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Title:
MEMBRANE-ELECTRODE ASSEMBLY FOR DIRECT METHANOL FUEL CELL AND DIRECT METHANOL FUEL CELL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/123350
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a membrane-electrode structure for solid polymer fuel cells, wherein an anode electrode is formed on one side of a proton conducting membrane and a cathode electrode is formed on the other side of the proton conducting membrane. By using a proton conducting membrane containing a sulfonated polyarylene having a specific structural unit, the membrane-electrode structure for solid polymer fuel cells can exhibit excellent power generation performance.

Inventors:
TANAKA SHINGO (JP)
WAKABAYASHI NORIAKI (JP)
KAWAI JUNJI (JP)
HIGAMI MAKOTO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055854
Publication Date:
October 16, 2008
Filing Date:
March 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
JSR CORP (JP)
TANAKA SHINGO (JP)
WAKABAYASHI NORIAKI (JP)
KAWAI JUNJI (JP)
HIGAMI MAKOTO (JP)
International Classes:
H01M8/02; H01M4/86; H01M8/10
Foreign References:
JP2006172863A2006-06-29
JP2006172862A2006-06-29
JP2004259661A2004-09-16
JP2006120507A2006-05-11
JP2005166310A2005-06-23
JP2006096871A2006-04-13
JP2006054080A2006-02-23
JP2007294214A2007-11-08
JP2007294213A2007-11-08
Attorney, Agent or Firm:
SUZUKI, Shunichiro (Gotanda Yamazaki Bldg. 6F13-6, Nishigotanda 7-chome, Shinagawa-k, Tokyo 31, JP)
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Claims:
 芳香族系イオン交換樹脂膜と、少なくとも触媒担持カーボンとイオン交換樹脂電解質とを含む触媒層と、ガス拡散層を備えた直接メタノール燃料電池用膜-電極接合体であって、
 該芳香族系イオン交換樹脂膜が下記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位を含むスルホン酸基を有するポリアリーレンであり、
 カソード側の触媒層は白金触媒を含み、白金触媒の塗布量が0.7mg/cm 2 以上6.0mg/cm 2 以下であることを特徴とする直接メタノール燃料電池用膜-電極接合体。    
[式(1)中、A、Eは直接結合、-O-、-CO-、-SO 2 -、-SO-、-(CF 2 ) f -(fは1~10の整数である)、-(CH 2 ) h -(hは1~10の整数である)、-CR’ 2 -(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。Bは独立に酸素原子また硫黄原子を示し、Dは直接結合、-O-、-CO-、-(CH 2 ) h -(hは1~10の整数である)、-CR’ 2 -(R’’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基を示す。R 1 ~R 28 は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基およびニトリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示す。また、l、m、oは0~4の整数を示し、qは2以上の整数を示す。n、p、は各ユニットの組成比を示し0から1の値をとり、n+p=1である。ただし、nは0以外の値をとる。]
 (式中、Yは-CO-、-SO 2 -、-SO-、-CONH-、-COO-、-(CF 2 ) f -(lは1~10の整数である)、-C(CF 3 ) 2 -からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、-(CH 2 ) h -(hは1~10の整数である)、-C(CH 3 ) 2 -、-O-、-S-からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは-SO 3 Hまたは-O(CH 2 )rSO 3 Hまたは-O(CF 2 )rSO 3 Hで表される置換基を有する芳香族基を示す。rは1~12の整数を示し、jは0~10の整数を示し、kは0~10の整数を示し、iは1~4の整数を示す。)
 前記スルホン酸基を有するポリアリーレンが、下記一般式(3)で表される構造単位、及び上記一般式(2)で表される構造単位を含むことを特徴とする請求項1に記載の直接メタノール燃料電池用膜-電極接合体。
[式(3)中、Dは、-O-、-CR’’ 2 -(R’’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基)を示す。Pは下記一般式(4-1)~(4-3)で表される構造から選ばれる少なくとも一種の構造であり、Qは下記一般式(5-1)~(5-12)で表される構造から選ばれる少なくとも一種の構造である。また、qは2以上の整数を示す。n、p、は各ユニットの組成比を示し0から1の値をとり、n+p=1である。ただし、nは0以外の値をとる。tは0から2の整数を示す。]
 アノード側の触媒層に含まれる白金触媒の塗布量が0.7mg/cm 2 以上8.0mg/cm 2 以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の直接メタノール燃料電池用膜-電極接合体。
 カソード側の触媒層の厚みが5~100μmであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の直接メタノール燃料電池用膜-電極接合体。
 アノード側の触媒層の厚みが5~100μmであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の直接メタノール燃料電池用膜-電極接合体。
 前記直接メタノール燃料電池用膜-電極接合体は、芳香族系イオン交換樹脂膜の少なくとも片側のガス拡散層が多孔性基材から構成され、該多孔性基材と前記触媒層との間に撥水剤及び炭素粉末からなる微多孔層を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の直接メタノール燃料電池用膜-電極接合体。
 前記直接メタノール燃料電池用膜-電極接合体は、芳香族系イオン交換樹脂膜の少なくとも片側のガス拡散層が撥水剤コート多孔性基材から構成され、該多孔性基材と前記触媒層との間に撥水剤及び炭素粉末からなる微多孔層を備えることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の直接メタノール燃料電池用膜-電極接合体。
 前記直接メタノール燃料電池用膜-電極接合体で、芳香族系イオン交換樹脂膜のカソード側のガス拡散層が撥水剤コート多孔性基材から構成されることを特徴とする請求項7に記載の直接メタノール燃料電池用膜-電極接合体。
 アノード側のガス拡散層の透湿度が800g/m 2 /h ~ 3000g/m 2 /hであることを特徴とする請求項に1~8のいずれかに記載の直接メタノール燃料電池用膜-電極接合体。
 カソード側のガス拡散層の透湿度が500g/m 2 /h ~ 2500g/m 2 /hであることを特徴とする請求項に1~9のいずれかに記載の直接メタノール燃料電池用膜-電極接合体。
 少なくとも一つ以上の膜-電極接合体及びその両側に位置するセパレータを含む少なくとも一つの電気発生部;
 燃料を前記電気発生部に供給する燃料供給部;
 及び酸化剤を前記電気発生部に供給する酸化剤供給部を含む直接メタノール型燃料電池であって、
 膜-電極接合体が請求項1~10のいずれかに記載のものであることを特徴とする直接メタノール型燃料電池。
Description:
直接メタノール燃料電池用膜-電 極接合体および直接メタノール型燃料電池

 本発明は、膜-電極接合体と該膜-電極接 体を使用する直接メタノール型燃料電池に する。

 近年、携帯機器の消費電力の増大に伴い 池の容量不足が問題になっている。この問 を解決するため大容量の電源として燃料電 やリチウムイオン電池が活発に研究されて る。

 中でも直接メタノール型燃料電池は、改 型燃料電池における改質機、水素燃料の燃 電池における高圧水素タンクなどの補機が 要であり、燃料であるメタノールの体積エ ルギー密度が高いことから小型化が容易で り、携帯用電源に適している。特にリチウ イオン電池以上の小型化が理論的に可能で ることから、携帯機器用電源への適用が活 に検討されている。

 直接メタノール型燃料電池のプロトン伝 膜としてパーフルオロアルキルスルホン酸 高分子が使われている。しかし、パーフル ロアルキルスルホン酸系高分子はプロトン 導度は高いものの、メタノールの透過性が く、メタノールがアノードからカソードへ 透過するため、出力低下、燃料の損失、数% 程度にメタノールを水で希釈しなければなら ないことによる燃料の体積エネルギー密度の 低下という問題があった。また、燃料電池の 電極触媒には白金などの高価な貴金属触媒が 使用されているが、透過したメタノールの燃 焼にも電極中の貴金属触媒が使われるため、 本来の発電に必要な量以上の貴金属触媒をカ ソードに使用する必要があるという問題があ った。

 なお、本出願人は、特開2003-331868号公報(特 文献1)、特開2004-149056号公報(特許文献2)には 、特定の構造式のスルホン化ポリアリーレン を含有する直接メタノール型燃料電池用電解 質膜を提案している。

特開2003-331868号公報

特開2004-149056号公報

 本発明はメタノール利用率が高く、高濃 のメタノール水溶液で作動可能な膜-電極接 合体及び該膜-電極接合体を使用した直接メ ノール型燃料電池を提供することである。

本発明者らは、上記従来技術における問題 点に鑑み鋭意検討した。その結果、メタノー ル透過度の低い芳香族系イオン交換樹脂をプ ロトン伝導膜として用いた膜-電極接合体を いることで、高濃度のメタノール水溶液で 発電可能で、数%程度のメタノール水溶液を 用するに場合には発電性能を損なうことな カソードの白金などの貴金属の使用量を低 できることを見出した。

 本発明の構成は以下の通りである。
[1]芳香族系イオン交換樹脂膜と、少なくとも 触媒担持カーボンとイオン交換樹脂電解質と を含む触媒層と、ガス拡散層を備えた直接メ タノール燃料電池用膜-電極接合体であって
 該芳香族系イオン交換樹脂膜が下記一般式( 1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で される構造単位を含むスルホン酸基を有す ポリアリーレンであり、
 カソード側の触媒層は白金触媒を含み、白 触媒の塗布量に含まれる白金触媒の塗布量 0.7mg/cm 2 以上6.0mg/cm 2 以下である直接メタノール燃料電池用膜-電 接合体。    

[式(1)中、A、Eは直接結合、-O-、-CO-、-SO 2 -、-SO-、-(CF 2 ) f -(fは1~10の整数である)、-(CH 2 ) h -(hは1~10の整数である)、-CR’ 2 -(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基 およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シク ヘキシリデン基、フルオレニリデン基から る群より選ばれた少なくとも1種の構造を示 。Bは独立に酸素原子また硫黄原子を示し、 Dは直接結合、-O-、-CO-、-(CH 2 ) h -(hは1~10の整数である)、-CR’ 2 -(R’’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素 基)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリ ン基を示す。R 1 ~R 28 は互いに同一でも異なっていてもよく、水素 原子、フッ素原子、アルキル基、一部または すべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキ ル基、アリル基、アリール基、ニトロ基およ びニトリル基からなる群より選ばれる少なく とも1種の原子または基を示す。また、l、m、 oは0~4の整数を示し、qは2以上の整数を示す。 n、p、は各ユニットの組成比を示し0から1の をとり、n+p=1である。ただし、nは0以外の値 とる。]

(式中、Yは-CO-、-SO 2 -、-SO-、-CONH-、-COO-、-(CF 2 ) f -(lは1~10の整数である)、-C(CF 3 ) 2 -からなる群より選ばれた少なくとも1種の構 を示し、Zは直接結合または、-(CH 2 ) h -(hは1~10の整数である)、-C(CH 3 ) 2 -、-O-、-S-からなる群より選ばれた少なくと 1種の構造を示し、Arは-SO 3 Hまたは-O(CH 2 )rSO 3 Hまたは-O(CF 2 )rSO 3 Hで表される置換基を有する芳香族基を示す rは1~12の整数を示し、jは0~10の整数を示し、k は0~10の整数を示し、iは1~4の整数を示す。)
[2]前記スルホン酸基を有するポリアリーレン が、下記一般式(3)で表される構造単位、及び 上記一般式(2)で表される構造単位を含む[1]の 直接メタノール燃料電池用膜-電極接合体。

[式(3)中、Dは、-O-、-CR’’ 2 -(R’’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素 基)を示す。Pは下記一般式(4-1)~(4-3)で表され 構造から選ばれる少なくとも一種の構造で り、Qは下記一般式(5-1)~(5-12)で表される構造 ら選ばれる少なくとも一種の構造である。 た、qは2以上の整数を示す。n、p、は各ユニ ットの組成比を示し0から1の値をとり、n+p=1 ある。ただし、nは0以外の値をとる。tは0か 2の整数を示す。]

[3]アノード側の触媒層に含まれる白金触媒の 塗布量が0.7mg/cm 2 以上8.0mg/cm 2 以下であることを特徴とする請求項1または2 記載の直接メタノール燃料電池用膜-電極接 合体。
[4]カソード側の触媒層の厚みが5~100μmである[ 1]~[3]の直接メタノール燃料電池用膜-電極接 体。
[5]アノード側の触媒層の厚みが5~100μmである[ 1]~[4]の直接メタノール燃料電池用膜-電極接 体。
[6]前記直接メタノール燃料電池用膜-電極接 体は、芳香族系イオン交換樹脂膜の少なく も片側のガス拡散層が多孔性基材から構成 れ、該多孔性基材と前記触媒層との間に撥 剤及び炭素粉末からなる微多孔層を備える[1 ]~[5]の直接メタノール燃料電池用膜-電極接合 体。
[7]前記直接メタノール燃料電池用膜-電極接 体は、芳香族系イオン交換樹脂膜の少なく も片側のガス拡散層が撥水剤コート多孔性 材から構成され、該多孔性基材と前記触媒 との間に撥水剤及び炭素粉末からなる微多 層を備える[1]~[6]の直接メタノール燃料電池 膜-電極接合体。
[8]前記直接メタノール燃料電池用膜-電極接 体で、芳香族系イオン交換樹脂膜のカソー 側のガス拡散層が撥水剤コート多孔性基材 ら構成される[7]の直接メタノール燃料電池 膜-電極接合体。
[9]アノード側のガス拡散層の透湿度が800g/m 2 /h ~ 3000g/m 2 /hである[1]~[8]の直接メタノール燃料電池用膜 -電極接合体。
[10]カソード側のガス拡散層の透湿度が500g/m 2 /h ~ 2500g/m 2 /hである[1]~[9]の直接メタノール燃料電池用膜 -電極接合体。
[11]少なくとも一つ以上の膜-電極接合体及び の両側に位置するセパレータを含む少なく も一つの電気発生部;
 燃料を前記電気発生部に供給する燃料供給 ;
 及び酸化剤を前記電気発生部に供給する酸 剤供給部を含む直接メタノール型燃料電池 あって、
 膜-電極接合体が[1]~[10]のものである直接メ ノール型燃料電池。

