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Title:
LUBRICATING AGENT, MAGNETIC RECORDING MEDIUM, AND HEAD SLIDER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/013785
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a lubricating agent containing a fluoropolymer produced by reacting a compound having the following structure with glycidol. The above constitution can realize a reduced film thickness and can realize the provision of a lubricating agent having a high level of adsorptivity onto a coating face. HOCH2CH(OH)CH2OCH2CF2(OCF2CF2)m(OCF2)nOCF2CH2OCH2CH(OH)CH2OH (7) wherein m and n are a real number of zero or more, provided that m and n are not simultaneously zero. (OCF2CF2)m(OCF2)n means that structural units of CF2O and structural units of C2F4O may be mutually arranged in a random form or in a block form.

Inventors:
SASA MASAAKI (JP)
CHIBA HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/000784
Publication Date:
January 29, 2009
Filing Date:
July 23, 2007
Export Citation:
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Assignee:
FUJITSU LTD (JP)
SASA MASAAKI (JP)
CHIBA HIROSHI (JP)
International Classes:
C10M105/54; C10M107/38; G11B5/60; G11B5/725; G11B21/21; C10N20/04; C10N30/00; C10N30/06; C10N40/18; C10N50/02
Foreign References:
JP2006059491A2006-03-02
JP2006137904A2006-06-01
JP2007231056A2007-09-13
Attorney, Agent or Firm:
DOI, Kenji et al. (Doi & Associates 3rd Floor, Toshou-Bldg. No.3, 3-9-5, Shin-yokohama, Kohoku-ku, Yokohama-sh, Kanagawa 33, JP)
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Claims:
 式1で表される構造を有する含フッ素ポリマーを含んでなる潤滑剤。
 R a OCH 2 CH(OR b )CH 2 OCH 2 CF 2 (OCF 2 CF 2 ) m (OCF 2 ) n OCF 2 CH 2 OCH 2 CH(OR c )CH 2 OR d ・・・(1)
 {式1において、m,nはゼロ以上の実数(ただし、mとnが同時にゼロにはならない)である。(OCF 2 CF 2 ) m (OCF 2 ) n は、CF 2 Oの構造単位とC 2 F 4 Oとの構造単位とが、互いにランダムな配列をとってもブロック化した配列をとってもよい。R a ,R b ,R c ,R d は、それぞれ独立に、水素または式2で表される基である。ただし、R a ,R b ,R c ,R d の全てが水素とはならない。}
 -CH 2 CH(OH)CH 2 OH・・・(2)
 前記含フッ素ポリマー中の一分子あたりのヒドロキシ基数の数が、平均値として、5個以上8個以下である請求項1に記載の潤滑剤。
 前記含フッ素ポリマーが、式7で表される構造を有する化合物とグリシドールとを反応させてなる含フッ素ポリマーである、請求項1または2に記載の潤滑剤。
 HOCH 2 CH(OH)CH 2 OCH 2 CF 2 (OCF 2 CF 2 ) m (OCF 2 ) n OCF 2 CH 2 OCH 2 CH(OH)CH 2 OH・・・(7)
 {式7において、m,nはゼロ以上の実数(ただし、mとnが同時にゼロにはならない)である。(OCF 2 CF 2 ) m (OCF 2 ) n は、CF 2 Oの構造単位とC 2 F 4 Oとの構造単位とが、互いにランダムな配列をとってもブロック化した配列をとってもよい。}
 前記含フッ素ポリマーが、式7で表される構造を有する化合物とグリシドールとの間の反応を塩基条件下行ったものである、請求項3に記載の潤滑剤。
 式1において、CF 2 Oの構造単位とC 2 F 4 Oとの構造単位の一部、またはその全てが、式3~6で表される構造単位からなる群から選ばれた、相異なっていてもよい基で置換されている、請求項1または2に記載の潤滑剤。
 -CF 2 -・・・・・・・・・(3)
 -CF 2 CF 2 -・・・・・・(4)
 -CF 2 CF 2 CF 2 -・・・・(5)
 -OCF 2 CF 2 CF 2 -・・・(6)
 式1および7において、CF 2 Oの構造単位とC 2 F 4 Oとの構造単位の一部、またはその全てが、式3~6で表される構造単位からなる群から選ばれた、相異なっていてもよい基で置換されている、請求項3または4に記載の潤滑剤。
 -CF 2 -・・・・・・・・・(3)
 -CF 2 CF 2 -・・・・・・(4)
 -CF 2 CF 2 CF 2 -・・・・(5)
 -OCF 2 CF 2 CF 2 -・・・(6)
 前記式1または前記式1と2とにおいて、mが6以下でかつnが6以下である、請求項1~6のいずれかに記載の潤滑剤。
 前記式1または前記式1と2とにおいて、m+nが10以下である、請求項1~7のいずれかに記載の潤滑剤。
 前記含フッ素ポリマーの数平均分子量が500以上10000以下である、請求項1~8のいずれかに記載の潤滑剤。
 前記潤滑剤中に含まれる全ての潤滑剤の全量に対し、請求項1~9のいずれかに記載の含フッ素ポリマーを30重量%以上含む潤滑剤。
 磁性層と、当該磁性層上にある保護層と、当該保護層上にある磁気記録媒体潤滑層とを含む磁気記録媒体であって、当該磁気記録媒体潤滑層が請求項1~10のいずれかに記載の潤滑剤を含むものである、磁気記録媒体。
 前記磁気記録媒体潤滑層が、前記塗布後に、
 70~150℃の範囲の温度による加熱処理と、
 波長10nm以上400nm以下の紫外線による紫外線照射と
の少なくともいずれか一方の処理を施したものである、請求項11に記載の磁気記録媒体。
 磁気記録媒体に対し、記録および/または再生を行うための記録変換素子を備えたヘッドスライダであって、当該磁気記録媒体に面する側のヘッドスライダ面に、保護層と請求項1~10のいずれかに記載の潤滑剤を含むヘッドスライダ潤滑層を有する、ヘッドスライダ。
 前記ヘッドスライダ潤滑層が、前記塗布後に、
 70~150℃の範囲の温度による加熱処理と、
 波長10nm以上400nm以下の紫外線による紫外線照射と
の少なくともいずれか一方の処理を施したものである、請求項13に記載のヘッドスライダ。
 請求項11又は12記載の磁気記録媒体と、請求項13又は14記載のヘッドスライダを搭載した磁気記録装置。
Description:
潤滑剤、磁気記録媒体およびヘ ドスライダ

