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Title:
INVERTER CONTROL DEVICE AND ITS CONTROL METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/041157
Kind Code:
A1
Abstract:
Without changing a constant used in a state estimator, temperature variation and control degradation caused by a constant setting error are suppressed, and a vector state in the regeneration state of an electric motor is considered, so that the electric motor can be stably driven even in a regeneration period. An inverter control device comprises a current error vector calculator (13) for calculating a current error vector, a current error vector transformer (14) for performing a vector transformation of the current error vector using a magnetic flux phase, a voltage correction vector calculator (4) for calculating a voltage correction vector using the vector-transformed current error vector, an estimated stator angular speed, and a current command vector, and a voltage corrector (15) for adding the voltage correction vector to the voltage command vector and inputting the result to the state estimator (11).

Inventors:
IDE KOZO
Application Number:
PCT/JP2008/063869
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
August 01, 2008
Export Citation:
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Assignee:
YASKAWA DENKI SEISAKUSHO KK (JP)
IDE KOZO
International Classes:
H02P21/00; H02P21/13; H02P21/14; H02P21/18; H02P21/22; H02P21/24; H02P21/28; H02P23/07; H02P23/12; H02P23/14; H02P27/04; H02P27/06; H02P27/08
Foreign References:
JPH0884499A1996-03-26
JPH08223998A1996-08-30
JP2005020817A2005-01-20
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Claims:
 誘導電動機に流れる電流の電流ベクトルを検出する電流検出器と、前記電動機への電流指令ベクトルと前記検出された電流ベクトルが一致するように制御して電圧指令ベクトルを得る電流制御器と、前記電圧指令ベクトルに基づき前記電動機に電圧を印加するインバータ部と、前記検出された電流ベクトルと前記電圧指令ベクトルに基づき前記電動機の電流ベクトル、磁束ベクトル及び磁束位相を推定演算する状態推定器と、前記磁束ベクトルから前記電動機の固定子角速度を推定する角速度推定器とを備えたインバータ制御装置において、
 前記検出された電流ベクトルと前記推定演算された電流ベクトルを入力とし、電流誤差ベクトルを演算する電流誤差ベクトル演算器と、
 前記電流誤差ベクトルを前記磁束位相でベクトル変換する電流誤差ベクトル変換器と、
 前記ベクトル変換された電流誤差ベクトル、前記推定された固定子角速度及び前記電流指令ベクトルを用いて電圧補正ベクトルを演算する電圧補正ベクトル演算器と、
 前記電圧補正ベクトルを前記電圧指令ベクトルに加算し、前記状態推定器に入力する電圧補正器とを備えることを特徴とするインバータ制御装置。
 前記電圧補正ベクトル演算器は、
 前記電流誤差ベクトルと前記電流指令ベクトルのスカラー積を演算するスカラー積演算器と、
 前記電流指令ベクトルを用いてすべり角周波数を演算するすべり角周波数演算器と、
 前記推定された固定子角速度から前記すべり角周波数を減算して前記電動機の回転子速度を演算する速度演算器と、
 前記電動機の運転状態を判別する電動回生判別器と、
 電動時と回生時で前記スカラー積の符号を変えて加算し、その大きさが等しくなるように電圧補正係数を調整する電圧補正係数調整器と、
 前記電圧補正係数を前記電流指令ベクトルに乗算する乗算器とを備えたことを特徴とする請求項1記載のインバータ制御装置。
 前記電動回生判別器は、前記電流指令ベクトルのトルク電流成分と前記速度演算器の出力の積に基づき、電動回生を判別することを特徴とする請求項2記載のインバータ制御装置。
 前記電圧補正ベクトル演算器は、
 前記推定された固定子角速度の絶対値を演算する絶対値演算器と、
 前記電圧補正ベクトルの大きさを調整する電圧補正ベクトル調整器とを備えたことを特徴とする請求項2記載のインバータ制御装置。
 前記電圧補正ベクトル調整器は、
 前記推定された固定子角速度の絶対値に基づき、前記電圧補正ベクトルの大きさを制限することを特徴とする請求項4記載のインバータ制御装置。
 前記電圧補正ベクトル調整器は、
 前記推定された固定子角速度の絶対値に基づき、前記電圧補正ベクトルの変化量を調整することを特徴とする請求項4記載のインバータ制御装置。
 誘導電動機に流れる電流の電流ベクトルを検出する電流検出器と、前記電動機への電流指令ベクトルと前記検出された電流ベクトルが一致するように制御して電圧指令ベクトルを得る電流制御器と、前記電圧指令ベクトルに基づき前記電動機に電圧を印加するインバータ部と、前記検出された電流ベクトルと前記電圧指令ベクトルに基づき前記電動機の電流ベクトル、磁束ベクトル及び磁束位相を推定演算する状態推定器と、前記磁束ベクトルから前記電動機の固定子角速度を推定する角速度推定器とを備えたインバータ制御装置の制御方法において、
 前記検出された電流ベクトルと前記推定演算された電流ベクトルを用いて電流誤差ベクトルを演算し、
 前記電流誤差ベクトルを前記磁束位相でベクトル変換し、
 前記ベクトル変換された電流誤差ベクトル、前記推定された固定子角速度及び前記電流指令ベクトルを用いて電圧補正ベクトルを演算し、
 前記電圧補正ベクトルと前記電圧指令ベクトルを加算して前記状態推定器に入力するという手順で処理することを特徴とするインバータ制御装置の制御方法。
 前記電圧補正ベクトルを演算する処理は、
 前記電流誤差ベクトルと前記電流指令ベクトルのスカラー積を演算し、
 前記電流指令ベクトルを用いてすべり角周波数を演算し、
 前記推定された固定子角速度から前記すべり角周波数を減算して前記電動機の回転子速度を演算し、
 前記電流指令ベクトルのトルク電流成分と前記速度演算器の出力の積に基づき、前記電動機の運転状態が電動状態か回生状態かを判別し、
 電動時と回生時で前記スカラー積の符号を変えて加算し、その大きさが等しくなるように電圧補正係数を調整し、
 前記電流指令ベクトルに乗算して前記電圧補正係数を求めることを特徴とする請求項7記載のインバータ制御装置の制御方法。
 前記電圧補正ベクトルを演算する処理は、
 前記推定された固定子角速度の絶対値を演算し、
 前記固定子角速度の絶対値に基づき、前記電圧補正ベクトルの大きさ又は前記電圧補正係数の大きさを制限することを特徴とする請求項8記載のインバータ制御装置の制御方法。
 前記電圧補正ベクトルを演算する処理は、
 前記推定された固定子角速度の絶対値を演算し、
 前記固定子角速度の絶対値に基づき、前記電圧補正ベクトルの変化量を調整することを特徴とする請求項8記載のインバータ制御装置の制御方法。
Description:
インバータ制御装置及びその制 方法

