Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
HEAT RESISTANT COMPONENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/117802
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a heat resistant component composed of a TiAl intermetallic compound. The main body of the component has a frictionally moving portion that frictionally moves on other components. The frictionally moving portion is covered with a coat whereupon a coat for covering the frictionally moving portion is deposited by electric discharge from a consumable electrode.

Inventors:
OCHIAI HIROYUKI
FURUKAWA TAKASHI
WATANABE MITSUTOSHI
OTERA ISSEI
Application Number:
PCT/JP2008/055592
Publication Date:
October 02, 2008
Filing Date:
March 25, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
IHI CORP (JP)
MITSUBISHI ELECTRIC CORP (JP)
OCHIAI HIROYUKI
FURUKAWA TAKASHI
WATANABE MITSUTOSHI
OTERA ISSEI
International Classes:
C23C26/00; B22F5/00; F01D5/28; F02B39/00; F02C7/00
Domestic Patent References:
WO2004111394A12004-12-23
WO2005068670A12005-07-28
Foreign References:
JP2005214054A2005-08-11
JPH09287038A1997-11-04
JPH1036928A1998-02-10
JP2002356729A2002-12-13
JPH08257842A1996-10-08
JP2001279465A2001-10-10
JP2007023352A2007-02-01
JP2005272936A2005-10-06
JPH05148615A1993-06-15
Other References:
See also references of EP 2141262A4
METALS & MATERIALS SOCIETY, JOM, no. 8, August 1991 (1991-08-01), pages 48
Attorney, Agent or Firm:
MIYOSHI, Hidekazu et al. (2-8 Toranomon 1-chom, Minato-ku Tokyo 01, JP)
Download PDF:
Claims:
 高温環境下で他の部品と互いに擦動する耐熱部品であって、
 TiAl金属間化合物よりなり、前記他の部品と擦動する擦動面を有する本体と、
 耐磨耗性の金属よりなる消耗性の電極により放電堆積された、前記擦動面を被覆する耐磨耗性のコートと、
 を備えた、耐熱部品。
 請求項1に記載の耐熱部品において、前記本体は前記放電堆積に先立って脆性-延性遷移温度以上に加熱されていることを特徴とする耐熱部品。
 請求項1に記載の耐熱部品において、前記耐磨耗性のコートは微粉末を含む油中で放電堆積されていることを特徴とする耐熱部品。
 請求項1に記載の耐熱部品において、前記擦動面は前記放電堆積に先立ってピーニング処理されていることを特徴とする耐熱部品。
 請求項1に記載の耐熱部品において、前記耐磨耗性のコートは、Crを含むCo合金よりなることを特徴とする耐熱部品。
 請求項1に記載の耐熱部品において、前記消耗性の電極は、Crを含むCo合金よりなる粉末より、圧縮、圧縮および圧縮の後の少なくとも部分的な焼結、泥漿、MIM、溶射の群より選択された何れか一の方法により成形された電極であることを特徴とする耐熱部品。
 請求項1に記載の耐熱部品であって、
 前記コートと前記本体との間に、組成が厚さ方向へ傾斜的に変化する融合層をさらに備えた耐熱部品。
 高温環境下で他の部品と互いに擦動する耐熱部品であって、
 TiAl金属間化合物よりなり、前記他の部品と擦動する擦動部を有する本体と、
 アブレイシブ性を有する金属およびセラミックスよりなる消耗性の電極により放電堆積された、前記擦動部を被覆するアブレイシブ性を有するコートと、
 を備えた、耐熱部品。
 請求項8に記載の耐熱部品において、前記本体は前記放電堆積に先立って脆性-延性遷移温度以上に加熱されていることを特徴とする耐熱部品。
 請求項8に記載の耐熱部品において、前記アブレイシブ性のコートは微粉末を含む油中で放電堆積されていることを特徴とする耐熱部品。
 請求項8に記載の耐熱部品において、前記擦動部は放電堆積に先立ってピーニング処理されていることを特徴とする耐熱部品。
 請求項8に記載の耐熱部品において、前記アブレイシブ性を有するコートは、金属およびセラミックスよりなり、前記金属はコバルト合金およびニッケル合金の群より選択された一であり、前記セラミックスはcBN、TiC、TiN、TiAlN、TiB 2 、WC,SiC、Si 3 N 4 、Cr 3 C 2 、Al 2 O 3 、ZrO 2 -Y、ZrC、VC、B 4 Cの群より選択された何れか一以上であることを特徴とする耐熱部品。
 請求項8に記載の耐熱部品において、前記消耗性の電極は、金属およびセラミックスよりなり、前記金属はコバルト合金およびニッケル合金の群より選択された一であり、前記セラミックスはcBN、TiC、TiN、TiAlN、TiB 2 、WC,SiC、Si 3 N 4 、Cr 3 C 2 、Al 2 O 3 、ZrO 2 -Y、ZrC、VC、B 4 Cの群より選択された何れか一以上である粉末より、圧縮、圧縮および圧縮の後の少なくとも部分的な焼結、泥漿、MIM、溶射の群より選択された何れか一の方法により成形された電極であることを特徴とする耐熱部品。
 請求項8に記載の耐熱部品であって、
 前記コートと前記本体との間に、組成が厚さ方向へ傾斜的に変化する融合層をさらに備えた耐熱部品。
Description:
耐熱部品