 本発明は、磁気記録装置用の潤滑剤に関 る。

 磁気記録装置においては、記録変換素子( 本発明では単にヘッドともいう)を備えたヘ ドスライダが、磁気記録媒体であるハード ィスク上を浮上しながら情報の読み書きを う。

 ヘッドと、ハードディスク上で磁気情報 記録(書き込み)または再生(読み取り)するた めの磁性層との距離は磁気スペーシングと呼 ばれ、磁気スペーシングが狭いほど記録密度 が向上する。一方、情報の転送速度を上げる ためにはハードディスクの回転数を高くする 必要がある。近年の記録密度と転送速度の向 上に伴い、低浮上化、高速回転化が進み、現 在、ヘッド浮上高さは10nm程度、回転数は15000 回転/分(rpm)程度となっている。

 ハードディスクドライブにおいては、ド イブの信頼性を高めるため、一般に磁気デ スク上やヘッドスライダ上に潤滑剤がおお そ1~2nmの厚さで塗布されている。この潤滑 はヘッドがディスクに接触する際に摩擦や 耗を減らし、障害の発生を防止している。

 潤滑剤の膜厚はヘッド浮上高さの10%程度と っていることから、磁気スペーシングに対 て、無視できない厚さになっており(例えば 、非特許文献1参照。)、記録密度を向上させ には潤滑剤の膜厚を薄くし、磁気スペーシ グを低減することが重要となってきている
X.Ma等,「アイトリプルイー・トランザク ョン・オン・マグネティクス(IEEE Trans. Magn .),2001年,第37巻,p.1824

 現状の潤滑剤塗布膜厚は分子一層程度で るが、分子の途中の部分が被塗布面の表面 ら離れることがあるため、完全に一分子の さになっているとは言えない。そこで潤滑 を薄くするには、潤滑剤分子自身を低分子 することが考えられる。しかしながら、分 量の小さな潤滑剤分子は、分子量の減少に り分子間力が低下するため、薄膜化を実現 きても、被塗布面との吸着性が低下すると う問題が生じる。

