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Patent Searching and Data


Title:
IMAGE DISPLAY ARTICLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/136582
Kind Code:
A1
Abstract:
When a flat image is viewed via a conventional lenticular lens, only a part of a flat image corresponding to the view direction is viewed, which significantly degrades the resolution. Provided is an image display article including an image display plane having a first panel on which a first concave lens array is formed on one side of the plane and a second panel on which a second concave lens array is formed on the other side of the plane.  The first and the second concave lens are arranged to oppose to each other.  A gap between the first concave lens and the second concave lens is filled with a substance having a different refraction factor from the first panel or the second panel.  The first concave lens and the second concave lens have shapes approximated by an open curve.  Thus, it is possible to provide an image display article which can perform switching between a flat image and a 3D image of a wide angle of view.

Inventors:
NAGASHIMA MICHIYOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/058441
Publication Date:
November 12, 2009
Filing Date:
April 30, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NAGASHIMA MICHIYOSHI (JP)
International Classes:
G02B30/28; H04N13/349
Foreign References:
JP2006276466A2006-10-12
JP2003029205A2003-01-29
JPH08286148A1996-11-01
JPH08237692A1996-09-13
JP2000503424A2000-03-21
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Claims:
画像表示面を有し、片面に第1凹レンズのアレイを形成した第1パネルを有し、片面に第2凹レンズのアレイを形成した第2パネルを有し、前記第1および第2の凹レンズを互いに対向して配置し、前記第1凹レンズおよび前記第2凹レンズの間に前記第1パネルおよび第2パネルと屈折率が異なる物質を設け、前記第1凹レンズ形状が次式で近似でき、
 T+X 2 /〔R+(R 2 -kX 2 ) 1/2
かつ、kが -0.5<k<0.5 の値を有する事を特徴とする画像表示物。
前記kが 0.16<k<0.5 あるいは -0.5<k<-0.16 の値を有する請求項1に記載の画像表示物。
画像表示面を有し、片面に第1凹レンズのアレイを形成した第1パネルを有し、片面に第2凹レンズのアレイを形成した第2パネルを有し、前記第1および第2の凹レンズを互いに対向して配置し、前記第1凹レンズおよび前記第2凹レンズの間に前記第1パネルおよび第2パネルと屈折率が異なる物質を設け、前記第1凹レンズ形状が次式で近似でき、
 T-〔1/{12R(ρW) 2 }〕・X 4 +〔1/(2R)〕・X
かつ、ρが 0.2<ρ<0.7 の値を有する事を特徴とする画像表示物。
前記画像表示面から前記第1凹レンズの底部までの距離をT、前記第1凹レンズのレンズ中心線近傍の曲率半径をR、前記第1パネルの屈折率をn1、前記第1凹レンズおよび前記第2凹レンズの間の物質の屈折率をn2、ε=n2/n1とし、前記第1凹レンズの底部および前記第2凹レンズの頂部の間隔Dは、近似的に、
 D=R〔ε/(ε-1)〕〔R-2(ε-1)T〕/〔R-(ε-1)T〕
の値を有する請求項1ないし3に記載の画像表示物。
前記第1凹レンズのレンズ中心線近傍の曲率半径をR、前記第1パネルの屈折率をn1、前記第1凹レンズおよび前記第2凹レンズの間の物質の屈折率をn2、前記第1凹レンズの底部および前記第2凹レンズの頂部の間隔をD、ε=n2/n1とし、前記画像表示面から前記第1凹レンズの底部までの距離が、
 D=R〔ε/(ε-1)〕〔R-2(ε-1)T〕/〔R-(ε-1)T〕
を満足するTより大きい値を有する請求項1ないし3に記載の画像表示物。
互いに隣接する前記第1凹レンズの境界に対応する画像表示面には画像を表示しない請求項1あるいは3に記載の画像表示物。
前記第2パネルの前記第2凹レンズと反対側の平面に反射防止機能を設ける請求項1あるいは3に記載の画像表示物。
立体画像と平面画像を切り換える部分と、常に平面画像を表示する部分を有する事を特徴とする画像表示物。
 
Description:
画像表示物

 本発明は立体画像表示物に関するもので る。特に、立体画像表示装置および立体画 印刷物に関する。

 立体画像表示装置には、眼鏡を必要とす 方式と必要としない方式がある。眼鏡を必 としない方式としてレンチキュラーレンズ 用いる立体画像表示装置が知られている。 28はレンチキュラーレンズの斜視図である 図28において、2801は平行に並べられた複数 シリンドリカルレンズである。

 図29はレンチキュラーレンズを用いた立 画像表示装置の断面図である。図29において 、2901はレンチキュラーレンズ、2902は画像表 部、2903は画像表示部を保護する透明パネル である。画像表示部2902として液晶層、プラ マ放電部、有機EL層などがある。図29は、画 表示部2902と透明パネル2903から成る一般の ィスプレイに、レンチキュラーレンズ2901を り合わせた構造である。画像表示部2902に多 視点画像を表示し、レンチキュラーレンズ290 1を通して、左右の眼で見る事で画像を立体 に認識する。レンチキュラーレンズ2901と透 パネル2903が、共に一般のガラスや樹脂から 成るならば、それらの屈折率は同程度である 。その場合、レンチキュラーレンズ2901と透 パネル2903は光学的には一体に扱う。

 多視点画像を撮像する一つの方法は、被 体の画像を多くの方向から撮像する事であ 。図30は多視点画像を撮像する構成図であ 。図30では5台のカメラを用いる例を示した 図30において、被写体3001を5台のカメラ3002な いし3006を用いて撮像する。これらの複数の 像画像は互いに視差を持つ。

 図31は多視点画像の作成方法を示す図で る。図31において、3102ないし3106は図30のカ ラ3002ないし3006により撮像された画像である 。これらの撮像画像を短冊画像に分割し、図 31の様に一つに合成して多視点画像3101を得る 。図30および図31の様な5視点の例では、各々 短冊画像の対応する5分の1部分を用いて、31 01に合成される。3101には一つのシリンドリカ ルレンズに対応する多視点画像のみを示した 。実際は全てのシリンドリカルレンズに対応 する多視点画像を作成する。

 図32および図33はレンチキュラーレンズに よる立体視の原理図である。図32および図33 おいて、3201はシリンドリカルレンズ、3202は 画像表示面である。図32および図33では、レ チキュラーレンズ(図29の2901)と透明パネル( 29の2903)を一体に扱う。画像表示面3202に表示 された画像3203は、図31の多視点画像3101の一 のシリンドリカルレンズに対応する部分で る。図32および図33の例では、一つのシリン リカルレンズに対応する画像表示面のみに 視点画像3203を示している。実際は全てのシ リンドリカルレンズに対応する画像表示面に 多視点画像を表示する。画像表示面の各点か ら出る光はシリンドリカルレンズにより略平 行光になり、右眼あるいは左眼に入射する。 図32の様な右眼3204と左眼3205の位置では、右 3204には略非行光3206が入射し、左眼3205には 平行光3207が入射して、右眼と左眼は互いに 差のある画像を見て立体的に認識する。

 また、頭の位置を移動させて、図33の様 右眼3204と左眼3205の位置が変化した場合は、 右眼3204には略平行光3208が入射し、左眼3205に は略平行光3209が入射して画像を立体的に認 する。頭を移動する事で立体的に見える方 が変わり、図32では見えなかった物が図33で 見える様になり、臨場感が高くなる。

 図32および図33の様なレンチキュラーレン ズでは、画像表示面の異なる点から出る光が 方向の異なる略平行光になる事により、右眼 と左眼で異なる画像を見て立体画像を認識す る。この様な略平行光になる原理について図 34を用いて解析的に説明する。本発明の明細 における略並行光とは、完全な平行光、若 収束する傾向の光、および若干広がる傾向 光を含む。

 図34において、3401はシリンドリカルレン 、3402は画像表示面である。図34でも、レン キュラーレンズ(図29の2901)と透明パネル(図2 9の2903)を一体に扱う。図34では球面レンズを い、レンズの球面半径をRとする。画像表示 面3402からレンズ頂部までの距離をT、レンズ 質の屈折率をn、一つのシリンドリカルレン ズの幅をWとする。レンズ頂部を通るレンズ 心線3403から画像表示面の注目している点ま の距離をδとする。この画像表示面の点か 出てレンズ表面の点Pに達した光は、レンズ 面で屈折して角度βを持ってシリンドリカ レンズ3401から出射される。

 点Pのレンズ中心線3403からの距離Xは(数1)で され、画像表示面の注目している点から点P に向かう光線の角度θは(数2)で求められる。 た、レンズ面への入射角αは(数3)で求めら 、レンズ面における屈折の法則より出射角β は(数4)で求められる。
  (数1)   X=R・sinφ
  (数2)   tanθ = (δ-X)/(T-R+R・cosφ)
  (数3)   α=θ+φ
  (数4)   sin(φ+β) = n・sinα