 本発明は、ガスタービンエンジンのター ン翼、過給機のインペラ等、高温環境下で 分な強度を維持しうる耐熱部品およびその 面処理方法に関する。

 ジェット機の動力としてガスタービンエ ジンが利用されており、ガスタービンエン ンはその軸方向に交互に並ぶ動翼と静翼と 備えたガスタービンを備える。動翼は、周 向に等間隔に並んだ複数の翼を備え、各翼 高温ガスから動力を得て回転する。各翼は その外周側の先端にチップシュラウドと呼 れる部材を有する。チップシュラウド同士 、互いに接するように周方向に並び、先端 チップシールにより空気の後方への逃げを 少せしめる。動翼が回転することにより、 ップシュラウドが互いに接する面は、激し 擦動する。またチップシールの外周面は、 ンジンのケースが備えるハニカム部材とも しく擦動する。これらの擦動から動翼を保 するために、チップシュラウドの特定の部 に、適宜のコーティングを施すことがある

 日本国特開平5-148615号は、本発明に関連 る技術を開示している。

 ガスタービンエンジン用の素材として、 タン-アルミニウム(TiAl)金属間化合物が注目 されつつある。TiAl金属間化合物は軽量であ だけでなく、高い高温強度を有しており、 スタービンエンジンの、特に動翼に適用す 素材として魅力的な材料である。

 本発明は、割れのごとき欠陥の生じやす Ti-Al金属間化合物よりなるガスタービンエ ジンの耐熱部品であって、コーティングの 施に起因する割れによる特性の劣化、特に 労寿命の短縮を抑えることのできるコーテ ングが施された耐熱部品、およびそのよう コーティングを施すことのできる表面処理 法を提供することを目的とする。

 本発明の第1の局面によれば、高温環境下 で他の部品と互いに擦動する耐熱部品は、TiA l金属間化合物よりなり、前記他の部品と擦 する擦動面を有する本体と、耐磨耗性の金 よりなる消耗性の電極により放電堆積され 、前記擦動面を被覆する耐磨耗性のコート 、を備える。

 好ましくは、前記本体は前記放電堆積に 立って脆性-延性遷移温度以上に加熱される 。また好ましくは、前記耐磨耗性のコートは 微粉末を含む油中で放電堆積される。あるい は好ましくは、前記擦動面は放電堆積に先立 ってピーニング処理される。さらに好ましく は、前記耐磨耗性のコートは、Crを含むCo合 よりなる。さらにまた好ましくは、前記消 性の電極は、Crを含むCo合金よりなる粉末よ 、圧縮、圧縮および圧縮の後の少なくとも 分的な焼結、泥漿、MIM、溶射の群より選択 れた何れか一の方法により成形された電極 ある。あるいは好ましくは、前記耐熱部品 、前記コートと前記本体との間に、組成が さ方向へ傾斜的に変化する融合層をさらに える。

 本発明の第2の局面によれば、高温環境下 で他の部品と互いに擦動する耐熱部品は、TiA l金属間化合物よりなり、前記他の部品と擦 する擦動部を有する本体と、アブレイシブ を有する金属およびセラミックスよりなる 耗性の電極により放電堆積された、前記擦 部を被覆するアブレイシブ性を有するコー と、を備える。

