角面内に 設した第1のベアリングサポート23に、第2摩 ローラ32に係わる摩擦ローラ軸(出力軸)13、 よび、第1摩擦ローラ31に係わる摩擦ローラ (入力軸)12をそれぞれ、軸受21,18を介して嵌 すると共に、
 第2摩擦ローラ32を挟んで第1のベアリングサ ポート23と反対の側における軸直角面内に配 した第2のベアリングサポート25に、第2摩擦 ローラ32に係わるクランクシャフト41、およ 、第1摩擦ローラ31に係わる摩擦ローラ軸(入 軸)12をそれぞれ、軸受22,19を介して嵌合す ことから、
  第1摩擦ローラ31に対し第2摩擦ローラ32を 方向に押し付けて相互に摩擦接触させる時 発生する摩擦ローラ間径方向押し付け反力 第1および第2ベアリングサポート23,25で受け めることとなる。
 よって、摩擦ローラ間径方向押し付け反力 ベアリングサポート23,25内で内力として消 し、この摩擦ローラ間径方向押し付け反力 ハウジング11にそのまま入力されることがな く、ハウジング11の強度を大きくする必要が くなる分だけハウジング11を軽量化するこ ができる。

 摩擦ローラ式伝動装置は図4及び図5に示 れるように構成してもよい。すなわち、中 インナーシャフト型式のクランクシャフト41 に代え、一対1組の中空アウターシャフト型 のクランクシャフト51L,51Rを用い、これらの ランクシャフト51L,51Rの回転変位により第2 ーラ32の径方向変位を惹起して、第1ローラ31 および第2ローラ32の軸間距離L1の変更を行う うにしたものである。

 このため、第2ローラ32を出力軸13に一体的 形成し、上記中空のクランクシャフト51L,51R 、第2ローラ32の軸線方向両側に配置する。
 第2ローラ32の軸線方向両側から突出する出 軸13の両端にそれぞれ、クランクシャフト51 L,51Rの中心孔51La,51Ra(半径Ri)を嵌合し、この嵌 合部に軸受52L,52Rを介在させて出力軸13をクラ ンクシャフト51L,51Rの中心孔51La,51Ra内で、こ らの中心軸線O 2 の周りに自由に回転し得るよう支持する。

 クランクシャフト51L,51Rには図5に明示する とく、中心孔51La,51Ra(中心軸線O 2 )に対し偏心した外周部51Lb,51Rb(半径Ro)を設定 、これら偏心外周部51Lb,51Rbの中心軸線O 3 は中心孔51La,51Raの軸線O 2 から、両者間の偏心分εだけオフセットして る。
 クランクシャフト51L,51Rの偏心外周部51Lb,51Rb はそれぞれ、軸受53L,53Rを介して対応する側 おけるベアリングサポート23,25内に回転自在 に支持し、
 この際、クランクシャフト51L,51Rをそれぞれ 、第2ローラ32と共に、スラストベアリング54L ,54Rで軸線方向に位置決めする。

 クランクシャフト51L,51Rの相互に向き合う隣 接端にそれぞれ、同仕様のリングギヤ51Lc,51Rc を一体に設け、
 これらリングギヤ51Lc,51Rcに、共通のクラン シャフト駆動ピニオン55を噛合させる。
 なおこの噛合に当たっては、クランクシャ ト51L,51Rを両者の偏心外周部51Lb,51Rbが円周方 向において相互に整列する回転位置にした状 態で、リングギヤ51Lc,51Rcにクランクシャフト 駆動ピニオン55を噛合させる。

 クランクシャフト駆動ピニオン55はピニオ シャフト56に結合し、ピニオンシャフト56の 端を軸受56a,56bによりハウジング11に回転自 に支持する。
 図4の右側におけるピニオンシャフト56の右 をハウジング11の外に露出させ、
 該ピニオンシャフト56の露出端面には、ハ ジング11に取着して設けたローラ間押し付け 力制御モータ45の出力軸45aをセレーション嵌 などにより駆動結合する。

