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Patent Searching and Data


Title:
INK JET HEAD AND MANUFACTURING METHOD THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/139949
Kind Code:
A1
Abstract:
An ink jet head comprises a piezoelectric substrate (1) having ink grooves (41) partitioned from one another by partitions (3), a nozzle plate (21) which covers the top of the piezoelectric substrate (1) to define the ink grooves (41) as separate ink chambers, and a manifold (11) fixed to the piezoelectric substrate (1) to respectively define a first common ink chamber (5) and a second common ink chamber (6) communicated with the ink chambers at one and the other ends of the ink chambers. The ink chambers include at least one ink chambers for discharge and at least one dummy ink chambers. The nozzle plate (21) has nozzle holes (20) for discharging ink at positions corresponding to the ink chambers for discharge but no nozzle hole (20) at positions corresponding to the dummy ink chambers.

Inventors:
SAGARA TOMOYUKI
Application Number:
PCT/JP2008/058338
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
May 01, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHARP KK (JP)
SAGARA TOMOYUKI
International Classes:
B41J2/045; B41J2/055; B41J2/16
Foreign References:
JPH05229116A1993-09-07
JPH0994952A1997-04-08
JPH0664164A1994-03-08
JPH10114081A1998-05-06
JP2006088493A2006-04-06
JPH068465A1994-01-18
JP2006082303A2006-03-30
Attorney, Agent or Firm:
FUKAMI, Hisao et al. (22nd FloorNakanoshima Central Tower,2-7, Nakanoshima 2-chome,Kita-ku, Osaka-sh, Osaka 05, JP)
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Claims:
 隔壁(3)によって互いに隔てられ、かつ内壁に電極が設けられた複数のインク溝(41)を有する圧電基板(1)と、
 前記圧電基板の前記隔壁の上部に接着されることによって前記複数のインク溝の上側を塞いで前記複数のインク溝を複数の個別インク室として規定するノズル板(21)と、
 前記複数の個別インク室の一端側において前記個別インク室と連通する第1共通インク室(5)を規定しつつ、前記複数の個別インク室の他端側において前記個別インク室と連通する第2共通インク室(6)を規定するように、前記圧電基板に取り付けられたマニホールド(11)とを備え、
 前記複数の個別インク室は、1以上の吐出用インク室(2c)と1以上のダミーインク室(2d)とを含み、
 前記ノズル板は、前記吐出用インク室に対応する位置にインク吐出のためのノズル孔(20)を有し、前記ダミーインク室に対応する位置にはノズル孔を有しない、インクジェットヘッド。
 前記第1共通インク室に供給されたインクのうち、前記ノズル孔からの吐出に消費される分以外を全て、前記吐出用インク室または前記ダミーインク室を経由して第2共通インク室へ排出するための第1インク流通手段を備える、請求の範囲1に記載のインクジェットヘッド。
 前記第2共通インク室に供給されたインクのうち、前記ノズル孔からの吐出に消費される分以外を全て、前記吐出用インク室または前記ダミーインク室を経由して第1共通インク室へ排出するための第2インク流通手段を備える、請求の範囲2に記載のインクジェットヘッド。
 前記複数の個別インク室は、一定深さで直線状に互いに平行に形成されている、請求の範囲1に記載のインクジェットヘッド。
 前記ダミーインク室の配列ピッチは前記吐出用インク室の配列ピッチと同じである、請求の範囲1に記載のインクジェットヘッド。
 前記ダミーインク室の1つ当たりの断面積および長さは、前記吐出用インク室の1つ当たりの断面積および長さとそれぞれ等しくなっている、請求の範囲1に記載のインクジェットヘッド。
 前記複数の個別インク室は平行に並んでおり、平行に並ぶ個別インク室の列の両端には前記ダミーインク室がある、請求の範囲1に記載のインクジェットヘッド。
 前記ダミーインク室と前記吐出用インク室とは交互に配列されている、請求の範囲1のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
 前記ダミーインク室は、前記吐出用インク室の各々に対して両側に隣接するように配置されている、請求の範囲1に記載のインクジェットヘッド。
 請求の範囲1に記載のインクジェットヘッドを製造するための方法であって、
 圧電基板に対して溝加工を行なうことによって前記複数のインク溝を形成する工程と、
 前記複数のインク溝の内壁に導電体膜を形成することによって前記電極とする工程と、
 前記第1共通インク室および前記第2共通インク室となるべき共通インク室用凹部を有する前記マニホールドを前記圧電基板に取り付ける工程と、
 前記複数のインク溝および前記共通インク室用凹部を塞ぐように、前記ノズル板を接着することによって、前記複数のインク溝を複数の個別インク室とすると同時に前記マニホールドの凹部を前記第1共通インク室および前記第2共通インク室とする工程とを含む、インクジェットヘッドの製造方法。
 前記溝加工は、一定深さで前記圧電基板の一端から他端までを貫通するように直線状に行なう、請求の範囲10に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
Description:
インクジェットヘッドおよびそ 製造方法

 本発明は、インクジェットヘッドおよび の製造方法に関するものである。インクジ ットヘッドはたとえばプリンタなどに用い れる。

 近年、プリンタにおいては、インパクト 字装置に代わって、カラー化、多階調化に 応しやすいインクジェット方式などのノン ンパクト印字装置が急速に普及している。 れに用いるインク噴射装置としてのインク ェットヘッドとしては、特に、印字に必要 インク滴のみを噴射するというドロップ・ ン・デマンド型が、噴射効率の良さ、低コ ト化の容易さなどから注目されている。ド ップ・オン・デマンド型としては、カイザ (Kyser)方式やサーマルジェット方式が主流と なっている。

 しかし、カイザー方式は、小型化が困難 高密度化に不向きであるという欠点を有し いた。また、サーマルジェット方式は、高 度化には適しているものの、ヒータでイン を加熱してインク内にバブル(泡)を生じさ て、そのバブルのエネルギーを利用して噴 させる方式であるため、インクの耐熱性が 求され、また、ヒータの長寿命化も困難で り、エネルギー効率が悪いため、消費電力 大きくなるという問題を有していた。

 このような各方式の欠点を解決するもの して、圧電材料のシェアモード変形を利用 たインクジェット方式が提案されている。 の方式は、圧電材料からなるインクチャン ルの壁(以下、「チャンネル壁」という。) 両側面に形成した電極を用いて、圧電材料 分極方向と直交する方向に電界を生じさせ ことで、シェアモードでチャンネル壁を変 させ、その際に生じる圧力波変動を利用し インク滴を吐出するものであり、ノズルの 密度化、低消費電力化、高駆動周波数化に している。

