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Title:
FUNCTION-SELECTIVE VITAMIN D RECEPTOR AGONIST
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/149563
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a VDR ligand which does not induce hypercalcemia that is the side effect of a vitamin D3 preparation. A composition which contains lithocholic acid propionate, its salt or a solvate or prodrug of the same.

Inventors:
MAKISHIMA MAKOTO (JP)
ISHIZAWA MICHIYASU (JP)
MATSUNAWA MANABU (JP)
YAMADA SACHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050027
Publication Date:
December 11, 2008
Filing Date:
January 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV NIHON (JP)
MAKISHIMA MAKOTO (JP)
ISHIZAWA MICHIYASU (JP)
MATSUNAWA MANABU (JP)
YAMADA SACHIKO (JP)
International Classes:
C07J9/00
Foreign References:
JP2007147866A2007-06-14
Other References:
SHAIKH ET AL.: "Synthesis and mesomorphic behaviour of lithocholic acid derivatives", BULLETIN OF MATERIAL SCIENCE, vol. 26, no. 5, 2003, pages 559 - 563, XP008116077
ADACHI, R. ET AL.: "Selective activation of vitamin D receptor by lithocholic acid acetate, a bile acid derivative", JOURNAL OF LIPID RESEARCH, vol. 46, 2005, pages 46 - 57, XP008116081
NAGPAL, S. ET AL.: "Noncalcemic actions of vitamin D receptor ligands", ENDOCRINE REVIEWS, vol. 26, no. 5, 2005, pages 662 - 687, XP003020911
MAKISHIMA, M. ET AL.: "Vitamin D Receptor As an Intestinal Bile Acid Sensor", SCIENCE, vol. 296, 17 May 2002 (2002-05-17), pages 1313 - 1316, XP008116080
ISHIZAWA, M. ET AL.: "Lithocholic acid derivatives act as selective vitamin D receptor modulators", J LIPID RES, 7 January 2008 (2008-01-07), XP008116082, Retrieved from the Internet [retrieved on 20080311]
See also references of EP 2163557A4
Attorney, Agent or Firm:
MAYAMA, Setsuko et al. (30-1 Tsuruyacho 3-chome,Kanagawa-ku, Yokohama-shi, Kanagawa 35, JP)
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Claims:
リトコール酸プロピオネート、その塩、その溶媒和物又はそのプロドラッグを含む組成物。
ビタミンD受容体を活性化させるための請求項1記載の組成物。
医薬として使用される請求項1又は2記載の組成物。
ビタミンD受容体が関与する疾患を予防及び/又は治療するための請求項3記載の組成物。
骨粗鬆症、悪性新生物、尋常性乾癬、自己免疫疾患、感染症及び神経変性疾患から成る群より選択される疾患を予防及び/又は治療するための請求項3又は4記載の組成物。
ビタミンD受容体を有する細胞、組織、器官又は動物個体をリトコール酸プロピオネート、その塩、その溶媒和物又はそのプロドラッグで処理することを含む、ビタミンD受容体を活性化させる方法。
リトコール酸プロピオネート、その塩、その溶媒和物又はそのプロドラッグの医薬的に有効な量を被験者に投与することを含む、ビタミンD受容体が関与する疾患を予防及び/又は治療する方法。
ビタミンD受容体を活性化させるためのリトコール酸プロピオネート、その塩、その溶媒和物又はそのプロドラッグの使用。
ビタミンD受容体が関与する疾患を予防及び/又は治療するための医薬を製造するためのリトコール酸プロピオネート、その塩、その溶媒和物又はそのプロドラッグの使用。
Description:
作用選択的ビタミンD受容体作用 剤

 本発明は、作用選択的ビタミンD受容体作 用剤に関する。

 活性型ビタミンD3は、ビタミンD受容体(VDR) 介して、生体のカルシウム・リン酸代謝及 骨代謝を調節する。ビタミンDの欠乏症は、 る病や骨軟化症を引き起こし、活性型ビタ ンD3やその誘導体はそれらの治療薬として 用されている。ビタミンD誘導体の内服剤は 粗鬆症の治療薬として、また塗布剤は尋常 乾癬の治療薬として使用されている。
 ビタミンD誘導体には、悪性腫瘍(骨髄性白 病、乳癌、前立腺癌、大腸癌など)の増殖を 制し、分化を誘導する作用のあること、免 調節作用(自己免疫疾患モデルにおける治療 効果)及び自然免疫増強作用(抗結核作用)があ ることなどが報告されている(非特許文献1)。

