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Title:
METHOD OF DESALTING ORGANIC WASTE, PROCESS FOR PRODUCING BIOMASS, AND BIOMASS FUEL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/057713
Kind Code:
A1
Abstract:
A method of desalting a high-water-content organic waste which comprises, e.g., livestock feces including livestock excrements such as pig dung, cow dung, or fowl droppings and which contains a large amount of water. Also provided are: a process for producing a biomass fuel; and a biomass fuel. A high-water-content organic waste discharged from an excretion source (1) is treated with desalting facilities (2) to give a dechlorinated organic waste having a chlorine concentration of 4,000 ppm or lower and a water content of 90 mass% or lower. Subsequently, a water content regulator is added to the waste in water-content regulation facilities (21) of biomass fuel production facilities (3) to regulate the water content to 70 mass% or lower. The dechlorinated organic waste is then fermented in a fermentation tank (22) and thermally dried with the heat of fermentation which generates in the course of this fermentation. Thus, a dried dechlorinated organic waste having a chlorine concentration of 4,000 ppm or lower and a water content of 40 mass% or lower is obtained.

Inventors:
SAITOU KANEHIRO (JP)
OKA YUKIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/069796
Publication Date:
May 07, 2009
Filing Date:
October 30, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO OSAKA CEMENT CO LTD (JP)
SAITOU KANEHIRO (JP)
OKA YUKIO (JP)
International Classes:
B09B3/00; B09B5/00; C02F11/00; C02F11/147; C10L5/40; C10L5/48
Foreign References:
JP2004188312A2004-07-08
JPH08176567A1996-07-09
JP2000017278A2000-01-18
JP2000008057A2000-01-11
JP2005112960A2005-04-28
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (Marunouchi Chiyoda-k, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 家畜排泄物および食品廃棄物の少なく一方を含有する有機廃棄物に含まれる塩素および/または塩素化合物を除去する方法であって、
 この有機廃棄物に含まれる塩素および/または塩素化合物を除去し、塩素濃度が4000ppm以下の脱塩素有機廃棄物を得るための脱水処理工程を具備することを特徴とする有機廃棄物の脱塩方法。
 前記脱水処理工程前に、前記有機廃棄物をその等量以上かつ20倍量以下の水に投入または投入・撹拌することにより、前記有機廃棄物を前記水中に拡散させかつ前記有機廃棄物に含まれる塩素および/または塩素化合物を前記水に溶解させたスラリーを得る工程を具備することを特徴とする請求項1記載の有機廃棄物の脱塩方法。
 前記有機廃棄物の含水率が、60質量%以上であることを特徴とする請求項1記載の有機廃棄物の脱塩方法。
 前記脱塩素有機廃棄物の含水率が、90質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の有機廃棄物の脱塩方法。
 家畜排泄物および食品廃棄物の少なくとも一方を含有する有機廃棄物からバイオマス燃料を製造する方法であって、
 上記有機廃棄物に含まれる塩素および/または塩素化合物を除去して脱塩素有機廃棄物を得るための有機廃棄物の脱水処理工程と、
 得られた脱塩素有機廃棄物に、乾燥または加熱乾燥、および水分調整材の添加の少なくとも一方を施すことにより含水率を80質量%以下に調整する含水率調整工程と、
 次いで、この含水率を調整した脱塩素有機廃棄物を発酵させ、発酵過程にて発生する発酵熱を用いる発酵工程とを具備する、塩素濃度が4000ppm以下でありかつ含水率が40質量%以下の乾燥脱塩素有機廃棄物であるバイオマス燃料を製造する方法。
 前記脱塩素有機廃棄物の発酵工程後、発酵した脱塩素有機廃棄物を乾燥または加熱乾燥させる乾燥工程をさらに具備することを特徴とする請求項5記載のバイオマス燃料の製造方法。
 家畜排泄物および食品廃棄物の少なくとも一方を含有する有機廃棄物からバイオマス燃料を製造する方法であって、
 上記有機廃棄物に含まれる塩素および/または塩素化合物を除去して脱塩素有機廃棄物を得るための有機廃棄物の脱水処理工程と、
 得られた脱塩素有機廃棄物を、自然エネルギーを用いて乾燥または加熱乾燥させる乾燥工程とを具備する、塩素濃度が4000ppm以下でありかつ含水率が40質量%以下の乾燥脱塩素有機廃棄物であるバイオマス燃料を製造する方法。
 前記脱塩素有機廃棄物の乾燥工程後、乾燥した脱塩素有機廃棄物を乾燥または加熱乾燥させる乾燥工程をさらに具備することを特徴とする請求項7記載のバイオマス燃料を製造する方法。
 前記脱塩素有機廃棄物を乾燥または加熱乾燥した後に、分級処理、粉砕処理、および解砕処理の少なくとも1処理を行うことを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載のバイオマス燃料の製造方法。
 前記脱水工程前に、前記有機廃棄物をその等量以上かつ20倍量以下の水に投入または投入・撹拌することにより、前記有機廃棄物を前記水中に拡散させかつ前記有機廃棄物に含まれる塩素および/または塩素化合物を前記水に溶解させたスラリーを得る工程を具備することを特徴とする請求項7記載のバイオマス燃料の製造方法。
 前記自然エネルギーが、太陽熱および風力の少なくとも一方であることを特徴とする請求項7記載の有機廃棄物のバイオマス燃料の製造方法。
 前記脱塩素有機廃棄物の発酵工程後のさらなる乾燥工程が、製造設備の廃熱を用いることを特徴する請求項6または8記載のバイオマス燃料の製造方法。
 前記有機廃棄物の含水率が、60質量%以上であることを特徴とする請求項5または7記載のバイオマス燃料の製造方法。
 請求項5または7記載の製造方法により得られた塩素濃度が4000ppm以下でありかつ含水率が40質量%以下であるバイオマス燃料。
 平均粒径が、10mm以下であることを特徴とする請求項13記載のバイオマス燃料。
Description:
有機廃棄物の脱塩方法、バイオ スの製造方法、およびバイオマス燃料

 本発明は、有機廃棄物の脱塩方法、バイオ スの製造方法、およびバイオマス燃料に関 るものである。
 さらに詳しくは、家畜排泄物または食品廃 物等を含有し、しかも水分を多量に含む高 水率有機廃棄物に含まれる塩素濃度を低減 る脱塩方法に関するものである。また、上 高含水率有機廃棄物からバイオマス燃料を 造する方法、およびそれより得られるバイ マス燃料に関するものである。
 本願は、2007年10月31日に出願された特願2007- 283236号および2007-283237号、および2008年3月31日 に出願された特願2008-91648号に基づき優先権 主張し、その内容をここに援用する。

 従来、豚糞、牛糞、鶏糞等の畜糞尿を含む 畜排泄物、あるいは百貨店、スーパーマー ット、コンビニエンスストア、飲食店等に 廃棄される売れ残り弁当や各種残飯等の食 廃棄物は、そのままの状態もしくは発酵さ た状態で肥料として利用するのが一般的で る。
 しかしながら、豚舎等から排出される洗浄 や尿が混入している湿潤家畜糞は、含水率 85%~95%でそのままでは堆肥化が困難である。 そのため、脱水して含水率を80%以下に下げて から堆肥化する必要がある。しかしながら、 脱水により排出される汚水を無害化する必要 がある。さらには、脱水後の汚泥から堆肥を 得るには大排水処理設備や広大な敷地が必要 とされるなど様々な問題があった。

 そこで、これらの問題を解消するために 二次公害の原因となる汚水、汚泥等を系外 排出することのない家畜糞の堆肥化処理方 や処理設備(特許文献1、2)、畜舎から排出さ れる糞尿汚水(床洗浄水を含む)を脱水処理し 固液分離する処理方法(特許文献3)、水分を 有した有機物含有廃棄物に低水分の副資材 混合して発酵させ、この発酵後の混合物か 副資材を分離して堆肥化資材を得る方法(特 許文献4)、畜舎から排出される家畜の尿汚水 浄化処理するとともに得られた汚泥等を堆 化し炭化処理して土壌改良材として再利用 る家畜糞尿処理システム(特許文献5)等が提 されている。

 一方、家畜排泄物や食品廃棄物等を含有 る有機廃棄物の有するエネルギーを有効利 するために、減圧条件下において一定温度 油中に畜糞を浸漬し、その後搾油して固形 を得て、その固形物を助燃材として使用す 畜糞の燃料化方法(特許文献6)等も提案され いる。

 また、家畜排泄物または食品廃棄物は、焼 炉等で焼却することで減容化し、得られた 却灰を肥料として利用することもある。
 特に、近年、家畜排泄物の管理に関する適 化法が施行されたことにより、畜糞尿を含 家畜排泄物の多くが肥料化されることが予 される一方、農地の減少傾向により使用さ る肥料の総量も減少傾向にある。そこで、 畜排泄物や食品廃棄物等の有機廃棄物を有 利用するために、肥料以外の用途の多角化 急務になっており、エネルギーとしての利 もその一つである。

 一般に、家畜排泄物は40質量%以下の低含水 状態では、高発熱量を有する。このような 含水率状態とするためには、長時間の自然 燥や化石燃料を用いた加熱乾燥を必要とす ために、エネルギーとしての利用はごく一 では行われているものの総体的には進んで ない。
 現在行われている家畜排泄物のエネルギー 用としては、鶏糞を発電や廃棄物ボイラー 燃料として用いたり、牛や豚の糞尿をメタ 発酵させてメタンガスを主成分とするバイ ガスを生成させ、このバイオガスを燃料と て用いる等がある。

 このような家畜排泄物や食品廃棄物等の有 廃棄物を有効利用するための様々な方法や 置が提案されており、例えば、次のような 案がなされている。
(1)鶏糞、家畜糞等の含水廃棄処理物を、蒸気 管と燃焼室とを備えた熱風炉と、多段式の乾 燥炭化炉との間に発生蒸気の循環系統を配設 して密閉系内で熱源を循環させながら炭化物 及び灰化物を生成する方法(特許文献7)。
 この方法では、乾燥炭化炉から炭化物を、 風炉から灰化物を、それぞれ回収すること 、二次利用可能な炭化物及び灰化物を同時 資源回収するとともに、省資源化と無公害 の推進とを図っている。
(2)畜糞を乾燥させる乾燥機と、乾燥された畜 糞を小粒と大粒とに分離する分離機と、分離 された小粒の乾燥畜糞を焼却処理する焼却炉 と、乾燥未完了の畜糞を破砕して金属類の混 入異物を露出するとともに、この混入異物を 磁石を介して除去する磁石付振動式篩とを有 する畜糞乾燥焼却装置(特許文献8)。
 この装置では、畜糞原料に混入している石 金属などの金属類異物を簡単容易に撤去す ことで、金属類異物に起因する機械のトラ ルを未然に回避するとともに、この畜糞を 却処理することにより発生する熱を有効利 している。

