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Patent Searching and Data


Title:
IN-MOLD DEGASSING STRUCTURE, AND MOLD HAVING THE STRUCTURE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/096331
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are an in-mold degassing structure, which acts by using no external control means, and a mold having that structure. The degassing structure comprises a sliding member (10) for receiving the pushing force of an elastic member from the bottom side, and a sliding member acceptor (20) for accepting the sliding member (10) slidably in the vertical direction. The sliding member (10) includes a vertical bottomed hole (12) communicating with a mold cavity and at least one side opening (13) communicating with the vertical bottom hole and opened to the side face. The sliding member acceptor (20) includes degassing ports (21) communicating in an initial state with the side opening (13) of the sliding member and closed when the sliding member is slid in a direction against the elastic member by the flow tip portion of the molten material. The degassing structure is mounted in the molten material flow passage or in the cavity near the trailing end of the molten material flow passage, thereby to degas the mold inside.

Inventors:
SAITO TERUHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/051068
Publication Date:
August 06, 2009
Filing Date:
January 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SAITO KANAGATA SEISAKUSHO KK (JP)
OKANO MASAYUKI (JP)
SAITO TERUHIKO (JP)
International Classes:
B29C45/34; B22C9/06; B22D17/22
Foreign References:
JP2004299085A2004-10-28
JP2000015668A2000-01-18
JPS6390552U1988-06-11
JPH09277310A1997-10-28
JP2000015668A2000-01-18
JP2003170479A2003-06-17
Other References:
See also references of EP 2149445A4
Attorney, Agent or Firm:
KAWANAMI, Kaoru et al. (22-1 Ichibanch, Chiyoda-ku Tokyo 82, JP)
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Claims:
 弾性体による押圧力を対向面側から受ける摺動部材であって、溶融素材の流動方向に形成された有底穴並びに該有底穴に連通しかつ前記溶融素材の流動方向と交差する向きに開口する少なくとも1個の側面開口を有する摺動部材と、
前記摺動部材を溶融素材の流動方向に並行する方向に摺動可能に受容し、前記溶融素材の流動圧を受けない初期状態において前記摺動部材の側面開口と連通していて、その後前記摺動部材が溶融素材の流動先端部によって前記弾性体に抗する方向に摺動せしめられた際に閉塞される気体放出口を有する摺動部材受容体と、からなる金型内の気体放出構造であって、
固定金型および可動金型によって形成される充填空間または該充填空間に繋がる溶融素材流動路の途中ないし末端付近に装着されることを特徴とする金型内の気体放出構造。
 前記摺動部材を対向面に押圧する弾性体が、コイルばね、板ばね、ゴム系弾性体、流体圧縮アクチュエータ等から選ばれた1種または複数の組合せから構成されることを特徴とする請求項1に記載の金型内の気体放出構造。
 前記摺動部材に形成される側面開口と、前記摺動部材受容体に形成される気体放出口との組合せが複数組形成されることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の金型内の気体放出構造。
 前記気体放出口からの気体放出効果が、前記溶融素材の粘度に応じて変更可能であるように構成されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の金型内の気体放出構造。
 前記気体放出口および前記側面開口の少なくとも一方が非直線状の気体流通路として形成されたことを特徴とする請求項4に記載の金型内の気体放出構造。
前記気体放出口と前記側面開口とによって形成される開口部の断面積が、前記摺動部材の移動量に応じて経時的に変化するように形成されたことを特徴とする請求項4に記載の金型内の気体放出構造。
 前記気体放出構造が金型内の所要部位に形成された取付け用凹所に嵌め込み装着可能であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の金型内の気体放出構造。
 弾性体による押圧力を対向面から受ける摺動部材であって、溶融素材の流動方向に形成された有底穴並びに該有底穴に連通しかつ前記溶融素材の流動方向と交差する向きに開口する少なくとも1個の側面開口を有する摺動部材と、前記摺動部材を溶融素材の流動方向と並行する方向に摺動可能に受容し、前記溶融素材の流動圧を受けない初期状態において前記摺動部材の側面開口と連通していて、その後前記摺動部材が溶融素材の流動先端部によって前記弾性体に抗する方向に摺動せしめられた際に閉塞される気体放出口を有する摺動部材受容体と、からなる気体放出構造が、固定金型および可動金型によって形成される充填空間または該充填空間に繋がる溶融素材流動路の途中ないし末端付近に予め一体的に配設された、ことを特徴とする金型。
 前記気体放出口からの気体放出効果が前記溶融素材の粘度に応じて変更可能であるように構成された気体放出構造が、予め一体的に形成されたことを特徴とする請求項8に記載の金型。
Description:
金型内の気体放出構造及び当該 造を備えた金型

