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Patent Searching and Data


Title:
MAGNETIC DISK AND PROCESS FOR PRODUCING THE MAGNETIC DISK
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/123043
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a magnetic disk that has excellent durability, particularly excellent LUL durability, and excellent alumina resistance and has a high level of reliability under a low floating quantity of a magnetic head involved in a recent tendency toward a rapid increase in recording density and a very severe environment resistance requirement due to diversified applications. A magnetic disk (10) comprises a substrate (1) and at least a magnetic layer (6), a carbonaceous protective layer (7), and a lubricating layer (8) provided in that order on the substrate (1). The lubricating layer (8) contains a compound that has a perfluoropolyether main chain in the structure thereof and has an aromatic group and a polar group at the end of the molecule.

Inventors:
ITOH KAE (JP)
HAMAKUBO KATSUSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/056256
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
March 27, 2009
Export Citation:
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Assignee:
HOYA CORP (JP)
ITOH KAE (JP)
HAMAKUBO KATSUSHI (JP)
International Classes:
G11B5/725; C10M105/54; C10M107/38; G11B5/72; G11B5/84; C10N20/04; C10N30/00; C10N30/06; C10N40/18
Domestic Patent References:
WO2004031261A12004-04-15
Foreign References:
JP2001052328A2001-02-23
JPH0916956A1997-01-17
JPH07141644A1995-06-02
JP2001164279A2001-06-19
Attorney, Agent or Firm:
OTSUKA, Takefumi (JP)
Takeshi Otsuka (JP)
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Claims:
 基板上に、少なくとも磁性層と保護層と潤滑層が順次設けられた磁気ディスクであって、
前記潤滑層は、構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ分子の末端に芳香族基を有する化合物を含有することを特徴とする磁気ディスク。
 前記化合物は、分子の末端に芳香族基と極性基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク。
 前記極性基はヒドロキシル基であることを特徴とする請求項2に記載の磁気ディスク。
前記潤滑層中に含有される前記化合物の数平均分子量が、1000~10000の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気ディスク。
前記保護層は、プラズマCVD法により成膜された炭素系保護層であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁気ディスク。
ロードアンロード方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁気ディスク。
基板上に、少なくとも磁性層と保護層と潤滑層が順次設けられた磁気ディスクの製造方法であって、
前記潤滑層は、分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ分子の一端に芳香族基とヒドロキシル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物の2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合物と反応しうる構造を有する脂肪族化合物の1当量とを反応させることにより得られた化合物を含む潤滑剤を前記保護層上に成膜して前記潤滑層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
 前記潤滑層を成膜した後に、前記磁気ディスクを50℃~150℃の雰囲気に曝すことを特徴とする請求項7に記載の磁気ディスクの製造方法。
 
Description:
磁気ディスク及びその製造方法

本発明はハードディスクドライブ(以下、HD Dと略記する)などの磁気ディスク装置に搭載 れる磁気ディスクに関する。

近年の情報処理の大容量化に伴い、各種の 情報記録技術が開発されている。特に磁気記 録技術を用いたHDDの面記録密度は年率100%程 の割合で増加し続けている。最近では、HDD に用いられる2.5インチ径磁気ディスクにし 、1枚当り60Gバイトを超える情報記録容量が められるようになってきており、このよう 所要に応えるためには1平方インチ当り100G ットを超える情報記録密度を実現すること 求められる。HDD等に用いられる磁気ディス において高記録密度を達成するためには、 報信号の記録を担う磁気記録層を構成する 性結晶粒子を微細化すると共に、その層厚 低減していく必要があった。ところが、従 より商業化されている面内磁気記録方式(長 磁気記録方式、水平磁気記録方式とも呼称 れる)の磁気ディスクの場合、磁性結晶粒子 の微細化が進展した結果、超常磁性現象によ り記録信号の熱的安定性が損なわれ、記録信 号が消失してしまう、熱揺らぎ現象が発生す るようになり、磁気ディスクの高記録密度化 への阻害要因となっていた。

 この阻害要因を解決するために、近年、 直磁気記録方式用の磁気記録媒体が提案さ ている。垂直磁気記録方式の場合では、面 磁気記録方式の場合とは異なり、磁気記録 の磁化容易軸は基板面に対して垂直方向に 向するよう調整されている。垂直磁気記録 式は面内記録方式に比べて、熱揺らぎ現象 抑制することができるので、高記録密度化 対して好適である。このような垂直磁気記 媒体としては、例えば特開2002-74648号公報に 記載されたような、基板上に軟磁性体からな る軟磁性下地層と、硬磁性体からなる垂直磁 気記録層を備える、いわゆる二層型垂直磁気 記録ディスクが知られている。

