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Patent Searching and Data


Title:
MANUFACTURING METHOD FOR THEAFLAVINS, USING RAW TEA LEAVES
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119111
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for cheaply and easily producing theaflavins. After adding a large quantity of water to raw tea leaves that have not undergone wilt treatment, the tea leaves are crushed in a blender and then let stand, shaken, or agitated, thereby efficiently converting four types of catechins in the raw tea leaves to theaflavins. After adding water and crushing the raw tea leaves, letting the tea leaves stand allows theaflavins to be selectively obtained with high yield. Shaking the raw tea leaves which have had water added and been crushed allows four types of theaflavins to be obtained with high yield. The generated theaflavins can be easily collected using a method such as extraction by organic solvent.

Inventors:
TAKEMOTO MASUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/001393
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 27, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SHIZUOKA PREFECTURAL UNIVERSIT (JP)
TAKEMOTO MASUMI (JP)
International Classes:
C12P17/16; A23F3/08; A23F3/16
Foreign References:
JP2002095415A2002-04-02
JP2005523242A2005-08-04
JPH11225672A1999-08-24
JP2007143461A2007-06-14
Other References:
ROBERTS, E. A. H. ET AL.: "The phenolic substances of manufactured tea. II. Their origin as enzymic oxidation products in fermentation", J. SCI. FOOD AGRIC., vol. 9, 1958, pages 212 - 216
MILLIN, D. J. ET AL.: "Fermentation of tea in aqueous suspension", J. SCI. FOOD AGRIC., vol. 32, 1981, pages 905 - 919
SINIJA, V. R. ET AL.: "Process technology for production of soluble tea powder", JOUNAL OF FOOD ENGINEERING, vol. 82, 2007, pages 276 - 283
Attorney, Agent or Firm:
OHNO, Seiji et al. (JP)
Seiji Ono (JP)
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Claims:
テアフラビン類の製造方法であって、生茶葉に水および/または緑茶葉抽出液を加えて破砕し、静置または振とうまたは撹拌により培養した後に培養物からテアフラビン類を回収することを特徴とする方法。
培養が24時間から120時間静置することにより行われる、請求項1記載の方法。
培養が10分間から1時間振とうすることにより行われる、請求項1記載の方法。
撹拌が10分から8時間スターラー撹拌することにより行われる請求項1記載の方法。
テアフラビン類の回収が有機溶媒による抽出により行われる、請求項1-4のいずれかに記載の方法。
テアフラビン類の回収がクロマト分離により行われる、請求項1-4のいずれかに記載の方法。
テアフラビン類の回収が反応混合物からカフェインと没食子酸を昇華させることにより行われる、請求項1-4のいずれかに記載の方法。
テアフラビン類の回収が反応水溶液の温度を適宜に変える事により分別再結晶させることにより行われる、請求項1-4のいずれかに記載の方法。
テアフラビン類がカフェインと没食子酸とともに回収される、請求項1-8のいずれかに記載の方法。
生茶葉として茶葉の茎を用いる、請求項1-9のいずれかに記載の方法。
 
 
Description:
生茶葉を用いたテアフラビン類 製造方法

関連する出願
 本出願は,日本特許出願2008-87500(2008年3月28日 出願)に基づく優先権を主張しており,この内 は本明細書に参照として取り込まれる。

技術分野
 本発明は、テアフラビン類の製造方法に関 る。

 紅茶の赤色色素であるテアフラビン類は 紅茶中に約1%含まれており、主としてテア ラビン(TF) 、テアフラビン3-O-ガレート(TF3-G) 、テアフラビン3’-O-ガレート(TF3’-G)、テア ラビン3,3’-ジ-O-ガレート(TFDG)の4種類があ 。

 テアフラビン類には、抗菌作用、抗酸化 用、血糖降下作用、抗腫瘍活性、血小板凝 抑制作用、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 対する効果など、さまざまな生理作用のあ ことが知られており、天然着色料としてだ ではなく、生理活性物質としても有用であ と考えられる。