 最近はこのシェアモード変形を利用した ンクジェットヘッドを産業用途に利用する とが盛んに行なわれるようになり始めてい 。たとえば、インクとして導電材料を吐出 せることによって配線を描画したり、R,G,B 各色のインクを吐出させることによってカ ーフィルタを作製したり、熱硬化性または 外線(UV)硬化性のインクを吐出させることに って、マイクロレンズやスペーサなどのよ な3次元構造物を作製したり、といった応用 が進められている。

 産業用途においては特に、ノズルの高密 化により高精細に吐出させるという要求の に、液晶画面の大画面化に伴い、ノズルの 密度化への要求も現れ始めている。産業用 のインクジェットヘッドの利用と民生品の リンタとしてのインクジェットヘッドの利 とを比較したとき、異なる点としては要求 度の厳しさを挙げることができる。産業用 の方が民生よりもはるかに厳しい精度での 作を要求される。産業用途では、指定され アドレスに規定量の液滴を着弾させること 要求され、着弾精度、液滴量のコントロー を厳しく要求される。したがって、1つのイ ンクジェットヘッドの中において、本来吐出 可能であるべきインクチャンネルが何らかの 障害によって吐出不可能となってしまうこと は、それが民生用途では問題にならないレベ ルの発生率であっても、産業用途としてイン クジェットヘッドを利用する際には重大な問 題となる。

 また、このように多岐にわたるインクジ ット応用分野の発展に伴い、使用されるイ クも多種多様になっている。たとえば、有 溶剤を含有して揮発性の高いインクや、強 性・強アルカリ性のインク、顔料や樹脂成 を含むインク、ビーズなどの微粒子を含有 るインク、さらにはこれらを複合したイン などが挙げられる。中でもビーズなどの微 子を含有するインクは、インクの溶媒と含 される微粒子の比重差により、微粒子が沈 または浮遊し、インク中の微粒子濃度に分 の偏在が引き起こされるおそれがある。分 が偏った場合、吐出時の液滴中に含まれる 粒子数にばらつきが生じてしまい、製品の 能劣化、不良発生をもたらす。このような 態を回避するためには、インクタンク内、 ンクジェットヘッド内でインクを循環、撹 させることによって微粒子の沈殿を防止す 必要がある。さらに厳密には、吐出時の液 中に含まれる微粒子数を安定させて吐出さ るためには、上述のインクの循環、撹拌は ンクがノズル孔の直近にある時点において なされることが重要である。

 ノズル孔直近までインクを循環、撹拌さ るための技術として、国際公開第95/31335号 ンフレット(特許文献1)に記載されたものが る。特許文献1の第2図、第3図に示されたイ クジェットヘッドでは、圧力発生室は、前 にノズル孔を有するノズル板、後ろ側に振 板を配置された空間である。この圧力発生 を挟むように圧力発生室の両側に2つの共通 ンク室が配置されており、これら2つの共通 インク室は圧力発生室に連通している。この 装置では、一方の共通インク室から他方の共 通インク室へ圧力発生室を介してインクを供 給できる構造となっている。このインクジェ ットヘッドにおいては、ノズル孔のある圧力 発生室自体がインクの通り道となるため、ノ ズル孔の直近までインクを循環することが可 能である。また、特許文献1の第4図では、上 インクジェットヘッドを備える記録装置の 体が示されており、この記録装置では、イ クカートリッジからインクジェットヘッド 経由してサブタンクへとインクを補充する 方、サブタンクからインクジェットヘッド 経由してインクカートリッジへと水頭差を 用してインクを戻すことも可能となってい 。特許文献1の記録装置では、このようにし てインクを循環させている。

 また、特開2006-142509号公報(特許文献2)に 載されたインクジェットヘッドでは、圧電 板の表面に互いに平行な2本の溝として2つの 共通インク室が設けられている。これら2つ 共通インク室の間に挟まれ、なおかつこれ 2つの共通インク室の両方に連通するように 多数の溝状のインク室が設けられている。 許文献2に提案されているのは、この溝状イ ンク室の壁部分の圧電材料のシェアモード変 形を利用したインクジェットヘッドである。

 インクジェットヘッドのひとつの方式とし 積層型というものがある。これは各部材を 置合わせしながら重ね合わせることによっ インクジェットヘッドの構造を組み立てる のであり、その一例は、特開平6-183029号公 (特許文献3)に記載されている。

国際公開第95/31335号パンフレット

特開2006-142509号公報

特開平6-183029号公報

 上述したように特許文献1に記載の記録装 置では、インクカートリッジとサブタンクと の間でインクがやりとりされる際に、その流 通の途上でインクは一方の共通インク室から 他方の共通インク室へと圧力発生室を介して 供給されるため、ノズル孔直近までインクを 循環することが可能であるが、このインクジ ェットヘッドは積層型のインクジェットヘッ ドであるという欠点がある。

 積層型のインクジェットヘッドは、特許 献3に記載されているように、基台に振動子 を取り付けたものである振動子ユニットと、 流路構成部材と、振動板形成部材と、圧力発 生室となるべき間隙を形成するためのスペー サと、ノズル孔を有するノズル板との5つの 材から構成されており、それぞれ位置合わ を行ない、重ね合わせることによって組み てられている。インクジェットヘッドにお てばらつきの少ない着弾精度、吐出性能を 現するためには、ノズル孔と駆動部の相対 置精度がきわめて重要であり、ノズル孔の 心と駆動部におけるインクの通り道の中心 が合って配置されている必要がある。した って、これら5つの部材はそれぞれについて 精度な位置合わせが要求される。1つのイン クジェットヘッドを作製するためにはこのよ うな高精度な位置合わせを4回繰り返す必要 ある。これは非常に煩雑な作業を伴うもの ある。また、特許文献3のインクジェットヘ ドは、変位量を確保するため積層型の圧電 子を用いていること、インクジェットヘッ を構成する部品点数自体が多いことから、 型化に適していない。さらにこのような組 上げ作業の煩雑さおよび部品点数の多さに り、インクジェットヘッドのコストアップ もつながる。

 これに対し、非積層型のインクジェット ッドの例として、特許文献2に記載のシェア モード型のインクジェットヘッド126について 、図19、図20を参照して説明する。なお、図 の符号および構成要素の名称は、必ずしも 許文献2のとおりではない。

