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Title:
METHOD FOR COMPENSATING FOR DETERIORATION IN ELASTICITY OF SCLERA OF EYEBALL AND SPACER USED IN THE METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2010/047387
Kind Code:
A1
Abstract:
 A first incision surface (10) and a second incision surface (20) are formed using a femtosecond laser. The first incision surface (10) has a circular shape or an arc shape, and is parallel to the corneal surface (92) in the cornea parenchyma layer (91) near the corneoscleral limbus (7). The second incision surface (20) extends from the first incision surface (10) to the corneal surface (92). Therefore, a region having high flexibility is produced between the corneal peripheral part and the corneoscleral limbus (7), and deterioration in the elasticity of the sclera (5) disposed between the corneoscleral limbus (7) and the ocular attachment part (3) of an extraocular muscle (2) is compensated.

Inventors:
YOSHIDA KENJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/068270
Publication Date:
April 29, 2010
Filing Date:
October 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
YOSHIDA KENJI (JP)
SHIMURA YOSHIMI (JP)
International Classes:
A61F9/007; A61F2/14
Foreign References:
JP2007151768A2007-06-21
JP2008531097A2008-08-14
JP2005501604A2005-01-20
JP2007130334A2007-05-31
JP2001508327A2001-06-26
JPH11500944A1999-01-26
JPH074448T
JPH06209964A1994-08-02
JPS57156762A1982-09-28
JPS58141148A1983-08-22
JPH08500035A1996-01-09
JPH11507269A1999-06-29
US5722952A1998-03-03
JP2003509090A2003-03-11
Attorney, Agent or Firm:
ARC PATENT ATTORNEYS' OFFICE (JP)
Patent business corporation ARC PATENT ATTORNEYS' OFFICE (JP)
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Claims:
 角膜周辺部から角膜輪部の間に柔軟性の高い部位を作成することにより外眼筋の眼球付着部と角膜輪部との間に位置する強膜の伸展性の低下を補完する方法であって、
 角膜輪部の近傍における角膜実質層内に角膜表面と平行な輪状又は円弧状の第1切開創面を形成する工程と、
 この第1切開創面から角膜表面にまで達する第2切開創面を形成する工程と、
を含み、
 前記各工程をフェムト秒レーザにより行う眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 角膜周辺部から角膜輪部の間に柔軟性の高い部位を作成することにより外眼筋の眼球付着部と角膜輪部との間に位置する強膜の伸展性の低下を補完する方法であって、
 角膜輪部の近傍における角膜実質層内に角膜表面と平行な輪状又は円弧状の第1切除層を形成する工程と、
 この第1切除層から角膜表面にまで達する第2切除層を形成する工程と、
を含み、
 前記各工程をフェムト秒レーザにより行う眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項1に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 さらに、前記第2切開創面の内側にフェムト秒レーザにより角膜フラップを形成する工程を含む眼球の眼球強膜伸展性低下補完方法。
 請求項2に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 さらに、前記第2切除層の内側にフェムト秒レーザにより角膜フラップを形成する工程を含む眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項1又は3に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 さらに、前記第1切開創面内にスペーサを挿入する工程を含む眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項2又は4に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 さらに、前記第1切除層内にスペーサを挿入する工程を含む眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項1又は3に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 さらに、前記第1切開創面内に入り込むアンカー部を備えたチップ状のスペーサを、前記第2切開創面内に複数箇所に亘って挿入する工程を含む眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項2又は4に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 さらに、前記第1切除層内に入り込むアンカー部を備えたチップ状のスペーサを、前記第2切除層内に複数箇所に亘って挿入する工程を含む眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項5又は6に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 前記スペーサとして、輪状又は弧状のスペーサを用いる眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項7から9のいずれか一つに記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 前記スペーサは、合成樹脂、金又は白金を材料とするものである眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項5又は6に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 前記スペーサとして、金又は白金の粒状物又は粉末を用いる眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項1又は3に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 さらに、前記第2切開創面内に、スペーサとして金又は白金の粒状物又は粉末を挿入する工程を含む眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項2又は4に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 さらに、前記第2切除層内に、スペーサとして金又は白金の粒状物又は粉末を挿入する工程を含む眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項5又は6に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法に使用されるスペーサであって、
 前記第1切開創面又は前記第1切除層内に挿入される輪状又は弧状のスペーサ。
 請求項14に記載のスペーサにおいて、
 そのスペーサは偏平に形成されてなるスペーサ。
 請求項7に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法に使用されるチップ状のスペーサであって、
 前記第2切開創面内に挿入される薄片状の本体部と、
 この本体部の下端から一側方又は両側方に突出された、前記第1切開創面内に入り込むアンカー部と
 を備えたスペーサ。
 請求項8に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法に使用されるチップ状のスペーサであって、
 前記第2切除層内に挿入される薄片状の本体部と、
 この本体部の下端から一側方又は両側方に突出された、前記第1切除層内に入り込むアンカー部と
 を備えたスペーサ。
 請求項14から17のいずれか一つに記載のスペーサにおいて、
 そのスペーサは、合成樹脂、金又は白金を材料とするスペーサ。
 