 テアフラビンの合成法としては、これま に、フェリシアン化カリウムを用いる方法( 非特許文献1)、酵素試料(やぶきた若葉の水不 溶画分)を用いる方法(非特許文献2)、茶葉か 得たポリフェノールオキシダーゼを用いる 法(非特許文献3)、各種果実ホモジネート体 用いる方法(非特許文献4)、緑茶抽出液とポ フェノール酸化酵素を含有する植物抽出液 を用いる方法(特許文献1)、西洋ワサビペル キシダーゼを用いる方法(非特許文献5)、加 緑茶葉とポリフェノールオキシダーゼとを 触させる方法(特許文献2)、緑茶のスラリー タンナーゼで処理し、アルゴン又は窒素雰 気下発酵させる方法(特許文献3)、生葉の搾 を発酵させることにより得る方法(非特許文 6)などが報告されている。しかし、いずれ 方法もテアフラビン類の収率が低い。また エピカテキンとエピガロカテキンを原料と 、ペルオキシダーゼを含有する植物培養細 と過酸化水素を用いる方法(特許文献4)や、 工茶葉の水溶液に茶培養細胞と過酸化水素 添加する方法(特許文献5)もあるが、高価な 料や酵素を使用する必要があった。

 本明細書において引用される参考文献は以 のとおりである。これらの文献に記載され 内容はすべて本明細書に参照として取り込 れる。

特開2002-95415

特表2005-523242

特開平11-225672

特開2007-143461

特願2007-182217(未公開) Yoshinori Takino, Hiroshi Imagawa, Agr. Biol. Ch em., 27, 319-321 (1963) 滝野慶則、今川弘、 農化、37,417-422 (196 3) Alastair Robertson, Derek S.Bendall., Phytochemist ry, 22, 883-887 (1983) Takashi Tanaka, Yayoi Betsumiya, Chie Mine, Isao  kouno, Chem. Commun., 2000, 1365-1366 Shengmin Sang., Bioorganic & Medicinal Chemis try 12, 459-467(2004) J. Food. ENG., 82, 276-283 (2007)

 本発明は、テアフラビン類を安価かつ簡 に製造する方法を提供することを目的とす 。

 本発明者は、萎凋処理前の生茶葉に大量 水を加えミキサーで破砕後、静置または振 うまたは撹拌することにより、茶生葉中の4 種類のカテキン類を効率よくテアフラビン類 に変換しうることを見いだした。すなわち、 本発明は、テアフラビン類の製造方法であっ て、生茶葉に水および/または緑茶葉抽出液 加えて破砕し、静置または振とうまたは撹 により培養した後に培養物からテアフラビ 類を回収することを特徴とする方法を提供 る。

 本発明の1つの態様においては、水および /または緑茶葉抽出液を加えて破砕した生茶 を24時間から120時間静置する。このことによ り、カテキン類を効率よくテアフラビン類に 変換させるとともに、テアフラビン3-O-ガレ ト、テアフラビン3’-O-ガレート、テアフラ ン3,3’-ジ-O-ガレートと比較して、テアフラ ビンを高収率で得ることができる。

 本発明の別の態様においては、水および/ または緑茶葉抽出液を加えて破砕した生茶葉 を10分間から1時間振とうする。このことによ り、カテキン類を効率よくテアフラビン類に 変換させるとともに、テアフラビン、テアフ ラビン3-O-ガレート、テアフラビン3’-O-ガレ ト、テアフラビン3,3’-ジ-O-ガレートの4種 の混合物を得ることができる。

 本発明の別の態様においては、水および/ または緑茶葉抽出液を加えて破砕した生茶葉 を10分間から8時間スターラーにて撹拌する。 このことにより、カテキン類を効率よくテア フラビン類に変換させるとともに、テアフラ ビン、テアフラビン3-O-ガレート、テアフラ ン3’-O-ガレート、テアフラビン3,3’-ジ-O-ガ レートの4種類の混合物を高収率で得ること できる。撹拌のスピードをコントロールす 事によりテアフラビンを選択的に得るか、 たは4種類のテアフラビンの混合物を得るか 択する事が可能である。