特公昭63-52000号公報

特公昭63-15040号公報

特開平1-297195号公報

特開2000-72577号公報

特開平11-77095号公報

特開平10-121074号公報

特開2004-330092号公報

特開2005-156085号公報

 ところで、従来より豚や牛の糞尿がエネル ー利用され難い理由は、含水率が85%~95%と高 く、塩素含有量も高いことにあった。
 例えば、豚舎等から排出される洗浄水や尿 混入している高含水率の有機廃棄物は、含 率が85%~95%と高く、塩素含有量も高い。この 高含水率有機廃棄物を従来システムで処理す ると、得られる処理物の含水率も40%~60%と高 なる。したがって、このように高い含水率 有する処理物を燃料として用いた場合、燃 時に発生する熱エネルギーが水分の蒸発潜 に奪われてしまい、エネルギーの有効利用 図ることが難しいという問題点があった。
 さらに、従来のバイオマス燃料には、発生 毎、季節毎に含水率にバラツキ(20~50%)があ 、かつ凝集塊(10mm~100mm)も含まれているため 、燃料としての品質が安定せず、その結果 燃料として有効な発熱量(3200cal/kg以上)を安 して確保することができず、工業用燃料と ては非常に問題があるものであった。

 また、塩素含有量が高い豚、牛、鶏等の糞 を燃焼装置に投入した場合、この塩素成分 ために燃焼装置が腐食したり、あるいは低 点塩素化合物が発生して配管等の様々な箇 で閉塞等の様々なトラブルが発生する虞が るという問題点があった。
 また、乾燥後であっても含水率が40%~60%と高 い豚、牛、鶏等の糞尿を、例えば、セメント 焼成設備に燃料として投入した場合、燃焼時 に発生する熱エネルギーが糞尿に含まれる水 分の蒸発潜熱に奪われてしまい、燃料として のエネルギーの有効利用を図ることが難しい という問題点、及び糞尿中の塩素成分がセメ ントクリンカに混入してセメントの品質を低 下させる虞があるという問題点があった。
 さらに、糞尿中の塩素成分がセメント焼成 備を腐食させる等のトラブルが発生する虞 あるために、セメントの操業に悪影響を及 す虞があった。
 このように、様々な理由から、家畜排泄物 食品廃棄物等を含む有機廃棄物のエネルギ 源としての有効利用ははかばかしくないの 現状である。

 本発明は、上記課題を解決するためにな れたものであって、豚糞、牛糞、鶏糞等の 糞尿を含む家畜排泄物、売れ残り弁当や各 残飯等の食品廃棄物等を含有し、しかも水 を多量に含む高含水率有機廃棄物に含まれ 塩素および/または塩素化合物を効果的に除 去して脱塩素有機廃棄物とすることで、エネ ルギー源としての有効利用を図ることができ 、さらにはセメント焼成設備の燃料として有 効利用することができる高含水率有機廃棄物 の脱塩方法、バイオマスの製造方法、および バイオマス燃料を提供することを目的とする 。

 さらに、水分を多量に含む高含水率有機 棄物の塩素濃度及び含水率を低減するとと に含水率のバラツキを小さくすることによ 、高位の発熱量を確保することができるバ オマス燃料の製造方法、および塩素濃度及 含水率が低く、かつ含水率のバラツキも小 く、高位の発熱量を確保できるバイオマス 料を提供することを目的とする。

 本発明者等は、上記課題を解決するため 鋭意研究を重ねた結果、家畜排泄物、食品 棄物のいずれか一方または双方を含有する 含水率有機廃棄物に含まれる塩素および/ま たは塩素化合物を除去する際に、この高含水 率有機廃棄物を脱水処理することにより、含 有される塩素および/または塩素化合物を除 すれば、塩素濃度が4000ppm以下と極めて低い 塩素有機廃棄物を得ることができる点、得 れた脱塩素有機廃棄物を水分調整した後、 燥させれば、塩素濃度が4000ppm以下かつ含水 率が40質量%以下の乾燥脱塩素有機廃棄物を得 る点、および得られた乾燥脱塩素有機廃棄物 はバイオマス燃料等のエネルギー源として、 さらにはセメント焼成設備のバイオマス燃料 として有効利用することができる点、得られ たバイオマス燃料はセメント焼成設備の操業 やセメント品質に悪影響を及ぼす虞が無い点 を見出し、本発明を完成するに至った。

 すなわち、上記目的を達成するために、本 明は、家畜排泄物および食品廃棄物の少な 一方を含有する有機廃棄物に含まれる塩素 よび/または塩素化合物を除去する方法であ って、この有機廃棄物に含まれる塩素および /または塩素化合物を除去し、塩素濃度が4000p pm以下の脱塩素有機廃棄物を得るための脱水 理工程を具備することを特徴とする有機廃 物の脱塩方法を提供する。
 得られた脱塩素有機廃棄物は、塩素濃度が めて低いバイオマス燃料として有効利用で る。
 また、塩素濃度が極めて低いために、燃焼 置等においても腐食や配管等の閉塞等のト ブルが発生する虞がなく、この脱塩素有機 棄物をセメント焼成設備に投入した場合に いても、セメントの操業や品質に悪影響を ぼす虞が無い。

 上記脱塩方法においては、前記脱水処理工 前に、前記有機廃棄物をその等量以上かつ2 0倍量以下の水に投入または投入・撹拌する とにより、前記有機廃棄物を前記水中に拡 させかつ前記有機廃棄物に含まれる塩素お び/または塩素化合物を前記水に溶解させた ラリーを得る工程を具備することが好まし 。
 スラリーとすることにより、塩素濃度を極 て低くすることができる。このため、脱塩 置や燃焼装置等においても腐食や配管等の 塞等のトラブルが発生する虞を特に低減で る。

 上記脱塩方法においては、前記有機廃棄物 含水率が、60質量%以上であることが好まし 。
 この有機廃棄物の含水率を60質量%以上とす ことにより、有機廃棄物に含まれる塩素お び/または塩素化合物が水に溶解することで 効果的に除去され、よって、塩素濃度が極め て低い脱塩素有機廃棄物を容易かつ安価に得 ることが可能になる。

 上記脱塩方法においては、前記脱塩素有機 棄物の含水率が、90質量%以下であることが ましい。
 この脱塩素有機廃棄物の含水率を90質量%以 とすることにより、燃焼した場合において 、燃焼時に発生する熱エネルギーが脱塩素 機廃棄物に含まれる水分の蒸発潜熱に奪わ ることが無くなり、熱エネルギーの有効利 が図れる。

 また、上記目的を達成するために、本発明 、家畜排泄物および食品廃棄物の少なくと 一方を含有する有機廃棄物からバイオマス 料を製造する方法であって、上記有機廃棄 に含まれる塩素および/または塩素化合物を 除去して脱塩素有機廃棄物を得るための有機 廃棄物の脱水処理工程と、得られた脱塩素有 機廃棄物に、乾燥または加熱乾燥、および水 分調整材の添加の少なくとも一方を施すこと により含水率を80質量%以下に調整する含水率 調整工程と、含水率調整済みの脱塩素有機廃 棄物を発酵させ、発酵過程にて発生する発酵 熱を用いて発酵乾燥工程とを具備する、塩素 濃度が4000ppm以下でありかつ含水率が40質量% 下の乾燥脱塩素有機廃棄物である第一のバ オマス燃料を製造する方法を提供する。
 得られた乾燥脱塩素有機廃棄物をセメント 成設備に燃料として投入した場合において 、セメントの操業や品質に悪影響を及ぼす が無い。

 上記製造方法においては、前記脱塩素有機 棄物の発酵乾燥工程後、発酵乾燥した脱塩 有機廃棄物を、乾燥または加熱乾燥させる 燥工程をさらに具備することが好ましい。
 この脱塩素有機廃棄物を発酵乾燥させた後 、さらに乾燥または加熱乾燥させることに り、得られた乾燥脱塩素有機廃棄物は、発 熱のみを用いた乾燥脱塩素有機廃棄物と比 て高位の発熱量を有しており、燃焼効率が り高いバイオマス燃料として有効利用する とが可能である。
 特に、含水率が40質量%以下と低く、かつ含 率のバラツキも小さいことから、高位の発 量が確保される。

 また、上記目的を達成するために、本発明 、家畜排泄物および食品廃棄物の少なくと 一方を含有する有機廃棄物からバイオマス 料を製造する方法であって、上記有機廃棄 に含まれる塩素および/または塩素化合物を 除去して脱塩素有機廃棄物を得るための有機 廃棄物の脱水処理工程と、得られた脱塩素有 機廃棄物を、自然エネルギーを用いて乾燥ま たは加熱乾燥させる乾燥工程とを具備する、 塩素濃度が4000ppm以下でありかつ含水率が40質 量%以下の乾燥脱塩素有機廃棄物である第二 バイオマス燃料を製造する方法を提供する
 得られた乾燥脱塩素有機廃棄物は、塩素濃 が極めて低くかつ高位の発熱量を有してお 、燃焼効率が高いバイオマス燃料として有 利用することが可能である。
 また、この乾燥脱塩素有機廃棄物をセメン 焼成設備に燃料として投入した場合におい も、セメントの操業や品質に悪影響を及ぼ 虞が無い。
 特に、含水率が40質量%以下と低く、かつ含 率のバラツキも小さいことから、高位の発 量が確保される。
 上記第二のバイオマス燃料を製造する方法 おいては、前記脱塩素有機廃棄物の乾燥工 後、乾燥した脱塩素勇喜廃棄物を乾燥また 加熱乾燥させる乾燥工程をさらに具備する とが好ましい。

 上記第一および第二の製造方法においては 前記脱塩素有機廃棄物を乾燥または加熱乾 した後に、分級処理、粉砕処理、および解 処理の少なくとも1処理を行うことが好まし い。
 脱塩素有機廃棄物は、乾燥または加熱乾燥 た後では、通常、球状、塊状(ブロック状) 板状等、比較的大きな形状を有している。 こで、乾燥または加熱乾燥した脱塩素有機 棄物に対して、分級、粉砕、解砕のいずれ 1つまたは2つ以上を行うことにより、燃焼効 率の高い所望の形状の粉粒体とすることが可 能である。

 上記第一および第二の製造方法において 、前記脱水工程前に、前記有機廃棄物をそ 等量以上かつ20倍量以下の水に投入または 入・撹拌することにより、前記有機廃棄物 前記水中に拡散させかつ前記有機廃棄物に まれる塩素および/または塩素化合物を前記 に溶解させたスラリーを得る工程を具備す ことが好ましい。