 本発明は、誘導電動機を駆動するインバ タ制御装置及びその制御方法に係り、特に 度・位置検出器を用いずに駆動し、温度変 や電動機定数設定誤差による制御劣化を抑 するインバータ制御装置及びその制御方法 関する。

 従来の速度センサレスで誘導電動機を駆 するインバータ制御装置は、磁束オブザー (状態推定器)の出力である電流推定値と実 流値の誤差を求め、この誤差と電流推定値 の内積値の積分を用いて温度係数Ktpを求め これを用いて一次抵抗の設定誤差を小さく 、高性能な運転を行っている(例えば、特許 献1参照)。

 また、一般に状態推定器は電動機の電圧 電流方程式より(1)式で構成されることが知 れている。

 ここで、状態変数

は、それぞれ、α-β(静止)座標系における固 子電流ベクトル、固定子電圧ベクトル、磁 ベクトルを示す。
 また、定数の定義は以下のとおりである。

 Rs:一次抵抗、Rr’:一次換算された二次抵抗
 M’: 一次換算された相互インダクタンス、 σLs:漏れインダクタンス、
 Ls:一次自己インダクタンス、Lr:二次自己イ ダクタンス、
 Tr:二次時定数、ωr: 回転子角速度、ω: 固 子角速度、
 L:オブザーバフィードバックゲイン、
 記号^は推定値を、添え字refは指令値を表す 。

