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Title:
METHOD OF CONVERTING ETHYLBENZENE AND PROCESS FOR PRODUCING P-XYLENE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/116561
Kind Code:
A1
Abstract:
A method by which ethylbenzene contained in a C8-aromatic-hydrocarbon mixture containing a nonaromatic hydrocarbon in a large amount is converted mainly to benzene. The method is reduced in xylene loss, can reduce the rate of catalytic-activity deterioration, and can attain a high conversion into p-xylene. The method of ethylbenzene conversion comprises bringing a feed material comprising an alicyclic hydrocarbon, which is contained in an amount of 1.0 wt.% or larger, ethylbenzene, and xylene into contact with hydrogen in the presence of a catalyst to convert the ethylbenzene contained in the feed material mainly into benzene. The catalyst is a catalyst constituted mainly of zeolite MFI and an inorganic oxide and having rhenium deposited thereon. The conversion is conducted at a reaction pressure of 1.0 MPa -G or higher.

Inventors:
YOSHIKAWA TAKAHIRO (JP)
WATANABE MASATOSHI (JP)
ICHIOKA RYOJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055258
Publication Date:
September 24, 2009
Filing Date:
March 18, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TORAY INDUSTRIES (JP)
YOSHIKAWA TAKAHIRO (JP)
WATANABE MASATOSHI (JP)
ICHIOKA RYOJI (JP)
International Classes:
C07C4/18; B01J29/48; C07C7/04; C07C15/04; C07C15/08; C07B61/00
Domestic Patent References:
WO2007114127A12007-10-11
Foreign References:
JPS4946606B11974-12-11
JPS57200319A1982-12-08
JPH0816074B21996-02-21
US4899001A1990-02-06
JPH0587054B21993-12-15
JPH0524661A1993-02-02
JPS6035284B21985-08-14
JPS4610064B1
Other References:
See also references of EP 2253607A4
Attorney, Agent or Firm:
TANIGAWA, Hidejiro (JP)
Mountain stream Eijiro (JP)
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Claims:
 1.0重量%以上の脂環式炭化水素と、エチルベンゼン及びキシレンを含む供給原料を、触媒の存在下、水素と接触させて供給原料中のエチルベンゼンを主としてベンゼンに転化することを含むエチルベンゼンの転化方法であって、前記触媒が、MFI型ゼオライトと無機酸化物から主として構成され、レニウムを担持する触媒であり、前記転化を、1.0MPa-G以上の反応圧力下で行う、エチルベンゼンの転化方法。
 前記水素の前記供給原料に対する比率が、前記供給原料1mol当たり3mol以上である、請求項1記載の方法。
 前記水素の前記供給原料に対する比率が、前記供給原料1mol当たり15mol以下である、請求項2記載の方法。
 前記供給原料中の前記脂環式炭化水素の含量が3.0重量%以上である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
 前記供給原料中の前記脂環式炭化水素の含量が16重量%以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
 前記反応圧力が1.3MPa-Gから5.0MPa-Gである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
 前記反応圧力が1.7MPa-Gから3.0MPa-Gである請求項6記載の方法。
 前記脂環式炭化水素が、シクロアルカン類である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
 前記シクロアルカン類が、アルキルシクロアルカンである請求項8記載の方法。
 前記レニウムの担持量が、触媒全体に対し0.05重量%から2重量%である請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法。
 前記無機酸化物が、アルミナ及び/又はチタニアである請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
 1.0重量%以上の脂環式炭化水素と、エチルベンゼン及びキシレンを含む供給原料を、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法に付して前記供給原料中のエチルベンゼンを主としてベンゼンに転化する工程と、
 得られた反応生成物から蒸留分離でC8芳香族炭化水素混合物を精製する工程と、
 次いで精製されたC8芳香族炭化水素混合物をパラキシレン分離工程に供給する工程を含む、パラキシレンの製造方法。
Description:
エチルベンゼンの転化方法及び ラキシレン製造方法

 本発明は、エチルベンゼンの転化方法及 パラキシレンの製造方法に関する。さらに しくは、少なくとも1.0重量%以上の脂環式炭 化水素、エチルベンゼン及びキシレンを含む 供給原料中のエチルベンゼンを主としてベン ゼンに転化する方法であって、キシレンの損 失が少なく、触媒活性の劣化を抑制でき、且 つ高いパラキシレン転化率を達成できる方法 、及びかかる転化により得られた生成物から C8芳香族炭化水素混合物を蒸留精製し、次い パラキシレンを分離する方法に関する。

 キシレン異性体のうち、工業的に最も重 な原料はパラキシレンである。パラキシレ は、現在ナイロンと並ぶ主要ポリマーであ ポリエステルのモノマー、テレフタル酸の 料に使われており、近年その需要はアジア 中心として旺盛で、今後もその傾向は変わ ないものと予測される。一方、パラキシレ 以外のキシレン異性体であるオルソキシレ 、メタキシレンは、需要がパラキシレンよ 著しく低いので、オルソキシレン、メタキ レンをパラキシレンに変換することは、工 的に重要なことである。

 パラキシレンの原料は、C8芳香族炭化水 混合物である。C8芳香族炭化水素混合物は、 一般にキシレン異性体及びエチルベンゼンの 他に炭素数9以上の高沸点成分を含んでいる め、初めに炭素数9以上の高沸点成分を蒸留 より除去する。精製されたC8芳香族炭化水 混合物は、パラキシレン分離工程に供給さ 、パラキシレンを分離する。キシレン異性 及びエチルベンゼンは、沸点が互いに近く 蒸留分離によりパラキシレンを分離するの 困難であるため、深冷分離法、或いは吸着 離法が利用されている。

 深冷分離法の場合は、パラキシレンとそ 他のキシレン異性体及びエチルベンゼンが 晶混合物を生じるため、1パスあたりのパラ キシレン回収率には限界があり、通常多くと も60%程度に止まる。深冷分離法の場合、深冷 分離に供給するC8芳香族炭化水素混合物中の ラキシレン濃度が高いほど、生産性のみな ず1パスあたりのパラキシレン回収率も向上 できる。

 吸着分離法の場合は、パラキシレンを1パ スでほぼ100%回収可能である。吸着分離法の 合、C8芳香族炭化水素の中でパラキシレンの 分離を最も阻害する成分は、エチルベンゼン である。従って、吸着分離に供給するC8芳香 炭化水素混合物中のエチルベンゼン濃度を 減することは、分離の障害となるエチルベ ゼンが減ることにより吸着分離の負荷が低 でき、且つ、吸着分離に供給するC8芳香族 化水素混合物中のパラキシレン濃度を高く ることができるため、同一吸着分離設備で パラキシレン生産能力を向上できる。

 パラキシレン分離工程を出たパラキシレ が乏しいC8芳香族炭化水素は、次にキシレ 異性化工程に送られ、主にゼオライト触媒 より熱力学的平衡組成に近いパラキシレン 度までに異性化され、蒸留分離によりC8芳香 族炭化水素より沸点の低い副生物を除去した 後、上記の新たなC8芳香族炭化水素混合物と 合されて高沸点成分を除去する蒸留塔にリ イクルされ、炭素数9以上の高沸点成分を蒸 留除去後、パラキシレン分離工程で再度パラ キシレンを分離回収する。この一連の循環系 を以後「分離-異性化サイクル」と呼ぶ。