 画像表示面の点(レンズ中心線3403から距 δ)と、レンズ面の屈折点P(レンズ中心線3403 ら距離X)が与えられれば、(数1)ないし(数4)よ り、順にφ、θ、α、βが求まり、シリンドリ ルレンズ3401からの出射光の方向が求められ る。

 画像表示面3402の異なる点から出る光は、 シリンドリカルレンズ3401から異なる出射角 を持つ平行光として出射される事が理想で る。図35にその理想的な振る舞いを示す。横 軸は画像表示面の点から出る光がレンズ表面 に入射する位置(X)、縦軸はシリンドリカルレ ンズからの出射角度(β)である。画像表示面 点(レンズ中心線3403から距離δ)として、0、W/ 4、W/2、3W/4、Wの5つの場合を示している。δ=3W /4およびδ=Wは、隣接するシリンドリカルレン ズに対応する画像表示面の点から出る光であ る。例えば、画像表示面の点(δ=W/4)から出た はレンズ表面のどの位置に入射しても出射 度が一定の平行光となる。言い換えれば、 の出射角度からレンチキュラーレンズを見 ば点(δ=W/4)の画像のみを見る事になる。こ 様に、画像表示面の点から出た光が、レン 面の入射位置によらず出射角度が一定の平 光になる事をレンチキュラー効果と名付け 。現実にはこの様な理想的な出射光は得ら ず、以下に現実的な場合を示す。

 まず、光線の角度が小さい近軸近似を考え 。この近軸近似では、(数1)ないし(数4)は各 (数5)ないし(数8)と表される。
  (数5)   X=Rφ
  (数6)   θ=(δ-X)/T
  (数7)   α=θ+φ
  (数8)   φ+β=nα

 これらの(数5)ないし(数8)より近軸近似にお る出射角βは(数9)で表される。レンチキュ ーレンズ効果、即ち、画像表示面の点(レン 中心線3403から距離δ)から出る光が出射角一 定の略平行光となる条件は、βがθに依存し い事であり、それは(数10)の場合である。そ 時の出射角βは(数11)で与えられる。Tが(数10 )で与えられる場合は、画像表示面から出る が平行光になるので、そのTが半径Rの球面レ ンズの焦点距離に相当する。
  (数9)   β=(n-1)(δ/R)-〔(n-1)(T/R)-n〕θ
  (数10)  T=Rn/(n-1)
  (数11)  β=(n-1)(δ/R)

 レンズ媒質が一般的なガラスや樹脂の場合 、屈折率nは約1.5であり、画像表示面からシ リンドリカルレンズ頂部までの距離Tは(数12) なり、略平行光の出射角βは(数13)となる。 折率が約1.5の媒質からなる球面レンズの焦 距離は、球面半径の3倍である事を意味する 。
  (数12)  T=3R
  (数13)  β=δ/(2R)

 次に、一般的な場合を(数1)ないし(数4)を いてシミュレーションする。例として、図3 4においてR=1、T=3、n=1.5、W=1.5とする。これら 条件は(数10)を満足する。図36はそのシミュ ーションの結果である。横軸は画像表示面 点から出る光がレンズ表面に入射する位置( X)、縦軸はシリンドリカルレンズから出る出 角(β)である。画像表示面の点(レンズ中心 3403から距離δ)として、0、W/4、W/2、3W/4、Wの5 つの場合を示している。δ=3W/4およびδ=Wは、 接するシリンドリカルレンズに対応する画 表示面の点から出る光である。

 図36より以下の事が分かる。画像表示面 レンズ中心(δ=0)から出る光は、その殆どは 度β=0の略平行光としてシリンドリカルレン から出射され、周辺部の光は若干の集束光 なる。この程度の集束光はレンチキュラー 果を乱す事にはならない。レンズ中心線か 距離W/4にある画像表示面の点(δ=W/4)から出 光は、レンズ面の範囲(-0.75から+0.5)に入射す る場合は角度β=0.19ラジアンを持つ略平行光 してシリンドリカルレンズから出射され、 ンズ面の範囲(+0.5から+0.75)に入射する場合は 非平行光となる。また、互いに隣接するシリ ンドリカルレンズの境界に対応する画像表示 面の点(δ=W/2)から出る光は、レンズ面の範囲( -0.75から+0.3)に入射する場合は角度β=0.37ラジ ンを持つ略平行光としてシリンドリカルレ ズから出射され、レンズ面の範囲(+0.3から+0 .6)に入射する場合は非平行光となる。境界点 (δ=W/2)からレンズ面の範囲(+0.6以上)に入射す 場合は全反射によりシリンドリカルレンズ ら出射されない。図35と図36を比較すれば、 多くの光は比較的に理想に近いが、理想から 外れる光もある。この理想から外れた光線の 画像への影響を考慮しなければならない。

 品質の高い立体画像を認識するには、レ チキュラーレンズを一つの方向から見た場 に、画像面の一点近傍の画像のみが見える が重要である。多くの点からの光が混入し 見えれば、すなわちクロストークが大きけ ば、複数の画像が混ざり合い画質が劣化す 。図37を用いて、レンチキュラーレンズを 度0.19ラジアンの方向から見る場合を説明す 。図37において、図34と同じ構成要素には同 じ符号を付け説明を省略する。3404は角度0.19 ジアンの方向に有る眼である。図37では、 3404をレンチキュラーレンズの近くに有る様 描いているが、実際は矢印の方向の遠くに る。図36から分かる様に、画像表示面の点( =W/4)から出た光の多くが出射角0.19ラジアン 持つ略平行光となる。それらは図37の光線340 5(実線)と光線3406(実線)に囲まれた領域の光で あり、この略平行光が眼3404から見える事に る。画像表示面の点(δ=W/4)から出た光線3407( 線)の様な光は出射角が0.19ラジアンより大 く、眼3404から見えない。

 次に、図38を用いて、レンチキュラーレ ズを角度0.37ラジアンの方向から見る場合を 明する。図38において、図34および図37と同 構成要素には同じ符号を付け説明を省略す 。眼3404は角度0.37ラジアン(矢印の方向)の遠 くに有る。図36から分かる様に、画像表示面 点(δ=W/2)から出た光の多くが出射角0.37ラジ ンを持つ略平行光となる。それらは図38の 線3408(実線)と光線3409(実線)に囲まれた領域 光であり、この略平行光が眼3404から見える になる。一方、画像表示面の他の点からの の一部も出射角0.37ラジアンを持つ。例えば 、光線3410(波線)はδ=W/4の点から出て出射角0.3 7ラジアンを持って出射される。この光線3410 、光線3408と光線3409に囲まれた領域に比べ ば非常に狭い範囲で生じ光量は小さい。す わち、レンチキュラーレンズを角度0.37ラジ ンの方向から見た場合は、殆どδ=W/2の点近 の画像のみを見る事になる。

 図36において、横軸(レンズ面への入射位 X)に対して出射角度βの変化が大きい場合は 、すなわち、出射角度を表す曲線の勾配が大 きい場合は、図37の光線3407(波線)および図38 光線3410(波線)の様に、ある特定の出射角度 ら見た場合は光量が小さく、画質の劣化に 問題にならない。

 一つのシリンドリカルレンズに対応する 像表示面には、多数の視点からの画像が表 されている。それらの多視点画像のうち、 り合う画像は図30の隣り合うカメラにより 像した画像であり、互いに相関が強く、少 混じり合っても画質の劣化には大きな問題 はならない。しかし、隣接するシリンドリ ルレンズの境界付近の画像は、例えば図30の カメラ3002と3006により撮像した画像であり、 関は低く、それらが混じり合うと画質の劣 になる。

 従って、隣接するシリンドリカルレンズ 境界点(δ=W/2)から出てシリンドリカルレン から出射する光のうち、比較的高い強度を ち(出射角度を表す曲線の勾配が小さい)、か つ、最も小さい出射角度が立体画像の視野角 を決定する事になる。図36の場合の視野角は 0.37ラジアン(±21度)となる。この視野角が大 い程、少しくらい頭の位置を移動しても良 な立体画像を鑑賞でき安定な立体画像を得 事ができる。

 図36に示される様に、隣接するシリンド カルレンズに対応する画像表示面から出る (δ>W/2)も、その多くは略平行光になるが、 画像表示面の点がレンズ中心線より離れるに 従って非平行光となる割合が多くなる。これ らの隣接するシリンドリカルレンズに対応す る画像面から出る光は視野角の外であり、視 野角内の立体画像には影響しない。しかし、 視野角の外でも視野角内と同様に立体画像を 鑑賞できる事を表し、これをサイドローブと 言う。

 図34では球面レンズを用いて説明したが、 り画質を改善するために楕円レンズが提案 れている(例えば、特許文献1を参照)。図34の 場合では、画像表示面3402からシリンドリカ レンズ3401の頂部までの距離がTであるから、 楕円レンズは(数14)で表される。特許文献1で (数15)の条件の楕円レンズを提案している。 ここで、Rはレンズ中心近傍の曲率半径、nは ンズ媒質の屈折率である。レンズ媒質はガ スか樹脂であり、一般にそれらの屈折率は1 .4より大きい。従って、(数15)によりkは0.5よ 大きい。
  (数14)  Y=T-X 2 /〔R+(R 2 -kX 2 ) 1/2
  (数15)  k=1-(1/n) 2