 上記第二の製造方法においては、前記自然 ネルギーが、風力および太陽熱の少なくと 一方であることが好ましい。
 化石燃料を用いずに加熱乾燥することが可 になり、よって省エネルギー効果が大きく かつ環境負荷も小さなものとなる。

 上記第一および第二の製造方法においては 前記脱塩素有機廃棄物の発酵工程後のさら る乾燥工程が、製造設備の廃熱を用いるこ が好ましい。
 ここでいう製造設備とは、たとえば得られ バイオマス燃料を使用する設備を例示でき 。より具体的にはセメント焼成設備である メント製造設備などを例示できる。もちろ 、バイオマス製造設備で余熱が生じる場合 はそれを乾燥工程にて廃熱として使用する ともできる。

 上記第一および第二の製造方法において 、前記有機廃棄物の含水率が、60質量%以上 あることが好ましい。

 さらに、上記目的を達成するために、本発 は、上記第一および第二の製造方法により られた塩素濃度が4000ppm以下でありかつ含水 率が40質量%以下であるバイオマス燃料を提供 する。
 燃料として用いた場合においても、燃焼時 発生する熱エネルギーがバイオマス燃料に まれる水分の蒸発潜熱に奪われてしまう虞 無くなり、燃料としてのエネルギーの有効 用を図ることが可能になる。
 また、塩素濃度が極めて低いので、燃焼装 等においても腐食や配管等の閉塞等のトラ ルが発生する虞がなく、またセメント焼成 備に投入した場合においても、セメントの 業や品質に悪影響を及ぼす虞が無い。

 上記バイオマス燃料においては、平均粒 が10mm以下であることが好ましい。従来問題 となっていた凝集塊が含まず、燃焼効率を高 めることが可能になる。

 本発明の有機廃棄物の脱塩方法によれば、 素濃度が極めて低い脱塩素有機廃棄物を容 かつ安価に得ることができる。
 また、塩素濃度が極めて低いので、燃焼装 等においても腐食や配管等の閉塞等のトラ ルを防止することができる。また、この脱 素有機廃棄物をセメント焼成設備に投入し としても、セメントの操業や品質に悪影響 及ぼす虞が無い。

 本発明の第一のバイオマス燃料の製造方法 よれば、塩素濃度が極めて低くかつ高位の 熱量を有する乾燥脱塩素有機廃棄物を容易 つ安価に得ることができる。したがって、 の乾燥脱塩素有機廃棄物を燃焼効率が高い イオマス燃料として有効利用することがで る。
 また、この乾燥脱塩素有機廃棄物をセメン 焼成設備のセメントキルンの窯尻部に燃料 して投入したところ、セメントキルンの燃 効率を維持しながら、石炭投入量の減量が められ、さらには操業やセメント品質に影 はない。

 本発明の第二のバイオマス燃料の製造方法 よれば、塩素濃度が極めて低くかつ高位の 熱量を有する乾燥脱塩素有機廃棄物を容易 つ安価に得ることができる。また、脱塩素 機廃棄物を発酵させる工程が不要であるか 、発酵過程での有機廃棄物自体の熱量損失 無くなる。したがって、この乾燥脱塩素有 廃棄物を燃焼効率が高いバイオマス燃料と て有効利用することができる。
 また、この乾燥脱塩素有機廃棄物をセメン 焼成設備のセメントキルンの窯尻部に燃料 して投入したところ、セメントキルンの燃 効率を維持しながら、石炭投入量の減量が められ、さらには操業やセメント品質に影 はない。

 本発明のバイオマス燃料によれば、燃焼 置等においても腐食や配管等の閉塞等のト ブルを防止することができ、このバイオマ 燃料をセメント焼成設備のセメントキルン 窯尻部に燃料として投入したところ、セメ トキルンの燃焼効率を維持しながら、石炭 入量の減量が認められ、さらには操業やセ ント品質に影響はない。

本発明の一実施形態の高含水率有機廃 物の脱塩・バイオマス燃料の製造設備を示 模式図である。 本発明の他の実施形態の高含水率有機 棄物の脱塩・バイオマス燃料の製造設備を す模式図である。 本発明の他の実施形態の高含水率有機 棄物の脱塩・バイオマス燃料の製造設備を す模式図である。

符号の説明

1 排出源               2 脱塩設備               3 バイオマス燃料の製造 設備
11 1次槽              12 1次固液分離       13 調整槽 
14 1次曝気槽          15 2次固液分離器       16 2次曝気槽
17 膜浸漬槽           18 脱水処理装置        19 処理水受槽
21 水分調整設備        22 発酵槽              23 乾燥装置
24 粉砕機              25 保管庫
201 溶解槽 202 脱水機       203 乾燥設
204 乾燥機 205 粉砕機       206 排水処 装置
321 天日乾燥設備      322 発酵設備           324 乾燥設備
325 粉砕機            326 保管庫

 本発明の有機廃棄物の脱塩方法、バイオマ 燃料の製造方法、およびバイオマス燃料の 良の形態について、図面に基づき説明する
 なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良 理解させるために具体的に説明するもので り、特に指定のない限り、本発明を限定す ものではない。

第一実施形態
 図1は、本発明の一実施形態の有機廃棄物の 脱塩方法及びバイオマス燃料の製造方法に用 いられる脱塩・バイオマス燃料の製造設備を 示す模式図である。
 図1において、1は有機廃棄物を排出する排 源、2は高含水率有機廃棄物の脱塩設備、そ て3はバイオマス燃料の製造設備である。

 ここで、有機廃棄物とは、含水率が60質 %以上、より好ましくは70質量%以上、さらに ましくは80質量%以上の有機廃棄物のことで る。例えば、豚舎、牛舎、鶏舎等の畜舎を 洗により洗浄した際に排出される豚糞尿、 糞尿、鶏糞尿等の畜糞尿と多量の洗浄水と 含む排泄物含有処理水、使用済みの弁当容 や食品用容器を水洗により洗浄する際に排 される食品と多量の水とを含む食品廃棄物 有処理水等が挙げられる。これらは、その 途や必要に応じて、1種のみ、または2種以 を混合して用いることができる。

 排出源1は上記有機廃棄物を排出する源であ り、例えば、豚の糞や尿を含む排泄物を水洗 により洗浄した排泄物含有処理水を排出する 豚舎、牛の糞や尿を含む排泄物を水洗により 洗浄した排泄物含有処理水を排出する牛舎、 鶏のケージ等を水洗により洗浄した排泄物含 有処理水を排出する鶏舎等の畜舎、百貨店、 スーパーマーケット、コンビニエンスストア 等にて廃棄される食品廃棄物やその容器等を 水洗により洗浄した食品廃棄物含有処理水を 排出する食品廃棄処理施設等が挙げられる。
 これらの各施設から排出される高含水率有 廃棄物は、その用途によっては2種類以上を 混合してもよい。

 脱塩設備2は、排出源1から排出される高 水率有機廃棄物を脱塩処理するための設備 あり、高含水率有機廃棄物を貯留する1次槽1 1と、この高含水率有機廃棄物を固液分離す スクリーン等を具備する1次固液分離器12と 固液分離により生じた1次スラリー(水溶液) 貯留して流量を調整する調整槽13と、この1 スラリーを1次曝気処理する1次曝気槽14と、1 次曝気処理されたスラリーを固液分離するス クリーン等を具備する2次固液分離器15と、こ の固液分離により生じた2次スラリー(水溶液) を2次曝気処理する2次曝気槽16と、この2次曝 処理されたスラリーを膜浸漬処理により汚 と処理水とに分離する膜浸漬槽17と、この 泥を脱水処理して含水率が80質量%以下の脱 素有機廃棄物と処理水とに分離する脱水処 装置18と、膜浸漬槽17及び脱水処理装置18か 排出される処理水を一旦貯留し放流する処 水受槽19とを具備している。

 バイオマス燃料の製造設備3は、脱塩設備2 ら送り出される脱塩素有機廃棄物を燃料化 るための設備である。この製造設備3は、脱 素有機廃棄物に水分調整材を添加すること より含水率を80質量%以下に調整する水分調 設備21と、含水率を80質量%以下に調整した 塩素有機廃棄物を発酵させ、この発酵過程 て発生する発酵熱を用いて乾燥させ、塩素 度が4,000ppm以下かつ含水率が40質量%以下の乾 燥脱塩素有機廃棄物とする発酵槽22と、これ 水分調整設備21及び発酵槽22に並列して配置 され、上記脱塩素有機廃棄物に自然エネルギ ーを用いて乾燥または加熱乾燥を施すことに より塩素濃度が4,000ppm以下かつ含水率が40質 %以下の乾燥脱塩素有機廃棄物とする乾燥装 23と、発酵槽22あるいは乾燥装置23から取り された固形状の乾燥脱塩素有機廃棄物に対 て、分級、粉砕、解砕のいずれか1つまたは 2つ以上を行うことにより直径10mm以下の粒子 とする分級機能を有する粉砕機24と、発酵 22、乾燥装置23、および粉砕機24のうち1種以 の装置から排出される乾燥脱塩素有機廃棄 を仕様別や品種別に選別し保管する保管庫2 5とを具備している。
 ここで、自然エネルギーを用いた乾燥とは 風力による乾燥等である。また、自然エネ ギーを用いた加熱乾燥とは、太陽熱による 熱乾燥、太陽熱及び風力を併用した加熱乾 等である。

 発酵槽22としては、縦型密閉式発酵槽、横 開放式発酵槽、横型開放式堆肥舎等が好適 用いられる。また、乾燥装置23としては、太 陽熱及び風力を用いた天日乾燥器等が好適に 用いられる。また、粉砕機24としては、自動 鉢、スタンパ、ニーダー、ロールミル等が 適に用いられる。
 なお、水分調整設備21は、水分調整材を添 した脱塩素有機廃棄物を乾燥または加熱乾 する加熱乾燥手段を備えていてもよい。加 乾燥手段を備えることにより、水分調整材 添加した脱塩素有機廃棄物の含水率調整を やかに行うことができ、より効率的である

 次に、高含水率有機廃棄物の脱塩方法及び イオマス燃料の製造方法について詳細に説 する。
 まず、脱塩方法について図1に基づき詳細に 説明する。
 排出源1から排出される上述した排泄物含有 処理水、食品廃棄物含有処理水等の高含水率 有機廃棄物を脱塩設備2の1次槽11に一旦貯留 、送液ポンプ(図示略)等を用いて1次固液分 器12に投入し、この高含水率有機廃棄物をケ ーキ(固形分)と1次スラリー(水溶液)とに固液 離する。次いで、この固液分離により生じ 1次スラリーを調整槽13に投入して貯留し、 の1次スラリーを調整槽13の計量槽等の定量 給装置を介して1次曝気槽14に導入し、この1 次スラリーに1次曝気処理を施す。