 図4に、一般的なパラキシレン製造のため の「分離-異性化サイクル」のフローを示す 通常、パラキシレンの原料であるC8芳香族炭 化水素混合物は、ストリーム36で示される供 ラインから高沸点成分蒸留分離工程1に送ら れる。C8芳香族炭化水素混合物原料に含まれ 低沸点化合物を除去したい場合は、ストリ ム45で示される供給ラインから低沸点成分 留分離工程4に供給され、又、高沸点成分お び低沸点成分を除去する必要がない場合は ストリーム46で示される供給ラインから直 パラキシレン分離工程2に供される場合もあ 。C8芳香族炭化水素混合物原料は、いずれ おいてもキシレン異性化工程3で熱力学的平 組成に近いパラキシレン濃度まで異性化さ たC8芳香族炭化水素成分と共に、パラキシ ン分離工程2に送られる。高沸点成分蒸留分 工程1では、高沸点成分をストリーム38で示 れるラインを通じて除去する。高沸点成分 除去されたC8芳香族炭化水素はストリーム37 で示されるラインを通じてパラキシレン分離 工程2に送られ、ストリーム39で示されるライ ンからパラキシレンを分離回収する。そして パラキシレン濃度の乏しいC8芳香族炭化水素 、ストリーム40で示されるラインを通じて シレン異性化工程3に送られ、熱力学的平衡 成に近いパラキシレン濃度まで異性化され 。尚、キシレン異性化工程にはストリーム4 1で示されるラインを通じて水素又は水素を むガスも送られる。キシレン異性化工程か 出てきた副生物を含むC8芳香族炭化水素混合 物は、ストリーム42で示されるラインを通じ 、低沸点成分蒸留分離工程4に送られ、キシ レン異性化工程で副生したベンゼン及びトル エンのような低沸点成分をストリーム43で示 れるラインを通じて分離除去し、高沸点成 を含んだパラキシレン濃度が高いリサイク 原料がストリーム44で示されるラインを通 て高沸点成分蒸留分離工程1に送られる。パ キシレン濃度が高いリサイクル原料は、キ レン異性化工程で副生した高沸点成分を高 点成分蒸留分離工程1で除去し、再度パラキ シレン分離工程2にリサイクルされる。

 この「分離-異性化サイクル」に供給され るC8芳香族炭化水素混合物は、前記の通りエ ルベンゼンを含んでいる。上記「分離-異性 化サイクル」においては、このエチルベンゼ ンは除去されないため、循環系に蓄積してし まう。このエチルベンゼンの蓄積を防ぐため に、何らかの方法で除去すれば、その除去率 に応じた量が「分離-異性化サイクル」を循 する。エチルベンゼン循環量が少なくなれ 「分離-異性化サイクル」全体の循環量も少 くなり、用役使用量が減るため、経済的な リットが大きい。それに加えて、パラキシ ン分離工程に供給するC8芳香族炭化水素混 物に含まれるパラキシレン濃度が高く、エ ルベンゼン濃度が低くなるため、パラキシ ン分離工程の負荷も下げることが出来、パ キシレンの増産につながる。

 エチルベンゼンを除去する手段として、 常用いられるのは、キシレン異性化工程に いて使用される異性化触媒にエチルベンゼ 転化能を付与して、異性化反応時にエチル ンゼンをキシレン或いはキシレンと容易に 離できる物質に変換する方法、即ちキシレ 異性化工程でキシレンの異性化を行うと同 にエチルベンゼンをキシレンに異性化する 質法(例えば特許文献1)、及びエチルベンゼ を水素化脱アルキルしてベンゼンとエタン 変換し、その後ベンゼンを蒸留分離する脱 ルキル化法(例えば特許文献2)などを挙げる とができる。

 改質法では、触媒に水素化/脱水素化能力 を付与する必要があるため、きわめて高価な 貴金属である白金を含有することが必須であ る。また、エチルベンゼンをキシレンに変換 するには、ナフテン、パラフィンの如き非芳 香族炭化水素を介在させることが反応メカニ ズム上必要であり、該非芳香族炭化水素は、 生成物中に数%から10数%の濃度範囲で存在し 「分離-異性化サイクル」を循環する。さら は、改質法でのエチルベンゼンの転化率は 熱力学的平衡によって律せられる為、20か 50%程度しかならない。

 一方、脱アルキル化法では、触媒にエチ ベンゼンから脱アルキルして生成するエチ ンを水素化する水素化能力のみを付与すれ 良く、白金より安価な水素化活性金属を使 することができ、もしくは白金を使用する 合でも含有量を大幅に減らすことができる め、触媒が安価である。また、エチルベン ンから脱アルキル化反応により生成するエ レンと水素の反応が非常に早いため、エチ ベンゼンの脱アルキル化反応は、実質的に 平衡反応のごとく進行し、非常に高いエチ ベンゼン転化率を得ることが可能である。

 かかる状況から、最近は触媒が安価で、 分離-異性化サイクル」の循環量をより少な くできる脱アルキル化法が主流となっている 。

 エチルベンゼンを含むC8芳香族炭化水素 らエチルベンゼンを脱アルキル化してベン ンに変換し、オルソキシレン、メタキシレ をパラキシレンに異性化させるに際し、(1) チルベンゼン転化率をできるだけ高くする とは、パラキシレン製造に必要な用役使用 を低減し、パラキシレンを増産するのに好 しく、(2)パラキシレン転化率を出来るだけ くすることは、「分離-異性化サイクル」を 環するC8芳香族炭化水素中のパラキシレン 度を高くし、パラキシレンの生産性を向上 せるのに好ましく、又(3)キシレン損失を出 るだけ小さくすることは、パラキシレン製 の原料原単位を低減させパラキシレン製造 ストを下げるので好ましい。

 一方、通常利用されるパラキシレンの原 は、ナフサを改質処理し、その後分留によ 得られる改質油系のC8芳香族炭化水素混合 である。このC8芳香族炭化水素混合物の代表 的な組成は、エチルベンゼン:18重量%、パラ シレン:19重量%、メタキシレン:42重量%、オル ソキシレン:21重量%である。しかし、パラキ レン需要増加に伴い、前記改質油系のC8芳香 族炭化水素混合物の供給が不足しつつある。 また、近年、世界の石油資源量が有限であり 、石油はいつか枯渇すると叫ばれる状況下、 パラキシレンの原料として熱分解油系のC8芳 族炭化水素混合物(以下、分解ガソリン)が 目されている。この“分解ガソリン”の代 的な組成は、エチルベンゼン:60重量%、パラ シレン:8重量%、メタキシレン:19重量%、オル ソキシレン:10重量%、非芳香族化合物:3重量% ある。

 “分解ガソリン”は、改質油系のC8芳香 炭化水素混合物と較べ、エチルベンゼン濃 が高いため、「分離-異性化サイクル」にエ ルベンゼンが蓄積し、「分離-異性化サイク ル」を循環するエチルベンゼンの量が増え、 パラキシレン分離工程の負荷が掛かり、パラ キシレンの減産につながるため、これまでは 限られた量しか使用されなかった。また、“ 分解ガソリン”には、エチルベンゼンのみな らず非芳香族炭化水素も多く含んでおり、脱 アルキル化法を用いる場合、「分離-異性化 イクル」を循環する非芳香族炭化水素が多 ので、キシレン異性化工程でのキシレン損 が急激に大きくなり、触媒の劣化速度も速 なるという問題点があった。

 かかる状況から、エチルベンゼンを脱ア キル化反応によりベンゼンとエタンに変換 る際に、以下の4点を達成できることが、パ ラキシレンの増産、原料原単位、用役原単位 の低減及び原料を安定供給するうえで、工業 的に重要な課題である。

 (1)高いエチルベンゼン転化率を達成できる
 (2)非芳香族炭化水素を含む供給原料を触媒 劣化速度を速めることなく処理できる。
 (3)エチルベンゼン転化率を高くしても、キ レン損失を低くすることができる。
 (4)高いパラキシレン転化率を達成できる。

 これまで、エチルベンゼンを脱アルキル 反応によりベンゼンとエタンに変換する際 、エチルベンゼン転化率を高くしても、キ レン損失を低くする方法として、結晶サイ を1ミクロンより大きいゼオライトを用い、 オルソキシレンの拡散速度を低下させる試み (例えば特許文献3)が行われている。

 しかし、かかる方法においても、“分解 ソリン”のようなエチルベンゼン濃度が高 、非芳香族炭化水素を多く含む原料では、 シレン損失が急激に大きくなるのが現状で った。