Description:
眼球の強膜伸展性低下補完方法 びその方法に使用されるスペーサ

 本発明は、外眼筋の眼球付着部と角膜輪 との間に位置する強膜の伸展性の低下を補 する方法及びその方法に使用されるスペー に関する。

 眼球の調節運動については、19世紀に生 学者であり物理学者でもあるドイツ人ヘル ホルツが提唱した内眼筋調節説、いわゆる ルムホルツ理論により説明がされている。 の理論を簡潔に説明すると、「眼球の調節 動は眼球内に存在する毛様体筋の伸縮運動 その唯一の原動力にしており、その効果器 唯一水晶体のみである。そして効果器であ 水晶体は、その厚みや位置を変化させるこ により焦点の調整を行っている。」という とである。ところが、ヘルムホルツ理論は これだけでは眼球の調節運動について説明 きないことも多いことから、完全な理論で ない。このことはすでに周知の事実となっ いるが、いまだにこの理論を覆し得る新し 理論が登場していないこともあり、ヘルム ルツ理論は現在に至るまで支持されている

 ところで、一般的には老眼、専門的には 齢性調節衰弱と呼ばれる現象を、ヘルムホ ツ理論に従ってみてみると、加齢により毛 体筋(内眼筋)の伸縮運動能力が衰えた結果 効果器である水晶体に対して十分な影響力 与えることができなくなり、このため、眼 調節機能の低下が起こり、遠方に焦点位置( 点)を調整した場合、近方を見ることが困難 になる、ということになる。

 このような加齢性調節衰弱(以下、老眼と いう。)が生じた場合、これまでは凸レンズ 用いた眼鏡やコンタクトレンズを装着する とで、焦点位置(遠点)を調整して近方視力を 改善することが一般的に行なわれてきた。し かし、これらの方法により近方視力を改善す ると、今度は遠方視力に支障が出てくること になる。そこで現在では多重焦点レンズや累 進焦点レンズを眼内に移植して、便宜上の老 眼回復治療と称している。

 しかし、本質的な意味での老眼の回復と 、眼の調節能力を回復することである。そ ための根本的な解決法としては、ヘルムホ ツ理論に従うと、衰えた毛様体筋(内眼筋) 機能を回復させる方法が求められる。とこ が、加齢現象の一環として現れてくる毛様 筋の機能回復や眼の調節能力の回復はこれ で不可能と考えられてきた。

 そのような状況下で、本発明者は、眼科 として長年にわたり患者を診察、治療して た過程において、「眼球の調節運動は、ヘ ムホルツ理論が提唱する毛様体筋だけが能 的に動作すること、で行われるのではなく 眼球全体がしなやかにその形状を変化させ ことにより行なわれる」と推論した。そし 、眼球に直接付着する外眼筋をはじめとし 、眼瞼、眼瞼拳筋、表情筋である眼輪筋や 頭筋等の協調運動によって眼球全体の形状 化が起き、さらに、眼球を収めている眼窩 眼窩内で眼球後方にある軟部組織も眼球の 節運動になくてはならない存在である、と った知見を得た。