 このインクジェットヘッド126は、図19に すように、圧電基板101を、長円形の凹部を するマニホールド111に収め、複数個のノズ 孔20を有するノズル板21を被せることによっ 組み立てられている。圧電基板101の上面に 、共通インク室105,106となるべき互いに平行 な2本の幅が広く浅い溝が設けられている。 れら2本の溝の間を結ぶように多数本の細く い溝が設けられている。これらの細く深い はノズル板21によって上側を塞がれること よって図20に示すように個別インク室102とな っている。図20は、図19におけるXX-XX線に関す る矢視断面図である。マニホールド111の下方 にはインク供給管112,113がつながっている。 通インク室105,106はいずれも一端がニップル 口部114に、他端がニップル開口部115にそれ れ連通している。ニップル開口部114,115は長 円形の凹部の両端に相当する部分であり、そ れぞれインク供給管112,113に連通している。

 インクジェットヘッド126は、構成する部 点数が少なく、組立の際に高精度な位置合 せを必要とするのは個別インク室102となる ャンネル溝が形成された圧電基板101とノズ 孔20を有するノズル板21とを貼り合わせる工 程のみであり、組立工程が容易で小型化にも 適している。

 このインクジェットヘッド126では、イン 供給管112からニップル開口部114にインクを 給し、ニップル開口部115からインク供給管1 13を通じて余分なインクを回収するように循 しているものとすると、ニップル開口部114 らニップル開口部115にインクが移動する際 は、図19に矢印35で示すようには共通インク 室105,106の大きく2通りのルートに分かれて通 することとなる。この際に、途中で折れ曲 って個別インク室102をわざわざ経由して共 インク室105,106間で行き来するよりも、その ような行き来なしに共通インク室105,106のう のいずれか1本のみを通っていく方が流路抵 が明らかに小さい。したがって、大半のイ クは共通インク室105,106のうちの1本のみを 由してニップル開口部114からニップル開口 115に直行してしまうこととなる。ノズル孔20 は共通インク室105,106ではなく個別インク室10 2の途中に開口しているので、ノズル孔20の直 近の空間である個別インク室102においては積 極的にインクを循環させることができないと いう問題がある。

 また、インクジェットヘッド126において 、共通インク室105,106は、各個別インク室102 の内壁面に形成された電極と、各個別インク 室102の両端につながるように設けられる浅溝 部の内壁面に形成された電極との間の導通を 遮らないようにするために、個別インク室102 の深さよりもある程度以上浅く形成されなけ ればならない。すなわち、インクジェットヘ ッド126の共通インク室105,106は、圧電基板101 に形成された個別インク室102の深さよりも くすることができないという制約がある。

 インクジェットヘッド126内において個別 ンク室102を経由したインク流れを促進する めには、共通インク室105,106の流路抵抗は、 個別インク室102の流路抵抗に比べて十分に小 さく、流路抵抗を無視できることが好ましい 。定性的な表現をすれば、流路抵抗は流路の 断面積が小さいほど、また流路の長さが長い ほど大きくなる。したがって、全体的な寸法 (基板の外寸、厚み)は適宜選択された場合に いても、少なくとも共通インク室105,106の深 さがインク室102の深さよりもある程度以上浅 くなければならないという制約のあるインク ジェットヘッド126は不利となる。これはイン クジェットヘッド126の寸法が大きくなること によって流路が長くなった場合に特に深刻化 する問題である。

 また、共通インク室105,106の流路抵抗を下 げるために、共通インク室105,106の幅を大き することで断面積を拡大しようとすると、 々の圧電基板101のサイズを大きくしなけれ ならなくなってしまい、小型化の妨げとな 。また、圧電基板101の大型化は材料費の観 からコストアップにつながる。

 さらにインクジェットヘッド126の個別イ ク室102は圧電基板101の両端においては外部 続端子となる浅溝部とつながっており、浅 部は圧電基板101の両端面に開口している。 のような個別インク室102および浅溝部の加 はダイシングブレードの上下動を利用した 工方法、すなわちいわゆるチョッパ加工で なうことができる。溝部分のいわゆるR形状 はダイシングブレードの外形が転写されたも のである。個別インク室102の最大深さの部分 から浅溝部までをつなぐようにR形状の加工 行なった場合、共通インク室105,106はR形状部 分の途中に位置することとなるのが通常であ る。そうなると、共通インク室105,106と個別 ンク室102とが交差する位置では、個別イン 室102は最大深さではなくある程度浅くなっ いることとなる。したがって、上述のよう 各個別インク室102の内壁面に形成された電 と各浅溝部の内壁面に形成された電極との 通を確保するためには、共通インク室105,106 深さはさらに浅く設定する必要が生じ、共 インク室105,106の流路抵抗を小さくすること ができない。

 ところで、このインクジェットヘッド126 おいて、特許文献1の教示に従って水頭差を 利用してインクを循環させようとする場合を 考える。水頭差は、インクが沈殿せずに循環 できる流量とインクジェットヘッド126の流路 抵抗から求めるのが望ましいが、インクジェ ットヘッド126の流路抵抗は、共通インク室105 ,106と個別インク室102との流路抵抗であり、 れらの流路抵抗が大きい場合にはきわめて きな水頭差を設ける必要が生じる。そのよ に水頭差の拡大だけで良好な循環を実現し うとする場合、単純に水頭差を大きくする とは装置構成上不可能な場合が生じてくる したがって、実際には装置構成の制約内で 現できる水頭差の範囲内で構成せざるをえ い。水頭差を流路抵抗で割った値が流量と るが、この値がインクが沈殿せずに循環で る流量よりも小さい場合は、インクの循環 十分でないということになり、微粒子の沈 をもたらす。その結果、インクジェットヘ ド126は、吐出時の液滴中に含まれる微粒子 を安定させて吐出することができなくなる いう問題を有している。

 本発明は、インクジェットヘッドの構造 複雑化することなく、インクジェットヘッ 内部でのインクの循環が行ないやすく、微 子含有インクの使用に適したインクジェッ ヘッドおよびその製造方法を提供すること 目的とする。