 また、キシレンの異性化反応では、反応 力を高くすると、下式に示すような2分子反 応である不均化、トランスアルキル化反応、 芳香族炭化水素の核水添反応が優先的に起こ るようになるため、キシレン損失、非芳香族 炭化水素の生成が増加する。さらに、水素化 /脱水素成分として白金を含む触媒を使用す と、触媒価格が高価になるだけでなく、反 圧力、反応温度の上昇に伴い、芳香族炭化 素の水添反応がより急激に進行するため、 シレン損失の増大のみならず、芳香族炭化 素の回収率までも悪化する(例えば特許文献4 )という問題があった。

 また、「分離-異性化サイクル」のエチル ベンゼン循環量をさらに減らす方法として、 原料C8芳香族炭化水素混合物を「分離-異性化 サイクル」に供給する前に、C8芳香族炭化水 混合物中のエチルベンゼンを前記脱アルキ 化法で処理し、主としてベンゼンに転化、 留分離し、「分離-異性化サイクル」を循環 するエチルベンゼン濃度を大幅に低減する方 法(例えば特許文献5)、原料C8芳香族炭化水素 合物を水素化脱アルキル能を持つキシレン 性化工程に供給し、ついでパラキシレン分 工程に供給する方法(例えば特許文献6)など ある。

 これらは、いずれもエチルベンゼンを脱 ルキル化反応によりベンゼンとエタンに変 する反応を行う点では「分離-異性化サイク ル」の異性化反応と同様であるが、前者を用 いる場合、供給原料が「分離-異性化サイク 」で循環しているC8芳香族炭化水素で希釈さ れないため、特に非芳香族炭化水素を多く含 む分解ガソリンなどを供給原料とする場合、 キシレン損失が極端に増加し、触媒の劣化速 度も急激に速くなり、後者を用いる場合、供 給原料は「分離-異性化サイクル」で循環し いるC8芳香族炭化水素で希釈されるが、キシ レン異性化工程への原料供給量が増えるため 、僅かなキシレン損失の悪化であっても、原 料原単位への影響が大きいという問題がある 。即ち、非芳香族炭化水素を多く含む分解ガ ソリンなどを使用する場合、従来技術を使用 すると、触媒の劣化速度が急激に大きくなり 、キシレン損失も増加するため、触媒寿命、 原料原単位が大幅に悪化するという問題があ るため、エチルベンゼンを多く含み「分離- 性化サイクル」のエチルベンゼン循環量を らしたい分解ガソリンなどを使用する場合 、これらのプロセスを採用できない状況で った。

特公昭49-46606号公報

特開昭57-200319号公報

特公平8-16074号公報

米国特許4,899,001号公報(TABLE1)

特公平5-87054号公報

特開平5-24661号公報

 本発明は、非芳香族炭化水素を多く含むC 8芳香族炭化水素混合物中のエチルベンゼン 主としてベンゼンに転化する方法であって キシレンの損失が少なく、触媒活性の劣化 度を抑制でき、且つ高いパラキシレン転化 を達成できる方法の提供を課題とする。

 また、本発明は、パラキシレンを製造す 方法であって、パラキシレン分離工程に供 するC8芳香族炭化水素混合物中のエチルベ ゼン濃度を、大幅に減少させることができ 方法を提供しようとするものである。

 本発明者らは、C8芳香族炭化水素混合物 含まれる非芳香族炭化水素の影響を詳細に 査した結果、非芳香族炭化水素の中でも特 、脂環式炭化水素がC8芳香族炭化水素混合物 のキシレン損失を増加、触媒の劣化速度を上 昇、パラキシレン転化率を低下させているこ とを見出した。

 上記問題の解決方法を鋭意検討した結果 脂環式炭化水素を多く含むキシレン異性化 程への供給原料とレニウムを含む触媒とを 触させて処理する場合、意外なことに反応 力を高くすることにより非芳香族炭化水素 副生、不均化、トランスアルキル化反応が 制でき、「分離-異性化サイクル」を循環す る非芳香族炭化水素、トルエン、C9+芳香族炭 化水素の副生に由来するキシレン損失を減少 させられることを見出し、本発明に到達した 。さらに、供給原料に対する水素の供給量を 増やすことにより、触媒の劣化速度までも大 幅に抑制できることを見出した。

 すなわち、本発明は下記の構成からなる。
 (1)1.0重量%以上の脂環式炭化水素と、エチル ベンゼン及びキシレンを含む供給原料を、触 媒の存在下、水素と接触させて供給原料中の エチルベンゼンを主としてベンゼンに転化す ることを含むエチルベンゼンの転化方法であ って、前記触媒が、MFI型ゼオライトと無機酸 化物から主として構成され、レニウムを担持 する触媒であり、前記転化を、1.0MPa-G以上の 応圧力下で行う、エチルベンゼンの転化方 。

 (2) 1.0重量%以上の脂環式炭化水素と、エ ルベンゼン及びキシレンを含む供給原料を 上記本発明の方法に付して前記供給原料中 エチルベンゼンを主としてベンゼンに転化 る工程と、得られた反応生成物から蒸留分 でC8芳香族炭化水素混合物、好ましくは主 キシレンを含むC8芳香族炭化水素混合物、又 はキシレンを精製する工程と、次いで精製さ れたC8芳香族炭化水素混合物、好ましくは主 キシレンを含むC8芳香族炭化水素混合物、 はキシレンをパラキシレン分離工程に供給 る工程を含む、パラキシレンの製造方法。

 本発明によれば、脂環式炭化水素を多く むC8芳香族炭化水素混合物中のエチルベン ンを主としてベンゼンに転化する際に、キ レン損失を少なくし、触媒の劣化速度を抑 でき、且つ高いパラキシレン転化率を達成 きる。また、本発明によれば、脂環式炭化 素を多く含むC8芳香族炭化水素混合物中のエ チルベンゼンを主としてベンゼンに転化し、 パラキシレン分離工程の負荷、「分離-異性 サイクル」のエチルベンゼン循環量を減ら ことで、パラキシレンの増産、用役原単位 原料原単位の改善が出来る。

本発明の方法を好ましく適用可能な、 良されたパラキシレン製造のための「分離- 異性化サイクル」のフローを示す概念図であ る。 本発明の方法を好ましく適用可能な、 良されたパラキシレン製造のための「分離- 異性化サイクル」のフローを示す概念図であ る。 本発明の方法を好ましく適用可能な、 良されたパラキシレン製造のための「分離- 異性化サイクル」のフローを示す概念図であ る。 従来の一般的なパラキシレン製造のた の「分離-異性化サイクル」のフローを示す 概念図である。 実施例5~7、比較例4、参考例3の結果を す図である。

符号の説明

 1 高沸点成分蒸留分離工程
 2 パラキシレン分離工程
 3 キシレン異性化工程
 4 低沸点成分蒸留分離工程
 5 ストリーム
 6 ストリーム
 7 ストリーム
 8 ストリーム
 9 ストリーム
 10 ストリーム
 11 ストリーム
 12 ストリーム
 13 ストリーム
 14 ストリーム
 15 ストリーム
 16 ストリーム
 17 ストリーム
 18 ストリーム
 19 ストリーム
 20 ストリーム
 21 ストリーム
 22 ストリーム
 24 エチルベンゼンの脱アルキル化工程
 25 ストリーム
 26 ストリーム
 27 ストリーム
 28 ストリーム
 29 ストリーム
 30 ストリーム
 31 ストリーム
 32 ストリーム
 33 ストリーム
 34 ストリーム
 35 ストリーム
 36 ストリーム
 37 ストリーム
 38 ストリーム
 39 ストリーム
 40 ストリーム
 41 ストリーム
 42 ストリーム
 43 ストリーム
 44 ストリーム
 45 ストリーム
 46 ストリーム