 以上の様に、レンンチキュラーレンズを いて立体画像を認識できる。しかしながら レンチキュラーレンズを通して平面画像を れば、見る方向に相当する平面画像の一部 みを見る事になり、解像度が劣化する。特 、小さい文字は判読できなくなる場合があ 。そこで、平面画像と立体画像を切り替え 事ができる画像表示装置が提案されている( 例えば、特許文献2および特許文献3を参照)。

 図39は、特許文献2に記載の画像表示装置 断面図である。図39において、3901は片凸シ ンドリカルレンズのアレイ、3902は画像表示 部、3903は画像表示部を保護する透明パネル ある。片凸シリンドリカルレンズのアレイ39 01は電気的に屈折率が変化する物質から成る 片凸シリンドリカルレンズ3901の屈折率が高 い場合は、画像表示部3902に多視点画像を表 し、片凸シリンドリカルレンズのアレイは ンチキュラーレンズとして働き立体画像を 識できる。片凸シリンドリカルレンズ3901の 折率が低く、周囲の媒質と同じ程度の場合 、画像表示部3902に平面画像を表示し、片凸 シリンドリカルレンズのアレイは単なる透明 板として働き平面画像を認識できる。電気的 に屈折率が変化する物質として液晶を用いる 事ができる。

 図40は、特許文献3に記載の画像表示装置の 面図である。図40において、4001は両凸シリ ドリカルレンズのアレイ、4002は画像表示部 、4003は画像表示部を保護する透明パネルで る。両凸シリンドリカルレンズのアレイ4001 電気的に屈折率が変化する物質、あるいは の偏光に対して異方性を持つ物質から成る 例えば、電気的に屈折率の変化する物質を いれば、両凸シリンドリカルレンズ4001の屈 折率が高い場合は、画像表示部4002に多視点 像を表示し、両凸シリンドリカルレンズの レイはレンチキュラーレンズとして働き立 画像を認識できる。また、両凸シリンドリ ルレンズ4001の屈折率が低く、周囲の媒質と じ程度の場合は、画像表示部4002に平面画像 を表示し、両凸シリンドリカルレンズのアレ イは単なる透明板として働き平面画像を認識 できる。電気的に屈折率が変化する物質とし て液晶を用いる事ができる。

特開平8-286148号公報

特表2000-503424号公報

特開2006-276466号公報

 特許文献2では、片凸シリンドリカルレン ズを用いるので、屈折角が小さく、視野角も 小さい。特許文献3では、両凸シリンドリカ レンズを用いるので、屈折角が大きくなる 特許文献3では、両凸シリンドリカルレンズ して球面レンズあるいは楕円レンズを用い いる。特許文献3の図9に示される様に、迷 領域が10%以下にできる視野角は±22.5度であ 。この視野角は図36のレンチキュラーレンズ の視野角0.37ラジアン(±21度)と同程度である また、特許文献3の図10に示される様に、ク ストークが2画素以下にできる視野角は±15度 である。

より安定な立体画像には、迷光やクロスト ークが許容できる程に小さく、かつ、より広 い視野角が望まれる。また、レンズ形状とし ては楕円、放物線、双曲線などの非球面が考 えられるが、それらの非球面形状をできるだ け特定できれば設計が容易になる。

 前記従来の課題を解決するために、本発明 画像表示物は、画像表示面を有し、片面に 1凹レンズのアレイを形成した第1パネルを し、片面に第2凹レンズのアレイを形成した 2パネルを有し、前記第1および第2の凹レン を互いに対向して配置し、前記第1凹レンズ および前記第2凹レンズの間に前記第1パネル よび第2パネルと屈折率が異なる物質を設け 、前記第1凹レンズ形状が次式で近似でき、
 T+X 2 /〔R+(R 2 -kX 2 ) 1/2
かつ、kが -0.5<k<0.5 の値を有する事を特 徴とする。この事により立体画像の視野角を 拡大できる。

 更に、前記kが 0.16<k<0.5 あるいは -0 .5<k<-0.16 の値を有する事が好ましい。こ の事により両凸シリンドリカルレンズの厚み を薄くして低コスト化できる。

 あるいは、本発明の画像表示物は、画像表 面を有し、片面に第1凹レンズのアレイを形 成した第1パネルを有し、片面に第2凹レンズ アレイを形成した第2パネルを有し、前記第 1および第2の凹レンズを互いに対向して配置 、前記第1凹レンズおよび前記第2凹レンズ 間に前記第1パネルおよび第2パネルと屈折率 が異なる物質を設け、前記第1凹レンズ形状 次式で近似でき、
 T-〔1/{12R(ρW) 2 }〕・X 4 +〔1/(2R)〕・X
かつ、ρが 0.2<ρ<0.7 の値を有する事を 徴とする。この事により立体画像の視野角 拡大でき、また、両凸シリンドリカルレン の厚みを薄くして低コスト化できる。

 また、本発明の画像表示物は、前記画像表 面から前記第1凹レンズの底部までの距離を T、前記第1凹レンズのレンズ中心線近傍の曲 半径をR、前記第1パネルの屈折率をn1、前記 第1凹レンズおよび前記第2凹レンズの間の物 の屈折率をn2、ε=n2/n1とし、前記第1凹レン の底部および前記第2凹レンズの頂部の間隔D は、近似的に、
 D=R〔ε/(ε-1)〕〔R-2(ε-1)T〕/〔R-(ε-1)T〕
の値を有する事を特徴とする。この事により 立体画像の視野角を拡大でき、また、画像表 示物の設計を容易にする。

 あるいは、本発明の画像表示物は、前記第1 凹レンズのレンズ中心線近傍の曲率半径をR 前記第1パネルの屈折率をn1、前記第1凹レン および前記第2凹レンズの間の物質の屈折率 をn2、前記第1凹レンズの底部および前記第2 レンズの頂部の間隔をD、ε=n2/n1とし、前記 像表示面から前記第1凹レンズの底部までの 離が、
 D=R〔ε/(ε-1)〕〔R-2(ε-1)T〕/〔R-(ε-1)T〕
を満足するTより大きい値を有する事事を特 とする。この事により出射光の平行度を向 できる。

 また、本発明の画像表示物は、互いに隣 する前記第1凹レンズの境界に対応する画像 表示面には画像を表示しない事が好ましい。 この事により立体画像の視野角を拡大できる 。

 また、本発明の画像表示物は、前記第2パ ネルの前記第2凹レンズと反対側の平面に反 防止機能を設ける事が好ましい。この事に り立体標示物を見やすくできる。

 また、本発明の画像表示物は、立体画像 平面画像を切り換える部分と、常に平面画 を表示する部分を有する事を特徴とする。 の事により立体画像を鑑賞する場合も小さ 字を表示できる。

 本発明によれば、解像度の高い平面画像 、視野角の広い立体画像を安定に切り替え 事ができる画像表示装置を提供できる。ま 、視野角が広く両面が平滑な立体画像印刷 を提供できる。

本発明の画像表示装置の断面図。 本発明の画像印刷物の断面図。 本発明の画像表示装置における、立体 像表示の原理を解析的に説明する図。 迷光を示す図。 本発明の画像表示装置における、上下 レンズ境界が接する場合を示す図。 本発明の実施形態1における、楕円レン ズ形状に対するパネル構造の係数を示す図。 本発明の実施形態1における、楕円レン ズ形状に対する視野角を示す図。 本発明の実施形態1における、両凸楕円 レンズの屈折率が1.62の場合に対する視野角 シミュレーション結果。 本発明の実施形態1における、両凸楕円 レンズの屈折率が1.7の場合に対する視野角の シミュレーション結果。 本発明の実施形態2における、双曲線 ンズ形状に対するパネル構造の係数を示す 。 本発明の実施形態2における、双曲線 ンズ形状に対する視野角を示す図。 本発明の実施形態2における、両凸双 線レンズの屈折率が1.62の場合に対する視野 のシミュレーション結果。 本発明の実施形態2における、両凸双 線レンズの屈折率が1.62の場合に対する、画 表示面の点(δ=W/2)から出る光の説明図。 本発明の実施形態2における、両凸双 線レンズの屈折率が1.7の場合に対する視野 のシミュレーション結果。 本発明の実施形態3における、4次偶感 レンズ形状に対するパネル構造の係数を示 図。 本発明の実施形態3における、4次偶感 レンズ形状に対する視野角を示す図。 本発明の実施形態3における、両凸4次 感数レンズの屈折率が1.7の場合に対する視 角のシミュレーション結果。 本発明の実施形態4における、両凸双 線レンズの屈折率が1.62の場合に対する視野 のシミュレーション結果。 偏光方向が液晶分子の長軸に平行な場 合の液晶特性の説明図。 偏光方向が液晶分子の長軸に垂直な場 合の液晶特性の説明図。 本発明の実施形態5における、平面画 と立体画像の切り替えの説明図。 本発明の実施形態6における、具体的 例を示す画像表示装置の断面図。 本発明の実施形態6における、具体的 例を示す画素の配列図。 本発明の実施形態7におけるシミュレ ション結果。 本発明の実施形態7における画像表示 置の断面図。 本発明の実施形態8における、画像表 装置の断面図。 本発明の実施形態9における、常に平 画像を表示する部分を有する画像表示装置 構成図。 レンチキュラーレンズの斜視図。 レンチキュラーレンズを用いた画像表 示装置の断面図。 多視点画像の撮像方法を示す図。 多視点画像の作成方法を示す図。 レンチキュラーレンズを用いた、左右 の眼の位置に対する立体視の原理図。 レンチキュラーレンズを用いた、変化 した左右の眼の位置に対する立体視の原理図 。 球面レンチキュラーレンズの解析的説 明図。 理想的な出射光の角度を示す図。 球面レンチキュラーレンズのシミュレ ーション結果。 球面レンチキュラーレンズを用いた場 合の、画像面の点(δ=W/4)から出る光線の説明 。 球面レンチキュラーレンズを用いた場 合の、画像面の点(δ=W/2)から出る光線の説明 。 従来の片凸レンズを用いた平面画像と 立体画像を切り替える事ができる画像表示装 置の断面図。 従来の両凸レンズを用いた平面画像と 立体画像を切り替える事ができる画像表示装 置の断面図。