 好ましくは、前記本体は前記放電堆積に先 ってTiAl金属間化合物の脆性-延性遷移温度 上に加熱される。また好ましくは、前記ア レイシブ性のコートは微粉末を含む油中で 電堆積される。あるいは好ましくは、前記 動面は放電堆積に先立ってピーニング処理 れる。さらに好ましくは、前記アブレイシ 性を有するコートは、金属およびセラミッ スよりなり、前記金属はコバルト合金およ ニッケル合金の群より選択された一であり 前記セラミックスはcBN、TiC、TiN、TiAlN、TiB 2 、WC,SiC、Si 3 N 4 、Cr 3 C 2 、Al 2 O 3 、ZrO 2 -Y、ZrC、VC、B 4 Cの群より選択された何れか一以上である。 らにまた好ましくは、前記消耗性の電極は 金属およびセラミックスよりなり、前記金 はコバルト合金およびニッケル合金の群よ 選択された一であり、前記セラミックスはcB N、TiC、TiN、TiAlN、TiB 2 、WC,SiC、Si 3 N 4 、Cr 3 C 2 、Al 2 O 3 、ZrO 2 -Y、ZrC、VC、B 4 Cの群より選択された何れか一以上である粉 より、圧縮、圧縮および圧縮の後の少なく も部分的な焼結、泥漿、MIM、溶射の群より 択された何れか一の方法により成形された 極である。あるいは好ましくは、前記耐熱 品は、前記コートと前記本体との間に、組 が厚さ方向へ傾斜的に変化する融合層をさ に備える。

図1は、本発明の一実施形態によるガス タービンエンジンの動翼の斜視図である。 図2は、前記動翼の先端とエンジンケー スの内側のハニカム部材との関係の模式図で ある。 図3は、前記動翼が適用されたガスター ビンエンジンの模式図である。 図4は、本実施形態による放電堆積に用 いる放電加工機の模式図である。 図5は、本実施形態によるピーニング工 程の模式図である。 図6は、第1のコートを形成する過程を 明する模式図である。 図7は、第2のコートを形成する過程を 明する模式図である。 図8は、融合層の厚さとコートの密着強 度との関係を表わすグラフである。 図9は、融合層の厚さと母材の変形との 関係を表わすグラフである。 図10は、ピーニングを実施しない面に して放電堆積をした例である。 図11は、ピーニングを実施した面に対 て放電堆積をした例である。

 本明細書と添付の請求の範囲を通して、 くつかの用語を次のように定義して使用す 。「放電堆積」なる語は、放電加工機にお て非消耗電極の代わりに消耗性の電極を適 し、放電をワークピースの加工の代わりに 極の消耗に利用することによって、前記電 の素材を、ないし前記電極の素材と加工液 いし加工気体との反応生成物を、ワークピ ス上に堆積せしめること、と定義して使用 る。また「放電堆積する」なる語は「放電 積」の他動詞として定義して使用する。さ に「~より本質的になる」なる句は、半閉鎖 的に成分を規定することを意味し、すなわち 、発明の基礎的および新規な性質に実質的に 影響する規定されていない成分を排除するが 、実質的に影響しない不純物等の成分を含む ことを許容すること、として定義して使用す る。

 チタン-アルミニウム(TiAl)金属間化合物は 、前述のごとく、軽量さや高い高温強度の点 で、優位性を有する。その一方、TiAl金属間 合物は、常温付近では延性に乏しい脆性材 であるので、機械加工や表面処理の点では めて厄介な材料である。上記コーティング 溶融を伴う方法によって施そうとすると、 の熱的ショックにより、容易に割れが生じ しまう。割れを軽減すべく溶射を適用しよ とすると、対象部位以外をマスクするなど 煩瑣な作業が必要であり、かつ得られたコ トは比較的に剥離しやすい。 本発明者らは 上述のコーティングを施す際の割れが生ずる 原因について検討を行った。その結果、TiAl 属間化合物の表面は加熱を受けることによ 膨張し、比較的に低温の表面直下との間で 膨張差が生じて過大な引張り応力が表面直 に生ずること、ないし表面を被覆したコー ィング層がその後の冷却における収縮を拘 することにより、過大な引張り応力が表面 生ずることにより、割れが生ずることが明 かとなった。かかる割れ及び割れの伸展は 明らかに疲労等の特性を劣化させる。

 本発明者らは、割れを防止するべく上述 ごとき引張り応力を軽減しつつ、表面に割 が発生しても特性の劣化、特に疲労特性の 化を抑える、剥離し難いコーティングを、T iAl金属間化合物よりなる耐熱部品に施す手段 について鋭意検討し、以って本発明に到った 。

