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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR JOINING PLATED STEEL PLATES, AND JOINED STRUCTURE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/174883
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a method for joining plated steel plates where, when overlaying and welding a plurality of steel plates in which at least one steel plate is a plated steel plate, a satisfactory joined structure with no gas pocket defects can be obtained by providing a gap which can reliably emit gas produced at welded sections while suppressing deterioration in welding quality and deviations in product dimensions. A method for joining plated steel plates, comprising: a step for forming a plurality of protruding strip parts (12), which are substantially perpendicular to an edge section (11) of a first steel plate (10) and are arranged along the edge section (11), on a surface of the first steel plate (10) that is overlaid on a second steel plate (20); a step for overlaying the first steel plate (10) and the second steel plate (20) such that the protruding parts (12) protrude in a direction towards the overlay surface with the second steel plate (20); and a step for linearly arc-welding the edge section (11) of the first steel plate (10).

Inventors:
SUZUKI REIICHI
Application Number:
PCT/JP2020/000361
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
January 08, 2020
Export Citation:
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Assignee:
KOBE STEEL LTD (JP)
International Classes:
B23K9/23; B21D22/20; B21D24/04; B23K9/073
Domestic Patent References:
WO2016163055A12016-10-13
WO2013132550A12013-09-12
Foreign References:
JPH07246465A1995-09-26
JP2007014979A2007-01-25
JP5787798B22015-09-30
JPH0641025B21994-06-01
JP2019031781A2019-02-28
Other References:
See also references of EP 3909713A4
Attorney, Agent or Firm:
EIKOH PATENT FIRM, P.C. (JP)
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Claims:
\¥02020/174883 18 卩(:17 2020/000361

請求の範囲

[請求項 1 ] 第 1の鋼板及び第 2の鋼板の少なくとも一方をめっき鋼板とし、 互 いに重ね合わせられた前記第 1の鋼板及び前記第 2の鋼板をアーク溶 接する、 めっき鋼板の接合方法であって、

前記第 1の鋼板における前記第 2の鋼板との重ね合わせ面に、 前記 第 1の鋼板の縁部に略垂直であり、 かつ、 該縁部に沿って並ぶ複数の 突条部を形成する工程と、

前記突条部が前記第 2の鋼板との重ね合わせ面に向かう方向に突出 するように、 前記第 1の鋼板及び前記第 2の鋼板を重ね合わせる工程 と、

前記第 1の鋼板の前記縁部又は前記第 2の鋼板の前記縁部を、 線状 にアーク溶接する工程と、

を備える、 めっき鋼板の接合方法。

[請求項 2] 前記形成工程において、 前記複数の突条部の形成は、 前記第 1の鋼 板を所望の形状にプレス加工すると同時に行われる、 請求項 1 に記載 のめっき鋼板の接合方法。

[請求項 3] 前記重ね合わせ工程において、 前記複数の突条部間には、 前記第 1 の鋼板と前記第 2の鋼板との間隔が略一定である隙間が形成される、 請求項 1又は 2に記載のめっき鋼板の接合方法。

[請求項 4] 前記突条部は、 前記プレス加工時に設けられるロックビードである

、 請求項 2に記載のめっき鋼板の接合方法。

[請求項 5] 前記突条部の高さは〇. 2〜 1 . である、 請求項 1又は 2に 記載のめっき鋼板の接合方法。

[請求項 6] 前記めっき鋼板は、 引張強度が 9 8 0 IV! 3以上の亜鉛めっき鋼板 である、 請求項 1又は 2に記載のめっき鋼板の接合方法。

[請求項 7] 前記第 1の鋼板は、 ホッ トスタンプ用鋼板である、 請求項 1又は 2 に記載のめっき鋼板の接合方法。

[請求項 8] 前記プレス加工は、 ホッ トスタンプである、 請求項 2又は 4に記載 \¥0 2020/174883 19 卩(:170? 2020 /000361

のめつき鋼板の接合方法。

[請求項 9] 前記アーク溶接工程において、 シールドガスは、 八 「が 8 0体積% 以下で、 残りを〇〇 2とした混合ガス、 又は 1 0 0体積%〇〇 2ガス である、 請求項 1又は 2に記載のめっき鋼板の接合方法。

[請求項 10] 前記アーク溶接工程において、 溶接ワイヤは、 正負の送給制御によ って供給され、 短絡時に溶滴の表面張力を利用して溶融池に移行させ る、 請求項 1又は 2に記載のめっき鋼板の接合方法。

[請求項 1 1 ] 第 1の鋼板及び第 2の鋼板の少なくとも一方をめっき鋼板とし、 互 いに重ね合わせられた前記第 1の鋼板及び前記第 2の鋼板がアーク溶 接される、 接合構造体であって、

前記第 1の鋼板における前記第 2の鋼板との重ね合わせ面に、 前記 第 1の鋼板の縁部に略垂直であり、 かつ、 該縁部に沿って並ぶ複数の 突条部が形成され、

前記突条部が前記第 2の鋼板との重ね合わせ面に向かう方向に突出 するように、 前記第 1の鋼板及び前記第 2の鋼板が重ね合わせられて おり、

前記第 1の鋼板の前記縁部又は前記第 2の鋼板の前記縁部には、 線 状の溶接ビードが形成されている、 接合構造体。

Description:
\¥02020/174883 1 卩(:17 2020/000361 明 細 書

発明の名称 : めっき鋼板の接合方法及び接合構造体

技術分野

[0001 ] 本発明は、 めっき鋼板の接合方法及び接合構造体に関す る。

背景技術

[0002] 少なくとも一方の鋼板表面に、 防食を目的とした亜鉛めっきが施されてい る鋼板 (亜鉛めっき鋼板) を重ね合わせて線状にアーク溶接する場合、 鋼板 の重ね面にアーク熱が加わると、 めっきされた亜鉛が、 その沸点を超えてガ ス化するおそれがある。 この場合において、 鋼板同士が密着していると、 亜 鉛ガスの逃げ場がないため、 亜鉛ガスは、 液体の鉄である溶融池内に侵入し 、 ブローホール、 ピッ ト、 ピンホールと言われる気孔欠陥が発生する。 気孔 欠陥は継手強度を低下させるため、 超ハイテン鋼板において気孔欠陥は溶接 部の強度低下の大きな要因となり、 問題視されている。