ところで、従来の磁気ディスクは、磁気デ ィスクの耐久性、信頼性を確保するために、 基板上に形成された磁気記録層の上に、保護 層と潤滑層を設けている。特に最表面に用い られる潤滑層は、長期安定性、化学物質耐性 、摩擦特性、耐熱特性等の様々な特性が求め られる。

このような要求に対し、従来は磁気ディスク 用潤滑剤として、分子中にヒドロキシル基を 有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤が 多く用いられてきた。例えば、特開昭62-66417 公報(特許文献1)などには、分子の両末端に ドロキシル基を有するHOCH 2 CF 2 O(C 2 F 4 O) p (CF 2 O) q CH 2 OHの構造をもつパーフルオロアルキルポリエ テル潤滑剤を塗布した磁気記録媒体などが く知られている。潤滑剤の分子中にヒドロ シル基が存在すると、保護層とヒドロキシ 基との相互作用により、潤滑剤の保護層へ 付着特性が得られることが知られている。

特開昭62-66417号公報

上述したように、最近のHDDでは100Gbit/inch 2 以上の情報記録密度が要求されるようになっ てきたが、これは一つに、HDDが従来のコンピ ュータ用記憶装置としてのニーズに加えて、 携帯電話やカーナビゲーションシステム、デ ジタルカメラ等に搭載されるようになってき たことと関係がある。
これらの新規用途の場合、HDDを搭載する筐体 スペースがコンピュータに比べて著しく小さ いので、HDDを小型化する必要がある。このた めには、HDDに搭載する磁気ディスクの径を小 径化する必要がある。例えば、コンピュータ 用途では3.5インチ型や2.5インチ型の磁気ディ スクを用いることが出来たが、上記新規用途 の場合では、これよりも小径の、例えば1.8イ ンチ型~0.8インチ型などの小径磁気ディスク 用いられる。このように磁気ディスクを小 化した場合であっても一定以上の情報容量 格納させる必要があるので、勢い、情報記 密度の向上に拍車がかかることになる。

また、限られたディスク面積を有効に利用 するために、従来のCSS(Contact Start and Stop)方 式に代えてLUL(Load Unload:ロードアンロード)方 式のHDDが用いられるようになってきた。LUL方 式では、HDDの停止時には、磁気ヘッドを磁気 ディスクの外に位置するランプと呼ばれる傾 斜台に退避させておき、起動動作時には磁気 ディスクが回転開始した後に、磁気ヘッドを ランプから磁気ディスク上に滑動させ、浮上 飛行させて記録再生を行なう。停止動作時に は磁気ヘッドを磁気ディスク外のランプに退 避させたのち、磁気ディスクの回転を停止す る。この一連の動作はLUL動作と呼ばれる。LUL 方式のHDDに搭載される磁気ディスクでは、CSS 方式のような磁気ヘッドとの接触摺動用領域 (CSS領域)を設ける必要がなく、記録再生領域 拡大させることができ、高情報容量化にと て好ましいからである。

このような状況の下で情報記録密度を向上 させるためには、磁気ヘッドの浮上量を低減 させることにより、スペーシングロスを限り なく低減する必要がある。1平方インチ当り10 0Gビット以上の情報記録密度を達成するため は、磁気ヘッドの浮上量は10nm以下にする必 要がある。LUL方式ではCSS方式と異なり、磁気 ディスク面上にCSS用の凸凹形状を設ける必要 が無く、磁気ディスク面上を極めて平滑化す ることが可能となる。よってLUL方式のHDDに搭 載される磁気ディスクでは、CSS方式に比べて 磁気ヘッド浮上量を一段と低下させることが できるので、記録信号の高S/N比化を図ること ができ、磁気ディスク装置の高記録容量化に 資することができるという利点もある。

最近のLUL方式の導入に伴う、磁気ヘッド浮 上量の一段の低下により、10nm以下の低浮上 においても、磁気ディスクが安定して動作 ることが求められるようになってきた。と わけ上述したように、近年、磁気ディスク 面内磁気記録方式から垂直磁気記録方式に 行しており、磁気ディスクの大容量化、そ に伴うフライングハイトの低下が強く要求 れている。

