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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR EDGING LENS OF GLASSES
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/114781
Kind Code:
A1
Abstract:
A lens holder (16) is fixed to a lens (2) being machined while the center (O) of the holder is allowed to match the central position (21) of machining lens. Marks (81a, 81b) for measuring axial deviation are indicated on the lens (2) being machined in alignment with the reference position marks (80a, 80b) of the lens holder (16), and then primary machining is performed on the circumferential surface of the lens (2) being machined. Following the primary machining, axial deviation of the lens (2) being machined is measured from the reference position marks (80a, 80b) and the marks (81a, 81b) for measuring axial deviation. When an axial deviation exists, the lens holder (16) is removed from the lens (2) being machined and the lens (2) is held correctly, thus correcting the axial deviation before starting secondary machining.

Inventors:
HAMANAKA AKIRA (JP)
DAIMARU TAKASHI (JP)
TERAI RYO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054914
Publication Date:
September 25, 2008
Filing Date:
March 17, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HOYA CORP (JP)
HAMANAKA AKIRA (JP)
DAIMARU TAKASHI (JP)
TERAI RYO (JP)
International Classes:
B24B9/14; G02C13/00
Foreign References:
JP2006305702A2006-11-09
JP2006239782A2006-09-14
JP2006334701A2006-12-14
JP2006330677A2006-12-07
JP2003300138A2003-10-21
JPH11333684A1999-12-07
JPH11333685A1999-12-07
JP2002182011A2002-06-26
JP2004122302A2004-04-22
JP2004122238A2004-04-22
Other References:
See also references of EP 2138269A4
Attorney, Agent or Firm:
YAMAKAWA, Masaki et al. (8th Floor Shuwa-Tameike Building,4-2, Nagatacho 2-chom, Chiyoda-ku Tokyo 14, JP)
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Claims:
 被加工レンズをレンズ保持手段によって保持する工程と、前記レンズ保持手段を被加工レンズとともにレンズ回転軸に装着する工程と、前記被加工レンズの周面を加工具によって一次加工および二次加工する工程とを備えた眼鏡レンズの縁摺り加工方法において、
 前記レンズ保持手段によって前記被加工レンズを保持する工程は、このレンズ保持手段の中心と前記被加工レンズの加工中心とを一致させて保持する工程と、前記被加工レンズの一方の光学面に軸ずれ測定用マークを前記レンズ保持手段に表示されている基準位置マークと一致するように表示する工程とを備え、
 一次加工後に被加工レンズの軸ずれを補正する工程をさらに備えていることを特徴とする眼鏡レンズの縁摺り加工方法。
 請求項1記載の眼鏡レンズの縁摺り加工方法において、
 被加工レンズの軸ずれを補正する工程は、一次加工後に被加工レンズをレンズ保持手段とともにレンズ回転軸から取り外して基準位置マークと軸ずれ測定用マークにより前記被加工レンズの軸ずれを測定する軸ずれ測定工程と、前記被加工レンズの一方の光学面を前記レンズ保持手段によって前記軸ずれ測定用マークと前記基準位置マークを一致させて再度保持することにより、前記軸ずれ測定工程によって測定された被加工レンズの軸ずれを補正する軸ずれ補正工程と、前記レンズ保持手段を被加工レンズとともに前記レンズ回転軸に再装着する工程と、
 を備えたことを特徴とする眼鏡レンズの縁摺り加工方法。
 請求項1記載の眼鏡レンズの縁摺り加工方法において、
 被加工レンズの軸ずれを補正する工程は、一次加工後に被加工レンズをレンズ保持手段とともにレンズ回転軸から取り外して基準位置マークと軸ずれ測定用マークから前記被加工レンズの軸ずれを測定し、加工形状データを補正する加工形状データ補正工程を備え、
 二次加工工程は、前記加工形状データ補正工程によって補正された加工形状データに基づいて被加工レンズを加工することを特徴とする眼鏡レンズの縁摺り加工方法。
 請求項2記載の眼鏡レンズの縁摺り加工方法において、
 一次加工工程によって加工された被加工レンズの一次形状は、眼鏡フレームの枠形状に適合する玉型形状が内接する円よりも大きい円形と、前記玉型形状と相似形でこれより大きい玉型形状のうちのいずれか一方であり、二次加工工程によって加工された被加工レンズの二次形状は、眼鏡フレームの枠形状に適合する玉型形状と、これより僅かに大きい玉型形状のうちのいずれか一方であることを特徴とする眼鏡レンズの縁摺り加工方法。
 請求項3記載の眼鏡レンズの縁摺り加工方法において、
 一次加工工程によって加工された被加工レンズの一次形状は、眼鏡フレームの枠形状に適合する玉型形状が内接する円よりも大きい円形と、前記玉型形状と相似形でこれより大きい玉型形状のうちのいずれか一方であり、前記二次加工工程によって加工された前記被加工レンズの二次形状は、眼鏡フレームの枠形状に適合する玉型形状と、これより僅かに大きい玉型形状のうちのいずれか一方であることを特徴とする眼鏡レンズの縁摺り加工方法。
 請求項2記載の眼鏡レンズの縁摺り加工方法において、
 被加工レンズの軸ずれ測定工程は、画像処理および目視のうちのいずれか一方によって行なうことを特徴とする眼鏡レンズの縁摺り加工方法。
 請求項3記載の眼鏡レンズの縁摺り加工方法において、
 軸ずれ測定工程は、画像処理によって行なうことを特徴とする眼鏡レンズの縁摺り加工方法。
 請求項1記載の眼鏡レンズの縁摺り加工方法において、
 基準位置マークは、被加工レンズを保持する以前と、未加工レンズに軸ずれ測定用マークを表示するときと同時のうちのいずれか一方によって表示されることを特徴とする眼鏡レンズの縁摺り加工方法。
                                                                                
Description:
眼鏡レンズの縁摺り加工方法

 本発明は、眼鏡レンズの縁摺り加工方法 関するものである。

 未加工の円形レンズ(以下、アンカットレ ンズまたは被加工レンズともいう)の周面を 削加工し、眼鏡フレームの枠形状に適合す 玉型形状の眼鏡レンズを製作する際に、レ ズの保持力が弱いと研削砥石から受ける加 抵抗によってレンズの軸ずれが生じること ある。すなわち、レンズ回転軸に対して実 のレンズの加工中心位置がずれる。このレ ズの軸ずれは、乱視軸がないレンズの場合 、加工中心位置に対して直交する方向(半径 向)のずれであり、乱視軸があるレンズの場 合は、加工中心位置に対して直交する方向の ずれと加工中心位置に対して回転方向のずれ とが含まれる。このため、従来はこのような 問題を解決するために、レンズ保持力を大き くしたり、あるいは特開2003-300138号公報、特 平11-333684号公報、特開平11-333685号公報、特 2002-182011号公報および特開2004-122302号公報に 記載されているような縁摺り加工装置および 縁摺り加工方法や粘着テープを用いる方法等 が種々提案されている。

 特開2003-300138号公報に記載されているレ ズ加工方法および加工装置は、予め仕上げ 工するレンズの設計データを必要とせず、 ンズの周面の加工精度を向上させるように たものである。このため、このレンズ加工 法は、眼鏡フレームのレンズ枠形状データ たは眼鏡に適合できる形状データに基づい 被加工レンズを荒加工した後、レンズの形 を測定している。そして、測定により得ら た荒加工形状データに基づいてレンズを眼 フレームの枠形状に適合する形状または眼 に適合する形状に仕上げ加工するようにし ものである。

 特開平11-333684号公報に記載されている眼 レンズ加工装置は、軸ずれやレンズの破損 コート割れを防止して精度の高い加工を行 ようにしたものである。このため、この眼 レンズ加工装置は、固定用カップを介して 加工レンズが装着される第1レンズチャック 軸と、この第1レンズチャック軸と同軸に配 され被加工レンズを押さえるためのレンズ え部材が取り付けられた第2レンズチャック と、これらのレンズチャック軸の回転角の れを検出する回転ずれ検出手段と、この回 ずれ検出手段による検出結果に基づいて被 工レンズを加工する加工制御手段とを備え いる。

 特開平11-333685号公報に記載されている眼 レンズ加工装置は、加工途中の被加工レン の形状に対応させて適切な条件での加工を うようにしたものである。このため、この 鏡レンズ加工装置は、サーボモータに設け れているエンコーダによってキャリッジの 動量(レンズチャック軸と砥石回転軸との軸 間距離)を検出し、この検出信号を制御部に り、制御部でその入力信号によってレンズ 転角に対する加工途中の形状を測定し、こ 加工途中の形状に対応させて加工圧(回転ト クの設定値)を変更するようにしている。具 体的には、レンズチャック軸から加工完了部 分までの距離が離れている場合、キャリッジ の下降により加工圧を弱くして加工を開始し 、加工完了までの距離が短くなるにしたがっ て徐々に加工圧を上げている。このようにレ ンズ加工径によって加工圧を変化させること により、軸ずれを抑制し、精度の高い加工を 行うことができるとしている。

 特開2002-182011号公報および特開2004-122302号 公報に記載されている技術は、被加工レンズ とレンズ保持手段との間に両面粘着テープや 被膜を形成して滑りを防止するようにしたも のである。

 ところで、例えば特開2004-122238号公報に 示されているように、近年レンズの撥水性 高めるために光学面に撥水膜層を形成した 鏡レンズが普及しつつある。このような撥 膜層が形成された被加工レンズを縁摺り加 する場合、撥水膜層があるために光学面が 在普及している他のレンズに比べて非常に い平滑性を有する。すなわち、レンズ表面 滑り易いために、上述した特開2003-300138号公 報、特開平11-333684号公報および特開平11-333685 号公報に記載されているような従来の加工装 置では、レンズを確実に保持することが難し く、縁摺り加工中にレンズ保持手段とレンズ との間に滑りが生じ、被加工レンズを所定の 玉型形状に加工することが困難であるという 問題がでてきた。特に、レンズ度数が高いマ イナスレンズの場合は、外周縁部の肉厚がき わめて厚いために、加工開始時の加工抵抗が 大きくて軸ずれし易く、精度の高い加工を行 なうことが困難である。

