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Title:
JOINED MATERIAL, STEEL PRODUCT AND DIECAST PRODUCT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/034656
Kind Code:
A1
Abstract:
The joined material is joined material (10) comprising, joined together, two steel members (20,30), characterized in that when a tensile test is carried out with respect to test piece (1) containing junction plane (14) of the joined material prepared from the joined material (10) and with respect to comparative test pieces (1a) prepared from steel members (10a) of the types identical with those of the two steel members (20,30), the value of tensile strength obtained from the test piece (1) is the same as those obtained from the comparative test pieces (1a). Accordingly, this joined material (10) is one which can provide a steel product excelling in durability as compared with those produced from conventional joined materials.

Inventors:
KITAZAWA TOSHIAKI (JP)
FUJIMORI TAKAYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/067996
Publication Date:
March 19, 2009
Filing Date:
September 14, 2007
Export Citation:
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Assignee:
SEIKO EPSON COPORATION (JP)
MOLE S ACT CO LTD (JP)
KITAZAWA TOSHIAKI (JP)
FUJIMORI TAKAYUKI (JP)
International Classes:
B23K20/00; B22D17/22; B32B15/01
Foreign References:
JPS6240980A1987-02-21
JP2002059270A2002-02-26
JPS58199679A1983-11-21
JPS62227597A1987-10-06
JPH0577063A1993-03-30
JPH071011A1995-01-06
JPH08281768A1996-10-29
JP2001300743A2001-10-30
JP2002301577A2002-10-15
JP2003225775A2003-08-12
JP2005262244A2005-09-29
JP2006159212A2006-06-22
Attorney, Agent or Firm:
MATSUO, Nobutaka (9862-60 Ochiai, Fujimi-mach, Suwa-gun Nagano 14, JP)
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Claims:
 2つの鉄鋼部材が互いに接合された接合体であって、
 前記接合体は、
 前記接合体から前記接合体の接合面を含む試験片を作成するとともに、前記2つの鉄鋼部材と同じ種類の鉄鋼部材から比較試験片を作成し、前記試験片及び前記比較試験片を用いて引張試験を行ったとき、前記試験片から得られる引張強度と前記比較試験片から得られる引張強度とが同一の値を示すことを特徴とする接合体。
 請求項1に記載の接合体において、
 前記接合体は、
 2つの鉄鋼部材を準備する鉄鋼部材準備工程と、
 前記2つの鉄鋼部材における接合予定面を突き合わせた状態で、前記2つの鉄鋼部材を所定の圧力条件で押圧しながら前記2つの鉄鋼部材を接合可能な第1温度に加熱することにより、前記2つの鉄鋼部材を互いに接合して接合体を形成する接合体形成工程と、
 前記接合体を前記鉄鋼部材におけるA 1 変態点以上の第2温度に加熱した後、前記A 1 変態点から600℃に降温するのに2時間以上かける条件で、前記接合体を600℃以下の第3温度に徐冷することにより、前記接合体における接合力を強化する接合力強化工程とをこの順序で行うことによって接合された接合体であることを特徴とする接合体。
 請求項1又は2に記載の接合体において、
 前記鉄鋼部材は、Crを含有する鉄鋼部材であることを特徴とする接合体。
 請求項3に記載の接合体において、
 前記鉄鋼部材は、熱間金型用鋼、冷間金型用鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、機械構造用金属鋼又は高速度工具鋼からなる鉄鋼部材であることを特徴とする接合体。
 請求項1又は2に記載の接合体において、
 前記鉄鋼部材は、Crを含有しない鉄鋼部材であることを特徴とする接合体。
 請求項5に記載の接合体において、
 前記鉄鋼部材は、炭素鋼、一般構造用圧延鋼材、冷間圧延鋼板又は炭素鋼鍛鋼品からなる鉄鋼部材であることを特徴とする接合体。
 請求項1~6のいずれかに記載の接合体において、
 前記2つの鉄鋼部材における接合予定面は、平面であることを特徴とする接合体。
 請求項7に記載の接合体において、
 前記接合予定面における算術平均粗さRaは、0.2μm以下であることを特徴とする接合体。
 請求項1~8のいずれかに記載の接合体から製造された鉄鋼製品。
 請求項9に記載の鉄鋼製品において、
 前記接合体における接合面のうち外側部分は、除去されていることを特徴とする鉄鋼製品。
 請求項9又は10に記載の鉄鋼製品において、
 前記鉄鋼製品には、表面硬度を高くする表面処理が施されていることを特徴とする鉄鋼製品。
 請求項9~11のいずれかに記載の鉄鋼製品において、
 前記鉄鋼製品は、ダイカスト金型であることを特徴とする鉄鋼製品。
 請求項12に記載のダイカスト金型を用いて製造されたダイカスト製品。
Description:
接合体、鉄鋼製品及びダイカス 製品

 本発明は、接合体、鉄鋼製品及びダイカ ト製品に関する。

 図10は、従来の鉄鋼部材の接合方法を説 するために示すフローチャートである。図11 は、従来の鉄鋼部材の接合方法を説明するた めに示す図である。

 従来の鉄鋼部材の接合方法は、図10及び 11に示すように、2つの鉄鋼部材を準備する 鋼部材準備工程S910と、2つの鉄鋼部材におけ る接合予定面を突き合わせた状態で、2つの 鋼部材を所定の圧力条件で押圧しながら2つ 鉄鋼部材を接合可能な第1温度に加熱するこ とにより、2つの鉄鋼部材を互いに接合して 合体を形成する接合体形成工程S920と、接合 を所定の温度条件の下で熱処理することに り接合体における接合力を強化する接合力 化工程S930とを含む(例えば、特許文献1参照 )。

 このため、従来の鉄鋼部材の接合方法に れば、溶接補助材を全く使用せずに2つの鉄 鋼部材を接合することが可能となる。また、 従来の鉄鋼部材の接合方法によれば、接合体 を形成した後に接合力強化工程S930を行うこ により、接合体における接合力を強化する とが可能となる。

 また、従来の鉄鋼部材の接合方法によっ 接合された接合体(以下、従来の接合体とい う。)からは、プラスチックギアなどの樹脂 形用金型に適した鉄鋼製品を製造すること 可能である。

特開2002-59270号公報

 しかしながら、従来の接合体から例えば イカスト金型を製造した場合、さほど多く いショット回数で接合部分が破損してしま 、耐久性に優れたダイカスト金型を得るこ が難しいという問題がある。

 なお、このような問題は、ダイカスト金 を製造した場合にのみ生じる問題ではなく 他の鉄鋼製品を製造した場合にも生じる問 である。すなわち、従来の接合体から鉄鋼 品を製造した場合には、耐久性に優れた鉄 製品を得ることができないという問題があ 。

