YAMASAKI YUJI (JP)
WO2019064922A1 | 2019-04-04 |
JP2013128957A | 2013-07-04 | |||
JP2019033076A | 2019-02-28 |
\¥02020/174841 17 卩(:17 2019/049934 請求の範囲 [請求項 1 ] せん断加工された金属板に曲げ変形を含むプレス成形を施して目的 のプレス成形部品を製造する際における、 上記せん断加工された端面 であるせん断端面での曲げ割れを評価する方法であって、 上記プレス成形部品の部品形状に基づき取得したせん断端面又はせ ん断端面近傍の曲げ外ひずみと、 上記プレス成形で使用するプレス金 型におけるせん断端面を成形する部分のプレス金型の曲げ半径とから 、 上記プレス成形部品のせん断端面での曲げ割れを評価するための割 れ指標値を求めることを特徴とする曲げ割れ評価方法。 [請求項 2] せん断加工された金属板に曲げ変形を含むプレス成形を施して目的 のプレス成形部品を製造する際における、 上記せん断加工された端面 であるせん断加工面での曲げ割れを評価する方法であって、 上記プレス成形部品の部品形状に基づき、 せん断端面又はせん断端 面近傍の曲げ外ひずみと曲げ半径とを取得し、 その取得した曲げ外ひ ずみと曲げ半径から、 上記プレス成形部品のせん断端面での曲げ割れ を評価するための割れ指標値を求めることを特徴とする曲げ割れ評価 方法。 [請求項 3] 上記プレス成形部品の部品形状に基づき取得したせん断端面又はせ ん断端面近傍の板厚減少率と、 上記曲げ半径とから、 上記曲げ外ひず みを算出することを特徴とした請求項 1又は請求項 2に記載した曲げ 割れ評価方法。 [請求項 4] 上記板厚減少率を求める部位を、 せん断端面から板面に沿って 5 以内の範囲とすることを特徴とする請求項 3に記載した曲げ割れ評 価方法。 [請求項 5] 上記割れ指標値は、 上記金属板の応力一ひずみ関係を用い、 上記曲 げ外ひずみと上記曲げ半径とから求められるせん断端面又はせん断端 面近傍での板厚方向の応力勾配と、 上記曲げ外ひずみとで表現される ことを特徴とする請求項 1〜請求項 3のいずれか 1項に記載した曲げ \¥02020/174841 18 卩(:171?2019/049934 割れ評価方法。 [請求項 6] 上記割れ指標値によって曲げ割れに対する成形余裕を評価すること を特徴とする請求項 1〜請求項 5のいずれか 1項に記載した曲げ割れ 評価方法。 [請求項 7] せん断加工された金属板に曲げ変形を含むプレス成形を施して目的 のプレス成形部品を製造する際における、 上記せん断加工された端面 であるせん断端面での曲げ割れを評価する方法であって、 上記プレス成形部品の形状情報に基づき取得した、 評価するせん断 端面又はそのせん断端面近傍における、 板厚方向の応力勾配と曲げ外 ひずみとから、 上記プレス成形部品のせん断端面での曲げ割れを評価 することを特徴とする曲げ割れ評価方法。 [請求項 8] せん断加工された金属板に曲げ変形を含むプレス成形を施して目的 のプレス成形部品を製造する際における、 上記せん断加工された端面 であるせん断端面での曲げ割れを評価する曲げ割れ評価システムであ って、 上記プレス成形部品の部品形状に基づき取得したせん断端面又はせ ん断端面近傍の曲げ外ひずみと、 上記プレス成形で使用するプレス金 型におけるせん断端面を成形する部分のプレス金型の曲げ半径とを入 力し、 上記入力した曲げ外ひずみと曲げ半径から、 上記プレス成形部 品のせん断端面での曲げ割れを評価するための割れ指標値を求める割 れ指標値演算部を、 備えることを特徴とする曲げ割れ評価システム。 [請求項 9] せん断加工された金属板に曲げ変形を含むプレス成形を施して目的 のプレス成形部品を製造する際における、 上記せん断加工された端面 であるせん断加工面での曲げ割れを評価する曲げ割れ評価システムで あって、 上記プレス成形部品の部品形状に基づき取得したせん断端面又はせ ん断端面近傍の曲げ外ひずみと曲げ半径とを入力し、 その入力した曲 げ外ひずみと曲げ半径から、 上記プレス成形部品のせん断端面での曲 \¥02020/174841 19 卩(:171?2019/049934 げ割れを評価するための割れ指標値を求める割れ指標値演算部を、 備 えることを特徴とする曲げ割れ評価システム。 [請求項 10] せん断加工された金属板に曲げ変形を含むプレス成形を施してプレ ス成形部品を製造するプレス成形部品の製造方法であって、 請求項 1〜 7のいずれか 1項に記載した曲げ割れ評価方法でプレス 成形を施す金属板を評価して、 上記プレス成形を施したときにせん断 端面での曲げ割れが発生しないと推定される金属板を選定し、 上記選定した金属板を用いて上記プレス成形部品を製造することを 特徴とするプレス成形部品の製造方法。 |