 これを図面を参照してより詳細に説明す と次のようになる。

 図15は、外眼筋が弛緩状態にあるときの 球及びその周辺部を示す模式図、図16は、外 眼筋が収縮したときの眼球及びその周辺部を 示す模式図である。

 近方を見るとき(近方調節時)には、毛様 筋(内眼筋)が収縮し調節運動をするだけでな く、眼球1に付着した全ての外眼筋2(外眼筋2 もう一方の端は眼窩を形成する骨に腱を介 て付着している。)がバランスを保ちながら 縮する(図15に示す状態から図16に示す状態 なる。図16において矢符Cで示す。)。このと 眼球1は外眼筋2の眼球付着部3を作用点とし 眼窩後方へ向け牽引される。これによって 眼球1と接触して眼窩後方に存在している視 神経や軟部組織8は、眼球底4から圧迫を受け 。圧迫を受けた軟部組織8はその内圧が高ま り、その内圧と同じ大きさの圧力P1で均等に 球底4を押し返す。それにより眼球1に生じ 抗力P2は眼球1の外眼筋付着部3より前方に位 する強膜5と角膜6を前方に向け伸展させる P3となる。その結果、眼球軸が伸びる。この とき外眼筋付着部3が作用点として働くため 外眼筋付着部3から角膜輪部7までの強膜5部 が最も強く伸展されることになる(図16にお て矢符Eで示す。)。ところで解剖学的に見る と、外眼筋2が付着している強膜5の部分は最 薄く構成されており、もともと伸展性が優 た部位である。本発明者は毛様体筋(内眼筋 )の伸縮運動だけではなく、この強膜5の伸展 よる眼球軸の伸びも、眼球の調節運動に大 な影響を与えることを見出した。そこで、 下、本明細書においては強膜を調節強膜と 称する。なお、図中の符号6は視神経を、9 角膜をそれぞれ示す。

 調節強膜5の伸展性は、その厚みと、それ を構成しているコラーゲン組織の含水率とに 左右される。このコラーゲン組織の含水率の 低下は、組織の硬化につながり、調節強膜5 伸展性の低下を招くことになる。調節強膜5 構成しているコラーゲンの含水率は、皮膚 それと同様に加齢とともに低下する傾向が る。そのため調節強膜5の伸展性は加齢とと もに低下し、結果的に眼球の調節能力の低下 を招くことになる。本発明者は、このような 一連のメカニズムによる眼球の調節能力の低 下が、老眼の発生につながっていることを発 見した。

 本発明者の上述の理論によれば、加齢に る調節強膜の伸展性の低下を補完するよう 処置を施せば、眼球の調節能力が回復し、 眼を治癒させることが可能になる。そこで 発明者は、上記理論を背景にして老眼治療 目的とした定深度角膜輪状切開器具を提案 た(特許文献1参照)。また、その切開器具に り角膜に形成される切開創が再接着や癒着 より修復されてしまうのを防ぎ、切開創を 持させるために、切開創に挿入する角膜内 置リングを提案した(特許文献2参照)。

 上記定深度角膜輪状切開器具を使用して 角膜輪部近傍の角膜部位に所望の定深度輪 切開創を形成すれば、この切開創が調節強 5に代わる新たな伸展部位となり、その結果 、加齢による調節強膜5の伸展性の低下が補 されることになる。また、上記角膜内留置 ングを上記切開創内に挿入すれば、切開創 接着や癒着が防止されるので切開創の機能 維持されることになり、上記補完を継続さ ることができる。その結果、眼球の調節能 が回復し、老眼が治癒される。

特開2007-130334号公報

特開2007-151768号公報

 しかしながら、上記の切開器具にあって 、吸引手段を有するサクション・リングを 膜及び調節強膜に吸引圧で固定するため、 球への装着に際して患者に少なからず恐怖 を抱かせてしまったり、施術中患者に不快 を与えてしまっていた。

 また、ブレードが装着されたレボルバー 手で回転させ、これによってブレードで角 の所定箇所に切開創を形成するため、ブレ ドの位置及び姿勢の調整や、切開創の深度 決するブレードの突出量の調整が煩瑣であ た。

 さらに、角膜の直径は個人差が大きいた 、直径が異なる複数のサクション・リング 用意する必要があった。

 また、切開創の形成をブレードにより行 ため、切開創の断面形状が直線に限定され いた。このため、切開創を角膜のかなり深 ところまで形成しなければ、前述したよう 切開創の機能を十分に発揮させることがで なかった。

 そしてなによりも、切開創の形成が手動 よることになるため、高い切開精度を得る はそれ相応の熟練度が要求されるものであ た。特に、切開創が形成されていくのにし がって角膜輪部付近が動き易くなっていく め、ブレードが角膜内に所定の深さよりも く入り込んでしまいがちとなる。このため 定深度の切開創を形成するのはほぼ不可能 あった。