 そこで、本発明は、上記した問題を解決 るためになされたもので、鉄鋼製品を製造 た場合に、従来の接合体から鉄鋼製品を製 した場合と比較してより耐久性に優れた鉄 製品を得ることが可能な接合体を提供する とを目的とする。また、このような接合体 用いて製造された鉄鋼製品を提供すること 目的とする。さらにまた、鉄鋼製品がダイ スト金型である場合に当該ダイカスト金型 用いて製造されたダイカスト製品を提供す ことを目的とする。

(1)本発明の接合体は、2つの鉄鋼部材が互 に接合された接合体であって、前記接合体 、前記接合体から前記接合体の接合面を含 試験片を作成するとともに、前記2つの鉄鋼 材と同じ種類の鉄鋼部材から比較試験片を 成し、前記試験片及び前記比較試験片を用 て引張試験を行ったとき、前記試験片から られる引張強度と前記比較試験片から得ら る引張強度とが同一の値を示すことを特徴 する。

 ところで、従来の接合体からダイカスト 型を製造した場合にさほど多くないショッ 回数で接合部分が破損するのは、接合体に ける接合部分の機械的強度が接合体におけ 母材部分の機械的強度よりも低いためであ 。これに対し、本発明の接合体によれば、 験片から得られる引張強度と比較試験片か 得られる引張強度とが同一の値を示すこと ら、接合体における接合部分の機械的強度 接合体における母材部分の機械的強度と同 の接合体となる。このため、このような接 体からダイカスト金型を製造すれば、従来 超えるショット回数でも接合部分が破損す ことがなくなり、耐久性に優れたダイカス 金型を得ることが可能となる。また、この とはダイカスト金型以外の鉄鋼製品の場合 も同様であることから、本発明の接合体は ダイカスト金型を含む鉄鋼製品全般にわた て、耐久性に優れた鉄鋼製品を得ることが 能な接合体であるといえる。

 なお、本発明においては、比較試験片作 時の熱履歴と試験片作成時の熱履歴とは、 一とすることが好ましい。

 また、本発明の接合体は、2つの鉄鋼部材が 互いに接合された接合体にのみ限定されるも のではなく、本発明の接合体には3つ以上の 鋼部材が接合された接合体も含まれる。こ 場合、3つ以上の鉄鋼部材のうち接合面を挟 で隣り合う2つの鉄鋼部材に着目すれば、本 発明と同様に、2つの鉄鋼部材が互いに接合 れた接合体となる。
 また、本発明の接合体には、2つの鉄鋼部材 (2つの鉄鋼部材とも例えばSKD61)の間に薄板鉄 部材(例えばSUS304)を介在させた状態で、こ ら2つの鉄鋼部材及び薄板鉄鋼部材が互いに 合された接合体も含まれる。

(2)本発明の接合体においては、前記接合体は 、2つの鉄鋼部材を準備する鉄鋼部材準備工 と、前記2つの鉄鋼部材における接合予定面 突き合わせた状態で、前記2つの鉄鋼部材を 所定の圧力条件で押圧しながら前記2つの鉄 部材を接合可能な第1温度に加熱することに り、前記2つの鉄鋼部材を互いに接合して接 合体を形成する接合体形成工程と、前記接合 体を前記鉄鋼部材におけるA 1 変態点以上の第2温度に加熱した後、前記A 1 変態点から600℃に降温するのに2時間以上か る条件で、前記接合体を600℃以下の第3温度 徐冷することにより、前記接合体における 合力を強化する接合力強化工程とをこの順 で行うことによって接合された接合体であ ことが好ましい。

 このような方法とすることにより、後述 る試験例からも明らかなように、試験片か 得られる引張強度と比較試験片から得られ 引張強度とが同一の値を示すようになり、 の結果、従来の接合体から鉄鋼製品を製造 た場合と比較してより耐久性に優れた鉄鋼 品を得ることが可能な接合体となる。

 ところで、本発明の発明者らは、従来の接 体から例えばダイカスト金型を製造した場 になぜ、さほど多くないショット回数で接 部分が破断してしまうのか、その原因を探 べく鋭意研究を重ねた結果、接合体の接合 に空隙が存在することに原因があるという 見を得た。本発明の発明者らは、この知見 基づき、接合面に存在する空隙を低減する めの手段を探るべく鋭意研究を重ねた結果 上述のように、接合体形成工程により形成 た接合体をA 1 変態点以上の第2温度に加熱した後、A 1 変態点から600℃に降温するのに2時間以上か る条件で、600℃以下の第3温度に徐冷すれば 接合面に存在する空隙は、徐冷に伴って接 体の金属組織が変化する過程で母相の鉄鋼 料中に溶け込んでいき、最終的には接合面 存在する空隙を消散させることが可能とな という知見を得た。

 すなわち、本発明の接合体は、上記の接 力強化工程を行うことによって接合された 合体であることから、接合面に存在する空 が低減されているため、このような接合体 らダイカスト金型を製造した場合に、従来 超えるショット回数でも接合部分が破損す ことがなくなり、耐久性に優れたダイカス 金型を得ることが可能となる。このことは イカスト金型以外の鉄鋼製品の場合にも同 であって、本発明の接合体は、ダイカスト 型を含む鉄鋼製品全般にわたって、耐久性 優れた鉄鋼製品を得ることが可能な接合体 なる。

 なお、A 1 変態点から600℃の範囲において接合体を極め てゆっくりした条件で徐冷したときになぜ、 接合面に存在する空隙が母相の鉄鋼材料中に 溶け込むのかについては、詳細は不明である が、上述のような比較的低い温度範囲におい ても鉄鋼部材の結晶粒がサブミクロン単位で 移動可能であることが1つの理由として推測 れる。

 なお、上記(2)に記載の接合体において、接 体の接合力をより高くする観点から言えば A 1 変態点から600℃に降温するのにかける時間と しては、5時間以上であることがより好まし 、10時間以上であることがさらに好ましく、 15時間以上であることがさらに好ましい。

