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Patent Searching and Data


Title:
MEDICINAL AGENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/152822
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a medicinal agent which enables to improve the ADCC which occurs in vivo upon the administration of a monoclonal antibody therapeutic agent; a therapeutic/prophylactic method; and an adjuvant for improving the effect of a monoclonal antibody therapeutic agent. A combination of a γδT cell activated and/or proliferated with a bisphosphonate and IL-2 and a monoclonal antibody therapeutic agent can be used as a medicinal agent. The medicinal agent exhibits its medicinal effect synergistically at a higher level compared to a case where each of the γδT cell and the monoclonal antibody therapeutic agent isused singly.

Inventors:
NICOL ANDREW (AU)
TOKUYAMA HIROTAKE (JP)
HAGI TOMOMI (JP)
NIEDA MIE (JP)
MUTO MASATO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/001535
Publication Date:
December 18, 2008
Filing Date:
June 13, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MEDINET CO LTD (JP)
NICOL ANDREW (AU)
TOKUYAMA HIROTAKE (JP)
HAGI TOMOMI (JP)
NIEDA MIE (JP)
MUTO MASATO (JP)
International Classes:
A61K35/14; A61K35/26; A61K39/395; A61P35/00; A61K35/12
Domestic Patent References:
WO2006006720A12006-01-19
Foreign References:
US20030223998A12003-12-04
JP2004529102A2004-09-24
Other References:
ROSSI J.-F. ET AL.: "Enhancing lysis of B cell lymphoma by innovative gamma delta T cell immunotherapies using agonist IPH1101 (phosphotim, BrHPP)", BLOOD, vol. 108, no. 11, 2006, pages 391B, XP008083238
FERRINI S. ET AL.: "Retargeting of T-cell-receptor gamma/delta-pos. lymphocytes against tumor cells by bispecific monoclonal antibodies. Induction of cytolytic activity and lymphokine production", INTERNATIONAL JOURNAL OF CANCER, no. SUPPL. 4, 1989, pages 53 - 55
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Claims:
 γδT細胞とモノクローナル抗体治療薬を含む医薬。
 前記γδT細胞と前記モノクローナル抗体治療薬とが、別々の溶液に懸濁されていることを特徴とする請求項1に記載の医薬。
 前記モノクローナル抗体治療薬を投与した後に前記γδT細胞を投与することを特徴とする請求項2に記載の医薬。
 前記γδT細胞と前記モノクローナル抗体治療薬を同時に投与することを特徴とする請求項2に記載の医薬。
 前記γδT細胞と前記モノクローナル抗体治療薬とが、同一の溶液に懸濁されていることを特徴とする請求項1に記載の医薬。
 前記γδT細胞はビスホスホネートとIL-2とで活性化及び/又は増殖させたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の医薬。
 前記ビスホスホネートが、ゾレドロネート、その塩及び/又はそれらの水和物であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の医薬。
 前記γδT細胞が、自己由来であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の医薬。
 前記γδT細胞が、他人由来であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の医薬。
 前記モノクローナル抗体治療薬が、疾病の原因である細胞の表面上の分子を標的とし、ヒトFc部分を持つ抗体であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の医薬。
 前記モノクローナル抗体治療薬が、トラスツズマブであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の医薬。
 前記モノクローナル抗体治療薬が、リツキシマブであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の医薬。
 前記モノクローナル抗体治療薬は、通常投与量の1/2000倍量~等量含まれることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の医薬。
 γδT細胞とモノクローナル抗体治療薬を投与する治療・予防方法。
 前記γδT細胞と前記モノクローナル抗体治療薬とが、別々の溶液に懸濁されていることを特徴とする請求項14に記載の治療・予防方法。
 前記モノクローナル抗体治療薬を投与した後に前記γδT細胞を投与することを特徴とする請求項15に記載の治療・予防方法。
 前記γδT細胞と前記モノクローナル抗体治療薬を同時に投与することを特徴とする請求項15に記載の治療・予防方法
 前記γδT細胞と前記モノクローナル抗体治療薬とが、同一の溶液に懸濁されていることを特徴とする請求項14に記載の治療・予防方法。
 前記γδT細胞はビスホスホネートとIL-2とで活性化及び/又は増殖させたことを特徴とする請求項14乃至18のいずれか一項に記載の治療・予防方法。
 前記ビスホスホネートが、ゾレドロネート、その塩及び/又はそれらの水和物であることを特徴とする請求項14乃至19のいずれか一項に記載の治療・予防方法。
 前記γδT細胞が、自己由来であることを特徴とする請求項14乃至20のいずれか一項に記載の治療・予防方法。
 前記γδT細胞が、他人由来であることを特徴とする請求項14乃至20のいずれか一項に記載の治療・予防方法。
 前記モノクローナル抗体治療薬が、疾病の原因である細胞の表面上の分子を標的とし、ヒトFc部分を持つ抗体であることを特徴とする請求項14乃至22のいずれか一項に記載の治療・予防方法。
 前記モノクローナル抗体治療薬が、トラスツズマブであることを特徴とする請求項14乃至23のいずれか一項に記載の治療・予防方法。
 前記モノクローナル抗体治療薬が、リツキシマブであることを特徴とする請求項14乃至23のいずれか一項に記載の治療・予防方法。
 前記モノクローナル抗体治療薬は、通常投与量の1/2000倍量~等量投与することを特徴とする請求項14乃至25のいずれか一項に記載の治療・予防方法。
 γδT細胞を含むことを特徴とするモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
 前記γδT細胞はビスホスホネートとIL-2とで活性化及び/又は増殖させたことを特徴とする請求項27に記載のモノクローナル抗体アジュバント。
 前記ビスホスホネートが、ゾレドロネート、その塩及び/又はそれらの水和物であることを特徴とする請求項27又は28に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
 前記γδT細胞が、自己由来であることを特徴とする請求項27乃至29のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
 前記γδT細胞が、他人由来であることを特徴とする請求項27乃至29のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
 前記モノクローナル抗体治療薬が、病気の原因である細胞の表面上の分子を標的とし、ヒトFc部分を持つ抗体であることを特徴とする請求項27乃至31のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
 前記モノクローナル抗体治療薬が、トラスツズマブであることを特徴とする請求項27乃至32のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
 前記モノクローナル抗体治療薬が、リツキシマブであることを特徴とする請求項27乃至32のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
Description:
医薬