 前記スルホン酸基を有するポリアリーレ について、その主鎖骨格を形成する結合基 少なくとも1つ以上のメタ結合、もしくはオ ルト結合を含むことであり、前記スルホン酸 基を有するポリアリーレンのガラス転移点が 、60℃~190℃の範囲に制御することで、目的と する高性能の直接メタノール型燃料電池用膜 -電極接合体および燃料電池が得られる。

 本発明によれば、触媒担持カーボンとイ ン交換樹脂とを含む触媒層、炭素と撥水剤 コートした多孔性の基材及び撥水剤及び炭 粉末からなる微多孔層から成る積層体を芳 族系イオン交換樹脂膜の両面に備えた膜-電 極接合体及び直接メタノール型燃料電池にお いて、芳香族系イオン交換樹脂によるメタノ ール透過の抑制により高濃度のメタノール水 溶液でも発電可能で、数%程度のメタノール 溶液を使用するに場合には発電性能をカソ ドの白金量を低減でき、膜-電極接合体及び 接メタノール型燃料電池を提供することが きる。

本発明で透湿度測定に使用される測定 置の概略図を示す。

 以下、本発明に係る膜-電極接合体及び直 接メタノール型燃料電池について詳細に説明 する。

 本発明に係る膜-電極接合体は、芳香族系 イオン交換樹脂膜と、少なくとも触媒担持カ ーボン及びイオン交換樹脂電解質とを含む触 媒層とガス拡散層を備えた直接メタノール燃 料電池用膜-電極接合体である。

 [芳香族系イオン交換樹脂膜]
 該芳香族系イオン交換樹脂膜が下記一般式( 1)で表される構造単位(疎水ユニットという) 及び下記一般式(2)で表される構造単位(スル ン酸ユニット)を含み、下記一般式(C)で表さ れるポリアリーレン系重合体である。重合体 のゲルパーミエーションクロマトグラフィー で測定したポリスチレン換算の重量平均分子 量(以下、単に「重量平均分子量」という)は1 万~100万、好ましくは2万~80万である。
<疎水ユニット>
 本発明で使用されるポリアリーレン系重合 は、下記一般式(1)で表される構造単位を含 。この構造単位は、4,4’-(1,3-フェニレンジ ソプロピリデン)ビスフェノールに代表され る3つ以上連続するベンゼン環を有するモノ ーから誘導される。この骨格をモノマー単 として含むことにより、重合体に疎水部を 与する。

 また、4,4’-(1,3-フェニレンジイソプロピ デン)ビスフェノールに代表される3つ以上 続するベンゼン環を有しているため主鎖骨 が柔軟であり、熱変形温度を低下させるこ もできる。このため、ホットプレスを用い ときの電極との接合性を改善させる作用を する。

 このような芳香族化合物から導かれる疎 性を有する構造単位を含んでいるので、ス ホン酸基を高い濃度で導入しても、メタノ ル耐性が高く、加工性に優れ、プロトン伝 度が高い高分子電解質およびプロトン伝導 を形成できる。

 なお、2つ以下の連続するベンゼン環を有 する化合物か誘導される構造単位では、スル ホン酸基を高濃度で導入すると、メタノール 耐性が低く、また、加工性が劣り、さらには 電極などとの接着性が低下することがある。

 A、Eは直接結合、-O-、-CO-、-SO 2 -、-SO-、-(CF 2 ) f -(fは1~10の整数である)、-(CH 2 ) h -(hは1~10の整数である)、-CR’ 2 -(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基 およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シク ヘキシリデン基、フルオレニリデン基から る群より選ばれた少なくとも1種の構造を示 。-CR’ 2 -で表される構造の具体的な例として、メチ 基、エチル基、プロピル基、イソプロピル 、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、プ ロピル基、オクチル基、デシル基、オクタデ シル基、フェニル基、トリフルオロメチル基 、などが挙げられる。これらのうち、直接結 合または、-O-、-CO-、-SO-、-SO 2 -、-CR’ 2 -、-(CF 2 ) f -、-(CH 2 ) h -、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデ 基が好ましい。

 Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し 、酸素原子が好ましい。

 Dは、直接結合、-O-、-S-、-CO-、-SO 2 -、-SO-、-CONH-、-COO-、-(CF 2 ) f -(fは1~10の整数である)、-(CH 2 ) h -(hは1~10の整数である)、-CR’ 2 -(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基 およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シク ヘキシリデン基、フルオレニリデン基から る群より選ばれた少なくとも1種の構造を示 。ここで、-CR’ 2 -で表される構造の具体的な例として、メチ 基、エチル基、プロピル基、イソプロピル 、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、プ ロピル基、オクチル基、デシル基、オクタデ シル基、フェニル基、トリフルオロメチル基 、などが挙げられる。これらのうち、直接結 合、-O-、-SO-、-(CH 2 ) h -、-CR’’ 2 -(R’'は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素 示す)が好ましい。

 R 1 ~R 28 は互いに同一でも異なっていてもよく、水素 原子、フッ素原子、アルキル基、一部または すべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキ ル基、アリル基、アリール基、ニトロ基およ びニトリル基からなる群より選ばれる少なく とも1種の原子または基を示す。
また、l、m、oは0~4の整数を示し、qは2以上の 数を示す。n、p、は各ユニットの組成比を し0から1の値をとり、n+p=1である。ただし、n は0以外の値をとる。これらのうち、mは1が好 ましく、lは、0か1が好ましい。また、nは0.3~1 の値をとることが好ましい。

 このような構造単位は、4,4’-(1,3-フェニ ンジイソプロピリデン)ビスフェノールに代 表される3つ以上連続するベンゼン環を有す モノマーから合成される化合物から導かれ 疎水性を有する構造単位(以下、「疎水ユニ ト」)である。

 本発明では、下記式(3)で表される疎水性 ニットがより好適である。

[式(3)中、Xはフッ素を除くハロゲン原子から ばれる原子を示し、Dは、-O-、-CR’’ 2 -(R’’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素 基)を示す。Pは下記一般式(4-1)~(4-3)で表され 構造から選ばれる少なくとも一種の構造で り、Qは下記一般。また、qは2以上の整数を す。n、p、は各ユニットの組成比を示し0か 1の値をとり、n+p=1である。ただし、nは0以外 の値をとる。tは0から2の整数を示す。]

 

 このような疎水性ユニットは以下(1’)の 香族化合物から誘導される。

 Xはフッ素を除くハロゲン原子、-OSO 2 CH 2 および-OSO 2 CF 2 から選ばれる原子または基を示し、特にフッ 素を除くハロゲン原子が、特にClまたはBrが ましい。それ以外の符号は、上記式(1)と同 である。

 上記一般式(1)で表される化合物は、たと ば、次のような反応により合成することが きる。

 まず、2価の原子もしくは有機基または直 接結合で連結されたビスフェノールを、対応 するビスフェノールのアルカリ金属塩とする ために、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチル アセトアミド、スルホラン、ジフェニルスル ホン、ジメチルスルホキサイドなどの誘電率 の高い極性溶媒中で、リチウム、ナトリウム 、カリウムなどのアルカリ金属、水素化アル カリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金 属炭酸塩などを加える。アルカリ金属はフェ ノールの水酸基に対し、過剰気味で反応させ 、通常、1.1~2倍当量、好ましくは1.2~1.5倍当量 で使用する。このとき、ベンゼン、トルエン 、キシレン、クロロベンゼン、アニソールな どの水と共沸する溶媒を共存させて、反応の 進行を促進させることが好ましい。

 次いで、上記ビスフェノールのアルカリ 属塩と、塩素等のハロゲン原子およびニト ル基で置換されたジハロゲン化物化合物と 反応させる。

 上記ビスフェノール類のうち3つ以上連続 するベンゼン環を有するものとして、4,4’-(1 ,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェ ール、4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロピリ ン)ビスフェノール、1,3-(4-ヒドロキシベンゾ イルベンゼン)、1,4-(4-ヒドロキシベンゾイル ンゼン)、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ) ンゼン、1,4-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ) ンゼン、1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ベン ゼン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼ などが挙げられる。なかでも、4,4’-(1,3-フ ニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール 、4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロピリデン) スフェノールが好ましい。

 また、他のビスフェノールとして、4,4’- イソプロピリデンビフェノール、2,2-ビス(4- ドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ プロパン、4,4’-ビスヒドロキシベンゾフェ ン、4,4’-ビスヒドロキシジフェニルスルホ 、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、 4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビス(4―ヒド ロキシフェニル)メタン、レゾルシノール、 ドロキノン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、9 ,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、4, 4’-イソプロピリデンビス(2-フェニルフェノ ル)、4,4’-シクロヘキシリデンビス(2-シク ヘキシルフェノール)などが挙げられる。

 上記ジハロゲン化合物としては、4,4’-ジ クロロベンゾフェノン、4,4’-ジフルオロベ ゾフェノン、4-クロロ-4’-フルオロベンゾフ ェノン、2-クロロ-4’-フルオロベンゾフェノ 、4,4’-ジクロロジフェニルスルホン、4,4’ -ジフルオロジフェニルスルホン、2,6-ジニト ベンゾニトリル、2,5-ジニトロベンゾニトリ ル、2,4-ジニトロベンゾニトリル、2,6-ジクロ ベンゾニトリル、2,5-ジクロロベンゾニトリ ル、2,4-ジクロロベンゾニトリル、2,6-ジフル ロベンゾニトリル、2,5-ジフルオロベンゾニ トリル、2,4-ジフルオロベンゾニトリル、2-ク ロロ-6-フルオロベンゾニトリルなどが挙げら れる。

 上記ジハロゲン化合物は、ビスフェノー に対し1.0001~3倍モル、好ましくは1.001~2倍モ の量で用いられる。また両末端が塩素原子 なるように、反応終了後に、例えば、ジク ロ化合物を過剰に加えてさらに反応させて よい。ジフルオロ化合物やジニトロ化合物 用いた場合には、反応後半でジクロロ化合 を添加するなどの方法で、両末端が塩素原 となるよう反応を工夫することが必要であ 。

 これらの反応は、反応温度が60℃~300℃で 好ましくは80℃~250℃の範囲、反応時間が15 ~100時間、好ましくは1時間~24時間の範囲で行 われる。

 得られたオリゴマーないしポリマーは、 リマーの一般的な精製方法、たとえば、溶 -沈殿の操作によって精製することができる 。分子量の調製は、過剰の芳香族ジクロライ ドとビスフェノールとの反応モル比によって 行う。芳香族ジクロライドが過剰にあるため 、得られるオリゴマーないしポリマーの分子 末端は、芳香族クロライドになっている。

 上記の方法で合成される化合物の具体的 構造として、以下のものを挙げることがで る。

[上記の式中、n、pおよびqは、式(1)における 義と同一である。]
 これらの化合物の中でも、好ましくは、4,4 -(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフ ェノール、4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロピ リデン)ビスフェノール、から合成される化 物である。

 各ユニットの組成比をあらわすn、pの比を えることにより、ポリマーのガラス転移温 を調整することができる。中でも、ポリマ 加工性の観点から、n= 0.3~1の値をとる化合 が有用である。この範囲にあるものは、主 骨格が柔軟であるため、熱変形温度が低く このため、ホットプレスを用いた燃料電池 作時の加工性ならびに電極との接合性を改 させることが可能となる。さらに、かかる 香族化合物から導かれる疎水性を有する構 単位を含んでいるので、スルホン酸基を高 濃度で導入しても、メタノール耐性が高く 加工性に優れている。
<スルホン酸ユニット>
 本発明で使用されるポリアリーレンは、下 一般式(2)で表されるスルホン酸基を有する 造単位(スルホン酸ユニット)を含む。この うな構造単位を有するポリアリーレン系共 合体を、本明細書では、「スルホン化ポリ リーレン」と呼ぶこともある。