 図1から図7を参照して以下に本発明の実 形態を説明する。

 本明細書、図面および請求の範囲を通じ 、動翼について先端および基端は、ガスタ ビンエンジンの軸に関して径方向の外およ 内の端の意味である。また前後は、ガスタ ビンエンジン内の空気の流れにおいて上流 よび下流の方向とそれぞれ一致する方向の 味である。例えば図3において、前方は左方 であって矢印FFにより表示され、後方は右方 あって矢印FRにより表示されている。

 本発明の一実施形態による動翼1は、図3 示される如く、ガスタービンエンジン3内に 軸心Cの周りにディスクと一体的に回転する べく、組み込まれて使用される。動翼1は、 1に示される如く、他の動翼1’と共に、軸心 Cの周りに周方向に等間隔に並べられて使用 れる。

 動翼1の本体5は、翼7と、その基端に一体 なプラットフォーム9と、さらにその基端に 一体的なダブテール11と、翼7の先端に一体的 なチップシュラウド13と、その先端面に一体 な一以上の(図面では一対の)チップシール15 と、を備える。本体5は、TiAl金属間化合物よ 本質的になる。

 翼7は、高温ガスから動力を得て回転する べく、軸方向に対して角度を有するエアフォ イル断面を有する翼である。プラットフォー ム9は長方形の平板状であって、隣接する動 1’のプラットフォームと共に、軸心Cを中心 とした周面をなす。ダブテール11は、図示さ ていないディスクと嵌合するべく構成され いる。

 チップシュラウド13は、隣接する動翼1’ チップシュラウドと互いに接するように周 向に並び、全体として軸心C周りに周面をな す。チップシュラウド13の側面であって、隣 するチップシュラウドの側面と稼動中に擦 しあう面である擦動面13sは、第1のコート17 より被覆されている。第1のコート17は、耐 耗性の金属よりなるものであって、好適に Co-Crよりなるが、これに限定されない。第1 コート17の被覆方法については、より詳細 後述する。

 図1および図2を参照するに、チップシー 15は、それぞれ、ガスタービンエンジン3の ースが備えるハニカム部材19と相互に擦動し あうべく、動翼5の回転方向にほぼ平行に突 したリブである。(図2では図示の便宜のため にチップシール15とハニカム部材19は離間し いるが、実際には擦動しあっている。)チッ シール15の頂上付近であって、ハニカム部 19と擦動しあう対象となる部分である擦動部 15tは、アブレイシブ性を有する第2のコート21 により被覆されている。

 なおアブレイシブ性とは、互いに擦動す 関係にある相手方の部品を削る特性であっ 、擦動によって相手方が優先的に削られて 身は擦動による損傷から保護される特性で る。本明細書および請求の範囲を通して、 ブレイシブ性の語をこの定義に従って使用 る。

 アブレイシブ性を有する第2のコート21は、 ましくは金属およびセラミックスよりなり より好ましくは、金属およびセラミックス あって、前記金属はコバルト合金およびニ ケル合金の群より選択された一であり、前 セラミックスはcBN、TiC、TiN、TiAlN、TiB 2 、WC,SiC、Si 3 N 4 、Cr 3 C 2 、Al 2 O 3 、ZrO 2 -Y、ZrC、VC、B 4 Cの群より選択された何れか一以上であるが これに限られない。第2のコート21の被覆方 についても後述する。

 第1のコート17および第2のコート21は、図4 に示す放電加工機27を利用して、放電堆積に り形成される。放電堆積に利用される放電 工機27は、ベッド29と、水平方向に移動可能 にベッド29上に備えられたテーブル33と、テ ブル33と一体的に移動する支持プレート41お び治具43と、加工液(ないし加工気体)Lを貯 する加工槽39と、を備える。放電堆積の対象 物は、加工槽39内であって治具43上に装着さ る。放電加工機27は、さらに、ベッド29に対 するように、コラム31と、垂直方向に移動 能にコラム31の下端に装着された加工ヘッド 47と、加工ヘッド47の下端に電極23(または25) 脱着可能に装着するべく構成されたホルダ51 と、を備える。放電加工機27は、さらに、外 電源45を備えて、テーブル33と加工ヘッド47 の間に電圧を印加できるようになっている テーブル33には、X軸サーボモータ35とY軸サ ボモータ37とがこれを駆動するように連結 れており、テーブル33をX軸とY軸の方向に沿 て(すなわち水平方向に)制御可能に駆動す ことができるようになっている。また加工 ッド47には、Z軸サーボモータ49がこれを駆動 するように連結されており、加工ヘッド47をZ 軸方向すなわち垂直方向に制御可能に駆動す ることができるようになっている。