 本発明の方法は、供給原料中のエチルベ ゼンを主としてベンゼンに転化する反応に 用される。「主としてベンゼンに転化する とは、転化したエチルベンゼンの物質量に する、生成したベンゼンの物質量の割合(以 下ベンゼン選択率)が80モル%以上である状態 指す。ベンゼン以外への転化反応は、例え エチルベンゼンの不均化によりベンゼンと エチルベンゼンが生成する反応、エチルベ ゼンとキシレンのトランスアルキル化によ 、エチルメチルベンゼンとトルエンが生成 る反応、エチルベンゼンの核水添により非 香族炭化水素が生成する反応などがある。 としてエチルベンゼンを不均化、トランス ルキル化する反応では、2分子反応を優先的 起こすため、一般的に比較的細孔径の大き 酸素12員環構造を有するモルデナイトのよ なゼオライトを含む触媒を用いており、本 明の効果は小さい。一方、主としてエチル ンゼンを核水添し非芳香族炭化水素が生成 る反応、即ち前述の改質法などでは、水素 /脱水素化能をもつ白金が触媒に含まれるた 、供給原料中に含まれる脂環式化合物を芳 族化合物に転化できるため、キシレン損失 増加、触媒劣化速度の上昇などは確認され い。

 本発明は、少なくとも1.0重量%以上の脂環 式炭化水素を含む供給原料に適用することに より、キシレン損失の減少、パラキシレン転 化率の向上、触媒の劣化を抑制する効果があ る。脂環式炭化水素を多く含む供給原料ほど 、キシレン損失の減少、パラキシレン転化率 の向上、触媒の劣化抑制効果が大きい。一方 、供給原料に含まれる脂環式炭化水素の一部 は未反応のまま反応生成液に含まれ、エチル ベンゼンと同様に、その除去率に応じた量が 「分離-異性化サイクル」を循環するため、 済的な観点から、供給原料中の脂環式炭化 素含量の好ましい上限も存在する。好まし は供給原料中の脂環式炭化水素含量が1.0重 %から16重量%、より好ましくは3.0重量%から16 量%で、10重量%から16重量%で最も本発明によ る改善効果が大きくなる。供給原料は、単一 種類の脂環式炭化水素を含むものであっても よいし、複数種類の脂環式炭化水素を含むも のであってもよい。

 脂環式炭化水素は、飽和炭化水素である クロアルカン類、不飽和炭化水素で二重結 を環内に含むシクロアルケン類などがある 、いずれも同様の効果が得られる。特にシ ロアルカン類が存在するとき、本発明の効 が大きい。シクロアルカン類は、単環式飽 炭化水素であるモノシクロアルカン、二環 飽和炭化水素であるビシクロアルカンなど あるが、いずれも同様の効果が得られる。 にモノシクロアルカンが存在するとき、本 明の効果が最も大きい。モノシクロアルカ の中でも、アルキルモノシクロアルカンを む原料に使用する場合、効果が顕著である 脂環式炭化水素の例としては、シクロペン ン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタ 、メチルシクロへヘキサン、ジメチルシク ペンタン、エチルシクロペンタン、ジメチ シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、 ロピルシクロペンタン、エチルメチルシク ペンタン、トリメチルシクロヘキサン、プ ピルシクロヘキサン、エチルメチルシクロ キサン、ジエチルシクロペンタン、メチル ロピルシクロペンタンなどのモノシクロア カン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2. 2.0]ヘキサン、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、ビシ ロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプ タン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2. 1]オクタン、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシク ロ[4.1.1]オクタン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、 シクロ[5.1.0]オクタンなどのビシクロアルカ ン、シクロペンテン、シクロヘキセン、メチ ルシクロペンテン、メチルシクロへヘキセン 、ジメチルシクロペンテン、エチルシクロペ ンテン、ジメチルシクロヘキセン、エチルシ クロヘキセン、プロピルシクロペンテン、エ チルメチルシクロペンテン、トリメチルシク ロヘキセン、プロピルシクロヘキセン、エチ ルメチルシクロヘキセン、ジエチルシクロペ ンテン、メチルプロピルシクロペンテンなど のシクロアルケンなどを挙げることができる 。脂環式炭化水素として、前述のモノシクロ アルカン及び/又はビシクロアルカンが存在 るとき本発明の効果が大きく、さらに好ま くはモノシクロアルカンである。脂環式炭 水素が、メチルシクロペンタン、メチルシ ロへヘキサン、ジメチルシクロペンタン、 チルシクロペンタン、ジメチルシクロヘキ ン、エチルシクロヘキサン、プロピルシク ペンタン、エチルメチルシクロペンタン、 リメチルシクロヘキサン、プロピルシクロ キサン、エチルメチルシクロヘキサン、ジ チルシクロペンタン、メチルプロピルシク ペンタンなどのアルキルモノシクロアルカ である場合、最も顕著な効果が得られる。

 脂環式炭化水素を含む供給原料が、特異 に、触媒の劣化速度を促進し、パラキシレ 転化率の低減、更には、キシレン損失を増 させるのは、以下の理由であると推定して る。

 1)触媒の劣化速度の促進
 脂環式炭化水素は、ゼオライトの固体酸点 で分解する時、オレフィン成分とパラフィ 成分が生成する。特に、脂環式炭化水素は ラフィン系炭化水素より炭素原子数当たり 水素原子数が少ないため、パラフィン系炭 水素が分解する時に較べてより多くのオレ ィン成分が生成する。オレフィン成分は、 ちに水素化してパラフィン成分に変換でき いと、ゼオライトの固体酸点上で重合反応 起こし、固体酸点を被覆するため、触媒の 化速度を促進させると考えられる。

 水素化活性成分として、典型的な成分で る白金成分は、ベンゼン核の水素化活性、 びオレフィン成分の水素化活性ともに極め 高い。それ故、白金成分を担持した触媒は 反応圧力を高くし、水素の分圧が高くなる ベンゼン核の水素化反応が優先的に進行し 芳香族成分の損失が著しく増大する特徴を している。一方、レニウム成分は、ベンゼ 核の水素化活性は低く、オレフィン成分の 素化活性は白金成分ほどではないが高いと う特徴を有している。

 従って、脂環式炭化水素の存在による触 の劣化速度は、白金成分の方が小さく、レ ウム成分の方が大きくなると考えられる。 かし、レニウム成分は、ベンゼン核への水 化活性が著しく低いので、芳香族成分の損 が著しく低い特徴を有している。

 2)パラキシレン転化率の低減
 オレフィン成分が、固体酸点上で重合し、 体酸点を被毒することにより、同じ固体酸 で起きるキシレンの異性化反応が抑制され と考えられる。

 3)キシレン損失の増大
 オレフィンの重合により、固体酸点が被覆 れ、有効な固体酸点が減少すると、触媒活 が低下する。この為、反応温度を上昇させ 必要がある。しかし、キシレンの異性化反 の活性化エネルギーに較べ、生成ベンゼン キシレンとのトランスアルキル化反応、或 は、キシレン分子同士の不均化反応の活性 エネルギーは高いので、反応温度が高くな と、異性化反応よりも、トランスアルキル 不均化反応が起こりやすくなり、キシレン 失の増大を引き起こす。

 特に、MFI型ゼオライトは、その細孔が酸 10員環で形成されている。細孔が酸素12員環 で形成されているモルデナイト型ゼオライト などに較べて、細孔径が小さく、キシレンの ような芳香族炭化水素化合物の最小分子径に 近い。オレフィン重合体が細孔近傍に沈着し ていくと、MFI型ゼオライトの細孔径がますま す小さくなり、細孔内に入りやすいベンゼン 、トルエン、キシレン(特に、パラキシレン) 、細孔内でトランスアルキル化反応を引き こし、分子径の小さいトルエンを生成しや くなると考えられる。

 上記理由から、MFI型ゼオライトと無機酸 物から主として構成され、レニウムを含有 る触媒組成物の場合、特に、反応圧力を高 することにより、レニウム成分による水素 活性を高め、脂環式炭化水素が分解して生 する多量のオレフィン成分を速やかにパラ ィン成分に変換し、オレフィンの重合によ 固体酸点の被覆を抑制することによるキシ ン損失抑制効果が、反応圧力を増加させる とに伴うトランスアルキル反応促進効果よ 大きくなることに起因していると考えられ 。

