Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
HEAT STORAGE MATERIAL, COLD INSULATION MATERIAL, AND REFRIGERANT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175529
Kind Code:
A1
Abstract:
A heat storage material according to the present disclosure includes a colloidal dispersion, wherein the colloidal dispersion contains: a nanosheet which is a dispersoid; and a dispersion medium. The concentration of the nanosheet in the colloidal dispersion may be 10,000 ppm or less on a mass basis. In another aspect, a heat storage material according to the present disclosure includes a colloidal dispersion, wherein the colloidal dispersion contains a nanosheet, which is a dispersoid, and a dispersion medium, and the absolute value of the zeta potential of the colloidal dispersion at 25ºC is 20-80 mV. The heat storage material according to the present disclosure is a new heat storage material suitable for use at a low temperature (for example, 0ºC or lower).

Inventors:
FUKUDA KATSUTOSHI (JP)
MORITA MASAHITO (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/007654
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 26, 2020
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
UNIV KYOTO (JP)
International Classes:
C09K5/10; F28D20/02
Domestic Patent References:
WO2016204232A12016-12-22
Foreign References:
JP2019019151A2019-02-07
JP2007107773A2007-04-26
JP2017122137A2017-07-13
JP2011192609A2011-09-29
JP2009227772A2009-10-08
JPH10130637A1998-05-19
JP2011208121A2011-10-20
CN102212339A2011-10-12
Attorney, Agent or Firm:
KAMADA Koichi (JP)
Download PDF:
Claims:
\¥0 2020/175529 27 卩(:17 2020 /007654

/ 請求の範囲

[請求項 1 ] コロイ ド分散液を含み、

前記コロイ ド分散液は、 分散質であるナノシート尸と ©、 分散媒と、 を 含む、

蓄熱材。

[請求項 2] 前記コロイ ド分散液における前記ナノシートの濃度が、 質量基準で

1 0 0 0 0 01以下である、 請求項 1 に記載の蓄熱材。

[請求項 3] 前記ナノシートが粘土鉱物から構成される、 請求項 1又は 2に記載 の蓄熱材。

[請求項 4] 前記コロイ ド分散液の 2 5 °〇でのゼータ電位の絶対値が、 2 0〜 8

0 Vである、 請求項 1〜 3のいずれかに記載の蓄熱材。

[請求項 5] コロイ ド分散液を含み、

前記コ 0;:ロイ ド分散液は、 分散質であるナノシートと、 分散媒と、 を 1

含み、

前記コロイ ド分散液の 2 5 °〇でのゼータ電位の絶対値が、 2 0〜 8 0 Vである、

蓄熱材。

[請求項 6] 前記コロイ ド分散液が分散剤を更に含む、 請求項 1〜 5のいずれか に記載の蓄熱材。

[請求項 7] 前記分散剤が、 以下の式 (1) 〜 (5) の各式に示された化合物か らなる群より選ばれる少なくとも 1種である、 請求項 6に記載の蓄熱 材〇

[化 1 ]

I

( 上記各式における 8 1 ~ 84は、 互いに独立して、 水素原子、 又は水 〇 2020/175529 28 卩(:170? 2020 /007654

酸基により水素原子が置換されていてもよいアルキル基である。 互いに独立して、 水酸基により水素原子が置換されていて もよいアルキル基である。 互いに結合して、 アルキレン 基である 「一 (〇1~124—」 又は 「一 (〇1~125—」 を形成していて もよい。

[請求項 8] 前記分散剤が、 テトラブチルアンモニウム、 テトラプロピルアンモ ニウム、 テトラエチルアンモニウム、 テトラメチルアンモニウム、

群より選ばれる少なくとも 1種である、 請求項 6に記載の蓄熱材。

[請求項 9] 前記ナノシートが、 金属化合物及び/又は炭素材料から構成される 、 請求項 1〜 8のいずれかに記載の蓄熱材。

[請求項 10] 前記ナノシートは、 非金属元素及び/又は金属元素を含む無機ナノ シートである、 請求項 1〜 8のいずれかに記載の蓄熱材。

[請求項 1 1 ] 前記非金属元素が、 水素、 炭素、 酸素、 フッ素、 窒素、 硫黄、 リン 及びケイ素からなる群より選ばれる少なくとも 1種である、 請求項 1 0に記載の蓄熱材。

[請求項 12] 前記金属元素が、 アルミニウム、 マグネシウム、 ジルコニウム、 ル テニウム、 ロジウム、 イリジウム、 チタン、 ニオブ、 バナジウム、 ク ロム、 マンガン、 コバルト、 ニッケル、 タングステン、 タンタル及び モリブデンからなる群より選ばれる少なくとも 1種である、 請求項 1 0又は 1 1 に記載の蓄熱材。

[請求項 13] 前記分散媒が水を含む、 請求項 1〜 1 2のいずれかに記載の蓄熱材

[請求項 14] - 2 1 °〇~ 0 °〇の凝固点を有する、 請求項 1〜 1 3のいずれかに記 載の蓄熱材。

[請求項 15] 日本工業規格 (」 I 3) 7 8 8 0 3 : 2 0 1 1 に定められた音叉型 振動粘度計を用いて当該規格に準拠して測定した〇 °〇における粘度が 、 1 . 6 01 8 3以下である、 請求項 1〜 1 4のいずれかに記載の 〇 2020/175529 29 卩(:170? 2020 /007654

蓄熱材。

[請求項 16] 請求項 1〜 1 5のいずれかに記載の蓄熱材を含む保冷材。

[請求項 17] 請求項 1〜 1 5のいずれかに記載の蓄熱材を含む冷媒。

Description:
\¥0 2020/175529 1 卩(:17 2020 /007654 明 細 書

発明の名称 : 蓄熱材、 保冷材及び冷媒

技術分野

[0001 ] 本発明は、 蓄熱材と、 これを含む保冷材及び冷媒とに関する。

背景技術

[0002] 熱又は冷熱を蓄積して使用時に放出する蓄熱 材が知られている。 冷熱を蓄 積する蓄熱材は蓄冷材とも称され、 冷却材としての使用が可能である。 蓄熱 材では、 通常、 固体又は液体としての顕熱が利用される。 ただし、 用途によ っては、 固体及び液体間の相転移により生じる潜熱が 更に利用されることも ある。 使用温度域において相転移が生じるように、 或いは相転移が生じない ように、 蓄熱材の凝固点を調整してもよい。 特許文献 1〜 3には、 塩化ナト リウム、 塩化カリウム、 塩化アンモニウム等の無機塩を含む水溶液で ある蓄 熱材が開示されている。 これらの文献の蓄熱材では、 無機塩による水の凝固 点降下によって凝固点が調整されている。 当該蓄熱材は、 水の融点である 0 °〇以下の低温において液体としての使用が 能である。 また、 特許文献 3に は、 非透水性袋の中に蓄熱材を収容して保冷材と してもよいことが記載され ている。

[0003] 非特許文献 1 , 2には、 ナノシートを積層させて半導体材料や光学材 料に 使用する技術と、 積層にあたり、 ナノシートを液中に分散させ、 これを沈殿 させる手法とが開示されている。 非特許文献 1 , 2におけるナノシートの分 散液は、 目的とする積層ナノシートを得るための中間 体である。

先行技術文献

特許文献

[0004] 特許文献 1 :特開 2 0 0 2 _ 3 7 1 2 6 9号公報

特許文献 2 :特開 2 0 0 2 _ 1 2 9 1 5 1号公報

特許文献 3 :特開 2 0 0 8 - 1 5 6 5 8 2号公報

非特許文献 [0005] 非特許文献 1 : T. Sasak i et a L , J. Am. Chem. Soc. , 1996, 1 18, pp. 8329- 8335

非特許文献 2 : T. Sasak i et a l. , J. Phys. Chem. B, 1997, 101 , pp. 10159- 10161

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006] 本発明は、 低温 (例えば 0 ° C以下) での使用に適した新規な蓄熱材の提供 を目的とする。

課題を解決するための手段

[0007] 本発明は、

コロイ ド分散液を含み、

前記コロイ ド分散液は、 分散質であるナノシートと、 分散媒と、 を含む、 蓄熱材、

を提供する。

[0008] 別の側面から、 本発明は、

コロイ ド分散液を含み、

前記コロイ ド分散液は、 分散質であるナノシートと、 分散媒と、 を含み、 前記コロイ ド分散液の 2 5 °Cでのゼータ電位の絶対値が、 2 0〜 8 0 m V である、