 放電堆積においては、電極23,25は、通常 放電加工に利用される非消耗電極ではなく 粉末をプレスによる圧縮によって成形した 形体よりなり、比較的に粗な構造を有する 消耗性の電極を利用する。圧縮による成形 の代わりに、圧縮による成形の後に少なく も部分的に焼結されるべく加熱処理した電 や、泥漿、MIM(Metal Injection Molding)、溶射等 よって成形した電極を利用してもよい。

 対象物を放電加工機27にセットし、前記 象物を加工槽39内において、X,Y軸サーボモー タ35,37により駆動して、その対象部位を電極2 3,25に対向せしめ、Z軸サーボモータ49の駆動 より対象物と電極23,25との間を近接せしめる 。ここで通常の放電加工であれば、外部電源 45からパルス状の電流を供給することにより 対象部位と電極との間にパルス状の放電を 生させて対象部位を損耗させるが、放電堆 においては、対象部位を損耗させる代わり 、電極23,25を損耗せしめ、電極23,25の素材、 ないし電極23,25の素材と加工液Lとの反応生成 物を、対象部位上に堆積させる。加工液Lは 好ましくは油のような絶縁性の液体である 堆積物は、対象部位上に付着するだけでな 、放電のエネルギーを一部利用して、堆積 と対象物との間、及び堆積物の粒子相互に 拡散や溶着などの現象を同時に起こしうる

 本実施形態においては、対象物は動翼1の 本体5であって、対象部位は擦動面13sないし 動部15tである。上述のごとく、擦動面13sを 1のコート17が被覆し、擦動部15tを第2のコー 21が被覆する。これらの被覆方法について 下に詳述する。

 まず、図5に模式的に示されるごとく、対 象部位である擦動面13sに、公知の方法によっ て、適宜の微小球S等によりピーニングを施 。ピーニングに先立って、擦動面13s以外の 位にマスキングMを施してもよい。ピーニン を施すことにより擦動面13sに圧縮応力が残 する。残留した圧縮応力は、放電堆積の過 を通じて擦動面13sに生じ得る引張り応力と 衡することにより、差し引きにおいて残留 る引張り応力を解消ないし軽減する。同様 して、擦動部15tにもピーニングを施す。引 り応力が比較的に小さいと予想される場合 は、ピーニングは省略してもよい。

 放電加工機27を利用して擦動面13sには第1の ート17を被覆し、擦動部15tには第2のコート2 1を被覆する。第1のコート17は、耐磨耗性の 属、上述の例によればCrを含むCo合金よりな 上述のごとき消耗性の第1の電極23を利用す 。第2のコート21は、被覆する物質、上述の によれば、金属およびセラミックスであっ 、前記金属はコバルト合金およびニッケル 金の群より選択された一であり、前記セラ ックスはcBN、TiC、TiN、TiAlN、TiB 2 、WC,SiC、Si 3 N 4 、Cr 3 C 2 、Al 2 O 3 、ZrO 2 -Y、ZrC、VC、B 4 Cの群より選択された何れか一以上であるも 、よりなる、上述のごとき消耗性の第2の電 25を利用する。第1の電極23および第2の電極2 5は、それぞれ対象部位たる擦動面13sおよび 動部15tと相補的な形状となるべく成形され いる。

 動翼1の本体5を加工槽29内であって治具43 に、擦動面13sが加工ヘッド47に対向するよ に、装着する。加工ヘッド47のホルダ51には 第1の電極23を装着する。加工槽29には絶縁 を有する油等の加工液Lを注入する。前記加 液Lは、導電性を有する微粉末を適宜含んで いてもよい。前記微粉末が介在することによ り、放電は微粉末を経由してより長距離に伝 播することができるので、前記電極23と本体5 との間、すなわち極間距離をより大きくする ことができ、ひいてはより広い範囲に放電を 生ぜしめることができる。このことは、局部 的な発熱を減じ、以って熱応力による割れの 防止ないし抑制する。前記微粉末には、放電 により溶融して凝縮したり、油と化学反応を 生じて炭化物を生じても導電性を維持する物 質が好ましい。そのような物質としては、電 極23と同じ物質ないしシリコンが好ましい。 た微粉末の粒径は、大きすぎれば油中への 一な懸濁が困難であり、小さすぎれば凝縮 生じやすくなるので、0.5~2μmの範囲が好ま い。また油に対する量は、多すぎれば油中 の均一な懸濁が困難であり、少なすぎれば 間距離を大きくする効果が得られないので 5~15重量%が好ましい。