 しかし、ビタミンD誘導体を動物へ投与した 場合、血中カルシウム濃度を上昇させる作用 (副作用)とVDRを介する他の作用との分離が困 であった。
 胆汁酸であるリトコール酸もVDRリガンドと て機能することが明らかになった(非特許文 献2)。リトコール酸よりもVDRに対する活性の いリトコール酸誘導体リトコール酸アセテ トが報告された(非特許文献3)。リトコール アセテートは、白血病細胞の分化を誘導し 。
 リトコール酸は、VDR以外にも、核内受容体f arnesoid X receptor (FXR)や膜型受容体(GPBAR1)を活 性化させる作用がある(非特許文献4及び5)。 トコール酸アセテートは、リトコール酸よ も効果的にVDRを活性化したが、FXRに対する 性はケノデオキシコール酸よりは弱いがリ コール酸と同程度に残存した(非特許文献3)

Expert Opin Ther Targets Vol. 10, 2006, pp.735- 748 Science Vol. 296, 2002, pp.1313-1316 J Lipid Res Vol. 46, 2005, pp.46-57 Science Vol. 284, 1999, pp1362-1365 Biochem Biophys Res Commun Vol. 298, 2002, pp71 4-719

 本発明は、ビタミンD誘導体の副作用であ る血中カルシウム上昇作用(高カルシウム血 )を誘導しないVDRリガンドを提供することを 的とする。

 本発明者らの研究により、以下の知見が得 れた。
1.リトコール酸プロピオネートは、リトコー 酸アセテートと同程度にVDRを活性化したが FXRに対する作用は極めて弱かった。リトコ ル酸プロピオネートの膜型胆汁酸受容体GPBA R1に対する効果は、極めて弱かった。従って リトコール酸プロピオネートは、リトコー 酸やリトコール酸アセテートよりも、選択 なVDRリガンド(活性化剤)である。
2.マウスを用いた実験において、リトコール プロピオネートと、ビタミンD3誘導体(1α-ヒ ドロキシビタミンD3)との作用を、腎臓でのVDR 標的遺伝子CYP24の発現を同程度に誘導する投 量において比較した。1α-ヒドロキシビタミ ンD3は、マウスの体重を減少させ、高カルシ ム血症を誘導したが、リトコール酸プロピ ネートは体重や血中カルシウム濃度に影響 与えなかった。
3.リトコール酸プロピオネートは、骨髄性白 病HL-60及びU937細胞の分化マーカーを誘導し 。
 本発明は、これらの知見に基づいて完成さ たものである。

 本発明の要旨は以下の通りである。
(1)リトコール酸プロピオネート、その塩、そ の溶媒和物又はそのプロドラッグを含む組成 物。
(2)ビタミンD受容体を活性化させるための(1) 載の組成物。
(3)医薬として使用される(1)又は(2)記載の組成 物。
(4)ビタミンD受容体が関与する疾患を予防及 /又は治療するための(3)記載の組成物。
(5)骨粗鬆症、悪性新生物、尋常性乾癬、自己 免疫疾患、感染症及び神経変性疾患から成る 群より選択される疾患を予防及び/又は治療 るための(3)又は(4)記載の組成物。
(6)ビタミンD受容体を有する細胞、組織、器 又は動物個体をリトコール酸プロピオネー 、その塩、その溶媒和物又はそのプロドラ グで処理することを含む、ビタミンD受容体 活性化させる方法。
(7) リトコール酸プロピオネート、その塩、 の溶媒和物又はそのプロドラッグの医薬的 有効な量を被験者に投与することを含む、 タミンD受容体が関与する疾患を予防及び/ は治療する方法。
(8)ビタミンD受容体を活性化させるためのリ コール酸プロピオネート、その塩、その溶 和物又はそのプロドラッグの使用。
(9)ビタミンD受容体が関与する疾患を予防及 /又は治療するための医薬を製造するための トコール酸プロピオネート、その塩、その 媒和物又はそのプロドラッグの使用。

 リトコール酸プロピオネートは、VDRリガン (作用剤)として有効である。
 本明細書は、本願の優先権の基礎である日 国特許出願、特願2007‐147866の明細書および /または図面に記載される内容を包含する。

