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Patent Searching and Data


Title:
INSTRUMENT AND METHOD FOR TREATING MINOR AMOUNT OF BIOLOGICAL MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/088088
Kind Code:
A1
Abstract:
A technique for treating a minor amount of a biological material whereby the respective cell counts of cells of different types or the two- or three-dimensional configurations of the cells are controlled to observe the interaction between single cells. Provided is an instrument for treating a minor amount of a biological material. Namely, an instrument for treating a minor amount of a biological material which comprises a construct and a base material supporting the construct in a releasable manner, characterized in that the above-described construct is supported on the surface of the above-described base material in such a state that a part of the construct is exposed on the outer face of the above-described instrument and at least a part of the surface of the above-described construct exposed on the outer face of the above-described instrument is treated so as to allow the adhesion of a minor amount of a biological material thereto.

Inventors:
TAKEUCHI SHOJI (JP)
ONOE HIROAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050255
Publication Date:
July 16, 2009
Filing Date:
January 09, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UNIV TOKYO (JP)
TAKEUCHI SHOJI (JP)
ONOE HIROAKI (JP)
International Classes:
C12M3/00; C12M1/14; C12M1/40; C12N5/07; C12N5/071; C12Q1/00
Foreign References:
JP2005333938A2005-12-08
JPS6447372A1989-02-21
JP2007300866A2007-11-22
JP2007215473A2007-08-30
JP2007175581A2007-07-12
JP2007010867A2007-01-18
Other References:
WRIGHT, D. ET AL., LAB ON A CHIP, vol. 7, 2007, pages 1272 - 1279
HUI, E. E.; BHATIA, S. N., PROC. NATL. ACAD. SCI. U.S.A., vol. 104, 2007, pages 5722 - 5726
ONOE, H. ET AL., JOURNAL OF MICROMECHANICS AND MICROENGINEERING, vol. 17, 2007, pages 1818 - 1827
YEH, H. J. J.; SMITH, J. S., IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS, vol. 6, 1994, pages 706 - 708
BOWDEN, N. ET AL., LANGMUIR, vol. 17, 2001, pages 1757 - 1765
Attorney, Agent or Firm:
USHIKI, Mamoru (Yusei Fukushi Kotohira Bldg. 14-1, Toranomon 1-chome, Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 微量の生物学的材料を取り扱うための器具であって、
 構造体と、該構造体を遊離可能なように保持する基材とからなり、前記構造体は、前記器具の外表に前記構造体の一部が露出した状態で前記基材の表面に保持され、前記器具の外表に露出した前記構造体の表面の少なくとも一部は微量の生物学的材料を接着させることができるような処理が施されることを特徴とする、微量の生物学的材料を取り扱うための器具。
 前記基材は粘着力を備えた弾性基材であり、前記構造体は、前記粘着力によって、前記器具の外表に前記構造体の一部が露出した状態で前記弾性基材の表面に保持され、前記構造体は前記弾性基材に応力を加えることによって該弾性基材から遊離されることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
 前記微量の生物学的材料は1個の前記構造体につき1個の細胞であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の器具。
 前記生物学的材料は動物細胞であり、前記器具の外表に露出した前記構造体の表面は1個の前記動物細胞だけが伸展できる寸法を有することを特徴とする、請求項3に記載の器具。
 前記微量の生物学的材料は、前記構造体2個又は3個以上につき1個の動物細胞であり、前記器具の外表に露出した前記構造体の表面は1個の動物細胞が伸展できる寸法より小さく、前記1個の動物細胞は前記2個又は3個以上の構造体を引き寄せて立体的な細胞足場を形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の器具。
 前記構造体は光学的な透過性があることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の器具。
 前記構造体は自己組織的に組み上がる機能を有することを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の器具。
 前記自己組織的に組み上がる機能は、前記構造体の表面に凹陥部と凸出部とが設けられ、1個の構造体の表面の凹陥部が他の1個の構造体の表面の凸出部と相補的に嵌合することにより達成されることを特徴とする、請求項7に記載の器具。
 前記自己組織的に組み上がる機能は、前記構造体の表面に親水性部分及び/又は疎水性部分が設けられ、1個の構造体の表面の親水性部分が他の1個の構造体の表面の親水性部分と接し、及び/又は、1個の構造体の表面の疎水性部分が他の1個の構造体の表面の疎水性部分と接することにより達成されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の器具。
 請求項1ないし9のいずれか1つに記載の器具と、生物学的材料とを含むことを特徴とする、微量の生物学的材料を解析するためのキット。
 前記生物学的材料の微量が前記器具に接着されていることを特徴とする、請求項10に記載のキット。
 前記生物学的材料は細胞であることを特徴とする、請求項10又は11に記載のキット。
 基板に支持部を介して一体成形された構造体を、該構造体を遊離可能なように保持できる基材の表面に保持させるステップと、
 前記基材上の前記構造体に生物学的材料を懸濁した液体を戴置して、微量の前記生物学的材料を前記構造体の表面の少なくとも一部に接着させるステップと、
 前記生物学的材料が接着した前記構造体を前記基材から遊離させるステップと、
 前記生物学的材料が接着した前記構造体を移動するステップとを含むことを特徴とする、微量の生物学的材料を取り扱う方法。
 前記構造体を遊離可能なように保持できる基材の表面に保持させるステップは、前記基材を押し付けることにより、前記構造体を前記基材の表面に圧着させるステップであり、
 前記圧着させるステップの後に、前記押し付けることにより生じる圧力により前記支持部を破壊するとともに、前記構造体を前記基材の表面に保持し、前記基板から分離させるステップを含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
 前記構造体を前記基材の表面に圧着させるステップと、前記基板から分離させるステップとは、複数の構造体について別々に実施され、
 前記複数の構造体のうちの1つが保持された基材に他の構造体が保持された基材を押し付けることにより、前記複数の構造体の1つの表面に前記他の構造体が接着された立体的な形状の構造体が形成されるステップを含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
 前記基材は粘着力を備えた弾性基材であり、
 前記構造体を前記基材の表面に圧着させるステップは、基板に支持部を介して一体成形された構造体に、前記粘着力を備えた弾性基材を押し付けることにより、該弾性基材に生じる弾性力を利用して前記構造体を前記弾性基材の表面に圧着させるステップであり、
 前記基板から分離させるステップは、前記押圧力により前記支持部を破壊するとともに、前記粘着力により前記構造体を前記弾性基材の表面に保持し、前記基板から分離させるステップであり、
 前記生物学的材料が接着した前記構造体を前記基材から遊離させるステップは、前記弾性基材に応力を加えて変形させることにより、前記生物学的材料が接着した前記構造体を前記弾性基材から遊離させるステップであることを特徴とする、請求項14又は15に記載の方法。
 前記保持させるステップの前に、前記生物学的材料と前記構造体との接着を増強させる処理を施すステップを含むことを特徴とする、請求項14ないし16のいずれか1つに記載の方法。
 前記微量の生物学的材料は1個の前記構造体につき1個の細胞であることを特徴とする、請求項13ないし17のいずれか1つに記載の方法。
 前記微量の生物学的材料は2個又は3個以上の前記構造体につき1個の細胞であることを特徴とする、請求項13ないし18のいずれか1つに記載の方法。
 前記構造体は自己組織的に組み上がる機能を有することを特徴とする、請求項13ないし19のいずれか1つに記載の方法。
 請求項7ないし9のいずれか1つに記載の器具を2個又は3個以上用意するステップであって、前記器具に含まれる構造体は、異なる器具由来の構造体だけが自己組織的に組み上がり、同じ器具由来の構造体の間では自己組織的に組み上がらないように設計される、前記器具を2個又は3個以上用意するステップと、
 微量の生物学的材料を前記2個又は3個以上の器具のそれぞれの外表に露出した前記構造体の表面に接着させるステップと、
 前記微量の生物学的材料が接着した構造体をそれぞれの器具の前記基材から遊離させるステップと、
 前記微量の生物学的材料が接着した構造体を混合して自己組織的に組み上がらせて、異なる器具由来の構造体からなる集合体を形成させるステップと、
 前記集合体を形成した前記構造体の表面に接着した前記微量の生物学的材料の間で相互作用が起こるように反応させるステップと、
 前記微量の生物学的材料の間での相互作用を前記集合体ごとに解析するステップとを含むことを特徴とする、微量の生物学的材料の間の相互作用を解析する方法。
 それぞれの前記器具ごとに異なる種類の前記微量の生物学的材料を前記構造体に接着させることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
Description:
微量の生物学的材料を取り扱う めの器具及び方法

