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Patent Searching and Data


Title:
MEMBRANE FUSION INHIBITOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/096581
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a preparation which is highly safe, which targets for a different stage in the virus growth cycle from a conventional one, and which can be used in an anti-viral agent. A preparation comprising an epigallocatechin gallate derivative represented by Chemical formula (1) or an isomer or salt thereof is prepared. The preparation can be used as a membrane fusion inhibitor which can inhibit the membrane fusion of a virus. In the formula shown below, R1 to R6 independently represent a hydrogen atom, a halogen, a sodium, a potassium, or a linear or branched saturated or unsaturated acyl group, provided that R1 to R6 may be the same as or different from one another, the acyl group may be further substituted by one or more substituents, and at least one of R1 to R6 represents the acyl group; and R7 to R16 independently represent a hydrogen atom, a halogen, a sodium or a potassium, and may be the same as or different from one another.

Inventors:
KAIHATSU KUNIHIRO (JP)
MORI SHUICHI
DAIDOJI TOMO
KATO NOBUO
MIYAKE SHINYA
Application Number:
PCT/JP2009/051721
Publication Date:
August 06, 2009
Filing Date:
February 02, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KAIHATSU KUNIHIRO (JP)
MORI SHUICHI
DAIDOJI TOMO
KATO NOBUO
MIYAKE SHINYA
International Classes:
A61K31/353; A61K45/00; A61P31/12; A61P31/16; A61P43/00
Domestic Patent References:
WO2007105280A12007-09-20
Foreign References:
JPH03101623A1991-04-26
JP2001253879A2001-09-18
JP2006525796A2006-11-16
Other References:
LAM, W.H. ET AL.: "A potential prodrug for a green tea polyphenol proteasome inhibitor: evaluation of the peracetate ester of (-)-epigallocatechin gallate [(-)-EGCG]", BIOORG MED CHEM, vol. 12, no. 21, 2004, pages 5587 - 93
TANAKA,T. ET AL.: "Synthesis and antioxidant activity of novel amphipathic derivatives of tea polyphenol", BIOORG MED CHEM LETT, vol. 8, no. 14, 1998, pages 1801 - 6
Attorney, Agent or Firm:
TSUJIMARU, Koichiro et al. (Kyoto Research Park134, Chudoji Minami-mac,Shimogyo-k, Kyoto-shi Kyoto 13, JP)
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Claims:
下記化学式(1)で表されるエピガロカテキンガレート誘導体、もしくはその異性体またはそれらの塩を含むことを特徴とするウイルスの膜融合を阻害する膜融合阻害剤。
前記化学式(1)において、
R 1 ~R 6 は、それぞれ水素原子、ハロゲン、ナトリウム、カリウムまたは直鎖もしくは分枝状の飽和もしくは不飽和アシル基であり、同一でも異なっていても良く、前記アシル基は、さらに1または複数の置換基で置換されていても良く、前記R 1 ~R 6 の少なくとも1つが前記アシル基であり、R 7 ~R 16 は、水素原子、ハロゲン、ナトリウムまたはカリウムであり、同一でも異なっていても良い。
R 1 ~R 6 において、前記アシル基の主鎖長が、1~20である、請求の範囲1記載の膜融合阻害剤。
R 1 ~R 6 において、前記アシル基の炭素原子数が1~20である、請求の範囲1記載の膜融合阻害剤。
R 1 ~R 6 において、前記置換基が、アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基およびジアルキルアミノ基からなる群から選択される少なくとも一つである、請求の範囲1記載の膜融合阻害剤。
R 1 ~R 6 において、前記アルキル基が、炭素原子数1~6の直鎖もしくは分枝アルキル基であり、前記アルキルアミノ基におけるアルキル基が、炭素原子数1~6の直鎖もしくは分枝アルキル基であり、前記ジアルキルアミノ基におけるアルキル基が、炭素原子数1~6の直鎖もしくは分枝アルキル基であり、同一でも異なっていても良い、請求の範囲4記載の膜融合阻害剤。
R 1 ~R 6 において、前記アルキル基がメチル基であり、前記アルキルアミノ基がメチルアミノ基であり、前記ジアルキルアミノ基がジメチルアミノ基である、請求の範囲4記載の膜融合阻害剤。
R 1 、R 2 、R 5 およびR 6 の少なくとも一つが、前記アシル基である、請求の範囲1記載の膜融合阻害剤。
R 1 、R 2 、R 5 およびR 6 の少なくとも一つが、前記アシル基であり、その他が、水素原子である、請求の範囲1記載の膜融合阻害剤。
R 7 ~R 16 が、水素原子である、請求の範囲1記載の膜融合阻害剤。
前記アシル基の主鎖長が、原子数12~18である、請求の範囲1記載の膜融合阻害剤。
前記アシル基の炭素数が、原子数12~18である、請求の範囲1記載の膜融合阻害剤。
前記アシル基が、直鎖飽和アシル基である、請求の範囲1記載の膜融合阻害剤。
前記アシル基が、ブチリル基、オクタノイル基、トランス-8-メチル-6-オクテノイル基、ゲラノイル基、ラウロイル基、12-(ジメチルアミノ)ラウロイル基、ファルネソイル基、パルミトイル基、ステアロイル基(C18)、リノレイル基、エイコサノイル基およびそれらの異性体からなる群から選択された少なくとも一つのアシル基である、請求の範囲1記載の膜融合阻害剤。
前記膜融合阻害剤が、ノイラミニダーゼ欠損ウイルス、ノイラミニダーゼ阻害剤耐性ウイルス、M2欠損ウイルスおよびM2阻害剤耐性ウイルスからなる群から選択された少なくとも一つウイルスに対する膜融合阻害剤である、請求の範囲1記載の膜融合阻害剤。
請求の範囲1記載の膜融合阻害剤を含む、ウイルスのタンパク質の発現を阻害する発現阻害剤。
前記タンパク質が、ヘマグルチニンタンパク質およびマトリックスタンパク質の少なくとも一方である、請求の範囲15記載の発現阻害剤。
 請求の範囲1記載の膜融合阻害剤を含む抗ウイルス剤。
さらに、ノイラミニダーゼ阻害剤およびM2阻害剤の少なくとも一方を含む、請求の範囲17記載の抗ウイルス剤。
前記抗ウイルス剤が、ノイラミニダーゼ欠損ウイルス、ノイラミニダーゼ阻害剤耐性ウイルス、M2欠損ウイルスおよびM2阻害剤耐性ウイルスからなる群から選択された少なくとも一つのウイルスに対する抗ウイルス剤である、請求の範囲17記載の抗ウイルス剤。
ウイルス感染を防止する方法であって、
被検体に請求の範囲1記載の膜融合阻害剤を投与することを特徴とする感染防止方法。
Description:
膜融合阻害剤

 本発明は、ウイルスの膜融合を阻害する 害剤に関する。

 インフルエンザウイルスや肝炎ウイルス の多種多様なウイルスによる感染症が問題 されており、様々な抗ウイルス剤が研究さ ている。ウイルスの増殖サイクルは、大き 、細胞への感染と、感染細胞内でのウイル の増殖および感染細胞外への増殖ウイルス 放出とに分けられる。そして、これらの個 の工程に対するアプローチが行われている

 ウイルスの増殖サイクルについて簡単に 明する。まず、エンベロープを有するウイ スは、細胞表面のシアル酸レセプターを認 して、これに結合する。すると、細胞の飲 作用(エンドサイトーシス)が始まり、ウイ スは細胞膜に包み込まれながら細胞内に取 込まれる。そして、ウイルスを包みこんだ 胞の内部が酸性化すると、エンベロープに る膜融合タンパク質(例えば、へマグルチニ (HA)等)の膜融合活性によって、食胞の膜(細 由来)とウイルスのエンベロープ(ウイルス 膜)とが融合する。この膜融合が起こると、 らに、M2というタンパク質の作用により膜 穴があき(脱殻)、ウイルスのRNAが細胞内に放 出される。以上がウイルスの細胞への感染メ カニズムである。続いて、感染細胞における ウイルスの複製・放出メカニズムについて説 明する。細胞内に放出されたウイルスのRNAは 、さらに感染細胞の細胞核に送り込まれ、こ れを元に感染細胞内で新たなウイルスの部品 となるRNAとタンパク質等とが大量に合成され る。そして、感染細胞内で合成されたウイル スゲノムと一部のタンパク質とが、まとまっ てウイルスコアを形成し、細胞膜へと移動す る。また、合成された膜融合タンパク質やノ イラミニダーゼ(NA)も、細胞膜へ移動し、結 する。そして、細胞膜へ移動したウイルス 、膜融合タンパク質やNAを有する細胞膜にパ ッケージングされて、細胞膜表面に出芽する 。この時点では、出芽したウイルスは、感染 細胞の細胞膜表面にあるシアル酸レセプター に結合しているが、細胞膜のNAがシアル酸レ プターを切断することによって、出芽した イルスが細胞外に放出される。このように て、ウイルスの感染、複製および放出が行 れ、放出されたウイルスによって、さらに 感染細胞が感染することとなる。

