Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
GREASE COMPOSITION AND DIRECT-ACTING DEVICES WITH THE GREASE COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/125775
Kind Code:
A1
Abstract:
A grease composition comprising both a poly-α-olefin exhibiting a kinematic viscosity of 60 to 320 mm2/s at 40°C and a thickening agent, wherein the poly-α-olefin is contained in an amount of 50 mass% or above based on the whole composition and the thickening agent is a lithium salt of a hydroxyl-free fatty acid having 10 to 22 carbon atoms. The grease composition further contains an ashless dithiocarbamate and/or zinc dithiocarbamate in an amount of 0.1 to 1.5 mass% in terms of sulfur and based on the whole composition. The grease composition has a phosphorus content of 0.05 mass% or below based on the whole composition and a worked penetration of 265 to 310.

Inventors:
FUJINAMI YUKITOSHI (JP)
HARA SHIGEO (JP)
KITANO HIROYUKI (JP)
FUJINAKA KENSAKU (JP)
YOSHIMURA HIRONORI (JP)
OHARA YASUSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/057147
Publication Date:
October 15, 2009
Filing Date:
April 07, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
IDEMITSU KOSAN CO (JP)
FUJINAMI YUKITOSHI (JP)
HARA SHIGEO (JP)
KITANO HIROYUKI (JP)
FUJINAKA KENSAKU (JP)
YOSHIMURA HIRONORI (JP)
OHARA YASUSHI (JP)
International Classes:
C10M169/00; C10M105/04; C10M107/02; C10M117/02; C10M135/18; C10M169/02; F16H25/24; F16H57/02; F16H57/04; C10N10/02; C10N10/04; C10N20/00; C10N20/02; C10N30/00; C10N30/06; C10N40/02; C10N50/10
Foreign References:
JP2001139975A2001-05-22
JPH059489A1993-01-19
JPH11166191A1999-06-22
JP2000303089A2000-10-31
JP2000230616A2000-08-22
JP2007050761A2007-03-01
JP2006250289A2006-09-21
Attorney, Agent or Firm:
KINOSHITA & ASSOCIATES (JP)
Bottom intellectual property office of patent business corporation Tatsuyuki (JP)
Download PDF:
Claims:
 40℃の動粘度が60~320mm 2 /sであるポリα―オレフィンと、増ちょう剤とを含むグリース組成物であって、前記ポリα―オレフィンを組成物全量基準で50質量%以上配合してなり、
 前記増ちょう剤は、水酸基を有さない炭素数10~22の脂肪酸リチウム塩であり、
 無灰系ジチオカーバメートおよび/または亜鉛ジチオカーバメートが、硫黄分換算かつ組成物全量基準で0.1~1.5質量%配合され、
 該グリース組成物におけるリン量が組成物全量基準で0.05質量%以下であり、
 混和ちょう度が265~310である
 ことを特徴とするグリース組成物。
 請求項1に記載のグリース組成物において、
 前記脂肪酸リチウム塩がステアリン酸リチウムである
 ことを特徴とするグリース組成物。
 請求項1または請求項2に記載のグリース組成物において、
 前記ポリα―オレフィンが、直鎖オレフィンのオリゴマーである
 ことを特徴とするグリース組成物。
 請求項1~請求項3のいずれかに記載のグリース組成物において、
 該組成物がクリーン環境下で用いられる直動装置に使用される
 ことを特徴とするグリース組成物。
 請求項4に記載のグリース組成物において、
 前記直動装置がボールネジなどの転動装置を機械要素として含み、
 前記ボールネジなどの転動装置に該組成物が使用される
 ことを特徴とするグリース組成物。
 請求項4に記載のグリース組成物において、
 前記直動装置が歯車による減速機構を有し、
 前記歯車に該組成物が使用される
 ことを特徴とするグリース組成物。
 請求項4~請求項6のいずれかに記載のグリース組成物を用いた
 ことを特徴とする直動装置。
Description:
グリース組成物およびそのグリ ス組成物を用いた直動装置