 本発明は、微量の生物学的材料を取り扱 ための器具及び方法と、微量の生物学的材 の間の相互作用を解析する方法とに関し、 り具体的には、基質に接着した状態の単一 胞を取り扱うための器具及び方法と、単一 胞どうしの相互作用を個別に解析する方法 に関する。

 微量の生物学的材料、例えば、基質に接 した状態の単一細胞を個別に取り扱う技術 開発することは、生命現象を1分子計測によ り理解し工学的に応用するために重要な課題 である。従来技術で報告された1つのアプロ チは、MEMS技術を用いて加工したパリレン製 テンシルを用いて、同一の培養容器の基質 細胞接着特性を逐次的に変化させることに り、特定のパターンで複数の細胞タイプの 胞が配置されるように細胞を接着させて混 培養することである(非特許文献1)。また、 のアプローチでは、微細加工された櫛状の 造体を複数用意して、それぞれの櫛状の構 体の表面に異なる細胞タイプの細胞を接着 せておいたうえで、両方の構造体の櫛状部 が嵌合させることにより、所定の間隔を置 て複数の細胞タイプの細胞が配置されるよ に混合培養することである(非特許文献2)。

先行技術文献

Wright, D.ら、Lab on a Chip, 7: 1272-1279 (20 07) Hui, E. E.及びBhatia, S. N.、Proc. Natl. Acad . Sci. U. S. A., 104: 5722-5726 (2007)

 しかしながらこれらの従来技術では、異 る細胞タイプの細胞集団の間での相互作用 起こっており、厳密には、同一の細胞タイ の細胞間の相互作用と、異なる細胞タイプ 細胞間の相互作用とが混在していて、異な 細胞タイプの細胞間の相互作用のみを観測 ることはできない点が問題である。そこで 異なる細胞タイプのそれぞれの細胞の細胞 や細胞の2次元又は3次元的配置を制御して 単一細胞間の相互作用だけを観測するため 、微量の生物学的材料を取り扱うための技 を開発する必要がある。

 本発明は、微量の生物学的材料を取り扱 ための器具を提供する。本発明の微量の生 学的材料を取り扱うための器具は、構造体 、該構造体を遊離可能なように保持する基 とからなり、前記構造体は、前記器具の外 に前記構造体の一部が露出した状態で前記 材の表面に保持され、前記器具の外表に露 した前記構造体の表面の少なくとも一部は 量の生物学的材料を接着させることができ ような処理が施されることを特徴とする。

 前記本発明の器具において、前記基材は 着力を備えた弾性基材であり、前記構造体 、前記粘着力によって、前記器具の外表に 記構造体の一部が露出した状態で前記弾性 材の表面に保持され、前記構造体は前記弾 基材に応力を加えることによって該弾性基 から遊離されることを特徴とする場合があ 。

 前記本発明の器具は、前記微量の生物学 材料が1個の前記構造体につき1個の細胞で ることを特徴とする場合がある。

 前記本発明の器具は、前記生物学的材料 動物細胞であり、前記器具の外表に露出し 前記構造体の表面が1個の前記動物細胞だけ が伸展できる寸法を有することを特徴とする 場合がある。

 前記本発明の器具は、前記微量の生物学 材料が、前記構造体2個又は3個以上につき1 の動物細胞であり、前記器具の外表に露出 た前記構造体の表面が1個の動物細胞が伸展 できる寸法より小さく、前記1個の動物細胞 前記2個又は3個以上の構造体を引き寄せて立 体的な細胞足場を形成することを特徴とする 場合がある。

 前記本発明の器具は、前記構造体が光学 な透過性があることを特徴とする場合があ 。

 前記本発明の器具は、前記構造体が自己 織的に組み上がる機能を有することを特徴 する場合がある。

 前記本発明の器具において、前記自己組 的に組み上がる機能は、前記構造体の表面 凹陥部と凸出部とが設けられ、1個の構造体 の表面の凹陥部が他の1個の構造体の表面の 出部と相補的に嵌合することにより達成さ ることを特徴とする場合がある。

 前記本発明の器具において、前記自己組 的に組み上がる機能は、前記構造体の表面 親水性部分及び/又は疎水性部分が設けられ 、1個の構造体の表面の親水性部分が他の1個 構造体の表面の親水性部分と接し、及び/又 は、1個の構造体の表面の疎水性部分が他の1 の構造体の表面の疎水性部分と接すること より達成されることを特徴とする場合があ 。

 本発明は、微量の生物学的材料を解析す ためのキットを提供する。本発明のキット 、前記本発明の微量の生物学的材料を取り うための器具と、生物学的材料とを含むこ を特徴とする。

 前記本発明のキットは、前記生物学的材 の微量が前記器具に接着されていることを 徴とする場合がある。

 前記本発明のキットは、前記生物学的材 が細胞であることを特徴とする場合がある

 本発明は、微量の生物学的材料を取り扱 方法を提供する。本発明の微量の生物学的 料を取り扱う方法は、基板に支持部を介し 一体成形された構造体を、該構造体を遊離 能なように保持できる基材の表面に保持さ るステップと、前記押圧力により前記支持 を破壊するとともに、前記構造体を前記基 の表面に保持し、前記基板から分離させる テップと、前記基材上の前記構造体に生物 的材料を懸濁した液体を戴置して、微量の 記生物学的材料を前記構造体の表面の少な とも一部に接着させるステップと、前記構 体を前記基材から遊離させるステップと、 記生物学的材料が接着した前記構造体を移 するステップとを含むことを特徴とする。

 前記本発明の微量の生物学的材料を取り う方法において、前記構造体を遊離可能な うに保持できる基材の表面に保持させるス ップは、前記基材を押し付けることにより 前記構造体を前記基材の表面に圧着させる テップであり、前記圧着させるステップの に、前記押し付けることにより生じる圧力 より前記支持部を破壊するとともに、前記 造体を前記基材の表面に保持し、前記基板 ら分離させるステップを含むことを特徴と る場合がある。

 前記本発明の微量の生物学的材料を取り う方法において、前記構造体を前記基材の 面に圧着させるステップと、前記基板から 離させるステップとは、複数の構造体につ て別々に実施され、前記複数の構造体のう の1つが保持された基材に他の構造体が保持 された基材を押し付けることにより、前記複 数の構造体の1つの表面に前記他の構造体が 着された立体的な形状の構造体が形成され ステップを含むことを特徴とする場合があ 。

 前記本発明の微量の生物学的材料を取り う方法において、前記基材は粘着力を備え 弾性基材であり、前記構造体を前記基材の 面に圧着させるステップは、基板に支持部 介して一体成形された構造体に、前記粘着 を備えた弾性基材を押し付けることにより 該弾性基材に生じる弾性力を利用して前記 造体を前記弾性基材の表面に圧着させるス ップであり、前記基板から分離させるステ プは、前記押圧力により前記支持部を破壊 るとともに、前記粘着力により前記構造体 前記弾性基材の表面に保持し、前記基板か 分離させるステップであり、前記生物学的 料が接着した前記構造体を前記基材から遊 させるステップは、前記弾性基材に応力を えて変形させることにより、前記生物学的 料が接着した前記構造体を前記弾性基材か 遊離させるステップであることを特徴とす 場合がある。

 前記本発明の微量の生物学的材料を取り う方法は、前記圧着させるステップの前に 前記生物学的材料と前記構造体との接着を 強させる処理を施すステップを含むことを 徴とする場合がある。