 抗ウイルス剤の具体例として、例えば、 ンフルエンザウイルスに対しては、細胞へ 感染工程にアプローチするM2阻害剤(非特許 献1および非特許文献2)や、増殖・放出工程 アプローチするNA阻害剤(非特許文献3~非特 文献5)が開発されている。前者は、ウイルス のエンベロープに埋め込まれたタンパク質M2 働きを阻害する薬剤であって、例えば、塩 アマンタジンが知られている。これによれ 、M2の働きが阻害されるため、感染細胞内 ウイルスの脱殻が防止される。このため、 イルス由来のRNAが細胞核に送り込まれるこ がなく、RNAやタンパク質の合成自体をブロ クすることができる。他方、後者は、ウイ スのエンベロープに存在するNAの働きを阻害 する薬剤であり、例えば、ザナミビル(登録 標リレンザ)やオセルタミビル(リン酸オセル タミビル;登録商標タミフル)等が知られてい 。これによれば、NAの働きが阻害されるた 、感染細胞内でウイルスが複製されても、 芽したウイルスとシアル酸レセプターとの 合を切断できない。このため、出芽したウ ルスは、感染細胞の膜表面から分離できな なり、最終的には凝集してしまう。

 しかしながら、前者のM2阻害剤は、B型イ フルエンザウイルスのようなM2を欠損する イルスには効果がなく、副作用についても 題視されている。後者のNA阻害剤は、薬価が 高額であることや副作用について問題視され ている。さらに、いずれの抗ウイルス剤につ いても、耐性ウイルスの発生が危惧されてい る。これらの事情から、ウイルス増殖サイク ルにおいて従来とは異なるステップをターゲ ットとし、安全性にも優れる薬剤が求められ ている。

[先行技術文献]
Zlydnikov, D.M. et al,; Study of rimantadine in  the USSR: a review of the literature. Rev. Infect.  Dis. 3, 408-421, (1981). Duff K.C. & Ashley R.H.; The transmembrane  domain of influenza A M2 protein forms amantadine-sen sitive proton channels in planar lipid bilayers. Viro logy 190,485-489, (1992). Woods, J.M. et al,; 4-guanidino-2,4-dideoxy-2,3-de hydro-N-acethylneuraminic acid is a highly effective i nhibitor both of the sialidase (neuraminidase) and of  growth of a wide range of influenza A and B viru ses in vitro.Antimicrob. Agents Chemother. 37, 1473-14 79, (1993). von Itzstein M. et al,; Rational design of pot ent sialidase-based inhibitors of influenza virus repl ication. Nature 363, 418-423, (1993). Kim C.U. et al,; Influenza neuraminidase inhibit ors possessing a novel hydrophobic interaction in the  enzyme active site. J. Am. Chem. Soc. 119, 681-690 , (1997).

 そこで、本発明は、安全性に優れ、且つ ウイルスの増殖サイクルにおいて、新たな 程をターゲットとする、抗ウイルス剤への 用が可能な薬剤の提供を目的とする。

 前記目的を達成するために、本発明は、ウ ルスの膜融合を阻害する膜融合阻害剤であ て、下記化学式(1)で表されるエピガロカテ ンガレート(EGCG)の誘導体、もしくはその異 体またはそれらの塩を含むことを特徴とす 。
 前記化学式(1)中、
 R 1 ~R 6 は、それぞれ水素原子、ハロゲン、ナトリウ ム、カリウムまたは直鎖もしくは分枝状の飽 和もしくは不飽和アシル基であり、同一でも 異なっていても良く、前記アシル基は、さら に1または複数の置換基で置換されていても く、前記R 1 ~R 6 の少なくとも1つが前記アシル基であり、R 7 ~R 16 は、水素原子、ハロゲン、ナトリウムまたは カリウムであり、同一でも異なっていても良 い。

 本発明者らは、鋭意研究の結果、EGCGおよび EGCG誘導体が、前記M2阻害剤やNA阻害剤とは異 り、膜融合タンパク質による膜融合を阻害 ることを見出し、本発明に到った。本発明 膜融合阻害剤によれば、前述のウイルス増 サイクルの感染工程において、ウイルスを み込んだ食胞の膜(細胞由来)とウイルスの ンベロープ(ウイルスの膜)との膜融合を阻害 できる。このように、膜融合自体が阻害され ることから、下流のステップ、すなわち、脱 殻や複製自体をブロックすることができる。 また、ウイルスの増殖サイクルにおいて、従 来の抗ウイルス剤とは異なるステップをター ゲットとしていることから、本発明の膜融合 阻害剤によれば、例えば、前述のM2阻害剤やN A阻害剤ではブロックできなかったウイルス 染を阻害することも可能となる。さらに、 発明のEGCG誘導体において、基本骨格のEGCGは 、例えば、お茶等に含まれるカテキンであっ て、安全性に優れることは十分に知られてお り、また、R 1 ~R 6 のアシル基も、安全性に優れるものである。 したがって、本発明の膜融合阻害剤は、安全 性にも優れる薬剤といえる。

 なお、本発明において、EGCG誘導体がウイ ルスの膜融合タンパク質による膜融合を阻害 するメカニズムは、不明であるが、EGCG誘導 におけるアシル基が、膜融合タンパク質の 融合ドメイン付近にEGCGをデリバリーするこ で、膜結合タンパク質による膜融合を阻害 ると推測される。なお、本発明は、この推 したメカニズムに何ら制限されない。

本発明の実施例1において、EGCG誘導体 濃度とプラーク形成との関係を示すグラフ ある。 本発明の前記実施例1において、EGCG誘 体の濃度とプラーク形成との関係を示すグ フである。 本発明の実施例2において、EGCG誘導体 在下での血球凝集アッセイの結果を示す写 である。 本発明の実施例3において、EGCG誘導体 濃度とプラーク形成との関係を示すグラフ ある。 本発明の前記実施例3において、EGCG誘 体の濃度とプラーク形成との関係を示すグ フである。 本発明の実施例4において、EGCG誘導体 濃度とプラーク形成との関係を示すグラフ ある。 本発明の実施例5において、ウイルス感 染後のマウスの体重の経時的変化を示すグラ フである。 本発明の実施例6において、マウスミク ロソーム由来グルクロン酸代謝酵素存在下に おけるEGCG誘導体の残存率を示すグラフであ 。 本発明の実施例7において、EGCG誘導体 濃度とプラーク形成との関係を示すグラフ ある。 本発明の実施例8において、EGCG誘導体 濃度とプラーク形成との関係を示すグラフ ある。 本発明の前記実施例8において、EGCG誘 体の濃度とプラーク形成との関係を示すグ フである。 本発明の実施例9において、EGCG誘導体 在下での発育鶏卵の生存率を示すグラフで る。 本発明の前記実施例9において、EGCG誘 体存在下での発育鶏卵の生存率を示すグラ である。 本発明の実施例10において、EGCG誘導体 の濃度とプラーク形成との関係を示すグラフ である。 本発明の実施例11において、EGCG誘導体 存在下でのHAタンパク質の発現の有無を示す 真である。 本発明の前記実施例11において、EGCG誘 導体存在下でのMIタンパク質の発現の有無を す写真である。

 本発明の膜融合阻害剤は、前述のように、 イルスの膜融合を阻害する膜融合阻害剤で って、下記化学式(1)で表されるエピガロカ キンガレートの誘導体、もしくはその異性 またはそれらの塩を含むことを特徴とする
 前記化学式(1)中、
 R 1 ~R 6 は、それぞれ水素原子、ハロゲン、ナトリウ ム、カリウムまたは直鎖もしくは分枝状の飽 和もしくは不飽和アシル基であり、同一でも 異なっていても良く、前記アシル基は、さら に1または複数の置換基で置換されていても く、前記R 1 ~R 6 の少なくとも1つが前記アシル基であり、R 7 ~R 16 は、水素原子、ハロゲン、ナトリウムまたは カリウムであり、同一でも異なっていても良 い。

 なお、前記化学式(1)において、「A~D」は エピガロカテキンガレートにおける各環の 記である。本発明において、以下、エピガ カテキンガレート、は「EGCG」といい、EGCG 誘導体は、「EGCG誘導体」という。

 本発明において、EGCG誘導体には、例えば 、前記化学式(1)で表される化合物の塩、互変 異性体、立体異性体、光学異性体、幾何異性 体等の異性体、異性体混合物も含まれる。前 記塩とは、特に制限されず、例えば、無機酸 塩、有機酸塩、無機塩基塩、有機塩基塩、酸 性または塩基性アミノ酸塩等があげられる。 前記異性体は、例えば、各種クロマトグラフ ィー等の従来公知の分離方法により、精製す ることも可能である。また、本発明において 、前記EGCG誘導体は、例えば、前記化学式(1) 表される化合物を、酸化、還元、加水分解 抱合等の代謝をうけて、生成する化合物も む。

 R 1 ~R 6 において、前記アシル基の主鎖長は、特に制 限されないが、例えば、カルボニル炭素を含 み原子数2~20であり、好ましくは4~20であり、 り好ましくは8~18であり、さらに好ましくは 12~16である。なお、前記アシル基の主鎖長と 、アシル基において最も長い鎖の原子数を い、例えば、炭素原子の他に、窒素原子、 黄原子、リン原子、酸素原子、ホウ素原子 ハロゲン原子、等を含んでもよい。

 R 1 ~R 6 において、前記アシル基の炭素原子数は、特 に制限されないが、例えば、カルボニル炭素 を含み2~20であり、好ましくは4~20、より好ま くは8~18、さらに好ましくは、12~16である。 た、前記炭素原子数は、例えば、より好ま くは、4、8、12、16または20であり、さらに ましくは8、12または16であり、特に好ましく は12または16である。なお、前記アシル基が さらに前記置換基で置換されている場合、 記炭素原子数は、例えば、前記置換基の炭 原子数を含まない数であることが好ましい また、前記不飽和アシル基は、例えば、シ でもトランスでもよい。