 図7において、101はq軸電流制御器でq軸電 指令iq*とq軸電流検出値iqが一致するように 例積分制御してq軸電圧指令vq*を出力し、102 はd軸電流制御器でd軸電流指令id*とd軸電流検 出値idが一致するように比例積分制御してd軸 電圧指令vd*を出力する。105はベクトル演算回 路でvq*、vd*および後述の磁束位相に基づきa-b (α-βと等価)座標系の電圧指令値vsa*、vsb*を演 算する。106はインバータ回路でvsa*、vsb*に基 いて、半導体電力変換素子をスイッチング 、誘導電動機7に電圧を供給している。イン バータ回路6には外部から電源が供給されて り、vsa*、vsb*に基づいて半導体電力変換素子 を制御する。107はインバータによって駆動さ れる誘導電動機、108、109は誘導電動機107に流 れる電流を検出する電流検出器、110は三相- 相変換器で電流検出器108、109で検出された 流が入力され、三相交流座標系から二相交 座標系のisa、isbに変換する演算を行う。111 d-q変換器でisa、isbをd-q座標系の電流値id、iq 変換する。112は磁束オブザーバ(状態推定器 )で、電圧指令値vsa、vsbおよび電流検出値isa isbから磁束推定値を演算している。113は位 演算器で磁束推定値から磁束位相を演算し 114は一次抵抗オンラインチューニング演算 である。

 図8の一次抵抗オンラインチューニング演算 器114において、磁束オブザーバ(状態推定器)1 12の出力である電流推定値と実電流値の誤差 及び電流推定値の内積を内積演算器115で求 、この内積値を積分する積分器118の出力を 度係数Ktpとしてオンラインチューニングし 磁束オブザーバ(状態推定器)112の演算で用 ている一次抵抗値Rsを修正する。
 このように、従来の速度センサレスで誘導 動機を駆動するインバータ制御装置は、駆 中にオンラインで誘導電動機の温度変動を 算し、電動機定数を直接可変させるのであ 。

特開2005-20817号公報(第9頁、図3)

 従来のインバータ制御装置は、オンライン ューニングで求めた温度係数Ktpを用いて、 束オブザーバ(状態推定器)の演算式の温度 動に関わる設定定数、つまり(1)式のRsに関係 する項を直接変更するので演算が複雑になる 上、ノイズ成分除去やリミッタの付加などの 考慮が難しいという問題があった。さらに、 2相交流信号である電流推定ベクトルと検出 流から得られる電流ベクトルとのスカラー の演算において、電流検出のタイミング遅 や電流推定の演算遅れなどで生じる両信号 位相差により、最終的に演算される温度係 の真値からのずれを生じ、制御劣化を抑制 きなかった。また、電動機の回生状態にお ては補償方向を反転させる必要があるが、 積(以下、スカラー積と称す)を用いて演算し ていてこの考慮がなされていないといった問 題があった。
 本発明はこのような問題点に鑑みてなされ ものであり、状態推定器に用いる定数を変 させることなく温度変動や定数設定誤差に る制御劣化を抑制し、電動機の回生状態に けるベクトル状態を考慮し、回生時におい も安定的な電動機駆動を実現できるインバ タ制御装置を提供することを目的とする。

 上記問題を解決するため、本発明は、次の うに構成したのである。
 請求項1に記載の発明は、誘導電動機に流れ る電流の電流ベクトルを検出する電流検出器 と、前記電動機への電流指令ベクトルと前記 検出された電流ベクトルが一致するように制 御して電圧指令ベクトルを得る電流制御器と 、前記電圧指令ベクトルに基づき前記電動機 に電圧を印加するインバータ部と、前記検出 された電流ベクトルと前記電圧指令ベクトル に基づき前記電動機の電流ベクトル、磁束ベ クトル及び磁束位相を推定演算する状態推定 器と、前記磁束ベクトルから前記電動機の固 定子角速度を推定する角速度推定器とを備え たインバータ制御装置において、前記検出さ れた電流ベクトルと前記推定演算された電流 ベクトルを入力とし、電流誤差ベクトルを演 算する電流誤差ベクトル演算器と、前記電流 誤差ベクトルを前記磁束位相でベクトル変換 する電流誤差ベクトル変換器と、前記ベクト ル変換された電流誤差ベクトル、前記推定さ れた固定子角速度及び前記電流指令ベクトル を用いて電圧補正ベクトルを演算する電圧補 正ベクトル演算器と、前記電圧補正ベクトル を前記電圧指令ベクトルに加算し、前記状態 推定器に入力する電圧補正器とを備えるもの である。