 また、上記角膜内留置リングを使用する 合は、上記切開器具で形成される切開創の 面形状が上述したように直線に限定されて ることから、かなり深いところまで切開創 形成しておかないと角膜内留置リングが切 創から角膜外へ押し出されてしまうことに る。ところが、角膜内の深いところまで切 創を形成することは、往々にして角膜自体 切除(切離)といった危険を伴うものであっ 。

 さらに、上記の切開器具、又は切開器具 角膜内留置リングの両方を使用して老眼の 療を行うと、角膜構成組織であるボーマン が切開されることにより、ボーマン膜が有 る機能、特に牽引力に対する抵抗力が損な れるため、可塑性の大きな部位が切開創に って角膜上に出現する。その結果、近方調 時に、切開創よりも角膜周辺部において角 の形状に強い急峻化が起こる一方、切開創 りも角膜中心部においては角膜の曲率に変 が起きないかむしろ平坦化して近方調節が 害されるといったことが起き、結果的に遠 化が起こる。したがって、上記治療により 視も矯正されることになるが、その矯正度 いは、元から強度の近視であった患者には 十分なこともある。そのため、さらなる近 の矯正手術を行ったりする場合がある。ま 、逆に元から遠視であった看者は、治療後 らに遠視が進むため、遠視の矯正手術を行 たりする必要がある。その場合、近年、近 や遠視の治療に広く行われるようになったL ASIK手術を採用することが考えられる。しか 、上記切開器具で形成した切開創と交錯し いように、LASIK手術でレーザにより角膜フラ ップを形成することは、上記切開器具による 切開創の中心(切開創が描く円の中心)と角膜 ラップの中心とを寸分違わず合致させるこ など極めて困難であることから、実際には 可能であった。

 そこで、上記課題を解決するために、本 明は、患者に負担をかけることなく安全に 施し得る、強膜の伸展性の低下を補完する 法及びその方法に使用されるスペーサを提 することを目的としている。

 上記の目的を達成するため、請求項1の発 明に係る眼球の強膜伸展性低下補完方法は、 角膜周辺部から角膜輪部の間に柔軟性の高い 部位を作成することにより外眼筋の眼球付着 部と角膜輪部との間に位置する強膜の伸展性 の低下を補完する方法であって、角膜輪部の 近傍における角膜実質層内に角膜表面と平行 な輪状又は円弧状の第1切開創面を形成する 程と、この第1切開創面から角膜表面にまで する第2切開創面を形成する工程と、を含み 、前記各工程をフェムト秒レーザにより行う ものである。

 請求項2の発明に係る眼球の強膜伸展性低 下補完方法は、角膜周辺部から角膜輪部の間 に柔軟性の高い部位を作成することにより外 眼筋の眼球付着部と角膜輪部との間に位置す る強膜の伸展性の低下を補完する方法であっ て、角膜輪部の近傍における角膜実質層内に 角膜表面と平行な輪状又は円弧状の第1切除 を形成する工程と、この第1切除層から角膜 面にまで達する第2切除層を形成する工程と 、を含み、前記各工程をフェムト秒レーザに より行うものである。

 上記の各発明に係る強膜伸展性低下補完 法にあっては、それぞれ切開創面又は切除 内にスペーサを挿入する工程をさらに含ん もよい。

 すなわち、上記請求項1の発明に係る強膜 伸展性低下補完方法においては、さらに、前 記第1切開創面内にスペーサを挿入する工程 含んでもよい。

 上記請求項2の発明に係る強膜伸展性低下 補完方法においては、さらに、前記第1切除 内にスペーサを挿入する工程を含んでもよ 。

 上記の各スペーサとしては、輪状又は弧 のものが好ましい。その場合、材質は生体 無害なものが選択される。例えば、コンタ トレンズの材料として用いられているポリ チルメタアクリレート(PMMA)をはじめとする 体に無害な合成樹脂、あるいは、金(Au)又は 白金(Pt)が選択される。スペーサの形態とし は偏平であることが好適である。

 スペーサは、輪状又は弧状である場合、 来のような角膜の厚み方向に沿う切開創で なく、角膜の半径方向に沿う第1切開創面( は第1切除層)に挿入されるため、スペーサは その位置から角膜の厚み方向に沿う第2切開 面(又は第2切除層)内に移動しようとしても 第2切開創面(又は第2切除層)の下端で引っ掛 ってしまう。したがって、スペーサは、角 の半径方向に沿う第1切開創面(又は第1切除 )の中に常時留まるので、角膜から抜け出て しまう虞がない。