 特開2002-182011号公報および特開2004-122302号 公報に記載されている粘着テープや被膜を形 成してレンズ保持力を高めることにより軸ず れを防止する方法は、レンズ表面とテープま たは被膜との間に空気が侵入すると、レンズ 保持力が低下するため、滑性の高いレンズや 外周縁部の肉厚が相対的に厚いレンズの場合 は、軸ずれを完全には防止することができな いという問題があった。

 一方、レンズ保持力を大きくする方法は レンズ自体を破損させたり、レンズ表面に されているコーティング膜を損傷させてし うおそれがあるため、保持力の増大には限 があった。

 本発明は上記したような従来の問題を解 するためになされたものであり、その目的 するところは、防汚処理が施された滑性の いレンズや外周縁部の肉厚が相対的に厚い ンズであっても、最終的には軸ずれのない 度の高い眼鏡レンズを得ることができる眼 レンズの縁摺り加工方法を提供することに る。

 上記目的を達成するために本発明に係る 鏡レンズの縁摺り加工方法は、被加工レン をレンズ保持手段によって保持する工程と 前記レンズ保持手段を被加工レンズととも レンズ回転軸に装着する工程と、前記被加 レンズの周面を加工具によって一次加工お び二次加工する工程とを備えた眼鏡レンズ 縁摺り加工方法において、前記レンズ保持 段によって前記被加工レンズを保持する工 は、このレンズ保持手段の中心と前記被加 レンズの加工中心とを一致させて保持する 程と、前記被加工レンズの一方の光学面に ずれ測定用マークを前記レンズ保持手段に 示されている基準位置マークと一致するよ に表示する工程を備え、一次加工後に被加 レンズの軸ずれを補正する工程をさらに備 ているものである。

 本発明においては、一次加工工程におい は格別な軸ずれ防止対策を講じずに加工し 軸ずれを測定し、軸ずれが生じている場合 、レンズ保持手段によってレンズを保持し して軸ずれを補正した後、二次加工を行な ようにしているので、二次加工時における ずれの発生を防止することができる。すな ち、一次加工は、アンカットレンズの縁摺 加工であるため、加工開始時の加工抵抗が きく、外径が大きいレンズや撥水膜層によ 滑性の高いレンズの場合は軸ずれが生じ易 。一方、二次加工時のレンズの外径は小さ なっているため加工抵抗が小さく、滑性の いレンズや一次加工時のレンズが外径の大 いアンカットレンズであっても格別大きな ンズ保持力で保持する必要がなく、一般の ンズと同様に軸ずれするおそれが少ない。

図1は、本発明に係る眼鏡レンズの縁摺 り加工方法に用いられる縁摺り加工装置の概 略透視図である。 図2は、被加工レンズをレンズ回転軸に 装着した状態を示す図である。 図3は、被加工レンズにレンズホルダを 装着する様子を示す斜視図である。 図4は、レンズ形状測定部によるレンズ 形状の測定状態を示す図である。 図5Aは、被加工レンズにレンズホルダ 装着した状態を示す図である。 図5Bは、軸ずれと回転角のずれを示す である。 図5Cは、回転角のずれを示す図である 図6は、被加工レンズの保護膜層を示す 要部の断面図である。 図7は、縁摺り加工のフローチャートで ある。 図8は、本発明の他の実施例の縁摺り加 工のフローチャートである。 図9は、被加工レンズの軸ずれを測定す る様子を示す図である。

 以下、本発明を図面に示す実施例に基づい 詳細に説明する。
 図1~図5において、全体を符号1で示す眼鏡レ ンズの縁摺り加工装置は、未加工の円形レン ズからなる被加工レンズ2を縁摺り加工して 望の玉型形状の眼鏡レンズ2A(図5A)を製造す ための装置であって、床面に設置された箱 の筐体3を備えている。この筐体3の内部には 、被加工レンズ2がレンズ保持手段を介して 着されるレンズ回転軸4と、このレンズ回転 4を軸線方向(X方向)に移動させる第1のレン 回転軸移動機構5と、同じくレンズ回転軸4を 軸線と直交する水平な方向(Y方向)に移動させ る第2のレンズ回転軸移動機構6と、被加工レ ズ2を縁摺り加工する加工具7と、この加工 7の回転駆動機構8と、装置全体を制御する制 御部(図示せず)と、被加工レンズ2の光学面2a 2bを測定するレンズ形状測定部9と、被加工 ンズ2の面取り加工機構10等が組み込まれて る。また、筐体3の上面には、被加工レンズ 2のレンズ情報、眼鏡フレームの情報、加工 件等を入力する各種操作ボタン、表示装置 を備えた操作パネル(図示せず)が設けられて いる。

 被加工レンズ2は、注型重合法によって形 成された円形(例えば、直径80φmm)のプラスチ ク製マイナスレンズからなる。

 被加工レンズ2の光学基材としては、例え ば、メチルメタクリレートと一種以上の他の モノマーとの共重合体、ジエチルグリコール ビスアリルカーボネートと一種以上の他のモ ノマーとの共重合体、ポリカーボネート、ウ レタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不 飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレ ート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エ ン-チオール反応を利用したスルフィド、硫 を含むビニル重合体等が挙げられ、中でも レタン系光学基材とアリル系光学基材が好 であるが、これに限定されるものではない また、本発明における光学基材としては、 ラスチック光学基材であると好ましく、眼 用プラスチック光学基材であるとさらに好 しい。

 被加工レンズ2の各光学面2a、2bには、図6 示すように表面全体に保護膜層64と撥水膜 67とが積層した状態で形成されている。保護 膜層64は、レンズの光学特性、耐久性、耐擦 性等を向上させるために形成されるもので 通常ハードコート膜層65と反射防止膜層66と で構成されている。

 最下層のハードコート膜層65は、眼鏡レ ズ自体の硬度を高めるとともに耐擦傷性を 上させるために形成されるものであり、材 としては、例えば、シリコン系樹脂などの 機物質が用いられる。ハードコート膜層65は 、溶剤からなるシリコン系樹脂を浸漬法また はスピンコート法によって塗布した後、加熱 炉によって加熱し硬化させることにより形成 される。このようなハードコート膜層65の形 方法は、従来からよく知られている方法で る。

 中間層の反射防止膜層66は、反射防止効果 耐擦傷効果を高めるために形成されるもの ある。また、この反射防止膜層66は、異なっ た複数の材質によって形成されることにより 、多層の反射防止膜層を形成している。反射 防止用材料としては、例えば、Zr,Ti,Sn,Si,In,Al の金属酸化物または珪素酸化物やMgF 2  が用いられる。このような多層反射防止膜 66は、例えば上記した特開平11-333685号公報 記載されている真空蒸着法によって形成さ る。

 また、多層反射防止膜層66としては、良好 膜強度および密着性を得るためにイオンア スト法で形成されることが好ましい。この 射防止膜のハイブリッド層以外の膜構成層 、良好な反射防止効果、耐擦傷性等の物性 得るために、高屈折率層として酸化タンタ (Ta 2 O 5 )層とする。この酸化タンタル層は各層中に れぞれ酸化タンタルを少なくとも50重量%含 し、さらに、80重量%以上含有することが好 しい。

 イオンアシスト法において、出力に関す 好ましい範囲は、特に、良好な反応を得る 点から、加速電圧50~700v、加速電流30~250mAで る。イオンアシスト法を実施する際に使用 れるイオン化ガスは、成膜中の反応性、酸 防止の点からアルゴン(Ar)、またはアルゴン と酸素の混合ガスを用いることが好ましい。

 本発明におけるハイブリッド層に使用され 無機物質としては、二酸化ケイ素を含有す ことが必要であり、その他、酸化アルミニ ム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化 ンタル、酸化イットリウムおよび酸化ニオ から選ばれる少なくとも1種を含んでいても よい。複数の無機物質を用いる場合は、それ らを物理的に混合してもよいし、また複合酸 化物であってもよく、具体的には二酸化ケイ 素(SiO 2  )、-酸化アルミニウム(Al 2  O 3  )等がある。これらのうち二酸化ケイ素単独 、二酸化ケイ素および酸化アルミニウムから 選ばれる少なくとも1種類の無機酸化物が好 しい。

 本発明におけるハイブリッド層に使用さ る有機物質としては、膜厚の制御、蒸着速 の制御の観点から、常温、常圧下で、液体 態にある有機ケイ素化合物および/または常 温、常圧下で液体であるケイ素非含有有機化 合物が用いられる。

 有機ケイ素化合物としては、例えば、以 の一般式(a)~(d)で表されるいずれかの構造を 有することが好ましい。

 一般式(a):シラン・シロキサン化合

 一般式(b):シラザン化合物

 一般式(c):シクロシロキサン化合物

一般式(d):シクロシラザン化合物

 一般式(a)~(d)において、式中のm、nは、それ れ独立に0以上の整数を表す。また、X 1 ~X 8 はそれぞれ独立に水素、炭素数1~6の炭化水素 基(飽和・不飽和双方を含む)、-OR 1 基、-CH 2 OR 2 基、-COOR 3 基、-OCOR 4 基、-SR 5 基、-CH 2 SR 6  基、-NR 7 2 基、または、-CH 2 NR 8 2 基[R 1 ~R 8 は水素または炭素数1~6の炭化水素基(飽和・ 飽和双方を含む)]を表し、X 1 ~X 8 は上記の任意の官能基であればよく、すべて 同じ官能基でもよいし、すべて異なるもので もよい。

 R 1 ~R 8 で示される炭素数1~6の炭化水素基の具体例と しては、メチル基、エチル基、n-プロピル基 イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル 、ペンチル基、ヘキシル基、ビニル基、ア ル基、エチニル基、フェニル基、シクロヘ シル基、プロピニル基、イソプロペニル基 が挙げられる。