 101 第一パネル
 102 第二パネル
 103 両凸シリンドリカルレンズ
 104 画像表示部
 105 透明パネル
 201 第一パネル
 202 第二パネル
 203 両凸シリンドリカルレンズ
 204 画像表示部
 301 第一パネル
 302 第一シリンドリカルレンズ面
 303 第二パネル
 304 第二シリンドリカルレンズ面
 305 両凸シリンドリカルレンズ
 306 画像表示部
 307 レンズ中心線
 308 仮想面
 401 立体画像表示に望ましい光線
 402 立体画像表示に望ましい光線
 403 迷光
 2500 画像
 2600 第二パネルの表面
 2701 画像表示装置
 2702 立体画像と平面画像を切り替える表示
 2703 平面画像を表示する表示面
 2801 シリンドリカルレンズ
 2901 レンチキュラーレンズ
 2902 画像表示部
 2903 透明パネル
 3401 シリンドリカルレンズ
 3402 画像面
 3403 レンズ中心線
 3901 片凸レンズアレイ
 3902 画像表示部
 3903 透明パネル
 4001 両凸レンズアレイ
 4002 画像表示部
 4003 透明パネル

 以下、本発明の概要について図面を参照 ながら説明する。

 図1は本発明の画像表示装置の断面図であ る。図1において、101は片面に凹シリンドリ ルレンズのアレイを設けた第一パネル、102 片面に凹シリンドリカルレンズのアレイを けた第二パネルである。101の凹シリンドリ ルレンズと102の凹シリンドリカルレンズは いに対向して配置される。103は第一パネル10 1および第二パネル102の間に設けられた両凸 リンドリカルレンズのアレイである。104は 像表示部、105は画像表示部を保護する透明 ネルである。パネル101と透明パネル103が一 のガラスや樹脂から成る場合は、それらの 折率は同程度で、第一パネル101と透明パネ 103は光学的に一体に扱う。

図1において平面画像と立体画像を切り替 るには、両凸シリンドリカルレンズのアレ 103の物質の屈折率が電気的に変化するか、 るいは、両凸シリンドリカルレンズのアレ 103の物質が光の偏光方向に対して屈折率が なる異方性を示す。その様な物質として液 が考えられる。液晶は光の偏光方向と液晶 子の配列方向により屈折率が変わる。一例 して、20度から40度の周囲温度で可視波長に しては、屈折率が約1.5から約1.62に変化する 。両凸シリンドリカルレンズアレイの物質の 屈折率が大きい状態では立体画像を表示し、 その屈折率が小さい状態では平面画像を表示 する。両凸シリンドリカルレンズアレイの物 質の小さい屈折率は、第一パネル101および第 二パネル102の物質の屈折率と同程度に選択で きる。図1は従来例の図40と似ているが、本発 明の画像表示装置では立体画像の視野角を広 くするために、レンズ形状、画像表示面と両 凸シリンドリカルレンズとの間隔、両凸シリ ンドリカルレンズの厚さなどを最適化する。

 図2は本発明の画像印刷物の断面図である 。図2において、201は片面に凹シリンドリカ レンズのアレイを設けた第一パネル(または ート)であり、202は片面に凹シリンドリカル レンズのアレイを設けた第二パネル(または ート)である。201の凹シリンドリカルレンズ 202の凹シリンドリカルレンズは互いに対向 て配置される。203は第一パネル201および第 パネル202の間に設けられた両凸シリンドリ ルレンズのアレイである。204は画像印刷部 ある。

図2の様な印刷物では立体画像と平面画像 切り替える必要はなく、常に立体画像を表 し、両凸シリンドリカルレンズアレイの物 の屈折率を、第一パネル201および第二パネ 202の物質の屈折率より大きくする。その様 高屈折率の物質として、一般樹脂に酸化チ ン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛などの誘 体微粒子を混ぜたナノコンポジット樹脂が えられ、屈折率が1.7程度の樹脂も合成でき 。本発明の画像印刷物では立体画像の視野 を広くするために、レンズ形状、画像表示 と両凸シリンドリカルレンズとの間隔、両 シリンドリカルレンズの厚さなどを最適化 る。

 視野角を拡大する第1の方法は、両凸シリ ンドリカルレンズのアレイ103あるいは203の屈 折率を大きくする事である。しかし、液晶の 屈折率の変化には限界がある。電気的に屈折 率の変化がより大きい物質の開発が待たれる 。また、ナノコンポジット樹脂の屈折率もや はり限界がある。

 視野角を拡大する第2の方法は、シリンド リカルレンズの幅を大きくする事である。特 許文献1および特許文献3で用いられる球面レ ズや楕円レンズでは、シリンドリカルレン の幅を大きくするとレンズ周辺の勾配が大 くなり、レンズ表面で屈折した光線の角度 大きく変化し、出射光の平行度が劣化する 楕円レンズの形状をより扁平にしてシリン リカルレンズ幅を拡大できるが、扁平度に 限界がある。レンズ形状の改善や最適化が まれる。

 視野角を拡大するためにどの様なレンズ 状を用いるか、図3を用いて解析方法を説明 する。この解析には、図34と同様の光線追跡 法を用いる。図3において、301は片面にシリ ンドリカルレンズ面302を形成した第一パネル 、303は片面にシリンドリカルレンズ面304を形 成した第2パネルである。302と304の間に両凸 リンドリカルレンズのアレイ305が形成され 。306は画像表示面、307はシリンドリカルレ ズのレンズ中心線である。図3では、図1のパ ネル101と透明パネル103を光学的に一体に扱う 。画像表示面306からシリンドリカルレンズ面 302の底部までの距離をT、両凸シリンドリカ レンズ305の最大厚さ(レンズ面302の底部とレ ズ面304の頂部の間隔)をD、シリンドリカル ンズのレンズ中心線近傍の曲率半径をR、1つ のシリンドリカルレンズの幅をWとする。ま 、第一パネル301の屈折率は第二パネル303の 折率と同程度でn1とし、両凸シリンドリカル レンズのアレイ305の屈折率をn2とする。

 レンズ中心線307から距離δにある画像表 面306の点から出た光がシリンドリカルレン 面302に入射する点をP1、その光がシリンドリ カルレンズ面304に入射する点をP2とする。そ 後、第二パネル303の観察側表面から出射さ る。シリンドリカルレンズ面302の形状をF(X) と表し、対向するシリンドリカルレンズ面304 の形状をG(X)と表す。

 図3の308は仮想面である。本発明の発明者 による先行出願(国際公開特許WO2008-114813)では 、上方のシリンドリカルレンズが図3とは逆 きの構成を考察し、図3の仮想面308に相当す 面でレンズ媒質の屈折率が異なる場合もシ ュレーションしている。本発明では仮想面 上下で媒質が同じであり、仮想面上の位置 標(Q)は意味を持たないが、本発明において 、その先行出願と同じシミュレーション手 を用いた。従って、後述するシミュレーシ ンにおいて、画像表示面306から出た光が仮 面308に入射する位置座標(Q)を光の進行方向 表す手段に用いる。