図1は、VDR、FXR及びGPBAR1に対するリトコ ール酸プロピオネートの活性化作用を示す。 LCA、リトコール酸;LCAa、リトコール酸アセテ ト;LCAp、リトコール酸プロピオネート;EtOH、 エタノール;CDCA、ケノデオキシコール酸;CA、 ール酸。化合物の濃度は、VDRに対して図の り、FXRに対して18μM、GPBAR1に対して10μMで検 討した。 図2は、マウスに対するリトコール酸プ ロピオネートの効果を示す。Aは、マウスの 重変化を示す。Bは、腎臓におけるCYP24のmRNA 発現を示す。Cは、血漿カルシウム濃度を示 す。1α-ヒドロキシビタミンD3は、12.5 nmol/kg 重(Aの●、B、CのVD3)、リトコール酸アセテー トは、30mg/kg体重(Aの△、B、CのL)または300mg/kg 体重(Aの▲、B、CのH)、リトコール酸プロピオ ネートは、30mg/kg体重(Aの□、B、CのL)または30 0mg/kg体重(Aの■、B、CのH)。 図3は、リトコール酸プロピオネートに よる骨髄性白血病HL60細胞の分化誘導効果を す。リトコール酸プロピオネート10μM及び30 Mの効果を1,25-ジヒドロキシビタミンD3 100nM リトコール酸アセテート10μM及び30μMの効果 比較した。EtOH、エタノール;VD3、1,25-ジヒド ロキシビタミンD3;LCAa、リトコール酸アセテ ト;LCAp、リトコール酸プロピオネート。 図4は、マウスにおけるリトコール酸誘導体 腹腔内投与の効果を示す。Aは、マウスの体 変化を示す。Bは、血漿カルシウム濃度を示 す。Cは、腎臓におけるCyp24a1、カルビンジンD 9k 、Trpv6及びTrpv5のmRNAの発現を示す。*は、溶媒 対照と比較して、p<0.05、**は、p<0.01、*** 、p<0.001を示す。Dは、小腸粘膜におけるCy p24a1のmRNAの発現を示す。p=0.190(溶媒対照vs.1α( OH)D 3 )。マウスには、溶媒対照(Cont)(n=3)、12.5 nmol/k g 1α(OH)D 3  (VD3) (n=3)、0.7 mmol/kg リトコール酸アセテ ト(LCAa) (n=3)又は0.7 mmol /kg リトコール酸プ ロピオネート(LCAp) (n=3)を0、2、4及び6日目に 腔内投与した。8日目に血液を心臓穿刺によ り採取し、8日目に組織mRNAを調べた。 図5は、マウスにおけるリトコール酸誘導体 経口投与の効果を示す。Aは、マウスの体重 化を示す。Bは、血漿カルシウム濃度を示す 。Cは、腎臓におけるCyp24a1、カルビンジンD 9k 、Trpv6及びTrpv5のmRNAの発現を示す。Dは、小腸 粘膜におけるCyp24a1、カルビンジンD 9k 、及びTrpv6のmRNAの発現を示す。マウスには、 溶媒対照(Cont)(n=3)、12.5 nmol/kg 1α(OH)D 3  (VD3) (n=3)、0.7 mmol/kg (n=3)若しくは1 mmol/kg  (n=6)リトコール酸アセテート(LCAa)又は0.7 mmol /kg (n=3)若しくは1 mmol/kg (n=3) リトコール酸 プロピオネート(LCAp)を0、2、4、6、8及び10日 に経管栄養で投与した。0、2、4、6、8日目に 血液を尾から採取し、12日目に心臓穿刺によ 採取した。12日目に組織mRNAを調べた。*は、 溶媒対照と比較して、p<0.05、**は、p<0.01 ***は、p<0.001を示す。

 以下、本発明を詳細に説明する。
 本発明は、リトコール酸プロピオネート、 の塩、その溶媒和物又はそのプロドラッグ 含む組成物を提供する。
 リトコール酸プロピオネートは、以下の構 式で表される。
 リトコール酸プロピオネートは、以下の(1) たは(2)の方法で製造することができる。