[0003] 亜鉛めっき鋼板の溶接時の気孔低減技術とし ては、 大きく分けて 2つ知ら れている。 第 1の技術は、 電流波形又は電圧波形や、 シールドガス組成、 溶 接ワイヤ組成を最適化させる手段であり、 例えば、 特許文献 1のような、 ソ リッ ドワイヤに含まれる各元素を所定量に制限す るとともに、 シールドガス として所定量の〇〇 2 ガスを含む八 「ガスを用いた、 亜鉛めっき鋼板溶接用の ソリッ ドワイヤ及びこれを用いたガスシールドアー ク溶接方法が知られてい る。 しかし、 この技術による気孔欠陥の抑制効果は限定的 であり、 超ハイテ ン鋼板へ適用する場合、 更なる改善が必要となっている。

[0004] 第 2の技術は、 溶接の前処理工程において、 亜鉛ガスの抜け道を積極的に 設け、 その抜け道から亜鉛ガスを逃がすことで、 気孔欠陥の発生を防止する 手段である。 この手段の適用は、 アーク溶接よりもレーザ溶接での検討例が 多い。 これは、 レーザ溶接において、 溶接条件についての調整融度がアーク 溶接よりも小さいことが主因と考えられる。 具体的には、 (八) プレス加工 で溝を設ける、 (巳) 鋼板に口ーレッ ト加工で微細溝を付ける、 (〇 前処 \¥0 2020/174883 2 卩(:170? 2020 /000361

理レーザ溶接工程で歪み変形させる、 といった手段が挙げられる。 ただし、 レーザ溶接の場合は貫通溶接が専門のため、 アーク溶接で行われる縁のすみ 肉溶接には適用できなかったり、 適用できたとしても効果が少ないという問 題がある。

[0005] なお、 上記 (巳) における、 口ーレッ ト加工で微細溝を付ける手段につい ては、 超ハイテン鋼板において口ーレッ ト加工により溝を付けることが難し く、 コスト的にも非常に高くなる。 また、 アーク溶接は入熱量が高く、 口一 レッ ト加工のような微細な溝では、 溶接中の熱変形でギャップ (隙間) が閉 じてしまい、 高入熱に伴う大量の亜鉛ガスを円滑に排出す ることが困難であ る。

[0006] また、 上記 (〇 における、 レーザで歪み変形を起こさせる手段について は、 後工程の主溶接もレーザ溶接であるならば同 じ設備が使えるというメリ ッ トがあるものの、 主溶接がアーク溶接の場合は、 別途、 高価な設備投資が 必要となり、 コスト高となる。 また、 レーザ加熱による熱変形では、 板端ま で連続するギャップ、 あるいは大きなギャップを確保することがで きず、 大 量の亜鉛ガスを円滑に排出することが困難で ある。

[0007] このような問題に対処するため、 特許文献 2に記載の重ね合わせアーク溶 接方法が提案されている。 特許文献 2では、 各母材の少なくともいずれか一 方に対し、 各母材をプレス加工する際に凸部を設け、 溶接部周囲にギャップ を形成した後、 アーク溶接を行うことで、 沸騰気化した被覆してある低沸点 物質を溶接部周囲の隙間から外部に拡散して 逃がして、 溶接部に気化した低 沸点物質が残ることが抑制されて良好な重ね 合わせアーク溶接が行えるとし ている。

先行技術文献

特許文献

[0008] 特許文献 1 : 日本国特許第 5 7 8 7 7 9 8号公報

特許文献 2 : 日本国特公平 6 _ 4 1 0 2 5号公報

発明の概要 \¥0 2020/174883 3 卩(:170? 2020 /000361 発明が解決しようとする課題

[0009] しかしながら、 特許文献 2においては、 凸部が溶接線 (言い換えれば、 亜 鉛めっき鋼板のフランジ部の側端部) に対して平行な方向に延びるように設 けられているため (特許文献 2の第 1図を参照) 、 溶接時における、 クラン プ等を用いた板組の拘束の際、 板組のギャップがばらつきやすく、 該ギャッ プが不安定となるため、 溶接品質劣化の原因となっていた。 また、 溶接終了 後における、 クランプ等を解放する際のスプリングバック により、 製品寸法 のズレの原因となっていた。

[0010] 本発明は、 前述した課題に鑑みてなされたものであり、 その目的は、 少な くとも一方の鋼板がめっき鋼板である複数の 鋼板を重ね合わせて溶接する際 に、 溶接品質劣化や製品寸法のズレを抑制しつつ 、 溶接部において発生する ガスを確実に排出可能なギャップを設けて、 気孔欠陥のない良好な接合構造 体を得ることができる、 めっき鋼板の接合方法及び接合構造体を提供 するこ とにある。

課題を解決するための手段

[001 1 ] したがって、 本発明の上記目的は、 めっき鋼板の接合方法に係る下記 (1 ) の構成により達成される。

(1) 第 1の鋼板及び第 2の鋼板の少なくとも一方をめっき鋼板とし 互 いに重ね合わせられた前記第 1の鋼板及び前記第 2の鋼板をアーク溶接する 、 めっき鋼板の接合方法であって、