 前記アシル基としては、特に限定されな が、例えば、ホルミル基(C1)、アセチル基(C2 )、プロピオニル基(C3)、ブチリル基(C4)、イソ ブチリル基(C4)、バレリル基(C5)、イソバレリ 基(C5)、ピバロイル基(C5)、ヘキサノイル基(C 6)、オクタノイル基(C8)、ゲラノイル基(3,7-ジ チルオクタ-2,6-ジエノイル基)(C10)、トラン -8-メチル-6-ノネノイル基(C10)、ウンデカノイ ル基(C11)、ラウロイル基(ドデカノイル基)(C12) 、トリデカノイル基(C13)、12-(ジメチルアミノ )ラウロイル基(12-(ジメチルアミノ)ドデカノ ル基)(C14)、ファルネソイル基(3,7,11-トリメチ ルドデカ-2,6,10-トリエノイル基(C15)、パルミ イル基(ヘキサデカノイル基)(C16)、ヘプタデ ノイル基(C17)、ステアロイル基(オクタデカ イル基)(C18)、リノレイル基(C18)、リノレニ 基(C18)、ノナデカノイル基(C19)、エイコサノ ル基(イコサノイル基)(C20)等があげられる。 なお、列挙したアシル基のかっこ内の「C」 、カルボニル炭素を含む炭素数を示す。

 前記アシル基の中でも、例えば、下記化学 に示すアシル基等が特に好ましい。なお、 飽和結合の位置は、これらには制限されな 。具体例として、トランス-8-メチル-ノネノ イル基(C10)の不飽和結合(二重結合)は、以下 示す6位には制限されず、例えば、2~5位およ 7位のいずれであってもよい。

 前記アシル基の種類は、特に制限されず 前述のように、不飽和のアシル基、飽和の シル基のいずれであってもよい。細胞への イルス感染予防に使用する場合、例えば、 鎖長が同じアシル基の中では、不飽和アシ 基が好ましく、不飽和結合の数が多いこと 好ましい。前記アシル基における不飽和結 の数は、特に制限されないが、例えば、1~3 あり、好ましくは2~3である。また、細胞へ 感染前のウイルスに使用する場合、例えば 主鎖長が同じアシル基の中では、飽和アシ 基が好ましい。

 R 1 ~R 6 において、前記置換基は、特に制限されない が、例えば、アルキル基、アミノ基、アルキ ルアミノ基およびジアルキルアミノ基等があ げられる。

 前記アルキル基としては、例えば、炭素 子数1~6の直鎖もしくは分枝アルキル基があ られ、好ましくはメチル基である。また、 記アルキルアミノ基におけるアルキル基と ては、例えば、炭素原子数1~6の直鎖もしく 分枝アルキル基があげられ、好ましくはメ ルアミノ基である。前記ジアルキルアミノ におけるアルキル基としては、例えば、炭 原子数1~6の直鎖もしくは分枝アルキル基が げられ、好ましくはジメチルアミノ基であ 。これらは、同一でも異なっていても良い

 前記化学式(1)において、R 1 ~R 6 のうち二カ所以上が前記アシル基であっても よいし、いずれか一カ所のみがアシル基であ ってもよい。前者の場合、各部位におけるア シル基は、例えば、同じであってもよいし、 異なってもよい。本発明においては、R 1 ~R 6 のうちいずれか一カ所のみがアシル基である ことが好ましく、この際、他のRは、特に制 されないが、例えば、水素原子であること 好ましい。

 前記化学式(1)において、R 1 ~R 6 のうちアシル基の部位は、特に制限されない が、例えば、B環のR 1 およびR 2 ならびにD環のR 5 およびR 6 のうち少なくとも一カ所が前記アシル基を有 することが好ましく、特に、R 1 、R 2 、R 5 およびR 6 のうちいずれか一カ所が前記アシル基を有す ることが好ましい。この際、他のRは、特に 限されないが、例えば、水素原子であるこ が好ましい。

 また、前記化学式(1)において、B環のR 1 、R 2 およびR 3 のうち少なくとも一カ所がアシル基であるこ とが好ましく、より好ましくは、B環のR 1 、R 2 およびR 3 のうち一カ所のみがアシル基であることが好 ましい。B環が修飾されたEGCG誘導体は、例え 、代謝安定性により優れるためである。

 前記化学式(1)において、R 7 ~R 16 は、前述のように、水素原子、ハロゲン、ナ トリウムまたはカリウムであり、同一でも異 なっていても良いが、好ましくは、下記化学 式(2)に示すように、水素原子であることが好 ましい。下記式(2)において、例えば、R 1 ~R 6 のいずれが前記アシル基であってもよい。具 体例として、例えば、R 1 ~R 6 のうち少なくとも一カ所、または、いずれか 一カ所が、前述したアシル基であることが好 ましく、より好ましくは、R 1 、R 2 、R 5 およびR 6 のうち少なくとも一カ所、または、いずれか 一カ所が、前述したアシル基であることが好 ましく、前記アシル基の中でも、例えば、ブ チリル基、オクタノイル基、トランス-8-メチ ル-6-ノネノイル基、ゲラノイル基、ラウロイ ル基、12-(ジメチルアミノ)ラウロイル基、フ ルネソイル基、パルミトイル基、ステアロ ル基、リノレイル基、リノレニル基、また 、エイコサノイル基が好ましい。

 本発明において、「ハロゲン」とは、任 のハロゲン元素を指す。前記ハロゲンとし は、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨ 素があげられる。また、本発明において、 アルキル基」とは、特に限定されない。前 アルキル基としては、例えば、メチル基、 チル基、n‐プロピル基、イソプロピル基、 n‐ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基 tert‐ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、 プチル基、オクチル基、ノニル基、デシル 、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル 、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキ デシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル 、ノナデシル基、イコシル基等があげられ 。アルキル基を構造中に含む基またはアル ル基から誘導される基(アルキルアミノ基、 ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、カルボ キシアルキル基、アルコキシカルボニルアル キル基、アルコキシアルキル基、アルケノキ シアルキル基等)についても同様である。

 置換基等が、鎖状構造を有する基(例えば 、アルキル基、アルキルアミノ基、ジアルキ ルアミノ基、アルコキシ基、カルボキシアル キル基、アルコキシカルボニルアルキル基、 アルコキシアルキル基、アルケノキシアルキ ル基等)である場合、特に制限しない限り、 鎖状でも分枝状でも良い。置換基等の一部 鎖状構造を含む場合、例えば、置換アルキ 基や置換アリール基等における置換基が鎖 構造を含む場合も同様とする。置換基等に 性体が存在する場合は、特に制限がない限 、どの異性体でも良い。例えば、単に「プ ピル基」という場合は、n‐プロピル基およ イソプロピル基のどちらでも良い。単に「 チル基」という場合は、n‐ブチル基、イソ ブチル基、sec‐ブチル基およびtert‐ブチル のいずれでも良い。単に「ナフチル基」と う場合は、1‐ナフチル基および2-ナフチル のどちらでも良い。

 本発明におけるEGCG誘導体は、例えば、一種 類でもよいし、二種類以上を併用してもよい 。例えば、R 1 ~R 6 のうち異なる部位にアシル基を有する二種類 以上のEGCG誘導体であってもよいし、異なる シル基を有する二種類以上のEGCG誘導体であ てもよい。具体例として、B環のR 1 が前記アシル基であるEGCG誘導体、R 2 が前記アシル基であるEGCG誘導体、R 3 が前記アシル基であるEGCG誘導体のうち、い れか二種類以上、または、三種類全てを含 混合物であってもよく、D環のR 4 が前記アシル基であるEGCG誘導体、R 5 が前記アシル基であるEGCG誘導体、R 6 が前記アシル基であるEGCG誘導体のうち、い れか二種類以上、または、三種類全てを含 混合物であってもよい。また、B環のR 1 ~R 3 の少なくともいずれかが前記アシル基である EGCG誘導体と、D環のR 4 ~R 6 の少なくともいずれかが前記アシル基である EGCG誘導体との混合物であってもよい。

 本発明の膜融合阻害剤を適用するウイル は、特に制限されないが、例えば、インフ エンザウイルス、Semliki Forest virus、HIV-1等 あげられる。ウイルスの型も、特に制限さ ず、例えば、インフルエンザのA型、B型、C があげられる。A型のインフルエンザウイル スとしては、特に制限されないが、例えば、 H1N1、H5N1、H3N2等があげられる。また、B型の ンフルエンザウイルスとしては、例えば、In fluenzaB/Yamanashi/166/98等があげられる。また、 記インフルエンザウイルスとしては、例え 、哺乳類感染性インフルエンザウイルスや 鳥類感染性インフルエンザウイルス等があ られる。本発明におけるEGCG誘導体は、前述 ように、従来のNAやM2をターゲットとする抗 ウイルス剤とは異なり、細胞内に取り込まれ たウイルスが細胞と膜融合することを阻止す る膜融合阻害剤である。このため、特にNAを 損するウイルス(例えば、C型インフルエン ウイルス等)、NA阻害剤に対して耐性を示す イルス、M2欠損ウイルス(例えば、B型インフ エンザウイルス等)、アマンタジンのような M2阻害剤に対して耐性を示すウイルス等に、 に有効である。