 よって、ローラ間押し付け力制御モータ45 よりピニオン55およびリングギヤ51Lc,51Rcを介 しクランクシャフト51L,51Rを回転位置制御す とき、出力軸13および第2ローラ32の回転軸線 O 2 が図5に破線で示す軌跡円に沿って旋回し、 ーラ軸間距離L1の変更により第1ローラ31に対 する第2ローラ32の径方向押圧力を任意に制御 することができる。
 従って、ローラ間押し付け力制御モータ45 ピニオン55およびクランクシャフト51L,51Rは ベアリングサポート23,25と共に本発明におけ るローラ間径方向押圧部を構成する。

 クランクシャフト51Lおよび出力軸13をそれ れ図4の左側においてハウジング11から突出 せ、該突出部においてハウジング11およびク ランクシャフト51L間にシールリング57を介在 せると共に、クランクシャフト51L および 力軸13間にシールリング58を介在させ、
 これらシールリング57,58により、ハウジン 11から突出するクランクシャフト51Lおよび出 力軸13の突出部をそれぞれ液密封止する。

 なおシールリング57,58の介在に際しては、 れらシールリング57,58を位置させるクランク シャフト51Lの端部においてその内径と外径の 中心を、出力軸13の支持位置と同様に偏心さ 、
 クランクシャフト51Lの上記端部外径とハウ ング11との間にシールリング57を介在させ、 クランクシャフト51Lの上記端部内径と出力軸 13との間にシールリング58を介在させる。
 かかるシール構造によれば、出力軸13の上 旋回によりその回転軸線O 2 が旋回変位するにもかかわらず、出力軸13を ウジング11から突出する箇所において良好 シールすることができる。

 上記以外は、図2、図3の構成と同様であ ため、対応する部分を同一符号で示すにと め、重複説明を避けた。

 ところで、かかる目的のため第1,2摩擦ロー 31,32の軸線方向両側に設けたベアリングサ ート23,25は、摩擦ローラ間径方向押し付け反 力に対する支持剛性が大きいため、クランク シャフト41の回転角制御による摩擦ローラ間 方向押し付け力制御(伝達トルク容量制御) 際し、本来なら図7に一点鎖線で例示するご くクランクシャフトの回転角θに対する摩 ローラ間径方向押し付け力(Fr)変化割合(伝達 トルク容量変化割合)を急なものとなし、
 結果として、摩擦ローラ間径方向押し付け 制御(伝達トルク容量制御)に用い得るクラ クシャフトの回転角範囲がθ1までの狭い範 となり、当該制御の精度が悪くなる傾向に る。

 この問題を解決するために図1乃至3の実施 では、図8(a),(b)に示すように、ベアリングサ ポート23の両端軸受嵌合部23a,23b間における中 央部に、軸受嵌合部23a,23bの中心軸線O 1 , O 2 方向へ延在する厚さ方向溝23c,23dを設けて括 部23eを設定する。すなわち、ベアリングサ ート23の中央部の幅Wは軸受支持部の最大幅W1 , W2よりも小さく設定されている。
 この括れ部23eは、ベアリングサポート23の 端軸受嵌合部23a,23b間における中央部の横断 積を減ずる結果、摩擦ローラ間径方向押し け反力に対するベアリングサポート23の支 剛性を低下させることとなり、
 摩擦ローラ間径方向押し付け反力によるベ リングサポート23の対応方向撓み量が大き なる。

 ベアリングサポート25についても同じく図8( a),(b)に示すように、ベアリングサポート25の 端軸受嵌合部25a,25b間における中央部に、軸 受嵌合部25a,25bの中心軸線O 1 , O 2 方向へ延在する厚さ方向溝25c,25dを設けて括 部25eを設定する。すなわち、ベアリングサ ート25の中央部の幅Wは軸受支持部の最大幅W1 , W2よりも小さく設定されている。
 この括れ部25eは、ベアリングサポート25の 端軸受嵌合部25a,25b間における中央部の横断 積を減ずる結果、摩擦ローラ間径方向押し け反力に対するベアリングサポート25の支 剛性を低下させることとなり、
 摩擦ローラ間径方向押し付け反力によるベ リングサポート25の対応方向撓み量が大き なる。