 また、上記請求項1の発明に係る強膜伸展 性低下補完方法においては、さらに、前記第 1切開創面内に入り込むアンカー部を備えた ップ状のスペーサを、前記第2切開創面内に 数箇所に亘って挿入する工程を含んでいて よい。

 上記請求項2の発明に係る強膜伸展性低下 補完方法においては、さらに、前記第1切除 内に入り込むアンカー部を備えたチップ状 スペーサを、前記第2切除層内に複数箇所に って挿入する工程を含んでいてもよい。

 ここで、上記チップ状のスペーサの挿入 数は任意であるが、4~8個が好ましい。また スペーサの挿入間隔は、第2切開創面又は第 2切除層に沿って等間隔となるのが好ましい 例えば、スペーサの挿入個数が4個の場合は9 0°の間隔で、8個の場合は45°の間隔で、とい 具合になる。

 上記チップ状のスペーサとしては、前記 2切開創面又は第2切除層内に挿入される薄 状の本体部と、この本体部の下端から一側 又は両側方に突出された、前記第1切開創面 は第1切除層内に入り込むアンカー部とを備 えたものが好ましい。

 このような形態を有するスペーサは、ア カー部が第1切開創面(第1切除層)内に入り込 んでまさしくアンカーとして機能するので、 第2切開創面(第2切除層)内に安定して留り、 膜からスペーサが抜け出てしまう虞がない

 このスペーサも、前記の輪状又は弧状の ペーサと同様、材質は生体に無害なものが 択される。例えば、コンタクトレンズの材 として用いられているポリメチルメタアク レート(PMMA)をはじめとする生体に無害な合 樹脂、あるいは、金(Au)又は白金(Pt)が選択 れる。

 上記のようなチップ状のスペーサにあっ は、前記した輪状又は弧状のスペーサに比 て切開創面(切除層)内への挿入作業が容易 あり、施術時間をより短縮することができ 。

 さらに、スペーサとしては、金(Au)又は白 金(Pt)の粒状物又は粉末も適している。

 スペーサの材料として金又は白金を用い 場合、術後において角膜の混濁を効果的に 減又は抑止することができる。

 本発明にあっては、角膜輪部の近傍に角 の半径方向に沿う切開創面(又は切除層)と 角膜の厚み方向に沿う切開創面(又は切除層) の2つが相互に連続した状態で形成されるこ になるから、この形成部位において、前記 来の切開創を形成する場合よりも大きな伸 性を得ることができる。つまり、角膜周辺 から角膜輪部の間に、柔軟性が従来よりも い部位を作成することができる。

 また、角膜フラップを形成する場合は、 記切開創面を形成するのと同じフェムト秒 ーザを使用し一連の施術で行うことになる で、両者が交錯してしまう虞がないととも 、短時間に近視や遠視の矯正も行うことが きる。

 なお、本発明において、角膜表面と平行 は、角膜の半径方向に沿う方向を意味する のであり、厳密に角膜表面と平行であるこ のみを意味するものではない。したがって 第1切開創面及び第1切除層は、それぞれ角 の表面に対して僅かながら角度をもった傾 面である場合を含む。

 本発明によれば、患者に負担をかけずに 望の断面形状を有する切開創面を形成する とができ、角膜周辺部から角膜輪部の間に 軟性が従来よりも高い部位を作成すること できる。これにより、強膜の伸展性を補完 ることができるので、より効果的に眼球の 節能力を回復させることができる。また近 や乱視の矯正を行うこともできる。

角膜を正面からみた模式図である。 図1におけるII-II線に沿う端面を示す模 図である。 第1切開創面と第2切開創面との位置関 の他の例を示す、図2に対応する図である。 第2切開創面と角膜フラップとの位置関 係を示す、図2に対応する図である。 第1切開創面内にスペーサを挿入した状 態を示す、図2に対応する図である。 スペーサの一実施形態を示す斜視図で る。 スペーサの他の実施形態を示す正面図 ある。 図7に示すスペーサの平面図である。 図7に示すスペーサの側面図である。 図7に示すスペーサの配設例の一例を す、角膜を正面から見た模式図である。 図10におけるXI-XI線に沿う端面を示す 式図である。 第2切開創面内に図7に示すスペーサを 入した状態を示す、図11に対応する図であ 。 スペーサのさらに他の実施形態を示す 正面図である。 第2切開創面内に図13に示すスペーサを 挿入した状態を示す、図11に対応する図であ 。 外眼筋が弛緩状態にあるときの眼球及 びその周辺部を示す模式図である。 外眼筋が収縮したときの眼球及びその 周辺部を示す模式図である。