 本発明は、グリース組成物に関する。詳 くは、クリーンな環境下で用いられる直動 置に使用されるグリース組成物に関する。

 歯車や軸受等の潤滑には、摩擦を防止して 動効率や機械寿命を向上させるため、グリ スが使用されている。一方、クリーンルー 、精密機械製造、半導体製造、平面ディス レイ製造、および食品製造などのクリーン 環境が必要な分野では、グリースから発生( 以下、「発塵」ともいう。)する微細な粒子( えば、平均径5μm以下)が製造物の歩留まり 影響するため、このような発塵を極力抑え ことが求められている。
 そこで、このような用途に対し,グリースか らの発塵を抑制した、いわゆる「低発塵グリ ース」が提案されている。例えば、増ちょう 剤としてステアリン酸リチウム石けん10~35質 %と、酸化パラフィン及びジフェニルハイド ロゲンホスファイトよりなる群から選ばれた 1種又は2種以上の化合物0.5~15.0質量%とを配合 たグリース組成物が提案されている(特許文 献1参照)。また、増ちょう剤として、炭素数 10以上のヒドロキシル基を有していない脂 酸のLi塩で、且つ、長さ及び直径が2μm以下 繊維状のものを組成物全体の15~30質量%配合 たグリース組成物が提案されている(特許文 2参照)。

特開2001-139975号公報

特開2004-352953号公報

 しかし、特許文献1、2に開示されたグリー 組成物では、発塵をある程度抑制すること 出来ても、耐荷重性(極圧性)が不足しており 、高荷重用途までは潤滑性をカバーできない 。また、通常用いられる耐荷重添加剤である ZnDTPや硫黄-リン系極圧剤を配合すると、発塵 に悪影響を与えてしまう。それ故、これらの グリース組成物では、特に低発塵性と潤滑性 が要求されるクリーンルーム用直動装置には 適用が困難である。
 そこで、本発明の目的は、高荷重下におい も優れた潤滑性を有するとともに、発塵が ないグリース組成物、およびそのグリース 成物を用いた直動装置を提供することにあ 。

 前記した課題を解決すべく、本発明は、以 のようなグリース組成物およびその組成物 用いた直動装置を提供するものである。
〔1〕40℃の動粘度が60~320mm 2 /sであるポリα―オレフィンと、増ちょう剤 を含むグリース組成物であって、前記ポリα ―オレフィンを組成物全量基準で50質量%以上 配合してなり、前記増ちょう剤は、水酸基を 有さない炭素数10~22の脂肪酸リチウム塩であ 、無灰系ジチオカーバメートおよび/または 亜鉛ジチオカーバメートが、硫黄分換算かつ 組成物全量基準で0.1~1.5質量%配合され、該グ ース組成物におけるリン量が組成物全量基 で0.05質量%以下であり、混和ちょう度が265~3 10であることを特徴とするグリース組成物。
〔2〕前述した本発明のグリース組成物にお て、前記脂肪酸リチウム塩がステアリン酸 チウムであることを特徴とするグリース組 物。
〔3〕前述した本発明のグリース組成物にお て、前記ポリα―オレフィンが、直鎖オレフ ィンのオリゴマーであることを特徴とするグ リース組成物。
〔4〕前述した本発明のグリース組成物にお て、該組成物がクリーン環境下で用いられ 直動装置に使用されることを特徴とするグ ース組成物。
〔5〕前述した本発明のグリース組成物にお て、前記直動装置がボールネジなどの転動 置を機械要素として含み、前記ボールネジ どの転動装置に該組成物が使用されること 特徴とするグリース組成物。
〔6〕前述した本発明のグリース組成物にお て、前記直動装置が歯車による減速機構を し、前記歯車に該組成物が使用されること 特徴とするグリース組成物。
〔7〕前述した本発明のグリース組成物を用 たことを特徴とする直動装置。