 上記目的を達成するため、本発明に基づ インクジェットヘッドは、隔壁によって互 に隔てられ、かつ内壁に電極が設けられた 数のインク溝を有する圧電基板と、上記圧 基板の上記隔壁の上部に接着されることに って上記複数のインク溝の上側を塞いで上 複数のインク溝を複数の個別インク室とし 規定するノズル板と、上記複数の個別イン 室の一端側において上記個別インク室と連 する第1共通インク室を規定しつつ、上記複 数の個別インク室の他端側において上記個別 インク室と連通する第2共通インク室を規定 るように、上記圧電基板に取り付けられた ニホールドとを備える。上記複数の個別イ ク室は、1以上の吐出用インク室と1以上のダ ミーインク室とを含む。上記ノズル板は、上 記吐出用インク室に対応する位置にインク吐 出のためのノズル孔を有し、上記ダミーイン ク室に対応する位置にはノズル孔を有しない 。

 本発明によれば、複数の個別インク室が1 以上の吐出用インク室と1以上のダミーイン 室とを含むので、インクを円滑に循環させ ことが可能となり、ノズル孔の直近の空間 ある吐出用インク室の内部にも通過するイ ク流れを積極的に形成することが可能とな 。このことにより、インク中に微粒子が含 れている場合であってもその微粒子が沈殿 たは浮遊することが抑制され、吐出時の液 中に含まれる微粒子数を安定させることが きる。

本発明に基づく実施の形態1におけるイ ンクジェットヘッドの斜視図である。 本発明に基づく実施の形態1におけるイ ンクジェットヘッドのノズル板を外した状態 の斜視図である。 図1におけるIII-III線に関する矢視断面 である。 本発明に基づく実施の形態1におけるイ ンクジェットヘッドに含まれている圧電基板 および配線基板の斜視図である。 本発明に基づく実施の形態1におけるイ ンクジェットヘッドに含まれているマニホー ルドの分解図である。 図5におけるVI-VI線に関する矢視断面図 ある。 図5におけるVII-VII線に関する矢視断面 である。 本発明に基づく実施の形態1におけるイ ンクジェットヘッドの一部分の斜視図である 。 本発明に基づく実施の形態1におけるイ ンクジェットヘッドの個別インク室の第1の 置例の説明図である。 本発明に基づく実施の形態1における ンクジェットヘッドの個別インク室の第2の 置例の説明図である。 本発明に基づく実施の形態1における ンクジェットヘッドの個別インク室の第3の 置例の説明図である。 本発明に基づく実施の形態1における ンクジェットヘッドの個別インク室の第4の 置例の説明図である。 本発明に基づく実施の形態2における ンクジェットヘッドの製造方法の第1の工程 説明図である。 本発明に基づく実施の形態2における ンクジェットヘッドの製造方法の第2の工程 説明図である。 本発明に基づく実施の形態2における ンクジェットヘッドの製造方法の第3の工程 説明図である。 本発明に基づく実施の形態2における ンクジェットヘッドの製造方法の第4の工程 説明図である。 図16における端面の部分拡大図である 本発明に基づく実施の形態2における ンクジェットヘッドの製造方法の第5の工程 説明図である。 従来技術に基づくインクジェットヘッ ドの分解図である。 図19におけるXX-XX線に関する矢視断面 である。

符号の説明

 1,101 圧電基板、1a 上板、1b 下板、2,102  個別インク室、2c 吐出用インク室、2d ダミ インク室、3 隔壁、5 第1共通インク室、6  第2共通インク室、8 電極引出し部、9 異方 導電フィルム(ACF)、10 配線基板、11,111 マニ ホールド、11a 第1部分、11b 第2部分、11u (マ ニホールドの上面の)凹部、12,13,112,113 イン 供給管、14,15 ニップル開口部、16 配線基板 用凹部、17 圧電基板用凹部、18 貼合せ面、2 0 ノズル孔、21 ノズル板、25 インクジェッ ヘッド、30 ダイシングブレード、35 矢印 41 インク溝、51,51a,51b (ウエハ状の)圧電基 、52 (2つ分つながったサイズの)圧電基板、1 05,106 共通インク室、114,115 ニップル開口部 126 (従来技術に基づく)インクジェットヘッ ド。

 (実施の形態1)
 図1~図8を参照して、本発明に基づく実施の 態1におけるインクジェットヘッドについて 説明する。図1に本実施の形態におけるイン ジェットヘッド25を示す。インクジェットヘ ッド25のノズル板21を外したところを図2に示 。図1におけるIII-III線に関する矢視断面図 図3に示す。このインクジェットヘッド25は 図2に示すように、圧電基板1とノズル板21と ニホールド11とを備える。圧電基板1は、隔 3によって互いに隔てられ、かつ内壁に電極 が設けられた複数のインク溝41を上面に有す 。ノズル板21は、図3に示すように、圧電基 1の隔壁3の上部に接着されることによって 数のインク溝41の上側を塞いで複数のインク 溝41を複数の個別インク室2として規定する。 マニホールド11は、図2に示すように複数の個 別インク室2の一端側において個別インク室2 連通する第1共通インク室5を規定しつつ、 数の個別インク室2の他端側において個別イ ク室2と連通する第2共通インク室6を規定す ように、圧電基板1に取り付けられている。 言い換えれば、圧電基板1は、マニホールド11 の上面の凹部11u内に収まっている。

 さらに、複数の個別インク室2は、図3に すように、1以上の吐出用インク室2cと1以上 ダミーインク室2dとを含む。言い換えれば 複数の個別インク室2は吐出用インク室2cと ミーインク室2dとの2種類に分類することが きる。ノズル板21は、吐出用インク室2cに対 する位置にインク吐出のためのノズル孔20 有し、ダミーインク室2dに対応する位置には ノズル孔を有しない。図3に示すように個別 ンク室2はピッチBで配列されており、吐出用 インク室2cはピッチCで配列されている。ダミ ーインク室2dは個別インク室2の列の少なくと も両端に配置されている。

 図2に示す下側の構造体から圧電基板1お び配線基板10を取り出したところを図4に示 。圧電基板1は上板1aと下板1bとの貼合せによ って構成されている。圧電基板1の一方の端 には電極引出し部8が形成されている。電極 出し部8には異方性導電フィルム(以下「ACF という。)9を介して配線基板10が接続されて る。