明 細 書
発明の名称 :
曲げ割れ評価方法、 曲げ割れ評価システム、 及びプレス成形部品の製造方 法
技術分野
[0001 ] 本発明は、 せん断加工された金属板にプレス成形を施し て、 目的のプレス 成形部品を製造する際における、 せん断端面での曲げ割れを評価する技術、 及びそれを利用したプレス成形部品の製造方 法に関する。
背景技術
[0002] 現在、 自動車には軽量化による燃費向上と衝突安全 性の向上が求められて いる。 そして、 車体の軽量化と衝突時の搭乗者保護を両立す る目的で、 自動 車用構造部品には高強度鋼板が使用される傾 向にある。 このような高強度鋼 板を金属板として用いた場合におけるプレス 成形時の成形不良の一つとして 、 割れがある。 特に、 高強度鋼板をプレス成形用の金属板として用 いた場合 、 せん断加工後の端面 (以下、 せん断端面とも記載する。 ) での割れの発生 が重要な課題となっている。
せん断端面の割れは、 大きく分けると、 伸びフランジ変形による割れと曲 げ変形による割れ (曲げ割れ) とに分類される。
[0003] 伸びフランジ割れの評価としては、 例えば特許文献 1〜 3に記載の方法が ある。 特許文献 1 には、 板の面内方向のひずみ勾配を考慮した予測手 法や、 板面内の応力勾配を考慮した予測手法が記載 されている。 特許文献 2には、 伸びフランジ変形におけるひずみ勾配とひず み集中と破断ひずみの関係を用 いる技術が記載されている。 特許文献 3には、 成形限界ひずみと板面内方向 及び板厚方向のひずみ勾配の関係を用いた割 れ予測手法が記載されている。 一方で、 せん断端面の曲げ割れに関する割れの評価手 法は開発されてない 。 特に、 プレス成形後のプレス成形部品の部品形状が 決まっている場合に、 せん断端面の曲げ割れを、 プレス成形前に評価する技術の開発について 要望 \¥02020/174841 卩(:17 2019/049934
がある。
先行技術文献
特許文献
[0004] 特許文献 1 :特開 2 0 1 0 - 0 6 9 5 3 3号公報
特許文献 2 :特開 2 0 1 1 — 1 4 0 0 4 6号公報
特許文献 3 :特開 2 0 1 4 _ 1 1 5 2 6 9号公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0005] 本発明は、 上記のような点に着目してなされたもので、 実部品等の形状情 報から、 目的とするプレス成形部品にプレス成形を施 した際における、 せん 断端面での曲げ割れ発生を予想するなど、 プレス成形部品でのせん断端面の 曲げ割れを評価する技術、 及びその技術を利用したプレス成形部品の製 造方 法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0006] 本出願の発明者は、 各種の成形試験により、 せん断端面の曲げ割れが発生 するせん断端面又はせん断端面近傍の曲げ外 ひずみと、 成形条件から求まる せん断端面近傍の応力勾配との関係を実験的 に求めて評価した。 そして、 発 明者は、 プレス成形時のせん断端面又はせん断端面近 傍の曲げ外ひずみと成 形条件より決定される応力勾配の関係を比較 することで、 せん断端面の曲げ 割れに対する成形余裕を評価できることを発 見した。
すなわち、 本発明の態様は、 形状情報から、 金属板に必要となる曲げ性の 評価方法と、 それを用いた金属板に発生する割れ発生懸念 の評価方法を可能 とする技術に関する。
[0007] そして、 課題を解決するために、 本発明の一態様は、 せん断加工された金 属板に曲げ変形を含むプレス成形を施して目 的のプレス成形部品を製造する 際における、 上記せん断加工された端面であるせん断端面 での曲げ割れを評 価する方法であって、 上記プレス成形部品の部品形状に基づき取得 したせん \¥02020/174841 3 卩(:171?2019/049934