 かように、ベアリングサポート23および25の 両端軸受嵌合部23a,23b間および25a,25b間におけ 中央部に、摩擦ローラ間径方向押し付け反 に対する支持剛性を低下させるための括れ 23eおよび25eを設けたことで、
 本実施例においては、摩擦ローラ間径方向 し付け反力によるベアリングサポート23,25 対応方向撓み量が大きくなり、その分だけ 7に実線で例示するごとく、クランクシャフ 41の回転角θに対する摩擦ローラ間径方向押 し付け力Frの変化割合(伝達トルク容量の変化 割合)が緩やかで、摩擦ローラ間径方向押し け力制御(伝達トルク容量制御)に用い得るク ランクシャフト41の回転角範囲をθ2まで拡大 ることができ、当該制御の精度を向上させ ことができる。

 この作用効果は、図9(a),(b)に示すごとく、 アリングサポート23および25の両端軸受嵌合 23a,23b間および25a,25b間における中央部にそ ぞれ、軸受嵌合部23a,23bの中心軸線O 1 , O 2 を含む面および軸受嵌合部25a,25bの中心軸線O 1 , O 2 を含む面を横切る方向へ延在する幅方向溝23f ,23gおよび25f,25gを設けて括れ部23hおよび25hを 定することによっても達成し得る。すなわ 、ベアリングサポート23, 25の中央部の厚み Tは軸受支持部の最大厚みT1, T2よりも小さく 定されている。
 これら括れ部23hおよび25h はそれぞれ、ベ リングサポート23および25の両端軸受嵌合部2 3a,23b間および25a,25b間における中央部の横断 積を減ずる結果、摩擦ローラ間径方向押し け反力に対するベアリングサポート23および 25の支持剛性を低下させることとなり、摩擦 ーラ間径方向押し付け反力によるベアリン サポート23および25の対応方向撓み量が大き くなる。

 かように、ベアリングサポート23および25の 両端軸受嵌合部23a,23b間および25a,25b間におけ 中央部に、摩擦ローラ間径方向押し付け反 に対する支持剛性を低下させるための括れ 23hおよび25hを設けた図9の実施例においても 、
 摩擦ローラ間径方向押し付け反力によるベ リングサポート23,25の対応方向撓み量が括 部23hおよび25hの設定により大きくなり、そ 分だけ図7に実線で例示するごとく、クラン シャフト41の回転角θに対する摩擦ローラ間 径方向押し付け力Frの変化割合(伝達トルク容 量の変化割合)が緩やかで、摩擦ローラ間径 向押し付け力制御(伝達トルク容量制御)に用 い得るクランクシャフト41の回転角範囲をθ2 で拡大することができ、当該制御の精度を 上させることができる。

 図10(a),(b)は、ベアリングサポート23(25)の両 軸受嵌合部23a,23b間(25a,25b間)における中央部 に、図8におけると同様な厚さ方向溝23c,23d(25c ,25d)、および、図9におけると同様な幅方向溝 23f,23g(25f,25g)を設けて括れ部23i(25i)を設定した ものである。すなわち、ベアリングサポート 23(25)の中央部の幅Wは軸受支持部の最大幅W1,  W2よりも小さく設定されており、中央部の厚 Tは軸受支持部の最大厚みT1, T2よりも小さ 設定されている。
 これら括れ部23iおよび25i はそれぞれ、ベ リングサポート23および25の両端軸受嵌合部2 3a,23b間および25a,25b間における中央部の横断 積を、図8,9における実施例よりも更に減じ 、摩擦ローラ間径方向押し付け反力に対す ベアリングサポート23および25の支持剛性を に低下させることとなり、摩擦ローラ間径 向押し付け反力によるベアリングサポート2 3および25の対応方向撓み量が更に大きくなる 。