 一般式(a)で表せる具体的な化合物として 、トリメチルシラノール、テトラメチルシ ン、ジエチルシラン、ジメチルエトキシシ ン、ヒドロキシメチルトリメチルシラン、 トキシトリメチルシラン、ジメトキシジメ ルシラン、メチルトリメトキシシラン、メ カプトメチルトリメトキシシラン、テトラ トキシシラン、メルカプトメチルトリメチ シラン、アミノメチルトリメチルシラン、 メチルジメチルアミノシラン、エチニルト メチルシラン、ジアセトキシメチルシラン アリルジメチルシラン、トリメチルビニル ラン、メトキシジメチルビニルシラン、ア トキシトリメチルシラン、トリメトキシビ ルシラン、ジエチルメチルシラン、エチル リメチルシラン、エトキシトリメチルシラ 、ジエトキシメチルシラン、エチルトリメ キシシラン、ジメチルアミノトリメチルシ ン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、 ェニルシラン、ジメチルジビニルシラン、2- プロピニロキシトリメチルシラン、ジメチル エトキシエチニルシラン、ジアセトキシジメ チルシラン、アリルトリメチルシラン、アリ ロキシトリメチルシラン、エトキシジメチル ビニルシラン、イソプロペノキシトリメチル シラン、アリルアミノトリメチルシラン、ト リメチルプロピルシラン、トリメチルイソプ ロピルシラン、トリエチルシラン、ジエチル ジメチルシラン、ブチルジメチルシラン、ト リメチルプロポキシシラン、トリメチルイソ プロポキシシラン、トリエチルシラノール、 ジエトキシジメチルシラン、プロピルトリメ トキシシラン、ジエチルアミノジメチルシラ ン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、ビ (ジメチルアミノ)ジメチルシラン、トリ(ジ チルアミノ)シラン、メチルフェニルシラン 、メチルトリビニルシラン、ジアセトキシメ チルビニルシラン、メチルトリアセトキシシ ラン、アリロキシジメチルビニルシラン、ジ エチルメチルビニルシラン、ジエトキシメチ ルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチ ビニルシラン、ブチルジメチルヒドロキシ チルシラン、1-メチルプロポキシトリメチ シラン、イソブトキシトリメチルシラン、 トキシトリメチルシラン、ブチルトリメト シシラン、メチルトリエトキシシラン、イ プロピルアミノメチルトリメチルシラン、 エチルアミノトリメチルシラン、メチルト (ジメチルアミノ)シラン、ジメチルフェニル シラン、テトラビニルシラン、トリアセトキ シビニルシラン、テトラアセトキシシラン、 エチルトリアセトキシシラン、ジアリルジメ チルシラン、1,1-ジメチルプロピニロキシト メチルシラン、ジエトキシジビニルシラン ブチルジメチルビニルシラン、ジメチルイ ブトキシビニルシラン、アセトキシトリエ ルシラン、トリエトキシビニルシラン、テ ラエチルシラン、ジメチルジプロピルシラ 、ジエトキシジエチルシラン、ジメチルジ ロポキシシラン、エチルトリエトキシシラ 、テトラエトキシシラン、メチルフェニル ニルシラン、フェニルトリメチルシラン、 メチルヒドロキシメチルフェニルシラン、 ェノキシトリメチルシラン、ジメトキシメ ルフェニルシラン、フェニルトリメトキシ ラン、アニリノトリメチルシラン、1-シクロ ヘキセニロキシトリメチルシラン、シクロヘ キシロキシトリメチルシラン、ジメチルイソ ペンチロキシビニルシラン、アリルトリエト キシシラン、トリプロピルシラン、ブチルジ メチル-3-ヒドロキシプロピルシラン、ヘキシ ロキシトリメチルシラン、プロピルトリエト キシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、 ジメチルフェニルビニルシラン、トリメチル シリルベンゾネート、ジメチルエトキシフェ ニルシラン、メチルトリイソプロペノキシシ ラン、メトキシトリプロピルシラン、ジブト キシジメチルシラン、メチルトリプロポキシ シラン、ビス(ブチルアミノ)ジメチルシラン ジビニルメチルフェニルシラン、ジアセト シメチルフェニルシラン、ジエチルメチル ェニルシラン、ジエトキシメチルフェニル ラン、トリイソプロポキシビニルシラン、2 -エチルヘキシロキシトリメチルシラン、ペ チルトリエトキシシラン、ジフェニルシラ 、ジフェニルシランジオールフェニルトリ ニルシラン、トリエチルフェニルシラン、 ェニルトリエトキシシラン、テトラアリロ シシラン、フェニルトリ(ジメチルアミノ)シ ラン、テトラプロポキシシラン、テトライソ プロポキシシラン、ジフェニルメチルシラン 、ジアリルメチルフェニルシラン、ジメチル ジフェニルシラン、ジメトキシジフェニルシ ラン、ジアニリノジメチルシラン、ジフェニ ルエトキシメチルシラン、トリペンチロキシ シラン、ジフェニルジビニルシラン、ジアセ トキシジフェニルシラン、ジエチルジフェニ ルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ビ ス(ジメチルアミノ)ジフェニルシラン、テト ブチルシラン、テトラブトキシシラン、ト フェニルシラン、ジアリルジフェニルシラ 、トリヘキシルシラン、トリフェノキシビ ルシラン、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサ 、ペンタメチルジシロキサン、ヘキサメチ ジシロキサン、1,3-ジメトキシテトラメチル シロキサン、1,3-ジエチニル-1,1,3,3-テトラメ チルジシロキサン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テト メチルジシロキサン、1,3-ジエトキシテトラ チルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキ ン、1,3-ジブチル-1,1,3,3-テトラメチルジシロ キサンなどの化合物が挙げられる。

 一般式(b)で表される具体的な化合物とし は、1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、ヘキ メチルジシラザン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テト メチルジシラザンなどの化合物が挙げられ 。

 一般式(c)で表される具体的な化合物とし は、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、 キサエチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7- トラメチルシクロテトラシロキサン、オク メチルシクロテトラシロキサンなどの化合 が挙げられる。

 一般式(d)で表される具体的な化合物とし は、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルシクロトリシラ ン、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルシクロテトラ シラザンなどの化合物が挙げられる。

 これらの有機ケイ素化合物の数平均分子 は、ハイブリッド膜中の有機成分の制御、 自体の強度の点から、好ましくは、48~600、 に好ましくは、140~500である。

 さらに、ハイブリッド層を構成するケイ 非含有有機化合物は、その側鎖または末端 反応性基を含有する炭素および水素を必須 分とするものが好ましく、より具体的には 般式(e)~(g)で表される化合物が好ましく用い られる。

 一般式(e):片末端にエポキシ基を有する炭素 および水素を必須成分とするケイ素非含有有 機化合物

 一般式(f):両末端にエポキシ基を有する炭素 および水素を必須成分とするケイ素非含有有 機化合物

 一般式(g):二重結合を含む、炭素および水素 を必須成分とするケイ素非含有有機化合物
CX 9 X 10 =CX 11 X 12  ・・・(g)

 一般式(e)、(f)において、R 9 は水素、または酸素を含んでいてもよい炭素 数1~10の炭化水素基、R 10 は、酸素を含んでいてもよい炭素数1~7の二価 の炭化水素基を表す。一般式(g)において、X 9 ~X 12 はそれぞれ独立に水素、炭素数1~10の炭化水 基、または炭素数1~10の炭素、水素を必須成 とし、さらに酸素および窒素の少なくとも 方を必須成分とする有機基を表す。

 一般式(e)の化合物の具体例としては、メ ルグリシジルエーテル、ブチルグリシジル ーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエー ル、デジルグリシジルエーテル、ステアリ グリシジルエーテル、アリルグリシジルエ テル、フェニルグリシジルエーテル、p-sec- チルフェニルグリシジルエーテル、p-tert-ブ ルフェニルグリシジルエーテル、2-メチル クチルグリシジルエーテル、グリシドール トリメチロールプロパンポリグリシジルエ テルなどが挙げられる。

 一般式(f)の化合物の具体例としては、ネ ペンチルグリコールジグリシジルエーテル グリセロールジグリシジルエーテル、グリ ロールトリグリシジルエーテル、プロピレ グリコールジグリシジルエーテル、トリプ ピレングリコールジグリシジルエーテル、 リプロピレングリコールジグリシジルエー ル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエー テル、エチレングリコールジグリシジルエー テル、ジエチレングリコールジグリシジルエ ーテル、ポリエチレングリコールジグリシジ ルエーテルなどが挙げられる。

 一般式(g)の具体例としてはエチレン、プ ピレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、アク ルアミド、ビニルピロリドン、ビニルカル ゾール、メチルメタクリレート、エチルメ クリレート、ベンジルメタクリレート、n- チルメタクリレート、イソブチルメタクリ ート、ジメチルアミノエチルメタクリレー 、メタクリル酸、グリシジルメタクリレー 、酢酸ビニル、スチレンなどがあげられる

 また、一般式(e)~(g)で表される化合物の数 平均分子量は、ハイブリッド膜中の有機成分 の制御およびハイブリッドの膜強度を考慮し て、好ましくは、28~4000、特に好ましくは、14 0~360である。

 本発明における常温、常圧下で液体であ 有機ケイ素化合物および/または常温、常圧 下で液体であるケイ素非含有有機化合物(以 「有機物質」ということがある)の成膜方法 しては、ハイブリッド層を形成する際には 無機物質、有機物質それぞれを別の蒸着源 て同時に蒸着して成膜するのが好ましい。 体的には、無機物質を電子銃等を用いて加 することにより気化させ、有機物質を外部 ンクに貯蔵し、このタンク内でこの有機物 を気化させ、無機物質と有機物質を同時に 着させる方法が好ましい。