蓄熱材、

を提供する。

[0009] また別の側面から、 本発明は、

上記本発明の蓄熱材を含む保冷材、

を提供する。

[0010] 更にまた別の側面から、 本発明は、

上記本発明の蓄熱材を含む冷媒、

を提供する。 〇 2020/175529 3 卩(:170? 2020 /007654 発明の効果

[001 1] 本発明によれば、 低温 (例えば 0 ° 〇以下) での使用に適した新規な蓄熱材 を提供できる。

図面の簡単な説明

[0012] [図 1]図 1は、 第 1実施形態の蓄熱材の一例を示す模式図であ 。

[図 2]図 2は、 第 1実施形態の蓄熱材について、 分散媒の融点以下に冷却した 状態の一例を示す模式図である。

[図 3]図 3は、 第 2実施形態の蓄熱材の一例を示す模式図であ 。

[図 4]図 4は、 本発明の蓄熱材が含みうるナノシートの一例 を模式的に示す斜 視図である。

[図 5八]図 5八は、 本発明の保冷材の一例を模式的に示す斜視図 である。

[図 58]図 5巳は、 本発明の保冷材の別の一例を模式的に示す斜 視図である。 [図 6]図 6は、 本発明の冷媒を使用した熱交換システムの一 例を示す模式図で ある。

[図 7]図 7は、 実施例で使用した、 コロイ ド分散液のゼータ電位を評価する装 置の光学系を示す模式図である。

[図 8]図 8は、 実施例で作製したサンプル八群のコロイ ド分散液に対するゼー 夕電位の評価結果を示すグラフである。

[図 9]図 9は、 実施例で作製したサンプル八群のコロイ ド分散液 (濃度 1 9 / !_、 丁巳八 + / 1 ~ 1 + = 1) に対する粘度の温度依存性の評価結果を示す グラフで ある。

[図 10]図 1 0は、 実施例で作製したサンプル八群のコロイ ド分散液 (濃度 1 9 / 1_、 丁巳 + / 1 ~ 1 + = 1) に対する潜熱の評価結果を示すグラフである 。

[図 1 1]図 1 1は、 実施例で作製したサンプル 群のコロイ ド分散液 (濃度 1 9 / 1_、 丁巳八 + / 1 ~ 1 + = 1) 及びサンプル巳のコロイ ド分散液に対する凝結時 の氷晶サイズの評価結果を示す図である。

発明を実施するための形態

[0013] 以下、 本発明の実施形態について説明する。 本発明は、 以下の実施形態に 〇 2020/175529 4 卩(:170? 2020 /007654

限定されない。

[0014] [蓄熱材]

(第 1実施形態)

第 1実施形態の蓄熱材 1 ( 1 ) を図 1 に示す。 蓄熱材 1 は、 第 1 コロ イ ド分散液 2八を含む。 第 1 コロイ ド分散液 2八は、 分散質であるナノシー 卜 3と、 分散媒 4とを含む。 第 1 コロイ ド分散液 2 は、 ナノシートコロイ ドの分散液である。

[0015] 第 1 コロイ ド分散液 2八において個々のナノシート 3は、 通常、 互いに分 離及び独立した状態で分散媒 4中に安定して分散している (図 1参照) 。 第 1 コロイ ド分散液 2 の温度を分散媒 4の融点以下に低下させると、 分散媒 4の凝固が始まることで、 無数の凝固核 1 1が分散媒 4中に生成する (図 2 参照) 。 しかし、 分散媒 4中に安定して分散しているナノシート 3により、 生成した凝固核 1 1同士が結合及び成長することによる分散媒 4全体として の凝固は抑制される。 このため、 蓄熱材 1 の凝固点が分散媒 4の融点未満 に低下する凝固点降下が生じ、 低温での使用に適した蓄熱材 1 が得られる 。 なお、 分散媒 4が水を含む場合、 凝固核 1 1は、 典型的には氷核である。 また、 この場合、 蓄熱材 1 八の凝固点は、 水の融点である 0 ° 〇より低くなり うる。 なお、 本明細書における融点及び凝固点は、 1気圧の圧力下での値と する。

[0016] 第 1 コロイ ド分散液 2八におけるナノシート 3の濃度は、 質量基準で 1 0

0 0 0 以下であってもよい。 蓄熱材 1 八は、 分散媒 4とナノシート 3 とを含み、 ナノシート 3の濃度が質量基準で 1 0 0 0 0 以下であり、 分散媒 4とナノシート 3とを含んだコロイ ド分散液を形成しているナノシー トコロイ ド蓄熱材であってもよい。 以下、 本明細書における単位 は、 全て質量基準である。

[0017] ナノシート 3の濃度が 1 0 0 0 0 以下である場合、 ナノシート 3の分 散はより安定的であり、 例えば、 第 1 コロイ ド分散液 2八に含まれるイオン 、 典型的にはカチオン、 を介した相互作用によってナノシート 3の配列構造 〇 2020/175529 5 卩(:170? 2020 /007654

が形成されることによるナノシート 3の沈殿が抑制されうる。 この観点から 、 蓄熱材 1 では、 上記濃度は 1 0 0 0 0 以下であってもよい。 上記 濃度は、 8 0 0 0 〇!以下、 6 0 0 0 〇!以下、 5 0 0 0 以下、

4 0 0 0 〇!以下、 3 0 0 0 〇!以下、 2 0 0 0 以下、 更には 1 0 0 0 以下であってもよい。 上記濃度の下限は、 例えば、 0 〇!超 であり、 1 0 0 以上、 更には 5 0 0 〇!以上であってもよい。 なお 、 ナノシート 3がスメクタイ ト等の粘土鉱物から構成される場合には、 より 高い濃度に至るまで、 ナノシート 3の分散は安定しやすい。

[0018] 蓄熱材 1 八において凝固点が低下する程度は、 第 1 コロイ ド分散液 2八に おけるナノシート 3の濃度により制御できる。 ナノシート 3の濃度が低いほ ど、 第 1 コロイ ド分散液 2 の安定性は向上し、 ナノシート 3の分散は単分 散に近づく。 しかし、 ナノシート 3の濃度が過度に低くなると、 凝固核 1 1 同士の結合及び成長を阻害する作用が低下す る。 このため、 凝固点が低下す る程度は、 通常、 ナノシート 3の濃度が 1 0 0 0 0 から低下するに従 って大きくなり、 ある濃度において極大を迎えた後、 小さくなる。 分散媒 4 が水を含む場合には、 例えば、 上記濃度が

以下、 特に 1 0 0 0 以上 4 0 0 0 以下、 において、 蓄熱材 1 八 の凝固点が低下する程度が大きくなる。 なお、 濃度の低下に伴って凝固点が より低下する上記現象は、 無機塩等による通常の凝固点降下 (無機塩の濃度 の上昇に伴って凝固点がより低下する) とは全く異なっている。 ナノシート 3のコロイ ド分散に基づく上記現象は、 本発明者らによって初めて見出され た現象である。

[0019] 第 1 コロイ ド分散液 2八の 2 5 °〇でのゼータ (〇 電位の絶対値 は、 2 〇〜 8 0 Vであってもよく、 3 0〜 7 0〇! Vであってもよい。 ゼータ電位 はコロイ ド分散液における分散質の安定性の指標とな ることが知られている 。 ナノシート 3を分散質とする第 1 コロイ ド分散液 2八において が上記範 囲にある場合、 第 1 コロイ ド分散液 2八におけるナノシート 3の安定性がよ り向上する。 このため、 蓄熱材 1 八の凝固点を低下させる作用がより確実と 〇 2020/175529 6 卩(:170? 2020 /007654

なる。

[0020] コロイ ド分散液のゼータ電位は、 例えば、 電気泳動を利用した動的光散乱 測定法 (レーザードップラー法又は電気泳動光散乱 (巳 1_ 3) 法とも称され る) により評価できる。

[0021 ] (第 2実施形態)

第 2実施形態の蓄熱材 1 (1 巳) を図 3に示す。 蓄熱材 1 巳は、 第 2コロ イ ド分散液 2巳を含む。 第 2コロイ ド分散液 2巳は、 分散質であるナノシー 卜 3と、 分散媒 4とを含む。 第 2コロイ ド分散液 2巳の 2 5 °〇でのゼータ電 位の絶対値 は、 2 0 ~ 8 0 である。 第 2コロイ ド分散液 2巳は、 ナノ シートコロイ ドの分散液である。 蓄熱材 1 巳は、 分散媒 4とナノシート 3と を含み、 分散媒 4とナノシート 3とを含んだコロイ ド分散液を形成しており 、 コロイ ド分散液の