 図2に示す下側の構造体から圧電基板1お び配線基板10を取り去って残るマニホールド 11をさらに分解したところを図5に示す。マニ ホールド11は、第1部分11aと第2部分11bとを貼 合わせることによって構成されている。第1 分11aは圧電基板用凹部17を有する。第1部分1 1aの貼合せ面18の中央には配線基板用凹部16が 設けられている。図5におけるVI-VI線に関する 矢視断面図を図6に示す。図5におけるVII-VII線 に関する矢視断面図を図7に示す。第1部分11a 、共通インク室5となる凹部を有し、この共 通インク室5の内壁にインク供給管12と連通す るニップル開口部14を有する。第2部分11bは、 共通インク室6となる凹部を有し、この共通 ンク室6の内壁にインク供給管13と連通する ップル開口部15を有する。第1部分11aと図4に した構造体とは、図8に示すように組み合わ せられる。すなわち、圧電基板用凹部17に圧 基板1が収まり、配線基板用凹部16に配線基 10が収まっている。

 図2、図3を参照して、インクの流れにつ て説明する。図示しない第1のインクタンク らインクジェットヘッド25に供給されたイ クは、インク供給管12を通ってニップル開口 部14から第1共通インク室5へと流入する。第1 通インク室5に至ったインクは、引き続き、 圧電基板1に形成された複数の個別インク室2 いずれかを通過し、第2共通インク室6へと れ込む。インクが個別インク室2を通過する には、吐出用インク室2cおよびダミーイン 室2dのすべてがインク流路として用いられる 。さらに、第2共通インク室6に至ったインク 、ニップル開口部15からインク供給管13を通 過して、図示しない第2のインクタンクへと 出される。

 したがって、本実施の形態におけるイン ジェットヘッド25の構成によれば、インク 、第1共通インク室5から第2共通インク室6へ 移動する際に複数の個別インク室2に分かれ て流れる。複数の個別インク室2のうち吐出 インク室2cを通ったインクの一部はノズル孔 20から吐出されることによって消費されるが 吐出用インク室2cを通ったインクのうちノ ル孔20から吐出されなかったインク、および 、ダミーインク室2dを通ったインクは全て第2 共通インク室6へと円滑に流れる。したがっ 、インクを円滑に循環させることが可能と り、ノズル孔20の直近の空間である吐出用イ ンク室2cの内部においても通過するインク流 を積極的に形成することが可能となる。こ ことにより、インク中に微粒子が含まれて る場合であってもその微粒子が沈殿または 遊することが抑制され、吐出時の液滴中に まれる微粒子数を安定させることができる

 インクの流れは上述の向きに限定される のではなく、逆向きであってもよい。逆向 に流す場合、インク供給管13からインクジ ットヘッド25へと供給されたインクは、ニッ プル開口部15を通過し第2共通インク室6へと れ込む。インクは、続いて、圧電基板1に形 された複数の個別インク室2のいずれかを通 過し、第1共通インク室5に流れ込む。さらに ンクはニップル開口部14を通ってインク供 管12へと排出される。このような経路であっ てもよい。

 好ましくは、本実施の形態におけるイン ジェットヘッド25は、第1共通インク室5に供 給されたインクのうち、ノズル孔20からの吐 に消費される分以外を全て、吐出用インク 2cまたはダミーインク室2dを経由して第2共 インク室6へ排出するための第1インク流通手 段を備える。

 ここでいう、第1インク流通手段とは、イ ンクに流れを生じさせる駆動源である。イン クに流れを生じさせる方法としては、水頭差 を利用する方法、インクタンクの圧力制御を 行なう方法などが考えられる。第1インク流 手段とは、たとえば水頭差を設ける構造ま はインクタンクの圧力を制御する装置を指 。

 たとえば図示しない第1のインクタンクか らインクジェットヘッド25を経由して図示し い第2のインクタンクへとインクを流す場合 、第2のインクタンクに排出されたインクが 定量に到達した時点で、インクの供給方向 逆転させればよい。図示しない第2のインク ンクから供給されたインクはインクジェッ ヘッド25を経由して図示しない第1のインク ンクへと排出されることとなる。

 すなわち、好ましくは、本実施の形態に けるインクジェットヘッド25は、第2共通イ ク室6に供給されたインクのうち、ノズル孔 20からの吐出に消費される分以外を全て、吐 用インク室2cまたはダミーインク室2dを経由 して第1共通インク室5へ排出するための第2イ ンク流通手段を備える。第2インク流通手段 してのインク流れの駆動源の具体例は、第1 ンク流通手段について例示したものと同様 ある。

 このように、2つのインクタンクの間でイ ンクを行き来させることで、エンドレスでイ ンクを循環させることができる。こうするこ とによって、インクジェットヘッド25内には にいずれかの向きのインク流れがあるよう することができる。インクジェットヘッド2 5内の吐出用インク室2cにおいてはいずれかの 向きのインク流れが通過することとなり、こ の結果、ノズル孔20の直近の空間を通過する ンク流れを積極的に形成することが可能と る。

 従来技術によるインクジェットヘッドで れば、ビーズなどの微粒子を含有したイン を供給した場合は、インクの溶媒と含有さ る微粒子の比重差により、微粒子が沈殿ま は浮遊し、インク中の微粒子濃度に分布が き起こされるおそれがあり、その結果、吐 時の液滴中に含まれる微粒子数にばらつき 生じ、製品の性能劣化、不良発生が引き起 されるおそれがあったが、本発明の構成に れば、ノズル孔直近のインク室内を通過す インク流れを積極的に形成することが可能 なるため、微粒子が沈殿または浮遊するこ が抑制され、吐出時の液滴中に含まれる微 子数を安定させて吐出させることができる

 また、複数の吐出用インク室だけでは十 に流路の断面積を確保できず流路抵抗を下 ることができない場合においても、本実施 形態におけるインクジェットヘッド25では 出用インク室2cの他にダミーインク室2dを設 ているので、複数の個別インク室2の全体と しての流路抵抗が小さくなり、インクの循環 の円滑化を図ることができる。その結果、微 粒子の沈殿を防止し、吐出時の液滴中に含ま れる微粒子数を安定させることができる。

 この観点から、ダミーインク室2dは複数 成しておくことが望ましい。ダミーインク 2dは流路抵抗を小さくするためのものであり 、吐出には寄与しない。吐出には寄与しない ダミーインク室2dに対応する位置では、ノズ 板21にノズル孔20を形成しないでおくことで 、ノズル孔20詰まりなどのトラブルを回避で 、また、不必要なインク消費を抑えること できる。

 複数の個別インク室は、一定深さで直線 に互いに平行に形成されていることが好ま い。このようになっていれば、限られた幅 多数の個別インク室を配列することができ からである。また、一定深さで直線状にす ことによって加工が容易になるからである