 本発明の膜融合阻害剤は、前記EGCG誘導体 を含んでいればよく、その形態は何ら制限さ れない。前記形態としては、例えば、溶液や 分散液等の液体、固体、粉末等があげられる 。また、剤形は、特に制限されず、例えば、 投与方法に応じて適宜設定でき、液剤、カプ セル剤、錠剤、粒剤(細粒剤)、散剤等があげ れる。前記投与方法としては、特に制限さ ず、経口投与、非経口投与があげられる。 経口投与としては、例えば、経皮投与、腹 内投与、静脈注射等の静脈内投与、筋肉投 、皮下注射等の皮下投与、直腸投与等があ られ、好ましくは、経皮投与である。本発 の膜融合阻害剤は、例えば、これらの投与 態に応じて、例えば、前記EGCG誘導体を含む 内服薬、舌下剤、点鼻薬、うがい薬、塗り薬 等として投与でき、また、EGCG誘導体やそれ 含む溶液または分散液として、注射、ネブ イザー、吸引器等を用いて投与できる。ま 、前記EGCG誘導体やそれを含む粉末として、 えば、ネブライザー、吸引器等を用いて投 できる。また、本発明の膜融合阻害剤は、 イルスの感染能力を低下できることから、 えば、前記EGCG誘導体を含む、手洗い剤、ふ き取り剤等の洗浄剤の形態もあげられる。こ のような本発明の膜融合阻害剤によって、例 えば、手や机等、ウイルスが存在すると思わ れる箇所を処理することで、存在するウイル スの感染能力を低下させ、ウイルス感染の予 防を図ることも可能である。また、本発明の 膜融合阻害剤をマスクに担持させてもよい。

 本発明の膜融合阻害剤は、例えば、ウイ ス感染の予防ならびにウイルス感染の治療 使用することができる。本発明の膜融合阻 剤を投与する対象は、例えば、ヒト、ブタ フェレット、ラット、マウス、ウシ等の哺 類、アヒル、ニワトリ等の鳥類等があげら る。

 本発明の膜融合阻害剤において、前記EGCG 誘導体の含有量は、特に制限されず、例えば 、投与の目的や投与方法に応じて適宜決定で きる。本発明の膜融合阻害剤がうがい薬の場 合、例えば、一回あたり20~2000nmol/LのEGCG誘導 を含むことが好ましい。また、本発明の膜 合阻害剤が点鼻薬の場合、例えば、一回あ り20~2000nmol/LのEGCG誘導体を含むことが好ま い。

 本発明の膜融合阻害剤は、例えば、その 形や投与方法に応じて、適宜、添加剤や基 等をさらに含んでもよい。前記添加剤とし は、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩 剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、乳化剤、界 活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤 緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤、吸 促進剤等があげられる。これらの添加割合 、特に制限されず、前記EGCG誘導体の効果を 損なわない範囲で添加することができる。

 つぎに、本発明の発現阻害剤は、ウイル のタンパク質の発現を阻害する発現阻害剤 あり、前述のEGCG誘導体を含むことを特徴と する。本発明の発現阻害剤は、前記EGCG誘導 を含むことが特徴であり、その他の構成、 態、使用方法等は、制限されず、前述の膜 合阻害剤と同様である。本発明のEGCG誘導体 よれば、例えば、ウイルスが細胞に感染し 際に、前記細胞内におけるウイルスのタン ク質の発現を抑制することができる。この め、ウイルスが感染細胞内で増殖する前段 を阻害できる。なお、本発明の発現阻害剤 おいては、発現阻害効果を示すメカニズム 、特に制限されず、例えば、前述のような 融合阻害のメカニズムには限定されない。

 つぎに、本発明の抗ウイルス剤は、本発 の膜融合阻害剤を含むことを特徴とする。 発明の抗ウイルス剤は、本発明の膜融合阻 剤を含んでいればよく、その他の構成は何 制限されない。本発明の抗ウイルス剤の形 や使用方法も、前述と同様である。また、 発明の抗ウイルス剤は、前記EGCG誘導体を含 んでいればよく、抗ウイルス効果を示すメカ ニズムも特に制限されず、例えば、前述のよ うな膜融合阻害のメカニズムには限定されな い。

 本発明の抗ウイルス剤を適用するウイル は、特に制限されず、前述と同様のウイル が例示できる。中でも、同様の理由から、N A欠損ウイルス、NA阻害剤耐性ウイルス、M2欠 ウイルス、M2阻害剤耐性ウイルス等に適用 ることが好ましい。

 本発明の抗ウイルス剤は、さらに、M2阻 剤を含んでもよい。本発明の膜融合阻害剤 M2阻害剤は、ウイルス感染において関与する メカニズムが異なる。このため、本発明の抗 ウイルス剤が、本発明の膜融合阻害剤とM2阻 剤とを含む場合、前者によって、ウイルス 膜融合を阻害し、且つ、膜融合が生じても 後者によって脱殻をブロックすることで、2 段階でウイルス感染を阻害することができる 。また、本発明の抗ウイルス剤は、さらに、 NA阻害剤を含んでもよい。本発明の抗ウイル 剤が、本発明の膜融合阻害剤とNA阻害剤を む場合、前者によって、ウイルスの膜融合 阻害して複製をブロックし、且つ、ウイル が複製されたとしても、さらに、後者によ て、その複製ウイルス放出をブロックする とで、ウイルス感染および複製ウイルスの 出の2段階を阻害することが可能となる。

 本発明におけるEGCG誘導体の製造方法は、 特に制限されない。前記方法としては、例え ば、有機合成法、酵素等を利用する化学合成 法等、従来公知の方法が採用できる。前記酵 素を利用する化学合成法としては、特に制限 されないが、例えば、WO2007/105280に開示され 、リパーゼを利用する方法があげられる。 なわち、有機溶媒中、EGCGとアシル基供与体 を基質としてリパーゼにより酵素反応を行 、EGCGをアシル化する方法である。この方法 によれば、例えば、EGCGを選択的にアシル化 ることができる。なお、以下に、一例とし 、リパーゼを使用する方法を例示するが、 発明は、EGCG誘導体の製造方法には、何ら制 されない。

 前記リパーゼとしては、例えば、IUB No.3.1.1 .3.のリパーゼが使用できる。具体例として、 Aspergillus   niger 等の Aspergillus 属由来リパーゼ; Candida   rugosa Candida   cylindracea Candida   antarctica 等の Candida 属由来リパーゼ; Pseudomonas   fluorescens Pseudomonas   cepacia Pseudomonas   stutzeri 等の Pseudomonas 属由来リパーゼ; Alcaligenes 属由来リパーゼ; Burkholderia   cepacia 等の Burkholderia 属由来リパーゼ;ブタ膵臓由来のリパーゼ等 あげられる。これらは、従来公知の方法に り調製することもできるが、例えば、Lipase  AS“AMANO”、Lipase AYS“AMANO”、Lipase PS“AMANO 、Lipase AK“AMANO”20、Lipase AH“AMANO”(全て 品名:天野エンザイム社製)、Lipase MY、Lipase OF、Lipase PL、Lipase PLC、Lipase PLG、Lipase QLM Lipase QLC、Lipase QLG、Lipase SL、Lipase TL(全て 品名:名糖産業社製)、Lipase PPL、L4777 Lipase  acrylic resin from Candida Antarctica、L3126 Lipase f rom porcine pancreas(全て商品名:シグマアルドリ ッチ社製)等の市販品も使用できる。なお、 市販品の物理化学的性質は、それぞれの商 説明書に記載の通りであり、同様の物理化 的性質を示す酵素も同様に使用できる。

 また、以下に示すような(1)~(8)の何れかの物 理化学的特性および酵素学的特性を有するリ パーゼであってもよい。
(1)分子量35,000、等電点4.10(例えば、 Aspergillus   niger 由来)
(2)分子量64,000、等電点4.30、80℃10分間の処理 不活性化(例えば、 Candida   rugosa 由来)
(3)至適pH8、至適温度60℃、pH4~10の範囲で特に 定、70℃以下で特に安定(例えば、 Pseudomonas   fluorescens 由来)
(4)分子量60,000、至適pH6~7、pH安定性3~8、至適 度40~50℃、37℃以下において溶液状態で特に 定(例えば、 Candida   cylindracea 由来、 Candida   rugosa 由来)
(5)分子量30,000、等電点4.5、至適pH8~9.5、pH安定 性7~10、至適温度50℃、40℃以下において特に 定(例えば、 Alcaligenes 属由来)
(6)分子量31,000、等電点4.9、至適pH7~9、pH安定 6~10、至適温度65~70℃、50℃以下において特に 安定(例えば、 Alcaligenes 属由来)
(7)分子量31,000、等電点5.2、至適pH7~9、pH安定 6~10、至適温度65~70℃、60℃以下において特に 安定(例えば、 Pseudomonas   cepacia 由来、 Burkholderia   cepacia 由来)
(8)分子量27,000、等電点6.6、至適pH7~8、pH安定 6~9、至適温度50℃、40℃以下において特に安 (例えば、 Pseudomonas   stutzeri 由来)

 前記有機溶媒としては、特に制限されず 例えば、アセトニトリル、アセトン、ジメ ルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシ (DMSO)等が使用できる。また、例えば、疎水 を示すパラメータ(logP値)が-0.35~0.28の範囲の 機溶媒でもよく、このような有機溶媒とし は、前述のアセトニトリル(logP値:-0.45~0.19) アセトン(logP値:-0.16~0.19)、DMF(logP値:-1.01~0.28) DMSO(logP値:-1.35~0.28)があげられる。これらの にも、前記パラメータを満たす従来公知の 媒が使用できる。前記logPは、溶媒固有の値 であるため、当該技術分野における当業者で あれば、前記パラメータを満たす溶媒を選択 することが可能である。なお、logPとは、目 物質をオクタノールと水との混合溶液に添 し、平衡に達した時のオクタノール層と水 とにおける前記目的物質の濃度比を常用対 で表示したものであり、前述のように、物 の疎水性を示すパラメータとして一般的で る。