 好ましくは、生成したテアフラビン類は 有機溶媒による抽出、クロマト分離、反応 合物からカフェインと没食子酸を昇華させ こと、または反応水溶液の温度を適宜に変 る事により分別再結晶させることにより回 する。より好ましくは、反応水溶液中のカ ェインをクロロホルムで抽出したのち、テ フラビン類を酢酸エチルなどの有機溶媒で 出する。別の態様では、テアフラビン類は フェインと没食子酸とともに回収される。

 本発明の方法によれば、極めて安価かつ 単な方法により、テアフラビン類を効率よ 製造することができる。また、培養条件を 節することにより、テアフラビンを選択的 製造するか、4種類のテアフラビン類を製造 するかを選択することができる。

発明を実施するための形態

テアフラビン類
 テアフラビン類には、主に下記に示す4種類 がある。

 紅茶葉のテアフラビン類の含有比率は、 アフラビン(TF) 0.08%、テアフラビン3-O-ガレ ト(TF3-G) 0.3%、テアフラビン3’-O-ガレート(T F3’-G) 0.2%、テアフラビン3,3’-ジ-O-ガレート (TFDG)0.4%である。

テアフラビンの生合成経路
 テアフラビンの生合成経路は下記のとおり ある(Takashi Tanaka, Chie Mine, KyokoInoue, Miyuki Matsuda and Isao Kouno, J. Agric. Food Chem. 2002, 50, 2141-2148)。

 まず、EC(エピカテキン)が、茶葉中のポリ フェノールオキシダーゼまたはペルオキシダ ーゼにより速やかに酸化されてEC-キノンとな り、つづいてEC-キノンはEGC(エピガロカテキ )を酸化して、EGC-キノンを生成させる。これ らの酸化過程で得られたEGC-キノンのEC-キノ へのマイケル付加、つづくカルボニル付加 より3員環中間体を生成し、つづいて酸化、 炭酸を経てトロポノイド骨格を形成し、テ フラビンが生成される。

 茶葉中には主として4種類のカテキン[EC,EGC,E CG(エピカテキンガレート)、EGCG(エピガロカテ キンガレート)]が存在し、紅茶の製茶工程、 わゆる発酵工程では、上記と同様の経路に 、以下のカテキンの組み合わせにより、4種 類のテアフラビン類(TF,TF3-G,TF3’-G,TFDG)が生成 される。

 紅茶葉中の4種類のテアフラビン類の割合 は、原料となるカテキンの含量により左右さ れる。紅茶葉中のテアフラビン(TF)の割合が テアフラビン中8%と低いのはエピカテキンの 含量が他のカテキンに比べ低いためである。 4種類のテアフラビン類の中でテアフラビン(T F)は紅茶の紅色が鮮やかであるため、TFの含 が高い程、高価な紅茶葉である。

原料
 本発明の方法において使用する生茶葉とは 収穫後、萎凋処理をする前の茶葉をいい、 ましくは茶葉を破砕処理せずに用いる。茶 とは茶の葉及び茎であり別々に使っても良 し、あわせて使用してもよい。原料となる 茶葉としては、一般に栽培されている緑茶 種および紅茶品種のいずれの茶葉も用いる とができる。生茶葉は、採取直後に冷凍し 使用しても良い。茶葉の採取時期は、1番茶 、2番茶、3番茶、4番茶のいずれでも良い。た だし、それぞれの葉ごとにカテキン量、ポリ フェノールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ 、タンナーゼ、加水分解酵素の活性が異なる ため、高収率を得るために反応条件を適宜調 節することが好ましい。価格、カテキン量、 酵素活性等を総合的に判定すると、本発明の 方法において用いる茶葉としては2番茶およ 3番茶が望ましい。