 ダミーインク室2dの1つ当たりの断面積お び長さは、吐出用インク室2cの1つ当たりの 面積および長さとそれぞれ等しくなってい ことが好ましい。流路抵抗は流路の断面積 小さいほど、また流路の長さが長いほど大 くなるが、ダミーインク室2dの1つ当たりの 面積および長さを吐出用インク室2cの1つ当 りの断面積および長さと等しくしておくこ により、吐出用インク室2cの1つ当たりの流 抵抗とダミーインク室2dの1つ当たりの流路 抗を同じにすることができる。流路抵抗が じになるようにしておけば1つの吐出用イン ク室2cと1つのダミーインク室2dとで通過する ンク量が同じとなり、流速差も生じなくな ので、インクの滞留が生じることを防止で る。さらに、インクの滞留が防止されるこ によって、インクの組成変化や、微粒子の 殿または浮遊が抑制され、吐出時の液滴中 含まれる微粒子数をより安定させて吐出さ ることができる。

 複数の個別インク室2は平行に並んでおり 、平行に並ぶ個別インク室2の列の両端には ミーインク室2dがあることが好ましい。既に 述べたようにダミーインク室2dも個別インク 2の一種である。図3に示した構造では個別 ンク室2の列の両端にダミーインク室2dがあ 。あるいは、たとえば図9に示すように中央 には吐出用インク室2cのみが連続して並ん いて両端に1つずつのダミーインク室2dが配 されている構成であってもよい。しかし、 央部に吐出用インク室2cのみを連続して配置 する場合であっても、より有効な効果を得る ためには、図10に示すように両端に複数個ず のダミーインク室2dが配列されている構成 方が好ましい。

 あるいは、ダミーインク室2dと吐出用イ ク室2cとは交互に配列されていることが好ま しい。このようになっていれば、個別インク 室2の配列ピッチを一定にしたまま、吐出用 ンク室の配列ピッチを均等に広げてノズル 配置を低密度化することができるからであ 。また、溝の加工自体は等間隔のままとす ことができるので、加工が容易となる。こ 構成の一例を図11に示す。ダミーインク室2d 配列ピッチは吐出用インク室2cの配列ピッ と同じであることが好ましい。このように っていれば、加工が容易となるからである 図11に示した例ではダミーインク室2dの配列 ッチは吐出用インク室2cの配列ピッチと同 となっており、このように配列ピッチが同 となった構成が好ましいが、配列ピッチが じでない構成であってもよい。

 本発明に基づくインクジェットヘッド25 個別インク室2を隔てる隔壁3を変形させるた めに必要な「駆動電圧」は、隔壁3の厚みが いほど高くなる。個別インク室2の配列ピッ が大きくなり、個別インク室2の配置が低密 度化した場合、隔壁3の厚みは厚くなる。最 は液晶画面の大画面化に伴い、ノズル孔の 置の低密度化が求められているので、隔壁3 厚みが厚くなる傾向にあり、駆動電圧の上 が懸念されている。

 駆動電圧が高くなると、駆動電圧の大き に比例して圧電基板1の発熱量も増す。圧電 基板1の発熱は、インク粘度の変化を引き起 す。その結果、吐出時の液滴中に含まれる 粒子数を安定させて吐出させることが困難 なる。このような事態を避けるためには発 量を抑える必要がある。発熱量を抑えるた には、インクジェットヘッド25の駆動電圧は 可能な限り低い方が好ましい。

 個別インク室2の配列ピッチが低密度化し た場合においても、駆動電圧の上昇を抑える ためには、隔壁3の厚みを、通常の駆動電圧 吐出可能な程度の厚みとして個別インク室2 通常の配列ピッチで配列すればよい。その 合、所望の低密度な配列ピッチに対応する 別インク室2のみを吐出用インク室2cとして ズル孔20を設けておき、他の個別インク室2 ダミーインク室2dとしてノズル孔20を設けな いようにしておけばよい。このようにノズル 孔20をまばらに配置したノズル板21を貼り付 ることとすればよい。図3に示した構成もこ 考え方を適用した一例である。

 ダミーインク室2dは、吐出用インク室2cの 各々に対して両側に隣接するように配置され ていることが好ましい。たとえば図3に示し ように、ダミーインク室2dは各吐出用インク 室2cの両側に配置される構成であれば好まし 。図3に例示した構成以外に、図11に示す構 や図12に示す構成であってもよい。図12では 、ダミーインク室2dの配列ピッチは吐出用イ ク室2cの配列ピッチと同じではないが、ダ ーインク室2dは、吐出用インク室2cの各々に して両側に隣接するように配置されている

 以下、具体的な数値を交えて具体例につ て説明する。たとえば図3に示す構成におい て、個別インク室2の配列ピッチBが169μm(150DPI に相当)となるように個別インク室2が配列さ ているときの、このインクジェットヘッド2 5の駆動電圧が15Vであったとする。この駆動 圧を変えずに500μmの配列ピッチで配列され 吐出用インク室2dを得たい場合には、圧電基 板1に対してまず個別インク室2となるべき溝 169μmピッチ(150DPIに相当)で形成し、これら 複数の溝に対してノズル孔20の配列ピッチC 約507μm(50DPIに相当)となるようにノズル孔20 形成されたノズル板21を接着すればよい。す なわち、図3に示すように、3つの個別インク 2ごとに1つのノズル孔20が設けられたノズル 板21を接着することによってインクジェット ッド25を組み立てればよい。

 ここで、個別インク室2のうち、ノズル孔 20が開口していないものはダミーインク室2d して利用する。これらのダミーインク室2dは インクを循環させるために用いられる。複数 の吐出用インク室2cだけでは流路抵抗を十分 下げることができない場合においても、ダ ーインク室2dをこのように複数設けること より、流路抵抗が小さくなり、結果的に微 子の沈殿を防止でき、吐出時の液滴中に含 れる微粒子数を安定させて吐出させること できる。

 この状態ではノズル孔20の配列ピッチCが 507μmであったが、インクジェットヘッド25 ノズル板21の面内で9.53°回転させて使用する ことにより、装置全体としては見かけ上のノ ズル配列ピッチを500μmになるようにすること ができる。

 このような構成にすることで、圧電基板 対する溝加工のピッチは変えずに実際のノ ル孔20の配列ピッチのみを低密度化するこ ができる。ノズル孔20の形成されていない個 別インク室2をダミーインク室2dとして使用す ることにより、必要に応じて、吐出用インク 室2cより多くの数のダミーインク室2dを形成 ることもできる。