 本発明に使用される供給原料は、エチル ンゼンを含む。エチルベンゼンの含有量は に規定されないが、反応後のエチルベンゼ 濃度を低く保つためには、エチルベンゼン 多く含む供給原料ほどエチルベンゼン転化 を高くする必要があり、反応温度、触媒へ 負荷が高く、キシレン損失が大きい。即ち エチルベンゼンを多く含む供給原料ほど、 発明のエチルベンゼン転化方法によるキシ ン損失改善の効果が大きくなる。本発明は 使用される供給原料が、エチルベンゼンを8 重量%以上含む場合に有効であり、より好ま くは供給原料は45重量%以上エチルベンゼン 含む。一方、供給原料のエチルベンゼン濃 が高くなりすぎると、供給原料に含まれる シレンの量は相対的に少なくなるため、回 できるキシレンの量が減り、経済性を悪化 せる。本発明は、使用される供給原料が、 チルベンゼンを80重量%以下含む場合に有効 ある。

 本発明に使用されるのは、さらにキシレ を含む供給原料である。キシレンの含有量 、特に限定されないが、通常、15重量%~91重 %程度である。また、キシレンは、異性化工 程に付すことにより、各異性体が所定の割合 で生成されるので、原料中のキシレンの各異 性体の割合は何ら限定されないが、通常、供 給原料中のキシレンの各異性体に占めるパラ キシレンの割合は0~24重量%程度、メタキシレ の割合は50~75重量%程度、オルソキシレンの 合は25~35重量%程度である。例えば、“分解 ソリン”であれば、キシレンの各異性体に めるパラキシレンの割合は23重量%、メタキ レンの割合は53重量%、オルソキシレンの割 は26重量%程度であり、パラキシレン分離工 を出たパラキシレンが乏しいC8芳香族炭化 素であれば、キシレンの各異性体に占める ラキシレンの割合は0.5重量%程度、メタキシ ンの割合は73.5重量%程度、オルソキシレン 割合は26重量%程度である。

 本発明に使用される供給原料は、脂環式 化水素、エチルベンゼン及びキシレンの他 、脂肪族炭化水素及び/又はC9芳香族炭化水 を含んでいてもよい。脂肪族炭化水素の例 しては、n-オクタン、メチルへプタン、ジ チルヘキサン、n-ノナン、メチルオクタン、 エチルへプタンなどが挙げられる。C9芳香族 化水素の例としては、n-プロピルベンゼン iso-プロピルベンゼン、オルソ-エチルメチル ベンゼン、メタ-エチルメチルベンゼン、パ -エチルメチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベ ゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリ チルベンゼン、インダン、インデンなどが げられる。脂環式炭化水素、エチルベンゼ 及びキシレン以外のこれらの成分の合計含 は、特に限定されないが、通常、原料全体 対して30重量%以下である。

 本発明のエチルベンゼン転化反応は、反 圧力を1.0MPa-G以上にして行う。反応圧力を 剰に高くすると不均化、トランスアルキル 反応、芳香族炭化水素の水添反応が優先し 起こるようになるため、好ましくは、1.3MPa-G から5.0MPa-G、より好ましくは1.7MPa-Gから3.0MPa-G である。なお、「-G」はゲージ圧を意味する

 本発明のエチルベンゼン転化反応は、水素 在下で行う。水素は、エチルベンゼンをベ ゼンに転化する際に副生するエチレンをエ ンに水添し、エチルベンゼンの転化反応を 可逆的に進めるために必須である。触媒の 化抑制の観点から水素の添加量は多い程良 が、経済性の観点からは水素の添加量が少 い方が好ましい。水素の供給原料に対する ル比率は(以下H 2 /HCと記す)は、3mol/molから15mol/molで反応を行う 。好ましいH 2 /HCの範囲は、4mol/molから12mol/molであり、より ましくは5mol/molから10mol/molである。H 2 /HCの範囲を、5mol/molから9mol/molとしたとき、 も好ましい効果が得られる。水素は、水素 ス又は水素含有ガスの形態で反応系に供給 れる。ここで、水素含有ガスとしては、例 ば、ナフサ改質処理で得られるガスを高圧 離して得られる水素含有ガス、ナフサ熱分 で得られるガスを高圧分離して得られる水 含有ガス、水蒸気改質法で得られるガスか 二酸化炭素を分離して得られる水素含有ガ 、及び上記水素含有ガスを吸着分離などに り高純度化して得られる水素含有ガス等を げることができる。

 本発明のエチルベンゼン転化方法における 応温度は、通常200℃から550℃、好ましくは 250℃から500℃である。反応の接触時間を表 重量時間空間速度(WHSV)は0.1hr -1 から50hr -1 、好ましくは0.5hr -1 から20hr -1 である。反応温度と重量時間空間速度は、目 標のエチルベンゼン転化率を設定した場合、 いずれか一方を決めると、必然的に他方が決 定する。上記範囲内であれば、反応温度、重 量時間空間速度は、自由に選択することが可 能である。

 本発明のエチルベンゼン転化反応の反応 式は、固定床、移動床、流動床何れの方法 用いられるが、操作の容易さから固定床反 方式が好ましい。

 本発明に使用される触媒に用いられるゼ ライトは、MFI型ゼオライトである。MFI型ゼ ライトは、例えば、特公昭60-35284号公報第4- 5頁の実施例1、特公昭46-10064号公報第7頁の例1 の方法で合成することが出来る。このような MFI型ゼオライト自体及びその製造方法は周知 であり、下記実施例にもその合成方法の1例 具体的に記載されている。

 又、同じゼオライト構造であっても、その 成、特に、シリカ/アルミナモル比(以下SiO 2 /Al 2 O 3 モル比と記す)、或いは、ゼオライト結晶子 大きさ等によってもその触媒性能は変化す 。MFI型ゼオライトにおけるSiO 2 /Al 2 O 3 モル比の好ましい範囲は、20から60、より好 しくは25から55である。該SiO 2 /Al 2 O 3 モル比は、ゼオライト合成時の原料組成比を 制御することによって、達成できる。更には 、ゼオライト構造を構成するアルミニウムを 塩酸等の酸水溶液、或いは、アルミニウムキ レート剤、例えば、エチレンジアミン4酢酸(E DTA)等で除去することにより、ゼオライトのSi O 2 /Al 2 O 3 モル比を増加させることが出来る。又、逆に 、アルミニウムイオンを含む水溶液、例えば 、硝酸アルミニウム水溶液、アルミン酸ソー ダ水溶液等で処理することによりゼオライト 構造の中にアルミニウムを導入しゼオライト のSiO 2 /Al 2 O 3 モル比を減少させ好ましいSiO 2 /Al 2 O 3 モル比にすることも可能である。SiO 2 /Al 2 O 3 モル比の測定は、原子吸光法、蛍光X線回折 、ICP(誘導結合プラズマ)発光分光法等で容易 に知ることが出来る。

 かかるゼオライトを適宜、選択して触媒 形成に利用する。合成ゼオライトは、一般 粉末であるので、使用にあたっては、成型 ることが好ましい。成型法には、圧縮成型 、転動法、押出法等が例として挙げられる 、より好ましくは、押出法である。押出法 は、合成ゼオライト粉末にアルミナゾル、 ルミナゲル、ベントナイト、カオリン等の インダー及び必要に応じて、ドデシルベン ンスルフォン酸ナトリウム、スパン(商品名 )、ツイン(商品名)などの界面活性剤が成型助 剤として添加され、混練りされる。必要によ っては、ニーダーなどの機械が使用される。 バインダーの添加量は、特に限定されないが 、通常、ゼオライト及び無機酸化物100重量部 に対し0重量部~30重量部程度、好ましくは、10 重量部~20重量部程度である。

 本発明に使用される触媒は、触媒上の金 の担持量を増加、分散性を向上させるため ゼオライト成型時にアルミナ、チタニア等 無機酸化物を加える。無機酸化物の中でも にアルミナが好ましい。アルミナとしては ベーマイト、ベーマイトゲル、ジプサイト バイアライト、ノルストランダイト、ジア ポア、無定型アルミナゲル等が知られてい 。いずれのアルミナも好ましく使用できる 無機酸化物の添加量は、特に限定されない 、通常、ゼオライト100重量部に対し10重量 ~700重量部程度、好ましくは、100重量部~400重 量部程度である。