 上記(2)に記載の接合体においては、前記 合体は、前記接合体形成工程を行った後、 記接合力強化工程が複数回行われた接合体 あることが好ましい。

 このように構成することにより、より高 接合力を備える接合体を実現することが可 となる。

 上記(2)に記載の接合体においては、前記 1温度は、850℃~1150℃の範囲内にあることが ましい。

 このように構成することにより、所定の 力条件で押圧しながら2つの鉄鋼部材を接合 して接合体を形成することが可能となる。

 上記(2)に記載の接合体においては、前記 合体は、前記接合体形成工程を行った後徐 された接合体であることが好ましい。

 このように構成することにより、加圧に り生じる接合体の応力歪みの発生を抑制す ことができ、均質性の高い接合体となる。

 上記(2)に記載の接合体においては、前記 2温度は、830℃~1050℃の範囲内にあることが ましい。

 このように構成することにより、接合面 存在する空隙を十分に消散させることが可 となる。

 上記(2)に記載の接合体においては、前記 3温度は、550℃以下であることが好ましい。

 このように構成することにより、均質性 高い接合体となるとともに、硬度がそれほ 高くない接合体、すなわち機械加工する際 加工性の高い接合体となる。

 上記(2)に記載の接合体においては、前記 合体は、前記接合体形成工程及び前記接合 強化工程が真空中又は不活性ガス雰囲気中 おいて行われた接合体であることが好まし 。

 このように構成することにより、各熱処 工程における酸素等の活性ガスの存在に起 して発生する悪影響が抑制された接合体と る。

 上記(2)に記載の接合体においては、前記 合体は、前記接合体形成工程と前記接合力 化工程との間に、前記接合体を、前記接合 の金属組織をより均一にすることが可能な 4温度に加熱する金属組織均一化工程がさら に行われた接合体であることが好ましい。

 このように構成することにより、接合体 成工程を経て不均一な状態となっている金 組織をより均一にすることが可能となるた 、さらに均質性の高い接合体となる。

 この場合、前記第4温度は、850℃~1150℃の 囲内にあることが好ましい。

 また、前記金属組織均一化工程を行った 、前記接合体をMs点まで急冷し、その後前 接合体を徐冷することが好ましい。これに り、焼入れ効果により、接合体の硬度を高 することで、機械的強度が高く高品質の接 体となる。

 上記(2)に記載の接合体においては、前記 合体は、前記接合力強化工程において、前 接合体を前記第2温度に加熱してから前記第 3温度まで徐冷する間に、800℃~900℃の範囲内 ある第5温度で少なくとも30分間保持された 合体であることが好ましい。

 このように構成することにより、接合体 第5温度で保持する間にも、接合面に存在す る空隙は接合体の金属組織が変化する過程で 母相の鉄鋼材料中に溶け込んでいき、接合面 に存在する空隙を十分に消散させることが可 能となる。

 上記(2)に記載の接合体においては、前記 合体は、前記接合力強化工程において、加 した状態で熱処理された接合体であること 好ましい。

 このように構成することにより、接合面 より強い力で押圧しながら接合力強化工程 実施されているため、より高い接合力を備 る接合体となる。

 上記(2)に記載の接合体においては、前記 合体は、前記接合力強化工程を行った後、 活性ガス雰囲気下で冷却された接合体であ ことが好ましい。

 このように構成することにより、冷却過 で接合体の表面が酸化するのが抑制されて るため、品質面で優れた接合体となる。

 上記(2)に記載の接合体においては、前記 合体は、前記接合体形成工程において、磁 加熱により前記2つの鉄鋼部材が加熱された 接合体であることが好ましい。

 本発明の接合体を製造する際には、接合 形成工程を外部加熱又は通電加熱(パルス通 電加熱を含む。)によって行うこともできる 、接合体形成工程を磁気加熱によって行う とにより、2つの鉄鋼部材を高速かつ均一に 熱することが可能となり、結果として応力 みの小さい高品質の接合体を生産性よく製 することが可能となる。

(3)本発明の接合体においては、前記鉄鋼部 材は、Crを含有する鉄鋼部材であることが好 しい。

 Crを含有する鉄鋼部材からなる接合体か 製造された鉄鋼製品は、例えばダイカスト 型であればさほど多くないショット回数で 合部分が破損する等、従来は耐久性に乏し 傾向にあったが、本発明の接合体によれば 上述のように、試験片から得られる引張強 と比較試験片から得られる引張強度とが同 の値を示すことから、Crを含有する鉄鋼部材 からなる接合体であったとしても耐久性に優 れた鉄鋼製品を得ることが可能となる。

 ところで、本発明の発明者らは、従来の接 体からダイカスト金型を製造した場合にさ ど多くないショット回数で接合部分が破断 てしまう原因を調査する過程で、上記した 見のほか、次のような知見も得た。すなわ 、接合体を構成する2つの鉄鋼部材がCrを含 する鉄鋼部材である場合には、接合体の接 面に空隙が存在することだけでなく、接合 にCr含有不導態層が存在することも、さほ 多くないショット回数で接合部分が破断し しまう原因の1つとなっているのである。本 明の発明者らは、この知見に基づき、接合 に存在するCr含有不導態層を低減するため 手段を探るべく鋭意研究を重ねた結果、上 (2)で述べたように、接合体形成工程により 成した接合体を第2温度に加熱した後、A 1 変態点から600℃に降温するのに2時間以上か る条件で、600℃以下の第3温度に徐冷すれば 接合面に存在する空隙のみならずCr含有不 態層についても、徐冷に伴って接合体の金 組織が変化する過程で母相の鉄鋼材料中に け込んでいき、最終的には接合面に存在す 空隙及びCr含有不導態層を消散させることが 可能となるという知見を得た。

 つまり、本発明の接合体が上記(2)に記載 接合体からなる場合、接合面に存在する空 及びCr含有不導態層が消散しているため、 のような接合体からダイカスト金型を製造 た場合に、従来を超えるショット回数でも 合部分が破損することがなくなり、耐久性 優れたダイカスト金型を得ることが可能と る。このことはダイカスト金型以外の鉄鋼 品の場合にも同様であって、本発明の接合 は、ダイカスト金型を含む鉄鋼製品全般に たって、耐久性に優れた鉄鋼製品を得るこ が可能な接合体となる。

(4)本発明の接合体においては、前記鉄鋼部 材は、熱間金型用鋼、冷間金型用鋼、マルテ ンサイト系ステンレス鋼、オーステナイト系 ステンレス鋼、機械構造用金属鋼又は高速度 工具鋼からなる鉄鋼部材であることが好まし い。

 このように構成することにより、様々な 途に用いることが可能な接合体となる。

(5)本発明の接合体においては、前記鉄鋼部 材は、Crを含有しない鉄鋼部材であることが ましい。

 このように構成することにより、Crを含 しない鉄鋼部材からなる接合体においても 久性に優れた鉄鋼製品を得ることが可能と る。

(6)本発明の接合体においては、前記鉄鋼部 材は、炭素鋼、一般構造用圧延鋼材、冷間圧 延鋼板又は炭素鋼鍛鋼品からなる鉄鋼部材で あることが好ましい。

 このように構成することにより、様々な 途に用いることが可能な接合体となる。

(7)本発明の接合体においては、前記2つの 鋼部材における接合予定面は、平面である とが好ましい。

 このように構成することにより、接合予 面を高精度に加工することで2つの鉄鋼部材 を突き当てたときの鉄鋼部材間の密着度を高 めることができるため、接合面に存在する空 隙をさらに低減することが可能となる。その 結果、さらに耐久性に優れた鉄鋼製品を得る ことが可能となる。