 本発明は、各種プラスチック、セラミッ 、ゴム系素材、ガラス系素材等を射出成形 、または金属ないし合金類をダイカスト成 する際に使用される金型の溶融素材充填空 (以下、キャビティともいう)内部において 溶融素材からの発生ガスおよび空間内部残 空気等が成形品に及ぼす悪影響を低減する とにより成形される製品の外観性状を改善 不良品発生を大幅に低減するための金型内 気体放出構造及び当該構造を備えた金型に する。

 各種プラスチック(合成樹脂)、セラミッ 、ゴム系材料、ガラス系材料、液晶等を素 とする射出成形、さらにはアルミ、亜鉛、 、銅等の各種金属を素材とするダイカスト 形では、固定・可動の組合せからなる金型 より成形される。プラスチック、金属等の 融素材を充填空間(以下、キャビティともい )内に加圧充填し、その後所定の冷却過程を 経て所望形状および構造の製品が得られる。 原材料であるプラスチック類、セラミック、 ゴム系材料、ガラス系材料等や金属系素材を 成形に適する状態まで溶融させると一般に各 成分に応じたガスが発生する。発生ガスの種 類や発生量は加熱温度、素材の種類、添加さ れる副資材等によって異なり、またキャビテ ィの容積によっても異なる。

 金型キャビティは製品表面の性状や外観 改善するために精密な仕上げが施され、固 ・可動金型の接合面も密接するように加工 れる結果気密性が高くなっている。さらに 固定・可動金型の接合面の気密性を高める めに、弾性体のパッキンなどを介在させる ともある。このように高い気密性を保つキ ビティ内には、前述のように溶融素材から 生するガスや金型各部内の残留空気等から る気体成分が存在する。これら気体の存在 、溶融体の圧入に伴う圧縮時に逃げ場を失 、溶融素材のキャビティ内流動拡張が妨げ れ、ショートショットや表面不斉一のよう 成形不良が発生しがちである。他方、気体 分の流出を自由に許容するような間隙があ 場合、溶融素材が入り込み、成形品表面に リや鋳巣(凹凸)が発生することになり製品 位を低下させる。

 金型キャビティ内に閉じ込められたガス よる悪影響の解消を考慮した先行技術とし 、特許文献1は、金型キャビティの先端付近 に設けられたガス抜き穴10に連通するガス抜 通路11を設けている。これらガス抜き穴10と ガス抜き通路11の連通部を摺動自在の可動部 12によって開閉することにより、ガスのみ 放出する構造を開示している。この場合の 動部材12は、タイマーその他の制御機構によ り選択的に連通および閉塞が行われるよう制 御される。このような制御では、溶融素材の 流動状態その他条件を勘案して設定された制 御装置の設定に対応して作動タイミングが決 定される。

 しかしながら、溶融樹脂の流動状態は、 形材料である熱可塑性樹脂の種類、単一樹 か複数樹脂の混練によるアロイか、金型構 、成形品の寸法、キャビティ構造、入れ子 有無等によって大幅に異なる。タイマーそ 他制御手段の設定等は現実の溶融樹脂を流 させながら試行錯誤を繰返して決定する必 があり、不良品発生防止のための成形担当 場に対する負担が大きくなる。さらにある の金属や合金によるダイカストの場合、溶 素材が低粘度であるため流動速度が格段に 速となり、連通・閉塞の制御を適確に実施 ることは容易ではない。