前記第 1の鋼板における前記第 2の鋼板との重ね合わせ面に、 前記第 1の 鋼板の縁部に略垂直であり、 かつ、 該縁部に沿って並ぶ複数の突条部を形成 する工程と、

前記突条部が前記第 2の鋼板との重ね合わせ面に向かう方向に突 するよ うに、 前記第 1の鋼板及び前記第 2の鋼板を重ね合わせる工程と、

前記第 1の鋼板の前記縁部又は前記第 2の鋼板の前記縁部を、 線状にアー ク溶接する工程と、

を備える、 めっき鋼板の接合方法。 \¥0 2020/174883 4 卩(:170? 2020 /000361

[0012] めっき鋼板の接合方法に係る本発明の好まし い実施形態は、 以下の (2) 〜 ( 1 〇) に関する。

(2) 前記形成工程において、 前記複数の突条部の形成は、 前記第 1の鋼 板を所望の形状にプレス加工すると同時に行 われる、 上記 (1) に記載のめ っき鋼板の接合方法。

(3) 前記重ね合わせ工程において、 前記複数の突条部間には、 前記第 1 の鋼板と前記第 2の鋼板との間隔が略一定である隙間が形成 れる、 上記 ( 1) 又は (2) に記載のめっき鋼板の接合方法。

(4) 前記突条部は、 前記プレス加工時に設けられるロックビード である 、 上記 (2) に記載のめっき鋼板の接合方法。

(5) 前記突条部の高さは〇. 2〜 1 . である、 上記 (1) 〜 (4 ) のいずれか 1つに記載のめっき鋼板の接合方法。

[0013] (6) 前記めっき鋼板は、 引張強度が 9 8 0 1\/1 3 以上の亜鉛めっき鋼板 である、 上記

(I) 〜 (5) のいずれか 1つに記載のめっき鋼板の接合方法。

(7) 前記第 1の鋼板は、 ホッ トスタンプ用鋼板である、 上記 (1) 〜 ( 6) のいずれか 1つに記載のめっき鋼板の接合方法。

(8) 前記プレス加工は、 ホッ トスタンプである、 上記 (2) 又は (4) に記載のめっき鋼板の接合方法。

(9) 前記アーク溶接工程において、 シールドガスは、 八 「が 8 0体積% 以下で、 残りを〇〇 2 とした混合ガス、 又は 1 〇〇体積%〇〇 2 ガスである、 上記 (1) 〜 (8) のいずれか 1つに記載のめっき鋼板の接合方法。

(1 0) 前記アーク溶接工程において、 溶接ワイヤは、 正負の送給制御に よって供給され、 短絡時に溶滴の表面張力を利用して溶融池に 移行させる、 上記 (1) 〜 (9) のいずれか 1つに記載のめっき鋼板の接合方法。

[0014] また、 本発明の上記目的は、 接合構造体に係る下記 (1 1) の構成により 達成される。

(I I) 第 1の鋼板及び第 2の鋼板の少なくとも一方をめっき鋼板とし \¥0 2020/174883 5 卩(:170? 2020 /000361

互いに重ね合わせられた前記第 1の鋼板及び前記第 2の鋼板がアーク溶接さ れる、 接合構造体であって、

前記第 1の鋼板における前記第 2の鋼板との重ね合わせ面に、 前記第 1の 鋼板の縁部に略垂直であり、 かつ、 該縁部に沿って並ぶ複数の突条部が形成 され、

前記突条部が前記第 2の鋼板との重ね合わせ面に向かう方向に突 するよ うに、 前記第 1の鋼板及び前記第 2の鋼板が重ね合わせられており、 前記第 1の鋼板の前記縁部又は前記第 2の鋼板の前記縁部には、 線状の溶 接ビードが形成されている、 接合構造体。

発明の効果

[0015] 本発明のめっき鋼板の接合方法及び接合構造 体によれば、 溶接品質劣化や 製品寸法のズレを抑制しつつ、 溶接部において発生するガスを確実に排出可 能なギヤップを設けて、 気孔欠陥のない良好な接合構造体を得ること ができ る。

図面の簡単な説明

[0016] [図 1]図 1は、 本発明の第 1の実施形態に係るめっき鋼板の接合方法を 式的 に示す斜視図である。

[図 2]図 2は、 図 1の八 _八断面図である。

[図 3]図 3は、 図 1の巳 _巳断面図である。

[図 4]図 4は、 本発明の第 2の実施形態に係るめっき鋼板の接合方法を 式的 に示す斜視図である。

[図 5]図 5は、 本発明の第 3の実施形態に係るめっき鋼板の接合方法を 式的 に示す斜視図である。

[図 6]図 6は、 本発明の第 4の実施形態に係るめっき鋼板の接合方法を 式的 に示す斜視図である。

[図 7]図 7は、 断面図である。

発明を実施するための形態

[0017] 以下、 本発明の各実施形態に係るめっき鋼板の接合 方法及び該接合方法に より形成される接合構造体につき、 図面に基づいて詳細に説明する。

[0018] <第 1の実施形態>

図 1は、 本発明の第 1の実施形態に係るめっき鋼板の接合方法を 式的に 示す斜視図である。 また、 図 2は、 図 1の A- A断面図であり、 図 3は、 図 1の B _ B断面図である。