 画像表示面の点(レンズ中心線307から距離δ) から仮想面308の位置座標Qの点(レンズ中心線3 07から距離Q)に向かう光線の角度θは(数16)で められる。この光線は仮想面で方向を変え に点P1(レンズ中心線307から距離X1)に入射す 。点P1のX座標(X1)は方程式(数17)を解いて求め られる。点P1におけるレンズ面の勾配は関数F (X)の微分係数であり(数18)で求められる。レ ズ面F(X)への入射角αは(数19)で求められ、屈 の法則より出射角βは(数20)で求められる。 P1から点P2に向かう光線は(数21)で表され、 P2のX座標(X2)は方程式(数22)を解いて求められ る。点P2におけるレンズ面の勾配は関数G(X)の 微分係数であり(数23)で求められる。レンズ G(X)への入射角φは(数24)で求められ、屈折の 則より出射角ψは(数25)で求められる。パネ 303の観察側表面への入射角ζは(数26)で求め れ、屈折の法則よりパネル303からの出射角 は(数27)で求められる。ここで、点P2におけ G(X)の微分係数は、Xが正の値ならば負になる (代数的角度が負、τ<0)。幾何学的角度を正 の値で示すため、図3では点P2における接線の 傾きを(-τ)と表している。
  (数16)  tanθ=(δ-Q)/T
  (数17)  F(X)・tanθ=(δ-X)
  (数18)  tanκ=dF(X)/dX  (X=X1)
  (数19)  α=κ-θ
  (数20)  n2・sinβ=n1・sinα
  (数21)  Y-F(X1)=-(X-X1)・cot(κ-β)
  (数22)  G(X)-F(X1)=-(X-X1)・cot(κ-β)
  (数23)  tan(-τ)=-dG(X)/dX  (X=X2)
  (数24)  φ=(-τ)+(κ-β)
  (数25)  n2・sinφ=n1・sinψ
  (数26)  ζ=ψ-(-τ)
  (数27)  sinν=n1・sinζ

 画像表示面の点(レンズ中心線307から距離 δ)と、仮想面上の位置座標Qが与えられれば (数16)ないし(数27)より、順にθ、X1、κ、α、 、X2、τ、φ、ψ、ζ、νが求まりパネル303か の出射光の方向が求められる。

 先ず、角度が小さい近軸近似を考える。レ ズ形状を表す関数F(X)およびG(X)は(数28)およ (数29)で近似される。また、レンズ中心線307 近傍では、レンズ形状は球面に良く近似され 、曲率は(1/R)であり、勾配を表す微分係数〔d F(X)/dX〕および〔dG(X)/dX〕は(数30)および(数31) 表される。
  (数28)  F(X)=T
  (数29)  G(X)=T+D
  (数30)  dF(X)/dX=X/R
  (数31)  dG(X)/dX=-X/R

 これらを用いて、近軸近似では(数16)ないし (数27)は各々(数32)ないし(数42)の様に近似され る。近軸近似では X1=Q であり、(数16)と(数17 )は同じく(数32)で近似される。
  (数32)  θ=(δ-X1)/T
  (数33)  κ=X1/R
  (数34)  α=κ-θ
  (数35)  n2・β=n1・α
  (数36)  Y-T=-(X-X1)/(κ-β)
  (数37)  (T+D)-T=-(X2-X1)/(κ-β)
  (数38)  τ=-X2/R
  (数39)  φ=(-τ)+(κ-β)
  (数40)  n2・φ=n1・ψ
  (数41)  ζ=ψ-(-τ)
  (数42)  ν=n1・ζ

 レンチキュラーレンズ効果、即ち、画像表 面の点(レンズ中心線307から距離δ)から出る 光が出射角一定の略平行光となる条件は、ν θに依存しない事である。少なくとも、近 近似ではレンチキュラー効果を良く満たす 要がある。その場合の両凸シリンドリカル ンズ305の最大厚み(レンズ面302の底部とレン 面304の頂部の間隔)Dは(数43)および(数44)で与 えられる。ここで、ε=n2/n1である。最大厚みD はn1、n2、およびTにより決定される。
  (数43)  D=〔ε/(ε-1)〕Rδ
  (数44)  δ=〔R-2(ε-1)T〕/〔R-(ε-1)T〕

 ここで、図1ないし図3の両凸シリンドリ ルレンズについて、望ましい形状の概要を 明する。図1の両凸シリンドリカルレンズの レイ103の物質は、電気的に屈折率が変化す か、あるいは、光の偏光方向に対して屈折 が異なる異方性を示す。この様な物質とし 液晶が考えられるが、低コスト化には両凸 リンドリカルレンズ103の最大厚さ(図3のD)が 薄い方が良い。電気的に屈折率を変化させる 場合は、印加電圧を小さくできるので薄い方 がより望ましい。図2の両凸シリンドリカル ンズのアレイ203の物質は、高屈折率のナノ ンポジット樹脂などである。ナノコンポジ ト樹脂は高価であり、低コスト化には両凸 リンドリカルレンズ203の最大厚さ(図3のD)は い方が良い。

 図4を用いて、誤った画素からの迷光につ いて説明する。図4において、図3と同じ構成 素には同じ符号を付け説明を省略する。401 よび402は立体画像を鑑賞するために望まし 光線であり、注目しているシリンドリカル ンズに対応する画像面から出た光が、注目 ている上下のシリンドリカルレンズ面で屈 して出射される。また、403は迷光であり、 接するシリンドリカルレンズに対応する画 面から出た光が、隣接する下方のシリンド カルレンズ面で屈折して、注目する上方の リンドリカルレンズ面で屈折して出射され 。この迷光403は望ましい光線401および402と 射方向が似ていて、画質を劣化させる。下 のシリンドリカルレンズと上方のシリンド カルレンズが、それらの境界部で間隔が広 と一般に迷光が多くなる。従って、上下の リンドリカルレンズがそれらの境界部にお て、できる限り接触する事が望ましい。

 図5は、下方シリンドリカルレンズと上方シ リンドリカルレンズが、それらの境界部で接 する場合を示す。図5では迷光は生じない。
 (実施形態1)

 まず、楕円レンズを検討する。一般に、レ ズ形状F(X)およびG(X)は(数45)および(数46)で表 され、楕円の場合は k>0 である。これら 式は、前述の(数17)および(数22)を解くには( 47)および(数48)の様に表現する方が便利であ 。ここで m=1/k である。また、上下のシリ ドリカルレンズ面を表す関数が両凸レンズ 状を形成するには(数49)の条件が必要であり 、この条件は(数50)の様に表される。
  (数45)  F(X)=T+X 2 /〔R+(R 2 -kX 2 ) 1/2
  (数46)  G(X)=T+D-X 2 /〔R+(R 2 -kX 2 ) 1/2
  (数47)  F(X)=T+(mR)-〔(mR) 2 -m・X 2 1/2
  (数48)  G(X)=T+D-(mR)+〔(mR) 2 -m・X 2 1/2
  (数49)  G(W/2)>F(W/2)
  (数50)  D>2mR-2〔(mR) 2 -m・(W/2) 2 1/2

 平面画像と立体画像を切り替える事がで る画像表示装置では、例えば、第一パネル よび第二パネルの屈折率を1.5として、それ の間の両凸シリンドリカルレンズアレイの 折率は電気的に変化するか、あるいは光の 波方向によって異なる異方性を示す。その な物質として液晶分子が考えられる。小さ 方の屈折率は周囲の媒体と同程度の1.5であ 、大きい方の屈折率は1.62である液晶分子を 選択する事ができる。また、立体画像印刷物 では、平面画像と立体画像を切り替える必要 はなく、両凸シリンドリカルレンズアレイの 物質として高屈折率樹脂を用いる。その様な 高屈折率樹脂として、紫外線硬化樹脂に酸化 チタン、酸化ジルコニウム、あるいは酸化亜 鉛などの誘電体微粒子を混ぜたナノコンポジ ット樹脂が考えられる。屈折率が1.7の樹脂を 合成する事が可能である。

各々のm(=1/k)の値に対して楕円形状が決ま 。本実施形態1では、楕円の画像表示面に平 な軸の長さの75%をシリンドリカルレンズ幅W とする。(数43)および(数44)において、一般に 像表示面から下方シリンドリカルレンズ面 底部までの距離Tを大きくすれば、両凸シリ ンドリカルレンズの最大厚さ(下方シリンド カルレンズ面の底部と上方シリンドリカル ンズ面の頂部の間隔)Dは小さくなる。前述し た様に、液晶もナノコンポジット樹脂も高価 であり、Dは小さい方がコスト低下になる。 た,Dが小さい方が前述した迷光を少なくする 事ができる。図5の様に、シリンドリカルレ ズの境界で上下のレンズ面が接触する場合 Dは最も小さくなり、その時のTを求める事が できる。この場合は迷光が無くなる。

図6に、m(=1/k)を変化させた場合のW、D、T1、 およびT2の値を示す。これらの値は条件(数43) 、(数44)および(数50)を満足する。ここではR=1 して規格化し、Wは楕円の画像表示面に平行 な軸の長さの75%の値、Tはシリンドリカルレ ズの境界で上下のレンズ面が接触する場合 値である。また、T1は両凸シリンドリカルレ ンズの屈折率が1.62の場合で、T2はその屈折率 が1.7の場合である。

 図7は、m(=1/k)を変化させた場合の視野角( ジアン)を示す。視野角を求めるには(数16) いし(数27)を用いてシミュレーションする。 3において、n1=1.5、R=1とし、各々のmの値に して図6で求めたW、D、T1、およびT2を用いる (数17)および(数22)は(数47)および(数48)を用い てXの2次方程式になり代数的に解を求める事 できる。図7では、両凸シリンドリカルレン ズの屈折率が1.62の場合と1.7の場合を示して る。