 特許文献2は、キャビティ表面から金型内 部に向かって穿穴したスライド穴を設け、こ のスライド穴に嵌合して軸線方向に摺動可能 であってガス逃げ溝を形成するために移動部 材を設けることを開示している。このように 形成された移動部材に対する溶融樹脂先端部 の接触を受けて生起する前進・後退運動によ り、ガス逃げ溝を介してキャビティ内部を外 部に連通させるガス通路手段の開放または閉 鎖を目指している。しかし、金型の細部にわ たる加工が必須であり、金型加工、保守、点 検、補修等が煩雑となる。

 特許文献3は、キャビティ末端の充填部付 近にガス抜き弁を設け、成形時当初は開放し ているガス抜き弁7からガスを放出させ、そ 後ゲート近くに設けられた圧力センサによ て樹脂圧力の上昇を検知した際にガス抜き を閉鎖する構成を開示している。この先行 術では、溶融樹脂の充填初期においてはガ 抜き弁を開放しておき、樹脂の流動状態に って生じる圧力上昇に応じてガス抜き弁を 鎖し、溶融樹脂の漏れを防ごうとするもの ある。この先行技術では、特許文献1と同様 圧力センサの信号に応じてガス抜き弁を開 する制御手段を別途設けなければならない

特開平9-277310

特開2000-15668

特開2003-170479

 本発明の課題は、外部制御手段を使用す ことなしに金型内を流動する溶融成形素材 端部の押圧力によって自動的に作動する、 型の充填空間内部の気体放出構造並びに該 体放出構造を具備する金型を提供すること ある。なお、本発明の対象となる金型は、 種プラスチック(合成樹脂)の射出成形用金 に限定されるものではなく、溶融素材を充 空間(キャビティ)内に圧入して成形する、例 えばセラミック、ゴム系材料、ガラス系材料 、液晶等を素材とする成形用の金型、ならび にアルミ、亜鉛、錫、銅等の各種金属を素材 とするダイカスト用金型等を包含するもので ある。

 請求項1に記載の発明は、弾性体による押 圧力を対向面側から受ける摺動部材であって 、溶融素材の流動方向に形成された有底穴並 びに該有底穴に連通しかつ前記溶融素材の流 動方向と交差する向きに開口する少なくとも 1個の側面開口13を有する摺動部材10と、前記 動部材を溶融素材の流動方向に並行する方 に摺動可能に受容し、前記溶融素材の流動 を受けない初期状態において前記摺動部材 側面開口13と連通していて、その後前記摺 部材が溶融素材の流動先端部によって前記 性体14に抗する方向に摺動せしめられた際に 閉塞される気体放出口21を有する摺動部材受 体20と、からなる金型内の気体放出構造で って、固定金型および可動金型によって形 される充填空間または該充填空間に繋がる 融素材流動路の途中ないし末端付近に装着 能な金型内の気体放出構造であることを特 とする。

 請求項2に記載の発明は、前記摺動部材10 対向面に押圧する弾性体14が、コイルばね 板ばね、ゴム系弾性体、流体圧縮アクチュ ータ等から選ばれた1種または複数の組合せ ら構成される金型内の気体放出構造である とを特徴とする。

 請求項3に記載の発明は、請求項1に記載 金型内部の気体放出構造において、前記摺 部材10に形成される側面開口13と、前記摺動 材受容体20に形成される気体放出口21との組 合せが複数組形成される金型内の気体放出構 造であることを特徴とする。

 請求項4に記載の発明は、前記気体放出口 21からの気体放出効果が、前記溶融素材の粘 に応じて変更可能であるように構成された 型内の気体放出構造であることを特徴とす 。

 請求項5に記載の発明は、前記気体放出口 21および前記側面開口13の少なくとも一方が 直線状の気体流通路として形成された金型 の気体放出構造であることを特徴とする。