(1)リトコール酸と無水プロピオン酸を酸触媒 (例えばBF 3 /Et 2 O)存在下に有機溶媒(例えばテトラヒドロフラ ン)中で加熱する方法;(2)リトコール酸のカル キシル基をベンジル基などで保護した後、 ルコール部分をプロピオン酸塩化物とピリ ン中で反応させ、カルボン酸の保護基を除 する方法。
 リコトール酸プロピオネートは、VDRに対す 活性化作用を有する。VDRに対する活性化作 は、例えば、Science Vol. 284, 1999, pp1362-1365;  Science Vol. 296, 2002, pp.1313-1316に記載の方法 に従い、以下のようにして調べることができ る。VDR発現ベクターとVDR反応性のレポーター 遺伝子を細胞に導入し、この細胞を被験化合 物(例えば、リコトール酸プロピオネート)で 理した後、レポーター活性を測定する。無 理の細胞と比較して、レポーター活性が上 していれば、VDRが活性化されたと判定する
 リトコール酸プロピオネートは、VDR標的遺 子の誘導を引き起こすが、高カルシウム血 は引き起こさないことが確認された(後述の 実施例参照)。従って、リトコール酸プロピ ネートは、ビタミンD誘導体の副作用である 中カルシウム上昇作用(高カルシウム血症) 誘導しないVDRリガンドとして有用である。

 リトコール酸プロピオネートを医薬として いる場合には、通常の方法により、医薬的 許容される塩にしてもよい。リトコール酸 ロピオネートの塩としてはナトリウム、カ ウム、カルシウムなどの無機塩やアンモニ や有機アミン類の塩が挙げられる。有機ア ンとしては例えはトリエチルアミンのよう 第三級アミン、ヂエチルアミンのような第 級アミン、エチルアミンのような第一級ア ン、キヌクリヂンやピリジンなどの複素環 ミンなどが挙げられる。
 リトコール酸プロピオネート及びその塩は 水、メタノール、エタノール、アセトニト ルなどの溶媒と溶媒和物を生成したもので ってもよい。また、溶媒和物は、単独のも であっても、複数種の混合物であってもよ 。

 リトコール酸プロピオネートは、プロド ッグにしてもよい。プロドラッグは、生体 投与された後、酵素の作用や代謝的加水分 などにより、医薬的に活性な化合物になる プロドラッグは、当業者に知られている酸 導体であればよく、例えば、リトコール酸 ロピオネートと適当なアルコールとの反応 よって製造されるエステル、リトコール酸 ロピオネートと適当なアミンとの反応によ て製造されるアミド、カルボシル基の還元 として、24-アルコール体などが挙げられる

 リトコール酸プロピオネート、その塩、そ 溶媒和物及びそのプロドラッグは、ビタミ D受容体を活性化させる薬剤として利用でき る。この薬剤は、医薬としても、また、実験 用試薬としても用いることができる。
 医薬として利用する場合には、ビタミンD受 容体が関与する疾患の予防及び/又は治療に いることができる。具体的には、骨粗鬆症 悪性新生物(例えば、骨髄性白血病、乳癌、 立腺癌、大腸癌など)、尋常性乾癬、自己免 疫疾患(例えば、慢性関節リウマチ、全身性 ープスエリテマトーシスなど)、感染症(例え ば、結核など)、神経変性疾患(例えば、多発 硬化症など)などの疾患の予防及び/又は治 に用いることができる。

 医薬として用いる場合には、リトコール プロピオネート、その塩、その溶媒和物又 そのプロドラッグを単独で、あるいは賦形 または担体と混合し、錠剤、カプセル剤、 剤、顆粒剤、液剤、シロップ、エアロゾル 坐剤、注射剤等に製剤化するとよい。賦形 または担体は、当分野で常套的に使用され 医薬的に許容されるものであればよく、そ 種類及び組成は適宜変更される。例えば、 状担体としては水、植物油などが用いられ 。固体担体としては、乳糖、白糖、ブドウ などの糖類、バレイショデンプン、トウモ コシデンプンなどのデンプン、結晶セルロ スなどのセルロース誘導体などが使用され 。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤 ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース どの結合剤、カルボキシメチルセルロース どの崩壊剤等を添加してもよい。その他、 酸化剤、着色剤、矯味剤、保存剤等を添加 てもよい。また、凍結乾燥製剤として用い りすることもできる。