近年の高記録密度化に伴う磁気ヘッドの浮上 量が一段と低下(10nm以下)したことにより、磁 気ヘッドと磁気ディスク表面との接触、摩擦 が頻発する可能性が高くなる。また、磁気ヘ ッドが接触した場合には磁気ディスク表面か らすぐに離れずにしばらく摩擦摺動すること がある。現在用いられている磁気ヘッドのス ライダーにはアルミナ(Al 2 O 3 )が含まれており、前記パーフルオロポリエ テル系潤滑剤の主鎖のCF 2 O部分はアルミナ等のルイス酸によって分解 起こりやすいことが知られている。このた 、磁気ディスクの表面に用いられているパ フルオロポリエーテル系潤滑剤は、磁気ヘ ドとの接触等により、主鎖のCF 2 O部分がアルミナによって分解され、潤滑層 構成する潤滑剤の低分子化が従来よりも促 され易くなっている。そして、この分解さ 低分子化した潤滑剤が磁気ヘッドに付着す ことで、データの読み込み、書き込みに支 を来たす可能性が懸念される。さらに、近 将来の磁気ヘッドと磁気ディスクとを接触 せた状態でのデータの記録再生を考えたと 、常時接触による影響がさらに懸念される また、潤滑層を構成する潤滑剤が低分子化 ると流動性が高まり、保護層との密着性が 下する。そして、流動性の高まった潤滑剤 、極狭な位置関係にある磁気ヘッドに移着 積し、その結果、浮上姿勢が不安定となり ライスティクション障害を発生させるもの 考えられる。特に、最近導入されてきたNPAB( 負圧)スライダーを備える磁気ヘッドは、磁 ヘッド下面に発生する強い負圧により潤滑 を吸引し易いので、移着堆積現象を促進し いると考えられる。移着堆積した潤滑剤は ッ酸等の酸を生成する場合があり、磁気ヘ ドの素子部を腐食させる場合がある。特に 磁気抵抗効果型素子を搭載する磁気ヘッド 腐食され易い。

前述したように、最近では、磁気ディスク 装置は、従来のパーソナルコンピュータの記 憶装置としてだけでなく、携帯電話、カーナ ビゲーションシステムなどのモバイル用途に も多用されるようになってきており、使用さ れる用途の多様化により、磁気ディスクに求 められる環境耐性は非常に厳しいものになっ てきている。したがって、これらの情況に鑑 みると、従来にもまして、磁気ディスクの耐 久性や、潤滑層を構成する潤滑剤の耐久性な どの更なる向上が急務となっている。

また、近年の磁気ディスクの急速な情報記 録密度向上に伴い、磁気ヘッドと磁気ディス クの記録層間の磁気スペーシングの低減が求 められており、磁気ヘッドと磁気ディスクの 記録層の間に存在する潤滑層は、より一層の 薄膜化が必要となってきている。磁気ディス クの最表面の潤滑層に用いられる潤滑剤は、 磁気ディスクの耐久性に大きな影響を及ぼす が、たとえ薄膜化しても、磁気ディスクにと って安定性、信頼性は不可欠である。

このように、潤滑層の長期安定性に優れ、 近年の高記録密度化に伴う磁気スペーシング の低減や、磁気ヘッドの低浮上量のもとでの 高信頼性を有する磁気ディスクの実現が求め られ、さらには使用される用途の多様化など により、磁気ディスクに求められる環境耐性 は非常に厳しいものになってきているため、 従来にもまして、磁気ディスクの耐久性に大 きな影響を及ぼす潤滑層を構成する潤滑剤の 耐久性、特にLUL耐久性やアルミナ耐性(アル ナによる潤滑剤の分解の抑制)などの特性の り一層の向上が求められている。

本発明は、このような従来の情況に鑑みな されたもので、その目的とするところは、磁 気ディスクの耐久性、特にLUL耐久性及びアル ミナ耐性に優れ、近年の急速な高記録密度化 に伴う磁気ヘッドの低浮上量のもとで、また 用途の多様化に伴う非常に厳しい環境耐性の もとで高信頼性を有する磁気ディスクを提供 することである。

本発明者は、磁気ディスクの耐久性に大きな 影響を及ぼす潤滑剤の耐久性について鋭意検 討した結果、以下の発明により、前記課題が 解決できることを見い出し、本発明を完成さ せた。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)基板上に、少なくとも磁性層と保護層 と潤滑層が順次設けられた磁気ディスクであ って、前記潤滑層は、構造中にパーフルオロ ポリエーテル主鎖を有し、且つ分子の末端に 芳香族基を有する化合物を含有することを特 徴とする磁気ディスク。
(構成2)前記化合物は、分子の末端に芳香族基 と極性基を有する化合物であることを特徴と する構成1に記載の磁気ディスク。