 請求項6に記載の発明は、前記気体放出口 21と前記側面開口13とによって形成される開 部の断面積が、前記摺動部材の移動量に応 て経時的に変化するように形成された金型 の気体放出構造であることを特徴とする。

 請求項7に記載の発明は、前記気体放出構 造が金型内の所要部位に形成された取付け用 凹所に嵌め込み装着可能である金型内の気体 放出構造であることを特徴とする。

 請求項8に記載の発明は、弾性体による押 圧力を対向面から受ける摺動部材であって、 溶融素材の流動方向に形成された有底穴並び に該有底穴に連通しかつ前記溶融素材の流動 方向と交差する向きに開口する少なくとも1 の側面開口13を有する摺動部材10と、前記摺 部材を溶融素材の流動方向と並行する方向 摺動可能に受容し、前記溶融素材の流動圧 受けない初期状態において前記摺動部材の 面開口13と連通していて、その後前記摺動 材が溶融素材の流動先端部によって前記弾 体に抗する方向に摺動せしめられた際に閉 される気体放出口21を有する摺動部材受容体 20と、からなる気体放出構造が、固定金型お び可動金型によって形成される充填空間ま は該充填空間に繋がる溶融素材流動路の途 ないし末端付近に予め一体的に配設された 型であることを特徴とする。

 請求項9に記載の発明は、前記気体放出口 21からの気体放出効果が前記溶融素材の粘度 応じて変更可能であるように構成された気 放出構造が、予め一体的に形成された金型 あることを特徴とする。この場合、前記気 放出口21および前記側面開口13の少なくとも 一方を非直線状の気体流通路として形成し、 また前記気体放出口21と前記側面開口13とに って形成される開口部の断面積が前記摺動 材の移動量に応じて経時的に変化するよう 形成するように構成することができる。

 本発明に係る金型内の気体放出構造は、 出成形、ダイカスト成形等に不可欠の金型 おいて、ゲートから遠い側に位置する溶融 材流動路の途中ないし末端付近で、溶融素 流先端部によって押圧力を受ける部位に装 される。具体的な取り付け部位の決定には コンピュータを援用した流動解析を利用す ことができる。このような気体放出構造は 溶融素材流先端の押圧力により移動せしめ れる摺動部材10と、この摺動部材を対向面 ら溶融素材流の先端側に対抗する向きに押 力を示す弾性部材14を備えた摺動部材受容体 20と、から構成される。前記摺動部材には流 する溶融素材流の先端部と当接する正面に 底穴(縦向きの有底穴12)が形成され、該有底 穴は少なくとも1個の側面開口13と連通してい る。この側面開口13は、流動してくる溶融素 流先端部によって摺動部材が押圧されるま は、摺動部材受容体20に形成された気体放 口21と連通していて、キャビティ内の気体を 外部に向けてなんら抵抗なく自由に放出可能 となっている。その後キャビティ内への溶融 素材の充填が進み、摺動部材10が溶融素材流 端によって押圧され、弾性部材14に抗して 退すると、気体放出口21が閉塞され溶融素材 流の流出は確実に遮断される。

 なお、金型内部における溶融素材の流速 、プラスチック、金属または合金、セラミ ク、ゴム等によって大幅に異なることはよ 知られている。本発明における気体放出構 では、溶融素材流の先端が接近するまでは ス類の放出が可能な状態にあり、溶融素材 先端が到達して接触する段階までにはガス は殆ど放出され尽くしている。そこで、溶 素材流の先端部により摺動部材10を強力に 圧して摺動させ、溶融素材流の後続を阻止 る必要がある。この場合、低粘度であるア ミやアルミ合金等金属は高速であり、プラ チック、セラミック、ゴム等は比較的緩速 ようにまちまちである。さらに、プラスチ ク類、金属類、ゴム類であっても、基本素 、充填される副資材、用途、製品の寸法等 伴う使用量の相違等によっても、閉塞タイ ングにそれぞれ差異が生ずる。しかしなが 、本発明に係る気体放出構造の閉塞タイミ グは、溶融素材の流動先端によって直接決 される、いわゆる自力制御によって実行さ る。したがって、使用素材の種類や製品の 造、寸法の大小等に応じた使用上の調整は 切不要であり、人為的ないし複雑な制御手 等を必要としない。