 本発明は医薬に関する。また治療・予防 法に関する。さらにモノクローナル抗体治 薬アジュバントに関する。

 がんは日本人の最大の死亡原因であり、 ん対策の一層の充実が求められている。が の治療法としては外科療法、化学療法、放 線療法が中心に行われ成果を上げてきたが それぞれの治療効果の限界や副作用、合併 などは依然として存在し、それらを克服す ために新たな治療法の開発、実用化がなさ ている。

 近年治療方法の一つとして注目を集め、 績をあげているものにモノクローナル抗体 療薬を用いた治療方法がある。モノクロー ル抗体治療薬はがん細胞に特異的又は過剰 発現するタンパク質に特異的に結合する抗 からなる治療薬である。

 また、がん以外の特定の細胞が原因とな 疾病についても、疾病の原因である細胞の 面に発現するタンパク質を標的としたモノ ローナル抗体治療薬が開発、実用化されて る。

 しかし依然として、がん細胞がモノクロ ナル抗体治療薬に対して抵抗性の場合や、 度効果を上げても再発してしまう場合は少 くない。

 モノクローナル抗体治療薬はタンパク質 介してがん細胞に結合することで、シグナ 伝達を阻害したり、補体依存性細胞傷害作 (Complement-Dependent Cytotoxicity、以下CDCという) 抗体依存性細胞傷害作用(Antibody Dependent Cel l-mediated Cytotoxicity、以下ADCCという)を賦活化 ることによりがん細胞を傷害する。

 CDCは血清中に存在する補体と呼ばれる12 のタンパク質によって引き起こされる細胞 害作用である。標的細胞に結合した抗体に って12種のタンパクが順次活性化され、細胞 膜を破壊する。

 ADCCは標的細胞に結合した抗体を、抗体受 容体(Fcγ受容体)を持った細胞(例えば、マク ファージやナチュラルキラー細胞(以下、NK 胞という))が認識し、傷害因子を分泌して標 的細胞を特異的に傷害することをいう。

 ADCCを発揮する代表的な細胞としてNK細胞 ある。多くのNK細胞は細胞表面に発現して るCD16(Fcγ受容体)を介してモノクローナル抗 治療薬のFc部分に結合し、モノクローナル 体治療薬が結合しているがん細胞を傷害す 。そのため、NK細胞を体内で増やしたり、体 外で増やしてから投与したりすることで、効 率良くADCCを誘導してモノクローナル抗体治 薬の効果を高めようという試みがなされて るが、十分な効果を得るには至っていない

 一方、Tリンパ球の一種であるγδT細胞の 部にもCD16が細胞膜表面に発現している集団 があり、マウス抗体を用いたin vitro の実験 はADCCを発揮することが知られている(非特 文献1、2)。

 しかし、γδT細胞は個人差があるものの 梢血リンパ球のおよそ1~5%と少なく、さらに の中に含まれるCD16陽性細胞はさらに少ない 上に、CD16陽性γδT細胞自体の増殖能力はほと んどなく、それ自体を体内外で増殖させるこ とは困難であった。また、体外でヒト末梢血 単核球よりγδT細胞を培養しようとする一般 な過程においてCD16陽性γδT細胞が若干認め れることも知られていたが、臨床使用可能 ヒト抗体やマウス・ヒトキメラ抗体のADCC向 上を目指してそれらのCD16陽性γδT細胞を大量 に得ようとする努力は成されてこなかった。

J.Immunol,1990,144,3312-3317 Cell Immunol, 1992,143, 97-107

 本発明は上記事情を鑑みてなされたもの あり、モノクローナル抗体治療薬を投与し 際に起こる体内でのADCCをより向上させた医 薬、治療・予防方法を提供することを課題と する。また、モノクローナル抗体治療薬の効 果を向上させるためのアジュバントを提供す ることを課題とする。

 すなわち本発明は下記手段を提供するも である。

 (1)γδT細胞とモノクローナル抗体治療薬を む医薬、
(2)前記γδT細胞と前記モノクローナル抗体治 薬とが、別々の溶液に懸濁されていること 特徴とする(1)に記載の医薬、
(3)前記モノクローナル抗体治療薬を投与した 後に前記γδT細胞を投与することを特徴とす (2)に記載の医薬、
(4)前記γδT細胞と前記モノクローナル抗体治 薬を同時に投与することを特徴とする(2)に 載の医薬、
(5)前記γδT細胞と前記モノクローナル抗体治 薬とが、同一の溶液に懸濁されていること 特徴とする(1)に記載の医薬、
(6)前記γδT細胞はビスホスホネートとIL-2で活 性化及び/又は増殖させたことを特徴とする(1 )乃至(5)のいずれか一項に記載の医薬、
(7)前記ビスホスホネートが、ゾレドロネート 、その塩及び/又はそれらの水和物であるこ を特徴とする(1)乃至(6)のいずれか一項に記 の医薬、
(8)前記γδT細胞が、自己由来であることを特 とする(1)乃至(7)のいずれか一項に記載の医 、
(9)前記γδT細胞が、他人由来であることを特 とする(1)乃至(7)のいずれか一項に記載の医 、
(10)前記モノクローナル抗体治療薬が、疾病 原因である細胞の表面上の分子を標的とし ヒトFc部分を持つ抗体であることを特徴とす る(1)乃至(9)のいずれか一項に記載の医薬、
(11)前記モノクローナル抗体治療薬が、トラ ツズマブであることを特徴とする(1)乃至(10) いずれか一項に記載の医薬、
(12)前記モノクローナル抗体治療薬が、リツ シマブであることを特徴とする(1)乃至(10)の ずれか一項に記載の医薬、
(13)前記モノクローナル抗体治療薬は、通常 与量の1/2000倍量~等量含まれることを特徴と る(1)乃至(12)のいずれか一項に記載の医薬。