 次いで、この1次曝気処理が施されたスラ リーを、送液ポンプ(図示略)等を用いて2次固 液分離器15に投入し、このスラリーをケーキ( 固形分)と2次スラリー(水溶液)とに分離し、 の固液分離により生じた2次スラリーを2次曝 気槽16に投入し、2次曝気処理を施す。次いで 、この2次曝気処理されたスラリーを膜浸漬 17に投入して膜浸漬処理を施し、汚泥と処理 水とに分離する。次いで、この汚泥を脱水処 理装置18に導入し、脱水処理を施す。

 これにより、高含水率有機廃棄物は、2段階 の固液分離により効果的に脱塩処理が施され 、塩素濃度が4000ppm以下、好ましくは2000ppm以 であり、かつ含水率が90質量%以下、好まし は80質量%以下の脱塩素有機廃棄物となる。
 この膜浸漬槽17及び脱水処理装置18から排出 される処理水は、処理水受槽19に一旦貯留さ た後、放流される。

 一方、1次固液分離器12及び2次固液分離器15 々から取り出されたケーキは、さらに塩素 度の低い脱水汚泥と混合して用いることが きる。
 また、塩素濃度が4000ppmを超えるものについ ては、再度、別途据え付けられた脱塩設備等 を用いて脱塩処理を施した上で、上記脱塩素 有機廃棄物と混合して用いることができる。

高含水率有機廃棄物からバイオマス燃料を製 造する方法(1)
 まず、1次固液分離器12及び2次固液分離器15 々から取り出されたケーキ及び脱水処理装 18から排出される余剰の脱水汚泥を含有す 混合物を次工程であるバイオマス燃料の製 設備3に送り、水分調整設備21にて水分調整 を添加し、その含水率を80質量%以下、好ま くは55質量%以上かつ65質量%以下、より好ま くは55質量%以上かつ60質量%以下に調整する

 ここで、脱塩素有機廃棄物の含水率を80質 %以下に調整する理由は、含水率が80質量%を えた場合、次工程で脱塩素有機廃棄物を発 させる際に、発酵が進行せず、したがって 十分な発酵効果が得られないからである。
 なお、水分調整する前の混合物である脱塩 有機廃棄物の含水率が既に80質量%以下であ 場合には、水分調整工程は不要である。

 水分調整材は、脱塩素有機廃棄物に添加し 拌・混合することにより、脱塩素有機廃棄 及び水分調整材の全体量の含水率を80質量% 下に調整するものであり、この水分調整材 しては、含水率が60質量%以下、好ましくは4 0質量%以下の水分調整材が好適に用いられる この水分調整材の塩素濃度は特に限定する のではないが、塩素濃度が4,000ppm以下であ ば、燃料として用いる場合に塩素濃度低減 果があるので好ましい。
 このような水分調整材としては、例えば、 殻、木屑、廃白土、戻し堆肥等が挙げられ 。これらの水分調整材は複数種組み合わせ 用いることができる。

 なお、水分調整材を添加する方法以外に、 陽熱等の自然エネルギーを用いて乾燥また 加熱乾燥することでも水分調整することが 能である。
 このようにして得られた含水率が80質量%以 の脱塩素有機廃棄物を発酵槽22に導入し、 の脱塩素有機廃棄物を発酵させるとともに この発酵過程にて発生する発酵熱を用いて 熱乾燥させ、塩素濃度が4000ppm以下かつ含水 が40質量%以下の乾燥脱塩素有機廃棄物とす 。

 この乾燥脱塩素有機廃棄物は、単に乾燥し だけでは、球状、塊状、板状等、比較的大 な形状をしていることが多い。用途によっ はこのままの形状でもよいが、セメント焼 設備等にて用いる場合等では、燃焼効率を 上させるために、粉砕機24を用いて分級、 砕、解砕のいずれか1つまたは2つ以上を行い 、直径10mm以下の粒子状とする。
 発酵槽22または粉砕機24から取り出される乾 燥脱塩素有機廃棄物は、保管庫25に搬入され 仕様別や品種別に選別され、保管される。

 このようにして得られた乾燥脱塩素有機廃 物は、塩素濃度が4000ppm以下と極めて低く、 かつ含水率も40質量%以下と低いので、高位の 発熱量を有する乾燥脱塩素有機廃棄物を容易 かつ安価に得ることができる。したがって、 この乾燥脱塩素有機廃棄物を燃焼効率が高い バイオマス燃料として有効利用することがで きる。
 このようにして得られた乾燥脱塩素有機廃 物は、高位の発熱量を有しているので、セ ント焼成設備のセメントキルンの窯尻部等 投入することによりセメント焼成用燃料と て有効利用することができる。

 なお、発酵槽22に導入した脱塩素有機廃棄 の発酵を途中で停止し、この発酵が停止さ た脱塩素有機廃棄物を、乾燥または加熱乾 させることによっても、塩素濃度が4000ppm以 かつ含水率が40質量%以下の乾燥脱塩素有機 棄物を得ることができる。
 この乾燥脱塩素有機廃棄物は、発酵熱のみ 用いた乾燥脱塩素有機廃棄物と比べて高位 発熱量を有しており、燃焼効率がより高い イオマス燃料として有効利用することが可 である。

 高含水率有機廃棄物からバイオマス燃料を 造する方法(2)
 まず、脱水処理装置18から排出される脱塩 有機廃棄物(1次固液分離器12及び2次固液分離 器15各々から取り出されたケーキ及び余剰の 水汚泥を含有する脱塩素有機廃棄物)を次工 程であるバイオマス燃料の製造設備3に送り 乾燥装置23にて脱塩素有機廃棄物に自然エネ ルギーを用いて乾燥または加熱乾燥を施す。
 ここで、自然エネルギーを用いた乾燥とは 風力による乾燥等のことであり、自然エネ ギーを用いた加熱乾燥とは、太陽熱による 熱乾燥、太陽熱及び風力を併用した加熱乾 等のことである。
 これにより、脱塩素有機廃棄物は、塩素濃 が4000ppm以下かつ含水率が40質量%以下の乾燥 脱塩素有機廃棄物となる。

 この乾燥脱塩素有機廃棄物は、発酵熱を用 た乾燥と同様、塊状や板状等、比較的大き 形状をしていることが多い。用途によって このままの形状でもよいが、セメント焼成 備等にて用いる場合等では、燃焼効率を向 させるために、粉砕機24を用いて粉砕また 解砕し、直径10mm以下の粒子状とする。
 粉砕機24から取り出される乾燥脱塩素有機 棄物は、塩素濃度が4000ppm以下と低くかつ高 の発熱量を有し、しかも、直径10mm以下の粒 子状とされているので、セメント焼成設備の セメントキルンの窯尻部等に投入することに よりセメント焼成用燃料として有効利用が可 能である。
 以上により、乾燥装置23または粉砕機24から 取り出される乾燥脱塩素有機廃棄物は、保管 庫25に搬入され、仕様別や品種別に選別され 保管される。

 このようにして得られた乾燥脱塩素有機廃 物は、塩素濃度が4,000ppm以下と極めて低く かつ含水率も40質量%以下と低いので、高位 発熱量を有する乾燥脱塩素有機廃棄物を容 かつ安価に得ることができる。
 このようにして得られた乾燥脱塩素有機廃 物は、高位の発熱量を有しているので、セ ント焼成設備のセメントキルンの窯尻部等 投入することによりセメント焼成用燃料と て有効利用することができる。

バイオマス燃料
 本実施形態のバイオマス燃料は、上記高含 率有機廃棄物に含まれる塩素および/または 塩素化合物を除去し、乾燥、加熱乾燥または 発酵してなるバイオマス燃料であって、その 塩素濃度は4,000ppm以下が好ましく、より好ま くは2,000ppm以下、さらに好ましくは1,000ppm以 下である。
 また、含水率は40質量%以下が好ましく、よ 好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは2 0質量%以下である。

 このバイオマス燃料は、上述した脱塩素有 廃棄物からなるケーキを、乾燥、または加 乾燥、あるいは発酵し、必要に応じて分級 粉砕、解砕のいずれか1つまたは2つ以上を い、塩素濃度が4,000ppm以下かつ含水率が40質 %以下の乾燥脱塩素有機廃棄物とすることで 得ることができる。
 なお、この乾燥脱塩素有機廃棄物を、例え 、ニーダー、ロールミル等の解砕手段を用 て直径10mm以下の粒子状に解砕すれば、燃焼 効率が向上するので好ましい。

 以上説明したように、本第一実施形態の高 水率有機廃棄物の脱塩方法によれば、塩素 度が極めて低い脱塩素有機廃棄物を容易か 安価に得ることができる。
 また、塩素濃度が極めて低いので、燃焼装 等においても腐食や配管等の閉塞等のトラ ルを防止することができる。また、この脱 素有機廃棄物をセメント焼成設備に投入し としても、セメントの操業や品質に悪影響 及ぼす虞が無い。

 第一実施形態のバイオマス燃料の製造方法 よれば、塩素濃度が極めて低くかつ高位の 熱量を有する乾燥脱塩素有機廃棄物を容易 つ安価に得ることができる。したがって、 の乾燥脱塩素有機廃棄物を燃焼効率が高い イオマス燃料として有効利用することがで る。
 また、この乾燥脱塩素有機廃棄物をセメン 焼成設備に燃料として投入した場合におい も、セメントの操業や品質に悪影響を及ぼ 虞が無い。

 第一実施形態のバイオマス燃料によれば 塩素濃度を4000ppm以下かつ含水率を40質量%以 下としたので、燃焼装置等においても腐食や 配管等の閉塞等のトラブルを防止することが でき、このバイオマス燃料をセメント焼成設 備に投入した場合においても、燃焼効率が低 下する虞がなく、セメントの操業や品質に悪 影響を及ぼす虞も無い。

第二実施形態
 さらに、本発明の好ましい有機廃棄物の脱 方法、バイオマス燃料の製造方法、および イソマス燃料を図2に基づき詳細に説明する 。
 図2は、本実施形態の有機廃棄物の脱塩方法 に用いられる脱塩装置を示す模式図であり、 図において、201は溶解槽、202は脱水機、203は 乾燥設備、204は乾燥機、205は粉砕機、206は排 水処理装置である。
 溶解槽201は、貯留された水に有機廃棄物を 入するか、または投入後さらに撹拌するこ により、この有機廃棄物に含まれる塩素お び/または塩素化合物を水に溶解させてスラ リーとすることができるものであればよく、 槽の少なくとも内面が有機廃棄物に含まれる 塩素および/または塩素化合物に対して耐食 を有する金属、例えばステンレス鋼等から る槽が好ましい。例えば、撹拌手段が備え れた密閉式あるいは開放式の溶解槽が好適 ある。