 擦動面13sが第1の電極23と対向して近接す べく、サーボモータ35,37,49を適宜に駆動す 。図6(a)は、擦動面13sが第1の電極23と対向し 近接した状態の模式図である。

 外部電源45よりパルス状に電力を供給し 、加工液L中において、第1の電極23と擦動面1 3sとの間にパルス状に放電を生ぜしめる。放 によって第1の電極23が損耗して、第1の電極 23を構成するCrを含むCo合金が擦動面13s上に堆 積する。Crを含むCo合金は、擦動面13s上に付 するだけでなく、放電のエネルギーを一部 用して、拡散や溶着を起こし、擦動面13s上 強固に付着した堆積物たる第1のコート17を ぜしめる。第1の電極23が損耗することに応 て、第1の電極23と擦動面13sとの間隙が徐々 大きくなるので、Z軸サーボモータ49を微速 て駆動して、放電を維持するように徐々に 工ヘッド47を下方に移動せしめつつ、所望の 厚さとなるまで放電を継続する。

 第1のコート17は、放電堆積の過程を反映 て、気孔や微粉末を含むが粗ではない特徴 な組織を有する。かかる特徴のために、断 の組織観察等の手段により、第1のコート17 組織は、溶射や電着等による皮膜の組織と 明瞭に構造的に区別可能である。

 上述の拡散や溶着により、第1のコート17 擦動面13sとの境界には、組成が厚さ方向へ 斜的に変化する融合層B1が生成される。融 層B1の厚さは特に限定されないが、薄すぎれ ば密着強度が低下し、厚すぎれば擦動面13sへ の過大な引張り応力を誘起する。それゆえ放 電条件を適正に制御することにより厚さを制 御すべきであって、好ましくは1μm以上かつ10 μm以下であって、より好ましくは3μm以上か 10μm以下とする。そのための適正な放電条件 は、ピーク電流が30A以下で、パルス幅が200μs 以下であって、好ましくは、ピーク電流が20A 以下で、パルス幅が8μs以下である。

 図8は、ピーニングを施していない擦動面13s に対して、放電条件を種々に変えて融合層B1 厚さを変え、融合層B1の厚さと第1のコート1 7の密着強度との関係を調べたものである。 軸は対数表示による融合層B1の厚さであり、 縦軸は無次元化した密着強度である。厚さが 1μmを越えると厚さに応じて密着強度が向上 、20μm以上ではその効果が飽和することが明 らかとなった。図9は、同じく融合層B1の厚さ と母材の割れの数×深さとの関係を調べたも であって、表1は、融合層B1の厚さと割れの 生の有無とを調べたものである。母材の変 は擦動面13sに生ずる引張り応力によるもの あって、母材の割れの数×深さは引張り応 の指標たりうる。横軸は対数表示による融 層B1の厚さであり、縦軸は無次元化した割れ の数×深さである。図9から明らかなように、 融合層B1の厚さが厚くなるに従って母材の変 は増大し、特に10μm以上において顕著であ 。換言すると、融合層B1の厚さは小であるほ ど擦動面13sに生ずる引張り応力は小さく、10 m以下であればその影響は小さいことが明ら となった。これらの知見に基づき、融合層B 1の厚さは、1μm以上かつ10μm以下が好ましく 3μm以上かつ10μm以下がより好ましい。

 またピーニングの有無による割れの形態 相違についても比較した。図10はピーニン していない面に放電堆積を実施した例であ 。割れは面に対して直角に近く、かつラメ 層を貫通して深く進展しており、強度を維 する上で好ましい割れの形態ではない。図11 はピーニングした面に放電堆積を実施した例 である。割れは面に対して斜めであって、か つラメラ層を剥離するような形態で進展して いる。即ち、割れが発生していても強度にあ まり影響を与えない形態である。従って、放 電堆積に先立ってピーニングを実施すること が好ましい。