 前記本発明の微量の生物学的材料を取り う方法において、前記微量の生物学的材料 1個の前記構造体につき1個の細胞であるこ を特徴とする場合がある。

 本発明の微量の生物学的材料を取り扱う 法において、前記微量の生物学的材料は2個 又は3個以上の前記構造体につき1個の細胞で ることを特徴とする場合がある。

 本発明の微量の生物学的材料を取り扱う 法において、前記構造体は自己組織的に組 上がる機能を有することを特徴とする場合 ある。

 本発明は、微量の生物学的材料の間の相 作用を解析する方法を提供する。本発明の 量の生物学的材料の間の相互作用を解析す 方法は、前記構造体が自己組織的に組み上 る機能を有することを特徴とする本発明の 量の生物学的材料を取り扱うための器具を2 個又は3個以上用意するステップであって、 記器具に含まれる構造体は、異なる器具由 の構造体だけが自己組織的に組み上がり、 じ器具由来の構造体の間では自己組織的に み上がらないように設計される、前記器具 2個又は3個以上用意するステップと、微量の 生物学的材料を前記2個又は3個以上の器具の れぞれの外表に露出した前記構造体の表面 接着させるステップと、前記微量の生物学 材料が接着した構造体をそれぞれの器具の 記基材から遊離させるステップと、前記微 の生物学的材料が接着した構造体を混合し 自己組織的に組み上がらせ、異なる器具由 の構造体からなる集合体を形成させるステ プと、前記集合体を形成した前記構造体の 面に接着した前記微量の生物学的材料の間 相互作用が起こるように反応させるステッ と、前記微量の生物学的材料の間での相互 用を前記集合体ごとに解析するステップと 含むことを特徴とする。

 前記本発明の微量の生物学的材料の間の 互作用を解析する方法においては、それぞ の前記器具ごとに異なる種類の前記微量の 物学的材料を前記構造体に接着させる場合 ある。

 本発明は、微量の生物学的材料を取り扱 ための器具を提供する。本発明の器具は、 造体と、該構造体を溶媒中で保持すること できる基材とからなり、前記構造体の表面 少なくとも一部は微量の生物学的材料を接 させることができるような処理が施され、 記構造体の表面の別の一部と前記基材の表 の一部との特異的な相互作用によって、前 構造体は前記基材に保持されることを特徴 する、微量の生物学的材料を取り扱うため 器具である。

 前記器具において、前記構造体はポリパラ シリレンでできており、前記溶媒は水溶液 あり、前記微量の生物学的材料を接着させ ことができるような処理はO 2 プラズマ照射処理の場合がある。

 前記器具において、前記特異的な相互作 は疎水性相互作用の場合がある。

 前記器具において、前記構造体の表面の の一部は疎水性処理が施される場合がある

 前記器具において、前記基材の表面の一 は疎水性処理が施され、油滴が付着してい 場合がある。

 前記器具において、前記特異的な相互作 は電磁気学的相互作用の場合がある。

 前記器具において、前記電磁気学的相互 用は、電界とそれにより誘導された電気双 子モーメントとの相互作用である場合があ 。

 前記器具において、前記特異的な相互作 は、生体分子と、該生体分子に対する特異 結合パートナーとの相互作用の場合がある

 前記器具において、前記特異的な相互作 は、糖類とレクチンとの特異的な相互作用 場合がある。

 前記器具において、前記特異的な相互作 は、抗原と抗体との特異的な相互作用の場 がある。

 前記器具において、前記特異的な相互作 は、核酸の相補的対合による特異的な相互 用の場合がある。

 前記器具において前記特異的な相互作用 、金属イオンと、該金属イオンに特異的な レート剤との相互作用の場合がある。

 本発明は、微量の生物学的材料を取り扱 ための器具を提供する。本発明の器具は、 なくとも2個の構造体と、該構造体を遊離可 能なように保持する基材とからなり、前記構 造体は、前記器具の外表に前記構造体の一部 が露出した状態で前記基材の表面に保持され 、前記器具の外表に露出した前記構造体の表 面の少なくとも一部は微量の生物学的材料を 接着させることができるような処理が施され る。

 前記器具において、前記微量の生物学的 料は1個又は2個以上の細胞であり、該細胞 少なくとも1個が前記少なくとも2個の構造体 の表面に接着して、該少なくとも2個の構造 を引き寄せて立体的な細胞足場を形成する 合がある。

 前記器具において、前前記少なくとも2個 の構造体は、前記立体的な細胞足場が凸多面 体又はその一部を形成するように配置される 場合がある。

 本発明は、細胞と構造体とからなる集合 の作成方法を提供する。本発明の集合体の 成方法は、本発明の微量の生物学的材料を り扱うための器具と、細胞とを用意するス ップと、前記細胞の少なくとも1個が前記器 具の少なくとも2個の構造体の表面に接着す ように播種して培養するステップと、培養 で、前記細胞が前記少なくとも2個の構造体 引き寄せて、該構造体の表面が前記細胞を り囲んで、立体的な細胞足場を形成させる テップとを含み、前記立体的な細胞足場は 前記構造体の表面が凸多面体又はその一部 なる。

 前記集合体の作成方法において、前記構 体は物理的性質のセンサーを含む場合があ 。

 本発明は、細胞の物理的性質を測定する 法を提供する。本発明の細胞の物理的性質 測定する方法は、本発明の細胞と構造体と らなる集合体の作成方法によって作成され 細胞と構造体とからなる集合体を用意する テップと、前記構造体のうち少なくとも1個 に含まれる物理的性質のセンサーを用いて、 前記細胞の物理的性質を測定するステップと を含む。

 本発明の細胞の物理的性質を測定する方 において、前記細胞の物理的性質は、弾性 硬度、電位及び膜輸送からなるグループか 選択される場合がある。

基質に接着して伸展したNIH3T3細胞(A)及 HepG2細胞(B)を示す顕微鏡写真。 本発明の器具及び方法を示す模式図。 基材の表面に圧着するステップの直前 本発明の構造体の光学顕微鏡写真(A)、走査 子顕微鏡写真(B)及び断面模式図(C)。 3T3細胞が、基材ではなく、該基材の上 保持された構造体に選択的に接着している とを示す顕微鏡写真(A)及び断面模式図(B)。 細胞が接着した構造体をガラス管を用 て基材から遊離させる様子の模式図(A)と、 記構造体を前記ガラス管の液流により移動 せる様子の模式図(B)。 細胞が接着した構造体をガラス管から 液流で移動させる様子をしめす連続写真。 異なる形状の構造体を用いて異なる細 タイプの細胞を同時に取り扱う様子をしめ 模式図(A)と、顕微鏡写真(B)、(C)及び(D)。 本発明の微量の生物学的材料を取り扱 ための器具の製造方法を示す模式図。 本発明の微量の生物学的材料を取り扱 ための器具を用いて、細胞と構造体とから る集合体を作成する実施例の実験結果を示 顕微鏡写真。 本発明の微量の生物学的材料を取り扱 うための器具のさらなる実施例

 本明細書における生物学的材料とは、生 に由来するいずれかの材料を指し、生物個 、臓器、組織及び細胞と、ミトコンドリア 葉緑体、染色体、分裂装置、リソソーム、 ルジ体等の細胞内小器官と、ウイルス、DNA 製酵素複合体、転写/RNAプロセッシング複合 体、リボソーム、イオンチャンネル、細胞表 面レセプター複合体等の分子集合体と、核酸 、タンパク質、炭水化物等の生体高分子と、 ホルモン、セカンドメッセンジャー、酵素基 質、代謝中間体等の他の生物学的材料と相互 作用を起こす全ての化合物とを含むが、これ らに限定されない。好ましい生物学的材料は 、細胞、特に、固体である基質に接着した状 態で他の細胞タイプの細胞と相互作用を起こ す多細胞生物の細胞である。

 本発明において「微量」の生物学的材料 は、少なくとも1個の構造体について1個の 胞、1分子の生体高分子又は化合物、あるい 、最小単位の分子集合体を指すが、1個の細 胞、1分子の生体高分子又は化合物、あるい 、最小単位の分子集合体の位置を前記構造 の表面において制御して取り扱うことが可 であることを条件として、少なくとも1個の 造体について複数個の細胞、複数分子の生 高分子又は化合物、あるいは、複数個の最 単位の分子集合体を指す場合がある。

 本発明における生物学的材料の接着とは 固体基質である構造体の表面と当該生物学 材料との接着をいう。前記生物学的材料が 細胞内小器官、分子集合体、生体高分子及 化合物の場合には、静電気的な荷電による 着を含む、いずれかの共有結合及び/又は非 共有結合による構造体への不動化をいう。前 記生物学的材料が細胞の場合には、前記いず れかの共有結合及び/又は非共有結合による 造体への不動化のような非生理的現象と、 胞-基質間接着のような細胞の生理現象とを む。前記細胞が2個または3個以上の場合に 、細胞-細胞間接着も含む。