 なお、蒸着速度の制御の観点から、有機 質を貯蔵する外部タンクを加熱・減圧して の有機物質をチャンバー内に供給し、酸素 スおよび/またはアルゴンガスを用いイオン アシスト成膜するのが好ましい。さらに、本 発明では有機物質が常温・常圧で液体であり 、溶媒を使用する必要がなく、直接加熱して 蒸着することができる。また、有機物質の導 入口は、無機物質蒸発源真上に設けるのが耐 衝撃性、耐摩耗性向上に効果的であり、有機 ケイ素化合物を下部より、その側鎖または末 端に反応性基を含有する炭素および水素を必 須成分とするケイ素非含有有機化合物を上部 より供給するのが好ましい。

 外部タンクの加熱温度は、その有機物質 蒸発温度により異なるが、30~200℃、好まし は50~150℃とすることが適当な蒸着速度を得 という点から好ましい。

 本発明におけるハイブリッド層の有機物 の好ましい膜内含有率は、特に良好な物性 質効果が得られる点を考慮して、0.020~25重 %である。

 本発明における好ましい膜厚および屈折率 範囲は以下の通りである。なお、ここでλ 光の波長を示す。
第1層 0.005λ~1.25λ 1.41~1.50
第2層 0.005λ~0.10λ 2.00~2.35
第3層 0.005λ~1.25λ 1.41~1.50
第4層 0.05λ~0.45λ 2.00~2.35
第5層 0.005λ~0.15λ 1.41~1.50
第6層 0.05λ~0.45λ 2.00~2.35
第7層 0.2λ~0.29λ 1.41~1.50
 かかる膜構成にすることにより、目的とす 物性が容易に得られる。

 最上層の撥水膜層67は、凸側光学面2aと凹 側光学面2bの平滑度を高めて防汚性を向上さ るとともに、水やけを防止するために形成 れるもので、最近では滑り性のよい超撥水 ンズが普及しつつある。撥水材としては、 えばフッ素置換アルキル基含有有機ケイ素 合物を含む撥水原料等が用いられている。

 撥水膜層67の原料および形成方法は、特 2004-122238号公報に記載されている方法を用い ることが好ましい。その方法としては、溶媒 で希釈したフッ素置換アルキル基含有有機ケ イ素化合物を減圧下であって、この有機ケイ 素化合物の蒸着開始温度以上から有機ケイ素 化合物の分解温度を超えない範囲で、加熱開 始から蒸着を90秒以内、好ましくは10秒以内 完結させることが好ましい。このような蒸 時間を達成する方法としては、有機ケイ素 合物に電子ビームを照射する方法が好まし 用いられる。

 フッ素置換アルキル基含有有機ケイ素化 物としては、下記一般式(h)で表されるもの または下記単位式(i)で表されるものが好ま い。

 式(h)中、RFは炭素数1~16の直鎖状のパーフル ロアルキル基、Xは水素または炭素数1~5の低 級アルキル基、R 11 は加水分解可能な基、kは1~50の整数、rは0~2の 整数、pは1~10の整数である。
CqF 2 q+1CH 2 CH 2 Si(NH 2 ) 3  ・・・(i)
 ただし、qは1以上の整数である。

 ここで、上記R 11 で示される加水分解可能な基としてはアミノ 基、アルコキシ基、特にアルキル部が炭素数 1~2であるアルコキシ基、塩素原子等が挙げら れる。

 また、上記式(i)で表される化合物の具体例 しては、n-CF 3 CH 2 CH 2 Si(NH 2 ) 3 ;n-トリフロロ(1,1,2,2-テトラヒドロ)プロピル ラザン、n-C 3 F 7 CH 2 CH 2 Si(NH 2 ) 3 ;n-ヘプタフロロ(1,1,2,2-テトラヒドロ)ペンチ シラザン、n-C 4 F 9 CH 2 CH 2 Si(NH 2 ) 3 ;n-ノナフロロ(1,1,2,2-テトラヒドロ)ヘキシル ラザン、n-C 6 F 13 CH 2 CH 2 Si 2 (NH 2 ) 3 ;n-トリデオフロロ(1,1,2,2-テトラヒドロ)オク ルシラザン、n-C 8 F 17 CH 2 CH 2 Si(NH 2 ) 3 ;n-ヘプタデカフロロ(1,1,2,2-テトラヒドロ)デ ルシラザン等を例示することができる。

 また、撥水膜層67の原料として、フッ素 換アルキル基含有有機ケイ素化合物と、ケ 素非含有のパーフルオロポリエーテルとの2 分を主成分とする原料を用いることもでき さらにはこれらの原料からなる第1層を形成 し、この第1層上に接して、ケイ素非含有の ーフルオロポリエーテルを主成分とする原 を用いて第2層を形成することにより、撥水 層を形成することも好適である。

 ケイ素非含有のパーフルオロポリエーテル 、ケイ素を含有しない以下の構造式(j)
-(R 12 O)- ・・・(j)
式(j)中、R 12 は炭素数1~3のパーフルオロアルキレン基であ る。
で表される単位からなるものが好ましく用い られ、平均分子量が1000~10000、特に2000~10000の のが好ましい。Rは炭素数1~3のパーフルオロ アルキレン基であり、具体的にはCF 2 、CF 2 -CF 2 、CF 2 CF 2 CF 2 、CF(CF 2 )CF 2 等の基が挙げられる。これらのパーフルオロ ポリエーテルは常温で液状であり、いわゆる フッ素オイルと称されるものである。

 また、本発明の眼鏡レンズは、反射防止 層の下に、密着性を向上させるために、下 層として、後述するハイブリッド層形成の に触媒作用のある金属、例えば、ニッケル( Ni)、銀(Ag)、白金(Pt)、ニオブ(Nb)およびチタニ ウム(Ti)から選ばれる少なくとも1種類からな 層を施すことができる。特に好ましい下地 は、より良好な耐衝撃性を付与させるため 、ニオブからなる金属層である。金属層を 地層として用いた場合、下地層の上に設け れるハイブリッド層の反応が進みやすくな 、分子内編み目構造を有する物質が得られ 耐衝撃性が向上する。

 最上層の撥水膜層67が内部に2層構造を有し 第一撥水層および第2撥水層からなることも 本願発明に好適である。例えば撥水膜層67と て、下記一般式(I)で示されるフッ素置換ア キル基含有有機ケイ素化合物と、下記一般 (II-1)、(II-2)および(II-3)の中から選ばれた少 くとも一種のシラン化合物との混合物を含 する蒸着材料を光学部材上に蒸着して第1撥 水層を形成し、その上に下記一般式(III)で示 れるパーフルオロポリエーテル-ポリシロキ サン共重合体変性シランと溶媒を含有する浸 漬材料に浸漬して第2撥水層を形成すること より、2層からなる撥水膜層67を形成する。
一般式(I)

 一般式(I)中において、Rfは、式:-(C k F 2k O)-(kは1~6の整数である)で表わされる単位を含 み、分岐を有しない直鎖状のパーフルオロポ リアルキレンエーテル構造を有する二価の基 である。Rは独立に炭素原子数1~8の一価炭化 素基である。Xは独立に加水分解性基または ロゲン原子である。nおよびn’はそれぞれ0~ 2の整数であり、mおよびm’はそれぞれ1~5の整 数であり、aおよびbはそれぞれ2または3であ 。

 一般式(II)
R’は有機基であり、R’’はアルキル基であ 。

 一般式(III)

 一般式(III)中、Rgは、式:-(C j F 2j O)-(jは1~5の整数である)で表わされる繰り返し 単位を含み、分岐を有しない直鎖状のパーフ ルオロポリアルキレンエーテル構造を有する 二価の基であり、繰り返し単位数が30~60であ 、異なるjの繰り返し単位を同時に含んでい てもよい。R 1 は同一または異なっていてもよい炭素数1~4の アルキル基またはフェニル基、wは30~100、a,b よびcは、それぞれ独立に1~5の整数、R 2 は炭素数1~4のアルキル基またはフェニル基、 X 1 は加水分解性基、dは2または3、yは1~5の整数 ある。
 以下、一般式(I)~(III)の化合物について説明 る。

 一般式(I)において、Rf基は、式:-(C k F 2k O)-(式中、kは1~6、好ましくは1~4の整数であり 一般式(I)中のCkF 2k Oの配列はランダムである。)で表わされる単 を含み、分岐を有しない直鎖状のパーフル ロポリアルキレンエーテル構造を有する二 の基である。なお、一般式(I)中のnおよびn がいずれも0である場合、一般式(I)中の酸素 子(O)に結合するRf基の末端は、酸素原子で ない。

 ここで、Rfは、二価の直鎖型パーフルオロ リエーテル基であり、各種鎖長のパーフル ロポリエーテル基が含まれるが、好ましく 炭素数1~6程度のパーフルオロポリエーテル を繰返し単位とする二価の直鎖型パーフル ロポリエーテルである。この二価の直鎖型 ーフルオロポリエーテルとしては、例えば 以下に示すようなものが挙げられる。
-CF 2 CF 2 O(CF 2 CF 2 CF 2 O) r CF 2 CF 2 -
-CF 2 (OC 2 F 4 ) s -(OCF 2 ) t -
上記化学構造式中のr、sおよびtはそれぞれ1 上の整数を示す。具体的には1~50、より好ま くは10~40の範囲が好ましい。なお、パーフ オロポリエーテルの分子構造は、これら例 したものに限定されるものではない。