(8)本発明の接合体においては、前記接合予 定面における算術平均粗さRaは、0.2μm以下で ることが好ましい。

 このように構成することにより、2つの鉄 鋼部材における接合予定面同士の間隔が平均 で0.4μm以下となる状態で接合された接合体( い換えると、接合面に残存することのある 隙が極めて小さい接合体。)となるため、さ に耐久性に優れた鉄鋼製品を得ることが可 となる。

(9)本発明の鉄鋼製品は、本発明の接合体か ら製造された鉄鋼製品である。

 このため、本発明の鉄鋼製品は、十分に い接合力で接合された鉄鋼製品となり、様 な用途に用いることが可能となる。

 鉄鋼製品としては、各種成形金型、各種 具、各種構造材などを例示することができ 。

(10)本発明の鉄鋼製品においては、前記接 体における接合面のうち外側部分は、除去 れていることが好ましい。

 接合体における接合面のうち外側部分は 他の部分(例えば、接合体における接合面の うち中心部分)と比べると接合力が低い可能 があるが、上記のように構成することによ 、相対的に接合力が低い部分が除去された 品質な鉄鋼製品となる。

 なお、この明細書において、「接合体に ける接合面のうち外側部分が除去されてい 」とは、2つの鉄鋼部材が互いに接合された 接合体において、当該接合体の表面のうち接 合面と接合体の側面とが交差する部分を含む 表面と、当該表面から少なくとも0.2mm内側の 分とが除去されていることを意味している 後述する図4に示すような円筒形状の接合体 を例に説明すると、接合面と接合体の側面と が交差する部分を含む表面と、当該表面から 少なくとも0.2mm内側の部分とが除去されてい ことを意味している。ただし、ドーナツ形 の接合体等のように接合体の内側に空間を する接合体であって、接合面と接合体の側 とが交差する部分が接合体の外周部分及び 周部分に存在する接合体の場合には、必ず も接合体の外周部分における接合面近傍だ が除去されるのではなく、接合体の内周部 における接合面近傍が除去されていてもよ し、外周部分及び内周部分の両方における 合面近傍が除去されていてもよい。

(11)本発明の鉄鋼製品においては、前記鉄 製品には、表面硬度を高くする表面処理が されていることが好ましい。

 ところで、本発明の鉄鋼製品は、上述し ように、接合力強化工程が行われた接合体 用いて製造された鉄鋼製品であることから 高い接合力(耐久性)を備える反面、鉄鋼製 の硬度が低くなってしまう傾向にあるが、 記のように構成することにより、鉄鋼製品 表面硬度を高くして鉄鋼製品の耐摩耗性を 上することが可能となる。また、鉄鋼製品 ダイカスト金型などの成形金型である場合 は、離型性を向上することが可能となる。

(12)本発明の鉄鋼製品においては、前記鉄 製品は、ダイカスト金型である。

 ところで、ダイカスト金型として、熱交換 媒体流路を内部に含む構造からなるダイカ ト金型が要望されることがあるが、このよ な構造からなるダイカスト金型を単一の鉄 部材を用いて製造するのは極めて困難であ 。
 これに対し、本発明の鉄鋼製品(ダイカスト 金型)によれば、本発明の接合体を用いて製 された鉄鋼製品(ダイカスト金型)であるため 、熱交換用媒体流路を内部に含む構造からな るダイカスト金型を比較的容易に実現するこ とが可能となる。
 また、本発明の鉄鋼製品(ダイカスト金型) 、十分に高い接合力で接合されていること ら、耐久性に優れたダイカスト金型となる

(13)本発明のダイカスト製品は、本発明の イカスト金型を用いて製造されたダイカス 製品である。

 このため、本発明のダイカスト製品は、 述のように、熱交換用媒体流路を内部に含 構造からなるダイカスト金型であって、耐 性に優れたダイカスト金型を用いて製造さ たダイカスト製品であるため、高品質でか 製造コストの安価なダイカスト製品となる

実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法を 説明するために示すフローチャートである。 実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法を 説明するために示す図である。 実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法を 説明するために示す図である。 実施形態1に係る接合体100を説明するた めに示す斜視図である。 実施例に係る接合体10及び比較例に係 鉄鋼部材10aを説明するために示す図である 比較例に係る鉄鋼部材10aに与えた熱履 を説明するために示す図である。 引張試験を行った後の試験片の一例を す写真である。 実施形態2に係る接合体200及びダイカス ト金型250を説明するために示す図である。 実施形態3に係る接合体300及び加圧ピン 350を説明するために示す図である。 従来の鉄鋼部材の接合方法を説明する ために示すフローチャートである。 従来の鉄鋼部材の接合方法を説明する ために示す図である。

 以下、本発明の接合体、鉄鋼製品及びダ カスト製品について、図に示す実施の形態 基づいて説明する。なお、本発明の接合体 鉄鋼製品及びダイカスト製品を説明する前 、まず、本発明の接合体を製造するための 法(鉄鋼部材の接合方法)について説明する

[実施形態1]
 実施形態1は、本発明の接合体及び当該接合 体を製造するための方法(鉄鋼部材の接合方 )を説明するための実施形態である。

 図1は、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合 法を説明するために示すフローチャートで る。図2は、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合 方法を説明するために示す図である。図2中 横軸は時間を示し、縦軸は温度を示す。

 図3は、実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方 を説明するために示す図である。図3(a1)は鉄 鋼部材準備工程S110を説明するために示す図 あり、図3(b1)は接合体形成工程S120を説明す ために示す図であり、図3(c1)は金属組織均一 化工程S130を説明するために示す図であり、 3(d1)及び図3(e1)は接合力強化工程S140を説明す るために示す図であり、図3(a2)~図3(e2)は図3(a1 )~図3(e1)における領域Rの部分拡大図である。
 なお、Cr含有不導態層は、通常の断面電子 微鏡において視認できるものではないが、 解を容易にするために、図3(b2)~図3(d2)におい てCr含有不導態層142を網掛化して示すことと る。

 図4は、実施形態1に係る接合体100を説明 るために示す図である。図4(a)は鉄鋼部材準 工程S110で準備された2つの鉄鋼部材110,120を す斜視図であり、図4(b)は接合力強化工程S14 0終了後の接合体100を示す斜視図である。