 本発明は、上記問題点を解決し、低分子 の潤滑剤を使用して、潤滑層の膜厚を非常 小さくでき、かつ、被塗布面との吸着性を く保てる技術を開発することを目的として る。本発明の更に他の目的および利点は、 下の説明から明らかになるであろう。

 本発明の一態様によれば、式1で表される 構造を有する含フッ素ポリマーを含んでなる 潤滑剤が提供される。

 R a OCH 2 CH(OR b )CH 2 OCH 2 CF 2 (OCF 2 CF 2 ) m (OCF 2 ) n OCF 2 CH 2 OCH 2 CH(OR c )CH 2 OR d ・・・(1)
 式1において、m,nはゼロ以上の実数(ただし mとnが同時にゼロにはならない)である。(OCF 2 CF 2 ) m (OCF 2 ) n は、CF 2 Oの構造単位とC 2 F 4 Oとの構造単位とが、互いにランダムな配列 とってもブロック化した配列をとってもよ ことを意味する。R a ,R b ,R c ,R d は、それぞれ独立に、水素または式2で表さ る基である。ただし、R a ,R b ,R c ,R d の全てが水素とはならない。

 -CH 2 CH(OH)CH 2 OH・・・(2)

 本発明により、被塗布面への吸着性が高 、非常に薄膜の潤滑膜が提供できる。この 滑剤を、磁気記録装置の磁気記録媒体潤滑 やヘッドスライダ潤滑層に使用すれば、潤 層の膜厚を非常に小さくでき、かつ、被塗 面との吸着性を高く保つことができる。

ハードディスク装置の内部構造を示す 式的平面図である。 ヘッドと、磁気記録媒体との関係を示 模式的横断面図(磁気記録媒体磁性層に垂直 な方向で切断した図)である。 本発明に係る含フッ素ポリマーを合成 るための反応経路の例を示す図である。

符号の説明

 1 含フッ素ポリマーの分子
 2 被塗布面
 3  回転制御機構
 4  ヘッドの位置決め機構
 5  記録再生信号の処理回路
 6  サスペンジョン
 7  ジンバル
 8  ヘッド
 9  ヘッドスライダ保護層
 10 ヘッドスライダ潤滑層
 11 磁気記録媒体
 12 基板
 13 Cr下地層
 14 磁性層
 15 磁気記録媒体保護層
 16 磁気記録媒体潤滑層
 17  ヘッドスライダ

 以下に、本発明の実施の形態を図、表、 、実施例等を使用して説明する。なお、こ らの図、表、式、実施例等および説明は本 明を例示するものであり、本発明の範囲を 限するものではない。本発明の趣旨に合致 る限り他の実施の形態も本発明の範疇に属 得ることは言うまでもない。

 研究の結果、特定の構造を有する含フッ ポリマーにより、パーフルオロ構造でなく も、磁気記録装置の磁気記録媒体潤滑層や ッドスライダ潤滑層に使用した場合、潤滑 の膜厚を非常に小さくでき、かつ、被塗布 との吸着性の高い潤滑剤を実現できること 見出された。

 すなわち、潤滑剤は、式1で表される構造 を有する含フッ素ポリマーを含んでなる潤滑 剤である。

 R a OCH 2 CH(OR b )CH 2 OCH 2 CF 2 (OCF 2 CF 2 ) m (OCF 2 ) n OCF 2 CH 2 OCH 2 CH(OR c )CH 2 OR d ・・・(1)
 ここで、式1において、m,nはゼロ以上の実数 (ただし、mとnが同時にゼロにはならない)で る。(OCF 2 CF 2 ) m (OCF 2 ) n は、CF 2 Oの構造単位とC 2 F 4 Oとの構造単位とが、互いにランダムな配列 とってもブロック化した配列をとってもよ 。R a ,R b ,R c ,R d は、それぞれ独立に、水素または式2で表さ る基である。ただし、R a ,R b ,R c ,R d の全てが水素とはならない。なお、このこと は、潤滑剤中に、式1で表される構造を有し R a ,R b ,R c ,R d の全てが水素である含フッ素ポリマー(これ 、式7で表される構造を有する含フッ素ポリ ーに該当する)が含まれることを排除するも のではない。ただし、R a ,R b ,R c ,R d の全てが水素である場合には、一分子あたり のヒドロキシ基の数が少な目になるので、一 般的にはその量は少ない方がよい。