 また、請求項2に記載の発明は、請求項1 記載の発明において、前記電圧補正ベクト 演算器は、前記電流誤差ベクトルと前記電 指令ベクトルのスカラー積を演算するスカ ー積演算器と、前記電流指令ベクトルを用 てすべり角周波数を演算するすべり角周波 演算器と、前記推定された固定子角速度か 前記すべり角周波数を減算して前記電動機 回転子速度を演算する速度演算器と、前記 動機の運転状態を判別する電動回生判別器 、電動時と回生時で前記スカラー積の符号 変えて加算し、その大きさが等しくなるよ に電圧補正係数を調整する電圧補正係数調 器と、前記電圧補正係数を前記電流指令ベ トルに乗算する乗算器とを備えるものであ 。

 また、請求項3に記載の発明は、請求項2に 載の発明において、前記電動回生判別器は 前記電流指令ベクトルのトルク電流成分と 記速度演算器の出力の積に基づき、電動回 を判別するものである。
 また、請求項4に記載の発明は、請求項2に 載の発明において、前記電圧補正ベクトル 算器は、前記推定された固定子角速度の絶 値を演算する絶対値演算器と、前記電圧補 ベクトルの大きさを調整する電圧補正ベク ル調整器とを備えるものである。
 また、請求項5に記載の発明は、請求項4に 載の発明において、前記電圧補正ベクトル 整器は、前記推定された固定子角速度の絶 値に基づき、前記電圧補正ベクトルの大き を制限するものである。
 また、請求項6に記載の発明は、請求項4に 載の発明において、前記電圧補正ベクトル 整器は、前記推定された固定子角速度の絶 値に基づき、前記電圧補正ベクトルの変化 を調整するものである。

 上記問題を解決するため、本発明は、次の うにしたのである。
 請求項7に記載の発明は、誘導電動機に流れ る電流の電流ベクトルを検出する電流検出器 と、前記電動機への電流指令ベクトルと前記 検出された電流ベクトルが一致するように制 御して電圧指令ベクトルを得る電流制御器と 、前記電圧指令ベクトルに基づき前記電動機 に電圧を印加するインバータ部と、前記検出 された電流ベクトルと前記電圧指令ベクトル に基づき前記電動機の電流ベクトル、磁束ベ クトル及び磁束位相を推定演算する状態推定 器と、前記磁束ベクトルから前記電動機の固 定子角速度を推定する角速度推定器とを備え たインバータ制御装置の制御方法において、 前記検出された電流ベクトルと前記推定演算 された電流ベクトルを用いて電流誤差ベクト ルを演算し、前記電流誤差ベクトルを前記磁 束位相でベクトル変換し、前記ベクトル変換 された電流誤差ベクトル、前記推定された固 定子角速度及び前記電流指令ベクトルを用い て電圧補正ベクトルを演算し、前記電圧補正 ベクトルと前記電圧指令ベクトルを加算して 前記状態推定器に入力するという手順をとっ たのである。

 また、請求項8に記載の発明は、請求項7記 の発明において、前記電圧補正ベクトルを 算する処理は、前記電流誤差ベクトルと前 電流指令ベクトルのスカラー積を演算し、 記電流指令ベクトルを用いてすべり角周波 を演算し、前記推定された固定子角速度か 前記すべり角周波数を減算して前記電動機 回転子速度を演算し、前記電流指令ベクト のトルク電流成分と前記速度演算器の出力 積に基づき、前記電動機の運転状態が電動 態か回生状態かを判別し、電動時と回生時 前記スカラー積の符号を変えて加算し、そ 大きさが等しくなるように電圧補正係数を 整し、前記電流指令ベクトルに乗算して前 電圧補正係数を求めるという手順をとった である。
 また、請求項9に記載の発明は、請求項8記 の発明において、前記電圧補正ベクトルを 算する処理は、前記推定された固定子角速 の絶対値を演算し、前記固定子角速度の絶 値に基づき、前記電圧補正ベクトルの大き 又は前記電圧補正係数の大きさを制限する いう手順をとったのである。
 また、請求項10に記載の発明は、請求項8記 の発明において、前記電圧補正ベクトルを 算する処理は、前記推定された固定子角速 の絶対値を演算し、前記固定子角速度の絶 値に基づき、前記電圧補正ベクトルの変化 を調整するという手順をとったのである。