 (14)γδT細胞とモノクローナル抗体治療薬を 与する治療・予防方法、
(15)前記γδT細胞と前記モノクローナル抗体治 療薬とが、別々の溶液に懸濁されていること を特徴とする(14)に記載の治療・予防方法、
(16)前記モノクローナル抗体治療薬を投与し 後に前記γδT細胞を投与することを特徴とす る(15)に記載の治療・予防方法、
(17)前記γδT細胞と前記モノクローナル抗体治 療薬を同時に投与することを特徴とする(15) 記載の治療・予防方法、
(18)前記γδT細胞と前記モノクローナル抗体治 療薬とが、同一の溶液に懸濁されていること を特徴とする(14)に記載の治療・予防方法、
(19)前記γδT細胞はビスホスホネートとIL-2と 活性化及び/又は増殖させたことを特徴とす (14)乃至(18)のいずれか一項に記載の治療・ 防方法、
(20)前記ビスホスホネートが、ゾレドロネー 、その塩及び/又はそれらの水和物であるこ を特徴とする(14)乃至(19)のいずれか一項に 載の治療・予防方法、
(21)前記γδT細胞が、自己由来であることを特 徴とする(14)乃至(20)のいずれか一項に記載の 療・予防方法、
(22)前記γδT細胞が、他人由来であることを特 徴とする(14)乃至(22)のいずれか一項に記載の 療・予防方法、
(23)前記モノクローナル抗体治療薬が、疾病 原因である細胞の表面上の分子を標的とし ヒトFc部分を持つ抗体であることを特徴とす る(14)乃至(22)のいずれか一項に記載の治療・ 防方法、
(24)前記モノクローナル抗体治療薬が、トラ ツズマブであることを特徴とする(14)乃至(23) のいずれか一項に記載の治療・予防方法、
(25)前記モノクローナル抗体治療薬が、リツ シマブであることを特徴とする(14)乃至(23)の いずれか一項に記載の治療及び/又は予防方 、
(26)前記モノクローナル抗体治療薬は、通常 与量の1/2000倍量~等量投与することを特徴と る(14)乃至(25)のいずれか一項に記載の治療 予防方法。

 (27)γδT細胞を含むことを特徴とするモノク ーナル抗体治療薬アジュバント、
(28)前記γδT細胞はビスホスホネートとIL-2と 活性化及び/又は増殖させたことを特徴とす (27)に記載のモノクローナル抗体治療薬アジ ュバント、
(29)前記ビスホスホネートが、ゾレドロネー 、その塩及び/又はそれらの水和物であるこ を特徴とする(27)又は(28)に記載のモノクロ ナル抗体治療薬アジュバント、
(30)前記γδT細胞が、自己由来であることを特 徴とする(27)乃至(29)に記載のモノクローナル 体治療薬アジュバント、
(31)前記γδT細胞が、他人由来であることを特 徴とする(27)乃至(29)に記載のモノクローナル 体治療薬アジュバント、
(32)前記モノクローナル抗体治療薬が、疾病 原因である細胞の表面上の分子を標的とし ヒトFc部分を持つ抗体であることを特徴とす る(27)乃至(31)のいずれか一項に記載のモノク ーナル抗体治療薬アジュバント、
(33)前記モノクローナル抗体治療薬が、トラ ツズマブであることを特徴とする(27)乃至(32) のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体 治療薬アジュバント、
(34)前記モノクローナル抗体治療薬が、リツ シマブであることを特徴とする(27)乃至(32)の いずれか一項に記載のモノクローナル抗体治 療薬アジュバント。

 本発明によれば、ビスホスホネートとIL-2 (インターロイキン2)とで活性化及び/又は増 させたγδT細胞とモノクローナル抗体治療薬 を組み合わせて医薬とすることにより、疾病 の原因である細胞に結合したモノクローナル 抗体治療薬のFc部分にγδT細胞がCD16を介して 合し、ADCCにより疾病の原因である細胞を効 率良く傷害するため、γδT細胞、モノクロー ル抗体治療薬を、それぞれ単独で用いるよ も高い相乗的効果を有する医薬を提供する とが可能となる。例えば、本発明のビスホ ホネートとIL-2とで活性化及び/又は増殖さ たγδT細胞において、CD16陽性γδT細胞数は当 該患者の血中に存在するCD16陽性γδT細胞数に 対し約等量~数十倍含まれていることから、 該細胞集団を、ADCC活性を主要な作用機序と るモノクローナル抗体治療薬と併用するこ によって、高いADCC活性を実現できる。

 また、ビスホスホネートとIL-2とで活性化 及び/又は増殖させたγδT細胞がADCCの効果を 上させ、効率よく疾病の原因である細胞を 害するため、モノクローナル抗体治療薬の 与量を従来よりも減らすことが可能となる

 更に、ビスホスホネートとIL-2とで活性化 及び/又は増殖させたγδT細胞とモノクローナ ル抗体治療薬を組み合わせて医薬とすること で、免疫抑制効果の強い化学療法等の治療法 との同時使用が可能となる。

 以下、本発明の実施形態について説明す 。

 まず、ビスホスホネートとIL-2で活性化及 び/又は増殖させたγδT細胞とモノクローナル 抗体治療薬を含む医薬及び治療・予防方法に ついて説明する。

<医薬及び治療・予防方法>
 本発明の医薬及び治療・予防方法は、ビス スホネートとIL-2とで活性化及び/又は増殖 せたγδT細胞とモノクローナル抗体治療薬を 含む医薬、及びそれらを投与する治療・予防 方法である。本発明の医薬は例えば、がん、 感染症、自己免疫疾患(例えば、関節リウマ )等の特定の細胞が原因である疾病の患者に 与する治療薬及び治療方法として用いるこ ができる。またγδT細胞及びモノクローナ 抗体治療薬は、肉眼では見えないがん細胞 傷害することができるため、手術によって り除くことができなかった微小ながん細胞 選択的に効率良く傷害するがん再発予防薬 び再発予防方法としての利用が可能である