(構成3)前記極性基はヒドロキシル基であるこ とを特徴とする構成2に記載の磁気ディスク
(構成4)前記潤滑層中に含有される前記化合物 の数平均分子量が、1000~10000の範囲であるこ を特徴とする構成1乃至3のいずれか1項に記 の磁気ディスク。

(構成5)前記保護層は、プラズマCVD法により成 膜された炭素系保護層であることを特徴とす る構成1乃至4のいずれか1項に記載の磁気ディ スク。
(構成6)ロードアンロード方式の磁気ディスク 装置に搭載される磁気ディスクであることを 特徴とする構成1乃至5のいずれか1項に記載の 磁気ディスク。

(構成7)基板上に、少なくとも磁性層と保護層 と潤滑層が順次設けられた磁気ディスクの製 造方法であって、前記潤滑層は、分子中にパ ーフルオロポリエーテル主鎖を有し、且つ分 子の一端に芳香族基とヒドロキシル基を有す るパーフルオロポリエーテル化合物の2当量 、該パーフルオロポリエーテル化合物と反 しうる構造を有する脂肪族化合物の1当量と 反応させることにより得られた化合物を含 潤滑剤を前記保護層上に成膜して前記潤滑 を形成することを特徴とする磁気ディスク 製造方法。
(構成8)前記潤滑層を成膜した後に、前記磁気 ディスクを50℃~150℃の雰囲気に曝すことを特 徴とする構成7に記載の磁気ディスクの製造 法。

 構成1に係る発明によれば、基板上に少な くとも磁性層と保護層と潤滑層が順次設けら れた磁気ディスクであって、前記潤滑層は、 構造中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有 し、且つ分子の末端に芳香族基を有する化合 物を含有することにより、磁気ディスクのア ルミナ耐性やLUL耐久性などの特性が従来にも まして優れ、近年の急速な高記録密度化に伴 う磁気ヘッドの低浮上量のもとで、しかも用 途の多様化に伴う非常に厳しい環境耐性のも とで高信頼性を有する磁気ディスクが得られ る。

 本発明では、潤滑層に含有される潤滑剤は 子の末端に芳香族基を有しており、アルミ 等のルイス酸はこの分子末端の芳香族基に 先的に吸引されるため、アルミナによるパ フルオロポリエーテル系潤滑剤の主鎖部分 の分解は起こり難く、結果的に十分な長期 頼性を保証できるアルミナ耐性やLUL耐久性 得られる。
 なお、従来の潤滑剤に適当な添加剤を添加 ることによりアルミナ耐性を改善する方法 考えられるが、大量生産において均質な物 得られ難いという問題がある。さらに、膜 の一層の低減が要求されているため、より い膜厚で十分に磁気ディスク表面を被覆で る(被覆率の高い)潤滑層を形成するために 、潤滑剤分子の構造によってアルミナ耐性 改善することの方が有利である。

また、構成2に係る発明にあるように、潤 層に含有される前記化合物は、分子の末端 芳香族基と極性基を有する化合物であるこ が本発明にとって特に好ましい。潤滑剤分 の末端の極性基(例えばヒドロキシル基)と保 護層との間に好適な相互作用が発生すること により、潤滑剤分子の末端の芳香族基の移動 が制約されてアルミナ吸引作用が高まり、ま た保護層上で潤滑剤分子が適度にフォールデ ィング(折り畳み)構造をとった潤滑層を形成 せることができるので、潤滑層の膜厚を薄 しても保護層表面を十分に被覆することが き、磁気ディスク表面に均一に潤滑層を形 することができる。

また、構成3に係る発明にあるように、前 化合物の有する極性基としては特にヒドロ シル基であることが好ましい。ヒドロキシ 基は、保護層、とりわけ炭素系保護層との 互作用が大きく、潤滑層と保護層の付着性 高められるからである。

また、構成4に係る発明にあるように、前 潤滑層中に含有される前記化合物の数平均 子量は、1000~10000の範囲であることが特に好 しい。適度な粘度による修復性を備え、好 な潤滑性能を発揮し、しかも優れた耐熱性 兼ね備えることができるからである。

また、構成5に係る発明にあるように、前 保護層は、プラズマCVD法により成膜された 素系保護層であることが特に好ましい。プ ズマCVD法によれば、表面が均一で密に成膜 れた炭素系保護層を形成でき、本発明にと ては好適だからである。