 リトコール酸プロピオネート、その塩、そ 溶媒和物又はそのプロドラッグは、経口、 鼻、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内な の種々の経路によって投与できる。
 リトコール酸プロピオネート、その塩、そ 溶媒和物又はそのプロドラッグの製剤中に ける含量は、製剤の種類により異なるが、 常1~100 重量%、好ましくは50~100 重量%であ 。例えば、液剤の場合には、リトコール酸 ロピオネート、その塩、その溶媒和物又は のプロドラッグの製剤中における含量は、1~ 100重量%が好ましい。カプセル剤、錠剤、顆 剤、散剤の場合は、リトコール酸プロピオ ート、その塩、その溶媒和物又はそのプロ ラッグの製剤中における含量は、通常約10~10 0 重量%、好ましくは50~100 重量%であり、残 は担体である。製剤は、単位投与製剤に製 化するとよい。

 リトコール酸プロピオネート、その塩、そ 溶媒和物又はそのプロドラッグの投与量は
期待する予防及び/又は治療効果が確認でき 量であればよく、剤型、投与経路、患者の 齢、体重、疾患の種類や重篤度などにより なるが、例えば1回当たりの投与量は成人の 合、有効成分の量に換算して、300 mg/kg体重 程度とし、1日に1回から数回投与することが きる。
 実験用試薬として用いる場合には、ビタミ D受容体を有する細胞、組織、器官又は動物 個体をリトコール酸プロピオネート、その塩 、その溶媒和物又はそのプロドラッグで処理 することにより、ビタミンD受容体を活性化 せることができる。リトコール酸プロピオ ート、その塩、その溶媒和物又はそのプロ ラッグは、ビタミンD受容体の活性化に有効 量で用いればよい。ビタミンD受容体を有す る細胞としては、腎臓、腸管粘膜、骨髄、骨 、乳腺、皮膚、神経由来の細胞などを例示す ることができる。また、これらの天然由来の 細胞の他、ヒト胎児腎由来HEK293細胞、腸管粘 膜由来HCT116細胞、SW480細胞、Caco-2細胞、骨髄 来THP-1細胞、U937細胞、HL60細胞、骨芽細胞由 来MG63細胞、乳腺由来MCF-7細胞、皮膚角化細胞 由来HaCaT細胞、神経由来SK-N-SH細胞、肝臓由来 HepG2細胞などにビタミンD受容体遺伝子を導入 した組換え細胞などを用いてもよい。ビタミ ンD受容体を有する組織及び器官としては、 臓、腸管粘膜、骨髄、リンパ組織、骨、乳 、皮膚、神経などを例示することができる 動物個体としては、マウス、ラット、ハム ター、ウサギ、ニワトリなどを例示するこ ができる。ビタミンD受容体の活性化は、VDR 的遺伝子(例えば、CYP24など)の発現誘導を測 定することにより、確認することができる。
 以下に、本発明を実施例により具体的に説 するが、本発明の範囲はこれらに何ら影響 れることはない。

〔実施例1〕
 リトコール酸 (376 mg, 1 mmol)と無水プロピ ン酸(1.3 mL)のTHF(4 mL)溶液を0℃に冷却し、BF 3 ・Et 2 O(32 μL, 0.25 mmol)を加え、15時間加熱還流し 。反応液に飽和NaHCO 3 水溶液を加え、室温で1時間攪拌した。反応 を酢酸エチルで抽出し、抽出液を食塩水で 浄し、無水MgSO 4 で乾燥後、溶媒を溜去し、残渣をカラムクロ マトグラフィー(SiO 2 , 15 g, 15% 酢酸エチル/ヘキサン)にて精製し 、プロピオン酸エステル体(346 mg, 80%)を得た 。エステル体をベンゼン/ヘキサンで再結晶 、無色の結晶を得た。
mp 152-153 ℃
1 H NMR (δ) 0.64 (3H, s, H-18), 0.926 (3H, s, H-19) , 0.92 (3H, d, J = 5.5 Hz, H-21), 1.13 (3H, t, J  = 7.5 Hz,  CH 3 CH 2 CO-), 2.27-2.36 (3 H, m, H-23 & CH 3 CH 2 CO-), 2.36-2.44 (1 H, m, H-23), 4.73 (1H, m, H-3).
13 C NMR (d) 9.2, 12.0, 18.2, 20.8, 23.3, 24.1, 26.2, 26.6, 27.0, 28.0, 28.1, 30.7, 31.0, 32.2, 34.5, 35. 0, 35.2, 35.7, 40.1, 40.3, 41.8, 42.7, 55.9, 56.4,  74.1, 174.1, 180.4.
MS m/z 432 (M + , 6.4), 358 (100), 343 (21), 304 (14), 257 (17), 2 30 (43), 215 (73). 