断端面又はせん断端面近傍の曲げ外ひずみ と、 上記プレス成形で使用するプ レス金型におけるせん断端面を成形する部分 のプレス金型の曲げ半径とから 、 上記プレス成形部品のせん断端面での曲げ割 れを評価するための割れ指標 値を求めることを要旨とする。
[0008] また、 本発明の他の態様は、 せん断加工された金属板に曲げ変形を含むプ レス成形を施して目的のプレス成形部品を製 造する際における、 上記せん断 加工された端面であるせん断端面での曲げ割 れを評価する曲げ割れ評価シス テムであって、 上記プレス成形部品の部品形状に基づき取得 したせん断端面 又はせん断端面近傍の曲げ外ひずみと、 上記プレス成形で使用するプレス金 型におけるせん断端面を成形する部分のプレ ス金型の曲げ半径とを入力し、 上記入力した曲げ外ひずみと曲げ半径から、 上記プレス成形部品のせん断端 面での曲げ割れを評価するための割れ指標値 を求める割れ指標値演算部を、 備えることを要旨とする。
[0009] また、 本発明の他の態様は、 せん断加工された金属板に曲げ変形を含むプ レス成形を施してプレス成形部品を製造する プレス成形部品の製造方法であ って、 本発明の態様に係る曲げ割れ評価方法でプレ ス成形を施す金属板を評 価して、 上記プレス成形を施したときにせん断端面で の曲げ割れが発生しな いと推定される金属板を選定し、 上記選定した金属板を用いて上記プレス成 形部品を製造することを要旨とする。
発明の効果
[0010] 本発明の態様によれば、 例えば、 候補とする金属板毎に、 プレス成形する ために必要となる金属板のせん断端面での曲 げ割れを評価することができる 。 これによって、 本発明の態様によれば、 例えば、 自動車のパネル部品、 構 造 ·骨格部品等の各種部品をプレス成形する際 用いる金属板の選定が適切 であるか精度良く評価できるようになる。 その結果、 本発明の態様によれば 、 プレス成形を安定して行うことができるとと もに、 プレス成形部品の不良 率の低減にも大きく寄与することができる。
図面の簡単な説明 \¥02020/174841 4 卩(:171?2019/049934
[001 1] [図 1]本発明に基づく実施形態に係るプレス成 部品の製造方法の工程例を示 す図である。
[図 2]本発明に基づく実施形態に係る評価方法 説明する図である。
[図 3]本発明に基づく実施形態に係る曲げ割れ 価システムを説明する図であ る。
[図 4]実施例で用いた試験片形状を示す図であ 。
[図 5]実施例で用いた試験片形状を示す図であ 。
[図 6] V曲げ試験で取得した亀裂長さと曲げ半径の 係を示す図である。
[図 7]切欠き引張り試験により取得した亀裂長 とストローク量の関係を示す 図である。
[図 8]曲げ限界ひずみと、 組み合わせ応力勾配の関係を示す図である。
[図 9]実施例における目的とする実部品 (プレス成形部品) におけるせん断曲 げ割れの評価位置の例を示す図である。
[図 10]実部品における、 安全率も加味した成形限界の評価結果を示す 図であ る。
発明を実施するための形態
[0012] 次に、 本実施形態について図面を参照しつつ説明す る。
本実施形態は、 せん断加工された金属板に曲げ変形を含むプ レス成形を施 して目的のプレス成形部品 (以下、 実部品とも記載する) を製造する際にお ける、 せん断端面での曲げ割れを評価する方法に関 する。 曲げ割れの評価は 、 例えば、 曲げ割れの成形余裕について評価する。
すなわち、 本実施形態におけるプレス成形部品の製造方 法は、 図 1 に示す ように、 公知のプレス装置によって、 せん断加工された金属板に曲げ変形を 含むプレス成形を施して目的のプレス成形部 品を製造するプレス製造工程 5 1 を有する。 本実施形態は、 そのプレス製造工程 5 1で実際にプレス成形部 品をプレス成形する前工程として、 金属板の曲げ割れを評価する曲げ割れ評 価工程 5 0を備える。
[0013] 本実施形態の曲げ割れ評価工程 5 0は、 例えば、 図 2に示すように、 工程 \¥02020/174841 5 卩(:171?2019/049934
1〜工程 5を備える。 工程 1は、 形状情報から、 評価位置若しくはその近傍 の曲げ外ひずみを取得する。 工程 2は、 形状情報から、 評価位置若しくはそ の近傍の曲げ半径を取得する。 工程 3は、 取得した曲げ外ひずみと曲げ半径 とから評価位置での割れ指標値を求める。 工程 4は、 対象とする金属板毎に 、 評価の基準情報として曲げ変形限界を求める 。 工程 5は、 工程 3で求めた 割れ指標値を、 工程 4で予め求めた曲げ変形限界と比較すること 、 評価す るせん断端面での曲げ割れを評価する。