 以下、本発明を実施するための最良の形 について、図面を参照しながら説明する。

 図1は、角膜を正面からみた模式図、図2 、図1におけるII-II線に沿う端面を示す模式 である。

 本発明に係る眼球の強膜伸展性低下補完 法は、角膜周辺部から角膜輪部7の間に柔軟 性の高い部位を作成することにより外眼筋2 眼球付着部3と角膜輪部7との間に位置する調 節強膜5の伸展性の低下を補完する方法であ 。すなわち、本発明による方法は、角膜輪 7の近傍における角膜実質層91内に角膜表面92 と平行な輪状の第1切開創面10を形成する工程 と、この第1切開創面10から角膜表面92にまで する第2切開創面20を形成する工程と、を含 、これら各工程をフェムト秒レーザにより うものである。

 フェムト秒レーザにより第1切開創面10を 成するには、レーザ照射手段から出射され レーザ光を、そのスポットが角膜実質層91 において、フェムト秒レーザ装置のメモリ 予め記憶させておいた第1切開創面10の深度 達するように導光するとともに、レーザ光 スポットを次のいずれかの方法で走査させ 。すなわち、フェムト秒レーザ装置のメモ に予め記憶させておいた第1切開創面10の幅 振幅走査させながら角膜輪部7に沿って輪状 走査させる。又は、メモリに予め記憶させ おいた第1切開創面10の幅の範囲内で、角膜 部7に沿って輪状に且つ複数回に亘り同心円 状に走査させる。この場合、角膜9の内周側 ら走査を開始しても外周側(角膜輪部7側)か 走査を開始してもよい。或いは、メモリに め記憶させておいた第1切開創面の幅の範囲 で、角膜輪部7に沿って輪状に且つ螺旋状に 走査させる。この場合も、角膜9の内周側か 走査を開始しても外周側(角膜輪部7側)から 査を開始してもよい。

 第1切開創面10の深さは、角膜表面92から10 0~900μmの範囲から選択され、好ましくは400~600 μmである。また第1切開創面10の幅Wは、近視 乱視矯正を目的とする場合は500μm以上、老 矯正や緑内障、黄斑変性症、円錐角膜等の 療を目的とする場合は1000μm以上が好ましい

 なお、第1切開創面10は、上記したような 状に限らず、円弧状であってもよく、その ずれの形態を選択するか、また円弧状とす 場合はその長さをどの程度とするかについ は、眼球全体及び角膜の状態などを勘案し 適宜決定すればよい。

 次に、フェムト秒レーザにより第2切開創 面20を形成するには、レーザ照射手段から出 されるレーザ光のスポットを、第1切開創面 10から角膜表面92に向かう方向に、或いは角 表面から第1切開創面に向かう方向に、第1切 開創面10に沿って走査させる。これによって 第2切開創面20はその下端において第1切開創 面10と接続することとなる。ここで、図1では 、第2切開創面20は第1切開創面10とその幅方向 の略中央部において接続され、これら2つの 開創面10,20で「逆T字状」を構成しているが 施術対象者が老人の場合は、角膜周辺部に く混濁した部位(専門的にこれを老人環と呼 。)が存在することがあり、その場合、レー ザ光が透過しにくいため、第2切開創面20は角 膜輪部7から離れている方がよい。したがっ 、図3に示すように、第2切開創面20は第1切開 創面10とその内周端(角膜9の中心側の内周縁) 接続、又は内周端寄りの位置で接続される がよい。また、第2切開創面20の角膜輪部7か らの距離は、0.1~2.0mmがよく、より好ましくは 0.5~1.0mmである。

 なお、第1切開創面10及び第2切開創面20は それぞれこれらに代えて切除層としてもよ 。つまり、第1切開創面10及び第2切開創面20 沿って一定領域の組織を切除してもよい。