るナノシートコロイ ド蓄熱材であってもよい。

[0022] が上記範囲にある第 2コロイ ド分散液 2巳において個々のナノシート 3 は、 通常、 互いに独立及び分離した状態で分散媒 4中に安定して分散してい る (図 3参照) 。 このため、 蓄熱材 1 巳では、 第 1実施形態の蓄熱材 1 八と 同様に、 蓄熱材 1 巳の凝固点が分散媒 4の融点未満に低下する凝固点降下が 生じる。

[0023] 蓄熱材 1 巳において凝固点が低下する程度は、 第 2コロイ ド分散液 2巳の 八により制御できる。 が大きいほど、 第 2コロイ ド分散液 2巳の安定性は 向上する。 このため、 凝固点が低下する程度は、 の増加に従って大きくな る。 第 2コロイ ド溶液 2巳の は、 3 0〜 7 0 Vであってもよい。

[0024] 第 2コロイ ド分散液 2巳におけるナノシート 3の濃度は、 第 1 コロイ ド分 散液 2八におけるナノシート 3の濃度と同じ範囲にあってもよい。 この場合 、 第 2コロイ ド分散液 2巳におけるナノシート 3の安定性がより向上し、 蓄 熱材 1の凝固点を低下させる作用がより確実とな 。

[0025] (共通事項)

以下、 第 1実施形態及び第 2実施形態の各蓄熱材 1 に共通する事項につい 〇 2020/175529 7 卩(:170? 2020 /007654

て説明する。

[0026] ナノシート 3は、 サブナノメートル及び/又はナノメートルの ーダーの 厚さを有するシートである (図 4参照) 。 ナノシート 3の厚さ 0は、 典型的 には〇. 2〜 1 0 01の範囲、 好ましくは〇. 2〜 51^ 111の範囲にある。 ナ ノシート 3は、 いわゆる 2次元ナノ構造体であって、 厚さ口に比べて大きな 面内方向の拡がりを持つ。 面内方向の大きさであるナノシート 3のシートサ イズは、 典型的には、 サブミクロン及び/又はミクロンのオーダー ある。 シートサイズは、 ナノシート 3の主面に垂直に当該シート 3を見たときに、 ナノシート 3の重心〇を通る線分のうち、 最も長い線分 の長さ!-に相当す る (図 4参照) 。 シートサイズの平均値 (中間値: 050) は、 例えば 1 111以下であり、 8001^〇!以下、 以下、 以下、 更には 500 n 以下であってもよい。 当該平均値の下限は、 例えば、 5 n であり、 1 0 〇!以上、 501^〇!以上、 以上であってもよい。 シ

—トサイズの平均値は、 例えば、 動的光散乱測定 (口 1_ 3) 法によって評価 できる。

[0027] ナノシート 3の厚さに対するシートサイズの比 (アスペク ト比) は、 例え ば 1 0〜 1 0000000であり、 1 0〜 1 00000、 1 0〜 1 0000 、 更には 1 〇〜 2000であってもよい。

[0028] ナノシート 3は、 電荷を有していてもよい。 電荷を有するナノシート 3の 例は、 ポリアニオン及びポリカチオンである。 ナノシート 3は、 好ましくは 、 ポリアニオンである。 ナノシート 3において、 電荷の分布は一様であるこ とが好ましい。

[0029] ナノシート 3を構成する材料は、 有機材料、 無機材料及び有機一無機ハイ ブリツ ド材料のいずれであってもよい。 ナノシート 3を構成する材料は、 好 ましくは無機材料であり、 この場合、 ナノシート 3は無機ナノシートである

[0030] ナノシート 3を構成しうる有機材料の例は、 デンドリマー、 架橋ポリマー 及びグラフ トポリマーを含む各種のポリマーである。 ポリマーには、 コポリ 〇 2020/175529 8 卩(:170? 2020 /007654

マーが含まれる。 ポリマーは、 好ましくは、 電荷を有する構成要素を含む。 ポリマーは、 当該構成要素の重合により形成された構造単 位を主鎖及び/又 は側鎖に有していてもよい。 電荷を有する構成要素の例は、 アクリル酸、 メ タクリル酸、 クロトン酸、 イタコン酸、 マレイン酸及びフマル酸等の有機酸 ;並びに、 グルタミン酸及びアスパラギン酸等のアミノ 酸である。 グラフト ポリマーのグラフト鎖を構成するモノマー (グラフト化剤) の例は、 アリル (メタ) アクリレート、 モノー又はジーアリルマレエート、 モノー又はジー アリルフマレート及びクロチル (メタ) アクリレートである。 架橋ポリマー の架橋部を構成するモノマー (架橋剤) の例は、 ェチレングリコールジ (メ 夕) アクリレート、 プチレングリコールジ (メタ) アクリレート、 プロピレ ングリコールジ (メタ) アクリレート、 ポリエチレングリコールジ (メタ) アクリレート、 ジビニルベンゼン、 トリビニルベンゼン、 エチレングリコー ルジアリルエーテル、 プロピレングリコールジアリルエーテル及び ブタジエ ン等の多官能性単量体である。 ナノシート 3を形成できると共に共重合可能 な 2種以上の上記モノマーを、 任意の組み合わせで選択してもよい。

[0031 ] ナノシート 3を構成しうる有機材料は、 グラファイ ト、 グラフェン、 グラ フェン誘導体等の力ーボン材料であってもよ い。 力ーボン材料は、 炭素のみ から構成されていても、 炭素と、 水素、 酸素、 フッ素、 窒素、 硫黄、 リン及 びケイ素からなる群より選ばれる少なくとも 1種の元素とから構成されてい てもよい。 ただし、 力ーボン材料は、 通常、 常温 (2 5 ° 〇) 及び常圧 (1気 圧) において固体である。 グラフェン誘導体の例は、 酸化グラフェン、 スル ホン化グラフェン酸化物、 水酸化グラフェン、 炭酸グラフェン及び窒化グラ フェンである。

[0032] ナノシート 3を構成しうる有機一無機ハイブリッ ド材料の例は、 有機基及 び/又は有機材料によって無機材料の表面が 飾されてなる材料、 並びに有 機金属錯体である。 有機基の例は、 炭素数 1〜 8のアルキル基及びヒドロキ シアルキル基である。 アルキル基の例は、 メチル基、 エチル基、 プロピル基 及びプチル基である。 ヒドロキシアルキル基の例は、 2 -ヒドロキシエチル 〇 2020/175529 9 卩(:170? 2020 /007654

基及び 3—ヒドロキシプロピル基である。 有機材料の例は、 各種のポリマー (コボリマー含む) であり、 具体例は、 ポリエチレングリコール、 ポリビニ ルアルコール及びポリビニルピロリ ドンである。 有機金属錯体から構成され るナノシートには、 公知のものを使用できる。 有機金属錯体から構成される ナノシートは、 例えば、 液液界面合成法又は気液界面合成法により形 成でき る。

[0033] ナノシート 3を構成しうる無機材料の例は、 非金属元素及び/又は金属元 素を含む化合物である。 ただし、 当該化合物は、 通常、 常温及び常圧におい て固体である。 非金属元素の例は、 水素、 炭素、 酸素、 フッ素、 窒素、 硫黄 、 リン及びケイ素からなる群より選ばれる少な くとも 1種である。 金属元素 の例は、 アルミニウム、 マグネシウム、 スズ、 亜鉛、 カドミウム及び遷移金 属である。 遷移金属の例は、 金、 白金、 銀、 銅、 ルテニウム、 パラジウム、 ロジウム、 イリジウム、 オスミウム、 ニッケル、 コバルト、 鉄、 イッ トリウ ム、 マンガン、 チタン、 ジルコニウム、 ハフニウム、 バナジウム、 クロム、 モリブデン及びスカンジウムであり、 好ましくは、 ルテニウム、 チタン、 二 オブ、 バナジウム、 マンガン、 コバルト、 モリブデンである。 金属元素は、 アルミニウム、 マグネシウム、 ジルコニウム、 ルテニウム、 ロジウム、 イリ ジウム、 チタン、 ニオブ、 バナジウム、 クロム、 マンガン、 コパ ' ルト、 ニッ ケル、 タングステン、 タンタル及びモリブデンからなる群より選ば れる少な くとも 1種であってもよい。