 一般式(I)において、Xは加水分解性基または ハロゲン原子である。Xが加水分解性基であ 場合としては、例えば、メトキシ基、エト シ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアル キシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエト シ基、エトキシエトキシ基等のアルコキシ ルコキシ基;アリロキシ基、イソプロペノキ シ等のアルケニルオキシ基;アセトキシ基、 ロピオニルオキシ基、ブチルカルボニルオ シ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ ;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケ オキシム基、ジエチルケトオキシム基、シ ロペンタノキシム基、シクロヘキサノキシ 基等のケトオキシム基;N-メチルアミノ基、N -エチルアミノ基、N-プロピルアミノ基、N-ブ ルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N,N-ジ チルアミノ基、N-シクロヘキシルアミノ基等 のアミノ基;N-メチルアセトアミド基、N-エチ アセトアミド基、N-メチルベンズアミド基 のアミド基;N,N-ジメチルアミノオキシ基、N,N -ジエチルアミノオキシ基等のアミノオキシ 等を挙げることができる。
 また、上記Xがハロゲン原子である場合とし ては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素 原子等が挙げられる。
 これらの中で、メトキシ基、エトキシ基、 ソプロペノキシ基および塩素原子が好適で る。

 一般式(I)において、Rは炭素原子数1~8の一 価炭化水素基であり、Rが複数存在する場合 は、Rは互いに同一でも異なってもよい。Rの 具体例としては、例えば、メチル基、エチル 基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ キシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアル キル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル 等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル 、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、 フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、 リル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキ ニル基等のアルケニル基等が挙げられる。 れらの中でも炭素原子数1~3の一価炭化水素 が好ましく、特にメチル基が好適である。

 一般式(I)において、nおよびn’はそれぞ 0~2の整数であり、好ましくは1である。nとn は互いに同一であっても異なっていてもよ 。また、mおよびm’はそれぞれ1~5の整数であ り、3であることが好ましい。mとm’は互いに 同一であっても異なっていてもよい。

 次に、aおよびbは各々2または3であり、加 水分解および縮合反応性、および被膜の密着 性の観点から、3であることが好ましい。

 一般式(I)で表されるフッ素置換アルキル 含有有機ケイ素化合物の分子量は、特に制 されないが、安定性、取扱い易さ等の点か 、数平均分子量で500~20,000、好ましくは1000~1 0,000のものが適当である。

 一般式(I)で表されるフッ素置換アルキル基 有有機ケイ素化合物の具体例としては、例 ば、下記構造式で示されるものが挙げられ 。但し、下記例示に限定されるものではな 。
(CH 3 O) 3 SiCH 2 CH 2 CH 2 OCH 2 CF 2 CF 2 O(CF 2 CF 2 CF 2 O) l CF 2 CF 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CHSi(OCH 3 ) 3
(CH 3 O) 2 CH 3 SiCH 2 CH 2 CH 2 OCH 2 CF 2 CF 2 O(CF 2 CF 2 CF 2 O) l CF 2 CF 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 SiCH 3 (OCH 3 ) 2 (CH 3 O) 3 SiCH 2 CH 2 CH 2 OCH 2 CF 2 (OC 2 F 4 ) p (OCF 2 ) q OCF 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 Si(OCH 3 ) 3
(CH 3 O) 2 CH 3 SiCH 2 CH 2 CH 2 OCH 2 CF 2 (OC 2 F 4 ) p (OCF 2 ) q OCF 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 SiCH 3 (OCH 3 ) 2
(CH 3 O) 3 SiCH 2 CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CF 2 (OC 2 F 4 ) p (OCF 2 )qOCF 2 CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 Si(OCH 3 ) 3
(C 2 H 5 O) 3 SiCH 2 CH 2 CH 2 OCH 2 CF 2 (OC 2 F 4 ) p (OCF 2 ) q OCF 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 Si(OC 2 H 5 ) 3

 一般式(I)の化合物は、1種単独でも2種以 を組合せても使用することができる。また 場合により、上記フッ素置換アルキル基含 有機ケイ素化合物とその部分加水分解縮合 とを組み合わせて使用することができる。 らに、後述する一般式(III)で示されるような パーフルオロポリエーテル-ポリシロキサン 重合体変性シランを組み合わせて使用する ともできる。

 一般式(I)で表されるフッ素置換アルキル 含有有機ケイ素化合物は、溶媒で希釈され ものを用いるとよい。使用できる溶媒とし は、例えば、フッ素変性脂肪族炭化水素系 剤(パーフルオロヘプタン、パーフルオロオ クタン等)、フッ素変性芳香族炭化水素系溶 (1,3-ジ(トリフルオロメチル)ベンゼン、トリ ルオロメチルベンゼン等)、フッ素変性エー テル系溶剤(メチルパーフルオロブチルエー ル、パーフルオロ(2-ブチルテトラヒドロフ ン)等)、フッ素変性アルキルアミン系溶剤( ーフルオロトリブチルアミン、パーフルオ トリペンチルアミン等)、炭化水素系溶剤(石 油ベンジン、ミネラルスピリッツ、トルエン 、キシレン等)、ケトン系溶剤(アセトン、メ ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン )、アルコール溶剤(メタノール、エタノー 、イソプロパノール、n-プロパノール等)等 挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を 組み合わせてもよい。これらのなかでも、変 性シランの溶解性、濡れ性等の点で、フッ素 変性された溶剤が好ましく、特に、1,3-ジ(ト フルオロメチル)ベンゼン、パーフルオロ(2- ブチルテトラヒドロフラン)、およびパーフ オロトリブチルアミンが好ましい。

 一般式(II-1)、(II-2)および(II-3)の中から選ば た少なくとも一種のシラン化合物は、
    一般式(II-1)  R’-Si(OR’’) 3
    一般式(II-2)  Si(OR’’) 4
    一般式(II-3)  SiO(OR’’) 3 Si(OR’’) 3
からなる。

 R’は有機基であり、炭素数1~50(好ましく 1~10)のアルキル基(メチル基、エチル基、プ ピル基等)、エポキシエチル基、グリシジル 基、アミノ基等が挙げられ、これらは置換さ れていてもよい。R’’は炭素数1~48のアルキ 基(メチル基、エチル基、プロピル基等)で り、メチル基またはエチル基が好ましい。

 一般式(II-1)~(II-3)で表されるシラン化合物の 具体例としては、例えば、構造式、(C 2 H 5 O) 3 SiC 3 H 6 NH 2 、(CH 3 O) 3 SiC 3 H 6 NH 2 、(C 2 H 5 O) 4 Si、(C 2 H 5 O) 3 Si-O-Si(OC 2 H 5 ) 3 等が挙げられる。但し、上記例示に限定され るものではない。

 一般式(II-1)~(II-3)のシラン化合物は、1種単 でも2種以上を組合せても使用することがで る。
 シラン化合物は、一般式(II-1)の化合物を単 あるいは他の成分より多く用いることがよ 好ましい。

 一般式(III)のパーフルオロポリエーテル-ポ シロキサン共重合体変性シラン

 一般式(III)において、Rg基は、式:-(C j F 2j O)-(jは1~5の整数であり、好ましくは1~3の整数 あり、一般式(III)中のC j F 2j Oの配列はランダムである。)で表わされる繰 返し単位を含み、分岐を有しない直鎖状の ーフルオロポリアルキレンエーテル構造を する二価の基であり、繰り返し単位数が30~6 0(好ましくは30~50)であり、異なるjの繰り返し 単位を同時に含んでいてもよい。

 ここで、Rgは、二価の直鎖型パーフルオロ リエーテル基であり、各種鎖長のパーフル ロポリエーテル基が含まれるが、好ましく 炭素数1~5程度のパーフルオロポリエーテル を繰返し単位とする二価の直鎖型パーフル ロポリエーテルである。この二価の直鎖型 ーフルオロポリエーテルとしては、例えば 以下に示すようなものが挙げられる。
-CF 2 CF 2 O(CF 2 CFCF 2 O) k CF 2 CF 2 -
-CF 2 (OC 2 F 4 ) p -(OCF 2 ) q -
 上記化学構造式中のk、pおよびqはそれぞれ1 以上の整数を示す。kおよびp+qは30~60の範囲が 好ましい。なお、パーフルオロポリエーテル の分子構造は、これら例示したものに限定さ れるものではない。

 一般式(III)において、R 1 は同一または異なっていてもよい炭素数1~4の アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、 ロピル基、ブチル基)またはフェニル基であ 。
 一般式(III)において、wは30~100であり、30~60 あると好ましい。a、bおよびcは、それぞれ 立に1~5の整数であり、1~3であると好ましい
 一般式(III)において、R 2 は炭素数1~4のアルキル基(例えば、メチル基 エチル基、プロピル基、ブチル基)またはフ ニル基である。

 一般式(III)において、X 1 は加水分解性基であり、例えば、メトキシ基 、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等 のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メト シエトキシ基、エトキシエトキシ基等のア コキシアルコキシ基;アリロキシ基、イソプ ペノキシ等のアルケニルオキシ基;アセトキ シ基、プロピオニルオキシ基、ブチルカルボ ニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシ ロキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチル チルケトオキシム基、ジエチルケトオキシ 基、シクロペンタノキシム基、シクロヘキ ノキシム基等のケトオキシム基;N-メチルア ノ基、N-エチルアミノ基、N-プロピルアミノ 、N-ブチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基 N,N-ジエチルアミノ基、N-シクロヘキシルア ノ基等のアミノ基;N-メチルアセトアミド基 N-エチルアセトアミド基、N-メチルベンズア ミド基等のアミド基;N,N-ジメチルアミノオキ 基、N,N-ジエチルアミノオキシ基等のアミノ オキシ基等を挙げることができる。これらの 基中で、メトキシ基、エトキシ基、イソプロ ペノキシ基が好適である。

 一般式(III)において、dは2または3で、加水 解および縮合反応性、および被膜の密着性 観点から考えると3であることが好ましい。y は1~5の整数であり、1~3であると好ましい。
 一般式(III)の化合物は、1種単独でも2種以上 を組合せても使用することもある。

  本発明で使用するプラスチック基材の 質は、特に限定されず、例えば、メチルメ クリレート単独重合体、メチルメタクリレ トと1種以上の他のモノマーとの共重合体、 エチレングリコールビスアリルカーボネー 単独重合体、ジエチレングリコールビスア ルカーボネートと1種以上の他のモノマーと の共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン 共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン 、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポ リエチレンテレフタレート、ポリウレタン、 ポリチオウレタン、エピチオ基を有する化合 物を原料とする重合体などが挙げられる。