 また、LASIK手術により近視矯正や遠視矯 も併せて行う場合は、図1に示すように、上 第1切開創面10及び第2切開創面20を形成する に使用するフェムト秒レーザ装置を使用し 、第2切開創面20の内側領域に、角膜フラッ 60を形成する。なお、この角膜フラップ60は 、第1切開創面10及び第2切開創面20を形成する 前でも後でもよい。また、角膜フラップ60の 周状の外縁と第2切開創面20とは、図4に示す ように、一致させてもよい。

 図1に示す例において、第1切開創面10内に 、図5に示すように、偏平なリング状のスペ サ50(図6参照)を挿入してもよい。このスペー サ50の材質としては、金又は白金が好ましい また、厚みは、厚さが増すにしたがって、 節強膜5の伸展性の低下をよりよく補完する ことができるが、50μm程度の厚みが好ましい また、スペーサはこのような偏平なリング のもの以外に、金又は白金の粒状物又は粉 であってもよい。なお、イオン化傾向が小 く毒性が低い金属もスペーサの材料として 用し得る。

 スペーサは、上記したようなリング状の のに限らず、図7~図9に示すようなチップ状 スペーサ52でもよい。

 このスペーサ52は、第2切開創面20内に挿 される薄片状の本体部521と、この本体部521 下端から両側方に突出された、第1切開創面1 0内に入り込むアンカー部522とを備えており 図7に示すように、正面視下向き矢印状を呈 るものである。

 この例では、アンカー部522は楔状に形成 れており、第2切開創面20内への挿入が容易 行えるように図られている。

 このようになるスペーサ52は、第2切開創 20内に、図10において丸印Aで示すに示すよ に、複数箇所に亘って挿入される。図10に示 す例では、8個のスペーサ52が45°の間隔で挿 されることになる。なお、スペーサ52の個数 は8個に限らず、4個~7個でもよい。その場合 スペーサ52の挿入間隔は等間隔とするのが好 ましい。

 このような形態を有するスペーサ52は、 ンカー部522が第1切開創面10内に入り込んで さしくアンカーとして機能するので、第2切 創面20内に安定して留り、角膜からスペー 52が抜け出てしまう虞がない。また、第2切 創面20は、図11に示すように、実際には施術 度の関係で、第1切開創面10と交差し、第2切 開創面20の下端22が僅かに第1切開創面10の下 に突出するように形成される。このような 合、アンカー部522の形状が、図7に示すよう 、いわゆる楔状であると、図12に示すよう 、アンカー部522の先端が第2切開創面20の下 22に食い込むため、アンカー部522が第1切開 面10に沿う方向にずれることがなくなり、ス ペーサ52が第2切開創面20内で傾くようなこと ない。

 なお、アンカー部522は、本体部521の下端 ら必ずしも両側方に突出している必要はな 、図13に示すように、本体部521の下端から 側方にのみ突出していてもよい。図14は、図 13に示すスペーサ52を使用した場合を示す。

 上記のスペーサ52も、前記の輪状又は弧 のスペーサ50と同様、材質は生体に無害なも のが選択される。例えば、コンタクトレンズ の材料として用いられているポリメチルメタ アクリレート(PMMA)をはじめとする生体に無害 な合成樹脂、あるいは、金(Au)又は白金(Pt)が 択される。

 上記のようなチップ状のスペーサ52にあ ては、前記した輪状又は弧状のスペーサ50に 比べて切開創面(第2切開創面20)内への挿入作 が容易であり、施術時間をより短縮するこ ができる。

 本発明は、老眼の治療に適用できるのは 論のこと、近視や乱視、とくにこれまで治 法のなかった強度の不整乱視にも応用でき 。本発明は既存のLASIK手術とは異なり、角 の厚みを損なうことなく近視、乱視矯正手 を可能にするため、角膜厚の薄い眼球に於 ても近視や乱視治療を可能とすることがで る。また、眼圧を低下させる効果も得られ ことから、緑内障の治療にも有効である。 た、外眼筋の緊張を解くことができるため 老人性黄斑変性症の治療や、網膜色素変性 、円錐角膜の治療、白内障の予防にも有効 ある。

1   眼球
2   外眼筋
3   外眼筋の眼球付着部
4   眼球底
5   強膜(調節強膜)
6   視神経
7   角膜輪部
8   軟部組織
9   角膜
10  第1切開創面
20  第2切開創面
50  スペーサ
52  スペーサ
 521 本体部
 522 アンカー部
60  角膜フラップ