[0014] 上記の曲げ割れ評価工程 5 0は、 例えば曲げ割れ評価システム 5 3で実行 される。 曲げ割れ評価システム 5 3は、 例えば、 図 3に示すように、 曲げ外 ひずみ取得部 5 3 、 曲げ半径取得部 5 3巳、 割れ指標値演算部 5 3 ( 3、 曲 げ変形限界取得部 5 3 0、 及び曲げ割れ評価部 5 3巳を備える。
[0015] 曲げ外ひずみ取得部 5 3 は、 取得した形状情報から、 評価位置若しくは その近傍の曲げ外ひずみを取得する処理を実 行する。 曲げ半径取得部 5 3巳 は、 取得した形状情報から、 評価位置若しくはその近傍の曲げ半径を取得 す る処理を実行する。 割れ指標値演算部 5 3 ( 3は、 曲げ外ひずみ取得部 5 3八 が取得した曲げ外ひずみと、 曲げ半径取得部 5 3巳が取得した曲げ半径とか ら評価位置での割れ指標値を求める処理を実 行する。 曲げ変形限界取得部 5 3 0は、 対象とする金属板毎に、 評価の基準情報として曲げ変形限界を求め る処理を実行する。 曲げ割れ評価部 5 3日は、 割れ指標値演算部 5 3 ( 3で求 めた割れ指標値を、 曲げ変形限界取得部 5 3口で予め求めた曲げ変形限界と 比較することで、 評価するせん断端面での曲げ割れを評価する 処理を実行す る。 曲げ外ひずみ取得部 5 3 、 曲げ半径取得部 5 3巳、 割れ指標値演算部 5 3〇、 曲げ変形限界取得部 5 3 0、 及び曲げ割れ評価部 5 3巳のうち、 少 なくとも割れ指標値演算部 5 3〇は、 コンピュータで実行されるプログラム として提供されている。
[0016] 本実施形態では、 上記の曲げ外ひずみと曲げ半径を、 実部品やプレス金型 の形状情報から求めるところに特徴の一つが ある。
その具体的な曲げ割れの評価方法や評価シス テムの処理として、 本実施形 \¥02020/174841 6 卩(:171?2019/049934
態では、 第 1実施形態と第 2実施形態を例示することができる。
[0017] <第 1実施形態>
第 1実施形態は、 目的とするプレス成形部品の部品形状の形状 情報と、 目 的とするプレス成形部品に成形するためのプ レス金型の形状情報とに基づき 、 曲げ変形を含むプレス成形を行う際のせん断 端面での曲げ割れを評価する 評価方法及び評価システムの例である。
第 1実施形態では、 まず、 工程 1 (曲げ外ひずみ取得部 5 3八) で、 実部 品の形状から、 当該実部品における評価するせん断端面又は せん断端面近傍 の曲げ外ひずみを取得する処理を実行する。 また、 工程 2 (曲げ半径取得部 5 3巳) で、 使用するプレス金型の形状情報から、 評価するせん断端面を成 形する部分のプレス金型の曲げ半径を取得す る処理を実行する。
[0018] 次に、 工程 3 (割れ指標値演算部 5 3 0 で、 取得した曲げ外ひずみと曲 げ半径から、 目的とするプレス成形部品のせん断端面での 曲げ割れを評価す るための割れ指標値を求める処理を実行する 。
また、 工程 4 (曲げ変形限界取得部 5 3 0) で、 対象とする金属板毎に、 評価の基準情報として曲げ変形限界を求める 処理を実行する。
そして、 工程 5 (曲げ割れ評価部 5 3巳) で、 求めた割れ指標値によって 、 曲げ割れを評価する処理を実行する。 本実施形態では、 工程 5 (曲げ割れ 評価部 5 3巳) で、 求めた割れ指標値によって曲げ割れに対する 成形余裕を 評価する。
ここで、 工程 1 (曲げ外ひずみ取得部 5 3八) 及び工程 2 (曲げ半径取得 部 5 3巳) において、 実部品の形状情報やプレス金型の形状情報か らの測定 の処理は、 実部品の現物を測定して求めても良いし、 その実部品やプレス金 型の形状データから取得しても良い。
[0019] <第 2実施形態>
第 2実施形態では、 工程 2 (曲げ半径取得部 5 3巳) で、 割れ指標値を求 める際に使用する曲げ半径を、 実部品の形状情報から取得する処理を実行す る。 工程 2 (曲げ半径取得部 5 3巳) は、 実部品の形状情報からの測定の処 \¥02020/174841 7 卩(:171?2019/049934