 図7より分かる様に、m(=1/k)の値が2より小さ 範囲では視野角が著しく小さくなる。従っ 、(数47)および(数48)で表される楕円におい (数51)を満足する事が望ましい。あるいは、( 数45)および(数46)で表される楕円において(数5 2)を満足する事が望ましい。
  (数51)  m>2
  (数52)  k<0.5

 図6および図7では、R=1として規格化した場 のシミュレーション結果を示している。実 の設計ではシリンドリカルレンズの幅Wを基 にする事が多い。例えば、シリンドリカル ンズが1インチ当たりに60本(60lpi)ではW=423μm あり、1インチ当たり100本(100lpi)ではW=254μm ある。これらのWの値に対してR、T、Dなどの を決める。前述した様に、Dの値は低コスト 化のために小さい方が良く、できればWと同 度より小さい方が良い。そのためには、図6 りmの値は6より小さい事が望ましく、その 件を考慮すると(数53)および(数54)を満足する 事が望ましい。
  (数53)  2<m<6
  (数54)  0.16<k<0.5

 次に、n2=1.62の場合の代表的なm=4(k=0.25)に する出射角度のシミュレーション結果を図8 に示す。図6より、T=5.6、W=3、D=2.7である。横 は画像表示面の点から出た光が仮想面308に 射する位置座標(Q)、縦軸は第二パネル303か 出射する角度(ν)である。画像表示面の点( ンズ中心線307から距離δ)として、0、W/4、W/2 3W/4、Wの5つの場合を示している。δ=3W/4およ びδ=Wは、隣接するシリンドリカルレンズに 応する画像表示面の点からの光である。

 図8により以下の事が分かる。画像表示面 の各点からシリンドリカルレンズ面302に向か う光束は、その光束の各々の中央部分の光は 第2パネルから略平行光となって出射される 、各々の光束の周辺部分の光は非平行光と る。隣接するシリンドリカルレンズに対応 る画像面の点(δ>W/2)からの光束も、各々の 中央部分の光は略平行光になるが、各々の周 辺部分の光は非平行光となる。これらの非平 行光は、横軸(仮想面への入射位置Q)に対して 出射角度νの変化が大きく、ある特定の出射 度から見た場合の光量は小さい。すなわち ある一つの方向から見れば、これらの非平 光の強度は小さく、殆ど平行光を見る事に る。視野角は±0.33ラジアン(±19度)である。

 n2=1.7の場合の代表的なm=4(k=0.25)に対する出 角度のシミュレーション結果を図9に示す。 6より、T=3、W=3、D=2.7である。横軸は画像表 面の点から出る光が仮想面308に入射する位 座標(Q)、縦軸は第二パネル303から出射する 度(ν)である。画像表示面の点(レンズ中心 307から距離δ)として、0、W/4、W/2、3W/4、Wの5 の場合を示している。δ=3W/4およびδ=Wは、 接するシリンドリカルレンズに対応する画 表示面の点からの光である。図9は図8と同じ 傾向を示すが、屈折率が大きいので出射角度 も大きくなる。視野角は±0.50ラジアン(±29度) である。
 (実施形態2)

 次に、双曲線レンズを検討する。一般に、 ンズ形状F(X)およびG(X)は(数55)および(数56)で 表され、双曲線の場合は k<0 である。こ らの式は、前述の(数17)および(数22)を解くに は(数57)および(数58)の様に表現する方が便利 ある。ここで m=-1/k である。また、上下の シリンドリカルレンズ面を表す関数が両凸レ ンズ形状を形成するには(数59)の条件が必要 あり、この条件は(数60)の様に表される。
  (数55)  F(X)=T+X 2 /〔R+(R 2 -kX 2 ) 1/2
  (数56)  G(X)=T+D-X 2 /〔R+(R 2 -kX 2 ) 1/2
  (数57)  F(X)=T-(mR)+〔(mR) 2 +m・X 2 1/2
  (数58)  G(X)=T+D+(mR)-〔(mR) 2 +m・X 2 1/2
  (数59)  G(W/2)>F(W/2)
  (数60)  D>2〔(mR) 2 -m・(W/2) 2 1/2 -2mR

 平面画像と立体画像を切り替える事がで る画像表示装置では、実施形態1と同様に、 第一パネルおよび第二パネルの屈折率を1.5と して、それらの間の両凸シリンドリカルレン ズアレイを液晶分子で充填する。小さい方の 屈折率は周囲の媒体と同程度の1.5であり、大 きい方の屈折率は1.62である液晶分子を選択 る事ができる。また、立体画像印刷物では 平面画像と立体画像を切り替える必要はな 、両凸シリンドリカルレンズアレイをナノ ンポジット樹脂で充填する。屈折率が1.7の 脂を合成する事が可能である。

各々のm(=-1/k)の値に対して双曲線形状が決 る。双曲線レンズでは、レンズ周辺の勾配 楕円レンズより緩やかであり、ジリンドリ ルレンズ幅Wを大きくできる。両凸シリンド リカルレンズの屈折率が1.62の場合は W=5 を 察する。しかし、両凸シリンドリカルレン の屈折率が余り大きければ屈折角も大きく り過ぎる。屈折率が1.7の場合は W=4 を考察 する。(数43)および(数44)において、一般に画 表示面から下方シリンドリカルレンズ面の 部までの距離Tを大きくすれば、両凸シリン ドリカルレンズの最大厚さ(下方シリンドリ ルレンズ面の底部と上方シリンドリカルレ ズ面の頂部の間隔)Dは小さくなる。前述した 様に、液晶もナノコンポジット樹脂も高価で あり、Dは小さい方がコスト低下になる。ま ,Dが小さい方が前述した迷光を少なくする事 ができる。図5の様に、シリンドリカルレン の境界で上下のシリンドリカルレンズ面が 触する場合にDは最も小さくなり、その時のT を求める事ができる。この場合は迷光が無く なる。

図10に、m(=-1/k)を変化させた場合のW、D、T1 およびT2の値を示す。これらの値は条件(数4 3)、(数44)および(数60)を満足する。ここではR= 1として規格化し、Tはシリンドリカルレンズ 境界で上下のレンズ面が接触する場合の値 ある。また、T1は両凸シリンドリカルレン の屈折率が1.62の場合で、T2はその屈折率が1. 7の場合である。

 図11は、m(=-1/k)を変化させた場合の視野角 (ラジアン)を示す。視野角を求めるには(数16) ないし(数27)を用いてシミュレーションする 図3において、n1=1.5、R=1とし、各々のmの値に 対して図10で求めたW、D、T1、およびT2を用い 。(数17)および(数22)は(数57)および(数58)を用 いてXの2次方程式になり代数的に解を求める ができる。図11では、両凸シリンドリカル ンズの屈折率が1.62の場合と1.7の場合を示し いる。

 図11より分かる様に、m(=-1/k)の値が2より小 い範囲では視野角が著しく小さくなる。従 て、(数57)および(数58)で表される双曲線にお いて(数61)を満足する事が望ましい。あるい 、(数55)および(数56)で表される双曲線におい て(数62)を満足する事が望ましい。
  (数61)  m>2
  (数62)  k>-0.5

 図10および図11では,R=1とした場合のシミュ ーションした結果を示している。実際の設 では、実施形態1と同様に、シリンドリカル ンズの幅Wを基準にする事が多く、Wの値に してR、T、Dなどの値を決める。前述した様 、Dの値は低コスト化のために小さい方が良 、できればWと同程度より小さい方が良い。 そのためには、図10よりmの値は6より小さい が望ましく、その条件を考慮すると(数63)お び(数64)を満足する事が望ましい。
  (数63)  2<m<6
  (数64)  -0.5<k<-0.16

 次に、n2=1.62の場合の代表的なm=4(k=-0.25)に 対する出射角度のシミュレーション結果を図 12に示す。図10より、T=4.9、W=5、D=4.8である。 軸は画像表示面の点から出た光が仮想面308 入射する位置座標(Q)、縦軸は第二パネル303 ら出射する角度(ν)である。画像表示面の点 (レンズ中心線307から距離δ)として、0、W/4、W /2、3W/4の4つの場合を示している。δ=3W/4は隣 するシリンドリカルレンズに対応する画像 示面の点からの光である。

 図12により以下の事が分かる。画像表示 のレンズ中心(δ=0)から出る光は出射角度が ぼν=0の略平行光になる。その略平行光は、 軸(Q)に対して出射角度(ν)を表す曲線が僅か に傾斜し、若干拡がり傾向を持つ。画像表示 面のレンズ中心線からW/4の点(δ=W/4)から出る は、レンズ面の左端に入射する場合は非平 光であるが、それ以外のレンズ面に入射す 場合は出射角度がν=0.25近傍の略平行光にな る。この略平行光を表す曲線も若干右下がり であり拡がり傾向を持つ。隣接するシリンド リカルレンズの境界(δ=W/2)から出る光も、レ ズ面の左端に入射する場合は非平行光とな 出射角度が急激に変化するが、それ以外の ンズ面に入射する場合は出射角度がν=0.60か らν=0.46まで緩やかに変化する。その様子を 13に示す。完全な平行光ではないが、殆どの 光線は観察方向に出射される。