 よって、図10の実施例においては、摩擦ロ ラ間径方向押し付け反力によるベアリング ポート23,25の対応方向撓み量が更に大きくな る分だけ、摩擦ローラ間径方向押し付け力制 御(伝達トルク容量制御)に用い得るクランク ャフト41の回転角範囲を図7のθ2よりも更に きな回転角まで拡大することができ、
 当該摩擦ローラ間径方向押し付け力制御(伝 達トルク容量制御)の精度を更に向上させる とができる。

 なお、図8におけるベアリングサポート23(25) の厚さ方向溝23c,23d(25c,25d)は図11に示すごとく 、軸線方向に見た形状が連続的に曲率変化し て軸受嵌合部23a,25a(23b,25b)の外周円形に滑ら に連続するような形状にすることができる 図11においても、ベアリングサポート23(25)の 中央部の厚みTは軸受支持部の最大厚みT1, T2 りも小さく設定されている。
 また、図9におけるベアリングサポート23(25) の幅方向溝23f,23g(25f,25g)は図12に示すごとく、 溝底部の断面形状をU字状として溝底部に角 が存在しない形状にすることができる。図12 においても、ベアリングサポート23(25)の中央 部の厚みTは軸受支持部の最大厚みT1, T2より 小さく設定されている。
 これら図11,12に示す溝形状は勿論組み合わ て用いることも可能で、これら溝形状によ ば、角部が存在しないことによって、ベア ングサポート23(25)の強度低下を防止しつつ 記の作用効果を達成することができる。

 なお、ベアリングサポート中央部は軸受支 部の間に存在すればよく、回転軸O 1 , O 2 間方向の中央部の位置は回転軸O 1 , O 2 間の中央(中心位置)だけに限定されるもので なく、中央からオフセットした位置でもよ 。

 以下、摩擦ローラ31,32間の径方向押し付け 制御について付言する。
 図13は、摩擦ローラ31,32間の径方向押し付け 力制御の概念図で、
 (a)は、摩擦ローラ31の半径R1と摩擦ローラ32 半径R2との和値を、入出力軸12,13間の軸間距 離L0、つまり、入力軸12の軸線O 1 および出力軸13(カウンターシャフト41)の軸線 O 2 間の距離L0と同じにした場合の摩擦ローラ間 方向押し付け力制御の概念図、
 (b)は、摩擦ローラ31の半径R1+αと摩擦ローラ 32の半径R2+βとの和値を、入出力軸12,13間の軸 間距離L0よりもα+βだけ大きくした場合の摩 ローラ間径方向押し付け力制御の概念図を す。

 図13 (a)のように摩擦ローラ31の半径R1と 擦ローラ32の半径R2との和値を入出力軸12,13 の軸間距離L0と同じにした場合、クランクシ ャフト41の回転角θが第2摩擦ローラ32を実線 示す位置となす回転角(θ=90度)である時、第2 摩擦ローラ32が丁度第1摩擦ローラ31と接触す 。しかし、摩擦ローラ31,32間に未だ径方向 し付け力は発生しておらず、両者間の伝達 ルク容量も0である。

 クランクシャフト41を上記の回転位置から A1で示す方向へ回転させると(カウンターシ フト回転角θを上記の90度から増大させると) 、第2摩擦ローラ32の軸線O 3 がカウンターシャフト軸線O 2 周りで破線上を対応方向へ変位することから 、第2摩擦ローラ32が実線位置から破線位置に 向け変位する。
 これにより、第1摩擦ローラ31に対する第2摩 擦ローラ32の径方向オーバーラップ量δが0か 漸増し、この摩擦ローラ間径方向オーバー ップ量δに応じて大きくなる摩擦ローラ間 方向押し付け力が発生して、摩擦ローラ31,32 間の伝達トルク容量が0から漸増する。