茶葉の品種の違い
 日本で栽培されている代表的な茶葉として 、あさつゆ、やぶきた、やまとみどり、ま のはらわせ、かなやみどり、おくみどり、 おいわせ、おくひかり、めいりょく、さみ り、こまかげ、やまなみ、みねかおり、は もみじ、紅富貴、紅ほまれ、べにひかり等 あり、本発明の方法では世界中で栽培され いる茶葉のいずれをも好適に用いることが きる。例えば、やぶきた茶は緑茶品種、紅 貴および紅ほまれは紅茶品種である。これ の茶葉に含まれる主なカテキン類は以下の おりである。
やぶきた茶:EGCG, ECG, EGC, EC
紅富貴:EGCG, ECG, EGC, EC, エピガロカテキン3- (3”-O-メチル)ガレート (EGC3”methyl), エピガ カテキン3-(4”-O-メチル)ガレート (EGC4”meth yl), エピカテキン3-(3”-O-メチル)ガレート (E C3”methyl),
紅ほまれ:EGCG, ECG, EGC, EC, EGC3”methyl, EGC4” methyl, EC3”methyl

 紅富貴および紅ほまれには、やぶきた茶 は含まれていないEGC3”methyl, EGC4”methyl, EC 3”methyl が存在する。これらの成分は花粉症 に有効とされる抗アレルギー物質である。紅 富貴及び紅ほまれは紅茶品種であるため、従 来の紅茶製法で製茶した場合、EGC3”methyl, EG C4”methyl, EC3”methyl の成分は消失してしま 。

1番茶から4番茶等、茶葉の収穫時 による相違
 やぶきた1番茶、2番茶及び3番茶を用いた場 、葉を摘み取った後または冷凍庫で冷凍し 後、すぐミキサーで破砕し、静置または振 う、または撹拌することができる。しかし ぶきた4番茶の場合、同様の方法ではテアフ ラビン類の生成量は低かった。これは、4番 は1番茶、2番茶及び3番茶に比べポリフェノ ルオキシダーゼやペルオキシダーゼの酵素 性が低いため、あるいはカテキン量が低い めであると考えられる。また。そこで葉を みとったのち、2日から5日間程、室温下放置 後、同様の操作を行うことが望ましい。また カテキン量が低く、テアフラビン類の生成量 が低い場合、2日から5日間程、室温下放置後 葉に水と番茶抽出液(番茶に水を加え抽出し た液)を加え同様の操作を行うことが望まし 。

テアフラビン類の製造法
 本発明の方法においては、萎凋処理前の生 葉に水を加え、ミキサー等を用いて生茶葉 破砕した後、分離せずに静置または振とう たは撹拌する。生茶葉に水を加えて破砕す と、茶葉の細胞中に存在するポリフェノー オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、タンナ ゼ、加水分解酵素、さらに各種茶の成分カ キン類、カフェイン等の成分が水中へ侵出 れる。これらの酵素及び成分が侵出された を静置または振とうまたは撹拌すると、こ らの酵素の作用により、カテキン類の全て テアフラビン類に変換されると共に没食子 が生成される。ペルオキシダーゼは過酸化 素存在下、テアフラビンを生成させる酵素 ある。この場合、過酸化水素は代謝により 成されるので、外から添加しなくてもよい 一方、ポリフェノールオキシダーゼは、酸 存在下、テアフラビン類を生成させる酵素 ある。タンナーゼは、カテキン類およびテ フラビン類のガレート基を切断することが きる。また、ガレート基は加水分解酵素の 用によっても切断される。

静置法
 本発明の1つの態様においては、生茶葉に水 を加えて破砕した後、固液を分離せずに所定 時間静置する。採取直後のやぶきた茶の二番 茶の生葉に水を加えミキサーにて1分破砕し 後、24時間静置したところ、TF,TF3G,TF3’Gおよ びTFDGが生成した(実施例1)。120時間静置する 全てのカテキン類がテアフラビン(TF)に変換 た(実施例2)。一方、ミキサーにて破砕した に振とうすると、他のテアフラビン類の生 率が高くなった(実施例7)。