 一般式(A)において、Yは-CO-、-SO 2 -、-SO-、-CONH-、-COO-、-(CF 2 ) l -(lは1~10の整数である)、-C(CF 3 ) 2 -からなる群より選ばれた少なくとも1種の構 を示す。このうち、-CO-、-SO 2 -が好ましい。

 Zは直接結合または、-(CH 2 ) l -(lは1~10の整数である)、-C(CH 3 ) 2 -、-O-、-S-からなる群より選ばれた少なくと 1種の構造を示す。このうち直接結合、-O-が ましい。

 Arは-SO 3 Hまたは-O(CH 2 ) p SO 3 Hまたは-O(CF 2 ) p SO 3 Hで表される置換基(pは1~12の整数を示す)を有 る芳香族基を示す。

 芳香族基として具体的には、フェニル基、 フチル基、アントリル基、フェナントリル などが挙げられる。これらの基のうち、フ ニル基、ナフチル基が好ましい。-SO 3 Hまたは-O(CH 2 ) p SO 3 Hまたは-O(CF 2 ) p SO 3 Hで表される置換基(pは1~12の整数を示す)は、 なくとも1個置換されていることが必要であ り、ナフチル基である場合には2個以上置換 ていることが好ましい。

 jは0~10、好ましくは0~2の整数であり、kは0 ~10、好ましくは0~2の整数であり、iは1~4の整 を示す。

 j、kの値とY、Z、Arの構造についての好まし 組み合わせとして、
(1)j=0、k=0であり、Yは-CO-であり、Arが置換基 して-SO 3 Hを有するフェニル基である構造、
(2)j=1、k=0であり、Yは-CO-であり、Zは-O-であり 、Arが置換基として-SO 3 Hを有するフェニル基である構造、
(3)j=1、k=1、i=1であり、Yは-CO-であり、Zは-O-で あり、Arが置換基として-SO 3 Hを有するフェニル基である構造、
(4)j=1、k=0であり、Yは-CO-であり、Zは-O-であり 、Arが置換基として2個の-SO 3 Hを有するナフチル基である構造、
(5)j=1、k=0であり、Yは-CO-であり、Zは-O-であり 、Arが置換基として-O(CH 2 ) 4 SO 3 Hを有するフェニル基である構造などを挙げ ことができる。

 
<重合体>

 一般式(C)において、A、B、D、E、Y、Z、Ar、i k、j、l、m、n、o、p、qおよびR 1 ~R 28 は、それぞれ上記一般式(1)および(2)中のA、B D、E、Y、Z、Ar、i、k、j、l、m、n、o、p、qお びR 1 ~R 28 と同義である。x、yはx+y=100モル%とした場合 モル比を示す。

 本発明で用いられるスルホン酸基を有する リアリーレンは、式(2)で表される構造単位 なわちxのユニットを0.5~99.999モル%、好まし は10~99.9モル%の割合で、式(1)で表される構 単位すなわちyのユニットを99.5~0.001モル%、 ましくは90~0.1モル%の割合で含有している。
<ポリマーの製造方法>
 スルホン酸基を有するポリアリーレンの製 には、例えば下記に示すA法、B法、C法の3通 りの方法を用いることができる。

 (A法)例えば、特開2004-137444号公報に記載の 法で、上記一般式(2)で表される構造単位と りうるスルホン酸エステル基を有するモノ ーと、上記一般式(1)で表される構造単位と りうるモノマー、またはオリゴマーとを共 合させ、スルホン酸エステル基を有するポ アリーレンを製造し、このスルホン酸エス ル基を脱エステル化して、スルホン酸エス ル基をスルホン酸基に変換することにより 成することができる。
(B法)例えば、特開2001-342241号公報に記載の方 で、上記一般式(2)で表される骨格を有する ルホン酸基、スルホン酸エステル基を有し いモノマーと、上記一般式(1)で表される構 単位となりうるモノマー、またはオリゴマ とを共重合させ、この重合体を、スルホン 剤を用いて、スルホン化することにより合 することもできる。
(C法)一般式(2)において、Arが-O(CH 2 ) p SO 3 Hまたは-O(CF 2 ) p SO 3 Hで表される置換基を有する芳香族基である 合には、例えば、特開2005-60625号公報に記載 方法で、上記一般式(2)で表される構造単位 なりうる前駆体のモノマーと、上記一般式( 1)で表される構造単位となりうるモノマー、 たはオリゴマーとを共重合させ、次にアル ルスルホン酸またはフッ素置換されたアル ルスルホン酸を導入する方法で合成するこ もできる。
(A法)において用いることのできる、上記一般 式(2)で表される構造単位となりうるスルホン 酸エステル基を有するモノマーの具体的な例 として、特開2004-137444号公報、特開2004-346163 公報、特開2004-346163号公報に記載されている スルホン酸エステル類を挙げることができる 。
(B法)において用いることのできる、上記一般 式(2)で表される構造単位となりうるスルホン 酸基、またはスルホン酸エステル基を有しな いモノマーの具体的な例として、特開2001-3422 41号公報、特開2002-293889号公報に記載されて るジハロゲン化物を挙げることができる。
(C法)において用いることのできる、上記一般 式(2)で表される構造単位となりうる前駆体の モノマーの具体的な例として、特開2005-36125 公報に記載されているジハロゲン化物を挙 ることができる。

 スルホン酸基を有するポリアリーレンを るためは、まず、これらの、上記一般式(2) 表される構造単位となりうるモノマーと、 記一般式(1)で表される構造単位となりうる ノマー、またはオリゴマーとを共重合させ 前駆体のポリアリーレンを得ることが必要 ある。この共重合は、触媒の存在下に行わ るが、この際使用される触媒は、遷移金属 合物を含む触媒系であり、この触媒系とし は、(1)遷移金属塩および配位子となる化合 (以下、「配位子成分」という。)、または 位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む) 、ならびに(2)還元剤を必須成分とし、さらに 、重合速度を上げるために、「塩」を添加し てもよい。

 これらの触媒成分の具体的な例、各成分 使用割合、反応溶媒、濃度、温度、時間等 重合条件としては、特開2001-342241号公報に 載の化合物を挙げることができる。

 スルホン酸基を有するポリアリーレンは、 の前駆体のポリアリーレンを、スルホン酸 を有するポリアリーレンに変換して得るこ ができる。この方法としては、下記の3通り の方法がある。
(A法)前駆体のスルホン酸エステル基を有する ポリアリーレンを、特開2004-137444号公報に記 の方法で脱エステル化する方法。
(B法)前駆体のポリアリーレンを、特開2001-3422 41号公報に記載の方法でスルホン化する方法
(C法)前駆体のポリアリーレンに、特開2005-6062 5号公報に記載の方法で、アルキルスルホン 基を導入する方法。

 上記のような方法により製造される、一 式(2)のスルホン酸基を有するポリアリーレ のイオン交換容量は、通常0.3~5meq/g、好まし くは0.5~3meq/g、さらに好ましくは0.8~2.8meq/gで る。0.3meq/g未満では、プロトン伝導度が低く 発電性能が低い。一方、5meq/gを超えると、耐 水性が大幅に低下してしまうことがあるため 好ましくない。

 上記のイオン交換容量は、例えば一般式( 1)で表される構造単位となりうる前駆体のモ マーと、上記一般式(2)で表される構造単位 なりうるモノマー、またはオリゴマーの種 、使用割合、組み合わせを変えることによ 、調整することができる。

 このようにして得られるスルホン酸基を有 るポリアリーレンの分子量は、ゲルパーミ ションクロマトグラフィ(GPC)によるポリス レン換算重量平均分子量で、1万~100万、好ま しくは2万~80万である。
(ガラス転移点について)
 上記の方法で得られる重合体のガラス転移 は、フィルム状態では動的粘弾性測定装置 より測定される。ガラス転移点は、60℃~190 の範囲が好ましく、さらに好ましくは80℃~1 70℃である。この温度を上記の範囲に制御す ことで、電極との接合性温度が低減できる さらに、低温での接合処理により、接合時 スルホン酸の化学変化(脱離、脱水反応)を 制でき、発電評価で高い出力を得ることが きる。今回、上記の化学構造を重合体中に 供することによって、伝導膜のガラス転移 を目的の領域内で制御できる。

 本発明では、スルホン酸基を有するポリ リーレン系重合体を、溶剤に溶解して溶液 した後、基体上に流延してフィルム状に成 するキャスティング法などにより、フィル 状に成形することによりイオン交換樹脂膜 製造することができる。ここで、上記基体 しては、通常の溶液キャスティング法に用 られる基体であれば特に限定されず、たと ばプラスチック製、金属製などの基体が用 られ、好ましくは、ポリエチレンテレフタ ート(PET)フィルムなどの熱可塑性樹脂から る基体が用いられる。

 スルホン酸基を有するポリアリーレン系 合体を溶解する溶媒としては、たとえば、N -メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムア ド、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルアセト アミド、ジメチルスルホキシド、ジメチル尿 素、ジメチルイミダゾリジノンなどの非プロ トン系極性溶剤が挙げられ、特に溶解性、溶 液粘度の面から、N-メチル-2-ピロリドン(以下 「NMP」ともいう。)が好ましい。非プロトン 極性溶剤は、1種単独で、または2種以上を組 み合わせて用いることができる。

 また、スルホン酸基を有するポリアリー ン系重合体をキャストさせる溶媒として、 溶媒である上記非プロトン系極性溶剤と貧 媒であるアルコールとの混合物も用いるこ ができる。貧溶媒であるアルコールとして 、たとえば、メタノール、エタノール、プ ピルアルコール、iso-プロピルアルコール、 sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール などが挙げられ、特にメタノールが幅広い組 成範囲で溶液粘度を下げる効果があり好まし い。非プロトン系極性溶剤と組み合わせるア ルコールは、1種単独で、または2種以上を組 合わせて用いることができる。

 上記溶媒として、非プロトン系極性溶剤 アルコールとの混合物を用いる場合には、 プロトン系極性溶剤が95~25重量%、好ましく 90~25重量%、アルコールが5~75重量%、好まし は10~75重量%(但し、合計は100重量%)からなる アルコールの量が上記範囲内にあると、溶 粘度を下げる効果に優れる。

 スルホン酸基を有するポリアリーレン系 合体を溶解させた溶液のポリマー濃度は、 ルホン酸基を有するポリアリーレン系重合 の分子量にもよるが、通常、5~40重量%、好 しくは7~25重量%である。5重量%未満では、厚 化し難く、また、ピンホールが生成しやす 。一方、40重量%を超えると、溶液粘度が高 ぎてフィルム化し難く、また、表面平滑性 欠けることがある。

 なお、溶液粘度は、スルホン酸基を有す ポリアリーレン系重合体の分子量や、ポリ ー濃度にもよるが、通常、2,000~100,000mPa・s 好ましくは3,000~50,000mPa・sである。2,000mPa・s 満では、成膜中の溶液の滞留性が悪く、基 から流れてしまうことがある。一方、100,000 mPa・sを超えると、粘度が高過ぎて、ダイか の押し出しができず、流延法によるフィル 化が困難となることがある。

 上記のようにして成膜した後、得られた 乾燥フィルムを水に浸漬すると、未乾燥フ ルム中の有機溶剤を水と置換することがで 、得られるイオン交換樹脂膜の残留溶媒量 低減することができる。

 なお、成膜後、未乾燥フィルムを水に浸 する前に、未乾燥フィルムを予備乾燥して よい。予備乾燥は、未乾燥フィルムを通常5 0~150℃の温度で、0.1~10時間保持することによ 行われる。

 未乾燥フィルムを水に浸漬する際は、枚 を水に浸漬するバッチ方式であってもよく 通常得られる基板フィルム(たとえば、PET) に成膜された状態の積層フィルムのまま、 たは基板から分離した膜を水に浸漬させて 巻き取っていく連続方法でもよい。

 バッチ方式の場合は、処理フィルムを枠 はめるなどの方式が処理されたフィルムの 面の皺形成が抑制されるので好都合である

 未乾燥フィルムを水に浸漬する際には、 乾燥フィルム1重量部に対し、水が10重量部 上、好ましくは30重量部以上の接触比とな ようにすることがよい。得られるイオン交 樹脂膜の残存溶媒量をできるだけ少なくす ためには、できるだけ大きな接触比を維持 るのがよい。また、浸漬に使用する水を交 したり、オーバーフローさせたりして、常 水中の有機溶媒濃度を一定濃度以下に維持 ておくことも、得られるイオン交換樹脂膜 残存溶媒量の低減に有効である。イオン交 樹脂膜中に残存する有機溶媒量の面内分布 小さく抑えるためには、水中の有機溶媒濃 を撹拌等によって均質化させることは効果 ある。

 未乾燥フィルムを水に浸漬する際の水の 度は、好ましくは5~80℃の範囲である。高温 ほど、有機溶媒と水との置換速度は速くなる が、フィルムの吸水量も大きくなるので、乾 燥後に得られるイオン交換樹脂膜の表面状態 が荒れる懸念がある。通常、置換速度と取り 扱いやすさから10~60℃の温度範囲が好都合で る。