 そしてカウンターシャフト41を、第2摩擦ロ ラ32が破線位置となるまで回転させたとき( ウンターシャフト回転角θを180度にしたと )、摩擦ローラ間径方向オーバーラップ量δ 最大値δmaxになり、これに応じた最大の摩擦 ローラ間径方向押し付け力が発生して、摩擦 ローラ31,32間の伝達トルク容量を最大となし る。
 以上のことから明らかなように、カウンタ シャフト41の軸線O 2 から、第2摩擦ローラ32を回転自在に支持する カウンターシャフト偏心軸部41aの軸線(第2摩 ローラ32の回転軸線)O 3 までの偏心量εは、要求される摩擦ローラ31,3 2間の伝達トルク容量最大値に応じて決まる 擦ローラ間径方向最大オーバーラップ量δmax と同じにする必要がある。

 ところで図13(b)のごとく、摩擦ローラ31の半 径R1+αと摩擦ローラ32の半径R2+βとの和値を、 入出力軸12,13間の軸間距離L0よりもα+βだけ大 きくした場合、クランクシャフト41の回転角 が第2摩擦ローラ32を実線で示す位置となす 転角(θ=0度)である時、第2摩擦ローラ32が丁 第1摩擦ローラ31と接触する。
 しかし、摩擦ローラ31,32間に未だ径方向押 付け力は発生しておらず、両者間の伝達ト ク容量も0である。

 クランクシャフト41を上記の回転位置から A2で示す方向へ回転させると(カウンターシ フト回転角θを上記の0度から増大させると) 第2摩擦ローラ32の軸線O 3 がカウンターシャフト軸線O 2 周りで破線上を対応方向へ変位することから 、第2摩擦ローラ32が実線位置から破線位置に 向け変位する。
 これにより、第1摩擦ローラ31に対する第2摩 擦ローラ32の径方向オーバーラップ量δが0か 漸増し、この摩擦ローラ間径方向オーバー ップ量δに応じて大きくなる摩擦ローラ間 方向押し付け力が発生して、摩擦ローラ31,32 間の伝達トルク容量が0から漸増する。

 そしてカウンターシャフト41を、第2摩擦 ーラ32が破線位置となるまで回転させたと (カウンターシャフト回転角θを180度にした き)、摩擦ローラ間径方向オーバーラップ量 が最大値δmaxになり、これに応じた最大の摩 擦ローラ間径方向押し付け力が発生して、摩 擦ローラ31,32間の伝達トルク容量を最大とな 得る。

 以上のことから明らかなように、摩擦ロー 間径方向最大オーバーラップ量δmaxは、摩 ローラ31の半径R1+αと摩擦ローラ32の半径R2+β との和値、および入出力軸間距離L0間の寸法 (α+β)で決まり、
 この寸法差(α+β)は、要求される摩擦ローラ 31,32間の伝達トルク容量最大値に応じた摩擦 ーラ間径方向最大オーバーラップ量δmaxと 致するよう定める。

 また、図13(a)の場合と異なり図13(b)の場合は 、カウンターシャフト41を回転角θ=0度の位置 と、θ=180度の位置との間の広範囲に亘り回転 させて摩擦ローラ間径方向押し付け力(摩擦 ーラ間伝達トルク容量)を制御することにな から、
 カウンターシャフト41の軸線O 2 から、第2摩擦ローラ32を回転自在に支持する カウンターシャフト偏心軸部41aの軸線(第2摩 ローラ32の回転軸線)O 3 までの偏心量εが、要求される摩擦ローラ31,3 2間の伝達トルク容量最大値に応じて決まる 擦ローラ間径方向最大オーバーラップ量δmax の半分でよく、クランクシャフト41の小径化 より構成のコンパクト化を実現することが きる。