 脱水機202は、微細な有機廃棄物及び塩素お び/または塩素化合物を含むスラリーを脱水 処理して固形状のケーキ(脱水有機廃棄物)と 分とに固液分離することができるものであ ばよく、濾過機、加圧濾過機、遠心脱水機 スクリュープレス等の各種脱水機が使用で 、特に、短時間で固液分離ができるスクリ ープレスが好ましい。
 乾燥設備203は、固形状のケーキ(脱水有機廃 棄物)を乾燥させるために、このケーキに含 れる家畜排泄物や食品廃棄物の種類や量に じて太陽熱単独あるいは太陽熱及び自然の 力による天日乾燥、自然の風力あるいは他 設備からの排気等を利用した風力乾燥、有 廃棄物の発酵に伴う発酵熱による発酵乾燥 いずれか1種、あるいは2種以上を選択するこ とができる設備である。有機廃棄物の発酵乾 燥を行う縦型撹拌式発酵装置、横型開放式発 酵装置等の発酵装置と、太陽熱、自然の風力 、他の設備からの排気等を利用して脱水機202 で脱水処理されたケーキの天日乾燥あるいは 風力乾燥を行うハウスとを備えている。
 なお、この乾燥設備203は、有機廃棄物に含 れる家畜排泄物や食品廃棄物の種類や量が 定される場合には、それらの用途に応じて 発酵装置、ハウスのいずれか一方のみによ 構成してもよい。

 乾燥機204は、乾燥設備203で天日乾燥された ーキの含水率を調整したり、あるいは脱水 202で固液分離されたケーキをさらに乾燥す 必要がある場合等に用いられる装置であり 特に、用途に応じて乾燥、加熱乾燥を使い けることができるという使い勝手の点でヒ タ内蔵の乾燥機が好ましい。
 粉砕機205は、乾燥設備203(あるいは乾燥機204 )から取り出された固形状の乾燥したケーキ( 燥有機廃棄物)に対して分級、粉砕、解砕の いずれか1つまたは2つ以上を行うことにより 径10mm以下の粒子状とする分級機能を有する 装置であり、篩、分級機等を備えた自動乳鉢 、スタンパ、ニーダー、ロールミル等が好適 に用いられる。
 排水処理装置206は、脱水機202からの排水に 定の排水処理を施し、処理済みの排水を放 する装置である。

有機廃棄物の脱塩方法
 次に、この脱塩装置を用いて有機廃棄物を 塩処理する方法について説明する。
 脱塩処理の対象となる有機廃棄物としては 先に説明した家畜排泄物、および食品廃棄 等が挙げられる。これらは、その用途や必 に応じて、1種のみ、または2種以上を混合 て用いることができる。

 次いで、溶解槽201に所定量の水、例えば、 水道水等の新水、あるいは脱水機等から排 される二次水等を投入し、さらに有機廃棄 を投入し、必要に応じて撹拌する。水の投 量は、投入する有機廃棄物の等量以上かつ2 0倍量以下が好ましく、より好ましくは2倍量 上かつ10倍量以下である。
 ここで、水の投入量を、投入する有機廃棄 の等量以上かつ20倍量以下とした理由は、 量未満では、水の量が少なすぎてしまい有 廃棄物に含まれる塩素および/または塩素化 物を水中に充分に溶出させることが困難で り、有機廃棄物内に残ってしまう恐れがあ からである。一方、20倍量を超えると、水 量が多すぎてしまい有機廃棄物に含まれる 素および/または塩素化合物を水中に溶出さ た後の排水処理に多大なエネルギーを要す こととなり、経済的に好ましくないからで る。

 撹拌時間は、有機廃棄物に含まれる塩素お び/または塩素化合物が水に溶解するのに充 分な時間であればよく、通常、3分~60分の範 である。
 この撹拌の間に、有機廃棄物が水洗される 同時に微細化されて水中に拡散するととも 、この有機廃棄物に含まれる塩素および/ま たは塩素化合物が水中に容易に溶出し、この 微細な有機廃棄物は脱塩素有機廃棄物となっ て水中に拡散しスラリーとなる。

 次いで、このスラリーを脱水機202を用いて 水し、できるだけ低含水率のケーキとする このケーキの含水率は90質量%以下、好まし は70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以 である。
 このケーキに含まれる塩素および/または塩 素化合物の量を低減し、かつ用いられる水の 量を低減するためには、低含水率とすること が必須である。このケーキが低含水率であれ ば、後工程である乾燥または加熱乾燥する際 の熱量を低減させることができるので好まし い。

 このスラリーは、脱水機202にて圧搾脱水 れて、塩素濃度が4,000ppm以下、含水率が90質 量%以下の脱塩素有機廃棄物からなるケーキ なる。このケーキに含まれる塩素および/ま は塩素化合物の量は、水洗前の有機廃棄物 比べて60質量%以下にまで減少させることが 能である。この脱水機202から排出される排 は、排水処理装置204により所定の排水処理 施された後、外部の排水路等へ放流される

有機廃棄物からバイオマス燃料を製造する方 法
 以下、図2を用いて有機廃棄物からバイオマ ス燃料を製造する方法を説明する。
 ケーキの乾燥または加熱乾燥は、乾燥設備2 03を用いて、天日乾燥、風力乾燥、発酵乾燥 いずれか1種または2種以上を組み合わせて う。
 例えば、上記ケーキを乾燥設備203内に搬入 、太陽熱等の自然エネルギーを利用した天 乾燥、風力等の自然エネルギーあるいは他 設備からの排気等を利用した風力乾燥、縦 撹拌式発酵装置や横型開放式発酵装置等の 酵装置から発生する発酵熱を用いた発酵乾 等のうち1種、あるいは2種以上を組み合わ て上記ケーキの乾燥を行い、塩素濃度が4,000 ppm以下かつ含水率が40質量%以下の乾燥脱塩素 有機廃棄物とする。
 なお、このケーキを発酵装置を用いて発酵 せると同時に、この発酵熱を用いて乾燥を えば、効率的な乾燥処理を行うことができ 。この発酵装置では、発酵により生じる臭 及び水分を含む空気を水槽内に導入するこ により、この臭気及び水分を取り除いてい ので、臭気等が外部へ漏れる虞はない。

 このようにして得られた乾燥脱塩素有機廃 物は、塩素濃度が4,000ppm以下と低く、かつ 位の発熱量を有しているので、工業用各種 料としての利用が可能である。
 また、この乾燥脱塩素有機廃棄物の含水率 、例えば30質量%以下に調整する必要がある 合、乾燥機204を用いて所定の温度にて所定 間乾燥処理を施すことにより、含水率を所 の範囲内に調整することができる。

 この乾燥脱塩素有機廃棄物は、単に乾燥し だけでは、球状、塊状(ブロック状)、板状 、大きな形状をしていることが多い。用途 よってはこのままの形状でもよいが、セメ ト焼成設備等にて用いる場合等では、燃焼 率を向上させるために、粉砕機205に備えら た篩または分級機を用いて分級した後、こ 粉砕機205により粉砕または解砕して、直径10 mm以下の粒子状とするのがよい。
 このようにして得られた乾燥脱塩素有機廃 物は、塩素濃度が4,000ppm以下と低くかつ高 の発熱量を有し、しかも、直径10mm以下の粒 状とされているので、セメント焼成設備の メントキルンの窯尻部等に投入することに りセメント焼成用燃料として有効利用され 。

バイオマス燃料
 本実施形態のバイオマス燃料は、上記有機 棄物に含まれる塩素および/または塩素化合 物を除去し、乾燥または加熱乾燥してなるバ イオマス燃料であって、その塩素濃度は4,000p pm以下が好ましく、より好ましくは2,000ppm以 、さらに好ましくは1,000ppm以下である。
 また、含水率は40質量%以下が好ましく、よ 好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは1 5質量%以下である。
 このバイオマス燃料は、上述した脱塩素有 廃棄物からなるケーキを乾燥または加熱乾 し、必要に応じて粉砕または解砕し、塩素 度が4,000ppm以下かつ含水率が40質量%以下の 燥脱塩素有機廃棄物とすることで得ること できる。

 以上説明したように、本実施形態の有機廃 物の脱塩方法によれば、有機廃棄物を、そ 等量以上かつ20倍量以下の水に投入または 入・撹拌することにより、有機廃棄物を水 に拡散させかつ有機廃棄物に含まれる塩素 よび/または塩素化合物を前記水に溶解させ スラリーとし、次いで、このスラリーを脱 するので、塩素濃度が4000ppm以下、含水率が 80質量%以下の脱塩素有機廃棄物をバイオマス 燃料として有効利用することができる。
 また、塩素濃度が4,000ppm以下と極めて低い で、燃焼装置等においても腐食や配管等の 塞等のトラブルを防止することができる。 た、この脱塩素有機廃棄物をセメント焼成 備に燃料として投入した場合、塩素濃度が4, 000ppm以下と極めて低く、セメントの操業や品 質に悪影響を及ぼす虞が無い。

 本実施形態のバイオマス燃料の製造方法に れば、塩素濃度が4,000ppm以下、含水率が80質 量%以下の脱塩素有機廃棄物を乾燥または加 乾燥して、塩素濃度が4,000ppm以下かつ含水率 が40質量%以下の乾燥脱塩素有機廃棄物とする ので、塩素濃度が4,000ppm以下と極めて低くか 高位の発熱量を有し、しかも燃焼効率が高 バイオマス燃料を得ることができる。
 また、この乾燥脱塩素有機廃棄物をセメン 焼成設備に燃料として投入した場合、塩素 度が4,000ppm以下と極めて低くかつ含水率も40 質量%以下と低いことから、セメント焼成設 における燃焼効率を高めることができ、し もセメントの操業や品質に悪影響を及ぼす が無い。

 本実施形態のバイオマス燃料によれば、 素濃度を4,000ppm以下かつ含水率を40質量%以 としたので、燃焼装置等においても腐食や 管等の閉塞等のトラブルが発生する虞がな 、また、セメント焼成設備に投入した場合 おいても、セメント焼成設備における燃焼 率が高く、しかもセメントの操業や品質に 影響を及ぼす虞が無いバイオマス燃料を容 かつ安価に得ることができる。