 浸漬時間は、初期の残存溶媒量や接触比 処理温度にもよるが、通常10分~240時間の範 である。好ましくは30分~100時間の範囲であ 。

 上記のように未乾燥フィルムを水に浸漬 た後乾燥すると、残存溶媒量が低減された オン交換樹脂膜が得られるが、このように て得られるイオン交換樹脂膜の残存溶媒量 、通常5重量%以下である。

 また、浸漬条件によっては、得られるイ ン交換樹脂膜の残存溶媒量を1重量%以下と ることができる。このような条件としては たとえば、未乾燥フィルムと水との接触比 、未乾燥フィルム1重量部に対し、水が50重 部以上、浸漬する際の水の温度を10~60℃、浸 漬時間を10分~10時間とする方法がある。

 上記のように未乾燥フィルムを水に浸漬 た後、フィルムを30~100℃、好ましくは50~80 で、10~180分、好ましくは15~60分乾燥し、次い で、50~150℃で、好ましくは500mmHg~0.1mmHgの減圧 下、0.5~24時間、真空乾燥することにより、イ オン交換樹脂膜を得ることができる。

 本発明の方法により得られるイオン交換 脂膜は、その乾燥膜厚が、通常10~100μm、好 しくは20~80μmである。

 また、本発明においては、上記スルホン エステル化されたポリアリーレン系重合体 加水分解することなく、上述したような方 でフィルム状に成形した後、上記と同様の 法で加水分解することによりスルホン酸基 有するポリアリーレン系重合体からなるイ ン交換樹脂膜を製造することもできる。

 本発明のイオン交換樹脂膜は、老化防止 、好ましくは分子量500以上のヒンダードフ ノール系化合物を含有してもよく、老化防 剤を含有することでイオン交換樹脂膜とし の耐久性をより向上させることができる。

 本発明で使用することのできる分子量500 上のヒンダードフェノール系化合物として 、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチ -5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ ート](商品名:IRGANOX 245)、1,6-ヘキサンジオー -ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニ )プロピオネート](商品名:IRGANOX 259)、2,4-ビ -(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブ チルアニリノ)-3,5-トリアジン(商品名:IRGANOX 5 65)、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ -t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ ト](商品名:IRGANOX 1010)、2,2-チオ-ジエチレン ス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル) ロピオネート](商品名:IRGANOX 1035)、オクタ シル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル )プロピオネート(商品名:IRGANOX 1076)、N,N-ヘキ サメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチルー4-ヒドロキ -ヒドロシンナマミド)(IRGAONOX 1098)、1,3,5-ト メチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4―ヒドロ キシベンジル)ベンゼン(商品名:IRGANOX 1330)、 リス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル) -イソシアヌレイト(商品名:IRGANOX 3114)、3,9-ビ ス[2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフ ニル)プロピオニルオキシ〕-1,1-ジメチルエ ル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカ (商品名:Sumilizer GA-80)などを挙げることがで きる。

 本発明において、スルホン酸基を有するポ アリーレン系重合体100重量部に対して分子 500以上のヒンダードフェノール系化合物は0 .01~10重量部の量で使用することが好ましい。
[膜-電極接合体]
 本発明の膜-電極接合体は、前記した芳香族 系イオン交換樹脂膜と、少なくとも触媒担持 カーボン及びイオン交換樹脂電解質とを含む 触媒層とガス拡散層を備えてなる。
〔触媒層〕
 膜-電極接合体を構成する触媒層は、少なく とも触媒を担持したカーボンとイオン交換樹 脂電解質とを含有する。
(1)触媒を担持したカーボン
 本発明で用いられる触媒としては、必須成 として白金を含む。また白金以外に、パラ ウム、金、ルテニウム、イリジウムなどの 金属を含んでいてよい。また、貴金属触媒 、合金や混合物などのように、2種以上の元 素が含まれるものであってもよい。

 上記触媒を担持するカーボンとしては、 子伝導性と比表面積の大きさの観点から、 イルファーネスブラック、チャネルブラッ 、ランプブラック、サーマルブラック、ア チレンブラックなどのカーボンブラックが ましい。

 上記オイルファーネスブラックとしては キャボット社製「バルカンXC-72」、「バル ンP」、「ブラックパールズ880」、「ブラッ パールズ1100」、「ブラックパールズ1300」 「ブラックパールズ2000」、「リーガル400」 ライオン社製「ケッチェンブラックEC」、 菱化学社製「#3150、#3250」などが挙げられる また、上記アセチレンブラックとしては、 気化学工業社製「デンカブラック」などが げられる。

 また、上記カーボンとして、天然の黒鉛 ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化 物から得られる人工黒鉛や炭素などを用い もよい。

 上記炭素材の形態としては、粒子状のほ 繊維状も用いることができる。

 上記カーボンに担持される触媒の量とし は、有効に触媒活性が発揮できる量であれ 特に制限されるものではないが、触媒担持 ーボン中の触媒含有率がで60~100重量%である ことが望ましく、80~95重量%であると更に好適 である。上記範囲より触媒含有率が大きい場 合は、有効に使われない触媒が増えるため、 効率の悪い電極になる。また上記より小さい 触媒含有率の場合は十分な触媒量のできない ため電池の性能が低くなる。これらのカーボ ンの形態としては、粒子状のほか、繊維状も 用いることができる。また、カーボンに担持 される触媒の量としては、有効に触媒活性が 発揮できる量であれば特に制限されるもので はないが、カソード側の触媒層の触媒担持率 は、50~90重量%が好ましく、60~90重量%がさらに 好ましく、65~90重量%が特に好ましい。また、 アノード側の触媒層の触媒担持率は、50~90重 %が好ましく、70~90重量%がさらに好ましく、 75~90重量%が特に好ましい。

 ここで、触媒担持率とは、下式で定義され 。
触媒担持率=触媒層に担持された触媒重量í( 媒層に担持された触媒重量+カーボンに担持 れた触媒重量)
(2)イオン交換樹脂電解質
 イオン交換樹脂電解質は、前記触媒を担持 たカーボンを結着させるバインダー成分と て働くとともに、燃料極では触媒上の反応 よって発生したイオンをイオン伝導膜へ効 的に供給し、また、空気極ではイオン伝導 から供給されたイオンを触媒へ効率的に供 する。

 本発明で用いられる触媒層のイオン交換 脂としては、触媒層内のプロトン伝導性を 上させるためにプロトン交換基を有するポ マーが好ましい。このようなポリマーに含 れるプロトン交換基としては、スルホン酸 、カルボン酸基、リン酸基などがあるが特 限定されるものではない。また、このよう プロトン交換基を有するポリマーも、特に 定されることなく選ばれるが、フルオロア キルエーテル側鎖とフルオロアルキル主鎖 から構成されるプロトン交換基を有するポ マーや、スルホン化ポリアリーレンなどが ましく用いられる。また、プロトン交換基 有する上述のフッ素原子を含むポリマーや エチレンやスチレンなどから得られる他の リマー、これらの共重合体やブレンドであ ても構わない。

 このようなイオン交換樹脂電解質は、公知 ものを特に制限なく使用可能であり、たと ばNafion(du Pont社、登録商標)、特開2007-26820 報に開示されたものを特に制限なく使用で る。また、前記した芳香族イオン交換樹脂 で使用したイオン交換樹脂を使用してもよ 。
触媒層組成
 本発明において、触媒粒子の使用割合は、 量比で1重量%~20重量%、好ましくは3重量%~10 量%であり、イオン交換樹脂の使用割合は、 量比で1重量%~30重量%、好ましくは1重量%~15 量%であり、必要に応じて用いられるイオン 換基を有しない樹脂の使用割合は、重量比 1重量%~95重量%、好ましくは30重量%~80重量%で あり、必要に応じて用いられる分散剤の使用 割合は、重量比で0重量%~10重量%、好ましくは 0重量%~2重量%であり、必要に応じて用いられ 炭素繊維の使用割合は、重量比で0重量%~20 量%、好ましくは1重量%~10重量%である。

 基材上に形成される触媒層は、カソード側 あれば、触媒層に含まれる白金触媒量(触媒 層における白金触媒の塗布量ともいう。)が 0.7mg/cm 2 ~6.0mg/cm 2 であることが好ましく、さらに好ましくは1.0 mg/cm 2 ~4.0mg/cm 2 であり、かつ触媒層の厚みが5μm~100μmである とが好ましく、さらに好ましくは20μm~80μm あり、特に好ましくは30μm~80μmである。アノ ード側であれば、触媒層に含まれる白金触媒 量が、0.7mg/cm 2 ~8.0mg/cm 2 であることが好ましく、さらに好ましくは1.0 mg/cm 2 ~5.0mg/cm 2 であり、かつ触媒層の厚みが5μm~150μmである とが好ましく、さらに好ましく20μm~100μmで り、特に好ましくは30μm~80μmである。

 触媒層に含まれる白金触媒量が上記範囲 満であると、カソード側、アノード側共に 料であるメタノールのプロトン化反応量が なくなり発電性能が低下する。触媒層に含 れる白金触媒量が上記範囲以上であると、 応に使用されない白金触媒が多くなりすが アノード側であれば、燃料であるメタノー 水溶液の透過性、アノード触媒で生成され 二酸化炭素の排出性が低下し、カソード側 あれば、空気(酸素)の透過性、排水性が低 し、発電性能が低下することがある。

 このような触媒層は、以下に示す触媒ペー トを使用して作製することができる。
触媒ペースト
 イオン交換樹脂および触媒担持カーボンと ては、上記したものである。

 通常ペーストを作製するときには、必要に じて以下の成分が使用される。
(3) 分散剤
 本発明で用いられる触媒ペースト組成物に 、必要に応じてさらに分散剤を添加しても い。このような分散剤としては、アニオン 面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面 性剤、非イオン界面活性剤などを挙げるこ ができる。

 上記アニオン界面活性剤としては、たと ば、オレイン酸・N-メチルタウリン、オレ ン酸カリウム・ジエタノールアミン塩、ア キルエーテルサルフェート・トリエタノー アミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエ テルサルフェート・トリエタノールアミン 、特殊変成ポリエーテルエステル酸のアミ 塩、高級脂肪酸誘導体のアミン塩、特殊変 ポリエステル酸のアミン塩、高分子量ポリ ーテルエステル酸のアミン塩、特殊変成燐 エステルのアミン塩、高分子量ポリエステ 酸アミドアミン塩、特殊脂肪酸誘導体のア ドアミン塩、高級脂肪酸のアルキルアミン 、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン 、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナ リウム、オレイン酸ナトリウムラウリル硫 エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステ ナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナ リウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウ 塩、ラウリルエーテル硫酸エステル塩、ア キルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶 アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフ ンスルホン酸塩、高級アルコールリン酸モ エステルジナトリウム塩、高級アルコール ン酸ジエステルジナトリウム塩、ジアルキ ジチオリン酸亜鉛などが挙げられる。

 上記カチオン界面活性剤としては、たと ば、ベンジルジメチル{2-[2-(P-1,1,3,3-テトラ チルブチルフェノオキシ)エトキシ]エチル} ンモニウムクロライド、オクタデシルアミ 酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、オク デシルトリメチルアンモニウムクロライド 牛脂トリメチルアンモニウムクロライド、 デシルトリメチルアンモニウムクロライド ヤシトリメチルアンモニウムクロライド、 キサデシルトリメチルアンモニウムクロラ ド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロ イド、ヤシジメチルベンジルアンモニウム ロライド、テトラデシルジメチルベンジル ンモニウムクロライド、オクタデシルジメ ルベンジルアンモニウムクロライド、ジオ イルジメチルアンモニウムクロライド、1-ヒ ドロキシエチル-2-牛脂イミダゾリン4級塩、2- ヘプタデセニル-ヒドロキシエチルイミダゾ ン、ステアラミドエチルジエチルアミン酢 塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩 塩、トリエタノールアミンモノステアレー ギ酸塩、アルキルピリジウム塩、高級アル ルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリ クリルアミドアミン塩、変成ポリアクリル ミドアミン塩、パーフルオロアルキル第4級 ンモニウムヨウ化物などが挙げられる。

 上記両性界面活性剤としては、たとえば ジメチルヤシベタイン、ジメチルラウリル タイン、ラウリルアミノエチルグリシンナ リウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナト ウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウ ルジヒドロキシエチルベタイン、アミドベ イン、イミダゾリニウムベタイン、レシチ 、3-[ω-フルオロアクカノイルーN-エチルア ノ]-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、N-[3-( ーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピ ル]-N,N-ジメチル-N-カルボキシメチレンアンモ ニウムベタインなどが挙げられる。