[0034] 無機材料は、 金属化合物であってもよい。 金属化合物の例は、 硫化物、 酸 化物、 水酸化物、 リン酸塩、 遷移金属カルコゲナイ ド、 チタン酸塩、 チタン ニオブ酸塩、 ニオブ酸塩、 層状べロブスカイ ト及び層状複水酸化物であり、 好ましくは、 酸化物、 水酸化物、 硫化物及びリン酸塩である。 金属化合物に 含まれる金属の例は、 アルミニウム、 マグネシウム、 スズ、 亜鉛、 カドミウ ム及び遷移金属である。 遷移金属の例及び好ましい例は、 上述のとおりであ る。 金属化合物に含まれる金属は、 アルミニウム、 マグネシウム、 ジルコニ ウム、 ルテニウム、 ロジウム、 イリジウム、 チタン、 ニオブ、 バナジウム、 〇 2020/175529 10 卩(:170? 2020 /007654

クロム、 マンガン、 コバルト、 ニッケル、 タングステン、 タンタル及びモリ ブデンからなる群より選ばれる少なくとも 1種であってもよい。

[0035] ナノシート 3は、 金属化合物及び/又は炭素材料から構成され もよい。

ナノシート 3は、 非金属元素及び/又は金属元素を含む無機ナ シートであ ってもよい。 非金属元素及び金属元素の例は、 上述のとおりである。

[0036] ナノシート 3を構成しうる金属酸化物の系統は、 例えば、 酸化チタン系、 酸化マンガン系、 酸化ニオブ又は酸化タンタル系、 ぺロブスカイ ト系、 モリ ブデン酸化物系、 ルテニウム酸化物系及びタングステン酸化物 系である。

[0037] 酸化チタン系金属酸化物の例は、 丁 1 0.91 2 、 丁 1 0.87 2 、 丁 丨 3 7 、 丁 丨 4

[0038] 酸化マンガン系金属酸化物の例は、 IV! n〇 2 及び IV! 〇 7 である。

[0039] 酸化ニオブ又は酸化タンタル系金属酸化物の 例は、 1\113 3 8 、 1\113 3 10

[0040] ぺロブスカイ ト系金属酸化物の例は、 1_ 31\1匕 2 7 、 (C a,

〇 12、 1~ 30.9巳リ0 1'''162〇7、 1- 30.7丁 60.3丁 32〇7、 巳リ0.¾ 1 32〇7、 〇 】.4 巳リ 0.6 丁 1 3 10 及び巳 1 2 3 「丁 3 2 9 である。

[0041] モリブデン酸化物系金属酸化物の例は、 1\/1〇〇 2 である。 ルテニウム酸化物 系金属酸化物の例は、 リ〇 2 .,及び リ〇 2 である。 タングステン酸化物系金 属酸化物の例は、 \^/ 2 7 、 〇 3 4 \^〇 36 及び巳 丨 2 9 である。

[0042] ナノシート 3を構成しうる金属水酸化物の例は、 1\/1 90.68 八 丨 0.38 (〇 1 ~ 1) 2.32 、 1\1 丨 0.5 八 丨 0.47 (〇 1 ~ 1) 2 及びし 丨 1/3 八 丨 2/3 (〇 1 ~ 1) 2 である。 ナノシート 3を 構成しうる金属硫化物の例は、 1\/1〇 3 2 及び \ZVS 2 である。 ナノシート 3を構成 しうる金属リン酸塩の例は、 (1 ~ 1 ?〇 4 2 である。

[0043] ナノシート 3は、 層状化合物を層間剥離させて得てもよい。 ナノシート 3 〇 2020/175529 11 卩(:170? 2020 /007654

は、 層状化合物を経由することなく、 形成してもよい (例えば、 非特許文献 1 , 2及ひ Jing Zhao et a 1. , “Production and processing of graphene a nd 2d crystals”, ACS App 1. Mater. Interfaces, 2016, 8, pp.16546 -16550 を参照。 これらの文献には、 金属化合物又は炭素材料から構成されるナノ シ —卜 3の製法であって、 層状化合物を経由しない製法が記載されてい る) 。 層間剥離の方法として、 各種の方法が知られている。

[0044] 層状化合物の例は、 粘土鉱物である。 粘土鉱物の例は、 粘土、 雲母、 フッ 素ケイ素雲母、 脆雲母、 カオリナイ ト、 パイロフィライ ト、 スメクタイ ト、 モンモリロナイ ト、 ヘクトライ ト、 フルオロへクトライ ト、 サポナイ ト、 パ ' —ミキュライ ト、 緑泥石、 バイデライ ト及びノントロライ トである。 粘土鉱 物の具体例は、 A I 2-x M g x S i 4 10 及び Mg 3 (S i 4-x A I X ) 〇 10 である。

[0045] ナノシート 3は、 単層であっても、 2層以上の多層構造を有していてもよ い。

[0046] ナノシート 3は、 上記例に限定されない。

[0047] コロイ ド分散液 2A, 2 Bは、 2種以上のナノシート 3を含んでいてもよ い。

[0048] コロイ ド分散液 2 A, 2巳は、 1 0 n mを超える厚さを有するシートを、 例えば不純物として、 含んでいてもよい。 この場合、 コロイ ド分散液 2 A,

2 Bに含まれる全てのシートに占めるナノシー 3の割合は、 例えば 55質 量%以上であり、 60質量%以上、 70質量%以上、 80質量%以上、 90質 量%以上、 更には 95質量%以上であってもよい。 また、 コロイ ド分散液 2 A, 2 Bに含まれる全てのシートに占める厚さ 1 0 超のシートの割合は 、 例えば 45質量%以下であり、 40質量%以下、 30質量%以下、 20質 量%以下、 1 〇質量%以下、 更には 5質量%以下であってもよい。

[0049] 分散媒 4の例は、 水、 ジメチルフォルムアミ ド (DMF) 、 アセトニトリ ル、 ジメチルスルホキシド (DMS0) 、 エチレングリコール、 プロピレン グリコール、 グリセリン、 エチレングリコールモノメチルエーテル、 プロピ レングリコールモノメチルエーテル、 エチレングリコールモノエチルエーテ 〇 2020/175529 12 卩(:170? 2020 /007654

ル、 プロピレングリコールモノェチルェーテル、 ェチレングリコールジメチ ルェーテル、 プロピレングリコールジメチルェーテル、 ェチレングリコール ジェチルェーテル、 プロピレングリコールジェチルェーテル、 メタノール、 ェタノール及びイソプロパノール、 並びにこれらの混合溶媒である。 分散媒 4は、 水を含んでいてもよく、 水であってもよい。 分散媒 4が水を含む混合 溶媒である場合、 混合溶媒における水の含有率は、 例えば 50質量%以上で あり、 60質量%以上、 70質量%以上、 80質量%以上、 90質量%以上 、 95質量%以上、 更には 98質量%以上であってもよい。

[0050] 分散媒 4が水を含む場合、 特に水である場合、 には、 水に特有の大きな潜 熱及び/又は顕熱を 0 ° C以下の低温において利用できる。

[0051] 分散媒 4は、 常温及び常圧において、 通常、 液体である。

[0052] コロイ ド分散液 2 A, 2巳は、 分散剤を更に含んでいてもよい。 分散剤は 、 ナノシート 3を分散媒 4中に分散させる作用、 及び/又は、 ナノシート 3 を分散質とするコロイ ド分散液 2 A, 2 Bの安定性を向上させる作用を有す る。 ただし、 コロイ ド分散液 2 A, 2 Bにおいて、 分散剤は必須ではない。 なお、 分散剤を用いることなくナノシート 3をコロイ ド化させる技術は既知 である。 例えば、 T. Hibino and M. Kobayash i , ” De lamination of layered double hydroxides in water", J. Mater. Chem. , 2005, 15, pp.653-656 ;

S. Ahadian et a 1. , ” Faci le and green production of aqueous graphene d ispersions for biomedical applications", Nanoscale, 2015, 7, pp.6436- 6443 ;及び S. Stankov i ch et a 1. , ” Stable aqueous dispersions of graph i tic nanop late lets via the reduction of exfoliated graphite oxide in t he presence of po ly(sod i um 4-styrenesu Ifonate)”, J. Mater. Chem. , 200 6, 16, pp.155-158を参照。 また、 ナノシートを分散質とするコロイ ド分散液 を、 分散剤を使用することなく超音波処理により 得る方法が知られている。