 -CH 2 CH(OH)CH 2 OH・・・(2)
 なお、含フッ素ポリマーは、単一の構造を していても、複数の構造を有する混合物で ってもよい。本発明において、下付添字で される記号が「実数」を表す場合は、この 実数」は、その構造を有する化合物の平均 である。

 含フッ素ポリマーを得るための方法には に制限はなく、公知のどのような反応を採 することもできる。さらに精製工程等を経 ものであってもよい。

 含フッ素ポリマーを得るための具体的方 としては、式7で表される構造を有する化合 物とグリシドールとを反応させてなるもので あってもよい。上記の反応に加え、さらに他 の反応や精製工程を経たものであってもよい 。また、本発明の趣旨に反しない限り、式7 表される構造を有する化合物とグリシドー とを反応させて得る場合に、その他の構造 有する化合物が混在していてもよく、その うな他の構造を有する化合物やそのような の構造を有する化合物とグリシドールとの 応生成物を後から取り除いてもよい。

 HOCH 2 CH(OH)CH 2 OCH 2 CF 2 (OCF 2 CF 2 ) m (OCF 2 ) n OCF 2 CH 2 OCH 2 CH(OH)CH 2 OH・・・(7)
 ここで、式7において、m,nはゼロ以上の実数 (ただし、mとnが同時にゼロにはならない)で る。(OCF 2 CF 2 ) m (OCF 2 ) n は、CF 2 Oの構造単位とC 2 F 4 Oとの構造単位とが、互いにランダムな配列 とってもブロック化した配列をとってもよ 。

 この反応には公知のどのような方法を採 することもできる。本反応は、エポキシ(ま たは酸素原子1つと炭素原子2つからなる三員 )とヒドロキシ基との反応であるので、一般 的なエーテルとヒドロキシ基との反応を適用 することができる。

 本反応は塩基条件下で行うことが好まし 。例えば、適当な溶媒中に、上記化合物と 基性物質とを共存させ、加熱することでこ 反応を進行させることができる場合が多い

 そのような塩基性物質については特に制 はなく、適宜選択することができる。苛性 ーダ、苛性カリ、アミン類等を例示するこ ができる。

 そのような溶媒についても特に制限はな 、エーテルとヒドロキシ基との反応に使用 きる公知の溶媒から適宜選択することがで る。アセトン、アセトニトリル、アルコー を例示することができる。

 式1の分子鎖中のヒドロキシ基は分子鎖の 末端または末端近傍にある。これらのヒドロ キシ基は、式7で表される構造を有する化合 の分子鎖の末端または末端近傍にあるヒド キシ基とグリシドールとの反応により、あ いは、式7で表される構造を有する化合物と リシドールとの反応物の分子鎖の末端また 末端近傍にあるヒドロキシ基とグリシドー との反応により、一個のヒドロキシ基を消 して二個のヒドロキシ基を生じる。従って 一個のヒドロキシ基と一個のグリシドール の反応により、ヒドロキシ基が一個増加す 。図3は、式7で表される構造を有する化合 の一分子に4分子のグリシドールが反応した を示している。ただし、図3のように式7で される構造を有する化合物の四つのヒドロ シ基にグリシドールが反応する前に、その ずれかのヒドロキシ基に結合したグリシド ルから生じるヒドロキシ基に更にグリシド ルが反応する場合もあるものと考えられる 反応生成物には、このような反応物も含ま 得る。

 本発明により、低分子量でありながら、 えば、磁気記録媒体やヘッドスライダの保 層への吸着性が高い潤滑剤が得られる。こ ような構造の含フッ素ポリマーを含有する 滑剤では、分子の両末端近傍にある極性基( ヒドロキシ基)が従来の潤滑剤よりも多数存 するため、潤滑剤を塗布される面(本発明で 被塗布面と略称する)に強固に吸着するため であると考えられる。