 本発明では、生茶葉に水を加え破砕する 、ポリフェノールオキシダーゼ、ペルオキ ダーゼ、加水分解酵素、さらに各種茶の成 カテキン類、カフェイン等の成分が水中へ 出される。これらの酵素及び成分が侵出さ た液を静置させた場合、振とう法に比べ酸 の供給が断たれるため、テアフラビン生成 関わるポリフェノールオキシダーゼとペル キシダーゼのうち、ポリフェノールオキシ ーゼの作用が低い(ポリフェノールオキシダ ーゼは酸素存在下酸化反応を触媒するため、 静置法では水中の溶存酸素が消費されれば働 けない)。このため、24時間静置では、TF3G, TF 3’G,TFDGは生成するが、振とう法に比べ他の アフラビン類の生成率は抑えられたと考え れる(実施例1と7の比較)。一方120時間放置す と、酸素供給が絶たれているためペルオキ ダーゼが主として作用するとともに、加水 解酵素が働き、24時間の反応で得られたTF3G,  TF3’G, TFDGの加水分解反応が進行し、全てTF に変換する(実施例1と2の比較)。さらにこの 、次のような反応も進行すると考えられる まず、ECとEGCよりペルオキシダーゼの酵素反 応によりTFが生成する。一方、TFに関与しな ECG及びEGCGは、タンナーゼあるいは加水分解 素によりガレート基が切断され、EC及びEGC 変換された後、ペルオキシダーゼによりTFへ と変換される。加水分解反応は平衡反応であ るが、加水分解により得られたEC及びEGCはペ オキシダーゼによりテアフラビンに変換す ため、EC及びEGCの消費に伴い平衡反応は右 傾き、ECG及びEGCGの加水分解反応は完全に進 して、120時間後では4種類のカテキンが全て テアフラビン(TF)に変換した。

 静置時間は、使用する茶葉の種類、含有 分、保存状態等によって異なるが、好まし は12時間以上、より好ましくは24時間以上、 さらにより好ましくは120時間以上である。静 置時間の上限は特になく、テアフラビン類の 生成をモニターしながら、適当な時期に反応 を終了させることができる。静置温度は、酵 素が作用しうる温度範囲内であれば特に制限 はなく、例えば10℃から40℃、好ましくは20℃ から30℃である。

振とう法
 本発明の別の態様においては、生茶葉に水 加えて破砕した後、固液を分離せずに所定 間振とうする。萎凋処理前の生茶葉に大量 水を加えミキサーで1分から5分間破砕後、10 分から1時間振とうすると、茶生葉中の4種類 カテキン類が全て4種類のテアフラビン類に 変換する。振とうすることにより、ポリフェ ノールオキシダーゼとペルオキシダーゼが共 に作用するため、テアフラビン、テアフラビ ン3-O-ガレート、テアフラビン3’-O-ガレート テアフラビン3,3’-ジ-O-ガレートの4種類の 合物を得ることができる。

 振とう時間は、使用する茶葉の種類、含 水分、保存状態等によって異なるが、好ま くは3分間から2時間、より好ましくは10分間 から1時間である。カテキン類がテアフラビ 類に変換した後にさらに振とうを続けると テアフラビン類がポリマー化していくため 収量の低下が顕著である。最適な振とう時 は用いる茶葉により異なり、当業者は容易 条件を最適化することができる。振とう温 は、酵素が作用しうる温度範囲内であれば に制限はなく、例えば10℃から40℃、好まし は20℃から30℃である。

撹拌法
 本発明の別の態様においては、生茶葉に水 加えて破砕した後、固液を分離せずに所定 間撹拌を行う。撹拌は、ミキサー、スター ー、回転板、ボトルローラーなどを用いて 気が液体中に巻き込まれないような速度で 転することにより行うことができる。萎凋 理前の生茶葉に大量の水を加えミキサーで1 分から5分間破砕後、10分から8時間撹拌する 、茶生葉中の4種類のカテキン類が全て4種類 のテアフラビン類に変換する。空気の巻き込 みに注意して非常にゆっくり撹拌すると全て のカテキン類がテアフラビン(TF)に変換した( 施例10)。撹拌速度をあげると空気の巻き込 がおこるため他のテアフラビン類の生成率 高くなった(実施例11)。撹拌法は静置法に比 べ反応の時間を非常に短くすることができる という利点を有する。