 金型キャビティへの溶融素材圧入開始か 溶融素材流の先端が気体放出構造に到達す までの過程では、溶融素材の進行に伴う溶 素材流動路および充填空間の内部容積の実 縮小に応じて残留空気および発生ガス等の 合体である内部気体は抵抗無く放出される したがって、樹脂や金属類等である溶融素 のキャビティ内充填は抵抗なく確実に進行 る。溶融素材流が気体放出構造の装着点ま 到達すると前述のように気体放出構造にお る摺動部材10の側面開口13と摺動部材受容体 10の気体放出口21との係合が外れて短時間内 閉塞されるため、溶融素材流の漏れは確実 阻止される。したがって、成形品に対する ョートショット、鋳巣、バリ等の発生に起 する製品不良の発生は大幅に低減され、生 性向上に資することができる。

 このような金型内の気体放出構造は、典 的な外形寸法の標準品として予め用意して くことができる。金型作成時にはこの標準 を受容し得る装着部としての凹所を所要部 に形成しておき、事後的にねじ止め等によ 嵌合装着することができる。金型本体の製 工程は、装着用凹所の形成を除いて在来の 法に従い別途実施すればよい。このように 成された装着用凹所に対して上述のような 準形態に構成された本発明に係る気体放出 造を着脱可能に構成することができる。し がって、気体放出構造は単体として予め用 しておき、装着用凹所を備えた金型に装着 能となり、作業効率の向上、材料費や製造 数の削減も可能である。なお、成形対象と る溶融素材の種類や特性により気体放出構 が不要であれば、同一外形として形成され ダミー(盲部材)を嵌合固定しておけばよい

 かかる着脱可能な構成を採用することに り、製品のモデルチェンジ等による新規金 製造時には、本発明に係る気体放出構造を 金型から取り外して、改めて製造された金 本体の取付け凹所に対して取付けて再利用 ることも可能であり、資源、労力、コスト 節減が図れるため経済効果も大きい。なお かかる事態を考慮する必要のない、何等の 更なしに長期間使用継続が予想される金型 あっては、同様の構造による気体放出構造 当初から組み込んだ金型を一体的に製造す ことができる。

本発明に係る金型内の気体放出構造の 成例示す平面図(A)、X-X断面図(B)である。 本発明に係る金型内の気体放出構造の 動状態を示す平面図である。 本発明に係る金型内の気体放出構造の 付け部位の例(A)、(B)、(C)、(D)を示す概念図 ある。

符号の説明

10  摺動部材
12  縦向き有底穴
13  側面開口(側面穴)
14  弾性体(圧縮バネ)
20  摺動部材受容体
21  気体放出口
A   気体放出構造
R   溶融素材流動方向
D   摺動部材の移動方向

発明を実施するため最良の形態

 以下、添付図を参照しつつ本発明に係る 型に装着可能な気体放出構造の好適な実施 を開示する。図1は、本発明に係る金型内の 気体放出構造の好適な実施例を示す平面図(A) およびX-X矢視断面図(B)である。図(A)から明ら かなように、本発明に係る気体放出構造は摺 動部材10および摺動部材受容体20から構成さ ている。なお、図面作成上、本発明に係る 体放出構造を縦形としているために、有底 を縦向き、摺動部材の摺動方向を双頭矢印15 のように縦方向と表現しているが、本発明に 係る気体放出構造は横型、斜型とする場合は 、それぞれ横又は斜め向き、横又は斜め方向 となる。以下の説明においても同様である。