また、構成6に係る発明にあるように、本 明の磁気ディスクは、特にLUL方式の磁気デ スク装置に搭載される磁気ディスクとして 適である。LUL方式の導入に伴う磁気ヘッド 上量の一段の低下により、10nm以下の低浮上 においても磁気ディスクが安定して動作す ことが求められるようになってきており、 浮上量のもとで高い信頼性を有する本発明 磁気ディスクは好適である。

また、構成7に係る発明にあるように、低 上量のもとで高い信頼性を有する本発明の 気ディスクは、基板上に少なくとも磁性層 保護層と潤滑層が順次設けられた磁気ディ クの製造方法であって、前記潤滑層は、分 中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し 且つ分子の一端に芳香族基とヒドロキシル を有するパーフルオロポリエーテル化合物 2当量と、該パーフルオロポリエーテル化合 と反応しうる構造を有する脂肪族化合物の1 当量とを反応させることにより得られた化合 物を含む潤滑剤を前記保護層上に成膜して前 記潤滑層を形成する磁気ディスクの製造方法 によって得られる。

また、構成8に係る発明にあるように、構 7の磁気ディスクの製造方法において、前記 滑層を成膜した後に、前記磁気ディスクを5 0℃~150℃の雰囲気に曝すことにより、成膜し 潤滑層の保護層への付着力をより向上させ ことができる。

本発明によれば、磁気ディスクの耐久性、 特にLUL耐久性及びアルミナ耐性に優れ、近年 の急速な高記録密度化に伴う磁気ヘッドの低 浮上量のもとで、しかも用途の多様化に伴う 非常に厳しい環境耐性のもとで高信頼性を有 する磁気ディスクを提供することができる。

 以下、本発明を実施の形態により詳細に説 する。
本発明の磁気ディスクは、基板上に少なくと も磁性層と保護層と潤滑層が順次設けられた 磁気ディスクであって、前記潤滑層は、構造 中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有し、 且つ分子の末端に芳香族基を有する化合物を 含有するものである。

本発明の磁気ディスクにおける潤滑層に含有 される上記化合物(以下、本発明に係る潤滑 と称する)は、構造中にパーフルオロポリエ テル主鎖を有し、且つ分子の末端に芳香族 を有する化合物である。この場合の芳香族 としては、例えばフェニル基が代表例とし 挙げられるが、このほかに、ナフチレン基 ビフェニレン基、フタルイミジル基、アニ ン基なども挙げられる。なお、芳香族基は 当な置換基を有していてもよい。
このように潤滑層に含有される本発明に係る 潤滑剤は、例えば構造中にパーフルオロポリ エーテル主鎖を有する鎖状分子の両末端に例 えばフェニル基等の芳香族基を有する化合物 であるが、本発明による作用効果が最も好ま しく発揮されるためには、構造中に芳香族基 のほかに極性基を有する化合物であることが 好ましい。例えば構造中にパーフルオロポリ エーテル主鎖を有する鎖状分子の両末端に芳 香族基と極性基の両方を有する化合物である ことが特に好ましい。

また、この場合の極性基としては、保護層上 に潤滑剤を成膜した場合、潤滑剤と保護層と の間に好適な相互作用が発生するような極性 基であることが必要であり、例えばヒドロキ シル基(-OH)、アミノ基(-NH 2 )、カルボキシル基(-COOH)、アルデヒド基(-COH) カルボニル基(-CO-)、スルフォン酸基(-SO 3 H)などが挙げられる。なかでも極性基として 特にヒドロキシル基であることが好ましい ヒドロキシル基は、保護層、とりわけ炭素 保護層との相互作用が大きく、潤滑層と保 層の付着性をより高めることができるから ある。

以上の本発明に係る潤滑剤によれば、潤滑 層に含有される潤滑剤は分子の末端に芳香族 基を有しており、アルミナ等のルイス酸はこ の分子末端の芳香族基に優先的に吸引(吸着?) されるため、アルミナによるパーフルオロポ リエーテル系潤滑剤の主鎖部分での分解は起 こり難く、結果的に例えば5nm程度の超低浮上 量のもとでも、十分な長期信頼性を保証でき るアルミナ耐性やLUL耐久性が得られる。

このように、本発明に係る潤滑剤を含有す る潤滑層を備えることにより、近年の高記録 密度化に伴う磁気ヘッドの例えば5nm程度の超 低浮上量のもとで、また用途の多様化に伴う 非常に厳しい環境耐性のもとでも、磁気ディ スクの耐久性、特にLUL耐久性及びアルミナ耐 性に優れるため、本発明は、過酷な使用条件 下で高信頼性を有する(安定した動作を保証 きる)磁気ディスクを実現する上で好適であ 。