茶葉の破砕条件
 破砕は0℃から30℃の温度で行うことができ 。ミキサーによる破砕時間を3分にすると、 1分に比べ、テアフラビン類の含量が大幅に えた。その後静置し、24時間と120時間でテア フラビン類の含量を測定したところ、120時間 後では24時間後に比べTF3G, TF3’G, TFDGの含量 減ったが、実施例2のように完全にTFに変換 きなかった。この理由として、3分の振とう ではTF3G,TF3’G,TFDGの含量が増えたため、120時 の加水分解では完全に加水分解反応が進行 なかったと思われる。この場合さらに長時 静置する必要がある。もしくはEGCG及びECGは 加水分解されやすく、TF3G, TF3’G及びTFDGは加 水分解されにくいため、120時間の加水分解で は3分の振とうにより増大したTF3G, TF3’G及び TFDG の加水分解を完全に進行させることが出 来なかったと考えられる(実施例2と4と5の比 )。なお、ここでいうミキサーとは容量約700~ 1000ml、出力200~300W程度の家庭用のミキサー(ブ レンダー)であり、工業生産用にスケールア プして本発明を実施する場合には、当業者 、用いる機械と処理量に応じて適切な破砕 間を設定することができる。本発明の方法 用いることができる工業生産用ミキサーの は、容量約4000ml、出力1400W程度の業務用のミ キサー(ブレンダー)であり、回転数は高速(18, 500rpm)、中速(16,300rpm)、低速(14,000rpm)である。 らに大量のスケールで行う場合は特注のブ ンダーを使うか、茶葉の量に合わせミキサ 操作を繰り返しても良い。生茶葉の破砕は 砕できればどのような機械でも使用可能で り、例えばミキサー、ウルトラマイザー、 ンマーミル、ホモゲナイザーなどを使用で るが特にミキサー(ブレンダー)が好ましい

水の量
 生茶葉に加える水の量は、使用する茶葉の 類、含有水分、保存状態等によって適宜選 することができるが、好ましくは生茶葉1g 対して5mlから500ml、より好ましくは7mlから200 ml、さらに好ましくは10mlから100mlである。5ml り少ないと、収率が低下し、500mlより多い 、酵素反応の効率および生成物の精製効率 低下する。水の量を大量にした場合、テア ラビンまたはテアフラビン類の含量が増大 た(実施例2と3の比較、実施例5と6の比較)。

緑茶葉抽出液
 生茶葉中のカテキン量は限られているため テアフラビン類の収量をさらに高めるため は、生茶葉または冷凍生茶葉に水と緑茶抽 液を加え同様の操作を行うことが望ましい 緑茶抽出液としては、加熱処理した緑茶葉 水を加え抽出した液、加熱処理した緑茶葉 水を加え抽出し濃縮した茶エキスに水を添 した液、茶抽出物に水を添加した液などの 4種類のカテキン類が含まれている水溶液を 用いることができる。この場合、生茶葉中の 酵素の作用により、生茶葉に含まれるカテキ ン類と緑茶抽出液に含まれるカテキン類との 両方を効率よくテアフラビンに変換でき、よ り高含量のテアフラビンまたはテアフラビン 類を得ることができる。

精製
 得られたテアフラビン類は、反応水溶液を 機溶媒で抽出することにより容易に高純度 回収することができる。例えばクロロホル でカフェイン(caffeine)を抽出して除去したの ち、酢酸エチル、エーテルなどの有機溶媒で 抽出することにより、テアフラビン類を高純 度で得ることができる。クロマト分離によっ ても高純度で回収することができる。反応混 合物からカフェインと没食子酸を昇華させて テアフラビン類を高純度で回収することがで きる。反応水溶液の温度を適宜に変える事に より分別再結晶によりテアフラビン類を高純 度で回収することもできる。以上はテアフラ ビン類を高純度で得る方法について述べたが 、用途によってはテアフラビン類を単離せず 、カフェイン及び没食子酸を含む混合物で用 いる事も可能である。その場合は従来良く知 られた技術、例えばスプレードライ法、凍結 乾燥法などを用いて水を除去すれば良い。生 成したテアフラビン類の種類および量は、定 法にしたがってHPLC等を用いて測定すること できる。