[0053] 分散剤の例は、 層状化合物において層間に挿入されているア ルカリ金属元 素及び/又はアルカリ土類金属元素を水素イ ン (H + ) 及び/又は分散剤自 身により置換して、 層間剥離を発生させる材料である。 分散剤の別の例は、 〇 2020/175529 13 卩(:170? 2020 /007654

カチオン及び塩基性化合物である。 カチオン及び/又は塩基性化合物である 分散剤は、 ポリアニオンであるナノシート 3の間に介在してコロイ ド分散液 におけるナノシート 3間の相互作用を低減させ、 当該分散液の安定性を向上 させる。 カチオンの例は、 4級アンモニウム化合物及び各種のオニウム 合 物である。 塩基性化合物の例は、 アミンである。 分散剤は、 以下の式 (1) 〜 (5) の各式に示された化合物からなる群より選ば れる少なくとも 1種で あってもよい。 式 (1) , (3) 〜 (5) の各式に示された化合物は、 4級 アンモニウム化合物である。 式 (2) に示された化合物は、 アミンである。

[0054] [化 1 ]

上記各式における は、 互いに独立して、 水素原子、 又は水酸基によ り水素原子が置換されていてもよいアルキル 基である。 は、 互いに独 立して、 水酸基により水素原子が置換されていてもよ いアルキル基である。

, は、 互いに結合して、 アルキレン基である 「一 (〇1 ~ 1 2 4 -」 又は 「 - (<3 1 ~ 1 2 5 —」 を形成していてもよい。 アルキル基及び水酸基により水素原 子が置換されたアルキル基は、 炭素数 1〜 6の直鎖又は分岐を有する基であ つてもよい。 アルキル基の例は、 メチル基、 エチル基、 门ープロピル基、 イ ソプロピル基、 门ーブチル基、 3 6 0 -ブチル基、 イソプチル基、 6 「 —ブチル基、 ペンチル基及びヘキシル基である。 アルキル基において、 1又 は 2以上の水素原子が水酸基により置換されて てもよい。 水酸基により水 素原子が置換されたアルキル基の例は、 2—ヒドロキシエチル基及び 3—ヒ ドロキシプロピル基である。

[0055] 分散剤は、 テトラブチルアンモニウム (丁巳八 + ) 、 テトラプロピルアンモ ニウム、 テトラエチルアンモニウム、 テトラメチルアンモニウム、 11—プロ ピルアミン、 —エチルアミン及びエタノールアミンからな る群より選ばれ 〇 2020/175529 14 卩(:170? 2020 /007654

る少なくとも 1種であってもよく、 丁巳八 + であってもよい。

[0056] 4級アンモニウム化合物における対アニオン 、 例えば、 水酸化物イオン

(〇 1 ~ |-) である。 ただし、 対アニオンは、 上記例に限定されない。

[0057] コロイ ド分散液 2 , 2巳が分散剤を含む場合、 コロイ ド分散液 2 , 2 巳における分散剤の濃度は、 例えば 500〜 20000 であり、 50 〇〜 1 0000 〇1、 更には 1 000〜 4000 〇1であってもよい。 分散剤の濃度が上記範囲にあると、 ナノシート 3を分散媒 4中に分散させる 作用、 及び/又は、 ナノシート 3を分散質とするコロイ ド分散液の安定性を 向上させる作用がより確実となる。 また、 分散剤の濃度が上記範囲にあると 、 特に閉鎖系で蓄熱材 1 を使用する場合において、 蓄熱材 1の繰り返しの使 用による分散剤の分解や劣化を抑制できる。

[0058] コロイ ド分散液 2 , 2巳が分散剤を含む場合、 コロイ ド分散液 2 , 2 巳における水素イオン (1 ~ 1 + ) の濃度に対する分散剤 (口 ) の濃度の比口八 /1 ~ 1 + は、 例えば〇. 5以上 1 0以下であり、 1以上 5以下であってもよい。 比 0八/1 ~ 1 + は、 例えば、 比丁巳八 + /1 ~ 1 + (分散剤が丁巳八 + ) である。

[0059] 蓄熱材 1 において凝固点が低下する程度は、 コロイ ド分散液 2八, 2巳に おける比口八/1 ~ 1 + によっても制御できる。 比 0八/1 ~ 1 + が小さくなるほど、 コ ロイ ド分散液 2八, 2巳の安定性は向上する。 しかし、 が過度に 小さくなると、 ナノシート 3の分散性が低下することで、 凝固核 1 1同士の 結合及び成長を阻害するナノシート 3の作用が低下する。 このため、 凝固点 が低下する程度は、 通常、 比口八/ !! + が低下するに従って大きくなり、 ある 値において極大を迎えた後、 小さくなる。 分散媒 4が水を含む場合、 比〇八 /!! + が、 例えば〇. 5以上 5以下、 とりわけ〇. 7以上 4以下、 〇. 7以上 2以下、 更には〇. 7以上 1以下において、 蓄熱材 1の凝固点が低下する程 度が大きくなる。

[0060] 蓄熱材 1の 1 ~ 1は、 例えば 5〜 1 3であり、 6〜 1 1であってもよい。

[0061] 蓄熱材 1は、 常温及び常圧において、 通常、 液体である。 蓄熱材 1は、 0 °〇及び常圧において液体であってもよい。 〇 2020/175529 15 卩(:170? 2020 /007654

[0062] 蓄熱材 1は、 0 °〇以下の凝固点を有していてもよいし、 0 °〇未満の凝固点 (〇 ° 〇より低い凝固点) を有していてもよい。 蓄熱材 1の凝固点は、 一2 1 〜 0 °〇の範囲にあってもよいし、 一 1 0〜一 6 °〇の範囲、 一 1 9〜一 9 °〇の 範囲、 更には一 1 8〜一 1 2 の範囲にあってもよい。 このとき、 分散媒 4 は水を含んでいてもよいし、 水であってもよい。 また、 分散媒 4が水を含む 場合、 又は水である場合において、 蓄熱材 1の凝固点は、 水の過冷却温度で ある一 4 ° 〇未満であってもよい。 なお、 蓄熱材 1の凝固点とは、 蓄熱材 1が 完全に凝固する温度を意味する。

[0063] 蓄熱材 1は、 分散媒 4の融点と蓄熱材 1の凝固点との間に、 シャーベッ ト 状の半凝固状態が維持される温度領域を有し ていてもよい。 蓄熱材 1では、 ナノシート 3による凝固核 1 1の結合及び成長の阻害によって、 分散媒 4の みの冷却による凝固時には生じえない半凝固 状態が維持される上記温度領域 が生じうる。 本発明者らの検討によれば、 蓄熱材 1 八では、 第 1 コロイ ド分 散液 2八におけるナノシート 3の濃度が 1 0 0 0 以上 5 0 0 0 〇! 以下である場合に、 上記温度領域が生じやすくなる。 また、 蓄熱材 1 巳では 、 第 2コロイ ド溶液 2巳の が 2 0〜 4 0 Vである場合に、 上記温度領域 が生じやすくなる。 上記温度領域を有する蓄熱材 1は、 当該温度領域におい て柔軟性及び/又は流動性を有しうる。 この特性は、 保冷材等、 蓄熱材 1 を 凝固させて使用する場合において、 潜熱を利用しながら蓄熱材 1の形状を比 較的容易に変えられる等の点において有利で ある。 上記温度領域を有する蓄 熱材 1は、 当該温度領域において、 例えば、 冷却対象物に密着させて使用す ることも可能である。

[0064] 蓄熱材 1は、 日本工業規格 (」 I 3) 7 8 8 0 3 : 2 0 1 1 に定められた 音叉型振動粘度計を用いて当該規格に準拠し て測定した 0 ° 〇における粘度が 、 1 . 6 01 3 3以下であってもよい。 これは、 0 °〇における蓄熱材 1の 粘度が、 水の粘度に比べて低いことを意味する。 また、 蓄熱材 1は、 その態 様によっては、 0 °〇未満の温度域、 例えば一 1 0〜0。〇、 或いは一 8〜 0 °〇 、 一 6〜 0 ° 〇、 一 5〜 0 ° 〇において、 水に比べて低い粘度を示しうる。 この 〇 2020/175529 16 卩(:170? 2020 /007654