 (実施の形態2)
 図13~図18および図1、図4、図5、図8を参照し 、本発明に基づく実施の形態2におけるイン クジェットヘッドの製造方法について説明す る。このインクジェットヘッドの製造方法は 、実施の形態1で説明したインクジェットヘ ド25を製造するための方法であって、圧電基 板に対して溝加工を行なうことによって前記 複数のインク溝を形成する工程と、前記複数 のインク溝の内壁に導電体膜を形成すること によって前記電極とする工程と、前記第1共 インク室および前記第2共通インク室となる き共通インク室用凹部を有する前記マニホ ルドを前記圧電基板に取り付ける工程と、 記複数の溝および前記共通インク室用凹部 塞ぐように、前記ノズル板を接着すること よって、前記複数の溝を複数の個別インク とすると同時に前記マニホールドの凹部を 記第1共通インク室および前記第2共通イン 室とする工程とを含む。

 これらの工程の各々について以下詳しく 明する。まず、圧電基板1を作製する。その ためには、図13に示すように分極方向の異な 2枚のウエハ状の圧電基板51a,51bを貼り合わ る。こうしてウエハ状の圧電基板51を得る。

 圧電基板51に対して溝加工を行なうこと よって複数のインク溝を形成する工程を行 う。この工程は図13に示すように、一般的な ダイシングマシンに使用されるダイシングブ レード30を繰返し走行させて溝加工すること よって行なうことができる。1枚の圧電基板 51はのちに分割されて多数の圧電基板1となる ものである。図13に示すように、溝加工によ 形成される複数のインク溝41は、互いに平 に並んでおり、互いに平行に並ぶ複数の細 い隔壁3によって隔てられている。インク溝4 1は所定の幅と深さを有する細長い溝であれ よく、溝加工は一直線状に行なわれる。

 実際には厚さ3mmのウエハ状の圧電基板51 対して幅80μmのダイシングブレード30を用い 、1つの圧電基板1となるべき部分に深さ260μ mのインク溝41を134本加工する。これらのイン ク溝41がのちに個別インク室2となる。

 次に、溝加工を行ったウエハ状の圧電基 51をダイシングブレード30で分割し、図14に すように圧電基板1が2個つながったサイズ 圧電基板52とする。続いて、複数のインク溝 41の内壁に導電体膜を形成することによって 極とする工程を行なう。ここで形成する電 は、インクジェットヘッド完成後に隔壁3を シェアモードで駆動させるための電極である 。電極は銅の膜であり、RF(Radio Frequency)マグ トロンスパッタ装置を用いて、スパッタリ グ法により成膜される。成膜により、電極 、隔壁3の両側面のみならず、隔壁3の上面 圧電基板52の側面および上面も覆うように形 成される。

 次に、圧電基板52の上面に対してダイシ グブレード30によって除去量が10μmになるよ に研削することにより、圧電基板52の上面 覆う不要な電極を除去する。このとき、各 壁3の上面を覆っていた電極も同時に除去さ るので、上から見た状態としてはインク溝4 1ごとに電極が分離される。

 圧電基板52をダイシングブレード30により 点線36に示す位置で半分に切断し、図15に示 ようにインクジェットヘッド1つ分のサイズ する。こうして圧電基板1が得られる。この 切断により、圧電基板1の両端面のうち、切 によって生じた新たな端面には電極がない 、反対側の端面には電極がある状態となる 図15では、端面37に電極があり、端面38に電 がないものとする。この時点では、各イン 溝41内の電極同士は、この端面37を覆う電極 よって互いに導通した状態となっている。

 次に、端面37が上向きになるように圧電 板1を固定し、ダイシングブレード30によっ 、端面37の隔壁3の中心線に対応する部分の 極をそれぞれ線状に研削除去する。こうす ことによって、図16に示すようになる。図16 おける端面37の部分拡大図を図17に示す。図 17においてはハッチングを付した部分を電極 覆っている。この時点で各インク溝41内の 極は完全に個別に電気的に分離された状態 なる。端面37のインク溝41に対応する部分で 電極が研削除去されておらず、残っている この残った電極が電極引出し部8となる。

 続いて、図4に示したように、電極引出し 部8に対して外部基板としての配線基板10をACF 9を介して接続する。これにより、圧電基板1 各インク溝41の両側の隔壁3に画像データに づいた電圧を印加することが可能となり、 部からインクチャンネルを駆動することが 能となる。なお、外部基板との接続方法と ては、上述のACF9を用いた接続方法以外にも 、外部基板のリードを圧電基板1の外部接続 子に直接接続する方法や、外部基板のリー を圧電基板1の外部接続端子にワイヤボンデ ングする方法などがある。

 次いで、圧電基板1の各インク溝41の内壁 に形成された電極を保護するために、電極 護膜(図示せず)を約10μmの厚さで形成する。 この電極保護膜は、その形成工程においては 圧電基板1および配線基板10の露出するあらゆ る表面に付着するため、付着させる必要のな い配線基板10には予めマスキングテープなど マスクすることによって、電極保護膜が付 しないようにしておく。

 次に、第1共通インク室5および第2共通イ ク室6となるべき共通インク室用凹部を有す るマニホールド11を圧電基板1に取り付ける工 程を行なう。そのためには、図5に示したよ なマニホールド11を予め作製しておく。マニ ホールド11は第1部分11aと第2部分11bとからな 2ピース構造となっている。

 マニホールド11の第1部分11aは、厚さ10mmの アルミ、ステンレス、セラミクスなどからな る板材から形成する。この第1の部分11aの上 に対して、圧電基板1の厚み分である3mmの深 で、圧電基板1と同じ幅、同じ長さだけザグ リ加工を施すことによって、図5に示すよう 圧電基板用凹部17を形成する。また、この圧 電基板用凹部17に連通して第1共通インク室5 形成する。第1共通インク室5においては深さ 4mmのザグリ加工を行ない、ザグリ幅、ザグリ 長さは圧電基板1の幅と同等とする。

 また、第1部分11aの貼合せ面18に対しては 側方から深さ0.25mmで、幅は配線基板10と同 度でザグリ加工を行ない、図5に示すように 線基板用凹部16を形成する。