 ここで疾病の原因である細胞とは、がん 胞、ウイルスに感染した細胞、自己免疫疾 の原因となる細胞(例えば関節リウマチであ ればTNFα産生細胞等)などのことをいう。

 次いで、ビスホスホネートとIL-2とで活性 化及び/又は増殖させたγδT細胞の調製方法に ついて説明する。ビスホスホネートとIL-2と 活性化及び/又は増殖させたγδT細胞にはCD16 発現した細胞(以下CD16陽性γδT細胞という) 含まれるため、モノクローナル抗体治療薬 よって誘導されるADCCを向上させることが可 となる。

<γδT細胞の調製>
 採血により末梢血を得る。採血する方法と ては、真空採血管等による全血採取を利用 ることができる。採血量は患者又はドナー 末梢血に含まれるγδT細胞の割合、γδT細胞 の培養可能期間、投与数などを考慮し、患者 又はドナーの負担とならない程度に設定する ことが好ましい。例えば、14日間の培養期間 、投与するγδT細胞として10 9 個程度のγδT細胞を得たい場合には、培養開 時のγδT細胞数を3×10 5 ~1×10 6 個程度確保できるように採血量を設定するこ とが好ましい。
 また、多量の細胞を確保する必要がある場 には、成分採血装置を用いて単核球成分を 取することにより、直接末梢血単核球を取 することが可能である。

 例えば密度勾配遠心法により末梢血単核 を得る。末梢血単核球を培養液AIM-V(インビ ロジェン)中に懸濁する。ここで末梢血単核 球を懸濁した液を細胞懸濁液という。なお、 ここで示した培養液以外にも、RPMI-1640培地( ンビトロジェン)、ダルベッコ改変イーグル 地(DMEM、インビトロジェン)、イスコフ培地( IMEM、インビトロジェン)等の細胞の培養に使 される市販の培養液を使用してもよい。

 また、必要に応じて血清を0.1~20%添加して もよい。血清として、例えば、牛胎児血清(Fe tal Calf Serum、以下FCSという)、AB血清又は自 血漿等を使用してもよい。

 得られた細胞懸濁液をフラスコ、バッグ はプレートに播種する。

 フラスコ、バッグ又はプレート中に播種 れた末梢血単核球に濃度が0.05~100μM、好ま くは0.1~30μMとなるようにビスホスホネート 添加する。ここで、使用されるビスホスホ ートとしては、例えばゾレドロネート、パ ドロネート、アレンドロネート、リセドロ ート、イバンドロネート、インカドロネー 等のアミノビスホスホネートやエチドロネ ト等の非アミノビスホスホネート、それら 塩及び/又はそれらの水和物が挙げられる。 えば、ゾレドロネート、その塩及び/又はそ れらの水和物では0.1~10μM、パミドロネート、 その塩及び/又はそれらの水和物であれば1~30 M、アレンドロネート、その塩及び/又はそれ らの水和物であれば1~30μMにすることが好ま い。

 更に、上記培養液にIL-2を濃度が50~2000U/mL より好ましくは400~1000U/mLとなるように添加 る。

 IL-2を添加した後34~38℃、より好ましくは37 で、2~10%、より好ましくは5%CO 2 存在下で培養する。この際、培養する細胞数 に応じ、培養液を適宜添加する。更に、培養 液の増加に伴い、IL-2の濃度が50~2000U/mL、より 好ましくは400~1000U/mLとなるように適宜添加す る。

 培養期間としては7日間以上であれば高純 度でγδT細胞を含む細胞群が得られるが、γδ T細胞の総細胞数およびCD16陽性γδT細胞の細 数を増やすには、14日間程度培養することが 好ましい。

 得られた細胞を遠心分離等により回収す 。

 回収した細胞を洗浄液で洗浄する。洗浄 は、細胞と浸透圧が等しい等張液であるこ が好ましく、医薬品として使用可能な液体 あればより好ましい。ここで、患者に投与 ることを考慮すると、例えば生理食塩水、P BS(phosphate buffered saline;リン酸緩衝生理食塩 )等を利用することが好ましい。

 洗浄後に得られたγδT細胞を遠心分離法 を用いて回収し、医薬品として使用可能な 体、例えば、生理食塩水等に懸濁して本発 の薬剤を調製することができる。この際、 濁用液体の使用量は投与する細胞数や投与 法に応じて適宜調整される。

 このようにして得られたγδT細胞は単独 も非特異的な細胞傷害活性を発揮すること でき、またCD16陽性γδT細胞を含むため、モ クローナル抗体治療薬によって誘導されるAD CCを向上させることができる。

 本発明の医薬及び治療・予防方法に用いる δT細胞数は、投与方法、疾病の種類、患者 症状等に応じて適宜選択されるが、通常、10 8 ~10 12 個/回/人であることが好ましく、より好まし は10 9 個/回/人以上である。

 また、生理食塩水等に懸濁したγδT細胞 モノクローナル抗体治療薬を用いて治療を っている患者にアジュバントとして投与す ことによって、モノクローナル抗体治療薬 よる疾病の原因である細胞の傷害効果を向 させることができる。

 γδT細胞は、自己由来であれば、投与し 際に患者の免疫系に排除されることなく、 の機能を発揮することが可能である。

 γδT細胞は、他人由来(allogeneic、アロジェ ニック)であれば、投与された他人由来のγδT 細胞が、移植患者体内でGVT(graft-versus-tumor)効 を発揮し、インターフェロンγやTNFα(Tumor N ecrosis Factor α、腫瘍壊死因子α)を産生する め、より強いがんの傷害効果が期待できる