とき、 分散媒 4は、 水を含んでいてもよく、 水であってもよい。 蓄熱材 1で は、 ナノシート 3による凝固核 1 1の結合及び成長の阻害、 並びに水分子間 に働く相互作用への干渉によって水とは異な る状態が生じ、 これにより、 上 記低い粘度が生じうる。 本発明者らの検討によれば、 蓄熱材 1 では、 第 1 コロイ ド分散液 2八におけるナノシート 3の濃度が 2 0 0 0 以下、 特 に 1 0 0 0 以下、 である場合に、 上記低い粘度が生じやすくなる。 ま た、 蓄熱材 1 巳では、 第 2コロイ ド溶液 2巳の が 4〇 以上の場合に、 上記低い粘度が生じやすくなる。 この特性は、 冷媒等、 蓄熱材 1 を凝固させ ないで使用する場合において、 蓄熱材 1の送液に必要なエネルギーの削減が 可能となる等の点において有利である。

[0065] 蓄熱材 1は、 上述した以外の材料を更に含んでもよい。 当該材料の例は、 防腐剤である。

[0066] 蓄熱材 1の用途の例は、 保冷材及び冷媒である。 冷媒の例は、 冷凍機、 冷 蔵機、 空調機等に使用されるブラインである。 冷媒では、 通常、 液体として の蓄熱材 1の顕熱のみが利用される。 保冷材では、 蓄熱材 1の潜熱を利用し てもしなくてもよい。 潜熱を利用する場合、 蓄熱材 1は、 分散媒 4の融点以 下の温度でありながら潜熱を利用できる点に おいて有利である。

[0067] 蓄熱材 1は、 分散媒 4の融点以下 (例えば 0 °〇以下) での使用に適してい る。 ただし、 蓄熱材 1は、 分散媒 4の融点を超える温度で使用してもよい。

[0068] 蓄熱材 1は、 ナノシート 3及び分散媒 4の選択によって、 人間を含む生物 に対して低毒性、 典型的には無毒、 とすることができる。 また、 蓄熱材 1は 、 塩化ナトリウム等の無機塩を含まない冷媒と することができ、 これにより 、 例えば、 冷却装置の腐食を抑えて、 長寿命化を図ることができる。

[0069] [保冷材]

本実施形態の保冷材は、 蓄熱材 1 を含む。 本実施形態の保冷材は、 蓄熱材 1 を収容する容器を更に含んでいてもよい (図 5八及び図 5巳参照) 。 図 5 八の保冷材 2 1では、 容器 2 2に蓄熱材 1が収容されている。 容器 2 2は、 典型的には、 樹脂、 金属、 又は樹脂及び金属の複合材料から構成される 。 容 〇 2020/175529 17 卩(:170? 2020 /007654

器 2 2の形状は、 コンテナ状 (箱状) である。 ただし、 容器 2 2の材質及び 形状は、 上記例に限定されない。 保冷材 2 1は、 冷却が必要な場所、 例えば 、 装置、 容器、 ボックス等の内部、 に配置して使用できる。 保冷材 2 1のサ イズは自由に設定でき、 例えば、 トラック等の車両コンテナの内部を冷却可 能である程度に大型化してもよい。 また、 保冷材 2 1は、 そのサイズによっ ては、 携帯性に優れる。

[0070] 図 5巳の保冷材 2 3では、 容器 2 4に蓄熱材 1が収容されている。 容器 2 4は、 典型的には、 一対の樹脂フィルム 2 5がその周縁部で封着された構成 を有する。 ただし、 容器 2 4の構成は、 上記例に限定されない。 樹脂フィル ム 2 5は多層フィルムであってもよく、 この場合、 樹脂フィルム 2 5は、 織 布層、 不織布層、 金属層等を含んでいてもよい。 蓄熱材 1 として、 上述した 半凝固状態をとりうるものを選択することで 、 使用時における形状の変化が 比較的容易な保冷材 2 3とすることもできる。 保冷材 2 3は、 冷却が必要な 場所、 例えば、 装置、 容器、 ボックス等の内部、 に配置して使用できる。 保 冷材 2 3のサイズは、 自由に設定できる。 また、 保冷材 2 3は、 そのサイズ によっては、 携帯性に優れる。

[0071 ] 本実施形態の保冷材の構成は、 上記例に限定されない。 蓄熱材 1 を収容す る容器は、 塑性変形が可能な容器又は可撓性の容器であ ってもよい。 容器は 、 通常、 使用時において蓄熱材 1 を密閉可能である。 容器は、 フィルム状、 シート状、 筒状であってもよい。

[0072] 本実施形態の保冷材は、 例えば、 医療における冷却、 食品の冷却、 配送時 の保冷、 化学品や医薬品の保冷等に使用できる。 ただし、 用途は、 上記例に 限定されない。

[0073] 本実施形態の保冷材は、 例えば、 熱中症の予防用途に使用できる。 この場 合の使用部位は、 例えば、 首、 手、 手首、 腕、 おでこ、 足、 脚、 足首、 頭、 腋及び体感である。 具体的な使用態様の例は、 アイス枕、 帽子、 タオル、 マ フラー、 ジャケッ ト、 ベスト、 ポケッ ト、 サンバイザー、 手首用バンド、 足 首用バンド、 頭用バンド、 腕用カバー、 シャツの襟であり、 これらの態様で 〇 2020/175529 18 卩(:170? 2020 /007654

は、 本実施形態の保冷材を上記各製品の少なくと も一部に取り付けることが できる。

[0074] [冷媒]

本実施形態の冷媒は、 蓄熱材 1 を含む。 本実施形態の冷媒は、 通常、 液体 の状態で使用される。 使用温度は、 分散媒 4の融点以下 (例えば 0 ° 〇以下) であってもよい。 ただし、 使用温度は、 分散媒 4の融点を超えていてもよい

[0075] 蓄熱材 1 として、 上述した、 過冷却状態にある同じ温度の分散媒に比べて 低い粘度を示しうるものを選択することで、 例えば、 冷媒の送液に必要なエ ネルギーを削減でき、 これにより、 当該冷媒を使用した熱交換システムの運 転効率を向上できる。

[0076] 本実施形態の冷媒を使用した熱交換システム の一例を図 6に示す。 図 6の 熱交換システム 3 1は、 冷媒を循環させる冷媒回路 3 2と、 冷媒回路 3 2に 配置された冷却装置 3 3、 ポンプ 3 4及び熱交換器 3 5と、 を備える。 冷却 装置 3 3は、 冷媒回路 3 2を流れる冷媒を冷却する。 ポンプ 3 4は、 冷媒回 路 3 2に冷媒を流す送液機構である。 熱交換器 3 5は、 冷媒回路 3 2を流れ る冷媒から冷熱を取り出して、 熱交換器 3 5の周囲を冷却する。 図 6の例で は、 送風機 3 6の作動により熱交換器 3 5を通過した冷風 3 7が、 冷却に使 用される。 熱交換システム 3 1は、 例えば、 チラーである。

[0077] 熱交換システム 3 1は、 冷媒、 冷媒回路 3 2、 冷媒の冷却装置 3 3、 送液 機構 (ポンプ 3 4) 及び熱交換器 3 5を備えれば機能しうる。 ただし、 熱交 換システム 3 1は、 上述した以外の他の部材及び/又は装置を更 備えてい てもよい。 他の部材及び装置の例は、 冷却装置 3 3、 送液機構及び熱交換器 を制御するコントローラー;バルブ;冷媒及 び/又は冷風 3 7の温度を測定 する温度測定装置である。

[0078] [その他のメリッ ト]

-蓄熱材 1並びに蓄熱材 1 を含む保冷材及び冷媒は、 分散質であるナノシ —卜 3の濃度が小さいことから、 低コストの製造が可能である。 〇 2020/175529 19 卩(:170? 2020 /007654

-蓄熱材 1並びに蓄熱材 1 を含む保冷材及び冷媒は、 とりわけナノシート 3が無機ナノシートである場合には、 光触媒機能、 磁性機能、 光応答機能、 熱伝導機能、 導電機能等、 ナノシート 3が有しうる機能を更に備えた複合材 料となる可能性を持つ。 複合材料は、 環境応答型材料でありうる。

-蓄熱材 1並びに蓄熱材 1 を含む保冷材及び冷媒は、 分散媒 4が大きな顕 熱及び/又は潜熱を有する場合には、 例えば、 より長時間にわたり適切な温 度を保持できる。

-蓄熱材 1並びに蓄熱材 1 を含む保冷材及び冷媒では、 温度膨張係数を分 散媒 4とほぼ同じとすることもできる。 この場合、 当該分散媒を含む従来の 蓄熱材、 保冷材又は冷媒を使用する際の設計技術の転 用が可能である。