  エピチオ基を有する化合物の例として 、ビス(β-エピチオプロピルチオ)メタン、1,2 -ビス(β-エピチオプロピルチオ)エタン、1,3- ス(β-エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2- ス(β-エピチオプロピルチオ)プロパン、1-(β- エピチオプロピルチオ)-2-(β-エピチオプロピ チオメチル)プロパン、1,4-ビス(β-エピチオ ロピルチオ)ブタン、1,3-ビス(β-エピチオプ ピルチオ)ブタン、1-(β-エピチオプロピルチ オ)-3-(β-エピチオプロピルチオメチル)ブタン 、1,5-ビス(β-エピチオプロピルチオ)ペンタン 、1-(β-エピチオプロピルチオ)-4-(β-エピチオ ロピルチオメチル)ペンタン、1,6-ビス(β-エ チオプロピルチオ)ヘキサン、1-(β-エピチオ プロピルチオ)-5-(β-エピチオプロピルチオメ ル)ヘキサン、1-(β-エピチオプロピルチオ)-2 -〔(2-β-エピチオプロピルチオエチル)チオ〕 タン、1-(β-エピチオプロピルチオ)-2-[〔2-(2- β-エピチオプロピルチオエチル)チオエチル チオ]エタン等の鎖状有機化合物等が挙げら る。また、テトラキス(β-エピチオプロピル チオメチル)メタン、1,1,1-トリス(β-エピチオ ロピルチオメチル)プロパン、1,5-ビス(β-エ チオプロピルチオ)-2-(β-エピチオプロピル オメチル)-3-チアペンタン、1,5-ビス(β-エピ オプロピルチオ)-2,4-ビス(β-エピチオプロピ チオメチル)-3-チアペンタン、1-(β-エピチオ プロピルチオ)-2,2-ビス(β-エピチオプロピル オメチル)-4-チアヘキサン、1,5,6-トリス(β-エ ピチオプロピルチオ)-4-(β-エピチオプロピル オメチル)-3-チアヘキサン、1,8-ビス(β-エピ オプロピルチオ)-4-(β-エピチオプロピルチ メチル)-3,6-ジチアオクタン、1,8-ビス(β-エピ チオプロピルチオ)-4,5ビス(β-エピチオプロピ ルチオメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,8-ビス( -エピチオプロピルチオ)-4,4-ビス(β-エピチオ プロピルチオメチル)-3,6-ジチアオクタン、1,8 -ビス(β-エピチオプロピルチオ)-2,4,5-トリス( -エピチオプロピルチオメチル)-3,6-ジチアオ タン、1,8-ビス(β-エピチオプロピルチオ)-2,5 -ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)-3,6-ジ アオクタン、1,9-ビス(β-エピチオプロピル オ)-5-(β-エピチオプロピルチオメチル)-5-〔(2 -β-エピチオプロピルチオエチル)チオメチル -3,7-ジチアノナン、1,10-ビス(β-エピチオプ ピルチオ)-5,6-ビス〔(2-β-エピチオプロピル オエチル)チオ〕-3,6,9-トリチアデカン、1,11- ス(β-エピチオプロピルチオ)-4,8-ビス(β-エ チオプロピルチオメチル)-3,6,9-トリチアウン デカン、1,11-ビス(β-エピチオプロピルチオ)-5 ,7-ビス(β-エピチオプロピルチオメチル)-3,6,9- トリチアウンデカン、1,11-ビス(β-エピチオプ ロピルチオ)-5,7-〔(2-β-エピチオプロピルチオ エチル)チオメチル〕-3,6,9-トリチアウンデカ 、1,11-ビス(β-エピチオプロピルチオ)-4,7-ビ (β-エピチオプロピルチオメチル)-3,6,9-トリ アウンデカン等の分岐状有機化合物および れらの化合物のエピスルフィド基の水素の なくとも1個がメチル基で置換された化合物 等が挙げられる。さらには1,3および1,4-ビス( -エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3 および1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオメチ )シクロヘキサン、ビス〔4-(β-エピチオプロ ピルチオ)シクロヘキシル〕メタン、2,2-ビス 4-(β-エピチオプロピルチオ)シクロヘキシル 〕プロパン、ビス〔4-(β-エピチオプロピルチ オ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5-ビス(β- エピチオプロピルチオメチル)-1,4-ジチアン、 2,5-ビス(β-エピチオプロピルチオエチルチオ チル)-1,4-ジチアン等の環状脂肪族有機化合 およびこれらの化合物のエピスルフィド基 水素の少なくとも1個がメチル基で置換され た化合物、および1,3および1,4-ビス(β-エピチ プロピルチオ)ベンゼン、1,3および1,4-ビス( -エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビ ス〔4-(β-エピチオプロピルチオ)フェニル〕 タン、2,2-ビス〔4-(β-エピチオプロピルチオ) フェニル〕プロパン、ビス〔4-(β-エピチオプ ロピルチオ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4- (β-エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフ ン、4,4’-ビス(β-エピチオプロピルチオ)ビ ェニル等の芳香族有機化合物およびこれら 化合物のエピスルフィド基の水素の少なく も1個がメチル基で置換された化合物等が挙 げられる。

 図1および図4において、レンズ回転軸4は 軸線を一致させて水平に配置された第1、第 2のレンズ回転軸4A、4Bで構成され、レンズ保 ユニット15に配設されている。レンズ保持 ニット15は、装置の左右方向(X方向)において 対向する一対の支持部15a、15bを有し、一方の 支持部15aによって第1のレンズ回転軸4Aを回転 自在に軸支し、他方の支持部15bによって第2 レンズ回転軸4Bを回転自在にかつ軸線方向に 移動自在に軸支している。第1、第2のレンズ 転軸4A、4Bの互いに対向する先端には、図2 示すように被加工レンズ2のレンズ保持手段 構成するレンズホルダ16とレンズ押え17がそ れぞれ着脱自在に取付けられている。

 レンズ保持ユニット15の他方の支持部15b は、レンズ回転軸用駆動モータ18が固定され ており、この駆動モータ18の回転がプーリ、 付きベルト等の回転伝達手段19を介して第1 第2のレンズ回転軸4A、4Bにそれぞれ伝達さ るように構成されている。したがって、第1 第2のレンズ回転軸4A、4Bは同期して駆動さ る。レンズ回転軸用駆動モータ18としては、 回転速度が可変でしかも正逆回転可能なパル スモータが用いられる。また、レンズ保持ユ ニット15の他方の支持部16bの内部には、第2の レンズ軸4Bを第1のレンズ軸4Aに対して進退移 させる駆動モータ(図示せず)が組み込まれ いる。

 第1のレンズ回転軸移動機構5は、筐体3の 板30上に平行に設置されたX方向に長い前後 対のX軸リニアガイド31と、これらのX軸リニ アガイド31に沿ってX方向に移動自在なX方向 ーブル32と、このX方向テーブル32をX軸リニ ガイド31に沿って移動させるX方向テーブル 駆動モータ33等で構成されている。

 第2のレンズ回転軸移動機構6は、X方向テ ブル32の上面に平行に設置されたY方向に延 する左右一対のY軸リニアガイド35と、これ のY軸リニアガイド35に沿ってY方向に移動自 在なY方向テーブル36と、このY方向テーブル36 をY軸リニアガイド35に沿って移動させるY方 テーブル用駆動モータ37と、Y方向テーブル36 上に設置されたレンズ保持ユニット15等で構 されている。このため、レンズ回転軸4の動 作は、3方向、すなわち軸線回りの回転と、 線と直交する左右方向(X方向)および前後方 (Y方向)の移動である。これら3方向の動作は 制御部により被加工レンズ2の形状加工デー タに基づいて数値制御される。

 被加工レンズ2の周面2cを研削加工する加 具7としては、図2に示すように円筒状に形 されたダイヤモンドホイール等の砥石が用 られ、回転駆動機構8の加工具回転軸40に取 けられている。また、加工具7は、一次加工 (荒加工用)の研削砥石7Aと、二次加工用(仕 げ加工用)の研削砥石7Bとで構成されている 二次加工用研削砥石7Bの外周面には、左右対 称なV字状の環状溝からなるヤゲン用溝41が形 成されている。

 加工具7の回転駆動機構8は、筐体3の底板3 0上に設置されたフレーム44と、このフレーム 44の上端に片持ち支持された加工具回転軸40 、この加工具回転軸40を回転させるインバー タ形式の加工具用駆動モータ45と、この加工 用駆動モータ45の回転を加工具回転軸44に伝 達するプーリ、歯付きベルト等の回転伝達機 構46等で構成されている。加工具回転軸40は レンズ回転軸4と平行でこれより前方に位置 ている。

 レンズ形状測定部9は、図4に示すように 互いに対向して配設され被加工レンズ2の各 学面2a、2bをトレースする左右一対の測定子 50A、50Bと、これらの測定子50A、50Bを接近離間 させる駆動モータ(図示せず)と、測定子50A、5 0Bの軌跡から被加工レンズ2の各光学面2a、2b よび周面2c、2d、2eの両端エッジ部、すなわ 凸面側外周縁51A、52A、53Aと凹面側外周縁51B 52B、53Bの位置を演算処理し被加工レンズ2の 状情報を測定する演算処理装置(図示せず) を備えている。なお、図4において、2cは被 工レンズ2を縁摺り加工する以前の周面、2d 一次加工後の周面、2eは二次加工後の周面で ある。

 レンズ形状測定部9による被加工レンズ2 形状測定に際しては、被加工レンズ2を回転 せ、左右の測定子50A、50Bを互いに接近させ 被加工レンズ2の各光学面2a、2bに押し付け この状態でレンズ保持ユニット15を前後方向 に移動させると、被加工レンズ2の形状を測 することができる。