 実施形態1に係る接合体100は、実施形態1に る鉄鋼部材の接合方法を実施することによ 製造することができる。
 実施形態1に係る鉄鋼部材の接合方法は、図 1に示すように、鉄鋼部材準備工程S110と、接 体形成工程S120と、金属組織均一化工程S130 、接合力強化工程S140とをこの順序で含む。 お、本発明者らは、接合力強化工程のこと 「CORE-X処理」(CORE-Xは株式会社MOLE’S ACTの 録商標。)と呼んでいる。

1.鉄鋼部材準備工程
 鉄鋼部材準備工程S110は、Crを含有する2つの 鉄鋼部材を準備する工程である(図3(a1)参照。 )。

 Crを含有する2つの鉄鋼部材としては、熱 金型用鋼(例えばSKD61)からなる鉄鋼部材110,12 0を用いている。2つの鉄鋼部材110,120の形状は 、それぞれ円柱形状である(図4(a)参照。)。2 の鉄鋼部材110,120における接合予定面112,122は 平面であり、接合予定面112,122の算術平均粗 Raは、例えば0.1μmである。

2.接合体形成工程
 接合体形成工程S120は、2つの鉄鋼部材110,120 おける接合予定面112,122を突き合わせた状態 で、2つの鉄鋼部材110,120を所定の圧力条件で 圧しながら、2つの鉄鋼部材110,120を接合可 な第1温度T 1 (例えば、850℃~1150℃(図2においては1070℃))に 熱することにより、2つの鉄鋼部材110,120を いに接合して接合体100を形成する工程であ (図3(b1)参照。)。

 接合体形成工程S120においては、複数の接合 対象部材にパルス電流を流して当該複数の接 合対象部材を接合するパルス通電接合装置( えば、特許第3548509号公報参照。)を用いて接 合体100の形成を行う。2つの鉄鋼部材110,120の 圧は、油圧を用いて例えば10MPaの圧力条件 行う。2つの鉄鋼部材110,120の加熱は、2つの 鋼部材110,120にパルス通電することにより行 。第1温度T 1 における保持時間(第1熱処理時間t 1 )は、例えば30分間である(図2参照。)。接合体 形成工程S120を行った後、接合体100を室温ま 徐冷する。

3.金属組織均一化工程
 金属組織均一化工程S130は、接合体100を、接 合体100の金属組織をより均一にすることが可 能な第4温度T 4 (例えば、850℃~1150℃(図2においては1040℃))に 熱する工程である(図3(c1)参照。)。

 金属組織均一化工程S130においては、真空炉 を用いて接合体100の加熱を行う。第4温度T 4 における保持時間(第4熱処理時間t 4 )は、例えば1時間(図2参照。)である。金属組 均一化工程S130を行った後、接合体100をMs点 で急冷し、その後接合体100を徐冷する。

4.接合力強化工程
 接合力強化工程S140は、接合体100を鉄鋼部材 110,120におけるA 1 変態点(約820℃)以上の第2温度T 2 (図2においては950℃。)に加熱した後、A 1 変態点T A1 から600℃に降温するのに5時間かける条件で 接合体100を600℃以下の第3温度T 3 (図2においては500℃。)に徐冷することにより 、接合体100における接合力を強化する工程で ある。

 接合力強化工程S140においては、真空炉を用 いて接合体100の加熱を行う。第2温度T 2 における保持時間(第2熱処理時間t 2 )は、例えば2時間である(図2参照。)。第3熱処 理時間t 3 は、5時間である。接合力強化工程S140を行っ 後、不活性ガス雰囲気下(例えば、N 2 ガス雰囲気下)で接合体100を冷却する。

 なお、上記した各工程において、接合体 温度を測定する際には、熱電対又は放射温 計を用いて、接合体の最外周部の温度を測 している。

 以上の工程を行うことにより、図4(b)に示 す接合体100を製造することができる。

 実施形態1に係る接合体100は、2つの鉄鋼 材110,120が互いに接合された接合体であって 接合体100は、詳細については後述するが、 合体100から接合体の接合面を含む試験片を 成するとともに、2つの鉄鋼部材110,120と同 種類の鉄鋼部材から比較試験片を作成し、 験片及び比較試験片を用いて引張試験を行 たとき、試験片から得られる引張強度と比 試験片から得られる引張強度とが同一の値 示すものである。

 このため、実施形態1に係る接合体100によ れば、接合体100における接合部分(接合面140 傍)の機械的強度が接合体100における母材部 の機械的強度と同等の接合体となる。その 果、実施形態1に係る接合体100は、鉄鋼製品 を製造した場合に、従来の接合体から鉄鋼製 品を製造した場合と比較してより耐久性に優 れた鉄鋼製品を得ることが可能な接合体とな る。

 実施形態1に係る接合体100においては、鉄 鋼部材110,120は、Crを含有する鉄鋼部材である 。Crを含有する鉄鋼部材からなる接合体から 造された鉄鋼製品は、例えばダイカスト金 であればさほど多くないショット回数で接 部分が破損する等、従来は耐久性に乏しい 向にあったが、実施形態1に係る接合体100に よれば、上述のように、試験片から得られる 引張強度と比較試験片から得られる引張強度 とが同一の値を示すことから、Crを含有する 鋼部材からなる接合体であったとしても耐 性に優れた鉄鋼製品を得ることが可能とな 。

 実施形態1に係る接合体100においては、鉄 鋼部材110,120は、熱間金型用鋼からなる鉄鋼 材であるため、様々な用途に用いることが 能な接合体となる。

 実施形態1に係る接合体100においては、2 の鉄鋼部材110,120における接合予定面112,122( 3(a1)参照。)は、平面である。これにより、 合予定面112,122を高精度に加工することで2つ の鉄鋼部材110,120を突き当てたときの鉄鋼部 間の密着度を高めることができるため、接 面140に存在する空隙144をさらに低減するこ が可能となる。その結果、さらに耐久性に れた鉄鋼製品を得ることが可能となる。

 実施形態1に係る接合体100においては、接 合予定面112,122における算術平均粗さRaは、0.2 μm以下である。これにより、2つの鉄鋼部材11 0,120における接合予定面同士の間隔が平均で0 .4μm以下となる状態で接合された接合体(言い 換えると、接合面140に残存することのある空 隙が極めて小さい接合体。)となるため、さ に耐久性に優れた鉄鋼製品を得ることが可 となる。