 摺動部材10の上端部は、白抜き矢印のよ に図面上方から流動してくる気体ならびに 融素材の流動先端を受容するように形成さ ている。摺動部材10の上端部には、溶融樹脂 等の先端部の接近に先立ち、混在している空 気および発生ガスからなる気体を通流させる ための底部が半円形状の縦向き有底穴12を有 、その下端の少し手前付近で連通する側面 口13が少なくとも1個形成されている。なお ここでの「縦向き」や「上方」等の表現は 単に添付図面における図示された状態を表 したものに過ぎず、実際の使用状態におけ 姿勢や配置とは無関係である。本実施例で 側面開口13を左右に各1個形成しているが、 途や使用成形材料によっては1個のみ、もし くは3個以上としても良い。これら縦向き有 穴12、側面開口13は共に摺動部材10の内部に れているため破線で示している。

 摺動部材受容体20は、図1(B)のX-X矢視断面 に示すように、摺動部材10の左右面および 背側面(底面)の三方に接する状態で、図示し ていない案内溝や脱落防止枠等に支えられて 摺動可能に受容するための受容空所が形成さ れている。そして摺動部材10の図示された下 より下方の摺動部材受容体20には、摺動を 容するための空所が延長するように形成さ おり、その内部には摺動部材10を上方に向け て押圧する弾性体14が介在せしめられている 弾性体14としては、コイルばね、板ばね、 ム系弾性体、流体圧縮アクチュエータ等か 選ばれる1種、またはこれらを複数組合せた のを採用することができる。

 したがって、摺動部材10は何等の外力が わらない初期状態では、この弾性体14によっ て図(A)のように上方に位置付けられ、側面開 口13と気体放出口21とは連通した状態となっ いる。なお、図(B)に二点鎖線で示したよう 、摺動部材10および摺動部材受容体20は適当 面で分割されており、一方を固定金型側お び他方を可動金型側に分割して取付けるこ が望ましい。その結果、側面開口13および 体放出口21は穴あけ加工ではなく、開削加工 による溝状体として形成することが可能とな る。以下の開示では、固定金型側と可動金型 側が重畳して、一体化しているものとする。

 摺動部材受容体20は、摺動部材10の側面開 口13と少なくとも部分的に係合する気体放出 21を、図では摺動部材10の側面開口13に合わ て左右に各一個設けている。摺動部材受容 21の左右各1個の気体放出口21は、上述のよ に弾性体14の押圧力によって摺動部材10が上 に押し上げられている間、摺動部材10の側 開口13とそれぞれ連通するように形成されて いる。そのため、射出成型機、ダイカストマ シン等のノズルから溶融素材が圧入される際 の残留空気や溶融素材から発生するガス等の 各種気体は、摺動部材の縦向き有底穴12、側 開口13、摺動部材受容体20の気体放出口21の 路によりキャビティ外部へ放出される。そ 結果、ガス類の存在により溶融素材の流動 阻害されてキャビティ末端まで十分に到達 ない場合に発生しがちなショートショット 焼けなどの製品劣化、鋳巣の発生等成形不 発生が低減する。なお、図では気体放出口 側面開口と同一平面上に形成しているが、 体放出口を側面開口と連通するように構成 て上方側又は下方側のように立体的に形成 ることもできる。

 図2は、図1に示した金型内の気体放出構 に対して、上方から矢印Rのように樹脂等の 融素材の流動先端部が到達した状態を示す のである。その結果、摺動部材10が矢印Dの うに下方に移動しはじめ、摺動部材10の下 に配設された弾性体14が圧縮されて押し下げ られ、摺動部材10の側面開口13と摺動部材受 体20の気体放出口21とが連通状態から閉塞状 に移行する。したがって、爾後の溶融素材 の流動ないし漏洩は完全に阻止され、良好 成形結果が期待できる。なお、本発明に係 金型内の気体放出構造を、図1(B)に二点鎖線 で示したように固定金型側、可動金型側に分 割して使用する場合、側面開口13と気体放出 21との開削溝の本数、幅、深さ等を、例え 固定金型側と可動金型側で差異を設けるな の変化を付けることにより、溶融素材の性 に応じて、流動抵抗を大小さまざまに調節 ることも可能である。なお、図1(B)では上側 固定金型側、下側を可動金型側としている 、その逆とすることは任意である。