 本発明において、アシル基(R-CO-)供与体とし ては、例えば、カルボン酸ビニルエステル(R- CO-O-CH=CH 2 )があげられる。なお、前記アシル基として 、前述のような直鎖もしくは分枝状の飽和 しくは不飽和アシル基があげられる。

 前記酵素反応溶液にDMFを用いた場合、EGCG の添加割合は、特に制限されないが、例えば 、0.2~100mmol/Lであり、好ましくは0.5~50mmol/L、 り好ましくは0.5~20mmol/Lである。アシル基供 体の添加割合は、特に制限されず、例えば 反応液におけるEGCGの添加割合に応じて適宜 定できる。具体例として、EGCGとアシル基供 与体との添加割合(モル比)は、例えば、1:1~1:1 0であり、好ましくは1:1~1:5、より好ましくは1 :1~1:3である。また、反応液におけるリパーゼ の添加割合は、例えば、EGCGやアシル基供与 の添加割合、リパーゼの比活性等に応じて 宜決定でき、特に制限されないが、例えば EGCG1mmol/Lに対して、例えば、500~50,000U/Lであ 、好ましくは500~5,000U/L、より好ましくは1,000 ~2,500U/Lである。

 酵素反応の条件は特に制限されないが、 応温度は、例えば、45~75℃の範囲である。 記反応時間は、例えば、基質や酵素の量に って適宜決定でき、特に制限されないが、 えば、30分~24時間(1440分)であり、好ましくは 1時間(60分)~3時間(180分)、より好ましくは1.5時 間(90分)~3時間(180分)である。

 前記反応液には、さらに、塩基性触媒を 加してもよい。前記塩基性触媒としては、 えば、トリエチルアミン等の3級アミン、ピ リジン等があげられる。反応液における塩基 性触媒の添加割合は、特に制限されないが、 例えば、5~720mmol/Lであり、好ましくは12~240mmol /L、より好ましくは12~48mmol/Lである。

 EGCGにおいて前記アシル基が導入される位 置は、例えば、使用するリパーゼの種類によ って選択できる。また、EGCGに導入するアシ 基の数は、例えば、使用する有機溶媒の種 や反応時間によって決定することが可能で る。例えば、有機溶媒の疎水性が相対的に い程(親水性が相対的に低い程)、導入される アシル基の数を相対的に低減でき、有機溶媒 の親水性が相対的に高い程(疎水性が相対的 低い程)、導入されるアシル基の数を相対的 増加できる。また、二種類以上の有機溶媒 混合して用いることによっても、導入され アシル基の数を調節することができる。具 例としては、例えば、1個のアシル基を導入 する際には、アセトニトリル等を使用するこ とが好ましく、例えば、1~2個のアシル基を導 入する際には、アセトン、アセトニトリル等 を使用することが好ましく、例えば、3~5個の アシル基を導入する際には、DMSO、DMF等を使 することが好ましい。

 さらに、同じ有機溶媒を用いる場合でも 温度時間や反応温度の制御と組合せること によって、導入するアシル基数を調節する ともできる。以下にその例を示すが、これ は限定されない。DMFを使用する場合、例え 、反応温度を約57℃~約70℃の範囲に設定し 反応温度を長くする(例えば、約3~5時間)こと によって、EGCGに2個のアシル基が選択的に導 された誘導体を優先的に得ることができ、 方、反応温度を低下させ(例えば、57℃から 5℃低い温度)、反応時間を短くする(例えば 約1~3時間)ことによって、1個のアシル基を 択的に導入することができる。また、アセ ンとDMFを同量(質量)混合した混合溶媒を使用 することによっても、EGCGに1個のアシル基を 択的に導入することができる。

 また、導入するアシル基の数は、反応液 前述の塩基性触媒を添加することによって 加させることができる。この場合、EGCGにお けるどの部位にアシル基がさらに導入される かは、例えば、リパーゼの位置選択性に依存 する。

 前記酵素反応によるEGCG誘導体の収率は、 例えば、反応温度を相対的に高く設定するこ とによって、相対的に向上させることができ る。反応温度は、通常、前述のように、45~75 であるが、収率向上の点から、好ましくは5 7~75℃であり、より好ましくは57~70℃である。 特に、反応温度が、57~70℃の場合、前記EGCGア シル化誘導体の収率は、約35~45%を実現するこ とが可能である。なお、前記収率とは、反応 に使用したEGCGを100%とした場合のEGCGアシル化 誘導体(例えば、全モノアシル化誘導体)の割 (変換効率)を意味する。

 本発明において、EGCG誘導体は、例えば、 前述のように、いずれか一種類を用いてもよ いし、二種類以上の混合物を用いてもよい。 前記混合物から一種類のEGCG誘導体を単離す 場合は、例えば、クロマトグラフィー等を いる従来公知の方法により、調製可能であ 。

 つぎに、本発明の感染防止方法は、ウイ ス感染を防止する方法であって、被検体に 述のEGCG誘導体を投与することを特徴とする 。本発明においては、前記EGCG誘導体を使用 ることが特徴であって、その他の構成や条 等は、何ら制限されない。前記EGCG誘導体や の使用方法等は、例えば、前述と同様であ 。また、本発明においては、前記EGCG誘導体 として、例えば、本発明の膜融合阻害剤、発 現阻害剤または抗ウイルス剤等を投与しても よい。

 本発明において、被検体とは、何ら制限 れず、例えば、ヒト、ブタ、フェレット、 ット、マウス、ウシ等の哺乳類、アヒル、 ワトリ等の鳥類等があげられる。また、前 被検体は、例えば、生体そのものでもよい 、生体から採取した細胞や組織、それらの 養物でもよい。

 前記被検体が生体の場合、前記投与方法 しては、特に制限されず、例えば、非経口 与および経口投与があげられる。非経口投 としては、例えば、経皮投与、腹腔内投与 静脈内投与、筋肉投与、皮下投与、直腸投 等があげられ、好ましくは、経皮投与であ 。前記非経口投与の場合、例えば、前記EGCG 誘導体を、内服、点鼻、うがい、注射、ネブ ライザーや吸引器等を用いて投与できる。ま た、経皮投与の方法としては、例えば、EGCG 導体を含む洗浄剤による手洗い、EGCG誘導体 含む拭き取り剤等による拭き取り等も含ま る。

 また、前記被検体が生体から採取した細 や組織等の場合、前記投与方法としては、 に制限されず、例えば、培地等への添加が げられる。

 前記被検体に対する前記EGCG誘導体の投与 時期は、特に制限されないが、例えば、ウイ ルス感染前でもよいし、ウイルス感染後でも よい。前述のように、EGCG誘導体は、例えば 感染細胞におけるウイルスタンパク質の増 や、ウイルス由来の膜融合タンパク質を介 た膜融合を阻害して、ウイルス感染の初期 階をブロックすることができる。このため 本発明は、例えば、感染細胞におけるウイ スタンパク質の発現阻害方法、または、ウ ルスの膜融合の阻害方法ということもでき 。

 つぎに、本発明の実施例について説明す 。ただし、本発明は、下記実施例により制 されない。

[実施例1]
(1)EGCG誘導体の調製
 膜融合阻害剤として、下記方法によりEGCG誘 導体を調製した。

 DMF100mLに、EGCG1g、以下に示すアシル基供 体927mgおよびリパーゼ(商品名Lipase PL、名糖 業社製)50000Uを混合し、57℃で2時間インキュ ベートして酵素反応を行った。

 そして、インキュベート後の反応液をろ過 濃縮後、カラムクロマトグラフィー(球状、 中性、40-50μm、商品名Silica gelN60、関東化学 式会社製)に供し、不純物である未反応アシ 基供与体を除去した。得られた反応生成物 ついてエレクトロスプレーイオン化質量分 (ESI-MS)を行った結果、EGCGのB環のR 1 もしくはR 2 、または、D環のR 5 もしくはR 6 に、エステル結合によって前記表1に示すア ル基が1個導入されたことが確認できた。

 さらに、EGCGのどの位置がエステル化された かを確認するため、前記反応生成物をプロト ン核磁気共鳴(H 1  NMR)で分析した。この結果を下記表に示す。

 前記No.1~No.10のアシル基が導入されたEGCG誘 体を、以下、それぞれ、EGCG-C4(EGCG-But)、EGCG-C 8(EGCG-Oct)、EGCG-C12(EGCG-Lau)、EGCG-C16(EGCG-Pal)、EGCG -C18(EGCG-Ste)、EGCG-C20(EGCG-Eic)、EGCG-C18-DE(EGCG-linol eyl)、EGCG-C18-TE(EGCG-linolenoyl)、EGCG-C15-Far(EGCG-Far) 、EGCG-C10-Trans(EGCG-Trans)という。これらのEGCG誘 導体は、前記化学式(2)に示すEGCG誘導体であ 、前記各部位(R 1 、R 2 、R 5 またはR 6 )が表2に示す構造式のアシル基である。これ のEGCG誘導体を用いて、以下の実験を行った 。