 本発明のグリース組成物によれば、高荷 下でも優れた潤滑性を有するとともに、発 が少ないので、特に、クリーンルーム用直 装置に好適に用いることができる。

本発明の実施例に係る電動シリンダの 形を示す図 図1の電動シリンダにおいてボールネジ 部分の構造を示す拡大図

 以下、本発明を実施するための最良の形態 ついて詳述する。
 本実施形態のグリース組成物(以下「本組成 物」ともいう。)は、ポリα―オレフィンと、 増ちょう剤とを含んで構成される。
 ここでポリα―オレフィンとしては、潤滑 分野で用いられるものが適用可能である。 だし、40℃の動粘度は60~320mm 2 /sであることが必要であり、好ましくは70~200m m 2 /sである。40℃の動粘度が60mm 2 /s未満であると、耐荷重性能が低下する。一 、40℃の動粘度が320mm 2 /sを超えると耐摩耗性が低下し、特に、フレ チング摩耗が大きくなるおそれがある。
 このポリα―オレフィンは、本組成物にお る基油に相当するものである。ポリα―オレ フィンは、発塵が少ない上に粘度指数が高い ので、基油として用いると温度変化に対する 組成物の粘度変化が小さく、広範囲な温度に 対して特性が変化しにくい。それ故、組成物 全量基準で50質量%以上配合されていることが 必要であり、好ましくは60質量%以上であり、 より好ましくは70質量%以上、さらに好ましく 80質量%以上であり、もっとも好ましくは90質 %以上である。ポリα―オレフィンの含有量 50質量%未満であると、ポリα―オレフィン 特徴が損なわれてしまう。

 基油としては、所定のポリα―オレフィン 前記した量だけ配合されていればよく、本 明の効果を損なわない限り、他の合成油や 油がさらに配合されていてもよい。そのよ な合成油としては、従来公知の種々のもの 使用可能であり、例えば、ポリブテン、ポ オールエステル、二塩基酸エステル、リン エステル、ポリフェニルエーテル、アルキ ベンゼン、アルキルナフタレン、ポリオキ アルキレングリコール、ネオペンチルグリ ール、シリコーンオイル、トリメチロール ロパン、ペンタエリスリトール、更にはヒ ダードエステル等を用いることができる。 た、鉱油としては、従来公知の種々のもの 使用可能であり、例えば、パラフィン基系 油、中間基系鉱油、ナフテン基系鉱油等が げられる。具体例としては、溶剤精製また 水素精製による軽質ニュートラル油、中間 ュートラル油、重質ニュートラル油または ライトストック等を挙げることができる。
 このような合成油や基油としては、40℃で 動粘度が前記したポリα―オレフィンと同じ 範囲にあることが好ましい。

 本組成物に配合される増ちょう剤は、水酸 を有さない炭素数10~22の脂肪酸リチウム塩 ある。
 脂肪酸リチウム塩が水酸基を有してしまう 、発塵量が多くなって不都合である。また 脂肪酸リチウム塩の炭素数が9以下であると 増ちょう効果が小さくなってしまい、グリー ス化が困難である。一方、脂肪酸リチウム塩 の炭素数が23以上であると、製造が困難であ 、入手も難しく工業製品として実用的でな ので好ましくない。それ故、脂肪酸リチウ 塩の好ましい炭素数は14~20である。
 このような脂肪酸リチウム塩としては、ス アリン酸リチウムを主体としたものが増ち う効果が高く、耐熱性も優れる点で最も好 しい。