 本発明において、微量の生物学的材料を 着させることができるような処理とは、そ ぞれの構造体に接着する生物学的材料の個 を制御する処理をいう。さらに、それぞれ 構造体に接着する生物学的材料の構造体の 面上の位置も制御できる場合がある。前記 理の具体的な手順は、前記生物学的材料が 胞の場合と、細胞内小器官、分子集合体、 体高分子及び/又は化合物の場合とで異なる 。前記生物学的材料が細胞の場合には、それ ぞれの構造体の表面に接着する細胞の個数は 、例えば、当該細胞が伸展するときに占める 基質の寸法に基づいて、前記構造体の表面の 寸法を設計することにより制御することがで きる。また、前記構造体の表面の形状や、表 面の細胞との接着特性を変化させることによ って、前記構造体の表面の特定の部分にだけ 細胞が接着するように制御することができる 。2個又は3個以上の構造体について1個の細胞 が接着する状態は、例えば、それぞれの構造 体の表面の寸法が当該細胞が伸展するときに 占める基質の寸法より小さいが、本発明の器 具の表面に当該細胞を接触させるとき前記構 造体が隣接して配置され、2個又は3個以上の 造体の表面に1個の細胞が接着する場合に得 られる。1個の細胞が伸展するときに占める 質の寸法は、細胞タイプの他、基質の細胞 着特性、細胞周期等に応じて異なるが、例 ば静止期のマウスNIH3T3細胞及びヒト肝癌HepG2 細胞では約50ないし75μmの直径である(図1)。 記生物学的材料が、分子集合体、生体高分 及び化合物の場合には、いわゆる1分子操作 術として知られる手法を用いて、構造体に 着する生物学的材料の数及び位置を制御す ことができる。

 本発明の構造体は、複数個の細胞からな 細胞塊に複数の構造体が接着する場合もあ 。例えば、隣接して基材上に配置された構 体に接着した1個又は2個以上の細胞が増殖 て、複数の構造体に接着した細胞塊に成長 る場合がある。また、自己組織的に組み上 る機能を有する構造体に細胞を接着させて ら、構造体を基材から遊離させ、構造体を 己組織的に組み上がらせる場合や、あらか め自己組織的に組み上がらせた構造体の集 体に細胞を接着させる場合がある。

 本発明において、生物学的材料と構造体 の接着を増強させる処理とは、構造体の表 に、コラーゲンの他、フィブロネクチン、 トロネクチン、ラミニン、ニドジェン、テ イシン、トロンボスポンジン、von Willebrand 子、オステオポンチン、フィブリノーゲン エラスチン、プロテオグリカン等の細胞と 質との接着に関与することが知られている 質をコーティングする処理をいう。また、 造体の表面に、プラズマ処理、フッ酸処理 は紫外線照射処理を施すことによって、前 構造体を基板から分離させる際に破壊した 持部のうち前記構造体の表面に残った部分 除去すること、及び/又は、前記構造体の表 面を清浄にすることも、生物学的材料と構造 体との接着を増強させる処理に含まれる。

 本発明において、生物学的材料を取り扱 とは、該生物学的材料を運搬すること、異 る組成のメディウムに移すこと、一定の温 、pH、溶存ガス組成の下で静置培養するこ 、蛍光物質等で標識すること、顕微鏡の視 内に置いて観察すること、顕微鏡下で物質 注入又は吸引するか、電極を穿刺するか、 体プローブを前記生物学的材料に接触させ 剛性等の物性を測定すること、光ピンセッ その他の物理的手段で非接触的に細胞運動 細胞内小器官の運動、分子の挙動等を測定 ること等を含むが、これらに限定されない まざまな作業をいう。前記生物学的材料の 搬は、該生物学的材料が接着した構造体を ールディングピペット等の固体で保持して 動することのほか、ピペットからメディウ を噴出させる等によって生じた液流によっ 前記構造体を運搬することを含むが、これ に限定されない。

 本発明において、生物学的材料の間の相 作用とは、細胞分化、形態形成のような発 現象に伴う相互作用と、ニューロン-ニュー ロン間、ニューロン-筋肉細胞間、ニューロ -感覚細胞間等における神経生理学的な相互 用と、抗原提示細胞とT細胞、抗原提示細胞 とB細胞等における免疫学的な相互作用と、 皮細胞-間葉細胞間、ニューロン-グリア細胞 間等における相互作用と、ホルモン、サイト カイン等の液性因子とその標的細胞との相互 作用とを含む細胞レベルの相互作用の他、細 胞内小器官レベルでの相互作用や、複製、転 写、翻訳、シグナル伝達、呼吸、代謝等に関 与する分子集合体レベルでの相互作用や、酵 素と基質及び/又は調節因子との相互作用や 生体高分子の立体構造や会合状態の変化を むが、これらに限定されない。

 本発明における生物学的材料の間の相互 用の解析とは、細胞や細胞内小器官の形態 変化、遺伝子発現、タンパク質その他の生 分子の産生、細胞内のイオン濃度の変化、 素活性、分子集合体又は生体高分子の会合 態の変化等の生化学的な変化、細胞膜の流 性、膜の興奮性等の物理的な変化を含むが これらに限定されない。これらのうち、細 や細胞内小器官の形態の変化は光学顕微鏡 用いて観察することができる。遺伝子発現 の他の生化学的な変化や、細胞膜の流動性 ような物理的な変化の一部は、発色反応や 光標識技術、さらには1分子イメージング技 術により光学顕微鏡を用いて観察することが できる。また細胞内のイオン濃度の変化や膜 の興奮性の変化は、細胞を接着させる構造体 の表面に微細加工を施して電極を設けること によって測定することができる。

 本発明の微量の生物学的材料を取り扱う めの器具は、構造体と、該構造体を遊離可 なように保持する基材とからなる。前記基 は、粘着力を備えた弾性基材の場合がある 前記器具は、基板に支持部を介して一体成 された構造体を、該構造体を遊離可能なよ に保持できる基材の表面に保持させるステ プと、前記押圧力により前記支持部を破壊 るとともに、前記構造体を前記基材の表面 保持し、前記基板から分離させるステップ により作成される場合がある。前記構造体 遊離可能なように保持できる基材の表面に 持させるステップは、前記基材を押し付け ことにより、前記構造体を前記基材の表面 圧着させるステップであり、前記圧着させ ステップの後に、前記押し付けることによ 生じる圧力により前記支持部を破壊すると もに、前記構造体を前記基材の表面に保持 、前記基板から分離させるステップを含む 合がある。前記器具を作成する方法は、前 構造体を前記基材の表面に圧着させるステ プと、前記基板から分離させるステップと 、複数の構造体について別々に実施され、 記複数の構造体のうちの1つが保持された基 材に他の構造体が保持された基材を押し付け ることにより、前記複数の構造体の1つの表 に前記他の構造体が接着された立体的な形 の構造体が形成されるステップを含む場合 ある。

 前記基板は、前記支持部及び前記構造体 形成できる形状又は材料からなる基板であ ば、特定のものに限定されないが、金属,半 導体、セラミックス,ガラス,樹脂等及び/又は これらの複合材料を素材とする基板であるの が好ましい。前記支持部は、前記支持部上に 前記構造体を形成して支持できる形状又は材 料からなる支持部であれば、特定のものに限 定されないが、前記基板と前記構造体との間 に形成した支持材料の少なくとも一部を除去 することにより形成するのが好ましい。前記 支持材料の少なくとも一部を除去することに よって支持部を形成することにより、前記構 造体の配置を変えずに、前記構造体を支持す る前記支持部を形成することができる。また 、前記支持部は、前記基板に連通する連通部 を有する犠牲膜を前記基板上に形成し、前記 犠牲膜の前記連通部を埋めるように前記構造 体を形成した後に、前記犠牲膜を除去するこ とによって形成してもよい。この場合、前記 連通部が支持部となる。前記犠牲膜を除去す ることによって支持部を形成することにより 、前記構造体の配置を変えずに、前記構造体 を支持する前記支持部を形成することができ る。

 さらに、前記支持部の形状は、外部から 圧力により破壊することのできる形状であ ば、特定のものに限定されないが、柱状で るのが好ましい。前記支持部の形状が柱状 あることにより、前記支持部は前記構造体 支持するだけでなく、前記構造体の上部方 からの押圧力によって前記支持部を破壊す ことができるようになる。