 上記非イオン界面活性剤としては、たと ば、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型) ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、牛脂 肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、牛脂肪酸ジ タノールアミド(1:1型)、オレイン酸ジエタ ールアミド(1:1型)、ヒドロキシエチルラウリ ルアミン、ポリエチレングリコールラウリル アミン、ポリエチレングリコールヤシアミン 、ポリエチレングリコールステアリルアミン 、ポリエチレングリコール牛脂アミン、ポリ エチレングリコール牛脂プロピレンジアミン 、ポリエチレングリコールジオレイルアミン 、ジメチルラウリルアミンオキサイド、ジメ チルステアリルアミンオキサイド、ジヒドロ キシエチルラウリルアミンオキサイド、パー フルオロアルキルアミンオキサイド、ポリビ ニルピロリドン、高級アルコールエチレンオ キサイド付加物、アルキルフェノールエチレ ンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサ イド付加物、ポリプロピレングリコールエチ レンオキサイド付加物、グリセリンの脂肪酸 エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エス テル、ソルビットの脂肪酸エステル、ソルビ タンの脂肪酸エステル、砂糖の脂肪酸エステ ルなどが挙げられる。

 上記分散剤は、1種単独で用いても2種以上 組み合わせて用いてもよい。これらの中で 、好ましくは塩基性基を有する界面活性剤 あり、より好ましくはアニオン性もしくは チオン性の界面活性剤であり、さらに好ま くは分子量5千~3万の界面活性剤である。電 用ペースト組成物に上記分散剤を添加する 、保存安定性および流動性に優れ、塗工時 生産性が向上する。
(4) 炭素繊維
 本発明で用いられる電極ペースト組成物に 、必要に応じてさらに炭素繊維を添加して よい。このような炭素繊維しては、レーヨ 系炭素繊維、PAN系炭素繊維、リグニンポバ 系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長 素繊維などを用いることができ、これらの では気相成長炭素繊維が好ましい。

 触媒ペースト組成物にこのような炭素繊維 さらに添加すると、触媒層中の細孔容積が 加するため、燃料ガスや酸素ガスの拡散性 向上し、また、生成する水によるフラッデ ングなどを改善でき、発電性能が向上する
(5) 水
 本発明で用いられる触媒ペースト組成物に 、必要に応じてさらに水を添加してもよい 水を添加することにより、触媒ペースト組 物を調製する際の発熱を低減する効果があ 。
(6) イオン交換基を有しない樹脂
 本発明で用いられる電極ペースト組成物に 、必要に応じてさらにイオン交換基を有し い樹脂を用いてもよい。前記有機溶媒に溶 、もしくは分散するものであれば特に限定 れないが、撥水性の高い樹脂であることが ましい。例えば含フッ素共重合体、シラン ップリング剤、シリコーン樹脂、ワックス ポリホスファゼンなどを挙げることができ が、好ましくは含フッ素共重合体である。

 含フッ素共重合体としては、前記有機溶媒 溶解、あるいは分散しするものであれば特 限定されないが、例えばフッ化ビニリデン の共重合体、分子内に脂肪族環構造を有す パーフルオロカーボン重合体、含フッ素オ フィオンと炭化水素系オレフィンとの共重 体、含フッ素アクリレートとアクリレート たは/およびメタクリレートとの共重合体な どを挙げることができる。これらのイオン交 換基を有しない樹脂を用いることで、触媒層 中の湿潤状態を適切に維持できるため好まし い。
(7) 有機溶媒
 本発明で用いられる溶媒としては、エタノ ル、n-プロピルアルコール、2-プロパノール 、2-メチル-2-プロパノール、2-ブタノール、n- ブチルアルコール、2-メチル-1-プロパノール 1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタ ール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブ タノール、2-メチル-2-ブタノール、3-メチル-2 -ブタノール、2,2-ジメチル1-プロパノール、 クロヘキサノール、1-ヘキサノール、2-メチ -1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール 4-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノ ル、1-メチルシクロヘキサノール、2-メチル シクロヘキサノール、3-メチルシクロヘキサ ール、4-メチルシクロヘキサノール、1-オク タノール、2-オクタノール、2-エチル-1-ヘキ ノール、ジオキサン、ブチルエーテル、フ ニルエーテル、イソペンチルエーテル、1,2- メトキシエタン、ジエトキシエタン、ビス( 2-メトキシエチル)エーテル、ビス(2-エトキシ エチル)エーテル、シネオール、ベンジルエ ルエーテル、アニソール、フェネトール、 セタール、メチルエチルケトン、2-ペンタノ ン、3-ペンタノン、シクロペンタノン、シク ヘキサノン、2-ヘキサノン、4-メチル-2-ペン タノン、2-ヘプタノン、2,4-ジメチル-3-ペンタ ノン、2-オクタノン、γーブチロラクトン、 酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチ 、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3-メ キシブチルアセタート、酪酸メチル、酪酸 チル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチ 、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノ ル、2-(メトキシメトキシ)エタノール、2-イ プロポキシエタノール、1-メトキシ-2-プロ ノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジメチ ルスルホキシド、N-メチルホルムアミド、N,N- ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルム ミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2 -ピロリドン、テトラメチル尿素、トルエン キシレン、ヘプタン、オクタンなど炭化水 系有機溶媒、エチレングリコール、プロピ ングリコール、グリセロールなどの多価ア コール系有機溶媒などを挙げることができ これらは1種類以上を組み合わせて用いるこ もできる。好ましくは、沸点が75~250℃、か -O-、-OH、-CO-、-SO-、-SO 2 -、-COO-、-CONR-(Rは、水素原子、炭化水素基)か らなる基を少なくとも1種類以上有する有機 剤を含有することである。これらの範囲内 あると、触媒ペーストの流動性、および塗 性が優れる。
触媒ペースト組成
 ペースト中の、触媒担持カーボンの使用割 は、重量比で1重量%~20重量%、好ましくは3重 量%~10重量%であり、電解質の使用割合は、重 比で1重量%~30重量%、好ましくは1重量%~15重 %であり、沸点が100℃~200℃の有機溶剤の使用 割合は、重量比で1重量%~90重量%、好ましくは 1重量%~50重量%であり、沸点が100℃未満の水溶 性有機溶剤の使用割合は、重量比で1重量%~95 量%、好ましくは30重量%~80重量%であり、必 に応じて用いられる分散剤の使用割合は、 量比で0重量%~10重量%、好ましくは0重量%~2重 %であり、必要に応じて用いられる炭素繊維 の使用割合は、重量比で0重量%~20重量%、好ま しくは1重量%~10重量%であり、必要に応じて用 いられる水の使用割合は重量比で0重量%~70重 %、好ましくは、5重量%~30重量%である。

 水素還元触媒が担持されたカーボンブラ クの使用割合が、上記範囲未満であると、 極反応率が低下する。また、上記範囲より きいと、電極ペーストの粘度が増加し、塗 時に塗りむらが発生する。

 電解質の使用割合が、上記範囲未満であ と、プロトン伝導度が低下する。さらに、 インダーとしての役割を果たせなくなり、 極を形成できない。また、上記範囲より大 いと、電極中の細孔容積が減少する。

 沸点が100℃~200℃の有機溶剤の使用割合が 、上記範囲内にあると電極中の細孔容積が増 加する。

 沸点が100℃未満の水溶性有機溶剤の使用 合が、上記範囲内にあると電極形成時の塗 性に優れる。分散剤の使用割合が、上記範 内にあると保存安定性に優れた電極ペース が得られる。

 炭素繊維の使用割合が、上記範囲未満であ と、電極中の細孔容積の増加効果が低い。 た、上記範囲より大きいと、電極反応率が 下する。水の使用割合が、上記範囲内にあ と電極ペースト作製時の発熱および発火の 険性を低減できる。
触媒ペースト組成物の調製
 触媒ペースト組成物は、たとえば、上記各 分を所定の割合で混合し、従来公知の方法 混練することにより調製することができる 各成分の混合順序は特に限定されないが、 とえば、全ての成分を混合して一定時間攪 を行うか、分散剤以外の成分を混合して一 時間攪拌を行った後、必要に応じて分散剤 添加して一定時間攪拌を行うことが好まし 。また、必要に応じて、有機溶媒の量を調 して、組成物の粘度を調整してもよい。
触媒層の形成
 本発明に係る膜-電極接合体の触媒層は、上 記電極ペースト組成物をイオン交換樹脂膜上 に直接塗布し、乾燥することにより形成する 方法、または上記電極ペースト組成物を多孔 性基材あるいは微多孔層が形成された多孔性 基材の微多孔層面上に塗布し、乾燥すること により形成することができる。

 電極ペースト組成物の塗布方法、刷毛塗 、筆塗り、バーコーター塗布、ナイフコー ー塗布、ドクターブレード法、スクリーン 刷、スプレー塗布などが挙げられる。

 基材上に形成された塗膜の溶媒の除去は 温度30℃~200℃、好ましくは40℃~180℃、時間1 分~250分、好ましくは5分~120分、乾燥して行う ことができる。

 [ガス拡散層]
 ガス拡散層は、多孔性基材から構成される 芳香族系イオン交換樹脂膜の少なくとも片 のガス拡散層は、該多孔性基材と前記触媒 との間に撥水剤及び炭素粉末からなる微多 層を備えることが好ましい。特に、撥水剤 び炭素粉末からなる微多孔層を備えること 好ましい。より好ましくは、芳香族系イオ 交換樹脂膜の少なくとも片側のガス拡散層 撥水剤コート多孔性基材を備え、かつ多孔 基材と触媒層の間に撥水剤及び炭素粉末か なる微多孔層を備えることである。

 さらに好ましくは、前記膜-電極接合体で 、芳香族系イオン交換樹脂膜のカソード側の ガス拡散層が撥水剤コート多孔性基材を備え 、かつ多孔性基材と触媒層の間に撥水剤及び 炭素粉末からなる微多孔層を備えることであ る。

 ガス拡散層が多孔性基材と触媒層の間に 水剤及び炭素粉末からなる微多孔層を備え と、触媒層とガス拡散層の接触面積が向上 、界面抵抗の低下するため好ましく、さら 、触媒層とガス拡散層をプレスにより接合 る場合には、平滑性に優れる微多孔層の導 により、触媒層の破損などが抑制され、ガ 拡散層上に触媒ペーストを塗布して触媒層 形成させる場合には、触媒ペーストの多孔 基材への染み込みによる触媒層の触媒利用 の低下を抑制することができるため好まし 。また、カソード側の触媒層には、発電性 向上のため、排水性とプロトン伝導に必要 保水性のバランスを良好にすることが重要 あり、カソードガス拡散層に微多孔層を備 ることでこの排水性と保水性のバランスを 整できるため、カソードガス拡散層に微多 層を形成することは特に好ましい。

 ガス拡散層が撥水剤コート多孔性基材を えると、アノード側であれば、燃料である タノール水溶液の透過性が向上し、カソー 側であれば、排水性が向上し、発電性能が 上する傾向にあるため好ましい。

 また、本発明に係わる膜-電極接合体におい ては、アノード側のガス拡散層の透湿度が800 g/m 2 /h ~3000g/m 2 /hであることが好ましく、より好ましくは、1 000g/m 2 /h ~ 3000g/m 2 /hである。カソード側のガス拡散層の透湿度 500g/m 2 /h ~ 2500g/m 2 /hであることが好ましく、より好ましくは、8 00g/m 2 /h ~ 2500g/m 2 /hである。透湿度は、図1の装置、材料、及び 形態の酢酸カリウム法により、23℃の環境下 測定したときの値である。

 上記ガス拡散層の透湿度は、多孔性基材 細孔径と多孔度、多孔性基材への撥水剤コ ト量、微多孔層の組成、塗布量により調整 ることができる。

 アノード側の透湿度が上記範囲未満であ と、燃料であるメタノール水溶液の供給、 びアノード触媒層で発生する二酸化炭素の 出が十分に行われないため、発電性能が低 する。一方、上記範囲を超えると、燃料で るメタノール水溶液の供給が過剰となり、 タノール水溶液が反応しきれず、カソード 媒層までメタノール水溶液が到達する現象 あるメタノールクロスオーバー量が増加し 発電性能が低下することがある。

 カソード側の透湿度が上記範囲未満であ と、空気(酸素)の供給、および水の排出が 分に行われないため、発電性能が低下する 一方、上記範囲を超えると、カソード触媒 に水分が十分に保持できなくなり、プロト 伝導性が低下して発電性能が低下すること ある。

 以下に、ガス拡散層の構成部材である多孔 基材、及び微多孔層について、詳細に説明 る。
多孔性基材
 (1)  多孔性基材
 本発明で用いられる多孔性基材としては、 料電池に一般に用いられる多孔性基材、た えば、導電性物質を主たる構成材とする多 質導電シートなどを、特に限定されること く用いることができる。

 上記導電性物質としては、ポリアクリロ トリルからの焼成体、ピッチからの焼成体 黒鉛および膨張黒鉛などの炭素材、ステン ススチール、モリブデン、チタンなどが挙 られる。上記導電性物質の形態は、繊維状 たは粒子状など特に限定されないが、好ま くは繊維状導電性無機物質(無機導電性繊維 )、特に好ましくは炭素繊維である。