以下に、本発明に係る潤滑剤の例示化合物 を挙げるが、本発明はこれらの化合物には限 定されない。

本発明に係る潤滑剤の製造方法としては、 たとえば、分子中にパーフルオロポリエーテ ル主鎖を有するパーフルオロポリエーテル化 合物に対して、例えばエポキシ基と芳香族基 を有している化合物(例えばフェニルグリシ ルエーテル)の2当量を反応させることによる 製造方法が好ましく挙げられる。

本発明に係る潤滑剤の分子量は特に制約はさ れないが、例えば数平均分子量(Mn)が、1000~100 00の範囲であることが好ましく、1000~6000の範 であることが更に好ましい。適度な粘度に る修復性を備え、好適な潤滑性能を発揮し しかも優れた耐熱性を兼ね備えることがで るからである。
また、本発明に係る潤滑剤は、例えば上記の 製造方法によれば高分子量のものが得られ、 熱分解による低分子化を抑制できるので、か かる潤滑剤を用いて磁気ディスクとした場合 、その耐熱性を向上させることができる。近 年の高記録密度化に伴う磁気ヘッドの浮上量 が一段と低下(10nm以下)したことにより、磁気 ヘッドと磁気ディスク表面との接触、摩擦が 頻発する可能性が高くなる。また、磁気ヘッ ドが接触した場合には磁気ディスク表面から すぐに離れずにしばらく摩擦摺動することが ある。また、近年の磁気ディスクの高速回転 による記録再生のため、従来以上に接触や摩 擦による発熱が生じている。従って、このよ うな熱の発生により、磁気ディスク表面の潤 滑層材料が熱分解を起こす可能性が従来より も高くなり、この熱分解され低分子化し流動 性の高まった潤滑剤が磁気ヘッドに付着する ことで、データの読み込み、書き込みに支障 を来たす可能性が懸念される。さらに、近い 将来の磁気ヘッドと磁気ディスクとを接触さ せた状態でのデータの記録再生を考えたとき 、常時接触による熱発生の影響がさらに懸念 される。このような状況を考えると、潤滑層 に求められる耐熱性の更なる向上が望まれて おり、本発明の潤滑剤は好適である。

本発明に係る潤滑剤を適当な方法で分子量分 画することにより、分子量分散度(重量平均 子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比)を1.3以下とする が好ましい。
本発明において、分子量分画する方法に特に 制限を設ける必要は無いが、例えば、ゲルパ ーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法に る分子量分画や、超臨界抽出法による分子 分画などを用いることができる。

本発明に係る潤滑剤を用いて潤滑層を成膜す るにあたっては、潤滑剤を適当な溶媒に分散 溶解させた溶液を用いて、例えばディップ法 により塗布して成膜することができる。溶媒 としては、例えばフッ素系溶媒(三井デュポ フロロケミカル社製商品名バートレルXFなど )を好ましく用いることができる。潤滑層の 膜方法はもちろん上記ディップ法には限ら 、スピンコート法、スプレイ法、ペーパー ート法などの成膜方法を用いてもよい。
本発明においては、成膜した潤滑層の保護層 への付着力をより向上させるために、成膜後 に磁気ディスクを50℃~150℃の雰囲気に曝して もよい。

本発明にあっては、潤滑層の膜厚は、4~18 とするのがよい。4Å未満では、潤滑層とし の潤滑性能が低下する場合がある。また18 を超えると、薄膜化の観点から好ましくな 、またフライスティクション障害が発生す 場合があり、またLUL耐久性が低下する場合 ある。

また、本発明における保護層としては、炭 素系保護層を好ましく用いることができる。 特にアモルファス炭素保護層が好ましい。保 護層はとくに炭素系保護層であることにより 、本発明に係る潤滑剤の極性基(特にヒドロ シル基)と保護層との相互作用が一層高まり 本発明による作用効果がより一層発揮され ため好ましい態様である。なお、炭素系保 層と潤滑層の付着力を調節するために、炭 系保護層を水素化炭素及び/又は窒素化炭素 として、水素及び/又は窒素の含有量を調節 ることにより制御することが可能である。 の場合、水素の含有量は水素前方散乱法(HFS) で測定したときに3~20原子%とするのが好まし 。また、窒素の含有量はX線光電子分光分析 法(XPS)で測定したときに、4~12原子%とするの 好ましい。

本発明における炭素系保護層においては、 水素及び/又は窒素は保護層全体に均一に含 される必要はなく、とくに保護層の潤滑層 に窒素を含有させ、磁性層側に水素を含有 せた組成傾斜層とすることが好適である。