 前記含フッ素ポリマー中の一分子あたり ヒドロキシ基数の数は、平均値として、5個 以上8個以下であることが好ましい。式7の構 の両端に、グリシドールがそれぞれ二つ反 した場合が、ヒドロキシ基数の数が8個の場 合に該当する(図3参照)。このような構造では 、分子の末端近傍に多くのヒドロキシ基が存 在することになり、含フッ素ポリマーが低分 子量であっても、被塗布面との吸着性を向上 できるようになる。なお、ヒドロキシ基数の 数が8個を超えると、分子末端近傍の構造が ルキーになりすぎ、かえって含フッ素ポリ ーと被塗布面との吸着性が低下する恐れが てくる。さらに粘度が必要以上に高くなり ぎ、松脂のような状態になり、潤滑剤とし 機能を果たさない。

 式1において、あるいは式1と式7とにおいて CF 2 Oの構造単位とC 2 F 4 Oとの構造単位の一部、またはその全てが、 3~6で表される構造単位からなる群から選ば た、相異なっていてもよい基で置換されて る含フッ素ポリマーも同様の効果を与える 更に、このような構造であると、表面自由 ネルギーが減少すること等が予想される。 お、式7で表される構造を有する化合物や、 7のCF 2 Oの構造単位とC 2 F 4 Oとの構造単位の一部、またはその全てが、 3~6で表される構造単位からなる群から選ば た、相異なっていてもよい基で置換されて る構造を有する化合物は、どのような方法 入手してもよい。市販されているものもあ 。

 -CF 2 -・・・・・・・・・・(3)
 -CF 2 CF 2 -・・・・・・・・(4)
 -CF 2 CF 2 CF 2 -・・・・・(5)
 -OCF 2 CF 2 CF 2 -・・・・(6)
 上記式1において、mが6以下でかつnが6以下 あることが好ましい。mが6を超え、またはn 6を超えると、分子の中間部分が長くなり、 の部分における含フッ素ポリマーと被塗布 との吸着性が低下する恐れが生じ得る。こ ような問題は、別の見方からすると、m+nの 限としてとらえることもできる。本発明に しては、m+nとしては10以下であることが好 しい。m+nが10を超えると、分子の中間部分が 長くなり、その部分における含フッ素ポリマ ーと被塗布面との吸着性が低下する恐れが生 じ得る。

 更に、含フッ素ポリマーと被塗布面との 着性の問題を分子全体の大きさから見れば 本含フッ素ポリマーの分子量としては、数 均分子量で500以上10000以下が好ましい。500 満では、潤滑剤としての潤滑作用を示しに い。10000を超えると分子一層膜厚が厚くなり 過ぎるため、本発明の効果が得られにくくな る場合が多い。

 式1で表される構造を有する含フッ素ポリマ ーは1種類からなっていても複数の種類から っていてもよい。たとえは、式1において、n =0,m=6の場合には、(OCF 2 )成分を全く含まない構造になり、n=6,m=0の場 には、(OCF 2 CF 2 )成分を全く含まない構造になるが、含フッ ポリマーは、それらのいずれか一方の構造 有する含フッ素ポリマーから構成されてい も、両者が混合状態になっていてもよい。

 含フッ素ポリマーはそのまま潤滑剤とし 使用しても、他の潤滑剤成分と混合した状 で使用してもよい。場合によっては他の機 を有する成分(例えば溶媒)を含んでいても い。磁気記録装置用の磁気記録媒体やヘッ スライダに設けられる潤滑層を形成する前 潤滑剤には溶媒が含まれる場合もあるが、 媒には特に制限はなく、公知の溶媒を適宜 用できる。

 潤滑剤は、含フッ素ポリマーを、潤滑剤 に含まれる全ての潤滑剤の全量に対し30重 %以上含有することが好ましい。30重量%未満 は、含フッ素ポリマーの効果が発揮しがた なる場合が多い。