 無機導電性繊維を用いた多孔質導電シー としては、織布または不織布いずれの構造 使用可能である。織布としては、平織、斜 織、朱子織、紋織、綴織など特に限定され ことなく用いることができる。また、不織 としては、抄紙法、ニードルパンチ法、ス ンボンド法、ウォータージェットパンチ法 メルトブロー法などの方法で製造されたも が、特に限定されることなく用いることが きる。また、無機導電性繊維を用いた多孔 導電シートは編物であってもよい。

 このような布帛として特に炭素繊維を用い 場合、耐炎化紡績糸を用いた平織物を炭化 たは黒鉛化した織布、耐炎化糸をニードル ンチ法やウォータージェットパンチ法など よる不織布加工をした後に炭化または黒鉛 した不織布、耐炎化糸、炭化糸または黒鉛 糸を用いた抄紙法によるマット不織布など 好ましい。たとえば、東レ製カーボンペー ー「TGPシリーズ」、「SOシリーズ」、E-TEK社 製カーボンクロス、SGL社製カーボンペーパー 及びカーボンフェルトなどが好ましく用いら れる。
(2)  撥水剤コート多孔性基材
 本発明で用いられる撥水剤コート多孔性基 は、前記撥水剤を水中に分散させたディス ージョン、または有機溶媒に溶解させた撥 剤溶解液を用いて、後述の方法で撥水剤コ トして撥水剤以外の成分(溶媒、分散剤など )を乾燥、加熱分解することで作製すること できる。撥水剤コート法としては、組成物 粘性によってディップコーティング法、ス リーンプリンティング法、スプレーコーテ ング法またはドクターブレードを利用した ーティング法、グラビアコーティング法、 ルクスクリーン法、ペインティング法など 用いられるが、これに限られるものではな 。この中で、ディップコーティング法が好 しい。ディップコーティング法の場合、撥 剤コート量は、ディスパージョン、または 水剤溶解液の濃度により調整することがで る。

 多孔性基材への撥水剤コート量は、撥水 コート多孔性基材に対する撥水剤の重量比 1重量% ~ 50重量%であることが好ましい。好 ましくは、2重量%~30 重量%、より好ましくは 2重量%~20 重量%である。

 多孔性基材への撥水剤コート量が上記範 内であると、メタノール水溶液、排水性が 好となり、発電特性が向上するため好まし 。また、微多孔層形成用ペーストを撥水剤 ート多孔性基材へ塗布した際の微多孔層形 用ペーストの多孔性基材への染み込みによ 多孔性基材の細孔閉塞を抑制し、メタノー 水溶液、水、ガスの拡散経路を確保できる め、発電特性が向上するため好ましい。

 本発明で多孔性基材への撥水剤コートに いられる撥水剤としては、ポリテトラフル ロエチレン、ポリパーフルオロアルキルビ ルエーテル、ポリパーフルオロスルホニル ロライド、アルコキシビニルエーテル、シ ンカップリング剤、シリコーン樹脂、ワッ ス、ポリホスファゼン、分子内に脂肪族環 造を有するパーフルオロカーボン重合体、 フッ素オレフィオンと炭化水素系オレフィ との共重合体、含フッ素アクリレートとア リレートまたは/およびメタクリレートとの 共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポ リクロロトリフルオロエチレン、ポリヘキサ フルオロプロピレン、テトラフルオロエチレ ン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共 合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフル ロプロピレン共重合体、テトラフルオロエ レン-エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリ デン-ヘキサフルオロプロパンなど、または れらのコポリマーを用いることができる。 の中で、撥水性の持続性および使用上の取 扱いやすさから、ポリテトラフルオロエチ ン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオ プロピレン共重合体が好ましい。

 前記撥水剤は、使用上の取り扱いやすさか 、有機溶媒に溶解した状態、または水に分 させた状態で用いることが好ましい。
[微多孔層]
 微多孔層は、撥水剤及び炭素粉末からなる 微多孔層組成は、炭素粉末及び撥水剤が、3 0~90:70~10の重量比に存在することが好ましく 40~60:60~40の重量比に存在することがさらに好 ましい。前記炭素粉末の含量が30%重量より少 ない場合には、微多孔層内に微細気孔を形成 しにくくて反応物の拡散が容易に行われない 。炭素粉末の含量が90%重量を超える場合には 、炭素粉末の脱落が起こる可能性があって好 ましくない。

 本発明で用いられる微多孔層の塗布量は、0 .5mg/cm 2 ~15mg/cm 2 であることが好ましく、0.5mg/cm 2 ~10mg/cm 2 に存在することがさらに好ましい。塗布量が 上記範囲未満であると、多孔性基材の影響を 受け、微多孔層の平滑性が十分でなく、微多 孔層形成の効果が得られない。一方、塗布量 が上記範囲を超えると、アノード側であれば 、燃料であるメタノール水溶液の透過性、ア ノード触媒で生成された二酸化炭素の排出性 が低下し、カソード側であれば、空気(酸素) 透過性、排水性が低下し、発電性能が低下 ることがある。

 このような微多孔層は、以下に示す微多孔 形成用ペーストを用いて形成される。
微多孔層形成用ペースト
 以下、本発明で使用される微多孔層形成用 ーストについて詳細に説明する。
(1)炭素粉末
 本発明で用いられる炭素粉末としては、触 が担持されていないものであり、たとえば カーボン粉、カーボン繊維、フラーレン、 ーボンナノチューブ、カーボンナノファイ ー、および、表面を炭素膜で被覆した炭化 イ素ウイスカーなどが挙げられる。これら 、1種単独で用いても、2種以上を混合して いてもよい。

 上記カーボン粉としては、電子伝導性と 表面積の大きさの観点から、オイルファー スブラック、チャネルブラック、ランプブ ック、サーマルブラック、アセチレンブラ クなどのカーボンブラックが好ましい。

 上記オイルファーネスブラックとしては キャボット社製「バルカンXC-72」、「バル ンP」、「ブラックパールズ880」、「ブラッ パールズ1100」、「ブラックパールズ1300」 「ブラックパールズ2000」、「リーガル400」 ライオン社製「ケッチェンブラックEC」、 菱化学社製「#3150、#3250」などが挙げられる また、上記アセチレンブラックとしては、 気化学工業社製「デンカブラック」などが げられる。

 上記カーボン繊維としては、レーヨン系炭 繊維、PAN系炭素繊維、リグニンポバー系炭 繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊 などを用いることができ、これらの中では 相成長炭素繊維が好ましい。
(2)撥水剤
 前記微多孔層形成用ペーストには撥水剤が まれていてもよい。撥水剤としては、ポリ トラフルオロエチレン、ポリパーフルオロ ルキルビニルエーテル、ポリパーフルオロ ルホニルフロライド、アルコキシビニルエ テル、シランカップリング剤、シリコーン 脂、ワックス、ポリホスファゼン、分子内 脂肪族環構造を有するパーフルオロカーボ 重合体、含フッ素オレフィオンと炭化水素 オレフィンとの共重合体、含フッ素アクリ ートとアクリレートまたは/およびメタクリ レートとの共重合体、ポリビニリデンフルオ ライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、 ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフル オロエチレン-パーフルオロアルキルビニル ーテル共重合体、テトラフルオロエチレン- キサフルオロプロピレン共重合体、テトラ ルオロエチレン-エチレン共重合体、ポリフ ッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロパンな 、またはこれらのコポリマーを用いること できる。この中で、撥水性の持続性および 用上の取り扱いやすさから、ポリテトラフ オロエチレン、テトラフルオロエチレン-ヘ サフルオロプロピレン共重合体が好ましい

 前記撥水剤は、使用上の取り扱いやすさか 、有機溶媒に溶解した状態、または水に分 させた状態で用いることが好ましい。
(3)分散剤
 本発明で用いられる微多孔層形成用ペース には、必要に応じてさらに分散剤を添加し もよい。このような分散剤としては、アニ ン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性 面活性剤、非イオン界面活性剤などを挙げ ことができる。

 上記アニオン界面活性剤としては、たと ば、オレイン酸・N-メチルタウリン、オレ ン酸カリウム・ジエタノールアミン塩、ア キルエーテルサルフェート・トリエタノー アミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエ テルサルフェート・トリエタノールアミン 、特殊変成ポリエーテルエステル酸のアミ 塩、高級脂肪酸誘導体のアミン塩、特殊変 ポリエステル酸のアミン塩、高分子量ポリ ーテルエステル酸のアミン塩、特殊変成燐 エステルのアミン塩、高分子量ポリエステ 酸アミドアミン塩、特殊脂肪酸誘導体のア ドアミン塩、高級脂肪酸のアルキルアミン 、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン 、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナ リウム、オレイン酸ナトリウムラウリル硫 エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステ ナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナ リウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウ 塩、ラウリルエーテル硫酸エステル塩、ア キルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶 アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフ ンスルホン酸塩、高級アルコールリン酸モ エステルジナトリウム塩、高級アルコール ン酸ジエステルジナトリウム塩、ジアルキ ジチオリン酸亜鉛などが挙げられる。

 上記カチオン界面活性剤としては、たと ば、ベンジルジメチル{2-[2-(P-1,1,3,3-テトラ チルブチルフェノオキシ)エトキシ]エチル} ンモニウムクロライド、オクタデシルアミ 酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、オク デシルトリメチルアンモニウムクロライド 牛脂トリメチルアンモニウムクロライド、 デシルトリメチルアンモニウムクロライド ヤシトリメチルアンモニウムクロライド、 キサデシルトリメチルアンモニウムクロラ ド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロ イド、ヤシジメチルベンジルアンモニウム ロライド、テトラデシルジメチルベンジル ンモニウムクロライド、オクタデシルジメ ルベンジルアンモニウムクロライド、ジオ イルジメチルアンモニウムクロライド、1-ヒ ドロキシエチル-2-牛脂イミダゾリン4級塩、2- ヘプタデセニル-ヒドロキシエチルイミダゾ ン、ステアラミドエチルジエチルアミン酢 塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩 塩、トリエタノールアミンモノステアレー ギ酸塩、アルキルピリジウム塩、高級アル ルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリ クリルアミドアミン塩、変成ポリアクリル ミドアミン塩、パーフルオロアルキル第4級 ンモニウムヨウ化物などが挙げられる。

 上記両性界面活性剤としては、たとえば ジメチルヤシベタイン、ジメチルラウリル タイン、ラウリルアミノエチルグリシンナ リウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナト ウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウ ルジヒドロキシエチルベタイン、アミドベ イン、イミダゾリニウムベタイン、レシチ 、3-[ω-フルオロアクカノイルーN-エチルア ノ]-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、N-[3-( ーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピ ル]-N,N-ジメチル-N-カルボキシメチレンアンモ ニウムベタインなどが挙げられる。

 上記非イオン界面活性剤としては、たと ば、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型) ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、牛脂 肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、牛脂肪酸ジ タノールアミド(1:1型)、オレイン酸ジエタ ールアミド(1:1型)、ヒドロキシエチルラウリ ルアミン、ポリエチレングリコールラウリル アミン、ポリエチレングリコールヤシアミン 、ポリエチレングリコールステアリルアミン 、ポリエチレングリコール牛脂アミン、ポリ エチレングリコール牛脂プロピレンジアミン 、ポリエチレングリコールジオレイルアミン 、ジメチルラウリルアミンオキサイド、ジメ チルステアリルアミンオキサイド、ジヒドロ キシエチルラウリルアミンオキサイド、パー フルオロアルキルアミンオキサイド、ポリビ ニルピロリドン、高級アルコールエチレンオ キサイド付加物、アルキルフェノールエチレ ンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサ イド付加物、ポリプロピレングリコールエチ レンオキサイド付加物、グリセリンの脂肪酸 エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エス テル、ソルビットの脂肪酸エステル、ソルビ タンの脂肪酸エステル、砂糖の脂肪酸エステ ルなどが挙げられる。

 上記分散剤は、1種単独で用いても2種以 を組み合わせて用いてもよい。

 これらの中では、好ましくはアルキルフェ ールエチレンオキサイド付加物である。微 孔層形成用ペーストに上記分散剤を添加す と、保存安定性および流動性に優れ、塗工 の生産性が向上する。
(4)溶媒
 本発明で用いられる微多孔層形成用ペース の溶媒は、特に限定されないが、水、メタ ール、エタノール、n-プロピルアルコール 2-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、2 -ブタノール、イソブチルアルコールなどの ルコール類;フラン、テトラヒドロフラン、 トラヒドロピラン、1、2-ジメトキシエタン どのエーテル類;アセトン、メチルエチルケ トン、メチルイソブチルケトン、γ-ブチロラ クトンなどのケトン類;ジメチルスルホキシ 、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホル アミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメ チルアセトアミド、N-メチル-2-ピロロドンな が挙げられる。

 上記溶媒は、1種単独で用いても2種以上を み合わせて用いてもよい。
微多孔層形成用ペースト組成
 本発明において、ペースト中の炭素粉末の 用割合は、重量比で0.3重量%~50重量%、好ま くは1.0重量%~30重量%であり、撥水剤の使用割 合は、重量比で0.05重量%~40重量%、好ましくは 1.0重量%~15重量%であり、溶媒の使用割合は、 量比で50重量%~97重量%、好ましくは60重量%~90 重量%であり、必要に応じて用いられる分散 の使用割合は、重量比で0重量%~45重量%、好 しくは0重量%~20重量%である。