 本発明の器具は、接着させる生物学的材 や解析したい相互作用の種類に応じて、無 処理を施したり、生体毒性のない素材及び 造方法で製作される。

 本発明の構造体は、形状又は材料などが 定のものに限定されることがなく、自然界 存在する構造体又は人工的に形成された構 体であってもよい。本明細書の実施例の構 体は平板、ディスク状又は円錐台の形状で るが、微量の生物学的材料を接着できるこ を条件として、いかなる形状のものであっ もよい。例えば、四面体、ピラミッド又は 角錐を含む3次元形状のものであってもよい 。また、一体として形成されるものの他、複 数のセグメントからなり、該セグメントの連 結部分が固定されるか、あるいは、可動にな っているものを含む。

 本発明の構造体は、例えば、光リソグラ ィ、エッチング等の従来の微細加工技術を 合せて、犠牲層の除去により立体的な構造 することができる(EE Text センサ・マイク マシン工学、藤田博之編著、オーム社(2005)) 代替策として、以下に説明する押印転写法( 特願2007-10867号明細書及びOnoe, H.ら、Journal of  Micromechanics and Microengineering, 17: 1818-1827 (2 007))を利用する場合がある。本発明の実施例 は押印転写法は、基板と支持部で連結した 造体に基材を押印すると、基板から構造体 分離されて基材上に保持されることにより 分離された構造体が基材上に転写される。 のを複数回繰り返すことによって立体的な 状を有する構造体を作成することができる すなわち、第1の基板から分離されて第1の 材上に保持された第1の構造体と、第2の基板 から分離されて第2の基材上に保持された第2 構造体とを用意して、第1の構造体と第2の 造体とを圧着させて得られる第1の構造体と 2の構造体との複合体を第1の基材又は第2の 材の上に保持させることにより、立体的な 状を有する構造体を作成することができる これをさらに、第3の基材上に保持された第 3の構造体、第4の基材上に保持された第4の構 造体、・・・について繰り返すこともできる 。また、従来の微細加工技術と前記押印転写 法とを組み合わせて立体的な形状を有する構 造体を作成することもできる。

 本発明の構造体は、従来の微細加工技術 び/又は前記押印転写法を、単独で、あるい は、組み合わせて作成された立体的な形状を 有する鋳型を使って作成される成形品の場合 がある。前記成形品は、プラスチック、セラ ミック及びハイドロゲルと、これらの複合材 料とを含むが、これらに限定されない材料を 用いて作成される場合がある。

 本発明の基材は、遊離可能なように構造 を保持することができる基材であれば、い なるものでもかまわない。遊離可能なよう 基材が構造体を保持するには、物理的な原 による方法と、化学的な原理による方法と ある。前者には、応力、圧力、振動、超音 、光、電気、熱、静電気等を基材に適用す ことによって構造体が基材から遊離するも が含まれる。後者には、イオンその他の物 の濃度やイオン強度を変化させることによ て構造体が基材から遊離するものが含まれ 。

 物理的な原理によって遊離可能なように 造体を保持することができる基材、特に、 力、圧力、振動、超音波、光、電気、熱、 電気等に応答して、粘弾性、表面の親水性 表面張力、表面の平坦性、表面の帯電状態 が変化する物質は、本発明の技術分野の専 家に周知である。本発明の構造体を保持す ことができ、かつ、応力、圧力、振動、超 波等に応答して前記構造体を遊離すること できる基材の好ましい具体例は、シリコン ム、ポリイミド、PET又はPDMSを含むが、これ らに限られない、粘着力のある弾性基材であ る。

 化学的な原理によって遊離可能なように 造体を保持することができる基材も本発明 技術分野の専門家に周知である。抗原と抗 との反応や、酵素と基質との間又は酵素と 害剤との間の相互作用や、ポリヒスチジン ニッケルイオンとの間の相互作用等を含む 、これらに限られない、分子識別の特異性 利用される場合がある。例えば、特異的に 互作用する1対の分子の一方を構造体に、他 方を基材に結合させておき、両者の間の相互 作用によって基材が構造体を保持され、両者 のいずれかを固相に結合しない状態で添加す ることにより、構造体が基材から遊離される 。また、基材と構造体とを接着させる接着剤 と、該接着剤を不活性化できる試薬とを用い る場合がある。さらに、基材と構造体の素材 の組合せによっては、もともと基材と構造体 とが接着しやすいが、基材と構造体との結合 を弱める界面活性剤等の物質を添加すること によって基材から構造体が遊離される場合が ある。

 本発明の基材が粘着力のある弾性基材で って、応力を加えるだけで構造体を遊離す ことができる場合には、構造体に接着した 物学的材料には何ら影響を与えずに基材か 構造体を遊離することができる。その他の 理的原理又は化学的原理によって基材から 造体を遊離させる場合には、生物学的材料 種類又は性質に応じて、あるいは、該生物 的材料が接着した構造体の用途に応じて、 発明の技術分野の専門家が適当な方法を選 できる。

 構造体を基材にアレイ状に配列しておく とにより、ハイスループットで特定の組合 の微量の生物学的材料の間での相互作用を 析することができる。

 本発明の基材において、該構造体を保持 る部分が、突起部として形成される場合が る。本発明の基材としてシリコンゴム、ポ イミド、PET又はPDMSからなる弾性基材を用い ることにより、前記基材に前記構造体を保持 したまま、前記弾性基材の前記突起部の少な くとも一部を局所的に変形させて、前記構造 体を支持する前記支持部を間接的に破壊する ことができる。また、配置における位置精度 を低下させることなく前記構造体を前記基板 から分離することができる。

 前記突起部は、前記構造体の少なくとも 部と接触し、局所的に変形して前記支持部 破壊する突起部であれば、特定のものに限 されない。前記突起部は、粘着力を付与す ことができる弾性基材からなることが好ま い。前記突起部が弾性基材からなることに り、前記基材に前記構造体を保持したまま 前記基材の前記突起部の少なくとも一部を 所的に変形させて、前記構造体を支持する 記支持部を間接的に破壊することができる

 また、前記基材の前記突起部は、複数設 て、各々の前記突起部と、各々の前記突起 と接触する各々の前記構造体とが偏心する うに配置又は形成してもよい。前記突起部 複数設けられることにより、一度に多数の 造体を分離することができる。また、各々 前記突起部と、各々の前記突起部と接触す 各々の前記構造体とが偏心するように配置 は形成されることにより、前記基材の各々 前記突起部が局所的に変形して、前記構造 を支持する前記支持部を間接的に破壊する とができる。また、配置における位置精度 より低下させることなく前記構造体を前記 板から分離することができる。

 さらに、前記基材の前記突起部は、一部 前記突起部の高さが他の前記突起部の高さ 異なっていてもよい。一部の前記突起部の さが他の前記突起部の高さと異なることに り、前記基板上に備えた前記支持部により 持した前記構造体のうち、前記基材の各々 前記突起部と接触する位置に備えられた高 の異なる複数の前記構造体を前記基板から 択的に分離することができる。

 またこれにより、基材上における構造体 配置密度の制御が可能となる。具体的には 基板上に高密度に配置又は形成された構造 の一部分のみを選択的に分離することによ て、構造体を基材上に低密度に配置するこ もできる。これを繰り返すことにより、基 上のより広範囲な任意の位置に構造体を配 することもできる。このような、配置密度 制御は、特に、高価な材料を集積する際に スト的にも有効となる。

 加えて、前記突起部の形状又は寸法は特 のものに限定されず、角状,球状又は柱状な どからなる任意の大きさを有する各種形状で あってもよい。

 本発明における構造体の支持部の破壊は 該支持部を破壊することができれば、特定 ものに限定されないが、前記押圧力の応力 よる破壊又はせん断などを用いた機械的な 壊であるのが好ましい。前記押圧力の応力 はせん断などを用いて機械的に破壊するこ により、前記構造体を支える前記支持部を 接的に破壊することができ、配置における 置精度を低下させることなく前記構造体を 記基板から分離することができる。

 本発明において光学的な透過性とは、可 光領域の波長の光が構造体を透過すること いう。構造体の表面に接着した生物学的材 を落射蛍光観察法又は全反射照明蛍光観察 で鏡検する場合には、紫外領域の波長の光 構造体を透過することが望ましい。また赤 線顕微鏡を用いる場合には、赤外領域の波 の光が構造体を透過することが望ましい。 らに本発明の構造体は、その表面が平坦で ること、その内部の屈折率等の光学特性が 一であることの他、位相差顕微鏡、微分干 顕微鏡、光ピンセット法等のさまざまな光 的な技術の利用に適した光学特性を備える とが望ましい場合がある。