 第三実施形態
 以下、本発明の他の好ましい有機廃棄物の 塩方法、バイオマス燃料の製造方法、およ バイオマス燃料を図3に基づき詳細に説明す る。
 図3において、1は有機廃棄物を排出する排 源、2は高含水率有機廃棄物の脱塩設備、そ て3はバイオマス燃料の製造設備である。

 ここで、有機廃棄物とは、含水率が60質 %以上、より好ましくは70質量%以上、さらに ましくは80質量%以上の有機廃棄物のことで り、例えば、豚舎、牛舎、鶏舎等の畜舎を 洗により洗浄した際に排出される豚糞尿、 糞尿、鶏糞尿等の畜糞尿と多量の洗浄水と 含む排泄物含有処理水、豚糞尿、牛糞尿、 糞尿等の畜糞尿を等量以上かつ20倍量以下 水に投入・撹拌して得られる畜糞尿含有ス リー、使用済みの弁当容器や食品用容器を 洗により洗浄する際に排出される食品と多 の水とを含む食品廃棄物含有処理水、等が げられる。これらは、その用途や必要に応 て、1種のみまたは2種以上を混合して用いる ことができる。

 排出源1は、上記の有機廃棄物を排出する源 であり、例えば、豚の糞や尿を含む排泄物を 水洗により洗浄した排泄物含有処理水を排出 する豚舎、牛の糞や尿を含む排泄物を水洗に より洗浄した排泄物含有処理水を排出する牛 舎、鶏のケージ等を水洗により洗浄した排泄 物含有処理水を排出する鶏舎等の畜舎、豚糞 尿、牛糞尿、鶏糞尿等の畜糞尿を等量以上か つ20倍量以下の水に投入・撹拌して得られる 糞尿含有スラリーの貯留槽、百貨店、スー ーマーケット、コンビニエンスストア等に 廃棄される食品廃棄物やその容器等を水洗 より洗浄した食品廃棄物含有処理水を排出 る食品廃棄処理施設等が挙げられる。
 これらの各施設から排出される高含水率有 廃棄物は、その用途によっては、2種類以上 を混合してもよい。

 脱塩設備2は、排出源1から排出される高 水率有機廃棄物を塩素濃度が4000ppm以下にな ように脱塩処理するための設備であり、高 水率有機廃棄物を貯留する1次槽11と、この 含水率有機廃棄物を固液分離するスクリー 等からなる1次固液分離器12と、固液分離に り生じた1次スラリー(水溶液)を貯留し流量 調整する調整槽13と、この1次スラリーを1次 曝気処理する1次曝気槽14と、1次曝気処理さ たスラリーを固液分離するスクリーン等か なる2次固液分離器15と、この固液分離によ 生じた2次スラリー(水溶液)を2次曝気処理す 2次曝気槽16と、この2次曝気処理されたスラ リーを膜浸漬処理により汚泥と処理水とに分 離する膜浸漬槽17と、この汚泥を脱水処理し 含水率が85質量%以下の脱塩素有機廃棄物と 理水とに分離する脱水処理装置18と、膜浸 槽17及び脱水処理装置18から排出される処理 を一旦貯留し放流する処理水受槽19とによ 構成されている。

 バイオマス燃料の製造設備3は、脱塩設備 2から送り出される塩素濃度が4000ppm以下の脱 素有機廃棄物を燃料化するための設備であ 、この脱塩素有機廃棄物に自然エネルギー 用いて乾燥または加熱乾燥を施し一次乾燥 塩素有機廃棄物とする天日乾燥設備321と、 記の脱塩素有機廃棄物に有機廃棄物の発酵 程にて発生する発酵熱を用いて乾燥または 熱乾燥を施し一次乾燥脱塩素有機廃棄物と る発酵設備322と、これらの一次乾燥脱塩素 機廃棄物に、製造設備から排出される排熱 用いて乾燥または加熱乾燥を施し二次乾燥 塩素有機廃棄物とする乾燥設備324と、乾燥 備324から取り出された二次乾燥脱塩素有機 棄物に対して、分級、粉砕、解砕のいずれ 1つまたは2つ以上を行うことにより直径10mm 下の粒子状とする分級機能を有する粉砕機3 25と、乾燥設備324または粉砕機325、あるいは 燥設備324及び粉砕機325から排出される二次 燥脱塩素有機廃棄物を仕様別や品種別に選 し保管する保管庫326とにより構成されてい 。

 ここで、自然エネルギーを用いた乾燥と 、風力による乾燥等であり、また、自然エ ルギーを用いた加熱乾燥とは、太陽熱によ 加熱乾燥、太陽熱及び風力を併用した加熱 燥等である。

 天日乾燥設備321は、脱塩素有機廃棄物の種 や量に応じて太陽熱単独、あるいは太陽熱 び自然の風力を用いて天日乾燥を行う設備 あり、太陽熱及び風力を用いた天日乾燥器 が好適に用いられる。
 発酵設備322は、脱塩素有機廃棄物を発酵さ る際に生じる発酵熱を用いて、この脱塩素 機廃棄物を乾燥または加熱乾燥させる設備 あり、例えば、縦型密閉式発酵槽、横型開 式発酵槽、横型開放式堆肥舎等が好適に用 られる。
 ここでは、天日乾燥設備321と発酵設備322は 列に配置されているが、これら天日乾燥設 321及び発酵設備322は、必要に応じて直列に 置してもよく、さらに、これら直列に配置 れた天日乾燥設備321及び発酵設備322を複数 、並列配置してもよい。

 乾燥設備324は、天日乾燥設備321または発酵 備322から取り出される一次乾燥脱塩素有機 棄物に、製造設備323から排出される排熱を いて乾燥または加熱乾燥を施す設備である 製造設備323としては、セメント製造設備の メントキルン、仮焼炉、クリンカクーラー サスペンションプレヒーター等が挙げられ 。
 粉砕機325としては、分級機能を備えた自動 鉢、解砕機、スタンパ、ニーダー、ロール ル等が好適に用いられる。

高含水率有機廃棄物からバイオマス燃料を製 造する方法
 本実施形態のバイオマス燃料製造方法につ て図3に基づき詳細に説明する。
 排出源1から排出される上述した排泄物含有 処理水、食品廃棄物含有処理水等の高含水率 有機廃棄物を脱塩設備2の1次槽11に一旦貯留 、送液ポンプ(図示略)等を用いて1次固液分 器12に投入し、この高含水率有機廃棄物をケ ーキ(固形分)と1次スラリー(水溶液)に固液分 する。次いで、この固液分離により生じた1 次スラリーを調整槽13に投入して貯留し、こ 1次スラリーを調整槽13の計量槽等の定量供 装置を介して1次曝気槽14に導入し、この1次 スラリーに1次曝気処理を施す。

 次いで、この1次曝気処理が施されたスラ リーを、送液ポンプ(図示略)等を用いて2次固 液分離器15に投入し、このスラリーをケーキ( 固形分)と2次スラリー(水溶液)に分離し、こ 固液分離により生じた2次スラリーを2次曝気 槽16に投入し、2次曝気処理を施す。次いで、 この2次曝気処理されたスラリーを膜浸漬槽17 に投入して膜浸漬処理を施し、汚泥と処理水 とに分離する。次いで、この汚泥を脱水処理 装置18に導入し、脱水処理を施す。

 これにより、高含水率有機廃棄物は、2段階 の固液分離により効果的に脱塩処理が施され 、塩素濃度が4,000ppm以下、好ましくは2,000ppm 下であり、かつ含水率が90質量%以下、好ま くは80質量%以下のケーキ状の脱塩素有機廃 物となる。
 この膜浸漬槽17及び脱水処理装置18から排出 される処理水は、処理水受槽19に一旦貯留さ た後、放流される。

 一方、1次固液分離器12及び2次固液分離器15 々から取り出されたケーキは、さらに塩素 度の低い脱水汚泥と混合して用いることが きる。
 また、塩素濃度が4,000ppmを超えるものにつ ては、再度、別途据え付けられた脱塩設備 を用いて脱塩処理を施した上で、上記のケ キ状の脱塩素有機廃棄物と混合して用いる とができる。

 次いで、この脱塩素有機廃棄物を燃料製造 備3に搬送し、燃料化する。
 この脱塩素有機廃棄物からバイオマス燃料 製造する方法としては、次の(1)、(2)のいず かの方法がある。
(1)脱塩素有機廃棄物を天日乾燥設備321に搬入 し、太陽熱や風力等の自然エネルギーを用い て乾燥または加熱乾燥し、一次乾燥脱塩素有 機廃棄物とする。
(2)脱塩素有機廃棄物を発酵設備322に搬入し、 この脱塩素有機廃棄物の発酵過程にて発生す る発酵熱を用いて乾燥または加熱乾燥し、一 次乾燥脱塩素有機廃棄物とする。
 これらの方法は、単独で行ってもよく、併 してもよい。

 この一次乾燥脱塩素有機廃棄物は、天日乾 や発酵乾燥を行っただけでは、発生元毎、 節毎に含水率に20%~50%の範囲でバラツキが生 じている。
 そこで、乾燥設備324に搬入して、セメント 造設備のセメントキルン、仮焼炉、クリン クーラー、サスペンションプレヒーター等 ら排出される排熱を用いて乾燥または加熱 燥を施す。
 セメントキルン、仮焼炉、クリンカクーラ 、サスペンションプレヒーター等から排出 れる排熱は、200℃以上の高温であるから、 次乾燥脱塩素有機廃棄物を効率よく、しか 短時間で加熱乾燥することが可能である。

 このようにして得られた二次乾燥脱塩素有 廃棄物は、球状、塊状、板状等、比較的大 な形状をしていることが多い。用途によっ はこのままの形状でもよいが、セメント焼 設備等にて用いる場合等では、燃焼効率を 上させるために、粉砕機325を用いて分級、 砕、解砕のいずれか1つまたは2つ以上を行 、平均粒径が10mm以下の粒子状とする。
 乾燥設備324あるいは粉砕機325から取り出さ た二次乾燥脱塩素有機廃棄物は、保管庫326 搬入され、仕様別や品種別に選別され、保 される。

 このようにして得られた乾燥脱塩素有機廃 物は、塩素濃度が4,000ppm以下と極めて低く 含水率も40質量%以下と低く抑えられている で、高位の発熱量を有する乾燥脱塩素有機 棄物を容易かつ安価に得ることができる。 たがって、この乾燥脱塩素有機廃棄物を燃 効率が高いバイオマス燃料として有効利用 ることができる。
 このようにして得られた乾燥脱塩素有機廃 物は、高位の発熱量を有しているので、セ ント焼成設備のセメントキルンの窯尻部等 投入することによりセメント焼成用燃料と て有効利用することができ、セメントの操 や品質への悪影響も無い。