〔実施例2〕
 文献記載の方法により(Science Vol. 284, 1999, pp1362-1365; Science Vol. 296, 2002, pp.1313-1316)、 トコール酸プロピオネートのVDRに対する活 化作用を検討した。ヒト胎児腎由来HEK293細 (独立行政法人理化学研究所バイオリソース センターから入手)にCMX-GAL4-VDR発現ベクター( 都大学ウイルス研究所の梅園和彦教授(故人 )から供与されたCMX-GAL4-mRXRγベクターとCMX-hVDR ベクターを利用して、mRXRγの部分を対応する hVDRのリガンド結合領域に置き換えたもの)、M H100(UAS)x4-tk-LUCレポーターベクター(京都大学 イルス研究所の梅園和彦教授(故人)から供与 )をリン酸カルシウム法用いてトランスフェ ションし、8時間後に培養液中にリトコール プロピオネート(実施例1で調製)を加えた。1 6~18時間後に細胞を可溶化し、ルシフェラー 活性を評価した。結果を図1Aに示す。リトコ ール酸プロピオネートはリトコール酸アセテ ートよりも効果的にVDRを活性化した。

〔実施例3〕
 リトコール酸プロピオネートの動物への投 を行い、血漿カルシウム濃度及び臓器のVDR 的遺伝子の発現誘導効果を検討した。8~9週 の雄マウス(C57BL/6J、日本チャールス・リバ 社)へリン酸緩衝生理食塩水に溶解した化合 物を隔日で腹腔内投与し、8日目に血漿及び 器を回収し、血漿カルシウムをオルトクレ ールフタレインコンプレクソン法にて、腎 におけるVDR標的遺伝子CYP24の発現を文献記載 の方法(J Lipid Res Vol. 46, 2005, pp.46-57)にて 定した。リトコール酸プロピオネート及び トコール酸アセテートは臓器のVDR標的遺伝 の発現を誘導した。腎臓CYP24遺伝子発現を同 程度に誘導する濃度における1α-ヒドロキシ タミンD3、リトコール酸プロピオネート、リ トコール酸アセテートの血漿カルシウム濃度 に対する影響を比較した。1α-ヒドロキシビ ミンD3は高カルシウム血症を誘導したが、リ トコール酸プロピオネートとリトコール酸ア セテートはカルシウム濃度を変化させなかっ た(図2)。

〔実施例4〕
 文献記載の方法により(Biochem Pharmacol Vol. 5 7, 1999, pp521-529)、リトコール酸プロピオネー トの骨髄性白血病細胞の分化誘導効果を検討 した。ヒト骨髄性白血病HL60細胞(独立行政法 理化学研究所バイオリソースセンターから 手)に化合物を処理をして、3日後に細胞のNi tro blue tetrazolium還元能を評価した。リトコ ル酸プロピオネートはリトコール酸アセテ トと同様に10μMで弱く、また30μMで効果的にH L60細胞の分化マーカーを誘導した(図3)

〔実施例5〕
 リトコール酸アセテートとリトコール酸プ ピオネートのin vivo効果を検討するために 1α-ヒドロキシビタミンD3(1α(OH)D 3 )、リトコール酸アセテート又はリトコール プロピオネート(リン酸緩衝生理食塩水に溶 )をマウス(8~9週齢の雄マウス(C57BL/6J、日本 ャールス・リバー社))に腹腔内投与した。1α (OH)D 3 は、投与後速やかに1,25-ジヒドロキシビタミ D3(1,25(OH) 2 D 3 )に変換したが、白血病細胞を接種したマウ の生存時間を増加する効果は1,25(OH) 2 D 3 より高かった(Honma, Y., Hozumi, M., Abe, E., Kon no, K., Fukushima, M., Hata, S., Nishii, Y., DeLuca,  H. F., and Suda, T. 1983. 1・,25-Dihydroxyvitamin  D3 and 1・-hydroxyvitamin D3 prolong survival time o f mice inoculated with myeloid leukemia cells. Proc  Natl Acad Sci USA. 80: 201-204.)。マウスに1α(OH)D 3 を腹腔内投与(12.5 nmol/kg)すると、体重が減少 し(図4A)、血漿カルシウム濃度が増加した(図4 B)。1α(OH)D 3 は、腎Cyp24a1、カルビンジンD 9k 、Trpv6及びTrpv5遺伝子の発現を効果的に誘導 た(図4C)。また、1α(OH)D 3 は、小腸粘膜Cyp24a1発現も誘導した(図4D)。マ スをリトコール酸アセテート(0.7 mmol/kg)又 リトコール酸プロピオネート(0.7 mmol/kg)で処 理しても体重は減少しなかった(図4A)。重要 ことは、リトコール酸アセテート(0.7 mmol/kg) 及びリトコール酸プロピオネート(0.7 mmol/kg) 、1α(OH)D 3  (12.5 nmol/kg)と同程度の腎Cyp24a1発現誘導効果 があった(図4C)が、これらのリトコール酸誘 体は血漿カルシウム濃度を変化させなかっ ことである(図4B)。細胞内カルシウム結合タ パク質であるカルビンジンD 9k 及びカルシウムトランスポーターであるTrpv6 びTrpv5の発現はリトコール酸誘導体によっ 効果的に誘導されなかった。リトコール酸 セテートとリトコール酸プロピオネートは 小腸粘膜標的遺伝子発現を誘導する効果が かった(図4D)。