 さらに第1部分11aの第1共通インク室5には ニップル開口部14が長穴形状に開口するよ に形成する。このニップル開口部14はインク 供給管12と接続されるように形成する。ニッ ル開口部14からインク供給管12までは幅が緩 やかなテーパー状に変化するように形成する 。

 マニホールド11の第2の部分11bは厚さ10mmの アルミ、ステンレス、セラミクスなどからな る板材から形成する。この第2の部分11bの上 に対して、深さ4mmで、圧電基板1の幅と同等 幅、同じ長さでザグリ加工を施すことによ て、第2共通インク室6を形成する。さらに 2部分11bの第2共通インク室6には、ニップル 口部15が長穴形状に開口するように形成する 。このニップル開口部15はインク供給官13と 続されるように形成する。ニップル開口部15 からインク供給管13までは幅が緩やかなテー ー状に変化するように形成する。

 マニホールド11を圧電基板1に取り付ける 程としては、まず、第1部分11aの圧電基板用 凹部17に対して圧電基板1を接着する。圧電基 板用凹部17のザグリ幅、ザグリ長さは圧電基 1の幅と同等に形成されているので、圧電基 板用凹部17に圧電基板1を嵌め込み、第1部分11 aの合わせ面18に形成された配線基板用凹部16 対して、配線基板10が収容されるようにし 接着を行なう。その結果、図8に示す構造体 得られる。

 さらに第1部分11aの貼合せ面18に対して第2 部分11bを接着する。その結果、図18に示す構 体が得られる。この接着では、第2の共通イ ンク室6がインクを漏らさず保持できるよう 確実に接着しなければならない。また、配 基板10、ACF9はインクにより、溶解または膨 する可能性があるため、ACF9を介して電極引 し部8に配線基板10を接続した部分を接着剤 て封止し、インクから保護することが望ま い。圧電基板1と圧電基板用凹部17との隙間 も接着剤を追加し、この隙間を封止する。

 次いで、複数のインク溝41および共通イ ク室用凹部を塞ぐように、ノズル板21を接着 することによって、複数のインク溝41を複数 個別インク室2とすると同時にマニホールド 11の凹部を第1共通インク室5および第2共通イ ク室6とする工程を行なう。すなわち、図18 示した構造体に対して、ノズル孔20を有す ノズル板21を上側から接着する。ノズル板21 、圧電基板1とマニホールド11とにまたがる うに貼り付けられる。圧電基板1にノズル板 21を接合した後、ノズル板21とマニホールド11 との隙間に接着剤を流し込み封止する。これ により、図1に示すインクジェットヘッド25が 出来上がる。インクジェットヘッド25内には 別インク室2と第1共通インク室5と第2共通イ ンク室6とが形成される。

 上述のとおり、本実施の形態におけるイ クジェットヘッドの製造方法によれば、本 施の形態におけるインクジェットヘッドを 易に作製することが可能となる。

 なお、図14に溝加工の例を示したが、こ 溝加工は、一定深さで圧電基板1の一端から 端までを貫通するように直線状に行なうこ が好ましい。ここでは、1つ分の圧電基板1 対して述べたが、圧電基板51においては複数 の圧電基板1が集まった状態となっているの 、圧電基板51において一端から他端までを貫 通するように直線状に行なうことは、複数の 圧電基板1に対して一括して一端から他端ま を貫通するように直線状の溝加工を行なう とを含んでいる。

 一定深さで圧電基板1の一端から他端まで を貫通するように直線状に溝加工を行なう構 成によれば、溝加工の際にダイシングブレー ド30での上下動を利用した加工方法、すなわ いわゆるチョッパー加工を行なう必要がな 、回転するダイシングブレード30を一直線 に移動させるだけでよく、特殊なダイシン マシンを必要としないので好都合である。

 ダイシングブレード30の上下動を利用し チョッパー加工によりインク溝の一部にダ シングブレードの外径形状を転写させるこ によって、溝深さが徐々に浅くなるR形状部 形成し、さらに、その続きとして外部接続 子を形成するための浅溝部を形成した構成 した場合、R形状部の長さは、インク溝の駆 動部分が深いほど、また、浅溝部が浅いほど 大きくなる。また、R形状部の長さは、ダイ ングブレードの外径が大きいほど大きくな 。そのため、結果的に1枚のウエハ状の圧電 板から取得することができるインクジェッ ヘッドの数(いわゆる「取れ数」)に大きく 響する。

 仮に、インク溝の深さが240μm、浅溝部の さが5μm、ブレードの外径が25.4mmであったと すると、ブレードの外径形状が転写された領 域Lは、次式によって求められる。

L=3.48mm
 このインクジェットヘッドの吐出に必要な 域の長さを3mmとする。浅溝部は全体が外部 続端子として形成されるものとし、外部接 端子の長さを1mmとした場合、インクジェッ ヘッドのインク溝長手方向の長さは3.48+3+1=7 .48mmとなる。

 この構成において、1つのインクジェットヘ ッドの長さ全体のうちでR形状部が占める部 は、
(3.48+1)/7.48×100=約60%
すなわち、インクの吐出に寄与しない部分が 約60%となる。

 上述のように、圧電基板に対する溝加工 際に、一定深さで圧電基板1の一端から他端 までを貫通するように直線状に行なうことと すれば、個別のインクジェットヘッドのサイ ズに対応する圧電基板1の範囲内で考えても 上記のブレードの外径形状が転写された領 L=3.48mmは必要なくなり、さらに図4に示した うに配線基板10を圧電基板に垂直な向きで取 り付けることとすれば、外部接続端子のため の長さも不要となるので、合わせてインクジ ェットヘッドの長さを約60%短くすることがで きる。インクジェットヘッドを1つ作るのに 要な圧電基板の長さがそれだけ短くなると うことは、ウエハ1枚当たりのインクジェッ ヘッドの取れ数が増大し、インクジェット ッド1つ当たりのコストの低下を図ることが できる。

 なお、上記各実施の形態では、説明の便 のためにノズル孔の数を少なく描いている 、ノズル孔の数はより多くてもよい。圧電 板51は四角形には限らず円形などであって よい。

 なお、今回開示した上記実施の形態はす ての点で例示であって制限的なものではな 。本発明の範囲は上記した説明ではなくて 求の範囲によって示され、請求の範囲と均 の意味および範囲内でのすべての変更を含 ものである。

 本発明は、インクジェットヘッドおよび の製造方法に利用することができる。イン ジェットヘッドはたとえばプリンタなどに いられる。