バイオマス燃料
 本実施形態のバイオマス燃料は、上記の高 水率有機廃棄物に含まれる塩素および/また は塩素化合物を除去し、乾燥または加熱乾燥 してなるバイオマス燃料であって、その塩素 濃度は4,000ppm以下が好ましく、より好ましく 2,000ppm以下、さらに好ましくは1,000ppm以下で ある。
 また、含水率は40質量%以下が好ましく、よ 好ましくは20質量%以下である。

 このバイオマス燃料は、上記の高含水率有 廃棄物に脱水処理を施すことにより、この 含水率有機廃棄物に含まれる塩素および/ま たは塩素化合物を除去して脱塩素有機廃棄物 とし、次いで、この脱塩素有機廃棄物に、自 然エネルギー、発酵熱エネルギーのいずれか 一方または双方を用いて乾燥または加熱乾燥 を施し、さらに、製造設備の排熱を用いて乾 燥または加熱乾燥を施すことにより、塩素濃 度が4000ppm以下かつ含水率が40質量%以下の乾 脱塩素有機廃棄物とすることで、得ること できる。
 なお、この乾燥脱塩素有機廃棄物を、例え 、分級機能を備えた自動乳鉢、スタンパ、 ーダー、ロールミル等の粉砕機325を用いて 均粒径が10mm以下の粒子状とすれば、燃焼効 率が向上するので好ましい。

 以上説明したように、本実施形態のバイ マス燃料の製造方法によれば、脱塩素有機 棄物に、自然エネルギー、発酵熱エネルギ のいずれか一方または双方を用いて乾燥ま は加熱乾燥を施し、さらに、製造設備の排 を用いて乾燥または加熱乾燥を施すので、 素濃度及び含水率が極めて低くかつ高位の 熱量を有する乾燥脱塩素有機廃棄物を容易 つ安価に得ることができる。したがって、 の乾燥脱塩素有機廃棄物を燃焼効率が高い イオマス燃料として有効利用することがで る。

 また、乾燥または加熱乾燥に、太陽熱等の 然エネルギーや有機廃棄物の発酵熱エネル ーに加えて、製造設備の排熱を用いるので 化石燃料を用いる必要がなく、省エネルギ 効果を高めることができ、しかも環境負荷 小さい。
 このようにして得られた乾燥脱塩素有機廃 物は、高位の発熱量を有しているので、セ ント焼成設備のセメントキルンや仮焼炉等 投入することにより、セメント焼成用燃料 して有効利用することができ、セメントの 業や品質への悪影響も無い。

 本実施形態のバイオマス燃料によれば、塩 濃度を4,000ppm以下かつ含水率を40質量%以下 したので、高位の発熱量を有し、燃焼効率 高く、省エネルギー効果が大きく、しかも 境負荷が小さいバイオマス燃料を提供する とができる。
 また、塩素濃度が4,000ppm以下と極めて低い で、燃焼装置等においても腐食や配管等の 塞等のトラブルを防止することができ、こ バイオマス燃料をセメント焼成設備に投入 た場合においても、燃焼効率が低下する虞 なく、セメントの操業や品質に悪影響を及 す虞も無い。
 このバイオマス燃料は、セメント焼成設備 燃料としての他、廃棄物発電用、廃棄物ボ ラー用等、広範囲の燃料として利用が可能 ある。

 以下、実施例及び比較例により本発明を 体的に説明するが、本発明はこれらの実施 により限定されるものではない。

(実施例1)
 含水率90質量%、塩素濃度8000ppmの豚糞100kg及 脱塩処理を施した上水道水100Lを含む高含水 率有機廃棄物を、脱水機を用いて脱水し、含 水率83質量%、塩素濃度2060ppmのケーキ47kgを得 。
 次いで、このケーキに、水分調整材として 水率20質量%、塩素濃度500ppmの副資材27kgを添 加し、攪拌・混合して水分調整を行い、含水 率60質量%、塩素濃度920ppmの脱塩素豚糞を得た 。

 次いで、この脱塩素豚糞を縦型発酵槽に投 し、発酵熱及び風力を用いて脱塩素豚糞を 燥し、乾燥脱塩素豚糞を得た。
 この乾燥脱塩素豚糞の塩素濃度は920ppm、含 率は15質量%であった。
 また、この乾燥脱塩素豚糞をセメント焼成 備のセメントキルンの窯尻部に燃料として 入したところ、セメントキルンの燃焼効率 維持しながら、石炭投入量の減量が認めら た。操業やセメント品質に影響はなかった

(実施例2)
 含水率90質量%、塩素濃度7500ppmの牛糞100kg及 脱塩処理を施した上水道水100Lを含む高含水 率有機廃棄物を、脱水機を用いて脱水し、含 水率80質量%、塩素濃度1580ppmのケーキ40kgを得 。
 次いで、このケーキに、水分調整材として 水率20質量%、塩素濃度500ppmの戻し堆肥(乾燥 脱塩素牛糞)20kgを添加し、攪拌・混合して水 調整を行い、含水率60質量%、塩素濃度860ppm 脱塩素牛糞を得た。

 次いで、この脱塩素牛糞を横型開放式堆肥 に搬入し、発酵熱を用いて乾燥させ、乾燥 塩素牛糞を得た。
 この乾燥脱塩素牛糞の塩素濃度は860ppm、含 率は15質量%であった。
 また、この乾燥脱塩素牛糞をセメント焼成 備のセメントキルンの窯尻部に燃料として 入したところ、セメントキルンの燃焼効率 維持しながら、石炭投入量の減量が認めら た。操業やセメント品質に影響はなかった

(実施例3)
 含水率90質量%、塩素濃度8500ppmの豚糞100kg及 脱塩処理を施した上水道水100Lを含む高含水 率有機廃棄物を、脱水機を用いて脱水し、含 水率85質量%、塩素濃度2530ppmのケーキ53kgを得 。
 次いで、このケーキを乾燥装置に搬入し、 陽熱及び風力を用いて天日乾燥を行い、含 率60質量%、塩素濃度2530ppmの脱塩素豚糞を得 た。

 次いで、この脱塩素豚糞を縦型密閉式発酵 に投入し、発酵熱及び風力を用いて加熱乾 させ、乾燥脱塩素豚糞を得た。
 この乾燥脱塩素豚糞の塩素濃度は2530ppm、含 水率は15質量%であった。
 また、この乾燥脱塩素豚糞をセメント焼成 備のセメントキルンの窯尻部に燃料として 入したところ、セメントキルンの燃焼効率 維持しながら、石炭投入量の減量が認めら た。操業やセメント品質に影響はなかった

(実施例4)
 含水率90質量%、塩素濃度8000ppmの豚糞100kg及 脱塩処理を施した上水道水100Lを含む高含水 率有機廃棄物を、脱水機を用いて脱水し、含 水率83質量%、塩素濃度2060ppmのケーキ47kgを得 。

 次いで、このケーキを乾燥装置に搬入し、 陽熱及び風力を用いて天日乾燥を行い、乾 脱塩素豚糞を得た。
 この乾燥脱塩素豚糞の塩素濃度は2060ppm、含 水率は20質量%であった。
 また、この乾燥脱塩素豚糞をセメント焼成 備のセメントキルンの窯尻部に燃料として 入したところ、セメントキルンの燃焼効率 維持しながら、石炭投入量の減量が認めら た。操業やセメント品質に影響はなかった

(実施例5)
 含水率95質量%、塩素濃度9000ppmの牛糞100kgを 水機を用いて脱水し、含水率80質量%、塩素 度1900ppmの脱塩素牛糞25kgを得た。
 次いで、この脱塩素牛糞を横型開放式堆肥 に搬入し、発酵熱により乾燥させて乾燥脱 素牛糞6kgを得た。この乾燥脱塩素牛糞の塩 濃度は1900ppm、含水率は15質量%であった。
 また、この乾燥脱塩素牛糞をセメント焼成 備のセメントキルンの窯尻部に燃料として 入したところ、セメントキルンの燃焼効率 維持しながら、石炭投入量の減量が認めら た。操業やセメント品質に影響はなかった

(実施例6)
 含水率92質量%、塩素濃度7000ppmの豚糞100kg及 脱塩処理を施した上水道水50Lを含む高含水 有機廃棄物を、脱水機を用いて脱水し、含 率85質量%、塩素濃度2200ppmのケーキ53kgを得 。
 次いで、水分調整材として、含水率20質量% 塩素濃度500ppmの副資材4kgをこのケーキに添 した。ついで、撹拌・混合した後、水分調 を行い、含水率80質量%、塩素濃度1700ppmの脱 塩素豚糞57kgを得た。
 ついでこの脱塩素脱糞を縦型発酵槽に投入 、発酵熱および風力を用いて乾燥し、乾燥 塩素豚糞13kgを得た。この乾燥脱塩素豚糞の 塩素濃度は1700ppm、含水率は15質量%であった
 また、この乾燥脱塩素豚糞をセメント焼成 備のセメントキルンの窯尻部に燃料として 入したところ、セメントキルンの燃焼効率 維持しながら、石炭投入量の減量が認めら た。操業やセメント品質に影響はなかった

(比較例1)
 含水率80質量%、塩素濃度8000ppmの豚糞100kg及 脱塩処理を施した上水道水1500Lを含む高含 率有機廃棄物を、脱水機を用いて脱水し、 水率95質量%のケーキを得た。
 次いで、このケーキを、乾燥器に搬入し、 陽熱及び風力を用いて天日乾燥を行った。
 得られた乾燥豚糞の塩素濃度は5200ppm、含水 率は50質量%であった。
 また、この乾燥豚糞をセメント焼成設備の メントキルンの窯尻部に燃料として投入し ところ、セメントキルンの燃焼効率が低下 、得られたセメントの塩素濃度も高く、セ ントの操業や品質に大きな影響があった。

(実施例7)
 有機廃棄物として、含水率45質量%、塩素濃 6500ppmのブロイラー鶏糞を用いた。
 まず、溶解槽1内に脱塩処理を施した上水道 水400Lを投入し、この上水道水に上記の鶏糞10 0kgを投入し、10分間撹拌し、スラリーを得た
 次いで、このスラリーを脱水機2を用いて脱 水し、塩素濃度1200ppm、含水率60質量%のケー を得た。

 次いで、このケーキを乾燥設備3内に搬入し 、太陽熱及び風力を利用して天日乾燥を行い 、乾燥脱塩素鶏糞を得た。
 この乾燥脱塩素鶏糞の塩素濃度は1200ppm、含 水率は15質量%であった。
 また、この乾燥脱塩素鶏糞をセメント焼成 備のセメントキルンの窯尻部に燃料として 入したところ、セメントキルンの燃焼効率 維持しながら、石炭投入量の減量が認めら た。操業やセメント品質に影響はなかった