<モノクローナル抗体治療薬の調製>
 次にモノクローナル抗体治療薬について説 する。モノクローナル抗体治療薬としては 疾病の原因である細胞の表面上の分子を標 とし、ヒトFc部分を持ったヒト抗体、ヒト 抗体およびマウス・ヒトキメラ抗体を用い ことができる。例えばHER2(Human Epidermal Growth  Factor Receptor Type 2、ヒト上皮増殖因子受容 体2型)を標的としたトラスツズマブ、ペルツ マブ、EGFR(Epidermal Growth Factor Receptor、上皮 増殖因子受容体)を標的としたセツキシマブ ニモツズマブ、CD52を標的としたアレムツズ ブ、CD22を標的としたエプラツズマブ、TNFα 標的としたインフリキシマブ、アダリムマ 、ゴリムマブ、CD20を標的としたリツキシマ ブ、オクレリズマブ、オファリムマブ、BlyS(B 細胞刺激因子)を標的としたベリムマブ、IL-1 標的としたAMG108、IL-15を標的としたAMG714、RA NKリガンドを標的としたデノスマブ、Fasを標 としたDE-098など、がんや自己免疫疾患など 々の分野のモノクローナル抗体治療薬があ られる。

 本明細書ではがんを対象としたリツキシ ブ、トラスツズマブを例として説明する。

 リツキシマブはヒトBリンパ球表面に発現 するCD20抗原に結合するモノクローナル抗体 あり、B細胞性非ホジキンリンパ腫を対象と たモノクローナル抗体治療薬である。また CD20陽性慢性リンパ性白血病の治療薬として 用いられることもある。更に、関節リウマチ などの自己免疫疾患に対する治療薬としての 治験も進められている。

 リツキシマブは例えばリツキサン(登録商 標、中外製薬から販売)等として入手するこ ができる。瓶内のリツキシマブ溶液を生理 に許容可能な溶液、例えば生理食塩水等に り希釈して調製する。

 リツキシマブの投与量は0.0001~30mg/kgである とが好ましい。特に、臨床におけるリツキ マブの投与量は1回375mg/m 2 であるが、患者の状態に応じて減量すること もできる。

 トラスツズマブはHER2に結合するモノクロ ーナル抗体で、HER2過剰発現が確認された転 性乳がんを対象としたモノクローナル抗体 療薬である。また、HER2を過剰に発現したそ 他のがんの治療薬として用いられることも る。

 トラスツズマブは例えばハーセプチン(登 録商標、中外製薬から販売)等として入手す ことができる。バイアル内のトラスツズマ を注射用水に溶解して、必要量抜き取り、 理的に許容可能な溶液、例えば生理食塩水 に溶解して調製する。

 トラスツズマブの投与量は0.01~10mg/kgであ ことが好ましい。特に、臨床におけるトラ ツズマブの投与量は初回投与時は4mg/kg、2回 目以降は2mg/kgであるが、患者の状態に応じて 減量することもできる。

<医薬の調製及び治療・予防方法>
 調製したリツキシマブ又はトラスツズマブ 、γδT細胞はそれぞれ別の溶液とし、治療 予防薬として用いることができる。この場 、同時に患者に投与することやモノクロー ル抗体治療薬を投与した後、γδT細胞を投与 することができる。

 また、調製したリツキシマブ又はトラス ズマブを、γδT細胞を懸濁した生理食塩水 添加し、医薬とすることもできる。

 ビスホスホネートおよびIL-2で活性化及び /又は増殖させたγδT細胞とモノクローナル抗 体治療薬を一つの溶液とすることで、1度に2 を投与することができ、患者への負担や作 の軽減を図ることができる。

 投与頻度としては、同時投与を行う場合 リツキシマブまたはトラスツズマブの投与 度と同じとし、適時γδT細胞を単独で追加 与することも可能である。

 本薬剤を投与する方法としては、例えば 脈内、皮内、皮下、リンパ節等へ注射する とができる。また、病変部に直接注入して よく、例えば内視鏡的または経皮的に直接 針して投与することもできる。更に、病変 近辺の動脈から注入してもよく、例えばが 栄養血管に選択的に挿入された動脈カテー ルを経由して投与することができる。

 この際、リツキシマブを添加した場合に 投与開始時にはリツキシマブが25mg/時の速 となるようにし、患者の状態を観察しなが 100mg/時、200mg/時まで速度を上げることがで る。

 トラスツズマブを添加した場合には90分 上かけて投与するようにする。

 また、ビスホスホネートおよびIL-2で活性 化及び/又は増殖させたγδT細胞は、モノクロ ーナル抗体治療薬の効果を増強するような特 性を持つため、モノクローナル抗体治療薬ア ジュバントとして用いることが可能である。

 ビスホスホネートおよびIL-2で活性化及び /又は増殖させたγδT細胞をモノクローナル抗 体治療薬アジュバントとして使用し、がん、 感染症及び自己免疫疾患等の治療・予防剤と 併用する場合には、様々なサイトカイン及び インターフェロン等を組み合わせることも可 能である。

 ビスホスホネートおよびIL-2で活性化及び /又は増殖させたγδT細胞は様々なモノクロー ナル抗体治療薬に対するアジュバントとして 用いることが可能であり、先に例示したのと 同様のものが使用できる。

 モノクローナル抗体治療薬を用いた治療に いて、モノクローナル抗体治療薬、及びビ ホスホネートおよびIL-2で活性化及び/又は 殖させたγδT細胞を含むモノクローナル抗体 治療薬アジュバントを投与する順序としては
 1)モノクローナル抗体治療薬を同時に別剤 して投与する場合、
 2)モノクローナル抗体治療薬を含む薬剤を 与した後に、適宜時間を経て別剤として投 する場合、
 3)モノクローナル抗体治療薬と混合した薬 を投与する場合、
等が挙げられ、いずれの順序でも良いが、患 者の症状に応じて適宜調整される。

 ビスホスホネートおよびIL-2で活性化及び /又は増殖させたγδT細胞を含むモノクローナ ル抗体治療薬アジュバントは既存のモノクロ ーナル抗体治療薬のみならず、今後開発され るモノクローナル抗体治療薬の効果をも向上 させることが可能である。