 請求項に記載の発明によると、状態推定 に用いる定数を可変させずに状態推定器に 力する電圧ベクトルを補正するようにした で、複雑な演算を必要としなくても温度変 や定数設定誤差による制御劣化を抑制でき 電動機の回生状態においても安定的な電動 駆動を実現することができる。さらに、運 周波数や負荷状況により電圧補正ベクトル 補正量を制限するようにしたので、電動機 挙動によらない安定した駆動を実現できる

本発明の第1実施例を示すインバータ制 御装置の制御ブロック図 電圧補正ベクトル演算器4の詳細ブロッ ク図 電動回生判別器26の詳細ブロック図 電動機の運転状態が電動時のベクトル 係図 電動機の運転状態が回生時のベクトル 係図 本発明の第2実施例を示す電圧補正ベク トル演算器4’の詳細ブロック図 従来のベクトル制御装置の制御ブロッ 図 従来の一次抵抗オンラインチューニン 演算器114の制御ブロック図

符号の説明

1 電流制御器
2、45 加算器
3 前向き補償器
4、4’ 電圧補正ベクトル演算器
5 電圧制御器
6 インバータ部
7、107 誘導電動機
8、108、109 電流検出器
9 第1のベクトル変換器
10 第2のベクトル変換器
11 状態推定器
12 角速度推定器
13 電流誤差ベクトル演算器
14 電流誤差ベクトル変換器
15 電圧補正器
21 スカラー積演算器
22、24、25、31、43、44 乗算器
23 電圧補正係数調整器
26 電動回生判別器
27 減算器
28 すべり角周波数演算器
29 絶対値演算器
30 電圧補正ベクトル調整器
32 トルク係数
33 不感帯
34 符号判別器
40、41 ベクトル分解器
42 ベクトル合成器
101 d軸電流制御器
102 q軸電流制御器
105 ベクトル演算回路
106 インバータ回路
110 三相-二相変換器
111 d-q変換器
112 磁束オブザーバ
113 位相演算器
114 一次抵抗オンラインチューニング演算器
115 内積演算器
116、119 リミッタ
117 ローパスフィルタ
118 積分器
120 遅延回路
121 切り替えスイッチ

 以下、本発明の実施の形態について図を 照して説明する。

 図1は、本発明の誘導電動機を駆動するイン バータ制御装置の制御ブロック図を示す。図 1は図4と異なり、図で示される信号はベクト を表している。図において、1は電流制御器 で、電流指令ベクトルi s ref と後述の第2のベクトル変換器10出力の電流ベ クトルi s2  が一致するように制御して電圧ベクトルを出 力する。2は加算器、3は前向き補償器でこれ は必要に応じて設けられ、加算器2は電流制 御器1が出力する電圧指令ベクトルと前向き 償器3が出力する前向き補償ベクトルu c を加算して、電圧指令ベクトルu s ref を演算する。4は電圧補正ベクトル演算器で 電圧補正ベクトルu s δ を出力するが、この動作については詳細に後 述する。

 5は電圧制御器で、電圧指令ベクトルu s ref を相電圧指令に変換し、指令どおりの電圧が 出力されるように例えばオンディレイ補償を 行い、後述のインバータ部6に出力する。6は ンバータ部で、電圧指令ベクトルu s ref に基づき、例えばPWM制御して後述の誘導電動 機7に電圧を印加する。7は誘導電動機で、イ バータ部6に接続されている。8は電流検出 で、電動機の相電流を検出し、9は第1のベク トル変換器で、検出された相電流は三相-二 変換し電流ベクトルi s1 を求める。10は第2のベクトル変換器で、電流 ベクトルi s1 を磁束位相θ^でd-q変換し電流ベクトルi s2 を求める。11は状態推定器で、誘導電動機7の 数式モデル、電流ベクトルi s1 及び電圧ベクトルu s1 ref に基づき電流ベクトルi s1 ^、磁束ベクトルφ r ^及び磁束の位相θ^を推定演算する。12は角速 度推定器で、状態推定器11で推定された磁束 定ベクトルφ r ^から固定子角速度ω^を推定し、13は電流誤差 ベクトル演算器で電流ベクトルi s1 と電流推定ベクトルi s1 ^の差を電流誤差として演算する。14は電流誤 差ベクトル変換器で、電流誤差ベクトル演算 器13の出力をd-q変換して電流誤差ベクトルδi 出力する。なお、15は加算器であり、電圧 令ベクトルu s ref と電圧補正ベクトルu s δ を加算したベクトル(u s ref +u s δ )を状態推定器11に出力する。
 なお、状態推定器は上記(1)式で示した演算 行うが、(1)式に入力される電圧ベクトル(u s ref +u s δ )は、磁束の位相θ^を用いて状態推定器11内で (2)式により、2相交流ベクトルである電圧ベ トルu s1 ref に変換される。