[0019] 図 1〜図 3に示すように、 接合構造体 1 00 Aは、 重ね合わされた第 1の 鋼板 1 0及び第 2の鋼板 20が、 溶接卜ーチ 40により、 第 1の鋼板 1 0の 縁部 (すなわち、 側端部) 1 1 に沿って、 線状にアーク溶接 (例えば、 マグ 溶接) されて形成される。 第 1の鋼板 1 0及び第 2の鋼板 20の少なくとも —方は、 亜鉛めっきが施された亜鉛めっき鋼板である 。 亜鉛めっき鋼板とし ては、 例えば、 合金化溶融亜鉛めっき鋼板 (GA) 、 溶融亜鉛めっき鋼板 ( G 丨) 、 電気亜鉛めっき鋼板 (EG) などが挙げられる。 また、 亜鉛めっき 鋼板の引張強度 ( T S) は特に限定されないが、 例えば、 980 M P a以上 、 好ましくは 1 1 80MP a以上の高張力鋼板 (H i g h T e n s i l e S t r e n g t h S t e e l : H T S S) である。

[0020] なお、 亜鉛めっき鋼板は、 片面めっき鋼板であっても、 鋼板を処理浴中に ドブ漬け (浸潰) して形成される両面めっき鋼板であってもよ い。 ただし、 本実施形態においては、 第 1の鋼板 1 0における第 2の鋼板 20と対面する 表面、 あるいは、 第 2の鋼板 20における第 1の鋼板 1 0と対面する表面の 少なくとも一方に、 亜鉛めっきが施されている。

[0021] 第 1の鋼板 1 0には、 第 1の鋼板 1 0の縁部 1 1 に対して略垂直方向 (以 後、 「丫方向」 とも言う) に延び、 かつ、 該縁部 1 1 に沿った方向 (以後、 「X方向」 とも言う) に並ぶ、 複数の突条部 1 2が形成されている。 この突 条部 1 2は、 第 2の鋼板 20との重ね合わせ面に向かう方向 (図 1〜 3にお ける下方) に突出する略 V字に形成されている。 また、 本実施形態において 、 突条部 1 2は、 第 1の鋼板 1 0をその用途に応じた所望の形状にプレス加 エする際に同時に形成される。

[0022] このように、 第 1の鋼板 1 0と第 2の鋼板 20とを重ねて溶接する溶接工 \¥0 2020/174883 7 卩(:170? 2020 /000361

程の前に、 突条部 1 2を第 1の鋼板 1 0の成形加工 (プレス加工) と同時に 形成するため、 突条部 1 2を形成するための特別な加工工程 (専用工程) が 必要なくなり、 生産効率の向上とともに、 製造コストが低減する。

[0023] なお、 第 1の実施形態において、 突条部 1 2は略 V字形を有しているが、 第 2の鋼板 2 0との重ね合わせ面に対して突出していれば 特に形状は制限 されない。 例えば、 II字形の形状を採用することもできる。

[0024] 突条部 1 2を形成するタイミングは、 第 1の鋼板 1 0からブランク材を抜 き加工する際であっても、 該ブランク材を製品形状にプレス加工する際 のい ずれであってもよく、 特に限定されない。 これにより、 突条部 1 2を形成す るための特別の工程が不要となり、 生産効率が向上すると共に、 加エコスト を低減することができる。

[0025] なお、 突条部 1 2は、 プレス加工の際に金属材料の流れ込みを抑制 するた め、 不図示の金型に設けられた突起部 (ロックビード形成部) により形成さ れるロックビードで代用することもできる。

[0026] さらに、 第 1の鋼板 1 0は、 ホッ トスタンプ用鋼板であってもよく、 その 場合、 プレス加工は、 温間成形加工、 又は熱間成形加工 (ホッ トスタンプ) とすることができる。 これにより、 第 1の鋼板 1 0が高張力鋼板であっても 、 プレス加工によって突条部 1 2を容易に形成することができる。

[0027] 接合構造体 1 0 0八は、 第 1の鋼板 1 0と第 2の鋼板 2 0とを重ね合わせ 、 第 1の鋼板 1 0の縁部 1 1 に沿って線状にアーク溶接を行い、 溶接部に線 状の溶接金属 (溶接ビード) 5 0を形成して、 第 1の鋼板 1 0と第 2の鋼板 2 0を溶接することで形成される。

[0028] 次に、 このような接合構造体 1 0 0 の接合方法について説明する。

[0029] まず、 図 1及び図 2に示すように、 縁部 1 1 に対して略垂直方向 (丫方向 ) に延び、 かつ、 該縁部 1 1 に沿った方向 (X方向) に並ぶ、 略 V字形の複 数の突条部 1 2がプレス加工によって形成された第 1の鋼板 1 0を、 第 2の 鋼板 2 0に重ね合わせる。 その際、 第 1の鋼板 1 〇の複数の突条部 1 2は、 第 2の鋼板 2 0に向けて突出するように重ね合わせる。 \¥0 2020/174883 8 卩(:170? 2020 /000361

[0030] そして、 溶接卜ーチ 4 0を、 第 1の鋼板 1 0の縁部 1 1 に沿って移動させ ながら、 溶接卜ーチ 4 0から消耗式電極である溶接ワイヤ (フイラーワイヤ 又は溶加棒) 4 1 を送給し、 シールドガスを流しながら、 溶接卜ーチ 4 0と 、 第 1の鋼板 1 〇及び第 2の鋼板 2 0との間でアークを発生させ、 第 1の鋼 板 1 0の縁部 1 1 に沿って線状にアーク溶接を行い、 第 1の鋼板 1 〇及び第 2の鋼板 2 0を接合する。 これにより、 図 3に示すように、 第 1の鋼板 1 0 の縁部 1 1 と、 第 2の鋼板 2 0には、 縁部 1 1 に沿った線状の溶接金属 5 0 が形成される。