 上記の各種の潤滑剤は、磁気記録装置用 磁気記録媒体またはヘッドスライダに設け れる潤滑層に好適に使用できる。すなわち 磁性層と、この磁性層上にある保護層と、 の保護層上にある磁気記録媒体潤滑層とを む磁気記録媒体であって、磁気記録媒体潤 層が上記の潤滑剤を塗布したものである磁 記録媒体や、磁気記録媒体に対し、記録お び/または再生を行うためのヘッドを備えた ヘッドスライダであって、磁気記録媒体に面 する側のヘッドスライダ面に、保護層と上記 の潤滑剤からなる潤滑層を有する、ヘッドス ライダは、潤滑層の膜厚を非常に薄くでき、 極低浮上高さに対応することが可能である。

 この場合、磁気記録媒体潤滑層について ヘッドスライダ潤滑層についても、被塗布 に塗布された潤滑剤の表面均一性および被 布面との吸着性を向上させるために、潤滑 の塗布後に加熱処理することが好ましい。 熱処理としては、環境温度が70~150℃の範囲 好ましい。処理時間としては0.5~2時間の範 が好ましい。70℃未満では、吸着性の向上が 十分でない場合があり得る。150℃を超えると 熱による潤滑剤の分解や潤滑剤の蒸発により 、均一な(粘稠さの小さい)潤滑膜が得られな 。なお、この加熱処理は、潤滑在中の溶媒 除去する目的を兼ねていてもよいことは言 までもない。

 また、潤滑剤の塗布後に紫外線照射処理 ることも好ましい。この場合の紫外線の波 は10nm以上400nm以下の範囲が好ましい。処理 間としては5~100秒間の範囲が好ましい。10nm 満では、エネルギーが大きすぎ、潤滑剤を 定できない。400nmを超えるとエネルギーが すぎ、潤滑油を固定できない。

 なお、加熱処理と紫外線照射処理とはそ いずれかのみを行っても、両方を行っても いが、両者を採用し、加熱処理の後に紫外 照射処理を行うことが、被塗布面との吸着 を向上させる上で好ましい。加熱処理や紫 線照射処理により、被塗布面への吸着性が 上する。

 なお、潤滑剤を塗布する磁気記録媒体お びヘッドスライダの塗布面を形成する材料 しては、特に制限はなく公知の材料の中か 適宜選択することができるが、ヒドロキシ 等の極性基に対しある程度の親和性を有す ものであることが一般的に好ましい。

 磁気記録装置をハードディスク装置につ て説明すると次のようになる。ただし、以 の説明における「磁気記録装置」には、本 明の趣旨に反しない限り、磁気記録媒体や ッドスライダを使用するすべての磁気記録 置を含めることができる。

 このハードディスク装置は、図1に示すよ うに磁気記録媒体11とヘッドを備えたヘッド ライダ17、磁気記録媒体11の回転制御機構( えばスピンドルモータ)3、ヘッドの位置決め 機構4および記録再生信号の処理回路(リード イトアンプ等)5を主要構成要素としている

 ヘッドスライダ17は、図2に示すように、 スペンジョン6およびヘッドスライダ17を柔 に支持するためのジンバル7により、ヘッド の位置決め機構4と連結されており、その先 にヘッド8が設けられている。ヘッドスライ 面にはヘッドスライダ保護層9とヘッドスラ イダ潤滑層10が設けられている。

 磁気記録媒体11の図2の下方から基板12、Cr 下地層13,磁性層14,磁気記録媒体保護層15,磁気 記録媒体潤滑層16等がある。シード層等のそ 他の層が設けられる場合もあるが本図では 略してある。

 次に本発明の実施例を詳述する。なお、 の評価法を採用した。数平均分子量および 分子あたりの数平均ヒドロキシ基数はNMRで 定した。

  [実施例1]
  (潤滑剤の合成)
 FOMBLIN TETRAOL(ソルベイソレクシス社製、分 量2020、ヒドロキシ基数4個)100gとグリシドー (関東化学製)とを、有機溶媒(アセトン)に溶 解または懸濁または乳濁させ、よく撹拌した 。その後、溶媒の沸点よりやや高い温度に保 ち10分程度加熱した。更に、できる限り少量 水に水酸化ナトリウム0.11moLを溶解した水溶 液を、15分かけて滴下し、滴下終了時から6時 間加熱還流した。これにより、図3に示す反 が進行した。