 混練りされた混練り物は、スクリーンか 押し出される。工業的には、押出機が使用 れる。スクリーンから押し出された混練り はヌードル状物となる。使用するスクリー 径により成型体の大きさが決定される。ス リーン径としては、好ましくは0.2mmφから2mm φが用いられる。スクリーンから押し出され ヌードル状成型体は、角を丸めるために、 ルメライザー(商標)により処理されるのが ましい。このようにして成型された成型体 、50℃から250℃で乾燥される。乾燥後、成型 強度を向上させる為、250℃から600℃、好まし くは350℃から600℃で焼成される。

 このようにして調製された成型体は、固体 性を付与するためのイオン交換処理が行わ る。固体酸性を付与する方法としては、ア モニウムイオンを含む化合物(例えば、NH 4 Cl、NH 4 NO 3 、(NH 4  ) 2 SO 4 等)でイオン交換処理し、ゼオライトのイオ 交換サイトにNH 4 イオンを導入し、しかる後、乾燥、焼成によ り、水素イオンに変換する方法、或いは、直 接、酸を含む化合物(例えば、HCl、HNO 3 、H 3 PO 4 等)で、ゼオライトのイオン交換サイトに水 イオンを導入する方法もあるが、後者は、 オライト構造を破壊する恐れがあるので、 ましくは前者、即ち、アンモニウムイオン 含む化合物でイオン交換処理を行う。また 2価、3価金属イオンをゼオライトイオン交換 サイトに導入することによってもゼオライト に固体酸性を付与することが出来る。2価金 イオンとしては、アルカリ土類金属イオン あるMg 2+ 、Ca 2+ 、Sr 2+ 、Ba 2+ を例として挙げることが出来る。3価金属イ ンとしては、希土類金属イオンであるCe 3+ 、La 3+ 等を例として挙げることが出来る。2価及び/ は3価金属イオンを導入する方法とアンモニ ウムイオン或いは直接水素イオンを導入する 方法と組み合わせて用いることもできるし、 より好ましい時もある。本発明では、アンモ ニウムイオンとアルカリ土類金属の組み合わ せが好ましく、特に好ましいのはアンモニウ ムイオンとCa 2+ の組み合わせである。イオン交換処理は通常 水溶液で、上記ゼオライトと無機酸化物から 主として構成される触媒材料を処理すること により行われ、バッチ法或いは流通法で行わ れる。水溶液中のアンモニウムイオンとCa 2+ の濃度は特に限定されないが、通常、それぞ れ0.5mol/L~2.0mol/L程度及び0.08mol/L~0.40mol/L程度で ある。処理温度は、室温から100℃で行われる のが通常である。

 このようにしてイオン交換処理された後 水素化活性金属としてのレニウムを担持さ る。水素化活性金属の役割は、原料中のエ ルベンゼンから脱アルキル化されたエチル や、分解した非芳香族炭化水素に対し、水 存在下で迅速に水素化させて、これら脱ア キル化、分解反応を促進させ、更には触媒 被毒させるオリゴマーの生成を抑えること ある。水素化活性金属担持量が多くなると 香族炭化水素が核水添され好ましくない。 た水素化活性金属担持量が少なくすぎると 脱エチル化反応、非芳香族炭化水素の分解 応の際に水素化能が不十分となるため触媒 性低下を招く。

 本発明のエチルベンゼン転化反応は、水 化活性金属としてはレニウムを担持した触 を用いる。好ましいレニウムの担持量は0.05 重量%から2重量%であり、より好ましくは0.1重 量%から1重量%である。

 レニウムの担持は、一般にレニウム化合 の水溶液に触媒を浸漬する方法を使用する 使用する水溶液としては、例えば過レニウ 酸水溶液、過レニウムアンモニウム水溶液 を利用し得る。

 このようにして調製された触媒は、50℃ ら250℃で30分以上乾燥することが好ましく、 使用に先立って、350℃から600℃で30分以上焼 することが好ましい。

 本発明で用いる触媒は、上記したとおり MFI型ゼオライトと無機酸化物から主として 成され、レニウムを担持する触媒であるが 本発明の効果を阻害しない範囲の含量、す わち、本発明の効果が得られる範囲の含量 、MFI型以外の他の型のゼオライトや、レニ ム以外の他の水素化活性金属等を含んでい もよい。ここで、「MFI型ゼオライトと無機 化物から主として構成され」とは、MFI型ゼ ライトと無機酸化物の含量が、触媒の重量 対して50重量%超であることを意味し、好ま くは80重量%以上、さらに好ましくは90重量% 上、さらに好ましくは、レニウム以外の触 部分は、MFI型ゼオライトと無機酸化物から 質的に成る。

 次に本発明の方法を用いたパラキシレン 造プロセスを説明する。

 図1に、エチルベンゼン及び脂環式炭化水 素を多く含むC8芳香族炭化水素混合物のみを 用し、パラキシレンを製造する場合の好ま いパラキシレン製造フローの一例を示す。C 8芳香族炭化水素混合物がストリーム5により トリーム6で示されるパラキシレン分離工程 2から出てきたパラキシレン濃度の乏しいC8芳 香族炭化水素と合流して、水素化脱アルキル 触媒を含むキシレン異性化工程3に送られ、 こで熱力学的平衡組成に近いパラキシレン 度にまで異性化されると同時に原料C8芳香族 炭化水素混合物中のエチルベンゼンおよびス トリーム6で示されるパラキシレン分離工程2 ら出てきた液中のエチルベンゼンが脱エチ 化されて主としてベンゼンに転化される。 、キシレン異性化工程3にはストリーム7で されるラインを通じて水素又は水素を含む スも送られる。反応生成物はストリーム8を して低沸点成分蒸留分離工程4へ供給され、 ベンゼンなどのC7以下の炭化水素をストリー 9で示されるラインを通じて分離した後、ス トリーム10を介して高沸点成分蒸留分離工程1 に供給され、主としてC9以上の芳香族炭化水 をストリーム12で示されるラインを通じて 離後、ストリーム11でパラキシレン分離工程 2に送られ、ここで製品パラキシレンがスト ーム13で分離される。この製造方法を用いる 際、キシレン異性化工程に本発明の方法を用 いることにより、脂環式炭化水素と、エチル ベンゼン及びキシレンを含む供給原料は、キ シレンの損失の増加を抑えつつ、キシレン異 性化工程でエチルベンゼンを低減された後、 パラキシレン分離工程に供給されるため、パ ラキシレン分離工程に供給するC8芳香族炭化 素混合物に含まれるパラキシレン濃度が高 なり、エチルベンゼン濃度が低くなるため パラキシレン分離工程の負荷も下げること でき、パラキシレンの増産につながる。

 図2に、エチルベンゼン及び脂環式炭化水 素を多く含むC8芳香族炭化水素混合物とエチ ベンゼン及び脂環式炭化水素の含量が少な C8芳香族炭化水素混合物の両方を使用し、 ラキシレンを製造する場合の好ましいパラ シレン製造フローの一例を示す。エチルベ ゼンを多く含むC8芳香族炭化水素混合物がス トリーム14によりストリーム15で示されるパ キシレン分離工程2から出てきたパラキシレ 濃度の乏しいC8芳香族炭化水素と合流して 水素化脱アルキル触媒を含むキシレン異性 工程3に送られ、ここで熱力学的平衡組成に いパラキシレン濃度にまで異性化されると 時に原料C8芳香族炭化水素混合物中のエチ ベンゼンおよびストリーム15で示されるパラ キシレン分離工程2から出てきた液中のエチ ベンゼンが脱エチル化されて主としてベン ンに転化される。尚、キシレン異性化工程3 はストリーム16で示されるラインを通じて 素又は水素を含むガスも送られる。反応生 物はストリーム17を介して低沸点成分蒸留分 離工程4へ供給され、ベンゼンなどのC7以下の 炭化水素をストリーム18で示されるラインを じて分離した後、ストリーム19を介して高 点成分蒸留分離工程1に供給さる。一方、エ ルベンゼン及び脂環式炭化水素の含量が少 いC8芳香族炭化水素混合物は、ストリーム20 により、高沸点成分蒸留分離工程1に供給さ 、ストリーム19及びストリーム20で示されるC 8芳香族炭化水素混合物中の主としてC9以上の 芳香族炭化水素をストリーム22で示されるラ ンを通じて分離後、ストリーム21でパラキ レン分離工程2に送られ、ここで製品パラキ レンがストリーム23で分離される。この製 方法を用いる際、キシレン異性化工程に本 明の方法を用いることにより、脂環式炭化 素と、エチルベンゼン及びキシレンを含む 給原料中は、キシレンの損失の増加を抑え つ、キシレン異性化工程でエチルベンゼン 低減した後、パラキシレン分離工程に供給 れるため、パラキシレン分離工程に供給す C8芳香族炭化水素混合物に含まれるパラキシ レン濃度が高くなり、エチルベンゼン濃度が 低くなるため、パラキシレン分離工程の負荷 も下げることがで、パラキシレンの増産につ ながる。