 次いで、図7(a)に示されるごとく、動翼1 本体5の向きを変えて、擦動部15tが加工ヘッ 47に対向するように、本体5を治具43上に装 する。さらに第1の電極23に代えて、ホルダ51 に第2の電極25を装着する。図7(b)のごとく、 動部15tが第2の電極25と近接するべくサーボ ータ35,37,49を適宜に駆動し、第2の電極25と擦 動部15tとの間にパルス状に放電を生ぜしめる 。放電によって第2の電極25が損耗して電極25 構成する金属およびセラミックスが擦動部1 5t上に堆積し、第2のコート21を生ぜしめる。 1のコート17の場合と同様に、第2のコート21 気孔や微粉末を巻き込んだ特徴的な組織を し、第2のコート21と擦動部15tとの境界には 組成が厚さ方向へ傾斜的に変化する融合層B 2が生成される。融合層B2の厚さは、第1のコ ト17の場合と同様に、適正な放電条件によっ て制御されて、好ましくは1μm以上かつ10μm以 下であって、より好ましくは3μm以上かつ10μm 以下とする。そのための適正な放電条件は、 ピーク電流が30A以下で、パルス幅が200μs以下 であって、好ましくは、ピーク電流が20A以下 で、パルス幅が8μs以下である。

 なお、第1のコート17の形成の際に絶縁性 有する油などの加工液L中において放電堆積 を実施したときには、これに継続して、油な どの加工液L中において放電堆積を実施して 2のコート21を生ぜしめてもよい。また、ア ゴン等の不活性ガス中で実施したときにも 様にできる。さらに、第1のコート17は加工 Lを利用し、第2のコート21は不活性ガスを利 したり、またその逆であってもよい。

 なお、放電堆積に先立ち、対象物全体を ルゴン等の不活性ガス中において、光源ま は高周波加熱を利用した適宜の方法によりT iAl金属間化合物の脆性-延性遷移温度以上に 熱し、その温度を保持したまま放電堆積を い、その後徐冷してもよい。TiAl金属間化合 の脆性-延性遷移温度は、The Minerals, Metals  & Materials Societyの学会誌JOM(August, 1991)第43 頁図8および第44頁右カラムないし第45頁左カ ムに記載のごとく、TiAl金属間化合物におい てその組成とミクロ組織とに依存して定まる ものとして公知である。例えば48Ti-48Al-2Cr-2Nb る組成を有するTiAl金属間化合物では、脆性 -延性遷移温度はミクロ組織に依存して550な し750℃の範囲である。脆性-延性遷移温度は 知の方法により容易に測定しうる。

 対象物の温度は、放電堆積の間、過度に 下しないことが望ましいが、必ずしも一定 なくともよく、脆性-延性遷移温度以上の温 度が維持されればよい。不活性ガスは別途設 けた通気系により系に導入してもよいが、粗 な構造である電極を利用して噴出せしめても よい。電極より噴出せしめた不活性ガスは、 放電堆積の対象面と電極の間を冷却し、また 対象面付近のスラッジを除去する効果をも奏 する。この場合において、加工槽29には加工 Lを注入せず、前記不活性ガス中において放 電を実施する。

 上述の工程により、TiAl金属間化合物より なる本体と、前記本体の特定部位を被覆する 耐磨耗性の物質またはアブレイシブ性を有す る物質を含み、耐磨耗性の物質またはアブレ イシブ性を有する物質を含む加工電極から前 記特定部位を放電堆積することにより堆積さ れた一以上のコートと、を備えた耐熱部品が 得られる。

 上述の説明では、耐熱部品としてガスタ ビンエンジンの動翼を例に挙げて説明した 、本発明はこれに限定されるものではない 例えば静翼やローターディスク、過給機の ンペラ等、耐熱性が要求されていて、かつ ーティングを施す必要のあるいかなる部品 も適用することができる。また、放電堆積 液中に限らず、気中で実施してもよい。