(2)細胞のウイルス感染予防
 前記各EGCG誘導体を、所定濃度0~128μM(μmol/L) なるように、それぞれOptiMEM(0.2%DMSO)に溶解 、各種サンプル溶液を調製した(No.1~No.10)。 方、イヌ腎臓培養細胞(MDCK)を、培養液を入 た6ウェルプレートでConfluentになるまで培養 た(約8時間)。前記プレートから培養液を除 し、培養した細胞シートをD-PBSで洗浄した 、前記サンプル溶液1.2mLをアプライし、CO 2 存在下、37℃で2時間インキュベートした。前 記サンプル溶液を除去し、D-PBSで細胞シート 洗浄した後、DMEM(0.2%BSA)で懸濁したインフル エンザウイルス(A/PR8/34/H1N1)を、MOI=2.5×10 -4 になるように前記細胞シートにアプライした 。そして、室温下で1時間インキュベートし 後、6.0×10 -4 % Trypsinおよび0.2%BSAを含有する0.8%アガロース ゲルを前記細胞シートに重層した。さらに、 CO 2 存在下、37℃で52-60時間インキュベートした 、前記細胞シートに現れたプラーク数をカ ントした。そして、EGCG誘導体無添加(0μmol/L) のプラーク数を100として、プラーク形成比(%) を算出した。比較例としては、EGCG誘導体に えてアシル基未導入であるEGCGを使用し、同 の処理を行った。No.1~No.6のEGCG誘導体および EGCGの結果を図1に示す。図1は、EGCG誘導体の 度とプラーク形成比との関係を示すグラフ ある。同図において、プラーク形成比は、EG CG誘導体無添加(0μmol/L)でのプラーク数を100% した相対値(%)で表した(以下、同様)。また、 No.1~No.10のEGCG誘導体およびEGCGについて、抗ウ イルス活性(EC 50 )、細胞毒性(CC 50 )およびSIを下記表に示す。

 図1に示すように、細胞に予めEGCG誘導体を 加することによって、EGCG添加(◆)よりも、 ラーク形成が減少され、中でも、EGCG-16、EGCG -C12において、顕著な現象が確認された。ま 、前記表に示すように、細胞に予めEGCG誘導 を添加することによって、比較例のEGCGより も、優れた抗ウイルス効果が得られた。なお 、細胞毒性についても、問題はなかった。特 に、EGCG-12、EGCG-C15-Far、EGCG-16、ECGC-C18-DE、EGCG- C18TEは、それぞれEC 50 が3~7の範囲であり、EGCGのEC 50 (94.60)と比較して、極めて高い抗ウイルス効 を示した。中でも、EGCG-C18-DEは、EC 50 が低く、CC 50 が高いことから、低濃度で優れた抗ウイルス 効果を示し、且つ、毒性も極めて低いことが わかった。また、EGCG-C18-TEは、極めて低い濃 で、優れた抗ウイルス効果を示すことがわ った。さらに、主鎖長が同じ長さ(12)である EGCG-C12とEGCG-C15-Farを比較した結果、不飽和結 を有する方が、抗ウイルス効果が高いこと 示された。また、同様に、主鎖長が同じ長 (18)であるEGCG-C18とEGCG-C18-DEとEGCG-C18-TEとを比 較した結果、不飽和結合を有し、且つ、不飽 和結合の数が多い程、抗ウイルス効果が高い ことが示された。以上のように、予め細胞に EGCG誘導体を添加することによって、優れた ウイルス効果を示していることから、本発 の膜融合阻害剤は、ウイルス感染の予防剤 して使用可能といえる。

(3)ウイルスの感染能力の阻害
 OptiMEM(0.2% DMSO)に、所定濃度(0~10000nmol/L)とな るように各種EGCG誘導体を溶解し、さらに、 ンフルエンザウイルス(A/PR8/34/H1N1)を添加し 、室温で30分インキュベートした。イヌ腎臓 培養細胞(MDCK)を、培養液を入れた6ウェルプ ートでConfluentになるまで培養した(約8時間) 前記プレートから培養液を除去し、培養し 細胞シートをD-PBSで洗浄した後、前述のEGCG 導体とインフルエンザウイルスとを含むサ プル溶液を、インフルエンザウイルスがMOI=2 .5×10 -4 となるようにアプライした。そして、室温下 で1時間インキュベートした後、6.0×10 -4 % Trypsinおよび0.2%BSAを含有する0.8%アガロース ゲルを前記細胞シートに重層した。さらに、 CO 2 存在下、37℃で52~60時間インキュベートした 、前記細胞シートに現れたプラーク数をカ ントした。そして、EGCG誘導体無添加(0μmol/L) のプラーク数を100として、プラーク形成比(%) を算出した。比較例としては、EGCG誘導体に えてアシル基未導入であるEGCGを使用し、同 の処理を行った。この結果を図2に示す。図 2は、EGCG誘導体の濃度とプラーク形成比との 係を示すグラフである。また、EGCG誘導体お よびEGCGについて、抗ウイルス効果(EC 50 )およびSIを下記表に示す。

 図2に示すように、インフルエンザウイルス に予めEGCG誘導体を添加することによって、EG CG添加(◇)よりも、プラーク形成の顕著な減 が確認できた。また、前記表に示すように インフルエンザウイルスに予めEGCG誘導体を 加することによって、比較例のEGCGよりも、 優れた抗ウイルス効果が得られた。特に、EGC G-C12、EGCG-C16、EGCG-C18、EGCG-C18-DE、EGCG-C18-TEは それぞれEC 50 が0.02~0.118であり、EGCGのEC 50 (0.391)と比較して、極めて高い抗ウイルス効 を示した。中でも、EGCG-C18は、抗ウイルス効 果と毒性との比を示すSIが極めて高いことか 、低濃度で優れた抗ウイルス効果を示し、 つ、毒性も極めて低いことがわかった。こ 結果から、EGCG誘導体によれば、ウイルスの 細胞に対する感染能力を阻害できるといえ、 ウイルスを直接不活性する効果を示すという こともできる。また、予めウイルスにEGCG誘 体を添加していることから、本発明の膜融 阻害剤が、ウイルス感染の予防剤として使 できることがわかった。

[実施例2]
 本発明におけるEGCG誘導体が、NAではなく、H Aによる膜融合をターゲットとすることを、 球凝集により確認した。

赤血球凝集アッセイ
 実施例1で作製したEGCG-C16(EGCG-Pal)を、D-PBS(0.2 %DMSO)に溶解し、所定濃度のサンプル溶液を調 製した。EGCG-C16の濃度は、後述する処理時の 濃度が、それぞれ0、0.25、0.5、1、2、4、8、1 6μmol/Lとなるように設定した。前記サンプル 液25μLを96ウェルプレートにアプライした。 さらに、D-PBSで懸濁したインフルエンザウイ ス(A/PR8/34/H1N1)懸濁液(6.5×10 5 TCID 50 )25μLを前記プレートにアプライした。前記プ レートを室温で30分インキュベートした後、D -PBSで1/200に希釈したニワトリ赤血球の凝集液 50μLをアプライした。前記プレートを4℃で1 間インキュベートした後、赤血球の凝集度 いを観察し、EGCG-C16の凝集阻害効果を評価し た。コントロールとして、インフルエンザウ イルス懸濁液に代えてD-PBSを使用し、同様に 価を行った。また、比較例としては、EGCG-C1 6に代えてEGCGを使用した。

 この結果を図3に示す。同図は、EGCG存在 での赤血球の凝集を示す写真である。同図 おいて、上から1-2列がEGCG-C16を使用した結果 (Virus)、3-4列がEGCG-C16に対するコントロールの 結果(No Virus)、5-6列がEGCGを使用した結果(Virus )、7-8列がEGCGに対するコントロールの結果(No Virus)である。また、横のレーンは、EGCG誘導 の濃度(μmol/L)を変化させた結果である。

 同図に示すように、ウイルス存在下で、E GCG-C16無添加(0μmol/L)の場合、赤血球の凝集が 認されたが、EGCG-C16の濃度が増加するに伴 て、赤血球の凝集が抑制された(4、8、16μmol/ L)。これらの結果から、EGCG-C16が、HAによる膜 融合を阻害することがわかった。これに対し て、比較例のEGCGは、終濃度を16μmol/Lまで増 させても、赤血球の凝集抑制が確認できな った。なお、他のEGCG誘導体についても、同 の結果が得られた。以上の結果から、前述 実施例と同様に、EGCG誘導体によれば、効率 よく膜融合を阻害することによって、ウイル ス感染を防止できるといえる。

[実施例3]
 EGCG誘導体と、抗ウイルス作用のメカニズム が異なるザナミビル(登録商標リレンザ)およ リン酸オセルタミビル(登録商標タミフル) について、細胞のウイルス感染予防効果お びウイルスの感染能力阻害効果を比較した

 実施例1と同様にして、ウイルス感染予防 効果と感染能力の阻害とを評価した。また、 比較例は、EGCG誘導体に代えて、ザナミビル リン酸オセルタミビルまたはEGCGを使用した 外は、同様の処理を行った。

 ウイルス感染予防効果の結果を、図4およ び下記表5に示す。図4は、EGCG-C16の濃度とプ ーク形成比との関係を示すグラフである。 4に示すように、細胞に予めEGCG-C16を添加す ことによって、比較例よりも、極めて効果 にプラーク形成を減少することができた。 お、他のEGCG誘導体についても同様の効果が られた。また、下記表5に示すように、細胞 に予めEGCG誘導体を添加することで、比較例 りも、極めて優れたウイルス感染予防効果 示した。具体的に、EGCG誘導体は、ザナミビ の約5.4~12.7倍、リン酸オセルタミビルの約8. 3~19.3倍、EGCGの約13.5~31.6倍の効果を示した。

 つぎに、ウイルスの感染能力阻害の結果を 図5および下記表6に示す。図5は、EGCG-C16の 度とプラーク形成比との関係を示すグラフ ある。図5に示すように、ウイルスに予めEGCG -C16を添加することによって、比較例よりも 効果的にプラーク形成を減少することがで た。なお、他のEGCG誘導体についても同様の 果が得られた。また、下記表6に示すように 、ウイルスに予めEGCG誘導体を添加すること 、比較例よりも、優れたウイルスの感染能 を阻害することができた。具体的に、EGCG誘 体は、ザナミビルの約21~315倍、リン酸オセ タミビルの約187~2810倍、EGCGの約1.3~20倍を示 た。