 以下、実施例を用いて本発明を詳細に説 する。ただし、本発明がこれに限定される のでないことは言うまでもない。

<γδT細胞の調製>
 健常人ドナー及び担がん被験者から血液を 取し、フィコールパック(アマシャム バイ サイエンス社)を用いた密度勾配遠心法によ り末梢血単核球(Peripheral Blood Mononuclear cell 以下PBMCという)を回収した。

 PBMCを10%となるようにヒトAB血清(Cambrex)を 加したRPMI1640培地(Cambrex)に、さらに700IU/mLの IL-2(カイロン)及び1μMのゾレドロネート(商品 ゾメタ 登録商標、ノバルティス)を添加し 14日間培養した。

 10~14日間培養するとエフェクター細胞中 含まれるγδT細胞は70~95%となった。

 代表的なCD16陽性γδT細胞の増殖を図1Aに示 た。培養7日目までは総γδT細胞数の増加を めたが、γδT細胞のCD16陽性率は低かった。 れに続く14日目までの期間は緩やかに総γδT 胞数が増加したが、そのうちCD16陽性である ものの割合が急速に増加した(図1A)。1×10 7 個のPBMCを14日間培養することにより、平均9.7 ×10 7 個のγδT細胞を得たが、平均4.5×10 7 個がCD16陽性γδT細胞であった。総γδT細胞の 殖比は平均250倍であったが、CD16陽性γδT細 の増殖比は平均430倍であり、CD16陽性γδT細 をより効率良く増殖させることが出来た(図 1B, n=10)。培養後のγδT細胞に占めるCD16陽性 胞の割合は、健常人で平均47%(n=5)、坦がん患 者で平均40%(n=5)であり、この方法が坦がん患 においてもCD16陽性γδT細胞を効率良く増殖 せることが出来ることが確認された(図1C)。

 機能解析の実験を行う際には、事前にエ ェクター細胞群から磁気ビーズシステムmini MACS(ミルテニーバイオテク)を用い、必要に応 じてCD4陽性細胞、CD8陽性細胞及びCD56陽性細 を除去してγδT細胞の精製を行った。

<細胞株の準備>
 CD20陽性リンパ腫細胞株としてDaudi、Raji及び Ramos細胞株、HER2陽性乳がん細胞としてSK-BR3、 HER2陰性がん細胞(ネガティブコントロール)と してMDA-MB231をATCC(American Type Culture Collection) ら入手して標的がん細胞として使用した。 胞株は10%ウシ胎児血清(インビトロジェン、 Fatal Calf Serum、以下FCSという)を含むRPMI1640培 地により37℃、5%CO 2 環境下で培養した。付着性細胞を培養容器か らはがす際には0.05M EDTAを使用した。

<がん細胞の準備>
慢性リンパ球性白血病(Chronic Lymphocytic Leukemi a、以下CLLという)の患者から採血し、密度勾 遠心法によりPBMCを取得した。これらの患者 の末梢リンパ球数は正常の10倍程度に増加し おり、そのほとんどががん細胞であること 確認され、これを標的がん細胞として用い 。

 濾胞性B細胞リンパ腫(Follicular B cell Lymph oma)の患者由来のリンパ節生検組織を得た。 時に行った組織学的検査により、リンパ節 大部分はがん細胞で占められていることが 認された。このリンパ節生検組織を少量のRP MI1640培地内で小切片に分け、ナイロン製のセ ルステイナー(BDバイオサイエンス)とプラン ャーを用いて、単細胞の懸濁液を調製し、 れを標的がん細胞として用いた。

<非付着性がん細胞に対する細胞傷害活性&g t;
 標的細胞としてDaudi、Raji及びRamos細胞株、CL L患者又はNHL(非ホジキンリンパ腫;Non-Hodgkin’s  Lymphoma)患者から取得したがん細胞を使用し 標的細胞と反応細胞を区別するために、標 細胞をPKH-26(PKH26 Red Fluorescent Cell Linker Kit 、SIGMA)で染色した。

 γδT細胞と標的細胞の比(以下E:Tと表す)が1:1 ~25:1となるように48wellプレートに播種し、37 、5%CO 2 濃度条件下で4時間共培養を行った。共培養 際、ヒトIgG抗体(シグマ-アルドリッチ)を10μg /mL添加した群、リツキシマブ(ロシュ)を10μg/m L添加した群、抗体を添加しない群を準備し 。また、標的細胞にリツキシマブのみを添 した群も準備した。

 共培養した細胞を回収し、アポトーシス 初期および後期段階を同定するAnnexinVと、 ポトーシス後期およびネクローシスを同定 る7AAD(ANNEXIN V/7AAD KIT、ベックマン・コール ー)により染色し、それぞれのがん細胞株又 はがん細胞に対する細胞傷害活性をFACSによ 測定した。FACS解析においてPKH-26陽性細胞に ートをかけることで標的がん細胞の受けた 胞傷害のみを解析することができる。

 Ann+はAnnexinVの蛍光を発色していた細胞数、A nn-は発色していない細胞数を示す。また、7AA D+は7AADの蛍光を発色していた細胞数、7AAD-は 色していなかった細胞数を示している。す わち、Ann-7AAD+はネクローシスを起こしてい 細胞、Ann+7AAD+はアポトーシス後期である細 、Ann+7AAD-はアポトーシス初期である細胞、A nn-7AAD-は生存している細胞であることを示す
なお、細胞傷害活性の値は下記の式により算 出した。

 図2に示すように、CD20陽性リンパ腫細胞 Daudiに対して、リツキシマブとCD16陽性γδT細 胞を多く含む同種γδT細胞(患者由来)を併用 ることにより、それぞれを単独で使用する 合よりも有意に高い細胞傷害活性を得るこ が可能であった(併用時の細胞傷害活性はリ キシマブ単独投与時の10倍、γδT細胞単独投 与時の2倍、E:T=5:1、n=10)。CD20陽性リンパ腫細 株Raji及びRamosにおいても同様の傾向を認め (それぞれ20倍と17倍、3.5倍と2.5倍、E:T=5:1)。