 上記のように、電流ベクトルi s1 、電流推定ベクトルi s1 ^、及び電流誤差ベクトル演算器13出力の電流 誤差ベクトルは2相の交流電流であり、電流 差ベクトル変換器14が出力するベクトルδiは 、d-q変換された電流誤差ベクトルとして(3)式 に示される。

             

 さらに、状態推定器11で推定された磁束ベ トルφ r ^から固定子角速度ω^を推定する角速度演算 12では、(4)式の演算を実施している。

 本発明が従来技術と異なる部分は、電圧 正ベクトル演算器4を設け、状態推定器11で 演算式(1)式で用いる定数を直接可変調整せ 、状態推定器11へ入力される電圧指令ベク ルを補正するようにしたことである。

 図2は、電圧補正ベクトル演算器4の詳細ブ ック図である。図において、21はスカラー積 演算器で、d-q変換された電流誤差ベクトルδi と電流指令ベクトルi s ref を、それぞれベクトル分解器40、41でd、q成分 に分解し、スカラー積を乗算器43、44及び加 器45を用いて演算している。
 一方、回転子角速度ω r ^は、固定子角速度の推定量ω^からすべり角 波数演算器28で演算されたすべり角周波数ω s を減算器27で減算して推定演算される。26は 動回生判別器で、トルク電流指令に相当す i q ref と回転子角速度ω r ^を用いて後述する演算により電動機の電動 るいは回生かを判別し、電動の場合は1を回 の場合は-1を出力する。
 乗算器22では、スカラー積演算器21の出力と 電動回生判別器26の出力を乗算して、電圧補 係数調整器23に出力し、電圧補正係数調整 23は入力の積算値が零となるように電圧補正 係数を出力し、その出力された電圧補正係数 は、電流指令ベクトルi s ref のd、q軸成分とそれぞれ乗算器24、25を用いて 乗算し、それぞれをd、q軸成分としたベクト にベクトル合成器42を用いて合成し、電圧 正ベクトルu s δ として出力している。
 このようにして、電動機の運転状態が電動 回生かにより上述のスカラー積の符号を変 て加算し、電圧補正係数を演算している。

 図3は、電動回生判別器26の詳細ブロック図 示すものである。図において、31は乗算器 トルク電流指令に相当するi q ref と回転子角速度の演算量ω r ^の積を演算し、32はトルク係数で乗算器31の 力と乗算され二次電力を求める。33は不感 で電動・回生判別の切替時や低負荷時のチ タリングを防ぎ、34は符号判別器で不感帯33 出力をその符号により電動か回生かを判別 、電動の場合は1を回生の場合は-1を出力す 。
 このようにして、電動回生判別器26では、 ルク電流と回転子角速度との積の符号に基 き、電動機の運転状態(電動、回生)を判別し ている。

 次に、電圧補正係数を演算において、誘導 動機の運転状態(電動、回生)の考慮の必要 あることについて説明する。
 まず、一次側のインピーダンス降下と誘起 圧ベクトル推定値について簡単に説明する
 状態推定器11へ入力される電圧ベクトルをd- q座標系に変換して求められる電圧ベクトルu s1 ref は、一次側のインピーダンスR s 、σLsによる電圧降下と誘起電圧ベクトル推 値e^から(5)式で表される。誘起電圧ベクトル 推定値e^は状態推定器11では実際には演算さ ないが、固定子角速度の推定量ω^と磁束ベ トルφ r ^との積に相当する。

                              