 以上の結果から、EGCG誘導体によれば、EGC Gや、従来の抗ウイルス効果と比較して、効 よくウイルス感染を防止できることがわか た。

[実施例4]
 ウイルス感染細胞に対するEGCG-C16の治療効 を確認した。

 EGCG-C16を、所定濃度(0、2、8、32、64、128nmol/L )となるようにOptiMEM(0.2%DMSO)に溶解し、サンプ ル溶液を調製した。イヌ腎臓培養細胞(MDCK)を 6ウェルプレートにConfluentになるまで培養し 。前記プレートから培養液を除去し、培養 た細胞シートをD-PBSで洗浄した後、DMEM(0.2%BSA )で懸濁したインフルエンザウイルス(A/PR8/34/H 1N1)液700μLを、MOI=2.5×10 -4 になるように前記細胞シートにアプライした 。そして、室温下で1時間インキュベートし 後、D-PBSで前記細胞シートを洗浄した。前記 EGCG-C16のサンプル溶液700μLをアプライし、CO 2 存在下、37℃で2時間インキュベートした。前 記サンプル溶液を除去し、D-PBSで細胞シート 洗浄した後、6.0×10 -4 % Trypsinおよび0.2%BSAを含有する0.8%アガロース ゲルを前記細胞シートに重層した。さらに、 CO 2 存在下、37℃で52~60時間インキュベートした 、前記細胞シートに現れたプラーク数をカ ントした。そして、EGCG誘導体無添加(0μmol/L) のプラーク数を100として、プラーク形成比(%) を算出することによって、EGCG誘導体のウイ ス感染予防効果を評価した。比較例として 、EGCG誘導体に代えてアシル基未導入であるE GCGを使用し、同様の処理を行った。これらの 結果を図6に示す。図6は、EGCG誘導体の濃度と プラーク形成比との関係を示すグラフである 。

 図6に示すように、ウイルスに感染した細 胞にEGCG誘導体を添加することによって、EGCG 添加した場合よりも、プラーク形成の顕著 減少が確認できた。なお、他のEGCG誘導体に ついても同様の結果が得られた。この結果か ら、すでにウイルスに感染した細胞が存在す る場合であっても、感染細胞からのウイルス の放出を抑制できることがわかった。これに よって、感染細胞から放出されるウイルスに よるさらなる感染を防止することができると いえる。

[実施例5]
 in vivoにおけるEGCG誘導体の感染予防効果を 認した。

 マウス(Bulb/C、メス、6週齢)を5匹ずつA~Dの4 にわけ、それぞれ別個のゲージに入れた。 群のマウスについて、条件をかえて、以下 示す処理を行った。
A群:EGCG-C16投与(-)/インフルエンザウイルス感 (-)
B群:EGCG-C16投与(+)/インフルエンザウイルス感 (-)
C群:EGCG-C16投与(-)/インフルエンザウイルス感 (+)
D群:EGCG-C16投与(+)/インフルエンザウイルス感 (+)

 各マウスにエーテル麻酔を行い、A群および C群のマウスには、D-PBS(2%DMSO)を、B群およびD のマウスには、718μmol/LのEGCG-C16を含むD-PBS(2% DMSO)溶液20μLを、それぞれ経鼻接種した。2時 後、10%ネンブタール液の腹腔内注射によっ 麻酔した前記マウスに対して、5×10 6  TCID50/mLのインフルエンザウイルス(A/FM1/H1N1) 20μL経鼻接種した。ウイルスの経鼻接種後 1日おきにマウスの体重を測定し、体重変化 生存率の評価を行った。これらの結果を図7 に示す。同図は、ウイルス感染後のマウスに ついて、体重の経時変化を示すグラフである 。

 コントロールである、インフルエンザウ ルスを感染させていないA群およびB群にお ては、体重変化は見られなかった。EGCG誘導 を未投与のC群は、インフルエンザウイルス の感染によって、体重が激減した。これに対 して、予めEGCG誘導体を投与したD群は、約1週 間体重は若干減少したが、その後、急激に増 加した。このように、EGCG誘導体を予め投与 ることによって、ウイルス感染による体重 下を抑制できることから、本発明におけるEG CG誘導体によれば、インフルエンザウイルス 染後の病態の重篤化を予防できるといえる

[実施例6]
 D環にアシル基を有するEGCG誘導体と、B環に シル基を有するEGCG誘導体について、抗ウイ ルス効果を確認した。

 実施例1と同様にして、EGCG-C16を作製した。 記EGCG-C16としては、前記化学式(2)中、B環の3 位(R 1 )がパルミトイル基(C16)である誘導体と4位(R 2 )がパルミトイル基である誘導体との混合物( 下、「B環誘導体」という)、および、D環の4 位(R 5 )がパルミトイル基(C16)である誘導体と6位(R 6 )がパルミトイル基である誘導体との混合物( 下、「D環誘導体」という)を使用した。な 、化学式(2)において、前述したR以外のRは、 全て水素原子である。

 1.25μLの10mg/mLマウスミクロソーム(日本チャ ルズ・リバー株式会社)と、0.25μLの1% 3-[(3- ラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プ パンスルホナート(CHAPS、Dojindo社)水溶液を、 8.5μLの0.1mol/Lリン酸カリウム水溶液(pH7.4)に溶 解した。この溶液を、氷上で30分インキュベ トすることにより、前記ミクロソーム中の ルクロン酸代謝酵素を溶出させた。これを 応液Aとする。次に、10μLの10mmol/L EGCG-C16、5 .0μLの10mg/mL L-α-リゾフォスファチジルコリ (Wako社)、および、20μLの30mmol/L UDP-グルクロ 酸三ナトリウム(UDP-Glc;ナカライ社)を、それ ぞれ155μLの反応バッファー(1.0mol/L Tris-HCl(pH7. 4):0.1mol/L MgCl 2 :H 2 O=2:1:13)に溶解させた。これらを、それぞれ反 応液Bとする。続いて、37℃の湯浴中、前記反 応液Aと反応液Bとを混合することで、EGCG-C16 グルクロン酸抱合化反応を行った。所定時 (0、0.5、1、1.5、3、6、12、24分)反応させた後 代謝反応の停止のために、200μLの反応液に して、200μLのアセトニトリル(HPLC grade;関東 化学株式会社)を添加した。続いて、前記反 液を0.45μm PTFE製ジスミックフィルター(Ekicro disc 13CR;Gelman Science社)でろ過した後、約40μL 下記条件でHPLC分析に供した。

 HPLC分析システム(日本分光株式会社)にWP30 0-C4カラム(5μm,4.6×150mm,GL Science社)を搭載し、 EGCG-C16の代謝反応液を波長265nmで解析した。HP LC分析の移動相には、0.1%トリフルオロ酢酸(HP LC grade;Wako社)を含む蒸留水(HPLC grade;関東化 株式会社)をA液、0.1%トリフルオロ酢酸を含 アセトニトリル(HPLC grade;関東化学株式会社) をB液として使用した。そして、B液が全体(A +B液)において占める体積百分率を、溶出時 0、3、10、22、26、28、30分において、それぞ 、0、0、25、100、100、0、0%となるようにグラ エント設定し、流速1.5mL/minで分析を行った そして、未反応の反応液におけるEGCG-C16の ーク面積を100%として、所定時間の反応液に けるEGCG-C16のピーク面積の割合を、EGCG-C16の 残存率%として求めた。比較例としては、EGCG 導体に代えてアシル基未導入であるEGCGを使 用し、同様の処理を行った。これらの結果を 図8に示す。同図は、EGCG-C16の反応時間とEGCG-C 16残存率との関係を示すグラフである。同図 おいて、D-ringは、D環誘導体であり、B-ringは 、B環誘導体を意味する。

 同図に示すように、24分経過時において D環誘導体は、ピーク面積が開始時の0.5%に減 少していたが、B環誘導体は、44%が残存して り、より代謝安定性に優れることがわかっ 。

[実施例7]
 D環にアシル基を有するEGCG-C16と、B環にアシ ル基を有するEGCG-C16とについて、ウイルス感 予防効果を確認した。

 実施例1と同様にして、前記実施例6におけ B環誘導体またはD環誘導体を予め細胞に添加 して、ウイルス感染予防効果を確認した。こ れらの結果を図9に示す。同図は、B環誘導体 よびD環誘導体の濃度とプラーク形成比との 関係を示すグラフである。同図に示すように 、B環誘導体とD環誘導体については、抗ウイ ス効果に差は見られず、同様に優れた効果 示すことがわかった。また、B環誘導体につ いて、3位(R 1 )がパルミトイル基(C16)である誘導体と4位(R 2 )がパルミトイル基である誘導体とに分離し 同様にして抗ウイルス効果を確認したとこ 、異性体間で効果に差は見られず、同様に れた効果を示すことがわかった。また、D環 導体についても、4位(R 5 )がパルミトイル基(C16)である誘導体と6位(R 6 )がパルミトイル基である誘導体とに分離し 同様にして抗ウイルス効果を確認したとこ 、異性体間で効果に差は見られず、同様に れた効果を示すことがわかった。なお、な 、EGCG-C16以外のEGCG誘導体についても同様の 果が得られた。