 本組成物には、極圧剤として、硫黄分換算 0.1~1.5質量%(組成物全量基準)の無灰系ジチオ カーバメートおよび亜鉛ジチオカーバメート の少なくともいずれか一方が配合される。
 無灰系ジチオカーバメートとしては、メチ ンビスジエチルジチオカーバメート、メチ ンビスジブチルジチオカーバメート、メチ ンビスジアミルジチオカーバメート、メチ ンビスジアリールジチオカーバメート、チ カーバメート誘導体等が挙げられる。
 亜鉛ジチオカーバメートとしては、亜鉛ジ ミルジチオカーバメート、亜鉛ジアリール チオカーバメート、亜鉛オキシサルファイ ジチオカーバメート、亜鉛サルファイドジ オカーバメート等が挙げられる。特に、広 市販されており入手が容易な亜鉛ジアミル チオカーバメートが好適である。
 これらの化合物は、1種単独で用いても良い し、2種以上を複合的に用いても良い。

 ここで、無灰系ジチオカーバメートおよ 亜鉛ジチオカーバメートの少なくともいず か一方の配合量が、硫黄分換算で0.1質量%未 満の場合、十分な耐荷重性能を得ることがで きず、一方、1.5質量%を超える場合、熱硬化 起こりやすくなるためグリース組成物の寿 が短くなる。なお、無灰系ジチオカーバメ トおよび亜鉛ジチオカーバメートの少なく もいずれか一方の配合量は、硫黄分換算で0. 3~1.0質量%であることがより好ましく、0.3~0.7 量%であることがさらに好ましい。

 本組成物においては、リン量が組成物全量 準で0.05質量%以下であり、好ましくは0.03質 %以下である。
 組成物中のリン量が組成物全量基準で0.05質 量%を超えると、発塵が大きくなるおそれが る。従って、ZnDTP、硫黄-リン系極圧剤、あ いはTCP等のリン含有極圧剤の添加は好まし ない。仮に添加する場合は必要最小限に留 るべきである。
 また、本組成物においては、混和ちょう度 265~310(JIS(Japanese Industrial Standard) K2220.7準拠 )である。混和ちょう度が265未満であると、 リース組成物が「硬すぎる」ため耐摩耗性 低下する。特にフレッチング摩耗が大きく る。一方、混和ちょう度が310を超えると、 リース組成物が「軟らかすぎる」ため、発 が大きくなる。

 上述の構成を備えるグリース組成物は、 れた潤滑性を有するとともに発塵が少ない で、低発塵型の転動装置(ころがり軸受、ボ ールネジ、リニアガイド等、転がり運動を行 う装置)用として好適である。例えば、電動 リンダ、電動式リニアアクチュエータ、ジ ッキ、直線作動機などのクリーンルーム用 動装置に好適に用いることができる。特に 荷重用途において、この直動装置がボール ジを機械要素として含む場合に効果があり さらに、この直動装置が歯車による減速機 を有する場合にも有効である。

 本発明のグリース組成物においては、本発 の目的が達成される範囲内で、必要に応じ 、酸化防止剤、防錆剤、固体潤滑剤、充填 、油性剤、金属不活性化剤等の添加剤を配 してもよい。
 酸化防止剤としては、例えばアルキル化ジ ェニルアミン、フェニル-α-ナフチルアミン 、アルキル化-α-ナフチルアミン等のアミン 酸化防止剤、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノ ル、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェ ール)等のフェノール系酸化防止剤等が挙げ られ、これらは、通常0.05~2質量%の割合で使 される。
 防錆剤としては、亜硝酸ナトリウム、石油 ルホネート、ソルビタンモノオレエート、 肪酸石けん、アミン化合物等が挙げられる

 固体潤滑剤としては、ポリイミド、PTFE、 黒鉛、金属酸化物、窒化硼素、メラミンシア ヌレート(MCA)、二硫化モリブデン等が挙げら る。以上のような各種添加剤は、単独で、 たは数種組み合わせて配合してもよく、本 明の潤滑油添加剤はこれらの効果を阻害す ものではない。