 面取り機構10は、被加工レンズ2の二次加 後の各エッジ部53A、53Bを面取り加工するも で、左右一対の面取り用加工具60、60と、こ れらの面取り用加工具60を駆動する面取り用 動モータ61と、この駆動モータ61の回転を各 面取り用加工具60に伝達するプーリ、ベルト の回転伝達機構62とで構成されている。面 り用加工具60としては、ダイヤモンドホイー ル等の研削ツールが用いられる。

 次に、上記構造からなる眼鏡レンズの縁摺 加工装置1による被加工レンズ2の縁摺り加 の手順を図7に示すフローチャートに基づい 説明する。
 先ず、発注側である眼鏡店が製造側である ンズメーカーの工場へ製造者が必要とする 鏡レンズの情報をオンラインで送信する(ス テップS1)。眼鏡店は、レンズの製造、納品を 工場に依頼する際に、レンズの材質、処方値 、レンズの加工指定値、眼鏡枠情報、アイポ イント位置を指定するレイアウト情報、ヤゲ ンモード、ヤゲン位置、ヤゲン形状等のレン ズ製造に必要な各種情報を工場に送る。眼鏡 枠情報は、3次元レンズ枠形状データ、近似 面定義データ、フレームPD(またはDBL)、あお 角、周長などである。

 このような眼鏡店から工場への眼鏡レン の製造依頼は、特に撥水膜層が形成されて るレンズの製造を依頼する場合等において 効である(撥水膜層が形成されていると眼鏡 店での一次加工が困難なため)。

 工場では、眼鏡店からの眼鏡レンズの製 に必要な各種情報を取得すると、これらの 報に基づいて加工形状データ、玉型形状情 、レイアウト情報、加工指示情報等を作成 縁摺り加工装置1に入力する(ステップS2)。

 次に、作業者が在庫として保管してある ンカットレンズの中から注文のレンズに適 するレンズを被加工レンズ2として選択し、 その凸側光学面2aをレンズホルダ16によって 持する(ステップS3)。

 レンズホルダ16は、図3に示すように金属 の軸部70と、この軸部70に一体成形された弾 性材料からなる保持カップ71とで構成されて る。また、保持カップ71は、軸70に固定され た軸部71Aと、この軸部71Aの先端面に一体に設 けられたレンズ保持部71Bとで構成されている 。レンズ保持部71Bは、矩形板状に形成されて いて、前面がレンズ2の凸側光学面2aと略同一 の曲率半径の凹面からなるレンズ保持面72を 成しており、リープテープ73が貼着されて る。レンズホルダ16による被加工レンズ2の 持は、リープテープ73を凸側光学面2aに押し けて貼着すればよい。このとき、図5Aに示 ようにレンズホルダ16の中心Oと被加工レン 2の加工の際の回転中心である加工中心位置2 1とを一致させてレンズホルダ16を被加工レン ズ2に取付ける。また、レンズに乱視軸があ 場合は、その方向も所定の角度に合わせて 付ける。被加工レンズ2の加工中心位置21は 眼鏡枠のフレームセンターBまたは被加工レ ズ2の光学中心Cである。

 次に、作業者が被加工レンズ2の凸側光学 面2aに2つの軸ずれ測定用マーク81a、81b(図5A~ 5C)を表示する(ステップS4)。レンズホルダ16 は、予め2つの基準位置マーク80a、80bが表示 れており、これらのマーク80a、80bと一致す ように軸ずれ測定用マーク81a、81bを表示す 。レンズホルダ16の基準位置マーク80a、80b 、中心Oを通る互いに直交する2本の直線から なり、レンズ保持部71Bの背面に表示されてい る。なお、これらの基準位置マーク80a、80bは 、被加工レンズ2を保持する前に予めレンズ ルダ16に表示されるが、これに限らず被加工 レンズ2を保持した後、レンズホルダ16と被加 工レンズ2に基準位置マーク80a、80bと軸ずれ 定用マーク81a、81bとを同時に表示してもよ 。

 被加工レンズ2の軸ずれ測定用マーク81a、 81bは、加工中心位置21を通る互いに直交する2 本の直線で構成されており、レンズホルダ16 よって保持された後、適宜なインクによっ 基準位置マーク80a、80bと連続した直線を形 するように表示される。また。これらのマ ク81a、81bは線幅が異なり、一方のマーク81a 他方のマーク81bより太く表示されている。

 次に、被加工レンズ2をレンズ回転軸4に 着する(ステップS5)。レンズ回転軸4への装着 に際しては、先ず被加工レンズ2を保持して るレンズホルダ16を第1のレンズ回転軸4Aに装 着する。このレンズホルダ16の装着は、軸部7 0を第1のレンズ回転軸4Aの先端面に形成され いる凹陥部に嵌合することにより行なうこ ができる。

 次に、第2のレンズ回転軸4Bを前進させて の回転軸の先端に取付けられているレンズ え17を被加工レンズ2の凹側光学面2bに弾性 材85(図2)を介して押し付ける。これにより、 被加工レンズ2の凸側と凹側の光学面2a、2bの 工中心位置21がレンズホルダ16とレンズ押え 17とによって挟持保持され、レンズ回転軸4へ のレンズの装着が終了する。

 次に、レンズ回転軸4を低速回転させ、被 加工レンズ2の周面2cを加工具7により加工形 データに基づいて一次加工する(ステップS6) この一次加工は、一次加工用研削砥石7Aに って周面2cを研削し、被加工レンズ2を一次 状にする。一次加工による被加工レンズ2の 次形状は、眼鏡フレームの枠形状に適合す 玉型形状2A(図5A~図5C)が内接する円よりも大 い円形または玉型形状2Aと相似形でこれよ 二次加工の加工代分だけ大きい玉型形状で る。玉型形状2Aが内接する円よりも大きい円 88は、玉型形状2Aの最大半径R(図5B)に二次加工 時の加工代を加えた値と等しいか、この値よ り若干大きい半径を有する円(例えば、50φmm) ある。

 被加工レンズ2の一次加工が終了すると、 作業者は被加工レンズ2をレンズ回転軸4から り外して被加工レンズ2の軸ずれを測定する (ステップS7)。被加工レンズ2に撥水膜層が形 されている場合、一般のレンズと同程度の ンズ保持力で被加工レンズ2を保持して一次 工すると、加工抵抗が大きいため軸ずれが生 じ易く、軸ずれが生じたまま二次加工すると 不良品となる。

 そこで、一次加工が終了すると、レンズ ルダ16を第1のレンズ回転軸4Aから取り外し 基準位置マーク80a、80bと軸ずれ測定用マー 81a、81bにより軸ずれしたか否かを判定する

 図5Bは、一次加工により加工中心位置21がレ ンズホルダ16の中心OからX方向に-X 1  、Y方向に-Y 1  だけ軸ずれし、回転角が基準位置マーク80a 対して反時計方向に-θ 1  だけ軸ずれした場合を示す。図5Cは加工中 位置21がレンズホルダ16の中心Oに対して軸ず れせず、回転角のみが基準位置マーク80aに対 して反時計方向にθ 2  だけ軸ずれした場合を示す。

 軸ずれしている場合は、加工中心位置21の ンズホルダ16の中心Oに対するX、Y方向のずれ 量(X 1  、Y 1  )と回転角(θ 1  、θ 2  )を測定する。軸ずれを測定した結果、例え ば加工中心位置21のX、Y方向のずれ量がそれ れ±0.5mm以上であるかまたは回転角が±5°以 のいずれかであった場合は、加工中心位置21 が軸ずれしていると判定し、それ以下の場合 は軸ずれなしと判定する。なお、軸ずれ量と 回転角の許容値はレンズの種類や度数によっ て異なる。例えば、対象レンズが単焦点レン ズの乱視軸であると、前述の回転角度のずれ が±2°以下であれば眼鏡レンズの規格を満た ことがあるため公差については適宜選択を ることとする。

 このような軸ずれの測定は、作業者が目 または公知の画像処理によって行なう。画 処理による場合は、目視に比べてずれ量を 確に測定することができる利点がある。な 、画像処理による加工形状データの補正に いてはさらに後述する。

 測定の結果、軸ずれが生じたと判定した 合は、レンズホルダ16によって被加工レン 2を再保持して軸ずれを補正する(ステップS8) 。すなわち、レンズホルダ16を被加工レンズ2 から取り外し、レンズホルダ16の中心Oと被加 工レンズ21の加工中心位置21とを一致させる ともに、基準位置マーク80a、80bと軸ずれ測 用マーク81a、81bとを一致させてレンズホル 16を被加工レンズ2に再装着すると、軸ずれ 補正される。なお、軸ずれが許容値以下で る場合は、レンズホルダ16を被加工レンズ2 ら取り外す必要がない。

 次に、被加工レンズ2を上記したステップ S5と同じ手順にしたがってレンズ回転軸4に再 装着する(ステップS9)。

 レンズ回転軸4への装着が終了すると、レ ンズ回転軸4を回転させ、一次加工された被 工レンズ2の周面2dを加工形状データに基づ て二次加工用研削砥石7Bで二次加工し、二次 形状にする(ステップS10)。二次加工による被 工レンズ2の二次形状は、眼鏡枠の玉型形状 2Aに適合する玉型形状、またはこれより僅か 大きい玉型形状である。眼鏡枠の玉型形状 り僅かに大きい玉型形状は、眼鏡店からの 文により眼鏡店での最終仕上げ加工を行な 際の加工代を残しておくためである。この うな二次加工による被加工レンズの二次形 は、一次形状と同様に予め算出して加工形 データとして制御部に入力しておく。

 ここで、本実施例においては、一般のリ 付き眼鏡フレームに装着される眼鏡レンズ 製造を対象しているため、ヤゲン用溝41を する研削用砥石7Bを用いたが、リムを備えな い眼鏡フレーム(縁無し眼鏡フレーム)に装着 れる眼鏡レンズやナイロールフレームに装 される眼鏡レンズを製造する場合は、研削 石7Bを縁無し眼鏡フレーム用またはナイロ ルフレーム用の研削砥石に交換して被加工 ンズ2の周面を縁摺り加工すればよい。