-蓄熱材 1並びに蓄熱材 1 を含む保冷材及び冷媒では、 分散媒 4が水を含 む場合、 特に水である場合、 には、 環境に対する親和性を向上できる。 また 、 ナノシート 3を構成する材料を更に選択することで、 高い安全性が要求さ れる分野、 例えば、 教材、 玩具、 ウェアラブルデバイス及びテキスタイル等 の分野にも応用可能である。

[0079] [蓄熱材、 保冷材又は冷媒としてのナノシートの使用]

上記とは異なる側面から見て、 本発明は、 蓄熱材 1、 保冷材又は冷媒とし てのナノシート 3の使用を提供する。 各使用の具体的な態様は、 蓄熱材 1、 保冷材又は冷媒の説明において上述したとお りである。

[0080] [ナノシートを含む蓄熱材、 保冷材又は冷媒キッ ト]

上記とは異なる側面から見て、 本発明は、 ナノシート 3を含む蓄熱材キッ 卜、 保冷材キッ ト又は冷媒キッ トを提供する。 各キッ トは、 分散媒 4及び/ 又は分散剤を更に含んでいてもよい。 各キッ トからコロイ ド分散液 2八, 2 巳を形成することにより、 蓄熱材 1、 蓄熱材 1 を含む保冷材又は蓄熱材 1 を 含む冷媒が得られる。 コロイ ド分散液 2 , 2巳は、 例えば、 各キッ トに含 まれるナノシート 3 (及び分散剤) を分散媒 4に分散させて形成できる。 分 散は、 例えば、 撹拌により実施できる。

実施例 〇 2020/175529 20 卩(:170? 2020 /007654

[0081] 以下、 実施例により、 本発明を更に詳細に説明する。 本発明は、 実施例に 具体的に示された態様に限定されない。

[0082] [ナノシート及びコロイ ド分散液の作製]

(サンプル八群)

炭酸セシウム (〇 3 2 〇〇 3 ) と酸化チタン (丁 I 〇 2 ) とを、 モル比 1 : 2.

65で混合した。 得られた混合物を 800 で焼成して、 組成式〇 5 0.7 丁 丨,. 8 25 0.175 4 (□は空孔) により表される層状アルカリチタン酸化物の 粉末を得 た。 次に、 得られた酸化物を 丨水溶液 (濃度 1 〇 I - 3 ) に投入し て 24時間撹拌し、 組成式 1 ~ 1 0.7 丁 I 1.825 0.175 4 - 〇により表される層状チ タン酸化物を得た。 次に、 得られた酸化物を、 酸化物の濃度が 1 9/!- (1 000 〇〇 、 4 9 /1_ (4000 〇〇 又は 1 0 9 /1_ ( 1 0000 〇〇 となるようにテトラブチルアンモニウムヒド ロキシド (丁巳八〇1 ~ 1 : (〇 4 1 ~ 1 9 4 N0H) 水溶液に加えて撹拌して、 上記チタン酸化物のナノシー 卜が安定して分散したコロイ ド分散液を得た。 また、 水溶液にお ける丁巳八〇1 ~ 1の濃度を変更することで、 コロイ ド分散液における比丁巳八 + /1 ~ 1 + を 1、 2又は 5に変化させた。 サンプル八群では、 ナノシートの濃度及 が異なる 8種類のコロイ ド分散液を得た。

[0083] (サンプル巳)

炭酸ナトリウム ( 3 2 〇〇 3 ) 、 ルテニウム ([¾リ) 及び酸化ルテニウム ( 8リ〇 2 ) を、 モル比 2 : 1 : 3で混合した。 得られた混合物をアルゴン雰囲 気下、 900°〇で 1 2時間焼成して、

ルテニウム酸化物の粉末を得た。 次に、 得られた酸化物を 3 2 3 2 8 溶液で処 理後、 1 ~ 1〇 I水溶液 (濃度 1 〇 I 〇^) に投入して、 組成式 1 ~ 1 0.2 [¾ 1_1〇 2 〇. 51 ~ 1 2 〇により表される層状ルテニウム酸化物 を得た。 次に、 得られた 酸化物を、 酸化物の濃度が 4 9 /!_ (4000 ) となるように丁巳八 〇 1 ~ 1水溶液に加えて撹拌して、 上記ルテニウム酸化物のナノシートが分散し たコロイ ド分散液を得た。 また、 T BAOl·\水溶液における丁巳 〇 1 ~ 1の濃 度は、 コロイ ド分散液における比丁巳八 + /1 ~ 1 + が 1 0となるように調整した。 〇 2020/175529 21 卩(:170? 2020 /007654

サンプル巳では、 ナノシートの濃度が 4 9 /1_であり、 比丁巳八 + /1~1 + が 1 0 である 1種類のコロイ ド分散液を得た。

[0084] (サンプル〇)

粘土層状化合物であるスメクタイ トを、 濃度 1 〇 9/1_ (1 0000 ) となるように 1レ1-〇水に投入後、 よく撹拌し、 剥離剤を含まないコロイ ド分散液を得た。

[0085] [ゼータ電位の評価]

サンプル八群及びサンプル〇で作製した各コ ロイ ド分散液のゼータ電位を 、 電気泳動を利用した動的光散乱測定法により 評価した。 評価装置には、 を使用した。 評価装置の光学系 (へ テロダイン検出法を用いた小角散乱光学系) を図 7に示す。 評価は、 矩形セ ルに収容したコロイ ド分散液の温度を 25 °〇に保持した状態で実施した。 レ —ザーの波長は 633 n とし、 散乱角は 1 7° とした。 また、 ゼータ電位 の算出には、 水系コロイ ド分散液に対して一般に使用されるスモルコ フスキ —の式 (以下の式 (6) を参照) を使用した。 式 (6) における はゼータ 電位、 リは電気泳動移動度、 £ 0は真空誘電率、 · は誘電率、 7]はコロイ ド分 散液の粘度 (25 ° 〇 である。

リ = (£ø £「) /7 ] X ^ (6)

[0086] ゼータ電位の評価結果を、 以下の表 1 八 (サンプル八群) 及び表 1 巳 (サ ンプル〇) に示す。 また、 サンプル八群について、 ゼータ電位の評価結果を 図 8に示す。

[0087] [表 1八]

[サンプル八群のセ ' ータ鼋位 (25¾、 単位:

[0088] 〇 2020/175529 22 卩(:170? 2020 /007654

[表

[サンプル〇のゼータ電位 (25¾、 単位: )]

[0089] 表 1 八、 表 1 巳及び図 8に示すように、 サンプル八群及びサンプル〇で作 製した各コロイ ド分散液の は 20〜 80 Vの範囲にあった。 また、 図 8 に示すように、 コロイ ド分散液の は、 ナノシートの濃度の低下に従って大 きくなること、 及び上記比丁巳 の範囲では、 当該比の低下に従って大 きくなること、 が確認された。

[0090] [凝固点の評価]

サンプル 群で作製したコロイ ド分散液のうち、 濃度 1 9/1_及び比丁巳 八 + /1 ~ 1 + = 1、 濃度 4 9 /1_及び比丁巳 + /1 ~ 1 + = 2、 及び濃度 4 9 /1_及び 比丁巳 + /1 ~ 1 + = 5の各分散液について、 以下のように凝固点を評価した。 最 初に、 容量 1 5 !_のガラス製バイアル瓶に各分散液を 1 0 !_入れて密閉 した。 次に、 ドライルーム (露点: 一 50°〇) 内にて、 各バイアル瓶を低温 反応槽 (テクノシグマ製、 501\!) に収容して、 環境温度を一 3 °〇からスタートして 3°〇刻みで下降させた。 各温度に到達後、 20分保持し 、 当該保持後に、 各温度における分散液の状態と凝固の有無と を確認した。 コロイ ド分散液の凝固点は、 分散液が完全に凝固した環境温度と、 当該温度 よりも 3°〇高い温度との間にあると考えられる。 評価結果を、 各コロイ ド分 散液のゼータ電位と併せて、 以下の表 2に示す。

[0091] [表 2]

[サンプル八群]

[0092] 表 2に示すように、 サンプル八群のコロイ ド分散液では、 分散媒である水 の融点〇°〇よりも凝固点が低くなる凝固点 下が確認された。 また、 凝固点 〇 2020/175529 23 卩(:170? 2020 /007654

が降下する程度は、 ナノシートの濃度の低下に従って大きくなる こと、 及び ゼータ電位の絶対値 の増大に従って大きくなること、 が確認された。 なお 、 凝固点一 1 5〜一 1 8 ° 〇は、 不凍液であるエチレングリコール水溶液 (濃 度 30〜 40質量%) の凝固点に相当する。