 本発明の構造体について自己組織的に組 上がるとは、摩擦力、表面張力、疎水結合 磁力、静電気を含むがこれらに限定されな 物理的な引力及び/又は斥力か、化学的又は 生物学的な結合か、を用いて、メディウム中 で構造体がランダムに衝突していくうちに、 構造体の集合体が形成され、該集合体におい てそれぞれの構造体は予め定められたパター ンに従って配置されることをいう。本発明の 構造体について自己組織的に組み上がる機能 は、例えば、前記構造体の表面に凹陥部と凸 出部とが設けられ、1個の構造体の表面の凹 部が他の1個の構造体の表面の凸出部と相補 に嵌合することにより達成される場合(例え ば、Yeh, H. J. J.及びSmith, J. S.、 Ieee Photoni cs Technology Letters: 6, 706-708 (1994)を参照せよ 。)があり、あるいは、前記構造体の表面に 水性部分及び/又は疎水性部分が設けられ、1 個の構造体の表面の親水性部分が他の1個の 造体の表面の親水性部分と接し、及び/又は 1個の構造体の表面の疎水性部分が他の1個 構造体の表面の疎水性部分と接することに り達成される場合(例えば、Bowden, N.ら、Langm uir :17, 1757-1765 (2001)を参照せよ。)がある。 た、抗原と抗体との反応や、酵素と基質と 間又は酵素と阻害剤との間の相互作用や、 リヒスチジンとニッケルイオンとの間の相 作用等を含むが、これらに限られない、分 識別の特異性を利用した、化学的又は生物 的な結合により達成される場合がある。さ に、これらのいずれかの組合せにより達成 れる場合がある。

 平板又はディスク状の形状の構造体は、 ディウム中で3次元的に自由に運動できると き、集合体を形成できない場合がある。かか る場合には、前記メディウム中に、該メディ ウムに不溶性の液体を添加して、前記メディ ウムと前記不溶性の液体との間の界面に構造 体を浮かべることにより、構造体が2次元的 自由運動しかできないようにすると、集合 の形成を促進できる場合がある。前記メデ ウムに不溶性の液体は、前記メディウムよ 比重が大きい液体や、基材との間の表面張 が前記メディウムと基材との表面張力より さい液体であることが好ましい。

 集合体を構成する構造体の数や配置パタ ンを制御して、自己組織的に組み上がるよ に構造体を設計すると、それぞれの集合体 接着する生物学的材料を特定の組合せだけ することができる。例えば、2種類の構造体 S1及びS2が1個ずつ集合するように設計して、 造体S1のみを含む器具T1と、構造体S2のみを む器具T2と、異なる細胞タイプの細胞C1及び C2とを用意して、細胞C1の単離懸濁液を器具T1 に接触させ、細胞C2の単離懸濁液を器具T2に 触させる。その後T1及びT2から構造体S1及びS2 を遊離させ、メディウム中で混合することに より構造体S1と構造体S2とが1個ずつからなる 合体が形成される。そして、前記集合体の 面では、1個の細胞C1と1個の細胞C2とだけの 互作用が起こる。なお、構造体S1及びS2の表 面に特定の配向で細胞C1及びC2が接着するよ に微細加工を施すことも可能である。例え 、細胞C1がニューロンで細胞C2が筋細胞のと 、構造体S1とS2が集合体を形成すると、ニュ ーロンの軸索に隣接して筋細胞が配置するこ とができる。このような集合体を用いると、 単一のニューロンと単一の筋細胞との間のシ ナプス形成を同時に多数のサンプルについて リアルタイムで解析することができる。

 本発明の構造体と基材とからなる微量の 物学的材料を取り扱うための器具において 該基材が前記構造体を保持する溶媒は、水 溶媒と油性溶媒と両媒性溶媒とを含む。前 生物学的材料が細胞のとき、前記溶媒は、 細胞に適した水溶液、例えば、培養液であ ことが好ましい。

 前記構造体の表面の別の一部と前記基材 表面の一部との特異的な相互作用は、疎水 相互作用及び電磁気学的相互作用の他、生 分子と、該生体分子に対する特異的結合パ トナーとの相互作用や、金属イオンと、該 属イオンに特異的なキレート剤との相互作 を含むが、これらに限定されない。前記疎 性相互作用は、前記構造体の表面の別の一 と、前記基材の表面の一部とがともに疎水 処理が施され、表面どうしが直接接触する とによって発生する場合がある。代替的に 、油滴のような疎水性の液体を介在するこ によって発生する場合がある。前記疎水性 理は、例えば、自己組織化法のような周知 表面処理技術を用いてアルカンチオールの うな疎水性分子を構造体及び基材の前記表 に結合させることによって達成することが きる。前記電磁気学的相互作用には、静電 又は表面荷電による引力を利用するものと 磁石による磁界を利用するものと、電界と れにより誘導された電気双極子モーメント 利用するものとを含むが、これらに限定さ ない。電界とそれにより誘導された電気双 子モーメントを利用する電磁気学的相互作 には、誘導誘電泳動、静電配向等を含むが これらに限定されない。前記生体分子と、 生体分子に対する特異的結合パートナーと 相互作用には、糖類とレクチンとの相互作 、抗原と抗原との相互作用、核酸の相補的 合による相互作用とを含むが、これらに限 されない。また、前記構造体と前記基材と 嵌合可能な形状を有することによって、特 の配向で嵌合することによる相互作用や、 記構造体が、前記基材に設けた開口を塞栓 る静水圧による相互作用の組み合わせによ て前記構造体が前記基材に保持される場合 ある。また、以上に列挙される相互作用の2 つ以上の組み合わせによって前記構造体が前 記基材に保持される場合がある。

 本発明の構造体と基材とからなる微量の 物学的材料を取り扱うための器具において 少なくとも2個の構造体と、該構造体を遊離 可能なように保持する基材とは、例えばゼラ チンのように微小な力で容易に剥離できる物 質の層を前記基材の表面にコーティングして その上に前記構造体を戴置するように周知の 微細加工技術によって作成される場合がある 。前記微小な力とは、前記微量の生物学的材 料が発生する力をいう。前記微量の生物学的 材料が細胞の場合に、前記基材が前記構造体 を遊離可能なように保持するとは、前記基材 は前記器具を移動したり、前記基材上に溶液 を注いだりする際に前記構造体が予め定めた 位置から動かないように保持しつつ、該細胞 の運動によって発生する力によって前記構造 体を引き寄せるときに前記基材から前記構造 体が容易に離れることができることをいう。

 少なくとも2個の構造体と、該構造体を遊 離可能なように保持する基材とからなる本発 明の器具は、細胞の立体的な足場として、細 胞を特定の立体的な配向状態に保ちながら培 養したり、1個又は2個以上の細胞を構造体が 質的に凸多面体を形成するように覆う集合 を形成させたりするために用いることがで る。これによって、細胞を生体組織により 似した状態で培養することができるので、 生医療等の細胞医薬の作成に有用である。

 本発明の細胞と構造体とからなる集合体 用いる構造体は、アクテュエーターを含む 、あるいは、外部の動力源に接続するかに って、1個ずつ、あるいは、2個又は3個以上 同時に、駆動することができる。あるいは 心筋細胞のような形態変化を起こす細胞を む構造体では、細胞の動きによって前記構 体を駆動することができる。前記アクテュ ーターは、周知の微細加工技術又はMEMS技術 によって作成することができる。本発明の細 胞と構造体とからなる集合体を用いて、1個 は2個以上の細胞の表面の物理的性質を測定 ることができる。ここで物理的性質とは、 性、硬度、表面電位及び膜輸送を含むが、 れらに限定されない。前記膜輸送に関する 理的性質には、浸透圧、能動輸送、その他 生体膜による物質の移動に関係する性質を む。かかる細胞表面の物理的性質を測定す ときには、前記構造体には物理的性質のセ サー、例えば、変位、速度、力、圧力など 機械量を検出するセンサーや、イオン選択 電極、イオン感応電界トランジスタ(ISFET)な どのイオンセンサーを含むことが望ましい。 かかる物理的性質のセンサーは周知の微細加 工技術によって作成することができる(EE Text  センサ・マイクロマシン工学、藤田博之編 、オーム社、2005年を参照せよ。)。さらに 前記構造体及び/又は前記基材は細胞と接触 るプリント配線による電極を設けて、前記 造体が前記基材と嵌合するときに外部から 気的に接続して電気刺激を行ったり電位を 定したりする場合がある。また、前記構造 及び/又は前記基材を貫通する細孔であって 、細胞膜によって電気的にシールすることが できるように細胞より小さな孔径を有する貫 通孔を設けて、いわゆるオートパッチ法によ る電気生理学的な測定を行う場合がある。こ の場合には、前記構造体が前記基材と嵌合す るとき、前記構造体に設けた貫通孔が基材に 設けた貫通孔が連通するように配置される場 合がある。かかるプリント配線及び貫通孔も 周知の微細加工技術又はMEMS技術によって作 することができる。