 次に、リトコール酸誘導体(コーン油に溶解 )の経口投与のin vivo効果を検討した。1α(OH)D 3 を経口投与すると、体重が減少し(図5A)、血 カルシウム濃度が増加した。しかし、リト ール酸アセテート(1 mmol/kg)又はリトコール プロピオネート(1 mmol/kg)は体重にも血漿カ シウムにも影響を与えなかった(図5B)。リト ール酸アセテート(0.7 mmol/kg及び1 mmol/kg)及 リトコール酸プロピオネート(0.7 mmol/kg及び 1 mmol/kg)は、1α(OH)D 3  (12.5 nmol/kg)と同程度の腎Cyp24a1発現誘導効果 があった(図5C)。腎カルビンジンD 9k の発現はリトコール酸アセテート及びリトコ ール酸プロピオネート処理によって誘導され なかった。1α(OH)D 3 と異なり、リトコール酸誘導体はTrpv6及びTrpv 5の発現を増加させなかった。1α(OH)D 3 を10日間経口投与した後、小腸粘膜Cyp24a1の発 現は増加しなかった(図5D)。1日の単回経口投 後に発現が観察されなかった(データを示さ ず)ので、10日間投与の間に誘導が見られなか ったことは、以前に報告された順応機構によ るのかもしれない(Lemay, J., Demers, C., Hendy,  G. N., Delvin, E. E., and Gascon-Barre, M. 1995. Ex pression of the 1,25-dihydroxyvitamin D3-24-hydroxylase gene in rat intestine: response to calcium, vitamin D3 and calcitriol administration in vivo. J Bone Mi ner Res. 10: 1148-1157.)。小腸粘膜Cyp24a1発現に するリトコール酸誘導体の効果は観察され が、穏やかなものであった。従って、リト ール酸アセテートとリトコール酸プロピオ ートは、体重減少及び高カルシウム血症と った毒性の効果なしに、in vivoでビタミンD 容体(VDR)を活性化することができる。

〔製剤例1〕 
 リトコール酸プロピオネート 30g、結晶セ ロース 140g、乳糖 100g、繊維素グリコール カルシウム 15g、ヒドロキシプロピルセルロ ース 10gおよび精製水30mlを練合機に添加し、 通常の方法により5分間練合する。練合終了 、10メッシュで篩過し、乾燥機中にて50℃で 燥する。乾燥後、整粒し、ステアリン酸マ ネシウムを5g添加する。1分混合した後、打 して、1錠当たり約100mg、直径6.5mmの錠剤を る。この錠剤は1錠中、リトコール酸プロピ ネートを10mg含有する。
 本明細書で引用した全ての刊行物、特許お び特許出願をそのまま参考として本明細書 とり入れるものとする。

 本発明は、ビタミンD受容体が関与する疾 患、具体的には、骨粗鬆症、悪性新生物(例 ば、骨髄性白血病、乳癌、前立腺癌、大腸 など)、尋常性乾癬、自己免疫疾患(例えば、 慢性関節リウマチ、全身性ループスエリテマ トーシスなど)、感染症(例えば、結核など)、 神経変性疾患(例えば、多発性硬化症など)な の疾患の予防及び/又は治療に利用すること ができる。