 一つのシリンドリカルレンズに対応する 像表示面には多数の視点からの画像が表示 れている。それらの多視点画像のうち、隣 合う画像は互いに相関が強く、混じり合っ も画質の劣化には大きな問題にはならない しかし、隣接するシリンドリカルレンズの 界付近の画像は相関が低く、それらが混じ 合うと画質の劣化になる。従って、隣接す シリンドリカルレンズの境界から出て、比 的高い強度を持ってパネルから出射する光 うち、最も小さい出射角度が視野角を決定 る事になる。図12では、視野角は±0.46ラジ ン(±26度)となる。レンズ形状を双曲線にす 事により視野角を拡大できる事が分かる。

 n2=1.7の場合の代表的なm=2(k=-0.5)に対する出 角度のシミュレーション結果を図14に示す。 図10より、T=3、W=4、D=2.9である。横軸は画像 示面の点から出た光が仮想面308に入射する 置座標(Q)、縦軸は第二パネル303から出射す 角度(ν)である。画像表示面の点(レンズ中心 線307から距離δ)として、0、W/4、W/2、3W/4の4つ の場合を示している。δ=3W/4は隣接するシリ ドリカルレンズに対応する画像表示面の点 らの光である。図14は図12と同じ傾向を示す 、屈折率が大きいので出射角度も大きくな 。視野角は±0.62ラジアン(±36度)である。
 (実施形態3)

 レンズ形状が楕円の場合は、図8および図 9に示す様に、出射角度(ν)を表す曲線は入射 置(Q)に対して水平であり出射光の平行度は い。レンズ形状が双曲線の場合は、図12お び図14に示す様に、出射角度(ν)を表す曲線 入射位置(Q)に対して若干右下がりであり出 光は若干拡がる傾向を持つが、視野角を拡 できる。レンズ中心線より離れたレンズ表 では、楕円の方が双曲線より曲率半径が小 い。従って、双曲線より少し曲率半径が小 いレンズ形状では、視野角が大きく平行度 高くできると期待できる。

 楕円と双曲線の中間の形状として、放物 が考えられる。一般に、レンズ形状F(X)およ びG(X)は(数45)、(数46)、(数55)および(数56)で表 れ、放物線の場合は k=0 であり、mの値は 限大である。図6および図10より分かる様に mの値が大きくなればWに対してDが大きくな 。

 実施形態3では、レンズ形状をXの偶数乗の から成る多項式で近似する。X 2 の係数は、レンズ中心線近傍の曲率半径Rを いて 1/(2R) となる。また、X 6 以上の係数は非常に小さいとして省略する。 変曲点のX座標を ρW とすれば、この4次偶関 数は(数65)および(数66)で表される。また、上 のシリンドリカルレンズ面が両凸レンズを 成するには(数67)の条件が必要であり、この 条件は(数68)の様に表される。
  (数65)  F(X)=T-〔1/{12R(ρW) 2 }〕・X 4
               +〔1/(2R)〕・X 2
  (数66)  G(X)=T+D+〔1/{12R(ρW) 2 }〕・X 4
               -〔1/(2R)〕・X 2
  (数67)  G(W/2)>F(W/2)
  (数68)  D>W 2 /(4R)-W 2 /(96Rρ 2 )

 平面画像と立体画像を切り替える事がで る画像表示装置では、実施形態1および2と 様に、第一パネルおよび第二パネルの屈折 を1.5として、それらの間の両凸シリンドリ ルレンズアレイを液晶分子で充填する。小 い方の屈折率は周囲の媒体と同程度の1.5で り、大きい方の屈折率は1.62である液晶分子 選択する事ができる。また、立体画像印刷 では、平面画像と立体画像を切り替える必 はなく、両凸シリンドリカルレンズアレイ ナノコンポジット樹脂で充填する。屈折率 1.7の樹脂を合成する事が可能である。

各々のρの値に対して4次偶感数形状が決ま る。4次偶感数レンズでは、変曲点の位置に ってはレンズ周辺の勾配が楕円レンズより やかであり、ジリンドリカルレンズ幅Wを大 くできる。両凸シリンドリカルレンズの屈 率が1.62の場合は W=5 を考察する。しかし 両凸シリンドリカルレンズの屈折率が余り きければ屈折角も大きくなり過ぎる。屈折 が1.7の場合は W=4 を考察する。(数43)および (数44)において、一般に画像表示面から下方 リンドリカルレンズ面の底部までの距離Tを きくすれば、両凸シリンドリカルレンズの 大厚さ(下方シリンドリカルレンズ面の底部 と上方シリンドリカルレンズ面の頂部の間隔 )Dは小さくなる。前述した様に、液晶もナノ ンポジット樹脂も高価であり、Dは小さい方 がコスト低下になる。また,Dが小さい方が前 した迷光を少なくする事ができる。図5の様 に、シリンドリカルレンズの境界で上下のシ リンドリカルレンズ面が接触する場合にDは も小さくなり、その時のTを求める事ができ 。この場合は迷光が無くなる。

図15に、ρの値を変化させた場合のW、D、T1 およびT2の値を示す。これらの値は条件(数4 3)、(数44)および(数68)を満足する。ここではR= 1として規格化し、Tはシリンドリカルレンズ 境界で上下のレンズ面が接触する場合の値 ある。また、T1は両凸シリンドリカルレン の屈折率が1.62の場合で、T2はその屈折率が1. 7の場合である。

 図16は、ρの値を変化させた場合の視野角 (ラジアン)を示す。視野角を求めるには(数16) ないし(数27)を用いてシミュレーションする 図3において、n1=1.5、R=1とし、各々のρの値 対して図15で求めたW、D、T1、およびT2を用い る。(数17)および(数22)は(数65)および(数66)を いてXの4次方程式になり、フェラリ(Ferrari)の 解法を用いて代数的に解を求める事ができる 。図16では、両凸シリンドリカルレンズの屈 率が1.62の場合と1.7の場合を示している。

 図15および図16では,R=1とした場合のシミュ ーション結果を示している。実際の設計で 、実施形態1および2と同様に、シリンドリカ ルレンズの幅Wを基準にする事が多く、Wの値 対してR、T、Dなどの値を決める。前述した に、Dの値は低コスト化のために小さい方が 良く、できればWと同程度より小さい方が良 。そのためには、図15よりρの値は0.7より小 い事が望ましい。すなわち、(数69)を満足す る事が望ましい。
  (数69)  0.2<ρ<0.7

 次に、n2=1.7の場合の代表的なρ=0.45に対す る出射角度のシミュレーション結果を図17に す。図16より、T=2.9、W=4、D=3.2である。横軸 画像表示面の点から出た光が仮想面308に入 する位置座標(Q)、縦軸は第二パネル303から 射する角度(ν)である。画像表示面の点(レ ズ中心線307から距離δ)として、0、W/4、W/2、3 W/4の4つの場合を示している。δ=3W/4は隣接す シリンドリカルレンズに対応する画像表示 の点からの光である。

 図17により以下の事が分かる。画像表示 のレンズ中心(δ=0)から出る光は出射角度が ぼν=0の略平行光になる。その略平行光を表 曲線は、実施形態2(双曲線)より水平であり 行度は高い。画像表示面のレンズ中心線か W/4の点(δ=W/4)から出る光は、レンズ面の左 に入射する場合は非平行光であるが、それ 外のレンズ面に入射する場合は出射角度がν =0.33近傍の略平行光になる。この略平行光を す曲線も実施形態2(双曲線)より水平であり 行度が高い。

 一つのシリンドリカルレンズに対応する 像表示面には多数の視点からの画像が表示 れている。それらの多視点画像のうち、隣 合う画像は互いに相関が強く、混じり合っ も画質の劣化には大きな問題にはならない しかし、隣接するシリンドリカルレンズの 界付近の画像は相関が低く、それらが混じ 合うと画質の劣化になる。従って、隣接す シリンドリカルレンズの境界から出て、比 的高い強度を持ってパネルから出射する光 うち、最も小さい出射角度が視野角を決定 る事になる。図17では、視野角は±0.62ラジ ン(±36度)となる。レンズ形状を双曲線にす 事により視野角を拡大できる事が分かる。

 4次偶感数で近似できるレンズ形状は、双曲 線で近似できるレンズ形状より、出射光の平 行度が改善される事が分かる。或る方向から パネルを観察すれば、画像表示面のより狭い 範囲の画像のみを見る事になる。すなわちク ロストークが小さくなる。
 (実施形態4)