 上述のように、摺動部材10が溶融素材流 端によって押圧されて弾性部材14に抗して後 退すると、気体放出口21が閉塞され溶融素材 の流出は確実に遮断されることになり、溶 素材がプラスチック、セラミック、ゴム等 流動速度が比較的緩速であり外部への流出 生じないが、低粘度であるアルミやアルミ 金等金属は流動速度が高速であるために、 面開口と気体放出口とが連通し溶融素材の 入に伴う残留空気や溶融素材から発生する ス等の各種気体が外部へ放出される際に、 れら気体と一緒に外部に流出する可能性が る。そこで、気体放出口からの気体放出効 を溶融素材の粘度に応じて変更可能にする とが好ましい。

 気体放出口21および側面開口13の少なくと も一方の気体流通路の形状を非直線状、例え ば、カギ形状、先方がテーパー状の略三角形 状等とすることによって外部への気体の放出 量を調製することにより、流動速度が高速の 低粘度溶融素材の外部への流出を阻止するこ とができる。また、前記気体放出口21と側面 口13とによって形成される開口部の断面積 摺動部材の移動量に応じて経時的に変化す ように形成することにより、上記と同様の 果を得ることができる。例えば、側面開口13 を異なる内径の、大流量開口と小流量開口の 2個、或いは大流量開口、中流量開口、小流 開口のように3個の複数開口として、摺動部 の摺動量に応じて複数開口のいずれかが対 する気体放出口と連通するかによって外部 の導通状態、したがって気体の放出量が経 的に変化し、最終的に開口のない閉塞域に して完全に閉塞されることになる。開口の 数、それぞれの寸法、隣接開口との間隔等 、加熱温度、滞留時間等の成形条件を考慮 た溶融素材の粘度、発生ガス量等を勘案し 決定すればよい。

 また、気体放出口21と側面開口13のいずれ か一方を寸法の異なる複数の開口として形成 し、当該時点において他方の開口部と係合す る開口の寸法および/または割合によって決 る実質的開口部面積が、摺動部材10と摺動部 材受容体20との相対的移動量に応じて経時的 変化するように形成することによって、気 放出量を低減させるような経時的放出量調 を行うことも可能である。開口の寸法等は 各溶融素材の成形条件における溶融素材の 度、発生ガス量等を勘案して決定すればよ 。

 本実施例では、摺動部材10に形成された 面開口13と気体放出口21との摺動面における 口部の接離によって気体の流動および閉塞 制御しているが、例えば、摺動部材側に内 に段差ないし絞りのある丸穴を形成し、摺 部材受容体20の下方から丸棒を突出させて 出・閉塞を実現することもできる。このよ な構成では、摺動部材10が初期状態にある際 は、摺動部材受容体20側の丸棒の先端は、丸 の大径部分に位置するため、気体成分の流 は自由である。しかし、溶融素材の流動先 Rが図2のように摺動部材10を押圧するように なると、下降する摺動部材10側の丸穴の狭小 ないし絞り部と摺動部受容体側から突出し いる丸棒とが緊密に係合した場合に閉塞状 となる。このような構成では、金型内部か の気体放出は摺動部材10の運動方向に沿っ 流動し排出されることになる。

 図3は、本発明に係る金型内の気体放出構 造Aの金型内部への配置例を模式的に図示し ものであり、図中、実線矢印は溶融素材の 動方向を、破線矢印は気体の流動方向を表 ている。図3(A)は、シングルゲートである左 ゲートから溶融素材を圧入する例である。 融素材の流動方向も単一の最も簡単な構成 であり、溶融素材の流れ方向の末端側に気 放出構造Aを配設する例を示している。図3(B )は、シングルゲートで左右2方向に分岐して 融素材を流動させる実施例であり、それぞ の溶融素材流動末端付近に気体放出構造Aを それぞれ配設している。図3(C)は主として大 成形品の成形を、多点(2)ゲートで成形する であり、左右のゲート1およびゲート2から流 動する溶融素材の合流点付近に1個の気体放 構造Aを配設した例を示すものである。