[0031 ] 本実施形態では、 第 1の鋼板 1 0における突条部 1 2は、 第 1の鋼板 1 0 の縁部 1 1 に対して略垂直方向 (丫方向) に延び、 かつ、 該縁部 1 1 に沿っ た方向 (X方向) に複数形成されている。 そして、 この複数の突条部 1 2が 、 第 2の鋼板 2 0との重ね合わせ面に対して向かう方向に突 しており、 第 1の鋼板 1 〇と第 2の鋼板 2 0とが、 複数の突条部 1 2を介するようにして 重ね合わされている。

ここで、 溶接時にクランプ等により板組が拘束された 場合、 突条部 1 2は 、 第 1の鋼板 1 〇の縁部 1 1 に対して略垂直方向 (丫方向) に延びており、 かつ、 この突条部 1 2が複数形成されているため、 クランプ時の板組 (特に 、 突条部 1 2が形成された第 1の鋼板 1 0) の変形に対する強度が向上し、 重ね継手としての平行間隔を安定的に維持で きるように隙間を管理すること ができ、 溶接後の部品形状の精度が向上する。 よって、 溶接品質劣化や製品 寸法のズレを抑制することができる。

[0032] シールドガスとしては、 八 「が 8 0体積%以下、 残りが〇〇 2 である混合ガ ス、 又は 1 0 0体積%〇〇 2 ガスが好ましい。 〇〇 2 ガスは、 アークを絞る効 果があり、 溶接深さを要する板厚が大きな継手の溶接に おいて好適である。

[0033] 亜鉛めっき鋼板の溶接においては、 アーク溶接により亜鉛めっき鋼板が加 熱されることで、 沸点が略 9 0 0 °〇である亜鉛が蒸発して溶融池に侵入し、 溶接部にブローホール、 ピッ ト、 ピンホールなどの気孔欠陥が発生するおそ れがある。 \¥0 2020/174883 9 卩(:170? 2020 /000361

[0034] しかし、 本実施形態の接合方法によれば、 第 1の鋼板 1 0の複数の突条部

1 2の間に形成されるギャップ (隙間) ◦が、 ガス抜き孔としての役割を果 たすため、 発生した亜鉛ガスはギャップ◦から丫方向に 排出され、 気孔欠陥 の発生を防止することができる。 また、 突条部 1 2は、 プレス加工により形 成されるので、 第 1の鋼板 1 0及び第 2の鋼板 2 0間に、 亜鉛ガスを排出す るのに十分な大きさのギャップ◦を確保する ことができる。

[0035] ギャップ◦は、 発生する亜鉛ガスを十分に排出できる大きさ であればよく 、 本実施形態の効果を得るためには、 突条部 1 2の高さ II (図 2を参照) は 〇. 2 ~ 1 . 0 とするのが好ましい。 一般的な口ーレッ ト加工のように

、 突条部 1 2の高さ IIが〇. 未満であると、 溶接中の熱変形によりギ ャップ〇が容易に閉じてしまい、 亜鉛ガスの排出が不十分となるおそれがあ る。 また、 突条部 を超えると、 第 1の鋼板 1 0及 び第 2の鋼板 2 0間における、 ギャップ〇が大きくなって接合強度が低下す るおそれがある。

[0036] なお、 第 1の鋼板 1 0における突条部 1 2の最先端部 (すなわち、 略 V字 の頂部) は、 第 2の鋼板 2 0とのギャップがゼロである特異点となるが 突 条部 1 2の長手方向 (丫方向) に垂直な方向 (X方向) にガスの逃げ場があ ること、 また、 略 V字の頂部の長さは極めて短いことから、 気孔欠陥を形成 するには至らない。

[0037] また、 溶接ワイヤ 4 1は、 正負の送給制御によって供給されるのが好ま し い。 これにより短絡時に溶滴の表面張力を利用し て溶滴を溶融池に移行させ て、 第 1の鋼板 1 0及び第 2の鋼板 2 0への入熱を低下させることができ、 亜鉛の蒸発量を抑制することが可能となる。

[0038] なお、 本実施形態のめっき鋼板の接合方法では、 溶接ワイヤ 4 1 を送給し ながら線状にするため、 図 3に示すように、 第 1の鋼板 1 0の縁部 1 1 にお いて、 隣接する突条部 1 2間に形成されるギャップ◦は、 溶接金属 5 0によ って埋められる。 よって、 第 1の鋼板 1 0と第 2の鋼板 2 0との接合強度を 十分に確保することができる。 \¥0 2020/174883 10 卩(:170? 2020 /000361

[0039] 高張力鋼板を用いた亜鉛めっき鋼板の場合、 非常に高い圧力を付与する抵 抗スポッ ト溶接では 1_ 1\/1日割れ (溶融金属脆化割れ) と呼ばれる粒界脆化割 れが起きやすいが、 本実施形態のアーク溶接による接合方法では 、 加圧力が 極めて小さいため!- IV!巳割れを原理的に発生することがなく、 かつ、 気孔欠 陥も防ぐことができる。 さらに、 抵抗スポッ ト溶接のように急冷凝固しない ため、 過剰な熱影響部硬度を呈せず、 水素に起因する遅れ割れ感受性も下げ ることができる。

[0040] 上記したように、 第 1の鋼板 1 0に、 縁部 1 1 に略垂直方向に延び、 かつ 、 該縁部 1 1 に沿って並ぶ、 下方 (すなわち、 第 2の鋼板 2 0との重ね合わ せ面に対して向かう方向) に突出する略 V字形の複数の突条部 1 2を形成す ることで、 突条部 1 2間には、 第 1の鋼板 1 0と第 2の鋼板 2 0との間に、 複数の突条部 1 2によって、 亜鉛ガスを排出するのに十分な大きさのギャ ッ プ〇が形成され、 該ギャップ◦から亜鉛ガスが排出されて、 溶接部に発生す る気孔欠陥が防止される。