 炭素粉末の使用割合が、上記範囲未満で ると、微多孔層内に微細気孔を形成しにく て反応物の拡散が容易に行われない。また 上記範囲より大きいと、炭素粉末の脱落が こる可能性がある。

 撥水剤の使用割合が、上記範囲未満であ と、炭素粉末の脱落が起こる可能性があっ 好ましくない。また、撥水性が不十分とな 、メタノール水、水の拡散性が低下して発 特性が低下することがあり、また、上記範 より大きいと、微多孔層内に微細気孔を形 しにくくて反応物の拡散が容易に行われな こともある。

 溶媒の使用割合が、上記範囲内にあると 多孔層形成時の塗工性に優れる。

 分散剤の使用割合が、上記範囲内にあると 動性および保存安定性に優れた微多孔層形 用ペーストが得られる。
微多孔層形成用ペースト組成物の 調製
 本発明で用いられる微多孔層形成用ペース 組成物は、たとえば、上記各成分を所定の 合で混合し、従来公知の方法で混練するこ により調製することができる。各成分の混 順序は特に限定されないが、たとえば、全 の成分を混合して一定時間攪拌を行うか、 散剤以外の成分を混合して一定時間攪拌を った後、必要に応じて分散剤を添加して一 時間攪拌を行うことが好ましい。また、必 に応じて、有機溶媒の量を調整して、組成 の粘度を調整してもよい。
微多孔層の形成
 本発明で用いられる微多孔層の形成方法と ては、撥水剤コート多孔性基材又は触媒層 に、前記ペーストを直接塗布後乾燥するこ により形成することが可能であり、他の転 基材上に微多孔層形成用ペーストを塗布後 燥して微多孔層を形成し、撥水剤コート多 性基材又は触媒層上にホットプレスで転写 てもよい。また上記微多孔層を数回に分け 積層することにより形成してもよい。

 微多孔層形成用ペーストの塗布方法、刷 塗り、筆塗り、バーコーター塗布、ナイフ ーター塗布、ドクターブレード法、スクリ ン印刷、スプレー塗布などが挙げられる。

 基材上に形成された塗膜の溶媒の除去は 温度30℃~200℃、好ましくは40℃~180℃、時間1 分~250分、好ましくは5分~120分、乾燥して行う ことができる。さらに、必要に応じて用いら れる分散剤の除去は、必要に応じて溶媒に浸 漬して分散剤を抽出することで行うことがで きる。溶媒としては、撥水剤を溶解せずに分 散剤のみを溶解する溶媒から選ばれ、メタノ ール、エタノール、1-プロパノール、2-プロ ノールなどのアルコール類などが挙げられ 。また、撥水剤の分解、変質温度以下の温 で分散剤を熱分解して除去することもでき 。熱分解は、温度200℃~400℃、好ましくは250 ~380℃、時間30秒~250分、好ましくは10分~180分 である。転写基材としては、ポリテトラフル オロエチレン(PTFE)のシート、または表面を離 型剤処理したガラス板や金属板なども用いる ことができる。

 ホットプレス条件は、温度30℃~200℃、好ま くは40℃~180℃、圧力5~300kg/cm 2 、好ましくは10~180kg/cm 2 、時間30秒間~60分間、好ましくは1分間~30分間 である。上記範囲内であると、撥水剤コート 多孔性基材又は触媒層と微多孔層間の接合性 が良好となる。
[膜―電極接合体の形成]
 本発明に係る膜-電極接合体は、上記触媒層 が形成されたイオン交換樹脂膜と多孔性基材 とをホットプレス等により接合する方法、触 媒層が形成された多孔性基材とイオン交換樹 脂膜とを、触媒層側がイオン交換樹脂膜に接 するようにしてホットプレス等により接合す る方法などによって製造される。

 上記ホットプレスの条件は、温度が50℃~200 、好ましくは100℃~180℃であり、圧力が5~200k g/cm 2 、好ましくは10~100kg/cm 2 であり、時間が10秒~60分間、好ましくは1分間 ~30分間である。上記範囲内の条件でホットプ レスを行うことにより、電極層と膜の接合性 が良好となる。
[直接メタノール型燃料電池]
 本発明の直接メタノール型燃料電池は、少 くとも一つ以上の膜-電極接合体及びその両 側に位置するセパレータを含む少なくとも一 つの電気発生部;燃料を前記電気発生部に供 する燃料供給部;及び酸化剤を前記電気発生 に供給する酸化剤供給部を含む直接メタノ ル型燃料電池であって、膜-電極接合体が上 記記載のものであることを特徴とする。

 本発明の電池用いられるセパレーターと ては、通常の燃料電池に用いられるものを いることができる。具体的にはカーボンタ プのもの、金属タイプのものなどを用いる とができる。

 また、燃料電池を構成する部材としては 公知のものを特に制限なく使用することが 能である。本発明の電池は単セルで用いる ともできるし、複数の単セルを直列に繋い スタックとして用いることもできる。スタ クの方法としては公知のものを用いること できる。具体的には単セルを平面状に並べ 平面スタッキング、及び燃料または酸化剤 流路がセパレーターの裏表面にそれぞれ形 されているセパレーターを介して単セルを み重ねるバイポーラースタッキングを用い ことができる。

 以下、本発明を実施例に基づいて詳細に 明する。なお、これらの実施例は、本発明 何ら限定するものではない。

 以下、実施例に基づいて本発明をさらに 体的に説明するが、本発明はこれら実施例 限定されるものではない。なお、実施例に ける各種の測定項目は、下記のようにして めた。

 (分子量)
 スルホン化前の疎水性ユニットの数平均分 量(Mn)は、溶剤としてテトラヒドロフラン(TH F)を用い、GPCによって、ポリスチレン換算の 子量を求めた。スルホン化ポリマーの重量 均分子量(Mw)は、溶剤として臭化リチウムと 燐酸を添加したN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を 離液として用い、GPCによって、ポリスチレ 換算の分子量を求めた。

 (イオン交換容量)
 得られたスルホン化ポリマーの水洗水がpH4~ 6になるまで洗浄して、フリーの残存してい 酸を除去後、十分に水洗し、乾燥後、所定 を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解し、フェ ールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液 にて滴定し、中和点から、イオン交換容量を 求めた。

 (ガラス転移点)
 動的粘弾性測定装置により、スルホン化ポ マーのガラス転移点を測定した。

 (透湿度測定)
 図1に示す測定装置を使用した。図1に示す うに、支持枠に透湿度測定用補助フィルム ゴム製バンドで装着し、23℃の水面上にセッ トした。次に、透湿度測定用補助フィルム上 に直径3cmの円状にカットしたガス拡散層を置 いた。次に、吸湿剤として75重量%の酢酸カリ ウム水溶液を透湿カップ容積の約2/3まで入れ 、その口の部分を透湿度測定用補助フィルム で蓋をするように、ゴム製バンドで装着して 試験体として、その試験体の重量(a1)を測定 た。次に、その試験体の透湿度測定用補助 ィルム面をガス拡散層と接するように置き 5分間放置した。その後、試験体の重量(a2)を 測定し、下記計算式から透湿度を算出した。

P:透湿度 [g/m 2 ・h]
a 2 -a 1 :吸湿剤の単位時間当たりの重量変化量 [mg/mi n]
S:透湿面積 [cm 2 ]
(メタノール利用効率)
 1時間あたりの発電の際にアノードからカソ ードに透過してくるメタノール量および二酸 化炭素量を(a)gとし、同じく1時間あたりの発 の際にアノードで消費されるメタノール量( b)gとして、下記式に基づきメタノール利用効 率を求めた。

 メタノール利用効率(%)=(b/(a+b))×100
ここで、(a)の値は、ガスクロマトグラフィー (VARIAN社製、CP4900型)を用いて測定した。また (b)の値は、アノードにおける化学反応式CH 3 OH+H 2 O→6H + +6e - +CO 2 に基づき、ファラデー第二法則から求めた。

n = 物質量(mol)
m = 質量(g)
M = 分子量(g/mol)
I = 電流値(A)
t = 時間(s)
z = イオン価数
[合成例1]疎水ユニットの合成
 撹拌羽根、温度計、窒素導入管、Dean-Stark管 および冷却管を取り付けた3Lセパラブル4口フ ラスコに9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フル レン(BPFL)92.76g(265mmol)、レゾルシノール(Res)87 .44g(794mmol)、4,4’-ジフルオロベンゾフェノン( DFBP)205.36g(941mmol)、4-クロロ-4'-フルオロベンゾ フェノン(CFBP)52.45g(224mmol)、炭酸カリウム175.61 g(1271mmol)を加えた。次いで、N,N-ジメチルアセ トアミド(DMAc)1250mL、トルエン500mLを加えた。1 55℃まで昇温し、反応によって生成する水を ルエンとの共沸により、Dean-Stark管から取り 除いた。水の生成が認められなくなるまで、 3時間反応した後、トルエンを系外に取り除 ながら165℃まで昇温し、その後160~165℃で5時 間撹拌した。次に、CFBP30.37g(129mmol)を加え、 度160~165℃で3時間撹拌した。

 反応溶液をメタノール5.0Lに少量ずつ注ぎ、 反応物を凝固させ、1時間攪拌した。
凝固液をろ過して得られた沈殿物を、少量の メタノールで洗浄した。得られた沈殿物に5.0 Lのメタノールを加えて攪拌洗浄する操作を3 繰り返した。得られた生成物を乾燥し、347g (収率88%)の目的物を得た。GPCで求めたポリス レン換算の数平均分子量は4100、重量平均分 子量は6600であった。得られた化合物は式(I) 表されるオリゴマーであることを確認した nとpの組成比は、nが0.75で、pが0.25であった

[合成例2]スルホン酸基を有するポリアリーレ ン(1)の合成
 攪拌機、温度計および窒素導入管を取り付 た0.5Lのフラスコに、3-(2,5-ジクロロベンゾ ル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル18.2g(45.3 mmol)、合成例1で得られた化合物22.5g(5.5mmol)、 ス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジク リド1.00g(1.5mmol)、ヨウ化ナトリウム0.23g(1.52mm ol)、トリフェニルホスフィン5.33g(20.3mmol)、亜 鉛7.97g(122mmol)を加え、該フラスコ内を乾燥窒 で置換した。次いで、上記フラスコにDMAc100 mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら、3 間攪拌を続けた後、DMAc100mLを加えて希釈し 不溶物を濾過した。

 得られた溶液を、攪拌機、温度計および 素導入管を取り付けた1Lのフラスコに入れ 115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム11.8g(136.0mmo l)を加えた。7時間攪拌後、上記溶液を水1Lに いで生成物を沈殿させた。次いで、アセト 、10%硫酸水溶液、純水の順に洗浄後、乾燥 て目的のスルホン酸基を有するポリアリー ン(1)27gを得た。得られた重合体の重量平均 子量(Mw)は、110,000であった。得られた化合 は式(II)で表されるポリマーであることを確 した。

[合成例3]疎水ユニットの合成
 撹拌羽根、温度計、窒素導入管、Dean-Stark管 、冷却管を取り付けた1Lセパラブル3口フラス コに4、4’-ジフルオロベンゾフェノン 52.4g(2 40mmol)、4-クロロ-4’-フルオロベンゾフェノン  13.4g(57.0mmol)、4,4’-(1,3-フェニレンジイソプ ピリデン)ビスフェノール(Bis-M) 70.3g(203mmol) ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン23.7g( 67.5mmol)、炭酸カリウム48.5g(351mmol)をはかりと た。DMAc430mL、トルエン 220mLを加え、窒素雰 囲気下、150℃で加熱還流した。反応によって 生成する水をトルエンとの共沸により、Dean-S tark管から取り除いた。3時間後に水の生成が められなくなったところで、トルエンを系 に取り除き、160℃で7時間撹拌した後、4-ク ロ-、4’-フルオロベンゾフェノン7.8g(33.0mmol )を加え、さらに3時間撹拌した。

 放冷後、反応溶液に不溶の無機物を、セ イトをろ過助剤に用いたろ過によって除い 。ろ液をメタノール2.0Lに注ぎ、反応物を凝 固させた。沈殿した凝固物をろ過し、少量の メタノールで洗浄し、真空乾燥した。乾燥し た生成物を、テトラヒドロフラン200mLに再溶 した。この溶液をメタノール2.0Lに注ぎ、再 沈殿した。凝固物をろ過し、真空乾燥して、 117g(収率80%)の目的物を得た。GPCで求めたポリ スチレン換算の数平均分子量は6000、重量平 分子量は8300であった。得られた化合物は式( III)で表されるオリゴマーであることを確認 た。 nとpの組成比は、nが0.75で、pが0.25であ った。