[試験例]
 次に、実施例に係る接合体1と比較例に係る 鉄鋼部材1aをもとにして、引張試験(引張強度 試験)を行った。
 図5は、実施例に係る接合体10及び比較例に る鉄鋼部材10aを説明するために示す図であ 。図5(a)は実施例に係る接合体10及び試験片1 を示す斜視図であり、図5(b)は比較例に係る 鋼部材10a及び比較試験片1aを示す斜視図であ り、図5(c)は試験片1及び比較試験片1aの平面 である。
 図6は、比較例に係る鉄鋼部材10aに与えた熱 履歴を説明するために示す図である。図6中 横軸は時間を示し、縦軸は温度を示す。
 図7は、引張試験を行った後の試験片の一例 を示す写真である。

 実施例に係る接合体10(図5(a)参照。)は、2つ 鉄鋼部材20,30が互いに接合された接合体で って、実施形態1で説明した工程と同一の工 を実施することによって得られる接合体で る。ただし、実施例に係る接合体10におい は、接合力強化工程における第2温度T 2 を850℃としている。

 比較例に係る鉄鋼部材10a(図5(c)参照。)は、 施例に係る接合体10と同じ種類の鉄鋼部材10 aを準備し、第1熱処理工程S122、第2熱処理工 S132及び第3熱処理工程S142の順で熱処理する とにより得られるものである。図6に示すよ に、第1熱処理工程S122の熱処理温度T 1 ’及び第2熱処理工程S132の熱処理温度T 4 ’は1030℃であり、熱処理時間t 1 ’,t 4 ’はともに1時間である。第1熱処理工程S122を 行った後、鉄鋼部材10aを室温まで徐冷する。 第2熱処理工程S132を行った後、鉄鋼部材10aをM s点まで急冷し、その後鉄鋼部材10aを徐冷す 。第3熱処理工程S142においては、鉄鋼部材10a を850℃まで加熱した後、A 1 変態点T A1 から600℃に降温するのに5時間かける条件で 鉄鋼部材10aを500℃まで徐冷している。熱処 時間t 2 ’は2時間であり、熱処理時間t 3 ’は5時間である。第3熱処理工程S142を行った 後、不活性ガス雰囲気下(例えば、N 2 ガス雰囲気下)で鉄鋼部材10aを冷却している

 図2と図6とを比較して分かるように、実 例に係る接合体10に与える熱履歴と比較例に 係る鉄鋼部材10aに与える熱履歴とは、ほぼ同 じである。

 これら実施例に係る接合体10及び比較例 係る鉄鋼部材10aから、試験片1及び比較試験 1a(JIS Z2201に準拠)を作成し、引張試験(JIS Z2 241に準拠)を行った。実施例及び比較例で用 た鉄鋼部材の材質について、Crを含有する鉄 鋼部材としては、STAVAX(ウッデホルム社の登 商標)、HPM38(HPMは日立金属株式会社の登録商 )、SKD11、SKD61、SUS420J2、SKH51の6種類を、Crを 有しない鉄鋼部材としてはS55Cの1種類を選 、各材質で試験片1及び比較試験片1aを3つず 作成し、各試験片1及び比較試験片1aが破断 るときの強度を測定して引張強度を算出し 。

 表1は、引張試験の結果を示す表である。

 引張試験の結果、表1からわかるように、 Crを含有する鉄鋼部材及びCrを含有しない鉄 部材のいずれの材質においても、試験片1か 得られる引張強度と比較試験片1aから得ら る引張強度とがほぼ同一の値を示している とがわかった。これより、実施例に係る接 体10は、接合体10における接合部分(接合面近 傍)の機械的強度が接合体10における母材部分 の機械的強度と同等であることがわかる。

 なお、本発明において、「試験片から得 れる引張強度と比較試験片から得られる引 強度とが同一の値を示す」というときの「 一」とは、これらの引張強度が完全に同一 ある場合のみならず、これらの引張強度が 質的に同一である場合をも含むものである すなわち、本発明における「同一」の概念 は、接合体10及び鉄鋼部材10aの製造誤差や 張試験における測定誤差などの誤差により 全に同一ではないが実質的に同一であるも も含まれる。

 以上のことから、実施例に係る接合体10 つまり実施形態1に係る接合体100は、鉄鋼製 を製造した場合に、従来の接合体から鉄鋼 品を製造した場合と比較してより耐久性に れた鉄鋼製品を得ることが可能な接合体で ると結論付けることができる。

[実施形態2]
 実施形態2は、本発明の接合体及び当該接合 体から製造される鉄鋼製品(本発明の鉄鋼製 )を説明するための実施形態である。実施形 2においては、鉄鋼製品として、ダイカスト 金型(実施形態2に係るダイカスト金型)を例に とって説明する。

 図8は、実施形態2に係る接合体200及びダ カスト金型250を説明するために示す図であ 。図8(a)~図8(d)のそれぞれは接合体200を製造 るための方法を示す工程図であって、図8(a) 鉄鋼部材準備工程S210を説明するために示す 図であり、図8(b)は接合体形成工程S220を説明 るために示す図であり、図8(c)は金属組織均 一化工程S230を説明するために示す図であり 図8(d)は接合力強化工程S240を説明するために 示す図であり、図8(e)は接合体200に切削加工 び表面処理を施したダイカスト金型250を説 するために示す図である。

 実施形態2に係る接合体200は、図8(a)~図8(d) に示すように、鉄鋼部材準備工程S210と、接 体形成工程S220と、金属組織均一化工程S230と 、接合力強化工程S240とをこの順序で行うこ により製造することができる。なお、これ 各工程は、実施形態1で説明したものと同様 あるため、詳細な説明は省略する。

 実施形態2に係る接合体200においては、図 8(a)に示すように、接合対象として、接合予 面212,222に熱交換用媒体流路形成用溝214,224が 形成された2つの鉄鋼部材210,220を用いている 鉄鋼部材210,220は、実施形態1に係る接合体10 0の場合と同様に、熱間金型用鋼(例えばSKD61) らなる鉄鋼部材である。

 上記工程を行って製造された接合体200に して切削加工及び表面処理を行うことによ 、熱交換用媒体流路260を内部に含むダイカ ト金型250(実施形態2に係るダイカスト金型) 製造することができる(図8(e)参照。)。

 表面処理としては、窒化処理(例えばイオ ン窒化処理など)を行っている。なお、窒化 理に限らず、他の表面処理方法(例えば、マ チナイト処理、浸炭処理、各種コーティン 処理(例えばチタンコーティングやセラミッ クコーティング)など)を用いてもよい。

 実施形態2に係る接合体200は、2つの鉄鋼 材210,220が互いに接合された接合体であって 接合体200は、実施形態1に係る接合体100の場 合と同様に、接合体200から接合体の接合面を 含む試験片を作成するとともに、2つの鉄鋼 材210,220と同じ種類の鉄鋼部材から比較試験 を作成し、試験片及び比較試験片を用いて 張試験を行ったとき、試験片から得られる 張強度と比較試験片から得られる引張強度 が同一の値を示すものである。