[0041 ] <第 2の実施形態>

図 4は、 本発明の第 2の実施形態に係るめっき鋼板の接合方法を 式的に 示す斜視図である。

[0042] 本実施形態の接合構造体 1 0 0巳では、 第 1の鋼板 1 0に重ね合わされた 第 2の鋼板 2 0には、 第 2の鋼板 2 0の縁部 2 1 に対して略垂直方向 (丫方 向) に延び、 かつ、 該縁部 2 1 に沿って (X方向) 並ぶ複数の突条部 2 2が 形成されている。 この突条部 2 2は、 第 1の鋼板 1 0との重ね合わせ面に向 かう方向 (図 4における上方) に突出する略逆 V字に形成されている。 また 、 突条部 1 2は、 第 2の鋼板 2 0をプレス加工することにより形成される。

[0043] そして、 接合構造体 1 0 0巳は、 第 2の鋼板 2 0の突条部 2 2を第 1の鋼 板 1 〇に当接した状態で第 1の鋼板 1 0と第 2の鋼板 2 0が重ね合わされ、 第 1の鋼板 1 0の縁部 1 1 に沿って線状にアーク溶接を行って、 溶接部に線 状の溶接金属 (溶接ビード) 5 0を形成して第 1の鋼板 1 0と第 2の鋼板 2 0を溶接することで形成される。 \¥0 2020/174883 1 1 卩(:170? 2020 /000361

[0044] 第 2の鋼板 2 0に、 第 1の鋼板 1 0に向かって上方に突出する略逆 V字形 の突条部 2 2を形成することで、 第 1の鋼板 1 0を第 2の鋼板 2 0上に重ね 合わせたとき、 第 1の鋼板 1 0及び第 2の鋼板 2 0の間には、 突条部 2 2の 間にギャップ◦が形成される。 このギャップ◦は、 突条部 2 2の高さ (図 2を参照) と同じであり、 〇. 2〜 1 . となっている。

[0045] その他の部分は、 第 1の実施形態に係る接合構造体 1 〇〇 と同様であり 、 またその接合方法も同様である。

[0046] これにより、 第 1の鋼板 1 0及び第 2の鋼板 2 0をアーク溶接する際に発 生する亜鉛ガスは、 隣接する突条部 2 2間に形成されるギャップ◦から丫方 向に排出されるため、 溶接部に発生する気孔欠陥が防止される。 また、 本実 施形態においても第 1の実施形態と同様、 溶接時にクランプ等により板組が 拘束された場合、 突条部 2 2は、 第 2の鋼板 2 0の縁部 2 1 に対して略垂直 方向 (丫方向) に延びており、 かつ、 この突条部 2 2が複数形成されている ため、 クランプ時の板組 (特に、 突条部 2 2が形成された第 2の鋼板 2 0) の変形に対する強度が向上し、 重ね継手としての平行間隔を安定的に維持で きるように隙間を管理することができ、 溶接後の部品形状の精度が向上する 。 よって、 溶接品質劣化や製品寸法のズレを抑制するこ とができる。

[0047] <第 3の実施形態>

図 5は、 本発明の第 3の実施形態に係るめっき鋼板の接合方法を 式的に 示す斜視図である。

[0048] 本実施形態の接合構造体 1 0 0<3では、 第 1の鋼板 1 0及び第 2の鋼板 2

0が、 それぞれ断面略コの字形に形成されている。 第 1の鋼板 1 0の開口部 の内幅 \^/ 1は、 第 2の鋼板 2 0の開口部の外幅 \^/ 2より僅かに大きく形成さ れて、 第 1の鋼板 1 0と第 2の鋼板 2 0とが、 それぞれの開口部が対面する ようにして組み合わされる。 そして、 第 1の鋼板 1 0の縁部 1 1 に沿ってア —ク溶接され、 溶接部に線状の溶接金属 (溶接ビード) 5 0を形成して、 第 1の鋼板 1 0及び第 2の鋼板 2 0が接合される。

[0049] 第 1の鋼板 1 0の開口部には、 第 1の鋼板 1 0の縁部 1 1 に対して略垂直 \¥0 2020/174883 12 卩(:170? 2020 /000361

方向 (丫方向) に延び、 かつ、 該縁部 1 1 に沿って (X方向) 並ぶ複数の突 条部 1 2が形成されている。 この突条部 1 2は、 第 2の鋼板 2 0との重ね合 わせ面に向かう方向に突出する断面略 V字形であり、 第 1の鋼板 1 0を断面 略コの字形にプレス成形する際に、 同時に形成される。

[0050] 本実施形態においても、 第 1の鋼板 1 0に、 第 2の鋼板 2 0に向かって突 出する略 V字形の突条部 2 2を形成することで、 第 1の鋼板 1 0と第 2の鋼 板 2 0とを重ね合わせたとき、 第 1の鋼板 1 0及び第 2の鋼板 2 0の間には 、 隣接する突条部 2 2の間にギャップ◦が形成される。 このギャップ◦は、 突条部 2 2の高さ II (図 2を参照) と同じであり、 〇. 2 ~ 1 . 〇 とな つている。

[0051 ] その他の部分は、 第 1の実施形態に係る接合構造体 1 〇〇 と同様であり 、 またその接合方法も同様である。

[0052] これにより、 第 1の鋼板 1 0及び第 2の鋼板 2 0をアーク溶接する際に発 生する亜鉛ガスは、 隣接する突条部 2 2間に形成されるギャップ◦から丫方 向に排出されるため、 溶接部に発生する気孔欠陥が防止される。 また、 本実 施形態においても第 1の実施形態や第 2の実施形態と同様、 溶接時にクラン プ等により板組が拘束された場合、 突条部 1 2は、 第 1の鋼板 1 0の縁部 1 1 に対して略垂直方向 (丫方向) に延びており、 かつ、 この突条部 1 2が複 数形成されているため、 クランプ時の板組 (特に、 突条部 1 2が形成された 第 1の鋼板 1 0) の変形に対する強度が向上し、 重ね継手としての平行間隔 を安定的に維持できるように隙間を管理する ことができ、 溶接後の部品形状 の精度が向上する。 よって、 溶接品質劣化や製品寸法のズレを抑制するこ と ができる。