本発明において炭素系保護層を用いる場合は 、例えばDCマグネトロンスパッタリング法に り成膜することができるが、特にプラズマC VD法により成膜されたアモルファス炭素保護 とすることが好ましい。プラズマCVD法によ 成膜することで保護層表面が均一となり密 成膜される。従って、より粗さが小さいCVD で成膜された保護層上に本発明による潤滑 を形成することは好ましい。
本発明にあっては、保護層の膜厚は、20~70Å するのがよい。20Å未満では、保護層とし の性能が低下する場合がある。また70Åを超 えると、薄膜化の観点から好ましくない。

本発明の磁気ディスクにおいては、基板はガ ラス基板であることが好ましい。ガラス基板 は剛性があり、平滑性に優れるので、高記録 密度化には好適である。ガラス基板としては 、例えばアルミノシリケートガラス基板が挙 げられ、特に化学強化されたアルミノシリケ ートガラス基板が好適である。
 本発明においては、上記基板の主表面の粗 は、Rmaxが6nm以下、Raが0.6nm以下の超平滑で ることが好ましい。なお、ここでいう表面 さRmax、Raは、JIS B0601の規定に基づくもので る。

 本発明の磁気ディスクは、基板上に少な とも磁性層と保護層と潤滑層を備えている 、本発明において、上記磁性層は特に制限 なく、面内記録方式用磁性層であっても、 直記録方式用磁性層であってもよいが、と に垂直記録方式用磁性層は近年の急速な高 録密度化の実現に好適である。とりわけ、C oPt系磁性層であれば、高保磁力と高再生出力 を得ることができるので好適である。

 本発明の磁気ディスクにおいては、基板 磁性層との間に、必要に応じて下地層を設 ることができる。また、該下地層と基板と 間に付着層や軟磁性層等を設けることもで る。この場合、上記下地層としては、例え 、Cr層、Ta層、Ru層、あるいはCrMo,CoW,CrW,CrV,Cr Ti合金層などが挙げられ、上記付着層として 、例えば、CrTi,NiAl,AlRu合金層などが挙げら る。また、上記軟磁性層としては、例えばCo ZrTa合金膜などが挙げられる。

本発明の磁気ディスクは、特にLUL方式の磁 気ディスク装置に搭載される磁気ディスクと して好適である。LUL方式の導入に伴う磁気ヘ ッド浮上量の一段の低下により、10nm以下の 浮上量においても磁気ディスクが安定して 作することが求められるようになってきて り、低浮上量のもとで高い信頼性を有する 発明の磁気ディスクは好適である。

 以下、実施例により本発明を更に具体的に 明する。
(実施例1)
図1は、本発明の一実施例による磁気ディス 10である。
磁気ディスク10は、基板1上に、付着層2、軟 性層3、第1下地層4、第2下地層5、磁性層6、 素系保護層7、潤滑層8が順次形成されてなる 。

(潤滑剤の製造)
前記の例示の潤滑剤化合物(2)を以下のように して製造した。
分子中にパーフルオロポリエーテル主鎖を有 するパーフルオロポリエーテル化合物に対し て2当量の塩基を作用させ、次いで2当量のグ シジルフェニルエーテルを反応させること より製造した。
上記のようにして得られた化合物からなる潤 滑剤は、超臨界抽出法により適宜分子量分画 を行った。

(磁気ディスクの製造)
化学強化されたアルミノシリケートガラスか らなる2.5インチ型ガラスディスク(外径65mm、 径20mm、ディスク厚0.635mm)を準備し、ディス 基板1とした。ディスク基板1の主表面は、Rm axが2.13nm、Raが0.20nmに鏡面研磨されている。
このディスク基板1上に、DCマグネトロンスパ ッタリング法により、Arガス雰囲気中で、順 、Ti系の付着層2、Fe系の軟磁性層3、NiWの第1 下地層4、Ruの第2下地層5、CoCrPt磁性層6を成膜 した。この磁性層は垂直磁気記録方式用磁性 層である。
引き続き、プラズマCVD法により、ダイヤモン ドライク炭素保護層7を膜厚50Åで成膜した。

次に、潤滑層8を以下のようにして形成した
上記のように製造し、超臨界抽出法により分 子量分画した本発明の潤滑剤(前記例示化合 (2))からなる潤滑剤(NMR法を用いて測定したMn 2000、分子量分散度が1.25)を、フッ素系溶媒 ある三井デュポンフロロケミカル社製バー レルXF(商品名)に0.2重量%の濃度で分散溶解 せた溶液を調整した。この溶液を塗布液と 、保護層7まで成膜された磁気ディスクを浸 させ、ディップ法で塗布することにより潤 層8を成膜した。
成膜後に、磁気ディスクを真空焼成炉内で130 ℃、90分間で加熱処理した。潤滑層8の膜厚を フーリエ変換型赤外分光光度計(FTIR)で測定し たところ12Åであった。こうして、実施例1の 磁気ディスク10を得た。