 このため、実施形態2に係る接合体200によ れば、接合体200における接合部分(接合面240 傍)の機械的強度が接合体200における母材部 の機械的強度と同等の接合体となる。その 果、実施形態2に係る接合体200は、実施形態 1に係る接合体100と同様に、鉄鋼製品を製造 た場合に、従来の接合体から鉄鋼製品を製 した場合と比較してより耐久性に優れた鉄 製品を得ることが可能な接合体となる。

 実施形態2に係る接合体200は、接合対象が 異なる点以外の点では、実施形態1に係る接 体100と同様の構成を有するため、実施形態1 係る接合体100が有する効果のうち該当する 果をそのまま有する。

 実施形態2に係るダイカスト金型250は、実 施形態2に係る接合体200から製造された鉄鋼 品であるため、十分に高い接合力で接合さ た鉄鋼製品となる。

 なお、実施形態2に係るダイカスト金型250 においては、ここでは図示による説明を省略 するが、接合体200における接合面240のうち外 側部分を除去している。具体的には、接合体 200の表面のうち接合面240と接合体200の側面と が交差する部分を含む表面と、当該表面から 少なくとも0.2mm内側の部分とを除去している 接合体200における接合面240のうち外側部分 、他の部分(例えば、接合体200における接合 面240のうち中心部分)と比べると接合力が低 可能性があるが、実施形態2に係るダイカス 金型250によれば、接合面240のうち外側部分 除去しているため、相対的に接合力が低い 分が除去された高品質なダイカスト金型と る。

 実施形態2に係るダイカスト金型250におい ては、ダイカスト金型250には、表面硬度を高 くする表面処理が施されている。これにより 、上述の接合力強化工程を行うことによって ダイカスト金型250のバルクとしての硬度が低 下することがあるとしても、ダイカスト金型 250の表面硬度を高くすることでダイカスト金 型250の耐摩耗性を向上することが可能となる 。また、離型性も向上することが可能となる 。

 実施形態2に係るダイカスト金型250は、十 分に高い接合力で接合されているため、耐久 性に優れたダイカスト金型となる。このため 、ダイカスト金型250を用いて製造されたダイ カスト製品は、高品質で製造コストの安価な ダイカスト製品となる。

[実施形態3]
 実施形態3は、本発明の接合体及び当該接合 体から製造される鉄鋼製品(本発明の鉄鋼製 )を説明するための実施形態である。実施形 3においては、鉄鋼製品として、ダイカスト 金型に用いる加圧ピン(実施形態3に係る加圧 ン)を例にとって説明する。

 図9は、実施形態3に係る接合体300及び加 ピン350を説明するために示す図である。図9( a)~図9(d)のそれぞれは接合体300及び加圧ピン 製造するための方法を示す工程図であって 図9(a)は鉄鋼部材準備工程S310を説明するため に示す図であり、図9(b)は接合体形成工程S320 説明するために示す図であり、図9(c)は金属 組織均一化工程S330を説明するために示す図 あり、図9(d)は接合力強化工程S340を説明する ために示す図である。

 実施形態3に係る接合体300は、図9(a)~図9(d) に示すように、鉄鋼部材準備工程S310と、接 体形成工程S320と、金属組織均一化工程S330と 、接合力強化工程S340とをこの順序で行うこ により製造することができる。なお、これ 各工程は、実施形態1で説明したものと同様 あるため、詳細な説明は省略する。

 実施形態3に係る接合体300においては、図 9(a)に示すように、接合対象として、それぞ NC切削加工により所定の形状に切削されてい る2つの鉄鋼部材310,320を用いている。鉄鋼部 310,320は、実施形態1に係る接合体100の場合 同様に、熱間金型用鋼(例えばSKD61)からなる 鋼部材である。

 実施形態3に係る接合体300は、2つの鉄鋼 材310,320が互いに接合された接合体であって 接合体300は、実施形態1に係る接合体100の場 合と同様に、接合体300から接合体の接合面を 含む試験片を作成するとともに、2つの鉄鋼 材310,320と同じ種類の鉄鋼部材から比較試験 を作成し、試験片及び比較試験片を用いて 張試験を行ったとき、試験片から得られる 張強度と比較試験片から得られる引張強度 が同一の値を示すものである。

 このため、実施形態3に係る接合体300によ れば、接合体300における接合部分(接合面340 傍)の機械的強度が接合体300における母材部 の機械的強度と同等の接合体となる。その 果、実施形態3に係る接合体300は、実施形態 1に係る接合体100と同様に、鉄鋼製品を製造 た場合に、従来の接合体から鉄鋼製品を製 した場合と比較してより耐久性に優れた鉄 製品を得ることが可能な接合体となる。

 実施形態3に係る接合体300は、接合対象が 異なる点以外の点では、実施形態1に係る接 体100と同様の構成を有するため、実施形態1 係る接合体100が有する効果のうち該当する 果をそのまま有する。

 実施形態3に係る加圧ピン350は、実施形態 3に係る接合体300から製造された鉄鋼製品で るため、十分に高い接合力で接合された鉄 製品となる。

 実施形態3に係る加圧ピン350は、十分に高 い接合力で接合されているため、耐久性に優 れた加圧ピンとなる。

 以上、本発明の接合体、鉄鋼製品及びダ カスト製品を上記の各実施形態に基づいて 明したが、本発明は上記の各実施形態に限 されるものではなく、その要旨を逸脱しな 範囲において種々の態様において実施する とが可能であり、例えば次のような変形も 能である。

(1)上記各実施形態においては、2つの鉄鋼 材が互いに接合された接合体を前提として 明したが、本発明は2つの鉄鋼部材が互いに 合された接合体のみに限定されるものでは く、3つ以上の鉄鋼部材が互いに接合された 接合体にも適用することが可能である。なぜ なら、3つ以上の鉄鋼部材が互いに接合され 接合体であっても、その中で隣り合う2つの 鋼部材に着目すれば、本発明と同様に、2つ の鉄鋼部材が互いに接合された接合体となる からである。

(2)上記各実施形態においては、接合体を構 成する2つの鉄鋼部材が同じ種類の鉄鋼部材 らなる場合を例示して説明したが、本発明 これに限定されるものではなく、接合体を 成する2つの鉄鋼部材が異なる種類の鉄鋼部 からなる場合にも、本発明を適用すること できる。この場合において、比較試験片は 接合体を構成する2つの異種鉄鋼部材のうち いずれか一方の鉄鋼部材と同じ種類の鉄鋼部 材から作成したものであればよい。例えば、 種類の異なる鉄鋼部材Aと鉄鋼部材Bとが互い 接合された接合体の場合、比較試験片は、 鋼部材A,Bのいずれか一方と同じ種類の鉄鋼 材から作成したものであればよい。