[0093] 次に、 サンプル巳で作製したコロイ ド分散液の凝固点を上記方法により評 価した。 サンプル巳の凝固点は、 一9〜一 1 2 °〇にあった。

[0094] また、 凝固点を評価した各コロイ ド分散液は、 凝固点より約 1〜 3 ° ◦高い 温度から凝固点に至るまでの温度領域におい てシャーべッ ト状の半凝固状態 にあり、 ガラス棒で表面を押す等によって容易に変形 可能であった。 半凝固 状態にある温度領域は、 ナノシートの濃度が大きいコロイ ド分散液の方が広 かった。

[0095] 次に、 サンプル(3で作製したコロイ ド分散液の凝固点を上記方法により評 価した。 ただし、 環境温度は、 常温から 0 ° 〇まで 30分かけて下降させ、 0 °〇から一 1 4 °〇まで降温速度一 1 2 °〇/時間にて 1 °〇刻みで下降させた。 サ ンプル〇の凝固点は、 一8〜一 1 1 °〇にあった。

[0096] [ナノシートの分散性]

凝固点を評価した各コロイ ド分散液を液体窒素により冷却して凍結乾燥 を 実施したところ、 均質な多孔質体が得られた。 多孔質体の構造が均質である ことは、 コロイ ド分散液においてナノシートが均一に分散し ていることに対 応すると考えられる。

[0097] [粘性の評価]

サンプル 群で作製したコロイ ド分散液のうち、 濃度 1 9/1_及び比丁巳 八 + /1 ~ 1 + = 1の分散液について、 粘度の温度依存性を評価した。 評価は、 」 I 3 78803 : 201 1 に定められた音叉型振動粘度計 (八&0製、 3

_ 1 1 ~ 1) を用いて、 当該規格 (項目 1 1 振動粘度計による粘度測定方法) に準拠して実施した。 評価は、 評価対象の液体の温度を 20°〇から一 6°〇ま で低下させながら、 20 ° 〇、 1 5 ° 〇、 1 0 ° 〇、 5 ° 〇、 0 ° 〇、 2 0 C S 4°0 及び一 6°〇の各評価温度において実施した。 評価結果を、 水に対する評価結 \¥0 2020/175529 24 卩(:17 2020 /007654

果と併せて、 図 9に示す。 なお、 水の評価には、 ミリポア製、 超純水精製装 置により得た超純水 (導電率 1 8 . 超) を使用した。 なお、 粘 度計の校正は、 上記超純水を用いた 1点校正 (スパン補正) により実施した

[0098] 図 9に示すように、 上記コロイ ド分散液の 0 °〇における粘度は 1 . 6 ^ 9

3 3以下 (1 . 5 2 01 3 3) であった。 また、 上記コロイ ド分散液は 、 少なくとも 0〜一 6 ° 〇において、 水に比べて低い粘度を有していた。 上記 コロイ ド分散液の粘度は、 同等の凝固点を有するエチレングリコール水 溶液 (濃度 3 0〜 4 0質量%) の粘度 4〜 5 3 3に比べて、 非常に小さか った。

[0099] [凝固及び融解の繰り返しによる特性変化の 価]

サンプル 群で作製したコロイ ド分散液のうち、 濃度 1 9 / 1_及び比丁巳 八 + / 1 ~ 1 + = 1の分散液について、 凝固及び融解を繰り返した場合に特性の変化 が生じるかを評価した。 評価は、 以下のように実施した。 最初に、 容量 3 0 !_のガラス製バイアル瓶に分散液を 1 8 1_入れて密閉した。 次に、 バイ アル瓶を低温恒温槽 (巳 3 巳(3製、 3 1 ~ 1 _ 2 4 2) に収容して、 環境温度 を室温 (2 0 °〇) から一 2 0 °〇まで降温速度 2 °〇/分で低下させた。 次に、

_ 2 0 °〇で 2 0分間保持、 _ 2 0 °〇から 6 0 °〇まで昇温速度 2 °〇/分で上昇 させて 6 0 °〇で 1 0分間保持、 6 0 °〇から一 2 0 °〇まで降温速度 2 °〇/分で 低下のサイクルを 3 0回繰り返して、 分散液の凍結及び融解を 3 0回繰り返 す処理を実施した。 処理の前後における上記分散液のゼータ電位 及びシート サイズの平均値を評価したところ、 以下の表 3に示すように、 ゼータ電位及 びシートサイズの平均値には、 大きな変化が見られなかった。 換言すれば、 上記分散液は、 繰り返しの凝固及び融解に耐えうることが確 認された。 コロ イ ド分散液に含まれるシートサイズの平均値は 、 当該分散液に対する動的光 散乱測定 (口 !_ 3) 法により評価した。 口 !_ 3の装置及び光学系には、 ゼー 夕電位の評価に使用した装置及び光学系を使 用した。 なお、 表 3に示す処理 前のゼータ電位の値が表 1 八の値と異なっているが、 これは、 コロイ ド分散 〇 2020/175529 25 卩(:170? 2020 /007654

液のロッ トの相違に基づくと推定される。 コロイ ド分散液を製造する際の条 件によっては、 ゼータ電位が 1 0 V程度変動することがある。

[0100] [表 3]

[0101 ] [凝固時の潜熱の評価]

サンプル 群で作製したコロイ ド分散液のうち、 濃度 1 9 / 1_及び比丁巳 八 + / 1 ~ 1 + = 1の分散液について、 凝固時の潜熱を以下のように評価した。 最初 に、 容量 8 1_のガラス製バイアル瓶に分散液を 5 1_入れて密閉した。 次 に、 バイアル瓶を低温恒温槽 (巳3 巳〇製、 3 1 ~ 1 _ 2 4 2) に収容して、 環境温度を室温 (2 0 ° 〇) から一 2 0 ° 〇まで降温速度 1 ° 〇/分で低下させた 。 低下中の分散液の温度を連続的に測定し、 測定した温度の変化から、 コロ イ ド分散液の潜熱を評価した。 評価結果を、 T B A O H水溶液及び水に対す る評価結果と併せて、 図 1 0に示す。 なお、 水の評価には、 ミリポア製、 超 純水精製装置により得た超純水 (導電率 1 8 . 超) を使用した

。 水溶液の評価には、 上記分散液と同じ濃度の丁巳 0(!を含む 水溶液 (ナノシートは含まない) を使用した。

[0102] 図 1 0に示すように、 上記分散液においても、 水と同様の潜熱 (各プロッ 卜のピーク面積が潜熱に対応する) が得られることが確認された。 なお、 図 1 0の各プロッ トに記載された温度は、 凝固の開始温度である。 また、 水の 凝固点降下は、 過冷却現象に基づくと考えられる。

[0103] [容器の形状による凝固点の変化の評価]

サンプル 群で作製したコロイ ド分散液のうち、 濃度 1 9 / 1_及び比丁巳 八 + / 1 ~ 1 + = 1の分散液について、 分散液を収容する容器によって凝固点に変化 が生じるかを評価した。 ガラス製バイアル瓶の代わりに、 幅 1 2 長さ 1 7 0 01 01のナイロン袋に 5 0 01 1_の分散液を入れて上記凝固点の評価 〇 2020/175529 26 卩(:170? 2020 /007654

と同様の評価を実施したところ、 凝固点にはほぼ変化が見られなかった。 こ の評価により、 保冷材としての現実の製品化が十分に可能で あることが確認 された。

[0104] [凝固時の氷晶サイズの評価]

上記超純水、 サンプル (濃度 1 9/1_及び比丁巳 + /!! + = 1) 及びサン プル巳における凝固時の氷晶サイズを、 ガラスプレート内に閉じ込めた各サ ンプルを一 20°〇で凍らせた後に顕微鏡で観察して評価 た。 評価結果を図 1 1 に示す。 サンプル 及びサンプル巳の氷晶サイズは、 超純水の氷晶サイ ズに比べて小さかった。 また、 サンプル巳では、 氷晶の周りにナノシートが 析出している様子が明確に観察され、 コロイ ド分散液中のナノシートが氷晶 の成長を阻害することが確認された。

産業上の利用可能性

[0105] 本発明の蓄熱材は、 従来の蓄熱材と同様の用途に使用できる。

符号の説明

[0106] 1 , 1 八, 1 巳 蓄熱材

2八, 2巳 コロイ ド分散液

3 ナノシート

4 分散媒

2 1 , 23 保冷材