次に、以下の試験方法により、実施例1の潤 剤及び磁気ディスクの評価を行った。
(1)まず、実施例1に用いた上記潤滑剤のアル ナ耐性評価試験を行った。
 上記潤滑剤中にアルミナ(Al 2 O 3 )20%を存在させ、窒素ガス(N 2 )雰囲気下で、200℃の定温下、500分間保持さ ることにより熱重量分析を行った。
その結果、実施例1に用いた本発明に係る潤 剤は、アルミナを添加したときの減衰率が15 %以下であり、優れたアルミナ耐性、すなわ アルミナによる分解が起こり難いことがわ った。

(2)次に、磁気ディスクのLUL(ロードアンロー )耐久性を評価するために、LUL耐久性試験を なった。
LUL方式のHDD(5400rpm回転型)を準備し、浮上量が 5nmの磁気ヘッドと実施例の磁気ディスクを搭 載した。磁気ヘッドのスライダーはNPAB(負圧) スライダーであり、再生素子は磁気抵抗効果 型素子(GMR素子)を搭載している。シールド部 FeNi系パーマロイ合金である。このLUL方式HDD に連続LUL動作を繰り返させて、故障が発生す るまでに磁気ディスクが耐久したLUL回数を計 測した。

その結果、実施例1の磁気ディスクは、5nmの 低浮上量の下で障害無く90万回のLUL動作に耐 久した。通常のHDDの使用環境下ではLUL回数が 40万回を超えるには概ね10年程度の使用が必 と言われており、現状では60万回以上耐久す れば好適であるとされているので、実施例1 磁気ディスクは極めて高い信頼性を備えて ると言える。
LUL耐久性試験後の磁気ディスク表面を光学顕 微鏡及び電子顕微鏡で詳細に観察したが、傷 や汚れ等の異常は観察されず良好であった。 また、LUL耐久性試験後の磁気ヘッドの表面を 光学顕微鏡及び電子顕微鏡で詳細に観察した が、傷や汚れ等の異常は観察されず、また、 磁気ヘッドへの潤滑剤の付着や、腐食障害も 観察されず良好であった。

なお、温度特性を評価するために、LUL耐久 性試験を-20℃~50℃の雰囲気で行ったが、本実 施例の磁気ディスクでは、特に障害は発生せ ず、良好な結果が得られた。

(比較例)
潤滑剤として、従来のパーフルオロポリエー テル系潤滑剤であるソルベイソレクシス社製 のフォンブリンゼットドール(商品名)をGPC法 分子量分画し、Mwが2000、分子量分散度が1.08 としたものを使用し、これをフッ素系溶媒で ある三井デュポンフロロケミカル社製バート レルXF(商品名)に分散溶解させた溶液を塗布 とし、保護層まで成膜された磁気ディスク 浸漬させ、ディップ法で塗布することによ 潤滑層を成膜した。ここで、上記塗布液の 度を適宜調整し、潤滑層膜厚が10~12Åの範囲 内となるように成膜した。この点以外は実施 例1と同様にして製造した磁気ディスクを比 例とした。

次に、実施例と同様に上記比較例の潤滑剤の アルミナ耐性評価試験を行った結果、減衰率 は80%と大きかった。つまり、上記従来の潤滑 剤は、アルミナによる分解が起こりやすく、 低分子化する可能性が高い。
また、実施例と同様にして、LUL耐久性試験を 行なった結果、本比較例の磁気ディスクでは 、5nmの超低浮上量の下で、40万回で故障した LUL耐久性試験後の磁気ディスク表面を光学 微鏡及び電子顕微鏡で詳細に観察したとこ 、若干の傷等が観察された。また、LUL耐久 試験後の磁気ヘッドの表面を光学顕微鏡及 電子顕微鏡で詳細に観察したところ、磁気 ッドへの潤滑剤の付着や、腐食障害が観察 れた。

本発明の磁気ディスクの一実施例の模 的断面図である。

符号の説明

1 基板
2 付着層
3 軟磁性層
4 第1下地層
5 第2下地層
6 磁性層
7 炭素系保護層
8 潤滑層
10 磁気ディスク
 




 
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