(実施例8)
 脱塩処理を施した上水道水200Lに含水率80質 %、塩素濃度8000ppmの豚糞100kgを投入した他は 、実施例1と同様にして、実施例8の乾燥脱塩 豚糞を得た。
 この乾燥脱塩素豚糞の塩素濃度は860ppm、含 率は15質量%であった。
 また、この乾燥脱塩素豚糞セメント焼成設 のセメントキルンの窯尻部に燃料として投 したところ、セメントキルンの燃焼効率を 持しながら、石炭投入量の減量が認められ 。操業やセメント品質に影響はなかった。

(実施例9)
 脱塩処理を施した上水道水2000Lに鶏糞100kgを 投入した他は、実施例7と同様にして、実施 3の乾燥脱塩素鶏糞を得た。
 この乾燥脱塩素鶏糞の塩素濃度は260ppm、含 率は15質量%であった。
 また、この乾燥脱塩素鶏糞セメント焼成設 のセメントキルンの窯尻部に燃料として投 したところ、セメントキルンの燃焼効率を 持しながら、石炭投入量の減量が認められ 。操業やセメント品質に影響はなかった。

(実施例10)
 有機廃棄物として、含水率80質量%、塩素濃 8000ppmの肉牛糞を用いた。
 まず、溶解槽1内に脱塩処理を施した上水道 水500Lを投入し、この上水道水に上記の肉牛 100kgを投入し、10分間撹拌し、スラリーを得 。
 次いで、このスラリーを脱水機2を用いて脱 水し、含水率60質量%のケーキを得た。

 次いで、このケーキを乾燥設備3の縦型撹拌 式発酵装置内に搬入し、発酵熱及び風力を利 用して加熱乾燥を行い、乾燥脱塩素牛糞を得 た。
 この乾燥脱塩素牛糞の塩素濃度は410ppm、含 率は25質量%であった。
 また、この乾燥脱塩素牛糞セメント焼成設 のセメントキルンの窯尻部に燃料として投 したところ、セメントキルンの燃焼効率を 持しながら、石炭投入量の減量が認められ 。操業やセメント品質に影響はなかった。

(実施例11)
 有機廃棄物として、含水率80質量%、塩素濃 6000ppmの食品残渣(食品廃棄物)を用いた。
 まず、溶解槽1内に脱塩処理を施した上水道 水500Lを投入し、この上水道水に上記の食品 渣100kgを投入し、10分間撹拌し、スラリーを た。
 次いで、このスラリーを脱水機2を用いて脱 水し、含水率60質量%のケーキを得た。

 次いで、このケーキを乾燥設備3内に搬入し 、太陽熱及び風力を利用して天日乾燥を行い 、乾燥脱塩素食品残渣を得た。
 この乾燥脱塩素食品残渣の塩素濃度は280ppm 含水率は20質量%であった。
 また、この乾燥脱塩素食品残渣セメント焼 設備のセメントキルンの窯尻部に燃料とし 投入したところ、セメントキルンの燃焼効 を維持しながら、石炭投入量の減量が認め れた。操業やセメント品質に影響はなかっ 。

(比較例2)
 脱塩処理を施した上水道水50Lに鶏糞100kgを 入した他は、実施例7と同様にして、比較例2 の乾燥脱塩素鶏糞を得た。
 この乾燥脱塩素鶏糞の塩素濃度は5600ppm、含 水率は15質量%であり、塩素濃度が非常に高い ものであった。
 また、この乾燥脱塩素鶏糞をセメント焼成 備のセメントキルンの窯尻部に燃料として 入したところ、生成したセメントの塩素濃 が高く、セメントの品質に悪影響を及ぼし いた。

(比較例3)
 脱塩処理を施した上水道水2500Lに鶏糞100kgを 投入した他は、実施例7と同様にして、比較 3のスラリーを得た。
 次いで、このスラリーを脱水機2を用いて脱 水したところ、塩素濃度210ppm、含水率60質量% のケーキを得ることができたが、スラリーに 含まれる水の量が多すぎたために、脱水処理 に実施例7の約6倍ものの時間が掛かってしま 、実用的及び経済的に問題があった。

(実施例12)
 含水率90質量%、塩素濃度8000ppmの豚糞100kg及 脱塩処理を施した上水道水100Lを含む高含水 率有機廃棄物を、脱水機を用いて脱水し、含 水率83質量%、塩素濃度2060ppmのケーキ47kgを得 。
 次いで、このケーキに、水分調整材として 水率20質量%、塩素濃度500ppmの副資材27kgを添 加し、撹拌・混合して水分調整を行い、含水 率60質量%、塩素濃度920ppmの脱塩素豚糞を得た 。

 次いで、この脱塩素豚糞を堆肥舎に搬入し 発酵熱を用いて乾燥させ、乾燥脱塩素豚糞 得た。
 この乾燥脱塩素豚糞の塩素濃度は920ppm、含 率は40質量%、平均粒径は10mmであった。
 次いで、この乾燥脱塩素豚糞をセメント工 内の乾燥設備に搬入し、セメント焼成設備 クリンカクーラーの排熱を用いて乾燥した この排熱の温度は400℃であった。

 次いで、解砕機を用いて解砕し、塩素濃度9 20ppm、含水率15質量%、平均粒径2mmの乾燥脱塩 解砕豚糞を得た。
 この乾燥脱塩素解砕豚糞をセメント焼成設 のセメントキルンの窯尻部に燃料として投 したところ、セメントキルンの燃焼効率を 持しながら、石炭投入量の減量が認められ 。操業やセメント品質に影響はなかった。

(比較例4)
 含水率90質量%、塩素濃度8000ppmの豚糞100kg及 脱塩処理を施した上水道水100Lを含む高含水 率有機廃棄物を、脱水機を用いて脱水し、含 水率83質量%、塩素濃度2060ppmのケーキ47kgを得 。
 次いで、このケーキに、水分調整材として 水率20質量%、塩素濃度500ppmの副資材27kgを添 加し、撹拌・混合して水分調整を行い、含水 率60質量%、塩素濃度920ppmの脱塩素豚糞を得た 。

 次いで、この脱塩素豚糞を堆肥舎に搬入し 発酵熱を用いて乾燥させ、乾燥脱塩素豚糞 得た。
 この乾燥脱塩素豚糞の塩素濃度は920ppm、含 率は45質量%、平均粒径は10mmであった。
 この乾燥脱塩素豚糞をセメント焼成設備の メントキルンの窯前部に燃料として投入し ところ、燃焼性が悪く、セメントキルンの 焼効率が低下し、セメントの操業や品質に きな影響があった。

(実施例13)
 含水率90質量%、塩素濃度8000ppmの豚糞100kg及 脱塩処理を施した上水道水100Lを含む高含水 率有機廃棄物を、脱水機を用いて脱水し、含 水率83質量%、塩素濃度2060ppmのケーキ47kgを得 。
 次いで、このケーキを天日乾燥設備に搬入 、太陽熱及び風力を用いて天日乾燥を行い 乾燥脱塩素豚糞を得た。
 この乾燥脱塩素豚糞の塩素濃度は2060ppm、含 水率は45質量%、平均粒径は10mmであった。
 次いで、この乾燥脱塩素豚糞をセメント工 内の乾燥設備に搬入し、セメント焼成設備 サスペンションプレヒーターの排熱を用い 乾燥した。この排熱の温度は350℃であった

 次いで、解砕機を用いて解砕し、塩素濃度2 060ppm、含水率15質量%、平均粒径2mmの乾燥脱塩 素解砕豚糞を得た。
 この乾燥脱塩素解砕豚糞をセメント焼成設 のセメントキルンの窯尻部に燃料として投 したところ、セメントキルンの燃焼効率を 持しながら、石炭投入量の減量が認められ 。操業やセメント品質に影響はなかった。

(比較例5)
 含水率90質量%、塩素濃度8000ppmの豚糞100kg及 脱塩処理を施した上水道水100Lを含む高含水 率有機廃棄物を、脱水機を用いて脱水し、含 水率83質量%、塩素濃度2060ppmのケーキ47kgを得 。
 次いで、このケーキを天日乾燥設備に搬入 、太陽熱及び風力を用いて天日乾燥を行い 乾燥脱塩素豚糞を得た。
 この乾燥脱塩素豚糞の塩素濃度は2060ppm、含 水率は45質量%、平均粒径は10mmであった。
 この乾燥脱塩素豚糞をセメント焼成設備の 焼炉に燃料として投入したところ、燃焼性 悪く、セメントキルンの燃焼効率が低下し セメントの操業や品質に大きな影響があっ 。

 本発明の有機廃棄物の脱塩方法によれば、 素濃度が極めて低い脱塩素有機廃棄物を容 かつ安価に得ることができる。
 また、塩素濃度が極めて低いので、燃焼装 等においても腐食や配管等の閉塞等のトラ ルを防止することができる。また、この脱 素有機廃棄物をセメント焼成設備に投入し としても、セメントの操業や品質に悪影響 及ぼす虞が無い。

 本発明の第一のバイオマス燃料の製造方法 よれば、塩素濃度が極めて低くかつ高位の 熱量を有する乾燥脱塩素有機廃棄物を容易 つ安価に得ることができる。したがって、 の乾燥脱塩素有機廃棄物を燃焼効率が高い イオマス燃料として有効利用することがで る。
 また、この乾燥脱塩素有機廃棄物をセメン 焼成設備のセメントキルンの窯尻部に燃料 して投入したところ、セメントキルンの燃 効率を維持しながら、石炭投入量の減量が められ、さらには操業やセメント品質に影 はない。

 本発明の第二のバイオマス燃料の製造方法 よれば、塩素濃度が極めて低くかつ高位の 熱量を有する乾燥脱塩素有機廃棄物を容易 つ安価に得ることができる。また、脱塩素 機廃棄物を発酵させる工程が不要であるか 、発酵過程での有機廃棄物自体の熱量損失 無くなる。したがって、この乾燥脱塩素有 廃棄物を燃焼効率が高いバイオマス燃料と て有効利用することができる。
 また、この乾燥脱塩素有機廃棄物をセメン 焼成設備のセメントキルンの窯尻部に燃料 して投入したところ、セメントキルンの燃 効率を維持しながら、石炭投入量の減量が められ、さらには操業やセメント品質に影 はない。

 本発明のバイオマス燃料によれば、燃焼 置等においても腐食や配管等の閉塞等のト ブルを防止することができ、このバイオマ 燃料をセメント焼成設備のセメントキルン 窯尻部に燃料として投入したところ、セメ トキルンの燃焼効率を維持しながら、石炭 入量の減量が認められ、さらには操業やセ ント品質に影響はない。