[実施例8]
 同じ主鎖長のアシル基を有するEGCG誘導体に ついて、抗ウイルス効果を確認した。

 実施例1で作成したEGCG-C18、EGCG-C18-DEおよ EGCG-C18-TEについて、ウイルス感染予防効果お よびウイルスの感染能力阻害効果を確認した 。これらのEGCG誘導体は、それぞれ、アシル の主鎖長が18である。

 まず、実施例1と同様にして、前記各EGCG 導体を予め細胞に添加して、ウイルス感染 防効果を確認した。なお、比較例として、EG CGについても同様にしてウイルス感染予防効 を確認した。これらの結果を図10に示す。 図は、各EGCG誘導体の濃度とプラーク形成比 の関係を示すグラフである。同図に示すよ に、いずれもEGCG誘導体も、EGCGと比較して 低濃度でのプラーク形成の減少が確認でき 。中でも、アシル基に不飽和結合を有するEG CG-C18-DE(EGCG-DE)およびEGCG-C18-TE(EGCG-TE)は、極め 低濃度で効率よくプラーク形成を減少でき 特に、EGCG-C18-TEの効果は、顕著であった。 れらの結果から、アシル基の主鎖長が同じ 合、不飽和結合を有する方が、高いウイル 感染予防効果を示し、さらに、不飽和結合 数が多い程、高いウイルス感染予防効果を すことがわかった。

 また、実施例1と同様にして、前記各EGCG 導体を予めウイルスに添加して、ウイルス 感染能力阻害効果を確認した。なお、比較 として、EGCGについても同様に感染能力阻害 果を確認した。これらの結果を図11に示す 同図は、各EGCG誘導体の濃度とプラーク形成 との関係を示すグラフである。同図に示す うに、いずれのEGCG誘導体も、EGCGと比較し 、低濃度でのプラーク形成の減少が確認で た。中でも、アシル基が飽和脂肪酸であるEG CG-C18が、極めて低濃度で効率よくプラーク形 成を減少できた。これらの結果から、アシル 基の主鎖長が同じ場合、飽和脂肪酸の方が、 高い感染能力阻害効果を示すことがわかった 。

[実施例9]
 発育鶏卵における、EGCG誘導体によるウイル ス感染阻害効果を確認した。

 EGCG-C16とA型インフルエンザウイルス(A/H5N1 )とを含む、0.2%DMSOを含むOptiMEM溶液を調製し 。前記溶液において、EGCG-C16は、1.25μmol/L、 記インフルエンザウイルスは、100 TCID50/egg なるように調製した。このカテキンとウイ ス混合溶液を20℃で30分インキュベートした 後、100μLを、12日齢の発育鶏卵に接種した(n=8 )。そして、前記発育鶏卵を37℃で30分インキ ベートした後、経時的な生存率(%)を確認し 。また、比較例として、前記EGCG誘導体に代 えて、タミフル、EGCGを接種して、同様に生 率を確認した。また、コントロールとして EGCG誘導体を接種せずに、インフルエンザウ ルスのみを接種した発育鶏卵についても、 様に生存率を確認した。

 これらの結果を、図12に示す。同図は、 育鶏卵の経時的な生存率を示すグラフであ 。同図において、生存率は、8個の発育鶏卵 うち、全てが生存している状態を100%とした 相対値(%)である。同図に示すように、EGCG誘 体無添加(◆)、EGCG(▲)およびタミフル(□)で 、全て同様の挙動を示し、32時間で全てが 死であった。これに対して、EGCG-C16(○)によ ば、長時間生存が維持できることがわかっ 。

 また、所定濃度(0.5、1、5、10μmol/LのEGCG-C1 6を含むD-PBS(2%DMSO)溶液を使用し、発育鶏卵に するインフルエンザウイルスの接種条件を 0.1、1.0または10TCID50/eggとした以外は、前述 同様にして、インフルエンザウイルス接種 ら24時間後の生存率を確認した(n=8)。

 これらの結果を、図13に示す。同図は、EG CG誘導体の各濃度における発育鶏卵の生存率 示すグラフである。同図において、生存率 、8個の発育鶏卵のうち、全てが生存してい る状態を1とした、相対値である。同図に示 ように、インフルエンザウイルスの接種濃 を増加させても、EGCG誘導体の濃度の増加に って、生存率の低下を十分に防止すること できた。

[実施例10]
 種々のウイルスに対するEGCG誘導体の感染能 力阻害効果を確認した。

 ウイルスとして、A/Beijing/262/95(H1N1)、A/Pana ma/2007/99(H3N2)およびInfluenzaB/Yamanashi/166/98を使 し、EGCG誘導体として、EGCG-C16を使用した。 記EGCG誘導体を予め各種ウイルスに添加した 外は、前記実施例1と同様にして感染能力阻 害効果を確認した。なお、比較例として、EGC Gについても同様にして感染能力阻害効果を 認した。

 これらの結果を図14(A)~(C)に示す。同図(A) 、A/Beijing/262/95(H1N1)によるプラーク形成比を 示すグラフであり、同図(B)は、A/Panama/2007/99(H 3N2)によるプラーク形成比を示すグラフであ 、同図(C)は、InfluenzaB/Yamanashi/166/98によるプ ーク形成比を示すグラフである。各図に示 ように、いずれのウイルスに対しても、EGCG 比較して、EGCG-C16は、プラーク形成の顕著 減少を示した。このように、本発明のEGCG誘 体は、様々なウイルスに対して優れた効果 示すことがわかった。

[実施例11]
 予めEGCG誘導体を添加したウイルスを細胞に 感染させ、ウイルスタンパク質であるヘマグ ルチニン(HA)およびマトリックスタンパク質(M I)の発現の有無を確認した。

 OptiMEM(0.2% DMSO)に、所定濃度(20nmol/L)となる うにEGCG-C16を溶解し、さらに、インフルエン ザウイルス(A/PR8/34/H1N1)を添加して、サンプル 溶液を調製した。このサンプル溶液を室温で 30分インキュベートした。他方、イヌ腎臓培 細胞(MDCK)を、培養液を入れた6ウェルプレー トでConfluentになるまで培養した(約8時間)。前 記プレートから培養液を除去し、培養した細 胞シートをD-PBSで洗浄した後、前記インキュ ート後のサンプル溶液を、インフルエンザ イルスがMOI=0.15となるようにアプライした そして、室温下で1時間インキュベートした 、6.0×10 -4 % Trypsinおよび0.2%BSAを含有する0.8%アガロース ゲルを前記細胞シートに重層した。さらに、 CO 2 存在下、37℃で所定時間(6、8、10時間)インキ ベートした。所定時間培養した細胞をメタ ールで固定化し、一次抗体および二次抗体 用いて、HAおよびMIの検出を行った。前記一 次抗体としては、抗HA抗体(製品名Mouse Anti-inf luenza A hemagglutinine:Abcam社製、希釈率1:1000、 釈液2%milk in PBS-tween)または抗MI抗体(製品名M ouse Anti-influenza A matrix:AbD社製、希釈率1:1000 希釈液2%milk in PBS-tween)を使用し、二次抗体 としては、Texas Red 標識抗体(製品名Anti-IgG M ouse-Goat Texas Red:フナコシ社製、希釈率1:1000 希釈液2%milk in PBS-tween)を使用した。また、 ガティブコントロールとして、前記EGCG-C16 含むサンプル溶液に代えて、EGCG誘導体無添 のOptiMEM(0.2% DMSO)を前記培養細胞に添加して 、同様に、HAおよびMIの検出を行った。

 これらの結果を図15および図16に示す。図 15は、培養細胞におけるHAの発現を示す写真 あり、図16は、培養細胞におけるMIの発現を す写真である。前記両図において、上段は ネガティブコントロールの結果、下段は、E GCG-C16を添加した結果であり、「h」は、イン ュベート時間を示す。前記両図の上段に示 ように、EGCG誘導体無添加の場合、8時間以 の培養で、HAおよびMIの発現が確認された。 れに対して、前記両図の下段に示すように EGCG誘導体を予めウイルスに添加することに よって、10時間以上の培養によっても、HAお びMIは確認されなかった。この結果から、EGC G誘導体により、細胞内におけるウイルス由 のHAおよびMIの発現が抑制されたことがわか 。このように、EGCG誘導体によれば、ウイル スタンパク質が感染細胞内で増殖する前段階 を阻害することが可能となる。また、ウイル スタンパク質が感染細胞内で増殖する前段階 を阻害することから、例えば、従来のM2阻害 、ならびに、ザナミビル(登録商標リレンザ )およびオセルタミビル(リン酸オセルタミビ ;登録商標タミフル)等のNA阻害剤と併用する ことで、二段階でのブロックが可能になるこ とは明らかである。また、M2阻害剤やNA阻害 に耐性のウイルスに対しても、有効である とは明らかである。

 本発明によれば、ウイルス増殖サイクルの 染工程において、ウイルスを包み込んだ食 の膜(細胞由来)とウイルスのエンベロープ( イルスの膜)との膜融合を阻害できる。この ように、膜融合自体が阻害されることから、 下流のステップ、すなわち、脱殻や複製自体 をブロックすることができる。また、従来の 抗ウイルス剤とは異なるステップをターゲッ トとしていることから、本発明の膜融合阻害 剤によれば、例えば、従来のM2阻害剤やNA阻 剤ではブロックできなかったウイルスの感 阻害も可能となる。さらに、本発明におい 、EGCG誘導体の基本骨格のEGCGは、例えば、お 茶等に含まれるカテキンであって、安全性に 優れることは十分に知られており、また、R 1 ~R 6 のアシル基も、安全性に優れるものである。 したがって、本発明の膜融合阻害剤は、さら に、安全性にも優れる薬剤といえる。