 以下に実施例を示すが、これらは実施態 の例示を意図しており本発明の範囲を限定 ることは意図しない。

 細胞培養
 基質との接着性がある細胞として使用され 細胞は、マウス繊維芽細胞株のNIH3T3細胞と ヒト肝癌細胞株のHepG2である。両方の細胞 も、10%のウシ胎仔血清(FBS、F7524、SIGMA)と、5% のL-グルタミン-ペニシリン-ストレプトマイ ン溶液(G1146、SIGMA)とを添加したダルベッコ 法イーグル培地(DMEM、11885、Gibco)を用いて37° C、5%CO 2 雰囲気下で培養された。細胞は、コンフルエ ント状態に達すると、0.25%トリプシン-EDTA溶 (T4049、SIGMA)を用いて解離させて、1:5の割合 継代した。細胞の蛍光標識は、蛍光細胞リ カーキット(MINI26-1KT PKH26赤色蛍光リンカー びMINI67-1KT PKH緑色蛍光リンカー)を用いて製 者の提供するプロトコールに従って実施し 。蛍光顕微鏡観察には、蛍光フィルター(ダ ブルバンドフィルターU=M51003D/TR、Olympus)を装 した微分干渉顕微鏡を用いた。

 細胞の基質接着特性
 細胞を本発明の器具に接触させる際に、細 は、弾性基材の表面に比べて構造体の表面 選択的に接着することが望ましい。そこで 3T3細胞とHepG2細胞とについて、実施例の構 体の材料である加熱成長2酸化ケイ素の表面 、実施例の弾性基材の材料であるポリ-ジメ チルシロキサン(PDMS、Sylgard184、Dow Corning)の 面とへの接着特性を検討した。両者とも、 素プラズマ処理(Compact Etcher FA-1、Samco Intern ational、Inc.、50W、10mL/s酸素、1分間)か、コラ ゲン処理(1mM塩酸(関東化学)中の5% コラーゲ I-P(Cellmatrix、タイプI-P、新田ゼラチン)に3時 間浸漬)か、未処理かの条件で実験を行った

 表1に示すとおり、3T3細胞及びHepG2細胞の 方ともコラーゲン処理された2酸化ケイ素の 表面には接着できたが、未処理のPDMSの表面 は全く接着できなかった。そこで、以下の 施例では、構造体の細胞と接着する表面は ラーゲン処理された2酸化ケイ素を用い、弾 基材は未処理のPDMSを用いた。

 

 本発明の微量の生物学的材料を取り扱うた の器具の加工
 本発明の器具は以下のとおり作成された。S iO 2 でできた構造体は微細加工技術により製造さ れ、PDMSの基材上に固定された。本発明の構 体の微細加工に用いた押印転写法は、特願20 07-10867号明細書及びOnoe, H.ら、Journal of Microm echanics and Microengineering, 17: 1818-1827 (2007)に しく説明される。簡潔に説明すると、出発 料は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI )ウェーハ(デバイスケイ素層厚3μm、埋め込み 酸化物(SiO 2 )層厚2μm、基板ケイ素層厚450μm、信越化学)で あった。前記埋め込み酸化物層を構造体の素 材とした。デバイスケイ素層は、S1805フォト ジスト(Shipley)をマスキング層として用いる 導結合プラズマ-反応性イオンエッチング法 (ICP?RIE、Multiplexer、STS)によりエッチングされ 。前記フォトレジスト層を除去した後、前 埋め込み酸化物層は、フッ酸(HF、50%、STELLA Chemifa)によりエッチングされ、構造体の形状 が形成された(図2(B))。本実施例の構造体は直 径50ないし75μmのサイズになるように設計さ た。

 SiO 2 層上に残存したデバイスケイ素層は、ICP?RIE により除去され、SiO 2 層の下の基板ケイ素層は80°Cの水酸化テトラ チルアンモニウム(TMAH、22%、関東化学)で異 性エッチングされた。前記異方性エッチン 反応は、基板ケイ素層からSiO 2 層が完全に分離する直前に停止された。構造 体を支持するピラミッド状のケイ素構造が形 成された(図2(C))。図3に示すとおり、本実施 の構造体は、前記ケイ素のピラミッド状構 の尖端の数平方μmの狭い面積で支持されて るので、前記尖端の支持部を破壊すること よって、ウェーハの基板ケイ素層から前記 造体を分離することは容易である。前記構 体を分離する前に、細胞と構造体との接着 増強させるために、実施例1で説明したコラ ゲンの塩酸溶液にウェーハ上の構造体を3時 間浸漬した。

 その後前記構造体は、押印転写法を用い SOIウェーハから分離され、PDMSの弾性基材の 上に粘着力によって保持された。1mm厚のPDMS ートがウェーハ上の構造体の上に戴置され( 2(D))、剥離された(図2(E))。このようにして 前記構造体はその一部が外表に露出した状 で前記弾性基材の表面に保持された本発明 微量の生物学的材料を取り扱うための器具 製造された。前記構造体の前記弾性基材へ 転写の効率は高く、約90%の構造体がウェー 上での配列パターンのまま前記弾性基材の 面に保持された(図2(F))。

 細胞が接着した構造体
 細胞が構造体に選択的に接着していること 確認するために、約1x10 5 個/mLの3T3細胞を懸濁した実施例1の培養液が 施例2の器具の表面に戴置された。本実施例 器具の構造体は直径50μmで、これは1個の3T3 胞が伸展した状態の寸法とほぼ同じである

 図4は、PDMSシートの弾性基材上にアレイ状 保持された構造体の表面で4日間培養された3 T3細胞の顕微鏡写真である。図4に示すとおり 、3T3細胞はSiO 2 の構造体にのみ接着しており、PDMSシートの 性基材の上には細胞はいなかった。これは コラーゲンでコーティングされたSiO 2 の構造体への細胞の選択的接着がうまく達成 できたことを示す。細胞が接着した構造体は 全ての構造体の約50%であった。

 細胞が接着した構造体の取り扱い
 細胞が接着した構造体は細胞培養の後で弾 基材から物理的に遊離された。牽引加工さ たガラス管(尖端直径約150μm)をマイクロマ ピュレータに装着し、図5(A)に示すように前 構造体を水平方向に押して前記弾性基材か 遊離させた。そして、前記ガラス管から培 液を吐出してその液流で前記構造体を前記 性基材の上で移動させた。

 図6の連続写真は、PDMSシートの弾性基材 ら遊離した後で、3T3細胞が接着した構造体 、ガラス管からの液流によって前記弾性基 の上を滑って移動する様子を示す。いった 弾性基材から遊離した前記構造体は、二度 弾性基材に粘着することはなかった。ガラ 管の液流は、構造体を動かすのには十分な さではあるが、該構造体から細胞を引きは すほど強くはないので、細胞が接着した状 で前記構造体を液流によって移動させるこ ができた。構造体を弾性基材から遊離し、 動させた後で、トリパンブルー(MP Biochemicals 、Inc.)による染色を試みた。しかし細胞内に 素が侵入しなかったので、構造体の遊離及 移動の後も構造体に接着した細胞は生存し いたことがわかった。液流によって構造体 接着した細胞を浮遊細胞と同様に取り扱う とができた。さらに、構造体に液流を吹き けないときには、細胞が接着した構造体は 性基材上で同じ位置に止まっていた。した って本発明は、基質に接着した状態の細胞 自在に取り扱うことを可能にしたといえる