[0053] <第 4の実施形態>

図 6は、 本発明の第 4の実施形態に係るめっき鋼板の接合方法を 式的に 示す斜視図である。 また、 図 7は、 図 6の〇一〇断面図である。

[0054] 本実施形態の接合構造体 1 0 0口では、 第 1の鋼板 1 0に対して垂直方向 に重ね合わされた第 2の鋼板 2 0には、 第 2の鋼板 2 0の縁部 2 1 に対して \¥0 2020/174883 13 卩(:170? 2020 /000361

略垂直方向 (丫方向) に延び、 かつ、 該縁部 2 1 に沿って (X方向) 並ぶ複 数の突条部 2 2が形成されている。 この突条部 2 2は、 第 1の鋼板 1 0との 重ね合わせ面に向かう方向 (図 6における上方) に突出する略逆 V字に形成 されている。 また、 突条部 1 2は、 第 2の鋼板 2 0をプレス加工することに より形成される。

[0055] そして、 接合構造体 1 0 0 0は、 第 2の鋼板 2 0の突条部 2 2を第 1の鋼 板 1 〇の端部に当接した状態で第 1の鋼板 1 0と第 2の鋼板 2 0が重ね合わ され、 第 1の鋼板 1 0の縁部 1 1 (本実施形態では、 第 1の鋼板 1 0と第 2 の鋼板 2 0との間の隅部) に沿って線状にアーク溶接を行って、 溶接部に線 状の溶接金属 (溶接ビード) 5 0を形成して第 1の鋼板 1 0と第 2の鋼板 2 0を溶接することで形成される。

[0056] 第 2の鋼板 2 0に、 第 1の鋼板 1 0に向かって上方に突出する略逆 V字形 の突条部 2 2を形成することで、 第 1の鋼板 1 0を第 2の鋼板 2 0上に重ね 合わせたとき、 第 1の鋼板 1 0及び第 2の鋼板 2 0の間には、 突条部 2 2の 間にギャップ◦が形成される。 このギャップ◦は、 突条部 2 2の高さ (図 7を参照) と同じであり、 〇. 2〜 1 . となっている。

[0057] その他の部分は、 第 1の実施形態に係る接合構造体 1 〇〇 と同様であり 、 またその接合方法も同様である。

[0058] これにより、 第 1の鋼板 1 0及び第 2の鋼板 2 0をアーク溶接する際に発 生する亜鉛ガスは、 隣接する突条部 2 2間に形成されるギャップ◦から丫方 向に排出されるため、 溶接部に発生する気孔欠陥が防止される。 また、 本実 施形態においても第 1〜第 3の実施形態と同様、 溶接時にクランプ等により 板組が拘束された場合、 突条部 2 2は、 第 2の鋼板 2 0の縁部 2 1 に対して 略垂直方向 (丫方向) に延びており、 かつ、 この突条部 2 2が複数形成され ているため、 クランプ時の板組 (特に、 突条部 2 2が形成された第 2の鋼板 2 0) の変形に対する強度が向上し、 重ね継手としての平行間隔を安定的に 維持できるように隙間を管理することができ 、 溶接後の部品形状の精度が向 上する。 よって、 溶接品質劣化や製品寸法のズレを抑制するこ とができる。 \¥0 2020/174883 14 卩(:170? 2020 /000361

[0059] なお、 本発明は、 前述した各実施形態に限定されるものではな く、 適宜、 変形、 改良、 等が可能である。

[0060] 以上の通り、 本明細書には次の事項が開示されている。

( 1 ) 第 1の鋼板及び第 2の鋼板の少なくとも一方をめっき鋼板とし 互 いに重ね合わせられた前記第 1の鋼板及び前記第 2の鋼板をアーク溶接する 、 めっき鋼板の接合方法であって、

前記第 1の鋼板における前記第 2の鋼板との重ね合わせ面に、 前記第 1の 鋼板の縁部に略垂直であり、 かつ、 該縁部に沿って並ぶ複数の突条部を形成 する工程と、

前記突条部が前記第 2の鋼板との重ね合わせ面に向かう方向に突 するよ うに、 前記第 1の鋼板及び前記第 2の鋼板を重ね合わせる工程と、

前記第 1の鋼板の前記縁部又は前記第 2の鋼板の前記縁部を、 線状にアー ク溶接する工程と、

を備える、 めっき鋼板の接合方法。

[0061 ] この構成によれば、 溶接時にクランプ等により板組が拘束された 場合、 突 条部は、 第 1の鋼板の縁部又は前記第 2の鋼板の前記縁部に対して略垂直方 向に延びており、 かつ、 この突条部が複数形成されているため、 クランプ時 の板組の変形に対する強度が向上し、 重ね継手としての平行間隔を安定的に 維持できるように隙間を管理することができ 、 溶接後の部品形状の精度が向 上する。 よって、 溶接品質劣化や製品寸法のズレを抑制するこ とができる。 また、 アーク溶接によりめっき鋼板が加熱されるこ とで発生するガスを、 第 1の鋼板の突条部で形成されるギャップ (隙間) から排出することができ、 気孔欠陥の発生を防止することができる。

[0062] ( 2 ) 前記形成工程において、 前記複数の突条部の形成は、 前記第 1の鋼 板を所望の形状にプレス加工すると同時に行 われる、 上記 ( 1 ) に記載のめ っき鋼板の接合方法。