 図3(D)は、シングルゲートから分岐路に至 り溶融素材流動路を二分して、2方向からキ ビティに充填する実施例を示すものである この例では、2個の気体放出構造Aを溶融素材 流動路の屈曲部位における溶融素材の流動方 向先端に配設している。左右に分岐した溶融 素材流動部先端が気体放出構造Aに到達する での間、溶融素材流動路およびキャビティ 部の気体成分を流動放出させる。溶融素材 流動先端が有底穴に衝突するまでの間、溶 素材が低粘度で流動速度が高い場合には強 な放出作用を呈し、ベンチュリー効果によ 残余の流動路ならびにキャビティ内部を低 (負圧)に減圧する効果が期待できる。その結 果、キャビティ内への流動素材圧入が容易と なり、成形作用に良好な影響をもたらす。溶 融素材の流動先端が有底穴に衝突して摺動部 材を摺動させることにより、前述の実施例と 同様に気体放出口は閉塞され、溶融素材はキ ャビティ内に充填される。

 これら典型的な実施例のように、溶融素 を圧入するゲートからの流動方向を見極め 好ましくはコンピュータを援用する流動解 等を駆使して、流動末端に本発明に係る気 放出構造Aを配設して、溶融素材の流動を円 滑かつ理想的な形態に保持することにより成 形不良を大幅に低減し、成形作業の効率向上 、時間および資材、労力、エネルギーの節減 を図ることが可能となる。

 本発明に係る金型内の気体放出構造は、 動部材と摺動部材受容体から構成される簡 な構成で、溶融素材の流動部先端が該気体 出構造に到達した際に時間遅れもなく確実 自力作動する。この金型内部の気体放出構 では、摺動体自体が作動タイミングを決定 るセンサとなり、同時に制御機構として機 する、いわゆる自力制御が行われる。した って、現象を検知するためのセンサはもと り弁類を駆動するためのソレノイド手段、 圧シリンダ等の操作駆動部等は不要である そのため、使用材料、加工時間、製作費用 の点で有利であり、作動上の時間遅れもほ んど無視できるため、キャビティ内ガスに 因する成形不良を大幅に低減することがで る。

 本発明に係る金型内の気体放出構造は、 述のように摺動部材と弾性体としての圧縮 ネおよび摺動部材受容体から構成されてい 。したがって、摺動部材および摺動部材受 体の両者に対する開削加工並びに摺動を円 にするための摺動部加工が初期の精度で行 れる限り、高精度でかつ時間的な遅延無し 自力作動により気体放出が行われる。なお 金型内での正確な配設部位はキャビティの 状、大きさ、ゲート数、使用溶融素材等の 要条件を定め、コンピュータを援用した溶 素材の流動解析により正確に設定すること 可能である。

 また、本発明のように金型内の気体放出 造を単体で用意可能とした結果、新規金型 もとより、従来の金型の適宜部位に取り付 部としての凹所を形成する改造を行って装 することにより成形加工効率を大幅に向上 せることも期待できる。気体放出構造の単 を配設した金型が不要となった際は、本機 のみを取り外し他金型において流用するこ もできる。特に季節モノと呼ばれて流行を り入れ、あるいは短期間のみの需要を満た ための金型等は出来るだけ廉価に仕上げる 要があるが、本発明に係る気体放出構造が 用可能であるため、経済的にも製作時間等 点からも好ましい。また、長期間使用継続 可能な金型にあっては、同様の構造による 体放出構造を当初から組み込んだ金型を一 的に製造することも可能であり、経済性が まる。