 溶接等の肉盛によるコーティング技術に れば、溶融したコートの素材を対象部位に 着させるために、対象部位に対する単位面 あたりの入熱量が比較的に大きく、かつ同 に大きな面積に入熱される。それゆえ加熱 過程における膨張の程度が大きく、その分 冷却の過程において引張り応力は比較的に きくならざるをえない。溶射等のコーティ グ技術と、コーティングの対象物たるTiAl金 属間化合物との組み合わせは、冷却過程にお いて収縮による大きな割れが発生する蓋然性 が高い。また加熱時においても加熱による表 面の膨張が表面直下の割れを生ぜしめること がある。さらに溶射によるコートは剥離が生 じやすい。これに比べ、本実施形態では、放 電堆積によるコーティング技術と、TiAl金属 化合物とを組み合わせている。放電堆積に いては、対象物に対する入熱は放電が発生 ているスポットに限られ、かつ放電はパル 状に間歇的である。そのため、対象部位の 張の程度が小さく、それゆえ冷却の過程に いても過大な引張り応力の発生を避けるこ ができる。すなわち、割れの発生を抑制す ことができる。放電堆積によるコーティン 技術と、TiAl金属間化合物との組み合わせは 割れの抑制の点で顕著な効果を奏する。

 本実施形態においては、さらに、対象物 脆性-延性遷移温度以上に加熱することによ り、コートと対象物との間で温度差が縮小す るので、熱応力による割れの発生が抑制され る。さらに、対象物が延性を有する状態でコ ーティングがなされるので、割れの発生がさ らに抑制される。また、導電性を有する微粉 末を含む油中で放電堆積することにより、放 電の集中による局所的な加熱を抑制し、以っ て割れの発生をさらに抑制することができる 。さらにまた、放電堆積に先立って対象部位 に対して予めピーニングを実施することによ り、引張り応力と均衡しうる圧縮応力を与え ている。このことにより融合部直下の引張り 応力を抑制し、以って割れの発生を抑制する ことができる。あるいは、融合部とその直下 に割れが生じても、残留した圧縮応力により 割れの進展を抑止することができる。このこ とにより、疲労強度を高めることができる。

 また耐熱部品は、コバルト合金およびニッ ル合金の群より選択された一を含む金属と cBN、TiC、TiN、TiAlN、TiB 2 、WC,SiC、Si 3 N 4 、Cr 3 C 2 、Al 2 O 3 、ZrO 2 -Y、ZrC、VC、B 4 Cの群より選択された何れか一以上のセラミ クスとを含むアブレイシブ性を有するコー を備えることにより、高いアブレイシブ性 有する。

 また放電堆積によるコーティング技術に れば、コーティングを施す領域を電極が近 する領域に限定することができる。電極を 望の形状にしておけば、それのみによって ーティングを施す領域が規定される。溶射 の技術によってこれを実現しようとすると 予め対象部位以外の領域を耐熱性の素材で スクしておき、コーティングの完了後にマ クを除去するなどの煩雑な工程が必要にな 。このことと比べ、本実施形態は、工程が 略化されて効率のよい製造方法を提供する

 さらに、放電堆積によれば、気相法やメ キなどによるコーティング技術に比べ、コ ティングの膜厚の成長速度が大きいために 必要な膜厚を得るのに短時間で済む。

 コーティングが疲労寿命に及ぼす影響を低 イクル寿命(LCF)試験により検証した。試験 法は、原則、JIS-Z2279の規定に準拠しており 試験温度等の諸条件は表2に掲げるごとくで る。試験片は規定に従う中実丸棒であって 平行部の寸法は3mmφ×6mmであり、肩部はR12mm ある。つかみ部を除く試験片の側面は、そ 全体に亘り、表3に掲げる表面処理が加えら れている。番号4ないし6は上述の開示に基づ てコーティングを施したものであって、印 したピーク電流は2Aで、パルス幅は2μsであ た。番号7ないし9は表面処理を加えていな 比較例である。番号10ないし12は溶射により ーティングを施した場合を模擬したブラス 処理を施した。

 破断までに要した荷重の繰り返し数は、 3の右端カラムに列挙されている。複数の試 験片のうち最小の破断サイクル数により疲労 寿命を評価すると、コーティングした試験片 は、溶射を模擬したブラスト処理を施した試 験片に比べて、明らかに疲労寿命が長い。す なわち、上述の開示の技術は、疲労寿命の短 縮を抑えることのできるコーティングを提供 していることが理解される。

 好適な実施形態により本発明を説明した 、本発明は上記実施形態に限定されるもの はない。上記開示内容に基づき、当該技術 野の通常の技術を有する者が、実施形態の 正ないし変形により本発明を実施すること 可能である。

産業上の利用の可能性

 割れを防止しつつ、表面に割れが発生し も基材の強度低下を抑える、コーティング 施されたTiAl金属間化合物よりなる耐熱部品 が提供される。