[0063] この構成によれば、 突条部を形成するための特別な加工工程が不 要となり 、 生産効率が向上するとともに、 加エコストを低減することができる。 \¥02020/174883 15 卩(:170?2020/000361

[0064] (3) 前記重ね合わせ工程において、 前記複数の突条部間には、 前記第 1 の鋼板と前記第 2の鋼板との間隔が略一定である隙間が形成 れる、 上記 ( 1) 又は (2) に記載のめっき鋼板の接合方法。

[0065] この構成によれば、 アーク溶接する際、 突条部と第 2の鋼板の上面とで画 成される隙間を介して亜鉛ガスを排出するこ とができ、 溶接部の気孔欠陥を 防止することができる。 また、 安定した溶接品質が得られる。

[0066] (4) 前記突条部は、 前記プレス加工時に設けられるロックビード である 、 上記 (2) に記載のめっき鋼板の接合方法。

[0067] この構成によれば、 突条部を形成するための特別な加工工程が不 要となり 、 生産効率が向上すると共に、 加エコストを低減することができる。

[0068] (5) 前記突条部の高さは〇. 2〜 1 . 上記 (1) 〜 (4 ) のいずれか 1つに記載のめっき鋼板の接合方法。

[0069] この構成によれば、 接合強度及び組立精度を低下させることなく 、 溶接時 に発生するガスを確実に排出することができ る。

[0070] (6) 前記めっき鋼板は、 引張強度が 9 8 0 IV! 3以上の亜鉛めっき鋼板 である、 上記 (1) 〜 (5) のいずれか 1つに記載のめっき鋼板の接合方法

[0071 ] この構成によれば、 高張力鋼板である亜鉛めっき鋼板のアーク溶 接が可能 となる。

[0072] (7) 前記第 1の鋼板は、 ホッ トスタンプ用鋼板である、 上記 (1) 〜 (

6) のいずれか 1つに記載のめっき鋼板の接合方法。

[0073] この構成によれば、 高張力鋼板のアーク溶接が可能となる。

[0074] (8) 前記プレス加工は、 ホッ トスタンプである、 上記 (2) 又は (4) に記載のめっき鋼板の接合方法。

[0075] この構成によれば、 第 1の鋼板が高張力鋼板であっても、 プレス加工によ って突条部を容易に形成することができる。

[0076] (9) 前記アーク溶接工程において、 シールドガスは、 八 「が 8 0体積% 以下で、 残りを〇〇 2 とした混合ガス、 又は 1 〇〇体積%〇〇 2 ガスである、 \¥0 2020/174883 16 卩(:170? 2020 /000361

上記 (1) 〜 (8) のいずれか 1つに記載のめっき鋼板の接合方法。

[0077] この構成によれば、 〇〇 2 ガスによってアークを絞ることができ、 溶接深さ が深い溶接を行うことができる。

[0078] (1 0) 前記アーク溶接工程において、 溶接ワイヤは、 正負の送給制御に よって供給され、 短絡時に溶滴の表面張力を利用して溶融池に 移行させる、 上記 (1) 〜 (9) のいずれか 1つに記載のめっき鋼板の接合方法。

[0079] この構成によれば、 短絡時に溶滴の表面張力を利用して溶滴を溶 融池に移 行させて、 第 1の鋼板及び第 2の鋼板への入熱を低下させることができ、 亜 鉛の蒸発量を抑制することが可能となる。

[0080] (1 1) 第 1の鋼板及び第 2の鋼板の少なくとも一方をめっき鋼板とし 互いに重ね合わせられた前記第 1の鋼板及び前記第 2の鋼板がアーク溶接さ れる、 接合構造体であって、

前記第 1の鋼板における前記第 2の鋼板との重ね合わせ面に、 前記第 1の 鋼板の縁部に略垂直であり、 かつ、 該縁部に沿って並ぶ複数の突条部が形成 され、

前記突条部が前記第 2の鋼板との重ね合わせ面に向かう方向に突 するよ うに、 前記第 1の鋼板及び前記第 2の鋼板が重ね合わせられており、

前記第 1の鋼板の前記縁部又は前記第 2の鋼板の前記縁部には、 線状の溶 接ビードが形成されている、 接合構造体。

[0081 ] この構成によれば、 気孔欠陥がなく、 接合強度に優れ、 かつ、 溶接後の組 立精度が高い接合構造体が得られる。

[0082] 以上、 図面を参照しながら各種の実施の形態につい て説明したが、 本発明 はかかる例に限定されないことは言うまでも ない。 当業者であれば、 特許請 求の範囲に記載された範疇内において、 各種の変更例又は修正例に想到し得 ることは明らかであり、 それらについても当然に本発明の技術的範囲 に属す るものと了解される。 また、 発明の趣旨を逸脱しない範囲において、 上記実 施の形態における各構成要素を任意に組み合 わせてもよい。

[0083] なお、 本出願は、 2 0 1 9年 2月 2 5日出願の日本特許出願 (特願 2 0 1 \¥02020/174883 17 卩(:170? 2020 /000361

9-03 1 781) に基づくものであり、 その内容は本出願の中に参照とし て援用される。

符号の説明

[0084] 1 0 第 1の鋼板

1 1 , 2 1 縁部

1 2, 22 突条部

20 第 2の鋼板

40 溶接卜ーチ

4 1 溶接ワイヤ

50 溶接金属 (溶接ビード)

1 00 , 1 00巳, 1 000 接合構造体

0 ギャップ (隙間)

突条部の局さ

1 第 1の鋼板の開口部の内幅

\^/2 第 2の鋼板の開口部の外幅