[合成例4] スルホン酸基を有するポリアリー ン(2)の合成
 攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1 Lの三口フラスコに、3-(2,5-ジク
ロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペ チル56.1g(140mmol)、合成例3で得られたMn6000の 水性ユニット61.1g(10.2mmol)、ビス(トリフェニ ホスフィン)ニッケルジクロリド2.94g(5.0mmol) ヨウ化ナトリウム0.67g(5.0mmol)、トリフェニ ホスフィン15.7g(60mmol)、亜鉛23.5g(360mmol)をは りとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N-ジメ ルアセトアミド(DMAc)290mLを加え、反応温度 80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DM Ac490mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。

 得られた溶液を攪拌機、温度計、窒素導 管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れた 115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム24.3g(280mmol) を加えた。7時間攪拌後、アセトン3.0Lに注い 生成物を沈殿させた。ついで、1N塩酸、純 の順で洗浄後、乾燥して目的のスルホン酸 を有するポリアリーレン(2)97gを得た。得ら た重合体の重量平均分子量(Mw)は105,000であっ た。得られた化合物は式(IV)で表されるポリ ーであることを確認した。

[製造例1]
 合成例2で得られたスルホン酸基を有するポ リアリーレン(1)の15重量%N-メチルピロリドン( NMP)溶液を、ガラス板上にキャストして製膜 、膜厚40μmのフィルム(1)を得た。その膜のイ オン交換容量は1.30meq/gであった。ガラス転移 点は160℃であった。
[製造例2]
 合成例4でスルホン酸基を有するポリアリー レン(2)の10重量%N-メチルピロリドン(NMP)溶液 、ガラス板上にキャストして製膜し、膜厚40 μmのフィルム(2)を得た。その膜のイオン交換 容量は1.40meq/gであった。ガラス転移点は155℃ であった。
実施例1
(撥水剤コート多孔性基材の作製)
多孔性基材としてカーボンペーパー(商品名:T GPH-060、東レ株式会社製)を5cm×5cmのサイズに 断し、これを30mLの1.2重量%ポリテトラフルオ ロエチレン樹脂微粒子分散水溶液に5分間浸 させた後、75℃の乾燥炉にて15分間乾燥させ 。この基材を370℃の電気炉にて1時間焼成さ せ、アノードおよびカソード用撥水剤コート 多孔性基材を作製した。このときの撥水剤コ ート量は、撥水剤コート多孔性基材に対する 撥水剤の重量比で2重量%であった。この撥水 コート多孔性基材の透湿度を測定した。結 を下記表1に示す。
(触媒ペースト組成物の調製)
 市販の81%白金/ルテニウム触媒担持カーボン (商品名:TEC81E81、田中貴金属社製)1.2g、少量の 蒸留水1.4g、デュポン社製20%ナフィオン(登録 標)溶液4.2g、およびイソプロパノール5.0gを 合し、この混合物を均一になるまで遊星ボ ルミル(商品名:P-5、フリッチュ社製)を使用 て攪拌し、アノード用触媒ペーストを調製 た。同様の手法で、白金/ルテニウム触媒担 持カーボンに替えて市販の70%白金触媒担持カ ーボン(商品名:TEC10E70TPM、田中貴金属社製)を いて、70%白金触媒担持カーボン(商品名:TEC10 E70TPM、田中貴金属社製)2.0g、少量の蒸留水2.4g 、デュポン社製20%ナフィオン(登録商標)溶液5 .2g、およびイソプロパノール10.2gを混合し、 ソード用触媒ペーストを調製した。
(電極の作製)
 上記アノード用触媒ペーストを上記撥水剤 ート多孔性基材に、白金の付着量が3.0mg/cm 2 になるようにアプリケーターを使用して均一 に塗布した後、75℃の乾燥炉にて30分間乾燥 せ、アノード用の電極を作製した。同様な 法を用いて、カソード用触媒ペーストを上 撥水剤コート多孔性基材に、白金の付着量 1.2mg/cm 2 になるようにアプリケーターを使用して均一 に塗布した後、75℃の乾燥炉にて30分間乾燥 せ、カソード用の電極を作製した。このと の触媒量および触媒層の厚みを測定した結 を下記表1に示す。
(膜-電極接合体の作製)
 上記2種類の電極の間に、イオン交換樹脂膜 を、触媒層が膜に接するように挟み、ホット プレス機により160℃、60kgf/cm 2 、15分間、加圧加熱することにより、MEAを作 した。このMEAをElectrochem社製の評価用燃料 池セルに組み込んで燃料電池を作製した。 の燃料電池を電流-電圧特性を以下に示す方 で評価した。

 1mol/Lのメタノール水溶液を流量1.6mL/min.でア ノードに供給し、空気を流量285mL/minでカソー ドに供給し、電池温度70℃にて、電流密度を2 00mA/cm 2 として、発電させた際の実効電圧とメタノー ル利用効率を測定した。結果を表1に示す。 
実施例2
(撥水剤コート多孔性基材の作製)
 実施例1の場合と同様にして、撥水剤コート 多孔性基材を作製した。
(微多孔層の形成)
 炭素粒子(商品名:ケッチェンブラックEC、ラ イオン社製)2.4g、60重量%ポリテトラフルオロ チレン樹脂微粒子分散水溶液6.2g、蒸留水104 .9g、分散剤(商品名:TRITONX-100、シグマ-アルド ッチ社製)10.3gを混合させ、この混合物を均 になるまで遊星ボールミル(商品名:P-5、フ ッチュ社製)を使用して攪拌し、アノード用 多孔層形成用ペーストを調製した。このペ ストを微多孔層の重量が1.0mg/cm 2 となるようにアプリケーターを使用して均一 に塗布した後、75℃の乾燥炉にて30分間乾燥 せ、アノード用微多孔層付き撥水剤コート 孔性基材を作製した。

 同様な手法を用いて、炭素粒子(商品名:バ カンXC-72、キャボット社製)5.1g、60重量%ポリ トラフルオロエチレン樹脂微粒子分散水溶 8.7g、蒸留水43.1g、分散剤(商品名:TRITONX-100、 シグマ-アルドリッチ社製)5.0gを混合させ、こ の混合物を均一になるまで遊星ボールミル( 品名:P-5、フリッチュ社製)を使用して攪拌し 、カソード用微多孔層形成用ペーストを調製 した。このペーストを微多孔層の重量が3.0mg/ cm 2 となるようにアプリケーターを使用して均一 に塗布した後、75℃の乾燥炉にて30分間乾燥 せ、カソード用微多孔層付き撥水剤コート 孔性基材を作製した。これらのアノード用 よびカソード用微多孔層付き撥水剤コート 孔性基材の透湿度を評価した。結果を下記 1に示す。
(触媒ペースト組成物の調製)
 実施例1と同様にして、触媒ペースト組成物 を調製した。
(電極の作製)
 撥水剤コート多孔性基材に替えて、上記ア ード用微多孔層付き撥水剤コート多孔性基 を用いた他は、実施例1と同様にして、アノ ード用およびカソード用の電極を作製した。
(膜-電極接合体の作製)
 上記アノード用およびカソード用の電極を いた他は、実施例1と同様にして、MEAおよび 燃料電池を作製した。
実施例3
 カソード側の触媒付着量を2.4mg/cm 2 にした以外は、実施例1と同様にして、膜-電 接合体を作製した。
実施例4
 実施例2に記載の膜-電極接合体を、メタノ ル水溶液中のメタノール濃度を、1mol/Lに替 て5mol/Lとした以外は、実施例2と同様に評価 た。
実施例5
 合成例2で得られたポリマーに替えて、合成 例4で得られたポリマーを用いた以外は、実 例2と同様にして膜-電極接合体を作製した。
実施例6
 下記電極の作製方法以外は、実施例1と同様 にして、膜-電極接合体を作製した。
(電極の作製)
 上記アノード用触媒ペーストを撥水剤コー 処理されていない多孔性基材に、白金の付 量が3.0mg/cm 2 になるようにアプリケーターを使用して均一 に塗布した後、75℃の乾燥炉にて30分間乾燥 せ、アノード用の電極を作製した。同様な 法を用いて、カソード用触媒ペーストを撥 剤コート処理されていない多孔性基材に、 金の付着量が1.2mg/cm 2 になるようにアプリケーターを使用して均一 に塗布した後、75℃の乾燥炉にて30分間乾燥 せ、カソード用の電極を作製した。このと の触媒層の厚みを測定した結果を下記表に す。 
比較例1~3
(膜-電極接合体の作製)
 比較例1~3は、各合成例で得られたポリマー 替えて、デュポン社製イオン交換樹脂膜Nafi on115(登録商標)を用いた以外は、実施例2~4と れぞれ同様にして、MEAを作製した。すなわ 、上記2種類の電極の間に、デュポン社製イ ン交換樹脂膜Nafion115(登録商標)を、触媒層 膜に接するように挟み、ホットプレス機に り160℃、60kgf/cm 2 、15分間、加圧加熱することにより、MEAを作 した。このMEAをElectrochem社製の評価用燃料 池セルに組み込んで燃料電池を作製した。
実施例7
 下記のように微多孔層形成用ペーストの塗 量を変更して微多孔層を形成した以外は、 施例2と同様にしてMEAを作製した。
(微多孔層の形成)
 炭素粒子(商品名:ケッチェンブラックEC、ラ イオン社製)2.4g、60重量%ポリテトラフルオロ チレン樹脂微粒子分散水溶液6.2g、蒸留水104 .9g、分散剤(商品名:TRITONX-100、シグマ-アルド ッチ社製)10.3gを混合させ、この混合物を均 になるまで遊星ボールミル(商品名:P-5、フ ッチュ社製)を使用して攪拌し、アノード用 多孔層形成用ペーストを調製した。このペ ストを微多孔層の重量が18.0mg/cm 2 となるようにアプリケーターを使用して均一 に塗布した後、75℃の乾燥炉にて30分間乾燥 せ、アノード用微多孔層付き撥水剤コート 孔性基材を作製した。

 同様な手法を用いて、炭素粒子(商品名:バ カンXC-72、キャボット社製)5.1g、60重量%ポリ トラフルオロエチレン樹脂微粒子分散水溶 8.7g、蒸留水43.1g、分散剤(商品名:TRITONX-100、 シグマ-アルドリッチ社製)5.0gを混合させ、こ の混合物を均一になるまで遊星ボールミル( 品名:P-5、フリッチュ社製)を使用して攪拌し 、カソード用微多孔層形成用ペーストを調製 した。このペーストを微多孔層の重量が0.2mg/ cm 2 となるようにアプリケーターを使用して均一 に塗布した後、75℃の乾燥炉にて30分間乾燥 せ、カソード用微多孔層付き撥水剤コート 孔性基材を作製した。これらのアノード用 よびカソード用微多孔層付き撥水剤コート 孔性基材の透湿度を評価した。結果を下記 1に示す。
実施例8
 下記のように微多孔層形成用ペーストの塗 量を変更して微多孔層を形成した以外は、 施例2と同様にしてMEAを作製した。
(微多孔層の形成)
 炭素粒子(商品名:ケッチェンブラックEC、ラ イオン社製)2.4g、60重量%ポリテトラフルオロ チレン樹脂微粒子分散水溶液6.2g、蒸留水104 .9g、分散剤(商品名:TRITONX-100、シグマ-アルド ッチ社製)10.3gを混合させ、この混合物を均 になるまで遊星ボールミル(商品名:P-5、フ ッチュ社製)を使用して攪拌し、アノード用 多孔層形成用ペーストを調製した。このペ ストを微多孔層の重量が0.1mg/cm 2 となるようにアプリケーターを使用して均一 に塗布した後、75℃の乾燥炉にて30分間乾燥 せ、アノード用微多孔層付き撥水剤コート 孔性基材を作製した。

 同様な手法を用いて、炭素粒子(商品名:バ カンXC-72、キャボット社製)5.1g、60重量%ポリ トラフルオロエチレン樹脂微粒子分散水溶 8.7g、蒸留水43.1g、分散剤(商品名:TRITONX-100、 シグマ-アルドリッチ社製)5.0gを混合させ、こ の混合物を均一になるまで遊星ボールミル( 品名:P-5、フリッチュ社製)を使用して攪拌し 、カソード用微多孔層形成用ペーストを調製 した。このペーストを微多孔層の重量が16.0mg /cm 2 となるようにアプリケーターを使用して均一 に塗布した後、75℃の乾燥炉にて30分間乾燥 せ、カソード用微多孔層付き撥水剤コート 孔性基材を作製した。これらのアノード用 よびカソード用微多孔層付き撥水剤コート 孔性基材の透湿度を評価した。結果を下記 2に示す。
実施例9および10
 表1に示すとおりにアノード側の白金触媒の 塗布量を変更して電極を形成した以外は、実 施例2と同様にしてMEAを作製した。実施例9は 白金触媒の塗布量が過大であり、実施例10 、白金触媒の塗布量が過少である。
比較例4および5
 表1に示すとおりにカソード側の白金触媒の 塗布量を変更して電極を形成した以外は、実 施例2と同様にしてMEAを作製した。比較例4は 白金触媒の塗布量が過大であり、比較例5は 、白金触媒の塗布量が過少である。