理は、 実部品の現物を測定して求めても良いし、 その実部品の形状データか ら取得しても良い。 その他の構成は、 第 1実施形態と同様であるので説明を 省略する。
すなわち、 第 2実施形態では、 工程 1 (曲げ外ひずみ取得部 5 3八) 及び 工程 2 (曲げ半径取得部 5 3巳) において、 実部品の形状を測定するなどの 処理によって、 実部品の形状情報から、 簡易的に、 曲げ外ひずみと曲げ半径 とを取得する処理を実行する。
ここで、 プレス金型から曲げ半径を求める場合に比べ て、 実部品から曲げ 半径を求める場合、 スプリングバック分の誤差が発生する。 このため、 第 2 実施形態は、 第 1実施形態に比べて精度が落ちるものの、 評価の情報取得が 容易となる利点がある。
[0020] <曲げ半径について>
曲げ半径の取得位置は、 評価するせん断端面又はそのせん断端面近傍 であ る。
ここで、 本明細書において、 「せん断端面近傍」 とは、 例えば、 せん断端 面から、 当該せん断端面から離れる方向へ、 板の面方向に沿って 、 好ましくは 3〇!〇!以内の範囲を指す。
曲げ半径は、 プレス金型から求める場合には、 上述のように当該プレス金 型の形状情報を外部のデータべースなどから 取得して求めても良いし、 実際 に金型の表面形状を測定して求めても良い。
曲げ半径を実部品から求める場合には、 曲げ半径は、 実部品の外形プロフ ィールを測定することで求めれば良い。 実部品の詳細な形状データがある場 合には、 その形状データから曲げ半径を求めても良い 。
[0021 ] <曲げ外ひずみについて>
曲げ外ひずみの取得位置は、 評価するせん断端面又はそのせん断端面近傍 である。 「曲げ外」 とは、 曲げに伴い凸となる面側を指す。
工程 1 (曲げ外ひずみ取得部 5 3 ) において、 せん断端面又はせん断端 面近傍の曲げ外ひずみは、 例えば、 せん断端面又はせん断端面近傍の板厚減 \¥02020/174841 8 卩(:171?2019/049934
少率と、 せん断端面又はせん断端面近傍の曲げ半径と から算出する。
板厚減少率は、 プレス成形による当初の板厚 (プレス前の板厚) からの減 少率である。
[0022] 曲げ外ひずみの算出方法は、 例えば、 実部品におけるせん断端面又はせん 断端面近傍の板厚減少率と曲げ半径とを測定 し、 曲げ外ひずみを、 純曲げ理 論と板厚減少率から、 (1 ) 式により求める。 この方法によれば曲げ外ひず みの取得が簡易的で好ましい。
^ b e n d— o u t _ 2 X ^ t h i c k n e s s
+ (t/2) / (R+ t ) (1 )
ここで、
£ b e n d-o u t :せん断端面又はせん断端面近傍の曲げ外ひ み S t h . c k n e s s :せん断端面又はせん断端面近傍の板厚ひず で、 板厚減 少率 [%] から求まる値
R :せん断端面又はせん断端面近傍における、 成形後の部品の曲げ半径 t :成形前の金属板の板厚
である。
[0023] (1 ) 式は、 右辺第 1項が、 プレス成形時の張力によるひずみを表し、 右 辺第 2項が、 プレス成形時の曲げ変形によるひずみを表す 。
ここで、 板厚減少率の取得位置は、 上述の通り、 曲げ割れを評価するせん 断端面から、 板面方向に沿って 5 m m以内の範囲とする。 板面方向は、 せん 断端面の縁に直交する方向若しくは略直交す る方向が好ましい。 せん断端面 から 5 m mよりも離れた位置での板厚減少率を測定す と、 プレス成形部品 における他のプレス条件の影響を受けるため 、 評価部の測定精度が低下する 懸念がある。 より好ましくは、 板厚減少率の取得位置は、 せん断端面から板 面方向に 3 mm以内の範囲である。
[0024] 曲げ外ひずみの算出はこれに限定されない。 例えば、 加工前の金属板のせ ん断端面に格子を転写した後に成形試験を実 施し、 格子のゆがみから、 曲げ 外ひずみを直接測定する方法でもよい。 このように、 形状情報や実験による \¥02020/174841 9 卩(:171?2019/049934
測定値を用いて曲げ外のひずみを求めるこ とができれば、 どのような方法で 求めても構わない。
[0025] <割れ指標値 >
割れ指標値は、 目的とするプレス成形部品における、 せん断端面での曲げ 割れを評価するためのデータである。 この割れ指標値は、 工程 3 (割れ指標 値演算部 5 3〇 が、 上記のようにして取得した曲げ外ひずみと曲 げ半径か ら求める。