 図3は、エチルベンゼン及び脂環式炭化水 素を多く含むC8芳香族炭化水素混合物に含ま るエチルベンゼンの大部分を転化した後、 分離-異性化サイクル」に供給する場合に、 好ましいパラキシレン製造フローの一例を示 す。原料C8芳香族炭化水素混合物は、ストリ ム25で示される供給ラインからエチルベン ンの脱アルキル化工程24に供給され、C8芳香 炭化水素混合物に含まれるエチルベンゼン 脱エチル化されて主としてベンゼンに転化 れる。尚、エチルベンゼンの脱アルキル化 程24にはストリーム26で示されるラインを通 じて水素又は水素を含むガスも送られる。得 られた反応生成物は、ストリーム27で示され ラインを介して、ストリーム28で示される インを通じてキシレン異性化工程から出て た副生物を含むC8芳香族炭化水素混合物と共 に低沸点成分蒸留分離工程4に送られる。ベ ゼンなどのC7以下の炭化水素をストリーム29 ら分離する。低沸点成分を分離したC8芳香 炭化水素混合物は、ストリーム30から高沸点 成分蒸留分離工程1に送られ、高沸点成分を トリーム32で示されるラインを通じて除去す る。高沸点成分が除去されたC8芳香族炭化水 はストリーム31で示されるラインを通じて ラキシレン分離工程2に送られ、ストリーム3 3で示されるラインからパラキシレンを分離 収する。そしてパラキシレン濃度の乏しいC8 芳香族炭化水素は、ストリーム34で示される インを通じてキシレン異性化工程3に送られ 、熱力学的平衡組成に近いパラキシレン濃度 まで異性化される。尚、キシレン異性化工程 にはストリーム35で示されるラインを通じて 素又は水素を含むガスも送られる。キシレ 異性化工程から出てきた副生物を含むC8芳 族炭化水素混合物は、ストリーム28で示され るラインを通じて、低沸点成分蒸留分離工程 4に送られ、キシレン異性化工程で副生した ンゼン及びトルエンのような低沸点成分を トリーム29で示されるラインを通じて分離除 去し、高沸点成分を含んだパラキシレン濃度 が高いリサイクル原料がストリーム30で示さ るラインを通じて高沸点成分蒸留分離工程1 に送られる。

 なお、本発明において、供給原料中の脂 式炭化水素の含有量は、上記図1~3中キシレ 異性化工程3及びエチルベンゼンの脱アルキ ル化工程24に供給される供給原料中の含有量 いう。

 この製造方法を用いる際、エチルベンゼ の脱アルキル化工程に本発明の方法を用い ことにより、脂環式炭化水素と、エチルベ ゼン及びキシレンを含む供給原料は、キシ ンの損失の増加を抑えつつ、エチルベンゼ の脱アルキル化工程でエチルベンゼンを低 した後、「分離-異性化サイクル」供給され る。これにより、パラキシレン分離工程に供 給するC8芳香族炭化水素混合物に含まれるパ キシレン濃度が高くなり、エチルベンゼン 度が低くなるため、パラキシレン分離工程 負荷も下げることができ、パラキシレンの 産につながる。さらに、「分離-異性化サイ クル」のエチルベンゼン濃度が低くなり、キ シレン異性化工程でエチルベンゼンとキシレ ンの反応によるキシレン損失が低減できるた め、パラキシレンの原料原単位を改善できる 。

 以下、実施例をもって本発明をさらに詳 に説明する。

 (MFI型ゼオライトの合成)
苛性ソーダ水溶液(NaOH含量48.6重量%、H 2 O含量51.4重量%、三若純薬研究所)40.9グラム、 石酸(酒石酸含量99.7重量%、H 2 O含量0.3重量%、株式会社カーク)15.7グラムを 529グラムに溶解した。この溶液にアルミン ソーダ溶液(Al 2 O 3 含量18.9重量%、NaOH含量25.4重量%、H 2 O含量55.7重量%、ダイソー株式会社)12.83グラム を加え、均一な溶液とした。この溶液に含水 ケイ酸(SiO 2 含量90.4重量%、NaOH含量0.22重量%、Al 2 O 3 含量0.26重量%、H 2 O含量9.12重量%、ニップシールVN-3、日本シリ 株式会社)95.2グラムを攪拌しながら徐々に加 え、均一なスラリー性水性反応混合物を調製 した。この反応混合物の組成比(モル比)は次 とおりであった。
SiO 2 /Al 2 O 3 :55
OH - /SiO 2 :0.26
A/Al 2 O 3 :4.0 (A:酒石酸塩)
H 2 O/SiO 2 :22

 反応混合物は、1000ml容のオートクレーブ 入れ密閉し、その後800rpmで攪拌しながら160 で72時間反応させた。反応終了後、蒸留水 5回水洗、濾過を繰り返し、約120℃で一晩乾 し、MFI型ゼオライトを得た。

 このゼオライトをFE-SEM観察した結果、平均 結晶子の大きさは長軸1.8ミクロン、短軸1.3 クロンであった。
 このゼオライトのSiO 2 /Al 2 O 3 モル比は、蛍光X線回折分析の結果、43であっ た。

 (触媒Aの製造)
 上記のようにして合成されたMFI型ゼオライ を絶対乾燥基準(500℃、20分間焼成した時の 熱減量から計算)で11グラム、擬ベーマイト 造を有する含水アルミナ(住友化学工業株式 会社製)を絶対乾燥基準で29グラム、アルミナ ゾル(Al 2 O 3 含量10重量%、日産化学工業株式会社製)を60グ ラム加え、充分混合した。その後、120℃の乾 燥器に入れ、粘土状になるまで、乾燥した。 その混練り物を1.6mmφの穴を有するスクリー を通して押出した。押出し成型物を、120℃ 一晩乾燥し、次いで、350℃から徐々に500℃ 昇温し、500℃で2時間焼成した。焼成した成 体20グラムを取り、蒸留水60グラムに塩化ア ンモニウム(シグマアルドリッチ株式会社)2.2 ラム、塩化カルシウム・2水和物(株式会社 ーク)1.3グラムを溶解した水溶液に入れ、80 で1時間、時々攪拌しながら処理した。処理 、水溶液を除去し、蒸留水で5回水洗、濾過 を繰り返した。Reとして120ミリグラム含む過 ニウム酸水溶液(希産金属株式会社)30ml中に 温で浸し、2時間放置した。30分毎に攪拌し 。その後、液を切り、120℃で一晩乾燥した 乾燥後、280℃、2時間、17mmolの硫化水素気流 中で処理した。その後、空気中で、540℃、2 間焼成した。この触媒を以下”触媒A”と略 る。触媒中のカルシウム含量及びナトリウ 含量は原子吸光法で測定した結果、Caとし 0.17重量%、Naとして0.3重量%であった。触媒中 のレニウム担持量はICP発光分光法で測定した 結果、Re金属として0.5重量%であった。