 本明細書において明示的に引用される全 の特許および参考文献の内容は全て本明細 に参照として取り込まれる。

 以下に実施例により本発明をより詳細に説 するが、本発明はこれらの実施例により限 されるものではない。下記の実施例におい は、EC,ECG,EGC,EGCG,TF,TF3G,TF3’GおよびTFDGの分 にはHPLC装置(JASCO(株)、PU-980、UV-970)とODS120A(TO SO, 4.6mm×250mm)カラムを用いた。HPLCの条件は 媒:アセトニトリル:酢酸エチル:0.05% H 3 PO =21:3:76、流速;1.0ml/min、温度;25℃である。検出 は、UV280nmでおこなった。それぞれ検量線を 成し測定した。

実施例1
 7月18日採取やぶきた茶葉9.55gに蒸留水100mlを 加え、家庭用ミキサーにて1分 間破砕後、100 ml三角フラスコに移しアルミホイルにてふた し24時間静置後吸引ろ取を行 い得られたろ 液をHPLCで分析した。100g生葉に換算するとTF  75.2 mg (0.075%), TF3G 14.0mg (0.014%), TF3’G 8.0  mg (0.008%), TFDG 3.9mg (0.004%), EGCG 3.9g (3.9%),  ECG 81mg (0.081%), caffeine 499.7 mg (0.5%) である 。ろ液をクロロホルムで抽出した水相を酢酸 エチルで抽出し、テアフラビン類を11mg(茶葉9 .55gあたり)得た。

実施例2
 7月18日採取やぶきた茶葉9.55gに蒸留水100mlを 加え、家庭用ミキサーにて1分間破砕後、100ml 三角フラスコに移しアルミホイルにてふたを し120時間静置する。吸引ろ取を行い得られた ろ液をHPLCで分析した。100g生葉に換算するとT F 444.8 mg (0.44%), caffeine 440 mg (0.44%) であ 。ろ液をクロロホルムで抽出した水相を酢 エチルで抽出し、テアフラビンを46 mg (茶 9.55gあたり)得た。

実施例3
 7月18日採取やぶきた茶葉9.55gに蒸留水800mlを 加え、家庭用ミキサーにて1分間破砕後、1000m l三角フラスコに移しアルミホイルにてふた し120時間静置する。吸引ろ取を行い得られ ろ液をHPLC分析した。100g生葉に換算するとTF 850 mg (0.85%), caffeine 435 mg (0.44%) である。 ろ液をクロロホルムで抽出した水相を酢酸エ チルで抽出し、テアフラビンを 79 mg (茶葉9 .55gあたり)得た。

実施例4
 7月18日採取やぶきた茶葉10.91gに蒸留水100ml 加え、家庭用ミキサーにて3分間破砕後、100m l三角フラスコに移しアルミホイルにてふた し24時間静置後吸引ろ取を行い得られたろ液 をHPLCで分析した。100g生葉に換算するとTF 289  mg (0.29%), TF3G 70mg (0.07%), TF3’G 42 mg (0.04 2%), TFDG 34mg (0.034%), EGCG 3.1g (3.1%), ECG 40.3m g (0.04%), caffeine 355 mg (0.36%) である。ろ液 クロロホルムで抽出した水相を酢酸エチル 抽出し、テアフラビン類を 42 mg (茶葉10.91 gあたり)得た。

実施例5
 7月18日採取やぶきた茶葉10.91gに蒸留水100ml 加え、家庭用ミキサーにて3分間破砕後、100m l三角フラスコに移しアルミホイルにてふた し120時間静置する。吸引ろ取を行い得られ ろ液をHPLC分析した。100g生葉に換算するとTF 402 mg (0.4%), TF3G 29.3mg (0.029%), TF3’G 14.9 m g (0.015%), TFDG 9.1mg (0.009%), caffeine 307 mg (0. 31%) である。ろ液をクロロホルムで抽出した 水相を酢酸エチルで抽出し、テアフラビン類 を 53 mg (茶葉10.91gあたり)得た。