本実施形態における指標値は、 評価するせん断端面若しくはそのせん断端 面近傍での、 曲げ外ひずみと応力勾配とをパラメータとし た値からなる。 す なわち、 本実施形態における指標値は、 (曲げ外ひずみ、 応力勾配) のデー 夕の組で表現される。 本実施形態での応力勾配は、 板厚方向の応力勾配であ る。
[0026] ここで、 亀裂懸念部 (評価位置) の応力勾配は、 使用する金属板の応力一 ひずみ関係と、 せん断端面又はせん断端面近傍のひずみ分布 とから求められ る。 亀裂懸念部 (評価位置) の応力勾配は、 簡易的には、 せん断端面又はせ ん断端面近傍の板厚方向の応力勾配から算出 する。
応力勾配を取得する範囲は、 割れ判定基準となる亀裂長さに等しい長さが 好ましいが、 せん断端面の若しくはその近傍の応力勾配の 算出ができればど のような取得範囲でも構わない。 応力勾配は、 上記応力を取得する範囲での 平均勾配とするのが望ましい。
[0027] 応力勾配の算出方法の一例を、 以下に示す。
ここで、 金属板の応力をひずみの関数として (2) 式で定義する。
〇 = 〇 ( £) ( 2)
金属板の応力一ひずみ関係は、 単軸引張試験から求め、 丨 チ 1や V。 〇㊀の式で大ひずみ域の応力まで外揷するの が一般的であるが、 どのような 公知の方法で、 (2) 式を定義しても構わない。
曲げ外ひずみにおける応力は、 (2) 式に ( 1 ) 式を代入した (3) 式で 永まる。 \¥02020/174841 10 卩(:17 2019/049934
[0028] また、 曲げ外からの割れ判定の亀裂長さ Xだけ内側のひずみは、 (1) 式 と同様にして (4) 式で求まる。
である。
[0029] そして、 曲げ外から割れ判定の亀裂長さだけ内側の応 力は、 (2) 式と ( 4) 式から、 (5) 式で表現される。
以上から、 せん断端面又はせん断端面近傍の応力勾配△ £7は、 (6) 式で 求まる。
[0030] <割れ指標値による曲げ割れに対する成形余 裕の評価について>
曲げ割れに対する成形余裕の評価は、 工程 4 (曲げ変形限界取得部 5 3 0 ) で予め求めた、 せん断端面の曲げ変形限界と、 工程 3 (割れ指標値演算部 5 3〇 で求めた、 割れ指標値との関係によって評価できる。
[0031 ] (せん断端面の曲げ変形限界の決定方法)
せん断端面の曲げ変形限界は、 工程 4 (曲げ変形限界取得部 5 3 0) にお いて、 例えば、 せん断端面を有する試験片を用意し、 変形中に発生する応力 勾配が異なる 2種類以上の成形試験を実施して得られたデ タから決定する 〇
試験方法としては、 例えば、 変形中のせん断端面近傍の応力勾配が大きい V曲げ試験と、 変形中のせん断端面近傍の応力勾配が小さい 切欠き引張り試 験と、 の 2種類の試験が望ましい。 もっとも、 同一の条件で作製したせん断 端面を有する試験片に対し、 応力勾配が異なる変形を与えることができ、 \¥02020/174841 11 卩(:171?2019/049934
巳 IV!解析で試験を再現できれば、 どのような試験方法でも構わない。
[0032] 試験開始前に、 各成形試験における割れ判定基準を決定して おく。
割れ判定基準の決定方法は、 例えば割れ判定とする亀裂長さを規定してお く方法や、 板厚に対する亀裂長さの割合で規定しておく 方法や、 板厚方向へ の亀裂貫通で割れと判定する方法など様々な ものがあるが、 いずれの判定基 準を用いても構わない。
各種成形試験を実施後、 割れ発生時の亀裂長さと成形条件の関係を取 得す ることで、 せん断端面の割れ限界における成形条件 (曲げ変形限界) を決定 する。
[0033] このようにして、 各成形試験の曲げ変形限界ひずみと亀裂懸念 部近傍の応 力勾配の関係を実験的に求める。 このとき、 2種類以上の試験結果から、 ( 7) 式で表される、 線形近似の関係式を求め、 この関係式 ( (7) 式) をせ ん断端面の曲げ変形限界線とする。
£ I | =八 - 八<7 +巳 6 ³ 0 (7)
ここで、 八、 巳は材料定数である。
なお、 (7) 式の関係式で表される曲げ変形限界線は、 曲げひずみと応力 勾配との関係の式となっている。
[0034] (プレス成形時のせん断端面での曲げ割れ評 価 (危険判定) について) 目的のプレス成形部品において、 割れ危険を評価したい部分のせん断端面 の曲げ割れ発生懸念部位の曲げ外ひずみ £ とその応力勾配とを、 割れ指 標値として取得する。