また、図3に示すように、CLL患者より得た ん細胞を標的とした場合も、リツキシマブ CD16陽性γδT細胞を多く含む同種γδT細胞(他 者由来)を併用することにより、それぞれを 独で使用する場合よりも有意に高い細胞傷 活性を得ることが可能であった(併用時の細 胞傷害活性はリツキシマブ単独投与時の3倍 γδT細胞単独投与時の6倍、E:T=5:1)。

さらに、図4に示すように、濾胞性B細胞リ パ腫の患者由来がん細胞を標的として自家 δT細胞(患者本人由来)を用いた場合、リツキ シマブとCD16陽性γδT細胞を多く含むγδT細胞 併用することにより、それぞれを単独で使 する場合よりも有意に高い細胞傷害活性を ることが可能であった(併用時の細胞傷害活 性はリツキシマブ単独投与時の7倍、γδT細胞 単独投与時の2倍、E:T=5:1)。

<付着性がん細胞に対する細胞傷害活性>
 標的細胞としてSK-BR3とMDA-MB-231を使用し、Cel lTiter96(プロメガ社)の解説に従いtetrazolium base d assay(MTS assay)を行った。MTS(テトラゾリウム 化合物)は生細胞によって生物的に還元され 組織培養液に可溶な発色性のホルマザン産 へと変換されるため、この発色の吸光度を 定することにより共培養後の標的細胞生存 および傷害率が測定可能となる。

 SK-BR3、MDA-MB-231を96穴プレートに1×10 4 個/wellとなるように播種し、37℃で一昼夜培 して接着させた。γδT細胞と標的細胞の比が E:T=1:1~25:1となるようにγδT細胞を添加し、共 養を4時間行った。共培養の際、ヒトIgG抗体 を2μg/mL添加した群、トラスツズマブ(ロシュ) を2μg/mL添加した群、抗体を添加しない群を 備した。また、標的細胞にトラスツズマブ みを添加した群も準備した。

 共培養の後、培地及び培地中に浮遊して る細胞を取り除き、MTSテトラゾリウム塩(317  μg/ml)を含む新しい培地を加えた。

 3時間の反応後、Multiskan Ascent microplate reade r(Thermo)を用いて490nmに対する光学密度(Optical  Density、以下ODという)を測定した。
 細胞傷害活性は以下の式により算出した。

 図5に示すように、HER2陽性乳がん細胞株SK -BR3に対して、トラスツズマブとCD16陽性γδT 胞を多く含む同種γδT細胞(患者由来)を併用 ることにより、それぞれを単独で使用する 合よりも有意に高い細胞傷害活性を得るこ が可能であった(併用時の細胞傷害活性はト ラスツズマブ単独投与時の15倍、γδT細胞単 投与時の11倍、E:T=5:1、n=8)。しかし、HER2陰性 乳がん細胞株MDA-MB231においては、併用効果は ほとんど見られなかった。

<HER2発現細胞株に対する細胞傷害活性>
 標的細胞としてHER2高発現乳がん細胞株であ るBT474(ATCCより購入)を使用し、ADCC活性の測定 を行った。BT474をRPMI1640(10%FBS:Fetal Bovine Serum) で1×10 6 cells/mLに調製し、Calcein AM(同仁科学)10μg/mLで3 7℃、30分染色後洗浄し、トラスツズマブ(商 名:ハーセプチン、中外製薬)0.2μg/mLを添加し た群と添加しない群を準備した。それぞれの 群を96 well plate(Coster)に1×10 4 cells/wellで播種した。そこへCD16を発現したγδ T細胞を多く含む細胞集団を標的細胞に対し 1:1~25:1となるように播種し、37℃、5%CO 2 条件下で4時間共培養を行った。
 次いで1時間ごとのターゲット細胞の蛍光強 度を測定、0時間測定時の蛍光強度からの残 率を算出し、下記の式により細胞傷害活性 求めた。

図6に示すようにHER2陽性乳がん細胞株BT474 対して、トラスツズマブとビスホスホネー とIL-2とで活性化及び/又は増殖させたγδT細 を併用することにより、ビスホスホネート IL-2とで活性化及び/又は増殖させたγδT細胞 を単独で使用する場合よりも高い細胞傷害活 性を得ることが可能であった。

<トラスツズマブの濃度依存性>
SK-BR3を96穴プレートに1×10 4 cells/wellとなるように播種し、37℃で一昼夜培 養して接着させた。CD16を発現したγδT細胞を 含む細胞集団と標的細胞のE:Tが1:1~25:1となる うにγδT細胞を添加し、共培養を4時間行っ 。共培養の際、トラスツズマブを0.001~1μg/mL 添加した群と添加しない群を準備した。

 共培養の後、培地及び培地中に浮遊して る細胞を取り除き、MTSテトラゾリウム塩(317  μg/ml)を含む新しい培地を加えた。

 3時間の反応後、Multiskan Ascent microplate re ader(Thermo)を用いて490nmに対するODを測定した また、細胞傷害活性は(数2)の式により算出 た。

図7に示すように、ビスホスホネートとIL-2 で活性化及び/又は増殖させたγδT細胞はHER2 陽性乳がん細胞株SK-BR3に対して、トラスツズ マブの濃度が0.1μg/mL以上の濃度において高い ADCC活性を得ることが可能であった。ハーセ チンの添付文書によると、ハーセプチンと 与時の血中動態は承認されている初回投与 の4mg/kgを投与した場合最高血中濃度は72±17μ g/mL、2回目以降の2mg/kgを投与した場合は最高 中濃度は43±8.5μg/mLであるから、γδT細胞は 分にADCC機能を発揮することができる。また 、ハーセプチン濃度が0.1μg/mLでもγδT細胞はA DCC機能を発揮できることからハーセプチンと γδT細胞と組み合わせた医薬では、モノクロ ナル抗体治療薬の投与量を少なくしても(ハ ーセプチンの最高血中濃度と本実施例濃度を 比較すると約1/700~1/400)、ほぼ同等の細胞傷害 活性効果が得られることが示唆された。

<リツキシマブの濃度依存性>
 標的細胞としてCD20陽性細胞株であるDaudiとR ajiを使用し、標的細胞と反応細胞を区別する ために、標的細胞をPKH-26で染色した。