 次に、実施例および比較例を挙げて本発 をさらに詳しく説明するが、本発明はこれ の実施例の記載内容に何ら制限されるもの はない。

〔実施例1~7、比較例1~13〕
 (グリース組成物の製造)
 実施例および比較例の各グリース組成物を 以下のようにして製造した。各グリース組 物の配合組成を表1~3に示す。
 <実施例1~7、比較例1~5、比較例8~13>
(1)表に示す配合比率の基油の一部(グリース 上り量の50質量%)およびステアリン酸を、反 釜中で攪拌しながら加熱溶解させた。
(2)次に、表に示す水酸化リチウム(一水和物) 5倍水溶液としたものを、(1)の組成物に添加 し、加熱混合した。
(3)グリース組成物の温度が200℃に達した後、 5分間保持した。
(4)次に、残りの基油を添加した後、50℃/1時 の速度で80℃まで冷却し、表に示すように、 酸化防止剤、防錆剤・極圧剤を添加混合した 。
(5)さらに、室温まで自然放冷した後、ミリン グ処理を行い、表に示すちょう度のグリース 組成物を得た。

 <比較例6>
(1)表に示す混合比率の基油の半量と、ジフェ ニルメタン-4,4'-ジイソシアネート(組成物全 の4.1質量%)を反応釜中で撹拝しながら60~70℃ 加熱溶解させた。
(2)基油の残量にラウリルアミン(組成物全量 6.0質量%)を溶解させたものを、(1)の組成物に 添加し、加熱混合した。
(3)グリース組成物の温度が160℃に達した後、 60分間保持した。
(4)50℃/1時間の速度で80℃まで冷却し、表に示 すように、酸化防止剤、防錆剤・極圧剤を添 加混合した。
(5)さらに、室温まで自然放冷した後、ミリン グ処理を行い、表に示すちょう度のグリース 組成物を得た。

 <比較例7>
 実施例1におけるステアリン酸を、12ヒドロ システアリン酸に変更した他は、同一の製 で製造した。

(※1)ポリα―オレフィン、動粘度(40℃) 28.8mm 2 /s、動粘度(100℃) 5.6mm 2 /s、密度(15℃) 0.826g/cm 3
(※2)ポリα―オレフィン、 動粘度(40℃) 63mm 2 /s、動粘度(100℃) 9.8mm 2 /s、密度(15℃) 0.835g/cm 3
(※3)ポリα―オレフィン、動粘度(40℃) 396mm 2 /s、動粘度(100℃) 14mm 2 /s、密度(15℃) 0.849g/cm 3
(※4)トリメリット酸-トリ-2エチルヘキシル
(※5)工業用ステアリン酸、ステアリン酸:パ ミチン酸:ミリスチン酸:オレイン酸=64:30:5:1( 量%比)の混合物
(※6)ラウリルアミンとジフェニルメタン-4,4'- ジイソシアネートとの反応生成物
(※7)亜鉛ジアミルジチオカーバメート
(※8)メチレンビスジブチルジチオカーバメー ト
(※9)プライマリー-ジ(2エチルヘキシル)ジチ リン酸亜鉛
(※10)Lubrizol社製 Angramol 99
 表1~3中、極圧剤中の硫黄量とは、極圧剤に 来する硫黄のグリース組成物全量に対する 有率を示す。よって、基油や他の添加剤中 含まれる硫黄分は、含まれない。