そして、 割れ危険を判定したいせん断端面部分の応力 勾配における、 割れ 指標値としてのひずみ £ 9 6¾ と曲げ変形限界ひずみ £ , ^とを比較すること で、 曲げ割れに対する成形余裕を評価する。
工程 5 (曲げ割れ評価部 5 3巳) における、 評価の一例としては、 割れ危 険の判定がある。 例えば、 工程 5 (曲げ割れ評価部 5 3巳) で、 (8) 式の 条件を満たすときに割れ危険と判定する処理 を実行する。
2 X £ | | ,„ (8) \¥02020/174841 12 卩(:171?2019/049934
[0035] ここで、 3は、 使用する金属板の特性やプレス成形条件のば らつきなどを 考慮した安全率である。 安全率を考慮しなければ、 3を 1 とする。 安全率を 考慮する場合は、 例えば 3を〇. 5とする。 これは 9 5 0 1\/1 3以上の高強 度鋼板においては、 せん断端面の曲げ割れ限界ひずみの 5 0 %のひずみが付 与された段階で、 せん断端面の曲げ変形時に曲げ外側の表面か ら発生する毛 割れ (微小なクラック) の亀裂長さが成長し始める傾向にあるからで ある。 金属板の引張強度が低いほど、 3を 1 に近づければよい。
また、 例えば 「 - £ 6 ^ 6 」 を成形余裕度口と定義して、 工程 5 (曲げ割れ評価部 5 3日) において、 成形余裕度口で成形余裕状態を 評価するようにしても良い。
[0036] 以上のように、 本実施形態によれば、 例えば、 選定した金属板のおける、 プレス成形にて目的のプレス成形部品とした 際における、 せん断端面での成 形余裕を評価することができる。 これによって、 例えば、 自動車のパネル部 品、 構造 ·骨格部品等の予め決定した部品にプレス成 する際に、 金属板の 選定が適切であるか精度良く評価できるよう になる。
例えば、 プレス製造工程 5 1で、 せん断加工された金属板に曲げ変形を含 むプレス成形を施してプレス成形部品を製造 する際に、 予め曲げ割れ評価エ 程 5 0にて、 プレス成形を施す金属板を評価して、 上記プレス成形を施した ときにせん断端面での曲げ割れに余裕がある と推定される、 すなわち曲げ割 れが発生しないと推定される金属板を選定す る。 そして、 プレス製造工程 5 1 にて、 選定した金属板を用いてプレス成形部品を製 造する。
これによって、 プレス成形を安定して行うことができるとと もに、 プレス 成形部品の不良率の低減にも大きく寄与する ことができる。
実施例
[0037] 次に、 本発明に基づく実施例について説明する。
ここでは、 3種類の供試材 、 巳及び(3を、 せん断加工された金属板の選 択対象とした実施例について説明する。
表 1 に各供試材の材料特性を示す。 ここで、 \¥02020/174841 13 卩(:171?2019/049934
I 干 1:の式は、 「<7 = [< (3〇+ £) "」 である。
[0038] [表 1 ]
[0039] 各供試材に対し打ち抜き穴を作製し、 所定の試験片形状に切断して作製し た (図 4、 図 5参照) 。
打ち抜きクリアランスは板厚の 5 %以上 2 0 %以下が好ましい。 5 %未満 となると 2次せん断面が発生する。 一方、 2 0 %より大きいと顕著なバリが 発生するため、 それらが亀裂発生の起点となり、 端面の成形性を不安定かつ 低下させる。 このように、 打ち抜きクリアランスが板厚の 5 %以上 2 0 %以 下から外れると、 部品量産時のクリアランスとしても好ましく ない。 クリア ランスは、 より狭い範囲の 1 0 %以上 1 5 %以下とする方が、 成形性が安定 するためより好ましい。
[0040] 図 4に、 V曲げ試験用の試験片形状を示す。 図 5に、 切欠き引張り試験用 の試験片形状を示す。
そして、 図 4の試験片に対して曲げ半径を変えて V曲げ試験を行い、 図 6 のような、 せん断端面の亀裂長さと成形条件 (金型曲げ半径) の関係を取得 した。
また、 図 5の試験片に対して引っ張りのストローク量 変えて切欠き引張 り試験を行い、 図 7のような、 せん断端面の亀裂長さと成形条件 (ストロー ク量) の関係を取得した。
[0041 ] 本実施例では、 亀裂長さ 2 0 0 以上の試験結果を割れと判定した。