 (触媒Bの製造)
 Reとして80ミリグラム含む過レニウム酸水溶 液(稀産金属株式会社)とした以外、触媒Aと同 様に触媒Bを製造した。触媒中のカルシウム 量及びナトリウム含量は原子吸光法で測定 た結果、Caとして0.17重量%、Naとして0.3重量% あった。触媒中のレニウム担持量はICP発光 光法で測定した結果、Re金属として0.3重量% あった。

実施例1
 上記触媒Aを反応管に充填して反応テストを 行った。使用した供給原料の組成、反応条件 、テスト結果を下記表1に示す。尚、供給原 及び反応生成物の組成分析は水素炎検出器 きガスクロマトグラフィー3台を用いた。分 カラムは次の通りである。

 (1)ガス成分(ガス中のメタンからn-ブタンま の成分):
 充填剤:“ユニパックS”(“Unipak S” (商標) )100~150メッシュ、
 カラム:ステンレス製 長さ4m 内径3mmφ
 N 2 :1.65kg/cm 2 -G
 温度:80℃

 (2)ベンゼンより沸点の低い液成分(液中に溶 解しているメタンからn-ブタンと液成分の2- チル-ブタンからベンゼン成分まで):
 充填剤 25%ポリエチレングリコール20M/担体 シマライト” 60~80メッシュ、
 カラム:ステンレス製 長さ12m 内径3mmφ
 N 2 :2.25kg/cm2-G
 温度:68℃から2℃/分の昇温速度で180℃まで 施した。

 (3)ベンゼンより沸点の高い液成分(ベンゼン からヘビーエンド成分まで):
 スペルコ ワックス フューズド シリカキ ピラリィー; 長さ60m 内径0.32mmφ、膜厚0.5μm
  He線速:23cm/秒
 温度:67℃から80℃までは1℃/分の昇温速度、 80℃から2℃/分の昇温速度で200℃まで実施し 。

実施例2~4、比較例1~3、参考例1、2
 供給原料組成、反応条件を表1の通り変更し た以外は、実施例1と同様に反応させた。テ ト結果を上記表1に示す。

 実施例1、比較例1は、脂環式炭化水素で るシクロヘキサンを15.8重量%含んだ原料を、 反応圧力をそれぞれ1.8MPa-G、0.9MPa-Gとし、エ ルベンゼン転化率がほぼ同等となる反応温 に調整した以外は、同じ条件で反応させた 果である。これらの結果から、反応圧力を0. 9MPa-Gから1.8MPa-Gに上げることで、キシレン損 が約20重量%減少し、ベンゼン選択率を3.3mol% 、パラキシレン転化率を0.1重量%改善するこ が解る。

 比較例2、3は、供給原料に添加した脂環 炭化水素をそれぞれジメチルシクロヘキサ 、エチルシクロヘキサンとした以外は、比 例1と同じ反応条件で反応を行った。添加し 脂環式芳香族炭化水素の種類により、影響 異なるが、いずれの結果でも反応圧力を0.9M Pa-Gとした場合、キシレン損失、ベンゼン選 率は大幅に悪化している。また、供給原料 アルキルシクロアルカンであるジメチルシ ロヘキサン、エチルシクロヘキサンを含む 合、キシレン損失の増加が顕著であること 分かる。

 参考例1、2は、それぞれ脂環式炭化水素 び脂肪族炭化水素いずれも添加しない供給 料を反応させたとき、及び脂環式炭化水素 代わりに脂肪族炭化水素であるノルマルオ タンを15重量%添加した供給原料を反応させ ときの結果である。脂肪族炭化水素のみを 加した供給原料では、脂環式炭化水素及び 肪族炭化水素いずれも添加しない供給原料 使用した場合とほぼ同等のキシレン損失、 ンゼン選択率となっており、キシレン損失 増加、ベンゼン選択率の低下は、供給原料 脂環式炭化水素を含む場合のみ現れる特異 な現象で、脂肪族炭化水素を加えてもキシ ン損失の増加、ベンゼン選択率の低下は起 らないことが解る。

 実施例2、3は、脂環式炭化水素であるジ チルシクロヘキサンを約4重量%含んだ原料を 、反応圧力をそれぞれ1.3MPa-G、1.7MPa-Gとし、 チルベンゼン転化率が同じとなる反応温度 調整した以外は、同じ条件で反応させた結 である。これらの比較から、反応圧力を高 するほどキシレン損失、ベンゼン選択率、 ラキシレン転化率ともに好ましい結果が得 れることが分かる。

 また実施例4は、H 2 /HCを3.1mol/molとし、エチルベンゼン転化率が じとなる反応温度に調整した以外は、実施 3と同じ条件で反応させた結果である。実施 3、4の比較から、反応圧力を1.0MPa-G以上に保 てば、H 2 /HCを低くしても、キシレン損失、ベンゼン選 択率への影響は少ないことが解る。

実施例5
 実施例4の条件のまま、反応を継続し、反応 時間とエチルベンゼン転化率の関係を調べた 。結果を図5に示す。エチルベンゼンの転化 の低下速度は一日あたり0.25重量%であった。

実施例6
 実施例2の条件のまま、反応を継続し、反応 時間とエチルベンゼン転化率の関係を調べた 。結果を図5に示す。エチルベンゼンの転化 の低下速度は一日あたり0.03重量%であった。

実施例7
 実施例3の条件のまま、反応を継続し、反応 時間とエチルベンゼン転化率の関係を調べた 。結果を図5に示す。エチルベンゼンの転化 の低下速度は一日あたり0.07重量%であった。

比較例4
 比較例3の条件のまま、反応を継続し、反応 時間とエチルベンゼン転化率の関係を調べた 。結果を図5に示す。エチルベンゼンの転化 の低下速度は一日あたり4.0重量%であった。

参考例3
 反応温度を403℃とした以外は、参考例1と同 じ条件で反応を継続し、反応時間とエチルベ ンゼン転化率の関係を調べた。結果を図5に す。エチルベンゼンの転化率の低下速度は 日あたり0.01重量%であった。

 実施例5は反応圧力を1.3MPa-G、実施例6、7は いずれも反応圧力を1.7MPa-Gで反応を行った結 果で、比較例4は、反応圧力を0.9MPa-Gで反応を 行った結果である。参考例3は、脂環式炭化 素を含まない供給原料で反応圧力を0.9MPa-Gと し、反応を行った結果である。実施例5、6、 較例4の結果から、反応圧力を1.0MPa-G以上と た場合、エチルベンゼン転化率の劣化速度 低減できることが解る。また、実施例6、7 参考例3の比較から、反応圧力を1.0MPa-G以上 、且つ、H 2 /HCを高くすることで、劣化速度をさらに大幅 に低減でき、脂環式炭化水素を含まない場合 とほぼ同等となることが解る。

実施例8、比較例5、参考例4、5
 供給原料組成、反応条件を表2の通り変更し 、触媒Bを使用した以外は、実施例1と同様に 応させた。テスト結果を表2に示す。

 参考例4、5は、脂環式炭化水素を添加し い供給原料を、それぞれ反応圧1.0MPa-G、0.65MP a-Gとし、同じ温度で反応させた結果である。 これらの比較から、脂環式炭化水素を添加し ない供給原料は、反応圧力を低くすると、キ シレン損失が減少し、ベンゼン選択率が向上 することがわかる。実施例8、比較例5は、脂 式炭化水素であるエチルシクロヘキサンを1 .0重量%添加した供給原料を、それぞれ反応圧 1.0MPa-G、0.65MPa-Gとし、同じ温度で反応させた 果である。脂環式炭化水素を含む供給原料 場合、驚くことに脂環式炭化水素を添加し い供給原料の場合とは逆に、反応圧を高く ると、ベンゼン選択率を向上でき、キシレ 損失を減少させることができる。

 本発明は、C8芳香族炭化水素混合物から パラキシレンを製造する方法であって、キ レンの損失が少なく、触媒活性の劣化速度 抑制でき、且つ高いパラキシレン転化率を 成できる方法、及びそのためのエチルベン ンの転化方法を提供するものであるので、 ラキシレンの製造分野において有用である