〔評価方法〕
 上記した実施例・比較例のグリース組成物 ついて性状、耐摩耗性および発塵性を評価 た。具体的な評価方法を以下に示す。
 混和ちょう度:JIS K2220.7.5に規定される方法 測定した。
 硫黄分:ASTM(American Society for Testing and Mater ials) D1552に規定される方法で測定した。
 フレッチング摩耗試験:ASTM D4170(潤滑グリー スの耐フレッチング摩耗評価方法)に規定さ る試験機を用い、周波数のみ25Hzに変更して 周囲温度25℃で22時間の測定を行い、試験前 後のベアリングの質量変化から摩耗量を算出 した。
 高速四球試験:ASTM D2596に規定される方法で 着荷重を測定し、耐荷重性能を評価した。
 発塵試験:クリーンルーム(ISO(International Orga nization for Standardization)14644-1に規定されるclas s2)内に設置されたボールネジを用いてグリー ス組成物からの発塵の程度を評価した。具体 的には、ボールネジ(直径16mm、リード8mm)のネ ジ面全体に、20gのグリース組成物を充填し、 ボール-ナット速度100mm/s、ストローク150mmの 件で50時間の運転を行った。往復の中心部の ネジ直近に設置した吸気口から空気を採取( 引速度3L/min)し、パーティクルカウンタ(リオ ン(株)製 KC-03B)により0.3μm以上の微粒子を計 し、発塵数とした。試験時間(50時間)の総計 測数を、個/10Lの単位で表した。
 ボールネジ負荷試験:図1に示す電動シリン 10((株)ツバキエマソン製、パワーシリンダLPT B500H4)を用いて、ボールネジ負荷試験を行っ 。図2に、電動シリンダ10のボールネジ部11を 拡大して示す。ボールネジ部11は、ボールナ ト111と、ネジシャフト112と、ボールとを含 で構成される。このネジシャフト112(ネジ面 全体)にグリース組成物を40g充填し、荷重5000N 、ストローク365mm、ロッド速度120mm/sの条件で 、137000回往復(走行距離100km)させることによ 、高荷重条件での潤滑性を評価した。具体 には、試験後にボールネジ部11を分解し、ネ ジ、ナットおよびボールの損傷を観察した。 なお、このボールネジ負荷試験は、実施例1 比較例1のグリース組成物のみについて行っ 。

〔評価結果〕
 評価結果を表1~3に示す。また、実施例1と比 較例1におけるボールネジ負荷試験の結果は 下の通りである。
 ・ネジの状態
   実施例1:剥離なし、比較例1:剥離あり(4列 )
 ・ナットの状態
   実施例1:摩耗なし、比較例1:摩耗あり
 ・ボールの状態
   実施例1:剥離なし、比較例1:剥離あり(20 )

 表1~3および前記したボールネジ負荷試験の 果から明らかなように、実施例1~7のグリー 組成物は、いずれも優れた潤滑性および低 塵性を有していることがわかる。
 一方、比較例1は、極圧剤としてZnDTCが配合 れているものの、その添加量が少なすぎる で潤滑性が劣っている。比較例2では、ちょ う度が小さすぎる(固すぎる)のでフレッチン 摩耗が多い。比較例3は、逆にちょう度が大 きすぎる(軟らかすぎる)ので発塵が多くなっ いる。比較例4では、基油の粘度が高すぎる ので、フレッチング摩耗が大きい。比較例5 は、逆に基油の粘度が低すぎるので、 耐荷 重性能が悪化してしまう。比較例6では、増 ょう剤がウレアであるため発塵が多くなっ いる。比較例7では、増ちょう剤として水酸 を含むリチウムセッケンを用いているので 塵が多くなっている。比較例8では、極圧剤 としてZnDTPを使用しているので、発塵が多い 比較例9では、極圧剤として硫黄-リン系添 剤を使用しているので発塵が多くなってい 。比較例10、11では、極圧剤としてリン系添 剤を使用しており、耐荷重性能が不十分で る。比較例12では、ZnDTCとリン系添加剤を併 用しており、結果的にリン分の濃度が高くな りすぎて、発塵が多くなってしまう。比較例 13では、基油としてエステルを使用している で、発塵が多い。

 本発明は、クリーンルーム等に用いられ 直動装置用のグリース組成物として好適に 用することができる。

10…電動シリンダ、11…ボールネジ部、111 ボールナット、112…ネジシャフト




 
Previous Patent: WO/2009/125753

Next Patent: WO/2009/125853