もっとも、 前述の通り、 曲げ割れの判定基準は任意に決めることがで き、 亀裂長さによる制約はない。 亀裂長さは板厚の 1 〇〇%としても良いし、 板 厚の 5 0 %としてもよい。 なお、 対象とするプレス部品の不良率を下げるに \¥02020/174841 14 卩(:171?2019/049934
は亀裂長さがより短いときに割れと判定す る方が良い。 その場合、 曲げ割れ の判定基準は、 板厚の 5 0 %以下が好ましく、 3 0 %以下がより好ましい。 ここでは、 上記のように、 亀裂長さ 2 0 0 以上を割れと判定するよう に規定することで、 各試験における割れ判定時の成形条件を決定 した。
[0042] 表 2に、 各成形条件におけるせん断端面の曲げ半径、 板厚減少率、 (1) 式を用いて計算した曲げ外ひずみ、 及び (1) 式〜 (6) 式により計算した 応力勾配の算出結果を示す。
[0043] [表 2]
[0044] ここで、 成形条件である曲げ半径は、 成形後のサンプルのせん断端面をマ イクロスコープで観察することにより求めた 。 その理由は次の通りである。 すなわち、 純曲げ変形に近い V曲げ試験では、 せん断端面で稜線反りが発生 し、 プレス金型の曲げ半径と異なる曲げ半径でせ ん断端面が曲げられる。 一 方、 切欠き引張り試験では、 くびれの発生により、 せん断端面に幾何学的に 非常に微小な曲げ成形が加わる。 このように試験によって形成される曲げの 形態が異なるからである。
なお、 本実施例では、 切欠き引張りにおける曲げ半径も計算に考慮 してい る。 しかし、 実用上はおいては、 切欠き引張りにおいて発生する微小な曲げ 変形で発生する曲げ成分の曲げ外ひずみは無 視しても構わない。
[0045] これらの結果から、 図 8に示すような、 曲げ変形限界の曲げ外ひずみ一応 力勾配の関係を、 供試材毎に取得した。 すなわち、 各供試材について、 個別 に曲げ変形限界の曲げ外ひずみ一応力勾配の 関係を得た。
この結果から、 目的とするプレス成形部品の割れ指標値であ る、 曲げ外ひ \¥02020/174841 15 卩(:171?2019/049934
ずみと応力勾配を実験的に取得すれば、 せん断端面の成形余裕度を評価する ことができる。 例えば、 各供試材からなる金属板を使用した場合にお ける、 せん断端面での曲げ割れの危険性をそれぞれ 判定することができる。
[0046] 一例として、 図 9に示す形状のプレス成形部品 2 0における評価位置 2 0 八を示す。
プレス成形される金属板の材料として供試材 八〜〇を用いた。 また、 曲げ 割れの評価は成形が最も困難な一か所にした (図 9参照) 。
評価した際の測定結果を表 3及び図 1 0に示す。
[0047] [表 3]
[0048] なお、 図 1 0では、 本評価では成形余裕検討のための (8) 式の安全率 3 を〇. 5とした。
本評価から、 供試材<3は現段階では成形できているが、 余裕度も加味する とプレス条件の変化などでせん断端面が曲げ 割れする懸念があることが分か った。
このように使用する金属板の条件毎に、 曲げ割れに対する成形余裕を評価 できることが分かる。
[0049] ここで、 本発明は、 上記に説明した内容に限られるものではなく 、 例えば 、 上記実施例では、 引張強さが 9 8 0 IV! 3級以上の鋼板 ( 1 1 8 0 IV! 3 級の鋼板) に適用した例を示しており、 本発明は、 このような高強度鋼板の プレス成形に適用することが好ましいが、 引張強さが 9 8 0 1\/1 3級未満の 鋼板や、 鋼板以外の金属板に適用することもできる。
[0050] また、 本願が優先権を主張する、 日本国特許出願 2 0 1 9 - 0 3 3 0 7 6 (2 0 1 9年 2月 2 6日出願) の全内容は、 参照により本開示の一部をな \¥02020/174841 16 卩(:171?2019/049934
す。 ここでは、 限られた数の実施形態を参照しながら説明し たが、 権利範囲 はそれらに限定されるものではなく、 上記の開示に基づく各実施形態の改変 は当業者にとって自明なことである。
符号の説明
[0051] 20 プレス成形部品
20 評価位置
50 曲げ割れ評価工程
5 1 プレス製造工程
53 曲げ割れ評価システム
53 曲げ外ひずみ取得部
536 曲げ半径取得部
530 割れ指標値演算部
530 曲げ変形限界取得部
53巳 曲げ割れ評価部