 なお、FOMBLIN TETRAOLは、式7の構造を有し m=7、n=7であることをNMRで確認した(文章を完 してください)。

 その後エバポレーターでアセトンを蒸発 せ、トリフルオロ酢酸25g、水250mLを加えて 酸化ナトリウムを中和し、70℃で3時間撹拌 た。沈殿物を回収し、80℃の水で洗浄した。 このようにして、式1で表される含フッ素ポ マー(未精製品)を得た。

 更に、二酸化炭素の超臨界流体を用いて 温度と圧力とを変化させながら、上記沈殿 を溶解、精製することで、数平均分子量1800 、一分子あたりの数平均ヒドロキシ基数6個 潤滑剤を得た。

 分子構造は、FTIR, 1 HNMR, 13 CNMR, 19 FNMRで決定した。 19 FNMRの結果は次の通りであった。

 主鎖構造(CF 2 CF 2 O)由来のピーク:-52ppm,-54ppm,-56ppm
 主鎖構造(CF 2 O)由来のピーク:-89ppm,-91ppm
 末端基に一番近いフッ素原子のピーク(-78ppm ~-83ppm)
  1 HNMRの結果は次の通りであった。

 末端ヒドロキシ基の水素原子由来のピーク( OH):4ppm~5ppm
 末端基が結合している炭素原子の水素原子 ピーク:(2.5ppm~3.8ppm)
  [実施例2]
  (一分子分の膜厚の測定)
 一分子分の膜厚は、エリプソメーターにお る潤滑剤膜厚の断面プロファイルの経時変 の観察で、潤滑剤が流動していく際に出現 るテラス構造から知ることができる。

 この潤滑剤(分子量1800)をバートレル(デュ ポン社製)中に溶解して、0.01重量%の溶液とし 、浸漬法によりハードディスクの保護層の一 部に塗布し、潤滑剤膜厚の断面プロファイル の経時変化を観察した。その結果、テラス構 造が出現し、テラスの膜厚が2.0nm(すなわち、 一分子分の膜厚)と求められた。

 同様にして求めたFOMBLIN TETRAOL(分子量2100 ヒドロキシ基数4個)の場合は2.2nmであった。 FOMBLIN ZDOL(分子量2300、ヒドロキシ基数2個)の 合は2.4nmであった。すなわち、実施例1に係 含フッ素ポリマーは、分子量が1800と他の潤 滑剤に比べ、分子量が小さいため、一分子分 の膜厚の薄膜化に成功していることがわかる 。

 なお、FOMBLIN TETRAOL(分子量2100、ヒドロキ 基数4個)は、平均分子量が若干FOMBLIN TETRAOL( 分子量2020、ヒドロキシ基数4個)より大きいが 、その分子構造は同様である。

  [実施例3]
  (ボンド率の評価)
 実施例1で得られた潤滑剤を、実施例2と同 にして溶液となし、浸漬法によりハードデ スクの保護層に塗布し、加熱(120℃、1時間) 、潤滑剤を基板に吸着させた。基板上の潤 剤膜厚を赤外吸収スペクトルにて測定し、 いてこのディスクをFC-77溶媒に浸漬して、デ ィスクに結合していない樹脂を溶解除去し、 膜厚を再測定して、ボンド率(=溶解後膜厚/初 期膜厚)を測定した。この結果、実施例1で得 れた潤滑剤におけるボンド率は81%であった

 同様にして求めたFOMBLIN TETRAOL(分子量2100 ヒドロキシ基数4個)の場合のボンド率は79% あった。また、FOMBLIN TETRAOL(分子量2020、ヒ ロキシ基数4個)の場合のボンド率は78%であっ た。すなわち、実施例1に係る含フッ素ポリ ーは、その分子量が1800にもかかわらず、分 量内に多数のヒドロキシ基を有するため多 の潤滑剤分子が保護膜に吸着したことによ と考えられる。つまり保護膜に強固に吸着 ているため、ディスクの高速回転による外 方向への潤滑剤の移動が抑制され、ヘッド 浮上安定性に適した潤滑膜を維持できると える。

 本発明は磁気記録媒体やヘッドスライダ 利用できる。