(3)上記各実施形態においては、2つの鉄鋼 材の間に何も介在させない状態で接合体を 成する場合を例示して説明したが、本発明 これに限定されるものではなく、2つの鉄鋼 材とは異材質の薄板鉄鋼部材を2つの鉄鋼部 材の間に介在させた状態で接合体を形成して もよい。

(4)上記各実施形態においては、鉄鋼部材と して、熱間金型用鋼であるSKD61を用いたが、 発明はこれに限定されるものではない。鉄 部材として、SKD61以外の熱間金型用鋼を用 てもよいし、冷間金型用鋼(例えばSKD11)、マ テンサイト系ステンレス鋼(例えばSUS420J2)、 オーステナイト系ステンレス鋼(例えばSUS304 SUS316L)、機械構造用金属鋼(例えばSCM430、SNCM4 20)又は高速度工具鋼(例えばSKH51、HAP40)を用い てもよい。このような鉄鋼部材を用いた場合 であっても、十分に高い接合力で接合するこ とが可能となる。

(5)上記各実施形態においては、2つの鉄鋼 材として、Crを含有する鉄鋼部材(SKD61)を用 た場合を例示して説明したが、本発明はこ に限定されるものではなく、Crを含有しない 鉄鋼部材を用いた場合にも本発明を適用可能 である。Crを含有しない鉄鋼部材としては、 素鋼(例えばS45C、S55C)、一般構造用圧延鋼材 (例えばSS400)、冷間圧延鋼板(例えばSPCC)又は 素鋼鍛鋼品(例えばSF材)などを例示すること できる。

(6)上記各実施形態ににおいては、接合予定 面が平面である場合について説明したが、本 発明はこれに限定されるものではない。接合 予定面が互いに密着可能であれば、接合予定 面は曲面であったり段差を有していたりして もよい。

(7)上記各実施形態においては、鉄鋼部材に おける接合予定面の算術平均粗さRaが0.1μmで る場合を例示して説明したが、本発明はこ に限定されるものではなく、接合予定面の 術平均粗さRaが0.2μm以下であればよい。

(8)上記実施形態1においては、接合体形成 程をパルス通電加熱装置を用いたパルス通 加熱により行う場合を例示して説明したが 本発明はこれに限定されるものではない。 えば、外部加熱又は磁気加熱により行うこ もできる。このうち、磁気加熱の場合には 複数の鉄鋼部材を高速かつ均一に加熱する とが可能となり、結果として応力歪みの小 い高品質の接合体を生産性よく製造するこ が可能となる。

(9)上記実施形態1においては、油圧により2 の鉄鋼部材を押圧しながら2つの鉄鋼部材を 加熱する場合を例示して説明したが、本発明 はこれに限定されるものではない。例えば、 サーボモータを用いて2つの鉄鋼部材を所定 圧力条件で押圧しながら2つの鉄鋼部材を加 することもできる。これにより、2つの鉄鋼 部材を一定の圧力条件で押圧することが可能 となり、結果として応力歪みの小さい高品質 の接合体を製造することが可能となる。なお 、エアにより2つの鉄鋼部材を押圧しながら2 の鉄鋼部材を加熱してもよい。

(10)上記実施形態1においては、接合力強化工 における第3熱処理時間t 3 の始まりの温度をA 1 変態点としたが、本発明はこれに限定される ものではない。鉄鋼部材におけるA 1 変態点が850℃よりも高い場合には、第3熱処 時間t 3 の始まりの温度を850℃としてもよい。

(11)上記実施形態1においては、第3熱処理時間 t 3 が5時間である場合を例示して説明したが、 発明はこれに限定されるものではなく、2時 以上あればよい。なお、接合体の接合力を り高くする観点から、第3熱処理時間t 3 を10時間以上又は15時間以上としてもよい。

(12)上記実施形態1においては、接合力強化工 を行った後、不活性ガス雰囲気下(例えば、 N 2 ガス雰囲気下)で接合体を冷却する場合を例 して説明したが、本発明はこれに限定され ものではない。接合力強化工を行った後の 合体を炉から取り出して、そのまま大気中 放置してもよい。

(13)上記実施形態1においては、接合体形成工 、金属組織均一化工程及び接合力強化工程 、真空中において行う場合を例示して説明 たが、本発明はこれに限定されるものでは い。例えば、これらの工程をN 2 ガス、Arガス等の不活性ガス雰囲気中におい 行うこともできる。この場合にも、各熱処 工程において、酸素等の反応性ガスによる 影響を抑制することが可能となる。

(14)上記実施形態1においては、接合力強化 程において、接合体を加圧せずに熱処理す 場合を例示して説明したが、本発明はこれ 限定されるものではなく、接合体を加圧(例 えば200MPaで加圧)した状態で熱処理してもよ 。

(15)上記実施形態1においては、接合体形成 程と接合力強化工程との間に、金属組織均 化工程を行う場合を例示して説明したが、 発明はこれに限定されるものではない。接 体形成工程を経たときの接合体の金属組織 比較的均一であれば、必ずしも金属組織均 化工程を行わなくてもよい。

(16)上記実施形態1においては、接合力強化工 において、第2熱処理時間t 2 が経過した後は第3温度T 3 まで所定の徐冷速度を維持しながら徐冷する 場合を例示して説明したが、本発明はこれに 限定されるものではない。接合体を第2温度T 2 に加熱してから第3温度T 3 まで徐冷する間に、800℃~900℃の範囲内にあ 第5温度で少なくとも30分間保持することと てもよい。

(17)上記各実施形態においては、鉄鋼製品 して、ダイカスト金型及び加圧ピンを製造 ることとしているが、本発明はこれに限定 れるものではない。鉄鋼製品としては、各 成形金型、各種工具、各種構造材などを例 することができる。

符号の説明

1…試験片、1a…比較試験片、10,100,200,300…接 体、10a,20,30,110,120,210,220,310,320…鉄鋼部材、1 12,122,212,222,312,322…接合予定面、14,140,240,340… 接合面、142…Cr含有不動態層、144…空隙、214, 224…熱交換用媒体流路形成用溝、250…ダイカ スト金型、260…熱交換用媒体流路、350…加圧 ピン、Ms…Ms点、T 1 …第1温度、T 2 …第2温度、T 3 …第3温度、T 4 …第4温度、T A1 …A 1 変態点、t 1 ……第1熱処理時間、t 2 …第2熱処理時間、t 3 …第3熱処理時間、t 4 …第4熱処理時間