 次に、二次加工が終了すると、被加工レ ズ2をレンズ回転軸4から外して被加工レン 2の軸ずれを測定する(ステップS11)。この軸 れは、前述したステップS7と同様に基準位置 マーク80a、80bが軸ずれ測定用マーク81a、81bに 対してずれているか否かによって判定する。 二次加工の場合は、一次加工後の外径が小さ い被加工レンズ2を加工するため、加工抵抗 小さく、撥水膜層が形成されているレンズ あっても軸ずれするおそれがほとんどない 、または軸ずれを所定の許容値以内に納め ことができるため、精度の高い加工を行な ことができる。また、軸ずれ測定用マーク81 a、81bが基準位置マーク80a、80bに対してずれ いないことを作業者が目視によって確認す ことで、被加工レンズ2が軸ずれしていない とを保証することができる。

 二次加工が終了すると面取り加工する(ス テップS12)。面取り加工は、被加工レンズ2を ンズ回転軸4とともに回転させ、周面2eのエ ジ部53A、53Bに面取り用加工具60を押し当て ことで行うことができる。面取り時の加工 60の制御データとして用いられる加工具60の 取り軌跡データは、二次加工後の被加工レ ズ2の周面2eにおける各エッジ部53A、53Bの位 データを算出し、次いでこのエッジ部の位 データに基づいて算出する。

 面取り加工が終了すると、被加工レンズ2 をレンズ回転軸4から取り外し、光学性能お び外観検査を行う(ステップS13)。

 検査で合格品と判定された被加工レンズ1 2は、眼鏡レンズとして包装され発注元であ 眼鏡店へ出荷される(ステップS14)。

 眼鏡店では、工場から眼鏡レンズを受け ると、光学性能および外観を検査する。そ て、適正であると判断した場合、眼鏡レン が装用者が選定した眼鏡フレームの枠形状 適合する玉型形状であれば、その眼鏡フレ ムにはめ込み、装用者に引き渡す。一方、 鏡レンズが眼鏡フレームの枠形状よりも若 大きい玉型形状である場合は、眼鏡店で眼 フレームの枠形状に適合するように最終仕 げ加工して眼鏡フレームにはめ込み、装用 に引き渡す。眼鏡店での最終仕上げ加工は レンズ自体の形状が小さいため、加工抵抗 小さく、撥水膜層が形成されているレンズ あっても軸ずれするおそれが少ない。

 このように、本実施例においては、被加 レンズの軸ずれを補正する工程が、一次加 後に被加工レンズをレンズ保持手段ととも レンズ回転軸から取り外して基準位置マー と軸ずれ測定用マークにより前記被加工レ ズの軸ずれを測定する軸ずれ測定工程と、 記被加工レンズの一方の光学面を前記レン 保持手段によって前記軸ずれ測定用マーク 前記基準位置マークを一致させて再度保持 ることにより、前記軸ずれ測定工程によっ 測定された被加工レンズの軸ずれを補正す 軸ずれ補正工程と、前記レンズ保持手段を 加工レンズとともに前記レンズ回転軸に再 着する工程とを備えているので、二次加工 おいては一般のレンズと同様に軸ずれする となく加工することができる。すなわち、 実施例では、一次加工時の被加工レンズ2の 軸ずれを許容している。また、一次加工によ って被加工レンズ2が軸ずれすると、その軸 れ量と方向を測定し、レンズホルダ16によっ て被加工レンズ2を再度保持することにより ずれを補正するようにしている。このよう 、二次加工時に被加工レンズ2の軸ずれを補 しておくと、二次加工時のレンズ自体の形 は小さくなっているため、撥水膜層が形成 れているレンズであっても、格別大きなレ ズ保持力でレンズを保持しなくても軸ずれ を許容値以内に納めることができる。した って、被加工レンズ2が滑性の高いレンズや 一次加工時のレンズが外径の大きいアンカッ トレンズであっても、一次加工工程において は格別な軸ずれ防止対策を講じる必要がなく 、二次加工においては格別大きなレンズ保持 力で保持せずとも一般のレンズと同様に軸ず れすることなく高い精度で加工することがで きることが確認された。

 図8は本発明の他の実施例を示すフローチャ ートである。
 本実施例は、上記した実施例と軸ずれ補正 仕方が異なる。すなわち、本実施例におけ 軸ずれの測定と補正(ステップS27)は、画像 理によって軸ずれを測定し、縁摺り加工装 1の加工形状データ自体を補正するようにし ものである。

 以下、その手順について説明する。
 画像処理による軸ずれを測定する場合は、 9に示すようにラインセンサ90をレンズホル 16の中心Oを通る直線上に配置しておく。ま 、予めレンズホルダ16と被加工レンズ2に線 太さがそれぞれ異なる少なくとも2つの基準 位置マーク80a、80bと軸ずれ測定用マーク81a、 81bとを互いに一致するように表示しておく。 マーク80aと80b、81aと81bの線の太さを異ならせ ておくと、レンズ2上の光学中心(C)、装用状 での上下左右方向等のレイアウトが識別可 となる。

 一次加工が終了すると、被加工レンズ2を レンズホルダ16とともにレンズ回転軸4から取 外し、基準位置マーク80a、80bと軸ずれ測定用 マーク81a、81bとをラインセンサ90によって撮 する。撮像に際しては、被加工レンズ2を矢 印方向に回転させての基準位置マーク80a、80b と軸ずれ測定用マーク81a、81bの座標値を読み 取る。ここでマークがずれている場合は、そ のずれ量を計算する。ずれていない場合は、 被加工レンズ2をレンズ回転軸4に再び装着し 二次加工を実施する。

 軸ずれの量の算出に当たって、基準位置 ずれていない場合のレンズホルダ16の中心O する。言い換えれば、レンズホルダ16の2つ 基準位置マーク80a、80bを延長した直線の交 する位置とする。そして、被加工レンズ2上 の軸ずれ測定用マーク81a、81bを延長した直線 が交差する点21’の座標値を算出し、軸ずれ よる被加工レンズ2上の加工中心位置を特定 する(以下、加工中心位置21’という)。

 次に、レンズ回転軸4に垂直な方向へのず れ量としてレンズホルダ16の中心Oを基準とし た加工中心位置21’までの距離と方向を算出 て補正値A(X、Y)とする。補正値Aによる縁摺 加工装置1の加工中心位置がレンズホルダ16 中心Oからずれた被加工レンズ2上の加工中 21’とする。また、回転方向のずれ量として 各軸ずれ測定用マーク81a、81bと基準位置マー ク80a、80bとのなす角度を算出し、補正値Bと る。そして、補正値Aと補正値Bに基づいて加 工形状データの加工中心を補正して二次加工 を行なう。

 このように、画像処理によって被加工レ ズ2の軸ずれを測定した後、被加工レンズ2 加工形状データ自体の加工軸中心を補正し この補正された加工形状データに基づいて 次加工すると、被加工レンズ2が実際に軸ず していてもレンズホルダ16を被加工レンズ2 ら取り外して再保持する必要がないので、 記した実施例に比べて作業工数が少なく縁 り加工に要する時間を大幅に短縮すること できる利点がある。なお、ステップS21~S26、 ステップ28~ステップ33は、図7に示したステッ プS1~S6、ステップS9~ステップ14と全く同じで るため、その説明を省略する。

 このように、本実施例によれば、被加工 ンズの軸ずれを補正する工程が、一次加工 に被加工レンズをレンズ保持手段とともに ンズ回転軸から取り外して基準位置マーク 軸ずれ測定用マークから前記被加工レンズ 軸ずれを測定し、加工形状データを補正す 加工形状データ補正工程とを備え、二次加 工程が前記加工形状データ補正工程によっ 補正された加工形状データに基づいて被加 レンズを加工するので、すなわち、測定さ た軸ずれ量とその方向に対応させて加工形 データ自体を補正するので、被加工レンズ レンズ保持手段に対して軸ずれしていても レンズ保持手段をレンズから外してレンズ 再保持する必要がなく、軸ずれしたままの 態で二次加工することができる。したがっ 、軸ずれを補正するためのレンズ保持手段 よる再保持工程を必要とせず、レンズの縁 り加工に要する時間を短縮することができ 。

 また、本実施例によれば、一次加工工程 よって加工された被加工レンズの一次形状 、眼鏡フレームの枠形状に適合する玉型形 が内接する円よりも大きい円形と、前記玉 形状と相似形でこれより大きい玉型形状の ちのいずれか一方であり、二次加工工程に って加工された被加工レンズの二次形状が 眼鏡フレームの枠形状に適合する玉型形状 、これより僅かに大きい玉型形状のうちの ずれか一方である。

 また、本実施例によれば、軸ずれ測定工 を画像処理および目視のうちのいずれか一 によって行なうことができる。

 さらに、本実施例によれば、基準位置マ クを、被加工レンズを保持する以前と、未 工レンズに軸ずれ測定用マークを表示する きと同時のうちのいずれか一方によって表 することができる。

 なお、上記した実施例においては、二次 工によって装用者が選定した眼鏡フレーム 枠形状に適合した玉型形状または枠形状よ も若干大きい玉型形状に二次加工して眼鏡 に納品する場合について説明したが、眼鏡 の依頼によっては一次加工のみを行った一 形状の被加工レンズを納品する場合も考え れる。その場合、軸ずれが生じているレン については、加工中心位置21’に加えて、 ずれ量とその方向を眼鏡店に知らせる。眼 店では、一次加工された被加工レンズを受 取ると、加工中心位置21を保持して眼鏡フレ ームの枠形状に適合した形状に仕上げ加工し 、その眼鏡フレームにはめ込むことにより眼 鏡が完成する。  

 本発明に係る縁摺り加工方法は、眼眼レン の縁摺り加工に用いて有用である。