 更に、図13(b)のような構成により、カウン ーシャフト41を回転角θ=0度の位置と、θ=180 の位置との間の広範囲に亘り回転させて摩 ローラ間径方向押し付け力(摩擦ローラ間伝 トルク容量)を制御する構成にあっては、
 図7に実線で例示した、クランクシャフト41 回転角θに対する摩擦ローラ間径方向押し け力Frの変化割合(伝達トルク容量の変化割 )を更に緩やかなものにし得て、摩擦ローラ 径方向押し付け力制御(伝達トルク容量制御 )に用い得るクランクシャフト41の回転角範囲 をθ2よりも更に大きな回転角まで拡大するこ とができ、当該制御の精度を更に向上させる ことができる。

 なお、図13 (a)のように摩擦ローラ31,32の半 の和値を入出力軸間距離L0と同じにするか 図13(b)のように摩擦ローラ31,32の半径の和値 入出力軸間距離L0よりも大きくするかに関 らず、
 クランクシャフト41の回転角制御に当たっ これを回転させるのに必要なクランクシャ ト回転駆動トルクTcは、図13(b)のように摩擦 ーラ31,32の半径の和値を入出力軸間距離L0よ りも大きくした場合につき代表的に示した図 14の一点鎖線特性のごとく、
 クランクシャフト回転角θが180度(第2摩擦ロ ーラ32の回転軸線O 3 を第1摩擦ローラ31の回転軸線O 1 に最接近させる回転角)の手前側におけるθ=θ rであるとき最大となり、
 クランクシャフト回転角θがこのθrを越え と、クランクシャフト回転角θの増大につれ クランクシャフト回転駆動トルクTcは低下す 。
 つまりクランクシャフト回転駆動トルクTc 、クランクシャフト回転角θがθ=θrであると きに最大となる変極点(極大点)を持った特性 呈する。

 一方で摩擦ローラ31,32間の伝達トルク容量Tr は、第2摩擦ローラ32の回転軸線O 3 が第1摩擦ローラ31の回転軸線O 1 に接近するほど(図13に付き前述した摩擦ロー ラ間径方向オーバーラップ量δが大きくなる ど)大きくなることから、
 クランクシャフト回転角θが増大するにつ 、θ>θrの領域においても図14に実線で示す ごとく確実に大きくなる。

 上記のようなクランクシャフト回転角θと クランクシャフト回転駆動トルクTcおよび摩 擦ローラ間伝達トルク容量Trとの相関関係に み、本実施例においては、
 摩擦ローラ間径方向押し付け力制御(摩擦ロ ーラ間伝達トルク容量制御)に用いるクラン シャフト41の摩擦ローラ間径方向押し付け力 増大方向における回転角最大値を、クランク シャフト回転駆動トルクTcの変化割合が正か 負へと逆転する変極点のクランクシャフト 転角θrよりも大きくし、好ましくは180度に るのがよい。

 かようにすることで本実施例においては、 7に実線で例示した、クランクシャフト41の 転角θに対する摩擦ローラ間径方向押し付 力Frの変化割合(伝達トルク容量の変化割合) 更に緩やかなものにし得て、摩擦ローラ間 方向押し付け力制御(伝達トルク容量制御) 用い得るクランクシャフト41の回転角範囲を θ2よりも更に大きな回転角まで拡大すること ができ、当該制御の精度を更に向上させるこ とができるだけでなく、
 クランクシャフト回転角θをθrよりも大き する領域において、クランクシャフト回
転駆動トルクTcが低下するのに摩擦ローラ間 達トルク容量Trを増大させることができ、
 ローラ間押し付け力制御モータ45(図2参照) 駆動負荷を抑制しつつ摩擦ローラ間伝達ト ク容量Trを増大させ得るという優れた作用効 果をも奏し得る。

 なお、上記では摩擦ローラ式伝動装置(駆動 力配分装置)1が、第1,2摩擦ローラ31,32を接触 31a,32aにおいて直接に摩擦接触させるように たものである場合について説明したが、
 遊転ローラを介し第1,2摩擦ローラ31,32を間 的に摩擦接触させるようにした摩擦ローラ 伝動装置である場合についても、本発明の 記した着想は同様の考え方により適用可能 あること勿論であり、この場合も前記した 同様な作用効果が奏し得られることは言う でもない。