実施例6
 7月18日採取やぶきた茶葉9.70gに蒸留水800mlを 加え、家庭用ミキサーにて3分間破砕後、1000m l三角フラスコに移しアルミホイルにてふた し120時間静置する。吸引ろ取を行い得られ ろ液をガラスビンに移し、アルミホイルで たをした後、HPLC分析した。100g生葉に換算す るとTF 699 mg (0.7%), TF3G 89.5mg (0.09%), TF3’G 24.5 mg (0.025%), TFDG 38.3mg (0.038%), caffeine 435  mg (0.44%) である。ろ液をクロロホルムで抽 出した水相を酢酸エチルで抽出し、テアフラ ビン類を 85 mg (茶葉9.70gあたり)得た。

実施例7
 6月15日採取したやぶきた茶葉26.68gに蒸留水2 18mlを加え、家庭用ミキサーにて3分間破砕後 30分間振とう後、吸引ろ取を行い得られた 液をHPLC分析した。100g生葉に換算するとTF 17 6 mg (0.18%), TF3G 106 mg (0.11%), TF3’G 74.0 mg (0.074%), TFDG 106 mg (0.11%),caffeine 200 mg (0.20% ), EGCG 0 g (0%), ECG 0 mg (0%)である。ろ液を クロロホルムで抽出した水相を酢酸エチルで 抽出し4種類のテアフラビン類を 120 mg (茶 26.68gあたり)得た。

実施例8
 7月23日採取した紅富貴二番茶10.00gに蒸留水1 00mlを加え、家庭用ミキサーにて5分間破砕後 5分間振とう(120rpm)した後、吸引ろ取を行い られたろ液をHPLCで分析した。100g生葉に換 するとTF 257 mg (0.26%), TF3G 92.7mg (0.093%), TF 3’G 49.2 mg (0.049%), TFDG 48.1mg (0.048%),caffeine 495 mg (0.50%) である。ろ液をクロロホルム 抽出した水相を酢酸エチルで抽出し4種類の アフラビン類を 41 mg (茶葉10.00 gあたり) た。

実施例9
 10月7日採取したやぶきた茶葉を4日間室温下 放置後の葉14.76gに蒸留水140mlを加え、家庭用 キサーにて1分間破砕後、37分間振とう(120rpm )した後吸引ろ取を行い得られたろ液をHPLCで 析した。100g生葉に換算するとTF 132.4 mg (0. 13%), TF3G 46.0mg (0.046%), TF3’G 33 mg (0.033%),  TFDG 24mg (0.024%),caffeine 261 mg (0.26%) である ろ液をクロロホルムで抽出した水相を酢酸 チルで抽出し4種類のテアフラビン類を 30 m g (茶葉 14.76 gあたり)得た。

 実施例1~9の結果を下記の表にまとめる。

実施例10
 冷凍茶葉(6月25採取茶葉)200gに、加熱加工し 4番茶(100g)を4リットルの水で抽出した液を え、工業用ミキサー(High スピード)にて1分 破砕し、工業用スターラーで40分間水面が動 かないように静かに撹拌した。粗濾過を行っ た後、得られたろ液をクロロホルムで抽出し てカフェインを除去した後、水相を酢酸エチ ルにて抽出し、濃縮して、テアフラビン5.2g  (HPLC分析80%純度)を得た。

実施例11
 冷凍茶葉(6月25採取茶葉)100gに、加熱加工し 4番茶(50g)を2リットルの水で抽出した液を加 え、工業用ミキサー(High スピード)にて1分間 破砕し、工業用スターラーで30分間水面の中 が渦ができる程度に激しく撹拌した。粗濾 を行った後、得られたろ液をクロロホルム 1回抽出した後、水相を酢酸エチルにて抽出 し、濃縮して、テアフラビン類2.0g (HPLC分析: カフェイン9%, TF 24%, TF3G 18%, TF3’G 13%, TFD G 15%)を得た。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 




 
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