 異なる細胞タイプの細胞の取扱い
 本発明の器具及び方法は、異なる細胞タイ の細胞を取り扱うことができることを以下 示す。図7(A)は、構造体の表面に凹陥部と凸 出部とが設けられ、1個の構造体の表面の凹 部が他の1個の構造体の表面の凸出部と相補 に嵌合することにより自己組織的に組み上 ることができる構造体の概念図である。本 施例では、突出部を有する構造体の上に3T3 胞を接着させ、凹陥部を有する構造体の上 HepG2細胞を接着させた。本実施例の構造体 、凸出部及び凹陥部がなければ直径75μmとな るようなサイズで、非特異的な集合を防止す るために棘状の小突起が構造体の周囲に設け た。突出部を有する構造体と、凹陥部を有す る構造体とをそれぞれ別々の弾性基材の上に 保持した器具を作成し、それぞれの器具に3T3 細胞又はHepG2細胞の懸濁液を戴置して4日間培 養した(図7(B?1)から(B?4))。その後構造体は、 性基材から遊離され、ガラス管からの液流 吹き付けることによってそれぞれの器具か 1枚の5cm(2インチ)径培養ディッシュに移され 。

 図7(C)及び(D)は培養ディッシュ上で2種類 構造体が共存している様子を示す。図7(C)で 、3T3細胞が接着した構造体とHepG2細胞が接 した構造体との距離は約500μmであった。図7( D)では、3T3細胞が接着した構造体とHepG2細胞 接着した構造体との距離は約100μmであった これらの結果から、本発明の器具及び方法 、異なる細胞タイプの細胞を単一細胞又は 個の細胞のレベルで取り扱うことを可能に たといえる。

 図8は、本発明の別の微量の生物学的材料を 取り扱うための器具の製造方法を示す模式図 である。図8(a)ではポリパラキシリレンでで た本発明の構造体を戴置したガラス基板の 成の手順を示す。S1818フォトレジスト(Shipley) の犠牲層(約3μm厚)をガラス基材の上に形成し て(a1)、前記構造体との接触領域を露出させ 。ここで前記接触領域は、前記構造体が容 にガラス基板から遊離できるように十分狭 した。つぎに、Labcoater PDS2010システム(Shipley )を用いて、前記犠牲層の上にポリパラキシ レン層(約5μm厚)を形成した(a2)。さらに、ア ミニウム(a3)とS1818(a4)とを積層し、O 2 プラズマ処理によるエッチングを行った(a5) O 2 プラズマ処理エッチングは25W、酸素10ml/s、18 間の条件で行い、アルミニウムでマスキン されない部分のポリパラキシリレン及びS181 8の層は完全に除去した。その後、アルミニ ム層を除去した。この状態で露出したポリ ラキシリレンの表面は疎水性であるが、も 一度O 2 プラズマ処理を行うことによって、O 2 プラズマに曝露された表面だけを親水性にし た(a6)。ポリパラキシリレンのガラス基板に 対する表面と、ガラス基板と接触している 面とは、O 2 プラズマに曝露されなかったため、疎水性の ままである。このようにして形成された構造 体(直径約50μm)に細胞を播種したところ(a7)、 造体の表面のうち、親水性の表面の部分に 胞が接着した(a8)。

 図8(b)は前記構造体を疎水性相互作用によっ て保持する基材のの作成の手順を示す。ガラ ス基板上にクローム及び金を蒸着し(b1)、S1818 (b2)を用いてクローム及び金の層が前記構造 と同じ寸法(直径約50μm)となるようにエッチ グを行った(b3)。前記金の層にO 2 プラズマ処理を25W、酸素10ml/s、10秒間の条件 行い、エタノールでリンスし、窒素雰囲気 で乾燥させることによって、金表面に自己 織化単分子層(SAM)が均一に形成出来るよう した。その後、1mM 1-オクタデカンチオール( Aldrich)を含むエタノール溶液に前記金表面を3 0分間浸漬し、エタノールで数回リンスして 金表面の疎水性処理を行った(b4)。前記細胞 の培養液を満たした容器の液面をシリコー ゴムのシートで包囲して、その内側にスク レンを重層した。図8(b4)の疎水性処理を施 た基材を前記スクアレンが重層された液面 ら前記培養液中にゆっくりと(毎秒約1cm)沈め ると、前記疎水性処理された金表面だけにス クアレンの油滴が捕捉された(b5)。図8(a9)のよ うにピペッティングによる水流でガラス基板 から遊離させた細胞の付着した構造体を前記 スクアレンを捕捉した基材の入った培養液に 移すと、前記構造体の疎水性表面が前記スク アレン油滴と接触して付着する(b6)。このよ にして、前記細胞が付着した構造体を予め めた配置パターンにしたがって前記基材の に戴置することができた。スクアレン油滴 介して戴置された前記構造体は、前記基材 上に安定に保持された。

 図9は、本発明の微量の生物学的材料を取り 扱うための器具を用いて、細胞と構造体とか らなる集合体を作成する実施例の実験結果を 示す顕微鏡写真である。本発明に用いる器具 は以下のとおりの手順で作成された。ガラス 基板に2%ゼラチン水溶液を200rpmでスピンコー ィングし、その上にポリパラキシリレン層 形成し、アルミニウムでマスキングしてO 2 プラズマ処理し、マスキングされないポリパ ラキシリレン及びゼラチン層を除去した。そ の後、親水性のリン脂質ポリマー(2-メタクリ ロイルオキシエチルホスホリルコリンポリマ ー、以下、「MPCポリマー」という。)をスピ コーティングし、テトラメチルアンモニウ ハイドロオキサイド(NMD-3、東京応化社製)を いてアルミニウムマスクを除去し、アルミ ウム層の上のMPCポリマーをリフトオフ法で 去した。ここでは、前記ポリパラキシリレ 層は正5角形で、互いに近接して配置される 。図9-Aでは、前記構造体の上に3T3細胞を播種 して1日後の顕微鏡写真である。前記構造体 基材の上にあって、平面状に展開している ここで前記基材をガラス管で突いてやると 図9-B(位相差顕微鏡写真)及び図9-C(明視野顕 鏡写真)に示すとおり、前記構造体が前記細 に引き寄せられて起き上がり、前記細胞を り囲む集合体を形成する。このように、本 明の微量の生物学的材料を取り扱うための 具を用いると、細胞を人工的な構造体で取 囲んだ凸多面体状の集合体を細胞に形成さ ることができる。また、サイズの異なる複 の集合体が入れ子になるように含まれる集 体を形成することもできる。

 図10は、本発明の微量の生物学的材料を り扱うための器具のさらなる実施例を示す 図10(A)の構造体は、細胞2が戴置した構造体1 は、円柱状の微小な磁石4が埋め込まれてお り、構造体1には貫通孔4が設けられている。 10(B)では、細胞2が戴置した構造体1が基材5 嵌合している。基材5の表面には導電体の配 6がプリントされており、細胞の一部に電圧 を印加して刺激することができる。図10(B)で 、構造体1が基材5に嵌合した後、基材5の表 に細胞2が偽足を伸ばし、その一部がプリン ト配線6に触れている様子を示す。また基材5 は貫通孔7が構造体1の貫通孔4と液体連通す ように設けられている。これにより、構造 1に付着した状態の細胞2についてパッチク ンプ法による電気生理学的測定を行うこと できる。なお、微小な磁石4を用いて基材5の 上に戴置した状態で構造体1の配置及び/又は 向を変化させることができる。図10(B)では 構造体1にはプリント配線が含まれないが、 造体の表面にもプリント配線が設けられ、 材と構造体とが嵌合するとき、基材のプリ ト配線と構造体のプリント配線とが電気的 接続される実施例も本発明に含まれる。前 構造体表面のプリント配線は、細胞が接着 る表面で細胞の特定の部位に触れるように 置される場合がある。かかるプリント配線 、細胞が接着する表面の一部にだけ細胞が 着できるような処理を施すこと、及び/又は 、前記表面の別の一部に細胞が接着しにくい 処理、例えば、疎水性処理を施すことと組み 合わせることによって実現される場合がある 。図10には、磁石、貫通孔、プリント配線が て含まれる実施例が示されるが、これらの 子その他のセンサー又はアクテュエーター 少なくとも1つか、あるいは、これらのいず れかの組み合わせかで含まれる構造体及び/ は基材も本発明に含まれる。