 実施形態4では出射光の平行度を向上する他 の方法を示す。双曲線レンズでは、図12およ 図14に示す様に、出射光が若干拡がる傾向 持つ。この事は、双曲線レンズ形状はその まで、画像表示面と下方シリンドリカルレ ズとの距離を少し大きくすれば、出射光の 行度は改善できる事を示唆する。実施形態4 は、レンズ形状は(数57)および(数58)を用い 図3において、n1=1.5、n2=1.62、R=1、m=4、T=5.4、D =4.8、W=5とする。これらは(数60)は満足する。 かし、(数43)および(数44)は満足せずにTが少 大きい。(数16)ないし(数27)を用いてシミュ ーションした結果を図18に示す。画像表示面 のレンズ中心(δ=0)から出る光、および、レン ズ中心線から距離W/4にある画像表示面の点(δ =W/4)から出る光の平行度が改善される事が分 る。或る方向からパネルを観察すれば、画 表示面のより狭い範囲の画像のみを見る事 なる。すなわちクロストークが小さくなる 視野角は実施形態2より少し小さくなり、±0 .44ラジアン(±25度)である。
 (実施形態5)

 実施形態5では、平面画像と立体画像を切 り替える方法を示す。図3のシリンドリカル ンズ面302および304の間に液晶を充填する。 19および図20を用いて液晶特性を説明する。 晶分子の配列方向と光の偏光方向によって 折率が異なる。矢印Pは光の偏光方向を表す 。一般に、図19の様に偏光方法に液晶分子の 軸が平行に並んだ場合は屈折率(n2)が高く、 図20の様に偏光方法に液晶分子の長軸が垂直 並んだ場合は屈折率(n1)が低い。図20では液 分子の長軸は紙面に垂直である。

 図21を用いて平面画像および立体画像の 示方法を説明する。図21において、図3と同 構成要素には同じ符号を付け説明を省略す 。液晶分子の長軸をシリンドリカルレンズ 長手方向に平行に並べる。図21の液晶分子は 紙面に垂直である。

 立体画像表示の場合は、偏光方向が紙面 垂直な光(A)を画像表示面306から出射する。 像表示面から出る光の偏光方向を変える方 は特許文献3の図18および図19に説明されて る。偏光方向がAの場合は図19の様な状態が じ、液晶の屈折率は大きい値(n2)を持つ。液 部分の屈折率(n2)はパネル301および303の屈折 率(n1)より大きく、液晶部分がレンズの様に きレンチキュラーレンズ効果を生じ、立体 像を観察できる

 平面画像表示の場合は、偏光方向が紙面 平行な光(B)を画像表示面306から出射する。 光方向がBの場合は図20の様な状態が生じ、 晶の屈折率は小さい値(n1)を持つ。パネル301 および303の屈折率と低い方の液晶屈折率がほ ぼ同じに選択すれば、画像表示面306から出る 光は液晶部分で屈折せずに透過し平面画像を 観察できる。実施形態5では、異方性を示す 料として液晶を用いたが、光の偏光方向に り屈折率が異なれば、その他の材料でも良 。

 あるいは、図3のシリンドリカルレンズ面302 および304の間に、電気的に屈折率が変化する 電気光学効果を示す材料を充填する。液晶は この特性も示す。画像表示面306から出る光の 偏光方向は一定で、電圧により液晶分子の長 軸方向の向きを制御して、両凸シリンドリカ ルレンズ305の屈折率を変化させる。
 (実施形態6)

 本発明の実施形態4のレンズ形状およびパ ネル構成を用いた具体的な実施例を示す。画 像表示部として、縦1050画素、横1400画素を持 液晶ディスプレイを用いる。各々の画素の きさは1辺が80μmの正方形であり、各画素は (R)、緑(G)、青(B)を発光する3つの縦長の発行 部が並んだ構成である。

 図22に画像表示装置の断面図を示す。図22 において、図3と同じ構成要素には同じ符号 付け説明を省略する。6列の画素列に1つのシ リンドリカルレンズを配置する。すなわち、 シリンドリカルレンズの幅Wは480μmである。 施形態4ではレンズ中心線307近傍の曲率半径 R=1として規格化した数値を示した。本実施 態ではWを基準にするのでR=96μmである。ま 、画像表示面306からシリンドリカルレンズ 302の底部までの厚さはT=518μm、両凸シリンド リカルレンズ305の最大厚みはD=461μmである。 た、両凸シリンドリカルレンズ305を形成す 液晶は屈折率が1.5と1.62の間を変化し、パネ ル301および303の媒質の屈折率はn=1.5である。

 図23に、ディスプレイの画素構成を示す 図23において、2301は赤の発行部、2302は緑の 行部、2303は青の発行部であり、2301ないし23 03の3つの発行部を一つの組として一つの画素 を構成する。6列の画素列に対して一つのシ ンドリカルレンズを配置する。2304はそのシ ンドリカルレンズを模式的に示している。

 クロストークと画素の関係を説明する。実 形態6では実施形態4の構成を持ち、一つの リンドリカルレンズ内に6列の画素があり、 野角は±0.44ラジアン(±25度)である。従って 一つの画素当たりの出射角度は約0.15ラジア ンである。図18より分かる様に、画像表示面 各々の点から出る光の出射角度の変化は0.15 ラジアン以内であり、クロストークは1画素 内でありクロストークは殆どない。
 (実施形態7)

 画像表示面には多数の視点からの画像が 示されている。一つのシリンドリカルレン に対応する画像表示面の隣り合う画像は互 に相関が強く、混じり合っても画質の劣化 は大きな問題にはならない。しかし、隣接 るシリンドリカルレンズの境界付近の画像 相関が低く、それらが混じり合うと画質の 化になる。

 立体画像表示の際に、隣接するシリンド カルレンズの境界付近に画像を表示しなけ ば、相関の低い画像が混ざり合う事を防ぎ 野角を大きくする事ができる。その事を、 施形態4のレンズ形状およびパネル構造を用 いて説明する。図24はn1=1.5、n2=1.62、R=1、T=5.4 W=5、D=4.8としたシミュレーション結果であ 。2401はレンズ中心線からδ=0.44Wの画像表示 の点から出た光を表し、2402はδ=0.56Wの画像 示面の点から出た光を表している。δ=0.56Wは 隣接するシリンドリカルレンズの画像表示面 の点である。これらの2点からの出射光の主 部は混ざり合わず、δ=0.44Wからの最大の出射 角度は約0.49ラジアンであり、視野角は±0.49 ジアン(±28度)となる。隣接するシリンドリ ルレンズの境界近傍に画像を表示する場合 視野角は、前述の様に±0.44ラジアン(±25度) あり、境界に画像を表示しない事により視 角が拡大できる事が分かる。

 図25に、本発明の実施形態7における画像表 装置の断面図を示す。図25において、図3と じ構成要素には同じ符号を付け説明を省略 る。また、2500は表示された画像である。立 体画像表示の場合は、両凸シリンドリカルレ ンズアレイ305の屈折率を大きくし、画像表示 面306の88%の部分のみに画像表示し、隣接する シリンドリカルレンズの境界付近には画像を 表示しない。平面画像表示の場合は、両凸シ リンドリカルレンズアレイ305の屈折率を小さ くし、画像表示面306の全面に画像を表示する 。
 (実施形態8)

 一般の写真やディスプレイでは表面の光反 により画像が見えにくい場合があり、表面 反射を減少させたい。図28の様な従来のレ チキュラーレンズでは、レンズ形状が表面 現れ、反射防止機能を設ける事が困難であ 。本発明の実施形態1ないし7の画像表示装置 や画像印刷物では、表面が平面であり反射防 止が比較的容易である。図26は、本発明の実 形態8の画像表示物の断面図である。図26に いて、図3と同じ構成要素には同じ符号を付 け説明を省略する。また、2600は画像表示装 や画像印刷物の表面である。表面2600に反射 止機能を設ける。例えば、表面2600に微小な 凹凸を設けて反射光を乱反射させる。あるい は、表面2600に多層光学薄膜を形成して反射 を減少させる。
 (実施形態9)

 平面画像の表示の際は解像度が高く小さ 文字も読めるが、立体画像の表示の際は解 度が低くなり小さい文字は判読が困難にな 。しかし、外国語の立体映画では字幕など 小さい文字を表示したい。そこで、画像表 装置の一部に常に平面画像を表示する部分 設ける。その他の部分は、本発明の実施形 1ないし実施形態8の様に、立体画像と平面 像を切り換える事ができる、あるいは常に 体画像を表示する。

 図27は、常に平面画像を表示する部分を 面の下部に設置した例である。図27において 、2701は画像表示装置であり、2702は立体画像 平面画像を切り換える事ができる部分、あ いは常に立体画像を表示する部分である。2 703は常に平面画像を表示する部分であり、字 幕などを表示する。

 以上に開示した実施形態1ないし実施形態 9は、いずれも本発明の一例を示したに過ぎ 、本発明はこれらの実施形態により制限的 解釈されない。本発明の範囲は上記の実施 態だけではなく、特許請求の範囲によって され、特許請求の範囲と同等の意味および 囲内のすべての変更が含まれる。

 本発明の画像表示装置は、立体画像と平面 像を切り替える機能を有し、かつ、その立 画像は視野角が広く、立体テレビなどとし 有用である。また、携帯機器、パソコンの ニター、ゲーム機などの用途に応用できる
 また、本発明の立体画像印刷物は、表面が 滑で、視野角が広く、立体写真や立体絵本 どとして有用である。