 ここで、*は設定値を示している。

 (5)式で示されるベクトル関係を、電動時を 4、回生時を図5に示す。
 図4(電動時)において、左図は一次抵抗設定 R s * が実際値より大きく設定された場合、右図は 小さく設定された場合を示している。なお、 漏れインダクタンスσLsの設定値は、低速領 での影響が少ないので、ここではその設定 差の影響は省略している。
 電圧指令ベクトルu s1 ref を基準にして、インピーダンス降下分から誘 起電圧ベクトルeの位置が決まり、推定磁束 クトルeはそれに直交する位置(γ軸)に生成さ れる。
 一次抵抗設定値R s * が実際値より大きく設定された場合、推定磁 束ベクトルφ r ^は、実磁束ベクトルφ r (d軸に発生)よりも進み位相となり、負荷がか かると位相はさらに進むことになる。このと き推定磁束ベクトルφ r ^の振幅は実磁束より小さくなる。ベクトル 御により励磁電流成分は推定磁束の振幅に るように制御されるので、電圧指令ベクト u s1 ref は減少するように調整される。この結果、起 動に必要な電圧に達せずに脱調現象を生じる ことがある。
 一方、R s * が実際値より小さく設定された場合、磁束推 定ベクトルφ r ^は実磁束ベクトルφ r (d軸に発生)よりも遅れ位相となり、負荷がか かると位相はさらに遅れることになる。この とき推定磁束ベクトルφ r ^の振幅は実磁束より大きくなる。ベクトル 御により励磁電流成分は推定磁束の振幅に るように制御されるので、電圧指令ベクト u s1 ref は増加するように調整される。

 図5(回生時)において、一次抵抗設定値R s * が実際値より大きく設定された場合、推定磁 束ベクトルφ r ^は、電圧指令ベクトルu s1 ref は増加するように調整され、R s * が小さく設定されると電圧指令ベクトルu s1 ref は減少するように調整され、ベクトル関係は 電動時と逆になる。

 以上のように、一次抵抗の設定誤差による 響は、電流ベクトルi s1 と状態推定器で推定された電流推定ベクトル i s1 ^との誤差ベクトルδiの大きさで観測するこ ができ、設定誤差によるu s1 ref の電圧増加分あるいは減少分は、電流誤差ベ クトルδiと電流推定ベクトルδiのスカラー積 により求まることが、図4、5からも理解され 。

 上記のようにして、電流ベクトルi s1 と電流推定ベクトルi s1 ^との誤差ベクトルを電流誤差ベクトル演算 13で演算し、その値を磁束の位相の推定量θ^ でd-q座標系、つまり直流信号に変換し、その 直流信号に変換された電流誤差ベクトルとや はり直流信号である電流指令ベクトルのスカ ラー積を演算するようにすることで、電流検 出遅れや推定演算遅れが、電圧補正係数演算 に影響しないようにし、さらに、電動機の運 転状態の電動、回生状態におけるベクトル状 態を考慮して、電圧補正係数を調整している 。

 このように、状態推定器に用いる定数を 変させることなく温度変動や定数設定誤差 よる制御劣化を抑制するようにしているの 、電動機の回生状態においても安定的な電 機駆動を実現することができる。

 図8は、第2実施例の構成を示す電圧補正ベ トル演算器4’の詳細ブロック図である。図 いて、図2を用いて説明した電圧補正ベクト ル演算器4の構成に、絶対値演算器29と電圧補 正ベクトル調整器30を追加した構成となって る。
 絶対値演算器29は、固定子角速度推定量ω^ 絶対値を演算し、電圧補正ベクトル調整器30 は、絶対値演算器29で演算した固定子角速度 定量ω^の絶対値に基づき、電圧補正ベクト u s δ の大きさを制限し、また電圧補正ベクトルu s δ の変化量を調整する。
 運転周波数を高くなるにつれ、一次抵抗の 定値誤差による影響は、運転周波数により 加する変圧器起電力で観測しにくく、かつ 動機制御に与える影響も小さくなるため、 圧補正ベクトル調整器30には、運転周波数 応じて電圧補正ベクトルu s δ の大きさを制限するようにしたものである。
 さらに、電圧補正ベクトル調整器30には、 えば一次遅れフィルタ等のフィルタ要素を 蔵するようにし、電動機の過渡的な挙動に り、過剰に反応する電圧補正ベクトルの応 を制限することができるようしている。

 このように、状態推定器11へ入力される電 ベクトルu s ref に補正する電圧補正ベクトルu s δ の大きさと変化量を制限しているので、電動 機のいかなる挙動によらず、安定的な電動機 駆動を実現することができる。

 本発明は、誘導電動機を速度・位置検出 を用いずに駆動し、温度変動や電動機定数 定誤差による制御劣化を抑制して駆動する ンバータ制御装置及びその制御方法に適用 能である。