 CD16陽性γδT細胞を多く含む細胞集団と標的 胞のE:Tが5:1、10:1となるように48wellプレート に播種し、37℃、5%CO 2 濃度条件下で4時間共培養を行った。共培養 際、リツキシマブ(商品名:リツキサン、全薬 工業、中外製薬)を0.01~10μg/mL添加した群と添 しない群を準備した。

 共培養した細胞を回収し、ANNEXIN V/7AAD KI Tにより染色し、それぞれのがん細胞株に対 る細胞傷害活性をFACSにより測定した。また 細胞傷害活性の値は(数1)の式により算出し 。

図8に示すように、ビスホスホネートとIL-2 で活性化及び/又は増殖させたγδT細胞はCD20 陽性リンパ腫細胞株DaudiとRajiに対して、リツ キシマブの濃度が0.1μg/ml以上の濃度において 高いADCC活性を得ることが可能であった。

<γδT細胞とモノクローナル抗体治療薬を併 用する場合の適時性>
 標的細胞としてCD20陽性細胞株であるRajiを 用し、標的細胞と反応細胞を区別するため 、標的細胞をPKH-26で染色した。

 CD16陽性γδT細胞を多く含む細胞集団と標的 胞のE:Tが1:1~25:1となるように48wellプレート 播種し、37℃、5%CO 2 濃度条件下で4時間共培養を行った。共培養 際、リツキシマブの血中濃度域でγδT細胞と リツキシマブが同時に存在することを想定し 、0.1~200μg/mL添加した群と添加しない群を準 した。実際にリツキシマブを通常用量で投 した場合、得られる最高血中濃度は194.3±58.3 μg/mLである(リツキサンインタビューフォー より抜粋)。

 また、共培養の際、あらかじめ標的細胞 リツキシマブを10μg/mLで、4℃、30分間処理 た後にリツキシマブを洗浄除去した群、リ キシマブを10μg/mL添加した群と添加していな い群を準備した。

 図9に示すように、ビスホスホネートとIL- 2とで活性化及び/又は増殖させたγδT細胞は ツキシマブの濃度が0.1~200μg/mLの条件下にお て同程度のADCC活性を有していることが確認 された。このことから、リツキシマブが高濃 度に存在していてもγδT細胞によるADCC活性に 影響を与えないことが示され、γδT細胞とリ キシマブを同時に投与できる可能性が示さ た。

 また、リツキサンの添付文書によると、 ツキサン投与時の血中動態は、最高血中濃 194.3±58.3μg/mLであるから、γδT細胞は十分に ADCC機能を発揮することができる。また、リ キサン濃度が0.1μg/mLでもγδT細胞はADCC機能 発揮できることからリツキシマブとγδT細胞 と組み合わせた医薬では、モノクローナル抗 体治療薬の投与量を少なくしても(リツキサ の最高血中濃度と本実施例濃度を比較する 約1/2000)、ほぼ同等の細胞傷害活性効果が得 れることが示唆された。

 図10に示すように、標的細胞にリツキシ ブを処理し洗浄した群とリツキシマブが共 している群に傷害活性の差は確認されず、γ δT細胞単独よりも高い傷害活性を有している ことが確認された。このことから、リツキシ マブをあらかじめ投与し、腫瘍細胞とリツキ シマブが結合した条件下に、γδT細胞を投与 ることにより高い傷害活性が期待できるこ が示された。洗浄した群とリツキシマブが 存している群と傷害活性の差が確認されな ったことから、γδT細胞とモノクローナル 体治療薬は混合して同時に投与しても、先 モノクローナル抗体治療薬を投与してその にγδT細胞を投与する時間差投与しても細胞 傷害活性を示すことが示唆された。

 以上説明したように、本発明のビスホス ネートとIL-2とで活性化及び/又は増殖させ γδT細胞とモノクローナル抗体治療薬を含む 医薬及び治療・予防方法は効率よく疾病の原 因である細胞を傷害することができる。また ビスホスホネートとIL-2とで活性化及び/又は 殖させたγδT細胞を含むモノクローナル抗 治療薬アジュバントはモノクローナル抗体 療薬が誘導する疾病の原因である細胞に対 るADCCを向上させることができる。したがっ 、本発明は例えばがん治療のための薬剤等 医薬製剤分野や、免疫細胞療法や骨髄移植 の医療分野等に応用可能である。

(A) 代表的なCD16陽性γδT細胞の増殖パ ーン。(B) 14日間の培養後のCD16陽性、陰性お よび総γδT細胞数の比較。(C) 同増殖比の比 。 CD20陽性リンパ腫細胞株(Daudi、Raji、Ramos )に対するリツキシマブ、同種γδT細胞(患者 来)、および併用時の細胞傷害能の比較。 CD20陽性CLL細胞に対するリツキシマブ、 同種γδT細胞(他患者由来)、および併用時の 胞傷害能の比較。 CD20陽性NHL細胞に対するリツキシマブ、 自己γδT細胞、および併用時の細胞傷害能の 較。 HER2陽性乳がん細胞株SK-BR3および、陰性 細胞株MDA-MB231に対するトラスツズマブ、同種 γδT細胞(患者由来)、および併用時の細胞傷 能の比較。 HER2陽性乳がん細胞株BT474に対するγδT 胞、トラスツズマブ併用時の細胞傷害能の 較。 HER2陽性乳がん細胞株SK-BR3に対するγδT 胞のADCC活性におけるトラスツズマブの濃度 依存性。 CD20陽性リンパ腫細胞株(A)Daudi(B)Rajiに対 するγδT細胞のADCC活性におけるリツキシマブ の濃度依存性。 CD20陽性リンパ腫細胞株Rajiに対するγδT 細胞のADCC活性におけるリツキシマブの血中 度域での影響。 CD20陽性リンパ腫細胞株Rajiに対するγδ T細胞のADCC活性におけるリツキシマブの洗浄 件または共存下での細胞傷害能の比較。




 
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